JP2009112797A - 便座装置 - Google Patents

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昇 田栗
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英樹 大野
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Abstract

【課題】便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することのできる便座装置を提供すること。
【解決手段】便座装置は便座400の着座面410Uの裏面に屈曲蛇行する状態で配設された線状ヒータ480を含む構成の便座ヒータを有する。線状ヒータ480にはこれに電力を供給して発熱させるヒータ駆動部が接続されている。また線状ヒータ480は、発熱線を絶縁性のエナメル層で被覆した2本のエナメル線463を有している。そして、2本のエナメル線463は互いに電気的に絶縁された状態で縒り合わされている。更に2本のエナメル線463は、通電時において、それぞれに流れる電流の進行方向が互いに略反対となるようにヒータ駆動部に接続されている。これにより通電時において2本のエナメル線463には互いに逆方向の電流が流れ、それぞれから発生する磁界が略相殺しあう。
【選択図】図11

Description

本発明は、便座ヒータを有する便座装置に関する。
従来の便座装置において、冬の時期などの気温が低いときにおいても使用者に不快を感じさせることなく便座に着座してもらうことを意図して、例えば、以下のような構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、特許文献1に記載の従来の便座装置においては、マグネシウム合金により形成された便座ケーシングの裏面に線状ヒータ(便座ヒータ)を設けた構成が提案されている。この線状ヒータは、芯線、芯線に巻回される発熱線、ならびに芯線および発熱線を覆う被覆チューブにより構成されている。更に、この線状ヒータは、便座ケーシングの裏面全体にわたって蛇行するように配置されており、発熱線の両端部に電源回路が接続されている。
そして、特許文献1に記載の従来の便座装置においては、電源回路から発熱線に電圧が印加されることにより発熱線が発熱し、その熱が被覆チューブに伝わり更に便座ケーシングに伝達されるように構成されている。これにより、便座ケーシングの温度が上昇する。
特開2003−310485号公報
しかしながら、上記従来の便座装置においては、線状ヒータ(便座ヒータ)に設けられた発熱線(導線)に電流を流すと磁界が発生し、その磁界は便座表面から外に放出されることになる。そして、そのときに、便座に使用者が着座していると、磁界の中に人体が入ることになり、人体に対する磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減するという観点からは未だ改善の余地があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することのできる便座装置を提供することを目的とする。
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、
使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、
前記便座の前記着座面の裏面上に前記便座に対して電気的に絶縁された状態で配置されており、電流により発熱するシート状の前記便座ヒータと、
前記便座の暖房が必要なときに前記便座ヒータに電力を供給して発熱させるヒータ駆動部と、
前記ヒータ駆動部を制御する制御部と、
を少なくとも備えており、
前記便座ヒータには、前記便座の前記裏面上に屈曲蛇行する状態で配設された線状ヒータが含まれており、
前記線状ヒータは、2以上の屈曲部と、前記2以上の屈曲部に接続される略直線状又は略曲線状の形状を有する1以上の直線部とを有しており、
前記2以上の屈曲部のそれぞれにおいて、前記ヒータ駆動部から電流が供給された場合に、1つの屈曲部の上流側に接続される前記直線部の電流の進行方向と下流側に接続され
る前記直線部の電流の進行方向とが互いに略逆向きとなり、上流側に接続される前記直線部に発生する磁界と下流側に接続される前記直線部に発生する磁界とが互いに略打ち消し合うように、前記2以上の屈曲部及び前記1以上の直線部の配置位置が調節されている、便座装置
を提供する(請求項1)。
上述のように、本発明の便座装置(請求項1)は、便座の裏面上に線状ヒータ(電力を供給して発熱するタイプのもの)を屈曲蛇行する状態で配設する構成を有する便座装置において、線状ヒータで発生する磁界(電磁波)の低減を意図して、便座の裏面上における線状ヒータの2以上の屈曲部及び1以上の直線部の配置位置を調節したものである。
例えば、線状ヒータの1つの屈曲部とこれに接続されている2つの直線部に着目すると、ヒータ駆動部から電流が供給された場合に、屈曲部で電流の進行方向が反転するため、この屈曲部の上流側(電流の上流側)に接続される直線部の電流の進行方向と、下流側(電流の下流側)に接続される直線部の電流の進行方向とが異なることになる。そして、例えば、屈曲部での屈曲の度合いを調整して、上流側の直線部と下流側の直線部とを略平行にすることや、略平行にした上流側の直線部と下流側の直線部との距離を調節することにより、上流側の直線部に発生する磁界と下流側の直線部に発生する磁界とが互いに略打ち消し合うように調節することができる。そして、このような調節を線状ヒータの全ての屈曲部及び直線部で行い、線状ヒータ全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにする。
その結果、本発明の便座装置(請求項1)によれば、便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することができるようになる。
また、本発明は、
使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、
前記便座の前記着座面の裏面上に前記便座に対して電気的に絶縁された状態で配置されており、電流により発熱するシート状の前記便座ヒータと、
前記便座の暖房が必要なときに前記便座ヒータに電力を供給して発熱させるヒータ駆動部と、
前記ヒータ駆動部を制御する制御部と、
を少なくとも備えており、
前記便座ヒータには、前記便座の前記裏面上に屈曲蛇行する状態で配設された線状ヒータが含まれており、
前記線状ヒータは、互いに電気的に絶縁された状態で縒り合わされた2本の発熱線を少なくとも有しており、
前記2本の発熱線は、前記ヒータ駆動部から電流が供給された場合に、それぞれに流れる電流の進行方向が互いに略反対となるように、ヒータ駆動部に接続されている、
便座装置
を提供する(請求項2)。
上述の構成とすることにより、通電時には、2本の発熱線には互いに略逆方向の電流が流れることになる。そのため、一方の発熱線に流れる電流により発生する磁界と他方の発熱線に流れる電流により発生する磁界とは略逆向きとなり、両者は略相殺しあうことになる。そのため発熱線の周囲に発生する磁界(電磁波)を十分に防止することができる。その結果、本発明の便座装置(請求項2)によれば、便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することができるようになる。
また、本発明(請求項2)においては、2本の発熱線が接続されて1本とされていてもよい。すなわち、1本の発熱線をその中央で屈曲させることにより、屈曲点以外の部分は2本の発熱線を並べた状態とすることができる。その2本となった部分を縒り合わせた状態しても上述の本発明の便座装置(請求項2)を構成するこことができ、本発明の効果を得ることができる。
更に、本発明(請求項2)においては、線状ヒータは、発熱線の外周面を覆うように配置されたエナメル層を更に有していることが好ましい。これにより、2本の発熱線の間で電気的絶縁をより確実に図ることができる。
本発明の便座装置によれば、便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の便座装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。また、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではない。
<1>便座装置、衛生洗浄装置、トイレ装置の外観
図1は本発明の好適な実施形態に係る便座装置(第1実施形態〜第6実施形態)、衛生洗浄装置、トイレ装置を示す外観斜視図である。
図1に示すように、トイレ装置1000はトイレットルーム内に設置される。
トイレ装置1000において、便器700には衛生洗浄装置100が取り付けられている。衛生洗浄装置100は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および蓋部500により構成されている。なお、衛生洗浄装置100の各構成要素から後述の便器ノズル部、ノズル、洗浄水供給機構を除いたものが便座装置110を構成する。
図1に示すように、本体部200には、便座部400および蓋部500が開閉可能に取り付けられている。また、本体部200には、図示しない洗浄水供給機構が設けられるとともに、後述の制御部90が内蔵される。
図1に示すように、本体部200の正面上部には、着座センサ610が設けられている。この着座センサ610は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、着座センサ610は、人体から反射された赤外線を検出することにより便座部400上に使用者が存在することを検知する。
さらに、図1に示すように、本体部200の正面下部には、便器ノズル40が便器700の内側に突出している状態で設けられている。この便器ノズル40は、上述の洗浄水供給機構に接続されている。
洗浄水供給機構は、図示しない水道配管に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水を便器ノズル40に供給する。それにより、便器ノズル40から便器700の内面の広い範囲に洗浄水が噴出される(便器プレ洗浄)。または、便器ノズル40から便器700の内面の背面側に洗浄水が噴出される(便器後部洗浄)。詳細は後述する。
また、洗浄水供給機構は、後述のノズル部(図示せず)に接続されている。これにより、洗浄水供給機構は、水道配管から供給される洗浄水をノズル部に供給する。それにより、ノズル部から使用者の局部に洗浄水が噴出される。
遠隔操作装置300には、複数のスイッチが設けられている。遠隔操作装置300は、例えば便座部400上に着座する使用者が操作可能な場所に取り付けられている。
入室検知センサ600は、トイレットルームの入口等に取り付けられている。入室検知センサ600は、例えば反射型の赤外線センサである。この場合、入室検知センサ600は、人体から反射された赤外線を検出した場合にトイレットルーム内に使用者が入室したことを検知する。
本体部200の制御部90は、遠隔操作装置300、入室検知センサ600および着座センサ610から送信される信号に基づいて、衛生洗浄装置100の各部の動作を制御する。
<2>便座装置(第1実施形態〜第6実施形態)
(2−a)便座装置の構成(第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に共通の構成)
図2は、便座装置110の構成を示す模式図である。便座装置110は、本体部200、遠隔操作装置300、便座部400および入室検知センサ600を備えている。
図2に示すように、本体部200は、制御部90、温度測定部401、ヒータ駆動部402、便座温調ランプRA1および着座センサ610を含んでいる。
また、便座部400は便座ヒータ450およびサーミスタ401aを備えている。
更に、制御部90は、例えばマイクロコンピュータからなり、使用者の入室および便座部400の温度等を判定する判定部、タイマ機能を有する計時部、種々の情報を記憶する記憶部、ならびに、ヒータ駆動部402の動作を制御するための通電率切替回路等を含んでいる。
本体部200の温度測定部401は、便座部400のサーミスタ401aに接続されている。これにより、温度測定部401は、サーミスタ401aから出力される信号に基づいて便座部400の温度を測定する。以下、サーミスタ401aを通じて温度測定部401により測定される便座部400の温度を測定温度値と称する。
また、本体部200のヒータ駆動部402は、便座部400の便座ヒータ450に接続されている。これにより、ヒータ駆動部402は便座ヒータ450を駆動する。
便座装置110は次のように動作する。初期設定時では、制御部90がヒータ駆動部402を制御することにより、便座部400が例えば約18℃となるように温度調整される。このときの温度を待機温度と称する。
ここで、使用者が遠隔操作装置300の便座温度調整スイッチ333を操作することにより、便座設定温度が制御部90に送信される。制御部90は、遠隔操作装置300から受信した便座設定温度を記憶部に記憶する。
使用者がトイレットルームに入室すると、入室検知センサ600が使用者の入室を検知する。それにより、使用者の入室検知信号が制御部90に送信される。
次に、通常の使用時の動作について説明する。制御部90の判定部は、入室検知センサ600からの入室検知信号により使用者のトイレットルームへの入室を検知する。そこで、判定部は、便座部400の測定温度値、および記憶部に記憶された便座設定温度に基づいて便座ヒータ450の駆動に関する特定のヒータ制御パターンを選択する。
通電率切替回路は、選択されたヒータ制御パターンおよび計時部により得られる時間情報に基づいてヒータ駆動部402の動作を制御する。
それにより、ヒータ駆動部402により便座ヒータ450が駆動され、便座部400の温度が便座設定温度へと瞬時に上昇される。
(2−b)第1実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
図3は、第1実施形態の便座装置に搭載される便座部400の分解斜視図である。
図4(a)は、第1実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図である。
図4(b)は、図4(a)の領域C72の拡大図である。
図5は、第1実施形態の便座装置に搭載される便座部400の平面図である。
図6は、図5の便座部400のC73−C73断面図である。
図3に示すように、便座部400は、主としてアルミニウムにより形成された略楕円形状の上部便座ケーシング410、略馬蹄形状の便座ヒータ450および合成樹脂により形成された略楕円形状の下部便座ケーシング420を備えている。
以下の説明では、着座した使用者から見て前方側を便座部400の前部とし、着座した使用者から見て後方側を便座部400の後部として説明する。
図4(a)および図5に示すように、便座ヒータ450は、前部の一部が切り取られた略馬蹄状に形成されている。なお、便座ヒータ450は、略楕円形状を有していてもよい。便座ヒータ450は、例えばアルミニウムからなる金属層451、金属層453および線状ヒータ460を含んでいる。
線状ヒータ460は、シート中央部SE3からシート一方端部SE1までの領域およびシート中央部SE3からシート他方端部SE2までの領域において上部便座ケーシング410の形状に合わせて屈曲蛇行する状態で配設されている。
具体的には、線状ヒータ460は、シート中央部SE3の両側へ向けて左右に(シート端部SE1の側とシート端部SE2の側に)6列程度のU字状部を有するように形成される。端部SE1の側のU字状部は、11個の屈曲部K{図4(a)中の屈曲部K1を除いた数を示す}と、屈曲部Kのそれぞれに接続される略直線状又は略曲線状の形状を有する12個の直線部Tを有している。図4(a)に示すように、シート端部SE2の側のU字状部もシート端部SE1の側のU字状部に対して対象{図4(a)に示す軸Yに対して線対称}となる構成を有し、11個の屈曲部K(図中の屈曲部K1を除いた数を示す)と、屈曲部Kのそれぞれに接続される略直線状又は略曲線状の形状を有する12個の直線部Tを有している。
更に、図4(b)に示した1つの屈曲部Kに着目すると、屈曲部Kの上流側に接続され
る直線部T1(上流側の直線部T1)と、屈曲部Kの下流側に接続される直線部T2(下流側の直線部T1)とを有している。このように、全ての屈曲部Kについて上流側の直線部と下流側の直線部が接続されることにより線状ヒータ460の形状が屈曲蛇行する形状となっている。
そして、図4(a)及び図4(b)に示した線状ヒータ460は、屈曲部Kのそれぞれにおいて、ヒータ駆動部402から電流が供給された場合に、1つの屈曲部Kの上流側の直線部T1の電流の進行方向と下流側の直線部T2の電流の進行方向とが互いに略逆向きとなり、上流側の直線部T1に発生する磁界と下流側の直線部T2に発生する磁界とが互いに略打ち消し合うように、屈曲部K及び直線部Tの配置位置が調節されている。そして、このような調節を線状ヒータ460の全ての屈曲部K及び直線部Tで行い、線状ヒータ460全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにされている。
例えば、図4(a)及び図4(b)示すU字状部の場合、着座した使用者の大腿部の方向にほぼ沿って上流側の直線部T1と下流側の直線部T2とが略平行となるように屈曲部Kでの屈曲の度合いが調整されている。
更に、図4(b)に示す位置に配置されているU字状部の場合には、線状ヒータ460の上流側の直線部T1と下流側の直線部T2との間隔S1は、例えば5mm程度に調節されている。
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続されている。
更に、第1実施形態の便座装置においては、上述した、線状ヒータ全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにする構成がとれる範囲内において、更に以下のような構成が採用されている。
すなわち、図4(b)に示すように、蛇行形状の線状ヒータ460の経路中に熱応力緩衝部となる複数の折曲部CUが設けられている。
また、図6に示すように、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1における線状ヒータ460の間隔ds1および内側の側辺に沿った領域G3における線状ヒータ460の間隔ds3は、上部便座ケーシング410の中央部の領域G2における線状ヒータ460の間隔ds2よりも小さく設定されている。これにより、上部便座ケーシング410の外側の側辺に沿った領域G1および内側の側辺に沿った領域G3では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。
線状ヒータ460を屈曲蛇行させて配置することで、限られた便座部400の着座面410Uの裏面のスペースを有効活用しつつ、この裏面における線状ヒータ460の接地面積を十分に確保できる。これにより、迅速な便座部400の暖房と精密な温度管理がより確実にできるようになる。
更に、この場合、便座部400の着座面410Uの裏面のうち、使用者の肌にふれて放熱量が多くなる部分に線状ヒータ460を蜜に配設することができる。そのため、使用者が着座した場合であっても便座部400の着座面410Uの温度を設定温度に十分に保つことができるようになる。
図7は、第1実施形態の便座装置に搭載される便座部400の上部便座ケーシング410に取り付けられる便座ヒータ450の詳細な構造を示す断面図である。
次に、便座部400の上部便座ケーシング410の詳細な構造について説明する。図7に示すように、上部便座ケーシング410は、アルミニウム板413を主として含む構成を有する。このアルミニウム板413は例えば厚さ1mmで形成されている。
アルミニウム板413の上面には、アルマイト層412および表面化粧層411が形成されている。表面化粧層411の上面が着座面410Uとなる。また、アルミニウム板413の下面には、塗装膜414が形成される。塗装膜414は、例えば膜厚40μmおよび150℃の耐熱性を有するポリエステル粉体塗装膜である。塗装膜414は後述する金属層451とアルミニウム板413との電気的な絶縁を行う機能も有する。
なお、アルミニウム板413の代わりに、銅板、ステンレス板、アルミニウムめっき鋼板および亜鉛アルミニウムめっき鋼板のうちのいずれかを用いてもよい。さらに、アルミニウム板413、銅板、ステンレス板、アルミニウムめっき鋼板および亜鉛アルミニウムめっき鋼板のうちの2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、便座ヒーター450の詳細な構造について説明する。
本実施形態では、先に述べた上部便座ケーシング410の塗装膜414の下面に粘着層452aを介して例えばアルミニウムからなる金属層451が貼着されている。
金属層451の膜厚は、例えば50μmである。また、粘着層452aは金属層451と塗装膜414とに対する十分な接着性を有している。粘着層452aは金属層451と塗装膜414とに対する十分な接着性を有していればその構成成分は特に限定されない。
線状ヒータ460は、断面円形の発熱線463a、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462により構成される。断面円形の発熱線463aの外周面がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462で順に被覆される。発熱線463aおよびエナメル層463bによりエナメル線463が構成される。
発熱線463aは、例えば0.16〜0.25mmの直径を有し、銅または銅合金からなる。本実施形態では、発熱線463aとして、直径0.176mmの4%Ag−Cu合金からなる高抗張力型ヒータ線が用いられる。抵抗値は0.833Ω/mである。
エナメル層463bは、例えば180〜300℃の耐熱性を有するポリエステルイミド(PEI)からなる。エナメル層463bの膜厚は、20μm以下であることが好ましく、12〜13μmであることが好ましい。このようなエナメル線463は、エナメル層463bの膜厚が極薄い0.01〜0.02mm程度であっても、電気用品技術基準である1000Vで1分間以上の電気絶縁耐圧性能を十分確保することができる。また、エナメル層463bの材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
絶縁被覆層462は、例えば260℃の耐熱性を有するペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(以下PFAと称する)等のフッ素樹脂からなる。絶縁被覆層462の厚みは、例えば0.1〜0.15mmである。PFAからなる絶縁被覆層462の形成は、押出し加工により行うことができる。この場合、絶縁被覆層462の厚みが0.05〜0.1mmと薄くても、雷サージにも耐える電気絶縁耐圧性能を確保することができる。
なお、絶縁被覆層462の材料として、ポリイミド(PI)またはポリアミドイミド(PAI)を用いてもよい。
線状ヒータ460の外径は、例えば0.46〜0.50mmである。線状ヒータ460の電力密度は、例えば0.95W/cmである。
線状ヒータ460は、粘着層452bおよび例えばアルミニウムからなる金属層453で覆うように金属層451に取り付けられる。金属層453の膜厚は、例えば50μmである。また、粘着層452bは金属層451と金属層453とに対する十分な接着性を有している。粘着層452bは金属層451と金属層453とに対する十分な接着性を有していればその構成成分は特に限定されない。
このように、単一のエナメル線463上に絶縁被覆層462を形成することにより二重の絶縁構造を確保することができる。
また、絶縁被覆層462は比較的薄くても十分な絶縁性が得られる。したがって、絶縁被覆層462の厚さを薄くすることができる。上記の例では、線状ヒータ460において合成樹脂を主成分として含む層(エナメル層463bおよび絶縁被覆層462)の厚さは、0.12mm程度であり、極めて薄い。この場合、発熱線463aから金属層451および便座ケーシング410への熱伝導を極めて俊敏に行うことができる。
ちなみに従来の便座装置においては、線状ヒータのシリコーンゴムまたは塩化ビニール等からなる被覆チューブの厚さは、上記の例の約10倍の1mm程度ある。このような被覆チューブの熱伝導速度は桁違いに遅く、便座の昇温速度を速くすることはできなかった。
従来の便座装置において便座の昇温速度を無理やり速くするためにヒータ線に大きい電力を供給した場合、断熱状態でヒータ線の温度を高くした場合と同様に、被覆チューブが溶融および焼損する。そのため、このような方法による便座の昇温は実用できなかった。
一方、本実施形態のように耐熱性能に優れたエナメル線463をヒータ線として使用した場合、十分短時間で便座を昇温でき、かつ電気絶縁性および安全性を確保できる。したがって、本実施形態の構造は、種々の便座装置に有効に実用することができる。
また、本実施形態の構造では、合成樹脂を主成分として含む層(エナメル層463bおよび絶縁被覆層462)を0.1〜0.4mm程度の薄い厚さで形成できる。それにより、発熱線463aおよび樹脂層の絶対温度が低い温度に維持された状態で、便座を急速に昇温させることができる。その結果、高価な耐熱絶縁材料でなく比較的安価な絶縁材料を用いることができる。
また、本実施形態においては、線状ヒータ460の熱を便座ケーシング410に効率よく伝達するために、線状ヒータ460をアルミ箔451,452で挟んでいる。ここで、本実施形態の線状ヒータ460においては、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462を薄くできるので、線状ヒータ460の外径を細く(約φ0.2〜φ0.4)できる。この場合、アルミ箔451とアルミ箔452とを貼り合わせる際に、アルミ箔451とアルミ箔452との間の空気層を小さくすることができるとともに、アルミ箔451、452のしわを少なくすることができる。それにより、エナメル線463の局所高熱が抑制され、エナメル線463の断線および電気絶縁層(エナメル層463bおよび絶縁被覆層462)の損傷が防止される。その結果、便座装置110の長寿命化が可能になる。
また、エナメル線463を細くできるので、便座ヒータ450の重量を低減でき、便座開閉トルクを小さくすることができる。それにより、便座開閉用の電動開閉ユニットを小
型化でき、便座装置110の小型化が可能となる。
(2−c)第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
図8(a)は、第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図、図8(b)は、図8(a)の領域C77の拡大図、図9は、第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400の平面図である。
図8(a)および図9に示すように、線状ヒータ460は、シート中央部SE3の両側へ向けて一方のシート端部SE1までの領域およびシート中央部SE3から他方のシート端部SE2までの領域において上部便座ケーシング410の形状に合わせて左右方向{図8(a)に示す軸Yに略垂直な方向}に蛇行する状態で配設されている。
先に図4(a)等を用いて説明した第1実施形態の便座装置に搭載される便座部に比較して、図8(a)に示す線状ヒータ460は、屈曲部Kが上部便座ケーシング410の外側の側辺および内側の側辺の近傍に多数位置するように配置されている。また、図8(a)に示す線状ヒータ460は、屈曲部Kに接続される直線部Tが図4(a)に示した直線部Tに対して略垂直となるように配置されている。
更に、図8(a)に示す線状ヒータ460は、2つの(2重の)系列の蛇行構造を有している。具体的には、線状ヒータ460が便座ヒータ450の後部の一方側からシート端部SE1の近傍まで左右に蛇行しながら延びることにより、図8(b)に示す第1系列Aの蛇行系列が形成されている。更に、線状ヒータ460がシート端部SE1の近傍から左右に蛇行しながらシート中央部SE3の近傍を経由してシート端部SE2の近傍まで延びることにより図8(b)に示す第2系列Bの蛇行系列が形成されている。
そして、図8(b)に示す線状ヒータ460は、2つの(2重の)系列の蛇行構造の屈曲部Kにおいて、第1系列Aの蛇行系列の屈曲部Kaの内側に第2系列Bの蛇行系列の屈曲部Kbが入り込む構造と、第2系列Bの蛇行系列の屈曲部Kbの内側に第1系列Aの蛇行系列の屈曲部Kaが入り込む構造とが連続する構造となっている。
さらに、線状ヒータ460の第1系列Aは、当該線状ヒータ460がシート端部SE2の近傍からシート中央部SE3の近傍を経由して便座ヒータ450の後部の一方側まで延びることにより形成されている。
さらに、図8(b)に示すように、第1系列Aの蛇行形状の線状ヒータ460と第2系列Bの蛇行形状の線状ヒータ460とはほぼ平行に配列される。第1系列Aおよび第2系列Bの蛇行形状の線状ヒータ460はヒータ始端部460aからヒータ終端部460bまで連続している。
線状ヒータ460のヒータ始端部460aおよびヒータ終端部460bは、便座部400の後部の一方側から引き出されるリード線470にそれぞれ接続される。
そして、図8(a)及び図8(b)に示した線状ヒータ460は、屈曲部Kのそれぞれにおいて、ヒータ駆動部402から電流が供給された場合に、1つの第1系列Aの蛇行系列の屈曲部Kaの上流側の直線部T1の電流の進行方向と、当該屈曲部Kbに隣接する1つの第1系列Bの蛇行系列の屈曲部Kbの下流側の直線部T2の電流の進行方向とが互いに略逆向きとなり、上流側の直線部T1に発生する磁界と下流側の直線部T2に発生する磁界とが互いに略打ち消し合うように、屈曲部Ka、屈曲部Kb、直線部T1及び直線部T2の配置位置が調節されている。そして、このような調節を線状ヒータ460の全ての屈曲部K及び直線部Tで行い、線状ヒータ460全体として磁界の影響(電磁波の影響)
を最小限にできるようにされている。
例えば、図8(b)に示すように、第1系列Aの屈曲部Kaにおける長さLa(屈曲部Kaに接続される上流側の直線部Tと下流側の直線部Tとの間隔)、第2系列Bの屈曲部Kbにおける長さLb(屈曲部Kbに接続される上流側の直線部Tと下流側の直線部Tとの間隔)、および、第1系列Aと第2系列Bとの間隔Sabが線状ヒータ460全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるように調整されている。
また、線状ヒータ460全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるように第1系列A及び第2系列Bの双方において、上流側の直線部T1と下流側の直線部T2とが略平行となるように屈曲部Kでの屈曲の度合いが調整されている。
本実施形態では、線状ヒータ460の屈曲部Kが、便座ヒータ450の内縁部分と外縁部分に位置する構成を有する。それにより、隣り合う屈曲部K間の間隔を比較的短くすることができる。したがって、線状ヒータ460の熱膨張および熱収縮に起因する長さ変化が起こり、線状ヒータ460が伸縮しても屈曲部Kにおいて伸縮による歪が吸収および緩衝されるようになる。その結果、線状ヒータ460の熱膨張および熱収縮に起因するストレスが小さくなり、長期間使用しても便座ヒータ450の破損の発生を十分に抑制できるようになる。
また、線状ヒータ460の熱的伸縮が小さいと、金属層451、金属層453に対する粘着層452a、粘着層452bの密着性を長期間良好に維持することができる。それにより、便座ヒータ450の加温を長期にわたり効率的にかつ確実に行うことができる。
更に、第2実施形態の便座装置においては、上述した、線状ヒータ全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにする構成がとれる範囲内において、更に以下のような構成が採用されている。
例えば、図8(b)に示した、第1系列Aの屈曲部Kaにおける長さLa(屈曲部Kaに接続される上流側の直線部Tと下流側の直線部Tとの間隔)、第2系列Bの屈曲部Kbにおける長さLb(屈曲部Kbに接続される上流側の直線部Tと下流側の直線部Tとの間隔)、および、第1系列Aと第2系列Bとの間隔Sabは、線状ヒータ全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにする構成がとれる範囲内において、任意に調整することができる。
それにより、加熱した場合の便座ヒータ450の熱分布を調整することができる。
例えば、便座ヒータ450の外側および内側の側辺近傍の加熱密度が便座ヒータ450の中央部の加熱密度よりも高くなるように、先に述べた長さLa、Lbおよび間隔Sabを調整する。それにより、便座ヒータ450の全領域において均等な暖房温度を維持することができる。
また、本実施形態では、第1系列Aの蛇行形状の線状ヒータ460での電流の進行方向が第1系列Bの蛇行形状の線状ヒータ460での電流の進行方向と逆になる。それにより、線状ヒータ460から発生する電磁波が互いが打ち消される。その結果、ノイズの発生が防止される。
(2−d)第3実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
第3実施形態の便座装置に搭載される便座部400は、以下説明する検温部450Tを備えていること以外の構成は先に図8(a)、図8(b)及び図9を用いて説明した第2
実施形態の便座装置に搭載される便座部400と同一の構成を有している。そのため第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400と重複する構成の説明は省略する。
図10(a)は、第3実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図、図10(b)は、図10(a)の一部の拡大断面図である。
図10(a)に示すように、便座ヒータ450の後部の両側に線状ヒータ460が高い密度で蛇行する検温部450Tがそれぞれ形成されている。図10(b)に示すように、一方の検温部450Tには、バイメタル等を用いた復帰型のサーモスタット450Qが設けられる。他方の検温部450Tには、温度ヒューズ等を用いた非復帰型のサーモスタット450Qが設けられる。
例えば、便座ヒータ450が想定外の異常温度になると、復帰型のサーモスタット450Qが開くことにより、一時的に通電が停止される。また、復帰型のサーモスタット450Qが故障等を起こすことにより、便座ヒータ450が危険温度に達しようとすると、非復帰型のサーモスタット450Qが開くことにより、電力の供給が遮断される。
ここで、温度過昇防止のためのサーモスタット450Qまたは温度ヒューズの動作温度設定は、実際に遮断したい温度よりも低くしておくことが望ましい。本実施形態で説明している構成の便座は昇温速度が速い。したがって、安全装置(例えば、サーモスタット450Qまたは温度ヒューズ等)の動作速度によっては、実際に通電が停止されたタイミングで便座表面が予め設定された温度よりもさらに高い温度になってしまっている可能性があるためである。人体の皮膚のうち、普段露出していない臀部や大腿部の皮膚は他の部分の皮膚に比べて敏感である。これにより、上記のような、より高い安全設計が重要となる。
(2−e)第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400は、図8(a)、図8(b)及び図9に示した線状ヒータ460の代わりに、以下図11(a)及び図11(b)を用いて説明する構造を有する線状ヒータ480を備えていること以外の構成は、先に図8(a)、図8(b)及び図9を用いて説明した第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400と同一の構成を有している。そのため第2実施形態の便座装置に搭載される便座部400と重複する構成の説明は省略する。
図11(a)は、第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図である。
図11(b)は、図11(a)における、線状ヒータ480のA(リード線470に接続される端部分)、B(A部分と反対側の端部分)、C(A部分とB部分との中間にある部分)のそれぞれの箇所の模式図である。
図11(b)に示すように、線状ヒータ480は、発熱線463aの外周面をエナメル層463bで被覆されたエナメル線463(図7のエナメル線463と同一構成)を2本有し、これら2本のエナメル線がエナメル層463bにより電気的に絶縁された状態で互いに縒り合わされた構造を有している。
また、この線状ヒータ480の場合、図11(b)のBの部分に示すように、2本のエナメル線463は、その終端において電気的に接続されて1本とされている。
更に、図11(b)のAの部分に示すように、外部からの2本のリード線470が2本
のエナメル線463の始端にそれぞれ接続されている。
一般的に、図12(a)に示すように、導線{図12(a)中の発熱線463}に電流が流れると、導線の周囲には磁界が発生する。線状ヒータを便座の着座面の裏面側に設ける場合、これに電流を流すと便座表面から磁界が放出される。そのため、何がしかの対策を講じないと、便座部の着座面には人体が直接接触するため、人体は磁界を浴びることになる。
そこで、前述した第1実施形態〜第3実施形態の便座装置においては、発熱線463の配置位置を調節して線状ヒータ460全体として磁界の影響(電磁波の影響)を最小限にできるようにしている。すなわち、隣り合う発熱線同士を略平行となるよう配置し電流の方向を略逆になるようにすることや、発熱線463の間隔Sabを調節することである。
これに対し、この第4実施形態における線状ヒータ480の場合には、上記の図12(b)に示した構成とすることにより、通電時に、縒り合わされた2本のエナメル線463に互いに略逆方向の電流が流れるようにしている。そのため、一方のエナメル線463に流れる電流により発生する磁界と他方のエナメル線463に流れる電流により発生する磁界とは略逆向きとなり、両者が相殺しあうことになる。そのため、2本のエナメル線463を縒り合わせた部分の周囲に発生する磁界(電磁波)を十分に防止することができる。従って、便座部400の着座面410Uから磁界がほとんど放出しなくなり、便座ヒータを備える場合であっても、人体に対する便座からの磁界の影響(電磁波の影響)を十分に低減することができるようになる。
(2−f)第5実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
第5実施形態の便座装置に搭載される便座部400は、図11(a)及び図11(b)に示した線状ヒータ480の代わりに、以下図13(a)、図13(b)及び図14を用いて説明する構造を有する線状ヒータ485を備えていること以外の構成は、先に図11(a)及び図11(b)を用いて説明した第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400と同一の構成を有している。そのため第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400と重複する構成の説明は省略する。
図13(a)は、第5実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図である。図13(b)は、図14(a)の、線状ヒータ485のA(リード線470に接続される端部分)、B(A部分と反対側の端部分)、C(A部分とB部分との中間にある部分)のそれぞれの箇所の模式図である。
線状ヒータ485は、2本のエナメル線463と断線検知線490から構成され、この3本は互いに縒り合わされた構造となっている。
また、図13(b)のB部分に示すように、2本のエナメル線463は、その終端において電気的に接続されており、また断線検知線490は、本体200内に設けた断線検知手段491と電気的に接続されている。
図14に示すように、エナメル線463は発熱線463aの外周部を覆うようにエナメル層463bを設けられ、2本のエナメル線463は互いに電気的に絶縁されている。また断線検知線490には、その外周部に絶縁層を持たない。
この構成においては、例えば、局所高熱等により2本のエナメル線463のいずれかのエナメル層463bが絶縁破壊された場合、または図14(c)に示すように、何らかの理由でエナメル線463が、X点で断線した場合に、発熱線463bの側面や端面が断線
検知線490と接触することで、エナメル線463に流れている電流が断線検知線490に流れ込む。
従って、断線検知線490に電流が流れているかどうかを検知することで、エナメル層463bの絶縁破壊あるいは発熱線463bの断線を検知することができる。それにより、安全に発熱線便座ヒータ450への通電を遮断することができる。
また、2本の発熱線463bに流れる電流の進行方向が逆方向になっているので、一方向に流れる電流により発生する磁界と他方向に流れる電流により発生する磁界とが打ち消し合う。それにより、漏洩磁界の発生およびノイズの発生を抑制することができる。
(2−g)第6実施形態の便座装置に搭載される便座部400の説明
第6実施形態の便座装置に搭載される便座部400は、図11(a)及び図11(b)に示した線状ヒータ480の代わりに、以下図15(a) 及び図15(b)を用いて説明する構造を有する線状ヒータ485を備えていること以外の構成は、先に図11(a)及び図11(b)を用いて説明した第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400と同一の構成を有している。そのため第4実施形態の便座装置に搭載される便座部400と重複する構成の説明は省略する。
図15(a)は、第6実施形態の便座装置に搭載される便座部400の便座ヒータ450の平面図である。
図15(b)は、図16(a)の、線状ヒータ485のA(リード線470に接続される端部分)、B(A部分と反対側の端部分)、C(A部分とB部分との中間にある部分)のそれぞれの箇所の模式図である。
図13(a)、図13(b)及び図14を用いて説明した第5実施形態の便座装置に搭載される便座部400における線状ヒータ485と同様に、図15(a) 及び図15(b)に示す線状ヒータ485は2本のエナメル線463と断線検知線490から構成され、この3本は互いに縒り合わされた構造となっている。
また、図15(b)のB部分に示すように、2本のエナメル線463は、その終端において電気的に接続されており、図15(b)のA部分およびB部分に示すように断線検知線490の両端は断線検知手段491と電気的に接続されている。
図13(a)、図13(b)及び図14を用いて説明した第5実施形態の場合と同様に、図15に示す線状ヒータ485は、エナメル線463と断線検知線490は、エナメル層463bにより電気的に絶縁されている。断線検知線490はその長手方向の引張り力に対して、エナメル線463よりも断線しやすい組成で構成される。
図15(c)のように、何らかの理由でエナメル線463が、長手方向に引張り力がかかりX点で断線した場合、断線検知線490も断線をおこす。
従って、線状ヒータ485の両端において、断線検知線490が断線していることを検知することで、エナメル線463の断線を検知することが出来る。
なお、便座部400の安全性確保のために、便座装置110には2つの安全回路が内蔵されている。1つの安全回路は、便座ヒータ450の一方のリード線470とプリント基板230内部の便座ヒータ絶縁破壊検知回路との間に接続され、他の1つの安全回路は、便座ヒータ450の両方のリード線470と便座ヒータ断線検出回路との間に接続されて
いる。いずれの安全回路も便座ヒータ402に異常が発生したときに使用者の感電を防止するために用いるものである。
便座ヒータ絶縁破壊検知回路は、便座ヒータ450が異常発熱した際の絶縁被覆層462溶融時に便座ヒータ450と金属層451の間に電流が流れることを検出するものである。また、便座ヒータ断線検出回路は、便座ヒータ450両端に発生する電圧波形が便座ヒータ450断線時には発生しなくなることを検出するものである。ヒータ駆動部402は、2つの安全回路の両方が正常状態を検出しているときにのみ便座ヒータ450に通電を行う。
(2−h)第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に共通する変形態様
以上、本発明の第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に搭載される便座部400について説明したが、本発明の便座装置は上述した第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に限定されるものではない。
例えば、発熱線の断面形状は、図7に示した発熱線463aのように断面円形状に限定されるものではない。例えば、発熱線の断面形状は、断面矩形状であってもよい。この発熱線の断面形状とする場合、発熱線は物理蒸着法、化学蒸着法などの公知の薄膜製造技術により形成される薄膜状のものであってもよい。
(2−i)第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に共通する便座ヒータ450の動作
次に、便座ヒータ450の動作について説明する。便座ヒータ450のヒータ始端部460aとヒータ終端部460bとの間に一定の電圧が印加されると、内部の発熱線463aを電流が流れ、この発熱線463aが発熱する。このとき、発生した熱は、発熱線463aからエナメル層463bおよび金属層451、453を通って上部便座ケーシング410の着座面410Uに伝導する。
線状ヒータ460は、絶縁被覆層462が260℃程度の耐熱性を有するPFAにより形成されるため、絶縁被覆層462の厚みが例えば0.1〜0.15mmと薄くても、発熱線463aの100〜150℃への急速昇温時にもエナメル層463bが破壊されることが防止される。したがって、線状ヒータ460から着座面410Uへの熱伝導を迅速に進行させることにより、着座面410Uを急速に昇温させることができる。
この場合、線状ヒータ460への通電開始から所定の最適温度に到達するのは5〜6秒と短時間であり、例えば、使用者がトイレットルームに入室して着座面410Uに着座するまでに要する7〜8秒より短時間である。したがって、使用者がトイレットルームに入室したことを入室検知センサ600により検知されると同時に線状ヒータ460に通電を開始しても、使用者が着座するまでには着座面410Uを十分に最適温度に到達させることができる。
さらに、図6に示した着座面410Uの内側の領域G3および外側の領域G1は、中央部の領域G2に比べて放熱性が高い。本実施形態では、内側の領域G3および外側の領域G1では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460が密に配列される。したがって、使用者が着座面410Uに着座した瞬間に温度むらおよび冷感を感じることがない。
一方、線状ヒータ460は、全長10m程度と長く、発熱線463aの急速昇温に伴って急速な膨張が発生し、結果として長さ方向に伸張する。また、通電が停止された場合は、発熱線463aの温度が低下し、収縮により元の長さに戻る。つまり、発熱線463aには熱膨張および熱収縮による熱応力歪が反復して形成される。
線状ヒータ460と金属層451,453との密着が弱く、または線状ヒータ460と着座面410Uとの間に隙間が形成された場合、熱応力歪全体がそれらのうちの最も動きやすい箇所に集中する。その結果、線状ヒータ460に比較的強い屈伸運動が発生し、その応力疲労の蓄積により発熱線463aの破断といった線状ヒータ460の破損が発生する。
本実施形態では、線状ヒータ460に熱応力緩衝部として複数の折曲部が形成されるので、これらの折曲部が全体の熱応力歪を細かく分散させるとともに、折曲部が熱応力歪を吸収する作用をも果たす。したがって、折曲部での熱応力は極めて小さく、結果として微小な屈伸の発生に留まる。その結果、発熱線463aの破断という事態には至らず、線状ヒータ460の長寿命化および耐久性が向上する。
なお、比較的放熱の多い着座面410Uの内側の領域G3および外側の領域G1では、中央部の領域G2に比べて線状ヒータ460の間隔を大きくし、折曲部の数を少なくてもよい。
上記のように、線状ヒータ460の全長はほぼ10mと長く、かつ線状ヒータ460には折曲部が形成される。そのため、着座面410Uへの線状ヒータ460の装着時に、これらの線状ヒータ460の配列を維持および固定化する必要がある。線状ヒータ460を金属層451,453で挟持した状態で線状ヒータ460を金属層451,453に密着させることによりユニット化された便座ヒータ450が構成される。したがって、線状ヒータ460の配列を強固に維持した状態で線状ヒータ460を着座面410Uに接着することができる。
また、金属層451,453により線状ヒータ460が挟持されるように構成されるので、金属層451,453により均等に熱分散が行われる。それにより、線状ヒータ460が高温化することを防止することができる。また、着座面410Uが均熱化されるとともに、便座ヒータ450の破損が防止される。
(2−j)第1実施形態〜第6実施形態の便座装置に共通する通電シーケンス
便座ヒータ450の駆動の制御は、便座ヒータ450を駆動する電力を大きく3つに変化させることにより行う。
例えば、便座部400を第1の温度勾配で昇温させる場合、図2のヒータ駆動部402は約1200Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(1200W駆動)。
前述のように、便座ヒータ450の抵抗値は0.833Ω/mであり、全長10mである。したがって、便座ヒータ450の抵抗値は8.33Ωとなる。この抵抗値を有する便座ヒータ450に交流100Vが印加されると、(100V×100V)÷8.33Ω=1200Wの電力が発生する。すなわち、便座ヒータ450に交流電源の全周期に渡って電流を流すことにより、1200Wの電力が発生する。
また、便座部400を第1の温度勾配よりもやや緩やかな第2の温度勾配で昇温させる場合、ヒータ駆動部402は約600Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(600W駆動)。さらに、便座部400の温度を一定に保つ場合、ヒータ駆動部402は約50Wの電力で便座ヒータ450を駆動する(低電力駆動)。なお、低電力駆動とは、1200W駆動および600W駆動に比べて十分に低い電力(例えば、0W〜50Wの範囲内の電力)により便座ヒータ450を駆動することをいう。
1200W駆動、600W駆動および低電力駆動の切替えは、制御部90の通電率切替
回路が、ヒータ駆動部402から便座ヒータ450への通電を制御することにより行われる。
ヒータ駆動部402には図示しない電源回路から交流電流が供給されている。そこで、ヒータ駆動部402は、通電率切替回路から与えられる通電制御信号に基づいて供給された交流電流を便座ヒータ450に流す。
図16は、便座ヒータ450の駆動例および便座部400の表面温度の変化を示す図である。
図16においては、便座部400の表面温度と時間との関係を示すグラフと、便座ヒータ450を駆動する際の通電率と時間との関係を示すグラフとが示されている。これら2つのグラフの横軸は共通の時間軸である。
本実施形態では、使用者が予め暖房機能をオンし、便座設定温度を高く(38℃)設定した場合を想定する。
冬季等室温が待機温度である18℃よりも低い場合、制御部90は、便座部400の温度を18℃となるように温度調整する。このように、制御部90は、入室検知センサ600により使用者の入室が検知されるまでの待機期間D1の間、便座部400の表面温度が18℃で一定となるように、便座ヒータ450の低電力駆動を行う。
制御部90は、時刻t1で入室検知センサ600により使用者の入室が検知された場合、突入電流低減期間D2の間、600W駆動を行う。なお、この600W駆動は、突入電流を十分に低減するために行う。この場合、便座部400の表面温度はやや緩やかな第2の温度勾配で上昇される。
その後、制御部90は、突入電流低減期間D2の経過後の時刻t2で、便座ヒータ450の1200W駆動を開始し、第1の昇温期間D3の間便座ヒータ450の1200W駆動を継続する。この場合、便座部400の表面温度は上述の第1の温度勾配で上昇される。
ここで、便座部400の表面温度は急激に上昇される。便座ヒータ450の1200W駆動は、便座部400の表面温度が所定温度(例えば30℃)に達するまで行われる。もちろん、この所定温度は暖房温度として設定された温度であってもよいが、この所定温度は暖房温度にまで十分に上昇した温度でなく、それよりも低くても、使用者が着座した際に冷たいという不快感情を生じない最低限界の温度(限界温度)であればよい。この限界温度は、発明者らの実施した被験者実験により約29℃であることがわかっている。
このように、第1の昇温期間D3においては、便座部400の表面温度が1200W駆動により迅速に所定温度まで上昇される。それにより、使用者は便座部400を冷たいと感じることなく便座部400に着座することができる。
また、上述のように、便座部400の表面温度を急激に上昇させると、その温度変化にオーバーシュートが生じる。しかしながら、本実施形態では、便座部400の表面温度が所定温度に達したときに便座ヒータ450の1200W駆動を600W駆動に切替える。したがって、便座部400の表面温度の変化がオーバーシュートした場合でも、その表面温度は便座設定温度を超えない。その結果、使用者が着座時に便座部400を熱いと感じることが防止される。
続いて、制御部90は、第1の昇温期間D3の経過後の時刻t3で、便座ヒータ450の600W駆動を開始し、第2の昇温期間D4の間便座ヒータ450の600W駆動を継続する。この場合、便座部400の表面温度は上述の第2の温度勾配で上昇される。
便座ヒータ450の600W駆動は、便座部400の表面温度が便座設定温度(38℃)に達するまで行われる。
第2の温度勾配は第1の温度勾配よりも緩やかである。これにより、便座部400の表面温度の変化に大きなオーバーシュートが生じることが防止される。
制御部90は、第2の昇温期間D4の経過後の時刻t4で、便座ヒータ450の低電力駆動を開始し、第1の維持期間D5の間便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。それにより、便座部400の表面温度が便座設定温度で一定となる。
制御部90は、時刻t5で着座センサ290により使用者の便座部400への着座が検知された場合、低電力駆動の通電率を低下させ、第1の着座期間D6の間便座部400の表面温度が便座設定温度を維持するように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。本実施形態では、第1の着座期間D6は約10分に設定される。
また、制御部90は、第1の着座期間D6の経過後の時刻t6で、低電力駆動の通電率をさらに低下させ、第2の着座期間D7の間便座部400の表面温度が便座設定温度よりもやや低い温度(36℃)に低下するように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。本実施形態では、第2の着座期間D7は約2分に設定される。
制御部90は、第2の着座期間D7の経過後の時刻t7で、低電力駆動の通電率をさらに低下させ、第2の維持期間D8の間便座部400の表面温度が便座設定温度よりもやや低い温度(36℃)で一定となるように便座ヒータ450の低電力駆動を継続する。以下の説明では、第2の維持期間D8において一定に維持される期間便座部400の表面温度、すなわち便座設定温度よりもやや低い温度を維持温度と称する。
このように、本実施形態では、使用者が便座部400に着座した後、制御部90が徐々に便座部400の表面温度を低下させる。それにより、使用者が低温やけどすることが防止される。
制御部90は、時刻t8で着座センサ290により使用者が便座部400から離れたことを検知すると、停止期間D9の間便座ヒータ450の駆動を停止する。それにより、便座部400の表面温度が低下する。
制御部90は、便座部400の表面温度が18℃に達した時刻t9で、再び便座ヒータ450の低電力駆動を開始し、便座部400の表面温度が18℃で一定となるように待機期間D10の間便座ヒータ450の低電力駆動を維持する。
このように温度勾配が徐々に緩やかになる場合、便座部400の温度変化により生じるオーバーシュートを十分に小さくすることができる。
本実施形態では、使用者の便座部400への着座後、便座ヒータ450の駆動に用いる電力を調整することにより便座部400の表面温度を徐々に低下させているが、便座ヒータ450の駆動は使用者の便座部400への着座時に停止してもよい。この場合においても、使用者が低温やけどすることが防止される。
上記のように、本実施形態では、時刻t8に使用者が便座部400から離れたことが検知されることにより便座ヒータ450の駆動が停止される旨を説明したが、便座ヒータ450の駆動の停止は、使用者が便座部400から離れたことが検知された時刻t8から一定時間(例えば1分間)経過後に行われてもよい。この場合、一度使用者が便座部400から離れた後に再度便意をもよおし、再度便座部400に着座する際にも、便座部400の表面温度が低下しない。これにより、使用者は快適に便座部400に着座することができる。
(2−k)便座装置110に関する効果
本実施形態の便座装置110においては、線状ヒータ460の発熱線463aで発生された熱がエナメル層463bおよび絶縁被覆層462を介して上部便座ケーシング410に伝達される。それにより、着座面410Uの温度が上昇する。
ここで、エナメル層463bは十分な電気絶縁性を有する。そのため、エナメル層463bの厚さを小さくしても、発熱線463aと上部便座ケーシング410とを十分に絶縁することができる。また、それにより、絶縁被覆層462の厚さも小さくすることができる。
したがって、この便座装置110においては、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを確実に絶縁しつつ、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の厚さを小さくすることができる。この場合、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の熱容量を小さくすることができるので、発熱線463aで発生された熱を効率よく着座面410Uに伝達することが可能となる。
また、この便座装置110においては、上部便座ケーシング410にアルミニウム板413が用いられている。したがって、発熱線463aで発生された熱をさらに効率よく着座面410Uに伝達することができる。
以上の結果、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを確実に絶縁しつつ、着座面410Uを迅速に昇温させることが可能となる。
また、発熱線463aの熱を効率よく着座面410Uに伝達することができるので、発熱線463aの発熱量を抑制することができる。それにより、エナメル層463bおよび絶縁被覆層462の耐久性が向上する。その結果、便座装置110の信頼性が向上する。
また、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とを絶縁するためのエナメル層463bおよび絶縁被覆層462の厚さを小さくすることができるので、便座装置110の軽量化が可能となる。
また、十分な耐熱性を有するエナメル層463bで発熱線463aを被覆しているので、絶縁被覆層462として耐熱性の低い材料を用いることができる。それにより、便座装置110の製品コストを確実に低減することができる。
また、エナメル層463bがポリエステルイミドまたはポリアミドイミドにより形成される場合、ポリエステルイミドおよびポリアミドイミドは電気絶縁性および耐熱性に優れているので、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とをより確実に絶縁しつつ、着座面410Uを迅速に昇温させることが可能となる。
さらに、エナメル層463bの厚さおよび絶縁被覆層462の厚さの合計が0.4mm以下である場合、発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413と
を確実に絶縁しつつ、着座面410Uをより迅速に昇温させることができる。
特に、エナメル層463bの厚さおよび絶縁被覆層462の厚さの合計が0.2mm以下である場合、着座面410Uをさらに迅速に昇温させることができる。
また、絶縁被覆層462がエナメル層463bより耐熱性の低い材料からなるので、便座装置110の製品コストを十分に低減できる。
また、線状ヒータ460が上部便座ケーシング410の裏面側に設けられる金属層451と金属層453との間に挟まれるように設けられるので、発熱線463aで発生された熱が金属層451、453に効率よく伝達される。また、金属層451の一面が上部便座ケーシング410の裏面に貼着されかつ金属層453の一面が金属層451の他面に貼着されている。それにより、発熱線463aから金属層451、453に伝達された熱を上部便座ケーシング410の裏面全体に効率よく伝達することができる。それにより、着座面410Uの全体を均一に昇温させることができる。
特に、金属層451、453がアルミニウムからなる場合、発熱線463aで発生された熱を上部便座ケーシング410により迅速に伝達することができる。
さらに、上部便座ケーシング410の裏面と金属層451との間に耐熱絶縁層455が設けられる場合、耐熱絶縁層455により発熱線463aと上部便座ケーシング410のアルミニウム板413とをより確実に絶縁することができる。
また、リード線470と線状ヒータ460との接続部が金属層451と金属層453との間に設けられるので、リード線470と線状ヒータ460との接続部における発熱が金属層451、453に伝達される。それにより、着座面410Uをより迅速に昇温させることができる。
また、線状ヒータを近接して配置し、2本の線状ヒータには逆方向の電流が流れるため、それぞれの線状ヒータから発生する磁界は互いに逆向きとなり両者が相殺しあうため、この便座ヒータの周囲にはほとんど磁界は発生しない。従って、着座面410Uから磁界がほとんど放出しなくなる。
また、線状ヒータに断線検知線490を一緒に縒り込むことにより、発熱線の断線または絶縁破壊を検知することが可能となり便座装置の安全性を向上することができる。
本発明の便座装置は、便座ヒータから放出される磁界を抑制することが可能となるので、他の暖房器具等に使用するヒータの用途にも適用できる。
本発明の好適な実施形態に係る便座装置(第1実施形態〜第6実施形態)、衛生洗浄装置、トイレ装置を示す外観斜視図 便座装置の構成を示す模式図 第1実施形態の便座装置に搭載される便座部の分解斜視図 (a)は第1実施形態の便座装置に搭載される便座部の便座ヒータの平面図、(b)は(a)のC72領域の拡大図 第1実施形態の便座装置に搭載される便座部の平面図 図5の便座部のC73−C73断面図 第1実施形態の便座装置に搭載される便座部に取り付けた便座ヒータの詳細な構造を示す断面図 (a)は第2実施形態の便座装置に搭載される便座部の便座ヒータの平面図、(b)は(a)のC77領域の拡大図 第2の例の便座部の平面図 (a)は第3実施形態の便座装置に搭載される便座部の便座ヒータの平面図、(b)は(a)の一部の拡大断面図 (a)は第4実施形態の便座装置に搭載される便座ヒータの平面図、(b)は(a)のA、B、C各部の構成を示す模式図 (a)は一般の便座ヒータにおける磁界の発生を示す模式図、(b)は第4実施形態の便座装置に搭載される便座ヒータの磁界の発生を示す模式図 (a)は第5実施形態の便座装置に搭載される便座ヒータの平面図、(b)は(a)のA、B、C各部の構成を示す模式図、(c)は断線状態を示す模式図 第5実施形態の便座装置に搭載される便座部の要部断面図 (a)は第6実施形態の便座装置に搭載される便座ヒータの平面図、(b)は(a)のA、B、C各部の構成を示す模式図、(c)は断線状態を示す模式図 便座ヒータの駆動例および便座部の表面温度の変化を示すタイムチャート
符号の説明
110 便座装置
400 便座部(便座)
410U 着座面
460、480、485 線状ヒータ
463a 発熱線
463b エナメル層
490 断線検知線
491 断線検知手段

Claims (4)

  1. 使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、
    前記便座の前記着座面の裏面上に前記便座に対して電気的に絶縁された状態で配置されており、電流により発熱するシート状の前記便座ヒータと、
    前記便座の暖房が必要なときに前記便座ヒータに電力を供給して発熱させるヒータ駆動部と、
    前記ヒータ駆動部を制御する制御部と、
    を少なくとも備えており、
    前記便座ヒータには、前記便座の前記裏面上に屈曲蛇行する状態で配設された線状ヒータが含まれており、
    前記線状ヒータは、2以上の屈曲部と、前記2以上の屈曲部に接続される略直線状又は略曲線状の形状を有する1以上の直線部とを有しており、
    前記2以上の屈曲部のそれぞれにおいて、前記ヒータ駆動部から電流が供給された場合に、1つの屈曲部の上流側に接続される前記直線部の電流の進行方向と下流側に接続される前記直線部の電流の進行方向とが互いに略逆向きとなり、上流側に接続される前記直線部に発生する磁界と下流側に接続される前記直線部に発生する磁界とが互いに略打ち消し合うように、前記2以上の屈曲部及び前記1以上の直線部の配置位置が調節されている、便座装置。
  2. 使用者が着座するための着座面を有しており、構成材料として金属を含む便座と、
    前記便座の前記着座面の裏面上に前記便座に対して電気的に絶縁された状態で配置されており、電流により発熱するシート状の前記便座ヒータと、
    前記便座の暖房が必要なときに前記便座ヒータに電力を供給して発熱させるヒータ駆動部と、
    前記ヒータ駆動部を制御する制御部と、
    を少なくとも備えており、
    前記便座ヒータには、前記便座の前記裏面上に屈曲蛇行する状態で配設された線状ヒータが含まれており、
    前記線状ヒータは、互いに電気的に絶縁された状態で縒り合わされた2本の発熱線を少なくとも有しており、
    前記2本の発熱線は、前記ヒータ駆動部から電流が供給された場合に、それぞれに流れる電流の進行方向が互いに略反対となるように、ヒータ駆動部に接続されている、
    便座装置。
  3. 前記2本の発熱線が接続されて1本とされている請求項2に記載の便座装置。
  4. 前記線状ヒータは、前記発熱線の外周面を覆うように配置されたエナメル層を更に有している、請求項2又は3に記載の便座装置。
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