JP2009109383A - 試験片 - Google Patents

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貴司 中川
Shinya Nakajima
真也 中嶋
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Abstract

【課題】イムノクロマトグラフィ法を用いた検査の精度を高めることが可能な試験片を提供すること。
【解決手段】検体を展開させるための多孔質キャリア7と、多孔質キャリア7に固定された試薬からなる試薬固定部8A,8B,8Cと、多孔質キャリア7を収容し、試薬固定部8A,8B,8Cを露出させる計測窓62を有するケース6と、を備える試験片B1であって、ケース6には、計測窓62に隣接し、多孔質キャリア7の厚さ方向において多孔質キャリア7の表面から遠ざかるほど計測窓62から離間する傾斜とされた傾斜面6bが形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イムノクロマトグラフィ法を用いて試薬呈色状態を読み取ることにより検査を行うイムノクロマトグラフィ装置に装填される試験片に関する。
近年、医院や診療所、あるいは在宅医療の現場において、臨床検査の専門家によらず検査を行うPOCT(Point of Care Testing)向けの検査装置として、イムノクロマトグラフィ装置が使用されている。図14は、従来のイムノクロマトグラフィ装置の一例を示している(たとえば、特許文献1)。同図に示されたイムノクロマトグラフィ装置Xには、試験片Yが装填される。試験片Yは、試薬が固定された複数の試薬固定部92を有する多孔質キャリア91を備えている。この試験片Yに検体である血液または尿などを点着させると、検体が多孔質キャリア91内に浸透する。検体が試薬固定部92に達すると、検体と試薬とが反応する。試薬固定部92は、検体に含まれる特定成分の濃度に応じて呈色反応を示す。試験片Yは、通常多孔質キャリア91を収容するケースを備えている。このケースは、多くの場合樹脂製であり、試薬固定部92を露出させる計測窓が形成されている。
イムノクロマトグラフィ装置Xには、発光手段93および受光手段94が備えられている。イムノクロマトグラフィ装置Xに試験片Yが装填されると、たとえば使用者の操作によって、コントローラ95に対して検査開始命令が送られる。コントローラ95は、発光手段93を発光させる発光処理と、試薬固定部92を含む多孔質キャリア91によって反射された光を受光手段94によって受光する受光処理とを行う。受光手段94からの信号がコントローラ95に転送されると、コントローラ95に多孔質キャリア91のうち試薬固定部92を含む部分の画像データが蓄積される。この画像データを画像解析することにより、試薬固定部92の呈色状態に応じてたとえば検体に含まれる特定成分の有無が分かる。この検査結果は、プリンタなどの出力手段96によって出力される。使用者は、出力結果から検体の特定成分の有無を手軽に認識できる。
患者から採取される血液、口内粘膜、尿などの検体は非常に少量であるため、試験片Yは小型とされる場合がほとんどである。このため、試薬固定部92は、数mm程度の長さとなる。この試薬固定部92に発光手段93から光を照射し、その反射光を受光手段94によって適切に受光する必要がある。この方策として、発光手段93および受光手段94の少なくともいずれかを、試験片Yに対して正対しない方向、たとえば斜め上方に配置することが行われている。小型とされた試験片Yの上記ケースに設けられた上記計測窓は、ごく小さな開口部分である。このため、上記発光手段93からの光や、受光手段94によって受光されるべき反射光が、上記ケースによって部分的に遮られてしまう場合があり、イムノクロマトグラフィ装置Xの検査精度を低下させる原因となっていた。
特開2006−250787号公報
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、イムノクロマトグラフィ法を用いた検査の精度を高めることが可能な試験片を提供することをその課題とする。
本発明の第1の側面によって提供される試験片は、検体を展開させるための多孔質キャリアと、上記多孔質キャリアに固定された試薬からなる1以上の試薬固定部と、上記多孔質キャリアを収容し、上記試薬固定部を露出させる計測窓を有するケースと、を備える試験片であって、上記ケースには、上記計測窓に隣接し、上記多孔質キャリアの厚さ方向において上記多孔質キャリアの表面から遠ざかるほど上記計測窓から離間する傾斜とされた傾斜面が形成されていることを特徴としている。
このような構成によれば、上記試薬固定部に対して斜め上方から照射された光を上記ケースが遮ってしまうことを抑制することが可能であり、イムノクロマトグラフィ法を用いた検査の精度を高めることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記傾斜面および上記傾斜面を延長した面は、いずれも上記試薬固定部とは交差しない。このような構成によれば、上記傾斜面が広がる方向に沿って進行してくる光を上記試薬固定部に適切に導くことができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記傾斜面は、上記多孔質キャリアの厚さ方向において上記多孔質キャリアの表面位置まで延びている。このような構成によれば、上記計測窓のサイズを小さくするのに適している。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質キャリアと上記計測窓との間にはすき間が設けられている。このような構成によれば、上記計測窓に対して斜め上方から進行してきた光を上記試薬固定部に適切に照射することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは、上記計測窓が形成された部分がこの部分を挟む部分よりも上記多孔質キャリア寄りに位置する形状とされている。このような構成によれば、上記多孔質キャリアが使用者の手や異物に誤って接触してしまうことを抑制することが可能である。
本発明の第2の側面によって提供される試験片は、検体を展開させるための多孔質キャリアと、上記多孔質キャリアに固定された試薬からなる1以上の試薬固定部と、上記多孔質キャリアを収容し、上記試薬固定部を露出させる計測窓を有するケースと、を備える試験片であって、上記ケースは、上記計測窓が形成された部分がこの部分を挟む部分よりも上記多孔質キャリア寄りに位置する形状とされていることを特徴としている。
このような構成によれば、上記多孔質キャリアと上記ケースのうち上記計測窓が開口する面との距離を比較的小さくすることが可能であり、斜め上方から進行してきた光を不当に遮ってしまうことを抑制できる。また、上記多孔質キャリアが使用者の手や異物に誤って接触してしまうことを抑制することが可能である。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質キャリアのうち上記試薬固定部が形成された面は、上記ケースのうち上記計測窓が形成された部分の表面と上記多孔質キャリアの厚さ方向において同じ位置とされている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記多孔質キャリアと上記計測窓との間にはすき間が設けられている。このような構成によれば、斜め上方から進行してきた光を上記ケースが不当に遮ってしまうことを抑制するのに好適である。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図5は、本発明に係る試験片の第1実施形態を示している。本実施形態の試験片B1は、ケース6、多孔質キャリア7、および試薬固定部8A,8B,8Cを備えており、後述するようにイムノクロマトグラフィ装置に装填されることにより、イムノクロマトグラフィ法による検査に供されるものである。試験片B1は、インフルエンザ検査などに用いられるものである。
ケース6は、たとえば白色の樹脂からなる細長状とされたカバー6Aおよびベース6Bによって構成されており、多孔質キャリア7を収容している。ケース6は、点着部61、計測窓62、検査項目コード63、および患者情報記入欄64を有しており、陥没部6aおよび傾斜面6bが形成されている。
点着部61は、検体を点着する部分であり、カバー6Aに形成された多孔質キャリア7の一端寄り部分を露出させる貫通孔とこの貫通孔を囲うクレータ状部とからなる。計測窓62は、カバー6Aの中央付近に設けられた細長状の貫通孔であり、多孔質キャリア7に形成された試薬固定部8A,8B,8Cを露出させている。検査項目コード63は、試験片B1によって検査可能な検査項目データを記録している部分であり、たとえば2次元コードとして印刷されている。患者情報記入欄64は、検査を受ける患者の情報、たとえば氏名などを手書きするための領域である。
陥没部6aは、計測窓62が形成された部分であり、図3に示すように、この陥没部6aをケース6の長手方向において挟む部分よりも、多孔質キャリア7寄りに位置している。本実施形態においては、検査項目コード63が、陥没部6aに付されており、ケース6の幅方向において計測窓62と隣接している。
傾斜面6bは、ケース6の幅方向において計測窓62に繋がるように形成されている。図4によく表れているように、傾斜面6bは、多孔質キャリア7の厚さ方向において多孔質キャリア7のうち試薬固定部8A,8B,8Cが形成された上面から遠ざかるほど、ケース6の幅方向において多孔質キャリア7から遠ざかる傾斜とされている。本実施形態においては、傾斜面6bは、ケース6の幅方向に対して45度程度傾斜している。また、多孔質キャリア7の厚さ方向において、傾斜面6bの下端位置と、多孔質キャリア7の上面位置とはほぼ一致している。さらに、ケース6の幅方向において、多孔質キャリア7と計測窓62との間にはすき間が設けられている。この結果、傾斜面6bを多孔質キャリア7側に延長した面は、試薬固定部8A,8B,8Cとは交差しない位置関係となっている。
多孔質キャリア7は、点着部61から点着された検体を試薬固定部8A,8B,8Cを超えるように展開させるための部材であり、たとえばニトロセルロースからなる帯状部材である。試薬固定部8A,8B,8Cは、多孔質キャリア7に試薬が固定された部分である。本実施形態においては、試薬固定部8A,8Bは、たとえばインフルエンザ検査において陽性か陰性かを判断するための試薬が多孔質キャリア7の幅方向に延びる線状に固定されたものであり、一般的にテストラインと呼ばれる。試薬固定部8Cは、検体がテストラインである試薬固定部8A,8Bを適切に通過したことを判断するためのものであり、一般的にコントロールラインと呼ばれる。試薬固定部8Cは、検体と反応することにより呈色する試薬が多孔質キャリア7の幅方向に延びる線状に固定されたものである。
図6および図7は、試験片B1が装填されるイムノクロマトグラフィ装置の一例を示している。これらの図に示されたイムノクロマトグラフィ装置Aは、ケース1、読取手段2、コントローラ3、およびプリンタ4を備えており、装填された試験片B1を読み取ることによりイムノクロマトグラフィ法を用いた検査を行うことが可能に構成されている。なお、図7においては、理解の便宜上ケース1を省略している。
図6に示すように、イムノクロマトグラフィ装置Aのケース1は、たとえば樹脂からなり、イムノクロマトグラフィ装置Aの他の構成要素である読取手段2、コントローラ3、およびプリンタ4を収容している。ケース1には、装填部11が形成されている。装填部11は、検体が点着された試験片B1を装填する部分である。本実施形態においては、装填部11は、CH1〜CH6に区切られており、6つの試験片B1を任意のタイミングと本数で装填可能とされている。装填部11の直上には、複数のLEDランプが設けられている。これらのLEDランプは、装填部11のうちそれぞれの直下の位置に試験片B1が装填されると、装填状態を示す色で点灯する。また、試験片B1の検査が完了したときには、検査完了を示す色で点灯する。図7に示すように、装填部11には6つのセンサ12が設けられている。これらのセンサ12は、CH1〜CH6のいずれに試験片B1が装填されているかを検出するために用いられる。
図7に示すように、読取手段2は、発光モジュール21A,21B,21Cと、受光センサモジュール22A,22Bとを備えている。発光モジュール21A,21Bおよび受光センサモジュール22Aは、試験片B1の計測窓62を通して試薬固定部8A,8B,8Cを読み取る機能と、検査項目コード63を読み取る機能とを果たす。発光モジュール21Cおよび受光センサモジュール22Bは、患者情報記入欄64を読み取る機能を果たす。読取手段2としては、発光モジュール21A,21B,21Cと、受光センサモジュール22A,22Bとが一体的に支持および駆動される構成のほかに、たとえば発光モジュール21A,21Bおよび受光センサモジュール22Aと、発光モジュール21Cおよび受光センサモジュール22Bとが別々に支持および駆動される構成であってもよい。
発光モジュール21A,21Bは、たとえばLEDが内蔵されたモジュールであり、互いに異なる波長の光を発する。発光モジュール21A,21Bから照射される光は、試験片B1の長手方向に延びる線状光とされている。受光センサモジュール22Aは、たとえば複数のフォトダイオードが配列された構成、あるいはエリアセンサといった光学センサを備える構成とされており、受光した光の輝度に応じた出力を生じる。受光センサモジュール22Aの受光範囲は、試験片B1の長手方向に延びた細い帯状とされている。図8に示すように、本実施形態においては、読取手段2がある試験片B1の直上に位置したときに、受光センサモジュール22Aが計測窓62に正対し、発光モジュール21A,21Bが受光センサモジュール22Aを挟んで計測窓62に対して45度程度の角度で光を照射する配置とされている。発光モジュール21A,21Bから互いに異なる波長の光を選択的に照射することにより、試薬固定部8A,8B,8Cを少なくとも2種類の色相の画像データとして読み取ることができる。
発光モジュール21Cは、たとえばLEDが内蔵されたモジュールであり、所定の波長の光を照射する。発光モジュール21Cから照射される光は、試験片B1の長手方向に延びる線状光とされている。受光センサモジュール22Bは、たとえば複数のフォトダイオードが配列された構成、あるいはエリアセンサといった光学センサを備える構成とされており、受光した光の輝度に応じた出力を生じる。受光センサモジュール22Bの受光範囲は、試験片B1の長手方向に延びた細い帯状とされている。本実施形態においては、読取手段2がある試験片B1の直上に位置したときに、受光センサモジュール22Bが患者情報記入欄64に正対し、発光モジュール21Cが患者情報記入欄64に対して45度程度の角度で光を照射する配置とされている。
読取手段2は、装填部11に装填された6つの試験片B1の直上を往復動自在とされている。具体的には、6つの試験片B1が配列された方向に延びるガイドバー(図示略)に対して摺動可能に支持されており、モータ、プーリ、ベルト(いずれも図示略)などの駆動手段によって駆動される。読取手段2が6つの試験片B1の直上を往復動すると、発光モジュール21A,21Bおよび受光センサモジュール22Aは、6つの試験片B1の試薬固定部8A,8B,8Cと検査項目コード63とを交互に読み取ることができる。また、これと同時に、発光モジュール21Cおよび受光センサモジュール22Bは、6つの試験片B1の患者情報記入欄64を順次読み取ることができる。装填部11に6つの試験片B1全てが装填されていない場合であっても、読取手段2は、装填されている試験片B1に対して読取処理を行うことができる。なお、計測窓62に対する検査項目コード63および患者情報記入欄64の配置は任意である。たとえば検査項目コード63と患者情報記入欄64との配置が入れ替わった試験片B1を用いる場合、受光センサモジュール22Aによって試薬固定部8A,8B,8Cおよび患者情報記入欄64を読取り、受光センサモジュール22Bによって検査項目コード63を読取ればよい。
コントローラ3は、たとえばCPU、ROM、RAM、およびインターフェースを備えている。上記CPUは、イムノクロマトグラフィ装置A全体を制御する。上記ROMは、上記CPUで行われる処理のための様々なプログラムやパラメータを格納している。上記RAMは、プログラムや計測結果などを一時的に格納する。上記インターフェースは、コントローラ3の入出力機能を果たす。
プリンタ4は、試験片B1を対象とした検査結果を出力するデバイスであり、たとえばサーマルプリントヘッドを内蔵している。イムノクロマドグラフィ装置Aにおいて試験片B1の検査が終了すると、図10に示すように、検査項目に応じた検査結果が印刷される。
次に、イムノクロマトグラフィ装置Aを用いた検査について、以下に説明する。
図9は、イムノクロマトグラフィ装置Aを用いた検査の一実施例を示している。本図は、横軸が時間を表し、反応進行曲線CvがCH1〜CH6に装填された試験片B1ごとの反応の進行度合いを示している。点線で描かれた基準レベルLvは、検査可能となる反応の進行度合いを示している。また、本図における一点鎖線は、CH1〜CH6を往復動する読取手段2の軌跡を示している。本実施例では、6人の患者に対してインフルエンザ検査を行った。これらの患者から採取した検体を試験片B1に点着し、この試験片B1を装填部11に装填する作業を順に行った。6つの試験片B1には、各患者の氏名が患者情報記入欄64に記入されている。
まず、最初に検体を点着した試験片B1を装填部11のCH1に装填した。この装填を検出したセンサ12からコントローラ3に装填信号が送られる。また、読取手段2は、CH1の試験片B1の直上を初めて通過するときの読取処理Pfにおいて検査項目コード63を読み取る。コントローラ3は、検査項目コード63に記載された検査項目に応じた反応完了時間Tr1をCH1に対して設定する。センサ12の検出によって定められるCH1の装填時刻から反応完了時間Tr1が経過するまでの間、読取手段2がCH1を横断するたびに複数の読取処理Ptが行われる。この読取処理Ptにおいては、試薬固定部8A,8B,8Cの読み取りが繰り返される。本実施例においては、反応完了時間Tr1内に読み取られた結果は、検査には用いられない。そして、反応完了時間Tr1が経過した後に、最初に行われる読取処理Pによって得られる試薬固定部8A,8B,8Cの読取結果がインフルエンザ検査に用いられる。試験片B1がCH1に装填されてから反応完了時間Tr1が経過しているため、読取処理Pの時点においては、反応進行曲線Cvが基準レベルLvを上回っている。
以上に述べたCH1における検査処理と並行して、CH2〜CH6に対する検査処理が行われる。本実施例においては、CH1〜CH6に装填された試験片B1の検査項目は同一であり、反応完了時間Tr1〜Tr6が同じである。このため、CH1〜CH6に対して装填した順に検査に用いられる読取処理がなされる。この6人の患者から採取した検体に対する検査の結果は、プリンタ4によって図10に示すように順次印刷される。印字される内容には、日時、識別番号、装填位置(CH1〜CH6のいずれか)、検査項目、検査結果、さらに患者情報記入欄64に記載された氏名が含まれている。この印刷された氏名は、読取手段2の受光センサモジュール22Bによって読み取られた患者情報記入欄64の画像データをそのまま印刷したものである。なお、コントローラ3においては、明瞭に印刷することを目的として、患者情報記入欄64の画像データに対して二値化処理などの画像処理が適宜行われる。
次に、試験片B1の作用について説明する。
本実施形態によれば、図8に示すように、発光モジュール21A,21Bからの光をケース6によって遮ってしまうことを防止することが可能である。したがって、イムノクロマトグラフィ法を用いた検査の精度を向上させることができる。傾斜面6bの傾斜角が発光モジュール21A,21Bからの照射角とほぼ同じとされていることは、不当な遮光を回避するのに好ましい。また、傾斜面6bの下端が多孔質キャリア7の上面位置にあることにより、多孔質キャリア7のうち計測窓62から露出する部分を拡大するとともに、計測窓62およびこれを囲う傾斜面6bを小型とすることができる。計測窓62と多孔質キャリア7との間に隙間を設けることは、遮光を回避するのに有利である。
本実施形態においては、傾斜面6bの傾斜角、傾斜面6bの下端位置、および計測窓62と多孔質キャリア7との間の隙間、について上述した構成とすることにより、傾斜面6bを多孔質キャリア7側に延長した面が、試薬固定部8A,8B,8Cとは交差しない位置関係となっている。これにより、傾斜部6bに平行に照射される光を、適切に試薬固定部8A,8B,8Cへと導くことができる。
図3に示すように、陥没部6aは、ケース6のうち試験片B1の長手方向において陥没部6aを挟む部分よりも厚さ方向に凹んでいる。これにより、計測窓62は、使用者の指や、検査に使うテーブルなどに対して触れられにくい部分となっている。このため、不当な遮光を防止する目的によって計測窓62から多孔質キャリア7がより大きく露出する構成であるにも関わらず、多孔質キャリア7が誤って指や異物などに接触してしまうことを回避することができる。
図11〜図13は、本発明に係る試験片の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
図11は、本発明に係る試験片の第2実施形態を示している。本実施形態の試験片B2は、傾斜面6bの下端位置が上述した実施形態と異なっている。本実施形態においては、傾斜面6bは、下端位置が多孔質キャリア7の上面位置よりも上方に位置している。しかし、傾斜部6bを設ける位置および範囲を適切に設定し、計測窓62と多孔質キャリア7との間に隙間を設けることにより、傾斜面6bを多孔質キャリア7側に延長した面(図中の二点鎖線)は、多孔質キャリア7の試薬固定部8A,8B,8Cとは交差しない。このような実施形態によっても、発光モジュール21A,21Bからの光を遮ってしまうことを防止可能であり、検査精度を高めることができる。
図12および図13は、本発明に係る試験片の第3および第4実施形態を示している。これらの実施形態の試験片B3,B4は、傾斜面6bが設けられていない点が、上述したいずれの実施形態とも異なっている。
図12に示すように、試験片B3は、カバー6Aの厚さ方向全体にわたる切り立った面によって計測窓62が構成されている。多孔質キャリア7は、上面位置がカバー6Aの陥没部6aの上面位置と一致している。このような構成によっても、発光モジュール21A,21Bからの光を遮ってしまうことを防止可能であり、検査精度を高めることができる。また、陥没部6aに計測窓62を設けることにより、多孔質キャリア7が手や異物に誤って接触してしまうことを抑制できる。
図13に示すように、試験片B4は、陥没部6aの上面よりも多孔質キャリア7の上面が奥まった構成とされている。本実施形態においては、計測窓62と多孔質キャリア7との隙間が比較的大きく設定されている。これにより、発光モジュール21A,21Bの光を遮ってしまうことを抑制できる。また、多孔質キャリア7がカバー6Aから相当に奥まった構成となっている。これにより、多孔質キャリア7が手や異物に誤って接触してしまうことを好適に抑制できる。
本発明に係る試験片は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る試験片の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明に係る試験片としては、上述した陥没部6aを有する構成が不当な接触を防止する観点から好ましいが、これに限定されず、長さ方向において断面形状が略一定とされた
くびれのないケースに傾斜面6bが形成された構成であってもよい。本発明に係る試験片は、インフルエンザ検査に限定されず、イムノクロマトグラフィ法を用いた様々な検査に用いることができる。
本発明に試験片の第1実施形態を示す全体斜視図である。 図1に示す試験片を示す平面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 図2のIV−IV線に沿う断面図である。 図2のV−V線に沿う断面図である。 図1に示す試験片が装填されるイムノクロマトグラフィ装置の一例を示す全体斜視図である。 図6に示すイムノクロマトグラフィ装置を示すシステム構成図である。 図6に示すイムノクロマトグラフィ装置による読取処理を示す断面図である。 図6に示すイムノクロマトグラフィ装置による検査の一実施例を示すチャートである。 図6に示すイムノクロマトグラフィ装置による検査の結果を示すシートの平面図である。 本発明に試験片の第2実施形態を示す断面図である。 本発明に試験片の第3実施形態を示す断面図である。 本発明に試験片の第4実施形態を示す断面図である。 従来のイムノクロマトグラフィ装置および試験片の一例を示すシステム構成図である。
符号の説明
A イムノクロマトグラフィ装置
B1、B2,B3,B4 試験片
Cv 反応進行曲線
Lv 基準レベル
P,Pf,Pt 読取処理
Tr1〜Tr6 反応完了時間
1 ケース
2 読取手段
3 コントローラ(制御手段)
4 プリンタ
6 ケース
6A,6B
6a 陥没部
6b 傾斜面
7 多孔質キャリア
8A,8B,8C 試薬固定部
11 装填部
12 センサ
21A,21B,21C 発光モジュール
22A,22B 受光センサモジュール
61 点着部
62 計測窓
63 検査項目コード
64 患者情報記入欄

Claims (8)

  1. 検体を展開させるための多孔質キャリアと、
    上記多孔質キャリアに固定された試薬からなる1以上の試薬固定部と、
    上記多孔質キャリアを収容し、上記試薬固定部を露出させる計測窓を有するケースと、
    を備える試験片であって、
    上記ケースには、上記計測窓に隣接し、上記多孔質キャリアの厚さ方向において上記多孔質キャリアの表面から遠ざかるほど上記計測窓から離間する傾斜とされた傾斜面が形成されていることを特徴とする、試験片。
  2. 上記傾斜面および上記傾斜面を延長した面は、いずれも上記試薬固定部とは交差しない、請求項1に記載の試験片。
  3. 上記傾斜面は、上記多孔質キャリアの厚さ方向において上記多孔質キャリアの表面位置まで延びている、請求項1または2に記載の試験片。
  4. 上記多孔質キャリアと上記計測窓との間にはすき間が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載の試験片。
  5. 上記ケースは、上記計測窓が形成された部分がこの部分を挟む部分よりも上記多孔質キャリア寄りに位置する形状とされている、請求項1ないし4のいずれかに記載の試験片。
  6. 検体を展開させるための多孔質キャリアと、
    上記多孔質キャリアに固定された試薬からなる1以上の試薬固定部と、
    上記多孔質キャリアを収容し、上記試薬固定部を露出させる計測窓を有するケースと、
    を備える試験片であって、
    上記ケースは、上記計測窓が形成された部分がこの部分を挟む部分よりも上記多孔質キャリア寄りに位置する形状とされていることを特徴とする、試験片。
  7. 上記多孔質キャリアのうち上記試薬固定部が形成された面は、上記ケースのうち上記計測窓が形成された部分の表面と上記多孔質キャリアの厚さ方向において同じ位置とされている、請求項6に記載の試験片。
  8. 上記多孔質キャリアと上記計測窓との間にはすき間が設けられている、請求項6または7に記載の試験片。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012137355A (ja) * 2010-12-27 2012-07-19 Konica Minolta Advanced Layers Inc クロマトグラフィー分析装置

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