TV受像機を始めとして、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイやLCD(Liquid Crystal Display)などの画像表示装置は既に広範に普及している。最近では、ホーム・シアタ用モニタや大画面テレビなど、大画面に対する要求が高まっている。
大画面を形成する代表的な手段として、プロジェクタからの照射光をスクリーン上に結像させて画像を映し出す投射型の画像表示装置が広く知られている。また、投射型画像表示装置は、プロジェクタからの照射光を観察者と対峙するスクリーン正面に投射する正面投射型と、透過型スクリーン上にプロジェクタで投射してその結像を背面から観察する背面投射型の2通りの大別することができる。
背面投射型画像表示装置は、小型高輝度の画像を観察者が眺める透過型スクリーンの背面側に拡大投影するのが基本構造である。画像源として、CRT(Cathode Ray Tube)プロジェクタを用いることができるが、近年では液晶プロジェクタなど空間変調素子を用いるものも開発されている。また、3原色の単色プロジェクタの各映像を透過型スクリーンの背面に重ね合わせてカラー画像を形成することができる。
背面投影型の画像表示装置においては、正面からの輝度を高くして観察者の目を引き付けるようにするために、正面ゲインを高くしてスクリーンに投影するのが主な設計指針の1つとなっている。また、スクリーン上の投影像において光源が顕在化する「ホットスポット」現象を抑制するために、透過型スクリーンを拡散板で構成することが一般的であり、結像した光をさまざまな方向に拡散させるように配光を施して、良好な画像を形成して観測者に供給するようなっている。
例えば、水平方向を長手方向とするレンチキュラ・レンズを光入射面に形成し、水平方向を長手方向とするブラック・ストライプをレンチキュラ・レンズの焦点付近に位置する光非透過部位を設けるとともに、垂直方向を長手方向とするレンチキュラ・レンズを光出射面に形成し、モアレ障害を発生するおそれのない微細なレンチキュラ・レンズ・ピッチを実現し、外光の反射を低減した背面投写型スクリーンについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
また、PMMAをベースとした拡散層の両面に吸湿性の低いポリカーボネートあるいはMS樹脂からなる光透過層を設け、吸湿による反りが生じにくく、拡散特性のよい光拡散シート及び背面投射型スクリーンについて提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
また、拡散シートの入射面と出射面の間に、放物柱面形状からなる複数の反射鏡を並列して形成し、画像の鮮明化に寄与する背面投写スクリーン用拡散構造板について提案がなされている(例えば、特許文献3を参照のこと)。
また、入射光を集光する複数のマイクロレンズと、マイクロレンズの出射側にその透過光の光路上に開口部を有するブラック・マトリックスと、開口部に対する部位に凹部を有するマイクロレンズの透過光を拡散させる拡散部を備え、視野角特性や光利用効率のよい、背面透過型画像表示装置に利用可能な透過型スクリーンについて提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。
また最近では、さらに投影領域を拡大するとともに解像度を増加させる試みの1つとして、プロジェクタをアレイ状に配置するなどして、複数の画像の一部を互いに重畳させてスクリーンに投影して大画像を表示するマルチプロジェクション・システム(図16を参照のこと)が知られている。
例えば、各画像投射ユニットからの投影画像の光軸が上記投影スクリーンとほぼ平行になるように設定するとともに、投影スクリーンに近接した反射ミラーで反射させて投影スクリーンに画像を映し出すことで薄形に構成した液晶ディスプレイマルチ投影装置について提案がなされている(例えば、特許文献5を参照のこと)。
また、各画像に対応する各画像信号のうちの、隣接する画像との重畳部分の明るさを電気的に微調整して、複数の画像信号に対応する画像を投影するとともに、隣接する画像との前記重畳部分の明るさを所定の滑らかな分布で光学的に減衰させて前記重畳部分の明るさを平滑することによって、隣接する画像の重複部分を目立たないようにするマルチプロジェクションタイプのディスプレイ装置について提案がなされている(例えば、特許文献6を参照のこと)。
また、スクリーンの上面領域に対して鋭角に映像信号を投影する上部プロジェクタをスクリーンの前方上部に設置し、スクリーンの下面領域に対して鋭角に映像信号を投影する下部プロジェクタをスクリーンの前方下部に設置するようにして、スクリーン上の映像を鑑賞する際にスクリーンとプロジェクタの間に人間が入り込んで邪魔にならないようにした大画面表示装置について提案がなされている(例えば、特許文献7を参照のこと)。
正面投射型の場合、大画面化すると観察者の影がスクリーン上に落ち易くなるという問題がある。このような観点から、プロジェクタをアレイ状に配置してマルチプロジェクション化するなど、大領域化する場合には、背面投射型が好都合である、と本発明者らは思料する。
ところで、LCD(Liquid Crystal Display)やCRTなどのプロジェクタからの投射光は、基本的には中心部から周辺部に向かって発散的で、部分的には極めて指向性の高い光が透過型スクリーンに入射する。上述したように、拡散板を用いて適切な配光を行なうことで、観察が可能な画像をスクリーン上で得ることはできる。しかしながら、投射光が発散的に入射し、周辺部は外向きの指向性を有しているため、スクリーン正面から観察した場合には中心輝度に比べ周辺輝度が暗くなるという問題がある。例えば、斜めから観察した場合には、近い方の端部は明るく遠い方の端部は暗くなるといった、画面の明るさに不均一を生じる。
投射光の経路に拡散板を介在させる、あるいは投影スクリーン自体を拡散板で構成して、結像した光線をさまざまな方向に拡散させて輝度の均一化を図るようにしても、プロジェクタの正面において最大のゲインを持ち、この最大ゲインを得られる光線方向に対し角度がつくにつれてゲインが小さくなるという現象を避けることは困難である。スクリーン・ゲイン変化の一般的な指標として、最大ゲインの半分となる角度すなわち「半値角」が用いられる。半値角が大きいほど、視野角が広く、良好な大画面を得ることができる。
正面投射型の画像表示装置の場合、この半値角は80degにも及び、広い範囲の拡散を得ることができる。これに対し、背面投射型画像表示装置の場合には、正面からの輝度を高くするという設計指針(前述)のため、その半値角は高拡散のスクリーンを用いた場合でも最大で45deg程度に過ぎない。あるいは、背面投影では、単純拡散する拡散板を用いた場合であっても完全拡散は難しく、正面ゲイン高となってしまう。
半値角が小さいということは、像を正面以外から見たとき(すなわち、スクリーンと垂直をなす軸と視線のなす角が大きいとき)の輝度の減衰の程度が激しくなることを意味し、スクリーンに映る画像の場所に応じて、色味が変化したり、ムラが生じたり、あるいは輝度のムラが激しくなることがある。このため、プロジェクタをアレイ状に並べたマルチプロジェクション・システムを構築する上でも、半値角が小さくなる背面投影型プロジェクタを利用すると、スクリーン上の各々の射出光の正面ゲインが周辺ゲインよりも高いために画質劣化の要因になり得る。
背面投影型の画像表示装置における半値角の問題を解決する手段として、フレネル・レンズを用いることが当業界で知られている。
例えば、表示光の投射側から、フレネル・レンズ・シート、凸シリンドリカル・レンズが第1の方向に並設されてなる第1レンチキュラ・シート,凸シリンドリカル・レンズが前記第1の方向と直交する第2の方向に並設されてなる第2レンチキュラ・シートが、この順に配置された構成のプロジェクション・スクリーンについて提案がなされており(例えば、特許文献8を参照のこと)、左右(水平)・上下(垂直)の2方向に視域を拡げるとともに、表示映像光の出射範囲やコントラストを厳密に制御することができる。
しかしながら、フレネル・レンズ越しにスクリーンに投影すると、各プロジェクタの投影面が重なり合う「ブレンディング領域」(図16を参照のこと)での明るさをその他の領域と均一化することはできるものの、フレネル・レンズには対応入射角度に限界があるため、射出光の方向性をなくすことはできない。また、対応入射角度の限界のため、フレネル・レンズに対するプロジェクタの設置位置が著しく制約される。さらに、フレネル・レンズを用いると大型のスクリーンを形成することが困難となり制作費が高額になってしまうという問題もある。
また、背面投射型画像表示装置の他の問題点として、透過型スクリーンを介してプロジェクタからの照射光が観察者に向かうため、その直接光が透過して観察されてしまうという問題が挙げられる。
特開平11−344769号公報
特開2002−207253号公報
特開2005−24828号公報
特開2005−128352号公報
特開平9−265132号公報
特開2001−34304号公報
特開2004−247868号公報
特開2004−215715号公報
本発明の目的は、プロジェクタからの高輝度投射光を、その結像面に設置された透過型スクリーンで拡散して、輝度斑を緩和した観察可能な画像を好適に形成することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、背面透過の際のゲインの半値角が大きく、より広い範囲で拡散を得て、透過型スクリーンに映る画像の場所に応じた輝度の斑や、像を正面以外から見たときの輝度の減衰を抑制することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、より大きな半値角を持つとともに、プロジェクタからの直接光を観察者から好適に遮蔽することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、マルチプロジェクションにより投影領域を拡大する際に、視野角による色味の変化や輝度のムラを軽減し、スクリーン全体にわたって均一な映像を提示することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、マルチプロジェクションにより投影領域を拡大する際に、正面からの輝度を高くするという背面投影の設計指針に従いながら、視野角による色味の変化や輝度ムラを抑制して、スクリーン全体にわたって均一な映像を提示することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、その第1の側面は、比較的高輝度の画像を投射するプロジェクタと、前記プロジェクタによる投射光の結像面に設置された、生地製の透過型スクリーンと、前記透過型スクリーンで拡散せずに透過する前記プロジェクタからの直接光を遮断する直接光遮断手段とを具備することを特徴とする背面投射型画像表示装置である。
大画面を形成する代表的な手段として、プロジェクタからの照射光をスクリーン上に結像させて画像を映し出す投射型の画像表示装置が広く知られている。この種の画像表示装置は、正面投射型と背面投射型に大別されるが、後者によれば、プロジェクタをアレイ状に配置するなどして、投影領域を拡大したり、投影画像の解像度を高くしたりすることが可能である。
ところが、背面投射型画像表示装置は、正面投射型に比べ、拡散の半値角が小さいことから、スクリーンに映る画像の場所に応じた輝度の斑や正面以外から見たときの輝度の減衰の問題がある。
そこで、本発明に係る背面投射型画像表示装置では、プロジェクタの投射光の結像面に設置され、光を拡散する透過型スクリーンとして、木綿や絹、人工繊維(テトロン=テトロンポンジ)といった生地を用いることにより、拡散の半値角の向上を図った。生地をスクリーンとして、プロジェクタからの映像を背面投影することにより、精細な画像の投影が可能となる。
また、プロジェクタからの投射光を背面投影する際に、スクリーンによって十分に拡散されることなく、直接観察者に到達する直接光が観察されるという問題がある。とりわけ、生地製のスクリーンを用いた場合には、直接光が回折を伴い、生地の縫い目の方向に直接光が広がってしまい、深刻である。
そこで、本発明に係る背面投射型画像表示装置は、前記透過型スクリーンを通過する前記プロジェクタからの直接光を遮断する直接光遮断手段を配設して、直接光が観察者に観察されないようにした。
この直接光遮断手段は、具体的には、前記プロジェクタの射出瞳の前に配設された第1の偏光板と、前記透過型スクリーンの背面(すなわち観察者側の面)近傍に配設された第2の偏光板で構成され、第1の偏光板が持つ第1の偏光軸と第2の偏光板が持つ第2の本光軸はほぼ直交する第2の偏光軸を持つように構成されている。このように一組の偏光板の偏光軸が直交しているので、透過型スクリーンで拡散された散乱光のみが第2の偏光板を通過して、スクリーンの背面側すなわち観察者から観察することができ、プロジェクタからの直接光は第2の偏光板で除去される。
また、第1の偏光板をプロジェクタの射出瞳の前方近傍に配置することにより、第1の偏光板のサイズを小さくすることができる。但し、この場合、光源から発熱の影響を受けるため、耐熱性のある偏光板を使用する必要がある。例えば、ヨウ素を吸収した薄板を一方向に伸張して分子をほぼ平行に整列させた後、ガラス板で挟んだガラス偏光フィルタや、石英を利用したフィルタなど、耐熱性の高い偏光板を使用することができる。
高輝度の画像を生成するプロジェクタとして、3LCDプロジェクタ、反射型液晶(LCOS)プロジェクタや、DLPプロジェクタ、CRTプロジェクタGLVプロジェクタなどを挙げることができる。
このうち、3LCDプロジェクタは、単一の高輝度光源からの照射光をまずダイクロイック・ミラーなどの特定波長のみを透過する鏡を用いてRGBの3原色の成分毎に分離し、各色専用のLCDが制御した光をプリズムで再び合成した後、投影するという構造になっている。また、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)では、光をRGBに分解し投影する回転プリズム機構の光順次駆動を行なう。反射光は偏光であることから、これらの方式では、ミラーを用いて色成分に分解する都度透過光が偏光し、例えば、RとBの偏光軸が揃うとともに、Gの偏光軸がこれに直交するといった特定の偏光状態を持つことになる。このような場合、いずれかの光成分の偏光軸が第1又は第2の偏光軸のいずれかに平行となるように配置すると、その光成分が第2の偏光板を全く透過しなくなる。そこで、第1及び第2の偏光軸は該投射光のいずれの成分の偏光軸とも非平行となるように構成する必要がある。
具体的には、R及びBを担当するLCDの偏光軸とGを担当するLCDの偏光軸とが90degをなすようなプロジェクタを利用する場合には、第2の偏光板の偏光軸は両者の偏光軸とほぼ45degをなすように配置することで、R、B、並びにGの各成分を等しく減衰させることができる。
また、本発明の第2の側面は、比較的高輝度の画像を投射する1以上のプロジェクタと、前記の各プロジェクタからの入射光を、射出光のそれぞれの射出角に対するゲインを正面ゲインで正規化したゲイン特性が入射角に依存しないように拡散する背面投影用スクリーンとを具備することを特徴とする背面投射型画像表示装置である。
ここで言う背面投影用スクリーンは、視聴側に配置されたマット系スクリーンと、プロジェクタ側に配置された繊維生地からなるスクリーンという、2種類の異なる素材のスクリーンを平行に配置して構成することができる。ここで言うマット系スクリーンは、例えば塩化ビニル樹脂に拡散粒子を練り込んで成型加工したものであり、また繊維生地にはテトロンポンジなどを利用することができる。
このような背面投影用スクリーンは、対応入射角度に関する制約条件がなく、どの場所に配置したプロジェクタからの入射光も一様に正面ゲイン高となる射出光として出力する。したがって、マルチプロジェクションを適用した場合には、個々のプロジェクタの配置を特に制限しなくとも、いずれの入射光もスクリーンを透過すると正面ゲイン高となることが予測される。プロジェクタの設置場所はそれぞれが固定の一カ所に拘束されるのではなく、任意の場所に配置することができる。そして、視聴側のスクリーン表面では各射出光が重畳され、スクリーン全体としては輝度ゲインの変化が小さい、すなわち半値角が大きくなり広視野角化を実現することができる。
プロジェクタからの照射光を上記の2層構造の背面投影用スクリーンに投影する際に、プロジェクタからの入射光の光軸中心がスクリーン面と垂直な軸に一致せず、さまざまな入射角となるように複数台のプロジェクタを設置した場合であっても、視聴位置で色味や、輝度の変化を小さくできる。
このような2層構造の背面投影型スクリーンを用いてマルチプロジェクション・システムを構成した場合、複数のプロジェクタで異なる色を重畳して表示する場合も、各プロジェクタからの照射光を観測位置に依らず等しく受光するので、任意の観察位置において同一の色に見せることができる。一方、単純拡散型など従来のスクリーンでは、ブレンディング領域では視聴角度に応じてそれぞれのプロジェクタから到来する光の強度が変化してしまうため、色味や輝度の変化として観察される。
本発明によれば、背面透過の際のゲインの半値角が大きく、より広い範囲で拡散を得て、透過型スクリーンに映る画像の場所に応じた輝度のムラや、像を正面以外から見たときの輝度の減衰を抑制することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することができる。
また、本発明によれば、より大きな半値角を持つとともに、プロジェクタからの直接光を観察者から好適に遮蔽することができる、優れた背面投射型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することができる。
また、本発明によれば、背面投影用スクリーンとして半値角が大きく、高拡散で広視野性のあるスクリーンを用いることによって、マルチプロジェクションを適用した際の色味の変化や輝度ムラを抑制しながら投影領域を拡大することができる、優れた背面投影型画像表示装置背面投射型画像表示装置、スクリーン、並びに投射装置を提供することができる。
本発明に係る背面型画像表示装置によれば、プロジェクタの設置位置に依存することなく各プロジェクタからの入射光を正面ゲインが高くなるゲイン・パターンとなるようにスクリーンにおいて拡散を行なうことによって、大画面化を実現することができ、視聴位置に依らず一様な映像を提示することが可能である。
従来の背面投影型画像表示装置では、プロジェクタからの入射光の光軸が投影スクリーン面に垂直となるように配置することが好ましかった。これに対し、本発明に係る背面投影型画像表示装置では、スクリーンにおいていずれの入射角からの入射光も正面ゲインが高くなるように拡散することで投影画像の色味の変化や輝度ムラの発生を抑制することができるので、プロジェクタの配置に関する制約条件が軽減される。例えば、プロジェクタからの入射光の入射角がスクリーン面と平行に近くなるように配置することもできる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成を模式的に示している。図示の画像表示装置は、プロジェクタからの照射光をスクリーン上に結像させて画像を映し出す背面投影型の画像表示装置であり、より具体的には、プロジェクタから射出される小型高輝度の画像を観察者が眺める透過型スクリーンの背面側に拡大投影する背面投射型画像表示装置であり、プロジェクタをアレイ状に配置するなどして大領域化することが可能である。
この背面投射型画像表示装置10は、比較的高輝度の画像を投射するプロジェクタ11と、プロジェクタ11による投射光の結像面に設置された透過型スクリーン12と、プロジェクタからの直接光を遮断するために設けられた、第1の偏光板13及び第2の偏光板14からなる直接光遮断部を備えている。
透過型スクリーン12は、プロジェクタ11からの投射光から輝度斑などのない良好な画像を得られるように、適切な配光を施す拡散板で構成されるのが一般的である。本実施形態では、透過型スクリーン12として、木綿や絹、人工繊維(テトロン=テトロンポンジ)といった生地を用いる。これによって、拡散の半値角を大きくすることができる。
例えば、テトロンポンジは、ショップのぼりなどに利用される人工繊維の素材であり、非常に廉価に入手することができる生地である。図2には、この生地を透過型スクリーン12として用い、プロジェクタ11からの(犬を撮った)映像を背面投影した様子を示している。この場合、精細な像を投影することができるものの、直接光(拡散されることなく、直接観察者に到達する光)が犬の鼻の下の辺りに観察される。この直接光は回折を伴っており、生地の縫い目の方向に直接光が広がっているのを確認することができる。
また、図3〜図4には、透過型スクリーン12を正面以外の角度から撮影した様子を示している。図3では30deg程度の角度をつけ、図4では60deg程度の角度をつけている。結像面すなわち透過型スクリーン12に対して60deg以上の角度をつけても、ゲインの低下が抑制されている。また、画像全体の輝度斑が比較的小さいことが確認できる。正面からの角度が一定値を超えると、直接光は幾何学的に観察者に届くことはない。このように、布や絹、テトロンポンジなどからなる透過型スクリーン12は、直接光以外にとっては、半値角の比較的大きな拡散素材であると言える。
続いて、直接光の遮蔽について説明する。背面投射型画像表示装置の場合、透過型スクリーンを介してプロジェクタからの照射光が観察者に向かうため、その直接光が透過して観察されてしまうという問題がある。とりわけ、生地製のスクリーンを用いた場合には、直接光が回折を伴い、生地の縫い目の方向に直接が広がってしまい(上述)、深刻である。
本実施形態に係る背面投射型画像表示装置10では、第1の偏光板13及び第2の偏光板14からなる直接光遮断部によって、プロジェクタからの直接光を遮断するように構成されている。第1の偏光板13はプロジェクタの射出瞳の前に配設され、第2の偏光板14は透過型スクリーンの背面(すなわち観察者側の面)近傍に配設されている。そして、第1の偏光板が持つ第1の偏光軸と第2の偏光板が持つ第2の本光軸はほぼ直交するように配置することで、透過型スクリーンで拡散された散乱光のみが第2の偏光板14を通過して、透過型スクリーン12の背面側すなわち観察者から観察することができ、プロジェクタからの直接光は第2の偏光板14で除去される。
また、第1の偏光板13をプロジェクタ11の射出瞳の前方近傍に配置することにより、第1の偏光板13のサイズをより小さくすることができる。但し、この場合、光源から発熱の影響を受けるため、耐熱性のある偏光板を使用する必要がある。
通常の偏光フィルムは、ヨウ素を吸収させた薄板を一方向に伸張して分子を平行に整列され、アセチルブチルセルロースで挟んだ構成であり、使用温度は−50℃〜80℃である。例えば、ヨウ素を吸収した薄板を一方向に伸張して分子をほぼ平行に整列させた後、ガラス板で挟んだガラス偏光フィルタや、石英を利用したフィルタなど、耐熱性のより高い偏光板を使用することができる。
高輝度の画像を生成するプロジェクタ11として、例えば、3LCDプロジェクタ、反射型液晶(LCOS)プロジェクタや、DLPプロジェクタ、CRTプロジェクタGLVプロジェクタなどを挙げることができる。
このうち、3LCDプロジェクタは、単一の高輝度光源からの照射光をまずダイクロイック・ミラーなどの特定波長のみを透過する鏡を用いてRGBの3原色の成分毎に分離し、各色専用のLCDが制御した光をプリズムで再び合成した後、投影するという構造になっている。また、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)では、光をRGBに分解し投影する回転プリズム機構の光順次駆動を行なう。
反射光は偏光であることから、これらの方式では、ミラーを用いて色成分に分解する都度透過光が偏光し、例えば、RとBの偏光軸が揃うとともに、Gの偏光軸がこれに直交するといった特定の偏光状態を持つことになる。このような場合、いずれかの光成分の偏光軸が第1の偏光板13又は第2の偏光板14のいずれかの偏光軸にほぼ平行となるように配置すると、その光成分は全く透過しなくなる。そこで、第1及び第2の偏光軸は該投射光のいずれの成分の偏光軸とも非平行となるように構成する必要がある。
具体的には、R及びBを担当するLCDの偏光軸とGを担当するLCDの偏光軸とが90degをなすようなプロジェクタを利用する場合には、図5に示すように、第2の偏光板14の偏光軸は両LCDの偏光軸とほぼ45degをなすように配置することで、R、B、並びにGの各成分を等しく減衰させることができる。この結果、プロジェクタ11からの射出光の各波長のゲインが光線の電場ベクトルの振動面の方向に依存しなくなる。
図6及び図7には、第1の偏光板13と第2の偏光板14それぞれの偏光軸のなす角と直接光の影響の関係を示している。ここでは、第2の偏光板14を第1の偏光板13に対し回転させていくものとする。
図6には、両偏光板13〜14の偏光軸が平行に近い状態であり、直接光のうちこれらの偏光軸に対し直交する振動方向を持つ成分が第2の偏光板14を通過することから、正面から眺めると直接光の影響は顕著である。
そして、第2の偏光板14を第1の偏光板13に対し回転させていき、両偏光板13〜14の偏光軸がほぼ直交すると、透過型スクリーン12により拡散された散乱光のみが第2の偏光板14を通過するので、直接光は相当程度遮断される。
図7には、直接光が遮断された状態で、正面以外の方向から透過型スクリーン12の背面を観察した様子を示している。偏光板13〜14を利用していることで、投影画像全体としてのゲインは下がっているものの、正面から観察したときに妨害となる直接光は低減され、なお且つ正面以外の角度から観察したときの輝度の低減や画面全体の輝度斑を抑制されていることを確認できる。
また、図8及び図9には、直接光を偏光板によって遮蔽して、正面以外の角度から透過型スクリーン12の背面を観察した様子を示している。図8では30deg程度の角度をつけ、図9では60deg程度の角度をつけている。
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、マルチプロジェクションを適用した背面投影型画像表示装置に関する。
投射型の画像表示装置は、プロジェクタからの照射光をスクリーン上に結像させて画像を映し出すことにより大画面を形成することができるが、マルチプロジェクション・システムによれば、複数台のプロジェクタからそれぞれ表示される画像の一部を互いに重畳させてスクリーン上に投影することによって、さらに投影領域を拡大するとともに解像度を増加させることができる。
背面投影型の画像表示装置は、観察者の影がスクリーンに落ちないという観点からは大画面化に適していると本発明者らは考えている(前述)。しかしながら、マルチプロジェクション・システムを構築する上で、半値角の小さいプロジェクタを利用することは不利になる。
拡散板を兼ねたスクリーンを通過する射出光が完全拡散されていれば(図17Aを参照のこと)、スクリーン・ゲインは入射光と射出光のなす角に依存しない。この場合、マルチプロジェクション化しても、その投影像において色味の変化や輝度ムラは生じにくいと考えられる。
ところが、背面投影では正面からの輝度を高くするという主な設計指針(前述)があり、拡散スクリーンを透過する射出光は正面方向に高いゲインを持つ(図17B)。あるいは、背面投影では、単純拡散する拡散板を用いた場合であっても図17Aに示すような完全拡散は難しく、正面ゲイン高となってしまう。図18には、プロジェクタからの照射光を背面投影する様子を示している。プロジェクタから到来する中心軸上の入射光と同一直線状に位置する場所で射出光は最大ゲインとなり(図18において0°の場所)、入射光と射出光のなす角が大きくなるにつれてゲインが低下していく。
ここで、光の進行方向が最大ゲインとなる複数の入射光を拡散スクリーンにおいてそれぞれ単純拡散する場合には、図19に示すように各入射光は射出角に応じた方向で輝度がゲイン高となるため(すなわち、各射出光は正面ゲイン高となる拡散パターンには揃わないため)、画面の不均一な明るさが観察されることになる。このようにスクリーンへの入射角に応じて拡散具合が区々となり、観察場所に応じて色味の変化や輝度のムラが発生してしまう。したがって、背面投影を用いてマルチプロジェクション・システムを構成するには、かかる問題を解決する必要があると本発明者らは考えている。
射出光の半値角の問題を解決する1つの手段として、フレネル・レンズを拡散スクリーンに用いることが当業界で知られている。1台のプロジェクタからなるプロジェクション・システムではフレネル・レンズは有効な解決策となり得る。しかしながら、フレネル・レンズには対応入射角度の限界があるため、プロジェクタからの照射光が想定した以外の角度からフレネル・レンズに入射した場合には拡散パターンが保証されず、その射出光の方向すなわちゲイン高となる方向を予測することができない(図20を参照のこと)。すなわち、フレネル・レンズを透過した射出光の方向性をなくすことは困難であり、マルチプロジェクションにより大画面化を図る上で必要となる広視野角を達成することは困難である。
例えば、マルチプロジェクションを構成する各プロジェクタをアレイ状に配置するなど各プロジェクタとフレネル・レンズとの相対位置を規定することによって、プロジェクタからの照射光が想定外の入射角でフレネル・レンズに入射しないようにして正面ゲイン高という拡散パターンを保証することも考えられる。この場合、個々のプロジェクタからは、正面ゲイン高となる射出光が得られるとともに、各射出光が重畳されてスクリーン全体としては輝度ゲインの変化が小さくなる。しかしながら、フレネル・レンズを用いると大型のスクリーンを形成することが困難となり制作費が高額になってしまう。また、複数台のプロジェクタに配置に著しい制約条件が課される。
また、アレイ状に配置したマルチリアプロジェクタ・システムにおいて、スクリーンをある位置から見た場合に投影面の輝度が均一になるように信号処理した場合であっても、図21に示すように、入射光の入射角、又は、複数の入射角の組み合わせが場所によって異なるため、全体が均質に見える特定の位置から外れた場所でスクリーンを観察したときに、それぞれの色味の変化、輝度のムラが顕著に現れるという問題点がある。
そこで、本実施形態では、入射角に依存せず、いずれの入射光も正面ゲイン高となる射出光に拡散する上記の拡散スクリーンを用いて、背面投影型画像表示装置の広視野角化を実現するようにした。このような背面投影用スクリーンは、プロジェクタの配置に関する制約条件がなく、図22に示すように、どの場所に配置したプロジェクタからの入射光も一様に正面ゲイン高となる射出光として出力する。そして、マルチプロジェクションを適用した場合には、個々のプロジェクタの配置を特に制限しなくともスクリーンを透過すると正面ゲイン高となることが予測される。したがって、視聴側のスクリーン表面では各射出光が重畳され、スクリーン全体としては輝度ゲインの変化が小さい、すなわち半値角が大きくなり、広視野角化を実現することができる。
広拡散特性を得る背面投影用スクリーンは、視聴側に配置されたマット系スクリーンと、プロジェクタ側に配置された繊維生地からなるスクリーンという、2種類の異なる素材のスクリーンを平行に配置して構成される。ここで言うマット系スクリーンは、樹脂フィルム中に拡散剤を混入して構成することができ、例えば塩化ビニル樹脂に拡散粒子を練り込んで成型加工したものである。また、繊維生地にはテトロンポンジなどを利用することができる。テトロンポンジは、ショップのぼりなどに利用される人工繊維の素材であり、非常に廉価に入手することができる生地である(前述)。
図10には、本発明の第2の実施形態に係る画像表示装置の構成を模式的に示している。図示の画像表示装置20は、背面投影型であり、比較的高輝度の画像を投射するプロジェクタ21と、プロジェクタ21による投射光の結像面に設置された背面投影用スクリーン22で構成される。
背面投影用スクリーン22は、上述したように視聴側に配置されたマット系スクリーン22Aと、プロジェクタ21側に配置された繊維生地からなるスクリーン22Bという2層のスクリーン構成を備えることにより、広視野角化を達成している。2枚のスクリーンを十分に密着させることにより、映像をぼかすことなく投影することが可能である。また、2枚のスクリーンを適切な距離だけ離間させることで、プロジェクタ21の色味差をより低減したり、映像をぼかしたりすることができる。
マット系スクリーン22Aは、入射光を拡散する。また繊維生地からなるスクリーン22Bは、繊維の目の粗さに応じて入射光を回折する。すなわち、入射光が乱反射することによって、入射角に依存せず射出光は正面ゲイン高というゲイン特性を得ることができる。
このような2層構成の背面投影用スクリーン22は、広視野角を持ち、いずれの入射角からの入射光も一様に正面ゲイン高となる射出光として出力するので、プロジェクタ21の配置に特に制約条件は課されない。また、マルチプロジェクション(図示しない)を適用した場合には、個々のプロジェクタの配置を特に制限しなくとも、スクリーンを透過するといずれの射出光も輝度ゲインが正面ゲイン高となることが予測される(図11を参照のこと)。
上述したように、従来の背面投影では拡散スクリーンへの入射角に応じて拡散具合が区々となり(図19を参照のこと)、投影した場所に応じて色味の変化や輝度ムラが発生してしまうことという観点から、マルチプロジェクションの適用は想定しづらい。これに対し、本実施形態では、背面投影用スクリーン22が広拡散特性を備えており、入射方向毎の射出光の拡散具合を可能な限り相似にすることで、色味の変化や輝度のムラを抑制することができる。したがって、視聴側のスクリーン表面では各射出光が重畳され、スクリーン全体としては輝度ゲインの変化が小さい、すなわち半値角が大きくなり、広視野角化を実現することができる。(なお、ここで言う「広拡散」とは、プロジェクタ毎の射出光が持つ拡散パターンの方向性をスクリーンにわたって弱めることに相当する)
2層構成の背面投影用スクリーン22を用いた場合、直接光を十分に遮光することができない場合があるが、上述した第1の実施形態に係る直接光遮断部を併用することができる。遮光のために入射光に対する射出光の輝度ゲインの低下が予想されるものの、マット系スクリーン22Aを透過する際に生成される乱反射光の偏光は保存されない(プロジェクタの照射が持つ偏光特性は、マット系スクリーン22Aを通過する際の乱反射作用により失われる)ことから、遮光されずに済む。
図12A〜図12Dには、プロジェクタ21をスクリーン22に正対させて投影した場合(プロジェクタ21の光軸中心とスクリーン22面が垂直となる)の視聴角度(図18中における0度を基準に視聴角度を変える)による輝度の変化、並びに、投影面内での輝度ムラの様子を、従来から用いられる通常の単純拡散スクリーンを使用した場合と、本実施形態に係る背面投影用スクリーン22を使用した場合についてそれぞれ対比して示している。図示の2層のスクリーン構成としては、2枚のスクリーンを密着させた場合のものである。図12A及び図12Bは、透過光を単純拡散するマット系スクリーンのみかなるスクリーンを用いた場合の視聴角度がそれぞれ0度並びに80度のときの投影像である。また、図12C及び図12Dは、本実施形態に係る2層構造の背面投影用スクリーン22を用いた場合の視聴角度がそれぞれ0度並びに80度のときの投影像である。
また、図13には、従来から用いられているマット系スクリーンを拡散スクリーン、並びに本実施形態に係る背面投影用スクリーンをそれぞれ用いた背面投影により得られるスクリーン・ゲインの特性を示している。但し、同図では、2次元色彩輝度計により、プロジェクタによってスクリーンに映し出される映像の輝度を15度間隔で角度を付けて測定したものである。同図から分るように、本実施形態に係る背面投影用スクリーン22を用いた場合には、従来の単純拡散型のスクリーンを用いた場合と比べると、プロジェクタからの入射光のスクリーンへの入射角の変化に対して輝度レベルの変化が緩やかになり(減衰が小さくなり)半値角が大きくなるとともに、入射角全体にわたって高い輝度レベルを得ることができる。
上述したように、2層構造の背面投影用スクリーン22は広視野角を持つことから、プロジェクタの配置に関する制約条件がなく、どの場所に配置したプロジェクタからの入射光も一様に正面ゲイン高となる射出光として出力することができる。図14に示すように、さまざまな入射角となるようにプロジェクタを設置した場合も、それぞれの射出光は正面ゲイン高となるから、広視野角化の効果が期待できる。言い換えると、プロジェクタがスクリーンに投影するのに、プロジェクタからの入射光の光軸中心がスクリーン面と垂直な軸に一致しないような場合であっても、視聴位置で色味や、輝度の変化を小さくできる。
したがって、図10に示した画像表示装置に対してマルチプロジェクション(図16を参照のこと)を適用した場合には、プロジェクタの台数に関わらず、プロジェクタの設置場所はそれぞれが固定の一カ所に拘束されるのではなく任意の場所において効果を得ることができる。
アレイ状に配置された複数台のプロジェクタからの射出光をスクリーンに重畳投影するタイプのマルチプロジェクション・システムにおいては、各プロジェクタの投影面が重なり合う「ブレンディング領域」(図16を参照のこと)において、個々のプロジェクタの個体差による色味の差や輝度の差が問題となることが多い。図15には、アレイ状に配置された複数台のプロジェクタからの射出光を、単純拡散型の従来のスクリーン、並びに、本実施形態に係る2層構造の背面投影スクリーン22に重畳投影した様子をそれぞれ示している。
図15Aから分るように、従来の単純拡散スクリーンでは、各プロジェクタからの入射光はスクリーンを透過した後に射出光方向にゲイン高となる拡散パターンとなるため、ブレンディング領域は、各プロジェクタからの入射光が等しく混ざった色に見える部分と、一部のプロジェクタからの入射光の色が強く見える部分とが存在するため、色味の差や輝度の差の問題が顕在化する。
これに対し、本実施形態に係る2層構造の背面投影スクリーンに重畳投影した場合には、すべての入射光が全方向に均一に拡散するため、ブレンディング領域においても、観測位置によらず、輝度の低下が少なく且つ色味の変化が少ない投影画像を得ることができる。すなわち、図15Bからも分るように、ブレンディング領域の輝度が観測位置に依らず、タイル状劣化などを低減することができる。