JP2009103701A - 三次元マイクロダイセクションのための方法および装置 - Google Patents

三次元マイクロダイセクションのための方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の三次元の、劣化されていないまたは僅かに劣化されている構造体を試料から切り離す方法およびこの方法を実行する装置を提供すること。
【解決手段】コールドレーザーアブレーションまたはマルチフォトン吸収によって、サブミリメータ領域で試料から所定の構造体を切り離すための三次元マイクロダイセクションのための方法であって、切り離されるべき構造体の解放を、全ての空間方向における方向情報によって行う、ことを特徴とする、三次元マイクロダイセクションのための方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、殊に生体から所定の三次元構造体を切り離す方法およびこの方法を実施するための装置に関する。
多くの場合、マイクロダイセクションによって、試料から生体材料を分離させることができる。従来技術では通常、機械的または二次元のレーザーベースのマイクロダイセクション方法およびマイクロダイセクション装置が使用されてきた。これらの方法および装置によって、主に生物検体から所定の構造体を切り取り、収容することができる。
二次元のレーザーベースのマイクロダイセクション方法は例えば、DE10200600934A1号に記載されている。ここでは生物標本、例えば組織切片が担体上に載せられる。次に標本の選択がレーザ照射によって行われる。ここで、コンピュータはモータによって駆動される顕微鏡台を制御する。この顕微鏡台上に担体がある。対象物を切り抜いた後、これはレーザ露光によって促進され、収容手段によって収容される。切り離されるべき構造体の解放(Freistellung)は、2つの空間方向における方向情報によって行われる。
平坦な担体上に配置された対象物用の別のレーザマイクロダイセクションシステムがWO97/29355A号およびWO01/73398A号から公知である。
レーザーベースのマイクロダイセクション方法では、切断可能な最大層厚は通常は約100マイクロメータである。相応に大きい層厚を備えた体積体は、既知のレーザマイクロダイセクション方法によっては切り離し不可能である。従来のレーザマイクロダイセクション方法は、全て、顕微鏡構造を基本にしている。ここでは運動自由度は光軸に対して垂直な軸で制限されてしまう。従来の処理方法はさらにコストのかかる試料準備を必要とする。なぜなら、処理されるべき試料層がはじめにあらかじめ製造されなければならないからである。通常は、既に試料準備によって、最後のプロセスステップにおいて検査されるべき材料が変性ないしは劣化してしまう。さらに、既知のレーザーベースのマイクロダイセクション方法における処理全体の間、試料の冷凍は不可能である。従来の装置の顕微鏡構造は共通の光学素子、対物レンズの使用を、レーザのフォーカシングのためにも、画像形成のためにも強制している。このような組み合わせは、可視の光路長領域における対物レンズの画像形成特性とレーザの透過またレーザフォーカシングの質との間に妥協を強要する。
機械的な方法によって、より厚い試料も使用可能である。しかし冷凍された材料は機械的に切断されにくい。さらに、顕微鏡用途の場合には機械的な方法を使用することによって所望の精度を得るのが困難になる。
機械的な方法も従来のレーザマイクロダイセクションも非常にコストがかかる。従って、得られる試料量は著しく制限される。蛋白質の多くの分析方法も、ゲノムの多くの分析方法も、このような小さい試料量には適していない。
初期の成長段階における種の分析のためには、損傷なくかつ劣化されていない細胞材料を穀粒粒子から取り出すことが必要である。なぜなら、損傷の無い材料からのみ、使用可能な分析が作成されるからである。生検材料の切り離しの場合にも分析に同様の前提条件が有効である。従って、劣化されていない構造体が試料において分離されるないし切り離されるマイクロダイセクション方法およびマイクロダイセクション装置が必要とされている。
DE10200600934A1号 WO97/29355A号 WO01/73398A号
本発明の課題は、所定の三次元の劣化されていないまたは僅かに劣化された構造体を試料から切り離す方法およびこの方法を実行する装置を提供することである。
上述の課題は、コールドレーザーアブレーションまたはマルチフォトン吸収によって、サブミリメータ領域で試料から所定の構造体を切り離すための三次元マイクロダイセクションのための方法であって、切り離されるべき構造体の解放を、全ての空間方向における方向情報によって行う、ことを特徴とする、三次元マイクロダイセクションのための方法によって解決される。さらに、上述の課題は、所定の三次元構造体を試料から切り離すための3Dマイクロダイセクションシステムであって、以下のものを含んでおり、すなわち:制御ユニット(5);アブレーションチャンバー(1);レーザ装置(6)を含んでおり、前記アブレーションチャンバー内には試料保持部が設けられており、当該試料保持部には処理されるべき試料が取り付けられており、当該試料保持部は軸(A)に沿って運動可能であり、回転軸(R)を中心に回転可能であり、ここで前記試料保持部には調整装置が設けられており、当該調整装置は制御ユニット(5)と接続されており、当該制御ユニットによって前記調整装置は、前記試料保持部を前記軸(A)に沿って動かし、前記回転軸(R)を中心に回転させ、前記レーザ装置は少なくとも部分的に、前記アブレーションチャンバー(1)内に設けられているレーザーウィンドウ(3)によってアブレーションチャンバー(1)内に取り入れられ、前記制御ユニット(5)と接続されており、調整可能な光学系を有しており、当該光学系は前記制御ユニット(5)によって調整されて、レーザビームが試料の領域内に焦点合わせされる、または、前記試料が付加的な調整部材によって前記光軸に沿ってレーザ焦点内に動かされる、ことを特徴とする3Dマイクロダイセクションシステムによって解決される。さらに、上述の課題は、所定の三次元構造体を試料から切り離すための3Dマイクロダイセクションシステムであって、以下のものを含んでおり、すなわち:制御ユニット;ロボットシステム上に取り付けられたレーザユニット、光学顕微鏡を含んでおり、前記レーザユニットは焦点合わせ装置と運動自由度を有しており、レーザ焦点は所期のように試料に当てられ、前記光学顕微鏡は試料および処理シーケンスの観察のために、並びに試料保持部ないし小型冷却チャンバの収容のために用いられる、ことを特徴とする3Dマイクロダイセクションシステムによって解決される。別の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
サブミリメータ領域で所定の三次元構造体を切り離すための三次元マイクロダイセクション方法は、試料からのコールドレーザーアブレーションまたはマルチフォトン吸収によって行われる。ここで切り離されるべき構造体の解放は、全ての方向における方向情報によって行われる。ここでサブミリメータ領域は、1ミリメータまでの切り離されるべき構造体の特徴的な長さ、または約1mmまでの切り離されるべき構造体の体積を含んでいる。コールドレーザーアブレーションとは、短い波長のレーザ光を照射することによって材料を切除することである。従って試料はフォトン吸収によって加熱されない。すなわちレーザ光は、分子回転帯ないし振動帯を励起しない。コールドレーザーアブレーションに対して択一的に、材料処理がマルチフォトン吸収プロセスに基づいていてもよい。マルチフォトン吸収プロセスでは、非常に高いフォトン密度が生成される。これによって恐らく、材料による多数のフォトンの同時吸収が行われ、個々のフォトンのエネルギー総量が材料内に取り入れられる。多くの場合には、高いフォトン密度を生成するために、ピコ秒領域またはフェトム秒領域の非常に短いレーザパルスを有する強く焦点合わせされるレーザが使用される。有利には試料は生体材料から成る。有利にはレーザは5nsよりも短いパルス時間のパルスを放出する。
本発明では、レーザーベースのマイクロダイセクションを実施するための、全く新たな試みが行われる。材料層の仕上げ処理を省くこと、および運動自由度数を高めることによって、材料体積体のダイセクションが可能になる。充分な運動自由度数によって、ユーザは非常に柔軟にかつ自由に、取り出されるべき材料体積体の形状を設定することができる。さらに、試料仕上げから試料分析までの閉成された一連の冷却がこの試みによって実現されるので、充分な試料体積を有する、ほぼ無傷で、かつ劣化されていない試料を得ることができる。充分な試料量の生成は、処理速度に高い要求を課す。観察レンズからレーザフォーカスレンズを外すことによって、使用可能なレーザ出力を最適に利用することができる。
コールドレーザーアブレーションに基づいた上述の本発明の実現は、100μJの領域のパルスエネルギーおよび数百ヘルツの繰り返しレートを有する新たな固体レーザの使用によって促進される。
有利には所定の三次元構造体を試料から切り離すためのこの三次元マイクロダイセクション方法は以下のステップを含む、すなわち:
a)少なくとも切り離されるべき構造体の三次元体積体モデルを提供するステップ;
b)前記三次元体積体モデルに相応に、三次元コールドレーザーアブレーション方法によって、切り離されるべき構造体を少なくとも部分的に解放するステップ;を含む。三次元コールドレーザーアブレーションを用いる方法は、試料処理のための新たな方法を開発した。この方法は閉成された一連の冷却の実現も可能にした。従って試料は処理プロセスの間、継続的に冷却される、ないしは冷凍される。本発明のこの方法は、切り離されるべき構造体を丁寧に取り出すことを保証する。この構造体は以降でVOI(Volume of Interest)とも称される。この方法によって、VOIの周囲で順次連続して試料の薄い層が取り去られる。これによって、レーザ照射による組織変化の低減が実現される。さらに本発明のこの方法は、取り出された体積体に関して、これまでは可能ではなかった精度を保証する。この方法によって、10μmの領域の精度が得られる。
有利には、画像形成方法によって、ステップa)の三次元体積体モデルの提供が行われる。この方法は少なくとも切り離されるべき構造体を、その三次元構造体で検出することができる。画像形成方法は三次元構造体にとって近年、目覚しい発展を遂げた。標準的な方法およびシステムが使用可能であり、従って効率的かつ低コストに本発明の方法に組み込むことができるだろう。
有利には、この画像形成方法は以下の方法のうちの1つを含む:すなわち、コアスピントモグラフィ、コンピュータトモグラフィ、超音波、光学顕微鏡ビジュアライゼーション方法のうちからの3D模型制作である;上述した方法は特に普及しており、発達しているので、本発明において使用するのに特に適している。
有利には、画像形成は10マイクロメータ領域における解像を含んでいる。今日の世代の画像形成方法はこの領域における解像に達しており、従って、特に高い切り離し精度への要求をこの方法において満たすことができる。択一的に体積体モデルは、パラメータ化に基づいて直接的にユーザによって作成されるないし描かれる。
有利には光学的なパラメータが、較正および/または基準化のために使用される。これによって、三次元体積体モデルの位置および配向は3Dマイクロダイセクションシステム内に入れられた試料のそれに一致する。光学的なパラメータは試料内に既に存在する構造的な特徴であっても、または人工的に調達されたものであってもよい。完全に自動的な切り離し方法を実現するために、体積体モデルに対して試料をできるだけ正確に配向するのは有利である。光学的なパラメータを介してこの配向を行うのは有利である。なぜなら、配向はソフトウェアによってサポートされて、少なくとも部分的に既に存在する光学的構成素子によって行われるからである。これによって、特に高い配向精度が得られ、これによって、本発明における特に高い切り離し精度への要求が満たされる。
有利には、本発明のこの方法はさらにステップa1)を含む。このステップはステップb)の前に行われる。すなわち試料の準備である。これによって、切り離されるべき体積体を試料から取り出すことができる。ここでは試料の準備は以下の方法のうちの1つを含む:すなわち、試料をプラスチック材料内に埋設する、試料を鎖状の有機物質(例えばろうまたはパラフィン)内に埋設する、試料を可塑化する液体に浸す、試料を冷凍する;である。試料のこのような準備は、三次元コールドレーザーアブレーション方法において組織変化を低減させるのに寄与する。従って、劣化していない、または僅かに劣化した構造体を切り離すことができる。
有利には試料の準備は、試料を4℃を下回る温度に凍らせることを含む。試料のこの冷却によって特に容易、迅速、かつ低コストに、処理プロセスの間の組織変化を低減させることができる。
有利には、ステップb)の三次元コールドレーザーアブレーション方法は以下のさらなるステップを含む、すなわち:
b1)試料を試料ヘッドに固定するステップ。試料ヘッドは軸Vに沿って運動可能であり、回転軸Rを中心に回転可能である。ここで運動は自動的に、制御ユニットと接続されている各調整装置によって行われる;
b2)試料のシーケンシャルな処理のために試料保持部に対する運動順序を定め、この運動順序を制御ユニットの記憶ユニット内へ記憶するステップ。
b3)運動順序を処理することによってアブレーション方法を実施するステップ。ここで制御ユニットは、調整装置を運動順序に相応して駆動制御する。この方法によって順次連続して、試料の薄い層が取り去られ、これによってVOIが解放される。従ってレーザ照射による組織変化が低減される。さらに本発明の方法は、取り出された体積体に関して、これまで不可能であった精度を保証する。このために殊に全自動の切り離し方法が有利である。ここでは計算された運動ステップによってレーザおよび試料ヘッドが駆動制御される。従って殊にVOIの手動での切り抜きによっては回避されない不正確さが低減される。
択一的に、レーザ焦点と試料との間の相対的な運動が装置によって実現される。ここではレーザ装置はロボットシステムに取り付けられて、充分な自由度で運動することができ、試料は固定的に取り付けられる。
択一的に、レーザ装置の運動と試料の運動との間で必要な自由度が分配される。
有利には、切り離されるべき構造体の解放はレーザ装置によって行われる。このレーザ装置は少なくとも部分的に、アブレーションチャンバー内に取り入れられている。このアブレーションチャンバー内部で、切り離されるべき構造体の解放が行われる。レーザは近年、切断工具として重要視されている。なぜならレーザは切断の特に高い精度を可能にするからである。切断は正確に行われる。従って、周囲の構造体は影響されない、または僅かにしか影響されない。このようにして、劣化されていない、またはせめても僅かに劣化された構造体を高い精度で切り離すことができる。
有利にはステップb)は少なくとも部分的に冷凍された試料で実行される。本発明の方法は冷凍された試料での切り離しを可能にする。これによって組織変化は著しく低減される。
さらに、この方法は次のような特徴を有する。すなわち、試料の1つの空間的寸法が、他の2つの空間的寸法よりも少なくとも1オーダ小さい、という特徴を有する。
有利には、本発明の方法は、カメラ装置を使用して、アブレーション方法を監視するステップを含む。所望の品質基準を確保するために、カメラシステムによる監視が提供される。このカメラシステムは容易に組み込み可能であり、かつ低コストである。
有利にはカメラ装置は制御ユニットと接続されている。この制御ユニットは画像処理方法によっておよび特徴的な光学的なパラメータによって、試料の絶対的な向きの較正および/または基準化のために使用される。ここでこの方法は、ステップb1)とb3)との間で行われる付加的なステップ、すなわち三次元体積体モデルによる試料の較正を含む。このカメラ装置は、適切な方法で、この方法の監視の他に、試料の配向のためにも使用される。従って二重機能によってコストおよび必要とされる場所を省くことができる。
択一的に、画像形成システムは、カメラと接続可能な市販の顕微鏡をベースにしてもよい。
有利には本発明の方法はステップc)を含む。このステップはステップb)の間および/またはステップb)の後に行われる。すなわち、切り離された構造体の分断および取り出しである。ここでこのステップは、以下のステップのうちの少なくとも1つを含む、すなわち:受け容器内に、落下している切り離された構造体を集める、部分的に切り離された構造体をレーザ照射によって落とす、接着によって取り出す、吸引によって取り出す、洗い落としによって取り出す、超音波によって取り出す、静電気によって取り出す;である。上述の方法は特に、VOIの取り出しおよび場合によっては最終的な分断に適している。なぜならこれらは容易かつ低コストに実行可能だからである。
本発明の課題はさらに、試料から所定の三次元構造体を採取するための3Dマイクロダイセクションシステムによって解決される。このシステムは以下のものを含んでいる、すなわち:、
制御ユニット;
内部に試料保持部が設けられているアブレーションチャンバー;
レーザ装置、である。
ここで試料保持部には、処理されるべき試料が取り付けられ、試料保持部は軸Vに沿って運動可能であり、回転軸Rを中心に回転可能である。ここでこの試料保持部には調整装置が設けられている。この調整装置は制御ユニットと接続されている。この制御ユニットによって、調整装置は試料保持部を軸Vに沿って動かし、回転軸Rを中心に回転させる。
レーザ装置は少なくとも部分的に、アブレーションチャンバー内に設けられているレーザウィンドウによって、アブレーションチャンバー内に取り入れられており、このレーザ装置と制御ユニットは接続されており、調整可能なレンズを有している。このレンズは制御ユニットによって次のように調整可能である。すなわち、レーザビームが試料の領域内に焦点合わせされるように調整可能である。または試料が付加的な調整部材によって光軸に沿ってレーザ焦点内に動かされる。このようなマイクロダイセクションシステムによって、上述の方法が、その上述した長所および利点を伴って実行される。
有利には試料保持部はさらに調整装置によって、第3の軸Hに沿って移動可能である。ここで制御ユニットはこの調整装置と接続されており、調整装置によって試料保持部は軸Hに沿って動かされる。レーザを、切られるべき領域に正確に焦点合わせすることが必要である。試料の正確な配向を容易にするさらなる自由度を設定することによって、試料の切断されるべき領域は、周辺の領域の損傷が少ないように、焦点合わせされる領域へ移動される。これによって、劣化されていない構造体が切り離されるか、または僅かにのみ劣化された構造体が切り離される。
同じ理由から、レーザ装置は有利にはレーザ調整装置を有している。これは制御ユニットと接続されている。ここでレーザビームの傾斜角度はこの制御ユニットによって調整される。
有利には試料保持部は機械的な保持部または、試料が埋設によってジェル等の内部に固定されている保持部である。
有利にはアブレーションチャンバーは冷却装置を有している。ここでこの冷却装置はチャンバーを冷却する。これによって試料が冷却され、有利には冷凍される、または冷却された状態、有利には冷凍された状態に保持される。試料の冷却は処理プロセスの間の組織変化を低減させる特に容易、迅速かつ低コストの方法である。
このために、アブレーションチャンバー内での温度は有利には4℃を下回り、典型的には約−18℃である。なぜなら、このような温度では、時間による組織変化は格段に低減されるからである。
有利には、レーザの光軸は回転軸Rに対して垂直である。この場合には回転軸RとVは
一致し、軸Hに対して垂直である。軸の垂直ないしは平行配置は高い精度で行われる。さらにこのような装置は運動順序の計算を容易にする。
有利には、アブレーションチャンバー内には2つの受け容器A1およびA2が試料の下方に設けられている。受け容器によるVOIの取り出しおよび分断は容易かつ低コストに行われる。
択一的に本発明の課題は、所定の三次元構造体を試料から切り離す3Dマイクロダイセクションシステムによって解決される。このシステムは以下のものを含む。すなわち;
制御ユニット、
レーザ焦点が所期のように試料に当てられるように充分な運動自由度を有する、ロボットシステムに取り付けられたレーザユニット、
レーザ透過材料から成る小型冷却チャンバ、
試料およびプロセスの流れを観察するため、並びに試料保持部ないし小型冷却チャンバを支持するため光学顕微鏡を含む。
図1は本発明の実施形態に従った、試料から所定の三次元構造体を切り離すための装置を概略的に示している。取り出されるべきこの体積体を以降でVOI(Volume of Interest)とも称する。
この実施形態では、アブレーションチャンバー1内に、試料2を伴った試料ヘッドが位置している。アブレーションチャンバーはハウジングを含んでおり、このハウジング内で、所定の三次元の構造体が試料から取り出される。試料ヘッドは、垂直軸Vおよび水平軸Hに沿って動き、回転軸Rを中心に回転するように配置されている。軸VおよびRは、この実施形態のように同一であってよい。軸VおよびHに沿った試料ヘッドの運動および軸Rを中心にした運動は、モータによって、相応する調整装置によって行われる。ここでこの調整装置は図1には示されていない。試料ヘッドおよび試料はこの実施形態では、3つの自由度で運動可能である。試料ヘッドは例えば機械的な保持部であってもよく、または試料がジェル等内に埋め込まれることによって固定されるように構成されてもよい。アブレーションチャンバー1は、図示されていない冷却装置を含んでいる。従って試料はチャンバー内で冷凍されるか、または冷凍された状態に保持される。冷却装置は従来の冷却機およびセンサを含んでいる。これによって、アブレーションチャンバー1内部の温度は所望の値に調整され、その温度に保たれる。
試料の仕上げはレーザ装置6によって行われる。このレーザ装置は高エネルギーのパルス状UVレーザの他に、対物レンズを伴う調整可能なレーザ光学系を含んでおり、レーザウィンドウ3によって少なくとも部分的にアブレーションチャンバー1内に取り入れられている。この実施形態では、レーザ装置6の対物レンズはアブレーションチャンバー1内に位置している。当然ながら、試料ヘッドの3つの自由度に沿って動く配置に対して付加的または択一的に、レーザ装置6またはレーザ装置の一部を回転可能および/または移動可能に配置することも可能である。殊に、レーザの焦点Pを動かすために、レーザの光軸に対するレーザビームの傾斜機能を設定することが可能である。
使用可能な自由度に沿った試料配向の制御は、制御ユニット5によって行われる。この制御ユニットは本発明ではPCを含んでいる。これは、レーザ装置6および調整装置と接続されている。さらにPCは冷却装置と接続されている。これによって、アブレーションチャンバー1内の温度が監視される。
仕上げ過程はカメラ装置4によって監視される。このカメラ装置は同じようにPCと接続されている。カメラ装置4は図ではアブレーションチャンバー1外に示されているが、これをアブレーションチャンバー1内に設けることもできる。カメラ装置4は監視および品質保証にのみ用いられるのではなく、特徴的な光学パラメータの較正および基準化のためにも使用される。これによって試料(これについては以降で説明する)は体積体モデルと一致する。
以下で、上述の装置を使用する、所定の三次元構造体を切り離す方法を説明する。
はじめに、試料または少なくとも切り離されるべき領域の三次元体積体モデルが作成される、または調達される。このために、既に供給されている試料のモデル、例えば理論的なモデルを使用することもできる。しかし通常はここで、画像形成方法、例えばコアスピントモグラフィ、コンピュータトモグラフィ、超音波または光学顕微鏡方法が使用される。三次元の画像を撮影した後、コンピュータ内での処理に適したこの計算機モデルが制御装置内に格納される。取り出されるべき体積体は三次元のデータフィールドによって定められる。ここでこのデータフィールドは、ユーザによって、選択されるべき体積体の選択によって定められる。VOIの確定は、事前に作成された体積体モデルに基づいて行われても、処理されるべき対象物の3Dビジュアライゼーションから直接的に行ってもよい。択一的にVOIが直接的にユーザによって入力されたパラメータ化または手書き図から計算および作成されてもよい。
次に、試料が有利には−18℃まで冷却されたアブレーションチャンバー1内に入れられ、試料保持部によって固定される。視覚化された体積体の位置を、3Dマイクロダイセクションシステム内に入れられた試料と一致させるために、較正点または特徴的な光学的パラメータを介した基準化(Referenzierung)等の基準化方法が導入される。基準化は、人工的に取り付けられた基準点または処理されるべき対象物の特徴的な構造を介して行われる。光学的なビジュアライゼーションの可能な実現は、カメラ装置4内に収容されているマクロ対物レンズおよびデジタルカメラによる試料の観察から成る。この対物レンズおよびカメラを直接的にアブレーションチャンバー1内に設けることができる。基準化および較正は、カメラ装置4および既知の画像処理方法によって行われる。体積体モデルによる試料の配向は、データフィールドの座標系を、挟まれた試料に対して相対的に基準方法を介して定めることである。
同じようにソフトウェアサポートされて運動順序の計算が行われる。この運動順序に従って制御ユニット5は調整装置およびレーザを駆動制御する。これによってこれは切り離されるべき領域を分断する。すなわちVOIから運動アルゴリズムが計算される。この運動アルゴリズムによってVOIは全体としてまたは断片の形状で全自動で取り出される。
次にレーザがレーザウィンドウ3を通じて導き入れられ、レンズによって試料に焦点合わせされる。
レーザの光軸はここで実質的に回転軸Rに対して垂直である。レーザ出力および焦点等のレーザパラメーターは調整可能であり、適切に制御ユニット5によって調整される。
アブレーションプロセスは有利には試料の最下点で始まり、回転軸Rを中心とした試料の回転の間および試料の移動の間に、軸VおよびHに沿って材料を計算された運動順序に相応に削り取る。削り取られた材料は、受け容器A1内に落下する。この受け容器はアブレーションチャンバー1内で試料の下方に設けられている。目的体積体がはがされると、これはレーザビームによって残りの試料から切り抜かれ、受け容器A2内に落下する。この受け容器A2は同じようにアブレーションチャンバー1内で試料の下方に設けられている。ここで受け容器A1およびA2を交換する、またはシフトさせることができる。または試料ヘッドを調整装置によって直接的に各受け容器上に配置することができる。
例えばデジタルカメラによって全処理過程が記録される。付加的な画像処理モジュールは切り離された体積体を特定し、これによって自動的に品質コントロールを担う。
本発明の実施形態に従った、試料から所定の三次元構造体を切り離すための装置の概略図
符号の説明
1 アブレーションチャンバー、 2 試料、 3 レーザウィンドウ、 4 カメラ装置、 5 制御ユニット、 6 レーザ装置

Claims (29)

  1. コールドレーザーアブレーションまたはマルチフォトン吸収によって、サブミリメータ領域で試料から所定の構造体を切り離すための三次元マイクロダイセクションのための方法であって、
    切り離されるべき構造体の解放を、全ての空間方向における方向情報によって行う、
    ことを特徴とする、三次元マイクロダイセクションのための方法。
  2. 前記試料は生体材料から成る、請求項1記載の方法。
  3. 前記レーザは5nsよりも短いパルス時間を有するパルスを放出する、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記解放前に実行されるべきステップ、すなわち:少なくとも切り離されるべき構造体の三次元体積体モデルを提供する、を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 三次元体積体モデルの作成を画像形成方法を用いて行い、当該画像形成方法は少なくとも、切り離されるべき構造体を三次元構造において検出することができる、請求項4記載の方法。
  6. 前記画像形成方法は以下の方法の1つを含む、すなわち:コアスピントモグラフィ、コンピュータトモグラフィ、超音波、光学顕微鏡ビジュアライゼーション方法からの3D模型制作の1つを含む、請求項5記載の方法。
  7. 前記画像形成は10マイクロメータ領域の解像を含む、請求項5または6記載の方法。
  8. 三次元体積体モデルの作成は、ユーザによって定められたパラメータ化または手書き図に基づく、請求項4から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 特徴的な光学パラメータを較正および/または基準化のために使用し、これによって三次元体積体モデルの位置および配向が、3Dマイクロシステム内に入れられている試料のそれと一致する、請求項4から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. さらに前記解放前に行われるステップを含んでいる、すなわち:
    切り離されるべき体積体を取り出すことができるように試料を準備し、ここで試料の準備は以下の方法の少なくとも1つを含む、すなわち:試料をプラスチック材料内に埋め込む、試料を鎖状の有機物質であるろうまたはパラフィン等内に埋め込む、可塑化させる液体内に試料を浸す、試料を凍らせる、の少なくとも1つを含む、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記試料の準備は、試料を4℃を下回る温度に凍らせることを含む、請求項10記載の方法。
  12. 前記三次元コールドレーザーアブレーションは以下のさらなるステップを含む、すなわち:
    試料を試料ヘッドに固定し、当該試料ヘッドは軸(V)に沿って運動可能であり、回転軸(R)を中心に回転可能であり、ここで当該運動は自動的に、制御ユニット(5)と接続されている各調整装置によって行われ;
    試料のシーケンシャルな処理のために前記試料保持部に対する運動順序を定め、当該運動順序を前記制御ユニット(5)の記憶ユニット内に格納し、
    前記運動順序を処理することによってアブレーション方法を実行し、ここで前記制御ユニット(5)は前記調整装置を前記運動順序に相応して駆動制御する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 切り離されるべき構造体の前記解放をレーザ装置(6)によって行い、当該レーザ装置は少なくとも部分的にアブレーションチャンバー(1)内に取り入れられており、当該アブレーションチャンバー内で、前記切り離されるべき構造体の解放が行われる、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 少なくとも部分的に凍らされた試料で前記解放を行う、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 前記試料の1つの空間的寸法は2つの他の空間的寸法よりも少なくとも1オーダー小さい、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
  16. さらに、カメラ装置(4)を用いて前記アブレーション方法を監視するステップを含む、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 前記カメラ装置(4)は前記制御ユニット(5)と接続されており、画像処理方法および特徴的な光学パラメータによって、試料の絶対的な配向の較正および/または基準化のために使用され、
    当該方法は、三次元体積体モデルによって試料を較正する付加的なステップを含む、請求項16記載の方法。
  18. 前記方法は、切り離された構造体を分断し、取り出すステップを有しており、前記ステップは以下の方法の少なくとも1つを含む、すなわち:落下する切り離された構造体を受け容器内に集める、部分的に切り離された構造体をレーザ照射によって落とす、接着によって取り出す、吸引によって取り出す、洗い落としによって取り出す、超音波によって取り出す、静電気によって取り出す、の少なくとも1つを含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. 前記レーザはUVレーザである、請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
  20. 所定の三次元構造体を試料から切り離すための3Dマイクロダイセクションシステムであって、以下のものを含んでおり、すなわち:
    制御ユニット(5);
    アブレーションチャンバー(1);
    レーザ装置(6)を含んでおり、
    前記アブレーションチャンバー内には試料保持部が設けられており、当該試料保持部には処理されるべき試料が取り付けられており、当該試料保持部は軸(A)に沿って運動可能であり、回転軸(R)を中心に回転可能であり、ここで前記試料保持部には調整装置が設けられており、当該調整装置は制御ユニット(5)と接続されており、当該制御ユニットによって前記調整装置は、前記試料保持部を前記軸(A)に沿って動かし、前記回転軸(R)を中心に回転させ、
    前記レーザ装置は少なくとも部分的に、前記アブレーションチャンバー(1)内に設けられているレーザーウィンドウ(3)によってアブレーションチャンバー(1)内に取り入れられ、前記制御ユニット(5)と接続されており、調整可能な光学系を有しており、当該光学系は前記制御ユニット(5)によって調整されて、レーザビームが試料の領域内に焦点合わせされる、または、前記試料が付加的な調整部材によって前記光軸に沿ってレーザ焦点内に動かされる、
    ことを特徴とする3Dマイクロダイセクションシステム。
  21. 前記試料保持部はさらに前記調整装置によって第3の軸(H)に沿って動かされ、ここで前記制御ユニット(5)は当該調整装置と接続されており、前記制御ユニット(5)は試料保持部を前記第3の軸(H)に沿って動かす、請求項20記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  22. 前記レーザ装置(6)はレーザ調整装置を有しており、当該レーザ調整装置は前記制御ユニット(5)と接続されており、レーザビームの傾斜角度は前記制御ユニット(5)によって調整される、請求項20または21記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  23. レーザの光軸は前記回転軸(R)に対して垂直であり、前記回転軸(R)と(V)は一致し、前記軸(H)に対して垂直である、請求項20から22までのいずれか1項および請求項および請求項20に記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  24. 前記アブレーションチャンバー(1)内に2つの受け容器(A1、A2)が設けられている、請求項20から23までのいずれか1項記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  25. 所定の三次元構造体を試料から切り離すための3Dマイクロダイセクションシステムであって、以下のものを含んでおり、すなわち:
    制御ユニット;
    ロボットシステム上に取り付けられたレーザユニット、
    光学顕微鏡を含んでおり、
    前記レーザユニットは焦点合わせ装置と運動自由度を有しており、レーザ焦点は所期のように試料に当てられ、
    前記光学顕微鏡は試料および処理シーケンスの観察のために、並びに試料保持部ないし小型冷却チャンバの収容のために用いられる、
    ことを特徴とする3Dマイクロダイセクションシステム。
  26. 前記試料保持部は、レーザ透過材料から成る小型冷却チャンバ内に組み込まれている、請求項20から25までのいずれか1項記載のマイクロダイセクションシステム。
  27. 前記試料保持部は機械的な保持部または、ジェル等内への埋め込みによって試料が固定される保持部である、請求項20から26までのいずれか1項記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  28. 前記アブレーションチャンバー(1)ないし小型冷却チャンバは冷却装置を有しており、当該冷却装置は前記チャンバーを冷却し、これによって試料が冷却される、または冷却された状態に保持される、請求項20から27までのいずれか1項記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
  29. 前記アブレーションチャンバー(1)ないし小型冷却チャンバ内の温度は4℃を下回っており、典型的には約−18℃である、請求項28記載の3Dマイクロダイセクションシステム。
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