JP2009100655A - 新規ブレオマイシン耐性遺伝子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活性汚泥を環境試料とした、DNAライブラリ(メタゲノムライブラリ)を作製して、物理切断した該DNAをフォスミドベクターに連結し、該組換えフォスミドを含む大腸菌ライブラリをブレオマイシン含有培地でスクリーニングし、得られたクローンから取得した、特定のアミノ酸配列をコードする新規ブレオマイシン耐性遺伝子。
【選択図】なし
Description
ブレオマイシンに対する抵抗性はブレオマイシン耐性蛋白質により与えられるが、これは放線菌自身の有する自己耐性遺伝子(非特許文献2参照)、トランスポゾンにコードされる遺伝子(非特許文献3参照)、あるいはプラスミドにコードされる遺伝子(非特許文献4参照)などが知られている。しかし、これまでに単離されている遺伝子はごく数種類であり、ブレオマイシン耐性遺伝子を薬剤耐性遺伝子マーカーとして利用する際の宿主細胞との適合性等の点で、十分な選択肢がない。
すなわち、本発明の特徴は以下のとおりである。
(1)配列番号1または2記載のアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列を有し、且つブレオマイシン耐性活性をもたらす、ブレオマイシン耐性蛋白質をコードするDNA。
(2)配列番号3または4に記載の塩基配列を有し、ブレオマイシン耐性蛋白質をコードするDNA。
(3)上記(1)または(2)に記載のDNAを含み、その両端に制限酵素認識部位を有するDNA。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のDNAがベクターDNAに挿入されていることを特徴とする組換えベクター。
(5)さらに、目的遺伝子が挿入されていることを特徴とする、上記(4)に記載の組み換えベクター。
(6)上記(4)または(5)に記載の組換えベクターが導入されていることを特徴とする、形質転換細胞。
(7)上記(1)〜(3)のいずれかに記載のDNAからなることを特徴とする、遺伝子マーカー。
(8)上記(5)に記載の組換えベクターによる形質転換後、ブレオマイシン耐性を指標に目的遺伝子により形質転換された細胞を選択することを特徴とする、形質転換細胞のスクリーニング方法。
(9)配列番号1または2記載のアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列を有し、且つブレオマイシン耐性活性をもたらすタンパク質。
このようにして得られた、本発明のブレオマイシン耐性遺伝子DNAの塩基配列は、配列番号3及び4に示される。また、配列番号3及び4で示されるDNAがコードするブレオマイシン耐性タンパク質のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号1及び2に示され、該ブレオマイシン耐性タンパク質は、その発現により、遺伝子組換え微生物あるいは細胞にブレオマイシン耐性活性を付与する。
すなわち、まず、本発明のブレオマイシン耐性遺伝子を、pUC118等のベクターに該遺伝子の発現が可能なように連結して、組み換えベクターを調製する。その際、ブレオマイシン耐性遺伝子の両端には制限酵素認識部位の塩基配列を付加しておくと操作が容易となる。
例えば、大腸菌の場合、JM109、DH5α等が挙げられる。
また、エンハンサーあるいはリボソーム結合部位の塩基配列もベクターに導入して、さらにブレオマイシン耐性遺伝子の発現効率を向上させることもできる。
このようなエンハンサーあるいはリボソーム結合部位の配列としては、例えばシャイン・ダルガノ配列を挙げることができる。
このようにして得られた組み換えベクターは、クローニングベクターとして有用である。
本発明の上記組換えベクターを調製する場合には、本発明のブレオマイシン耐性遺伝子に加えて、さらに、第2の薬剤遺伝子、あるいは酵素遺伝子等の他の遺伝子マーカーも挿入してもよく、これによりさらにスクリーニングの精度が向上する。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
新規ブレオマイシン耐性遺伝子の単離、同定
(1)活性汚泥より抽出したメタゲノムDNAを平均鎖長2-3kbとなるように物理剪断し、T4DNAポリメラーゼにより平滑末端化した。次いで、クロラムフェニコール耐性遺伝子を有するpCC1FOSフォスミドにライゲーションした。フォスミドへのライゲーションにはT4DNA ligase(タカラバイオ)を使用した。このフォスミドへライゲーションしたものを、MaxPlanx Lambda Packaging Extractsを用いてin vitro packaging を行なった。宿主微生物として大腸菌E.coli EPI−300T1Rを使用した。そして、12.5μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB(LB/Cm)寒天プレートで、形質転換大腸菌を選択した。
(3)次に、ショットガンライブラリを用いてフォスミドインサートの遺伝子配列を解析した結果、共通の領域には、4H7においては配列番号3のまた7A10においては配列番号4記載のオープンリーディングフレームが含まれていることが判明した。いずれの場合も該オープンリーディングフレームの両末端の一部を欠失したショットガンクローンはフレオマイシン耐性を示さなかったことから、配列番号3および4に示されるオープンリーディングフレームがフレオマイシン耐性遺伝子であると結論した。配列番号3、4でそれぞれ示されるブレオマイシン耐性遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列(配列番号1,2)は、既知のブレオマイシン耐性蛋白質と25-30%程度の弱い相同性を示した。通常、この程度のアミノ酸配列の相同性からは既知の蛋白質と同じ機能を有することを結論することは全く出来ず、今回得られた耐性遺伝子が新規なものと判断された。
遺伝子マーカとしての利用
大腸菌以外の宿主での利用を検証するため、配列番号4記載のブレオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミドを構築し、Thermus thermophilusを形質転換することを試みた。
先ず、配列番号4の塩基配列を含むブレオマイシン耐性遺伝子カートリッジを作成した。Thermus菌内での蛋白質発現効率を上げるために、Thermus thermophilus HB8株のクエン酸合成酵素遺伝子由来のリボソーム結合配列を耐性遺伝子のコーディングフレームの前に付加した。配列番号4の塩基配列全長を含むショットガンクローンのDNAを鋳型として、5'-プライマー(5'-AAGGAGGCAGCATGACCCAGACAGTAATTCCCCAG-3'、 配列番号5)及び3'-プライマー(5'-TCAAGTGGTGGCTGGACTGGC-3'、 配列番号6)を用いて定法によりPCRを行い、リボソーム結合配列が付加されたオープンリーディングフレームDNA断片を増幅した。この増幅したDNA断片を大腸菌プラスミドpUC8のマルチクローニングサイト中のSmaIサイトに挿入することにより、両端がEcoRIとHindIIIの制限酵素サイトよりなるブレオマイシン耐性遺伝子カートリッジ(配列番号7)をもつプラスミドpBL121を得た。
このpYK141と上記のpBL121のDNAを 制限酵素EcoRI及びHindIIIで切断後、T4 DNA リガーゼで連結することにより、pYK141プラスミド上のEcoRI及びHindIIIの制限酵素サイトに挟まれるトリプトファン合成酵素遺伝子(一部)をブレオマイシン耐性遺伝子カートリッジで置き換えたDNAを作成した。このDNAを用いてT.thermophilus HB27野生株を形質転換した。
上記の結果、本発明のブレオマイシン耐性遺伝子が大腸菌以外の宿主細胞においても遺伝子マーカーとしての利用が可能であることが示された。
Claims (9)
- 配列番号1または2記載のアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列を有し、且つブレオマイシン耐性活性をもたらす、ブレオマイシン耐性蛋白質をコードするDNA。
- 配列番号3または4に記載の塩基配列を有し、ブレオマイシン耐性蛋白質をコードするDNA。
- 請求項1または2に記載のDNAを含み、その両端に制限酵素認識部位を有するDNA。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のDNAがベクターDNAに挿入されていることを特徴とする組換えベクター。
- さらに、目的遺伝子が挿入されていることを特徴とする、請求項4に記載の組み換えベクター。
- 請求項4または5に記載の組換えベクターが導入されていることを特徴とする、形質転換細胞。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のDNAからなることを特徴とする、遺伝子マーカー。
- 請求項5に記載の組換えベクターによる形質転換後、ブレオマイシン耐性を指標に目的遺伝子により形質転換された細胞を選択することを特徴とする、形質転換細胞のスクリーニング方法。
- 配列番号1または2記載のアミノ酸配列、若しくは該アミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が付加、欠失または置換されたアミノ酸配列を有し、且つブレオマイシン耐性活性をもたらすタンパク質。
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