[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ処理装置100の概略構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1のプラズマ処理装置100の平面アンテナを示す平面図である。図3は、図1のプラズマ処理装置100の上面の概略構成を示す斜視図である。図4は、図1のプラズマ処理装置100にける制御系統の概略構成例を示す図面である。
プラズマ処理装置100は、複数のスロット状の孔を有する平面アンテナ、特にRLSA(Radial Line Slot Antenna;ラジアルラインスロットアンテナ)にて処理容器内にマイクロ波を導入してプラズマを発生させることにより、高密度かつ低電子温度のマイクロ波励起プラズマを発生させ得るプラズマ処理装置として構成されている。プラズマ処理装置100では、1×1010〜5×1012/cm3のプラズマ密度で、かつ0.7〜2eVの低電子温度を有するプラズマによる処理が可能である。従って、プラズマ処理装置100は、各種半導体装置の製造過程において好適に利用できるものである。
プラズマ処理装置100は、主要な構成として、気密に構成された処理容器1と、処理容器1内にガスを供給するガス供給機構18と、処理容器1内を減圧排気するための排気機構としての排気装置24と、処理容器1の上部に設けられ、処理容器1内にマイクロ波を導入するマイクロ波導入機構27と、これらプラズマ処理装置100の各構成部を制御する制御手段としての制御部50と、を備えている。なお、ガス供給機構18、排気装置24およびマイクロ波導入機構27は、処理容器1内でプラズマを生成させるプラズマ生成手段を構成している。
処理容器1は、接地された略円筒状の容器である。なお、処理容器1は角筒形状に形成してもよい。処理容器1は、アルミニウム等の材質からなる底壁1aと側壁1bとを有している。
処理容器1の内部は、被処理体であるシリコンウエハ(以下、単に「ウエハ」と記す)Wを水平に支持するための載置台2が設けられている。載置台2は、熱伝導性の高い材質例えばAlN等のセラミックスにより構成されている。この載置台2は、排気室11の底部中央から上方に延びる円筒状の支持部材3により支持されている。支持部材3は、例えばAlN等のセラミックスにより構成されている。
また、載置台2には、その外縁部をカバーし、ウエハWをガイドするためのカバーリング4が設けられている。このカバーリング4は、例えば石英、AlN、Al2O3、SiN等の材質で構成された環状部材である。
また、載置台2には、温度調節機構としての抵抗加熱型のヒータ5が埋め込まれている。このヒータ5は、ヒータ電源5aから給電されることにより載置台2を加熱して、その熱で被処理基板であるウエハWを均一に加熱する。
また、載置台2には、熱電対(TC)6が配備されている。この熱電対6によって温度計測を行うことにより、ウエハWの加熱温度を例えば室温から900℃までの範囲で制御可能となっている。
また、載置台2には、ウエハWを支持して昇降させるためのウエハ支持ピン(図示せず)が設けられている。各ウエハ支持ピンは、載置台2の表面に対して突没可能に設けられている。
処理容器1の内周には、石英からなる円筒状のライナー7が設けられている。また、載置台2の外周側には、処理容器1内を均一排気するため、多数の排気孔8aを有する石英製のバッフルプレート8が環状に設けられている。このバッフルプレート8は、複数の支柱9により支持されている。
処理容器1の底壁1aの略中央部には、円形の開口部10が形成されている。底壁1aにはこの開口部10と連通し、下方に向けて突出する排気室11が設けられている。この排気室11には、排気管12が接続されており、この排気管12を介して排気装置24に接続されている。
処理容器1の上端には、処理容器1を開閉させる蓋体(リッド)としての機能を有し、開口部が形成された金属製のプレート13が配置されている。プレート13の内周下部は、内側(処理容器内空間)へ向けて突出し、環状の支持部13aを形成している。
処理容器1の側壁1bには、環状をなすガス導入部15が設けられている。このガス導入部15は、酸素含有ガスやプラズマ励起用ガスを供給するガス供給機構18に接続されている。なお、ガス導入部15はノズル状またはシャワー状に設けてもよい。
また、処理容器1の側壁1bには、プラズマ処理装置100と、これに隣接する搬送室(図示せず)との間でウエハWの搬入出を行うための搬入出口16と、この搬入出口16を開閉するゲートバルブ17とが設けられている。
ガス供給機構18は、例えばプラズマ形成用のAr、Kr、Xe、He等の希ガスや、酸化処理における酸素ガス、窒化処理における窒素ガスなどの処理ガス、CVD処理における原料ガス、さらに、処理容器内雰囲気を置換する際に用いるN2、Ar等のパージガス、処理容器1内をクリーニングする際に用いるClF3、NF3等のクリーニングガス等を供給するガス供給源(図示せず)を有している。各ガス供給源は、図示しないマスフローコントローラおよび開閉バルブを備え、供給されるガスの切替えや流量等の制御が出来るようになっている。
排気機構としての排気装置24は、例えばターボ分子ポンプなどの高速真空ポンプを備えている。前記のように、排気装置24は、排気管12を介して処理容器1の排気室11に接続されている。処理容器1内のガスは、排気室11の空間11a内へ均一に流れ、さらに空間11aから排気装置24を作動させることにより、排気管12を介して外部へ排気される。これにより、処理容器1内を例えば0.133Paまで高速に減圧することが可能となっている。
次に、マイクロ波導入機構27の構成について説明する。マイクロ波導入機構27は、主要な構成として、透過板28、平面アンテナ板31、遅波板33、導電性のカバー部材34、第1の導波管としての導波管37、マッチング回路38およびマイクロ波発生装置39を備えている。また、本実施の形態に係るプラズマ処理装置100においては、マイクロ波導入機構27に、平面アンテナ板31とカバー部材34とによって形成される偏平導波管内の電界分布を調整する第2の導波管としてのスタブ43を少なくとも1個以上(図1および図3では2個を例示)備えている。
マイクロ波を透過させる透過板28は、プレート13において内周側に張り出した支持部13a上に配備されている。透過板28は、誘電体、例えば石英やAl2O3、AlN等のセラミックスから構成されている。この透過板28と支持部13aとの間は、シール部材29を介して気密にシールされている。したがって、処理容器1内は気密に保持される。
平面アンテナ板31は、透過板28の上方において、載置台2と対向するように設けられている。平面アンテナ板31は、円板状をなしている。なお、平面アンテナ板31の形状は、円板状に限らず、例えば四角板状でもよい。この平面アンテナ板31は、プレート13の上端に係止されている。
平面アンテナ板31は、例えば図2に示したように、基材31aと、この基材31aにおいて所定のパターンで貫通して形成された多数のスロット32とを有している。基材31aは、例えば表面が金または銀メッキされた銅板またはアルミニウム板により構成されている。個々のスロット32は、細長い形状をなしている。また、スロット32は、その長手方向が異なるように配置された二つのスロット32が対をなして同心円状に配列されている。すなわち、基材31aの径方向に対してその長手方向が所定の第1の角度をなすスロット32aと、その長手方向が所定の第2の角度をなすスロット32bとが1組になって対をなし、さらに複数のスロット対が基材31aの周方向に同心円状に1列以上、好ましくは複数の列をなして配置されている。図2においては、同心円状に形成された隣接するスロット対どうしの間隔をΔrで示している。なお、間隔Δrは、スロット対の配置により適宜調整することができる。
なお、図2に示した平面アンテナ板31のスロット32の配置や個数、配置間隔、配置角度などは、あくまでも例示である。スロット32の長さや配列間隔は、マイクロ波の波長(λg)に応じて決定することができる。例えば、スロット32の間隔は、波長がλg/4からλgとなるように配置することが好ましい。なお、スロット32の形状は、円形状、円弧状等の他の形状であってもよい。さらに、スロット32の配置形態は特に限定されず、同心円状のほか、例えば、螺旋状、放射状等に配置することもできる。なお、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用の基板を処理対象とする場合には、複数のスロットを直線状や四角い螺旋状に配列することもできる。
偏平導波管を構成する平面アンテナ板31とカバー部材34との間には、真空よりも大きい誘電率を有する材料からなる遅波板33が設けられている。遅波板33は平面アンテナ板31を覆うように配置されている。遅波板33の材料としては、例えば、石英、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。この遅波板33は、真空中ではマイクロ波の波長が長くなることから、マイクロ波の波長を短くしてプラズマを調整する機能を有している。
なお、平面アンテナ板31と透過板28との間、また、遅波板33と平面アンテナ板31との間は、それぞれ接触させても離間させてもよいが、接触させることが好ましい。
処理容器1の上部には、これら平面アンテナ板31および遅波板33を覆うように、導波路を形成する機能も有するカバー部材34が設けられている。カバー部材34は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。プレート13の上端とカバー部材34とは、マイクロ波が外部へ漏えいしないように導電性を有するスパイラルシールドリングなどのシール部材35によりシールされている。また、カバー部材34には、冷却水流路34aが形成されている。この冷却水流路34aに冷却水を通流させることにより、カバー部材34、遅波板33、平面アンテナ板31および透過板28を冷却できるようになっている。この冷却機構により、カバー部材34、遅波板33、平面アンテナ板31、透過板28およびプレート13がプラズマの熱により変形・破損することが防止される。なお、カバー部材34は接地されている。
カバー部材34の上壁(天井部)の中央には、開口部36が形成されており、この開口部36には導波管37の下端が接続されている。導波管37の他端側には、マッチング回路38を介してマイクロ波を発生するマイクロ波発生装置39が接続されている。
導波管37は、上記カバー部材34の開口部36から上方へ延出する断面円形状の同軸導波管37aと、この同軸導波管37aの上端部にモード変換器40を介して接続された水平方向に延びる矩形導波管37bとを有している。モード変換器40は、矩形導波管37b内をTEモードで伝搬するマイクロ波をTEMモードに変換する機能を有している。
同軸導波管37aの中心には内導体41が延在している。この内導体41は、その下端部において平面アンテナ板31の中心に接続固定されている。このような構造により、マイクロ波は、同軸導波管37aの内導体41を介して偏平導波管の一部分を構成する平面アンテナ板31へ放射状に効率よく均一に伝搬される。
スタブ43は、図3にも示したように、断面視矩形をなす中空管状部材による方形導波管である。スタブ43は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。スタブ43は、カバー部材34の外周部において垂直方向に設けられている。スタブ43の下部は、カバー部材34に挿入され、カバー部材34を貫通している。スタブ43の上部はカバー部材34の上面から突出して設けられている。なお、本実施の形態のプラズマ処理装置100におけるスタブ43の形状、配置、配設数などに関しては、後に詳述する。
以上のような構成のマイクロ波導入機構27により、マイクロ波発生装置39で発生したマイクロ波が導波管37を介して平面アンテナ板31へ伝搬され、スロット32および透過板28を介して処理容器1内に導入されるようになっている。なお、マイクロ波の周波数としては、例えば2.45GHzが好ましく用いられ、他に8.35GHz、1.98GHz等を用いることもできる。
プラズマ処理装置100の各構成部は、制御部50に接続されて制御される構成となっている。制御部50は、図4に示したように、CPUを備えたコンピューターであるプロセスコントローラ51と、このプロセスコントローラ51に接続されたユーザーインターフェース52および記憶部53を備えている。プロセスコントローラ51は、プラズマ処理装置100において、例えば温度、ガス流量、圧力、マイクロ波出力などのプロセス条件に関係する各構成部(例えば、ヒータ電源5a、ガス供給機構18、排気装置24、マイクロ波発生装置39など)に接続され、これらを統括して制御する制御手段である。
ユーザーインターフェース52は、工程管理者がプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等を有している。また、記憶部53には、プラズマ処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ51の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース52からの指示等にて任意のレシピを記憶部53から呼び出してプロセスコントローラ51に実行させることで、プロセスコントローラ51の制御下、プラズマ処理装置100の処理容器1内で所望の処理が行われる。また、前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリ、DVDなどに格納された状態のものを利用したり、あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
このように構成されたプラズマ処理装置100では、800℃以下(特に、室温から500℃程度)の低温で下地膜等へのダメージフリーなプラズマ処理を行うことができる。また、プラズマ処理装置100は、プラズマの均一性に優れていることから、プロセスの均一性を実現できる。
次に、本実施の形態に係るプラズマ処理装置100を用いたプラズマ処理の手順の一例について説明する。ここでは、処理ガスとして酸素を含有するガスを用い、ウエハ表面をプラズマ酸化処理する場合を例に挙げる。
まず、例えばユーザーインターフェース52から、プラズマ処理装置100でプラズマ酸化処理を行うように指令が入力される。この指令を受けて、プロセスコントローラ51は、記憶部53に保存されたレシピを読み出す。そして、レシピに基づく条件でプラズマ酸化処理が実行されるように、プロセスコントローラ51からプラズマ処理装置100の各エンドデバイス例えばガス供給機構18、排気装置24、マイクロ波発生装置39、ヒータ電源5aなどへ制御信号が送出される。
そして、図示しないゲートバルブを開にして搬入出口からウエハWを処理容器1内に搬入し、載置台2上に載置する。次に、処理容器1内を減圧排気しながら、ガス供給機構18から、不活性ガスおよび酸素含有ガスを所定の流量でそれぞれガス導入部15を介して処理容器1内に導入する。さらに、排気量およびガス供給量を調整して処理容器1内を所定の圧力に調節する。
次に、マイクロ波発生装置39のパワーをオン(入)にして、マイクロ波を発生させる。そして、発生した所定周波数例えば2.45MHzのマイクロ波は、マッチング回路38を介して矩形導波管37bに導かれる。矩形導波管37bに導かれたマイクロ波は、同軸導波管37aを通過し、偏平導波管を構成する平面アンテナ板31に供給される。つまり、マイクロ波は、矩形導波管37b内ではTEモードで伝搬し、このTEモードのマイクロ波はモード変換器40でTEMモードに変換されて、同軸導波管37a内を平面アンテナ板31に向けて伝搬されていく。そして、マイクロ波は、平面アンテナ板31を貫通して形成された孔であるスロット32から透過板28を介して処理容器1内(ウエハWの上方空間)に放射される。この際のマイクロ波出力は、透過板28の1cm2あたりのパワー密度として0.41〜4.19W/cm2の範囲内とすることが好ましい。マイクロ波出力は、例えば500〜5000Wの範囲内から目的に応じて上記範囲内のパワー密度になるように選択することができる。
平面アンテナ板31から透過板28を経て処理容器1に放射されたマイクロ波により、処理容器1内で電磁界が形成され、不活性ガスおよび酸素含有ガスがそれぞれプラズマ化する。このマイクロ波励起プラズマは、マイクロ波が平面アンテナ板31の多数のスロット32から放射されることにより、略1×1010〜5×1012/cm3の高密度で、かつウエハW近傍では、略1.5eV以下の低電子温度のプラズマとなる。このようにして形成されるマイクロ波励起高密度プラズマは、下地膜へのイオン等によるプラズマダメージが少ないものである。そして、プラズマ中の活性種例えばラジカルやイオンの作用によりウエハWのシリコン表面が酸化されてシリコン酸化膜SiO2の薄膜が形成される。
プロセスコントローラ51からプラズマ処理を終了させる制御信号が送出されると、マイクロ波発生装置39のパワーがオフ(切)にされ、プラズマ酸化処理が終了する。次に、ガス供給機構18からの処理ガスの供給を停止して処理容器1内を真空排気する。そして、ウエハWを処理容器1内から搬出し、1枚のウエハWに対するプラズマ処理が終了する。
次に、本実施の形態のプラズマ処理装置100におけるスタブ43の詳細な構成について説明する。図5に示したように、本実施の形態においてはカバー部材34の外周部において、スタブ43を構成する断面矩形の中空管状部材43aの下部が、カバー部材34に設けられた開口部34bに挿入されている。中空ブロック状をなす中空管状部材43aは、カバー部材34を貫通して遅波板33の上面まで達している。なお、中空管状部材43の下端は遅波材33に当接していても、離間していてもよい。
また、図5では、スタブ43の上部がカバー部材34の上面から突出して設けられているが、突出していなくてもよい。スタブ43の高さH(つまり、導波路の長さ)は、スタブ43内でマイクロ波による定在波が発生するようにスタブ43内に伝搬するマイクロ波の管内波長λg(=154mm)に対し、λg以下の範囲となるように調整することが好ましく、例えばλg/4(=38mm)、λg/2(=77mm)、3λg/4(=115.5mm)等となる高さに設定することができる。また、スタブ43の横断面の面積も、スタブ43内に伝搬するマイクロ波の波長λgに応じて設定できる。
スタブ43の上部は、図5に示したように、蓋体44によって閉塞されて非開放状態としてもよいが、例えば図6に示したように、開口を有する開放状態としてもよい。プラズマへのマイクロ波の吸収率を大きくし、導波管37へのマイクロ波の反射を抑制するためには、図5に示したようにスタブ43の上部を閉塞することが好ましい。なお、スタブ43の上部を閉塞する手段としては蓋体44に限らず、例えば一体成形で上部を塞いでもよい。
また、スタブ43の上部を閉塞する場合、図5に示したような蓋体44に変えて、可動式の蓋部(可動体)を有する構成としてもよい(図示省略)。可動式の蓋部を用いることによって、スタブ43の有効管長さを任意に変化させることができるので、スタブ43の高さを実質的に可変に調節することができる。そして、スタブ43の高さを可変に調節することによって、後記実験例に示したように、透過板28における電界強度を容易に制御できる。従って、プラズマの均一性を高め、さらにウエハ面内での処理の均一性を向上させる観点で可動式の蓋部を用いることが有利である。なお、蓋部を上下に可動にする機構としては、特に制限はなく、例えば蓋部を上下動させて位置決めできる螺子機構(図27を参照)など任意の機構を採用することができる。
図7から図9に、スタブ43の別の構成例を示した。図7は、スタブ43の上部が断面矩形の中空管状部材43aにより構成され、スタブ43の下部がカバー部材34に形成された矩形の開口34bにより構成された態様を示している。中空管状部材43aは、例えば螺子などの図示しない任意の固定手段により、カバー部材34の上面に装着されている。図7に示したスタブ43においては、中空管状部材43aの空洞部分と、カバー部材34の開口34bとが位置合わせされて鉛直方向に導波路を形成している。なお、図7に示したスタブ43においても、蓋体44の配備は任意である。
図8は、カバー部材34に形成された矩形の開口34bにより構成されたスタブ43の態様を示している。図8に示したスタブ43においては、カバー部材34の開口34bのみによって鉛直方向に導波路が形成されている。従って、スタブ43の高さHは、カバー部材34の厚みに一致する。なお、図8に示したスタブ43においても、蓋体44の配備は任意である。
図9は、カバー部材34の下面に形成された凹部34cにより構成されたスタブ43の態様を示している。凹部34cは、カバー部材34の下方に配置された遅波板33に向けて開口をなしている。図9に示したスタブ43においては、カバー部材34の凹部34cのみによって鉛直方向に導波路が形成されている。従って、スタブ43の高さHは、カバー部材34の厚みよりも小さい。
本実施形態のプラズマ処理装置100では、処理容器1内でプラズマを均一に生成させ、ウエハWの中央部と周縁部付近での処理の均一性を確保するため、平面アンテナ板31の周縁部近傍の上方にスタブ43を配設した。前記のとおり、マイクロ波発生装置39で発生したマイクロ波は、同軸導波管37aを介して平面アンテナ板31の中央部に供給され、平面アンテナ板31とカバー部材34とによって構成される放射状の導波路(偏平導波管)を伝搬していく。マイクロ波は、導波路を伝搬する距離が長くなるに従い、反射波が大きくなり、定在波が減衰する。このため、偏平導波管内においてマイクロ波により生じる電界は、同軸導波管37aの下端部を介してマイクロ波が偏平導波管内に導入される部位である平面アンテナ板31の中央部で強くなり、平面アンテナ板31の周縁部近傍では弱くなる傾向がある。このように平面アンテナ板31上の電界分布が不均一になると、導波管37への反射係数が大きくなり、プラズマへのマイクロ波の吸収効率が低下する。つまり、処理容器1内に導入するマイクロ波の実効パワーが小さくなり、パワー損失が大きくなる。その結果、処理容器1内で生成するプラズマが不均一になる。特に、大径のウエハWを処理対象とすべく処理容器1を大型化すると、この問題が顕在化して処理容器1の側壁1b近傍のプラズマ密度が低下してウエハWの面内で均一な処理を行うことが困難になってしまう。
このような観点から、処理容器1内にマイクロ波を効率良く供給し、均一なプラズマを生成させるためには、スタブ43を平面アンテナ板31の外周部(つまり周縁部近傍)の上方に配設し、平面アンテナ板31上の電界分布を均一に近づけることが好ましい。特に、スタブ43を平面アンテナ板31の外周部に形成されたスロット32の上方に配設することにより、スタブ43を他の場所に配置する場合に比べて、スタブ43内へマイクロ波が導入されやすくなる。そして、スタブ43によって不均一なマイクロ波(反射波や定在波)が吸収されることにより、平面アンテナ板31上で均一な電界強度分布を形成することができる。また、偏平導波管の中央から入射したマイクロ波(入射波)が、放射状に平面アンテナ板31の径外方向に伝播する際に、偏平導波管の外周部でマイクロ波の反射(反射波)が発生しないようにすることができる。
本実施の形態では、中空管状のスタブ43の空洞部分が、平面アンテナ板31の外周部に形成されたスロット32の開口に重なるように、スタブ43を配置することが好ましい。さらに、スタブ43の空洞部分が、平面アンテナ板31の外周部に形成されたスロット32の開口面の中心(以下、単に「スロット32の中心」と記す)の上方に位置するようにスタブ43を配置することがより好ましい。また、平面アンテナ板31の外周部に形成されたスロット32の中心を周方向に結ぶ円弧上に、スタブ43の開口面の中心(以下、単に「スタブ43の中心」と記す)を位置させることが好ましい。特に、スタブ43の中心が、平面アンテナ板31の周縁部近傍のスロット32の中心と重なるようにスタブ43を配置することがより好ましい。また、スタブ43の空洞部分とスロット32の開口全体とが上下に重なるようにスタブ43を配置することが望ましい。
次に、図10から図12を参照して、平面アンテナ板31の径方向におけるスタブ43の配設位置の好ましい例について説明する。図10から図12は、平面アンテナ板31において最外周に配列されたスロット対(スロット32aおよびスロット32b)の位置に対するスタブ43の配置を示す説明図である。各図において、スタブ43は仮想線で示した。
スタブ43は、平面アンテナ板31において最外周に配列されたスロット対のうち、外側のスロット32aの外周側の端部と、内側のスロット32bの内周側の端部との間に、スタブ43の中心Osが位置するように配置することが好ましい。つまり、最外周のスロット対うちの外側にある複数のスロット32aの長手方向の外側端を結び、平面アンテナ板31の中心OAを中心とする第1の仮想円と、最外周のスロット対うちの内側にある複数のスロット32bの長手方向の内側端を結び、平面アンテナ板31の中心OAを中心とする第2の仮想円と、により囲まれた環状の領域内に、スタブ43の中心Osが位置し、かつ、平面視で、少なくとも1つのスロットの少なくとも一部がスタブ43と重なるように、スタブ43を配置することが好ましい。
図10は、平面アンテナ板31の外周部において、最外周に配列されたスロット対を構成する内側のスロット32bの中心O32bを周方向に結ぶ円弧R32b上にスタブ43の中心Osが位置するようスタブ43が配置された例を示している。図10では、特にスロット32bの中心O32bに、スタブ43の中心Osが重なるように位置合わせして配置されている。なお、図10では、スタブ43と重なる範囲内に、1個のスロット32bの全体が入る構成例を示しているが、これに限らず、スタブ43と重なる範囲内に複数のスロット32bの全体が入る(例えば、2つのスロット32bがスタブ43と重なる範囲内に入る)ように構成してもよい。また、スロット32bとスタブ43との相対的な大きさによって、スタブ43と重なる範囲内にスロット32bの一部分が入る(例えば、スロット32bが部分的にスタブ43に重なる)ように構成してもよい。
また、図11は、平面アンテナ板31の外周部において、最外周に配列されたスロット対を構成する外側のスロット32aの中心O32aを周方向に結ぶ円弧R32a上にスタブ43の中心Osが位置するように、スタブ43を配置した例を示している。図11では、特にスロット32aの中心O32aに、スタブ43の中心Osが重なるように位置合わせしている。なお、図11では、スタブ43と重なる範囲内に、1個のスロット32aの全体が入る構成例を示しているが、これに限らず、スタブ43と重なる範囲内に複数のスロット32aの全体が入る(例えば、2つのスロット32aがスタブ43と重なる範囲内に入る)ように構成してもよい。また、スロット32aとスタブ43との相対的な大きさによって、スタブ43と重なる範囲内にスロット32aの一部分のみが入る(例えば、スロット32aが部分的にスタブ43に重なる)ように構成してもよい。
前記のとおり、同軸導波管37aから平面アンテナ板31の中心に伝搬されたマイクロ波により、平面アンテナ板31の基材31a上に生じた表面電流は、平面アンテナ板31の径外方向へ向かって流れるが、途中でスロット32により遮られるため、スロット32の縁に電荷が誘起される。この電荷は、新たなマイクロ波の発生源となる。電荷はスロット32の長手方向の中央部付近に蓄積されやすいため、スロット32の中心には電界が集中しやすい。図10および図11に示した例では、スロット32a,32bの中心O32a,O32bの真上にスタブ43を配置して、スロット32の中心O32a,O32b付近での電界の集中を抑制した。
図10または図11に示したように、平面アンテナ板31の最外周に配列されたスロット対を構成するスロット32aまたは32bの中心O32aもしくはO32bに、スタブ43の中心Osが重なるようにスタブ43を配置することによって、遅波板33を挟んで下方のスロット32と上方のスタブ43とを上下に対向させることができる。図10または図11では、特に、スタブ43の空洞部分とスロット32の開口全体とが上下に重なるようにスタブ43を配置することが望ましい。以上のようなスタブ43の配置によって、スロット32付近の電界を上方へ広げることができる。これにより、平面アンテナ板31上での電界の集中や偏在が効果的に抑えられる。このように、スロット32a,32bの中心O32a,O32bに、スタブ43の中心Osが重なるようにスタブ43を配置することによって、平面アンテナ板31より下方の処理容器1内空間側の電界分布を均一に調整し、処理容器1内のプラズマの均一化を図ることが可能になる。なお、スタブ43の中心Osが、周方向において隣接する2つのスロット対の間に配置されるようにしてもよい。
なお、図10および図11に示した例において、最外周のスロット対を構成するスロット32aまたはスロット32bの中心O32a,O32bは、平面アンテナ板31の中心OAから、内側のスロット対を構成するスロット32c,32d(図10〜図12では一対のみ図示するが、一対とは限らない)の中心O32c、O32dを通る直線Xの延長線上に位置させている。
図12は、平面アンテナ板31の最外周に配列されたスロット対を構成するスロット32aおよびスロット32bの長手方向に直交する方向に、各スロット32a,32bの中心から、それぞれ垂線を引いた場合の交点Iに、スタブ43の中心Osを位置合わせした例を示している。つまり、スタブ43の中心Osを、交点Iに重ね、交点Iの上方にスタブ43が位置するようにスタブ43を配置している。なお、平面アンテナ板31の周方向に交点Iを結ぶ円弧RI上の任意の位置に、スタブ43の中心Osが位置するようにしてもよい。例えば、スタブ43の中心Osが、周方向において隣接する2つのスロット対の間に配置されるようにしてもよい。また、図12では、スタブ43と重なる範囲内に、1対のスロット32a,32bのほぼ全体が入る構成例を示しているが、これに限らず、スタブ43と重なる範囲内に、さらに多くのスロットが入るように構成してもよいし、複数のスロット対のそれぞれ一部分が入るように構成してもよい。
次に、図10〜図12に例示した平面アンテナ板31の径方向におけるスタブ43の三通りの配置について、プラズマ処理装置100の処理容器1に供給されるマイクロ波パワーおよび電界分布に与える影響をシミュレーションにより検証した。その結果を表1に示した。
<シミュレーション条件1>
シミュレーション条件は、以下のとおりである。
使用ソフトウエア:COMSOL(商品名;COMSOL社製)
径方向の配置:図13に模式的に示したように、円環状のスタブ43を想定した。円環上のスタブ43の幅Dの半分(D/2)の位置を結ぶ円弧が、図10に示した円弧R32bの上、図12に示した円弧RIの上、および、図11に示した円弧R32aの上にそれぞれ位置するように設定した。各円弧の半径(平面アンテナ板31の中心OAを通る鉛直軸から水平方向の距離)は、例えば、円弧R32bが184mm、円弧RIが200mmおよび円弧R32aが215mmとした。
スタブ:円環状のスタブ43の上部が閉塞したものと開口したものについて、それぞれ遅波板33の上面から鉛直方向に115.5mm(3λ/4)の高さに設定した。
境界条件:完全導体
プラズマの電子密度:透過板28から1cm下方に離れた位置で1×1012・cm−3に達し、それより下方でこの電子密度が維持されるように設定した。
誘電率:4.2(SiO2)、1.0(空気)に設定した。
圧力:13.3Pa(100mTorr)に設定した。
温度:500℃に設定した。
透過板:石英製アーチ形状に設定した。
平面アンテナ板:2つのスロットがハの字形(L字形)に対をなしてスロット対を形成し、このスロット対が同心円状に、内・外2回り配列された構造のものに設定した。
シミュレーションでは、図13に示したように、マイクロ波発生装置39から導波管37へ供給されるマイクロ波のパワー(供給パワー)PS、同軸導波管37aから処理容器1内に導入される正味のマイクロ波のパワー(導入パワー)PI、スタブ43から外部へ放出されるマイクロ波のパワー(放出パワー)PO、透過板28を介して、処理容器1内に生成するプラズマに吸収される(使用される)マイクロ波のパワー(吸収パワー)PA、スタブ43の壁面などで失われるマイクロ波のパワー(損失パワー)PL、同軸導波管37aへ反射されるマイクロ波のパワー(反射パワー)PRについて、供給パワーPSを2000Wに設定して各パワーのバランスを計算した。なお、PL=PI−PO−PAとして、またPR=PS−PIとして計算した。
表1中の「配置D1」は、図10に示した位置に対応するもので、平面アンテナ板31の中心OAからスロット32bの中心O32bまでの距離(184mm)に、円環上のスタブ43の半径が一致するように位置合わせした。「配置D2」は、図12に示した位置に対応するもので、平面アンテナ板31の中心OAから交点Iまでの距離(200mm)に、円環上のスタブ43の半径が一致するように位置合わせした。「配置D3」は、図11に示した位置に対応するもので、平面アンテナ板31の中心OAからスロット32aの中心O32aまでの距離(215mm)に、円環上のスタブ43の半径が一致するように位置合わせした。なお、比較のため、スタブ43を設けない場合についても同様の条件でシミュレーションを行った。
表1から、スタブ43を設けない場合に比べて、スタブ43を設けた配置D1〜D3では、上部が閉塞した場合および開放した場合の両方とも総じて吸収パワーPAが大きく、反射パワーPRが小さいことが判明した。従って、スタブ43を設けたことにより、スタブ43を設けない場合に比べ、導波管内の反射波が抑制され、処理容器1内へ効率よくマイクロ波を供給できることが示された。
また、スタブ43の上部が閉塞されている場合と開放されている場合とを比較すると、後者(開放されている場合)では放出パワーPOが大きく、前者(閉塞されている場合)に比べて吸収パワーPAが小さいことが判明した。従って、スタブ43の上部を閉塞状態とすることにより、処理容器1内へ効率よくマイクロ波を供給できることが示された。
以上の結果を受け、スタブ43の上部が閉塞状態であることを前提にスタブ43の配置を検討した。表1では、吸収パワーPAは、配置D1が700Wと最も大きく、次いで配置D3が675Wで大きかった。一方、配置D2は、吸収パワーPAが307Wにとどまった。
導波管37内へ反射されるマイクロ波の反射パワーPRについては、配置D1が1278Wと最も小さく、次いで配置D3が1304Wであったのに対し、配置D2は1667Wであり、配置D1や配置D3に比べて反射波の生成が多かった。
また、スタブ43横断面(下端から0.5mm上方の位置)、遅波板33の上面、遅波板33の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、平面アンテナ板31の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、透過板28の横断面(上端から9mm下方の位置)、透過板28の下面(平坦な部分)、透過板28(曲面部分を含む)と処理容器1内空間との界面、および、透過板28の下面から0.5mm下方の処理容器1内における電界分布をそれぞれ画像化して解析した。その結果、例えば平面アンテナ板31の中央横断面の電界分布は、配置D2では内周側のスロット対の周囲に電界の強い領域が偏在していたのに対し、配置D1と配置D3では、平面アンテナ板31の内周側のスロット対の周囲だけでなく、外周側のスロット対の近傍の領域も含めて平面アンテナ板31全体に一様に強い電界が広がっていた(結果は図示省略)。他の部位についての電界分布のシミュレーション結果も同様の傾向を示した。また、電界が強い部分は、平面アンテナ板31の中心OAから内周側のスロット対を通り、外周側のスロット対へと径外方向に放射状に形成される傾向があることが判明した。
以上のシミュレーション結果から、偏平導波管を構成する平面アンテナ板31上に発生する電界分布を調節するスタブ43を設けることにより、処理容器1内へ効率よくマイクロ波を供給できることが示された。
また、スタブ43の上部を閉塞状態にしておくことにより、上部を開放した場合に比べて、処理容器1内へ効率よくマイクロ波を供給できることが示された。
また、環状のスタブ43の空洞部分が、最外周のスロット対に重なるように配置することが好ましく、最外周のスロット対のうちの外側のスロット32aまたは内側のスロット32bに重なるように配置することがより好ましいことが示された。特に、スタブ43を配設する場所として、平面アンテナ板31の最外周のスロット対の内側のスロット32bの中心O32bに、スタブ43の中心Osを位置合わせした配置D1(図10参照)が最も好ましく、次いで最外周のスロット対の外側のスロット32aの中心O32aに、スタブ43の中心Osを位置合わせした配置D3(図11参照)が好ましいことが明らかになった。
次に、図14〜図19を参照しながら、スタブ43の設置数について説明する。
図14は中空ブロック状のスタブ43を1つ配設した状態、図15は中空ブロック状のスタブ43を2つ配設した状態、図16は中空ブロック状のスタブ43を3つ配設した状態を、それぞれ平面アンテナ板31に重ねて図示している。図17から図19は、図15に示したスタブ43を2個配置する場合の変形例である。なお、図14〜図19では、平面アンテナ板31のスロット32は、一部のみ図示し、説明に不要なスロット32は図示を省略している。スタブ43は、図15および図16に示したように、2つ以上配設することが好ましい。特に、図15に示したように、平面アンテナ板31の中心OAを挟んでその径方向に、2個のスタブ43を点対称に配置することが好ましい。平面アンテナ板31の径方向に2個のスタブ43を対称に配置することにより、平面アンテナ板31付近の電界分布を均一にする効果が最も高くなる。スタブ43を必要以上に多数配置しても、電界の分布を均一にする効果の向上が得られるとは限らず、逆に低下させてしまう場合がある。また、スタブ43を必要以上に多数配置することは、プラズマ処理装置100の部品点数を増加させ、装置コストを上昇させる要因になる。従って、スタブ43の配置個数は、2〜6個が好ましく、2〜4個がより好ましい。
また、マイクロ波は、同軸導波管37aから平面アンテナ板31の中心OA付近に導入され、平面アンテナ板31とカバー部材34によって形成される導波路を径外方向に円偏波となって伝搬し、径外方向に配列されたスロット32に沿って放射状に表面電流を生じさせる。このことから、平面アンテナ板31の中心から同心円状にスロット対が配列される場合には、スロット32が径外方向になす列に沿ってスタブ43を配置することが好ましい。例えば図14〜図16では、平面アンテナ板31の中心OAから、スロット32c,32dからなる内周側のスロット対(1対のみ図示するが一対とは限らない)を通り、スロット32a,32bからなる最外周のスロット対を結ぶX−X線によって、内周側から最外周へスロット32が径外方向へなす列を示している。一方、図14〜図16に示したY−Y線は、平面アンテナ板31の中心OAから、内側のスロット対(スロット32c,32d)は通らずに、最外周のスロット対(スロット32a,32b)を結ぶ直線である。スタブ43は、X−X線上またはY−Y線上のどちらに配置してもよいが、X−X線上に配置することが好ましい。例えばY−Y線上に重ねて2つのスタブ43を配置した場合に対して、図15に示したようにX−X線上に重ねて2つのスタブ43を配置した場合を比較すると、X−X線上に2つのスタブ43を対向配置することがより好ましい。
次に、図14〜図16に例示したスタブ43の三通りの配置について、プラズマ処理装置100の処理容器1に供給されるマイクロ波パワーおよび電界に与える影響をシミュレーションにより検討した。その結果を表2に示した。
<シミュレーション条件2>
シミュレーション条件は、以下のとおりである。
径方向の配置:中空ブロック状のスタブ43の中心が、平面アンテナ板31の最外周のスロット対における内側のスロット32bの中心O32bと上下に重なるようにスタブ43を1個、2個、または3個配置する設定にした(図10、配置D1参照)。
スタブ:上部が閉塞した断面視矩形で、長手方向の長さ100mm、幅35mm、遅波板の上面からの高さ115.5mm(3λ/4)に設定した。上記以外の条件は、シミュレーション条件1と同じであるため、説明を省略する。
シミュレーションでは、導入パワーPI、吸収パワーPA、損失パワーPL、反射パワーPRについて、供給パワーPSを2000Wに設定して各パワーのバランスを計算した(図13参照)。なお、PL=PI−PAにより、またPR=PS−PIにより算出した。
表2中の「設置数N1」は、1個のスタブ43を図14に示した位置に配設したものである。「設置数N2」は、2個のスタブ43を図15に示した互いに対向する位置に配設したものである。「設置数N3」は、3個のスタブ43を図16に示した周方向に120°ずつ離した位置に配設したものである。なお、比較のため、スタブ43を設けない場合についてのシミュレーション結果を再掲載した。
表2では、吸収パワーPAは、設置数N2が1559Wと最も大きく、次いで設置数N3が882Wで大きかった。一方、設置数N1では、吸収パワーPAが382Wであり、スタブ43を設けた場合では最も低かった。反射パワーPRについては、設置数N2が389Wと最も小さく、次いで設置数N3が1157Wであったのに対し、設置数N1は1589Wであり、設置数N1や設置数N3に比べて劣る結果となった。
また、スタブ43横断面(下端から0.5mm上方の位置)、遅波板33の上面、遅波板33の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、平面アンテナ板31の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、透過板28の横断面(上端から9mm下方の位置)、透過板28の下面(平坦な部分)、および透過板28(曲面部分を含む)と処理容器1内空間との界面における電界分布をそれぞれ画像化して解析したところ、設置数N2と設置数N3は、設置数N1に比べて電界がより均一に分布していることが確認された(結果は図示省略)。
以上のシミュレーション結果から、スタブ43を配設する個数としては、1個よりも複数例えば2個または3個が好ましいことが判明した。また、表1の結果と比較すると、円環状にスタブ43を設けるよりも、中空ブロック状のスタブ43を2個以上周方向に独立して設けた方が、吸収パワーPAが格段に大きくなることが判明した。従って、偏平導波管を構成する平面アンテナ板31の上方に、スタブ43を2個以上設けることにより、平面アンテナ板31上に発生する電界分布が均一に調節され、処理容器1内へ効率よくマイクロ波を供給できることが示された。
図14から図16に示した例では、最外周のスロット対のうち、内側のスロット32bの上方に中空ブロック状のスタブ43を重ねて配置した。しかし、例えば図17に示したように、最外周のスロット対を構成するスロット32aおよびスロット32bの中間位置の上方にスタブ43を配置してもよい。また、例えば図18に示したように、最外周のスロット対のうち、外側のスロット32aの上方にスタブ43を配置してもよい。さらに、例えば図19に示したように、対向する2つのスタブ43のうち、片方を最外周のスロット対の内側のスロット32bの上方に配置し、もう片方を、中心OAを挟んで反対側に位置する最外周のスロット対の外側のスロット32aの上方に配置してもよい。なお、図17から図19では、平面アンテナ板31の径方向に2個のスタブ43を対称に配置する場合を例に挙げたが、1個のスタブ43を配置する場合(図14参照)、3個のスタブ43を配置する場合(図16参照)も同様の配置の仕方が可能である。
次に、スタブ43の配置と個数が、処理容器1内に供給されるマイクロ波パワーおよび電界に与える影響をシミュレーションによりさらに詳細に検討した。その結果を表3に示した。
<シミュレーション条件3>
シミュレーション条件は、以下のとおりである。
周方向の配置:図20〜図26に示したように、7通りの配置・個数でスタブ43を配置し、シミュレーションを行った。図20〜図26では、平面アンテナ板31に対するスタブ43の配置を簡略化して模式的に示した。各図では、スロット32は図示を省略し、平面アンテナ板31の中心OAから、内周側のスロット対のスロット32c,32dと最外周のスロット対のスロット32a,32bを結ぶ線分X−Xによりスロット32の径方向の配列を示した。
径方向の配置:スタブ43の中心が、平面アンテナ板31の最外周のスロット対における内側のスロット32bの中心O32bに重なるように設定した(図10、配置D1参照)。
上記以外の条件は、シミュレーション条件2と同じであるため、説明を省略する。
シミュレーションでは、導入パワーPI、吸収パワーPA、損失パワーPL、反射パワーPRについて、供給パワーPSを2000Wに設定して各パワーのーバランスを計算した。なお、PL=PI−PAにより、またPR=PS−PIにより算出した。
表3中の「配置C1」では、図20に示したように、2個のスタブ43をX−X線上の互いに対向する位置に配設した。「配置C2」では、図21に示したように、2個のスタブ43を平面アンテナ板31の中心OAに対して非対称に配設した。なお、2個のスタブ43は周方向に120°離れた位置に配置されている。「配置C3」では、図22に示したように、3個のスタブ43を非対称な位置に配設した。3個のスタブ43のうち、2個のスタブ43は、配置C1と同様にX−X線上に互いに対向して配置されているが、残りの1個のスタブ43は60°の角度をずらした別のX−X線上に1個のみ配置されている。「配置C4」は、図23に示したように、4個のスタブ43を2本のX−X線上に別個に配設した。これら2本のX−X線は、60°の角度をなして平面アンテナ板31の中心OAで交差している。「配置C5」は、図24に示したように、4個のスタブ43を周方向に90°ずつ位置をずらして配設した。4個のスタブ43は、X−X線上から外れた位置(図14〜図19に示したY−Y線上)に対向して配置されている。「配置C6」は、図25に示したように、2個のスタブ43をX−X線上から外れた位置(図14〜図19に示したY−Y線上)で径方向に対向して配設したものである。「配置C7」は、図26に示したように、6個のスタブ43を周方向に60°ずつ位置をずらしたX−X線上に均等に配設した。なお、比較のため、スタブ43を設けない場合についてのシミュレーション結果も再掲載した。
表3から、配置C1から配置C7のいずれの配置でも、スタブ43を配置しない場合に比べて良好な結果であった。吸収パワーPAは、配置C3(図22)が1605Wと最も大きく、次いで配置C1(図20)が1559Wとほぼ同等の値であった。また、配置C5(図24)、配置C6(図25)についても、配置C3、配置C1に次いで吸収パワーPAが大きかった。一方、配置C2、配置C4、配置C7は、配置C1、配置C3、配置C5および配置C6よりも吸収パワーPAが小さかった。2個のスタブ43を、平面アンテナ板31の中心を挟んで径方向に非対称に配置した配置C2(図21)は、吸収パワーPAが小さく、最も低い結果となった。また、4個のスタブ43を周方向に60°ずらして配置した配置C4(図23)、6個のスタブ43を周方向に配置した配置C7(図26)も、吸収パワーPAが小さく期待した効果は得られなかった。
反射パワーPRについては、配置C1、配置C3、配置C5および配置C6がほぼ同等で小さく良好であった。これに対して、配置C2、配置C4および配置C7は、反射パワーPRが配置C1、配置C3、配置C5および配置C6に比べて大きく、反射率が高かった。
スタブ43を同じ個数配置した場合において、2個のスタブ43を配設した配置C1と配置C6の比較では、平面アンテナ板31の中心OAから、内周側のスロット対と、外周側のスロット対とを径外方向に結ぶX−X線上にスタブ43を配置した配置C1は、平面アンテナ板31の中心OAから、内周側のスロット対の位置は通らず、外周側のスロット対のみを通るY−Y線上にスタブ43を配置した配置C6よりも良好な結果が得られた。また、4個のスタブ43を配設した配置C4と配置C5との比較では、平面アンテナ板31の周方向に均等にスタブ43を配置した配置C5の方が格段に優れていた。
また、スタブ43横断面(下端から0.5mm上方の位置)、遅波板33の上面、遅波板33の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、平面アンテナ板31の中央横断面(厚さ×1/2の位置)、透過板28の横断面(上端から9mm下方の位置)、および、透過板28(曲面部分を含む)と処理容器1内空間との界面における電界分布をそれぞれ画像化して解析したところ、配置C3、配置C1が最も電界が均一に分布しており、次いで配置C5、配置C6が良好な電界分布であることが確認された(結果は図示省略)。
以上のシミュレーション結果から、スタブ43を配設する位置としては、平面アンテナ板31の中心OAから、内周側のスロット対と、外周側のスロット対とを径外方向に結ぶ線(X−X線)に重なる位置に、中心OAを挟んで対称に配置することが好ましいことがわかる。しかし、この規則に基づき配置をした場合でも、スタブ43の設置数が多くなると、逆にプラズマへのマイクロ波の吸収効率が低下することが示された。従って、スタブ43の設置個数は2〜4個の範囲内が好ましいことが判明した。
次に、プラズマ処理装置100にガスを導入してプラズマを生成したときの状態をシミュレーションした。シミュレーション条件は以下のとおりである。
<シミュレーション条件4>
径方向の配置:円環状のスタブ43を想定し、スタブ43の幅D(30mm)の半分(D/2)を結ぶ円弧の位置が、平面アンテナ板31の中心OAを通る鉛直軸から水平方向に184mmとなるように設定した(図13参照)。
スタブ:円環状のスタブ43の上部が閉塞したものについて、遅波板33の上面から115.5mm(3λ/4)の高さに設定した。
上記シミュレーション条件4で、透過板28を介して処理容器1内のプラズマに吸収されるマイクロ波のパワー(吸収パワー)PAは、スタブ43を設けなかった場合が641Wであったのに対し、スタブ43を設けた場合は1373Wであり、大幅に改善された。
また、処理容器1内におけるプラズマの電子密度と電子温度の分布を画像化したところ、スタブ43を設けた場合には、スタブ43を設けなかった場合に比べて、プラズマの電子温度および電子密度の両方が、透過板28の直下で、低電子温度および高電子密度の状態を維持しつつ、平面アンテナ板31の径方向に、より広範囲に均一に広がっていることが確認された。
また、処理容器1内におけるNラジカルとNイオンの分布を画像化したところ、スタブ43を設けた場合には、スタブ43を設けなかった場合に比べてNラジカル、Nイオンともに透過板28の直下で、平面アンテナ板31の径方向により広範囲まで均一に広がっていることが確認された。
上記のシミュレーション結果から、スタブ43を設けることにより、処理容器1内でプラズマを均一化できることが確認された。
スタブの高さを調節することにより処理の面内均一性を向上させることができるということを立証する実験を行った。実験方法およびその結果について以下に記述する。
まず、実験に用いたプラズマ処理装置の構成について図27を参照して説明する。図27に示すプラズマ処理装置は、図1に示すプラズマ処理装置に対して以下の点のみが異なる。まず、透過板28の下面中心に突起28aが設けられている。また、カバーリング4に代えて、載置台2表面全域を覆うカバー4aが設けられており、ウエハWの位置決めは、カバー4aの上面に設けられたガイド4bにより行われる。スタブ43に代えて、有効スタブ高さを変更できる4つのスタブ43Aが設けられている。スタブ43Aの内部には、可動体43aが設けられており、可動体43aは、ハンドル43bを回転させることにより、ボルト/ナット構造(詳細な構造は図示せず)により、上下方向に移動することができる。可動体43aは、スタブ43の蓋体44と同様にスタブの有効管長さを決定するため、可動体43aを上下動させることにより実質的なスタブ高さ(H)を変更することができる。
図28に示すように、平面アンテナ板31の基材31aには、外周部に24対のスロット対、中央部に8対のスロット対が形成されている。基材31aは、その外周部と中央部との間にスロット32が形成されていない中間部分を有する。スタブ43Aは、所定の直径のピッチ円上に90度間隔で配置されている。図28には、スタブ43Aの内壁面の輪郭が示されている。平面視において、平面アンテナ板31の外周部のスロット対(32a、32b)のうちの内側のスロット(32b)の中心を結ぶ円周上に、4つのスタブのそれぞれの中心が重なるようにスタブ43Aとスロットが配置されている。また、内周部のスロット対(32c、32d)の各スロットの中心と、外周部のスロット対(32a、32b)のうちの外側のスロット(32a)の中心を径外方向に結ぶ線上に、4つの各スタブ43Aの中心が重なり、かつ、外周部のスロット対(32a、32b)のうちの内側の少なくとも1つのスロット(32b)が、各スタブ43Aの内側に入るように、スタブ43Aとスロットが配置されている。
図29のグラフは、マイクロ波周波数が2.45GHzのときの、スタブ高さHと、スタブの下方における天板(透過板28)の電界強度との関係を示している。この図29から、スタブ高さHが20〜60mmの範囲内で、スタブ高さHが高くなるほど電界強度が小さくなり、かつ、スタブ高さHの変化に対する電界強度の変化が比較的緩やかになっていることがわかる。従って、スタブ高さHを20〜60mmの範囲で変動させることが、電界分布の微調整に適している。
なお、図29には示されていないが、電界強度はスタブ高さHがλ/2(λは管内波長)変化するたびに周期的に変動する。
[第1の実験]
実験にあたっては、表面に厚さ30オングストロームのSiO2熱酸化膜が形成された半導体ウエハを準備した。このウエハに対して図27および図28を参照して説明したマイクロ波プラズマ処理装置を用いてプラズマ窒化処理を施した。
第1の実験におけるプロセス条件は以下の通りである。
Arガス流量:1000mL/min(sccm)
N2ガス流量:200mL/min(sccm)
プロセス圧力:25Pa
マイクロ波出力:1900W(0.97W/cm2)
ウエハ温度:500℃
プロセス時間:50sec
まず、4つのスタブの高さを全て40mm(すなわち20〜60mmの中央値)とし、プラズマ窒化処理を行った。処理済のウエハ表面の25箇所において、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により、窒素濃度を測定した。その結果を、図30の表の左欄(「初期」)に示す。この表において、上段には各位置のスタブの高さが示されており、中段にはウエハ上の窒素濃度分布を示すマップが示されており、下段には処理の面内均一性の指標であるσ/AVE(すなわち窒素濃度の標準偏差/窒素濃度の平均値)と、Range/2AVE[すなわち、(窒素濃度の最大値−窒素濃度の最小値)/窒素濃度の平均値×2]が示されている。なお、スタブの位置とは、「1」がマップ中の紙面に向かって上、「2」がマップ中の紙面に向かって左、「3」がマップ中の紙面に向かって下、「4」がマップ中の紙面に向かって右の各位置を意味している(図28もあわせて参照)。中段のマップにおいては、窒素濃度が平均値付近の領域を「0」、それより窒素濃度が高い領域の濃度レベルに応じて「+1、+2、・・・」、それより窒素濃度が低い領域の濃度レベルに応じて「−1、−2、・・・」という値を付けている。
窒素濃度が低い領域に対応する位置のスタブの高さを低くし、窒素濃度が高い領域に対応する位置のスタブの高さを高くするという基本的方針に従い、STEP1〜3に示すように各位置のスタブの高さを変更しながらトライアンドエラーによって窒素濃度の面内均一性を高めていく過程が図30の表に示されている。この表によれば、スタブの高さを変更することにより電界強度分布を変化させて、窒素濃度分布を変化させることができるということが分かる。この第1の実験においては、図30のSTEP1〜3に示されるように、位置1のスタブ高さを40mmから50mmに増加させ、位置2のスタブ高さを40mmから25mmに減少させることにより、満足できる面内均一性が確保できた。
[第2の実験]
次に、第1の実験と同じプラズマ処理装置を用い、下記に示す別のプロセス条件により第2の実験を行った。
第2の実験におけるプロセス条件は以下の通りである。
Arガス流量:750mL/min(sccm)
N2ガス流量:200mL/min(sccm)
プロセス圧力:25Pa
マイクロ波出力:2000W(0.97W/cm2)
ウエハ温度:500℃
プロセス時間:50sec
その結果を、図31に示す。図31の(a)は初期、そして(b)は調整終了時の窒素濃度分布をそれぞれ示すマップである。調整の中間過程の説明は省略する。初期におけるスタブ高さは、全ての位置1,2,3,4において30mmであり、このときのσ/AVEは1.02、Range/2AVEは1.99であった。これに対して、スタブ高さを位置1で45mm、位置2で20mm、位置3で20mm、そして位置4で45mmと変更した結果、σ/AVEは0.43、Range/2AVEは1.03となり、面内均一性の大幅な向上が確認された。第1および第2の実験より、プロセス条件が異なっても、スタブ高さを変更することにより電界強度分布を変化させて、窒素濃度分布を変化させることができるということが確認できた。
なお、上記実験結果から、プロセス条件として、例えば圧力、マイクロ波パワー等の条件が大きく変化した場合においても、スタブ高さを変更することにより電界強度分布を変化させて、ウエハWの面内における窒素濃度分布を均一化できることが理解される。また、スロット配置が異なる場合、天板(透過板28)の形状が異なる場合、チャンバー間機差がある場合等においても、上記実験例と同様に、スタブ高さを調整することにより、電界強度を調整し、ウエハWの面内において均一な処理を実現することができる。
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は上記実施形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、平面アンテナ板31の径方向に対してスタブ43の長手方向が直交するように配置したが、これに限るものではない。また、例えば図32に示したように、スロット32の長手方向とスタブ43の長手方向が一致するように、スタブ43を配置してもよい。また、スタブ43は、平面アンテナ板31の最外周のスロット対を構成するスロット32a,32bの上に限らず、例えば異常に電界が強い場所であれば、平面アンテナ板31のどの位置のスロットの上に配置してもよい。
また、スタブ43の水平断面の形状は、矩形に限定されるものではなく、例えば正方形でもよいし、円形(楕円を含む)でもよい。さらに、同軸導波管37aを囲むように、スタブ43を円環状に連続した形状で形成してもよい。
また、本発明のスタブ43を備えたプラズマ処理装置は、例えばプラズマ酸化処理装置、プラズマ窒化処理装置やプラズマCVD処理装置、プラズマエッチング処理装置、プラズマアッシング処理装置などに適用できる。さらに、本発明のスタブ43を備えたプラズマ処理装置は、被処理体として半導体ウエハを処理する場合に限らず、例えば液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置などのフラットパネルディスプレイ装置用の基板を被処理体とするプラズマ処理装置にも適用できる。
1…処理容器、2…載置台、3…支持部材、5…ヒータ、12…排気管、15…ガス導入部、18…ガス供給機構、19a…不活性ガス供給源、19b…酸素含有ガス供給源、24…排気装置、27…マイクロ波導入機構、28…透過板、29…シール部材、31…平面アンテナ板、32…スロット、37…導波管、37a…同軸導波管、37b…矩形導波管、39…マイクロ波発生装置、43…スタブ、50…制御部、51…プロセスコントローラ、52…ユーザーインターフェース、53…記憶部、100…プラズマ処理装置、W…半導体ウエハ(基板)