JP2009098018A - 土壌水分計付き貫入試験器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の土壌水分計付き貫入試験器は、円筒状のロッド20と、ロッド20の下端部に着脱可能に装着された円錐状の貫入コーン40と、前記ロッド20の上部外周に設けられたノッキングヘッド55と、前記ノッキングヘッド55上の前記ロッド20部分に遊挿され、前記ノッキングヘッド55上に自由落下して当該ノッキングヘッド55を打撃することにより前記貫入コーン40を地盤中に貫入させる重錘50と、前記ロッド20の下端部に着脱可能に装着されるセンサ部34を有し、前記貫入コーン40と共に地盤中に貫入されて土壌中の体積含水率を計測する土壌水分計30とを備える。
【選択図】図1
Description
しかし、水の集中が起こりえない凸型斜面や平行斜面において発生する表層崩壊も決して少なくない。また、同じような斜面地形であっても表層崩壊が発生する場所と発生しない場所があり、表層崩壊の発生位置を正確に予測することは非常に困難である。
まず第1の方法は、土壌をサンプリングし、乾燥前後の重量を測ることにより土壌水分を計測する方法である。
第2の方法は、土壌に予め埋設した水分計によって土壌水分を計測する方法である。
しかし、これらの方法はいずれも、土壌水分の空間分解能を高めるために土壌のサンプリング場所、水分計の設置場所を増やす必要があり、手間や時間がかかる。
これに対して、第3の方法として、電気探査や地中レーダー等による非接触の土壌水分計測技術を用いる方法がある。しかし、この方法は、高価な装置を必要とする上、土壌水分以外の例えば岩石層や粘土層の特性が計測値に影響し、精度良く計測することができない。
a)円筒状のロッドと、
b)前記ロッドの下端部に着脱可能に装着された円錐状のコーン部と、
c)前記ロッドの途中部外周に設けられたノッキングヘッドと、
d)前記ノッキングヘッド上の前記ロッド部分に遊挿され、前記ノッキングヘッド上に自由落下して当該ノッキングヘッドを打撃することにより前記コーン部を地盤中に貫入させる重錘と、
e)前記ロッドの下端部に着脱可能に装着され前記コーン部と共に地盤中に貫入されるセンサ部を有し土壌中の体積含水率を計測する土壌水分計と
を備えることを特徴とする。
前記センサ部を、前記ロッドの下端部外周に着脱可能に装着される円筒部材と、
前記円筒部材の外周面に、その一部が露出するように螺旋状に埋め込まれた一対のステンレス製のワイヤとから構成し、
土壌水分計を、前記一対のワイヤに電磁波を伝える電磁波パルス発生装置と、前記電磁波パルス発生装置から前記一対のワイヤに伝えられた電磁波が当該一対のワイヤを往復する時間に基づき体積含水率を測定する測定部とを備えるTDR(Time Domain Reflectometry)式土壌水分計とすることができる。
本発明の土壌水分計付き貫入試験器はこのような貫入試験器を用いて構成したものであり、重錘を自由落下させてノッキングヘッドに衝突させることによりコーン部と共に土壌水分計を地盤に貫入させることができる。このため、土層内部の土壌水分の空間分布を精度良く且つ簡便に計測することができる。
本実施形態の土壌水分計付き貫入試験器は、ロッド20、土壌水分計30、貫入コーン40、重錘50から構成されている。
図1及び図2に示すように、ロッド20は、上部ロッド22及び下部ロッド24、これら上部ロッド22と下部ロッド24との間に介挿される延長ロッド26から構成されている。
図3に示すように土壌水分計30は電磁波パルス発生装置31,電磁波サンプリングレシーバー32からなる水分計本体33、及びセンサ部34から構成されている。前記センサ部34は下部ロッド24の下部に取り付けられている。
また、複数の延長ロッド26のうちの一つ或いは複数本を上部ロッド22と下部ロッド24の間に介挿可能に構成しても良い。更に、全体の長さ寸法が異なる複数本の延長ロッド26を用意し、これらのうちの1〜数本を上下部ロッド22,24の間に介挿するようにしても良い。
更に、上部ロッド22の下端部には下部ロッド24或いは延長ロッド26と連結するための連結部71が設けられている。連結部71は雄ねじ部71a及び円筒部71bから構成されている。
また、下部ロッド24の上下両端部には上部連結部77及び下部連結部78がそれぞれ形成されている。上部連結部77は、上部ロッド22或いは延長ロッド26に下部ロッド24を連結するためのもので、貫通孔24aに連通する雌ねじ部77a及び円筒状部77bから構成されている。雌ねじ部77a及び円筒状部77bはいずれも貫通孔24aよりも大きな内径寸法を有している。下部連結部78は貫入コーン40を下部ロッド24に連結するためのもので、貫通孔24aの内周面に形成された雌ねじから構成されている。
センサ部34は下部ロッド24の装着部73に装着されるアクリル樹脂製の円筒体35、この円筒体35の外周面に巻き付けられた2本のステンレスワイヤ36、これらステンレスワイヤ36と水分計本体33とを接続する接続部37から構成されている。
また、円筒体35の中央部の外周面には2本の平行な螺旋溝38が形成されており、この螺旋溝38に前記ステンレスワイヤ36が埋め込まれている。螺旋溝38の深さ寸法は約0.5mmに設定され、ステンレスワイヤ36の直径寸法は約0.55mmに設定されている。従って、螺旋溝38に埋め込まれたステンレスワイヤ36の一部は外部に露出する(図8(c)参照)。このような構成により、土壌中に円筒体35が貫入されたときのステンレスワイヤ36と土壌との接触性が向上する。
具体的には、水及び空気の誘電率はそれぞれ80及び1であることから、円筒体35を水中及び空気中に配置したときの水分計本体33の出力値から、土壌中に円筒体35を埋設したときの水分計本体33の出力値を補正する。
図9及び図10は、異なる6個のセンサ部34をそれぞれロッド20に装着したとき水分計本体33の出力値及び補正後の出力値を示している。図9及び図10に示すように、補正後の出力値の方がセンサ部34間のバラツキが小さくなり、センサ部34固有の特性を除去することができる。
また、貫入コーン40が地盤中に貫入されると、貫入コーン40の直ぐ上に位置する円筒体35が土壌中に埋没する。従って、この状態で電磁波パルス発生装置31から電磁波を発生させれば土壌中の比誘電率を求めることができる。
〈計測事例1〉
図11は、ある試験地において上記実施形態の貫入試験器(以下、CPMP(Combined Penetrometer-TDR Moisture Probe)という)及び長谷川式土壌貫入計(図11中「長谷川式」と示す)を用いて貫入抵抗値(drop/10cm)の鉛直分布を計測した結果を示している。図11では異なる2地点の計測結果を並べて示している。尚、長谷川式土壌貫入計は、土壌の貫入抵抗値の計測器として従来より広く用いられているものである。
図11に示すように、両計測器による貫入抵抗値は完全に一致しないものの、鉛直分布の傾向や特徴は良好に一致した。このことから、土壌水分計を取り付けたことによる貫入抵抗値の計測への影響は小さいと考えられる。
図12は、滋賀県内にある異なる2箇所の試験地において上述の貫入試験器(CPMP)及び既存の土壌水分計(比較例2)を用いて土壌の比誘電率の鉛直分布を計測した結果を示している。既存の土壌水分計として、TDR(Time Domain Reflectometry)式土壌水分計(型番:CS605)を用いた。
図12に示すように、両計測器による土壌の比誘電率は完全に一致しないものの、鉛直分布の傾向や特徴は良好に一致した。このことから、上述の土壌水分計付き貫入試験器は土壌水分の鉛直分布を精度良く計測できるといえる。
図13は滋賀県内の試験地である山腹斜面における体積含水率と土壌深さとの関係を、図14は当該試験地における貫入抵抗値及び乾燥密度と土壌深さとの関係を示した図である。
図13中、実線はCPMPを用いて計測した土壌の比誘電率(κ)を下記の換算式に代入して求めた体積含水率(cm3/cm3)を、黒丸の点は当該試験地において採取した土壌サンプルから秤量法を用いて求めた体積含水率を示している。
図13に示すように、比誘電率から演算により求めた体積含水率と秤量法により求めた体積含水率とは概ね一致した。また、図14に示すように、CPMPにより求めた貫入抵抗値と土壌サンプルの乾燥密度との間に正の相関が見られた。以上より、CPMPを用いることにより、実際の山腹斜面において詳細な土壌水分の分布、土質構造の計測が可能であることが分かる。
図15は滋賀県内にある試験地においてCPMPを用いて求めた貫入抵抗値及び比誘電率の鉛直分布を示している。この計測事例では、比較的深い土壌層(5m以上)で計測を行った結果を示している。図15に示すように、深い土壌層(約5m)であっても貫入抵抗値及び比誘電率を良好に計測できる。
図16は、滋賀県内にある試験地においてCPMPを用いて求めた貫入抵抗値及び比誘電率の鉛直分布を示している。当該試験地には地下水が存在しており、観測井戸により実測した地下水位を図16中に実線で示す。図16から、比誘電率が急激に上昇する深さと、地下水位とが良好に一致することが分かる。このことから、本実施例の貫入試験器を用いることにより、地下水の存在や地下水位を精度良く把握することができる。
図17は滋賀県内にある試験地においてCPMPを用いて求めた貫入抵抗値及び比誘電率の鉛直分布を示している。図17に示すように、当該試験地では比誘電率が局所的に高い土壌層位(図17において矢印で示す)が観察されたことから、この層位には水が流れていると考えられる。このように、本実施例の貫入試験器を用いることにより、土層内の水が流れる箇所を選択的に検出することができる。
図18は滋賀県内にある試験地において上記CPMPを用いて求めた貫入抵抗値及び比誘電率の二次元分布を示してる。図18上部の多数の矢印は貫入抵抗値等を計測した各地点を示している。図18から、当該試験地では貫入抵抗値が深さ方向に向かってほぼ均一に変化しているのに対して、比誘電率は極めて不均一に分布していることが分かる。このように、貫入抵抗値及び比誘電率の鉛直分布を複数箇所で連続的に計測することにより、貫入抵抗値及び比誘電率の二次元分布を把握することができる。
22・・・上部ロッド
24・・・下部ロッド
26・・・延長ロッド
30・・・土壌水分計
31・・・電磁波パルス発生装置
32・・・電磁波サンプリングレシーバー
33・・・水分計本体
34・・・センサ部
35・・・円筒体
36・・・ステンレスワイヤ
37a・・・信号線
37b・・・グランド線
38・・・螺旋溝
39・・・ストッパ
40・・・貫入コーン
41・・・円錐状部
50・・・重錘
55・・・ノッキングヘッド
Claims (4)
- a)円筒状のロッドと、
b)前記ロッドの下端部に着脱可能に装着された円錐状のコーン部と、
c)前記ロッドの途中外周に設けられたノッキングヘッドと、
d)前記ノッキングヘッド上の前記ロッド部分に遊挿され、前記ノッキングヘッド上に自由落下して当該ノッキングヘッドを打撃することにより前記コーン部を地盤中に貫入させる重錘と、
e)前記ロッドの下端部に着脱可能に装着され前記コーン部と共に地盤中に貫入されるセンサ部を有し土壌中の体積含水率を計測する土壌水分計と
を備えることを特徴とする土壌水分計付き貫入試験器。 - 前記センサ部は、前記ロッドの下端部外周に着脱可能に装着される円筒部材と、
前記円筒部材の外周面に、その一部が露出するように螺旋状に埋め込まれた一対のステンレス製のワイヤとから構成され、
土壌水分計は、前記一対のワイヤに電磁波を伝える電磁波パルス発生装置と、前記電磁波パルス発生装置から前記一対のワイヤに伝えられた電磁波が当該一対のワイヤを往復する時間に基づき体積含水率を測定する測定部とを備えるTDR(Time Domain Reflectometry)式土壌水分計であることを特徴とする請求項1に記載の土壌水分計付き貫入試験器。 - 前記ロッド内に挿通され、前記電磁波パルス発生装置と前記ワイヤとを電気的に接続する接続ケーブルを備え、
前記接続ケーブルの下端部は前記ロッド内の下端部において前記ワイヤに接続され、前記接続ケーブルの上端部は前記ロッドの上端部から外部に引き出されて前記電磁波パルス発生装置に接続されることを特徴とする請求項2に記載の土壌水分計付き貫入試験器。 - 前記ロッドは、上部ロッドと、この上部ロッドの下部に着脱可能に連結される下部ロッドと、前記上部ロッドと下部ロッドとの間に着脱可能に介挿され前記ロッド全体の長さを延長する延長ロッドとから構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の土壌水分計付き貫入試験器。
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