JP2009092682A - 音場制御装置および音場制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】屋外を含む比較的デッドな空間や、反射面が演奏位置・聴取位置から離れている大空間において、演奏空間や聴取空間の音場を改善することを目的とする。
【解決手段】音場制御反射パネル1において、反射板30の表面にはマイクロホン60が、反射板30の裏面にはスピーカ50が、そして反射板30と接続されたプレート10の上には制御部40が設けられ、それらが一体化されている。複数の音場制御反射パネル1で囲まれた空間において生じた演奏音は、反射板30で反射されると共に、マイクロホン60で収音され所定の音響処理が施されスピーカ50から放音される。該放音された音は反射板30を回り込み聴衆により聴取されると共に、マイクロホン60で収音されるとの具合に帰還ループを形成し、演奏音に残響効果を付与する。
【選択図】図1
【解決手段】音場制御反射パネル1において、反射板30の表面にはマイクロホン60が、反射板30の裏面にはスピーカ50が、そして反射板30と接続されたプレート10の上には制御部40が設けられ、それらが一体化されている。複数の音場制御反射パネル1で囲まれた空間において生じた演奏音は、反射板30で反射されると共に、マイクロホン60で収音され所定の音響処理が施されスピーカ50から放音される。該放音された音は反射板30を回り込み聴衆により聴取されると共に、マイクロホン60で収音されるとの具合に帰還ループを形成し、演奏音に残響効果を付与する。
【選択図】図1
Description
本発明は、音場制御装置および音場制御システムに関する。
多目的ホールにおいては、用途に応じて残響時間を制御することが求められる。例えば、クラシックコンサートでは、多少長い残響時間が好まれるが、講演会では短い残響時間が好まれる。従来、残響時間を制御するために、主に2つの方法が用いられている。
一方は、建築的な手法である。該手法としては、音響反射板・吸音材の設置や室内形状・内装仕様の変更などといった手法が挙げられる。建築的な手法は、最終的な音響特性を予測しやすいなどのメリットもあるが、建築的な改修には莫大な費用がかかるばかりか、そもそも物理的に困難であることもある。
他方は、電気音響的な手法である。電気音響的な手法の一例として、音場支援システム(Active Field Control: AFC)が挙げられる。AFCは、残響感、音量感、拡がり感といった主要な聴感印象を、電気的な支援により自然に制御することができるシステムである。電気音響的な手法によれば、クラシックコンサートと講演会などといった音響的に相反する用途への対応が容易であるばかりでなく、大規模な建築的改修を必要としない。
電気音響的な手法として、特許文献1においては、ハウリングを防止するための各種調整を容易に行うことを可能にする技術が開示されている。該特許文献1によれば、マイク、スピーカ、収音信号切換手段、イコライザ、FIRフィルタ、アンプを一体に組み込んでユニット化し、伝送ケーブルを介して複数のユニットを相互に接続する。伝送ケーブルからは、他ユニットの収音信号が供給され、収音信号切換手段で自ユニットの収音信号と他ユニットの収音信号を順次切り替えることにより、マイクとスピーカの接続状態が複数のユニット間で相互に切り替えられる。その結果、マイクとスピーカ間の伝送特性が平均化されて、カラレーション(周波数軸上に鋭いピークが現れること)の低減とハウリングマージンの拡大が図られる。また、上記の構成をユニット化してあるため、設置も容易である。
特許文献2においては、ホールの建築条件によらず、各客席で使用目的に応じた最適な音響特性を得ることが可能な音響改善椅子について記載されている。該音響改善椅子には、マイクロホンおよびスピーカが一体化されており、マイクロホンが周囲に到来する音を収音し、該収音信号の反射音信号を生成する。反射音信号は、スピーカにより周囲に向けて再生され、マイクロホンとスピーカとが音響的にフィードバックループを形成する。
特許文献3においては、聴感上の違和感を生じることなくカラレーションを低減しハウリングマージンを稼ぐ技術が開示されている。該特許文献3によれば、音響空間に複数のスピーカと複数のマイクロホンを設け、マイクロホンの収音信号を帰還信号路によってスピーカに供給するが、その際、制御マトリクスにより、マイクロホンとスピーカとの接続を時々刻々と切り替える。そうすることで、各音響帰還系を合わせたループゲインおよび周波数特性は平均化される。
特許文献4においては、音響空間中にマイクロホンおよびスピーカを設け、音響的にフィードバックループを形成する音響帰還系において、ハウリングやカラレーションを抑制する音場制御装置が開示されている。該特許文献4によれば、音響空間におけるマイクロホンとスピーカとで形成される開ループにおける開ループ伝達関数の最小位相要素の逆特性を有するフィルタをループ内に挿入することにより、開ループ伝達関数に起因する不安定要素を閉ループから除去することができる旨が記載されている。
上記特許文献に記載された技術において、マイクロホンは、演奏者や聴衆から臨界距離程度離れた天井、壁などの位置で収音していた。そして、該収音した音をスピーカにより再生し、ホール全体の音場を制御していた。その場合、演奏音はマイクロホンに到達する音圧レベルが低く、高いゲインで音圧レベルを確保することが必要であり、ハウリングが発生する傾向があった。
また、上記特許文献に記載された技術においては、マイクロホンやスピーカを、音響空間を形成する建築物に対して設置することが想定されていた。しかし、屋外や巨大な建築内など、比較的デッドな(響きが少ない)空間においても音響を制御することが望まれていた。
また、上記特許文献に記載された技術においては、マイクロホンやスピーカを、音響空間を形成する建築物に対して設置することが想定されていた。しかし、屋外や巨大な建築内など、比較的デッドな(響きが少ない)空間においても音響を制御することが望まれていた。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、屋外を含む比較的デッドな空間や、音の反射面が演奏位置・聴取位置から離れている大空間などにおいて、演奏空間や聴取空間の音場を改善することを目的とする。
本発明に係る音場制御装置は、音を反射する反射板と、前記反射板の片面に設けられ、収音し、収音した音を表す音信号を生成するマイクロホンと、前記マイクロホンにより生成された音信号に所定の音響処理を施す音響処理手段と、前記音響処理手段により音響処理が施された音信号を、ネットワークを介して出力する出力手段と、ネットワークを介して、音信号を受信する受信手段と、前記音響処理手段により音響処理が施された音信号、および前記受信手段により受信された音信号を放音するスピーカとを有することを特徴とする。
また、本発明に係る音場制御装置の別の態様は、音を反射する反射板と、前記反射板の片面に設けられ、収音し、収音した音を表す音信号を生成するマイクロホンと、前記マイクロホンにより生成された音信号に所定の音響処理を施す音響処理手段と、前記音響処理手段により音響処理が施された音信号を放音するスピーカとを有することを特徴とする。
本発明に係る音場制御装置は、上記の構成において、前記マイクロホンは、前記スピーカから放音された音を収音し、その結果音響の帰還ループが形成されるようにしても良い。
上記の構成において、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の周波数特性を変換しても良い。
また、上記の構成において、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の振幅を調整しても良い。
また、上記の構成において、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号に時間的遅延を施しても良い。その場合、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の周波数成分ごとに時間的遅延を施しても良い。
また、上記の構成において、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の振幅を調整しても良い。
また、上記の構成において、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号に時間的遅延を施しても良い。その場合、前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の周波数成分ごとに時間的遅延を施しても良い。
本発明に係る音場制御装置は、上記の構成において、前記反射板と前記マイクロホンと前記音響処理手段と前記スピーカとは、互いに一体化されているとしても良い。
上記の構成において、前記マイクロホンは、前記スピーカと前記反射板に関して反対の面に設けられており、前記スピーカから放音された音が直接前記マイクロホンに収音されないように前記音場制御反射パネル1に設けられていても良い。
また、上記の構成において、前記反射板は、マイクロホンが設けられている側に凸形状であるとしても良い。
本発明に係る音場制御システムは、上記に記載の音場制御装置が複数設けられ、該複数の音場制御装置が、前記ネットワークを介して互いに接続されていることを特徴とする。
本発明に係る音場制御装置および音場制御システムによれば、屋外を含む比較的デッドな空間や、反射面が演奏位置・聴取位置から離れている大空間などにおいて、演奏空間や聴取空間の音場を改善できる。
実施形態の説明に入る前に、以下の説明において用いる主な用語について説明する。
「直接音」とは、音源から空気中を伝播して聴取する人の耳に直接届く音である。
「残響音」とは、音源が発音を停止した後も連続して響いて聞こえる音であり、電気的にはリバーブ音とも呼ばれる。「残響音」は、主に2つの部分から成り立つと言われている。
「直接音」とは、音源から空気中を伝播して聴取する人の耳に直接届く音である。
「残響音」とは、音源が発音を停止した後も連続して響いて聞こえる音であり、電気的にはリバーブ音とも呼ばれる。「残響音」は、主に2つの部分から成り立つと言われている。
一方は、「初期反射音」である。初期反射音は、音源から出た音が壁や天井に反射して、直接音が聞こえた後の比較的早い期間に到来する音またはその一群の音であり、個々の初期反射音は時間軸上で独立している。なお、各初期反射音のレベルや到達時間と到来方向は、響きの聴感的な印象を決める上で重要な要素である。
他方は、「後部残響音」である。後部残響音は、直接音が聞こえて比較的時間が経過してから多数回反射して届く音であり、個々の反射音が区別して聞こえない。後部残響音は、方向・位相がランダムで指数関数的にレベルが減少する音によってモデル化される。
「残響時間」とは、一般に残響音のエネルギー密度が平衡状態から100万分の1(−60dB)のレベルに減衰するまでの時間(単位:秒)と定義されている。
「残響時間」とは、一般に残響音のエネルギー密度が平衡状態から100万分の1(−60dB)のレベルに減衰するまでの時間(単位:秒)と定義されている。
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施する際の最良の形態について説明する。
(A;構成)
本発明に係る音場制御反射パネル1の構成について説明する。音場制御反射パネル1が有する構成は、機械的構成と電気的構成に大別される。以下、機械的構成と電気的構成のそれぞれについて説明する。
(A;構成)
本発明に係る音場制御反射パネル1の構成について説明する。音場制御反射パネル1が有する構成は、機械的構成と電気的構成に大別される。以下、機械的構成と電気的構成のそれぞれについて説明する。
図1は、音場制御反射パネル1の機械的構成を中心に示す図である。機械的構成は、音場制御反射パネル1の土台となるプレート10と、該プレート10と一体化されて立てられている反射板30と、プレート10の下面に設けられたローラ20とからなる。
ここで、反射板30の形状について図2を参照して説明する。反射板30は、音を反射する剛性の高い材料で構成され、上部構造31と下部構造32とからなる。上部構造31は図2(a)の縦断面に示すように、鉛直方向から所定の角度だけ傾けて下部構造32の上端に接続されている。下部構造32は、図2(b)の水平断面に示すように、反射板30表面(図中左側)で凸となるように湾曲している。
再び図1に戻り、プレート10上には、制御部40(コンピュータ装置)が設置されている。
反射板30の表面(図中左側)にはマイクロホン60が設けられている。なお、マイクロホン60は存在が目立たないように表面等を意匠的に処理するのが望ましい。また、マイクロホン60は、収音される音の周波数特性が平坦であって効率的に収音されるように、反射板30の略中央に配置されるのが望ましい。
反射板30の裏面(図中右側)にはスピーカ50が設けられている。スピーカ50は鉛直上向きに放音されるように設けられている。スピーカ50から放音される音は、反射板30に経路を遮られるので、直接マイクロホン60に収音されることはない。
プレート10の下面にはローラ20が設けられており、音場制御反射パネル1全体を移動させることを容易にしている。
反射板30の表面(図中左側)にはマイクロホン60が設けられている。なお、マイクロホン60は存在が目立たないように表面等を意匠的に処理するのが望ましい。また、マイクロホン60は、収音される音の周波数特性が平坦であって効率的に収音されるように、反射板30の略中央に配置されるのが望ましい。
反射板30の裏面(図中右側)にはスピーカ50が設けられている。スピーカ50は鉛直上向きに放音されるように設けられている。スピーカ50から放音される音は、反射板30に経路を遮られるので、直接マイクロホン60に収音されることはない。
プレート10の下面にはローラ20が設けられており、音場制御反射パネル1全体を移動させることを容易にしている。
図3は、音場制御反射パネル1の主に電気的構成を示す図である。電気的構成は、上記、プレート10の上面に設置された制御部40と、D/A(Digital / Analog)コンバータ55を介してバスと接続されたスピーカ50と、A/D(Analog / Digital)コンバータ65を介してバスと接続されたマイクロホン60と、通信インタフェース(IF)部70と、これらの各部を接続するバスとからなる。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに格納された制御プログラムを実行することにより、音データに対して各種の音響処理を施す。
図4は、制御部40が音データに対して音響処理を施すための回路(以下、AFC回路)を表す図である。
制御部40は、バンドパスフィルタ(以下、BPF)42と、アンプ43と、遅延部44と、ミキシング部45とを含む。なお、同図に示すように、BPF42とアンプ43と遅延部44とからなる処理系統は複数設けられており、制御部40に入力された音データは、それら複数の処理系統に入力され、各々の処理系統で独立したパラメータに従って処理される。すなわち、各処理系統におけるBPF42のフィルタ特性とアンプ43の増幅率と遅延部44による遅延時間は、各処理系統ごとにユーザにより適宜設定されている。
制御部40は、バンドパスフィルタ(以下、BPF)42と、アンプ43と、遅延部44と、ミキシング部45とを含む。なお、同図に示すように、BPF42とアンプ43と遅延部44とからなる処理系統は複数設けられており、制御部40に入力された音データは、それら複数の処理系統に入力され、各々の処理系統で独立したパラメータに従って処理される。すなわち、各処理系統におけるBPF42のフィルタ特性とアンプ43の増幅率と遅延部44による遅延時間は、各処理系統ごとにユーザにより適宜設定されている。
制御部40における処理内容を詳細に説明する。各処理系統に入力された音データは、まず、BPF42により特定の周波数成分が抽出される。各処理系統におけるBPF42のフィルタ特性は、透過する帯域が隣接する処理系統で所定量ずれており全ての処理系統で全ての周波数帯域がカバーされるように設定されている。BPF42を透過した周波数成分の振幅はアンプ43により調整される。
続いて遅延部44により、上記周波数成分の時間を遅延させる処理が行われる。なお、低い周波数成分を通過させるフィルタ特性を有するBPF42と対応する遅延部44には大きな遅延時間が設定されており、高い周波数成分を通過させるBPF42と対応する遅延部44には小さい遅延時間が設定されている。これは、一般に低音域成分ほど反射面において吸音されにくい傾向があるため、残響音に含まれる低音域成分のエネルギーの立ち上がりが遅くなる現象を電気的に模擬したものである。
遅延部44から出力された音データはミキシング部45によりミキシング処理(合成)され、バスへ出力される。
遅延部44から出力された音データはミキシング部45によりミキシング処理(合成)され、バスへ出力される。
このように、AFC回路に複数の処理系統が設けられていることにより、周波数成分ごとに振幅が調整される所謂イコライザ処理が行われる。また、各処理系統で遅延時間が異なることから、周波数成分ごとに異なる遅延時間が付与されている。
再び図3に戻り、スピーカ50は、D/Aコンバータ55においてアナログ信号に変換された音信号に基づいて音を放音する。
マイクロホン60は無指向性の収音手段である。マイクロホン60は、反射板30の表面に届く音を表す音信号を生成し、A/Dコンバータ65に出力する。A/Dコンバータ65において、該音信号はデジタルデータ(音データ)に変換される。
マイクロホン60は無指向性の収音手段である。マイクロホン60は、反射板30の表面に届く音を表す音信号を生成し、A/Dコンバータ65に出力する。A/Dコンバータ65において、該音信号はデジタルデータ(音データ)に変換される。
通信IF部70は、後述するネットワークに有線接続されている。この通信IF部70は、制御部40から受取った音データをネットワークへ送出する。また、通信IF部70は、ネットワークを介して音データを受信し、制御部40へ出力する。
以上が音場制御反射パネル1の構成である。
以上が音場制御反射パネル1の構成である。
(B;動作)
次に、上記の構成を有する音場制御反射パネル1の動作について説明する。
次に、上記の構成を有する音場制御反射パネル1の動作について説明する。
(B−1;音場制御反射パネル1の設置態様)
音場制御反射パネル1の設置方法について説明する。図5は、音場制御反射パネル1の配置を示した平面図である。同図に示した空間は、例えば屋外の広場であり、音を反射する建築物などが何もない空間である。同図は、空間の上方から見下ろした場合の音場制御反射パネル1の配置を示している。音場制御反射パネル1の設置方向は、各反射板30の形状を用いて模式的に示されている。該模式図において、凸面が音場制御反射パネル1の反射板30の表面である。
音場制御反射パネル1の設置方法について説明する。図5は、音場制御反射パネル1の配置を示した平面図である。同図に示した空間は、例えば屋外の広場であり、音を反射する建築物などが何もない空間である。同図は、空間の上方から見下ろした場合の音場制御反射パネル1の配置を示している。音場制御反射パネル1の設置方向は、各反射板30の形状を用いて模式的に示されている。該模式図において、凸面が音場制御反射パネル1の反射板30の表面である。
音場制御反射パネル1は、同図に示すように8つ配置されている。以下では、それらを互いに区別する場合には、同図に示されるように、それぞれ音場制御反射パネル1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1Hと表す。設けられた音場制御反射パネル1のうち4つは、演奏者が演奏をする演奏エリア3の背後に、該エリアを半円状に取り囲むように配置されている。残り4つの音場制御反射パネル1は、聴衆が該演奏を聴取する聴取エリア4の両側方に2つづつ設けられている。
空間に設けられた8つの音場制御反射パネル1は、図に示すように、音場制御反射パネル1Aと1Hの間を除き、隣り合う音場制御反射パネル1との間で、通信IF部70を介してネットワーク接続されている。該ネットワークを、以下ではネットワーク2と呼ぶ。音場制御反射パネル1は、該ネットワーク2を介して、音データを他の音場制御反射パネル1とやり取りすることができる。
(B−2;各々の音場制御反射パネル1の処理内容)
まず、複数の音場制御反射パネル1がネットワーク接続されたシステムにおいて、各々の音場制御反射パネル1が実行する音響処理について説明する。
音場制御反射パネル1の音響処理は、反射板30により主に初期反射音を生成する「パッシブな処理」と、AFC回路により主に後部残響音を生成する「アクティブな処理」とに大別される。
まず、複数の音場制御反射パネル1がネットワーク接続されたシステムにおいて、各々の音場制御反射パネル1が実行する音響処理について説明する。
音場制御反射パネル1の音響処理は、反射板30により主に初期反射音を生成する「パッシブな処理」と、AFC回路により主に後部残響音を生成する「アクティブな処理」とに大別される。
まず、「パッシブな処理」について説明する。反射板30の表面に到達した音は、反射板30の表面で反射板30の前方の空間に反射される。上部構造31は主に斜め上方に向かう演奏音を反射し、下部構造32は主に反射板30の表面に到達した演奏音を反射する。なお、上述のように、下部構造32は、反射板30の表面が凸となるように湾曲しているが、これはパラボラアンテナのように、反射板30の表面で反射した演奏音が特定の位置に集中し該位置で強めあうことを避けるためである。
次に、「アクティブな処理」について説明する。反射板30の表面に到達した音はマイクロホン60により収音され、該収音された音を表す音信号が生成される。該音信号は、A/Dコンバータ65によりデジタルデータへと変換され、制御部40に入力される。制御部40は、上記AFC回路により該音データに音響処理を施す。
簡単には、AFC回路に入力された音データは、各処理系統において周波数帯域ごとに所定の音響処理が施される。すなわち、アンプ43により振幅が調整され、遅延部44により時間的に遅延する処理が施される。各処理系統において生成された音データはミキシング部45により合成されバスに出力される。
簡単には、AFC回路に入力された音データは、各処理系統において周波数帯域ごとに所定の音響処理が施される。すなわち、アンプ43により振幅が調整され、遅延部44により時間的に遅延する処理が施される。各処理系統において生成された音データはミキシング部45により合成されバスに出力される。
その結果、合成された音データにおいては、振幅および周波数特性が調整されると共に、低い周波数成分ほど遅延時間が多くなるように調整される。制御部40は、上記のように生成された音データを、他の音場制御反射パネル1に出力する。また、制御部40は、該音データを、D/Aコンバータ55によりアナログ信号に変換させた後、当該音場制御反射パネル1のスピーカ50から放音させる。
以上が、個々の音場制御反射パネル1の処理内容である。
以上が、個々の音場制御反射パネル1の処理内容である。
(B−3;複数の音場制御反射パネル1による処理内容)
上述した個々の動作が、複数の音場制御反射パネル1について組み合わされることにより実現される音響処理について説明する。
上述した個々の動作が、複数の音場制御反射パネル1について組み合わされることにより実現される音響処理について説明する。
図5に示すように、まず、演奏エリア3で演奏音が発生する。該演奏音は、演奏者に直接音として聴取されると共に、演奏エリア3の背後にある音場制御反射パネル1の反射板30で反射され、該反射音(主に初期反射音)は演奏者自身によって聴取される。
また、演奏音は、聴取エリアにおける聴衆によって直接音として聴取されると共に、聴取エリア4の側方にある音場制御反射パネル1の反射板30で反射され、該反射音(主に初期反射音)は聴衆により聴取される。
また、演奏音は、聴取エリアにおける聴衆によって直接音として聴取されると共に、聴取エリア4の側方にある音場制御反射パネル1の反射板30で反射され、該反射音(主に初期反射音)は聴衆により聴取される。
例えばホールなどであれば、演奏者は、自らの演奏の直接音に加えて残響音(初期反射音や後部残響音)を聴取することにより、演奏内容を確かめたり、演奏をしているという実感を得たりすることができる。また、聴衆は、残響音により演奏音の迫力や余韻を楽しむことができる。
しかし、音を反射する建築物などが元々ない空間においては、音場制御反射パネル1がなければ、演奏者や聴衆は演奏音の直接音だけしか聴取することができない。そのような場合、演奏者は演奏をするための手がかりあるいは演奏をしているという実感が得られない傾向にあるし、聴衆は演奏の迫力や余韻を楽しむことが出来ない。しかし、本実施形態においては、音場制御反射パネル1の存在により、上記の問題が抑制される。
以上が音場制御反射パネル1による「パッシブな音響処理」に基づく音の伝達である。
しかし、音を反射する建築物などが元々ない空間においては、音場制御反射パネル1がなければ、演奏者や聴衆は演奏音の直接音だけしか聴取することができない。そのような場合、演奏者は演奏をするための手がかりあるいは演奏をしているという実感が得られない傾向にあるし、聴衆は演奏の迫力や余韻を楽しむことが出来ない。しかし、本実施形態においては、音場制御反射パネル1の存在により、上記の問題が抑制される。
以上が音場制御反射パネル1による「パッシブな音響処理」に基づく音の伝達である。
次に、音場制御反射パネル1による「アクティブな音響処理」に基づく音の伝達について説明する。
演奏音は各音場制御反射パネル1に到達すると、反射板30の表面に設けられたマイクロホン60により収音され、該収音された音を表す音信号が生成される。
該音信号はスピーカ50により放音される。その場合、スピーカ50は、音場制御反射パネル1の反射板30の裏面に設けられていることから、放音された音は、反射板30を回りこんで演奏者または聴衆に伝わる。その結果、演奏者または聴衆は、スピーカ50の存在を意識することなく音を聞くことができる。また、スピーカ50とマイクロホン60は反射板30を介して設けられていることから、ハウリングを起こしにくいとの効果もある。
また、マイクロホン60により生成された音信号は、デジタルデータへ変換された後、制御部40のAFC回路により音響処理され、ネットワーク2を介して他の全ての音場制御反射パネル1に出力される。そして、他の全ての音場制御反射パネル1から受取った音データは、各音場制御反射パネル1において、スピーカ50により放音される。従って、ある音場制御パネル1のマイクロホン60で収音した演奏音を、該マイクロホンを有する音場反射パネル1に設けられたスピーカ50より放音する経路を含まないので、ハウリングを起こしにくい。
演奏音は各音場制御反射パネル1に到達すると、反射板30の表面に設けられたマイクロホン60により収音され、該収音された音を表す音信号が生成される。
該音信号はスピーカ50により放音される。その場合、スピーカ50は、音場制御反射パネル1の反射板30の裏面に設けられていることから、放音された音は、反射板30を回りこんで演奏者または聴衆に伝わる。その結果、演奏者または聴衆は、スピーカ50の存在を意識することなく音を聞くことができる。また、スピーカ50とマイクロホン60は反射板30を介して設けられていることから、ハウリングを起こしにくいとの効果もある。
また、マイクロホン60により生成された音信号は、デジタルデータへ変換された後、制御部40のAFC回路により音響処理され、ネットワーク2を介して他の全ての音場制御反射パネル1に出力される。そして、他の全ての音場制御反射パネル1から受取った音データは、各音場制御反射パネル1において、スピーカ50により放音される。従って、ある音場制御パネル1のマイクロホン60で収音した演奏音を、該マイクロホンを有する音場反射パネル1に設けられたスピーカ50より放音する経路を含まないので、ハウリングを起こしにくい。
さて、以上の説明から、各音場制御反射パネル1の反射板30の表面には、演奏音の直接音や初期反射音に加え、自らの音場制御反射パネル1において収音された音、およびネットワーク2を介して他の複数の音場制御反射パネル1から供給された音データに基づく音が到達する。
このように、様々な伝搬経路を経て音場制御反射パネル1の表面に到達した音は、演奏者や聴衆により聴取されると共に、反射板30の表面に設けられたマイクロホン60により再び収音され、該マイクロホン60により収音された音を表す音信号が生成される。該生成された音信号は、スピーカ50により再び放音されると共に、当該音場制御反射パネル1の制御部40により音響処理され、処理された音データは他の音場制御反射パネル1に出力される。
以上の説明によれば、演奏音が一旦生成されると、該演奏音は、直接又は反射しながら空気中を伝播すると共に、各音場制御反射パネル1のマイクロホン60により収音され、所定の音響処理が施された後に空間内に放音される。該放音された音は、再び空気中を伝播する。以上のサイクルが繰り返されることとなる。このように、複数の音場制御反射パネル1がネットワーク2で接続された空間においては、音(音および音データ)の伝搬経路に複数の帰還ループが形成され、該複数の帰還ループの組み合わせにより無数の伝搬経路が形成される。
その際、個々の伝搬経路をたどる演奏音は、空気中の伝播またはAFC回路による音響処理によって、周波数特性が変化すると共に振幅は減衰する。また、各伝搬経路を通過する際に、遅延部44により遅延処理が施されたり、空気中を伝播することにより音に遅れが生じたりする。
それらの音響効果は、上記伝搬経路ごとに異なることから、無数の伝搬経路のそれぞれを経た成分は、互いに異なる音響効果が付与されている。そのような個々の伝搬経路をたどった無数の演奏音が演奏者や聴衆の耳に届いた場合には、個々の成分は聴覚的にもはや互いに区別が出来ないようになっており、振幅が滑らかに減衰する「自然な後部残響音」として聴取される。
なおユーザは、演奏音を発生させながら、上記AFC回路に含まれるBPF42、アンプ43、および遅延部44に設定されるパラメータを適宜調整することにより、最適な残響音が空間に生成されるようにしても良い。
以上が、音場制御反射パネル1による「アクティブな音響処理」に基づく音の伝達である。
それらの音響効果は、上記伝搬経路ごとに異なることから、無数の伝搬経路のそれぞれを経た成分は、互いに異なる音響効果が付与されている。そのような個々の伝搬経路をたどった無数の演奏音が演奏者や聴衆の耳に届いた場合には、個々の成分は聴覚的にもはや互いに区別が出来ないようになっており、振幅が滑らかに減衰する「自然な後部残響音」として聴取される。
なおユーザは、演奏音を発生させながら、上記AFC回路に含まれるBPF42、アンプ43、および遅延部44に設定されるパラメータを適宜調整することにより、最適な残響音が空間に生成されるようにしても良い。
以上が、音場制御反射パネル1による「アクティブな音響処理」に基づく音の伝達である。
(B−4;動作のまとめ)
以上に説明した音場制御反射パネル1の「パッシブな音響処理」および「アクティブな音響処理」により、以下のような音場が実現される。すなわち、無数の伝搬経路をたどった音が重ねあわされることによる「音量感」の増強、それぞれ異なる時間長の遅延が各周波数成分に与えられ残響音が生成されていることによる「残響(音)の自然さ」、および、それら無数の伝搬経路をたどった音が減衰しながら帰還ループを繰り返すことにより生成される「残響感」などが演奏者および聴衆に与えられる。
以上に説明した音場制御反射パネル1の「パッシブな音響処理」および「アクティブな音響処理」により、以下のような音場が実現される。すなわち、無数の伝搬経路をたどった音が重ねあわされることによる「音量感」の増強、それぞれ異なる時間長の遅延が各周波数成分に与えられ残響音が生成されていることによる「残響(音)の自然さ」、および、それら無数の伝搬経路をたどった音が減衰しながら帰還ループを繰り返すことにより生成される「残響感」などが演奏者および聴衆に与えられる。
また、演奏エリア3の背後にある音場制御反射パネル1に設けられたマイクロホン60は演奏者に近いことから、該マイクロホン60により生成された音信号は演奏音を明瞭に表すが、該音信号が、聴取エリア4の側方に設けられた音場制御反射パネル1のスピーカ50から供給されることにより、演奏者から離れた聴衆でも明瞭な演奏音を聞くことが可能になる。該効果は、上記実施形態のように周囲に音を反射するものがない空間や大きな空間においては非常に顕著となる。
更には、以上に説明した音場制御反射パネル1は、反射板30とマイクロホン60とスピーカ50と制御部40とを含むコンピュータ装置が、一体化されており容易に移動可能となっている。従って、音場制御反射パネル1を設ける空間の制限(空間の形状、建築の改修の可否など)によらず容易に音場を生成することが可能である。
(C;変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。なお、以下に説明する種々の実施形態を、適宜組み合わせて実施することも可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように種々の態様で実施することができる。なお、以下に説明する種々の実施形態を、適宜組み合わせて実施することも可能である。
(1)上記実施形態においては、音場制御反射パネル1が空間に8つ設けられる場合について説明した。しかし、設けられる音場制御反射パネル1の数は8つに限定されるものではなく、1または複数であれば良い。音場制御反射パネル1が設けられる空間の大きさ、特性、ユーザのニーズなどに応じて最適の数設けられれば良い。
なお、音場制御反射パネル1が1つ設けられた場合には、ネットワーク2を介した他の音場制御反射パネル1との音データのやりとりは実現できないが、その場合においても、反射板30により初期反射音が演奏者に聴取されるだけでなく、マイクロホン60により収音された音が反射板30の裏面に設けられたスピーカ50から放音され、反射板30を回り込んで演奏者に聴取される。更には、該スピーカ50から回り込んだ音は、再びマイクロホン60により収音されスピーカ50から放音されるという具合に帰還ループを形成し、残響音を生成することができる。
また、上記実施形態においては、図5に示すように、複数の音場制御反射パネル1をネットワークで接続して用いる場合について説明した。しかし、空間に複数の音場制御反射パネル1を設ける場合にも、それらをネットワークで接続せず、各音場制御反射パネル1を単独で機能させても良い。その場合には、個々の音場制御反射パネル1が上述の音響効果を奏する。
また、上記実施形態においては、図5に示すように、演奏エリアと聴取エリアを取り囲むように8つの音場制御反射パネル1が配置されている場合について説明した。しかし、演奏エリアや聴取エリアの位置関係や、それらのエリアに対する音場制御反射パネル1の設置位置は、実施形態に示した例の他にも以下のように様々な態様が可能である。
図8には、演奏エリア3を半円状に取り囲むように聴取エリア4が設けられており、演奏エリアの背後に1つ、聴取エリアを取り囲むように5つ、あわせて6つの音場制御反射パネル1が設けられている場合について示す。このように演奏エリアや聴取エリアの位置関係や、それらのエリアに対する音場制御反射パネル1の設置位置や設置数などは、空間の制限や必要性などに応じて適宜定めれば良い。
更に、上記実施形態においては、図5に示すように演奏エリア3と聴取エリア4とを含む空間を複数の音場制御反射パネル1で取り囲み、一つのシステムを構成する場合について説明した。しかし、該制御の対象とする空間を複数のエリアに分割し、該エリア毎に一つのシステムを構成してもよい。このようすると、制御部40のアンプ43のゲインや遅延部44の遅延時間等のパラメータを、各エリアの音響特性に応じて最適に制御することができる。
なお、音場制御反射パネル1が1つ設けられた場合には、ネットワーク2を介した他の音場制御反射パネル1との音データのやりとりは実現できないが、その場合においても、反射板30により初期反射音が演奏者に聴取されるだけでなく、マイクロホン60により収音された音が反射板30の裏面に設けられたスピーカ50から放音され、反射板30を回り込んで演奏者に聴取される。更には、該スピーカ50から回り込んだ音は、再びマイクロホン60により収音されスピーカ50から放音されるという具合に帰還ループを形成し、残響音を生成することができる。
また、上記実施形態においては、図5に示すように、複数の音場制御反射パネル1をネットワークで接続して用いる場合について説明した。しかし、空間に複数の音場制御反射パネル1を設ける場合にも、それらをネットワークで接続せず、各音場制御反射パネル1を単独で機能させても良い。その場合には、個々の音場制御反射パネル1が上述の音響効果を奏する。
また、上記実施形態においては、図5に示すように、演奏エリアと聴取エリアを取り囲むように8つの音場制御反射パネル1が配置されている場合について説明した。しかし、演奏エリアや聴取エリアの位置関係や、それらのエリアに対する音場制御反射パネル1の設置位置は、実施形態に示した例の他にも以下のように様々な態様が可能である。
図8には、演奏エリア3を半円状に取り囲むように聴取エリア4が設けられており、演奏エリアの背後に1つ、聴取エリアを取り囲むように5つ、あわせて6つの音場制御反射パネル1が設けられている場合について示す。このように演奏エリアや聴取エリアの位置関係や、それらのエリアに対する音場制御反射パネル1の設置位置や設置数などは、空間の制限や必要性などに応じて適宜定めれば良い。
更に、上記実施形態においては、図5に示すように演奏エリア3と聴取エリア4とを含む空間を複数の音場制御反射パネル1で取り囲み、一つのシステムを構成する場合について説明した。しかし、該制御の対象とする空間を複数のエリアに分割し、該エリア毎に一つのシステムを構成してもよい。このようすると、制御部40のアンプ43のゲインや遅延部44の遅延時間等のパラメータを、各エリアの音響特性に応じて最適に制御することができる。
(2)上記実施形態においては、各音場制御反射パネル1は、マイクロホン60で収音された音を表す音データを、他の全ての音場制御反射パネル1に出力する場合について説明した。しかし、音データを生成・出力する音場制御反射パネル1と該音データを受取る音場制御反射パネル1の組み合わせの態様は、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、各音場制御反射パネル1は、生成した音データを他の1つの音場制御反射パネル1に出力するが、その出力先は所定時間ごとにランダムに切り替えられるようにしても良い。そのようにすれば、各音場制御反射パネル1は、他の音場制御反射パネル1からランダムに音データを受取ることになり、該音場制御反射パネル1において放音される音のランダムさ、自然さが確保されるとの効果を奏する。また、ネットワーク上を伝送されるデータ量を比較的小さく抑えることができる。
例えば、各音場制御反射パネル1は、生成した音データを他の1つの音場制御反射パネル1に出力するが、その出力先は所定時間ごとにランダムに切り替えられるようにしても良い。そのようにすれば、各音場制御反射パネル1は、他の音場制御反射パネル1からランダムに音データを受取ることになり、該音場制御反射パネル1において放音される音のランダムさ、自然さが確保されるとの効果を奏する。また、ネットワーク上を伝送されるデータ量を比較的小さく抑えることができる。
(3)上記実施形態においては、制御部40のAFC回路における処理系統は複数設けられる場合について説明した。しかし、処理系統の数は1であるとしても良い。その場合、BPF42を設けないようにしても良いし、全ての周波数成分を透過させるようにしても良いし、特定の周波数帯域のみ透過させるようにしても良い。
(4)上記実施形態においては、制御部40のAFC回路における処理系統は複数設けられ、それぞれの処理系統においては独立してパラメータが設定されている場合について説明した。それらのパラメータをユーザにより簡易に設定する設定手段を設けても良い。例えば、音場制御反射パネル1に操作部80を設け、該操作部80を介して、状況に応じたパラメータの設定ができるようにしても良い。図6は、操作部80が設けられた音場制御反射パネル1の構成を示した図である。
図7は、該パラメータの設定手段である操作部80を示した図である。操作部80は、タッチパネル式の入力/表示手段である。操作画面は、各種パラメータを調整するための複数の操作子が表示されている。同図に示すように、操作画面は、各周波数成分の増幅率83を設定するためのイコライジング部81と、各周波数成分の遅延時間を表す遅延操作部82がある。
イコライジング部81には、周波数成分ごとの増幅率83が示されている。各周波数に対して設けられたスライダ84は、ユーザにより押下された位置へ移動され、増幅率83は対応する値に設定される。
遅延操作部82には、各周波数成分を遅延させる遅延時間が表示されている。遅延時間は、遅延時間86をミリ秒の単位でデジタル表示されており、対応付けられたアイコン87を押下されると遅延時間86がインクリメント又はデクリメントされる。
このようにして設定されたパラメータに基づいて上記実施形態における音響処理が行われるようにしても良い。
図7は、該パラメータの設定手段である操作部80を示した図である。操作部80は、タッチパネル式の入力/表示手段である。操作画面は、各種パラメータを調整するための複数の操作子が表示されている。同図に示すように、操作画面は、各周波数成分の増幅率83を設定するためのイコライジング部81と、各周波数成分の遅延時間を表す遅延操作部82がある。
イコライジング部81には、周波数成分ごとの増幅率83が示されている。各周波数に対して設けられたスライダ84は、ユーザにより押下された位置へ移動され、増幅率83は対応する値に設定される。
遅延操作部82には、各周波数成分を遅延させる遅延時間が表示されている。遅延時間は、遅延時間86をミリ秒の単位でデジタル表示されており、対応付けられたアイコン87を押下されると遅延時間86がインクリメント又はデクリメントされる。
このようにして設定されたパラメータに基づいて上記実施形態における音響処理が行われるようにしても良い。
(5)上記実施形態においては、音場制御反射パネル1において、スピーカ50とマイクロホン60が反射板30を介して設けられており、ハウリングが起こりにくい旨を説明した。そこで、上記制御部40におけるAFC回路において、処理系統(周波数成分)ごとのアンプ43の増幅率を適宜制御することにより、ハウリングを更に起こりにくくするようにすれば尚良い。すなわち、音場制御反射パネル1が設置された空間において、ハウリングを起こす傾向の高い周波数成分を解析し、該周波数成分に対応する処理系統のアンプ43の増幅率を低く設定すれば良い。
(6)上記実施形態においては、音場制御反射パネル1において、反射板30とマイクロホン60とスピーカ50と制御部40とが一体化されており、プレート10の下面に設けられたローラ20により移動可能となっている場合について説明した。しかし、それら音場制御反射パネル1の各部が構造的に一体化されていなくても、それらの構成をひとまとまりとして空間に設置するようにすれば良い。
また、上記実施形態においては、音場制御反射パネル1は、プレート10を土台として床や地面に置かれる場合について説明したが、音場制御反射パネル1を天井から吊り下げたり壁に貼り付けたりしても良い。その場合、ローラ20やプレート10が不要となる場合については、それらの部材は無くても良い。
また、上記実施形態においては、音場制御反射パネル1は、プレート10を土台として床や地面に置かれる場合について説明したが、音場制御反射パネル1を天井から吊り下げたり壁に貼り付けたりしても良い。その場合、ローラ20やプレート10が不要となる場合については、それらの部材は無くても良い。
(7)上記実施形態においては、音場制御反射パネル1の機械的構成の配置形態について、一例を示した。しかし、配置形態は上記の態様に限られるものではない。また、反射板30の形態も、上記実施形態の態様に限られるものではなく、以下のように様々な態様が可能である。
例えば、図9に示すように、上記実施形態と同様にローラ20が下面に設けられたプレート10に、平面状の反射板30が鉛直から所定の角度傾けて固定されており、マイクロホン60は上記実施形態と同様に反射板30の表面に、スピーカ50はプレート10の下面から音場制御反射パネル1の設置面に向けて放音され、プレート10と設置面との隙間またはプレート10の側面の隙間を経て、前記放音された音がマイクロホン60へ回り込むように配置されていても良い。このようにすれば、上記実施形態と同様に反射板30の表面に到達した音は反射板30の前方に反射される。また、スピーカ50により放音された音は音場制御反射パネル1の設置面に反射した間接音またはプレート10の側面を回り込んだ間接音が反射板30の前方に漏れ聞こえるため、聴取者はスピーカ50の存在を意識することなく音を聞くことができると共に、スピーカ50とマイクロホン60によるハウリングが抑制される。
例えば、図9に示すように、上記実施形態と同様にローラ20が下面に設けられたプレート10に、平面状の反射板30が鉛直から所定の角度傾けて固定されており、マイクロホン60は上記実施形態と同様に反射板30の表面に、スピーカ50はプレート10の下面から音場制御反射パネル1の設置面に向けて放音され、プレート10と設置面との隙間またはプレート10の側面の隙間を経て、前記放音された音がマイクロホン60へ回り込むように配置されていても良い。このようにすれば、上記実施形態と同様に反射板30の表面に到達した音は反射板30の前方に反射される。また、スピーカ50により放音された音は音場制御反射パネル1の設置面に反射した間接音またはプレート10の側面を回り込んだ間接音が反射板30の前方に漏れ聞こえるため、聴取者はスピーカ50の存在を意識することなく音を聞くことができると共に、スピーカ50とマイクロホン60によるハウリングが抑制される。
(8)上記実施形態においては、AFC回路において、BPF42、アンプ43、および遅延部44の組み合わせからなる複数の処理系統により音データの周波数特性の変換、振幅の調整、および時間的な遅延処理を施す場合について説明した。しかし、これらの音響処理のうちいずれか、または全てを施さないようにしても良い。
1…音場制御反射パネル、2…ネットワーク、3…演奏エリア、4…聴取エリア、10…プレート、20…ローラ、30…反射板、31…上部構造、32…下部構造、40…制御部、42…バンドパスフィルタ(BPF)、43…アンプ、44…遅延部、45…ミキシング部、50…スピーカ、55…D/Aコンバータ、60…マイクロホン、65…A/Dコンバータ、70…通信インタフェース(IF)部、80…操作部、81…イコライジング部、82…遅延操作部、83…増幅率、84…スライダ、86…遅延時間、87…アイコン
Claims (11)
- 音を反射する反射板と、
前記反射板の片面に設けられ、収音し、収音した音を表す音信号を生成するマイクロホンと、
前記マイクロホンにより生成された音信号に所定の音響処理を施す音響処理手段と、
前記音響処理手段により音響処理が施された音信号を、ネットワークを介して出力する出力手段と、
ネットワークを介して、音信号を受信する受信手段と、
前記音響処理手段により音響処理が施された音信号、および前記受信手段により受信された音信号を放音するスピーカと
を有することを特徴とする音場制御装置。 - 音を反射する反射板と、
前記反射板の片面に設けられ、収音し、収音した音を表す音信号を生成するマイクロホンと、
前記マイクロホンにより生成された音信号に所定の音響処理を施す音響処理手段と、
前記音響処理手段により音響処理が施された音信号を放音するスピーカと
を有することを特徴とする音場制御装置。 - 前記マイクロホンは、前記スピーカから放音された音を収音し、その結果音響の帰還ループが形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の音場制御装置。
- 前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の周波数特性を変換することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の音場制御装置。
- 前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の振幅を調整することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の音場制御装置。
- 前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号に時間的遅延を施すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の音場制御装置。
- 前記音響処理手段は、前記マイクロホンにより生成された音信号の周波数成分ごとに時間的遅延を施すことを特徴とする請求項6に記載の音場制御装置。
- 前記反射板と前記マイクロホンと前記音響処理手段と前記スピーカとは、互いに一体化されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の音場制御装置。
- 前記マイクロホンは、前記スピーカと前記反射板に関して反対の面に設けられており、前記スピーカから放音された音が直接前記マイクロホンに収音されないように前記音場制御反射パネル1に設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の音場制御装置。
- 前記反射板は、マイクロホンが設けられている側に凸形状であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の音場制御装置。
- 請求項1に記載の音場制御装置が複数設けられ、該複数の音場制御装置が、前記ネットワークを介して互いに接続されていることを特徴とする音場制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007260032A JP2009092682A (ja) | 2007-10-03 | 2007-10-03 | 音場制御装置および音場制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007260032A JP2009092682A (ja) | 2007-10-03 | 2007-10-03 | 音場制御装置および音場制御システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009092682A true JP2009092682A (ja) | 2009-04-30 |
Family
ID=40664782
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007260032A Withdrawn JP2009092682A (ja) | 2007-10-03 | 2007-10-03 | 音場制御装置および音場制御システム |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009092682A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101192447B1 (ko) | 2010-10-11 | 2012-10-18 | (주)시공사 | 음향 반사 장치 |
US11004438B2 (en) * | 2018-04-24 | 2021-05-11 | Vizio, Inc. | Upfiring speaker system with redirecting baffle |
-
2007
- 2007-10-03 JP JP2007260032A patent/JP2009092682A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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US11004438B2 (en) * | 2018-04-24 | 2021-05-11 | Vizio, Inc. | Upfiring speaker system with redirecting baffle |
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