JP2009092513A - 予測乱気流域解析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水平方向の格子点間隔が2km以下であり且つ鉛直方向の格子点間隔が300m以下である8個の格子点から成る直方体を最小単位として複数の格子点によって構成されたある特定空域の気象数学モデルを基に、気象庁から送信されてくる数値気象データを初期値・境界値として再計算し、新たな高分解能の数値気象データを作成する。そして、その高分解能の数値気象データを基にリチャードソン数(RI)および温位鉛直勾配(Γ)を算出し、これらの物理量を基に乱気流域をType1からType4のパターンに分類して予測する。また、予測乱気流域は、航空機または地上局に送信され、色分けやメッシュタイプにより表示される。
【選択図】図1
Description
そこで、本発明は、上記実情に鑑み創案されたものであって、乱気流域の発現リスクの高い空域場所を高い精度で解析・予測することができ、乱気流域が予測される場合はその対応措置を事前に航空機等に伝送し、安全な航空機の運航の実現に寄与することが出来る予測乱気流域解析装置を提供することを目的とする。
本願発明者が乱気流域の特徴について鋭意研究したところ、大部分の乱気流域はリチャードソン数(RI)と温位鉛直勾配(Γ)によって特徴付けられることを見出した。従って、航空機の飛行空域におけるリチャードソン数(RI)と温位鉛直勾配(Γ)を高精度に推定することができれば、航空機前方の乱気流を予測することが可能となる。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、気象予測モデル部は三次元格子点から成る気象数学モデルを備え、気象庁より一定時間間隔で送信されてくる数値気象情報を初期値・境界値としてその時間間隔の途中を補間する更なる高分解能の数値気象情報を作成する。そして、予測乱気流域計算解析部はこれら高分解能の数値気象情報を用いて航空機の飛行空域におけるリチャードソン数(RI)と温位鉛直勾配(Γ)を高精度に推定する。これにより、航空機前方の乱気流域を高精度に予測することが可能となる。また、予測した乱気流域はネットワーク部を介して航空機または地上局の予測乱気流域表示部に送信されるので、航空機が安全に航行することが出来るようになる。
上記予測乱気流域解析装置では、気象数学モデルの格子点間隔を上記構成とすることにより、高分解の数値気象情報を作成することができ、その結果、航空機の飛行空域におけるリチャードソン数(RI)と温位鉛直勾配(Γ)を高精度に推定することが可能となる。これにより乱気流域の発生位置だけでなくその大きさについても高精度に予測することが可能となる。
本願発明者がリチャードソン数(RI)と乱気流域との相関関係について鋭意研究したところ、リチャードソン数(RI)が0.6+α(-0.2≦α≦0.2)を境にして大きく分類できることを見出した。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域計算解析部が気象予測モデル部から得た高分解能の数値気象情報に基づいて算出したリチャードソン数(RI)によって、乱気流域を上記の通り分類することにより、高精度の乱気流域の予測に寄与するようになる。
本願発明者が第1予測乱気流域における温位鉛直勾配(Γ)と乱気流域との相関関係について鋭意研究したところ、温位鉛直勾配(Γ)の値が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)を境にして大きく分類できることを見出した。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域計算解析部が気象予測モデル部から得た高分解能の数値気象情報に基づいて算出した温位鉛直勾配(Γ)によって、乱気流域を上記の通り分類することにより、高精度の乱気流域の予測に寄与するようになる。
本願発明者は、温位鉛直勾配(Γ)の値が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)未満の第1予測乱気流域中の乱気流域が、対流を起こしやすい不安定域であり且つ高度が高い場合は、更に異なる乱気流域として分類できることを見出した。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域計算解析部が気象予測モデル部から得た高分解能の数値気象情報に基づいて算出した温位鉛直勾配(Γ)と他の数値気象情報によって、乱気流域を上記の通り分類することにより、高精度の乱気流域の予測に寄与するようになる。
本願発明者は、温位鉛直勾配(Γ)の値が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)未満で対流を起こしやすい不安定域である第1予測乱気流域中の乱気流域が、高度が低く且つ山脈または孤立峰の風下でリチャードソン数(RI)が0.25+γ(-0.1≦γ≦0.1)以下になった場合は、更に異なる乱気流域として分類できることを見出した。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域計算解析部が気象予測モデル部から得た高分解能の数値気象情報に基づいて算出した温位鉛直勾配(Γ)と他の数値気象情報によって、乱気流域を上記の通り分類することにより、高精度の乱気流域の予測に寄与するようになる。
本願発明者は、第2予測乱気流域中の乱気流域について、リチャードソン数(RI)により計算される不安定性とは関係なく、鉛直流が180cm/s以上になる場合は、更に異なる乱気流域として分類できることを見出した。
上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域計算解析部が気象予測モデル部から得た高分解能の数値気象情報に基づいて算出した温位鉛直勾配(Γ)と他の数値気象情報によって、乱気流域を上記の通り分類することにより、高精度の乱気流域の予測に寄与するようになる。
上記予測乱気流域解析装置では、上記構成とすることにより、乱気流域の発生位置だけでなくその大きさを高精度に予測することが可能となる。
タイプ1またはタイプ2の乱気流域は水平方向に広く、高度方向に薄いことが特徴である。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域表示部はパイロットにタイプ1またはタイプ2の乱気流域であることを色分け又はメッシュタイプにより視覚的に認識させるのと同時に、その乱気流域を避けるには、上下方向に移動することが効果的であることを認識させる。これにより、パイロットは乱気流域を安全無事に避けることが可能となり、その結果、安全な航空機の運航の実現に寄与するようになる。
タイプ3の乱気流域は地形と対応した場所で起き、遭遇する高度も低いことが特徴である。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域表示部はパイロットにタイプ3の乱気流域であることを色分け又はメッシュタイプにより視覚的に認識させるのと同時に、その乱気流域を避けるには、早めに事前準備を終了し、実績のあるコースから外れた場所を航行しないことが効果的であることを認識させる。これにより、パイロットは乱気流域を安全無事に避けることが可能となり、その結果、安全な航空機の運航の実現に寄与するようになる。
タイプ4の乱気流域は水平方向に狭く、高度方向には広がっていることが特徴である。
そこで、上記予測乱気流域解析装置では、予測乱気流域表示部はパイロットにタイプ4の乱気流域であることを色分け又はメッシュタイプにより視覚的に認識させるのと同時に、その乱気流域を避けるには、水平方向に避けることが効果的であることを認識させる。これにより、パイロットは乱気流域を安全無事に避けることが可能となり、その結果、安全な航空機の運航の実現に寄与するようになる。
この予測乱気流域解析装置100は、三次元格子点から成るある特定空域を模擬した気象数学モデルを備え、外部から送信されて来る上空および地上の風速や気温などの数値気象データをその気象数学モデルの初期値・境界値として用いてその気象数学モデルによって更なる高分解能の数値気象データを作成・出力する気象予測モデル部10と、出力される高分解能の数値気象情データを基にリチャードソン数(RI)や温位鉛直勾配(Γ)を算出すると共に、予測乱気流域をリチャードソン数(RI)や温位鉛直勾配(Γ)等によって特徴付けてパターン化して予測する予測乱気流域計算解析部20と、予測乱気流域計算解析部20が出力する予測乱気流域を有線・無線によって必要とする部へ送信するネットワーク部30と、受信した予測乱気流域に係る情報を表示する予測乱気流域表示部40とを具備して構成される。
乱気流域には以下の4つのTypeがある。
先ずType1の乱気流域としては、晴天乱気流域(CAT)である。これは、温位鉛直勾配(Γ)が大きく安定な場に対して、風速の高度変化(VS)がそれ以上に大きく加わり乱気流域が発生するものである。リチャードソン数(RI)および温位鉛直勾配(Γ)による特徴付けとしては、リチャードソン数(RI)<0.6かつ温位鉛直勾配(Γ)≧0.6K/100mとなる。
上記によって得られた予測乱気流域を、利用する人にわかりやすいように表示することが重要である。以下では2種類(Type1とType2)の表示方式を説明する。
20 予測乱気流域計算解析部
30 ネットワーク部
40 予測乱気流域表示部(機上)
50 予測乱気流域表示部(地上)
100 予測乱気流域解析装置
Claims (11)
- 航空機前方の乱気流域を予測・表示する装置であって、三次元格子点から成るある特定空域についての気象数学モデルを備えると共に、外部から送信されて来る上空および地上の風速や気温などの数値気象情報を該気象数学モデルの初期値・境界値として用いて更なる高分解能の数値気象情報を作成する気象予測モデル部と、該高分解能の数値気象情報に基づいて前記特定空域についてのリチャードソン数(RI)および温位鉛直勾配(Γ)を算出し乱気流域を予測する予測乱気流域計算解析部と、該乱気流域に関する情報を航空機または基地局に伝送するネットワーク部と、該乱気流域を航空機の航空路に対応して表示する予測乱気流域表示部とから成ることを特徴とする予測乱気流域解析装置。
- 前記気象数学モデルは、水平方向の格子点間隔が2km以下であり且つ鉛直方向の格子点間隔が300m以下である8個の格子点から成る直方体を最小単位として複数の格子点によって前記特定空域を模擬している請求項1に記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記リチャードソン数(RI)が0.6+α(-0.2≦α≦0.2)を基準に、該リチャードソン数(RI)が0.6+α(-0.2≦α≦0.2)未満の場合を第1予測乱気流域と、該リチャードソン数(RI)が0.6+α(-0.2≦α≦0.2)以上であり且つ鉛直流が180cm/s以上である場合を第2予測乱気流域とパターン化する請求項1又は2に記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記第1予測乱気流域の中で、前記温位鉛直勾配(Γ)の値が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)を基準に、該温位鉛直勾配(Γ)が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)以上であり且つ対流を起こしにくい安定域である場合をタイプ1の予測乱気流域とパターン化する請求項3に記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記第1予測乱気流域の中で、前記温位鉛直勾配(Γ)が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)未満であり且つ対流を起こしやすい不安定域であり且つ高度が高い場合をタイプ2の予測乱気流域とパターン化する請求項3又は4に記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記第1予測乱気流域の中で、前記温位鉛直勾配(Γ)が(0.6+β)K/100m(-0.2≦β≦0.2)未満であり且つ対流を起こしやすい不安定域であり且つ高度が低く且つ山脈または孤立峰の風下でのリチャードソン数(RI)が0.25+γ(-0.1≦γ≦0.1)以下になる場合をタイプ3の予測乱気流域とパターン化する請求項3から5の何れかに記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記第2予測乱気流域の中で、前記リチャードソン数(RI)により計算される不安定性とは関係なく、鉛直流が180cm/s以上になる場合をタイプ4の予測乱気流域とパターン化する請求項3に記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域計算解析部は、前記格子点で前記タイプ1から4の何れかの乱気流域が予測された場合には該格子点を囲む最小単位の立体を最小予測乱気流域と定義し、上下左右に最小乱気流域が連続する場合はこれらの立体全体を予測乱気流域とする請求項4から7の何れかに記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域表示部は、前記タイプ1またはタイプ2の乱気流域が予測される場合には、該乱気流域を色分け又はメッシュタイプにより表示し、パイロットに該乱気流域を避けるには高度を上昇または下降させることが効果的であることを認識させる請求項4から8の何れかに記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域表示部は、前記タイプ3の乱気流域が予測される場合には、該乱気流域を色分け又はメッシュタイプにより表示し、パイロットに該乱気流域を避けるには実績のあるコースから外れた場所を航行しないことが効果的であることを認識させる請求項4から9の何れかに記載の予測乱気流域解析装置。
- 前記予測乱気流域表示部は、前記タイプ4の乱気流域が予測される場合には、該乱気流域を色分け又はメッシュタイプにより表示し、パイロットに該乱気流域を避けるには水平方向に移動することが効果的であることを認識させる請求項4から10の何れかに記載の予測乱気流域解析装置。
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