JP2009092277A - 冷凍サイクル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧力差が存在する作動流体が膨張機に流入する構成の冷凍サイクル装置において、作動流体の圧力差を動力回収可能とする。
【解決手段】第一圧縮機51、第一放熱器52、第一放熱器52から膨張機54への作動流体流量を調整する流量制御弁53、第一圧縮機51と動力軸で連結された膨張機54、及び蒸発器55を具備し、これらに順に作動流体を循環させる第一作動流体回路30と、第二圧縮機56、第二放熱器57、膨張機54、及び蒸発器55を具備し、これらに順に作動流体を循環させる第二作動流体回路31とを備え、これらの作動流体回路30,31で膨張機54及び蒸発器55を共有する冷凍サイクル装置9を構成し、膨張機54は第一放熱器52から第一流量制御弁53を介して流入する作動流体を、該膨張機54の膨張経路の途中に注入するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の放熱器を備えた冷凍サイクル装置に関する。
従来、圧縮機、凝縮器(放熱器)、膨張機、及び蒸発器の順に作動流体を循環させる作動流体回路を備え、前記膨張機で回収したエネルギーを前記圧縮機の動力として利用する、エネルギー回収型の冷凍サイクル装置が知られている。このようなエネルギー回収型の冷凍サイクル装置に備える膨張機には、動力回収を圧縮機と直結された軸により行う膨張機(以下、「圧縮機一体型膨張機」とする。)と、動力回収した運動エネルギーを一旦発電機で電気エネルギーに変換して回収する膨張機とがある。
また、冷凍サイクル装置では、圧縮機を流通する作動流体の質量循環量と膨張機を循環する作動流体の質量循環量が等しくなければならない。膨張機に流入する作動流体の密度をρe、圧縮機に吸入される作動流体の密度をρc、膨張機に流入する作動流体の体積循環量をVe、圧縮機に吸入される作動流体の体積循環量をVc、とすると「ρe/ρc=Vc/Ve=一定」という関係式が成立する。この式において、体積循環量Vc,Veは、それぞれ「シリンダ容積×回転数」で決定される冷凍サイクル装置固有の値であることから、Vc/Veは一定値であり、よって、ρe/ρcも一定値となる。つまり、冷凍サイクル装置では、ρe/ρc(密度比)は常に一定でなければならないという「密度比一定の制約」がある。
圧縮機一体型膨張機を備えたエネルギー回収型の冷凍サイクル装置では、膨張機と圧縮機との回転数が同一となることから膨張機のみの回転数を自由に調整することができず、従って、膨張機は密度比一定の制約に基づいて最適に設計されるものの、運転条件が変化した場合に良好なエネルギー効率を維持することが困難であった。そこで、特許文献1の冷凍サイクル装置では、運転条件に応じて、放熱器から供給される作動流体をインジェクション路を通じて膨張機(膨張部)の膨張経路の途中に注入することにより、膨張機へ流入する作動流体の量を最適化している。
図11は、特許文献1に記載の、膨張機の膨張経路の途中に作動流体を注入する構造を備えた従来の冷凍サイクル装置の構成を示す図である。図11に示すように、特許文献1に記載の冷凍サイクル装置101の作動流体回路は、一軸で連結された圧縮部116aと膨張部116bとを有する流体搬送装置116と、圧縮装置115と、放熱器117と、蒸発器120と、これらを接続する流路とで構成されている。さらに、この冷凍サイクル装置101では、膨張部116bへの作動流体流入量を調節するために、放熱器117から供給される作動流体を膨張部116bの膨張経路の途中に注入するインジェクション路114と、該インジェクション路114を通過する作動流体の流量を調節する流量調節機構119が備えられている。上記構成によれば、膨張部116bに流入する作動流体流量が過小である場合に、インジェクション路114を通じて作動流体が膨張部116bに供給される。
特開2007−132622号公報
例えば給湯機と暖房機のように複数の用途を備える冷凍サイクル装置において、不足する圧縮能力を補い、また、凝縮器(放熱器)ごとに異なる作動流体圧力を与えることを目的として、一つの冷凍サイクル装置に複数の圧縮機を備えることが考えられる。上記特許文献1に記載の冷凍サイクル装置には複数の圧縮機(圧縮部116aと圧縮装置115)が備えられているが、放熱器117を複数備えてこれらに異なる圧力の作動流体を流通させる形態については、想定されていない。また、特許文献1に記載の冷凍サイクル装置では、膨張部116bに流入する作動流体と、該作動流体の膨張経路の途中に注入される作動流体との圧力差は、流量調節機構119にて調整されている。しかし、流量調節機構119で作動流体が減圧されることにより回収されるエネルギーにロスが生じることとなる。
本発明は上記のような課題を解決するために為されたもので、圧縮機一体型膨張機を備えたエネルギー回収型の冷凍サイクル装置であって、各々に異なる圧力の作動流体を流通させる複数の放熱器を備え、冷凍サイクルの効率が良好となるように調整できるものを提供することを目的とする。
本発明の冷凍サイクル装置は、第一圧縮機と、第一放熱器と、前記第一圧縮機と動力軸で連結され、作動流体を減圧膨張させる際に回収した動力が前記第一圧縮機の駆動に用いられる膨張機と、蒸発器と、前記第一放熱器から前記膨張機に供給される作動流体の流量を調整する第一流量制御弁とを有し、前記第一圧縮機、前記第一放熱器、前記第一流量制御弁、前記膨張機、及び前記蒸発器の順に作動流体が循環するように形成されている第一作動流体回路と、第二圧縮機と、前記第一放熱器よりも高い圧力の作動流体が流れる第二放熱器と、前記膨張機と、前記蒸発器とを有し、前記第二圧縮機、前記第二放熱器、前記膨張機、及び前記蒸発器の順に作動流体が循環するように形成されている第二作動流体回路とを備えた、冷凍サイクル装置であって、前記膨張機は、前記第一放熱器から前記第一流量制御弁を介して流入する作動流体を、該膨張機の膨張経路の途中に注入するように構成されているものである。
また、前記冷凍サイクル装置は、前記第一作動流体回路の前記第一圧縮機の吐出側と前記第二作動流体回路の前記第二圧縮機の吐出側とを、弁(以下、バイパス弁という)を介して接続する第一バイパス路をさらに備えてもよい。
さらに、前記バイパス弁が流量制御弁であってもよい。
また、前記冷凍サイクル装置は、前記第二作動流体回路の前記第二放熱器の出口側と前記膨張機の入口側との間に、第二流量制御弁をさらに備えてもよい。
また、前記冷凍サイクル装置は、前記第一作動流体回路の前記第一放熱器の出口側と前記膨張機の入口側とを、開閉弁を介して接続する第二バイパス路をさらに備えてもよい。
本発明は、以下に示すような効果を奏する。
本発明によれば、第二放熱器から作動流体を膨張機へそのまま供給するとともに、第一放熱器から作動流体を膨張機の膨張経路の途中に注入することによって、膨張機に流入する作動流体(冷媒)の圧力差を余すことなく動力として回収することが可能となる。さらに、膨張機に注入される作動流体の流量を流量制御弁で調整することができる。これにより、膨張機の入口と第一圧縮機の入口との作動流体密度比を冷凍サイクルが高い効率を維持できるように調整可能となり、冷凍サイクル装置全体としての効率向上を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複説明を省略する。
[発明の概念]
まず、本発明の概念を、図1に示す冷凍サイクル装置9を用いて説明する。図1は本発明の概念を説明する冷凍サイクル装置の構成を示す図、図2は図1に示す冷凍サイクル装置のp−h線図である。
冷凍サイクル装置9は、それぞれに放熱器及び圧縮機を備えた第一作動流体回路30と第二作動流体回路31とを有する。
第一作動流体回路30は、作動流体(冷媒)として二酸化炭素冷媒を使用し、第一圧縮機51と、第一放熱器52と、膨張機54と、蒸発器55と、第一流量制御弁53とを具備している。これらの第一圧縮機51、第一放熱器52、第一流量制御弁53、膨張機54、及び蒸発器55が流路で順次接続されて、作動流体が循環する第一作動流体回路30が形成されている。
第一圧縮機51の動力軸と膨張機54の動力軸とは一軸に連結され、膨張機54にて作動流体が膨張する際に回収された動力が第一圧縮機51の駆動に利用されている。
また、膨張機54は、第一放熱器52から第一流量制御弁53を介して流入する作動流体を、該膨張機54の膨張経路の途中に注入(インジェクション)するように構成されている。前記第一流量制御弁53は、第一放熱器52から膨張機54に供給される作動流体の流量を調整する弁である。具体的には、第一放熱器52から膨張機54への作動流体回路は、膨張機54の膨張経路の途中に注入されるインジェクション路43に形成されており、該インジェクション路43に、膨張機54へ供給される作動流体の流量を調整する第一流量制御弁53が備えられている。
一方、第二作動流体回路31は、第二圧縮機56と、第一放熱器52よりも高い圧力の作動流体が流れる第二放熱器57と、膨張機54と、蒸発器55とを具備している。これらの第二圧縮機56、第二放熱器57、膨張機54、及び蒸発器55が流路で順次接続されて、作動流体が循環する第二作動流体回路31が形成されている。
上記二つの作動流体回路30,31は、膨張機54及び蒸発器55を共有していて、該膨張機54には並列に設けられた二つの放熱器52,57から作動流体が流入している。そして、第二作動流体回路31の第二放熱器57を流れる作動流体は、第一作動流体回路30の第一放熱器52を流れる作動流体よりも高圧である。
続いて、第一放熱器52と第二放熱器57とで同時に熱交換を行う場合の冷凍サイクル装置9の動作について説明する。
冷凍サイクル装置9の第一作動流体回路30では、第一圧縮機51により高温高圧に圧縮されて吐出された作動流体は、第一放熱器52を通じて空気や水などの外部流体に放熱したのち、膨張機54を通じて減圧される。この減圧時に膨張機54で回収された動力は第一圧縮機51の駆動に用いられる。このときの、作動流体の流れはp−h線図(図2)にA→F→D→Eで示されている。また、冷凍サイクル装置9の第二作動流体回路31では、第二圧縮機56により高温高圧に圧縮されて吐出された作動流体は、第二放熱器57を通じて空気や水などの外部流体に放熱したのち、膨張機54を通じて減圧される。このときの、作動流体の流れはp−h線図(図2)にA→B→C→D→Eで示されている。そして、膨張機54で合流し該膨張機54にて減圧された作動流体は、蒸発器55に導かれ該蒸発器55にて蒸発して吸熱したのち、再び、第一圧縮機51又は第二圧縮機56に吸入される。
上記において、第一放熱器52から膨張機54へ導入される作動流体は、該膨張機54の膨張経路の途中にその作動流体圧力に応じて注入(インジェクション)される。つまり、膨張機54の膨張経路において圧力の高い側の作動流体が膨張される過程の途中で、圧力の低い側の作動流体が注入されるのである。
また、第一放熱器52を流れて膨張機54の膨張経路の途中に注入される作動流体の流量は、実際の膨張機54に流入する作動流体と第一圧縮機51に流入する作動流体と密度比Rが最適密度比Rtに近づくように、第一流量制御弁53にて調整される。この第一流量制御弁53における作動流体の流量の調整については、後ほど詳細に説明する。
ここで、冷凍サイクル装置9の特徴について、比較例と対比しながら説明する。図9は図1に示す冷凍サイクル装置の比較例としての冷凍サイクル装置の構成を示す図、図10は図9に示す冷凍サイクル装置のp−h線図である。
まず、比較例としての冷凍サイクル装置90の構成について説明する。図9に示すように、冷凍サイクル装置90は、それぞれに放熱器を備えた第一作動流体回路91と第二作動流体回路92とを有する。第一作動流体回路91は、第一圧縮機51、第一放熱器52、第一圧縮機51と動力軸で連結された膨張機54、及び蒸発器55を具備しており、この順番に作動流体が循環するように流路が設けられている。また、第二作動流体回路92は、第二圧縮機56、第一放熱器52よりも高い圧力の作動流体が流れる第二放熱器57、前記膨張機54、及び前記蒸発器55を具備しており、この順に作動流体が循環するように流路が設けられている。
上記冷凍サイクル装置90では、二つの作動流体回路91,92が膨張機54及び蒸発器55を共有していて、該膨張機54には並列に設けられた二つの放熱器52,57から作動流体が流入する。このため、冷凍サイクル装置90の第二放熱器57と膨張機54とを接続する流路に減圧弁93が備えられて、p−h線図(図10)においてC→Dに示されるように、第一放熱器52を流れる作動流体と第二放熱器57を流れる作動流体との圧力差を解消して膨張機54に流入させている。しかしながら、冷凍サイクル装置90では、作動流体が減圧弁93で減圧されるぶんだけエネルギーロスが生じることとなる。
これに対し、本発明に係る冷凍サイクル装置9では、図1及び図2に示すように、第一放熱器52から膨張機54へ導入される作動流体は、該膨張機54の膨張経路の途中にその作動流体圧力に応じて注入される。このように、圧力の高い側の作動流体を膨張機54へそのまま供給するとともに、圧力の低い側の作動流体を膨張機54の膨張経路の途中に注入することによって、膨張機54に流入する作動流体の圧力差を余すことなく動力として回収することが可能となる。つまり、冷凍サイクル装置9のp−h線図(図2)に示すように、膨張機54に流入した圧力の高い側の作動流体が、圧力の低い側の作動流体の圧力まで減圧されている過程(C→D)で放出するエネルギーも動力として回収することができ、冷凍サイクル装置全体としての効率向上を図ることができる。
さらに、本発明に係る冷凍サイクル装置9では、第一放熱器52を流れて膨張機54の膨張経路の途中に注入される作動流体の流量が、第一流量制御弁53にて調整される。よって、膨張機54の動力軸と第一圧縮機51の動力軸とが連結されていても、膨張機54に流入する作動流体量を増減調整できる。このように、膨張機54を通る作動流体循環量を作動流体温度等の条件に対応させて増減調整することにて、密度比一定の制約を解消して、常時高い運転効率が確保できるように冷凍サイクルの運転条件を自由に定めることが可能となり、より高効率の冷凍サイクル装置9を提供できる。
[実施の形態]
以下、上述の本発明の概念を具現化した本発明の実施の形態を説明する。ここでは、上述の冷凍サイクル装置9を、第一熱交換器ユニットとしての暖房ユニット7と第二熱交換器ユニットとしての給湯ユニット8とを備えたヒートポンプ式給湯及び暖房装置に適用している。
先ず、ヒートポンプ式給湯及び暖房装置のハードウエアの構成について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の構成を示す図である。
ヒートポンプ式給湯及び暖房装置において、冷凍サイクル装置9の第一放熱器は暖房用熱交換器52であり、同じく第二放熱器は給湯用熱交換器57である。一般に、給湯用途として要求されている温水の温度は、暖房用途の温水の温度に比べて高い。例えば、給湯用途の温水の温度は65度、暖房用途の温水の温度は50度と設定されることがある。そして、冷凍サイクルの高圧側の作動流体圧力は、放熱器(熱交換器)に要求される温度が高くなるほど大きくする必要があるので、暖房用熱交換器52の高圧側の作動流体回路よりも給湯用熱交換器57の高圧側の作動流体回路の作動流体圧力が高くなる。例えば、作動流体として二酸化炭素を用いた冷凍サイクルでは、給湯用途の冷凍サイクルの高圧側で要求されている作動流体圧力は10〜12MPa、暖房用途の冷凍サイクルの高圧側で要求されている作動流体圧力は8〜10MPaとなる。
図3に示すように、給湯ユニット8は、給湯用水を作動流体で加熱する給湯用熱交換器57と、加熱された給湯用水を貯蔵する貯湯タンク11と、給湯用水を導く給湯用水回路40とを含んで構成され、給湯運転時に給湯用熱交換器57において作動流体と給湯用水との間で熱交換が行われる。また、暖房ユニット7は、暖房用水を作動流体で加熱する暖房用熱交換器52と、加熱された暖房用水を放熱するラジエータ13と、暖房用水を導く暖房用水回路41とを含んで構成され、暖房運転時に暖房用熱交換器52において作動流体と暖房用水との間で熱交換が行われる。
冷凍サイクル装置9には、暖房ユニット7の暖房用熱交換器52が含まれている第一作動流体回路30が備えられている。第一作動流体回路30には、作動流体を昇圧する第一圧縮機51と、該第一圧縮機51で昇圧された作動流体を冷却する暖房用熱交換器52と、冷却された作動流体を減圧膨張することにより動力を取り出す膨張機54と、該膨張機54で減圧膨張した作動流体を蒸発させる蒸発器55とが備えられている。これらの第一圧縮機51、第一放熱器52、第一流量制御弁53、膨張機54、及び蒸発器55が流路で順次接続されて、作動流体が循環する第一作動流体回路30が形成されている。
第一圧縮機51の動力軸と膨張機54の動力軸とは連結されており、膨張機54で作動流体が等エントロピー膨張する際に回収されるエネルギーが、第一圧縮機51の駆動に利用される。
この第一作動流体回路30において、暖房用熱交換器52から膨張機54へ作動流体を供給する流路は、該膨張機54の膨張経路の途中に作動流体を導入するインジェクション路43として構成されている。このインジェクション路43には、膨張機54へ注入される作動流体の流量を調整する第一流量制御弁53が設けられている。なお、作動流体を膨張経路の途中に注入する機構を備えた膨張機54には、例えば、国際公開番号WO2006/013959の国際公開公報に記載された、膨張室の流入側の液体(高圧流体)の一部を膨張室の吸入/膨張経路位置にバイパスさせる膨張機の構成を採用することができる。
さらに、冷凍サイクル装置9には、給湯ユニット8の給湯用熱交換器57が含まれている第二作動流体回路31が備えられている。第二作動流体回路31には、該作動流体を昇圧する第二圧縮機56と、第二圧縮機56で昇圧された作動流体を冷却する給湯用熱交換器57と、給湯用熱交換器57から膨張機54への作動流体の流量を調整する第二流量制御弁58と、膨張機54と、蒸発器55とが備えられている。これらの第二圧縮機56、第二放熱器57、膨張機54、及び蒸発器55が流路で順次接続されて、作動流体が循環する第二作動流体回路31が形成されている。
上記構成の第一作動流体回路30と第二作動流体回路31とにおいて、膨張機54と蒸発器55とは共有されており、並列に設けられた暖房用熱交換器52と給湯用熱交換器57とから、圧力差を有する作動流体が膨張機54に流入することとなる。
また、冷凍サイクル装置9には、第一作動流体回路30の第一圧縮機51の出口側と第二作動流体回路31の第二圧縮機56の出口側とを、弁(以下、バイパス弁とする)を介して接続する第一バイパス路32が設けられている。本実施の形態では、前記バイパス弁は第三流量制御弁10である。バイパス弁として第三流量制御弁10を採用すれば、第一作動流体回路30と第二作動流体回路31との作動流体流量のバランスをより精密に調整することが可能となる点で優位であるが、バイパス弁として開閉弁を採用することもできる。
このように冷凍サイクル装置9に第一バイパス路32を備えることにより、該第一バイパス路32を通じて、第二作動流体回路31と第一作動流体回路30との作動流体の流量バランスを調整することができ、冷凍サイクルの高効率化を図ることができる。また、給湯用熱交換器(第二放熱器)57のみで熱交換を行う場合に、第一バイパス路32を通じて、膨張機54で取り出した動力で動く第一圧縮機51、第二放熱器57、膨張機54、及び蒸発器55を作動流体が順に循環する回路が形成され、冷凍サイクルを効率的に運転することができる。
さらに、冷凍サイクル装置9には、第一作動流体回路30の暖房用熱交換器(第一放熱器)52の出口側と膨張機54の入口側とを、開閉弁37を介して接続する第二バイパス路39が設けられている。
このように冷凍サイクル装置9に第二バイパス路39を備えることにより、暖房用熱交換器(第一放熱器)52のみで熱交換を行う場合に、暖房用熱交換器52から第二バイパス路39を通じて膨張機54に流入する流路を含んで、第一圧縮機51、暖房用熱交換器52、膨張機54、及び蒸発器55を作動流体が順に循環する作動流体回路を形成することができる。この作動流体回路では、暖房用熱交換器52から第一流量制御弁53を介して膨張機54の膨張経路へ作動流体が注入されることによって、膨張機54に流入する作動流体の量が調整される。
続いて、冷凍サイクル装置9の制御系統の構成について説明する。
図3に示すように、冷凍サイクル装置9は、その制御を司る制御装置60を備えている。この制御装置60は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、その内部メモリ(図示せず)に格納されたプログラム等をそのCPU(図示せず)が実行することにより、冷凍サイクル装置9の制御装置60として機能する。制御装置60の内部メモリに格納されたプログラム等には、冷凍サイクル装置9を制御するための制御プログラム及び該制御プログラム内で実行される制御サブプログラム等が含まれ、各種データ等には、冷凍サイクル装置9の運転モードごとの初期条件を定めた運転初期条件データ、外気温と最適密度比との関係を定めたデータテーブル、設定暖房能力値、設定給湯能力値、及び各種調整量等が含まれる。
制御装置60には無線通信機能が備えられていて、該制御装置60には、ON/OFFや運転モードの切り替え、給湯能力(温度)の設定、及び暖房能力(温度)の設定等を行う操作ボタンが設けられた操作具61を通じて操作指令が入力される。
また、冷凍サイクル装置9には、外気の温度を検出する外気温度検出手段19が備えられている。この外気温度検出手段19は、例えば、温度センサで構成され、制御装置60に検出信号が入力される。
さらに、給湯ユニット8の給湯用水回路40には、給湯用熱交換器57の前後を流れる給湯用水の温度を検出する給湯用熱交換器出口水温検出手段17と、給湯用熱交換器入口水温検出手段18とが備えられている。また、暖房ユニット7の暖房用水回路41には、暖房用熱交換器52の前後を流れる暖房用水の温度を検出する暖房用熱交換器出口水温検出手段15と、暖房用熱交換器入口水温検出手段16とが備えられている。これらの水温検出手段15,16,17,18は、例えば、温度センサで構成され、制御装置60に検出信号が入力される。
そして、制御装置60は、各水温検出手段15,16,17,18、外気温度検出手段19、圧縮機51,56、及び操作具61から入力される信号に基づいて処理及び演算を行い、その結果に基づいて、第一流量制御弁53、第二流量制御弁58、開閉弁37、及び第三流量制御弁10の各弁53,58,37,10や、第一圧縮機51及び第二圧縮機56の各圧縮機51,56へ、適宜制御信号を出力してこれらを制御する。
なお、制御装置60は、給湯能力Qと、暖房能力Qと、第一圧縮機51の入口の作動流体温度と、第一圧縮機51の入口の作動流体圧力と、膨張機54の入口の作動流体温度と、膨張機54の入口の作動流体圧力と、膨張機54の入口と第一圧縮機51の入口との作動流体の密度比Rとを算出する。具体的には、以下のようにしてこれらを算出する。
暖房用熱交換器52の入口、暖房用熱交換器52の出口、及び膨張機54の入口の各々について、作動流体温度及び作動流体圧力は、暖房用熱交換器52の入口水温、暖房用熱交換器52の出口水温、及び第一圧縮機51の運転周波数から冷凍サイクルの高圧側を推定して、算出する。算出された作動流体温度及び作動流体圧力から、作動流体の特性データを参照して、作動流体の比エンタルピーや作動流体密度を算出する。
同様に、膨張機54の入口の作動流体密度及び作動流体圧力は、外気温度、第一圧縮機51の運転周波数、及び第二圧縮機56の運転周波数から冷凍サイクルの低圧側を推定し、算出する。
また、第一圧縮機51の作動流体重量流量Gは、第一圧縮機51の運転周波数及び第二圧縮機56の運転周波数と比例関係にあるので、これらの運転周波数に基づいて算出する。
また、暖房能力Qは、第一圧縮機51を流れる作動流体重量流量Gと、暖房用熱交換器52の入口と出口との作動流体のエンタルピーの差とを乗じて、算出する。
同様に、給湯能力Qは、第二圧縮機56を流れる作動流体重量流量Gと、給湯用熱交換器57の入口と出口との作動流体のエンタルピーの差とを乗じて、算出する。
[冷凍サイクル装置9の制御の流れ]
続いて、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置9の制御の流れについて説明する。冷凍サイクル装置9は、給湯及び暖房運転モード、給湯(単独)運転モード、及び暖房(単独)運転モードを有していて、各運転モードにより給湯運転及び暖房運転のうち、いずれか一方若しくは両方を行うことができる。
図4は冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。図4に示すように、制御装置60は、操作具61で運転モードが指定された旨の指令が入力されると(ステップS001)、運転モードが給湯及び暖房運転モード、給湯運転モード、又は暖房運転モードのいずれであるかを決定し(ステップS002)、当該運転モードに応じた制御サブプログラム及び初期運転条件を読み出して(ステップS003,S005,S007)、各運転モードに応じた制御サブプログラムを実行する(ステップS004,S006,S008)。以下、各運転モード別に制御の流れを説明する。
[給湯及び暖房運転モード]
まず、給湯及び暖房運転モードの冷凍サイクル装置9の制御の流れについて、図5及び図6を用いて説明する。図5は運転初期条件を説明する図、図6は給湯及び暖房運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。
給湯及び暖房運転モードの制御サブプログラムが実行され(図4のステップS004)、給湯及び暖房運転モードの制御が開始されると、制御装置60は、初期運転条件に基づいて各弁53,58,37,10に制御信号を出力して、各弁53,58,37,10を開閉させるとともに(ステップS101)、各圧縮機51,56に制御信号を出力して、各圧縮機51,56を動作させる(ステップS102)。
図5に示すように、給湯及び暖房運転モードの初期運転条件は、第一流量制御弁53と第二流量制御弁58と第三流量制御弁10とをいずれも開放し、開閉弁37は全閉し、第一圧縮機51と第二圧縮機56とを動作させるものである。この運転条件の冷凍サイクル装置9では、第二圧縮機56から吐出される作動流体は、第一作動流体回路30と第二作動流体回路31との両方を流れることとなる。
制御装置60は、作動流体の流れが安定したところで、冷凍サイクル装置9の運転状況を示す各種数値を取得する(ステップS103)。すなわち、制御装置60は、外気温度検出手段19と、給湯用熱交換器入口水温検出手段18と、給湯用熱交換器出口水温検出手段17と、暖房用熱交換器入口水温検出手段16と、暖房用熱交換器出口水温検出手段15との検出値を取得し、さらに、第一圧縮機51と第二圧縮機56との運転周波数の値を取得する。
そして、制御装置60は、検出された外気温度、給湯用熱交換器入口水温、給湯用熱交換器出口水温、暖房用熱交換器入口水温、暖房用熱交換器出口水温、第一圧縮機51の運転周波数、及び第二圧縮機56の運転周波数に基づいて、給湯能力Q、暖房能力Q、第一圧縮機51の入口の作動流体温度及び作動流体圧力、並びに膨張機54の入口の作動流体温度及び作動流体圧力を算出する。さらに制御装置60は、算出されたこれらの値に基づいて、第一圧縮機51の入口と膨張機54の入口の作動流体密度比R(以下、単に「密度比R」と記載する。)を算出する(ステップS104)。
続いて、制御装置60は、密度比Rの調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された密度比Rと予め設定された最適密度比Rtとを比較し、密度比Rが最適密度比Rtよりも小さい場合には(ステップS105のYES)、密度比Rを増大させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行い(ステップS108)、密度比Rが最適密度比Rtよりも大きい場合には(ステップS106のYES)、密度比Rを減少させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行う(ステップS107)。なお、最適密度比Rtは、作動流体温度に応じて定められている値であり、算出された作動流体温度に基づいて制御装置60に予め設定されたテーブルを参照して定められる。
密度比Rを最適密度比Rtに近づけるための制御は、運転モードによって異なり、以下に、給湯及び暖房運転モードでの制御について説明する。第一圧縮機51を流れる作動流体重量流量をG、第二圧縮機56を流れる作動流体重量流量をG、第一バイパス路32を通じて暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比をh、暖房用熱交換器52を流れる作動流体重量流量を{G+G×h}とすると、給湯用熱交換器57を流れる作動流体重量流量は{G×(1−h)}で表される。膨張機54の入口の作動流体密度をρe、第一圧縮機51の入口の作動流体の密度をρc、膨張機54の吸入容積をVe、第一圧縮機51の吸入容積をVcとすると、次の式1の関係式が成立する。
[式1: {G×(1−h)}/ρe:G/ρc=Ve:Vc]
式1を変形すると、次の式2となる。
[式2: ρe/ρc=Vc/Ve×(1−h)×G/G
つまり、上記式2に示されるように、密度比R(=ρe/ρc)を増大させる場合には、暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比hを小さくすればよいことがわかる。
よって、前記ステップS108では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ小さくすることにより、暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比hを小さくする。また、前記ステップS107では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ大きくすることにより、暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比hを大きくする。なお、第一流量制御弁53の開度の調整量については、予め制御装置60に設定される。
前述の密度比の調整に続いて、制御装置60は、給湯能力の調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された給湯能力Qと制御装置60に予め設定された設定給湯能力Qktとを比較し、給湯能力Qが設定給湯能力Qktよりも小さい場合は(ステップS109のYES)、給湯用熱交換器57の作動流体流量を増大させて給湯能力Qを上昇させる制御を行い(ステップS112)、給湯能力Qが設定給湯能力Qktよりも大きい場合は(ステップS110のYES)、給湯用熱交換器57の作動流体流量を減少させて給湯能力Qを低下させる制御を行う(ステップS111)。
前記ステップS112において、制御装置60は、第二圧縮機56に制御信号を出力し、第二圧縮機56の運転周波数を所定の調整量だけ増大させる。また、前記ステップS111において、制御装置60は、第二圧縮機56に制御信号を出力し、第二圧縮機56の運転周波数を所定の調整量だけ減少させる。なお、第二圧縮機56の運転周波数の調整量は、予め制御装置60に設定される。
続いて、制御装置60は、暖房能力の調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された暖房能力Qと制御装置60に予め設定された設定暖房能力Qdtとを比較し、暖房能力Qが設定暖房能力Qdtよりも小さい場合は(ステップS113のYES)、暖房用熱交換器52の作動流体流量を増大させて暖房能力Qを上昇させる制御を行い(ステップS116)、暖房能力Qが設定暖房能力Qdtよりも大きい場合は(ステップS114のYES)、暖房用熱交換器52の作動流体流量を減少させて暖房能力Qを低下させる制御を行う(ステップS115)。
前記ステップS116において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力し、第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ増大させる。また、前記ステップS115において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力し、第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ減少させる。なお、前記各調整量は、予め制御装置60に設定される。
暖房能力の調整を終えると、冷凍サイクル装置9の制御の流れはステップS101に戻り、制御装置60はステップS101〜ステップS116の処理を繰り返す。これにより、需要に応じて給湯能力及び暖房能力が調整される。また、密度比Rは最適密度比Rtに近づき、やがて、密度比Rは最適密度比Rtを維持するので、冷凍サイクル装置9は冷凍サイクルの効率が良好となるように常に調整される。
[給湯運転モード]
次に、給湯運転モードの冷凍サイクル装置9の制御の流れについて、図5及び図7を用いて説明する。図5は運転初期条件を説明する図、図7は給湯運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。
給湯運転モードの制御サブプログラムが実行され(図4のステップS006)、給湯運転モードの制御が開始されると、制御装置60は、初期運転条件に基づいて各弁53,58,37,10に制御信号を出力して、各弁53,58,37,10を開閉させるとともに(ステップS301)、圧縮機51に制御信号を出力して、圧縮機51を動作させる(ステップS302)。
図5に示すように、給湯運転モードの初期運転条件は、第一流量制御弁53と第二流量制御弁58と第三流量制御弁10とを開放し、開閉弁37は閉止し、第一圧縮機51は動作させ、第二圧縮機56は停止するものである。この運転条件の冷凍サイクル装置9では、第一圧縮機51から吐出される作動流体は給湯用熱交換器57を流れる。なお、暖房用水回路41に暖房用水が循環しないため、暖房用熱交換器52にて作動流体と水との熱交換は行われない。
制御装置60は、作動流体の流れが安定したところで、冷凍サイクル装置9の運転状況を示す各種数値を取得する(ステップS303)。すなわち、制御装置60は、外気温度検出手段19と、給湯用熱交換器入口水温検出手段18と、給湯用熱交換器出口水温検出手段17との検出値を取得し、さらに、第一圧縮機51の運転周波数の値を取得する。
そして、制御装置60は、検出された外気温度と、給湯用熱交換器入口水温と、給湯用熱交換器出口水温と、第一圧縮機51の運転周波数とに基づいて、給湯能力Qと、第一圧縮機51の入口の作動流体温度及び作動流体圧力、並びに膨張機54の入口の作動流体温度及び作動流体圧力を算出する。さらに、制御装置60は、算出されたこれらの値に基づいて、第一圧縮機51の入口と膨張機54の入口の作動流体の密度比Rを算出する(ステップS304)。
続いて、制御装置60は、密度比Rの調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された密度比Rと予め設定された最適密度比Rtとを比較し、密度比Rが最適密度比Rtよりも小さい場合には(ステップS305のYES)、密度比Rを増大させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行い(ステップS308)、密度比Rが最適密度比Rtよりも大きい場合には(ステップS306のYES)、密度比Rを減少させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行う(ステップS307)。
なお、最適密度比Rtは、作動流体温度に応じて定められている値であり、算出された作動流体温度に基づいて制御装置60に予め設定されたテーブルを参照して定められる。
ここで、給湯運転モードでの密度比Rを最適密度比Rtに近づけるための制御について説明する。
第一圧縮機51を流れる作動流体重量流量をG、暖房用熱交換器52を流れる作動流体重量流量を{G×j}とすると、給湯用熱交換器57を流れる作動流体重量流量は{(1−j)×G}で表される。
さらに、膨張機54の入口の作動流体密度をρe、第一圧縮機51の入口の作動流体密度をρc、膨張機54の吸入容積をVe、第一圧縮機51の吸入容積をVcとすると、次の式3が成立する。
[式3: (1−j)×G/ρe:G/ρc=Ve:Vc]
式5を変形すると、次の式4となる。
[式4: ρe/ρc=Vc/Ve×(1−j)]
つまり、上記式4に示されているように、膨張機54の入口と第一圧縮機51の入口の作動流体の密度比R(=ρe/ρc)を増大させる場合には、暖房用熱交換器52への作動流体流量比jを小さくすればよいことがわかる。
よって、前記ステップS308では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ小さくすることにより、暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比jを小さくする。また、前記ステップS307では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ大きくすることにより、暖房用熱交換器52を流れる作動流体流量比jを大きくする。なお、前記各調整量については、予め制御装置60に設定される。
前述の密度比の調整に続いて、制御装置60は、給湯能力の調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された給湯能力Qと制御装置60に予め設定された設定給湯能力Qktとを比較し、給湯能力Qが設定給湯能力Qktよりも小さい場合は(ステップS309のYES)、給湯用熱交換器57の作動流体流量を増大させて給湯能力Qを上昇させる制御を行い(ステップS312)、給湯能力Qが設定給湯能力Qktよりも大きい場合は(ステップS310のYES)、給湯用熱交換器57の作動流体流量を減少させて給湯能力Qを低下させる制御を行う(ステップS311)。
前記ステップS312において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力し該第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ増大させる。また、前記ステップS311において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力し該第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ減少させる。なお、前記各調整量は、予め制御装置60に設定される。
給湯能力の調整を終えると、冷凍サイクル装置9の制御の流れはステップS301に戻り、制御装置60はステップS301〜ステップS312の処理を繰り返す。これにより、需要に応じて給湯能力が調整される。また、密度比Rは最適密度比Rtに近づき、やがて、密度比Rは最適密度比Rtを維持するので、冷凍サイクル装置9は冷凍サイクルの効率が良好となるように常に調整される。
[暖房運転モード]
次に、暖房運転モードの冷凍サイクル装置9の制御の流れについて、図5及び図8を用いて説明する。図5は運転初期条件を説明する図、図8は暖房運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。
暖房運転モードの制御サブプログラムが実行され(図4のステップS008)、給湯運転モードの制御が開始されると、制御装置60は、初期運転条件に基づいて各弁53,58,37,10に制御信号を出力して、各弁53,58,37,10を開閉させるとともに(ステップS201)、圧縮機51に制御信号を出力して、圧縮機51を動作させる(ステップS202)。
図5に示すように、暖房運転モードの初期運転条件は、第一流量制御弁53と第二流量制御弁58と開閉弁37とを開放し、第三流量制御弁10は全閉し、第一圧縮機51は動作させ、第二圧縮機56は停止するものである。この運転条件の冷凍サイクル装置9では、第一圧縮機51から吐出され暖房用熱交換器52を通じた作動流体は、第二バイパス路39又はインジェクション路43を通じて膨張機54に流入することとなる。
制御装置60は、作動流体の流れが安定したところで、冷凍サイクル装置9の運転状況を示す各種数値を取得する(ステップS203)。すなわち、制御装置60は、外気温度検出手段19と、暖房用熱交換器入口水温検出手段16と、暖房用熱交換器出口水温検出手段15との検出値を取得し、さらに、第一圧縮機51の運転周波数の値を取得する。
そして、制御装置60は、検出された外気温度と、暖房用熱交換器入口水温と、暖房用熱交換器出口水温と、第一圧縮機51の運転周波数とに基づいて、暖房能力Qと、第一圧縮機51の入口の作動流体温度及び作動流体圧力、並びに膨張機54の入口の作動流体温度及び作動流体圧力を算出する。さらに制御装置60は、算出されたこれらの値に基づいて、第一圧縮機51の入口と膨張機54の入口の作動流体の密度比Rを算出する(ステップS204)。
続いて、制御装置60は、密度比Rの調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された密度比Rと予め設定された最適密度比Rtとを比較し、密度比Rが最適密度比Rtよりも小さい場合には(ステップS205のYES)、密度比Rを増大させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行い(ステップS208)、密度比Rが最適密度比Rtよりも大きい場合には(ステップS206のYES)、密度比Rを減少させて密度比Rを最適密度比Rtに近づける制御を行う(ステップS207)。なお、最適密度比Rtは、作動流体温度に応じて定められている値であり、算出された作動流体温度に基づいて制御装置60に予め設定されたテーブルを参照して定められる。
ここで、暖房運転モードでの密度比Rを最適密度比Rtに近づけるための制御について説明する。第一圧縮機51の作動流体重量流量をG、第一流量制御弁53の作動流体重量流量を{G×m}とすると、第二バイパス路39の作動流体重量流量は{G×(1−m)}で表される。膨張機54の入口の作動流体密度をρe、第一圧縮機51の入口の作動流体密度をρc、膨張機54の吸入容積をVe、第一圧縮機51の吸入容積をVcとすると、次式5が成立する。
[式5: (1−m)*G/ρe:G/ρc=Ve:Vc]
式5を変形すると、次の式6となる。
[式6: ρe/ρc=Vc/Ve*(1−m)]
つまり、密度比R(=ρe/ρc)を大きくしたい場合には、第一流量制御弁53の作動流体重量流量を{G×m}を小さくすればよいことがわかる。
よって、前記ステップS208では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ小さくすることにより、第一流量制御弁53を流れる作動流体流量比mを小さくする。また、前記ステップS207では、制御装置60は、第一流量制御弁53に制御信号を出力して、その開度を所定の調整量だけ大きくすることにより、第一流量制御弁53を流れる作動流体流量比mを大きくする。なお、第一流量制御弁53の開度の調整量については、予め制御装置60に設定される。
前述の密度比の調整に続いて、制御装置60は、暖房能力の調整を行う。具体的には、制御装置60は、算出された暖房能力Qと、制御装置60に予め設定された設定暖房能力Qdtとを比較し、暖房能力Qが設定暖房能力Qdtよりも小さい場合は(ステップS209のYES)、暖房用熱交換器52の作動流体流量が増大させて暖房能力Qを上昇させる制御を行い(ステップS212)、暖房能力Qが設定暖房能力Qdtよりも大きい場合は(ステップS210のYES)、暖房用熱交換器52の作動流体流量を減少させて暖房能力Qを低下させる制御を行う(ステップS211)。
前記ステップS212において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力して、第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ増大させる。また、前記ステップS211において、制御装置60は、第一圧縮機51に制御信号を出力して、第一圧縮機51の運転周波数を所定の調整量だけ減少させる。なお、前記各調整量は、予め制御装置60に設定される。
暖房能力の調整を終えると、冷凍サイクル装置9の制御の流れはステップS201に戻り、制御装置60はステップS201〜ステップS212の処理を繰り返す。これにより、需要に応じて暖房能力が調整される。また、密度比Rは最適密度比Rtに近づき、やがて、密度比Rは最適密度比Rtを維持するので、冷凍サイクル装置9は冷凍サイクルの効率が良好となるように常に調整される。
本発明の冷凍サイクル装置は、浴室乾燥用や融雪用などを含め、複数の放熱器を備えた冷凍サイクル装置等として有用である。
本発明の概念を説明する冷凍サイクル装置の構成を示す図である。 図1に示す冷凍サイクル装置のp−h線図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の構成を示す図である。 冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。 運転初期条件を説明する図である。 給湯及び暖房運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。 給湯運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。 暖房運転モードの冷凍サイクル装置の制御の流れ図である。 図1に示す冷凍サイクル装置の比較例としての冷凍サイクル装置の構成を示す図である。 図9に示す冷凍サイクル装置のp−h線図である。 膨張機の膨張経路の途中に作動流体を注入する構造を備えた従来の冷凍サイクル装置の構成を示す図である。
符号の説明
7 暖房ユニット
8 給湯ユニット
9 冷凍サイクル装置
10 第三流量制御弁
11 貯湯タンク
15,16,17,18 水温検出手段
19 外気温度検出手段
30 第一作動流体回路
31 第二作動流体回路
32 第一バイパス路
40 給湯用水回路
41 暖房用水回路
43 インジェクション路
51 第一圧縮機
52 第一放熱器(暖房用熱交換器)
53 第一流量制御弁
54 膨張機
55 蒸発器
56 第二圧縮機
57 第二放熱器(給湯用熱交換器)
58 第二流量制御弁
60 制御装置

Claims (5)

  1. 第一圧縮機と、第一放熱器と、前記第一圧縮機と動力軸で連結され、作動流体を減圧膨張させる際に回収した動力が前記第一圧縮機の駆動に用いられる膨張機と、蒸発器と、前記第一放熱器から前記膨張機に供給される作動流体の流量を調整する第一流量制御弁とを有し、前記第一圧縮機、前記第一放熱器、前記第一流量制御弁、前記膨張機、及び前記蒸発器の順に作動流体が循環するように形成されている第一作動流体回路と、
    第二圧縮機と、前記第一放熱器よりも高い圧力の作動流体が流れる第二放熱器と、前記膨張機と、前記蒸発器とを有し、前記第二圧縮機、前記第二放熱器、前記膨張機、及び前記蒸発器の順に作動流体が循環するように形成されている第二作動流体回路とを備えた、冷凍サイクル装置であって、
    前記膨張機は、前記第一放熱器から前記第一流量制御弁を介して流入する作動流体を、該膨張機の膨張経路の途中に注入するように構成されている、
    冷凍サイクル装置。
  2. 前記第一作動流体回路の前記第一圧縮機の吐出側と前記第二作動流体回路の前記第二圧縮機の吐出側とを、弁(以下、バイパス弁という)を介して接続する第一バイパス路をさらに備える、
    請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記バイパス弁が流量制御弁である、
    請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 前記第二作動流体回路の前記第二放熱器の出口側と前記膨張機の入口側との間に、第二流量制御弁をさらに備える、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  5. 前記第一作動流体回路の前記第一放熱器の出口側と前記膨張機の入口側とを、開閉弁を介して接続する第二バイパス路をさらに備える、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
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