JP2009091922A - 内燃機関のスラッジ付着抑制構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の内部に形成されたスラッジ抑制層の劣化度合いを知る。
【解決手段】本発明に係る内燃機関のスラッジ付着抑制構造は、内燃機関10の内部の部位の表面に、スラッジの生成または付着を抑制するためにスラッジ抑制層74を形成した内燃機関のスラッジ付着抑制構造であって、内燃機関10の外殻構造体の内のヘッドカバー20に、前記スラッジ抑制層74の内の少なくとも一部のスラッジ抑制層74Cを外側から観察可能にする可視化窓86を設けたことを特徴とする。好ましくは、可視化窓86内面に直接的に、前記少なくとも一部のスラッジ抑制層74Cが形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の内部にスラッジの生成または付着が生じることを抑制するための内燃機関のスラッジ付着抑制構造に関する。
自動車用等の内燃機関では、潤滑油であるオイルが循環されていて、このオイルは、使用により劣化して汚れるようになる。オイルの汚れ物質には、いわゆるスラッジがあり、このスラッジが内燃機関の各部に様々な悪影響を与えることが知られている。スラッジは、燃料中に含まれるオレフィンと、ブローバイガスに含まれるNOxやSOxと、水とを主成分とし、これら主成分が熱や酸の力で反応し、スラッジプリカーサやスラッジバインダといった前駆物質を経て生成される。スラッジは視覚的には泥あるいはヘドロ状の物質であり、例えば、これが内燃機関内部の通路に堆積すると通路を閉塞するといった問題を引き起こす。
このスラッジの生成は、内燃機関内部で結露等によって生じる水と、ブローバイガス中に含まれるNOxやSOxとの反応によってできる酸性物質によって促進される。したがって、かかる酸性物質のオイルへの混入は、スラッジの生成を促進し、オイルの劣化を加速すると共に、オイルの潤滑油としての各機能を低下させる。
このように、内燃機関のオイルが使用により劣化して汚れると好ましくない事態が生じ得るので、通常、オイルは一定期間ごとまたは一定走行距離ごとに交換される。これに関連して、内燃機関における潤滑油の潤滑ラインに設けられた潤滑油濾過用のオイルフィルタは、一定期間ごとまたは一定走行距離ごとに、オイルの汚れに起因してオイルフィルタに生じた目詰まりを改善するために、洗浄あるいは交換される。そして、これはオイルフィルタにある程度の目詰まりが生じた時期に行われるのが経済的には好ましく、この時期を的確に検知することを目的として創案された、オイルフィルタの目詰まり検知装置が特許文献1に開示されている。特許文献1の装置は、その目的を達成するために、潤滑油を循環させるオイルポンプの下流でかつオイルフィルタの近傍に設置されるものであり、具体的には、オイルフィルタに作用する潤滑油の圧力が所定値に達したときに開いて潤滑油を導入する逆止弁と、導入された潤滑油を貯蔵する貯蔵室と、貯蔵室に設けられて内部の潤滑油のレベルを観視させる窓とを備えて構成されている。
特開平8−28239号公報 特開平9−13066号公報
ところで、従来、内燃機関におけるオイル自体の劣化抑制を主目的として、潤滑油としてのオイル中に、金属系清浄剤と称される添加剤を直接的に加えて、上記酸性物質を中和・除去することが行われている(例えば特許文献2参照)。その一方で、上記スラッジが発生した場合に、スラッジが、内燃機関内部のオイルが常時行き渡らない部位に付着・堆積することが問題となっている。即ち、オイルが常時行き渡る部位であれば、スラッジが発生したとしても、このスラッジがオイルで洗い流されるので付着・堆積が起こりにくい。しかしながら、オイルが常時行き渡らない部位であると、そのようなスラッジを洗い流す効果が期待できず、付着・堆積という問題が起こり得る。
そこで、種々検討した結果、本発明者は、オイルが常時行き渡らない部位におけるスラッジの生成または付着を抑制するために、内燃機関の内部にスラッジの生成または付着を抑制することを可能にする炭酸カルシウムといった成分からなるスラッジ抑制層を形成することが有効であることを見出した。しかしながら、こうして形成されたスラッジ抑制層はその効能を発揮する過程で徐々に消耗する。それ故、このスラッジ抑制層の消耗度合いすなわち劣化度合いを知ることは、例えば、オイルの劣化の程度を推し測る上で、指標の一つとなり得る。
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、内燃機関の内部に形成されたスラッジ抑制層の劣化度合いを知ることにある。
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関のスラッジ付着抑制構造は、内燃機関の内部の部位の表面に、スラッジの生成または付着を抑制するためにスラッジ抑制層を形成した内燃機関のスラッジ付着抑制構造であって、前記内燃機関の外殻構造体に、前記スラッジ抑制層の内の少なくとも一部のスラッジ抑制層を外側から観察可能にする可視化窓を設けたことを特徴とする。
かかる構成によれば、内燃機関の外殻構造体に上記可視化窓が設けられているので、前記少なくとも一部のスラッジ抑制層を外殻構造体の外側から観察することが可能になる。したがって、内燃機関の内部に形成されたスラッジ抑制層の劣化度合いを、外殻構造体の外側からの観察によって知ることが可能になる。
好ましくは、前記可視化窓の内面に直接的に前記少なくとも一部のスラッジ抑制層が形成されているとよい。こうすることで、可視化窓が汚れてしまったがために、前記少なくとも一部のスラッジ抑制層を観察できなくなるということが生じるのを防ぐことが可能になる。
さらに、好ましくは、前記可視化窓から観察可能な前記少なくとも一部のスラッジ抑制層に、異なる厚みを有する複数の部分が含まれているとよく、具体的には、前記少なくとも一部のスラッジ抑制層の厚みは、その一端部側からその他端部側へ至るにつれて、徐々に変わるとよい。こうすることで、スラッジ抑制層にどの程度の劣化が生じているのかをより適切に知ることが可能になる。さらに、前記少なくとも一部のスラッジ抑制層の厚みと対応関係にあるスケールが前記可視化窓に設けられているとよい。こうすることで、スラッジ抑制層の劣化の程度を、より定量的に知ることが可能になる。
本発明によれば、内燃機関の内部に形成されたスラッジ抑制層の劣化度合いを知ることができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。まず、第1実施形態について説明する。
図1には本発明が適用される内燃機関、特にそのブローバイガス環流装置が示されている。図示されるように、エンジン(内燃機関)10はシリンダブロック12と、ピストン14と、クランクケース16と、シリンダヘッド18と、シリンダヘッド18を上方から覆うヘッドカバー20と、オイルパン22とを備える。なお、本明細書において、シリンダブロック12と、クランクケース16と、シリンダヘッド18と、ヘッドカバー20と、オイルパン22とは、エンジン10の内部領域を定める外殻構造体であり、ここでいうところの外殻構造体には、後述するチェーンカバーも含まれる。
ブローバイガスとは、ピストンリングと、シリンダブロック12のシリンダボアとの隙間からクランクケース16内へ漏れ出るガスのことである。このブローバイガスは多量の炭化水素や水分を含む。このため、ブローバイガスがあまりに多いとエンジンオイルの早期劣化やエンジン内部の錆の原因になる。また、炭化水素が含まれているため、ブローバイガスをこのまま大気に解放することは環境上好ましくない。そのため、ブローバイガスは、吸気負圧を利用して後述の経路を通じて強制的に吸気系統へ戻される。なおエンジンの軽負荷時におけるブローバイガスおよび新気の流れを矢印で示す。
吸気通路24にはスロットルバルブ26が設けられ、スロットルバルブ26の下流側の吸気通路24dと、ヘッドカバー20内とはPCV通路28によって連通されている。ここでPCVとはPositive Crankcase Ventilationの略称である。また、スロットルバルブ26の上流側の吸気通路24uと、ヘッドカバー20内とは大気通路30によって連通されている。PCV通路28にはこれを開閉するPCVバルブ32が設けられる。PCVバルブ32は吸気負圧の大きさに応じて開閉し、流量を変えるものであり、ここではヘッドカバー20に固設されている。
シリンダブロック12とシリンダヘッド18とには、ヘッドカバー20内とクランクケース16内とを連通するオイル落とし通路34が設けられている。ここでのオイル落とし通路34は、動弁系の潤滑を終えてシリンダヘッド18上に滞留したオイルをオイルパン22へ向けて落とすための通路であると同時に、クランクケース16内のブローバイガスをヘッドカバー20内に向けて上昇移動させるための通路である。クランクケース16からヘッドカバー20に向かって上昇移動するブローバイガスには、クランクケース16内のオイルの攪拌、蒸発によって生成されたオイルミストが含まれる。
図示されるように、エンジンの軽負荷時には、PCVバルブ32が開かれ、クランクケース16内のブローバイガスはオイル落とし通路34、ヘッドカバー20内、PCV通路28を順に通じて吸気通路24dに戻され、その後シリンダブロック12内の燃焼室で燃焼される。一方このときヘッドカバー20内には大気通路30を通じて大気が導入され、この大気はヘッドカバー20内のブローバイガスを適宜希釈する。
他方、図示しないが、エンジンの高負荷時には、スロットルバルブ26が所定開度以上に開かれてPCVバルブ32が閉じられるので、ヘッドカバー20内のブローバイガスは大気通路30を通じて吸気通路24に戻される。
このようにクランクケース16内のブローバイガスは、ヘッドカバー20内に導入された後、吸気通路24に戻されて燃焼される。ブローバイガスは、燃料成分であるHC(炭化水素)、既燃焼ガスに含まれるNOxおよびSOx、水分のほか、クランクケース16内のオイルの攪拌、蒸発によって生成された気体としてのオイルミストを含んでいる。このため、単にブローバイガスを吸気側に環流させるだけだとオイルも同時に燃焼されてしまい、オイルの消費量が多くなると同時に、オイル燃焼による白煙が生じて問題となる。
そこで、ヘッドカバー20内には、詳細は後述するが、ブローバイガスからオイルを分離するためのオイルセパレータ室が区画形成されている。このオイルセパレータ室により、ブローバイガスを吸気系に戻す前にオイルを分離して回収することができ、上記問題を解決することができる。
図2にエンジン10の外観を示す。図示されるように、エンジン10のクランク軸方向の一端部において、吸気側および排気側の二本のカムシャフト36I,36Eがタイミングチェーン38を介してクランク軸(図示せず)によって回転駆動される。そして、タイミングチェーン38は、シリンダブロック12に設けられたオイルジェット40から噴出されるオイルによって給油される。タイミングチェーン38はチェーンカバー42によって側方から覆われ、チェーンカバー42は、シリンダブロック12およびクランクケース16に締結される。チェーンカバー42の上端面にはヘッドカバー20が一部締結され、チェーンカバー42の下端面にはオイルパン22が一部締結される。これによりチェーンカバー42内には外部と仕切られた空間が形成される。
ヘッドカバー20は、その長手方向に沿って設けられた気筒数(ここでは4気筒)と同数のプラグ穴44と、図示しないキャップによって開放可能に閉止される給油口46とを有する。また、ヘッドカバー20には、前述のPCVバルブ32が取り付けられると共に、大気通路30をなす配管が接続される管継手48が取り付けられる。
図3に、ヘッドカバー20を裏側から見たときの斜視図が示されている。図示されるように、ヘッドカバー20の裏側上部には、前述のオイルセパレータ室を区画形成するための二つの溝50A,50Bが設けられている。これら溝50A,50Bは、ヘッドカバー20の長手方向Lに伸長されると共に、プラグ穴44を間に挟んで幅方向Wの一方側と他方側とに設けられている。以下、幅方向Wにおける一方の溝50Aが設けられる側を「前」、他方の溝50Bが設けられる側を「後」とする。これら方向は、エンジン10が図2に示されるように車両に横置きされた場合の車両の前後方向に対応する。
これら前後の溝50A,50Bは、図4に示されるような略長方形の二つのバッフルプレート52A,52Bによってそれぞれ閉止される。これにより、ヘッドカバー20の前部には、溝50Aとバッフルプレート52Aとによって区画される一つのオイルセパレータ室54Aが形成され、またヘッドカバー20の後部には、溝50Bとバッフルプレート52Bとによって区画される一つのオイルセパレータ室54Bが形成されることとなる。これら前後のオイルセパレータ室54A,54Bは別個独立である。
バッフルプレート52A,52Bは、図示状態から上下左右に反転され、それら周縁部が、ヘッドカバー20の溝50A,50Bの周縁部に形成された四角枠状の接合面56A,56Bに接合された後、溶接、ボルト止め等の締結手段によりヘッドカバー20に固定される。接合面56A,56Bに設けられた位置決めピン58A,58Bと、バッフルプレート52A,52Bに設けられた位置決め穴60A,60Bとが、両者の位置合わせに使用される。こうして出来たオイルセパレータ室54A,54Bは後述するガス出入口の部分を除いて基本的に閉じた空間である。
ヘッドカバー20において、溝50A,50Bの底面(あるいは上面)には、そこから起立する複数のじゃま板62A,62Bが長手方向に所定間隔で一体に設けられ、他方、バッフルプレート52A,52Bの上面(あるいは底面)にも、そこから起立する複数のじゃま板64A,64Bが長手方向に所定間隔で設けられる。図5を参照して、これら上下のじゃま板62A,62Bおよび64A,64Bは、バッフルプレート52A,52Bが組み付けられたときに長手方向Lに交互に配置され、その長手方向Lにブローバイガスが流れるときの蛇行状の通路を画成する。これによって、オイルセパレータ室54A,54Bの長手方向にブローバイガスが流れるとき、ブローバイガスは屈曲されつつ流されることになり、これによってブローバイガスからのオイルの分離が促進される。なお、オイルセパレータ室の通路構造については様々なものが知られており、このような上下に蛇行する構造の他、左右に蛇行する構造、両者を組み合わせた構造、より複雑な迷路構造などがある。いずれの通路構造も採用され得る。
図3に示すように、前部のオイルセパレータ室54Aに関しては、溝50Aの右端面に大気導入口66Aが形成され、この大気導入口66Aが前記管継手48に接続されて大気の取り入れ口となる。また、図4に示すように、前部バッフルプレート52Aの取付状態における左端部(図4では右端部)に大気の出口穴68Aが形成される。
よって、ヘッドカバー20内に大気を導入するときは、図3、図4に白抜き矢印で示されるように、大気がまず大気導入口66Aから前部オイルセパレータ室54A内に入り、前部オイルセパレータ室54A内を図中右から左へと流れ、出口穴68Aから室外に流出される。また、エンジン高負荷時において、ブローバイガスが前部オイルセパレータ室54Aを通過して吸気側に戻されるときは、流れ方向が逆となり、ブローバイガスが出口穴68Aからオイルセパレータ室54A内に入って図中左から右へと流れ、このときブローバイガスからオイルが分離される。オイル分離後のブローバイガスは大気導入口66Aから大気通路30へと流出され、分離されたオイルは出口穴68Aから落とされる。
他方、後部のオイルセパレータ室54Bに関しては、図4に示すように、バッフルプレート52Bの取付状態における右端部(図4では左端部)に、ブローバイガスの入口溝66Bが形成される。この入口溝66Bは、オイルセパレータ室54Bに溜まったオイルの落とし穴を兼用する。また、図3に示すように、溝50Bの左端部に後方に向かうブローバイガスの出口穴68Bが形成され、この出口穴68Bが前記PCVバルブ32に接続される。
よって、ブローバイガスが吸気側に戻されるときは、図3、図4に黒塗り矢印で示されるように、ブローバイガスが入口溝66Bから後部オイルセパレータ室54B内に入って室内を右から左へと流れ、このときブローバイガスからオイルが分離される。オイル分離後のブローバイガスは出口穴68BからPCV通路28へと流出され、分離されたオイルは入口溝66Bから落とされる。
ところで、かかるオイルセパレータ室54A,54Bは、ブローバイガスに含まれる気体としてのオイルミストが存在し、かつ、その内壁にオイルミストが接触される部位ではあるものの、オイルが常時行き渡る部位ではなく、言い換えればオイルが積極的に流されるような部位ではない。したがって、オイルセパレータ室54A,54Bの内面にはスラッジが生成・付着・堆積しやすい。
より詳しく述べると、ブローバイガス中に含まれるNOxやSOxと、結露等によって生じる水との反応によってできる酸性物質が、スラッジ生成を促す。一方、オイルセパレータ室54A,54B内のブローバイガスにはNOxやSOxが含まれており、また、ヘッドカバー20がエンジンからの熱を伝達されづらくかつ外面が外気に晒されて冷却風等によって冷却されるので、ヘッドカバー20の内面には結露等による凝縮水が生じやすい。よって、オイルセパレータ室54A,54B内では酸性物質ができやすく、この結果スラッジが発生しやすくなってその付着・堆積が起きやすい。しかも、オイルが積極的に流されるような部位ではないので発生したスラッジを洗い流す効果も期待できない。
オイルセパレータ室54A,54Bの内面にスラッジが付着・堆積すると、その室内に形成されたブローバイガス通路が半ば閉塞状態となり、オイル分離性能が低下する結果、ブローバイガス中のオイルミストが多量に吸気側に戻されてしまってオイル消費量増加やオイル燃焼による白煙発生などの不具合をもたらす。
そこで、本第1実施形態では、オイルセパレータ室54A,54Bのような基本的にオイルの行き渡らない部位において、スラッジの生成または付着を抑制するため、当該部位の表面にスラッジ抑制層を形成することとしている。スラッジ抑制層を図3および図4にドット部分で示す。
スラッジ抑制層は、好ましくは固体のアルカリ性物質からなり、このアルカリ性物質としては例えば炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。例えば後部のオイルセパレータ室54Bにおいて、スラッジ抑制層74Bは、ヘッドカバー20の内面となる溝50Bの底面と、バッフルプレート52Bの上面とに形成され、即ち、図5にも示されるように、オイルセパレータ室54B内の上面(天井面)76Bと下面(床面)78Bとに形成される。なお、スラッジ抑制層は、炭酸カルシウム成分を含む溶液をヘッドカバー20の内表面などに塗布して乾燥させることで形成されているが、種々の方法を用いて形成され得る。
本第1実施形態において、スラッジ抑制層74Bはオイルセパレータ室54B内の上面76Bおよび下面78Bの全面に設けられるが、部分的に設けられてもよい。スラッジ抑制層74Bを設けると、その厚み分だけ室内の通路面積が減少するので、本第1実施形態では、その通路面積減少をできるだけ少なくするため、じゃま板62B,64Bにはスラッジ抑制層74Bが形成されていない。ただし、そこに、これを形成するのは任意である。なお、図4に示されるように、バッフルプレート52Bの上面のうち、ヘッドカバー20の接合面56A,56Bと接合される周縁部には、スラッジ抑制層74Bは設けられていない。
オイルセパレータ室54Bの上面76Bは、外気に晒されるヘッドカバー外面の裏面若しくは内面であることから、図5に仮想線で示されるように、結露による水Mが生じやすく、また、その水Mは下面78Bに滴下しやすい。よって上面76Bと下面78Bとでは水MとNOx、SOxとの反応による酸性物質ができやすいが、ここではそれら上面76Bおよび下面78Bにスラッジ抑制層74Aを形成するので、そこに生成された酸性物質を効果的に中和し、スラッジの発生・付着を抑制できる。
他方、前部のオイルセパレータ室54Aについても同様の構成がなされており、スラッジ抑制層74Aが、オイルセパレータ室54Aの上面(天井面)76Aと下面(床面)78Aとにのみ、全面に亘って形成される。
このように、オイルが常時行き渡らずかつオイルミストが接触されるオイルセパレータ室54A,54Bの内面に、アルカリ性物質からなるスラッジ抑制層74A,74Bを設けると、生成された酸性物質をアルカリ性物質と反応させて中和させることができる。したがってこれにより、スラッジ生成を促進させる酸性物質の除去が可能となり、これを以てスラッジの発生を抑制し、その付着・堆積を抑制することができる。
また、生成された酸性物質を中和除去するので、この酸性物質がオイル中に溶け込んでオイルを劣化させるのを同時に抑制できる。
なお、本第1実施形態では図3に示されるように、前後のオイルセパレータ室54A,54B以外のヘッドカバー20の内面にも、スラッジ抑制層74Cが形成されている。ヘッドカバー20はその全体が冷却されやすいので、本第1実施形態の如くオイルセパレータ室54A,54B以外のヘッドカバー20の内面にスラッジ抑制層74Cを形成することは好ましい。以下、スラッジ抑制層74A、74B、74Cをまとめて、符号「74」で指し得る。
さらに、図1から図3に示されているように、エンジン10の内部空間を定める外殻構造体の内の一つのヘッドカバー20に、可視化窓86が設けられている。可視化窓86周囲の概念的な部分拡大図が図6に示されている。なお、図6(A)は可視化窓86周囲の断面図であり、図6(B)はヘッドカバー20の外側(図6(A)上側)から図6(A)を見た図である。可視化窓86は、ここでは透明な耐熱性ガラスから構成されていて、外部からエンジン10の内部を肉眼により視認可能に構成されている。エンジン10の内部である可視化窓86の内面には、上記スラッジ抑制層74Cの一部が直接的に形成されている。スラッジ抑制層74Cは、他の箇所に設けられたスラッジ抑制層74A、74Bと同じ材料から構成され、かつ、概ね同じ厚さを有するように構成されている。
スラッジ抑制層74は、オイルミストと接触する面から劣化し、その劣化が進むと可視化窓86からその劣化を観察可能になる。つまり、スラッジ抑制層74Cが劣化して厚さが薄くなると、最終的には可視化窓86内面上のスラッジ抑制層74Cがなくなる。したがって、運転者や車両整備者などはエンジンルームを開けて、さらにエンジンカバーがあるときにはそれを外して、エンジン10のヘッドカバー20をエンジン10の外部(スラッジ抑制層74Cの裏側)から見ることで、可視化窓86を介してエンジン10の内部のスラッジ抑制層74Cの消耗度合いすなわち劣化の度合いを確認することができる。これにより、エンジン分解などをしなくても的確にスラッジ抑制層74の劣化度合いを知ることが可能になる。
スラッジ抑制層74Cとスラッジ抑制層74A,74Bとは概ね同じ材料からなると共に同じ厚みを有して構成されているので、可視化窓86を介して確認されるスラッジ抑制層74Cの劣化度合いを、スラッジ抑制層74A、74Bの劣化度合いと関連付けることができる。なお、スラッジ抑制層74Cと、スラッジ抑制層74A,74Bの消耗速度すなわち劣化速度は、場所が異なるので、違い得る。したがって、予め実験により求めて、スラッジ抑制層74Cの劣化速度とスラッジ抑制層74A,74Bの劣化速度との対応関係に基づく変換データを作成しておくことも有効である。あるいは、スラッジ抑制層74Cの劣化度合いを目視により調べることで、スラッジ抑制層74A,74Bの劣化度合いを適切に検知可能にするべく、スラッジ抑制層74A、74Bが劣化するのに対応して同じ程度だけスラッジ抑制層74Cが劣化するように、それらの厚みを調節してもよい。
このように、可視化窓86の内面上に直接的にスラッジ抑制層74Cの一部が位置するようにスラッジ抑制層74Cを設けているので、可視化窓86に油分が付着してスラッジ抑制層74Cの劣化度合いを観察できなくなることがなく、的確にかつ容易にスラッジ抑制層74Cの劣化度合いを知ることが可能になる。また、このように容易に外部からスラッジ抑制層の劣化度合いを知ることができるので、オイル交換時期などを的確に判断することが可能になる。なお、このように直接的に可視化窓86の内面にスラッジ抑制層74Cが形成されているので、可視化窓86を介してスラッジ抑制層74Cを観察するときに、特別な光源を必要としない。
次に、本発明の第2実施形態に関して説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態と比して、主として、可視化窓86内面上に形成されるスラッジ抑制層174Cの厚みが一定でない点、および、可視化窓86にスケールが設けられている点が相違する。これ以外は、上記第1実施形態と第2実施形態とは概ね同じであるので、以下では相違点のみ説明して重複する説明を省略する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態のスラッジ抑制層74Cの代わりに、スラッジ抑制層174Cが設けられている。
第1実施形態の図6に相当する、第2実施形態の可視化窓86周囲の概念的な部分拡大図を図7に示す。ただし、図7のスラッジ抑制層174Cは、その厚みが誇張されて表されている。図7では、可視化窓86内面に直接的に設けられたスラッジ抑制層174Cは、異なる厚みの部分を複数有するように、傾斜面SLを有して構成されている。つまり、スラッジ抑制層174Cは、スラッジ抑制層174Cの一端部側から他端部側にかけてすなわち可視化窓86の一端部側から他端部側にかけて、概略的に、その厚みが徐々に変化するように形成されている。なお、本第2実施形態の場合、スラッジ抑制層74A,74Bはそれぞれ、概ね厚みt2を有するように形成されている。また、スラッジ抑制層174Cの図7(A)右端側の厚みt1を有する部分は、傾斜面SLの延長線上に、可視化窓86の図7(A)右端下部が位置するように、延在している。
これに対して、可視化窓86にはスケール88が設けられている。ここでは、スケール88は、可視化窓86の内面に刻むことで形成されている。スケール88は、スラッジ抑制層174Cの厚みと対応関係にあり、その厚みに関連付けられた目盛を含んで構成されている。したがって、外部からの目視により、スラッジ抑制層174Cの劣化程度を正確に知ることが可能になる。
図7中右端側の方がスラッジ抑制層174Cの厚みが薄いので、スラッジ抑制層174Cが劣化していくにつれて、右端側から左端側に向けて徐々にスラッジ抑制層174Cの消失が進行する。こうして進行したスラッジ抑制層174Cの消失量すなわち劣化程度は、スケール88の目盛を読むことでより定量的により正確に知ることが可能になる。
図7(A),(B)に示すように当初は可視化窓86全体がスラッジ抑制層174Cによって覆われていたが、スラッジ抑制層174Cがある程度消耗されると図7(C)のようになる。図7(C)からは、スケール88を用いて、スラッジ抑制層174Cが概ね47%劣化したことを理解できる。ここでは、これからスラッジ抑制層74A,74Bが同じだけ劣化したことが推し測られる。換言すると、スラッジ抑制層174Cの劣化度合いを知ることで、スラッジ抑制層74A、74Bの残存状況を確認することが可能になる。したがって、運転者等は、これから、スラッジ抑制層174Cの劣化度合いに基づき、オイル交換時期などを判断することが可能になる。
以上、本発明を上記2つの実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されず、例えば、可視化窓は、エンジン10の外殻構造体であれば他の部位に設けられてもよい。具体的には、ヘッドカバーの一部であるオイルセパレータ室の上面やチェーンカバーに可視化窓が設けられても良い。なお、上記両実施形態では、可視化窓の内面に直接的にスラッジ抑制層を設けたが、スラッジ抑制層が可視化窓から離れて配置されることを本発明は排除しない。ただし、可視化窓からの視認性確保の点から、少なくとも一部のスラッジ抑制層は可視化窓内面に直接的に形成されるのが好ましい。なお、可視化窓は、ガラス材料から形成されることに限定されず、透明か半透明かを問わず、プラスチック材料(合成樹脂材料)から形成され得る。
また、上記両実施形態では、可視化窓の内面にスケールを刻んだが、スケールは可視化窓を介してスラッジ抑制層の消耗量を知ることができれば、可視化窓の外表面やその内部に設けられてもよい。また、スケールの目盛は、スラッジ抑制層の消耗量すなわち劣化度合いを的確に知ることを可能にすれば、どのような目盛であってもよい。
また、スラッジ抑制層はエンジン10の他の部位の内表面に形成され得る。具体的には、スラッジ抑制層は、上記両実施形態の如き場所の他、オイルセパレータ室の上面のみあるいは下面のみ、チェーンカバーの内面などに形成され得る。また、本発明では、エンジンにオイルセパレータは設けられていなくてもよく、その場合にはヘッドカバーの内面に単独でスラッジ抑制層が形成されてもよい。また、オイルセパレータ室の設置位置は特に限定されず、特にオイルセパレータ室が外気に晒される外面を有する場合は、その外面の裏側に位置するオイルセパレータ室の内面に、スラッジ抑制層を形成するのが好ましい。
なお、上記ではスラッジ抑制層を炭酸カルシウムといったアルカリ性物質から構成されるとしたが、本発明は、スラッジ抑制層が他のアルカリ性物質やアルカリ性物質以外の物質から主として構成されることを排除するものではない。スラッジの生成または付着を抑制する効果を奏する物質であれば、如何なる物質からもスラッジ抑制層は形成され得る。
本発明の実施形態は前述の2つの実施形態や変形例のみに限られず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。したがって本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
本発明の第1実施形態に係る内燃機関の概略断面図である。 本発明の第1実施形態に係る内燃機関の部分組立斜視図である。 ヘッドカバーを下方裏側から見たときの斜視図である。 バッフルプレートを上方から見たときの斜視図である。 オイルセパレータ室を示す部分断面図である。 (A)は可視化窓周囲の断面図であり、(B)はヘッドカバー外部から(A)を見た図である。 第2実施形態の可視化窓周囲の部分拡大図であり、(A)は可視化窓周囲の断面図であり、(B)はヘッドカバー外部から(A)を見た図であり、(C)はスラッジ抑制層がある程度劣化した状態での(B)相当図である。
符号の説明
10 エンジン
12 シリンダブロック
16 クランクケース
18 シリンダヘッド
20 ヘッドカバー
22 オイルパン
24 吸気通路
26 スロットルバルブ
28 PCV通路
30 大気通路
32 PCVバルブ
34 オイル落とし通路
42 チェーンカバー
54A、54B オイルセパレータ室
74、74A、74B、74C、174C スラッジ抑制層
86 可視化窓
88 スケール

Claims (5)

  1. 内燃機関の内部の部位の表面に、スラッジの生成または付着を抑制するためにスラッジ抑制層を形成した内燃機関のスラッジ付着抑制構造であって、
    前記内燃機関の外殻構造体に、前記スラッジ抑制層の内の少なくとも一部のスラッジ抑制層を外側から観察可能にする可視化窓を設けたことを特徴とする内燃機関のスラッジ付着抑制構造。
  2. 前記可視化窓の内面に直接的に前記少なくとも一部のスラッジ抑制層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のスラッジ付着抑制構造。
  3. 前記可視化窓から観察可能な前記少なくとも一部のスラッジ抑制層に、異なる厚みを有する複数の部分が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のスラッジ付着抑制構造。
  4. 前記少なくとも一部のスラッジ抑制層の厚みは、その一端部側からその他端部側へ至るにつれて、徐々に変わることを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のスラッジ付着抑制構造。
  5. 前記少なくとも一部のスラッジ抑制層の厚みと対応関係にあるスケールが前記可視化窓に設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の内燃機関のスラッジ付着抑制構造。
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