JP2009091454A - 重合体、および硬化性樹脂組成物、および積層体 - Google Patents

重合体、および硬化性樹脂組成物、および積層体 Download PDF

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Yasuhiro Matsuda
安弘 松田
Hiromi Tachibana
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Abstract

【課題】本発明が解決すべき課題は、耐擦り傷性、及び防汚性に優れる硬化層を形成しうる、硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1):
【化1】
Figure 2009091454

[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有することを特徴とする重合体、ならびに、該重合体を含む硬化性樹脂組成物、ならびに、該重合体及び又は硬化性樹脂組成物を含む材料を硬化させて得られる層が形成されてなる積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、重合体および硬化性樹脂組成物および硬化性樹脂組成物より得られる硬化物層が形成された積層体に関する。
耐擦傷性や耐摩耗性が必要とされる各種の物体、例えば、CD、DVD、ブルーレイディスク、HD−DVDディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子の表面には、通常保護層としてハードコート層が付与されている。
光記録媒体の表面に極わずかな傷や汚れが存在すると読み取りエラーの原因となるので、傷付き防止や汚れ防止のハードコート層が形成されている。ハードコート層の形成方法として紫外線硬化型の樹脂をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ高硬度硬化層を形成する方法がある。また、防汚技術としては、ディスク表面を触って指紋がついた際に指紋の油滴が小さくなることで読み取りに影響を及ぼさないよう工夫がされている。
一方、液晶モニタ、テレビ、ショーケース、時計や計器のカバーガラスなどの表面には、表面を保護するために保護用透明フィルムが貼着される場合がある。近年、銀行のATM、切符の券売機、ゲーム機に代表されるように、タッチパネル方式の電子機器が増えている。このような液晶モニタなどの表面保護用の透明フィルム、およびタッチパネルに使用される透明フィルムなどは、高透明性を有することから指紋が付着すると非常に目立ち、また、指紋が付着した部分を布などで拭いてもきれいにならないという問題があった。
光ディスク表面の防汚性を付与する技術として、特許文献1には、有機被覆シリカ微粒子成分とパーフルオロアルキル基と(メタ)アクリレート基を有する共重合体からなる硬化性樹脂組成物が提案されている。しかし、本法は、有機被覆シリカ微粒子やパーフルオロアルキル基を有するモノマーは高価なため、コスト高となる問題があった。
また、特許文献2には、保護層上に反応性のシリコーン系化合物又はフッ素系化合物と含む活性エネルギー線硬化性化合物を含む組成物を塗布した後、紫外線を照射し、さらに電子線を照射して硬化する方法が提案されている。しかし、本方法も硬化性化合物を硬化させるために2段階必要で工程数が多いことからコスト高となる問題があった。
タッチパネル等に使用される透明フィルムの防汚性を付与する技術として、特許文献3には、透明フィルム表面の接触角を大きくし、指紋の皮脂、汗などを消去しやすくするものが提案されている。つまり透明フィルム表面のぬれ張力を小さくしたもの、あるいは透明フィルム表面のエネルギーを小さくしたもの即ち、透明フィルム表面のぬれ張力を小さくすることにより、透明フィルム表面に付着した指紋成分ははじかれた状態となり、除去しやすくなるというものである。本技術の透明フィルムは、外光の映り込みを防止するなどの目的で、表面がマット化されることがある。しかし、表面をマット化し、かつ表面のぬれ張力を小さくした透明フィルムは、指紋消去性が良好でないことが問題であった。
特開2006−219657号公報 特開2005−152751号公報 特開2001−98190号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、耐擦り傷性、及び防汚性に優れる硬化層を形成しうる、硬化性組成物を提供することにある。
下記式(1):
Figure 2009091454

[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有することを特徴とする重合体を提供するものである。
また本発明は、該ビニル系重合体と重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を提供するものでもある。
また本発明は、該ビニル系重合体及び又はビニル系重合体を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させた層が形成されてなる積層体を提供するものでもある。
また本発明は、該ビニル系重合体及び又はビニル系重合体を含有する硬化性樹脂組成物を硬化させた層が形成されてなる光学用部材を提供するものでもある。
本発明のビニル系重合体を含有する硬化性樹脂組成物は、耐擦り傷性に優れ、かつ、撥油性に優れた硬化層を基材表面に形成するために好適であり、また、スリップ性に優れた硬化被膜を形成することができる。
≪ビニル系重合体≫
本発明のビニル系重合体は、下記式(1):
Figure 2009091454
[式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有することを特徴とする重合体である。
≪硬化性樹脂組成物≫
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、重合性の単量体、及び/又は、オリゴマー、及び/又は、ポリマーを含有してもよい。これらの各成分は、それぞれ1種又は2種以上含有することができる。なお、本発明の作用効果を損なわない限り、他の成分を更に含有していてもよい。上記樹脂組成物において、重合性の単量体としては、重合性を有する官能基を分子内に1個以上含む化合物であればよい。
重合性のオリゴマー、ポリマーとしては、例えば、分子中に重合性官能基を1つ以上有するアクリル系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。樹脂組成物中の重合性の単量体、オリゴマー、ポリマーの合計含有量は80質量%以上。好ましくは85質量%、より好ましくは90質量%以上である。合計含有量が80質量%未満であれば、硬化物の硬度が得られないことや耐スクラッチ性が劣る場合がある。
本発明の樹脂組成物において、上記式(1)で示されるビニル系重合体の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは40〜100質量%である。ビニル系重合体の配合量が10質量%未満であると、架橋密度が低下するので硬化速度の低下や透明カバー層の硬化物強度が不充分になることがある。
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、低分子量成分が増加すると透明カバー層の強度が低下することがある。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは500以上、より好ましくは1,000〜100,000、さらに好ましくは2,000〜50,000の範囲内である。ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)が500未満であると、硬化速度の低下や硬化物の強度低下を生じることがある。また100,000を超えるとスピンコート時の樹脂厚み均一性が低下する場合がある。ここで、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、THFを移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー株式会社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー株式会社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、固体状の単量体から得た重合体含有量が多い場合を除き、液状粘性体として得ることができる。液状粘性体であれば、重合性単量体で希釈して樹脂粘度を下げなくてもスピンコートが可能である。又、必要であれば重合性単量体と混合しても良いが、重合性単量体との溶解性が良いので、樹脂組成物を調整する際に作業効率の向上化が図れる。粘度が低いと作業性が良く、また、光記録媒体を作成する際に、情報記録層との濡れ性は向上するが、ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)が小さい場合があり、透明カバー層の強度が低下することがある。好ましい本発明のビニル系重合体の粘度は、好ましくは500mPa・s〜100Pa・s、より好ましくは1,000mPa・s〜50Pa・s、さらに好ましくは1,000mPa・s〜10,000mPa・sである。ここで、粘度は、温度25℃の条件下で、RB80型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて算出した値である。
上記式(1)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基などが挙げられる。Rで表される置換基は、上記式(1)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)において、mは正の整数、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは1〜5の整数である。
<ビニル系重合体の調製>
上記式(1)で示されるビニル系重合体は、下記式(2):
Figure 2009091454
[式中、R、Rおよびmは上記式(1)と同意義である]
で示される異種重合性単量体を、従来から知られているカチオン重合により調整する際に官能基を有する有機変性シリコーン化合物を加えることで合成が可能である。この時、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。後者の場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
上記式(2)で示される異種重合性単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸、4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル;などが挙げられる。これらの異種重合性単量体のうち、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
上記式(2)で示される異種重合性単量体は、従来公知の方法を用いて、製造することができる。例えば、上記式(2)において、Rがエチレン基、mが1である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−ハロゲノエチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。また、上記式(2)において、Rがエチレン基、mが2である場合、(メタ)アクリル酸の金属塩と、2−(2−ハロゲノエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させるか、(メタ)アクリル酸メチルと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとをエステル交換させるか、あるいは、(メタ)アクリル酸ハライドと、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテルとを縮合させることにより、製造することができる。
上記式(1)で示されるビニル系重合体がカチオン重合可能な単量体に由来する構造単位を有する共重合体である場合、かかる共重合体は、上記式(2)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とを、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。このとき、上記式(2)で示される異種重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体またはその組合せのいずれであってもよい。また、グラフト共重合体であってもよい。
カチオン重合可能な単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物;スチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;イソプロペニルスチレン、ケイ皮酸2−ビニロキシエチル、ソルビン酸2−ビニロキシエチルなどのジビニル化合物やトリビニル化合物;などが挙げられる。これらのカチオン重合可能な単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのカチオン重合可能な単量体のうち、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル化合物が好適である。
上記式(2)で示される異種重合性単量体は、ラジカル重合性またはアニオン重合性の(メタ)アクリロイル基と、カチオン重合性のビニルエーテル基とを同時に有するので、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基をペンダント基として有する重合体が得られる。本発明では、上記式(2)で示される異種重合性単量体のビニルエーテル基を、単独で、あるいは、カチオン重合可能な単量体と共に、カチオン重合あるいはリビングカチオン重合させることにより、(メタ)アクリルロイル基をペンダント基として有する上記式(1)で示されるビニル系重合体が得られる。
上記式(2)で示される異種重合性単量体と、カチオン重合可能な単量体とをカチオン重合あるいはリビングカチオン重合する場合、単量体のモル比(カチオン重合可能な単量体/上記式(2)で示される異種重合性単量体)は、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5、さらに好ましくは0.8〜2の範囲内である。
上記式(1)で示されるビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を導入する方法として、従来から知られているカチオン重合により調整する際に官能基を有する有機変性シリコーン化合物を加えることで合成が可能である。官能基を有する有機変性シリコーン化合物としては、例えば、官能基の導入場所により下記式(3)〜下記式(6)が挙げられる。
側鎖型
Figure 2009091454
片末端型
Figure 2009091454
両末端型
Figure 2009091454
側鎖/末端型
Figure 2009091454
[式中、R〜Rは官能基を有する炭素数2〜20の有機残基でX、Yは正の整数である]。官能基としては、水酸基、エポキシ基、アミノ基などが挙げられる。R〜Rの官能基を有する有機残基以外に(メタ)アクリロイル基をさらに有していてもよい。
下記式(3)〜下記式(6)の官能基を有する有機変性シリコーン化合物は1種類のみ用いてもよいし、2種類以上に組み合わせて使用してもよい。
上記式(2)で示される異種重合性単量体と、下記式(3)〜下記式(6)の官能基を有する有機変性シリコーン化合物は、防汚性能を有する範囲で使用すればよく特に限定しないが、質量比(下記式(3)〜下記式(6)の官能基を有する有機変性シリコーン化合物/カチオン重合可能な単量体)は、好ましくは0.001〜10、より好ましくは0.005〜5の範囲内である。
本発明の樹脂組成物は、重合性単量体、オリゴマー、ポリマー、前記ビニル系重合体に加えて好ましくは、重合開始剤を含む。重合開始剤を含む場合には、組成物を熱や紫外線で硬化させることができるという効果を奏する。
重合性単量体としては、上記式(1)で示されるビニル系重合体と共硬化可能なものである限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系単量体;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなどのアリルエステル系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、等の1官能(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸(2−ビニロキシエトキシ)エチル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレートトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、などの(メタ)アクリル酸系誘導体;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル系単量体;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテルなどのアリルエーテル系単量体;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸エステル系単量体;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどのフマル酸エステル系単量体;4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、などの1,3−ジオキソラン系単量体;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン;などが挙げられる。これらの重合性単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの重合性単量体のうち、(メタ)アクリル系エステル化合物が好適で、さらに脂環構造置換基を有する(メタ)アクリル系エステル化合物が好適である。
重合性単量体の配合量は、樹脂組成物の合計量に対して、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜40質量%である。重合性単量体の配合量が70質量%を超えると、硬化収縮が大きくなり、内部歪や硬化物の反りが大きくなることがある。
重合開始剤としては、紫外線を照射させることにより硬化させるので、紫外線の照射により重合開始ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましいが、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱重合開始剤を含有していてもよい。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などをさらに添加することも好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;などが挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合開始剤のうち、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類が好適であり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンが特に好適である。
熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセテートペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、m−トルオイルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ブチルペルオキシマレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5、6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]などのアゾ系開始剤;などが挙げられる。これらの熱重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの熱重合開始剤のうち、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシドなどの金属石鹸および/またはアミン化合物などの触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
重合開始剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%である。重合開始剤の配合量が0.05質量%未満であると、組成物が充分に硬化しないことがある。逆に、重合開始剤の配合量が20質量%を超えると、硬化物の物性がさらに向上することはなく、むしろ悪影響を及ぼす上、経済性を損なうことがある。
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光励起により生じた励起状態から光重合開始剤に励起エネルギーを移し、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光増感剤を用いることができる。光増感剤としては、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどを挙げることができる。これらの光増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
光増感剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光増感剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる光重合促進剤を用いることができる。光重合促進剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンなどを挙げることができる。これらの光重合促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの光重合促進剤のうち、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好適である。
光重合促進剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量%、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%の範囲内である。光重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
重合開始剤として、熱重合開始剤を用いる場合には、熱重合開始剤の分解温度を低下させるために、熱重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる熱重合促進剤を用いることができる。熱重合促進剤としては、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウムなどの金属石鹸、1級、2級、3級のアミン化合物、4級アンモニウム塩、チオ尿素化合物、ケトン化合物などが挙げられる。これらの熱重合促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの熱重合促進剤のうち、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルが好適である。
熱重合促進剤の配合量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%以上、さらに好ましくは0.05〜5質量%の範囲内である。熱重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
熱重合開始剤、光重合開始剤、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤などを組み合わせて配合する場合、その配合量の合計量は、組成物の合計量に対して、好ましくは0.05〜20質量、より好ましくは0.1〜15質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量の範囲内である。重合開始剤などの組合せ配合量の合計量がこのような範囲内であれば、組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、重合性単量体以外の溶剤を含まないことが好ましいが、必要により添加してもよい。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族または脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、二塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物;ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;などを使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、前記ビニル系重合体に加えて、金属酸化物からなる微粒子を含有してもよい。金属酸化物からなる微粒子を含有する場合には、硬化後の塗膜の硬度が向上し、より傷つきにくくなるという効果を奏する。
微粒子を構成する金属酸化物は、より好ましくは、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、LaおよびYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む。微粒子を構成する金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。微粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、SnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrOなどが挙げられる。これらの金属酸化物からなる微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの金属酸化物からなる微粒子のうち、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
金属酸化物からなる微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜20nmである。微粒子の平均粒子径が100nmを超えると、硬化物の透明性が損なわれることがある。なお、微粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
金属酸化物からなる微粒子の配合量は、樹脂組成物の合計量に対して、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
本発明の樹脂組成物は、さらに必要に応じて、添加物として、反応性又は非反応性樹脂(例えば、アクリル系樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など)、着色顔料、可塑剤、重合禁止剤、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、撥水剤、撥油剤、揺変化剤、揺変助剤などを添加することができる。これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。これらの添加物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、配合量は、樹脂組成物の合計量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%の範囲内である。
硬化性樹脂組成物を塗布するプラスチック基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルアミド(PEI)、ナイロン(NY)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ラクトン環構造含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物やラクトン環構造を有する単量体とMMAとの共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物、などの樹脂成形物およびフィルム;ポリエチレンコート紙、ポリエチレンテレフタレートコート紙などのコート紙、非コート紙などの紙類;木材;などが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリレート、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂組成物やラクトン環含有単量体とMMAとの共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物などが挙げられる。タッチパネル等に使用される透明フィルムとしては、PETフィルムが、そして光記録媒体に使用するプラスッチク基材としては、透明性、低吸水性、耐熱性、寸法安定性、耐衝撃性、成形性が優れていることから、ポリカーボネート(PC)が好適である。
本発明の方法により得られた硬化物は、CD、DVD、ブルーレイディスク、HD−DVDディスク等の光学ディスク保護層、透明カバー層や陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル等の光学部材に特に好適であるが、さらには自動車部品用、ショーウインドウ、窓ガラス等の保護フィルム、またOA機器、携帯電話等の通信機器、家庭用電化製品、自動車用内外装部品、家具用外装部材、プラスチックレンズ、化粧品容器、飲料用容器などの用途分野にでも使用できる。
≪硬化性樹脂組成物の製造および積層体≫
本発明の樹脂組成物は、重合性単量体、及び/又は、オリゴマー、及び/又は、ポリマー、さらには上記式(1)で示されるビニル系重合体、重合開始剤、熱重合促進剤、光増感剤、光重合促進剤、溶媒、金属酸化物微粒子、各種の添加物などとを配合し、混合・攪拌することにより得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱重合開始剤を配合した場合には、加熱により、また、光重合開始剤を配合した場合には、紫外線を照射することにより、硬化させることができる。
例えば、加熱による硬化の場合、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などを用いればよい。加熱温度は、基材の種類などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積などに応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、さらに好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
例えば、紫外線による硬化の場合、波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いればよい。このような光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、キセノン・フラッシュ灯、カーボンアーク灯などが挙げられる。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱などによる熱の併用も可能である。照射積算光量は、好ましくは0.1〜10J/cm、より好ましくは0.15〜8J/cm、さらに好ましくは0.2〜5J/cmの範囲内である。
硬化性組成物をプラスチック基材に塗布する場合、使用目的に応じて、ロールコート、グラビアコート、グラビアオフセットコート、カーテンフローコート、リバースコート、バーコート、フレキソコート、スクリーンコート、スピンコートなどの従来公知の方法で基材に塗布することができる。光記録媒体の透明カバー層を形成する場合には、生産性の観点からスピンコート法が好ましい。
≪硬化物≫
本発明の硬化物は、樹脂組成物または該組成物を含む材料を硬化させて得られる。ここで、「硬化物」とは、流動性の無い物質を意味する。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
まず、ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)の測定について説明する。
<数平均分子量および分子量分布>
ビニル系重合体の数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算で求めた。測定条件は、以下の通りであった。
移動相:THF、温度:40℃、流速:0.3mL/min;
カラム:TSK−gel SuperHM−H 2本
TSK−gel SuperH2000 1本(いずれも東ソー株式会社製);計測機器:HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)。
次に、ビニル系重合体の粘度の測定について説明する。
<粘度>
粘度は、RB80型粘度計(型式「RB80L」:東機産業(株)製)を用いて測定した。なお、測定温度は25℃である。
次に、実施例及び比較例で用いるビニル系重合体の製造例1〜5について説明する。
≪製造例1≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル50gを加えた。VEEA200gと両末端に水酸基を有する有機変性シリコーン化合物(商品名「SF−8427」、東レ・ダウコーニング株式会社製)2gの混合物、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し室温にて重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了しビニル系重合体(PVEEA−1)の酢酸エチル溶液を得た。
≪製造例2≫
次いで、ビニル系重合体(PVEEA−1)の酢酸エチル溶液をエバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(PVEEA−1)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.8%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は3,310、分子量分布(Mw/Mn)は1.66であった。
濃縮して得られたビニル系重合体(PVEEA−1)を少量の酢酸エチルに溶解し、多量のヘキサンに滴下し、沈殿させて粘ちょう性物質を得た。酢酸エチル、ヘキサンをデカンテーションにて除いた後、加熱真空乾燥機で乾燥させた。得られた粘ちょう性物質のH−NMR測定(測定溶媒:重水素化クロロホルム、測定機器:Varian社製の400MHz H−NMR UNITYplus400)を行ったところ、アクリロイル基が残存し、選択的にビニルエーテル基が重合しており、側鎖にラジカル重合可能な二重結合を有するアクリロイル基ペンダント型重合体であることが確認され、またジメチルシロキサン由来のピークが見られたことからビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有していることも確認された。
≪製造例3≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル50gを加え、50℃へ昇温した。昇温後、VEEA155gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)45gと両末端に水酸基を有する有機変性シリコーン化合物(商品名「SF−8427」、東レ・ダウコーニング株式会社製)2.0gの混合物、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し室温にて重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了しビニル系重合体(P(VEEA/CHVE)−1)の酢酸エチル溶液を得た。
≪製造例4≫
次いで、ビニル系重合体(P(VEEA/CHVE)−1)の酢酸エチル溶液をエバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(P(VEEA/CHVE)−1)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.8%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2,570、分子量分布(Mw/Mn=d)は1.73であった。
≪製造例5≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル50gを加えた。VEEA200g、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し室温にて重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(PVEEA−2)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.5%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2,520、分子量分布(Mw/Mn)は1.75であった。
≪製造例6≫
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル50gを加え、50℃へ昇温した。昇温後、VEEA155gとシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)45gの混合物、酢酸エチル13gとリンタングステン酸13mgの混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し室温にて重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(P(VEEA/CHVE)−2)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.7%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2,290、分子量分布(Mw/Mn=d)は1.60であった。
次に、樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の外観、耐スクラッチ性、撥油姓の評価方法について説明する。
<外観>
得られた硬化物を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:濁りが見られず透明
×:濁りが見られ不透明
<耐スクラッチ性>
積層体(硬化物層/プラスチック基材)の表面に対して、耐摩耗試験機(型式IMC−154A型、株式会社井元製作所製)を用いて、荷重条件200g/cmの下、スチールウール#0000番を、往復速度30mm/秒、往復距離25mmで10回往復させた後、傷つき度合いを目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:変化なし(傷が認められない);
×:傷が認められる。
<撥油性>
得られた積層体の硬化物表面に23℃、相対湿度50%の環境下において、トリオレイン1.5μlを1滴で滴下し、協和界面科学(株)製の接触角測定器を用いてトリオレインと硬化物表面間の接触角を測定した。
次に、基材上に樹脂組成物の硬化物層を形成した積層体に関する実施例1〜8および比較例1〜2について説明する。
≪実施例1≫
製造例2で得られたビニル系重合体PVEEA−1 100質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部を混合・攪拌して、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は、濁りは見られず透明であった。
寸法12cm×12cm、厚さ1mmのポリカーボネート(PC)シート上に、硬化性樹脂組成物を落とし、スピンコーターを用いて直径約12cm、平均硬化膜厚が100±2μmとなるように塗工した。このPCシートに塗布した樹脂層を光源からの距離20cmに配置した後、パルスUV照射装置(キセノン・フラッシュランプ型式RC−801;キセノン株式会社製)を用いて紫外線硬化を行なった(積算光量400mJ/cm)。PCシート上の硬化物の評価を行なった。得られた硬化物は透明で表面の滑り性がよいものであった。結果を表1に示す。
≪実施例2≫
製造例1で得られたビニル系重合体(PVEEA−1)の酢酸エチル溶液100質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3.8質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
この塗工液を縦6cm×横9cm×厚さ1.5mmのアクリル樹脂製プラスチックケースの外側にスプレーにより塗工した。その後、60℃で5分間加熱乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、硬化性樹脂層を形成した。このアクリル基材に塗布した硬化性樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量500mJ/cmで紫外線硬化させた。硬化後の塗膜には収縮によるクラックは見られなかった。評価結果を表1に示す。
≪実施例3≫
実施例2で調整した塗工液を両面に易接着処理が施された厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、バーコーター#14を用いて、塗工液を塗布した。その後、60℃で5分間加熱乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、硬化性樹脂層を形成した。このPETフィルムに塗布した硬化性樹脂層を、超高圧水銀ランプを有するUV照射機(アイグラフィックス株式会社製)を用いて、照射積算光量500mJ/cmで紫外線硬化させた。評価結果を表1に示す。
≪実施例4〜6≫
実施例1と同様に、表1に示す硬化性樹脂組成物を用い、紫外線照射条件にて硬化物を作成し評価を行なった。
≪実施例7≫
製造例3で得られたビニル系重合体(P(VEEA/CHVE)−1)の酢酸エチル溶液100質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)3.8質量部を混合・攪拌して、塗工液を調製した。
この塗工液を実施例2と同様にアクリル樹脂製プラスチックケースの外側にスプレーにより塗工し紫外線硬化させた。硬化後の塗膜には収縮によるクラックは見られなかった。評価結果を表1に示す。
≪実施例8≫
実施例7で調整した塗工液を実施例3と同様にPETフィルム上に塗工し紫外線硬化させた。評価結果を表1に示す。
≪比較例1≫
製造例5で得られたビニル系重合体PVEEA−2 100質量部、両末端に水酸基を有する有機変性シリコーン化合物(商品名「SF−8427」、東レ・ダウコーニング株式会社製)1質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部を混合・攪拌して、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は白濁しており、シリコーン化合物がビニル系重合体に相溶しなかった。
≪比較例2≫
製造例6で得られたビニル系重合体P(VEEA/CHVE)−2 100質量部、両末端に水酸基を有する有機変性シリコーン化合物(商品名「SF−8427」、東レ・ダウコーニング株式会社製)1質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部を混合・攪拌して、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は白濁しており、シリコーン化合物がビニル系重合体に相溶しなかった。
≪比較例3≫
製造例5で得られたビニル系重合体PVEEA−2 100質量部、光重合開始剤1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5質量部を混合・攪拌して、硬化性樹脂組成物を調製した。得られた硬化性樹脂組成物は濁りが見られず透明であった。
実施例1と同様に紫外線照射条件にて硬化物を作成し評価を行なった。
Figure 2009091454
尚、表1中に記載する略号は、以下の通りである。
THF−A :テトラヒドロフルフリルアクリレート(共栄社化学株式会社製)
Irg184 :1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)
表1から明らかなように、本発明のポリジメチルシロキサン部位を含有するビニル系重合体から得られる硬化性樹脂組成物は、耐擦り傷性に優れ、かつ、撥油性に優れた硬化層を基材表面に形成するために好適であり、また、スリップ性に優れた硬化被膜を形成することができる。
これに対し、ポリジメチルシロキサン部位を含有していないビニル系重合体から得られる硬化性樹脂組成物の硬化層は、耐擦り傷性に優れているが、撥油性に劣って表面の滑り性は芳しくなかった。また、有機変性シリコーン化合物と混合すると白濁する場合が見られ、撥油性に優れた硬化性樹脂組成物として用いることはできなかった。
かくして、上記式(1)で示されるビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有する重合体は、硬化後の塗膜の硬度が高く、傷付きにくい硬化物であり、撥油性に優れた硬化被膜を形成することができることがわかる。
本発明のビニル系重合体は硬化後の塗膜硬度が高く撥油性に優れるため、CD、DVD、ブルーレイディスク、HD−DVDディスク等の光学ディスク保護層、透明カバー層や陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル等の光学部材や、さらには自動車部品用、ショーウインドウ、窓ガラス等の保護フィルム、またOA機器、携帯電話等の通信機器、家庭用電化製品、自動車用内外装部品、家具用外装部材、プラスチックレンズ、化粧品容器、飲料用容器などの保護層として使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記式(1):
    Figure 2009091454

    [式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基、Rは水素原子またはメチル基、mは正の整数である]
    で示される繰り返し単位を有するビニル系重合体中にポリジメチルシロキサン部位を含有することを特徴とする重合体。
  2. 請求項1記載のビニル系重合体と重合開始剤を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1記載のビニル系重合体及び又は請求項2記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた層が形成されてなる積層体。
  4. 請求項1記載のビニル系重合体及び又は請求項2記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた層が形成されてなる光学用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013124366A (ja) * 2011-12-16 2013-06-24 Mitsubishi Rayon Co Ltd 積層体および硬化方法
JP2020032759A (ja) * 2018-08-27 2020-03-05 株式会社小糸製作所 車両用の樹脂製複合モジュールの製造方法

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