JP2009084083A - カーボンナノチューブ層含有構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該ガラスの表面に少なくとも1つ以上のポリマー層が存在し、かつ、該ポリマー層がガラスと化学結合にて固定されている、カーボンナノチューブ層含有構造体。
【選択図】なし
Description
[1]ガラス上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該ガラスの表面に少なくとも1つ以上のポリマー層が存在し、かつ、該ポリマー層がガラスと化学結合にて固定されていることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体。
[2]前記ポリマー層が、下記一般式(I)で表されるポリマー鎖を化学結合させてなる、[1]項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[3]前記ポリマー層が、下記一般式(II)で表される末端結合性ポリマーをゾルゲル法によりガラス表面に共有結合させることで、前記一般式(I)で表されるポリマー鎖をガラス表面に共有結合させてなる、[2]項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[4]前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[5]前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[6]前記カーボンナノチューブが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基で修飾されている、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
[7]前記カーボンナノチューブが架橋している、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
本発明のカーボンナノチューブ層含有構造体は、ガラス上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該ガラスの表面に少なくとも1つ以上のポリマー層が存在し、かつ、該ポリマー層がガラスと化学結合にて固定されていることを特徴とする。
X1〜X3で表される炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基などが挙げられ、炭素数8以下の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
アルキル基が置換基を有するとき、置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成され、ここで、置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられる。好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、Ν−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキルウレイド基、N'−アリールウレイド基、N',N'−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、
R1が表す炭化水素基は、前記X1〜X3におけるのと同義であり、好ましくは、炭素数8以下の炭化水素基、より好ましくは炭素数3以下の炭化水素基である。最も好ましくは炭素数1の炭化水素基である。
また、アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rbが挙げられ、1価のカチオンとなりカルボン酸アニオン結合していることを表す。
X1、X2、およびX3の最も好ましい例としては、水素原子、炭素数1の炭化水素基、−CO2CH3、−CO2Hが挙げられ、特にX3として最も好ましい例としては、−CO2CH3、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、アルキルチオメチル基、アシルチオメチル基、アルキルアミノメチル基、アシルアミノメチル基が挙げられる。
前記一般式(I)においては、X1〜X3のうち任意の2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよく、好ましい環状構造としては5員環、6員環が挙げられる。
本発明において、前記一般式(I)で表されるポリマー鎖は、前記一般式(I)に包含される異なる構造単位を含む共重合体であってもよい。
Zは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子からなる群から選択される少なくとも1つの原子から構成される2価の連結基を表す。
Zの好ましい例としては、イオウ原子を含む炭素数1〜10の炭化水素連結基、より好ましくは、酸素原子及びイオウ原子を含む炭素数1〜10の炭化水素連結基、最も好ましくは、窒素原子及びイオウ原子を含む炭素数1〜10の炭化水素連結基が挙げられる。
本発明に用いられる前記一般式(II)で表される末端結合性ポリマーの合成は、例えば、特開平2002−361800号公報に記載の方法により実施することができる。
本発明に係る特定親水性ポリマーは、下記一般式(i)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(ii)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤を用いてラジカル重合することにより合成することができる。シランカップリング剤(ii)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入された下記一般式(iii)で表される如きポリマーを合成することができる。
前記一般式(I)で表されるポリマーをガラス表面に結合させるための好ましい方法について述べる。
ガラス表面とポリマー鎖との化学的結合は、例えば、ガラス表面のシラノール基に対して、シランカップリング基のように共有結合するもの、アンモニウム基のように強くイオン結合するもの、リン酸基やホスホン酸基のように強く水素結合するものなどを用いて実施することができる。これらを用いる方法としては、ガラスの表面を酸や塩基で処理し、表面シラノール基の活性点を増やした後に、シランカップリング基、アンモニウム基、及びリン酸基やホスホン酸基を分子内に有する前記一般式(I)で表されるポリマーをその表面にコートする方法が挙げられる。このように前記一般式(I)で表されるポリマーをガラス表面にコートすることで、ガラスへの共有結合、イオン結合、水素結合が形成され、ポリマーとガラスとの化学結合による強固な固定化が達成される。またこれらのガラスへの結合性基については、前記一般式(I)のYから結合する場合とポリマー鎖の末端から結合する場合がある。Yとしては、−PO3H2または−Si(OR3)3の場合が好ましく、−PO3H2の場合にはガラス表面に対し水素結合していることが考えられ、−Si(OR3)3の場合には、例えば、−Si(OR3)2O−のように共有結合していることが考えられる。また、Yから結合する場合とポリマー鎖の末端から結合する場合では、防曇性及び防汚性の機能を有するポリマー側鎖官能基の自由運動を高める点からポリマーの末端で結合させる方が好ましい。
より好ましくは、前記一般式(I)で表されるポリマーを後述する一般式(III)で表される化合物と併用し、ゾルゲル反応によりガラス表面に高密度にかつ強固な皮膜形成させる方法が挙げられる。
まず、前記一般式(II)で表される末端結合性ポリマー(以下、適宜、特定ポリマーと称する)を含む塗布液組成物を調製し、それをガラス表面に塗布する。
ポリマー塗布液組成物を調製するにあたっては、特定ポリマーの含有量は固形分換算で、10質量%以上、50質量%未満とすることが好ましい。この範囲において、好ましい膜強度と皮膜特性が得られ、膜へのクラックの発生が抑制され、好ましい。
また、この特定ポリマーに加えて、下記一般式(III)で表される加水分解性化合物を添加することが、ポリマーの結合強度を高める観点から好ましい。
ここで用いられる下記一般式(III)で表される加水分解性化合物(以下、適宜、単に、加水分解性化合物と称する)は、その構造中に重合性の官能基を有し、架橋剤としての機能を果たす加水分解重合性化合物であり、前記特定ポリマーと縮重合することで、架橋構造を有する強固な皮膜を形成する。
R5及びR6がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1〜4である。アルキル基又はアリール基は置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。
なお、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
XがSiの場合、即ち、加水分解性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプリピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトルイメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
XがTiである場合、即ち、チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。
XがZrである場合、即ち、ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものとして例示した化合物に対応するジルコネートを挙げることができる。
有機無機複合体ゾル液の調製において、加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒または塩基性触媒を併用することが好ましく、実用上好ましい反応効率を得ようとする場合、触媒を含むことが特に好ましい。
具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸などが挙げられ、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
ポリマー塗布液組成物の塗布量は、目的により適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜100g/m2の範囲であることが好ましく、1.0〜10g/m2の範囲であることがより好ましい。
ゾルゲル反応を行わせる条件としては、ゾルゲル反応が効率よく行われ、ポリマー膜の熱劣化による強度低下を抑制するという観点からは、50℃〜300℃の温度範囲が好ましく、より好ましい温度範囲は70℃〜250℃であり、最も好ましくは100℃〜200℃である。また、反応時間は、10秒〜4時間が好ましく、より好ましくは、30秒〜1時間、最も好ましくは、1分〜30分である。
次に、本発明に使用されるガラスについて説明する。
ガラスは構成する材料組成により、一般的には、A)ソーダライムガラス(ソーダガラス)、B)ホウケイ酸ガラス、C)鉛ガラス、D)その他酸化物ガラスに分類される。
A)ソーダ石灰ガラスは成型が容易であり、化学的耐久性にも優れ、かつ原料が入手しやすく安価である。板ガラスやびんガラス等に使用されている。
B)ホウケイ酸ガラスは、ホウ砂B2O3を材料に混入したガラスでタッチパネル用のガラスである低膨張ガラス、化学実験用のパイレックス(登録商標)、水銀灯やガラス管用の耐熱ガラスとして使用されている。
C)鉛ガラスは、酸化鉛を含みクリスタルガラス、光学レンズ用の高屈折ガラス、ブラウン管の放射線遮蔽ガラスとして使用されている。
D)その他酸化物ガラスとしては、耐水性に優れるアルミノケイ酸ガラス、ガラス接合用のはんだとして使用するホウ酸塩ガラス、人工骨等に利用されているリン酸塩ガラスなどがある。
その中でも、A)ソーダライムガラスとD)その他の酸化ガラスであるアルミノケイ酸ガラスは、フロート法及びダウンドロー法により好適に製造される。特にアルミノケイ酸ガラスについては、通常のソーダライムガラスに対して優れた耐傷性を有する。
以下、本発明に好適に用いられ、フロート法及びダウンドロー法により好適に製造されるガラスの好ましい組成について説明する。
このようなガラスの一例としては、例えば、国際公開第WO94/08910(PCT/FR93/01035)パンフレットに記載される、航空機等に好適に用いられる質量%で、SiO2:65.0〜76.0%、Al2O3:1.5〜50.%、MgO:4.0〜8.0%、CaO:0.0〜4.5%、Na2O:10.0〜18.0%、K2O:1.0〜7.5%、B2O3:0.0〜4.0%よりなる組成物のガラス、特開平11−11988号公報に記載される合わせガラスに好適に使用される単一ガラス板であって、組成物の質量%が、SiO2:58〜66%、Al2O3:13〜19%、Li2O:3〜4.5%、Na2O:6〜13%、K2O:0〜5%、R2O:10〜18%、(ただし、R2O=Li2O+Na2O+K2O)、MgO:0〜3.5%、CaO:1〜7%、SrO:0〜2%、BaO:0〜2%、RO:2〜10%(ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)、TiO2:0〜2%、CeO2:0〜2%、Fe2O3:0〜2%、MnO:0〜1%、(ただし、TiO2+CeO2+Fe2O3+MnO=0.01〜3%)のアルミノシリケートガラス組成物、
まず、ガラスの主成分については、SiO2が挙げられ、必須の構成成分である。その割合が一般には、58%〜66%の範囲で、良好な耐水性が得られ、ガラス融液の粘性が適切に維持されて、熔融や成形が作業性よく行える。このため、SiO2の範囲としては58〜66%が好ましく、さらに60〜66%が好ましい。
Al2O3もまたガラスの重要な構成成分の1つである。Al2O3を含有することにより耐水性が向上するが、大量に加えると粘度が向上するため、十分な効果を得て、作業性を低下させないという観点からは、13〜19%が好ましく、さらに15〜19%が好ましい。
Na2Oは溶解性を高める成分であり、硬化の観点からは、含有量は6〜13%が好ましく、さらに7.5〜12.5%が好ましい。
K2Oもまた溶解性を高める成分である。K2Oの範囲としては5%以下が好ましく、さらに2%以下が好ましい。
なお、上記3成分はいずれも溶解性を高める成分であり、そのような観点からは、Li2O+Na2O+K2Oの合計R2Oは9〜18%が好ましく、さらに10〜17%が好ましい。
CaOもMgOと同様の機能を有しており、添加量は1〜7%が好ましく、さらに2.5〜6%が好ましい。
SrOやBaOは、溶解性を高める成分であるとともに液相温度を下げるのに有効な成分である。しかし、ガラスの密度が大きくなるとともに、原料代のアップの要因となる。このため、SrOやBaOはそれぞれ2%以下が好ましく、さらに1%以下が好ましい。
さらに、MgO+CaO+SrO+BaOの合計をROとしたとき、ガラス融液の粘性や液相温度の範囲を適切に維持し、良好な熔融、成形性を達成するという観点からは、ROの範囲としては2〜10%が好ましく、さらに3〜9%が好ましい。
TiO2,CeO2,MnOはFe2+とFe3+の平衡状態を変化させ、また相互作用することにより光の透過率を変化させるのに有効な成分である。しかし、過剰に含有するとガラス素地品質が悪化するとともに、原料代のアップにつながる。このため、TiO2の範囲としては3%以下が好ましく、さらに2%以下が好ましい。また、CeO2の範囲としては2%以下が好ましい。MnOの範囲としては1%以下が好ましい。
SO3は清澄剤として用いる硫酸塩に起因するものであり、硫酸塩を清澄剤に用いる場合に、ガラス中の残存量が0.05%以上とすることで、清澄の効果が得られるが、残存量が0.5%を越えても清澄の効果は同等であり、さらにガラス熔融時の排ガス中に含まれるSOxが増加するので、環境上好ましくない。このため、ガラス中に残存するSO3は0.05%〜0.5%が好ましい。
一般に清澄剤として用いられるAs2O3,Sb2O3はその毒性より1%以下が好ましく、不純物からの混入する量以下、すなわち0.1%以下とするのが望ましい。
また、揮発性の高いB2O3,ZnO,P2O5,PbO等は、ガラス溶解炉のレンガを浸食するとともに、揮発成分が炉の天井に凝集し、レンガとともにガラス上に落下するなど品質を悪化させるので、不純物からの混入する量以下、すなわち0.1%以下とするのが好ましい。
フロート法は、溶解スズの上に溶融したガラスを流し、板ガラスを形成する方法である。フロート法により形成されたガラス板は平滑性に優れるため、研磨等の後処理が不要となり、低コストでサイズ的にも大きな素板を得ることができる。さらに、フロート法においてはガラスの成形時に、溶解されたガラス素地が熔融錫バス上に送り込まれ、展開されて成形されるため、ガラス内部の応力がよく解放されている。このことから、他の製法と比して、衝撃等でガラスにクラックが入ることが少ないという特徴がある。
また、ダウンドロー法は、空気を冷却媒としてガラス板を成形する方法であり、非接触成形のため、型枠に起因する不純物の混入の懸念がなく、平滑性に優れ、高純度で且つ薄層のガラス板が成形できるため、液晶表示装置などのディスプレイ用として好適に使用される。ダウンドロー法によるガラスの成形方法については、例えば、特開平5−163032号公報、特開2002−167226号などに詳細に記載され、これらに記載の方法で得られたガラスもまた本発明に好適に使用しうる。
これは、フロート法やダウンドロー法が表面平滑性の高いガラスを提供し、ゾルゲル工程の際の液塗布が均一にできること、また、アルミノケイ酸ガラスやソーダライムガラスの成分比や結晶構造の点で、表面のシラノール基の密度や活性が高く、ゾルゲル反応の実効率が高いことが起因しているものと考えている。
本発明に用いられるカーボンナノチューブについて説明する。
カーボンナノチューブは、マルチウォールカーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブ;MWNT)、シングルウォールカーボンナノチューブ(単層カーボンナノチューブ;SWNT)のいずれであってもよい。各々単独に用いても、混合してもよい。また、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノビーズを用いても良い。シングルウォールカーボンナノチューブに関しては、半導体性であっても、金属性であってもよい。用途に応じて、半導体性と金属性の混合比率を調整することが好ましい。電極用途として、本発明のカーボンナノチューブ層含有構造体を用いる場合には、金属性カーボンナノチューブの比率が高いほうが好ましい。
さらに、カーボンナノチューブは、金属などが内包されていてもよい。また、フラーレンが内包されたピーポッドナノチューブを用いても良い。
カーボンナノチューブは、任意の方法、例えばアーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD法などによって合成することができる。
本発明に用いられるカーボンナノチューブの長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
<特定ポリマー(1)の合成>
500ml三口フラスコに、アクリルアミド50g、メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.4g、及びジメチルアセトアミド220gを入れ、65℃窒素気流下、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.5gを加えた。6時間攪拌しながら同温度に保った後、室温まで冷却した。酢酸エチル2リットル中に投入し、析出した固体をろ取し、水洗して特定ポリマー(1)を得た。乾燥後の質量は52.4gであった。GPC(ポリスチレン標準)により重量平均分子量3000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d6)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物II−1の構造を有するポリマーであることが同定された。
上記合成例1におけるメルカプトプロピルトリメトキシシラン(3.4g)を下記化合物(4.4g)に変更した他は、同様にして特定ポリマー(2)を得た。乾燥後の質量は13.0gであった。GPC(ポリスチレン標準)により重量平均分子量3000のポリマーであり、13C−NMR(DMSO−d6)により末端にトリメトキシシリル基(50.0ppm)が導入された、前記例示化合物II−2の構造を有するポリマーであることが同定された。
<ポリマー塗布液組成物(ゾルゲル液)の調製>
以下の成分を均一に混合し、20℃で、2時間撹拌して加水分解を行い、ゾル状のポリマー塗布液組成物を得た。
・特定ポリマー(化合物I−1) 0.21g
・テトラメトキシシラン(加水分解性化合物) 0.62g
・エタノール 4.7g
・水 4.7g
・硝酸水溶液(1N)〔触媒〕 0.1g
基材であるガラス板は、フロート法で作成したソーダライムを用い、その表面に、上記ポリマー塗布液組成物を乾燥後の塗布量が2g/m2となるように塗布し、さらに、100℃、10分加熱乾燥させてガラス基材表面にポリマー鎖を化学結合させた。
(1)カーボンナノチューブ塗布液の調製
多層カーボンナノチューブ(純度90%、三井物産製)3gを濃硝酸(60質量%、関東化学製)2000mlに加え、120℃、20時間加熱還流を行い、カルボキシ基が導入されたカーボンナノチューブを得た。なお、カーボンナノチューブは遠心分離操作を繰り返すことで精製した。つぎに、得られたカルボキシ基で修飾されたカーボンナノチューブを水中に超音波分散してカーボンナノチューブを含む塗布液を調製した。
塗布手段として、エクストルージョンタイプの塗布ヘッドを用いたダイコータを使用した。塗布液の湿潤状態の厚さは、乾燥後の膜厚が100nmになるように調整した。乾燥手段としては、熱風循環式の乾燥装置を用いた。熱風の温度は100℃とした。ニップローラとして、直径が200mmで、表面にゴム硬度が90のシリコンゴムの層を形成したローラを使用した。
得られたカーボンナノチューブ層含有構造体の表面に11本の切込みをNTカッターによって形成した。この切込みの各々は、ポリエステルフィルム(ウェブ)を貫通する深さまで1mm幅にクロスカットされたものである。
特定ポリマー(I−1)のかわりにI−7を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を作製した。その結果、実施例1と同様に、密着性の高いカーボンナノチューブ層含有構造体を得ることができた。
下記のカーボンナノチューブ塗布液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を作製した。
実施例1で得た表面にカルボキシ基を導入したカーボンナノチューブ100mgを、メチルエチルケトン(和光純薬製)200mlに添加し、N−エチル−N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(塩酸塩、アルドリッチ製)300mgを超音波分散により混合して、カーボンナノチューブ同士が酸無水物で架橋されたカーボンナノチューブ塗布液を作成し用いた。
実施例1で特定ポリマー(I−1)が何も塗設されていないこと以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ層含有構造体を得た。得られた構造体は密着性の低いものであった。
Claims (7)
- ガラス上にカーボンナノチューブ層が塗設されたカーボンナノチューブ層含有構造体であって、該ガラスの表面に少なくとも1つ以上のポリマー層が存在し、かつ、該ポリマー層がガラスと化学結合にて固定されていることを特徴とするカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記ポリマー層が、下記一般式(I)で表されるポリマー鎖を化学結合させてなる、請求項1記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、マルチウォールカーボンナノチューブである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが、ヒドロキシ基、カルボキシ基、又はアミノ基で修飾されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
- 前記カーボンナノチューブが架橋している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ層含有構造体。
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