JP2009082126A - 新規な乳酸菌、それを用いた乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品 - Google Patents

新規な乳酸菌、それを用いた乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた胃酸耐性及び胆汁酸耐性を有し、かつ、コレステロール除去能、胆汁酸吸着能及びインターロイキン12産生誘導能における優れた特性を併せ持つ新規な乳酸菌、及び、この乳酸菌を用いて得られ、摂食することによりコレステロール除去、胆汁酸吸着及びインターロイキン12産生促進効果が得られる乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品を提供する。
【解決手段】本発明で規定する方法により測定した場合に、胃酸耐性が90%以上、胆汁酸耐性が90%以上、コレステロール除去能が85%以上、胆汁酸吸着能が40%以上、及びインターロイキン12産生誘導能が80%以上であることを特徴とする、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌。豆乳に前記乳酸菌を添加し、発酵させることにより得られる乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品。
【選択図】図1

Description

本発明は、発酵食品を取得源とする新規な乳酸菌、それを用いた乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品に関する。より詳細には、優れた、胃酸耐性、胆汁酸耐性、コレステロール除去能、胆汁酸吸着能及びインターロイキン12(以下、IL−12と称する)産生誘導能を有する新規な乳酸菌、その乳酸菌を用いて得られる乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品に関する。
乳酸菌は、腸内細菌叢を良好な状態に保つことに寄与し、また、免疫賦活等の生理活性効果も有していることが知られており、乳酸菌を用いて乳を発酵させて得られる乳酸発酵食品は、健康志向の飲食品として広く食されている。
従来、漬物等の植物発酵食品を取得源とする乳酸菌の一種ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を用いて豆乳発酵物を製造する方法が知られている。この乳酸菌は、製品に適度な酸味を与え、製品の酸味・甘味のバランスを好適に保つことができるという利点を有する。例えば、風味・食感にすぐれたヨーグルト様豆乳発酵食品を製造するための乳酸菌スターターとして、ラクトバチルス・プランタラム及びその他4種類の乳酸菌(ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリス、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス・バイオバラエティ・ディアセチラクティス、ラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ)を混合使用する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ラクトバチルス・プランタラムHOKKAIDO(FERM P−19645)が、豆乳を良好に発酵し、ヒト腸管由来培養細胞への付着能に優れ、また、同細胞への大腸菌O−157の付着を抑制することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
あるいは、ラクトバチルス・プランタラムONC141株を用いて製造した発酵乳が、ヒトにおける胃腸内細菌叢を改善し(例えば、非特許文献1参照)、便秘傾向を有するヒトの排便回数を増加させ(例えば、非特許文献2参照)、また病原性サルモネラ菌(Salmonella typhimurium)の経口感染に対し宿主の抵抗性を増強すること(例えば、非特許文献3参照)が知られている。
また、ラクトバチルス・プランタラムATCC14917菌体がIL−12産生促進作用(産生誘導能)を有することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
一方、ビフィズス菌や乳酸菌などの有用微生物を含む食品を摂取した場合に、これら有用微生物が消化管下部、特に大腸まで生きた状態で到達するためには、強い殺菌作用をもつ胃酸および胆汁を通過する必要があり、この課題に対し、各種の方法が提案されている。例えば、胃酸からの保護に関しては、有用生菌を腸溶性のカプセル内に封入する方法(例えば、特許文献4参照)や、有用生菌粉末を油脂によりコーティングする方法(例えば、特許文献5参照)等が知られている。胆汁からの保護に関しては、大腸で腸内細菌により分解されるキトサンの内層皮膜と、酸性で溶解せず中性で溶解する胃酸耐性素材による外層皮膜からなる構造体内に有用生菌を封入する方法(例えば、特許文献6参照)等が知られている。
しかし、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌であって、胃酸や胆汁から菌体を保護するための特別の処理工程を必要としない、優れた胃酸耐性及び胆汁酸耐性を有し、かつ、コレステロール除去能、胆汁酸吸着能及びIL−12産生誘導能における優れた特性を併せ持つ菌株は、これまでに知られていない。
特開2005−218390号公報 特許第3925502号公報 特開平10−139674号公報 特開平11−302158号公報 特公平5−68446号公報 特開平10−324642号公報 久米村恵、戸羽正道、曽川芳郎、清水精一、川口信三、「腸内細菌学雑誌」、15,15(2001) 戸羽正道、久米村恵、宗行哲、曽川芳郎、吉澤久雄、矢島洋一、松田豊、飯島肇、「腸内細菌学雑誌」、15,21(2001) 池永武、山平聡子、名知英樹、戸羽正道、岡松洋、Milk Science,Vol.51,No.1,pp.27−32(2002)
本発明は、ラクトバチルス・プランタラムに属し、優れた胃酸耐性及び胆汁酸耐性を有し、かつ、コレステロール除去能、胆汁酸吸着能及びIL−12産生誘導能における優れた特性を併せ持つ新規な乳酸菌、及び、この乳酸菌を用いて得られ、摂食することによりコレステロール除去、胆汁酸吸着及びIL−12産生誘導効果が得られる乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、ラクトバチルス・プランタラムY7株(FERM P−21349株)が、上記5つの優れた能力を同時に有する乳酸菌であることを知り、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下に示す新規な乳酸菌、その乳酸菌を用いて得られる乳酸発酵食品及びその製造法である。
(1)胃酸耐性が90%以上、胆汁酸耐性が90%以上、コレステロール除去能が85%以上、胆汁酸吸着能が40%以上、及びIL−12産生誘導能が80%以上であることを特徴とする、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌。
(2)乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムFERM P−21349株である、上記(1)に記載の乳酸菌。
(3)豆乳に上記(1)〜(2)に記載の乳酸菌を添加し、発酵させて得られる乳酸発酵物。
(4)上記(3)記載の乳酸発酵物を含有する乳酸発酵物含有飲食品。
(5)豆乳に上記(1)〜(2)に記載の乳酸菌を添加し、発酵させることを特徴とする、乳酸発酵物の製造方法。
以下、本発明の乳酸菌の特性を規定するための方法に関し、順に説明する。
<胃酸耐性>
本発明で規定する胃酸耐性は、具体的には以下の方法により測定することができる。無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)及び50%(w/v)スクロースを9:1となるように混合して得られる豆乳培地30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養(無攪拌、無通気、静置)する。得られた培養物3mlを、人工胃液基礎培地(0.5%(w/v)脱脂粉乳、0.12%(w/v)スクロース溶液を95℃30分加熱殺菌後、終濃度0.4%(w/v)となるようにペプシン(和光純薬社製、1:10000、ブタ胃粘膜由来)を添加し、塩酸にてpHを2.5に調整して作製)27mlに添加し、37℃で3時間インキュベートする。培養開始前及び培養後の被検菌数を測定し、培養開始前の被検菌数に対する培養後の被検菌数の割合(%)を算出する。
<胆汁酸耐性>
本発明で規定する胆汁酸耐性とは、具体的には以下の方法により測定することができる。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養する。得られた培養液300μlを、30mlのMRS培地、及び30mlの0.3%(w/v)胆汁酸(オキソイド社製)含有MRS培地にそれぞれ添加する。37℃で24時間培養後、620nmにおける吸光度を測定し、胆汁酸非含有MRS培地の吸光度に対する、0.3%胆汁酸含有MRS培地の吸光度の割合(%)を算出する。
<コレステロール除去能>
本発明で規定するコレステロール除去能は、具体的には以下の方法により測定することができる。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養する。得られた培養液300μlを、コレステロール培地(350mg/L コレステロール(和光純薬社製)、0.2%胆汁酸(w/v)を含むMRS培地)30mlに添加する。37℃で24時間インキュベートした後、4℃、8,000rpmにて10分遠心分離を行い、上清中のコレステロール濃度をデタミナーFC(協和メデックス社製)を用いて測定する。初発のコレステロール培地中に含有されるコレステロール量に対する、培地から除去されたコレステロール量の割合(%)を算出する。
<胆汁酸吸着能>
本発明で規定する胆汁酸吸着能は、具体的には以下の方法により測定することができる。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養する。得られた培養液300μlを、30mlの0.3%(w/v)胆汁酸含有MRS培地(BD社製)に添加する。そして、37℃で24時間インキュベート後、4℃、8,000rpmにて10分遠心分離を行い、上清中の胆汁酸濃度をTBA測定キット(カイノス社製)により測定する。初発の培地中に含有されていた胆汁酸量に対する、培地から除去された胆汁酸量の割合(%)を算出する。
<IL−12産生誘導能>
本発明で規定するIL−12産生誘導能は、具体的には以下の方法により測定することができる。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で48時間培養する。コントロールとして使用するテトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)Th221株(FERM P−21310)は、10%食塩を含有するMRS培地中で、30℃、72時間培養する。各培養液を10分間煮沸して殺菌後、波長600nmにおける吸光度が0.125、0.062、0.031、0.016になるようにRPMI完全培地を用いて希釈し、測定に用いる。RPMI完全培地の組成は、25mM HEPES、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、50μM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン酸加RPMI1640培地(Gibco社製)に非働化(56℃、30分)したFCS(Invitrogen社製)を10%添加したものである。なお、Tetragenococcus halophilus Th221株は、菌体または菌体成分を有効成分とするIL−12誘導能を有することが知られている菌株の1つである(特開2006−28047号公報参照)。
腹腔滲出マクロファージは、以下のように調製する。チオグリコレート(BD社製)2mlを腹腔内に投与し、刺激したマウス(8週齢BALB/c、雄、チャールスリバー)から、投与3日後に無菌的に腹腔滲出マクロファージを採取する。腹腔滲出マクロファージ細胞浮遊液の細胞数を測定した後、RPMI完全培地を用いて細胞数を2×10/mlの濃度に調製する。この調製済み腹腔滲出マクロファージ細胞液を96穴組織培養プレートに1穴当たり100μl播種する。ここに、予め吸光度を測定して調製した殺菌菌体(10分間煮沸による加熱殺菌菌体)を添加し、5%炭酸ガス培養器内で37℃、1日間培養後、培養後の培養上清のIL−12をエンザイムイムノアッセイで測定する。
エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスIL−12抗体(Pharmingen 社製)を0.2M、pH6.0のリン酸緩衝液を用いて2μg/mlに調製した溶液を、96穴組織培養プレート1穴当たり100μl加え、室温で一晩放置しラット抗IL−12抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行う。このプレートに1穴当たり100μlの培養上清を加え、室温で90分間放置し、培養上清のマウスIL−12をプレートに付着したラット抗マウスIL−12抗体と結合させる。洗浄後、ラットビオチン化抗マウスIL−12抗体(Pharmingen 社製)を加え、プレートに結合させたマウスIL−12に結合させる。洗浄後、ストレプトアビジンで標識したペルオキシダーゼ酵素(Vector 社製)を加え、ビオチンと結合させる。TMB基質溶液(Moss/コスモバイオ 社製)を1穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反応を0.5N塩酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度450nmを測定し、リコンビナントマウスIL−12(Pharmingen 社製)で作成した標識曲線から、培養上清中のIL−12の濃度を求める。コントロール菌が産生させるIL−12量に対する、被検菌が産生させるインターロイキン12量の割合(%)を算出する。
本発明では、本発明で規定する上述の方法により測定した場合に、胃酸耐性が90%以上、胆汁酸耐性が90%以上、コレステロール除去能が85%以上、胆汁酸吸着能が40%以上、及びIL−12産生誘導能が80%以上の能力を有する乳酸菌を用いることを特徴とする。
このような乳酸菌として、上記5つの能力を併せ持つラクトバチルス・プランタラムに属する微生物が挙げられる。具体的な株としては、例えばラクトバチルス・プランタラムY7株が挙げられる。ラクトバチルス・プランタラムY7株は、本発明者らが植物発酵物から分離同定したものである。この乳酸菌は豆乳中で増殖し、その結果得られる乳酸発酵物及び乳酸発酵物含有飲食品を摂食することにより、コレステロール除去、胆汁酸吸着及びIL−12産生誘導効果を得ることができ、並びに、特別な保護手段を必要とせずとも、胃酸や胆汁により死滅しにくく、生きて腸まで届きやすいという多面的な効果を有している。
なお、このラクトバチルス・プランタラムY7株(Lactobacillus plantarum Y7、以降Y7株)は、独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターに受託番号FERM P−21349として2007年8月27日付けで寄託されている。
Y7株の菌学的性質を表1に示す。
Figure 2009082126
(乳酸発酵物の製造)
本発明の乳酸発酵物を製造するには、豆乳に上記乳酸菌を添加し、発酵すればよい。本発明で使用可能な豆乳としては、通常の豆乳製造法により得られた豆乳(無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料)及び、加工大豆粉末を温水等に混和し、ホモゲナイズ処理等により乳化して得られる大豆乳が挙げられる。
豆乳の発酵は公知の任意の方法を用いて行うことができ、例えば、上記乳酸菌を前培養して得られるスターターを上記豆乳に0.01〜10容量%添加し、25〜45℃で、4〜30時間培養することにより得ることができる。このようにして得られた乳酸発酵食品は、ヨーグルト様の硬さと食感を有しており、しかも前述したように優れた、胃酸耐性、胆汁酸耐性、コレステロール除去能、胆汁酸吸着能及びIL−12産生誘導能を有する。
(乳酸発酵物含有飲食品の製造)
上記のように得られた本発明の乳酸発酵物は、各種飲食品の原料とすることができる。飲食品は特に限定されないが、例えば、ヨーグルト、ババロア、ゼリー、シャーベット、アイスクリーム、乳酸飲料、清涼飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む)、スープ類、ソース類、マヨネーズ、ドレッシング等の各種調味料、蕎麦、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、グミ等の半固形状食品、ペースト状食品、ガム、サプリメント等の固形状食品等が挙げられる。
原料として配合する本発明の乳酸発酵物の割合は任意であるが、例えば、飲食品中に、本発明の乳酸菌を所定の個数以上含有するように配合することができる。所定の個数は、その飲食品において目的とする効果を効果的に達成できる個数であることが好ましく、その効果が達成できるのであれば、各飲食品中に存在するY7株は、生菌であってもよく、又は死菌であってもよい。
本発明の乳酸発酵物を各種飲食品の原料として利用する場合には、公知の各種その他の原料、糖類、香料、乳化剤及び保存料の一種又は二種以上を適宜含んで製造することができる。本発明の乳酸発酵物をサプリメントとして利用する場合には、公知の各種賦形剤、糖類、香料、乳化剤及び保存料の一種又は二種以上を適宜含んで製造することができ、また、サプリメントの製品形態は特に制限されず、使用形態に合わせて適宜選択でき、例えば錠剤、粉末、顆粒、カプセル剤、ペースト、乳化液、溶液等が挙げられる。
以下、実施例を示して本発明の効果をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれによって何ら限定されることはない。
(食品製造に好適な菌株の選抜)
本発明の乳酸菌は食品製造に使用する目的を有することから、(1)東京農業大学菌株保存室公開株(以下、NRIC株と称する)であって発酵食品から分離された株のうち96株、及び(2)キッコーマン株式会社研究開発本部にて発酵食品から分離した乳酸菌株(以下、キッコーマン単離株と称する)230株から、選抜を実施した。発酵食品からの乳酸菌の分離及び菌株の性質に関する評価試験は、「乳酸菌実験マニュアル−分離から同定まで−」(小崎道雄監修、内田泰、岡田早苗著、朝倉書店)に従い実施した。
本発明の乳酸菌は、幅広く食品に使用することを考慮すると、ガスを発生しないことが望ましい。NRIC株は発酵形式がすでに報告されているため、上記(1)の96株中から、ホモ発酵株である78株を選抜した。(2)のキッコーマン単離株に関しては、グルコースからのガス発生を、ダーラム管を用いる方法にて観察し、ガスを発生しない153株を選抜した。また、本発明の乳酸菌は豆乳発酵食品の製造に用いる目的を有することから、豆乳を良好に資化するものを選抜した。無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)に、50%(w/v)スクロースを1/9等量及び寒天を1.5%添加して豆乳寒天培地を作製し、各コロニーの生育速度を観察した。その結果、良好な生育を示す株として、NRIC株より58株、キッコーマン単離株より65株を選抜した。
(胃酸耐性測定試験)
実施例1で選抜された、NRIC株58株、キッコーマン単離株65株について、胃酸耐性を測定した。無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)及び50%(w/v)スクロースを9:1となるように混合して得られる豆乳培地30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養(無攪拌、無通気、静置)した。得られた培養物3mlを、人工胃液基礎培地(0.5%(w/v)脱脂粉乳、0.12%(w/v)スクロース溶液を95℃、30分加熱殺菌後、終濃度0.4%(w/v)となるようにペプシン(和光純薬社製、1:10000、ブタ胃粘膜由来)を添加し、塩酸にてpHを2.5に調整して作製)27mlに添加し、37℃で3時間インキュベートし、培養開始前及び培養後の被検菌数を測定し、培養開始前の被検菌数に対する培養後の被検菌数の割合(%)を算出した。その結果、10%以上の値を示した株として、NRIC株より51株を、キッコーマン単離株より47株を選抜し、以降の選抜工程を進めた。
(胆汁酸耐性測定試験)
実施例2で選抜された、NRIC株51株、キッコーマン単離株47株について胆汁酸耐性を測定した。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養した。得られた培養液300μlを、30mlのMRS培地、及び30mlの0.3%(w/v)胆汁酸(オキソイド社製)含有MRS培地にそれぞれ添加した。37℃で24時間培養後、620nmにおける吸光度を測定し、胆汁酸非含有MRS培地の吸光度に対する、0.3%胆汁酸含有MRS培地の吸光度の割合(%)を算出した。90%以上の値を示した株として、NRIC株より41株を、キッコーマン単離株より33株を選抜し、胆汁酸耐性株とした。
(コレステロール除去能測定試験)
実施例2で選抜された、NRIC株51株、キッコーマン単離株47株についてコレステロール除去能を測定した。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養した。得られた培養液300μlを、30mlのコレステロール培地(350mg/L コレステロール(和光純薬社製)、0.2%(w/v)胆汁酸を含むMRS培地)に添加した。そして、37℃で24時間インキュベートした後、4℃、8,000rpmにて10分遠心分離を行い、上清中のコレステロール濃度をデタミナーFC(協和メデックス社製)を用いて測定した。初発のコレステロール培地中に含有されるコレステロール量に対する、培地から除去されたコレステロール量の割合(%)を算出し、85%以上の値を示した株として、NRIC株より8株を、キッコーマン単離株より11株を選抜し、コレステロール除去能に優れる株とした。
(胆汁酸吸着能測定試験)
実施例2で選抜された、NRIC株51株、キッコーマン単離株47株について胆汁酸吸着能を測定した。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で24時間培養した。得られた培養液300μlを、30mlの0.3%(w/v)胆汁酸含有MRS培地(BD社製)に添加した。そして、37℃で24時間インキュベートした後、4℃、8000rpmにて10分遠心分離を行い、上清中の胆汁酸濃度をTBA測定キット(カイノス社製)により測定した。初発の培地中に含有されていた胆汁酸量に対する、培地から除去された胆汁酸量の割合(%)を算出し、40%以上の値を示した株として、NRIC株より7株を、キッコーマン単離株より6株を選抜し、胆汁酸吸着能に優れる株とした。
(IL−12産生誘導能の測定)
実施例2で選抜された、NRIC株51株、キッコーマン単離株47株についてIL−12産生誘導能を測定した。MRS培地(BD社製)30mlを50ml容ファルコンチューブに入れ、被検菌(グリセロールストック)を接種(1×10個/ml)し、30℃で48時間培養した。コントロールとして使用するTetragenococcus halophilus Th221株(FERM P−21310、IL−12誘導能を有する)は、10%食塩を含有するMRS培地中で、30℃、72時間培養した。各培養液を10分間煮沸して殺菌後、波長600nmにおける吸光度が0.125、0.062、0.031、0.016になるようにRPMI完全培地を用いて希釈し、測定に用いた。RPMI完全培地の組成は、25mM HEPES、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、50μM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミン酸加RPMI1640培地(Gibco社製)に非働化(56℃、30分)したFCS(Invitrogen社製)を10%添加したものである。
腹腔滲出マクロファージは、以下のように調製した。チオグリコレート(BD社製)2mlを腹腔内に投与し、刺激したマウス(8週齢BALB/c、雄、チャールスリバー)から、投与3日後に無菌的に腹腔滲出マクロファージを採取した。腹腔滲出マクロファージ細胞浮遊液の細胞数を測定した後、細胞数を2×10/mlの濃度にRPMI完全培地で調製した。この調製済み腹腔滲出マクロファージ細胞液を96穴組織培養プレートに1穴当たり100μl播種する。ここに、予め吸光度を測定して調製した殺菌菌体(10分間煮沸による加熱殺菌菌体)を添加し、5%炭酸ガス培養器内で37℃、1日間培養後、培養後の培養上清のIL−12をエンザイムイムノアッセイで測定した。
エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスIL−12抗体(Pharmingen 社製)を0.2M、pH6.0のリン酸緩衝液で2μg/mlに調製した溶液を、96穴組織培養プレート1穴当たり100μl加え、室温で一晩放置しラット抗IL−12抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。1穴当たり100μlの培養上清を加え、室温で90分間放置し、培養上清のマウスIL−12をプレートに付着したラット抗マウスIL−12抗体と結合させた。洗浄後、ラットビオチン化抗マウスIL−12抗体(Pharmingen 社製)を加え、プレートに結合させたマウスIL−12に結合させた。洗浄後、ストレプトアビジンで標識したペルオキシダーゼ酵素(Vector 社製)を加え、ビオチンと結合させた。TMB基質溶液(Moss/コスモバイオ 社製)を1穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反応を0.5N塩酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度450nmを測定し、リコンビナントマウスIL−12(Pharmingen社製)で作成した標識曲線から、培養上清中のIL−12の濃度を求めた。コントロール菌が産生させるIL−12量に対する、被検菌が産生させるIL−12量の割合(%)を算出した。そして、被検菌が産生させるIL−12量のコントロール菌が産生させるIL−12量に対する割合(%)を算出した。80%以上の値を示した株として、NRIC株より10株を、キッコーマン単離株より14株を選抜し、IL−12産生誘導能能に優れる株とした。
(総合的な機能性を有する菌株の選抜)
これまでの測定結果をもとに、総合的な機能性を有する菌株の選抜を行った。
胃酸耐性が90%以上、胆汁酸耐性が90%以上、コレステロール除去能が85%以上、胆汁酸吸着能が40%以上及びIL−12産生誘導能が80%以上の能力を有する株を選抜したところ、キッコーマン単離株のうち、Y7株がこれに該当した。Y7株の同定を行ったところ、菌学的性質および16SrDNAの塩基配列より、ラクトバチルス・プランタラムと同定された。
なお、実施例2で選抜された、胃酸耐性が10%以上であった株のうち、ラクトバチルス・プランタラムに属する株の機能性について表2にまとめる。
Figure 2009082126
(ヨーグルト様食品の製造例)
(1)乳酸菌スターターの調製
−85℃でグリセロール保存しておいたラクトバチルス・プランタラムY7株を10mlのMRS培地に1白金耳接種し、30℃で24時間培養して前培養液を得た。これを遠心分離、生理食塩水中に分散、再度遠心分離した後、100μlの生理食塩水に懸濁し、スターターとした。
(2)発酵
100mlの豆乳培地(無調整豆乳(紀文フードケミファ社製):50%(w/v)スクロース=9:1になるように混合)に上記スターターを添加し、30℃で24時間培養することにより、乳酸発酵物を得た。このものは、良好な風味を有するヨーグルト様食品として摂食することができた。
(Y7株を用いた乳酸発酵物のハムスターを用いた機能性評価)
Y7株を用いて豆乳を発酵させて得られた乳酸発酵物の機能性を、ハムスターを用いた動物試験により評価した。
(1)供試サンプル調製
無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)にY7株のグリセロールストックを植菌し、30℃で48時間培養してY7豆乳発酵物を作製した。比較対照として、ヨーグルト製造によく使用されるラクトバチルス・ブルガリカスの標準株であるNRIC1688株を使用した豆乳発酵物を作製した。無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)に、滅菌済みの60%ラクトースを1/20量添加し、Y7株のグリセロールストックを植菌し、30℃で48時間培養して作製した。豆乳、Y7豆乳発酵物、NRIC1688豆乳発酵物は凍結乾燥し、飼料に配合した。凍結乾燥物中の菌数は、Y7豆乳発酵産物が3.1×10cfu/g、NRIC1688豆乳発酵物が8.7×10cfu/gであった。
(2)飼料の調製
表3に示す高コレステロール飼料を、総タンパク量、総脂質量が各群で同一となるように調製した。
Figure 2009082126
(3)供試動物
4週齢のシリアンハムスター(雄)を、2週間の予備飼育後、試験に供した。予備飼育期間中、前半1週間はMF固形飼料(オリエンタル酵母工業社製)、後半1週間はMF粉末飼料(オリエンタル酵母工業社製)を用いた。
その後、体重と血清コレステロール値が各群で均等になるように
1.対照群
2.豆乳群
3.植物性乳酸菌豆乳発酵物(Y7株)群
4.動物性乳酸菌豆乳発酵物(NRIC1688)群
の4群に分け、各飼料で2週間飼育した。体重、摂餌量を1週間毎に計測した。また、試験終了前日〜試験終了日の24時間に排泄された糞便を回収した。
試験終了5時間前から絶食させ、全採血するとともに肝臓を摘出した。
(4)脂質の定量
1)血液分析
血液は、全採血後、3,000rpmで15分遠心し、血清を得た。この血清に関して総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、リン脂質を測定した。総コレステロールはデタミナーL TC(協和メデックス社製)、HDLコレステロールはLタイプワコーHDL−CM(和光純薬工業社製)、中性脂肪はデタミナーTG(協和メデックス社製)、リン脂質はデタミナーPL(協和メデックス社製)を用いて定量した。VLDL+LDLコレステロールは、総コレステロールとHDLコレステロールの差から求めた。Atherogenic Index(動脈硬化指数)は、VLDL+LDLコレステロール/HDLコレステロールより求めた。
2)肝臓分析
凍結した肝臓0.5gを分取し、クロロホルム/メタノール溶液(クロロホルム:メタノール=2:1)10mlで脂質を抽出した。そして、フィルターろ過、0.05M NaCl溶液で洗浄後、1mlを減圧濃縮し、等量の90%エタノール溶液に溶解し、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、胆汁酸量を測定した。コレステロールは、デタミナーL TC(協和メデックス社製)、中性脂肪はデタミナーTG(協和メデックス社製)、リン脂質はデタミナーPL(協和メデックス社製)、胆汁酸はTBA測定キット(カイノス社製)により定量した。
3)糞便分析
糞便を凍結乾燥後、0.25gを分取し、クロロホルム/メタノール溶液(クロロホルム:メタノール=2:1)5mlで脂質を抽出した。
そして、フィルターろ過、0.05M NaCl溶液で洗浄後、1mlを減圧濃縮し、等量の90%エタノール溶液に溶解し、コレステロール、胆汁酸量を測定した。
コレステロールはデタミナーL TC(協和メデックス社製)、胆汁酸はTBA測定キット(カイノス社製)により定量した。
(5)結果
1)体重・摂餌量・肝臓重量・糞便・糞便水分含量の比較
結果を表4に示す。相対肝臓重量がNRIC1688豆乳発酵物群で若干高い傾向が見られたが、有意な差はなかった。糞便重量は、Y7、NRIC1688豆乳発酵物群が、対照群に比べ有意に多かった。
Figure 2009082126
2)血液脂質成分量の比較
結果を表5に示す。総コレステロールは、対照群に比べ豆乳群、Y7豆乳発酵物群、NRIC1688豆乳発酵物群が有意に低かった。また、VLDL+LDLコレステロールも同様の結果となった。総コレステロールにおいては、豆乳群に比べY7豆乳発酵物群の方が高い傾向が見られたが、VLDL+LDLコレステロールがほぼ同程度の値であることを考えると、これはHDLコレステロールの差によるものと考えられる。
また、中性脂肪についても対照群に比べ他の3群が有意に低下し、中でもY7豆乳発酵物群においてより低くなる傾向が見られた。Atherogenic Index(動脈硬化指数)は豆乳群(P<0.05)、Y7豆乳発酵物群(P<0.01)が対照群に比べ有意に低く、さらにY7豆乳発酵物群は豆乳群に比べて低い傾向が見られた。VLDL+LDLコレステロールは同程度まで低下したが、これは豆乳発酵物群においてHDLコレステロールが高くなっていることが原因と考えられる。
Figure 2009082126
3)肝臓脂質(コレステロール量)の比較
結果を図1に示す。肝臓中のコレステロール値は、群間で有意な差はなかったものの、Y7発酵物群及びNRIC1688発酵物群の乳酸菌発酵豆乳群において、対照群及び豆乳群に比べ低い傾向が確認された。
4)糞便脂質(コレステロール量及び胆汁酸量)の比較
糞便中の胆汁酸量の結果を図2に示す。糞便中の胆汁酸量は、対照群に比べ他の3群で有意に多かった。さらに、Y7発酵物群は豆乳群に比べても有意(P<0.05)に多かった。糞便中のコレステロール量は対照群に比べ豆乳群、NRIC1688発酵物群で有意(P<0.05)に多かった。Y7発酵物群は対照群と比べ増加傾向は見られたものの、豆乳群、NRIC1688発酵物群に比べ低い傾向であった。Y7発酵物群は血中、肝臓中のコレステロール量が他の群に比べて最も低かったが、コレステロール排泄量が豆乳群、NRIC1688発酵物群に比べ少ない傾向にあることから、Y7株によるコレステロール資化の可能性が示唆された。
以上の結果から、Y7発酵物を摂食することにより、糞便中の胆汁酸量が有意に増加し、血液中のコレステロール量が有意に低下し、また、肝臓中のコレステロール量が低下傾向を示すことが明らかとなった。
(抗原特異的IgE量の上昇抑制効果試験)
マウスに対してY7株の連続強制経口投与を行い、Y7株の抗原特異的IgE量の上昇抑制効果を調べた。具体的には、6週齢のBALB/cマウス(雄)にOVA感作を行ってアレルギーを誘導し、乳酸菌Y7株の摂取が血中OVA特異的IgE量、脾臓細胞のサイトカイン産生能に及ぼす影響を調べた。
(1)供試動物
5週齢のBALB/Cマウス(雄)を、1週間の予備飼育後、試験に供した。予備飼育期間、試験飼育期間中はMF固形飼料(オリエンタル酵母工業社製)を用いた。
その後、
1.対照群(投与なし、OVA感作なし)
2.生理食塩水投与群(比較例、OVA感作あり)
3.加熱Y7株投与群(本発明、OVA感作あり)
4.非加熱Y7株投与群(本発明、OVA感作あり)
の4群に分けた。
乳酸菌Y7株を、MRS(Difco社製)培養液で24時間培養後、その一部を加熱菌体投与用として、生理食塩水にて2回洗浄後、1×10個/mlとなるように調製し、10分間煮沸した。一方、非加熱菌体投与用としては、乳酸菌培養液を生理食塩水にて2回洗浄後、生理食塩水にて2×10個/mlとなるように調製した。それぞれをマウスに対し、0.2ml/日で、連続35日間、強制経口投与した。
乳酸菌の強制投与初日を試験開始0日目として、0日目、14日目、28日目にOVA感作を行った。具体的には、1ml生理食塩水あたり、OVA(シグマ社製、GradeV)100μg、水酸化アルミニウム(和光純薬工業社製)10mgを含有する溶液を調製し、これを、BALB/cマウス(雄、6週齢、試験開始0日目時点)の腹腔内に0.2ml投与した。試験開始35日目にマウスを解剖して脾臓、血液を採取し、脾臓からのIFN−γ産生量、血清中のOVA特異的IgE量、総IgE量を測定した。
(2)血清中のOVA特異的IgE量の測定
試験開始35日目にマウスから採血を行い、1,500rpmで30分間遠心を行って血清を得た。この血清中のOVA特異的IgE量を、エンザイムイムノアッセイにより測定した。具体的には、OVA(シグマ社製、GradeV)を50μg/mlとなるように0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8.2)中に溶解し、96穴プレートに50μl/穴となるように入れ、コーティングを行った。洗浄後、緩衝液で100倍希釈した血清サンプルを、プレート上に50μlずつ分注後、1時間インキュベートした。洗浄後、抗マウスIgE抗体(Pharmingen社製)を1%BSA加0.05%Tween含有リン酸緩衝液500倍希釈した溶液と共に1時間インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジンで標識したペルオキシダーゼ酵素(Vector社製)を加え、ビオチンと結合させた。TMB基質溶液(Moss/コスモバイオ社製)を1穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反応を0.5N塩酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度450nmを測定した。無添加・感作なしの群に対する相対値としてOVA特異的IgE量を定量化した。有意差検定(t検定)は、対照群および生理食塩水投与群に対して行った。
結果を図3に示す。対照群に対し、生理食塩水投与群では、OVA感作により血清中OVA特異的IgE量が大きく上昇した。一方、加熱Y7株投与群および非加熱Y7株投与群においては、生理食塩水投与群に比べ、血清中OVA特異的IgE量の上昇程度が有意に低かった。すなわち、Y7株の投与により、マウス血清中の抗原特異的IgE量の上昇が有意に抑制された。
(3)血中の総IgE量の測定
上記で得た血清中の総IgE量をエンザイムイムノアッセイにより測定した。詳しくは、抗マウスIgE抗体(Pharmingen社製)を1μg/mlとなるように0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8.2)に溶解し、96穴プレートに50μl/穴でコーティングした。その後、血清サンプルを100倍希釈し、プレート上に50μlずつ分注し、1時間インキュベートした。洗浄後、抗マウスIgE抗体(Pharmingen社製)を1%BSA加0.05%Tween含有リン酸緩衝液500倍希釈した溶液で1時間インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジンで標識したペルオキシダーゼ酵素(Vector社製)を加え、ビオチンと結合させた。TMB基質溶液(Moss/コスモバイオ社製)を1穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反応を0.5N塩酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度450nmを測定し、無添加・感作なしの群に対する相対値で総IgE量を定量化した。有意差検定(T検定)は感作なし・無添加群に対して行った。
結果を図4に示す。加熱Y7株摂取群において無添加群に比べ有意に総IgE量が低かった。また、Y7株生菌摂取群においては、無添加群に比べ総IgE量の低下傾向が見られた。これらのことから、Y7株の摂取により総IgE量の上昇が抑制されたことが示された。
(4)脾臓細胞から産生されるIFN−γの測定
試験開始35日目に脾臓を採取後、400ユニット/mlのタイプ1コラゲナーゼ(シグマ社製)含有RPMI1640(Gibco社製)で攪拌、細胞の懸濁を行い、脾臓細胞を回収した。その後、OVA(シグマ社製、GradeV)を100μg/ml含む10%FBS(JRH)加RPMI1640培地において3日間培養を行った。培養後、1500rpmで5分間遠心を行い、上清を回収し、エンザイムイムノアッセイによりIFN−γ濃度を測定した。詳しくは抗マウスIFN−γ抗体(Pharmingen社製)を2μg/mlとなるように0.1M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH8.2)に溶解し、96穴プレートに50μl/穴でコーティングした。その後、血清サンプルを100倍希釈し、プレート上に50μlずつ分注し、1時間インキュベートした。洗浄後、ビオチン標識抗マウスIFN−γ抗体(Pharmingen社製)を1%BSA加0.05%Tween含有リン酸緩衝液500倍希釈した溶液で1時間インキュベートした。洗浄後、ストレプトアビジンで標識したペルオキシダーゼ酵素(Vector社製)を加え、ビオチンと結合させた。TMB基質溶液(Moss/コスモバイオ社製)を1穴当たり100μl加え、室温で20分間反応させ、反応を0.5N塩酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度450nmを測定し、リコンビナントマウスIFN−γ(Pharmingen社製)で作成した標識曲線から、培養上清中のIFN−γの濃度を求めた。有意差検定(T検定)は感作なし・無添加群に対して行った。
結果を図5に示す。加熱Y7株摂取群、Y7株生菌摂取群において、無添加群に比べ有意にIFN−γ産生量が増加した。このことから、Y7株摂取によりTh1免疫が増強され、血中のOVA特異的IgE量、総IgE量の上昇が抑制されていることが示された。
対照群、豆乳群、Y7豆乳発酵物群、1688豆乳発酵物群における肝臓中コレステロール量(mg/g)を示す図である。 対照群、豆乳群、Y7豆乳発酵物群、1688豆乳発酵物群における糞便中の胆汁酸量(mg/day)を示す図である。 Y7菌体投与なし群、およびY7菌体投与群における血中OVA特異的IgE量の測定結果を示す図である。 Y7菌体投与なし群、およびY7菌体投与群における血中総IgE量の測定結果を示す図である。 Y7菌体投与なし群、およびY7菌体投与群における脾臓細胞からのIFN−γ産生量の測定結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 胃酸耐性が90%以上、胆汁酸耐性が90%以上、コレステロール除去能が85%以上、胆汁酸吸着能が40%以上、及びインターロイキン12産生誘導能が80%以上であることを特徴とする、ラクトバチルス・プランタラムに属する乳酸菌。
  2. 乳酸菌が、ラクトバチルス・プランタラムFERM P−21349株である、請求項1に記載の乳酸菌。
  3. 豆乳に請求項1〜2記載の乳酸菌を添加し、発酵させて得られる乳酸発酵物。
  4. 請求項3記載の乳酸発酵物を含有する乳酸発酵物含有飲食品。
  5. 豆乳に請求項1〜2記載の乳酸菌を添加し、発酵させることを特徴とする、乳酸発酵物の製造方法。
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