JP2009080098A - 屈折率センサ及びその製造方法 - Google Patents

屈折率センサ及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009080098A
JP2009080098A JP2008158274A JP2008158274A JP2009080098A JP 2009080098 A JP2009080098 A JP 2009080098A JP 2008158274 A JP2008158274 A JP 2008158274A JP 2008158274 A JP2008158274 A JP 2008158274A JP 2009080098 A JP2009080098 A JP 2009080098A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
film
spacer
index sensor
ethanol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008158274A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5013429B2 (ja
Inventor
Morihide Higo
盛秀 肥後
Masaru Mitsushio
勝 満塩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagoshima University NUC
Original Assignee
Kagoshima University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kagoshima University NUC filed Critical Kagoshima University NUC
Priority to JP2008158274A priority Critical patent/JP5013429B2/ja
Publication of JP2009080098A publication Critical patent/JP2009080098A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5013429B2 publication Critical patent/JP5013429B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)

Abstract

【課題】揮発性物質の濃度を高い精度で検出することができ、好ましくは、容易に作成することができる屈折率センサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光ファイバコア又はガラス棒等の光伝達媒体67の表面に金膜等の金属膜65が蒸着等により形成されている。金属膜65の表面に、チオール基を持った数十nmの長さを持つ直鎖の高分子(例えばPEGチオール)がスペーサ63として吸着されている。スペーサ63を挟んで金属膜65上に揮発性物質を透過させる選択膜61が形成されている。選択膜61としては、例えばフッ素樹脂膜が使用される。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルコール及びガソリン等の揮発性の物質の濃度の測定に好適な屈折率センサ及びその製造方法に関する。
特許文献1に、露出させたコア表面にキトサン/PVA薄膜で被覆した光ファイバセンサが開示されている。また、特許文献1には、「光が光ファイバセンサ内を透過する際、被検液中の水/エタノールの組成比によりキトサン/PVA膜クラッドの膨潤収縮の程度が変化し、その時のクラッドの密度変化により臨界角が変化することにより伝搬光量が変化する。このときの透過光量を測定することにより、これに対応した被検液中のエタノール濃度を得ることとなる。」という記述がある。
特許文献2には、アルコール濃度測定用のバイオセンサの製造方法とそれを用いた飲酒測定器が開示されている。また、特許文献2には、「炭素ペースト(carbonpaste)等を使用してNADH(1,4-dihydronico tinamide adenine dinucleotide)のような電極活性化物質を測定し得る厚膜形電気素子を製作した後、指示電極上に酵素固定化層を形成させる方法として一定の粘度を有する酵素ペーストを製造して印刷する方法を使用する。」という記述がある。
特許文献3には、アルコール酸化酵素を利用したアルコールセンサが開示されている。また、特許文献3には、「本発明が提供するアルコールセンサは、白金電極の表面に、アビジンとビオチン標識アルコール酸化酵素とが交互に積層された多重層膜を設けたことを特徴とするものである。」という記述がある。
特許文献4には、金を蒸着した光ファイバによる屈折率センサ及びこれを利用したアミンの高感度検出が開示されている。また、特許文献4には「金を蒸着した光ファイバをガラス管に固定し、セルを構築する。セル内にn−オクタデカンチオールを3時間以上満たし、排出後、ポリアクリルアミドとピバリン酸の混合水溶液を流入する。流入後、すぐに排出し、金の蒸着面を上にして真空中で1時間以上(液滴が消失するまでの時間)乾燥し、感応膜層29を形成する。その後、メタノールおよびエタノールで表面を洗浄し、測定に用いる。」という記述がある。
非特許文献1には、露出させた光ファイバのコア表面にキトサンとポリビニルアルコール混合溶液を用いて被覆層を形成し、更にその上にフッ素樹脂膜を被覆してアルコール飲料中のエタノールの濃度を測定する研究が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ガラスコアの表面に直接被覆膜層を構築し、試料を吸収して膨潤した被覆膜層の屈折変化を観測しているため、密度及び厚さが均一な被覆膜層を形成しなければならず、量産が難しいという問題がある。また、キトサン及びポリビニルアルコールは水溶性であり、長期間の測定において膜が溶出するという問題もある。
また、特許文献2に記載の技術では、電気化学的な複雑な電極の構築が必要とされ、選択膜の作製が難しい。また、選択膜に酵素を使用しているため、長期間繰り返し使用していると酵素活性が低下し、選択性が落ちてしまうという問題もある。
特許文献3は、アビジンとビオチンを交互に積層させた膜が必要であり、十分な応答を得るためには最低でも10〜15層もの積層が必要なため、被覆膜の構築に専門的な知識と高い技術が必要であり、安価で実用的なセンサを構築することは難しい。
非特許文献1に記載の技術では、キトサン/PVA(ポリビニルアルコール)膜を塗布した後にグルタルアルデヒドで架橋を行い水への不溶化を行い、更にフッ素樹脂膜のコーティングを行う必要があるため、被覆膜の調製には繊細な条件が必要であり、均一な性質を持った膜の作製が難しい。
また、いずれの従来の技術によっても、糖類等の不揮発性物質が混入したアルコール水溶液(例えば、日本酒及びワイン等の醸造酒)中のアルコール濃度(揮発性物質の濃度)、市販のエンジンオイルに混入したガソリンの濃度、及び潤滑剤に混入したエタノールの濃度等を適切に測定することは困難である。
特開平5−19123号公報(第2頁) 特開平7−198668号公報(第6頁) 特開平9−257742号公報(第2頁) 特開2004−191110号公報(第6頁) 倉内芳秋、他3名、「Fiber-Optic Sensor with a Chitosan/Poly(vinyl alcohol) Cladding for the Determination of Ethanol in Alcoholic Beverages」、Analytical Sciences、日本、日本分析化学会、平成6年1月、第10巻、第1号、213〜217ページ
本発明は、揮発性物質の濃度を高い精度で検出することができ、好ましくは、容易に作成することができる屈折率センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す発明の諸態様に想到した。
本発明に係る屈折率センサは、光伝達媒体と、前記光伝達媒体上に設けられた金属膜と、前記金属膜上に設けられ、直鎖の高分子からなるスペーサと、前記スペーサ上に設けられ、揮発性物質を透過させる選択膜と、を有することを特徴とする。
本発明に係る屈折率センサの製造方法は、光伝達媒体上に金属膜を形成する工程と、前記金属膜に直鎖の高分子を吸着させることにより、スペーサを形成する工程と、前記スペーサ上に、揮発性物質を透過させる選択膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、選択膜及びスペーサの協働作用により、金属膜の表面に揮発性物質のみを適切に接触させることができ、揮発性物質の高精度の検出が可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る揮発性物質に対して選択性を持つ屈折率センサ及びその使用方法について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る屈折率センサを備えた屈折率測定装置の構成を示す図である。基本的な構成としては、光源部1の光をセンサ部2へ入射する。試料部3によりセンサ部2へ試料を流入し排出し、透過光の変化を検出部4にて検出する。検出された透過光の変化は記録部5にてコンピュータに記録される。但し、本発明はこれに限定されるものではない。ここでは、液体の屈折率を測定し、これによって液体の混合比及び濃度並びに酒類のアルコール度数を求めることができる。また、バイオエタノールの生成におけるアルコール濃度、市販のエンジンオイルに混入したガソリンの濃度、及び潤滑剤に混入したエタノールの濃度の測定も可能となる。
光源部1は光源11及び安定化電源13を備えている。光源11には、発光ダイオード、気体レーザ及び半導体レーザ等を使用することができる。光の入射には、必要に応じてレンズが使用される。安定化電源13は、光源11に供給する電力を安定化して測定精度を向上させることができる。
センサ部2では、ガラス管27に、屈折率センサ21が試料流入・排出用のチューブ23、25と共に固定されている。試料流入用のチューブ23から液体試料がガラス管27内に供給され、ガラス管27内で試料が屈折率センサ21に接触する。そして、接触後の試料は試料排出用のチューブ25から排出される。屈折率センサ21の詳細については後述する。ガラス管27の内径は、例えば5mmである。
試料部3はサンプル容器31及びポンプ33を備えている。一回の測定に必要な試料は、例えば10ml〜50ml程度である。ポンプ33は、例えばマイクロチューブポンプである。試料は、静止状態及び流動状態における測定が可能である。流動試料の連続測定の場合、応答速度は流入速度に比例する。より精密な測定を行う場合は、恒温槽等を用いて、試料の温度を制御することが好ましい。
検出部4は、Si検出器41、光マルチメータ43及びデジタルマルチメータ45を備えており、光の強度を測定し、記録部5のコンピュータに出力する。Si検出器41により検出された光は、光マルチメータ単体でも数値として検出ことができるため、簡単な測定ならコンピュータを使用しなくても行うことができる。デジタルマルチメータ45は、Si光検出器41からのアナログ信号をデジタルデータに変換する。デジタルマルチメータ45に代えてA/Dコンバータを用いてもよい。
記録部5は、コンピュータ51を備えている。コンピュータ51にデジタルデータとしてセンサ部2からの信号を記録することが可能であり、このデータを利用して表計算ソフトを用いて統計的な解析が可能である。これらの測定は、すべて連続的に行うことができる。
ここで、屈折率センサ21の詳細について説明する。図2は、屈折率センサ21の構造を示す模式図である。
本実施形態に係る屈折率センサ21では、光伝達媒体67の表面に金属膜65が蒸着等により形成されている。光伝達媒体67としては、例えば高屈折率の光伝達媒体を低屈折率のポリマー等で被覆して構成された市販の光ファイバから、被覆した部分(低屈折率のポリマー等)が取り除かれた光ファイバコアが用いられる。また、ガラス棒又はプリズムを用いてもよい。
金属膜65としては、例えば、金、銀、銅若しくはアルミニウムの単層膜、又は、銀、銅及び/若しくはアルミニウムの膜と金膜との多層構造膜を用いることができる。金属膜65の厚さは、総計で10nm〜70nmであることが好ましい。金属膜65の厚さが10nm未満の場合及び70nmを超える場合には、良好な応答が得られない可能性があるからである。また、その端面は劈開処理しておくことが好ましい。
更に、本実施形態では、金属膜65の表面に、チオール基を持った数十nmの長さを持つ直鎖の高分子がスペーサ63として吸着されている。このようなスペーサ63用の高分子としては、例えば、分子量が約5000であり、長さが約30nmのα−メルカプトエチル−ω−メトキシポリオキサエチレン(PEGチオール)、又は、分子量が約10000であり、長さが約60nmのPEGチオールが使用される。これらのPEGチオールの親水性は強い。図3に、PEGチオールの構造を示す。なお、これらのPEGチオールの他に、n−オクタデカンチオール、2−メルカプトエタノール及びチオサリチル酸等のチオール類を用いてもよい。但し、PEGチオールとこれらのチオール類とを比較すると、PEGチオールの方が高い感度を得ることができる。
また、本実施形態では、スペーサ63を挟んで金属膜65上に揮発性物質を透過させる選択膜61が形成されている。選択膜61は、試料溶液に溶解せず、化学的に安定な物質からなることが好ましい。このような選択膜61としては、例えばフッ素樹脂膜(例えばデュポン株式会社のテフロン(登録商標)AF1600及びAF2400)が使用される。図4は、テフロンAF1600及びAF2400の構造を示す図である。選択膜61の厚さは、10μm以上であることが好ましい。選択膜61の厚さが10μm未満であると、揮発性物質と不揮発性物質との選択が不十分になる可能性があるからである。
このように構成された屈折率センサ21に、揮発性物質を含有する液体試料が触れると、揮発性物質のみが選択膜61を透過し、スペーサ63により確保された空間に蓄積される。この結果、揮発性物質が金属膜65に接触し、この揮発性物質の屈折率に応じて、光伝達媒体67と金属膜65との間の表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)現象が影響を受ける。従って、光伝達媒体67を伝達してきた光の強度に基づいて、揮発性物質の屈折率が特定される。
そして、本実施形態では、このような屈折率の特定に際し、液体試料中に揮発性物質の他に不揮発性物質が含有されている場合であっても、揮発性物質のみがスペーサ63により確保された空間に蓄積されるため、高感度の測定が可能である。
また、自己会合作用によりスペーサ63となる分子が金属膜65の表面に強く化学吸着するため、長期間の繰り返し測定を行っても安定して選択性を発揮することができる。例えば、数ヶ月以上の連続的な使用が可能である。
また、スペーサ63を構成する分子の大きさ及び/又は性質を変えることで、屈折率センサ21の特性を調節することも可能である。
なお、ガラス管27は、フローセルを構成する場合に使用され、酒類の製造ライン等に直接組み込んで使用する場合は、使用する必要はない。
次に、上述のような屈折率センサ21を作製する方法について説明する。
先ず、直径が2mmのガラス棒(光伝達媒体67)の表面に厚さが10nm〜70nm(例えば45nm)の金膜(金属膜65)を真空蒸着法により形成する。この結果、金蒸着ガラス棒が得られる。次いで、金蒸着ガラス棒をPEGチオールの0.1mMエタノール溶液に60分間接触させることにより、スペーサ63を形成する。その後、スペーサ63を挟んで金膜上に選択膜61を形成する。選択膜61の厚さは、例えば10μm〜30μm程度とする。選択膜61の形成に当たっては、先ず、例えば、テフロンAF1600又はAF2400を、フッ素系不活性液体(住友スリーエム株式会社のフロリナート(商標)FC72又はFC77)を用いて3.5重量%の濃度に調製することにより、フッ素樹脂溶液を作製する。次いで、このフッ素樹脂溶液に、スペーサ63が形成された金蒸着ガラス棒を浸し、直ぐに空気中に出して乾燥させる作業を5回繰り返す。なお、選択膜61を形成する際の浸漬及び乾燥の繰り返し回数に関し、本願発明者は、5回及び7回の場合に良好な結果が得られ、3回の場合にやや劣る結果が得られることを確認している。また、本願発明者による実験結果によると、選択膜61の厚さは、特に、テフロンAF1600を用いる場合には30μm程度とすることが好ましく、テフロンAF2400を用いる場合には10μm程度とすることが好ましい。
また、選択膜61の形成に当たり、上述のような浸漬法を採用するのではなく、スペーサ63の形成後に金属膜65上に、選択膜61の材料(溶液)を塗布し、これを乾燥させてもよい。
そして、屈折率測定装置に組み込む際には、屈折率センサ21を試料流入・排出用のチューブ23及び25と共にガラス管27内に樹脂等を用いて固定すればよい。
次に、本願発明者が実際に行った実験の結果について説明する。
(第1の実験)
第1の実験では、直径が2mmのガラス棒の表面に厚さが45nmの金膜を真空蒸着法により形成することにより、金蒸着ガラス棒を得た。そして、金蒸着ガラス棒を上述の実施形態と同様にガラス管内に固定し、ガラス管内に、25℃で0.1mMのPEGチオールのエタノール溶液を100分間程度流入させ、その後、洗浄のためにエタノールのみをガラス管内に流入させた。また、この過程において、屈折率センサの一端から他端までを透過する光の量(透過光量)を測定した。この結果を図5に示す。図5に示すように、透過光量の変化は時間の経過と共に低下した。このことは、金蒸着ガラス棒の表面へのPEGチオールの吸着量が経過時間に対応していることを意味する。そして、20分程度の処理でも十分にPEGチオールが吸着していた。このことから、短時間で屈折率センサを作製することができるといえる。
(第2の実験)
第2の実験では、第1の実験と同様にして金蒸着ガラス棒を形成し、その後、PEGチオールの0.1mMエタノール溶液に60分間接触させることにより、スペーサを形成した。続いて、種々の材料を用いて選択膜を形成し、4種類の屈折率センサを作製した。そして、各屈折率センサについて応答速度の検証を行った。この検証では、蒸留水を用いて5分間の応答を確認した後、25℃の30体積%(v/v%)エタノール水溶液を屈折率センサに接触させ、光強度の測定を15分間行った。この結果を図6に示す。図6中のAF1600、AF2400は、それぞれ、選択膜の材料としてテフロンAF1600、テフロンAF2400を使用したことを示し、FC72、FC77は、それぞれ、フッ素系不活性液体として、フロリナートFC72、FC77を使用したことを示している。図6に示すように、いずれの屈折率センサにおいても、3分間から15分間の応答時間でエタノールを検出することができた。特に、テフロンAF2400及びフロリナートFC77の組み合わせを用いた場合に、3分間程度でエタノールの濃度を高感度で測定することができた。
また、比較のために、スペーサを形成せずに金属膜上に選択膜を直接形成した場合の応答速度の検証も行った。なお、選択膜の形成に当たり、テフロンAF2400及びフロリナートFC77を使用した。この検証では、蒸留水を用いて5分間の応答を確認した後、25℃の30体積%(v/v%)エタノール水溶液を屈折率センサに接触させ、光強度の測定を10分間行った。この結果を図7に示す。図7に示すように、十分な応答を得ることはできなかった。このことは、本願発明において、スペーサが感度の向上に対して重要な役割を担っていることを示している。
(第3の実験)
第3の実験では、第2の実験と同様にしてスペーサを形成し、テフロンAF1600及びフロリナートFC72を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。そして、種々の液体試料を作製し、その光強度を測定した。この結果を図8に示す。図8中の●は25℃、10体積%〜50体積%のエタノール水溶液、及びエタノールを含まない蒸留水を液体試料として用いた場合の結果を示している。なお、以下ではエタノール水溶液及び蒸留水をまとめてエタノール水溶液と記述する。△は●のエタノール水溶液に1.0重量%の酒石酸を溶解させたものを液体試料として用いた場合の結果を示している。なお、酒石酸は例えばワインに含まれており、1.0重量%はワインにおける平均含有量の約5倍に相当する。▽は●のエタノール水溶液に0.25重量%のグルタミン酸を溶解させたものを液体試料として用いた場合の結果を示している。なお、グルタミン酸は例えば日本酒に含まれており、0.25重量%は日本酒に含まれるアミノ酸の平均的な総量に相当する。□は●のエタノール水溶液に1.5重量%のグルコースを溶解させたものを液体試料として用いた場合の結果を示している。なお、グルコースは例えばワインに含まれており、1.5重量%はワインに含まれる糖類の平均的な総量に相当する。また、図8の左側のグラフの横軸は、エタノール水溶液そのもの又は酒石酸、グルタミン酸若しくはグルコースを溶解させたエタノール水溶液におけるエタノールの濃度であり、右側のグラフの横軸はこれらの液体試料の屈折率である。図8の左側に示すように、エタノール水溶液に酒石酸、グルタミン酸又はグルコースが溶解した液体試料のいずれについても、エタノール水溶液のみからなる液体試料と同等の結果が得られた。これは、選択膜が酒石酸、グルタミン酸及びグルコースの透過を抑制し、SPRにエタノール水溶液のみが影響したためである。なお、右側のグラフでは、酒石酸、グルタミン酸又はグルコースを含んだ水溶液のプロットがエタノール水溶液そのもののプロットよりも高屈折率側にずれている。これは、酒石酸等の透過が抑制されたために、エタノール水溶液の屈折率のみに応答したからであると考えられる。
(第4の実験)
第4の実験では、第2の実験と同様にしてスペーサを形成し、テフロンAF2400及びフロリナートFC77を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。そして、種々の液体試料を作製し、25℃においてその光強度を測定した。この結果を図9に示す。図9中の●、△、▽及び□は、第3の実験と同様の結果を示している。また、◇は●のエタノール水溶液に5.0重量%のグルコースを溶解させたものを液体試料として用いた場合の結果を示している。なお、グルコースは日本酒にも含まれており、5.0重量%は日本酒に含まれる糖類の平均的な総量に相当する。また、図9の左側のグラフの横軸は液体試料におけるエタノールの濃度であり、右側のグラフの横軸は液体試料の屈折率である。図9に示すように、エタノール水溶液に酒石酸、グルタミン酸又はグルコースが溶解した液体試料のいずれについても、エタノール水溶液のみからなる液体試料と同等の結果が得られた。
また、比較のために、スペーサ及び選択膜を形成せずに金属膜を露出させた金蒸着ガラス棒をセンサとして用いた場合についても25℃において同様の実験を行った。この結果を図10に示す。図10の左側のグラフに示すように、酒石酸等の影響により、エタノール水溶液のみからなる液体試料の結果と他の液体試料との結果に大きなずれが生じた。これは、酒石酸等もSPRに影響を及ぼしているからである。また、屈折率センサが単純に屈折率のみに応答しているため、右側のグラフでは、測定結果が一本の線上に集まっている。従って、図8及び図9に示す結果とは異なり、エタノールの濃度の検出が困難である。
(第5の実験)
第5の実験では、光伝達媒体として光ファイバコアを用いた。具体的には、直径が200μmの光ファイバコアの表面に厚さが45nmの金膜を真空蒸着法により形成することにより、金蒸着光ファイバコアを得た。そして、金蒸着光ファイバコアに、室温で0.1mMのPEGチオールのエタノール溶液を6時間接触させることにより、スペーサを形成した。続いて、テフロンAF1600及びフロリナートFC72を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。また、比較のために、スペーサ及び選択膜を形成していない屈折率センサも作製した。そして、15℃において、エタノール水溶液による検量線法を用いて、2種類の焼酎、2種類の日本酒、白ワイン及び赤ワインに含まれるエタノール濃度を測定した。この結果を図11に示す。図11に示すように、選択膜が存在する屈折率センサを用いた場合には、アルコール飲料の公称値と同等のエタノール濃度が得られた。これに対し、選択膜が存在しない屈折率センサを用いた場合には、蒸留酒である焼酎を除いてすべて公称値よりも高い測定結果が得られた。このことは、アルコール以外の含有物(不揮発性物質)の影響を強く受けていることを示している。つまり、この結果から、選択膜がエタノールの選択性に対して重要な役割を担っているといえる。
(第6の実験)
第6の実験では、光伝達媒体としてガラス棒を用いた。具体的には、第1の実験と同様にして金蒸着ガラス棒を得た。そして、金蒸着ガラス棒に、室温で0.1mMのPEGチオールのエタノール溶液を60分間接触させることにより、スペーサを形成した。続いて、テフロンAF2400及びフロリナートFC77を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。また、比較のために、スペーサ及び選択膜を形成していない屈折率センサも作製した。そして、15℃において、エタノール水溶液による検量線法を用いて、焼酎、日本酒、白ワイン及び赤ワインに含まれるエタノール濃度を測定した。この結果を図12に示す。図12に示すように、選択膜が存在する屈折率センサを用いた場合には、アルコール飲料の公称値と同等のエタノール濃度が得られた。これに対し、選択膜が存在しない屈折率センサを用いた場合には、蒸留酒である焼酎を除いてすべて公称値よりも高い測定結果が得られた。このことは、アルコール以外の含有物(不揮発性物質)の影響を強く受けていることを示している。つまり、この結果からも、選択膜がエタノールの選択性に対して重要な役割を担っているといえる。
(第7の実験)
第7の実験では、光伝達媒体としてガラス棒を用いた。具体的には、第1の実験と同様にして金蒸着ガラス棒を得た。そして、金蒸着ガラス棒に、室温で0.1mMのPEGチオールのエタノール溶液を60分間接触させることにより、スペーサを形成した。続いて、テフロンAF2400及びフロリナートFC77を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。図13中の◆は室温において、市販されているエンジンオイルに2重量%〜10重量%の濃度でガソリンを添加したもの、及びガソリンを添加していないものを液体試料として用いた場合の結果を示しており、液体試料をセンサと接触させ、その後滞留させて60分後の透過光の強度を測定したものである。なお、一般的なガソリンエンジンでは、吹き抜けと呼ばれるシリンダーとピストンの隙間からガソリンがエンジンオイル中に混入する現象が知られており、本濃度範囲は市販のガソリンエンジンにおいて、通常使用に耐えうる混入ガソリンの濃度に対応している。図13に示すように、市販のエンジンオイルについて、ガソリンの濃度に対応した応答が得られた。
また、比較のためにスペーサ及び選択膜を形成せずに金属膜を露出させた金蒸着ガラス棒をセンサとして用いた場合についても室温において同様の実験を行った。但し、膜がない場合は応答時間が極めて短いため、センサを液体試料と接触させて3分後の透過光の強度を計測した。この結果を図14に示す。図14のグラフに示すように、エンジンオイルに含まれるガソリンの濃度が変化しても応答が変わらないことが示された。これはエンジンオイルの屈折率がガラス棒の屈折率よりも高いため、SPRの共鳴条件を満たすことができないためである。従って、図13に示す結果とは異なり、エンジンオイルに混入したガソリンの濃度の検出が困難である。
(第8の実験)
第8の実験では、光伝達媒体としてガラス棒を用いた。具体的には、第1の実験と同様にして金蒸着ガラス棒を得た。そして、金蒸着ガラス棒に、室温で0.1mMのPEGチオールのエタノール溶液を60分間接触させることにより、スペーサを形成した。続いて、テフロンAF2400及びフロリナートFC77を用いて選択膜を形成し、屈折率センサを作製した。図15中の◆は室温において、アゼライン酸ジオクチル(DOZ)に10体積%〜50体積%の濃度でエタノールを添加したもの、及びエタノールを含まないDOZ液を液体試料として用いた場合の結果を示しており、液体試料をセンサと接触させ、試料を流し続けて40分後の透過光の強度を測定したものである。なお、DOZは低粘度の潤滑剤として使用されているものであり、エタノールは本潤滑剤が加水分解された場合に生成されるアルコールに対するモデル物質である。図15に示すように、潤滑油中のエタノールの濃度が測定できることが示されている。
本発明の実施形態に係る屈折率センサを備えた屈折率測定装置の構成を示す図である。 屈折率センサ21の構造を示す模式図である。 PEGチオールの構造を示す図である。 テフロンAF1600及びAF2400の構造を示す図である。 第1の実験の結果を示す図である。 第2の実験の結果を示す図である。 第2の実験の結果(比較例)を示す図である。 第3の実験の結果を示す図である。 第4の実験の結果を示す図である。 第4の実験の結果(比較例)を示す図である。 第5の実験の結果を示す図である。 第6の実験の結果を示す図である。 第7の実験の結果を示す図である。 第7の実験の結果(比較例)を示す図である。 第8の実験の結果を示す図である。
符号の説明
1:光源部
2:センサ部
3:試料部
4:検出部
5:記録部
61:選択膜
63:スペーサ
65:金属膜
67:光伝達媒体

Claims (4)

  1. 光伝達媒体と、
    前記光伝達媒体上に設けられた金属膜と、
    前記金属膜上に設けられ、直鎖の高分子からなるスペーサと、
    前記スペーサ上に設けられ、揮発性物質を透過させる選択膜と、
    を有することを特徴とする屈折率センサ。
  2. 前記選択膜はフッ素樹脂膜であることを特徴とする請求項1に記載の屈折率センサ。
  3. 前記光伝達媒体は、ガラス棒、光ファイバコア及びプリズムからなる群から選択された一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の屈折率センサ。
  4. 光伝達媒体上に金属膜を形成する工程と、
    前記金属膜に直鎖の高分子を吸着させることにより、スペーサを形成する工程と、
    前記スペーサ上に、揮発性物質を透過させる選択膜を形成する工程と、
    を有することを特徴とする屈折率センサの製造方法。
JP2008158274A 2007-09-07 2008-06-17 屈折率センサ及びその製造方法 Active JP5013429B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008158274A JP5013429B2 (ja) 2007-09-07 2008-06-17 屈折率センサ及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007233210 2007-09-07
JP2007233210 2007-09-07
JP2008158274A JP5013429B2 (ja) 2007-09-07 2008-06-17 屈折率センサ及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009080098A true JP2009080098A (ja) 2009-04-16
JP5013429B2 JP5013429B2 (ja) 2012-08-29

Family

ID=40654941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008158274A Active JP5013429B2 (ja) 2007-09-07 2008-06-17 屈折率センサ及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5013429B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10260134A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Toto Ltd 光学的異方性感応膜を有する光学式センサー装置および測定方法
JP2002022653A (ja) * 2000-07-04 2002-01-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 表面プラズモン共鳴分光を用いた表面光反応の検出、測定方法
JP2004016609A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Omron Healthcare Co Ltd 体液成分濃度測定方法及び体液成分濃度測定装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10260134A (ja) * 1997-03-18 1998-09-29 Toto Ltd 光学的異方性感応膜を有する光学式センサー装置および測定方法
JP2002022653A (ja) * 2000-07-04 2002-01-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 表面プラズモン共鳴分光を用いた表面光反応の検出、測定方法
JP2004016609A (ja) * 2002-06-19 2004-01-22 Omron Healthcare Co Ltd 体液成分濃度測定方法及び体液成分濃度測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5013429B2 (ja) 2012-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4321057A (en) Method for quantitative analysis using optical fibers
US4399099A (en) Optical fiber apparatus for quantitative analysis
US7842243B2 (en) Chemical sensor with an indicator dye
Hisamoto et al. Ion-selective optodes: current developments and future prospects
EP1910805B1 (fr) Refractometre optique pour la mesure de la salinite de l'eau de mer et capteur de salinite correspondant
US7058243B2 (en) Optical fiber sensor having a sol-gel fiber core and a method of making
CN102410851A (zh) 多通道光纤表面等离子体波共振传感器
CN104359870B (zh) 一种表面等离子体共振(spr)生物传感芯片的制备方法
JP2008107337A (ja) ガス検出装置
Lu et al. An online pH detection system based on a microfluidic chip
Llobera et al. Enhancement of the response of poly (dimethylsiloxane) hollow prisms through air mirrors for absorbance-based sensing
Mitsushio et al. Alcohol selectivity and measurement of ethanol concentrations in liquors using teflon® af2400-coated gold-deposited surface plasmon resonance-based glass rod sensor
CN104914072A (zh) 一种多孔硅光子晶体生物芯片的检测方法
JP3961405B2 (ja) 表面プラズモン共鳴センサおよび屈折率変化測定方法
Mitsushio et al. Molecular selectivity development of Teflon® AF1600-coated gold-deposited surface plasmon resonance-based glass rod sensor
JP5013429B2 (ja) 屈折率センサ及びその製造方法
Ma et al. Lab-on-a-fiber device for trace vapor TNT explosive detection: comprehensive performance evaluation
Bai et al. RETRACTED ARTICLE: A compact photometer based on metal-waveguide-capillary: application to detecting glucose of nanomolar concentration
CN211785091U (zh) 光纤生化传感器
CN104215607A (zh) 一种食品致病菌用光纤悬臂梁传感器及检测方法
Yin et al. Batch microfabrication and testing of a novel silicon-base miniaturized reference electrode with an ion-exchanging nanochannel array for nitrite determination
JP2007147585A (ja) 液体屈折率測定装置
CN103558162A (zh) 一种基于侧面打磨光纤组的超高灵敏挥发性有机化合物传感器
Abanulo et al. Waveguide surface plasmon resonance sensor for electrochemically controlled surface reactions
JP3991072B2 (ja) 屈折率センサー、屈折率測定装置及び屈折率センサーの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101028

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120502

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120515

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120530

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150615

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5013429

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250