JP2009065145A - 半導体発光装置、バックライトおよびカラー画像表示装置 - Google Patents

半導体発光装置、バックライトおよびカラー画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】画像全体の明るさを損なうことなく、画像全体として広色再現性を達成する。
【解決手段】 カラー画像表示装置のバックライトが備える光源1は、紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、固体発光素子からの光で励起されて発光する蛍光体をと組み合わせた半導体発光装置を有する。蛍光体は、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含む。395nmの波長の励起光における各色蛍光体の外部量子効率は、青色蛍光体が77%以上であること、緑色蛍光体が70%以上であること、および赤色蛍光体が50%以上であること、のいずれか1以上の条件を満たしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、色純度の高い画像を実現するカラー画像表示装置に好適に用いられる半導体発光装置およびそれを用いたバックライトに関する。さらに本発明は、改良されたバックライトの発光波長に対応して、色純度の高い画像を実現するためのカラー画像表示装置に関する。
近年、液晶表示素子は従来のパソコン用モニターの用途のみならず、通常のカラーテレビとしての用途が期待されている。カラー液晶表示素子の色再現範囲は、赤、緑、青の画素から放射される光の色で決まり、それぞれの画素のCIE XYZ表色系における色度点を(xR,yR)、(xG,yG)、(xB,yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの三点で囲まれる三角形の面積で表される。即ち、この三角形の面積が大きいほど鮮やかなカラー画像が再現できることになる。この三角形の面積は、通常、アメリカNational Television System Committee (NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67,0.33)、緑(0.21,0.71)、青(0.14,0.08)の三点で形成される三角形を基準として、この三角形の面積に対する比(単位%、以下「NTSC比」と略す。)として表現される。この値は一般のノートパソコンで40〜50%程度、デスクトップパソコン用モニターで50〜60%、現行液晶TVで70%程度である。
このようなカラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置は、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとで主に構成され、赤、緑、青の画素から放射される光の色は、バックライトの発光波長とカラーフィルターの分光カーブで決定される。
カラー液晶表示素子では、バックライトからの発光分布に対し、カラーフィルターで必要な部分の波長のみを取り出し、赤、緑、青色の画素となる。
このカラーフィルターの製造方法としては、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法、インクジェット等の方法が提案されている。そして、カラー化のための色材としては当初、染料が用いられたが、液晶表示素子としての信頼性、耐久性の点から現在は顔料が用いられている。従って、現在、カラーフィルターの製造方法としては、生産性と性能の点から顔料分散法が最も広く用いられている。なお、一般に同一の色材を用いた場合、NTSC比と明るさはトレードオフの関係にあり、用途に応じて使い分けられている。即ち、鮮やかなカラー画像を再現するために、カラーフィルターを調節してNTSC比を上げようとすると、画面が暗くなる。逆に明るさを重視しすぎるとNTSC比が低くなるため、鮮やかな画像を再現することができない。
一方、バックライトとしては、一般に赤、緑、青の波長領域に発光波長を持つ冷陰極管を光源とし、この冷陰極管からの発光を導光板により白色面光源化したものが用いられていた。近年は、長寿命で、インバーターが不要であり、高輝度、水銀フリーである等の観点から発光ダイオード(LED)が光源に用いられるようになった。
ここで、従来のLEDを用いたバックライトでは、青色光を発するLEDを用い、このLEDから発せられた光の一部を黄色蛍光体により黄色光に変換し、青色光と黄色光との混色によって得られた白色光を導光板で面光源としている。
しかしながら、上述の光源は、黄色蛍光体を用いているため、赤、緑の色純度の点からは不要な波長の発光が多く、高色再現性(High Gamut)のディスプレイを得るのは困難であった。これに対して、カラーフィルターで不要な波長の光をカットして赤、緑の色純度を上げることは原理的には可能である。しかし、上述の様に、鮮やかなカラー画像を再現するために、カラーフィルターを調節してNTSC比を上げようとすると、バックライトの発光の大部分がカットされ、輝度が著しく低下するという問題があった。特にこの方法では、赤の発光が著しく低下するため、赤味の強い色を再現することは事実上不可能であった。
この問題を克服するために、近年、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを組み合わせる方法が提案されており(非特許文献1)、この方法により極めて色再現性の高いディスプレイが試作されている。しかしながら、このカラー画像表示装置は、赤、緑、青それぞれ独立したLEDチップを組み合わせるため、
1)実装に手間がかかる、
2)赤、緑、青それぞれのLEDチップが有限の距離をおいて設置されるので、それぞれのLEDチップからの発光を十分に混色させるために導光板の距離を長く取る必要がある、
3)LEDのそれぞれのチップをその整数倍の個数を組み合わせて白色色度を調整するため、ホワイトバランスの調整が連続的にできない、
といった問題があった。
また、青色または深青色LEDと蛍光体を組み合わせて構成されるNTSC比60%以上のカラー画像表示装置が開示されている(特許文献2)。しかしながら、このカラー画像表示装置は、前述の黄色蛍光体に比べると広色再現性が達成されたとはいえ、依然として赤、緑の色純度の点からは不要な波長の発光が多く、更なる広色再現性が望まれていた。
また、液晶ディスプレイなどのバックライト用光源などに利用可能な、特定の蛍光体を組み合わせた半導体発光装置が開示されている(特許文献3、4)。しかしながら、これらの半導体発光装置は、実際にカラーフィルターと組み合わせて液晶ディスプレイなどのカラー画像表示装置とした場合に、バックライトの発光が不十分であったり、色度のずれが生じたりする場合があった。
月間ディスプレイ 2003年4月号第42頁乃至第46号 WO2005/111707国際公開パンフレット 特開2002−171000号公報 米国特許6,809,781公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、特にカラー画像表示装置用のバックライトとして用いた場合に、画像の明るさを損なうことなく、カラーフィルターとの調整によって画像全体として広色再現性を達成するとともに、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことにより実装上の生産性を損なうことなく、しかもホワイトバランスの調整を容易とする半導体発光装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、この半導体発光装置を用いたバックライトおよびカラー画像表示装置を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、カラー画像表示装置のバックライトの発光が不十分であったり、色度のずれを生じたりする原因が、蛍光体の特性に起因しており、これを蛍光体の改善によって解消できることを見出した。即ち、蛍光体の外部量子効率を上げることにより、バックライトから十分な発光を供給することができること、さらに蛍光体の温度特性を利用し、各色蛍光体の温度による発光ピーク強度の変化率がほぼ等しい場合は、発光ピーク強度の変化の幅が同調であるため、バックライト全体としての色ずれが少ないこと、また、青色領域に発光する蛍光体の発光ピーク強度の変化率が、緑色領域に発光する蛍光体、赤色領域に発光する蛍光体の発光ピーク強度の変化率よりも大きい場合は、カラーフィルターと組み合わせてカラー画像表示装置とした場合に、全体の色ずれが少ないことを見出した。また、NTSC比と光利用効率とを密接に関連付けてカラー画像表示装置全体の性能とすることを見出した。従来は、前述したようにNTSC比と光利用効率とはトレードオフの関係にあり、カラー画像表示装置の性能を向上させようとする場合、光利用効率を犠牲にしてNTSC比を向上させるか、またはNTSC比を犠牲にして光利用効率を向上させるかのいずれかに主眼が置かれていた。
それに対して本発明者らは、特定の発光波長を有する発光素子によって効率よく発光(励起)する、改良された発光波長を有する複数の蛍光体を組み合わせて光発光効率を従来よりも高く設定し得るバックライトを見出した。さらに、そのバックライトの発光波長に最適なカラーフィルターを、そのバックライトと組み合わせることにより、色純度の高い画像表示を実現できる、すなわち、高いNTSC比においても従来よりも光利用効率が高いカラー画像表示装置を実現し得ることを見出した。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、以下をその要旨とする。
[1] 紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、前記固体発光素子からの光により励起されて発光する蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する青色蛍光体、500〜540nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および600〜680nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する赤色蛍光体を含み、かつ395nmの波長の励起光における外部量子効率が、
前記青色蛍光体は77%以上であること、
前記緑色蛍光体は70%以上であること、および
前記赤色蛍光体は50%以上であること、
のいずれか1以上の条件を満たすことを特徴とする半導体発光装置。
[2] 前記青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体のうち、励起光の波長が395nmの場合の、25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が最大のものと最小のものとの、前記発光ピーク強度の変化率の差が、25%以下である上記[1]に記載の半導体発光装置。
[3] 紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、前記固体発光素子からの光により励起されて発光する蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する青色蛍光体、500〜540nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および600〜680nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する赤色蛍光体を含み、
励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が、前記緑色蛍光体または前記赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率よりも大きいことを特徴とする半導体発光装置。
[4] 励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率と、前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率の差が10%以上25%以下である上記[3]に記載の半導体発光装置。
[5] 励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が、いずれも25%以下である上記[1]から[4]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[6] 前記固体発光素子は、シリコーン系材料で封止されている上記[1]から[5]のいずれかに記載の半導体発光装置。
[7] 前記シリコーン系材料は前記蛍光体を含有する上記[6]に記載の半導体発光装置。
[8] 上記[1]から[7]のいずれかに記載の半導体発光装置を光源として備えたバックライト。
[9] 前記半導体発光装置から出射される紫外領域から近紫外領域の光を吸収する吸収部をさらに有する上記[8]に記載のバックライト。
[10] 光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置において、
前記バックライトに用いられる光源は紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置を有し、カラー画像表示素子の色再現範囲であるNTSC比Wと光利用効率Yとの関係が下記式で表されることを特徴とするカラー画像表示装置。
Y≧−0.24W+49 (ただし、W≧87)
Figure 2009065145
ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
Figure 2009065145
[11] 前記光源は、430〜470nm、500〜540nm、および600〜680nmの波長領域にそれぞれ1以上の発光ピークを有する上記[10]に記載のカラー画像表示装置。
[12] 前記蛍光体は、600〜680nmの波長領域に発光成分を有し、かつユーロピウムで付活された赤色蛍光体を含むことを特徴とする上記[10]または[11]に記載のカラー画像表示装置。
[13] 前記赤色蛍光体は、酸硫化物蛍光体、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、および酸窒化物蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする上記[12]に記載のカラー画像表示装置。
[14] 前記蛍光体は、500〜540nmの波長領域に発光成分を有し、かつセリウム及び/又はユーロピウムで付活された緑色蛍光体を含むことを特徴とする上記[10]から[13]のいずれかに記載のカラー画像表示装置。
[15] 前記緑色蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体、および酸窒化物蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする上記[14]に記載のカラー画像表示装置。
[16] 前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に発光成分を有し、かつユーロピウムで付活された青色蛍光体を含むことを特徴とする上記[10]から[15]のいずれかに記載のカラー画像表示装置。
[17] 前記青色蛍光体は、ハロリン酸塩蛍光体およびアルミン酸塩蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする上記[16]に記載のカラー画像表示装置。
[18] 前記光源から出射される紫外領域から近紫外領域の光を吸収する吸収部をさらに有する上記[10]から[17]のいずれかに記載のカラー画像表示装置。
[19] 前記カラーフィルターの各画素の膜厚が0.5μm以上3.5μm以下である上記[10]から[18]のいずれかに記載のカラー画像表示装置。
なお、上記各発明において、「カラー画像表示装置」とは、光シャッター、カラーフィルターおよびバックライトの他にそれらの駆動回路および制御回路等も含む、入力信号に従って制御された状態でカラー画像を表示し得る構成全体を意味し、「カラー画像表示素子」とは、「カラー画像表示装置」のうち光シャッターおよびバックライトの駆動を制御する構成を除いた、光シャッターおよびカラーフィルターを通してバックライトから光を発するための構成を意味する。
本発明によれば、特定波長の光を発する発光素子と特定の性質を有する蛍光体を組み合わせた発光装置を光源に用い、あるいはNTSC比と光利用効率との関係を適切に規定することで、画像の明るさを損なうことなく、深みのある赤、および緑の再現を実現し、画像全体として高色再現性を達成することができる。しかも、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことができるので実装上の生産性を損なうことなく、かつホワイトバランスの調整が容易であるカラー画像表示装置を提供することができる。
以下に本発明のカラー画像表示装置の実施の形態を詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
本発明のカラー画像表示装置は、光シャッターと、この光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるものである。その具体的な構成には特に制限はないが、例えば、図1に示すような、液晶を利用した光シャッターを用いたTFT(薄膜トランジスタ)方式のカラー液晶表示装置が挙げられる。
図1はサイドライト型バックライト装置及びカラーフィルターを用いたTFT方式のカラー液晶表示装置の一例である。この液晶表示装置においては、光源1からの出射光は導光板2により面光源化され、光拡散シート3により更に均一度を高めた後、プリズムシートを通過後、偏光板4へ入射する。この入射光はTFT6により画素ごとに偏光方向がコントロールされ、カラーフィルター9に入射する。カラーフィルター9に入射した光は、最後に、偏光板4とは偏光方向が垂直になるように配設された偏光板10を通り観測者に到達する。TFT6およびカラーフィルター9は、それぞれ透明基板であるガラス基板5、8に設けられており、これらガラス基板5、8の間に液晶7が封入されている。ここでTFT6の印加電圧により入射光の偏光方向の変化度合いが変化することにより、偏光板10を通過する光の光量が変化し、カラー画像を表示することが可能となる。
また、本発明のカラー画像表示装置は、さらに以下に詳述する構成により、カラー画像表示素子の色再現範囲(NTSC比)Wと下記に示される光利用効率Yとの関係が下記式(a)、好ましくは式(b)で表されることが特徴である。
Y≧−0.24W+49‥(a)
Y≧−0.24W+51‥(b)
Figure 2009065145
ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
Figure 2009065145
即ち、従来はNTSC比85%まではある程度、光利用効率のコントロールは可能であったが、NTSC比85%を越える設計、即ちNTSC比が87%以上、特に90%以上、とりわけ100%以上のカラー画像表示装置では、従来のカラーフィルターのレジストに用いられる顔料、蛍光体の発光スペクトル、半導体発光素子と蛍光体を組み合わせたバックライトスペクトルの性質上、光利用効率を高めることは当業者にとって具体的な構成を容易には想到し得なかった。
本発明のカラー画像表示装置において、NTSC比Wと光利用効率Yとの関係は、以下のように設定した。
(i)特定の新規なバックライト、およびカラーフィルターの組み合わせにより形成された、NTSC比95%を越えるカラー画像表示装置において、そのバックライトの発光スペクトル(実測値)をもとに、カラー画像表示装置のNTSC比がおよそ100%、および110%となるように仮想カラーフィルターを計算によりシミュレーションする。
(ii)上記(i)においてシミュレーションされた仮想カラーフィルターを有する仮想カラー画像表示装置において、NTSC比がおよそ100%、および110%となる2点の光利用効率を算出する。本発明においては(NTSC比、光利用効率)=(100%、31.6)、および(110%、29.2)の2点が算出される。
(iii)上記(ii)で算出された2点を結ぶ直線の傾きを、NTSC比Wと光利用効率Yとの関係式における傾きとし、上記(ii)のカラー画像表示装置における実測値(105%、23.7)を通る一次関数(a)を算出する。
Y=−0.24W+49‥(a)
また、好ましくは、カラー画像表示装置における実測値(110%、24.6)を通る一次関数として、NTSC比Wと光利用効率Yの関係が、下記式(b)で表されるカラー画像表示装置を挙げることができる。
Y=−0.24W+51・・・(b)
また、好ましくは、カラー画像表示装置における実測値(108%、27.4)を通る一次関数として、NTSC比Wと光利用効率Yの関係が、下記式(c)で表されるカラー画像表示装置を挙げることができる。
Y=−0.24W+53・・・(c)
式(a)、(b)及び式(c)を表した、NTSC比と光利用効率との関係のグラフを図2に示す。
本発明において、Y、は、具体的には、バックライトの相対発光分布スペクトルS(λ)を高輝度測定装置により、カラーフィルターの透過率スペクトルT(λ)を分光光度計により測定し、上記式に当てはめることにより算出することができる。
また、カラー画像表示装置は、広色再現性を有することが特徴である。即ち、本願発明のカラー画像表示装置は、光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置において、該バックライト用光源が紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と蛍光体を組み合わせた半導体発光装置を有しており、430〜470nm、500〜540nm、600〜680nmの波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有し、カラー画像表示素子の色再現範囲が、通常NTSC比60%以上である。NTSC比は好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上、とりわけ好ましくは100%以上である。
また、カラー画像表示装置は、色温度が通常5,000〜10,000K、好ましくは5,500〜9,500K、更に好ましくは6,000〜9,000Kである。色温度が低すぎると全体に赤味がかった画像となり。また、色温度が高すぎると輝度の低下を招く。
[1]バックライト装置
まず、このようなカラー液晶表示装置に用いられるバックライト装置の構成について説明する。
本発明で用いられるバックライト装置は、液晶パネルの背面に配置され、透過型又は半透過型のカラー液晶表示装置の背面光源手段として用いられる面状光源装置を指す。バックライト装置の構成としては、白色発光する光源と、この光源からの光をほぼ均一な面光源に変換する光均一化手段とを具備する。
光源の設置方式としては、液晶素子の背面直下に光源を配設する方法(直下方式)や、側面に光源を配設し、アクリル板等の透光性の導光体を用いて光を面状に変換して面光源を得る方法(サイドライト方式)が代表的である。中でも薄型かつ輝度分布の均一性に優れた面光源としては、図3、4に示すようなサイドライト方式が好適であり、現在最も広く実用化されている。
図3のバックライト装置は、透光性の平板からなる基板、即ち導光体11の一側端面11aに当該側端面11aに沿うように光源1が配設され、光入射端面である一側端面11aから導光体11の内部に入射させる構成となっている。導光体11の一方の板面11bは光出射面とされ、この光出射面11bの上にはほぼ三角プリズム状のアレー12を形成した調光シート13が、アレー12の頂角を観察者側に向けて配設してある。導光体11における光出射面11bとは反対側の板面11cには光散乱性インキにより多数のドット14aを所定のパターンで印刷形成してなる光取り出し機構14が設けられている。この板面11c側には、この板面11cに近接して反射シート15が配設されている。
図4のバックライト装置では、ほぼ三角プリズム状のアレー12を形成した調光シート13が、アレー12の頂角を導光体11の光出射面11b側に向けて配設されており、また、導光体11の光出射面11bに相対する板面11cに設けられる光取り出し機構14'は、各表面が粗面に形成されている粗面パターン14bから構成されている点が図3に示すバックライト装置と異なり、その他は同様の構成とされている。
このようなサイドライト方式のバックライト装置であれば、軽量、薄型と言う液晶表示装置の特徴をより有効に引き出すことが可能である。
本発明のバックライト装置の光源としては、LED(以下、任意に発光ダイオードと称することもある。)をその構造中に含むことが特徴である。この光源は、一般には、赤、緑、青の波長領域、即ち580〜700nm、500〜550nm、400〜480nmの範囲に発光を持つタイプであればいずれのものでも使用できる。
バックライトがこのような条件を満たすために、光源は、紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、この固体発光素子からの光により励起される蛍光体とを組み合わせた半導体発光装置を備えている。半導体発光装置は、赤領域(通常600nm以上、好ましくは610nm以上、更に好ましくは620nm以上であり、通常680nm以下、好ましくは670nm以下の領域)、緑領域(通常500nm以上、好ましくは510nm以上であり、通常540nm以下、好ましくは535nm以下、更に好ましくは530nm以下、特に好ましくは525nm以下、とりわけ好ましくは520nm以下の領域)、青領域(通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、通常470nm以下、好ましくは460nm以下の領域)の各波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有する様に、調整される。
透過型または半透過型の透過モードにおける赤、緑、青の各領域の光量は、バックライトからの発光とカラーフィルターの分光透過率の積で決まる。従って、カラーフィルター用組成物の(c)色材の項で後述する条件を満たすようなバックライトの選択が必要である。
以下に本発明のバックライト装置の具体例を記載するが、本発明のバックライト装置は上述の条件を満たせば、これに限定されるものではない。
固体発光素子の発光波長は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、更に好ましくは390nm以上であり、通常420nm以下、好ましくは410nm以下、更に好ましくは405nm以下である。固体発光素子としては、好ましくは紫外〜近紫外LEDが用いられる。紫外〜近紫外LEDは、以下の観点から好適に用いられる。
(i)蛍光体を効率良く励起できる波長を有しているため、光量の大きい光源を得ることができる。
(ii)赤色と緑色と青色の全ての光をLEDからの直接光としては利用せずに、蛍光体からの蛍光として利用するために、赤色光と緑色光と青色光が光源の周囲の全ての方位に均等に発する。
固体発光素子は、例えば、シリコンカーバイドやサファイア、窒化ガリウム等の基板にMOCVD法などで結晶成長されたInGaN系、GaAlN系、InGaAlN系、ZnSeS系の半導体発光素子などが好適である。高出力にするには、光源サイズを大型化したり、光源の数を複数にしたりすればよい。また、端面発光型や面発光型のレーザーダイオードであっても良い。
固体発光素子は、フレームに固定される。フレームは、少なくとも固体発光素子光源に通電するための正負の電極を有し、固体発光素子の電極とフレームの電極とが電気的に接続される。これら電極間は、ワイヤーボンディング法、あるいはフリップチップ実装によって電気的に接続することができる。ワイヤーボンディング法によって接続する場合、直径20〜40μmの金線、またはアルミニウム線を用いることができる。
フレームに凹状のカップを設け、その底面に固体発光素子を配置すると、出射光に指向性を持たせることができ、光を有効利用できる。また、フレームの凹部内面あるいは全体を銀や白金、アルミニウムなど高反射の金属やそれに準ずる合金でメッキ処理することにより、可視光域全般における反射率を高めることができ、光の利用効率を上げられるのでさらに良い。また、フレームの凹部表面あるいは全体を、白色のガラス繊維やアルミナ粉、チタニア粉などの高反射物質を含んだ射出成型用樹脂で構成しても、同様の効果が得られる。
固体発光素子の固定には、エポキシ系、イミド系、アクリル系等の接着剤やAuSn、AgSn等の半田、Au等のバンプなどを用いることができる。
固体発光素子が接着剤を通して通電される場合には、接着剤に銀微粒子等の導電性フィラーを含んだもの、例えば銀ペーストやカーボンペースト等を、薄く均一に塗布するのがよい。また、特に放熱性が重要となる大電流タイプの発光ダイオードやレーザーダイオードの固定には半田を用いて固定するのが有効である。また、接着剤を通して通電されない固体発光素子の場合の固定にはどんな接着剤を用いても良いが、放熱性を考えるとやはり銀ペーストや半田が好ましい。
複数の固体発光素子を用いる場合には、半田の使用は、固体発光素子を繰り返し高温に曝したり、長時間曝したりする必要があり、固体発光素子の寿命を劣化させる場合があり好ましくない。一方、バンプを用いると、半田よりも低温で作業することが可能で、簡便にかつ確実に固体発光素子とフレームとを接続出来る。特にフリップチップ型のLEDを使用する場合には、銀ペーストの接着剤はp型とn型電極をショートさせてしまうことがあるが、バンプの場合はその心配がないため好適である。
半導体発光装置が上述の赤領域、緑領域および青領域の各波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有するためには、青色帯を発光する蛍光体(青色蛍光体)、緑色帯を発光する蛍光体(緑色蛍光体)、および赤色帯を発光する蛍光体(赤色蛍光体)を含む3種以上の蛍光体を組み合わせることが好ましい。これら各色蛍光体は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、等の透明なバインダに混合され、固体発光素子を覆って塗布される。各色蛍光体の混合の比率は、所望の色度が得られるように適宜変えて良い。また、青色帯を発光する蛍光体、緑色帯を発光する蛍光体、および赤色帯を発光する蛍光体は、別々に固体発光素子に塗布しても良い。バインダにさらに拡散剤を添加すると、出射光をより均一にすることが出来る。拡散剤としては平均粒径が100nm〜数10μmの大きさで無色の物質がよい。アルミナ、ジルコニア、イットリア等は−60〜120℃の実用温度域で安定であるので、拡散剤としてより好ましく用いることができる。更に屈折率が高ければ拡散剤の効果は高くなるのでより好ましい。また、粒径の大きな蛍光体を用いる場合には蛍光体の沈降により色むらや色ズレを生じやすいため、バインダに沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤としてはヒュームドシリカが一般的である。
固体発光素子は、封止材によって封止されることが好ましい。固体発光素子を封止材で封止する場合、蛍光体はこの封止材に含有されていてもよい。
封止材の種類は特に限定されず、通常、固体発光素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。硬化性材料は、固体発光素子から発せられた光を蛍光体へ導く役割を担保するものであれば、具体的な種類に制限は無い。また、硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
これら硬化性材料の中では、特に、発光素子からの発光に対して劣化が少なく、耐熱性にも優れる珪素含有化合物を使用することが好ましい。珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系化合物)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さ、機械的、熱適応力の緩和特性に優れる等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
[シリコーン系材料]
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、下記の一般組成式(1)で表わされる化合物及び/又はそれらの混合物が挙げられる。(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2・・・式(1)
一般組成式(1)において、RからRは、有機官能基、水酸基及び水素原子よりなる群から選択されるものを表わす。なお、RからRは、同じであってもよく、異なってもよい。
また、一般組成式(1)において、M、D、T及びQは、0以上1未満の数を表わす。ただし、M+D+T+Q=1を満足する数である。
なお、シリコーン系材料を硬化性材料として用いる場合、その塗設に際しては、液状のシリコーン系材料を用いて発光素子を封止した後、熱や光によって硬化させればよい。
[シリコーン系材料の種類]
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常、付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
[付加型シリコーン系材料]
付加型シリコーン系材料とは、ポリオルガノシロキサン鎖が、有機付加結合により架橋されたものをいう。代表的なものとしては、例えばビニルシランとヒドロシランとをPt触媒などの付加型触媒の存在下反応させて得られる、Si−C−C−Si結合を架橋点に有する化合物等を挙げることができる。
上記付加型シリコーン系材料は、具体的には、例えば下記平均組成式(2)で表されるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と下記平均組成式(3)で表されるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサン(B)を(A)の総アルケニル基に対して(B)の総ヒドロシリル基量が0.5〜2.0倍となる量比で混合し、触媒量の(C)付加反応触媒の存在下反応させて得ることが出来る。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
SiO〔(4−n)/2〕 (2)
(但し、式中Rは同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、アルコキシ基、又は水酸基で、nは1≦n<2を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。
(B)ヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン
R’SiO〔(4−a−b)/2〕 (3)
(但し式中R’は脂肪族不飽和炭化水素基を除く同一又は異種の置換又は非置換の1価炭化水素基、a、bは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0かつ、0.8≦a+b≦2.6を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
(C)付加反応触媒
以下、付加型シリコーン樹脂につき更に詳しく説明する。
上記式(2)のRにおいて、アルケニル基とはビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基などの炭素数2〜8のアルケニル基である。Rが炭化水素基である場合はメチル基、エチル基などのアルキル基、ビニル基、フェニル基等の炭素数1〜20の1価炭化水素基から選択される。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基である。それぞれは異なっても良いが、耐UV性が要求される場合にはRの80%以上はメチル基であることが好ましい。Rが炭素数1〜8のアルコキシ基や水酸基であってもよいが、アルコキシ基や水酸基の含有率は(A)の重量の3%以下であることが好ましい。
nは1≦n<2を満たす正数であるが、この値が2以上であると封止材としての十分な強度が得られなくなり、1未満であると合成上このオルガノポリシロキサンの合成が困難になる。
次に、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン(3)は、(A)成分のオルガノポリシロキサン(2)とヒドロシリル化反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用するものであり、下記平均組成式(3a)
R’SiO(4−a−b)/2 (3a)
(但し、式中R’はアルケニル基を除く一価の炭化水素基であり、a、bは0.7≦a≦2.1、0.001≦b≦1.0、かつ0.8≦a+b≦2.6、好ましくは0.8≦a≦2、0.01≦b≦1、1≦a+b≦2.4を満たす正数である。)で示される1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。
ここで、R’としては、式(2)中のRと同様の基を挙げることができるが、好ましくはアルケニル基を有さないものがよい。また、耐UV性要求される用途に用いる場合には少なくとも80%以上はメチル基であることが好ましい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は3〜1000、特に3〜300程度のものを使用することができる。
上記(B)成分のオルガノハイドロポリシロキサン(3)の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン(2)の総アルケニル基量に依存し、オルガノポリシロキサン(2)の総アルケニル基に対して総SiH量が0.5〜2.0倍となる量好ましくは0.8〜1.5倍となる量とすればよい。
(C)成分の付加反応触媒は、(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のSiH基とのヒドロシリル化付加反応を促進するための触媒であり、この付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、白金族金属として(A)及び(B)成分の合計重量に対して1〜500ppm、特に2〜100ppm程度配合することが好ましい。
本発明の組成物には、上記(A)〜(C)成分に加え、任意成分として硬化性、ポットライフを与えるために付加反応制御剤、硬度・粘度を調節するために例えばアルケニル基を有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンの他にも直鎖状の非反応性オルガノポリシロキサン、ケイ素原子数が2〜10個程度の直鎖状又は環状の低分子オルガノポリシロキサンなどを本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
なお、上記組成物の硬化条件は特に制限されないが、120〜180℃、30〜180分の条件とすることが好ましい。得られる硬化物が硬化後にも柔らかいゲル状である場合には、ゴム状や硬質プラスチック状のシリコーン樹脂と比較して線膨張係数大きいため、室温付近の低温にて10〜30時間硬化することにより内部応力の発生を抑制することができる。
付加型シリコーン系材料は公知のものを使用することができ、さらには金属やセラミックスへの密着性を向上させる添加剤や有機基を導入しても良い。例えば、特許3909826号公報、特許3910080号公報、特開2003−128922号公報、特開2004−221308号公報、特開2004−186168号公報に記載のシリコーン材料が好適である。
また、これらは市販のものを使用することができ、例えば付加重合硬化タイプの具体的商品名としては信越化学工業社製「LPS−1400」「LPS−2410」「LPS−3400」等が挙げられる。
[縮合型シリコーン系材料]
縮合型シリコーン系材料とは、例えば、アルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する化合物を挙げることができる。具体的には、下記一般式(4)及び/又は(5)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
m+ m−n (4)
(式(4)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(Ms+ s−t−1 (5)
(式(5)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、縮合型シリコーン系材料には、硬化触媒を含有させておいても良い。硬化触媒としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができ、例えば、金属キレート化合物などを好適に用いることができる。金属キレート化合物は、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、亜鉛、チタン及びタンタルからなる群より選ばれるいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましい。なお、硬化触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このような縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−77234号公報、特開2006−291018号公報、特開2006−316264号公報、特開2006−336010号公報、特開2006−348284号公報、および国際公開2006/090804号パンフレットに記載の半導体発光デバイス用部材が好適である。
縮合型シリコーン系材料の中で、特に好ましい材料について、以下に説明する。
シリコーン系材料は、一般に半導体発光素子や当該素子を配置する基板、パッケージ等との接着性が弱いことが多い。そこで、本発明に用いる硬化性材料としては密着性が高いシリコーン系材料を用いることが好ましく、特に、以下の特徴〈1〉〜〈3〉のうち、1つ以上を有する縮合型シリコーン系材料を用いることがより好ましい。
〈1〉ケイ素含有率が20重量%以上である。
〈2〉後に詳述する方法によって測定した固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(a)及び/又は(b)のSiに由来するピークを少なくとも1つ有する。
(a)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(b)ピークトップの位置がテトラメトキシシランを基準としてケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
〈3〉シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
本発明に係る硬化性材料としては、上記の特徴〈1〉〜〈3〉のうち、特徴〈1〉を有するシリコーン系材料が好ましい。さらに好ましくは、上記の特徴〈1〉及び〈2〉を有するシリコーン系材料が好ましい。特に好ましくは、上記の特徴〈1〉〜〈3〉を全て有するシリコーン系材料が好ましい。以下、上記の特徴〈1〉〜〈3〉について説明する。
〔特徴〈1〉(ケイ素含有率)〕
本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料のケイ素含有率は、通常20重量%以上であり、中でも25重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であるという理由から、通常47重量%以下の範囲である。
なお、シリコーン系材料のケイ素含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
ケイ素含有率の測定:
シリコーン系材料を白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
〔特徴〈2〉(固体Si−NMRスペクトル)〕
本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料の固体Si−NMRスペクトルを測定すると、有機基の炭素原子が直接結合したケイ素原子に由来する前記(a)及び/又は(b)のピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
ケミカルシフト毎に整理すると、本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料において、前記(a)に記載のピークの半値幅は、分子運動の拘束が小さいために全般に前記(b)に記載のピークの場合より小さく、通常3.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上の範囲である。
一方、前記(b)に記載のピークの半値幅は、通常5.0ppm以下、好ましくは4.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上、好ましくは0.4ppm以上の範囲である。
上記のケミカルシフト領域において観測されるピークの半値幅が大きすぎると、分子運動の拘束が大きくひずみの大きな状態となり、クラックが発生し易く、耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。例えば、四官能シランを多用した場合や、乾燥工程において急速な乾燥を行ない大きな内部応力を蓄えた状態などにおいて、半値幅範囲が上記の範囲より大きくなることがある。
また、ピークの半値幅が小さすぎると、その環境にあるSi原子はシロキサン架橋に関わらないことになり、三官能シランが未架橋状態で残留する例など、シロキサン結合主体で形成される物質より耐熱・耐候耐久性に劣る部材となる場合がある。
但し、大量の有機成分中に少量のSi成分が含まれるシリコーン系材料においては、−80ppm以上に上述の半値幅範囲のピークが認められても、良好な耐熱・耐光性及び塗布性能は得られない場合がある。
本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料のケミカルシフトの値は、例えば、以下の方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(半値幅やシラノール量解析)は、例えばガウス関数やローレンツ関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
[固体Si−NMRスペクトル測定]
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なう。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求める。
[装置条件]
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX-400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
繰り返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
基準試料:テトラメトキシシラン
[データ処理例]
シリコーン系材料については、512ポイントを測定データとして取り込み、8192ポイントにゼロフィリングしてフーリエ変換する。
[波形分離解析法]
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal, 44(5), p.1141, 1998年等を参考にする。
〔特徴〈3〉(シラノール含有率)〕
本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である。シラノール含有率を低くすることにより、シラノール系材料は経時変化が少なく、長期の性能安定性に優れ、吸湿・透湿性何れも低い優れた性能を有する。但し、シラノールが全く含まれない部材は密着性に劣るため、シラノール含有率に上記のごとく最適な範囲が存在する。
シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば、前記の[固体Si−NMRスペクトル測定]の項で説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
また、本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、導光部材を構成する基板や堰等の部材の表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
さらに、本発明に係る硬化性材料として好適なシリコーン系材料は、適切な触媒の存在下で加熱することにより、導光部材を構成する基板や堰等の部材の表面の水酸基との間に脱水縮合による共有結合を形成し、更に強固な密着性を発現することができる。
一方、シラノールが多過ぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する場合がある。
[その他の成分]
硬化性材料には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[無機粒子]
硬化性材料には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕硬化性材料に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、導光部材から外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、蛍光体と組み合わせて無機粒子を光散乱剤として含有させれば、蛍光体に当たる光量を増加させ、波長変換効率を向上させることが可能となる。
〔2〕硬化性材料に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕硬化性材料に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該硬化性材料の粘度を高くすることができる。
〔4〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
ただし、硬化性材料に無機粒子を含有させる場合、その無機粒子の種類及び量によって得られる効果が異なる。
例えば、無機粒子が粒径約10nmの超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカ(乾式シリカ。例えば、「日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200」、「トクヤマ社製、商品名:レオロシール」等)の場合、硬化性材料のチクソトロピック性が増大するため、上記〔3〕の効果が大きい。
また、例えば、無機粒子が粒径約数μmの破砕シリカ若しくは真球状シリカの場合、チクソトロピック性の増加はほとんど無く、当該無機粒子を含む層の骨材としての働きが中心となるので、上記〔2〕及び〔4〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物(前記の無機系材料及び/又は有機系材料など)とは屈折率が異なる粒径約1μmの無機粒子を用いると、前記化合物と無機粒子との界面における光散乱が大きくなるので、上記〔1〕の効果が大きい。
また、例えば、硬化性材料に用いられる他の化合物より屈折率の大きな、中央粒径が通常1nm以上、好ましくは3nm以上、また、通常10nm以下、好ましくは5nm以下、具体的には発光波長以下の粒径をもつ無機粒子を用いると、当該無機粒子を含む層の透明性を保ったまま屈折率を向上させることができるので、上記〔5〕の効果が大きい。
従って、混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すれば良い。また、その種類は単一でも良く、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていても良い。
[無機粒子の種類]
使用する無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子が挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、当該無機粒子を含有させる層に含有されるその他の材料と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして硬化性材料に加えたりすることが好ましい。
[無機粒子の中央粒径]
これらの無機粒子(一次粒子)の中央粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の中央粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その中央粒径は通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは20μm以下である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1μm〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いるのであれば、その中央粒子は10〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1〜10nmが好適である。
[無機粒子の混合方法]
無機粒子を混合する方法は特に制限されない。通常は、蛍光体と同様に遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行なってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合しても良い。
[無機粒子の含有率]
硬化性材料中における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、当該無機粒子を含有する層における無機粒子の含有率は、その適用形態により選定することが好ましい。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その層内における含有率は0.01〜10重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その層内における含有率は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チクソ剤)として用いる場合は、その層内における含有率は0.1〜20重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その層内における含有率は10〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、流体状の硬化性材料における無機粒子の含有率は、各層における無機粒子の含有率が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、流体状の硬化性材料が乾燥工程において重量変化しない場合は硬化性材料における無機粒子の含有率は形成される各層における無機粒子の含有率と同様になる。また、流体状の硬化性材料が溶媒等を含有している場合など、当該硬化性材料が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性材料における無機粒子の含有率が、形成される各層における無機粒子の含有率と同様になるようにすればよい。
なお、無機粒子の含有率は、前出の蛍光体の含有率と同様に測定することが出来る。
さらに、硬化性材料として前記のアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物を用いる場合には、当該加水分解・重縮合物はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの他の硬化性材料と比較して低粘度であり、かつ蛍光体や無機粒子とのなじみが良く、高濃度の無機粒子を分散しても十分に塗布性能を維持することが出来る利点を有する。また、必要に応じて重合度の調整やアエロジル等のチクソ剤を含有させることにより高粘度にすることも可能であり、目的の無機粒子含有量に応じた粘度の調整幅が大きく、塗布対象物の種類や形状さらにはポッティング、スピンコート、印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応できる塗布液を提供することが出来る。
完成した発光装置は通電により、まず固体発光素子が紫外光〜近紫外光を発光する。蛍光体はその大部分を吸収し、それぞれ青色帯、緑色帯あるいは赤色帯に発光する。発光装置から出てくる光としては、固体発光素子のもともとの紫外光〜近紫外光が僅かに含まれるが、大部分は、蛍光体によって波長変換された青色帯と緑色帯と赤色帯が混合され、おおよそ白色のものが得られる。
[2]蛍光体
次に、蛍光体について説明する。前述したように、本発明の半導体発光装置は蛍光体を有しているが、半導体発光装置が赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を有している場合、各色蛍光体は以下に述べる特性を有していることが好ましい。
[2−1]外部量子効率
本発明で用いられる蛍光体は、395nmの波長の励起光における外部量子効率が、以下の条件A〜Cのいずれか1以上を満たすことが好ましい。
(条件A)青色蛍光体の外部量子効率が77%以上、好ましくは78%以上、より好ましくは79%以上である。
(条件B)緑色蛍光体の外部量子効率が70%以上、好ましくは73%以上、より好ましくは75%以上である。
(条件C)赤色蛍光体の外部量子効率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上である。
以上の条件A〜Cのいずれか1以上を満たすことで、発光ピーク強度の高い発光装置を達成することができ、このような発光装置をバックライトの光源に用いた画像表示装置は、明るい画像を表示できる。
外部量子効率(以下「η」で表わす場合がある)とは、励起光源(ここでは固体発光素子)が発する光(励起光)の光子数に対する蛍光体の発光光子数の割合を表わす値であり、後述の吸収効率α(以下「α」で表わす場合がある)と後述の内部量子効率ηi(以下「ηi」で表わす場合がある)との積に相当する。即ち、外部量子効率ηoは、下記式で規定されることになる。
(外部量子効率ηo)=(吸収効率αq)×(内部量子効率ηi
なお、以下の記載では「光子」を「フォトン」と言う場合がある。
吸収効率αqは、励起光の光子数に対し、蛍光体が吸収する光子数の割合を意味する。蛍光体は、その吸収効率αqが高いほど好ましい。
具体的には、蛍光体を波長395nmの光で励起した場合における吸収効率αqは、青色蛍光体においては、通常80%以上、好ましくは84%以上、より好ましくは85%以上であり、緑色蛍光体においては、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であり、赤色蛍光体においては、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい。蛍光体の吸収効率αqが低過ぎると、所定の発光を得るために必要な励起光量が大きくなり、消費エネルギーが大きくなるため、発光効率が低下する傾向がある。
内部量子効率ηiとは、蛍光体が吸収した励起光の光子数に対する、蛍光体が発光した光子数の比率を意味する。蛍光体は、その内部量子効率ηiが高いほど好ましい。
具体的には、蛍光体を波長395nmの光で励起した場合における内部量子効率ηiは、青色蛍光体においては、通常79%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上であり、緑色蛍光体においては、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であり、赤色蛍光体においては、通常65%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上であることが望ましい。蛍光体の内部量子効率ηiが低過ぎると、所定の発光を得るために必要な励起光量が大きくなり、消費エネルギーが大きくなるため、発光効率が低下する傾向がある。
蛍光体の吸収効率αq、内部量子効率ηi及び外部量子効率ηoを求める方法について、以下に説明する。
まず、測定対象となる蛍光体サンプル(例えば蛍光体の粉末等)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球等の集光装置に取り付ける。積分球等の集光装置を用いるのは、蛍光体サンプルで反射したフォトン、及び蛍光体サンプルから蛍光現象により放出されたフォトンを全て計上できるようにする、即ち、計上されずに測定系外へ飛び去るフォトンをなくすためである。
この集光装置に、蛍光体サンプルを励起するための発光源を取り付ける。発光源としては、例えばXeランプ等を用いる。また、発光源の発光ピーク波長が例えば395nmの単色光となるように、フィルターやモノクロメーター(回折格子分光器)等を用いて調整を行なう。
この発光ピーク波長が調整された発光源からの光を、測定対象の蛍光体サンプルに照射し、発光(蛍光)及び反射光を含むスペクトルを分光測定装置(例えば大塚電子株式会社製MCPD7000やMCPD2000等)で測定する。ここで測定されるスペクトルには、実際には、励起発光光源からの光(以下では単に「励起光」と記す)のうち、蛍光体に吸収されなかった反射光と、蛍光体が励起光を吸収して蛍光現象により発する別の波長の光(蛍光)とが含まれる。すなわち、励起光領域は反射スペクトルに相当し、それよりも長波長領域は蛍光スペクトル(ここでは、発光スペクトルと呼ぶ場合もある)に相当する。
吸収効率αqは、蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsを、励起光の全フォトン数Nで割った値として求められる。具体的な算出手順は以下の通りである。
まず、後者の励起光の全フォトン数Nを、次のようにして求める。
すなわち、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、例えばLabsphere製「Spectralon」(395nmの励起光に対して98%の反射率Rを持つ)等の白色反射板を測定対象として、蛍光体サンプルと同様の配置で上述の集光装置に取り付け、該分光測定装置を用いて反射スペクトルを測定する(この反射スペクトルを以下「Iref(λ)」とする)。
この反射スペクトルIref(λ)から、下記(式I)で表わされる数値を求める。下記(式I)で表わされる数値は、励起光の全フォトン数Nに比例する。
Figure 2009065145
なお、上記(式I)の積分区間は、実質的にIref(λ)が有意な値を持つ区間のみに限定してもよい。
一方、蛍光体サンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsは、下記(式II)で求められる量に比例する。
Figure 2009065145
上記(式II)において、「I(λ)」は、吸収効率αqの測定対象となる蛍光体サンプルを集光装置に取り付けたときの反射スペクトルを表わす。
また、上記(式II)の積分区間は、上記(式I)で定めた積分区間と同じにする。このように積分区間を限定することで、上記(式II)の第二項は、測定対象の蛍光体サンプルが励起光を反射することによって生じたフォトン数に対応した数値、即ち、測定対象の蛍光体サンプルから生ずる全フォトンのうち蛍光現象に由来するフォトンを除いたフォトン数に対応した数値になる。実際のスペクトル測定値は、一般にはλに関するある有限のバンド幅で区切ったデジタルデータとして得られるため、上記の(式I)及び(式II)の積分は、そのバンド幅に基づいた和分によって求まる。
以上より、吸収効率αqは、次の式で求められる。
吸収効率αq=Nabs/N=(式II)/(式I)
次に、内部量子効率ηiを求める方法を説明する。
内部量子効率ηiは、蛍光現象に由来するフォトンの数NPLを、蛍光体サンプルが吸収したフォトンの数Nabsで割った値である。
ここで、NPLは、下記(式III)で求められる量に比例する。
Figure 2009065145
なお、上記(式III)の積分区間は、蛍光体サンプルの蛍光現象に由来するフォトンの有する波長範囲に限定する。蛍光体サンプルから反射されたフォトンの寄与をI(λ)から除くためである。
具体的に、上記(式III)の積分区間の下限は、上記(式I)の積分区間の上端を取り、積分区間の上限は、蛍光に由来するフォトンを包含するために必要十分な範囲とする。
以上より、内部量子効率ηiは、次の式で求められる。
内部量子効率ηi=(式III)/(式II)
なお、デジタルデータとなったスペクトルから積分を行なう点に関しては、吸収効率αqを求めた場合と同様である。
そして、上記の手順により求めた吸収効率αqと内部量子効率ηiとの積をとることで、外部量子効率ηoを求めることができる。
また、外部量子効率ηoは、以下の関係式から求めることもできる。
ηo=(式III)/(式I)
即ち、外部量子効率ηoは、蛍光に由来するフォトンの数NPLを励起光の全フォトン数Nで割った値である。
[2−2]発光ピーク強度の温度依存性
固体発光素子から発せられられた光は、蛍光体および蛍光体を保持しているバインダに吸収される。これによってバインダが発熱し、蛍光体を加熱する。また、固体発光素子から発せられた光が蛍光体に吸収されることによって蛍光体自身も発熱する。更には、固体発光素子が通電され発光する際には、固体発光素子内部の電気抵抗により発光素子が発熱し、その温度が上昇することにより、伝熱により蛍光体が加熱される。これらの加熱作用により蛍光体の温度は150℃程度に到達する。蛍光体の発光ピーク強度は温度に依存し、蛍光体が高温になるほど発光ピーク強度は低下する傾向にある。よって、固体発光素子から光が発せられ続けた状態においても全体としての色調が変わらないようにするためには、温度上昇によって各色蛍光体の発光ピーク強度が変化したとしても、そのバランスが大きく崩れないようにすることが重要である。
そこで、各色蛍光体の外部量子効率が前述の条件A〜Cのいずれか1以上を満たす場合において、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体のうち、励起光の波長が395nmのときの、25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率が最大のものと最小のものとの、発光ピーク強度の変化率の差が25%以下であることが好ましい。これにより、各色蛍光体の温度上昇によって各色蛍光体の発光ピーク強度が変化しても、その変化が各色蛍光体間で同程度であるので、発光装置から発せられる光の色調は全体として変わらない。
ここで、温度依存性は、具体的には、例えば以下のように測定することができる。
[温度依存性の測定例]
温度依存性の測定は、発光スペクトル測定装置として、例えば大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として、例えば色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で行なう。
ステージに蛍光体のサンプルを入れたセルを載せ、温度を25℃、及び150℃と変化させ、蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で蛍光体を励起して、輝度値及び発光スペクトルを測定する。測定された発光スペクトルから、発光ピーク強度を求める。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値としては、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いる。
上記においてさらに、励起光の波長が395nmのときの、25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率が、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体のいずれも25%以下であることが、より好ましい。これにより、蛍光体の温度が上昇した場合に、発光装置からの光の色調の変化を抑制しつつも、全体としての発光ピーク強度の低下が抑制される。
ところで、本発明による発光装置は、バックライト用の光源として好適に用いられ、そのバックライトを用いたカラー画像表示装置の一例として、前述したような、液晶ディスプレイが挙げられる。液晶ディスプレイは、液晶を偏光板で挟んだ構成を有しており、この偏光板としては、一般に、ヨウ素含有PVA(ポリビニルアルコール)を延伸したフィルムが用いられる。このフィルムは、青色(短波長領域)の消光比が悪いため、青色の色漏れが大きい。そのため、液晶のオン・オフを利用した黒表示の際には、青みがかった黒色になるという特性を有する。
一方、特開2006−128163号公報や、特開2006−351540公報に開示されるような、いわゆる直下型バックライトユニットを有するカラー画像表示装置の中には、光のオン・オフを前記バックライトの電流値の調整により行うものがある。
このような場合は、液晶による黒表示における黒色とバックライト電流値の調整による黒色が同じ色であることが好ましい。
そこで、このような場合は、青色蛍光体の温度による発光ピーク強度の変化率が、緑色蛍光体または赤色蛍光体のそれよりも大きくなるように設計すると、バックライト光が弱い場合は、バックライト光が強い場合に比べて相対的に青色光の発光ピーク強度が高いので、偏光板を用いた画像表示装置と同様に、黒表示時に青みがかった黒色表示が可能となり、結果的に偏光板を用いた場合と色調が変わらないようにすることができる。具体的には、各色蛍光体は、励起光の波長が395nmのときの、青色蛍光体の25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率が、緑色蛍光体または赤色蛍光体の25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率よりも大きい。この場合の各色蛍光体間での発光ピーク強度の変化率の関係は、外部量子効率とは無関係に設定できる。
上記において、より具体的には、青色蛍光体の25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率と、緑色蛍光体および赤色蛍光体の25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率との差が10%以上25%以下であることがより好ましい。
また、上記においてさらに、励起光の波長が395nmのときの、25℃での発光ピーク強度に対する150℃での発光ピーク強度の変化率が、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体のいずれも25%以下であることが、より好ましい。これにより、蛍光体の温度が上昇した場合に、発光装置からの光の色調の変化を抑制しつつも、全体としての発光ピーク強度の低下が抑制される。
以下に、本発明で好適に用いられる赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体について詳しく説明する。
[2−3]赤色蛍光体
本発明の半導体発光装置に使用される赤色蛍光体としては、600nm≦λn≦680nmの波長範囲に発光ピークを有する様々な蛍光体を使用することが可能である。そのような色純度の高い画像を実現するための赤色蛍光体としては、ユーロピウムで付活された蛍光体が好ましい。ユーロピウムで付活された蛍光体としては、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体が挙げられるが、中でも窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体が好ましい。また、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体の中でも、後述する、付活元素M、2価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含む窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体が好ましい。
以下、好ましく用いられる赤色蛍光体の具体例について説明する。
[2−3−1]窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体
本発明にかかる窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体の具体例としては、付活元素M、2価の金属元素M、3価の金属元素M、及び少なくともSiを含む4価の金属元素Mを含むことができ、下記一般式(1A)で表される窒化物又は酸窒化物を母体とする化合物を含む蛍光体が挙げられる。
(1A)
(但し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a≦0.15
a+b=1
0.5≦c≦1.5
0.5≦d≦1.5
2.5≦e≦3.5
0≦f≦0.5
付活元素Mとしては、窒化物又は酸窒化物を母体とする蛍光体を構成する結晶母体に含有可能な各種の発光イオンを使用することができるが、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbよりなる群から選ばれる1種以上の元素を使用すると、発光特性の高い蛍光体を製造することが可能なので好ましい。また、付活元素MとしてはMn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にCe及び/又はEuを含むことが高輝度の赤色発光を示す蛍光体を得ることができるので更に好ましく、特にEuが好ましい。また、輝度を上げることや蓄光性を付与するなど様々な機能を持たせるために、付活元素MとしてはCe及び/又はEu以外に共付活元素を1種又は複数種含有させても良い。
付活元素M以外の元素としては、各種の2価、3価、4価の金属元素が使用可能であるが、2価の金属元素MがMg、Ca、Sr、Ba、及びZnよりなる群から選ばれる1種以上の元素、3価の金属元素MがAl、Ga、In、及びScよりなる群から選ばれる1種以上の元素、少なくともSiを含む4価の金属元素M4がSi、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfよりなる群から選ばれる1種以上の元素であることが、発光特性の高い蛍光体を得ることができるので好ましい。
また、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をCa及び/又はSrとするのがより好ましく、90モル%以上をCa及び/又はSrとするのが更に好ましく、Mの全てをCa及び/又はSrとするのが最も好ましい。
また、2価の金属元素Mの50モル%以上がCaとなるように組成を調整すると、蛍光体の発光波長を長波長化して色純度の良い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をCaとするのがより好ましく、90モル%以上をCaとするのが更に好ましく、Mの全てをCaとするのが最も好ましい。
また、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をAlとするのが好ましく、90モル%以上をAlとするのがより好ましく、Mの全てをAlとするのが最も好ましい。
また、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるように組成を調整すると発光特性の高い蛍光体が得られるので好ましいが、Mの80モル%以上をSiとするのが好ましく、90モル%以上をSiとするのがより好ましく、Mの全てをSiとするのが好ましい。
特に、2価の金属元素Mの50モル%以上がCa及び/又はSrであり、かつ、3価の金属元素Mの50モル%以上がAlであり、かつ、少なくともSiを含む4価の金属元素Mの50モル%以上がSiとなるようにすることにより、発光特性が特に高い蛍光体が製造できるので好ましい。
また、前記一般式(1A)におけるa〜fの数値範囲の好適理由は次の通りである。
aが0.00001より小さいと十分な発光ピーク強度が得られない傾向にあり、aが0.15より大きいと濃度消光が大きくなって発光ピーク強度が低くなる傾向にある。従って、aは0.00001≦a≦0.15の範囲となるように原料を混合する。同様の理由で、0.0001≦a≦0.1が好ましく、0.001≦a≦0.05がより好ましく、0.002≦a≦0.04がさらに好ましく、0.004≦a≦0.02とするのが最も好ましい。
また、付活元素MとしてEuを使用する場合には、蛍光体の発光波長を長波長化して赤色の色純度を向上するためには、0.005≦a≦0.1が好ましく、0.01≦a≦0.05がより好ましく、0.015≦a≦0.04がさらに好ましい。
aとbの合計は、蛍光体の結晶母体中において付活元素Mが金属元素M2の原子位置を置換するので、1となるように原料混合組成を調整する。
cが0.5より小さい場合も、cが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、cは0.5≦c≦1.5の範囲となるように原料を混合する。発光ピーク強度の観点からも0.5≦c≦1.5が好ましく、0.6≦c≦1.4がより好ましく、0.8≦c≦1.2が最も好ましい。
dが0.5より小さい場合も、dが1.5より大きい場合も、製造時に異相が生じ、前記蛍光体の収率が低くなる傾向にある。従って、dは0.5≦d≦1.5の範囲となるように原料を混合する。また、発光ピーク強度の観点からも0.5≦d≦1.5が好ましく、0.6≦d≦1.4がより好ましく、0.8≦d≦1.2が最も好ましい。
eは窒素の含有量を示す係数であり、
Figure 2009065145
となる。この式に0.5≦c≦1.5,0.5≦d≦1.5を代入すれば、eの範囲は
1.84≦e≦4.17
となる。しかしながら、前記一般式(1A)で表される蛍光体組成において、窒素の含有量を示すeが2.5未満であると蛍光体の収率が低下する傾向にある。また、eが3.5を超えても蛍光体の収率が低下する傾向にある。従って、eは通常2.5≦e≦3.5である。
前記一般式(1A)で表される蛍光体中の酸素は、原料金属中の不純物として混入する場合、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に導入される場合などが考えられる。酸素の割合であるfは蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で0≦f≦0.5が好ましい。また、付活元素MとしてEuを使用する場合には、蛍光体の発光波長を長波長化して赤色の色純度を向上するためには、0≦f≦0.2が好ましく、0≦f≦0.15がさらに好ましく、0≦f≦0.1が特に好ましい。
前記一般式(1A)で表される蛍光体の中でも、下記一般式(1B)で表される蛍光体をより好ましく用いることができる。
1’ a’Srb’Cac’2’ d’Ale’Sif’g’ (1B)
(但し、a’、b’、c’、d’、e’、f’、g’はそれぞれ下記の範囲の値である。
0.00001≦a’≦0.15
0≦b’≦0.99999
0≦c’<1
0≦d’<1
a’+b’+c’+d’=1
0.5≦e’≦1.5
0.5≦f’≦1.5
0.8×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’))
ここで、M1’は前記一般式(1A)におけるMと同様に、Cr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれる付活元素を表す。付活元素M1’としては中でも、Mn、Ce、Pr及びEuの1種又は2種以上を含むことが好ましく、特にEu及び/又はCeを含むことが好ましく、中でもEuが好ましい。
2’はMg及び/又はBaを表し、好ましくはMgである。Mgを含有させることにより、蛍光体の発光波長を長波長化することができる。
a’が0.00001より小さいと十分な発光ピーク強度が得られない傾向にあり、a’が0.15より大きいと濃度消光が大きくなって発光ピーク強度が低くなる傾向にある。従って、a’は0.00001≦a’≦0.15の範囲となるように原料を混合する。同様の理由で、0.0001≦a’≦0.1が好ましく、0.001≦a’≦0.05がより好ましく、0.002≦a’≦0.04がさらに好ましく、0.004≦a’≦0.02とするのが最も好ましい。
また、付活元素MとしてEuを使用する場合には、蛍光体の発光波長を長波長化して赤色の色純度を向上するためには、0.005≦a’≦0.1が好ましく、0.01≦a’≦0.05がより好ましく、0.015≦a’≦0.04がさらに好ましい。
b’の範囲は、通常0≦b’≦0.99999である。b’が大きいと蛍光体の発光波長を短波長化する傾向がある。
c’の範囲は、通常0≦c’<1である。好ましくは0.1≦c’<1、更に好ましくは0.15≦c’<1である。この値が小さすぎると構造が不安定となる傾向がある。
dの範囲は、通常0≦d’<1であり、好ましくは0≦d’≦0.5、より好ましくは0≦d’≦0.2である。
a’、b’、c’、d’相互の関係は通常、
a’+b’+c’+d’=1
を満足する。
e’の範囲は通常、0.5≦e’≦1.5であり、好ましくは0.8≦e’≦1.2、より好ましくは0.9≦e’≦1.1である。
f’の範囲は通常、0.5≦f’≦1.5であり、好ましくは0.8≦f’≦1.2、より好ましくは0.9≦f’≦1.1である。
g’の範囲は、通常、0.8(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.2×(2/3+e’+4/3×f’)であり、好ましくは0.9×(2/3+e’+4/3×f’)≦g’≦1.1×(2/3+e’+4/3×f’)、より好ましくは、2.5≦g’≦3.5である。
本発明の蛍光体に含まれる酸素は、原料金属中の不純物として混入するもの、粉砕工程、窒化工程などの製造プロセス時に混入するものなどが考えられる。
酸素の含有量は蛍光体の発光特性低下が容認できる範囲で通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
[2−3−2]その他の窒化物蛍光体
また、その他の窒化物蛍光体の具体例として、ニトリドシリケートタイプMxSiyNz:Eu[ここで、MはCa、Sr、及びBaよりなる群から選ばれる少なくとも1つのアルカリ土類金属、またはZnであり、かつz=2/3x+4/3yである]のホスト格子を有することを特徴とする、黄色から赤色を放射する蛍光体が挙げられる。
好ましくは、蛍光体はx=2及びy=5であるタイプのものである。好ましい別の実施態様において、蛍光体はx=1及びy=7であるタイプのものである。
好ましくは、蛍光体中の金属Mはストロンチウムである、これは、生じる蛍光体が、黄色から赤色の相対的に短い波長を放射しているからである。こうして、効率は他の選択された金属Mの大部分と比較してかなり高い。
別の実施態様において、蛍光体は成分Mとして異なる金属の混合物、例えばCa(10原子%)をBa(バランス)と一緒に、使用する。
これらの材料は、UV及び青色の可視スペクトル(450nmを上回るまで)において高い吸収及び良好な励起、高い量子効率及び100℃までの低い温度消光を示す。
本発明に係る上記蛍光体の具体例としては、例えば特表2003−515655号公報、特開2005−117057号公報等に記載される公知の蛍光体が挙げられる。
[2−3−3]硫化物蛍光体
硫化物蛍光体の具体例としては、一般式(1C)で表される化合物が挙げられる。
EuCaSr5 ……(1C)
ここで、M5はBa、Mg、Znから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、h〜lは、それぞれ下記の範囲の値である。
0.0002≦h≦0.02
0.3≦i≦0.9998
dは0≦j≦0.1
h+i+j+k=1
0.9≦l≦1.1
熱安定性の面から、式(1C)中のEuの化学式量hの好ましい範囲について言えば、0.0002≦h≦0.02の範囲が好ましく、0.0004≦h≦0.02の範囲がより好ましい。
温度特性の面から、式(1C)中のEuの化学式量hの好ましい範囲について言えば、0.0004≦h≦0.01の範囲が好ましく、0.0004≦h≦0.007の範囲がより好ましく、0.0004≦h<0.005の範囲がより好ましく、0.0004≦h≦0.004の範囲がより好ましい。
発光ピーク強度の面から、式(1C)中のEuの化学式量hの好ましい範囲について言えば、0.0004≦h≦0.02の範囲が好ましく、0.001≦h≦0.008の範囲がより好ましい。発光中心イオンEu2+の含有量が少なすぎると、発光ピーク強度が小さくなる傾向があり、一方、多すぎても、濃度消光と呼ばれる現象によりやはり発光ピーク強度が減少する傾向がある。
熱安定性、温度特性、発光ピーク強度の全てを兼ね備える、式(1C)中のEuの化学式量hの好ましい範囲について言えば、0.0004≦h≦0.004の範囲が好ましく、0.001≦h≦0.004の範囲がより好ましい。
前記一般式(1C)の基本結晶EuCaSrにおいては、Eu、Ca、Sr又はMが占めるカチオンサイトとSが占めるアニオンサイトのモル比が1対1であるが、カチオン欠損やアニオン欠損が多少生じていても本目的の蛍光性能に大きな影響がないので、Sが占めるアニオンサイトのモル比lを0.9以上1.1以下の範囲で前記一般式(1C)の基本結晶を使用することができる。
前記一般式(1C)の化学物質において、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも一種の元素を表すM5は本発明にとって必ずしも必須の元素ではないが、M5のモル比kで0≦k≦0.1の割合で前記一般式(1C)の化学物質中に含んでいても、本発明の目的を達成することができる。
不純物として1重量%以下の量でEu、Ca、Sr、Ba、Mg、Zn、S以外の元素を前記一般式(1C)の化学物質に含んでいても使用上の問題はない。
[2−3−4]酸硫化物蛍光体
酸硫化物蛍光体の具体例としては、一般式(1D)で表される化合物が挙げられる。
(Ln1−xEuS ・・(1D)
上記一般式(1D)において、Lnは、通常、Sc、Y、La、Gd、Lu及びBiから選ばれる少なくとも一種の元素を表す。但し、Lnは、基本的には上記の元素群から選ばれる少なくとも一種の元素であるが、Sc、Y、La、Gd、Lu及びBi以外の3価の元素、例えば、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Sb、B、Al、Ga、In及びMn等を少量含有することもできる。また、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd及びMn等の2価の金属元素や、Si、Ge、Sn、Pb、Ti、Zr及びHfなど4価の金属を微量含有することもできる。これらの元素を少量含有させることによって、発光特性を微調整することが可能である。
また、LEDの発光波長として385nm〜415nm付近の近紫外光が用いられる場合は、(Ln1−xEuSの赤色発光の強度が最も大きくなる傾向にあるので、Ln元素はLaを主成分とすることが好ましい。即ち、Ln元素のうちLaの含有量が50モル%以上とするのが好ましく、80モル%以上とすることが更に好ましく、Ln元素がLa単独であることが特に好ましい。
発光物質であるEuの濃度を示すxは、通常、0.02<x≦0.25を満足する数である。Euの濃度が低いと、蛍光体による第1の発光体からの励起光の吸収効率が低下して発光効率が低くなる傾向にある。一方、Euの濃度が高すぎると濃度消光が起こるために発光効率が低くなる傾向があると共に、発光装置の使用温度の上昇に伴う発光ピーク強度の低下(温度特性の低下)が顕著になる傾向があり好ましくない。この理由によりEuの濃度は0.03≦x≦0.175の範囲がより好ましく、温度特性及び発光ピーク強度の点から0.05≦x≦0.15の範囲が最も好ましい。
[2−4]緑色蛍光体
本発明の半導体発光装置に使用される緑色蛍光体としては、500nm≦λn≦540nmの波長範囲に発光ピークを有する様々な蛍光体を使用することが可能である。そのような色純度の高い画像を実現するための緑色蛍光体としては、セリウム及び/又はユーロピウムで付活された蛍光体を含むことが好ましい。セリウム及び/又はユーロピウムで付活された蛍光体の中では、アルミン酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体が挙げられ、中でも、ユーロピウムおよびマンガンで付活されたアルミン酸塩蛍光体、ユーロピウムで付活された珪酸塩蛍光体、セリウムで付活された酸化物蛍光体、ユーロピウムで付活された酸化物蛍光体、および酸窒化物蛍光体が好ましい。
また、蛍光体の結晶構造がガーネット結晶構造を有するものは、耐熱性等の点で優れる傾向にあるため好ましい。
以下、好ましく用いられる緑色蛍光体の具体例について説明する。
[2−4−1]
本発明に使用される蛍光体は、Eu(ユウロピウム)が置換し得るサイト数に対するEuの置換率が15%以上であり、アルカリ金属元素を含有し、且つ、Euが置換し得るサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率が2%以下である結晶相を有する蛍光体が好ましい。かかる蛍光体は、近紫外光で励起した場合でも、安定して高い発光ピーク強度及び輝度が得られるとともに、温度特性にも優れたものとなる。
具体的に、前記蛍光体が有する結晶相の、Eu(ユウロピウム)が置換し得るサイト数に対するEuの置換率は、通常15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上である。このEuの置換率が低過ぎると、得られる蛍光体の輝度が十分に改善されない場合がある。Euの置換率の上限は制限されないが、Euの置換率が余りに高過ぎると発光ピーク強度の低下を招く場合があるので、通常70%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下であることが望ましい。
ここで、Euは付活元素であり、母体結晶中の元素を一部置換するものである。この場合の「Euが置換し得るサイト」とは、母体結晶において、六配位時2価の状態での半径が0.92Å以上である2価金属元素で占められているサイトを言う。上記2価金属元素の好ましい具体例としては、Ca,Sr及びBaが挙げられる。
また、前記蛍光体が有する結晶相は、アルカリ金属元素を含有する。
アルカリ金属元素としては、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)が挙げられるが、Li、Na、Kが好ましく、Na、Kが特に好ましい。なお、前記蛍光体が有する結晶相は、これらのアルカリ金属元素のうち、何れか一種のみを単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。
前記蛍光体は、上述の通り、母体結晶にEuが置換し得るサイトを持つものであり、少なくともCa、Sr、Baの何れかを含むことが好ましく、より好ましくは少なくともSr、Baの何れかを含むものである。中でも、少なくともBaを含有すると、蛍光体の初期の輝度が高くなり、輝度の温度依存性が向上することになるので好ましい。なお、本発明の蛍光体が有する結晶相は、これらのアルカリ土類金属元素のうち、何れか一種のみを単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよいが、このとき、Ca、Sr、Baの合計量に対するSr、Baの割合は、30モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。この量が少な過ぎると、近紫外光励起下での発光ピーク強度が低下する場合がある。
前記蛍光体が有する結晶相の、Euが置換し得るサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率は、通常0%より大きく、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、また、通常2%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.6%以下である。Euが置換し得るサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率が低過ぎると、得られる蛍光体の温度特性が十分に改善されない場合がある。Euが置換し得るサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率が高過ぎると、得られる蛍光体の発光ピーク強度が低下する場合がある。
前記蛍光体は、上述の特定の結晶相を有するものであれば、その他の特徴については制限されるものではないが、好ましくは以下に説明する特徴を有する。
<組成>
前記蛍光体は、その組成について、以下の特徴を有することが好ましい。
前記蛍光体は、酸化物蛍光体であることが好ましい。この場合、本発明の蛍光体中における、アニオンイオンを構成する元素(例えば硫黄(S)、窒素(N)、ハロゲン等)に対する酸素の割合は、通常40原子%以上、好ましくは60原子%以上、より好ましくは80原子%以上、更に好ましくは90原子%以上、特に好ましくは100原子%である。アニオンイオンを構成する元素に対する酸素の割合が低過ぎると、発光ピーク強度の低下や発光ピーク半値幅の増大等の傾向が生じる場合がある。
前記の蛍光体は、Al(アルミニウム)を更に含有することが好ましい。この場合、本発明の蛍光体中における、六配位時2価の状態での半径が0.92Å以上である2価金属元素全体に対するAlの比率は、通常0モル%以上、好ましくは1.7モル%以上、より好ましくは8モル%以上である。
上記蛍光体として、具体的には、アルカリ土類金属アルミネートであることが好ましい。その好ましい具体例としては、母体結晶の組成として、BaMgAl1017、Ba0.75Al1117.25、BaMg2Al1627、BaAl24、Ba4Al1425等が挙げられる。
前記蛍光体は、Mn(マンガン)を更に含有することが好ましい。この場合、本発明の蛍光体中における、六配位時2価の状態での半径が0.92Å以上である2価金属元素全体に対するMnの比率は、通常0モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、また、通常70モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下である。
前記蛍光体は、Mg(マグネシウム)を更に含有することが好ましい。この場合、本発明の蛍光体中における、六配位時2価の状態での半径が0.92Å以上である2価金属元素全体に対するMgの比率は、通常0モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、また、通常190モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。
特に、前記蛍光体は、下記式[2A]で表わされる組成であることが好ましい。
(1−a)Ba(1-b-c-d)SrbCacEudMg(1-e-f)ZneMnfAlgh
・(a)Ba(0.75-b'-c'-d')Srb'Cac'Eud'Al1117.25・Ai [2A]
(但し、Aは、少なくとも一種のアルカリ金属元素を表わし、
a、b、c、d、e、f、g、h、i、b’、c’、d’は、各々、
0≦a≦1、
0≦b<1、
0≦c<1、
0.1<d<1、
0≦e<1、
0≦f≦1、
9≦g≦11、
16≦h≦18、
0≦i≦0.02、
0≦b’<1、
0≦c’<1、
0.1<d’<1
を満たす数を表わす。)
式[2A]中、Aは、アルカリ金属元素を表わす。アルカリ金属元素については、上述した通りである。
aは、通常0以上、また、通常1以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.2以下であり、特に好ましくはa=0である。bは、通常0以上、また、通常1未満、好ましくは0.55未満、より好ましくは0.5未満、更に好ましくは0.45未満である。cは、通常0以上、また、通常1未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.45未満、更に好ましくは0.35未満である。dは、通常0.1より大きく、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、また、通常1未満、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。
eは、通常0以上、また、通常1未満、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.15以下である。fは、通常0以上、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上、また、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。gは、通常9以上、好ましくは9.5以上、また、通常11以下、好ましくは10.5以下であり、特に好ましくはg=10である。hは、通常15.3以上、好ましくは16以上、また、通常18.7以下、好ましくは18以下であり、特に好ましくはh=17である。
b’は、通常0以上、また、通常1未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.45未満である。c’は、通常0以上、また、通常1未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.45未満である。d’は、通常0より大きく、好ましくは0.1より大きく、より好ましくは0.2以上、また、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下である。iは、通常0より大きく、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、また、通常0.02以下、好ましくは0.015以下、より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.005以下である。
<結晶構造>
前記蛍光体は、β−アルミナ構造を有することが好ましい。
前記蛍光体の好ましい結晶構造であるβ−アルミナ構造の代表的な物質は、BaMgAl1017である。BaMgAl1017の結晶は六方晶の結晶系をとり、P63/mmcなる空間群をとり、BaOの層がAl23の層とMgAl24の層とでサンドイッチされた層状構造をとる。Eu2+、Sr2+、Ca2+は、広い組成範囲でBa2+の格子位置を置換し得る。Mn2+とZn2+は、広い組成範囲でMg2+の格子位置を置換し得る。Mg2+サイトは4配位の酸素配位構造をとっており、この配位構造が作る結晶場が緑色発光に寄与していると考えられている。
BaMgAl1017のMgをAlに、Baの一部をOに置換して得られるBa0.75Al1117.25のEu付活物質は、青色蛍光体として知られており、BaMgAl1017:Eu蛍光体と類似の発光特性を有し、互いに固溶して固溶体を形成することが知られている。以上の観点から、前記蛍光体の好ましい組成は、上記式[2A]で表わされることになる。
特に、前記蛍光体が上記式[2A]で表わされる組成を有し、且つ、aが0又は1ではない場合、本発明の蛍光体は、Ba(1-b-c-d)SrbCacEudMg(1-e-f)ZneMnfAlghで表わされる項と、Ba(1-b'-c'-d')Srb'Cac'Eud'Al1117.5・Aiで表わされる項とを有することになるが、本発明の蛍光体は、これらの項が均一結晶相をなす固溶体であってもよく、また、これらの項からなる異なる結晶相の混合物であってもよい。
[2−4−2]
また、緑色蛍光体のその他の好ましい具体例として、下記一般式(2B)で表される結晶相を含有するとともに、物体色をL表色系で表わした場合に、
≧90、
≦−20、
≧30、及び
{a/b}≦−0.45
を満たすことを特徴とする化合物が挙げられる。
(M (1−x)IIx)αSiOβ (2B)
(前記一般式(2B)中、Mは、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。MIIは、2価及び3価の原子価を取りうる1種以上の金属元素を表わす。但し、MII全体に対する2価の元素のモル比が0.5以上、1以下である。x、α及びβは各々、
0.01≦x<0.3、
1.5≦α≦2.5、及び、
3.5≦β≦4.5
を満たす数を表わす。)で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(2B)中、Mは、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1以上の元素を表わす。Mとしては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。
中でも、Mは、少なくともBaを含有することが好ましい。この場合、M全体に対するBaのモル比は、通常0.5以上、中でも0.55以上、更には0.6以上、特に0.7以上、特に0.8以上、特に0.9以上、また、通常1未満、中でも0.97以下、更には0.95以下、更には0.93以下の範囲が好ましい。Baのモル比が低過ぎると、発光ピーク波長が長波長側にシフトし発光効率が低下する傾向がある。一方、Baのモル比が高過ぎると、ピーク波長が短波長側にシフトし緑色の色純度が低下する傾向がある。
特に、Mは、少なくともBa及びSrを含有することが好ましい。ここで、M全体に対するBa及びSrのモル比をそれぞれ[Ba]及び[Sr]とすると、[Ba]及び[Sr]の合計に対する[Ba]の割合、即ち、[Ba]/([Ba]+[Sr])で表わされる値が、通常0.5より大きく、中でも0.6以上、更には0.65以上、更には0.7以上、特に0.8以上、特に0.9以上、また、通常1以下、中でも0.9以下、更には0.95以下、更には0.93以下の範囲であることが好ましい。この[Ba]/([Ba]+[Sr])の値が小さ過ぎる(即ち、Baの比率が少な過ぎる)と、得られる蛍光体の発光ピーク波長が長波長側にシフトし、半値幅が増大する傾向があるので好ましくない。一方、この[Ba]/([Ba]+[Sr])の値が大き過ぎる(即ち、Baの比率が多過ぎる)と、発光ピーク波長が短波長側にシフトし緑色の色純度が低下する傾向があるので好ましくない。
また、[Ba]と[Sr]との相対比、即ち、[Ba]/[Sr]で表わされる値が、通常1より大きく、中でも1.2以上、更には1.5以上、特に1.8以上、特に2.5以上、特に4以上、特に10以上、また、通常35以下、中でも20以下、中でも15以下、中でも13以下の範囲であることが好ましい。この[Ba]/[Sr]の値が小さ過ぎる(即ち、Baの比率が少な過ぎる)と、得られる蛍光体の発光ピーク波長が長波長側にシフトし、半値幅が増大する傾向があるので好ましくない。一方、この[Ba]/[Sr]の値が大き過ぎる(即ち、Baの比率が多過ぎる)と、発光ピーク波長が短波長側にシフトし緑色の色純度が低下する傾向があるので好ましくない。
また、前記一般式(2B)において、Mが少なくともSrを含有する場合、Srの一部がCaによって置換されていることが好ましい。この場合、Caによる置換量は、Srの全量に対するCa置換量のモル比率の値で、通常10%以下、中でも5%以下、更には2%以下の範囲であることが好ましい。Caによる置換量の割合が高すぎると、発光効率が低下する傾向がある。
また、Siは、Ge等の他の元素によって一部置換されていてもよい。但し、緑色の発光ピーク強度等の面から、Siが他の元素によって置換されている割合は、できるだけ低い方が好ましい。具体的には、Ge等の他の元素をSiの20モル%以下含んでいてもよく、全てがSiからなることがより好ましい。
前記一般式(2B)中、MIIは、付活元素として挙げられているもので、2価及び3価の原子価を取りうる1種以上の金属元素を表わす。具体例としては、Cr、Mn等の遷移金属元素;Eu、Sm、Tm、Yb等の希土類元素;などが挙げられる。MIIとしては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。中でも、MIIとしてはSm、Eu、Ybが好ましく、Euが特に好ましい。また、MII全体(2価の元素及び3価の元素の合計)に対する2価の元素のモル比は、通常0.5以上、好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上、また、通常1未満であり、1に近い程好ましい。MII全体に対する2価の元素のモル比が低過ぎると、発光効率が低下するとなる傾向がある。2価の元素も3価の元素も結晶格子内に取り込まれるが、3価の元素は結晶中で発光エネルギーを吸収してしまうと考えられるからである。
前記一般式(2B)中、xは、MIIのモル数を表わす数であり、具体的には、通常0.01以上、好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上、特に好ましくは0.05以上、また、通常0.3未満、好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下の数を表わす。xの値が小さすぎると、発光ピーク強度が小さくなる傾向がある。一方、xの値が大きすぎると、発光ピーク強度が低下する傾向がある。
前記一般式(2B)中、αは、2に近いことが好ましいが、通常1.5以上、好ましくは1.8以上、更に好ましくは1.9以上、また、通常2.5以下、好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.1以下の範囲の数を表わす。αの値が小さすぎても大きすぎても、異相結晶が現れ、発光特性が低下する傾向がある。
前記一般式(2B)中、βは、通常3.5以上、好ましくは3.8以上、更に好ましくは3.9以上、また、通常4.5以下、好ましくは4.4以下、更に好ましくは4.1以下の範囲の数を表わす。βの値が小さすぎても大きすぎても、異相結晶が現れ、発光特性が低下する傾向がある。
本発明で用いられる緑色蛍光体の好ましい組成の具体例を下記の表1に挙げるが、本発明において緑色蛍光体の組成は以下の例示に制限されるものではない。
Figure 2009065145
また、前記一般式(2A)で表される蛍光体のうちでも、[Ba]と[Sr]との相対比、[Ba]及び[Sr]の合計に対する[Ba]の割合、MIIのモル数を表わす数xが以下の範囲にあるものは、発光ピーク波長が比較的短く、半値幅が狭く、かつ輝度が高く、色再現範囲が広い画像表示装置を実現できるため、好ましく用いられる場合がある。
[Ba]と[Sr]との相対比、即ち、[Ba]/[Sr]で表わされる値が、8.5以上、中でも9以上、特に10以上、また、100以下、中でも50以下、特に25以下の範囲のものが、特に好ましい。この[Ba]/[Sr]の値が小さ過ぎる(即ち、Baの比率が少な過ぎる)と、蛍光体の発光ピーク波長が長波長側にシフトし、半値幅が増大する傾向がある。一方、この[Ba]/[Sr]の値が大き過ぎる(即ち、Baの比率が多過ぎる)と、蛍光体の発光ピーク波長が短波長側にシフトする傾向がある。
また、[Ba]及び[Sr]の合計に対する[Ba]の割合、即ち、[Ba]/([Ba]+[Sr])で表わされる値が、0.5より大きく、中でも0.8以上、更には0.9以上、また、1未満、中でも0.98以下、特に0.97以下の範囲であることが好ましい。この[Ba]/([Ba]+[Sr])の値が小さ過ぎる(即ち、Baの比率が少な過ぎる)と、蛍光体の発光ピーク波長が長波長側にシフトし、半値幅が増大する傾向がある。一方、この[Ba]/([Ba]+[Sr])の値が大き過ぎる(即ち、Baの比率が多過ぎる)と、蛍光体の発光ピーク波長が短波長側にシフトする傾向がある。
さらに、xは、0.04以上、更に好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.06以上、また、0.3以下、好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.15以下の数を表わす。xの値が小さ過ぎると、発光ピーク強度が小さくなる傾向がある。一方、xの値が大き過ぎると、発光ピーク強度が低下する傾向がある。
本発明で好ましく用いることのできる緑色蛍光体は、前述したように、その物体色をL表色系で表わした場合に、a値及びb値が以下の式を満たす。
≧90
≦ −20
≧ 30
{a/b} ≦ −0.45
この蛍光体は、上記条件を満たす物体色を有することにより、バックライトに利用した場合に、高発光効率のバックライトを実現することが可能となる。
具体的に、上記式において、aの上限値は、通常−20以下、好ましくは−22以下、更に好ましくは−24以下である。aが大き過ぎる蛍光体は、全光束が小さくなる傾向にあり好ましくない。また、輝度を高くする観点からも、aの値は小さいことが望ましい。
また、bは、通常30以上、好ましくは33以上の範囲である。bが小さ過ぎると、輝度が低下する傾向があり好ましくない。一方、bの上限は、理論上は200以下であるが、通常120以下であることが好ましい。bが大き過ぎると、発光波長が長波長側にシフトし、輝度が低下する傾向があり、好ましくない。
また、aとbとの比、即ちa/bで表わされる値は、通常−0.45以下、好ましくは−0.5以下、更に好ましくは−0.55以下の範囲である。a/bの値が大き過ぎると、物体色が黄色味を帯び、輝度も低下する傾向があり好ましくない。
また、Lは、通常90以上、好ましくは95以上である。Lの値が小さ過ぎると、発光が弱くなる傾向があるので好ましくない。一方、Lの上限値は、一般的には照射光で発光しない物体を扱うので、100を超えることは無いが、本発明にかかる前記蛍光体は、照射光によって励起されて生じた発光が反射光に重畳されるので、Lの値が100を超える場合もある。具体的には、本発明の蛍光体のLの上限値は、通常115以下である。
なお、本発明にかかる前記蛍光体の物体色の測定は、例えば、市販の物体色測定装置(例えば、ミノルタ社製CR−300)を使用することにより行なうことが可能である。
[2−4−3]
また、緑色蛍光体の他の具体例として、下記一般式(2C)で表される化合物が挙げられる。
M1xBayM2zuvw (2B)
(但し、一般式(2C)中、M1はCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の付活元素を示し、M2はSr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種類の二価の金属元素を示し、Lは周期律表第4族又は14族に属する金属元素から選ばれる金属元素を示し、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ以下の範囲の数値である。
0.00001≦x≦3
0≦y≦2.99999
2.6≦x+y+z≦3
0<u≦11
6<v≦25
0<w≦17)
上記一般式(2C)において、M1は付活元素である。
M1としては、Eu以外にCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の遷移金属元素又は希土類元素が挙げられる。なお、M1としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。中でも、Euの他、希土類元素であるCe、Sm、Tm又はYbが好ましい元素として挙げられる。さらにその中でも、上記M1としては、発光量子効率の点で、少なくともEu又はCeを含有するものであることが好ましい。また、その中でも特に、発光ピーク波長の点で、少なくともEuを含有するものがより好ましく、Euのみを用いることが特に好ましい。
該付活元素M1は、本発明の蛍光体中において、2価のカチオン及び/又は3価のカチオンとして存在することになる。この際、付活元素M1は、2価のカチオンの存在割合が高い方が好ましい。M1がEuである場合、具体的には、全Eu量に対するEu2+の割合は、通常20モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
なお、本発明の蛍光体に含まれる全Eu中のEu2+の割合は、例えば、X線吸収微細構造(X−ray Absorption Fine Structure)の測定によって調べることができる。すなわち、Eu原子のL3吸収端を測定すると、Eu2+とEu3+が別々の吸収ピークを示すので、その面積から比率を定量できる。また、本発明の蛍光体に含まれる全Eu中のEu2+の割合は、電子スピン共鳴(ESR)の測定によっても知ることができる。
また、上記一般式(2C)において、xは0.00001≦x≦3の範囲の数値である。このうちxは、好ましくは0.03以上であり、より好ましくは0.06以上、特に好ましくは0.12以上である。一方、付活元素M1の含有割合が大きすぎると濃度消光が生じる場合もあるため、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.45以下である。
また、本発明の蛍光体は、BSON相結晶構造を維持しつつ、Baの位置をSr、Ca、Mg及び/又はZnで置換することができる。よって、上記一般式(2C)において、M2は、Sr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種の二価の金属元素を表わす。この際、M2は、好ましくはSr、Ca及び/又はZnであり、より好ましくはSr及び/又はCaであり、さらに好ましくはSrである。また、Ba及びM2は、さらにその一部をこれらのイオンで置換してもよいものである。
なお、上記M2としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。
上記Caイオンによる置換では、Ba及びCaの合計量に対するCaの存在割合が、40モル%以下であることが好ましい。これよりもCa量が増えると発光波長の長波長化、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
上記Srイオンによる置換では、Ba及びSrの合計量に対するSrの存在割合が、50モル%以下であることが好ましい。これよりもSr量が増えると発光波長の長波長化、及び、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
上記Znイオンによる置換では、Ba及びZnの合計量に対するZnの存在割合が、60モル%以下であることが好ましい。これよりもZn量が増えると発光波長の長波長化、及び、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
したがって、上記一般式(2C)において、zの量は、置換する金属元素M2の種類とyの量とに応じて設定すればよい。具体的には、上記一般式(2C)において、上記yとしては、0≦y≦2.9999の範囲の数値である。また、一般式(2C)において、x+y+zは2.6≦x+y+z≦3である。
本発明の蛍光体においては、酸素あるいは窒素と共に、BaやM2元素が欠損することがある。このため、上記一般式(2C)においては、x+y+zの値が3未満となることがあり、x+y+zは、通常、2.6≦x+y+z≦3の値を取りうるが、理想的にはx+y+z=3である。
また、本発明の蛍光体は、結晶構造の安定性の観点から、Baを含有することが好ましい。したがって、上記一般式(2C)においてyは、0より大きいことが好ましく、より好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.2以上であり、また、不活剤元素の含有割合との関係から2.99999より小さいことが好ましく、より好ましくは2.99以下、さらに好ましくは2.98以下、特に好ましくは2.95以下である。
上記一般式(2C)において、Lは、Ti、Zr、Hf等の周期律表第4族の金属元素、又は、Si、Ge等の周期律表第14族の金属元素から選ばれる金属元素を表わす。なお、Lは、これらの金属元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。このうちLとして好ましくはTi、Zr、Hf、Si又はGeであり、より好ましくはSi又はGeであり、特に好ましくはSiである。ここで、上記Lは、蛍光体の結晶の電荷バランスの点で当該蛍光体の性能に悪影響を与えない限りにおいて、その一部にB、Al、Ga等の3価のカチオンとなりうる金属元素が混入していても良い。その混入量としては、Lに対して、通常10原子%以下、好ましくは5原子%以下である。
また、上記一般式(2C)において、uは、通常11以下、好ましくは9以下、より好ましくは7以下であり、また、0より大きく、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の数値である。
Oイオン及びNイオンの量は、一般式(2C)において数値v及びwで表される。具体的には、上記一般式(2C)において、vは通常6より大きい数値であり、好ましくは7より大きく、より好ましくは8より大きく、さらに好ましくは9より大きく、特に好ましくは11より大きい数値であり、また、通常25以下であり、好ましくは20より小さく、より好ましくは15より小さく、更に好ましくは13より小さい数値である。
また、本発明の蛍光体は酸窒化物であるので、Nは必須成分である。このため、上記一般式(2C)において、wは、0より大きい数値である。また、wは通常17以下の数値であり、好ましくは10より小さく、より好ましくは4より小さく、更に好ましくは2.4より小さい数値である。
したがって、上記の観点から、上記一般式(2C)においては、u、v及びwが、それぞれ5≦u≦7、9<v<15、0<w<4であることが特に好ましい。これにより、発光ピーク強度を高めることができる。
また、本発明の蛍光体は、(M1+Ba+M2)やLといった金属元素に対する酸素原子の割合が窒素原子の割合より多いことが好ましく、酸素原子の量に対する窒素原子の量(N/O)としては、70モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%未満である。また、下限としては、通常0モル%より大きく、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上である。
本発明の蛍光体の好ましい組成の具体例を以下に挙げるが、本発明の蛍光体の組成は以下の例示に制限されるものではない。
なお、下記の例示で、括弧内は、カンマ(,)で区切られた元素のいずれか1以上を含む組成であることを示す。例えば、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6122:(Eu,Ce,Mn)とは、Ca、SrおよびBaよりなる群から選ばれる1以上の原子、SiおよびGeよりなる群から選ばれる1以上の原子、O、ならびにNからなり、さらにEu、CeおよびMnよりなる群から選ばれる1以上の原子で付活された蛍光体を示す。
本発明で用いられる緑色蛍光体の好ましい具体例としては、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6122:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)694:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)638:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)7128/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)81214/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)8126:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)28/31222/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)29/31226/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6.5132:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)7142:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)8162:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)9182:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)10202:(Eu,Ce,Mn)又は(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)11222:(Eu,Ce,Mn)が挙げられ、より好ましい具体例としては、Ba3Si6122:Eu、Ba3Si694:Eu、Ba3Si638:Eu、Ba3Si7128/3:Eu、Ba3Si81214/3:Eu、Ba3Si8126:Eu、Ba3Si28/31222/3:Eu、Ba3Si29/31226/3:Eu、Ba3Si6.5132:Eu、Ba3Si7142:Eu、Ba3Si8162:Eu、Ba3Si9182:Eu、Ba3Si10202:Eu、Ba3Si11222:Eu、Ba3Si6122:Eu,Mn、Ba3Si694:Eu,Mn、Ba3Si638:Eu,Mn、Ba3Si7128/3:Eu,Mn、Ba3Si81214/3:Eu,Mn、Ba3Si8126:Eu,Mn、Ba3Si28/31222/3:Eu,Mn、Ba3Si29/31226/3:Eu,Mn、Ba3Si6.5132:Eu,Mn、Ba3Si7142:Eu,Mn、Ba3Si8162:Eu,Mn、Ba3Si9182:Eu,Mn、Ba3Si10202:Eu,Mn、Ba3Si11222:Eu,Mn、Ba3Si6122:Ce、Ba3Si694:Ce、Ba3Si638:Ce、Ba3Si7128/3:Ce、Ba3Si81214/3:Ce、Ba3Si8126:Ce、Ba3Si28/31222/3:Ce、Ba3Si29/31226/3:Ce、Ba3Si6.5132:Ce、Ba3Si7142:Ce、Ba3Si8162:Ce、Ba3Si9182:Ce、Ba3Si10202:Ce、Ba3Si11222:Ce、などが挙げられる。
[2−4−4]
また、緑色蛍光体の他の具体例としては、例えば、ユーロピウムで付活されたMSi222(但し、Mは1種又は2種以上のアルカリ土類金属)、平成17年3月23日独立行政法人物質・材料研究機構により発表された筑波研究学園都市記者会、文部科学記者会、科学記者会資料「白色LED用緑色蛍光体の開発に成功」に記載のユーロピウムで付活されたβ−SiAlON等が挙げられる。
[2−4−5]
また、緑色蛍光体の他の具体例としては、例えば、例えば、化学式(Sr1-m-nCaBa)Si:Eu(m=0.002〜0.2、n=0.0〜0.25、o=0.0〜0.25、x=1.5〜2.5、y=1.5〜2.5、z=1.5〜2.5)を有する、紫外光から青色の範囲の波長の光によって励起可能なEu2+活性Sr−SiONが挙げられる。
上記蛍光体の具体例としては、例えばEP1413618号公報及び特表2005−530917号公報、並びに特開2004−134805号公報等に記載される公知の蛍光体が挙げられる。
[2−5]青色蛍光体
本発明の半導体発光装置に使用される青色蛍光体としては、430nm≦λn≦470nmの波長範囲に発光ピーク波長を有する様々な蛍光体を使用することが可能である。そのような色純度の高い画像を実現するための青色蛍光体としては、ユーロピウムで付活された蛍光体が好ましい。ユーロピウムで付活された蛍光体としては、ハロリン酸蛍光体、アルミン酸塩蛍光体が好ましい。
[2−5−1]ハロリン酸塩蛍光体
本発明に用いられる好ましい蛍光体は、下記式(3A)に表わされる化学組成を有し、かつ、395nmの光で励起した場合に外部量子効率が70%以上であることを特徴とする、蛍光体である。
以下、本発明に用いることのできるハロリン酸塩蛍光体の組成、及びその特性について詳述する。
本発明に好ましく用いられるハロリン酸塩蛍光体は、下記式(3A)で表わされる化学組成を有することを特徴とする。その具体例としては、Sr10(PO46Cl2の母体結晶組成を有する蛍光体のSrサイトの一部を、特定の2価の金属元素及び/又はEuで置換し、さらに、Clサイトの一部を他のハロゲン元素で置換した構造を挙げることができる。
(Sr10−x−y−zEuMn)(PO(Cl1−a (3A)
(前記式(3A)において、
Mは、Ba、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、Qは、F、Br、及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、x、y、z、及びaは、各々、
0≦x<10、
0.05≦y≦2、
0≦z≦3、
0≦a≦1、
x+y+z≦10、
を満たす数を表わす。)
前記式(3A)中、Mは、Ba、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。上記Mとしては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。中でも、Caが好ましい。
前記式(3A)中、xは、Srサイトに対するMの置換量を表わす数値である。該数値は、通常0以上、また、通常10以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下である。照明用途に用いるときなど、発光スペクトルの半値幅が広く、輝度が高い蛍光体を得たい場合は、xは、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、また、通常10以下である。一方、画像表示装置のバックライト用途に用いる場合は、発光スペクトルの半値幅が狭いことが好ましいため、xは、好ましくは0.3以下、更に好ましくは0である。
前記式(3A)中、yは、Srサイトに対するEuの置換量を表わす数値である。該数値の下限としては、通常0.05以上、好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.3以上、中でも好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上である。ここで、Euの置換量が少ないと十分な発光ピーク強度が得られない可能性がある。一方、Euの置換量が多いと発光ピーク強度が高くなる反面、温度特性が低下する可能性があるため、Euの置換量の上限としては、通常2以下、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下である。このように、Euの置換量を調整することにより、発光ピーク強度を十分に高く保ちながらも高い温度特性を得ることができる。さらに、後述の本発明の蛍光体の製造方法を用いると、Euの置換量が少なめであっても高い発光ピーク強度を得ることができるため、発光ピーク強度も温度特性も優れた蛍光体を得ることができるので好ましい。
前記式(3A)中、zは、Srサイトに対するMnの置換量を表わす数値である。該数値は、通常0以上、また、通常3以下である。特に、青色発光の蛍光体を得たい場合は、Z=0であることがより好ましい。
なお、x、y、及びzの関係は、x+y+z≦10であることが好ましいが、x+y+z<10、であることが更に好ましい。これは、即ち、式(3A)で表わされる化合物にSrが含まれていた方が好ましいことを意味する。
前記式(3A)中、Qは、F、Br、及びIからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。上記Qとしては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
前記式(3A)中、aは、Clサイトに対するQの置換量を表わす数値である。該数値は、通常0以上また、通常1以下、好ましくは0.1以下である。この範囲を上回ると発光ピーク波長がシフトする可能性がある。特に青色発光の蛍光体を得たい場合はa=0であることが好ましい。
上述したように、前記式(3A)においてSrサイトには、Ba、Ca、Mg、Zn、Mn等の2価の金属元素で置換することができ、またClサイトには、F、Br、I等で置換することが出来る。なお、前記のSrサイトにはアルカリ土類金属が位置することが多いため、当該サイトはアルカリ土類金属サイトと呼ぶこともできる。
さらに、少量であれば、前述した元素以外の元素を置換していてもよく、例えば、Srサイトに、NaやLa等の価数の異なる金属元素が置換していてもよい。
そのため、上記の蛍光体は、多くの種類の化学組成を有することができる。
上記のハロリン酸塩蛍光体の好ましい組成の具体例を以下に挙げるが、ハロリン酸塩蛍光体の組成は以下の例示に制限されるものではない。
例えば、(Sr9.2Eu0.8)(PO46l2、(Sr9Eu)(PO46l2等が挙げられる。
また、特定組成蛍光体は、前記式(3A)に記載された元素、即ちSr、M、Eu、Mn、PO4、Cl、及びQ以外に、更に、1価の元素、2価の元素、3価の元素、−1価の元素及び−3価の元素からなる群から選ばれる元素(これを以下適宜「微量元素」という)を含有していてもよい。
中でも、微量元素としては、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、リン(P)、窒素(N)、希土類元素、及びハロゲン元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有していることが好ましい。
上記の微量元素の含有量の合計は、通常1ppm以上、好ましくは3ppm以上、更に好ましくは5ppm以上、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、更に好ましくは30ppm以下である。特定組成蛍光体が複数種の微量元素を含有する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
[2−5−2]アルミン酸塩蛍光体
本発明にかかるアルミン酸塩蛍光体の具体例としては、下記一般式[3B]の化学組成を有する結晶相を含むもの(以下、一般式[3B]の結晶相と略すことがある)から選ぶのが好ましい。なお、該蛍光体には、性能を損なわない範囲で他の成分、例えば、光散乱物質等を含んでいてもよいため、蛍光体中に含まれる前記結晶相の割合は、10wt%以上、好ましくは50wt%以上、より好ましくは80wt%以上である。
1 (a-ax)1’ axEub2 (c-cy)2’ cy3 (d-dz)3’ dze 式[3B]
(式[3B]において、M1は、Ba、Sr、およびCaからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表し、M1'は、一価、又は、六配位時二価の状態で半径が0.92Å以上の二価の金属元素(但し、Ba、Sr、Ca、Euは除く)からなり、M2は、MgおよびZnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、M2’は、六配位時二価の状態で半径が0.92Å未満の二価の金属元素(但し、Mg、Znは除く)を表し、M3は、Al、Ga、およびScからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、M3’は、三価の金属元素(但し、Al、Ga、Scは除く)を表し、かつ、bは、0.11≦b≦0.99、aは、0.9≦(a+b)≦1.1、cは、0.9≦c≦1.1、dは、9≦d≦11、eは、15.3≦e≦18.7、0≦x<0.2、0≦y<0.2、0≦z<0.2を満足する数である。)
ここで、M1サイトには比較的大きな二価カチオン(M1’)が置換し得て、M2サイトには比較的小さな二価カチオン(M2’)が置換し得る。これら、同じ2価の金属元素にすると、結晶構造を保持しやすいので好ましい。その境界の大きさは、例えばBaサイトやMgサイトにおける酸素の配位個数であるところの6という配位数の場合のカチオン半径でいうと、0.92Åである。Baサイトには、更に、少量の1価カチオンも置換しうる。Alサイトには三価カチオン(M3’)が置換しうる。同じ3価の金属元素にすると、結晶構造を保持しやすいので好ましい。これらの点から、上記M1、M2及びM3が特定されている。
第2の発光体が、上記一般式[3B]の結晶相を含有する本発明の発光装置自体新規で、従来の発光装置より優れた発光ピーク強度を有する。但し、下記1及び/または2の条件を満たす結晶相を有する蛍光体を含有する第2の発光体は、これに含有される結晶相として、上記一般式[3B]の結晶相の中から選択することで得ることが出来る傾向にある。
1.350〜415nmの励起波長で最大発光ピーク強度となるEu濃度が、254nmの励起波長で最大発光ピーク強度となるEu濃度よりも高い結晶相であって、254nmの励起波長で最大発光ピーク強度となる濃度の1.1倍以上、かつ、400nmで最大発光ピーク強度となる濃度の0.5倍〜9倍の濃度のEuで付活されている結晶相を有する蛍光体。
2.結晶母体中のEu濃度から計算されるEu−Eu間平均距離が4Å以上11Å以下である結晶相を有する蛍光体。
以下、一般式[3B]の結晶相について説明する。式[3B]中の元素Mは、Ba、Sr、およびCaからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Mサイトに置換するカチオンM1’は、一価または比較的イオン半径の大きい二価の金属元素であり、一価、又は、六配位時二価の状態で半径が0.92Å以上の二価の金属元素(但し、Ba、Sr、Ca、Euは除く)を表し、具体的にはK、Sm、Pb、Naなどが挙げられる。なお、Mサイト及びMサイトにおける酸素の配位数が六なので、本発明においては、六配位時の二価の金属元素のカチオン半径を用いて、M1’とM2’とを区別している。
発光ピーク強度等の面から、元素MとM1’の合計に占めるBa、Sr、およびCaの合計の割合を80mol%以上とすることが好ましく、元素MとM1’の合計に占めるBaの割合を30mol%以上含み、かつ、Sr又はCaの割合を20mol%以上とすることがさらに好ましい。
前記式[3B]中のM2は、MgおよびZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
2サイトに置換するカチオンM2’は、比較的小さい二価カチオンであり、六配位時二価の状態で半径が0.92Å未満の二価の金属元素(但し、Mg、Znは除く)を表し、具体的にはMn、V、Zrなどが挙げられる。
発光ピーク強度等の面から、元素M2とM2’の合計に占めるMgおよびZnの合計の割合を80mol%以上とすることが好ましい。
前記式[3B]中のM3は、Al、Ga、およびScからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素である。
3’は、三価の金属元素(但し、Al、Ga、Scは除く)を表し、具体的にはY、In、Luなどが挙げられる。
発光ピーク強度等の面から、元素M3とM3’の合計に占めるAlの割合を80mol%以上とすることが好ましく、M3をAlとするのがより好ましい。
これら2価および3価の金属元素及び発光中心Eu2+の焼成時の固体内拡散による複合酸化物の結晶化を助ける意味で、元素M1’およびM2’中の金属元素として1価、3価、4価、5価、又は6価等の金属元素を、元素M3’中の金属元素として1価、2価、4価、5価、又は6価等の金属元素を、本発明の効果を損なわない範囲で、少量導入しても良い。一つの例を挙げると、BaMgAl1017:Eu蛍光体中のBa2+の一部を等モルのLi+とGa3+で電荷補償効果を保持しながら置換することができる。発光波長や発光ピーク強度を調節する意味で、Mn等の増感剤となりうる金属元素を少量置換してもよい。
前記式[3B]中のEuのモル比bは、発光ピーク強度等の面から、0.11≦b≦0.99を満足する数であり、0.15≦b≦0.85であることがより好ましい。発光中心イオンEu2+の含有量が前記範囲未満では、発光ピーク強度が小さくなる傾向があり、一方、前記範囲超過でも、濃度消光と呼ばれる現象により、やはり発光ピーク強度が減少する傾向がある。
aは、(a+b)≧0.9、好ましくは(a+b)≧0.95、より好ましくは(a+b)≧0.98であり、(a+b)≦1.1、好ましくは(a+b)≦1.05、より好ましくは(a+b)≦1.02を満足する数である。
cは、c≧0.9、c≦1.1を満足する数である。dは、d≧9、d≦11を満足する数である。eは、e≧15.3、e≦18.7を満足する数である。
xは、x≧0であり、x<0.2、好ましくはx≦0.1、より好ましくはx≦0.05を満足する数である。特に好ましいのはx=0である。yは、y≧0であり、y<0.2、好ましくはy≦0.1、より好ましくはy≦0.05を満足する数である。特に好ましいのはy=0である。xおよびyがいずれも0である組合せが最も好ましい。zは、z≧0であり、z<0.2、好ましくはz≦0.1、より好ましくはz≦0.05を満足する数である。特に好ましくいのはz=0である。
前記式[3B]の基本結晶M1 aEub2 c3 deにおいては、カチオン欠損や酸素欠損が多少生じていても本目的の蛍光性能に大きな影響がないので、上記(a+b)、c、d、eの不等式の範囲で使用することができる。
一般にBaMgAl1017の結晶は、六方晶構造をとり、その空間群はP63/mmcである。
本発明における結晶構造は、通常上記に示したBaMgAl1017構造である。(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Al1017において、Ba2+、Sr2+、またはCa2+は、Al3+とO2-からなるスピネルブロックにサンドイッチされた中間層に位置し、Mg2+又はZn2+は、そのAl3+を置換した位置にある。Ba2+サイトとMg2+サイトは6個の酸素配位を受けている。Ba2+サイトに対しBa、Sr、およびCa、その他の二価金属元素は広い組成範囲でお互いに固溶し合える。少量であれば、このような形でBa2+サイトにBa,Sr,Ca以外の二価金属を置換しても、発光ピーク強度に悪い影響を与えないので、置換することができる。Al3+サイトに対しMgとZn、その他の金属元素は広い組成範囲でお互いに固溶し合える。少量であれば、このような形でAl3+サイトにMg、Zn以外の金属元素を置換しても、発光ピーク強度に悪い影響を与えないので、置換することができる。Al3+サイトに対しGa、B等の三価金属は、固有の組成範囲でお互いに固溶し合える。少量であれば、このような形でAl3+サイトにGa,B等の三価金属を置換しても、発光ピーク強度に悪い影響を与えないので、置換することができる。本発明においては、これら置換体を母体とし、Eu2+を付活剤とした物質のうち、Eu2+の量を非常に大きくした結晶相に対応する。
[2−6]各色蛍光体の好ましい組み合わせ
以上、赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体について説明したが、表2に、上述した各色蛍光体の好ましい組み合わせを例示する。
Figure 2009065145
また、表2に示した組み合わせの中でもより好ましい組み合わせを表3に示す。
Figure 2009065145
さらに、特に好ましい組み合わせを表4に示す。
Figure 2009065145
表2〜4に示す各色蛍光体の中でも、紫外領域から近紫外領域の光で励起され、それぞれ赤色領域、緑色領域および青色領域に狭帯域の発光を示し、かつ温度変化による発光ピーク強度の変化が少ないという優れた温度特性を有する蛍光体を選択して用いることが好ましい。
よって、紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子にこれら各色蛍光体を含む3種以上の蛍光体を組み合わせることで、発光効率を従来よりも高く設定しうる、本発明のカラー画像表示装置用のバックライトに用いる光源に適した半導体発光装置とすることができる。
半導体発光装置に封止材を用いる場合は、紫外領域から近紫外領域の発光波長に対する耐劣化性および耐熱性の観点から、封止材には前述したシリコーン系材料を用いることが好ましく、その中でも、縮合型シリコーン系材料を用いるのがより好ましい。
また、上記の半導体発光装置の発光波長に最適なカラーフィルターを組み合わせることにより、色純度の高い画像表示を実現できる。すなわち、狭帯域で発光ピーク強度が高く、温度特性に優れた赤色蛍光体、緑色蛍光体および青色蛍光体を組み合わせた上記の半導体発光装置をバックライト用の光源に用いることで、高いNTSC比においても従来よりも光利用効率が高く、駆動により発熱する固体発光素子を用いるため半導体発光装置が高温になっても発光ピーク強度が安定し、かつ、色ずれも少ない、優れたカラー画像表示装置を得ることができる。
[3]カラーフィルター
本発明のカラー画像表示装置に用いられるカラーフィルターは特に限定はないが、例えば下記のものを用いることができる。
カラーフィルターは、染色法、印刷法、電着法、顔料分散法などにより、ガラス等の透明基板上に赤、緑、青等の微細な画素を形成したものである。これらの画素間からの光の漏れを遮断し、より高品位な画像を得るために、多くの場合、画素間にブラックマトリクスと呼ばれる遮光パターンが設けられる。
染色法によるカラーフィルターは、ゼラチンやポリビニルアルコール等に感光剤として重クロム酸塩を混合した感光性樹脂により画像を形成した後、染色して製造される。印刷法によるカラーフィルターは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、反転印刷法、ソフトリソグラフィー法(imprint Printing)等の方法で、熱硬化又は光硬化インキをガラス等の透明基板に転写して製造される。電着法では、顔料又は染料を含んだ浴に電極を設けたガラス等の透明基板を浸し、電気泳動によりカラーフィルターを形成させる。顔料分散法によるカラーフィルターは感光性樹脂に顔料等の色材を分散又は溶解した組成物をガラス等の透明基板上に塗布して塗膜を形成し、これにフォトマスクを介して放射線照射による露光を行い、未露光部を現像処理により除去してパターンを形成するものである。これらの方法の他にも色材を分散又は溶解したポリイミド系樹脂組成物を塗布しエッチング法により画素画像を形成する方法、色材を含んでなる樹脂組成物を塗布したフィルムを透明基板に張り付けて剥離し画像露光、現像して画素画像を形成する方法、インクジェットプリンターにより画素画像像を形成する方法等によっても製造できる。
近年の液晶表示素子用カラーフィルターの製造では、生産性が高くかつ微細加工性に優れる点から、顔料分散法が主流となっているが、本発明に係るカラーフィルターは上記のいずれの製造方法においても適用可能である。
ブラックマトリクスの形成方法としては、ガラス等の透明基板上にクロム及び/又は酸化クロムの(単層又は積層)膜をスパッタリング等の方法で全面に形成させた後、カラー画素の部分のみエッチングにより除去する方法、遮光成分を分散又は溶解させた感光性組成物をガラス等の透明基板上に塗布して塗膜を形成し、これにフォトマスクを介して放射線照射による露光を行い、未露光部を現像処理により除去してパターンを形成する方法、などがある。
[3−1]カラーフィルターの製造方法
以下、本発明に係るカラーフィルターの製造方法の具体例を示す。本発明に係るカラーフィルターは、ブラックマトリクスが設けられた透明基板上に通常、赤、緑、青の画素画像を形成することにより製造することができる。透明基板への各色画素の形成に際しては、基本的には、バックライトの発光スペクトルの赤領域、青領域および緑領域のピーク波長を最もよく透過するように、顔料、膜厚を最適化する。より詳しくは、白色点、バックライトのスペクトルの色度指標、要求するNTSC比をカラーマッチングシステムで計算し、最適な顔料、膜厚を設定する。
透明基板の材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性プラスチックシート、あるいは各種ガラス板等が挙げられる。この中でも、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチックが好ましい。
透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、予めコロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜処理等を行っておいても良い。
ブラックマトリクスは、金属薄膜又はブラックマトリクス用顔料分散液を利用して、透明基板上に形成される。
金属薄膜を利用したブラックマトリクスは、例えば、クロム単層又はクロムと酸化クロムの2層により形成される。この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。続いてその上に感光性被膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、感光性被膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、該薄膜をエッチング処理しブラックマトリクスを形成する。
ブラックマトリクス用顔料分散液を利用する場合は、色材として黒色色材を含有するカラーフィルター用組成物を使用してブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等の黒色色材単独もしくは複数の使用、又は、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤、緑、青色等の混合による黒色色材を含有するカラーフィルター用組成物を使用し、下記赤、緑、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成する。
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤、緑、青のうち1色の色材を含有する前述のカラーフィルター用組成物を塗布して乾燥した後、この塗膜の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化あるいは光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作製する。この操作を赤、緑、青の3色のカラーフィルター用組成物について各々行い、カラーフィルター画像を形成する。
カラーフィルター用組成物の塗布は、スピナー、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置により行うことができる。
塗布後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行えば良い。乾燥温度は、高温なほど透明基板に対する接着性が向上するが、高すぎると光重合開始系が分解し、熱重合を誘発して現像不良を起こしやすいため、通常50〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。また乾燥時間は、通常10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分間の範囲である。また、これらの熱による乾燥に先立って、減圧による乾燥方法を適用することも可能である。
乾燥後の塗膜の膜厚は、通常0.5〜3.5μm、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲である。膜厚が厚すぎると膜厚のばらつきが大きくなりやすく、薄すぎると顔料濃度が高くなり、画素形成が難しくなる。
本発明においては、バックライトの光利用効率が特に優れているため、カラーフィルターの薄膜化が実現可能である。カラーフィルターの薄膜化により、製造工程の短時間化、簡略化が図られ、生産性向上、低価格化へつながり、さらに、表示パネルとして動作させたときバックライトの消費電力を節約することも可能になる。また、薄型の画像表示装置を実現することができるため、デバイスそのものに薄型が要求される携帯電話などに特に好適である。
なお、用いるカラーフィルター用組成物が、バインダ樹脂とエチレン性化合物とを併用しており、かつバインダ樹脂が、側鎖にエチレン性二重結合とカルボキシル基を有するアクリル系樹脂である場合には、このものは非常に高感度、高解像力であるため、ポリビニルアルコール等の酸素遮断層を設けることなしに露光、現像して画像を形成することが可能であり好ましい。
画像露光に適用し得る露光光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が用いられる。特定の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
このような光源で画像露光を行った後、有機溶剤、又は界面活性剤とアルカリ剤を含有する水溶液を用いて現像を行うことにより、基板上に画像を形成することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、染料又は顔料を含有することができる。
現像処理方法については特に制限はないが、通常10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法が用いられる。
現像に用いるアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機のアルカリ剤、あるいはトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の有機アミン類が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。
有機溶剤は、単独で用いられる場合及び水溶液と併用される場合ともに、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が使用可能である。
[3−2]カラーフィルター用組成物
本願発明のカラー画像表示装置に用いられるカラーフィルター用組成物(レジスト)は特に限定はないが、例えば下記のものを用いることができる。
以下に、カラーフィルターを製造するための原料につき、近年主流である顔料分散法を例示して説明する。
顔料分散法においては上述したように感光性樹脂に顔料等の色材を分散した組成物(以下「カラーフィルター用組成物」と呼ぶ)を用いる。このカラーフィルター用組成物は、一般に、構成成分として(a)バインダ樹脂及び/又は(b)単量体、(c)色材、(d)その他の成分を、溶媒に溶解又は分散してなる、カラーフィルター用の着色組成物である。
以下に各構成成分について詳細に説明する。なお、以下において、「(メタ)アクリル」「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロ」はそれぞれ「アクリル又はメタクリル」「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロ又はメタクリロ」を示す。
(a)バインダ樹脂
バインダ樹脂を単独で使用する場合は、目的とする画像の形成性や性能、採用したい製造方法等を考慮し、それに適したものを適宜選択する。バインダ樹脂を後述の単量体と併用する場合は、カラーフィルター用組成物の改質、光硬化後の物性改善のためにバインダ樹脂を添加することとなる。従ってこの場合は、相溶性、皮膜形成性、現像性、接着性等の改善目的に応じて、バインダ樹脂を適宜選択することになる。
通常用いられるバインダ樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独もしくは共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール又はポリビニルブチラール等が挙げられる。
これらのバインダ樹脂の中で、好ましいのは、側鎖又は主鎖にカルボキシル基又はフェノール性水酸基を含有するものである。これらの官能基を有する樹脂を使用すれば、アルカリ溶液での現像が可能となる。中でも好ましいのは、高アルカリ現像性である、カルボキシル基を有する樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂等である。
特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体(本明細書ではこれらを「アクリル系樹脂」という)である。即ち、このアクリル系樹脂は、現像性、透明性に優れ、かつ、様々なモノマーを選択して種々の共重合体を得ることが可能なため、性能及び製造方法を制御しやすい点において好ましい。
アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はコハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステルなどの、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた化合物を必須成分とし、必要に応じてスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和基含有カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル;(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである化合物;アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド,N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル等、各種モノマーを共重合させることにより得られる樹脂が挙げられる。
また、塗膜の強度を上げる目的で、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のフェニル基を有するモノマーを10〜98モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%と、(メタ)アクリル酸、又は、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステルなどのカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも一種の単量体を2〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%の割合で共重合させたアクリル系樹脂も好ましく用いられる。
また、これらの樹脂は、側鎖にエチレン性二重結合を有していることが好ましい。側鎖に二重結合を有するバインダ樹脂を用いることにより、得られるカラーフィルター用組成物の光硬化性が高まるため、解像性、密着性を更に向上させることができる。
バインダ樹脂にエチレン性二重結合を導入する手段としては、例えば、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報等に記載の方法、即ち樹脂が有するカルボキシル基に、グリシジル基やエポキシシクロヘキシル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物を反応させる方法や、樹脂が有する水酸基にアクリル酸クロライド等を反応させる方法が挙げられる。
例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリルクロライド等の化合物を、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより、側鎖にエチレン性二重結合基を有するバインダ樹脂を得ることができる。特に(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートの様な脂環式エポキシ化合物を反応させたものがバインダ樹脂として好ましい。
このように、予めカルボン酸基又は水酸基を有する樹脂にエチレン性二重結合を導入する場合は、樹脂のカルボキシル基や水酸基の2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%にエチレン性二重結合を有する化合物を結合させることが好ましい。
これらのアクリル系樹脂のGPC(ゲルパーミエッションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1,000〜100,000である。重量平均分子量が1,000未満であると均一な塗膜を得るのが難しく、また、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。またカルボキシル基の好ましい含有量の範囲は酸価(mgKOH/g)で5〜200である。酸価が5未満であるとアルカリ現像液に不溶となり、また、200を超えると感度が低下することがある。
バインダ樹脂の特に好ましい具体例を以下に説明する。
(a−1):「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させ、更に該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」
このような樹脂としては、例えば特開2005−154708号公報第0090〜0110段落に記載の樹脂を挙げることができる。
(a−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂
カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性単量体を重合して得られる。このような樹脂としては、例えば、特開2005−232432号公報第0055〜0066段落に記載の樹脂を挙げることができる。
(a−3):前記(a−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
前記(a−2)カルボキシル基含有樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではない。
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、後述する顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましい。
中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。このような樹脂としては、例えば、特開2005−232432号公報第0055〜0066段落に記載の樹脂を挙げることができる。
(a−4):アクリル系樹脂
(a−4)アクリル系樹脂としては、アクリル酸及び/又はアクリル酸エステルを単量体成分とし、これらを重合してなるポリマーをいう。
好ましいアクリル系樹脂としては、例えば、特開2006−161035号公報第0067〜0086段落に記載の樹脂を挙げることができる。
これらのバインダ樹脂は、カラーフィルター用組成物の全固形分中、通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲で含有される。
(b)単量体
単量体としては、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と略す)が好ましい。エチレン性化合物とは、カラーフィルター用組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー、あるいはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させたモノマーなどが挙げられる。中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。これらは複数種使用してもよい。
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
その他本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
これらのエチレン性化合物の配合割合は、カラーフィルター用組成物の全固形分中通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
(c)色材
色材としては、バックライトからの光をできるだけ効率良く利用するため、赤、緑、青のバックライトの発光波長に合わせて、それぞれの画素における当該蛍光体の発光波長での透過率をできるだけ高くし、その他の発光波長での透過率をできるだけ低くするように選ぶ必要がある。
本発明では特に従来のLEDバックライトにない高色再現性を特徴としているため、色材の選択には特に注意を要する。即ち、本発明に特徴的な深い赤と緑の発光波長をもつバックライトの特性を充分に活かすよう以下に示す条件を満たす必要がある。
[3−2−1]赤色組成物
まず赤画素を構成する赤色組成物(赤色レジスト)について説明する。
本発明にかかる赤色組成物に用いられる顔料としては、アゾ系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系等の有機顔料に加えて、種々の無機顔料も利用可能である。
具体的に例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。なお、以下に挙げる「C.I.」の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色色材:C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276。
また、上記赤色色材に、色の微調整のため、以下の黄色色材を混合してもよい。
黄色色材:C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208など。
[3−2−2]緑色組成物
次に緑画素を構成する緑色組成物(緑色レジスト)について説明する。
本発明にかかる緑色組成物に用いられる顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料に加えて、種々の無機顔料も利用可能である。
具体的に例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。
緑色色材:C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料。
また、上記緑色色材に、色の微調整のため、上述の黄色色材を混合してもよい。
緑色画素として、上記の条件を満たす具体例としては、特に、緑色顔料としてピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7および/または臭素化亜鉛フタロシアニン顔料、調色用に黄色顔料として特開2007−25687号公報記載のアゾニッケル錯体黄色顔料(以下、単に「アゾニッケル錯体黄色顔料」と称す。)、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139のうちいずれか一つ以上を含むことが好ましい。
なお、本発明において、NTSC比90%以上、特に100%以上のカラー画像表示装置を作製する場合は、顔料などの色材の最適な組み合わせが重要である。特に緑色顔料においては、成膜性の観点から、ピグメントグリーン36に代えて、ピグメントグリーン7や臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いるのが好ましい。
上記臭素化亜鉛フタロシアニンとしては、1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが高い透過率を示し、カラーフィルターの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。
ピグメントグリーン36を用いると、顔料濃度が高くなるため、現像不良やダイコート処理における異物欠陥などの問題が生じる場合がある。即ち、例えば後述する実施例3のバックライトを用いる場合、表5に示すように、ピグメントグリーン36を用いた緑色レジスト(配合例1)でカラーフィルターを作製するように設計すると、顔料濃度の合計が37.6重量%となる。一方、ピグメントグリーン7を用いた緑色レジスト(配合例2)でカラーフィルターを作製するように設計すると顔料濃度の合計が31.9重量%となり、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いた緑色レジスト(配合例3)で設計すると32.9重量%となる。これら配合例1、2、3はそれぞれ、後述する実施例2、4、6に相当する。
本発明において、NTSC比90%以上、特に100%以上のカラー画像表示装置を作製する上で特に好ましい緑色レジスト用顔料の組み合わせは、臭素化亜鉛フタロシアニンとアゾニッケル錯体黄色顔料もしくはピグメントグリーン7とアゾニッケル錯体黄色顔料の組み合わせであり、その配合比は、ピグメントグリーン7:アゾニッケル錯体黄色顔料が通常9:1〜1:9、好ましくは8:2〜2:8、さらに好ましくは7:3〜3:7である。
Figure 2009065145
[3−2−3]青色組成物
次に青画素を構成する青色組成物(青色レジスト)について説明する。
本発明にかかる青色組成物に用いられる顔料としては例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。
青色色材:C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79。
バイオレット色材:C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50。
[3−2−4]着色組成物の調整
また、赤,緑、青に係らず、色の微調整のため、必要に応じてさらに下記の顔料を使用しても良い。
オレンジ色材:C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79。
ブラウン色材:C.I.ピグメントブラウン1、6、11、22、23、24、25、27、29、30、31、33、34、35、37、39、40、41、42、43、44、45。
勿論、染料等その他の色材を用いることも可能である。
染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
その他、カラーフィルター用組成物に使用し得る色材としては、無機色材、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等が用いられる。
なお、これらの色材は平均粒径1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下に分散処理して使用することが好ましい。
これらの色材は、カラーフィルター用組成物の全固形分中、通常5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で含有される。
(d)その他の成分
カラーフィルター用組成物には、必要に応じ更に光重合開始系、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤その他の添加剤を添加することができる。
(d−1)光重合開始系
カラーフィルター用組成物が(b)単量体としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、あるいは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始系が必要である。
光重合開始系は、重合開始剤に加速剤等の付加剤を併用する系で構成される。重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載の2−(2'−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールなどのヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤が挙げられる。加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。光重合開始剤及び付加剤は、それぞれ複数の種類を組み合わせても良い。
光重合開始系の配合割合は、本発明の組成物の全固形分中通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは0.7〜10重量%である。この配合割合が著しく低いと感度低下を起こし、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすい。
(d−2)熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0〜3重量%の範囲であることが好ましい。
(d−3)可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し10重量%以下の範囲であることが好ましい。
(d−4)増感色素
また、カラーフィルター用組成物中には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。
これら増感色素の例としては、特開平4−221958号、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいのは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいのは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいのは、4,4'−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素の配合割合はカラーフィルター用組成物の全固形分中通常0〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
(d−5)その他の添加剤
またカラーフィルター用組成物には、更に密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤等を適宜添加することができる。
カラーフィルター用組成物は、粘度調整や光重合開始系などの添加剤を溶解させるために、溶媒に溶解させて用いても良い。
溶媒は、(a)バインダ樹脂や(b)単量体など、組成物の構成成分に応じて適宜選択すれば良く、例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec,t−)酢酸ブチル、ヘキセン、シェルTS28ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を併用して用いても良い。
カラーフィルター用着色組成物中の固形分濃度は、適用する塗布方法に応じて適宜選択する。現在カラーフィルターの製造に広く用いられるスピンコート、スリット&スピンコート、ダイコートにおいては、通常1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲が適当である。
また溶媒の組み合わせは顔料の分散安定性、樹脂、モノマー、光重合開始剤等の固形分中の溶解性成分に対する溶解性、塗布時の乾燥性、減圧乾燥工程における乾燥性を考慮して選択される。
上記配合成分を用いたカラーフィルター用組成物は、例えば次のようにして製造される。
まず、色材を分散処理し、インクの状態に調整する。分散処理は、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて行う。分散処理により色材が微粒子化するため、透過光の透過率向上及び塗布特性の向上が達成される。
分散処理は、好ましくは、色材と溶剤に、分散機能を有するバインダー樹脂、界面活性剤等の分散剤、分散助剤等を適宜併用した系で行う。特に、高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。
例えば、サンドグラインダーを用いて分散処理する場合は、0.05から数ミリ径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理時の温度は通常、0℃〜100℃、好ましくは室温〜80℃の範囲に設定する。なお、分散時間は、インキの組成(色材、溶剤、分散剤)、及びサンドグラインダーの装置仕様等により適正時間が異なるため、適宜調整する。
次に、上記分散処理によって得られた着色インキに、バインダー樹脂、単量体及び光重合開始系等を混合し、均一な溶液とする。なお、分散処理及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することが多いため、フィルター等により、得られた溶液を濾過処理することが好ましい。
[4]その他の構成
カラー画像表示装置は、半導体発光装置から発せられる紫外〜近紫外光を吸収する吸収剤を含有する吸収部を有していることが好ましい。画像を表示するパネル部分に設けられていてもよいし、バックライトに設けられていてもよい。
吸収部をパネル部分に設ける場合、吸収部は、例えば図1において、光拡散シート3と偏光板4との間、偏光板4とガラス基板5との間、ガラス基板8と偏光板10との間、および偏光板10の表面などのいずれか1個所以上に配置することができる。また、バックライトに吸収部を設ける場合、吸収部は、例えば、図3および図4において、光源1と導光体11との間、導光体11と調光シート13との間、調光シート13の表面などのうちいずれか1個所以上に配置することができる。
吸収部をパネル部分に設ける場合およびバックライトに設ける場合のいずれにおいても、吸収部は、吸収剤を含有させた樹脂から形成されたシート、あるいは塗膜として設けることもできるし、吸収剤を上記の部材に混入させることによって設けることもできる。
以上のように、カラー画像表示装置に吸収部を設けることで、カラー画像表示装置を構成する種々の部材および観察者への、紫外〜近紫外光による影響を抑制することができる。観察者への影響を抑制するという観点では、吸収部を設ける位置については任意であるが、カラー画像表示装置を構成する部材への影響を抑制するという観点では、吸収部は、半導体発光装置からの光の進行方向においてできるだけ半導体発光装置に近い側に設けることが好ましい。特に、紫外〜近紫外光による液晶やカラーフィルターの劣化を抑制するからは、半導体発光装置からの光の進行方向において液晶よりも手前側に吸収部を設けることが好ましい。
ここで、吸収部が含有する吸収剤について詳細に説明する。本発明で用いられる吸収剤としては、紫外〜近紫外光を吸収する作用を有していれば特に限定されないが、例えば、o−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、5−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサルチレート等のサルチル酸系;2−エチル−5’−t−ブチル−2’−エトキシ−N,N’−ジフェニロキサルアミド等のシュウ酸アニリド系;さらに、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機酸化物系等が例示される。尚、これらの無機酸化物は、ガラスに含有されて紫外線遮蔽ガラスとして用いてもよい。
吸収剤は樹脂中に溶解して使用できるため透明性が良好である。また、無機の吸収剤は、平均粒子経100nm以下の分散粒子を用いることにより、透明性に優れた吸収部を得ることができる。また、酸化チタン等の光活性のある化合物は、粒子表面がシリカ等の不活性物質により処理されることが好ましい。これらの吸収剤は、樹脂中への添加量を調整することにより紫外線の遮蔽効果を調整できる。中でも、350nm以下の紫外線を遮蔽する吸収剤としては、ベンゾフェノン系や酸化亜鉛等が挙げられ、単独で、あるいはそれらを2種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの吸収剤を用いることにより、波長が350nm以下の光を実質的に遮蔽することができるが、さらに、バインダ樹脂等の有機化合物の劣化を防止し、カラー画像表示装置の耐久性を向上させるためには、波長が400nm以下の近紫外光を遮蔽することが好ましく、上述の吸収剤の中から適宜選択することにより達成される。
吸収剤は、通常、適当な樹脂と混合して使用される。使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。中でも、透明性、耐熱性、耐光堅牢度の点から、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール等が好ましい。
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は「重量部」を表す。
[1]蛍光体の合成
[1−1]合成例1:赤色蛍光体(La0.9Eu0.122S(以下、「LOS」ともいう)の合成
各原料をモル比で表して、La23を0.9、Eu23を0.1、Li2CO3を0.05、Na2CO3を0.2、K2CO3を0.75、KH2PO4を0.1、硫黄粉末をSとして5の割合で乾式混合した。得られた混合物を高純度アルミナ製坩堝に入れて密閉性の良いアルミナ蓋を被せて、窒素ガス雰囲気中、1300℃で2時間加熱することにより、該加熱で生成する硫化リチウムと硫化ナトリウムと硫化カリウムを硫化アルカリフラックスとして酸化ランタンと酸化ユーロピウムと接触させて酸硫化物を得、引き続きこれらのフラックスを継続して接触させ、所望の蛍光体を得た。水で洗浄して表面に付着している硫化アルカリフラックスを除去した後に、140℃で乾燥し、蛍光体(La0.9Eu0.122Sを製造した。
[1−2]合成例2:赤色蛍光体Ca0.985Eu0.015AlSi1.033(以下、「CASN」ともいう)の合成
金属元素組成比がEu:Ca:Al:Si=0.015:0.985:1:1.03となるように、Ca32(CERAC製 200mesh pass)、AlN(トクヤマ製 グレードF)、及びSi34(宇部興産製 SN−E10)、EuF3(信越化学製)を窒素雰囲気中で秤量し、ミキサーを用いて10分間混合し、蛍光体原料を得た。得られた蛍光体原料を窒化ホウ素製ルツボへ充填した。これを抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉(富士電波工業製)に内に設置し、<5×10-3Pa(即ち、5×10-3Pa未満)の減圧下において、室温から800℃まで昇温速度10℃/minで真空加熱した。800℃に達したところで、その温度を維持して圧力が0.75MPaとなるまで高純度窒素ガス(99.9995%)を30分間で導入した。導入後、0.75MPaを保持しながら、さらに、昇温速度5℃/minで1800℃まで昇温し、その温度で3時間保持した後、室温まで放冷した。蛍光特性を評価したところ、455nm励起での発光ピーク波長は659nmであった。
[1−3]合成例3:緑色蛍光体Ba0.65Eu0.35Mg0.65Mn0.35Al1017(以下、「GBAM」ともいう)の合成
蛍光体原料として、炭酸バリウム(BaCO3)0.65モル、酸化ユウロピウム(Eu23)0.175モル、塩基性炭酸マグネシウム(Mg1モルあたりの質量93.17)0.65モル、炭酸マンガン(MnCO3)0.35モル及びα−アルミナ(Al23)10モル、並びにフラックスとして、焼成後の蛍光体重量に対する重量でフッ化アルミニウム(AlF)0.4重量%とフッ化カリウム(KF)0.6重量%を秤取して使用した。
上述の蛍光体原料及びフラックスを乳鉢にて30分間混合し、アルミナ製の坩堝に充填した。焼成時に還元雰囲気を生じさせるため、坩堝の周囲の空間にビーズ状グラファイトを設置した。この蛍光体原料及びフラックスの混合物を、大気圧下、1550℃で2時間焼成した。得られた焼成物を塊砕することにより、蛍光体を得た。得られた蛍光体の組成式はBa0.65Eu0.35Mg0.65Mn0.35Al1017であり、また、元素分析により各元素の含有比率を測定したところ、Euが置換し得るサイト数に対するK(カリウム)の含有比率は1モル%であった。また、この蛍光体の物体色は、顕著な緑色を呈していた。
[1−4]合成例4:緑色蛍光体Ba1.65Sr0.2Eu0.15SiO4(以下、「BSS」ともいう)の合成
蛍光体原料として、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化ユウロピウム(Eu)、二酸化ケイ素(SiO)の各粉末を用いた。これらの蛍光体原料は何れも、純度が99.9%以上で、重量メジアン径D50が10nm以上、5μm以下の範囲内のものを用いた。これらの蛍光体原料を、モル比がBa:Sr:Eu:Si=1.65:0.2:0.15:1となるように秤取した。これらの蛍光体原料の粉末を、自動乳鉢にて十分に均一となるまで混合し、アルミナ製ルツボに充填して、大気圧下、空気中で1100℃、12時間焼成した。
次いで、ルツボの内容物を取り出し、フラックスとしてSrClを上記モル比で0.1となるように加えて、乾式ボールミルで混合粉砕した。得られた混合粉砕物を再度、アルミナ製ルツボに充填した。焼成時にルツボに原料を詰め、その上に固体カーボン(ブロック状)を載せて蓋をした。真空炉中で真空ポンプにて5Pa以下まで減圧した後、水素含有窒素ガス(窒素:水素=96:4(体積比))を大気圧になるまで導入した。この操作を再度繰り返した後、水素含有窒素ガス(窒素:水素=96:4(体積比))流通下、大気圧下、1200℃で4時間加熱することにより、焼成を行なった。
得られた焼成物をボールミルで解砕した後、スラリー状態のまま篩を通して粗い粒子を除去した後、水洗し、水簸して微粒子を流去し、乾燥後、凝集した粒子を解すために篩仕上げすることにより、蛍光体を製造した。蛍光特性を評価したところ、455nm励起での発光ピーク波長は520nmであった。
[1−5]合成例5:青色蛍光体Sr9(PO46Cl2:Eu(以下、「SCA」ともいう)の合成
<混合工程>
SrCO3(関東化学社製)0.20モル、SrHPO4(関東化学社製)0.605モル、Eu23(信越化学社製 純度99.99%)0.050モル、SrCl2(関東化学社製)0.1モルを秤量し、小型V型ブレンダーで乾式混合した。
<焼成工程>
(1次焼成)
得られた原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、箱型電気炉(モトヤマ社製、RH−2035D)中にセットした。
大気中、大気圧下で、昇温速度5℃/分で1050℃(最高到達温度)まで昇温し、5時間保持して焼成物を得た。得られた焼成物を254nmで励起すると、赤色に発光した。この赤色発光はEu3+の発光によるものと考えられる。
次いで、室温まで冷却した後、ルツボの内容物を取り出し、解砕した。
(2次焼成)
得られた焼成物にSrCl2を0.05モル加え、小型V型ブレンダーで混合した後、アルミナ製ルツボに充填した。1次焼成と同じ電気炉中にルツボをセットした。
水素含有窒素ガス(水素:窒素=4:96(体積比))を毎分2.5±0.5Lで流通させながら、還元雰囲気中、大気圧下、昇温速度5℃/分で920℃(最高到達温度)まで昇温し、3時間保持した。次いで、室温まで冷却した後、ルツボの内容物を取り出し、解砕した。
(3次焼成)
得られた焼成物にSrCl2を0.05モル加え、小型V型ブレンダーで混合した後、アルミナ製ルツボに充填した。再度、2次焼成と同じ電気炉中にルツボをセットした。
水素含有窒素ガス(水素:窒素=4:96(体積比))を毎分2.5±0.5Lで流通させながら、還元雰囲気中、大気圧下、昇温速度5℃/分で950℃(最高到達温度)まで昇温し、3時間保持した。
<後処理等>
得られた焼成塊を粒径約5mm程度になるまで粗粉砕した後、蛍光体:3mmアルミナボール:水=1:3:1(重量比)の条件になるように混合した。該混合物をボールミルにて60rpm、6時間処理して、蛍光体スラリーを得た。
蛍光体を洗浄するために、蛍光体スラリーを多量の水に攪拌混合させ、蛍光体粒子が沈降するまで静置させた後、上澄み液を捨てる作業を、上澄み液の電気伝導度が3mS/m以下になるまで繰り返した。上澄み液の電気伝導度が3mS/m以下になったことを確認した後、分級を行なうことにより微細粒子及び粗大粒子の蛍光体を除去した。
得られた蛍光体スラリーをpH=10のNa3PO4水溶液中に分散し、小粒子を分級除去した後、リン酸カルシウム処理を施した。脱水後、150℃で、10時間乾燥することにより蛍光体を得た。
[1−6]蛍光体の温度依存性評価
[1−1]〜[1−5]で製造した各蛍光体について、波長395nmで励起した場合における輝度及び発光ピーク強度の温度依存性(以下、これらを纏めて「温度特性」という場合がある。)を測定した。
温度特性の測定は、発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で行なった。
ステージに蛍光体のサンプルを入れたセルを載せ、温度を温度を25℃、及び150℃と変化させ、蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長395nmの光で蛍光体を励起して、輝度値及び発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから、発光ピーク強度を求めた。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値としては、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いた。結果を下記表6に示す。発光ピーク強度の変化率は、表6に記載の「150℃発光ピーク強度/25℃発光ピーク強度(%)」の数値を、「100(%)−150℃発光ピーク強度/25℃発光ピーク強度(%)」に代入することにより求めることができる。
Figure 2009065145
[2]バックライトの製造
[2−1]製造例1:バックライト1(BL-1)の製造
発光装置を以下の手順で作製した。
発光ピーク波長が395nm(Cree社395MB)のnUV発光ダイオードをフレームのカップ底面にダイボンディングし、次に発光ダイオードとフレームの電極をワイヤーボンディングによって接続した。
青色帯を発光する蛍光体としてSCAを、緑色帯を発光する蛍光体としてGBAMを、赤色帯を発光する蛍光体としてCASNを、それぞれ用いた。これらを東レダウ社製シリコーン樹脂「JCR6101UP」に混練しペースト状としたものを、カップ内の発光ダイオードに塗布し、硬化させた。
次に、導光体としてサイズ289.6×216.8mm、厚みが厚肉部2.0mm、薄肉部0.6mmで、短辺方向に厚みが変化する、楔形状の環状ポリオレフィン系樹脂板(日本ゼオン社製商品名「ゼオノア」)を使用し、厚肉側の長辺部に上記の発光ダイオードからなる光源を配設し、導光体の厚肉側(光入射面)に効率良く線状光源からの出射光源が入射するようにした。
導光体の光出射面と対向する面には、線状光源から離れるにしたがって直径が徐々に大きくなる、粗面からなる微細な円形パターンを金型から転写してパターニングした。粗面パターンの直径は光源付近では130μmであり、光源から離れるに従って、漸次増大し最も離れたところでは230μmであった。
ここで粗面からなる微細な円形パターンの形成に用いる金型は、厚さ50μmのドライフィルムレジストをSUS基板上にラミネートし、フォトリソグラフィーによって該パターンに対応する部分に開口部を形成し、更に該金型をサンドブラスト法によって#600の球形ガラスビーズにて0.3MPaの投射圧力で均一にブラスト加工を施した後に、ドライフィルムレジストを剥離することによって得られた。
また、導光体は、その光出射面に、頂角90°、ピッチ50μmの三角プリズムアレーが稜線を導光体の光入射面に対してほぼ垂直となるようにして設けられたものとし、導光体から出射する光束の集光性を高める構造とした。三角プリズムアレーからなる集光素子アレーの形成に用いる金型はMニッケル無電解メッキを施したステンレス基板を単結晶ダイアモンドバイトによって削り出す加工によって得られた。
導光体の光出射面と対向する側には光反射シート(東レ社製「ルミラーE60L」)を配設し、光出射面には光拡散シートを配設した。更にこの光拡散シート上には頂角90°、ピッチ50μmからなる三角プリズムアレーが形成されたシート(住友3M社製「BEFIII」)を2枚各プリズムシートそれぞれの稜線が直交するようにして重ねてバックライト1(BL−1)を得た。
以上のようにして得られるバックライト1についてOCEAN OPTICS HR−2000を用い、全光束および発光スペクトルの測定を行った。LEDの駆動電流は20mAとした。バックライト1の相対発光スペクトルを図5に示す。図5からわかるように、バックライト1は、波長447m、516nm、652nmにそれぞれ1つずつ発光ピークを有していた。また、バックライト1の全光束は、0.9lm(ルーメン)であった。
[2−2]製造例2:バックライト2(BL−2)の製造
製造例1において赤色帯を発光する蛍光体としてLOSを用いる以外は製造例1と同様にしてバックライト2(BL−2)を作製した。バックライト2の相対発光スペクトルを図6に示す。図6からわかるように、バックライト2は、波長445nm、516nm、624nmにそれぞれ1つずつ発光ピークを有していた。また、バックライト2の全光束は、1.0lm(ルーメン)であった。
[2−3]製造例3:比較例用バックライト3(BL−3)の製造
製造例1において、赤色帯を発光する蛍光体として化成オプトニクス社製硫酸化物赤色蛍光体「KX−681」を用い、緑色帯を発光する蛍光体として化成オプトニクス社製アルミン酸塩緑色蛍光体「LP−G3」を用い、青色帯を発光する蛍光体として化成オプトニクス社製ハロリン酸塩青色蛍光体「LP−B1」を用いた以外は製造例1と同様にしてバックライト3(BL−3)を作製した。バックライト3の相対発光スペクトルを図7に示す。図7からわかるように、バックライト3は、波長448nm、516nm、624nmにそれぞれ1つずつ発光ピークを有していた。また、バックライト3の全光束は、0.6lm(ルーメン)であった。
[2−4]製造例4:比較例用バックライト4(BL−4)の製造
製造例3において、青色帯を発光する蛍光体として化成オプトニクス社製アルミン酸塩青色蛍光体「LP−B4」を用いた以外は製造例3と同様にしてバックライト4(BL−4)を作製した。バックライト4の相対発光スペクトルを図8に示す。図8からわかるように、バックライト4は、波長451nm、516nm、624nmにそれぞれ1つずつ発光ピークを有していた。また、バックライト4の全光束は、0.6lm(ルーメン)であった。
[2−5]製造例5:比較例用バックライト5(BL−5)の製造
製造例1において、、nUV発光ダイオードの代わりに発光ピーク波長が454nmの青色発光ダイオードを用い、緑色帯を発光する蛍光体としてBSSを用い、かつ、BSSとCASNの配合比が、図9に示す発光スペクトルとなるよう配合すること以外は製造例1と同様にして比較例用バックライト5(BL−5)を作製した。図9からわかるように、バックライト5は、波長456nm、516nm、642nmにそれぞれ1つずつ発光ピークを有していた。
[2−6]製造例6:比較例用バックライト6(BL−6)の製造
発光装置を以下の手順で作製する。
ドミナント発光波長が460nmの青色発光ダイオードをフレームのカップ底面にダイボンディングし、次に、発光ダイオードとフレームの電極をワイヤーボンディングによって接続する。黄色帯を発光する蛍光体として、Y2.8Tb0.1Ce0.1Al512を用いる。これらをエポキシ樹脂に混練しペースト状としたものを、カップ内の発光ダイオードに塗布し、硬化させる。以降は製造例1と同様の方法を用いて比較例用従来型バックライト6を得る。このようにして得られるバックライト6の相対発光スペクトルを図10に示す。
[3]バインダ樹脂の製造
[3−1]製造例7:バインダ樹脂A
ベンジルメタクリレート55重量部、メタクリル酸45重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部を500mlセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を充分窒素で置換する。その後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6重量部を添加し、80℃で5時間攪拌し、重合体溶液を得る。合成された重合体の重量平均分子量は8000、酸価は176mgKOH/gとする。
[3−2]製造例8:バインダ樹脂B
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温する。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌する。
次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続ける。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させる。
こうして得られる重合体の重量平均分子量Mwは約8000とする。
[4]製造例9:クリアーレジスト溶液の製造
下記に示す各成分を下記の割合で調合し、スターラーにて各成分が完全に溶解するまで攪拌し、レジスト溶液を得る。
製造例8で製造したバインダ樹脂B:2.0部、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:1.0部、
光重合開始系、
2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール:0.06部、
2−メルカプトベンゾチアゾール:0.02部、
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:0.04部、
溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):9.36部、
界面活性剤(大日本インキ化学工業社製「F−475」):0.0003部。
[5]カラーフィルターの製造
[5−1]製造例10:赤色画素 実施例1〜12用、比較例1〜2用の作製
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部、赤色顔料P.R.254を16.7部、ビッグケミー社製アクリル系分散剤「DB2000」4.2部、製造例7で製造したバインダ樹脂A5.6部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が25重量%のミルベースを調製する。このミルベースを600部の0.5mmφフジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間3時間で分散処理を施しP.R.254の分散インキを得る。
また、顔料を、特開2007−25687号公報の実施例2の製造例([0066]段落)に準じて合成したアゾニッケル錯体黄色顔料(以下、「顔料Y」と称す。)に変更した以外は上記のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間で2時間分散処理を施し、顔料Yの分散インキを得る。
また、顔料をP.R.177に変更した以外は上記のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間で3時間分散処理を施しP.R.177の分散インキを得る。
以上のようにして得られた分散インキ、及び上記製造例9で得られたレジスト溶液を、下記表7に示す配合比で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて赤色カラーフィルター用組成物を得る。
このようにして得られたカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN635」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の赤色画素サンプルを作製する。作製後の赤色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
Figure 2009065145
[5−2]製造例11:緑色画素 実施例1〜12用、比較例1〜2用の作製
顔料をP.G.36に変更した以外は製造例10のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間1時間で分散処理を施し、P.G.36の分散インキを得る。顔料をP.G.7に変更して、同様にミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間2時間で分散処理を施し、P.G.7の分散インキを得る。
また、顔料を顔料Yに変更した以外は製造例10と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間2時間で分散処理を施し、顔料Yの分散インキを得る。
同様に、顔料を臭素化亜鉛フタロシアニンに変更し、分散剤をビッグケミー社製アクリル系分散剤「LPN6919」に変更した以外は製造例10と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間3時間で分散処理を施し、臭素化亜鉛フタロシアニンの分散インキを得る。尚、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は下記[5−2−1]に示す方法で合成した。
[5−2−1]臭素化亜鉛フタロシアニンの合成
フタロジニトリル、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。これの1−クロロナフタレン溶液は、600〜700nmの波長に光の吸収を有していた。ハロゲン化は、塩化スルフリル3.1質量部、無水塩化アルミニウム3.7重量部、塩化ナトリウム0.46重量部、亜鉛フタロシアニン1重量部を40℃で混合し、臭素4.4重量部を滴下して行った。80℃で15時間反応し、その後、反応混合物を水に投入し、臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーをろ過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、3.0質量部の精製された臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。
この臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料1重量部、粉砕した塩化ナトリウム12重量部、ジエチレングリコール1.8重量部、及びキシレン0.09重量部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水100重量部に取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕した臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。
得られた臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、質量分析によるハロゲン含有量分析から平均組成ZnPcBr14l2で(Pc:フタロシアニン)、1分子中に平均14個の臭素を含有するものであった。また透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−9000UHR)で測定した一次粒径の平均値は、0.023μmであった。なお顔料の平均一次粒径は、顔料を各々、クロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得、この像から一次粒径を測定し平均粒径を求めた。
以上のようにして得られる分散インキ、及び上記製造例9で製造されたレジスト溶液を下記表8に示す配合比で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて緑色カラーフィルター用組成物を得る。
このように得られるカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN635」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の緑色画素サンプルを作製する。作製後の緑色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
Figure 2009065145
[5−3]製造例12:青色画素 実施例1〜12用、比較例1〜2用の作製
顔料をP.G.15:6に変更した以外は製造例10のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間1時間で分散処理を施し、P.G.15:6の分散インキを得る。
また、顔料をP.V.23に変更した以外は製造例12のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間2時間で分散処理を施し、P.V.23の分散インキを得る。
以上のようにして得られた分散インキ、及び上記製造例9で製造されたレジスト溶液を下記表9に示す配合比で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて青色カラーフィルター用組成物を得る。
このように得られるカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN100」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の青色画素サンプルを作製する。作製後の青色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
Figure 2009065145
[5−4]カラーフィルター
表7〜9に示した赤色、緑色、青色の画素の同じ名称の画素を組み合わせ、実施例1〜12用および比較例1〜2用のカラーフィルターとする。実施例1〜12用及び比較例1用のカラーフィルターについて、赤色画素サンプル、緑色画素サンプル、及び青色画素サンプルの各々の透過率スペクトルを算出した結果を図11〜23に示す。
[6]カラー画像表示装置
[6−1]実施例1〜6、比較例1〜2
製造例1、5、6に示したバックライト(BL−1、BL−5、BL−6)と実施例1〜6用、比較例1〜2用のカラーフィルターとを組み合わせて、実施例1〜6および比較例1〜2のカラー画像表示装置とする。これらのカラー画像表示装置について、各バックライトの相対発光スペクトルと各カラーフィルターの透過率スペクトルから、シミュレーションにより色度(x、y、Y)を測定するとともに、色再現性(NTSC比)および明るさ(色温度)についても求めた。ここでY値はバックライトからの発光の利用効率に相当する。その結果を表10に示す。
Figure 2009065145
表10中の白色のY値がカラー画像表示装置全体としてのバックライト光の利用効率を表す。表10の通り、EBU規格(NTSC比72%)を超える、NTSC比85%という高い色再現範囲のカラー画像表示装置を設計した場合に、従来バックライトではY値の著しい低下をもらすのに対し、本発明の技術を用いれば、更に高いY値を達成できる。即ち、低消費電力でより高い輝度を得ることが可能となる。
さらに、従来バックライトではカラーフィルターの膜厚が厚くなりすぎ(>10μm)、製版性が得られないため達成し得なかったAdobe−RGB(NTSC比94%)を超えるNTSC比までもが、本発明の技術を用いれば達成できる。また、実施例3について、前記製造例10〜12で調製した各色のカラーフィルター用組成物の塗膜をそれぞれテストパターンマスクを使用して100mJ/cmで露光、現像したところ、全てのサンプルにおいて良好なパターンが得られることを確認した。実施例3の実際に作製した各色のカラーフィルター用組成物の乾燥後の膜厚は、いずれも2.50μmであった。
[6−2]実施例7〜12、比較例1、2
製造例2に示したバックライト(BL−2)と実施例7〜12用のカラーフィルターとを組み合わせて、実施例7〜12のカラー画像表示装置とする。これらのカラー画像表示装置について、上述の実施例1〜6と同様に、色度(x、y、Y)、NTSC比、色温度を測定した。その結果を表11に示す。
Figure 2009065145
表11より、実施例7〜12についても、実施例1〜6と同様、高いNTSC比においても従来と比較して高い光利用効率を達成できることがわかった。また、実施例9について、実際に作製した各色のカラーフィルター用組成物の乾燥後の膜厚は、いずれも2.50μmであり、実施例3と同様、良好なパターンが得られることを確認した。
本発明によれば、LEDバックライトでも画像の明るさを損なうことなく、カラーフィルターとの調整によって画像全体として広色再現性を達成するとともに、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことにより実装上の生産性を損なうことなく、しかもホワイトバランスの調整が容易であるカラー画像表示装置を提供することができるため、カラーフィルター用組成物、カラーフィルター、カラー画像表示装置等の分野において、産業上の利用可能性は極めて高い。
TFT方式のカラー液晶表示装置の構成を示す図である。 本発明によるカラー画像表示装置のNTSC比と光利用効率との関係を示すグラフである。 本発明に好適なバックライト装置の一例を示す断面図である。 本発明に好適なバックライト装置の他の例を示す断面図である。 製造例1で得られるバックライト1の相対発光スペクトルである。 製造例2で得られるバックライト2の相対発光スペクトルである。 製造例3で得られるバックライト3の相対発光スペクトルである。 製造例4で得られるバックライト4の相対発光スペクトルである。 製造例5で得られるバックライト5の相対発光スペクトルである。 製造例6で得られるバックライト6の相対発光スペクトルである。 実施例1用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例2用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例3用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例4用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例5用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例6用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例7用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例8用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例9用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例10用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例11用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 実施例12用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。 比較例1用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。
符号の説明
1 光源
2 導光板
3 光拡散シート
4,10 偏光板
5,8 ガラス基板
6 TFT
7 液晶
9 カラーフィルター
11 導光体
12 アレー
13 調光シート
14,14' 光取り出し機構
15 反射シート

Claims (19)

  1. 紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、前記固体発光素子からの光により励起されて発光する蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
    前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する青色蛍光体、500〜540nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および600〜680nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する赤色蛍光体を含み、かつ395nmの波長の励起光における外部量子効率が、
    前記青色蛍光体は77%以上であること、
    前記緑色蛍光体は70%以上であること、および
    前記赤色蛍光体は50%以上であること、
    のいずれか1以上の条件を満たすことを特徴とする半導体発光装置。
  2. 前記青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体のうち、励起光の波長が395nmの場合の、25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が最大のものと最小のものとの、前記発光ピーク強度の変化率の差が、25%以下である請求項1に記載の半導体発光装置。
  3. 紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と、前記固体発光素子からの光により励起されて発光する蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
    前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する青色蛍光体、500〜540nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および600〜680nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する赤色蛍光体を含み、
    励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が、前記緑色蛍光体または前記赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率よりも大きいことを特徴とする半導体発光装置。
  4. 励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率と、前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率の差が10%以上25%以下である請求項3に記載の半導体発光装置。
  5. 励起光の波長が395nmの場合の、前記青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の25℃における発光ピーク強度に対する150℃における発光ピーク強度の変化率が、いずれも25%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  6. 前記固体発光素子は、シリコーン系材料で封止されている請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  7. 前記シリコーン系材料は前記蛍光体を含有する請求項6に記載の半導体発光装置。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体発光装置を光源として備えたバックライト。
  9. 前記半導体発光装置から出射される紫外領域から近紫外領域の光を吸収する吸収部をさらに有する請求項8に記載のバックライト。
  10. 光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置において、
    前記バックライトに用いられる光源は紫外領域から近紫外領域の光を発する固体発光素子と蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置を有し、カラー画像表示素子の色再現範囲であるNTSC比Wと光利用効率Yとの関係が下記式で表されることを特徴とするカラー画像表示装置。
    Y≧−0.24W+49 (ただし、W≧87)
    Figure 2009065145
    ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
    Figure 2009065145
  11. 前記光源は、430〜470nm、500〜540nm、および600〜680nmの波長領域にそれぞれ1以上の発光ピークを有する請求項10に記載のカラー画像表示装置。
  12. 前記蛍光体は、600〜680nmの波長領域に発光成分を有し、かつユーロピウムで付活された赤色蛍光体を含むことを特徴とする請求項10または11に記載のカラー画像表示装置。
  13. 前記赤色蛍光体は、酸硫化物蛍光体、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、および酸窒化物蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする請求項12に記載のカラー画像表示装置。
  14. 前記蛍光体は、500〜540nmの波長領域に発光成分を有し、かつセリウム及び/又はユーロピウムで付活された緑色蛍光体を含むことを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載のカラー画像表示装置。
  15. 前記緑色蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体、珪酸塩蛍光体、および酸窒化物蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする請求項14に記載のカラー画像表示装置。
  16. 前記蛍光体は、430〜470nmの波長領域に発光成分を有し、かつユーロピウムで付活された青色蛍光体を含むことを特徴とする請求項10から15のいずれか1項に記載のカラー画像表示装置。
  17. 前記青色蛍光体は、ハロリン酸塩蛍光体およびアルミン酸塩蛍光体から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする請求項16に記載のカラー画像表示装置。
  18. 前記光源から出射される紫外領域から近紫外領域の光を吸収する吸収部をさらに有する請求項10から17のいずれか1項に記載のカラー画像表示装置。
  19. 前記カラーフィルターの各画素の膜厚が0.5μm以上3.5μm以下である請求項10から18のいずれか1項に記載のカラー画像表示装置。
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