JP2009058184A - 矢 - Google Patents

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武則 大津
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Abstract

【課題】風や空気抵抗等の影響を低減し、的を正確に射ることのできる矢を提供すること。
【解決手段】繊維強化プリプレグ23,25,31を巻回形成したシャフト12を具備し、このシャフト12は、軸長方向に沿って交互に凹溝36と凸条38とを配置した凹凸部40を表面の少なくとも一部の領域に有し、この凸条38は、軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に延設され、頂部38aが曲面で形成され、この頂部38aに隣接する両側面部により、凸条38の横断面形状は鈍角を主体として形成される矢10。
【選択図】 図2

Description

本発明は、弓を用いて射る矢に関し、特に、シャフトが強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻回して形成された矢に関する。
一般に、和弓で用いられる矢は、的を正確に射るために、4つ矢と称される合計4本あるいは予備を含めて6本の組を形成するそれぞれの矢が均質な性能および品質を備えていることが要求される。すなわち、弓から放たれた後における矢の飛翔姿勢を安定させることが、的を正確に射る上で重要であり、矢が放たれた後、的に到達するまでの間に、矢の勢いが失われ、あるいは横風等の空気の動きの影響で飛翔方向が変化する等の影響を受ける場合には、予めこれらの影響による方向変化や失速の程度を推測し、的に対する上下および左右方向の位置ずれを予測して狙いを定める必要がある。このため、外的な影響による姿勢の変化がそれぞれの矢毎に異なる場合には、的を正確に射抜くことは極めて困難となることによる。
このような和弓用の矢として、ジェラルミンやカーボンパイプの外面に、天然の矢竹を加工して貼り付け、外見を竹製の矢と同様に形成した竹張り矢が開発されている(例えば特許文献1参照)。
また、カーボン繊維等の強化繊維に合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグを巻回して形成したシャフトについて、前方の長手方向に沿って滑らかに形成して空気抵抗を小さくすると共に、後方を粗面化しあるいは凹凸を形成することで僅かに後方側の空気抵抗を大きくして飛翔姿勢を維持し易くし、更に、その外表面には、軸長方向に延びる線状模様の塗料を塗布して節模様を形成した矢が開発されている(例えば特許文献2参照)。
特開2001−108400 特開2005−273987
繊維強化プリプレグを巻回してシャフトを形成した矢によれば、シャフトを高強度、高剛性に形成して、その性能、品質を均質にすることができ、竹張り矢等の従来の矢では困難であった飛翔中の姿勢を安定して保持する等の保持特性を改善することができるものではあるが、側方から風を受けた場合に、この風の影響で飛翔姿勢が変化し易く、的から外れ易くなるという点で更に改善することが望まれている。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、風や空気抵抗等の影響を低減し、的を正確に射ることのできる矢を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明によると、繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、前記凸条は、軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に延設され、頂部が曲面で形成され、この頂部に隣接する両側面部により、凸条の横断面形状は鈍角を主体としで形成される矢が提供される。
前記シャフトは、繊維強化プリプレグで形成される本体層の外側に、多方向繊維層を有し、この多方向繊維層を覆う塗膜層の表面に、この多方向繊維層の繊維交差部分と非交差部分とで、前記凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を形成することが好ましい。
また、前記凹凸部は、高さが5〜200μmの範囲で、凸条のピッチが0.5〜10mmの範囲であることが好ましい。
更に、本発明によると、繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、前記凸条は、軸長方向に沿って螺旋状の旋回方向に延設され、この螺旋状の凸条による空気抵抗で回転する方向と、シャフトの後端側に配置した羽根の空気抵抗で回転する方向とが同じである矢が提供される。
更に、繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、この凹凸部は、これらの凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を表面に有し、前記凸条は、軸長方向に沿って螺旋状の旋回方向に延設され、この螺旋状の凸条による空気抵抗で回転する方向と、シャフトの後端側に配置した羽根の空気抵抗で回転する方向とを互いに逆方向にし、羽根の空気抵抗による回転力が凸条の空気抵抗による回転力よりも大きい矢が提供される。
本発明の矢によると、シャフトの表面の少なくとも一部の領域に形成される凹凸部が、凸条を軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に延設することにより、側方からの風の影響を小さくし、シャフトの適度の回転を維持して空気抵抗を極めて小さくし、これにより、弓から放れた矢の飛翔姿勢を安定させ、的を正確に射ることができる。更に、頂部が曲面で形成され、この頂部に隣接する両側面部により、横断面形状が鈍角を主体として形成される凸条が、シャフトの表面近くでのみ空気の乱流を生じさせ、空気抵抗を極力小さくすることができる。
このようなシャフトの外側に配置する多方向繊維層を覆う塗膜層の表面に、この多方向繊維層の繊維交差部分と非交差部分とで、凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を形成する場合には、この微小凹凸が凹凸部を形成する凸条と凹溝との表面に更に微細な凹凸を形成することで空気の乱流を発生し易く、空気抵抗を小さくことができ、これにより、空気抵抗で矢の勢いが低下するのを防止することができる。
特に、凹凸部は、高さが5〜200μmの範囲で、ピッチが0.5〜10mmの範囲である場合には、微小な凹凸を多数形成し、凹凸部表面に空気の乱流を効率的に発生させることで、凹凸部表面全体における、空気抵抗を小さくし、矢の姿勢、飛行方向を安定させることができる。
シャフトの表面に凹凸部を形成する凸条による空気抵抗で矢が回転する方向と、羽根の空気抵抗で回転する方向とを同じにする場合には、シャフトの全体に作用する空気抵抗を小さくし、回転性能を向上させ、矢の勢いの低下を防止して安定した姿勢を維持させることができる。
また、シャフトの表面に凹凸部を形成する凸条と凹溝との表面に、これらの凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を形成し、凹凸部の凸条による空気抵抗で矢が回転する方向と、羽根の空気抵抗で回転する方向とを逆方向にし、羽根の空気抵抗による回転力が凸条の空気抵抗による回転力よりも大きくする場合には、微小凹凸で凸条による空気抵抗で矢が回転する力を低減できるので、シャフトの表面に効率よく空気の乱流を生じさせ、側方からの風の影響を小さくしつつシャフトを円滑に回転させて姿勢を安定させることができ、的を正確に射ることができる。
図1から図3は、本発明の好ましい実施形態による矢10を概略的に示す。
図1に示すように、本実施形態の矢10は、和弓に用いる的矢として形成してあり、矢柄であるシャフト12の先端には先端部を覆う矢尻14が接着等により固定され、後端には弓弦に係止する矢筈16が接着等により固定されている。矢筈16の前部には、周方向に3等分した3個所の位置に矧糸20と接着剤、塗料等で羽軸を固定された3枚の羽根18が配置され、飛翔体としての矢10に回転を与え、飛翔姿勢および飛翔方向を安定させる。符号22は、シャフト12の先端部に配置したウェイト部材を示し、羽根18と共に飛翔時の姿勢を安定させるものである。
このウェイト部材22は、シャフト12と別部材で形成し、必要に応じて、シャフト12に固定してもよいが、後述するようにシャフト12を形成する繊維強化プリプレグに、例えばタングステン等の比重の大きな材料を予め混入させておいてもよい。また矢尻14の固定部は使用中に外れることがないように、略10mm程度以上の長さにわたってその間で確実に固定されていることが好ましく、通常は、長さが約10mm〜30mmの範囲にわたってシャフト12に接触させて固定する。なお、矢尻14や矢筈16はシャフト12に対して螺合等により着脱自在に取付けることも可能である。
図2および図3に示すように、シャフト12は、例えば金属製のマンドレル8上に繊維強化プリプレグを巻回して形成した管状構造を有し、強化繊維を軸長方向に対して傾斜方向に配向させた内側本体層24と、この内側本体層24上で、強化繊維を軸長方向に配向させた軸長方向繊維層を有する外側本体層26とを備える管状構造の本体層28がこのシャフト12の主要部を形成し、表皮層30がこの本体層28上に配置される。
このようなシャフト12を形成する繊維強化プリプレグは、強化繊維として、引張弾性率、強度、破断伸度、あるいは振動吸収性等がシャフト12に適したものであれば、適宜の繊維を用いることができ、カーボン繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、ガラス繊維等の金属・無機繊維のほか、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿繊維等の有機繊維を用いることができる。特に、シャフト12の本体層28すなわち内側本体層24および外側本体層26は、強化繊維23,25として弾性率、強度に優れたカーボン繊維を用いることが好ましい。
また、強化繊維に含浸するマトリックス樹脂は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用するほかにも、例えばポリアミド、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂を使用することもできる。
そして、繊維強化プリプレグとして、上述のように、一方向に引き揃えた強化繊維23,25にマトリックス樹脂を含浸した傾斜方向プリプレグ24a,24bや軸長方向プリプレグ26a,26bの他にも、織布(あるいは不織布)状の強化繊維にマトリックス樹脂を含浸したプリプレグを用い、更に、繊維束をマンドレル8上に単独で巻回した後に、マトリックス樹脂を含浸させることも可能である。
いずれの場合も、以下にRCとも称する強化繊維に対する樹脂含浸量は、例えば20wt%〜50wt%の範囲で使用することが好ましく、この範囲に含まれない場合であっても例えば重量バランス等の関係から低RCの場合15〜19wt%、高RCの場合51〜60wt%等任意の範囲を選択することが可能である。
本実施形態では、マンドレル8に近接する径方向内方に形成される内側本体層24は、強化繊維23を軸長方向に対して傾斜方向に配向させた傾斜方向プリプレグ24aと、傾斜方向プリプレグ24aの強化繊維23に対して軸長方向に沿って線対称となる反対側に配向させた傾斜方向プリプレグ24bとで形成してあり、マンドレル8上に巻回することにより、傾斜方向プリプレグ24aが形成する第1傾斜繊維層と、傾斜方向プリプレグ24bが形成する第2傾斜方向繊維層とが互いに交差する方向に配向される。軸長方向に対するこれらの強化繊維の傾斜角度は10度から60度の範囲で、15度から45度の範囲とすることが好ましい。必要な場合には、強化繊維23を60度より大きい角度に配置することも可能である。
これらの傾斜方向プリプレグ24a,24bは、例えば0.10〜0.15mmの厚さを有し、互いに重ねた状態でマンドレル8上に巻回することにより、強化繊維23を軸長方向に対して例えば約+30度の傾斜方向に配向させた傾斜方向プリプレグ24aが形成する第1傾斜繊維層と、強化繊維23を軸長方向に対して例えば約−30度の傾斜方向に配向させて傾斜方向プリプレグ24aの強化繊維23と交差させた傾斜方向プリプレグ24bが形成する第2傾斜繊維層とを一層ずつ交互に配置した傾斜方向繊維層による内側本体層24を形成することができる。これにより、シャフト12の撓りによる軸長方向の応力を、互いに隣接して位置する第1,第2傾斜繊維層が均等に分散させることができると共に、ねばりのある、ねじり強度も強いシャフト12にできる。
内側本体層24は、これらの傾斜繊維層を2〜6層を重ねることにより、例えば0.2〜0.7mm程度の厚さとし、シャフト12の肉厚t(図3参照)に対して、例えば約40〜75%の最も多くの割合を占めるように形成されることが好ましい。比強度、比剛性向上のために、RCを20〜35wt%、強化繊維23の弾性率を約20000〜40000kg/mmに形成することが好ましい。
外側本体層26は、それぞれ強化繊維25を軸長方向に配向させた軸長方向プリプレグ26a,26bが形成する軸長方向繊維層を内側本体層24上に巻回することにより、形成される。
この外側本体層26を形成する軸長方向プリプレグ26a,26bは、例えば0.08〜0.18mm程度の厚さを有し、例えば2〜6回巻回されて、その厚さを例えば0.1〜0.5mm程度の厚さとし、内側本体層24上に軸長方向繊維層を形成する。この外側本体層26は、曲げ剛性を向上すると共にねばりのあるシャフトにするため、シャフト12の肉厚tに対して、内側本体層24よりは少なく、表皮層30よりは多い、約10〜40%の割合を占めることが好ましい。これらの軸長方向プリプレグ26a,26bは、互いに重ねた状態で巻回してもよく、あるいは、一枚ずつ又は一層ずつ順に巻回してもよい。
必要な場合には、幅広に連続した一枚の軸長方向プリプレグのみで形成し、あるいは予め3枚以上のプリプレグを重ねた状態で巻回して外側本体層26を形成することも可能である。また、比強度、比剛性向上のために、RCは15〜35wt%、強化繊維23の弾性率は約20000〜40000kg/mmを使用することが好ましい。このような軸長方向繊維層で形成される外側本体層26は、シャフト12の曲げあるいは撓りに対する剛性を効率的に付与する。
更に、このようにそれぞれの繊維強化プリプレグを巻回して形成される本体層28の上に、表皮層30が形成される。
本実施形態の表皮層30は、強化繊維31a,31b,31cの少なくとも一部を軸長方向に対して交差するように傾斜方向に配向させた繊維層を有しており、本実施形態では、一例として、ガラス繊維あるいはアラミド繊維で形成した強化繊維31a,31bを軸長方向に対して+30度および−30度の互いに交差する傾斜方向に配設し、これらの傾斜方向繊維である強化繊維31a,31bの交点から軸方向に離隔した位置に、周方向繊維である強化繊維31cを延設した3軸織物状に形成し、マトリックス樹脂を含浸させた多方向プリプレグ32により、本体層28上に多方向繊維層を形成する。更に、この多方向繊維層をスクリム34が覆って表皮層30を形成する。強化繊維31a,31bがそれぞれ軸長方向に対して±30度に配置されていることにより、強化繊維31a〜31cの方向が正三角形形状の連続した多数の網目を形成し、シャフト12に作用する応力を、傾斜方向および周方向の3つの方向に均等に効率よく分散することができる。
なお、これらの強化繊維31a〜31cが正三角形の各辺を形成する方向に延びる場合であっても、強化繊維31a〜31cが幅のある繊維束を形成することから、隙間の形状は六角形状となる。また、これらの強化繊維31a〜31cは、必ずしも正三角形状の方向に延設する必要はないが、傾斜方向繊維は軸長方向に対して同じ角度にして三角形状にすることが応力を周方向に均等に分散する上で好ましい。
この多方向繊維層を形成する多方向プリプレグ32は、厚さが0.03〜0.08mm程度で、好ましくは0.03〜0.06mmとし、RCが28〜55wt%、強化繊維31a〜31cであるアラミド繊維の弾性率が約2000〜15000kg/mmに形成してあり、本体層28上に例えば1〜4回巻回し、シャフト12の肉厚tに対して5〜15%程度に形成することが好ましい。
なお、巻回端部の重なりを1.5mm以下で、好ましくは1.0mm以下とするか、各層の重なり位置をずらせて(円周方向均等分散)巻回するとよい。
このような表皮層30を形成する多方向プリプレグ32は、強化繊維31a〜31cとしてアラミド繊維以外にも、ガラス繊維等、上述の繊維強化プリプレグと同様な強化繊維を用いることが可能であるが、この場合には、強化繊維31a〜31cの弾性率を、マトリックス樹脂の弾性率よりも高く、外側本体層26を形成する軸長方向プリプレグ26a,26bの強化繊維25の弾性率の例えば80%以下で、70%〜10%の範囲とすることが好ましい。
また、多方向繊維層は、強化繊維31a〜31cからなる3軸織物で形成するだけでなく、後述するように、シャフト12に作用する軸方向の応力を、軸方向以外の方向に分散できるものであれば、少なくとも一部が傾斜方向に配向させた繊維層を形成するものであればよく、例えば強化繊維3d(図8の(C)参照)を軸長方向に延設した4軸織物状に形成してもよい。この場合の軸長方向繊維又は周方向繊維は、傾斜方向繊維31a,31bの交点を通るように配置するが、これらの強化繊維31a,31c同士の交点から周方向又は軸長方向にずれた位置に配置することもできる。
この多方向繊維層上に補助層を形成するスクリム34は、厚さが0.02〜0.05mm程度の例えばガラス繊維をクロス状に配向したガラススクリムあるいは織布34を、多方向繊維層の上に1回巻回することにより、形成してあり、多方向プリプレグ32の強化繊維の毛羽立ちを防止する。
各繊維強化プリプレグを芯金8に巻回する場合は、1枚づつ個別に巻回してもよく、あるいは各プリプレグ同士を任意にあらかじめ貼り付けておき、これを巻回してもよい。例えば、内側本体層24を形成する傾斜方向プリプレグ24a,24bは、上述のように互いに重ねた状態でマンドレル8上に巻回することにより、第1傾斜繊維層と第2強化繊維層とを交互に隣接配置して強化繊維23を交差させることができる。また、傾斜方向プリプレグ24a,24bを一枚づつ順に巻回する場合には、第1傾斜繊維層と第2傾斜繊維層とを径方向に重ねた状態に形成することができる。
いずれの場合も、先部先端の矢尻14および元部後端の矢筈16を取付ける等の必要部位を除き、シャフト12の軸方向に沿って先部、中間部および元部に均一に各繊維強化プリプレグを積層し、肉厚tをほぼ一定とすることが好ましい。また、重心位置や外径等の射手に与える感覚および飛翔姿勢に影響を及ぼす事項は、個別に設定することも可能であるが、通常の矢竹製の矢と同様に形成することで、射手に違和感を与えるのを防止することができる。
このように、マンドレル8に繊維強化プリプレグを巻回し、更に、表層30のスクリム34を巻回した後、緊締テープで締付け、加熱工程、冷却工程、脱芯、緊締テープの除去、研磨等の工程を経て形成したシャフト12に、矢尻14、矢筈16および矢羽根18等の必要部品を取付けることにより、図1に示すような矢10が形成される。
必要な場合には、更に、シャフト12の表面を保護する塗膜層(図示しない)を表皮層30に設ける。このような塗膜層は、表面に付着した砂等をふき取る際にふき取り易く、磨耗し難い、例えばエポキシ塗料やウレタン塗料等の適宜の材料を用い、任意の方法で形成することができる。いずれの場合も、上述のスクリム34の上にあるいはスクリム34に代えて、例えば5〜20μmの範囲の厚さの塗膜層として形成し、多方向繊維層の強化繊維31a,31b,31cによる繊維交差部分と非交差部分との微小凹凸が、後述するように、その外表面に現れるように形成することが好ましい。
図4は、このように形成されたシャフト12の表面を概略的に示す。
このシャフト12の表面には、軸芯12aの延在方向すなわち軸長方向に沿って多数の凹溝36と凸条38とを交互に配置した凹凸部40が少なくとも一部の領域に形成されている。この凹凸部40は、シャフト12の全長にわたる表面に形成することも可能であり、軸長方向に沿う一部の表面にのみ形成するものであってもよい。一部にのみ形成する場合には、例えば矢尻14、矢筈16あるいは羽根18等の部品を設ける部分、更に、段塗り塗装等の装飾部を設ける部分を除く領域で、シャフト12の全長の50%以上又は70%以上にわたって形成することが好ましい。凹凸部40を形成する領域は、軸長方向に沿って連続している必要はないが、その全体がこれよりも少ない場合には、矢10の飛翔あるいは飛行姿勢を安定させるための乱流を形成する範囲が少なくなり、風等の影響が出やすくなるためである。
間に周方向に延びる凹溝36を形成する凸条38は、シャフト12の軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に多数回にわたって巻回する状態に延設される。この凸条38を螺旋状に延設する場合は、周方向すなわち軸長方向に対して直交する方向に対し、45°より小さく、好ましくは30°以下又は20°以下の角度に延設するとよい。これにより、矢10の側方からの風の影響を確実に防止することができる。
図5から図7に示すように、凸条38は、頂部38aが曲面で形成されており、この頂部38aに隣接する両側面部により、凸条38の横断面形状すなわち凸条38の延設方向に対して直交する方向の断面形状は、鈍角を主体として形成されている。すなわち、この頂部38aの横断面形状は、一部に曲面の半径が小さく、鋭角を形成する部分があってもよく、凸条38が、全体的に、頂部38aを半径の大きな曲面でかつこの頂部38aの両側の側面部が鈍角状の角度に形成あるいは配置されていればよい。このように、凸条38が頂部38aに隣接する量側面部により、横断面形状を鈍角を主体として形成されることにより、的に向けて飛翔する際に、この曲面に沿って流れる空気が凹溝36内で乱流あるいは渦流を形成する。シャフト12の表面近くのみで空気の乱流を生じさせることにより、必要以上に大きな空気抵抗が発生するのを防止することができる。
これとは逆に、頂部38aの横断面形状すなわち凸条38の延設方向に対して直交する方向の断面形状が鋭角を主体としたエッジ状の鋭い稜線を形成する場合には、頂部38aに沿う層流が形成されにくく、シャフト12の表面から離れた部位で乱流を形成し、より大きな空気抵抗が発生することになる。この場合には、空気抵抗が大きいために矢10の勢いが失われ、一方、飛行中に発生する音は大きくなる。
この凹凸部40を形成する凹溝36と凸条38は、効率よく乱流を形成するために、高低差Hを5〜200μmの範囲で、10〜100μmの範囲に形成するのが好ましい。また、凸条38の頂部38aが形成する鈍角は、90°よりも大きく、150°よりも小さいことが好ましい。150°以上とする場合には、乱流が形成され難くなるためである。
図6および図7に明瞭に示すように、このような凹凸部40の表面の全体あるいは一部に、上述のように、多方向繊維層の強化繊維31a,31b,31cによる繊維交差部分の凸部42aと非交差部分の凹部42bとで形成される微小凹凸42が形成される。この微小凹凸42の凹凸すなわち凸部42aと凹部42bとの間の高低差あるいは径方向寸法hは、凹凸部40の凹凸すなわち凹溝36と凸条38との間の高低差あるいは径方向寸法Hよりも小さく、凹溝36および凸条38の双方の表面の全体に微小凹凸42が形成された場合であっても、凹凸部40を形成する凹溝36および凸条38の基本的な形状である軸方向に隣接する凸条38間のピッチp、高低差Hおよび頂部38aの鈍角を主体とした形状は、大きく崩れることなく、微小凹凸42を形成しない場合とほぼ同様に維持される。
図7は、実際に微小凹凸42を凹凸部40の表面に形成した状態を図式的に示すもので、凹凸部40の凹溝36および凸条38が、微小凹凸42により、軸長方向および周方向に沿って不規則形状に形成される。ここでは、凹凸部40の高低差HをJISB0601−1994に基づく測定値で5〜30μm、微小凹凸42の高低差hである表面の平均粗さをJISB0601−1994に基づく測定値で1〜10μmに形成してある。凸条38間のピッチpは、例えば0.5〜10mmの範囲で、1〜5mmの範囲に形成することが好ましい。これは、上述のように、シャフト12の表面近くで空気の乱流や渦流を発生させるためである。
図7から明らかなように、シャフト12の表面部分における空気の流れは、凸条38の高さおよび凹溝36間における配置位置を変化させることで調整することができる。例えば、凸条38の高さを低くすることで、乱流の大きさあるいは発生する範囲(シャフト12の表面からの範囲)を抑制することができる。また、凸条38の配置位置を、凹溝36の軸方向中央位置よりも後方に偏倚させると、シャフト12の表面近くだけで、小さな乱流を発生させ、逆に、先方に偏倚させると、より強力な乱流(渦流)を発生させることができる。
この凸条38の延設方向は、凸条38が形成する空気抵抗で矢が回転する方向と、羽根18の空気抵抗で回転する方向とを同じに形成することにより、シャフト12の全体に作用する空気抵抗を小さくし、一方、凸条38による空気抵抗で矢が回転する方向と、羽根18の空気抵抗で回転する方向とを逆方向にし、更に、微小凹凸42を設け(ランダムに多数形成するとよい)、逆方向回転をおさえることで、羽根18の空気抵抗による回転力を凸条38の空気抵抗による回転力よりも大きくすることにより、シャフト12の表面に効率よく空気の乱流を生じさせることができる。
更に、凹凸部40の表面に形成される微小凹凸42は、凹凸部40の表面上で、空気の乱流を発生し易く、空気抵抗を小さくことができ、これにより、空気抵抗で矢の勢いが低下するのを防止することができる。
このような微小凹凸42は、その高低差hおよび配置間隔は、表皮層30の多方向繊維層で調整することができる。この多方向繊維層は、上述のような3軸織物、4軸織物の他にも、縦横あるいは傾斜方向の2軸方向からなる織物でで形成することもできる。また、強化繊維の繊維交差部分と非交差部分とで形成するだけでなく、強化繊維のあるいは強化繊維束の太さを変更し、更に、テープ状の織物を一部重合して巻装、成形する等、任意の大きさおよび間隔で形成することができる。
なお、凹凸部40は、緊締テープにより形成することも可能であるが、加熱工程の前あるいは加熱中に外型により、成形することも可能である。同様に、微小凹凸42もこのような外型で成形してもよい。
図8は、このように形成した矢10が弓弦から放たれる瞬間の状態を模式的に示す。
図8の(A)に示すように、矢10が弓弦を放れた瞬間は、矢筈16を介して、この弦から前方に向けて急激に大きな押圧力を受けるため、シャフト12が大きく湾曲する撓りを生ずる。このシャフト12の撓りは、図8の(B)に示すように、その反発による反対方向への撓りを生じさせ、更に、矢羽根18による回転が作用する。矢10は、シャフト12の弾性により、この撓り現象による振動を以下のように迅速に収束させながら、最終的には直線状となって、的に向かう。
図8の(C)は、シャフト12が撓って湾曲したときの応力状態を示す。このように、曲げが作用したときと同様にシャフト12に作用する応力は、内側本体層24および外側本体層26中に配置された強化繊維23,25により互いに交差する傾斜方向および軸長方向に沿って分散され、更に、表皮層30(図2および図3)の多方向繊維層を形成するそれぞれの強化繊維31a〜31cにも分散される。
これにより、シャフト12の内部応力を傾斜方向繊維で応力分散できると共に、粘りのあるシャフト12により、矢10が弓から放れるときの撓りおよびその撓りによる振動が、飛翔中に迅速に減衰されて姿勢が安定し、的に対して正確に射ることができる。
表皮層30を形成する多方向プリプレグ32の強化繊維が3軸織物を形成する場合にはシャフト12の撓りによる応力は、本体層28よりも径方向外方で、傾斜方向の強化繊維31a,31bおよび周方向の強化繊維31cに沿って均等に分散され、更に、4軸織物を形成する場合には、図8の(C)に示すように、更に軸方向の強化繊維31dにも分散される。
この表皮層30内では、同一の多方向繊維層あるいは同一のレベルにある円筒状面内で3軸方向に延びる強化繊維31a〜31cが、シャフト12の撓りによる曲げ応力を強化繊維31a,31bの互いに交差する傾斜方向に沿って均等に分散することができ、更に、強化繊維31cに沿う周方向にも応力を分散することが可能であるため、本体層28に作用する軸方向の応力成分を小さくすることができ、これにより、矢が放れるときの撓りおよびその撓りによる振動が、飛翔中に迅速に減衰されて姿勢が安定し、的に対して正確に射ることができる。
特に、多方向繊維層を形成する強化繊維31a〜31dの弾性率が本体層28の強化繊維25の弾性率よりも小さいため、反発力が小さく、振動が減衰される。これにより、軸長方向に作用する応力が徐々に小さくなり、したがって、撓りあるいは湾曲の大きさも小さくなる。
この表皮層30の多方向繊維層を形成する強化繊維31a〜31c(4軸織物状に形成される場合は軸長方向の強化繊維31dを含む)は、上述のように、本体層28の軸長方向繊維層を形成する強化繊維25の弾性率よりも小さいため、この表皮層30内で応力が吸収される。この結果、反対側に湾曲させようとする反発力が小さくなり、反対側の撓りあるいは湾曲が小さくなり、振動が迅速に減衰し、迅速に直線状の形状に復帰することができる。
更に、表皮層30の多方向繊維層を形成する周方向繊維30cが、傾斜方向繊維31a,31bの60度の角度で交差する交点から軸長方向に離隔した位置で、これらの傾斜方向繊維31a,31bと交わることにより3軸織物で形成される場合は、これらの強化繊維31a〜31cがシャフト12の曲げ応力を強化繊維に沿う3つの方向に効率的に分散し、ねじり剛性および曲げ剛性を向上できると共に、粘りのあるシャフトにより、矢が放れるときの撓りおよびその撓りによる振動が、飛翔中に迅速に減衰される。また、表皮層30の強化繊維31a〜31cが形成する3軸織物は、互いに2つの傾斜方向の強化繊維31a,31b同士の交差位置と異なる位置で交差して、三角形形状を形成することにより、3方向の強化繊維が1箇所で交差することによる同一層内での応力集中を防止し、軸方向の応力を周方向を含む3つの方向に効率よく分散する。これにより、飛翔姿勢を安定させ、的に対して正確に射ることができる。
この多方向繊維層が強化繊維31a〜31dにより4軸織物として形成される場合も同に、同一の層内で応力を効率よく分散させることができる。
上述の実施形態では、表皮層30の多方向繊維層を形成する強化繊維31a〜31dの弾性率を本体層28の強化繊維23,25より小さくすることにより、この多方向繊維層で応力を分散して振動の減衰を行うものであるが、これらの強化繊維31a〜31dの比重を本体層28の強化繊維25の比重よりも小さく形成することにより、表皮層30の強化繊維31a,31bの密度を小さくして振動減衰性を高めてもよい。このような比重が小さく(密度が小さく)、振動減衰性に優れた強化繊維として、アラミド繊維の他にもポリエステル樹脂等の有機繊維を用いることができる。
この場合には、この表皮層30中の強化繊維31a〜31dがシャフト12に作用する曲げ応力をその強化繊維31a〜31dの方向に沿って分散すると共に、その強化繊維31a〜31dの小さな比重および振動減衰性により、飛翔中に、シャフト12の撓りあるいは振動を効率よく減衰して姿勢を安定させることができる。
そして、シャフト12の表面に形成された凹凸部40は、凸条38を軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に延びていることにより、側方からの風の影響を小さくし、シャフト12の適度の回転を維持して空気抵抗を極めて小さくする。これにより、矢10は飛翔中に例えば側方から風を受けた場合あるいは霧や雨に当たった場合であっても、このような外乱で影響されることを低減し、その飛翔姿勢を安定させ、的を正確に射ることができる。この凸条38の頂部が曲面で形成され、横断面形状が鈍角を主体として形成されていることにより、シャフト12の表面近くでのみ空気の乱流を生じさせ、空気抵抗を極力小さくすることができる。
この凸条38による空気抵抗で矢10が回転する方向と、羽根18の空気抵抗で回転する方向とを同じにする場合には、シャフト12の全体に作用する空気抵抗を小さくし、回転性能を向上させ、矢の勢いの低下を防止して安定した姿勢を維持させることができる。
これとは逆に、凹凸部40の凸条38による空気抵抗で矢10が回転する方向と、羽根18の空気抵抗で回転する方向とを逆方向にし、かつ、微笑凹凸42で逆方向回転をおさえると共に、凸条38の空気抵抗による回転力を大きく超える羽根18の空気抵抗による回転力でシャフト12を回転させる場合には、シャフト12の表面に効率よく空気の乱流を生じさせ、側方からの風の影響を小さくしつつシャフト12を円滑に回転させて姿勢を安定させることができ、的を正確に射ることができる。
特に、凹凸部40の表面に形成した微小凹凸42は、凸条38と凹溝36との表面に更に微細な凹凸を形成することで空気の乱流を発生し易く、空気抵抗を小さくことができ、これにより、空気抵抗で矢10の勢いが低下するのを防止することができる。
図9は、変形例によるシャフト12の軸芯12aに沿う断面図を示す。
この変形例は、シャフト12の本体層28の重量、比重の配分を調整することで振動を減衰するものである。
このシャフト12は、本体層28の肉厚方向中心位置を通る中央円筒面(具体的には、肉厚の中間位置)nを境として、径方向外側に配置される外側部28bの比重が径方向内側の内側部28aよりも小さく形成されている。この本体層28の外側部28bと内側部28aとは、それぞれの肉厚が等しくなる中央円筒面nで区画したもので、その繊維層は、内側部28aとして上述の内側本体層24と同様な積層構造とし、外側部28bを外側本体層26と同様な積層構造に形成することができる。また、この本体操28の上に上述の表面層30を設けてもよい。
この変形例によるシャフト12は、軸芯12a側に位置する内側部28aを外側部28bに対して相対的に比重の大きな材料で形成することにより、シャフト12の本体部を形成する本体層28の比重を軸芯12aよりに集中させることができ、軸方向の押圧力だけでなく、偏向した押圧力や回転が加わる複合的な力の作用を受けて、シャフト12が撓り、振動あるいは回転の複合的な挙動をして飛翔しても、これらの撓りや振動を効果的に減衰して姿勢を安定させ、的に対して正確に射ることができる。
この本体層28に表皮層30を形成した場合には、上述の実施形態と同様に、多方向プリプレグ32が形成する多方向繊維層が、シャフト12に粘りを与え、振動を吸収する作用をなす。この振動吸収作用により、シャフト12が側方に撓んだときに、この撓みによる振動を迅速に吸収し、素早く直線状形状に復帰させ、直線状の飛翔姿勢を確保するものである。
上述の実施形態および変形例では、シャフト12の径方向における弾性率、比重等を調整することにより、振動を減衰するものであるが、更に、矢10の飛翔姿勢を安定させるために、シャフト12の軸方向に沿う比重の配分を調整することも可能である。
例えば、シャフト12の中間部および元部を先部に対して軽量化する場合には、中間部に弾性率の大きい繊維を相対的に多く配分し、あるいは、比重の小さい材料を相対的に多く配分することで、この中間部を軽量化することができ、この中間部の飛翔中の撓りやこの撓りの振動を吸収することができる。
この場合にも、上述のような表皮層30を形成し、凹凸部40および微小凹凸42を形成してもよい。上述の実施形態と同様に、多方向プリプレグ32が形成する多方向繊維層が、シャフト12に粘りを与え、振動を吸収する作用をなし、この振動吸収作用により、シャフト12が側方に撓んだときに、この撓みによる振動を迅速に吸収し、素早く直線状形状に復帰させ、直線状の飛翔姿勢を確保することができる。更に、シャフト12の表面に形成した凹凸部40および微小凹凸42が表面が形成する空気の渦流あるいは乱流により、空気抵抗を小さくし、風による外乱を受けた場合でも、矢10の飛翔姿勢を安定させることができることは、上述の実施形態と同様である。
また、多方向プリプレグ32の強化繊維31を、エラストマー樹脂繊維で形成する場合には、表皮層30を振動吸収層として形成することができる。
なお、表皮層30の多方向繊維層を覆うスクリム34は、多方向プリプレグ32の強化繊維の毛羽立ちを防止するものであり、上述のガラススクリムのようなクロス状の部材のほか、一方向引き揃えシート、樹脂フィルムあるいは塗膜層を用いてもよく、毛羽立ちを生じない強化繊維を用いた場合や多方向プリプレグ32のマトリックス樹脂の含浸量を調整する他、製法条件等によって省略することも可能である。
本発明の好ましい実施形態による矢の全体図。 図1の矢の製造に用いる繊維強化プリプレグの配置図。 図1の矢のシャフトの断面図。 図1の矢のシャフトの表面の概略的な説明図。 図4のシャフトの表面を拡大して示す軸方向断面図。 図5のVI−VI線方向に沿う断面図。 図4のシャフトの表面を軸長方向に沿って実測したときの表面形状の例を示す説明図。 図1の矢の弓を放れた瞬間の飛翔姿勢を示し、(A)は撓りを生じた状態の説明図、(B)は反発により逆方向に撓った状態の説明図、(C)は表皮層による応力の分散状態を示す説明図。 変形例によるシャフトの断面図。
符号の説明
10…矢、12…シャフト、23,25,31…強化繊維、36…凹溝、38…凸条、38a…頂部、40…凹凸部。

Claims (5)

  1. 繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、前記凸条は、軸長方向に対して直交する周方向、又は、螺旋状の旋回方向に延設され、頂部が曲面で形成され、この頂部に隣接する両側面部により、凸条の横断面形状は鈍角を主体としで形成されることを特徴とする矢。
  2. 前記シャフトは、繊維強化プリプレグで形成される本体層の外側に、多方向繊維層を有し、この多方向繊維層を覆う塗膜層の表面に、多方向繊維層の繊維交差部分と非交差部分とで、前記凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を形成することを特徴とする請求項1に記載の矢。
  3. 前記凹凸部は、高さが5〜200μmの範囲で、凸条のピッチが0.5〜10mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の矢。
  4. 繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、前記凸条は、軸長方向に沿って螺旋状の旋回方向に延設され、この螺旋状の凸条による空気抵抗で回転する方向と、シャフトの後端側に配置した羽根の空気抵抗で回転する方向とが同じであることを特徴とする矢。
  5. 繊維強化プリプレグを巻回形成したシャフトを具備し、このシャフトは、軸長方向に沿って交互に凹溝と凸条とを配置した凹凸部を表面の少なくとも一部の領域に有し、この凹凸部は、これらの凸条と凹溝とが形成する凹凸よりも小さい微小凹凸を表面に有し、前記凸条は、軸長方向に沿って螺旋状の旋回方向に延設され、この螺旋状の凸条による空気抵抗で回転する方向と、シャフトの後端側に配置した羽根の空気抵抗で回転する方向とを互いに逆方向にし、羽根の空気抵抗による回転力が凸条の空気抵抗による回転力よりも大きいことを特徴とする矢。
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