JP2009056745A - 液体吐出ヘッド、画像形成装置、静電型アクチュエータ、マイクロポンプ及び光学デバイス - Google Patents

液体吐出ヘッド、画像形成装置、静電型アクチュエータ、マイクロポンプ及び光学デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】空隙内圧と大気圧の差圧解消や信頼性向上を目的とする空隙内へのガス導入を効率的に行うことができない。
【解決手段】アクチュエータ基板1上に構成された振動板20及びこの振動板20に空隙14を介して対向する個別電極12を備え、複数の空隙14、14間の隔壁部15の下側に、隔壁部15の長手方向に沿って個別連通路16を設けるとともに、個別連通路16と空隙14とを連通する個別連通路孔17を設け、更に各個別連通路16が連通する共通連通路18を設けた。
【選択図】図3

Description

本発明は液体吐出ヘッド、画像形成装置、静電型アクチュエータ、マイクロポンプ及び光学デバイスに関する。
一般に、プリンタ/ファックス/コピア或いはこれらの機能を複合した画像形成装置としては、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)で構成した記録ヘッドを含む液体吐出装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行なうものがある。
なお、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像を形成する装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、「インク」とは、狭義のインクに限らず、液体吐出ヘッドから吐出される液体であれば限定されるものではない。
液体吐出ヘッドとしては、液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板及びこの振動板に空隙を介して対向する固定電極を備える静電型アクチュエータを圧力発生手段に用いる静電型液体吐出ヘッドが知られている。
このような静電型アクチュエータを用いる液体吐出ヘッドにおいては、空隙内圧と大気圧の差圧の解消、あるいはアクチュエータの信頼性向上を目的として、空隙内へのガス導入のために各空隙を連通する連通路を設けることが行われ、疎水膜を形成するガスを効率的に振動室に導入するために、例えば特許文献1に開示されているように、各空隙(振動室)の長手方向端部に外部と連通する連通路を設け、この連通路を介してガスを封入した後個別連通路を封止することが行われている。
特開平11−179919号公報
また、特許文献2に記載されているように、各空隙の長手方向端部に個別連通路を設け、各個別連通路を共通連通路で相互に連通したものも知られている。
特開2006−115624号公報
その他、空隙が密閉されることで振動板の変位が阻害されることを抑えるために、特許文献3には空隙(ギャップ)を隔てるギャップ間隔壁を有しない構成が、特許文献4にはギャップ間隔壁に隣り合うギャップ空間を連通する連通路を設け、更に最も端部のギャップ空間を連通路を介して空気室に連通させる構成が、特許文献5にはギャップ間隔壁に隣り合うギャップ空間を連通する連通路を設ける構成が、それぞれ記載されている。
特開2001−301173号公報 特開2001−322269号公報 特開2003−72070号公報
また、犠牲層エッチングによる空隙の形成に関しては特許文献6に記載されている。
特開2001−18383号公報
しかしながら、前述した特許文献1、2に記載されているように各空隙の長手方向端部に空隙に連通する(個別)連通路を設けて、この連通路を介して疎水膜形成のためのガスを導入する場合、空隙内へのガスの導入に時間がかかり、効率的なガス導入を行うことができないという課題がある。
また、前述した特許文献3ないし5に記載されているように空隙が密閉されることで振動板の変位が阻害されることを抑えるために各空隙を相互に連通する構成を採用した場合、疎水膜形成のガス導入を行うとしても、1つの空隙側からガス導入を行うことになり、すべての空隙内へのガスの導入を行うには相当な時間がかかり、効率的なガス導入を行うことができないという課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、空隙内圧と大気圧の差圧解消や信頼性向上を目的とする複数の空隙内へのガス導入を効率的に行うことができるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルと、各ノズルが連通する複数の液室と、各液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板及びこの振動板に空隙を介して対向する固定電極を備え、振動板と固定電極間の静電力と振動板の機械的変位によりノズルから液滴を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、複数の液室に対応して複数の空隙が隔壁部を介して配置され、隣り合う空隙間の隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を空隙と連通させる孔が隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている構成とした。
ここで、個別連通路は複数の孔を介して隣り合う空隙の一方の空隙に連通している構成とできる。また、個別連通路は複数の孔を介して隣り合う両方の空隙に連通している構成とできる。また、吐出される液体を収容する液体タンクが一体化されている構成とできる。
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えている構成とした。
本発明に係る静電型アクチュエータは、変形可能な振動板及びこの振動板に空隙を介して対向する固定電極を備えて、振動板と固定電極間の静電力で振動板を変形させる静電型アクチュエータにおいて、複数の空隙が隔壁部を介して配置され、隣り合う空隙間の隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を空隙と連通させる孔が隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている構成とした。
本発明に係るマイクロポンプ、本発明に係る光学デバイスは、本発明に係る静電型アクチュエータを備えた構成とした。
本発明に係る液体吐出装置、画像形成装置、静電型アクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイスによれば、隣り合う空隙間の隔壁部内には、隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を空隙と連通させる孔が隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている構成としたので、空隙の隔壁部の長手方向の異なる位置に設けられている複数の孔から空隙内に短い時間で万遍なくガス導入を行うことができるようになり、空隙内へのガス導入を効率的に行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る静電型アクチュエータを含む本発明に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図、図2は同ヘッドの分解斜視説明図、図3は同ヘッドのアクチュエータ基板の要部平面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、基板の面部に設けたノズル孔から液滴を吐出させるサイドシュータタイプのものであり、第1の基板であるアクチュエータ基板1と第2の基板である流路基板2と第3の基板であるノズル基板3を順次積層して構成し、これら3枚の基板1、2、3を接合することで、液滴を吐出する複数のノズル4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する液室(吐出室)6、液室6に液体(インク)を供給するための流体抵抗部7及び共通液室8を形成している。各液室6は液室間隔壁9で仕切られている。
アクチュエータ基板1は、各液室6の一部の壁面を形成する振動板(変形可能領域)20と、この振動板部材20に犠牲層エッチングによって形成した空隙(ギャップ)14を介して対向する個別電極(下部電極)12を備え、これらの振動板20と個別電極12によって各液室6に対応する本発明に係る静電型アクチュエータを構成している。
また、アクチュエータ基板1には、上述した複数の液室6に対応する複数の空隙14はそれぞれ隔壁部15を介して配置され、隣り合う空隙14、14間の隔壁部15の長手方向に沿って、隣り合う個別電極12、12間に個別連通路16が設けられるとともに、この個別連通路16を空隙14と連通させる孔17が隔壁部15の長手方向の異なる位置に複数設けられ(図3参照)、更に各個別連通路16を相互に連通する共通連通路18が設けられ、この共通連通路18はガス導入孔19に連通している。
ここで、個別連通路16は、図3に示すように、隔壁部15の下側で隔壁部15に沿って個別電極12、12間に形成される主通路16aと、この主通路16aから空隙14の底部下側に分岐する分岐通路16bとで構成され、分岐通路16bから空隙14の底部を貫通して空隙14内に連通する孔(個別連通路孔)17を設けている。また、複数の個別連通路孔17の配置位置は、空隙14の長手方向両端部側と中央部の3箇所(これに限るものではなく、4箇所以上でもよい。)とし、個別連通路孔17,17の長手方向の間隔は空隙14の短手方向長さよりも短い間隔としている。
また、ここでは、空隙14のノズル並び方向の両側の隔壁部15、15に沿って個別連通路孔17、17を配置する構成としているが、一方の隔壁部15にだけ沿って個別連通路孔17を配置する構成とすることもできる。
さらに、アクチュエータ基板1には流路基板2の共通液室8に外部からインクを供給するための供給口10を形成している。
アクチュエータ基板1の上に接合する流路基板2は、例えば、結晶面方位(110)のシリコン基板に、液室(吐出室)6と、各々の液室6に流体抵抗部7を介して連通する共通液室8を設けている(実際に溝部又は凹部である。)。
流路基板2の上に接合するノズル基板3は、例えば、厚さ50μmのニッケルを用い、ノズル4はドライ又はウェットエッチングやレーザー加工など周知の方法で形成することができる。
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、各液室6内に記録液(インク)が満たされた状態で、図示しない制御部からの画像データに基づいて、記録液の吐出を行いたいノズル4に対応する個別電極12に対して、発振回路により40Vのパルス電圧を印加する。この電圧を印加することにより個別電極12の表面にプラス電荷が帯電し、個別電極12と、振動板電極を含む振動板20との間に静電力による吸引作用が働いて、振動板20が下方へ撓む。これにより、液室6の容積が広げられることから、その容積分の記録液が共通液室8より流体抵抗部7を介して液室6へ流入する。
その後、個別電極12へのパルス電圧を0Vにする(印加を止める)ことにより、静電力により下方へ撓んだ振動板20は自身の剛性により元の位置に戻る。これにより、液室6内の圧力が急激に上昇して、液室6に連通するノズル4より記録液の液滴が吐出される。そして、この動作を繰り返してノズル4から記録液を連続的に吐出することにより、液滴吐出ヘッドに対向して配置した被記録媒体(用紙)に画像を形成する。
そこで、アクチュエータ基板1の詳細について図4ないし9をも参照して説明する。なお、図4は同アクチュエータ基板の要部平面説明図、図5は図4のY1−Y1線に沿う断面説明図、図6は図4のY2−Y2線に沿う断面説明図、図7は図4のX1−X1線に沿う断面説明図、図8は図4のX2−X2線に沿う断面説明図、図9は図4のX3−X3線に沿う断面説明図である。
このアクチュエータ基板1は、シリコン基板110上に絶縁膜111を形成し、この絶縁膜111上に個別電極層112を形成し、個別電極層112をパターニングすることで各液室6に対応する個別電極12を形成し、個別電極層112上に個別電極側絶縁膜113を成膜して被覆している。この個別電極側絶縁膜113上には犠牲層エッチングで除去されることで空隙14を形成し、また残存されることで空隙間隔壁部15を形成する犠牲層114が形成され、この犠牲層114上に多層膜からなる振動板20が形成されている。
振動板20は、犠牲層114上に、絶縁膜122、共通電極となる振動板電極層123、応力調整膜124、犠牲層除去孔封止膜を兼ねる膜剛性調整膜125及び接液膜126を順次積層形成したものである。振動板20の振動板電極層123は、図4に示すように、分離溝128によって各空隙14に対応する振動板領域120に分離されている。
ここで、分離溝128は空隙間隔壁部15と振動板領域120で段差が生じないように設けられている。また、振動板領域120の短辺長a、長辺長bは、例えば短辺長a:60μm、長辺長b:1000μmであり、振動板領域120を静電気力で変位させるために、電圧を印加できるようになっており、振動板領域120に対応して個別電極層112をパターニングして個別電極12をそれぞれ形成している。
また、犠牲層114及び個別電極層112を除去することで、空隙間隔壁部15の長手方向に沿って空隙間隔壁部15の下側には個別連通路16が形成され、また、ノズル4の並び方向に沿って各個別連通路16にそれぞれ連通する共通連通路18が形成され、更に、空隙14の底部の個別電極側絶縁膜113には空隙14と個別連通路16を連通する個別連通路孔17が形成されている。
ここで、この犠牲層プロセスを行うため、振動板20の絶縁膜122、振動板電極層123及び応力調整膜124を貫通する犠牲層除去孔130を形成している。また、個別連通路孔17は個別電極側絶縁膜113の下側の個別電極層112を除去して個別連通路16を形成する犠牲層除去孔を兼ねている。
この場合、犠牲層除去孔130及び個別連通路孔17は、振動板領域120の長辺方向に等間隔に振動板領域120の短辺長以下の間隔で配置されており、対向する辺の同位置に犠牲層除去孔130及び個別連通路孔17が形成されている。このように、犠牲層除去孔130及び個別連通路孔17を複数配置することにより、犠牲層除去孔130から空隙14と共通連通路18を効率良く形成することができる。また、個別連通路孔17により、個別連通路16を空隙14、共通連通路18と同時に形成することができる。
犠牲層エッチングは等方性エッチングのため、振動板領域120の中央に犠牲層除去孔130が並んでいる方が犠牲層114の除去効率は高い。しかしながら、振動板領域120(変位領域)に犠牲層除去孔130を設けるとアクチュエータの振動特性に影響を及ぼす可能性があるため、犠牲層除去孔130は振動板領域120外に配置することが好ましい。また、個別連通路孔17は、振動板20の静電力に影響を及ぼさないように、なるべく振動板領域120の短手方向端付近に配置することが好ましい。また、後の工程で犠牲層除去孔130は封止されるため、その影響が及ばないように個別連通路孔17と犠牲層除去孔130の配置は重ならないほうが好ましい。
なお、犠牲層エッチングを行った後には、犠牲層除去孔130を膜剛性調整膜125で完全封止される。また、図示しないが、外部電極への取り出しのため、配線層形成、裏面貫通インク供給口10及び蒸着重合法などで液滴の接液膜として樹脂膜126が形成されている。
このように構成したアクチュエータ基板1において、アクチュエータの信頼性を確保するために、空隙14内に疎水膜形成材料、例えばヘキサメチルジシラザン(HMDS)を、ガス導入口19から、図10に矢印で示すように、共通連通路18から個別連通路16及び個別連通路孔17を介して空隙14内に導入する。
このとき、振動板長辺方向両側、すなわち、空隙14の両側の隔壁部15長手方向に沿って配置された個別連通路16から空隙14の長手方向端部及び中央部に配置された複数の個別連通路孔17を介して、HMDSが空隙14内に導入されることになるので、効率よく短時間に空隙14内へ導入されることになる。
比較のために、図11に示す比較例のように、空隙14の長手方向端部に個別連通路16を配置した場合には、空隙14全体に均一にHMDS(疎水膜形成材料)を行き渡らせるためには、上記実施形態に比べてより多くの時間がかかり、効率が悪い。
また、上記実施形態のように空隙間隔壁部15の下側に個別連通路16を配置することによって、空隙間隔壁部15を設けて振動板20と個別電極12で構成される各アクチュエータの相互干渉を抑制することができる。また、共通連通路18と接続された個別連通路16に個別連通路孔17を介して、前述の減圧下での犠牲層除去孔130の封止による大気と空隙14内部圧力の差圧による振動板20の撓み解消を行うこともできる。
なお、空隙14を外部から密閉した場合、コンダクタンスが十分なバッファ室を共通連通路18に接続して設けることで、環境温度、大気圧の変動による外部と空隙14内部との差圧解消を応答性良く行うこともできるようになる。
このように、隣り合う空隙間の隔壁部内には、隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を空隙と連通させる孔が隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている構成とすることで、空隙の隔壁部の長手方向の異なる位置に設けられている複数の孔から空隙内に短い時間で万遍なくガス導入を行うことができるようになり、空隙内へのガス導入を効率的に行うことができる。
次に、上述したアクチュエータ基板1の製造工程について図12及び図13を参照して説明する。なお、図12は図4のX2−X2線に沿う断面に相当する断面説明図、図13は図4のX3−X3線に沿う断面に相当する断面説明図である。
まず、各図(a)に示すように、例えば厚さ400μmのSi基板110の表面(ここでは両面)に厚さ1.6μmの絶縁膜(熱酸化膜)111を形成し、この絶縁膜111上にPドープポリシリコンを電極形成層112として厚さ0.6μm成膜する。そして、Pドープポリシリコン(電極形成層)112を、リソエッチ法により分離溝150を形成して、個別電極12となる部分112aと、個別連通路16を構成する部分112bと、個別連通路16と個別電極12との間の隔壁となる部分112cと、共通連通路18を形成する部分とに分離及びパターニングすると共に、後にシリコン基板110を貫通しインク供給口10を形成する部分を除去する。
そして、CVD酸化膜を厚さ0.15μmで堆積させて、Pドープポリシリコン(電極形成層)112で形成された個別電極12となる部分112aと個別連通路16を構成する部分112b、隔壁となる部分112c及び共通連通路18を形成する部分上に絶縁膜113を形成する。このとき、絶縁膜113は、各分離溝150内にも形成される。その後、絶縁膜113のうち、個別連通路孔17となる部分113aをリソエッチ法で除去し(図13(a)参照)、共通連通路18になる部分の絶縁膜113もリソエッチ法で除去する。
次に、各図(b)に示すように、絶縁膜113上に犠牲層としてノンドープポリシリコンを空隙間隔(ギャップ長)である例えば0.2μm厚さにCVD法により成膜する。そして、リソエッチ法により空隙14となる部分114aと、隔壁部15を構成する部分114b、共通連通路18となる部分とに分離及びパターニングするとともに、インク供給口10となる部分を除去する。
このとき、ノンドープポリシリコンからなる犠牲層で形成される空隙14となる部分114aと下層部を構成するポリシリコンからなる個別連通路16になる部分112cは、絶縁膜113の個別連通路孔17となる部分113aを介して連通されているので、犠牲層のポリシリコンと下層のポリシリコンは接した状態になり、一体化する。また、共通連通路18となる部分も絶縁膜113を開口しているため、同様に犠牲層ポリシリコンと下層のポリシリコンも接した状態になり、一体化する。このように、犠牲層を形成する材料をポリシリコンにすることにより、犠牲層として一般的に知られた汎用技術を用いることができ、他材料との選択性があり、プロセスの自由度が高く、低コストで、量産性に優れ、安定したアクチュエータを得ることができる。
その後、空隙14となる部分114a、隔壁部15を構成する部分114b、共通連通路18となる部分、及びインク供給口10となる部分上にCVD酸化膜を堆積させ振動板側絶縁膜122を厚さ0.15μm形成する。
次に、各図(c)に示すように、絶縁膜122上にPドープポリシリコン層を振動板電極層123として厚さ0.1μmで形成し、このポリシリコン層をリソエッチ法により、振動板電極120となる部分123aと隔壁部となる部分123bとに分離溝(開口)128で分離するとともに、インク供給口10となる部分を除去する。
このとき、同時に犠牲層と同じ材料からなる振動板電極層123が犠牲層エッチング時にエッチングされないようにするため、後に形成する犠牲層除去孔130よりも大きな開口径を有する開口(分離溝)128を形成する。そして、振動板電極層123上に、LP−CVD法により0.15μmの厚さにシリコン窒化膜を振動板撓み防止層124として堆積させる。このシリコン窒化膜からなる撓み防止層124は、分離溝128内にも形成されることで振動板電極層123の端面側を被覆する。
次に、各図(d)に示すように、リソエッチ法により振動板撓み防止層124としてのシリコン窒化膜及び絶縁膜122を通じて開口径2μmの犠牲層除去孔130を形成し、また、インク供給口となる部分のシリコン窒化膜(振動板撓み防止層124)、絶縁膜122を除去する。
そして、例えば、SFプラズマ処理やXeFガスによるドライエッチなどで犠牲層エッチングを行って、空隙14、共通連通路18、個別連通路16、個別連通路孔17となる部分のポリシリコン(犠牲層114、個別電極層112)を完全に除去することにより、空隙14、共通連通路18及び個別連通路16を形成する。ここで、空隙14と個別連通路16は個別連通路孔17を介して相互に連通している。なお、ここでは、犠牲層エッチングをドライエッチで行っているが、TMAH溶液、KOH溶液のウェットエッチを用いても構わない。
次に、各図(e)に示すように、犠牲層除去孔130の封止と振動板20の剛性調整を目的として、常圧CVD法により膜剛性調整膜125を形成する。このときの膜厚は、犠牲層除去孔130を封止可能な膜厚、例えば厚さ0.5μmとする。なお、この工程を実施することにより、空隙14は、封止され、外気と完全に遮断される。
その後、図示しないが、リソエッチ法によりインク供給口10となる部分の膜剛性調整膜125を除去した後、異方性エッチング、例えばICPエッチャにより、シリコン基板110を表面から背面まで貫通するようにエッチングして、インク供給口10を形成する。ここで、異方性エッチングでインク供給口10を形成することにより、加工形状制御性、微細加工性、及び加工精度、並びに高密度化の面等において高い効果を得ることができる。
次に、各図(f)に示すように、このアクチュエータ基板1表面全体に、被覆性の優れた蒸着重合法により接液膜126として樹脂膜を厚さ例えば1μmで成膜する。これにより、振動板20が形成される。その後、図示しない電極配線取り出しパッド部のみリソエッチ法により開口する。ここで、樹脂膜として用いる材料としては、例えばPBO膜(ポリベンゾオキサゾール)、ポリイミド膜、ポリパラキシリレンなどが挙げられるが、インクに対する耐腐食性があり、蒸着重合法であれば他のものでもよい。
その後、図示しないが、共通連通路18に相互に連通した大気開放孔(ガス導入口19)より、共通連通路18、個別連通路16、及び個別連通路孔17を介して空隙14内へ疎水性膜を形成する材料として、例えば、HMDSを導入した後、大気開放孔を封止剤で封止する。この場合、封止剤は、空隙14へは侵入せず、共通連通路18で止まるようにする。このように、大気開放孔を封止剤で封止することにより、空隙14内へ導入したガスが外部へ拡散することを防止し、かつ、外界からの異物や水分等の混入を防止することができ、信頼性の高いアクチュエータを得ることができる。
以上で、アクチュエータ基板1が完成するので、これに流路基板2及びノズル基板3を接合して液体吐出ヘッドが完成する。
次に、本発明の第2実施形態について図14ないし図17を参照して説明する。なお、図14は同実施形態に係る液体吐出ヘッドにおけるアクチュエータ基板の要部平面説明図、図15は図14のX4−X4線に沿う断面説明図、図16は図14のX5−X5線に沿う断面説明図、図17は図14のX6−X6線に沿う断面説明図である。
この実施形態では、隔壁部15の長手方向に沿って個別連通路16を2つの個別連通路16A,16Bに分離する個別連通路分離隔壁40を設け、個別連通路16A,16Bは隣り合う空隙14、14のいずれか一方に連通する構成としている。
つまり、アクチュエータ基板1上に流路基板2を接合する場合、流路基板2の液室間隔壁部9とアクチュエータ基板1の空隙間隔壁部15を接着剤で圧着接合するが、このとき、アクチュエータ基板1の隔壁部15の下側(下層)に個別連通路16が形成されていることで、強度が不足すると接合時に隔壁部15が破壊され不良となるおそれがある。
そこで、空隙間隔壁部15の下側で個別連通路16内に個別連通路分離隔壁40を設けることにより、更に隔壁15の強度が増すことにより、第1実施形態に比べて製造不良の低減、品質の安定化を図ることができる。
また、第1実施形態では、各個別連通路16は、空隙間隔壁部15の両側の空隙14、14と個別連通路孔17を介して相互に連通しているため、隣接する一方のアクチュエータが駆動することによる空隙14内の圧力変動の影響を他方のアクチュエータが受ける可能性があるが、この第2実施形態用のように個別連通路分離隔壁40を設けることにより、隣接するアクチュエータの影響を確実に低減でき、駆動特性の安定化及び信頼性の向上を図ることができる。
なお、この第2実施形態におけるアクチュエータ基板1の製造工程は、個別電極側絶縁膜111を分離するパターンを変更することで対応することができる。
次に、本発明の第3実施形態について図18を参照して説明する。なお、図18は同実施形態におけるアクチュエータ基板の図14のX3−X3線に沿う断面に相当する断面説明図である。
この第3実施形態では、シリコン基板110上の絶縁膜111に個別連通路16A、16Bの一部を形成する掘り込み部41a,41bによる空間を形成し、個別連通路16A、16Bの断面積を大きくしている。なお、共通連通路18についても同様に絶縁膜111の一部を用いて断面積を大きくする。
これにより、前記第1、第2実施形態よりも個別連通路の断面積を大きくでき、十分なコンダクタンスが得られることにより、空隙へのガス導入等を効率よく行うことができ、製造工程の効率化、低コスト化を図ることができる。
次に、本発明の第4実施形態について図19を参照して説明する。なお、図19は同実施形態におけるアクチュエータ基板の図14のX3−X3線に沿う断面に相当する断面説明図である。
この第4実施形態では、上記第3実施形態において、さらに、シリコン基板110にも個別連通路16A、16Bの一部を形成する掘り込み部42a,42bによる空間を形成し、個別連通路16A、16Bの断面積を第3実施形態よりも大きくしている。なお、共通連通路18についても同様にシリコン基板110の一部を用いて断面積を大きくする。また、シリコン基板110の掘り込み部42a,42bの壁面は絶縁膜111aを形成している。
これにより、前記第3実施形態よりも個別連通路の断面積を大きくでき、十分なコンダクタンスが得られることにより、空隙へのガス導入等を効率よく行うことができ、製造工程の効率化、低コスト化を図ることができる。
ここで、上記第3実施形態におけるアクチュエータ基板の製造工程について図20を参照して説明する。
同図(a)に示すように、厚さ例えば400μmのシリコン基板110上に絶縁膜111を1.5μm形成する。次に、個別連通路の一部となる掘り込み部41a、41bをリソエッチ法で形成する。ここで、後の犠牲層エッチングでシリコン基板110がエッチングされないように掘り込み部41a、41bの底部には絶縁膜111の一部(例えば100nm程度)残るようにする。
その後、同図(b)に示すように、掘り込み部41a、41bが後の犠牲層エッチングでエッチングされるポリシリコン160で完全に埋まるように成膜し、同図(c)に示すように、CMP法で研磨して絶縁膜111の表面が露出するまでポリシリコン160を除去する。
次に、上記第4実施形態におけるアクチュエータ基板の製造工程について図21を参照して説明する。
同図(a)に示すように、厚さ例えば400μmのシリコン基板110上に絶縁膜111を1.5μm形成する。次に、個別連通路の一部となる掘り込み部41a、41bをリソエッチ法でシリコン基板110が露出するまで掘り込み、更にリソエッチ法でシリコン基板110に個別連通路の一部となる掘り込み部42a、42bを形成する。そして、後の犠牲層エッチングでシリコン基板110がエッチングされないように掘り込み部42a、42bの壁面を酸化して酸化膜111aを100nm程度形成する。
その後、同図(b)に示すように、掘り込み部41a、41b及び掘り込み部42a、42bが後の犠牲層エッチングでエッチングされるポリシリコン160で完全に埋まるように成膜し、同図(c)に示すように、CMP法で研磨して絶縁膜111の表面が露出するまでポリシリコン160を除去する。
なお、上記第3実施形態及び第4実施形態についての製造工程の説明については、上記の各工程後、前述した第1実施形態で説明した同様に、個別電極層112の形成などを行い、犠牲層エッチングで掘り込み部41a、41b、又は加えて掘り込み部42a、42bのポリシリコン160を除去する。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの他の実施形態としての液体タンク一体型液体吐出ヘッドについて図22を参照して説明する。
この液体タンク一体型液体吐出ヘッド80は、ノズル81等を有するヘッド部82と、このヘッド部82に対して供給するインクを収容するインクタンク(液体タンク)83とを一体化したものである。これにより、信頼性の高い静電型アクチュエータを備えた液体タンク一体型液体吐出ヘッドを得ることができる。
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える画像形成装置の一例について図23及び図24を参照して説明する。なお、図23は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図24は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板201A、201Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234a、234b(区別しないときは「記録ヘッド234」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのヘッドタンク235a、235b(区別しないときは「ヘッドタンク35」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ36を介して、各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける液体回収容器であるインク回収ユニット(空吐出受け)288を配置し、このインク回収ユニット288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
この画像形成装置は本発明に係る液体吐出ヘッドを搭載しているので、信頼性が向上し、安定して高画質画像を形成することができる。
次に、本発明に係る静電型アクチュエータを備えたマイクロデバイスとしてのマイクロポンプについて図25を参照して説明する。なお、同図は同マイクロポンプの要部断面説明図である。
このマイクロポンプは、本発明に係る静電型アクチュエータで構成したアクチュエータ基板401と、流路基板402とを有し、流路基板402には流体が流れる流路403を形成している。アクチュエータ基板401は、流路403の壁面を形成する振動板412と、この振動板412の変形可能領域411に犠牲層エッチングで形成した空隙(ギャップ)413を介して対向する個別電極414とを備えている。
このアクチュエータ基板401の構成も前記液体吐出ヘッドの各実施形態と同様であり、シリコン基板421上に絶縁膜422を形成し、この絶縁膜422上に個別電極414を形成して絶縁膜425で被覆し、この絶縁膜425上に犠牲層427を形成し、更に振動板412のうちの一部の膜を形成した後犠牲層エッチングを行なって空隙413を形成したものであり、空隙413間の隔壁部431の下側に個別連通路432を形成するとともに、絶縁膜425に図示しないが個別連通路432と空隙413を連通する個別連通路孔を形成し、更に個別連通路432がそれぞれ連通する共通連通路を形成したものである。
このマイクロポンプの動作原理を説明すると、前述した液体吐出ヘッドの場合と同様に、個別電極214に対して選択的にパルス電位を与えることによって振動板411との間で静電力による吸引作用が生じるので、振動板412が電極414側に変形する。ここで、振動板412の変形可能領域411を図中右側から順次駆動することによって流路403内の流体は、矢印方向へ流れが生じ、流体の輸送が可能となる。
このように、本発明に係る静電型アクチュエータを備えることで、信頼性の高い静電型アクチュエータを備え、安定した液体輸送が可能な小型で低消費電力のマイクロポンプを得られる。なお、輸送効率を上げるために、変形可能領域間に1又は複数の弁、例えば逆止弁などを設けることもできる。
次に、本発明に係る静電型アクチュエータを備えた光学デバイスの一例について図26を参照して説明する。なお、同図は同デバイスの概略構成図である。
この光学デバイスは、表面が光を反射可能でかつ変形可能な振動板に相当するミラー500を含むアクチュエータ基板501を有している。ミラー500の表面は反射率を増加させるため誘電体多層膜や金属膜を形成する(これらは樹脂膜表面に形成する)と良い。
アクチュエータ基板501は、絶縁膜522を形成したベース基板521上に、変形可能なミラー500と、このミラー500の変形可能領域511に所定の空隙513を介して対向する電極514とを備えている。また、電極514上には絶縁膜525を形成し、空隙513は犠牲層527をエッチングして形成している。また、空隙513間の隔壁部531の下側に個別連通路532を形成するとともに、絶縁膜525に図示しないが個別連通路532と空隙513を連通する個別連通路孔を形成し、更に個別連通路532がそれぞれ連通する共通連通路を形成したものである。その他の構成についても、振動板がミラー面を有する構成となっている点が、前述の液体吐出ヘッドの実施形態で説明した静電型アクチュエータと異なるだけであるので、詳細な図示及び説明は省略する。
この光学デバイスの原理を説明すると、前述した静電型アクチュエータの場合と同様に、電極514に対して選択的にパルス電位を与えることによって、電極514と対向するミラー500の変形可能領域511間で静電力による吸引作用が生じるので、ミラー500の変形可能領域511が凹状に変形して凹面ミラーとなる。したがって、光源540からの光がレンズ541を介してミラー500に照射された場合、ミラー500を駆動しないときには、光は入射角と同じ角度で反射するが、ミラー500を駆動した場合は駆動された変形可能領域511が凹面ミラーとなるので反射光は発散光となる。これにより光変調デバイスが実現できる。
このように、本発明に係る静電型アクチュエータを備えることで、小型で低消費電力の光学デバイスを得ることができる。
そこで、この光学デバイスを応用した例を図27をも参照して説明する。この例は、上述した光学デバイスを2次元に配列し、各ミラー500の変形可能領域511を独立して駆動するようにしたものである。なお、ここでは、4×4の配列を示しているが、これ以上配列することも可能である。
したがって、前述した図26と同様に、光源540からの光はレンズ541を介してミラー500に照射され、ミラー500を駆動していないところに入射した光は、投影用レンズ542へ入射する。一方、電極514に電圧を印加してミラー500の変形可能領域511を変形させている部分は凹面ミラーとなるので光は発散し投影用レンズ542にほとんど入射しない。この投影用レンズ542に入射した光はスクリーン(図示しない)などに投影され、スクリーンに画像を表示することができる。
なお、上記実施形態においては、液体吐出ヘッドとしては、狭義のインク以外にも、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液体吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液体吐出ヘッドなどの他の液体吐出ヘッドにも適用できる。また、静電型アクチュエータは、マイクロポンプ、光学デバイス(光変調デバイス)、マイクロスイッチ(マイクロリレー)、マルチ光学レンズのアクチュエータ(光スイッチ)、マイクロ流量計、圧力センサなどにも適用することができる。
本発明の第1実施形態に係る静電型アクチュエータを備えた本発明に係る液体吐出ヘッドの斜視説明図である。 同ヘッドの分解斜視説明図である。 同ヘッドのアクチュエータ基板の要部平面説明図である。 同アクチュエータ基板の説明に供する要部平面説明図である。 図4のY1−Y1線に沿う断面説明図である。 図4のY2−Y2線に沿う断面説明図である。 図4のX1−X1線に沿う断面説明図である。 図4のX2−X2線に沿う断面説明図である。 図4のX3−X3線に沿う断面説明図である。 同アクチュエータ基板に対するガス導入経路の説明に供する平面説明図である。 比較例におけるアクチュエータ基板に対するガス導入経路の説明に供する平面説明図である。 同ヘッドのアクチュエータ基板の製造工程の説明に供する図4のX2−X2線に沿う断面に相当する断面説明図である。 同じく図4のX3−X3線に沿う断面に相当する断面説明図である。 本発明の第2実施形態におけるアクチュエータ基板の要部平面説明図である。 図14のX4−X4線に沿う断面説明図である。 図14のX5−X5線に沿う断面説明図である。 図14のX6−X6線に沿う断面説明図である。 本発明の第3実施形態におけるアクチュエータ基板の要部断面説明図である。 本発明の第4実施形態におけるアクチュエータ基板の要部断面説明図である。 本発明の第3実施形態におけるアクチュエータ基板の製造工程の説明に供する要部断面説明図である。 本発明の第4実施形態におけるアクチュエータ基板の製造工程の説明に供する要部断面説明図である。 本発明に係る液体吐出ヘッドの他の例の説明に供する斜視説明図である。 本発明に係る画像形成装置の一例を説明する側面説明図である。 同画像形成装置の要部平面説明図である。 本発明に係るマイクロポンプの一例を説明する模式的説明図である。 本発明に係る光学デバイスの一例を説明する説明図である。 同光学デバイスの応用例の説明に供する斜視説明図である。
符号の説明
1…アクチュエータ基板
2…流路基板
3…ノズル基板
4…ノズル
5…ノズル連通路
6…液室(吐出室)
7…流体抵抗部
9…液室間隔壁
10…共通液室
12…個別電極(固定電極)
14…空隙
15…空隙間隔壁部
16、16A、16B…個別連通路
17…個別連通路孔
18…共通連通路
19…ガス導入口
20…振動板
80…液体吐出ヘッド
235…記録ヘッド
401、501…アクチュエータ基板

Claims (8)

  1. 液滴を吐出する複数のノズルと、各ノズルが連通する複数の液室と、各液室の少なくとも一部の壁面を形成する振動板及びこの振動板に空隙を介して対向する固定電極を備え、前記振動板と固定電極間の静電力と前記振動板の機械的変位により前記ノズルから液滴を吐出させる液体吐出ヘッドにおいて、
    前記複数の液室に対応して複数の前記空隙が隔壁部を介して配置され、
    隣り合う前記空隙間の隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を前記空隙と連通させる孔が前記隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、
    更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記個別連通路は前記複数の孔を介して隣り合う前記空隙の一方の空隙に連通していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  3. 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、前記個別連通路は前記複数の孔を介して隣り合う両方の前記空隙に連通していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドにおいて、吐出される液体を収容する液体タンクが一体化されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  5. 液体吐出ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置において、請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
  6. 変形可能な振動板及びこの振動板に空隙を介して対向する固定電極を備えて、前記振動板と固定電極間の静電力で前記振動板を変形させる静電型アクチュエータにおいて、
    複数の前記空隙が隔壁部を介して配置され、
    隣り合う前記空隙間の隔壁部の長手方向に沿って個別連通路が設けられるとともに、この個別連通路を前記空隙と連通させる孔が前記隔壁部の長手方向の異なる位置に複数設けられ、
    更に各個別連通路を相互に連通する共通連通路が設けられている
    ことを特徴とする静電型アクチュエータ。
  7. 静電型アクチュエータによって液体を輸送するマイクロポンプにおいて、前記静電型アクチュエータが請求項6に記載の静電型アクチュエータであることを特徴とするマイクロポンプ。
  8. 静電型アクチュエータによって光の反射方向を変化させる光学デバイスにおいて、前記静電型アクチュエータが請求項6に記載の静電型アクチュエータであることを特徴とする光学デバイス。
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