JP2009051683A - 焼成体及びその製造方法 - Google Patents

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Yugo Nishiyama
雄悟 西山
Isamu Tei
偉 鄭
Daisuke Takanohashi
大介 鷹觜
Minoru Ikeda
実 池田
Hiroshi Iizuka
弘 飯塚
Mitsuaki Suzuki
光彰 鈴木
Susumu Sakai
奨 酒井
Yutaka Matsumoto
豊 松本
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Abstract

【課題】植物の生育に適しており、緑化材として好適な焼成体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】材料の混合工程として、発泡ガラス粉体とガレオナイトとを、重量比2:1で混合し、さらに水を15〜20%程度を混合する(S10)。つぎに、材料の成形工程として、ディスクロータ型の造粒機で、押し出し径8mmにて、適当な長さで切断する(S12)。つづいて、乾燥工程として、24時間自然乾燥を行う(S14)。それから、焼成工程として、300℃〜1000℃の焼成温度で、適当な時間焼成する(S16)。最後に、洗浄工程として、リン酸の溶液にて洗浄する(S18)。
【選択図】図2

Description

本発明は、焼成体及びその製造方法に係り、例えば、緑化資材に好適な焼成体及びその製造方法に関する。
現在、日本では年間約195万トンのガラスビンが使用され、そのうち約86万トンがリサイクルされずに、廃棄・埋め立て処分されている。
この廃棄・埋め立て処分されているガラスビンの再資源化及び有効利用が求められており、様々な利用形態が提案されている。その利用形態として、廃ガラスをカレット状に粉砕して、さらに発泡剤を混ぜて発泡ガラス(「泡ガラス」ともいう)を作ることが知られている。この発泡ガラスは、建設資材や、土壌改良材、さらに屋上の緑化材等として利用されている。
例えば、直径1〜10mm程度の発泡ガラスを集めブロック状に成型及び焼成し、焼成されたガラス焼成体をビルの緑化材や断熱材、フィルタなどに利用する技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、生成工程において、シルトでなる微細な粉状粘性鉱物質を添加し、発泡ガラス自体の内部気泡を連通させることで、吸水性能を向上させた技術が開示されている(特許文献2参照)。
特開2004−35287号公報 特開2003−55064号公報
ところで、ガラス焼成体である発泡ガラスを緑化材、特に、屋上緑化材に活用する場合、次のような課題がある。つまり、発泡ガラスは内部に独立気泡を有する構造となっているため、緑化材のために所定の大きさの粒(粒状成形体)に加工された状態では、粒単独では吸水及び保水性能が劣っており、改善が求められている。また、比重が軽いため、粒単独では、水に浮きやすく流亡しやすかったり、風に飛ばされやすく、この点でも改善が求められている。
また、特許文献1の技術では、発泡ガラスをブロック状に成型し固定しているため、風に飛ばされるおそれは少ないが、最小単位がブロック状であるため、植物の栽培においては、植物の根が伸長する空間が少なく、植物の生育環境としては必ずしも好ましくはない。また、苗を植え付けることができないという課題もある。また、材料として全て同じガラスを使用し、発泡ガラスの周囲のみを溶融・焼結させているため、焼成時間や焼成温度の管理が難しく、精度の高い制御が必要となる。そして、焼成工程の制御が不十分であると、ガラス焼成体の焼結が不十分で、成形がなされなかったり、焼結が行き過ぎてしまい、空隙が埋まってしまうおそれがある。また、ブロック状に成形する場合、体積が大きいため、発泡体の断熱効果によって、表面のみ溶融し、内部の焼結が不十分となるおそれもある。
また、特許文献2の技術では、発泡ガラス自体を多孔質として吸水性能を向上させているが、開示の通り、発泡ガラスに吸水された水の水素イオン指数(pH)は9以上の値となり、高いアルカリ性を示す。そのような水で植生可能な植物は、非常に限定されてしまい、また、植生可能であっても良好に植物を育成させることが難しいという課題もある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決し、植物の生育により適しており、緑化材として好適な焼成体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様は、焼成体に関する。この焼成体は、無機粒体及び無機バインダーを含む混合体を焼結して得られる焼成体において、前記無機バインダーが、無機酸イオンを含む多孔質である。
また、前記無機粒体は、発泡ガラス粒体であり、当該焼成体が前記発泡ガラス粒体及び前記無機バインダーを含む混合体を焼結して得られるガラス焼成体であってもよい。
また、前記無機バインダーは、前記焼成体のpHを8以下に下げてもよい。焼成体は、無機粒体及び多孔質である無機バインダーを含むため、多くの孔を有し、吸水性に優れる。また、前記無機バインダーは、焼成工程時にほとんど溶融しないため、前記焼成体において、無機粒体及び無機バインダー間に孔隙や形成される。このため、前記焼成体は吸水性に優れる。また、無機バインダーに含まれる無機酸イオンの効果により、焼成体のpHは8以下に下がる。このため、上記焼成体を用いて植物を栽培すると、例えば無機粒体が発泡ガラス粒体である場合、比較的高いpHを有する発泡ガラスの性質に由来する植物育成への悪影響が少なく、植物を良好に育成できる。
また、前記無機酸イオンが、硫酸イオンであってもよい。硫酸イオンは、例えば無機粒体が発泡ガラス粒体である場合、発泡ガラスに含まれアルカリ性を示す物質であるナトリウムやカルシウムと良好に結合する。このため、発泡ガラスのpHを良好に低下させる。
また、前記無機バインダーが、酸性白土を硫酸で処理することにより製造される板状構造粘土系鉱物であってもよい。
本発明の別の態様は、焼成体の製造方法に関する。この製造方法は、無機粒体と、無機酸イオンとを含み、かつ多孔質である無機バインダーとを混合する混合工程と、前記無機粒体と、前記無機バインダーとを混合し成形する成形工程と、前記成形工程において成形された成形体を焼成する焼成工程と、前記焼成工程において焼成された焼成体を冷却する冷却工程と、を有する。
また、前記無機バインダーが、酸性白土を硫酸で処理することにより製造される板状構造粘土系鉱物であってもよい。この物質は、廃棄されることが多く、有効利用が求められており、資源のリサイクルの観点で好ましい。
また、前記冷却工程後に、冷却された前記焼成体をリン酸又は水を用いて洗浄する洗浄工程を含んでもよい。リン酸又は水を用いて洗浄することで、無機粒体に含まれるナトリウムやカルシウムと無機酸イオンとが結合して生成された塩を除去できる。このため、そのよな塩が析出して植物育成を阻害する塩害を低減できる。
また、前記焼成工程における前記成形体の焼成温度が、300〜1000℃であってもよい。無機バインダーを溶融させずに焼成体を焼成することで、焼成体を多孔質にすることができる。
また、前記無機粒体は、発泡ガラス粒体であってもよい。
本発明によれば、焼成体について吸水性を向上させることができ、かつ、そのpHについて植物の育成に適する範囲にすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という。)を図面に基づき説明する。近年、屋上緑化を推進し、環境保護・公害対策や省資源・省エネルギー、さらには、癒やし空間の確保といったことが促進されるようになっている。環境保護・公害対策としては、都市部のヒートアイランド現象の軽減、雨水の流出のコントロールがあり、また、省資源・省エネルギーとしては、遮熱効果による省エネルギーや、建物の保護効果による耐久性の向上などがある。本実施形態では、廃ガラスを粒状体に加工したものを緑化資材とすること、特に、屋上の緑化資材に最適な資材の実現に関して説明する。なお、以下の実施形態において、「粒体」と記載するものは、ガラスなどにおける内部の結晶構造や含有物質をいい、「粒状成形体」と記載するものは、造粒機などによって材料を所定の形状及び大きさに加工したものをいう。
そこで、まず緑化資材に求められる主な特性及び廃ガラスを緑化資材に用いるときの留意点について説明する。第1に、植物が良好に生育するには、植物の根域での通気性(気相)と水分(液相)のバランスが重要となる。このバランスを保持するためには、固相に水分を保持させ、固相間に通気性を持たせる必要がある。そのため、緑化資材の粒(粒状成形体)自体に保水性を持たせる必要がある。
第2に、ガラス由来の資材は、一般にはアルカリ成分の比率が比較的高く、pH及び導電率が高いことが知られている。植物ごとに、その生育に許容されるpHや導電率の範囲があり、pHや導電率を適正な生育が期待できる範囲にする必要がある。
第3に、資材の運搬、設置のためには、資材は軽量であることが望ましい。特に、屋上緑化を想定した場合、耐荷重に限度がある屋根の上に積載するため、資材は軽量であることが必須ともいえる。一般には、建築基準法の要請により、可能な積載荷重は60kg/m以上が確保されている。つまり、最も厳しい条件では、積載荷重は60kg/mとする必要がある。一方、緑化資材、特に屋上緑化では、風による資材の飛散が問題となるため、風に飛ばされない資材が求められる。
そして第4に、リサイクルの促進になることである。上述のように、廃ガラスの有効なリサイクルは大きな課題となっており、コスト高となってはリサイクルは促進されない。つまり、従来あまり利用できないで破棄されてしまっている部材をいかにして活用するかにある。
つぎに、廃ガラスを焼成・発泡して生産したガラス多孔質軽量材であって、すでに市場に投入されている、一般的な製品の特徴について説明する。
図1は、現在市場に投入されているガラス多孔質軽量材(商品名「スーパーソル(登録商標)」、以下単に「SS」と称す)の特徴を示した表である。ここでは、「積載荷重(60kg/cm以下)」、「耐風性(風にとばされない)」、「維持管理(灌水・排水・除草が容易かつ病害虫の発生が少ない)」、及び「植物の生育に適しているか(pH、保水性が適している)」の4項目について評価している。「積載荷重」及び「維持管理」の観点では、良好な特徴を示している。一方、「耐風性」及び「植物生育に適正か」の観点では、改善が必要となっている。
また、廃ガラスなどからガラス多孔質軽量材を生産するときの課題として、その生産過程において所定の大きさ以下のガラス多孔質軽量材は選別にもれ、その結果、微細な粉末が大量に発生することがあげられる。粉末の径が、4mm未満となると、そのままでは微細すぎて、実際には用途があまりなく廃棄されている。一方、保水性の観点では、微細であるほうが好ましく、粉体の径が小さいと、植物の根が傷つきにくい。
そこで、本実施形態では、この粉体を成形及び再焼結して、屋上緑化資材として適したガラス焼結体(以下、「ソルボール」という)を実現した。以下に、ソルボールの構成、製造方法を説明するとともに、ソルボールの特性についての評価(実験結果)について説明する。
ソルボールの材料は、廃ガラスを発泡させ焼結させた発泡ガラスが所定の大きさとなった粉末と、焼成前に所望の大きさに成形するために利用する無機バインダーである。本実施形態では、この発泡ガラスの粉体として、上述のガラス多孔質軽量材SSを使用しており、以下、「発泡ガラス粉体(「発泡ガラス粒体」ともいう)」と称する。
発泡ガラス粉体は、所定の大きさ(粒径)の範囲となるように選別されており、ここでは4mm以下に径が整えられている。そして、発泡ガラス粉体の主成分(重量比)は、以下の通りである。
SiO: 70%
NaO: 13%
CaO: 11%
なお、発泡ガラス粉体の径は、4mm以下に限る趣旨ではなく、緑化植物や栽培環境に応じて、4mm以上の径の発泡ガラス粉体が用いられてもよい。また、発泡ガラスでなく廃ガラス(カレット)や、真珠岩やパーライトなどの無機物あるいはその多孔質発泡体であってもよい。
無機バインダーには、多孔質体の粉状粘性鉱物質を用いた。この粉状粘性鉱物質は、酸性白土を硫酸で処理することにより製造される、半人造の板状構造粘土系鉱物である。具体的には、酸性白土の一種であるモンモリロナイト系粘土を硫酸処理し「活性白土」を製造するときに生じる廃液を中和・圧縮・ろ過し、さらに固定化した材料(粉体)を用いた。なお、評価実験では、この材料として市販されており入手が容易な商品名「ガレオナイト(登録商標)」の粉体を用いた。なお、以下では、ガレオナイトを用いて生成されたソルボールを、ガレオナイト造粒ソルボールという。
なお、ガレオナイトの主成分(重量比)は、以下の通りである。
SiO: 12%
Al: 12%
Fe: 2%
NaO: 1%
CaO: 6%
MgO: 1%
SO 2−: 11%
また、ガレオナイトの粒径は、発泡ガラス粉体の径と同じく、4mm以下である。また、ガラス焼結体において、ガレオナイトの含有量は20重量%〜70重量%であることが好ましい。ガレオナイトの含有量が20重量%より小さいと、pHを適正値まで下げることができず、また、70重量%より大きいと焼結できず、保水量を確保できない。
つぎに、ガレオナイト造粒ソルボールの製造手順について説明する。図2は、ガレオナイト造粒ソルボールの製造手順の概略を示したフローチャートである。
まず、材料の混合工程として、上記の様に径が整えられた発泡ガラス粉体(粉末SS)と、無機バインダーであるガレオナイトとを、重量比2:1で混合し、さらに水を重量比で15〜20%程度、更に必要に応じて増粘作用のみの機能を有する材料(以下、「増粘材」という)を混合する(S10)。なお、この混合の比は、製品の使用環境に応じて適宜変更すればよい。例えば、高い保水力が求められる場合は、発泡ガラスの比率を低くする。また、水や増粘材の混合量(比率)は作業性の観点で、適当な配合比率とすればよい。
つぎに、材料の成形工程として、ディスクロータ型の造粒機で、押し出し径8mmにて、適当な長さで切断する(S12)。なお、押し出し径や切断長は、製品の使用環境に応じて適宜設定可能である。また、使用する造粒機のタイプも、パン型造粒機などを使用してもよい。また、型による成形も可能である。
つづいて、乾燥工程として、24時間自然乾燥を行う(S14)。それから、焼成工程として、300〜1000℃の焼成温度で、適当な時間焼成する(S16)。焼成温度は、発泡ガラスが焼成すると共に、保水性確保の観点で無機バインダーが溶解しない温度である。また、焼成時間は、ソルボールが、完全に焼成するに必要な時間であり、粒径や選択した材料によって適宜変更する。例えば、800℃の焼成温度であれば50分間焼成を行う。
そして、最後に、洗浄工程として、リン酸の溶液にて洗浄する(S18)。
以上の構成及び製造工程にて生成されたガレオナイト造粒ソルボールについて、3種類の比較材料と共に、特性の測定実験を行ったので、その結果を以下に説明する。図3は、測定実験に使用した試料名称を、3種類の比較材料とともに含め示している。使用した資材は、上述のガレオナイト造粒ソルボール(試料名:ガレオナイト)、ガレオナイトの代替バインダーとしてコーンスターチ(デンプン)を用いたコーンスターチ造粒ソルボール(試料名:コーンスターチ)、市販の緑化資材であって建設汚泥を粒状(造粒体)に焼成した汚泥焼成土、及びスーパーソル(試料名:ガラス多孔質軽量材)である。なお、コーンスターチ造粒ソルボールのコンスターチとスーパーソルの重量比は、1:20である。また、汚泥焼成土は、粘土成分が約75%の多孔質体である。
保水性の測定では、含水試料100mlについて測定した。含水試料は、以下の手順で準備した。
(1)容量100mlのビーカに、試料を満杯(概ね100ml)になるように入れる。
(2)試料が入ったビーカに水を入れ、試料の空隙を水で満たし、ビーカ100mlに含まれる含水試料(試料及び水)の重量Vを測定する。
(3)底が業務用ワイパ(紙ウェス)の円筒容器を用意し、底の業務用ワイパを水で湿らす。
(4)円筒容器に含水試料を投入し、底から1分間、重力水が出なくなったときの含水重Wを測定する。この状態が、各試料における最大保水状態である。
(5)赤外線水分計((株)ケット科学研究所製;FD−230)にて、50℃で含水試料を乾燥させる。乾燥のときには、測定用の皿全体に、試料を厚さが均一になるように投入する。そして乾燥中、5分毎に蒸発水量(蒸発した水分/含水重W)を測定した。測定値が定常状態となったときの蒸発水量が、含水試料の含水量であり、この値が大きいほど試料の保水の性能が良好であることを意味している。また、蒸発に要する時間が長いほど保水の性能が良好であることを意味している。
図4は、上記の4種類の試料の保水性に関する測定結果を示すグラフである。本図に示すように保水性は、ガレオナイト造粒ソルボールが最も良好であり、以降順に、汚泥焼成土、コーンスターチ造粒ソルボール、ガラス多孔質軽量材(SS)であった。
また、図5は、各試料の最大保水状態の三相分布の測定結果を示したグラフである。気相は、通気及び排水の性能に関係し、一般には、植生において25〜30%が適正と言われる。固相は、植物の支持及び緩衝の性能に関係し、40〜50%が適正と言われている。また、液相は、保水の性能に関係し、25〜30%が適正と言われており、屋上緑化においては、この保水の性能が非常に重要になる。
本図に示すとおり、各試料とも気相は十分であるが、液相に関しては、ガレオナイト造粒ソルボールが29.47%、汚泥焼成土が21.69%、コーンスターチ造粒ソルボールが17.07%、ガラス多孔質軽量材(SS)が15.01%であり、上述の適正範囲内に含まれる試料は、ガレオナイト造粒ソルボールだけであった。
図6は、走査型電子顕微鏡(SEM)で各試料の表面を拡大撮影した写真を示している。ガレオナイト造粒ソルボールに関しては、多くの孔(空隙)が形成されており、その径は、大きいもので50μm程度である。また、無機バインダーであるガレオナイトの粒は溶融しておらず、また粒の周囲や粒の間に細かな孔隙が形成されている。
コーンスターチ造粒ソルボールでは、孔の径は、ガレオナイト造粒ソルボールと同程度で最大で50μm程度であるが、孔の数は少ない。また、有機バインダーであるコーンスターチは焼成時に焼失し、ガラス多孔質軽量材(SS)は溶融し細かい孔が塞がっている。
ガラス多孔質軽量材(SS)では、内部が単独気泡となっており、気泡間をつなぐ連通孔がない。したがって、保水の性能の観点では、この構造は弱みとなる。
汚泥焼成土では、孔の径は、大きいもので2μm程度であり、極微細な粒の集合体となっている。
図7は、試料の比重の測定結果を示すグラフである。ここでは、かさ比重と真比重の2種類について測定している。なお、「かさ比重」は、焼成体内部の空隙や焼結体間の空間も含めた体積を基準にした比重であり、「真比重」は、焼結体の連続空隙や焼結体間の間隙等、水が入り込む部分を除いた体積を基準にした比重である。ガレオナイト造粒ソルボールは、真比重の値から分かるように、単体では汚泥焼成土と同程度で比較的重い。一方、かさ比重は、汚泥焼成土の値の1/2程度であり、集団では軽い。したがって、ガレオナイト造粒ソルボールに屋上等に積載したときに、汚泥焼成土と比較して積載荷重を小さく押さえることができる。また、ガラス多孔質軽量材(SS)よりは真比重が比較的高く、風によりガレオナイト造粒ソルボールが飛ばされてしまうことを防止できるレベルにあり、一般的に要求される耐風性は十分に満たしている。
図8は、各試料のpHの推移を示したグラフである。ここでは、各試料を所定の大きさのパレットに詰め屋外に設置し、pHの推移を測定した。ここで用いた試料は、ガレオナイト造粒ソルボール、コーンスターチ造粒ソルボール、汚泥焼成土であり、ガレオナイト造粒ソルボール及びコーンスターチ造粒ソルボールについては、それぞれリン酸処理により中和・洗浄を施した試料(図中「洗浄」を付加表記)と処理を施していない試料の2種類用いた。
図示の通り、測定開始時点では、リン酸処理をしていないガレオナイト造粒ソルボール及びコーンスターチ造粒ソルボールではpHが10弱であり、リン酸処理を施したコーンスターチ造粒ソルボールは及び汚泥焼成土では、pHが9弱であり、リン酸処理を施したガレオナイト造粒ソルボールでは、pHが概ね7.5である。一般の植物に適正なpHは、5〜7程度であり、また、屋上緑化に利用が予想されるセダム類では、上限を8程度にする必要がある。したがって、植栽初期にあたる測定開始時点において、pHが8以下となっているのは、リン酸処理を施したガレオナイト造粒ソルボールである。
また、概ね50日経過時点では、pHが8以下となっているのは、2種類のガレオナイト造粒ソルボールと汚泥焼成土であり、コーンスターチ造粒ソルボールのpHは、リン酸処理に関係なく9前後の値となっている。
この測定結果から、ガラス多孔質軽量材(SS)では、ガラス成分に由来するアルカリ成分を、リン酸処理や通常想定される降雨では十分に中和できない。一方、ガレオナイト造粒ソルボールでは、リン酸処理や通常想定される降雨によって、十分に中和可能である。これは、無機バインダーであるガレオナイトに含まれる硫酸イオンの貢献によると解される。測定結果からは、ガレオナイトに含まれる硫酸イオンのみでも十分に中和可能であるが、使用の初期段階から適正なpHを実現するためには、リン酸処理を施すことが好ましい。なお、水処理であってもガレオナイトの硫酸イオンをガラス由来のアルカリ成分に反応させることができるので、リン酸に替わって水により洗浄処理を行ってもよい。
図9は、試料の導電率の推移の計測結果を示したグラフである。ここでは、pHを計測した試料と同じ種類の試料について計測している。pH調整を施していないガレオナイト造粒ソルボールでは、非常に高い導電率を示している。pH調整を施していないガレオナイト造粒ソルボールは、実験を開始した直後に、表面が白色化する現象が現れた。白色化した物質の成分は、EDX(X線マイクロアナライザー)分析結果によると、ナトリウム(Na)49%、硫黄(S)35%、カルシウム(Ca)16%であった。つまり、白色化した物質は、硫酸ナトリウム及び硫酸カルシウムであった。ナトリウム(Na)はガラス多孔質軽量材(SS)由来であり、硫黄(S)はガレオナイト由来と解される。この硫酸ナトリウムや硫酸カルシウムが、高い導電率の要因と解される。一般には、導電率は、540μS/cm以下が適正値と言われており、降雨等で適正化するまでには、ある程度の期間が必要とされるため、製造時においてpH調整を行うことが望ましい。
また、上記の試料を用いて、植物としてセダムを植栽して生育状況を確認したので、以下に説明する。一般に、植物の栽培管理において手間がかかる作業として、除草がある。緑化資材は、除草しやすいという特徴があるが、雑草の生えにくい環境にすることにより除草作業を省くことができる。セダムは乾燥に強く、適応pHの範囲も広い。そのため雑草を生やさずセダムだけを育成するには、乾燥気味でpHを高めにした生育環境とすることが有効である。
つまり、セダムの生育環境として限界に近い状態であれば、雑草が発生せず、セダムだけを適正に生育できる。例えば、一般の植物の生育環境として好適な条件とした場合、次のような特徴がある。つまり、植物体が徒長してしまい、乾燥に耐えられず枯れやすくなる。また、雑草が繁茂してしまい、維持・管理に手間がかかってしまう。
以上、本実施の形態のガレオナイト造粒ソルボールの作用及び効果を図10をもとにまとめて説明すると、以下のようになる。なお、図10(a)は、ガレオナイト造粒ソルボールを屋上緑化に適用した状態を模式的に示した図であり、図10(b)はガレオナイト造粒ソルボールの内部構造(発泡ガラス及びガレオナイト)を模式的に示した図である。
(1)保水性がよく、わずかな水量であっても、全体に行き渡り、乾燥に強い。また、保肥性もよい。
(2)資材間の間隔が広く、常に通気性が確保でき、さらに雑草を除草しやすい。また良好な排水性能を示す。したがって、適正な三相分布の維持・管理が容易で、多雨及び乾燥にも良好に対応できる。したがって、病害が発生しにくい。
(3)ガラスを主原料としているため、比重が重い。また粒径が比較的大きい。したがって、風に飛ばされにくい。
(4)気相の割合が高いので、水分の割合を少なくでき、資材を積載する場所にかかる荷重を小さくできる。したがって、屋上緑化に好適である。
(5)pHや導電率を低減することができ、植物が健全に生育できる環境を実現できる。また、内部の独立気泡が連通していない(多孔質となっていない)発泡ガラスを用いた場合、ガラスの表面積が大きくないため、pHを適正に維持するときに効果的である。なお、従来例(特許文献2)のように発泡ガラスの独立気泡を連通させ、発泡ガラス自体が多孔質体である場合、pH調整を十分に行う必要がある。
(6)無機質の資材であるので、腐敗が発生せず、その結果、病害虫の温床にならいため、病害虫の被害が少ない。
(7)使用されるときに、型崩れしにくいため、上記の性能・特徴を長期に亘り維持可能である。
(8)資材を製造するときに、適正な焼成温度と時間の幅が広く、安定した良品の資材を多数確保できる。つまり、生産性が良好である。
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、無機バインダーとして、鉱酸イオンとして硫酸イオンを含んだ粉状粘性鉱物質であるガレオナイトを例示したが、他に塩酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンを含む粉状粘性鉱物質が用いられてもよい。つまり、ガラスに由来するアルカリ成分を中和する機能を有する物質が含まれる無機バインダーであればよい。また、無機バインダーの主成分として粉状粘性鉱物質を例示したが、他に多孔質体としての構造を有する物質であり、また、焼成工程にて焼失しない物質であればよい。
市場に投入されているガラス多孔質軽量材の特徴を示した表である。 本実施形態に係るガレオナイト造粒ソルボールの製造手順の概略を示したフローチャートである。 本実施形態に係る実施例における、測定実験に使用した試料名称を、3種類の比較材料とともに含め示している。 本実施形態に係る実施例における、4種類の試料の保水性に関する測定結果を示すグラフである。 本実施形態に係る実施例における、各試料の最大保水状態の三相分の測定結果を示したグラフである。 本実施形態に係る実施例における、走査型電子顕微鏡(SEM)で各試料の表面を拡大撮影した写真を示している 本実施形態に係る実施例における、試料の比重の測定結果を示すグラフである。 本実施形態に係る実施例における、各試料のpHの推移を示したグラフである。 本実施形態に係る実施例における、試料の導電率の推移の計測結果を示したグラフである。 本実施形態に係る実施例における、ガレオナイト造粒ソルボールを屋上緑化に適用した状態及び内部構造を模式的に示した図である。

Claims (10)

  1. 無機粒体及び無機バインダーを含む混合体を焼成して得られる焼成体において、
    前記無機バインダーが、無機酸イオンを含む多孔質であることを特徴とする焼成体。
  2. 前記無機粒体は、発泡ガラス粒体であり、当該焼成体が前記発泡ガラス粒体及び前記無機バインダーを含む混合体を焼結して得られるガラス焼成体であることを特徴とする請求項1に記載の焼成体。
  3. 前記無機バインダーが、前記焼成体のpHを8以下に下げることを特徴とする請求項1又は2に記載の焼成体。
  4. 前記無機酸イオンが、硫酸イオンであることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の焼成体。
  5. 前記無機バインダーが、酸性白土を硫酸で処理することにより製造される板状構造粘土系鉱物であることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の焼成体。
  6. 無機粒体と、無機酸イオンとを含み、かつ多孔質である無機バインダーとを混合する混合工程と、
    前記無機粒体と、前記無機バインダーとを混合し、成形体を成形する成形工程と、
    前記成形体を焼成して、焼成体を形成する焼成工程と、
    を有することを特徴とする焼成体の製造方法。
  7. 前記無機バインダーが、酸性白土を硫酸で処理することにより製造される板状構造粘土系鉱物であることを特徴とする請求項6に記載の焼成体の製造方法。
  8. 前記焼成工程後に、前記焼成体をリン酸又は水を用いて洗浄する洗浄工程を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の焼成体の製造方法。
  9. 前記焼成工程における前記成形体の焼成温度が、300〜1000℃であることを特徴とする請求項6から8までのいずれかに記載の焼成体の製造方法。
  10. 前記無機粒体は、発泡ガラス粒体であることを特徴とする請求項6から9までのいずれかに記載の焼成体の製造方法。
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