JP2009048798A - 無電極放電ランプ用気密容器および無電極メタルハライド放電ランプ - Google Patents

無電極放電ランプ用気密容器および無電極メタルハライド放電ランプ Download PDF

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Abstract

【課題】
多結晶アルミナセラミックスのクラック発生による破裂を低減した無電極放電ランプ用気密容器およびこれを備えた無電極メタルハライド放電ランプを提供する。
【解決手段】
無電極放電ランプ用気密容器1は、包囲部1aおよび包囲部1aに連通するとともに封止部SPが形成される細管部1bを備え、少なくとも包囲部1aおよび細管部1bのいずれか一方が平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、透光性セラミックスを用いて形成された無電極放電ランプ用気密容器およびこれを備えた無電極メタルハライド放電ランプの改良に関する。
透光性セラミックスを用いて形成された発光体容器すなわち誘導結合形無電極放電ランプ用気密容器を備えた無電極放電ランプ装置は既知である(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1を始め従来既知のこの種無電極メタルハライド放電ランプは、発光体容器の透光性セラミックスに多結晶アルミナを用いているが、その結晶体粒径については開示されていない。
本発明者の調査によれば、従来放電ランプに使用される透光性アルミナセラミックスは、その平均結晶粒径が数十μmであるので、従来の多結晶アルミナセラミックスを用いた誘導結合形無電極放電ランプ用気密容器を備えた無電極放電ランプ装置もまた上記と同様な平均結晶粒径の透光性アルミナセラミックスを用いるものと推定される。
特開平07−262971号公報
ところが、従来の従来の多結晶アルミナセラミックスを用いた無電極メタルハライドランプにおいては、以下の問題がある。すなわち、有電極形のメタルハライドランプに比較すると無電極放電ランプ用気密容器のクラックによる破裂が頻発する。この破裂には、主として包囲部に発生するクラックによるものと、主として包囲部に連通する細管部に発生するクラックよるものとがあるが、いずれの破裂も無電極放電ランプの場合、点滅の際のヒートショックが強いとともに、放電アークが無電極放電ランプ用気密容器の内壁面に接近した位置に発生するのが原因していると考えられる。
とりわけ、誘導結合形無電極放電ランプにおいては、気密容器の外周に配置されている誘導コイルに対向する無電極放電ランプ用気密容器の内壁面に近接した位置に放電アークがリング状に形成されるため、当該位置の温度上昇が激しくなって気密容器の温度分布が極端に不均一になり、その結果気密容器のクラックによる破裂が頻発しやすくなる。しかし、マイクロ波励起形など誘導結合形以外の無電極放電ランプでも無電極放電ランプ用気密容器のクラックによる破裂が発生しやすいという傾向が有電極形の高圧放電ランプに比較して顕著に発生する。
本発明は、多結晶アルミナセラミックスのクラック発生による破裂を低減した無電極放電ランプ用気密容器およびこれを備えた無電極メタルハライド放電ランプを提供することを目的とする。
本発明の無電極放電ランプ用気密容器は、包囲部および包囲部に連通するとともに封止部が形成される細管部を備え、少なくとも包囲部および細管部のいずれか一方が平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成されていることを特徴としている。
本発明は以下の態様を許容する。
無電極放電ランプ用気密容器の少なくともクラックが発生しやすい包囲部および細管部の少なくともいずれか一方の部分を平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックス用いて構成している。なお、好ましくは無電極放電ランプ用気密容器の絶縁体部分のほぼ全体すなわち包囲部および細管部を構成する。さらに好ましくは無電極放電ランプ用気密容器の封止部を含めて全体がをセラミックスにより形成される。
また、無電極放電ランプ用気密容器を構成する透光性多結晶アルミナセラミックスの平均結晶粒径は、本発明において一般的には上記のように3μm以下であるが、好適には1μm以下である。なお、透光性多結晶アルミナセラミックスの平均結晶粒径の下限値は、理論上制限がないが、製造の容易性を考慮すると0.2〜2.5μm、実用的には約0.5μm程度である。
無電極放電ランプ用気密容器の包囲部は、その内部に放電空間が形成されている。細管部は、包囲部に連通しているとともに、その一部に封止部が形成される。そして、主として排気、封入および封止のために用いられる。なお、排気は、封入に先立って行う無電極放電ランプ用気密容器内部の排気をいう。封入は、無電極放電ランプ用気密容器内部への放電媒体の封入をいう。封止は、一対の細管部を付設する場合には、排気に先立ってその一方を閉鎖すること、および他方の細管部を排気および封入後に閉鎖することをいい、その結果無電極放電ランプ用気密容器の内部を外部の雰囲気に対して遮断する。
平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスは、その耐ヒートショック性および機械的強度が、平均結晶粒径が上記より大きな透光性多結晶アルミナセラミックスのそれらより高い。また、後述するようにセラミックスの融着によって細管部を封止するいわゆるフリットレス封着を行う場合、細管部のセラミックスの溶融温度が、平均結晶粒径が3μmより大きいセラミックスのそれより若干低下する作用をも呈する。なお、包囲部の平均結晶粒径が3μm以下であっても、溶融温度の低下は無電極放電ランプの動作に影響しない程度であり、問題はない。なお、所望により細管部を平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスで形成する場合には包囲部を、また包囲部を平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスで形成する場合には細管部を、平均結晶粒径を3μmを超える透光性多結晶アルミナセラミックスを用いてもよい。しかし、包囲部および細管部をともに平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスで形成することにより、クラック発生による破裂が非常に低減するので、頗る好ましいことである。
包囲部は、その形状を無電極放電の形式に応じたものに適応させればよい。例えば、誘導結合形の無電極放電ランプの場合、包囲部内部の放電空間にリング状の放電アークが形成されるので、包囲部は縦断面が楕円形の円盤状をなしているのが好ましい。また、マイクロ波駆動形の無電極放電ランプの場合、放電アークが球体状を呈するので、包囲部は球体状をなしているのが好ましい。
細管部は、排気、封入および封止に支障を来たさない内径、肉厚および長さを有するように構成される。なお、所望により細管部の外面に始動補助のための外部電極を配設することができる。
細管部に封止部を形成する手段は、本発明において特段限定されない。例えば、透光性セラミックス気密容器を備えた有電極の高圧放電ランプにおいて一般的に採用されているフリットガラスを用いるフリット封止により封止することができる。また、所望により細管またはそれと同質のセラミックスを加熱溶融させて行うフリットレス封止により封止することもできる。フリットレス封止を採用する場合、封止部の耐熱温度が高くなるので、細管の長さをフリット封止より短くすることができる。その結果、最冷部温度を高く設定することができ、その分高い発光効率を得ることができる。
また、フリット封止およびフリットレス封止のいずれにおいても、封止部に導電性部材、例えばニオブや導電性サーメットの棒体またはニオブとサーメットの直列接続体を挿通して封止することができる。なお、ニオブが外部側で、導電性サーメットが包囲部側として、両者に跨る位置で封止が行われるのがよい。
しかし、無電極放電ランプの場合、包囲部の内部に導電部材を経由して給電する必要がないので、封止部に導電部材を挿通する必要がない。このような場合には、細管部に導電部材に代えて非導電性の部材、好ましくはアルミナセラミックス部材を挿通して封止することができる。なお、非導電性の部材として実際上導電性を有さないサーメット部材を挿通して封止することができる。上記サーメットとしては、例えばモリブデンなどの導電性金属のセラミックスに対する混合割合を容積比で15〜40%程度とするのがよい。これにより、細管部の外部からレーザーを照射するなどの加熱手段により封止予定部を加熱すると、最初サーメットが加熱されて温度上昇し、次に熱伝導により細管部が加熱され、やがてセラミックスが溶融するので、細管部の加熱溶融してフリットレス封止部が形成されやすくなる。以上のようにして形成された封止部は、実際上導電性部材を含まないので、セラミックスと導電性部材との間の熱膨張係数の差に起因するかラックがより一層発生しにくくなる。なお、封止部に部材を挿通しないでも細管部を溶融させて直接融着することにより、封止部を形成することもできることは詳述するまでもない。
次に、本発明の無電極放電ランプ用気密容器を用いて構成される無電極放電ランプは、以上説明した態様の無電極放電ランプ用気密容器に加えて放電媒体および無電極形電気エネルギー供給手段を具備している。なお、放電媒体は、無電極放電を行うための媒体であるが、本発明において特段限定されない。例えば、放電媒体として始動ガスとしての希ガスおよび発光金属のハロゲン化物を用いることにより、無電極メタルハライドランプを構成することができる。
また、無電極形電気エネルギー供給手段は、無電極で例えば無線周波の電気エネルギーを放電媒体を封入した無電極放電ランプ用気密容器に供給して、その内部に封入されている放電媒体の無電極放電を生起させる手段である。無電極形電気エネルギー供給手段としては、例えば無電極放電ランプ用気密容器の外周に誘導コイルを配設することにより、誘導結合形無電極放電ランプを構成することができる。また、電気エネルギー供給手段としてメッシュ状のマイクロ波共振器を用いて、その内部に放電媒体を封入した無電極放電ランプ用気密容器を収納させることにより、マイクロ波駆動形の無電極放電ランプを構成することができる。
本発明においては、無電極放電ランプ用気密容器の包囲部および細管部の少なくともいずれか一方を平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成することにより、当該部分の耐ヒートショック性と機械的強度が一般的に従来から用いられている平均結晶粒径が大きい透光性多結晶アルミナセラミックスのそれより高くなる。このため、本発明の無電極放電ランプ用気密容器を用いて無電極放電ランプを製作すると、クラック発生による無電極放電ランプ用気密容器の破裂が顕著に低減する。その結果、従来は1万時間程度であったが、本発明によれば、3〜6万時間程度まで寿命が延伸する無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを提供することができる。
また、包囲部および細管部をともに平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成するのでことにより、より一層寿命が延伸する無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを提供することができる。
さらに、包囲部、細管部および封止部が透光性多結晶アルミナセラミックスであり、導電性部材を含まないことにより、熱膨張係数の差がなくなり、より一層一層寿命が延伸する無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを提供することができる。
図1は、本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第1の形態を示す断面図である。図において、無電極放電ランプ用気密容器1は、包囲部1a、細管部1bおよび封止部SPを備えている。無電極放電ランプELDLは、無電極放電ランプ用気密容器1および無電極形エネルギー供給手段2を具備している。
本形態において、無電極放電ランプ用気密容器1は、誘導結合形の無電極放電ランプELDL用のものである。そして、その包囲部1aは、縦断面が楕円形で、かつ円盤状をなしていて、内部に放電空間1cが形成されている。細管部1bは、フリット封止を行う関係でフリッがラスト部分の温度を所定温度以下に保持するために長くなっている。封止部SPは、フリット封止であり、細管部1bの基端部から封止部材3すなわちアルミナセラミックス棒あるいはニオブ棒または導電性サーメット棒を挿通し、フリットガラス4を細管部1bの基端部に施与し、かつ加熱溶融させて、細管部1bと封止部材3との間のわずかな隙間内に進入させてから固化することで形成されている。
無電極形エネルギー供給手段2は、誘導コイルからなり、無電極放電ランプ用気密容器1の外周、すなわち包囲部1aの赤道部分に対向する部位に配設されていて、巻数が2である。なお、無電極形エネルギー供給手段2には、図示を省略している高周波電源から無線周波数の高周波電圧が印加される。そうして、無電極放電ランプELDLが点灯すると、包囲部1aの内部の放電空間1c内にリング状の放電アークAが発生する。
図1に示す本発明の第1の形態である。
無電極放電ランプ用気密容器:包囲部および細管部が平均結晶粒径0.7μmの
透光性多結晶アルミナセラミックス
発光効率、平均寿命 :180lm/W、60000時間

[比較例]
無電極放電ランプ用気密容器:包囲部および細管部が平均結晶粒径70μmの
透光性多結晶アルミナセラミックス
その他は実施例1と同じ。
発光効率、平均寿命 :150lm/W、破裂100%(100時間以内)

図2は、本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第2の形態を示す断面図である。図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本形態において、封止部SP´は、フリットレス封止により形成されている。
すなわち、封止部SP´は、細管部1bの基端から封止部材3を挿通し、細管部1bの例えば外周からレーザーを照射して加熱すると、細管部1bのセラミックスがセラミックス加熱溶融するので、セラミックス溶着によって封止部SP´が形成される。なお、細管部1bは、図1におけるのより短くなっている。
図2に示す本発明の第2の形態である。
無電極放電ランプ用気密容器:包囲部および細管部が平均結晶粒径0.7μmの
透光性多結晶アルミナセラミックス
放電媒体 :希土類ハロゲン化物+ナトリウムハロゲン化物+希ガス
発光効率、平均寿命 :180lm/W、100000時間

図3は、本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第3の形態を示す断面図である。図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本形態は、無電極放電ランプ用気密容器1が始動手段STを具備している点で異なる。
始動手段STは、始動用低圧ガス封入体からなり、無電極放電ランプ用気密容器1の細管部1b内に挿入された状態で細管部1bに封止されている。なお、この場合の封止は、フリット封止およびフリットレス封止のいずれであってもよい。
始動用低圧ガス封入体からなる始動手段STは、多結晶アルミナセラミックス製の有底筒状体11の内部に始動用低圧ガス(例えばアルゴン(Ar)3kPa)を封入し、その開口端にサーメットまたはニオブの棒12を挿入した状態でフリット封止を行って封止部13が形成されている。しかし、所望によりフリットレス封止を採用して封止部13を形成してもよい。
そうして、無電極放電ランプELDLを点灯するには、最初に始動手段STに高周波高電圧を印加する。その結果、始動手段STの内部にグロー放電が生起する。始動手段STの壁面を介した容量結合によって無電極放電ランプ用気密容器1の内部に高電圧が印加される。これにより、無電極放電ランプ用気密容器1の内部にグロー放電が生起され、次にアーク放電へと転移するので、無電極放電ランプELDLが点灯する。
本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第1の形態を示す断面図 本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第2の形態を示す断面図 本発明の無電極放電ランプ用気密容器およびこれを用いた無電極放電ランプを実施するための第3の形態を示す断面図
符号の説明
1…無電極放電ランプ用気密容器、1a…包囲部、1b…細管部、2…無電極形エネルギー供給手段、3…封止部材

Claims (4)

  1. 包囲部および包囲部に連通するとともに封止部が形成される細管部を備え、少なくとも包囲部および細管部のいずれか一方が平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成されていることを特徴とする無電極放電ランプ用気密容器。
  2. 包囲部および細管部は、そのいずれも平均結晶粒径3μm以下の透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成されていることを特徴とする請求項1記載の無電極放電ランプ用気密容器。
  3. 包囲部、細管部および封止部は、そのいずれも透光性多結晶アルミナセラミックスを用いて形成されているとともに、導電性部材が含まれていないことを特徴とする請求項1または2記載の無電極放電ランプ用気密容器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一記載の無電極放電ランプ用気密容器と;
    無電極放電ランプ用気密容器の内部に封入された放電媒体と;
    無線周波の電気エネルギーを放電容器に供給する無電極形電気エネルギー供給手段と;
    を具備していることを特徴とする無電極放電ランプ。
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