JP2009046020A - 燃料電池車両の制御装置 - Google Patents

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勝美 林
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敏勝 片桐
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Abstract

【課題】燃費を低減させることなく、燃料電池の温度の上昇を抑制して、車両の登坂走行が可能な燃料電池車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車両を走行させるモータ14と、車両の車室の熱を車両外部に放出するコンデンサ22を有し車室の空調をする空調装置21と、モータ14と空調装置21を駆動する電力を供給する燃料電池6と、燃料電池での発電の際に発生する熱を車両外部へ放出しコンデンサ22の車両走行方向後方に配置されるラジエータ9とを有する燃料電池車両の制御装置2であって、燃料電池6の温度と予め設定される温度閾値とを比較する第1比較部と、燃料電池6の温度が温度閾値以上となったとき、空調装置21の出力を低減させる空調出力低減部とを設けている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池から電力を供給しモータを駆動して車両を走行させる燃料電池車両の制御装置に関する。
燃料電池車両は、近年の地球温暖化の原因とされる二酸化炭素を、車両の排気ガスから削減する対策の1つとして注目されている。この燃料電池車両に搭載される燃料電池は、水素を含む燃料ガスと、空気等の酸化剤ガスとが、電解質・電極触媒複合体に供給されることで、化学反応を起こし、電力を発生させるとともに、反応生成物として水分を生成し、反応熱を放出する。このため、燃料電池によれば、排気ガスの換わりに水分が放出されるという究極のクリーン車両が提供でき、地球温暖化の抑制が期待される。
そして、燃料電池で発生した電力は、モータに供給されてモータを駆動し車両を走行させることになる。車両の走行に際しては、車両を登坂させる場合が必ず生じる。車両を登坂させると、モータに大きなトルクが必要になるので、燃料電池はモータに大電力を供給することになり、これに応じて、反応熱も増大し、燃料電池の温度が上昇する。燃料電池に用いられている前記電解質・電極触媒複合体の耐熱温度は100℃前後であるため、燃料電池の温度がこの耐熱温度を超えないように、燃料電池車両には、燃料電池を冷却するための冷却システムが設けられている。冷却システムでは、ラジエータと燃料電池との間で冷却水を循環させることで、燃料電池で発生した熱を、冷却水を介してラジエータに伝え、ラジエータから大気に放出している。
また、燃料電池の温度の上昇を抑えるために、燃料電池車両に蓄電装置を備えておき、蓄電装置からも電力をモータに供給することにより、燃料電池から供給する電力を減少させる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−53051号公報(図1)
しかし、蓄電装置からモータに電力を供給した後には、今後の供給に備えて、蓄電装置を燃料電池で充電する必要がある。燃料電池からモータまでの電力の伝送効率という観点からすると、燃料電池で発電した電力を一旦蓄電装置で充放電することでモータへ供給する電力の伝送効率は、燃料電池で発電した電力を直接モータへ供給する電力の伝送効率に比べて小さくなる。このため、蓄電装置を多用することは、いわゆる燃費を低下させると考えられた。
ところで、根本的に燃料電池の温度を上げないためには、冷却システムの冷却能力を向上させればよいとも考えられる。通常、燃料電池は80℃程度の温度で高効率に発電する。ラジエータでは、燃料電池で80℃程度に温められた冷却水で、燃料電池が発する熱を外気、例えば20℃程度に捨てる能力が求められる。このような冷却能力を実現することは、温度差が高々60℃程度しかなく、車両内に配置するためラジエータに許容される大きさが限られる状況においては容易でない。そこで、車両の走行により相対的に生じる風を受けて冷却能力を向上させるために、ラジエータは、車両の走行方向前面のフロントグリルの裏に配置されている。
また、燃料電池車両を含め車両には、運転者等が乗車するための車室が設けられている。この車室は、空調装置によって温度調整がされている。空調装置は、コンデンサと、車室の空気に接するエバポレータとの間で冷媒を循環させることで、車室内の熱を、冷媒を介してエバポレータからコンデンサに伝え、コンデンサから大気に放出している。冷媒は断熱圧縮されることにより、コンデンサでの温度は50℃程度になっている。ラジエータ同様外気温を20℃程度とすると、コンデンサでは、高々温度差30℃を用いて放熱していることになる。そして、コンデンサも、この温度差を確保し、さらに、車両の走行により相対的に生じる風を受けて冷却能力を向上させるために、フロントグリルの裏に配置されている。
前記により、ラジエータとコンデンサとは、フロントグリルの裏側に配置されている。ラジエータとコンデンサの両者の位置関係であるが、風は車両の走行方向前方から後方へ流れるので、温度の低い方が、車両の走行方向前方になるように配置されている。この配置によれば、前後どちらに配置されたものでも、熱の放出が可能である。コンデンサはたとえば50℃で、たとえば80℃のラジエータより温度が低いので、ラジエータの前方に配置される。前後逆に配置すると、ラジエータから放出された熱で暖められた風(空気)の温度がコンデンサの温度より高くなり、このような高温の風(空気)がコンデンサへ流れていってもこの高温の風(空気)へはコンデンサから熱が放出できない場合が考えられる。一方、前方からたとえば50℃のコンデンサ、たとえば80℃のラジエータの順に配置すると、コンデンサから放出された熱で暖められた風(空気)の温度、いわゆる、ラジエータへの導入空気温度は、ラジエータの温度より高くならないので、風(空気)はラジエータへ流れて行き、ラジエータから風(空気)へ熱を放出できる。
しかし、走行方向前方からコンデンサ、ラジエータの順に配置すると、ラジエータは、コンデンサから放出された熱で暖められた風(空気)で冷却されるので、ラジエータの温度とラジエータへの導入空気温度との温度差が小さくなり、ラジエータの冷却効率は多少なりとも低下していることになる。
車両が登坂走行する場合に、燃料電池の温度の上昇を抑制するために、ラジエータの冷却効率を向上させたくても、コンデンサすなわち空調装置の影響により、ラジエータの冷却効率の向上が制限されるのは不合理であると考えられた。
本発明は、前記点に鑑み、燃費を低減させることなく、燃料電池の温度の上昇を抑制して、車両の登坂走行が可能な燃料電池車両の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は、車両を走行させるモータと、前記車両の車室の熱を車両外部に放出するコンデンサを有し前記車室の空調をする空調装置と、前記モータと前記空調装置を駆動する電力を供給する燃料電池と、前記燃料電池での発電の際に発生する熱を車両外部へ放出し前記コンデンサの前記車両走行方向後方に配置されるラジエータとを有する燃料電池車両の制御装置であって、前記燃料電池の温度と予め設定される温度閾値とを比較する第1比較部と、前記燃料電池の温度が前記温度閾値以上となったとき、前記空調装置の出力を低減させる空調出力低減部とを設けたことを特徴としている。
本発明によれば、車両が登坂走行して、燃料電池の温度が上昇すると、前記第1比較部が、前記温度閾値を用いて、燃料電池の温度の上昇を検知し、この温度の上昇を受けて、前記空調出力低減部は、前記空調装置の出力を低減することができる。前記空調装置の出力を低減することで、空調装置のコンデンサからの排熱量を減らすことができる。そして、燃料電池を冷却する冷却装置のラジエータへの導入空気温度を下げることができ、ラジエータの放熱量を増加できる。この結果、燃料電池を効果的に冷却でき、燃料電池の温度の上昇を抑制することができる。そして、燃料電池の過熱(オーバーヒート)による前記電解質・電極触媒複合体の機能低下を防止できる。また、前記空調装置へ燃料電池から電力が供給されているのであれば、空調装置の出力の低減により、空調装置での電力消費は低下し、この低下に対応する電力分だけ燃料電池の発電量及び発熱量をカットすることができる。このカットによっても、燃料電池の温度の上昇を抑制でき、燃費向上につながる。
また、本発明では、外気温度が高いほど大きくなるように出力閾値が決定される決定部と、前記空調装置の出力と前記出力閾値とを比較する第2比較部とを、さらに、設けてもよく、前記空調装置の出力の下限を前記出力閾値とすることを特徴としている。
本発明によれば、前記空調出力低減部が、前記空調装置の出力を低減させても、前記空調装置の出力は前記出力閾値以上に設定されるので、前記空調装置は運転者等の必要最低限の要求に応えるだけの空調能力を発揮することができる。
車両の外気温度の高低によって、運転者等が要求する必要最低限の空調能力は異なる。すなわち、外気温度が高いほど、応じて高まった車室の温度を適温まで下げたいと運転者等は欲するので、より大きな空調能力が要求される。そこで、前記決定部は、外気温度が高いほど大きくなるように出力閾値を決定することで、外気温度が上昇して、運転者等が要求する必要最低限の空調能力が高まると、応じて空調装置の出力を高めることを可能にしている。
また、本発明では、前記車両が現在走行している路面の現勾配量と、前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値との少なくとも1つを取得する勾配量取得部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが大きいほど、前記温度閾値を小さく設定する閾値設定部とを、さらに、設けていてもよい。
車両の登坂走行において、走行する路面の勾配量が大きいほど、燃料電池の温度は上昇しやすいので、勾配量が大きい場合は、燃料電池の温度が急上昇するであろうことはわかっている。そこで、燃料電池の温度が一定の値まで上昇するのを待たずに、前記空調装置の出力を低減できれば、より効果的に、燃料電池の温度の急上昇を抑制することができる。本発明では、前記温度閾値を可変にし、勾配量が大きい場合は前記温度閾値を小さく設定することで、急勾配により燃料電池の温度が上昇に転じた初期の段階で、前記空調装置の出力を低減でき、燃料電池の温度の急上昇を抑制し、燃料電池の温度の上昇ピーク値を低く抑えている。逆に、勾配量が小さい場合は、燃料電池の温度もゆっくりと上昇すると考えられる。そこで、燃料電池の温度がある程度上昇した後で、前記空調装置の出力を低減しても、燃料電池の温度の上昇ピーク値は高々知れているので、温度の上昇を迅速に検知するより、温度の上昇の確実な検知が求められ、前記温度閾値は高く設定されることになる。
なお、前記の勾配量としては、前記車両が現在走行している路面の現勾配量を用いることができるのはもちろんであるが、前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値を用いてもよい。勾配量実績値から車両が今後走行する路面の勾配量を予測することができるからである。また、勾配量実績値を用いれば、現勾配量が一時的に上昇した場合においてまで空調装置の出力を低減することはなくなり、安定した空調が提供できる。そして、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値を用いてもよい。勾配量予測値を用いれば、燃料電池の温度の上昇の予測が正確にでき、その温度の上昇に見合った空調装置の出力の低減が可能になる。
また、本発明では、前記車両が現在走行している路面の現勾配量と、前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値との少なくとも1つを取得する勾配量取得部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つと、勾配閾値とを比較する第3比較部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、前記車両の最大車速値を低減させる最大車速値低減部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、前記車両の運転者に車速低減の警告をする警告部とを、さらに、設けていてもよい。
車両に搭載されるモータは低速域から高トルクを発生できる。よって、急勾配(急坂)でも冷却を考慮しなければ、モータの最大出力と前記勾配量できまる最大車速値まで加速可能となり、過負荷の発電要求が燃料電池に生じる。これにより、燃料電池はオーバーヒートが生じやすく、燃料電池の出力が制限される場合がある。急坂での燃料電池の出力制限は車速低下だけでなく、車両停止に至る可能性が高い。このような事態を避けるために、本発明では、急坂の登坂に際して運転者に車速低減する旨の警告を出した上で、最大車速値を抑えた運転とする。これによりオーバーヒートを抑制でき、車両停止のない継続した急坂登坂が可能となり、安全性を高めることができる。
また、本発明における前記勾配量予測値の取得では、ナビゲーションシステムの情報を利用することが好ましい。ナビゲーションシステムは、運転者が目的地を設定することにより、現在位置から目的地までの最適なルートを検索し運転者に表示する。運転者は、この表示されたルートをたどるように車両を走行させる。したがって、ナビゲーションシステムに表示されたルートは、車両が直近の未来に走行するであろうルートであると考えられる。このルート上の複数の路面の標高とこれら路面間の走行距離とを別途取得することにより、前記勾配量予測値の算出が可能になる。前記勾配量予測値が明らかになれば、燃料電池の温度の上昇を、正確に予測することが可能になる。
また、本発明では、前記車両が現在走行している路面の現勾配量と前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値のどちらか一方と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値とを取得する勾配量取得部と、前記勾配量予測値と、急坂判定閾値とを比較する第4比較部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方と、緩斜面判定閾値とを比較する第5比較部と、前記勾配量予測値が前記急坂判定閾値以上であり、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方が前記緩斜面判定閾値以下である場合に、前記空調装置の出力を増大させる空調出力増大部とを、さらに、設けていてもよい。
本発明の基本として、目的地までのルートに急坂があり、燃料電池の冷却が厳しい場合は、その急坂にて空調装置の出力が低減される。この空調装置の出力の低減により、車室の温度が上昇し、運転者が快適と体感できる温度域から上に外れてしまう場合があると考えられる。そこで、走行先に急坂があることが予測され、現在の走行路面が平坦であったり緩斜面であったりする場合は、現在の燃料電池の発電量に余裕があるので、この余裕のある状態の燃料電池の出力を上げて、空調装置の出力を増大させ、急坂を登坂するに先立って、車室内を予め、たとえば運転者が快適と体感できる温度域の下限温度まで、冷却しておくことができる。このように過冷却しておくことにより、急坂において、車室の温度が上昇しても、車室の温度を、運転者が快適と体感できる温度域内に長時間維持することができる。
また、本発明における前記燃料電池車両は、前記モータと前記空調装置を駆動する電力を供給可能であり、前記燃料電池が発電した電力を蓄電可能である蓄電装置を有し、さらに、本発明の前記燃料電池車両の制御装置は、前記燃料電池の出力を低減させ前記蓄電装置の出力を増大させる蓄電装置アシスト制御モードと、前記燃料電池の出力を増大させ前記蓄電装置の出力を低減させる燃料電池燃費優先制御モードとを備え、前記車両が現在走行している路面の現勾配量と前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値のどちらか一方と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値とを取得する勾配量取得部と、前記勾配量予測値と、第2急坂判定閾値とを比較する第6比較部と、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方と、第2緩斜面判定閾値とを比較する第7比較部と、前記勾配量予測値が前記第2急坂判定閾値以上になり、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方が前記第2緩斜面判定閾値以下なった場合に、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替えるモード選択部とを設けていてもよい。
本発明の基本として、目的地までのルートに急坂があり、燃料電池の冷却が厳しい場合は、その急坂にて空調装置の出力が低減される。この空調装置の出力の低減により、急坂での燃料電池の温度の上昇が抑制される。さらに急坂にて燃料電池の冷却が厳しい場合に、バッテリからの出力を増加し、燃料電池の出力を少なくすることで燃料電池の発熱を抑えることが出来る。しかしながら、そのためには、燃料電池の冷却が厳しくなる前にバッテリの蓄電容量が十分大きくなっている必要がある。なぜなら、蓄電容量が少ないと燃料電池の冷却が厳しいときに、バッテリからのアシストが短時間しか行えず、燃料電池の発熱を抑えきれなくなる可能性が高いからである。一方、ブレーキや下り坂での回生エネルギが生じる場合、回生エネルギを十分にバッテリに蓄電できると燃費が向上する。そのために、通常、蓄電容量は、回生エネルギを回収するための容量を空け、50〜60%程度の蓄電容量を目標(目標蓄電量)にバッテリ入出力制御を行っている。そのため、走行先に急坂があることが予測され、現在の走行路面が平坦であったり緩斜面であったりする場合には、バッテリの目標蓄電量を増加する。そして、燃料電池の冷却に余裕があるときに燃料電池からバッテリに電力を蓄え、急坂で燃料電池の冷却が厳しいときにバッテリからの出力を増加し、燃料電池からの出力を低減させることで急坂走行を続けることができる。登降坂の頻度が高い山岳モードから登降坂の頻度が低い市街地モードになったことを検知した後に目標蓄電量を下げ、回生エネルギを十分回収できる燃費重視モードに切換えることで燃料電池の冷却タフネスと、燃費向上の双方のバランスがとれる。
本発明によれば、燃費を低減させることなく、燃料電池の温度の上昇を抑制して、車両の登坂走行が可能な燃料電池車両の制御装置を提供できる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
(燃料電池車両1)
図1は、実施形態に係る燃料電池車両の制御装置2を搭載した燃料電池車両1の構成図である。なお、図1中、二重線は機械力の伝達経路を示し、実線は電力線を示し、太い点線は冷却システム4の冷却水の循環経路を示し、細い点線は制御線を示している。
燃料電池車両1は、モータ14と、モータ14の回転を減速させて伝達する減速装置13と、伝達した回転力を複数の駆動輪11に分配する差動装置12と、その駆動輪11とを有している。
モータ14には、たとえば、交流同期電動機を用いることができる。モータ14に接続するインバータ15は、燃料電池6あるいはバッテリ(蓄電装置)19から供給された直流電流を、三相交流電流に変換し、モータ14に供給する。そして、モータ14は駆動・回転し、燃料電池車両1を走行させることができる。アクセルペダル16は、燃料電池車両の運転者によって操作されることにより、モータコントローラ18とインバータ15とを介して、モータ14の回転数およびトルクを制御することができる。また、モータ14の近傍にはトルクセンサ17が設けられており、トルクセンサ17は、モータ14で発生しているトルクを計測し、計測結果を燃料電池車両の制御装置2に出力している。
イグニションスイッチ(IG)25は、燃料電池車両1を起動・停止させるためのスイッチであり、具体的には、燃料電池車両の制御装置2やモータコントローラ18、バッテリコントローラ20、空調コントローラ23、燃料電池コントローラ5、ナビゲーションシステム29等を起動・停止させることができる。
走行距離計26は、燃料電池車両1の走行距離を計測し、計測結果を燃料電池車両の制御装置2に出力する。
車速センサ27は、燃料電池車両1の車速を計測し、計測結果を燃料電池車両の制御装置2に出力する。そして、計測された車速と、トルクセンサ17とで計測されたトルクとに基づいて、燃料電池車両の制御装置2は、現在走行中の路面の勾配量を推定する。
外気温センサ28は、燃料電池車両1の外気温を計測し、計測結果を燃料電池車両の制御装置2に出力する。
ナビゲーションシステム29は、運転者が目的地を設定することにより、現在位置から目的地までの最適なルートを検索し運転者に表示する。そして、検索されたルート上の複数の路面の標高とこれら路面間の走行距離とをナビ(Navi)情報として抽出し、抽出結果を燃料電池車両の制御装置2に出力する。そして、燃料電池車両の制御装置2において、複数の路面の標高とこれら路面間の走行距離等に基づいて、路面の勾配量が算出される。
バッテリコントローラ20は、バッテリ19が、モータ14と空調装置本体21を駆動させる電力を供給可能なように制御する。また、バッテリコントローラ20は、バッテリ19が、燃料電池6が発電した電力を蓄電可能なように制御する。さらに、バッテリコントローラ20は、バッテリ19が、モータ14で発電した回生電力を蓄電可能なように制御する。バッテリ19は、モータ14と空調装置本体21を駆動する電力を供給可能である。また、バッテリ19は、燃料電池6が発電した電力を蓄電できる。
また、燃料電池車両1は、運転者や乗客が乗り込む車室を有し、この車室の空調をする空調装置、いわゆるエアコンディショナ(AC)を有している。この空調装置は、本発明の理解を容易にするために、車室の熱を車両外部に直接に放出するコンデンサ22と、このコンデンサ22以外の図示を省略したエバポレータ等を備えた空調装置本体21とに分けて記載している。
車室温センサ30は、車室温を計測し、計測結果を空調コントローラ23に出力する。また、温調ツマミ31は、運転者等によって、運転者等の所望の車室温に設定される。空調コントローラ23は、温調ツマミ31に設定された車室温に、実際の車室温が一致するように、空調装置本体21等を制御する。
DC/DCコンバータ24は、燃料電池6から出力される直流電圧を、バッテリ19の電圧に等しくなるように調整している。
燃料電池6は、燃料電池コントローラ5と冷却システム4と一緒になって、燃料電池システム3を構成している。燃料電池コントローラ5は、アクセルペダル16の操作量に応じ、すなわち、モータ14の必要とする電力量に応じた電力量を、燃料電池6が発電するように制御している。
冷却システム4では、循環ポンプ8によって、冷却水が、燃料電池6とラジエータ9との間を循環している。燃料電池6において、冷却水は、発電により発熱した燃料電池6を冷却する。このことにより、冷却水自身の水温は燃料電池6の温度程度まで上昇する。水温センサ7は、上昇後の冷却水の水温を計測し、計測結果を燃料電池車両の制御装置2に出力する。なお、上昇後の冷却水の水温は、燃料電池6の温度にほぼ等しいので、水温の計測は、実質的に燃料電池6の温度を計測したことに等価である。冷却水がラジエータ9に流れ込むと、冷却水は冷却される。燃料電池で発生した熱は、冷却水を介してラジエータ9に伝達され、ラジエータ9において車両外部へ放出される。冷却された冷却水は再び燃料電池6に戻り、冷却システム4を循環する。ラジエータ9の空冷効率を高めるために、ラジエータ9に送風するラジエータファン10が設けられている。
そして、本発明の実施形態に係る燃料電池車両の制御装置2は、車速センサ27や外気温センサ28等のセンサ群から計測結果を入力し、これらの計測結果に基づいて、モータコントローラ18、バッテリコントローラ20、空調コントローラ23、燃料電池コントローラ5等のコントローラ群を制御している。これらの制御の詳細は後記する。
図2(a)に燃料電池車両1の前部を上方から透視した透視図を示し、図2(b)に燃料電池車両1の前部を側方から透視した透視図を示す。
燃料電池車両1の車両走行方向33の前面にはフロントグリル35が設けられ、フロントグリル35を通して、外気を燃料電池車両1の内部に流入可能になっている。燃料電池車両1が車両走行方向33に走行することにより、燃料電池車両1に対して相対的に、空気の流れ方向34に添った風が、フロントグリル35から燃料電池車両1の内部に流入してくる。フロントグリル35の裏側には、車両走行方向33の前方から後方に向かって順に、コンデンサ22と、ラジエータ9と、ラジエータファン10とが、車体フレーム32に固定されている。さらに、それらの後方で、運転者等が搭乗可能な車室の前方には、燃料電池6や空調装置本体21等が配置されている。
前記空気の流れ方向34に添った前記風は、フロントグリル35を通った後、コンデンサ22、ラジエータ9の順に通過しながら、コンデンサ22とラジエータ9とを放熱させる。なお、ラジエータファン10によれば、燃料電池車両1が停車していても、空気の流れ方向34に添った風を発生させることができる。
ラジエータ9を通過する風は、まずコンデンサ22を通過しているので、コンデンサからの放熱により温められ、この温まりの程度により、この風によるラジエータの冷却効率は左右されると考えられる。
(燃料電池車両の制御装置2)
図3に本発明の実施形態に係る燃料電池車両の制御装置2の構成図を示す。燃料電池車両の制御装置2は、メインコントローラ41と、AC出力制限コントローラ42と、急坂車速制限コントローラ43と、AC予備冷却切り替えコントローラ44と、SOC切り替えコントローラ45とを有している。メインコントローラ41は、概略、路面の現勾配量等の各種勾配量を取得し、それら勾配量の急緩を場合に応じて判定したり、急坂の登坂による燃料電池温度の上昇を場合に応じて判定したりするための各種の閾値を設定している。AC出力制限コントローラ42は、概略、勾配量の急緩の判定や、燃料電池温度の上昇の判定を行い、勾配量を急と判定したり燃料電池温度が上昇したと判定したりしたときは、空調コントローラ23(図1参照)を介して、空調装置本体21(図1参照)の出力を低減する。急坂車速制限コントローラ43は、概略、勾配量の急緩の判定を行い、勾配量を急と判定したときは、モータコントローラ18(図1参照)を介して、車速を制限する。AC予備冷却切り替えコントローラ44は、概略、現在および先方の勾配量の急緩の判定や、燃料電池温度の高低の判定を行い、勾配量に関し現在は緩斜面だが先方に急坂があると判定したり燃料電池温度が低いと判定したりしたときは、その急坂での車室温の上昇に備えて車室を過冷却するために、空調コントローラ23(図1参照)を介して、空調装置本体21(図1参照)の出力を増大させる。SOC切り替えコントローラ45は、概略、現在および先方の勾配量の急緩の判定や、燃料電池温度の高低の判定を行い、勾配量に関し現在は緩斜面だが先方に急坂があると判定したり燃料電池温度が高いと判定したりしたときは、その急坂にて燃料電池温度上昇を抑えるためにバッテリの出力を増大きせ燃料電池の出力を低減させたい。そのために、急坂前の緩斜面にてバッテリの充電量(SOC)を増加させておく。通常バッテリの充電量(SOC)はブレーキの回生を十分に吸収できるように50〜60%程度に抑えておく方が燃費がよいとされているが、登り下りの激しい山岳路面では目標充電量(SOC)を100%近くに設定する方が回生効率と燃料電池の冷却効率のバランスがとれる。
次に、前記メインコントローラ41について、詳細に説明する。図4に、メインコントローラ41の構成図を示す。メインコントローラ41は、現モータトルク、現車速、現走行距離、燃料電池温度を入力する入力部47と、空調装置本体21を制限する制限最大出力値(変数)を出力する出力部48を有している。さらに、メインコントローラ41は、制限最大出力値(変数)を設定するACの制限最大出力値設定部49と、燃料電池車両1の制限される最大車速値(変数)を設定する最大車速値設定部50とを有する。また、メインコントローラ41は、燃料電池車両1が現在、今まさに走行している路面の現勾配量を取得する現勾配量設定(取得)部51と、現勾配量を取得した際の走行距離を取得する走行距離取得部52と、この同時に取得された現勾配量と走行距離とを互いに関係付けて記憶する現勾配量走行距離記憶部53と、直近の一定間隔の走行距離にわたり登り勾配に関して現勾配量の平均を求め平均勾配量実績値を取得する実績値取得部54と、ナビゲーションシステム29によって抽出されたこれから走行するであろうルートに基づき、そのルート上の路面の直近の一定間隔の走行距離にわたり登り勾配に関して勾配量の平均を求め平均勾配量予測値を取得する予測値取得部55とを有している。現勾配量設定(取得)部51と実績値取得部54と予測値取得部55とは、特許請求の範囲の勾配量取得部に対応している。
なお、現勾配量設定(取得)部51は、計測された車速とトルクとに基づいて、現勾配量を決定可能な車速・トルク−勾配量データベース51aを備えていてもよい。図5に、車速・トルク−勾配量データベース51aに記憶された、車速とモータのトルクと勾配量との関係を示す。この関係は、車速が一定であれば、トルクが大きいほど、勾配量は大きくなるという関係と、トルクが一定であれば、車速が大きいほど、勾配量は小さくなるという関係を示している。これらの関係から、計測した車速とトルクに基づいて現勾配量を推定することができる。
また、車速・トルク−勾配量データベース51aに限らず、モータ14のモータ出力と燃料電池車両1の加速度とから現勾配量を推定してもよい。具体的には、平坦路でのモータ出力と加速度との関係を、モータ出力に対する基準加速度の関係として記憶しておく。そして、現モータ出力を計測し、この現モータ出力と、モータ出力に対する基準加速度の関係を用いて、現モータ出力に対応する基準加速度を求める。また、現加速度を計測し、現加速度と、現モータ出力に対応する基準加速度とを比較する。現加速度が現モータ出力に対応する基準加速度をこえていれば降坂と判定できる。また、現加速度が現モータ出力に対応する基準加速度未満であれば登坂と判定できる。さらに、現加速度と、現モータ出力に対応する基準加速度との差の大小により、重登坂、軽登坂、重降坂、軽降坂等の現勾配量を推定することができる。
また、メインコントローラ41は、AC出力制限コントローラ42が空調装置本体21(図1参照)の出力を低減するか否かの判定に用いる空調低減判定閾値を設定する空調低減判定閾値設定部56(特許請求の範囲の閾値設定部に対応)を有している。空調低減判定閾値設定部56は、取得された前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値の内の少なくとも1つの勾配量に基づいて、空調低減判定閾値を決定可能な勾配量−空調低減判定閾値データベース56aを備えていてもよい。図6に、勾配量−空調低減判定閾値データベース56aに記憶された、勾配量と空調低減判定閾値TW_ACとの関係を示す。この関係は、勾配量が大きいほど、空調低減判定閾値TW_ACは小さくなるという関係を示している。さらに、図6に示すように、前記現勾配量または前記平均勾配量実績値を勾配量として上記関係を示す関係曲線を描いておき、その関係曲線を前記平均勾配量予測値の大きさに応じて上下させてもよい。具体的には、平均勾配量予測値が大きくなるほどその大きな急坂に備えて空調低減がしやすいように、空調低減判定閾値TW_ACを小さくしている。そして、これらの関係から、取得した前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値に基づいて空調低減判定閾値TW_ACを決定することができる。
また、メインコントローラ41は、AC予備冷却切り替えコントローラ44が急坂での車室温の上昇に備えて車室を過冷却するか否かの判定に用いる空調予備冷却判定閾値を設定する空調予備冷却判定閾値設定部57を有している。空調予備冷却判定閾値設定部57は、取得された前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値の内の少なくとも1つの勾配量に基づいて、空調予備冷却判定閾値を決定可能な勾配量−空調予備冷却判定閾値データベース57aを備えていてもよい。図6に、勾配量−空調予備冷却判定閾値データベース57aに記憶された、勾配量と空調予備冷却判定閾値TW_ACUPとの関係を示す。この関係は、勾配量が大きいほど、空調予備冷却判定閾値TW_ACUPは小さくなるという関係を示している。さらに、図6に示すように、前記現勾配量または前記平均勾配量実績値を勾配量として上記関係を示す関係曲線を描いておき、その関係曲線を前記平均勾配量予測値の大きさに応じて上下させてもよい。具体的には、平均勾配量予測値が大きくなるほどその大きな急坂に備えて空調予備冷却がしやすいように、空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを小さくしている。そして、これらの関係から、取得した前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値に基づいて空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを決定することができる。
また、等しい勾配量に対して、空調予備冷却判定閾値TW_ACUPは、空調低減判定閾値TW_ACより小さく設定されている。空調予備冷却判定閾値TW_ACUPと、空調低減判定閾値TW_ACとはともに、冷却水の水温(燃料電池温度)と大小関係が比較されるが、急坂により冷却水の水温が上昇すると、その上昇の過程で、まず、低温設定の空調予備冷却判定閾値TW_ACUPに係るAC予備冷却切り替えコントローラ44が動作し、次に、高温設定の空調低減判定閾値TW_ACに係るAC出力制限コントローラ42が動作するという一連の2段階動作が可能になる。
また、メインコントローラ41は、SOC切り替えコントローラ45が急坂での燃料電池温度の上昇に備えてバッテリ蓄電量を十分に増加させるか否かの判定に用いるモード切り替え判定閾値を設定するモード切り替え判定閾値設定部58を有している。モード切り替え判定閾値設定部58は、取得された前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値の内の少なくとも1つの勾配量に基づいて、モード切り替え判定閾値を決定可能な勾配量−モード切り替え判定閾値データベース58aを備えていてもよい。図7に、勾配量−モード切り替え判定閾値データベース58aに記憶された、勾配量とモード切り替え判定閾値TW_SOCとの関係を示す。この関係は、勾配量が大きいほど、モード切り替え判定閾値TW_SOCは小さくなるという関係を示している。さらに、図7に示すように、前記現勾配量または前記平均勾配量実績値を勾配量として上記関係を示す関係曲線を描いておき、その関係曲線を前記平均勾配量予測値の大きさに応じて上下させてもよい。具体的には、平均勾配量予測値が大きくなるほどその大きな急坂に備えてモード切り替え(目標SOCを増大させバッテリ蓄電量を増大させるような切り替え)がしやすいように、モード切り替え判定閾値TW_SOCを小さくしている。そして、これらの関係から、取得した前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値に基づいてモード切り替え判定閾値TW_SOCを決定することができる。通常は回生エネルギを十分バッテリに蓄えられるように目標充電量(目標SOC)は半分くらいに設定されるが、TW_SOCによって、バッテリの目標充電量(目標SOC)を(100%近くまで)あげるモードに切り替えることで充電可能なときに満充電状態(FULL)にしておき、急坂によって水温が急上昇した場合は、バッテリからの持ち出し量を増やし、燃料電池の発電量を低減できるようにする。
次に、前記AC出力制限コントローラ42について、詳細に説明する。AC出力制限コントローラ42は、勾配量の急緩の判定や、燃料電池温度の上昇の判定を行い、勾配量を急と判定したり燃料電池温度が上昇したと判定したりしたときは、空調コントローラ23(図1参照)を介して、空調装置本体21(図1参照)の出力を低減している。
図8に、AC出力制限コントローラ42の構成図を示す。AC出力制限コントローラ42は、冷却水の水温(燃料電池温度)を入力する入力部61と、冷却水の水温と前記空調低減判定閾値と比較する空調低減(温度)比較部62と、冷却水の水温が空調低減判定閾値以上となったとき、前記空調装置本体21(図1参照)の出力を低減させる空調出力低減部63とを有している。そして、空調出力低減部63は、冷却水の水温の変動に応じて、段階的に空調出力を低減している。このために、空調出力低減部63は、低減回数(変数)Nに1を代入する低減回数N代入部63aと、1回分の低減幅である単位低減幅ΔACと低減回数Nの積算値を、無制限最大出力値から減算することにより、AC制限量を算出する空調制限量算出部63bと、空調装置本体21(図1参照)が出力可能な最大出力値として、前記空調コントローラ23(図1参照)に記憶される制限最大出力値(変数)にAC制限量を代入する制限最大出力値代入部63cとを有している。空調装置本体21は、空調コントローラ23(図1参照)に記憶された制限最大出力値(変数)が最大出力値となるように空調コントローラ23によって運転されるので、空調コントローラ23(図1参照)に記憶された制限最大出力値(変数)を空調出力低減部63によって低減することによって、空調装置本体21の出力を低減することができる。
タイマ64は、制限最大出力値代入部63cによる代入後、所定の待ち時間の計測をスタートさせ、所定の待ち時間の経過後に、次の冷却出力低減の効果を検証するための工程を実施する部に、たとえば、必要下限判定閾値決定部65に実行スタートを促すスタート信号を出力する。
必要下限判定閾値決定部(特許請求の範囲の決定部に対応)65は、スタート信号の受信によりスタートし、必要下限判定閾値(特許請求の範囲の出力閾値に対応)を外気温度に基づいて決定する。必要下限判定閾値決定部65は、外気温度に基づいて、必要下限判定閾値を決定可能な外気温度−必要下限判定閾値データベース65aを備えていてもよい。図9に、外気温度−必要下限判定閾値データベース65aに記憶された、外気温度と必要下限判定閾値との関係を示す。この関係は、外気温度が大きいほど、必要下限判定閾値は大きくなるという関係を示している。必要下限判定閾値は、前記空調装置本体21の出力と比較され、前記空調装置本体21の出力は低減されても、必要下限判定閾値より下回らないように監視するために設定されている。このことにより、空調装置本体21は、必要下限の出力を確保することができる。そして、これらの関係から、計測した外気温度に基づいて必要下限判定閾値を決定することができる。
図8に示す必要下限比較部66(特許請求の範囲の第2比較部に対応)は、前記空調装置本体21の出力と、必要下限判定閾値とを比較する。この比較では、必要下限判定閾値を運転者等が車室内で快適に過ごすための必要最低限に設定しておくことにより、空調装置本体21の出力が、この必要最低限に達したことを検知し、この必要最低限を下回るのを防止することができる。
温度上昇速度算出部67は、空調装置本体21の出力を低減した後の冷却水の水温の上昇速度を算出する。
上昇速度比較部68は、算出した上昇速度をゼロと比較することで、算出した上昇速度が、正の値(上昇)か、ゼロ(一定)又は負の値(下降)かを判定する。この判定によれば、空調装置本体21の出力を低減したことによる効果の有無を判定することができる。
次に、前記急坂車速制限コントローラ43(図3参照)について、詳細に説明する。急坂車速制限コントローラ43は、勾配量の急緩の判定を行い、勾配量を急と判定したときは、モータコントローラ18(図1参照)を介して車速を制限している。
図10に、急坂車速制限コントローラ43の構成図を示す。急坂車速制限コントローラ43は、勾配比較部71(特許請求の範囲の第3比較部に対応)と、警告部72と、最大車速値低減部73と、最大車速値増加部74とを有している。
勾配比較部71は、前記現勾配量と前記平均勾配量実績値と前記平均勾配量予測値との少なくとも1つと、勾配閾値とを比較する。
警告部72は、現勾配量と平均勾配量実績値と平均勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、燃料電池車両の運転者に車速低減の警告をする。この警告により運転者は予め車速の低減を知ることができる。
最大車速値低減部73は、現勾配量と平均勾配量実績値と平均勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、燃料電池車両の最大車速値(変数)を低減させる。後記するが、低減された最大車速値(変数)は、モータコントローラ18(図1参照)に出力され、モータコントローラ18は、この最大車速値(変数)を超えないように車速を制限する。燃料電池車両1に搭載されるモータ14は低速域から高トルクを発生できるので、急勾配(急坂)でも冷却を考慮しない過負荷の発電要求が燃料電池に生じる場合がある。このような事態を避けるために、急坂では、運転者に車速低減する旨の警告を出した上で、最大車速値(変数)を抑えた運転とする。これによりオーバーヒートを抑制でき、車両停止のない継続した急坂登坂が可能となる。
最大車速値増加部74は、最大車速値低減部73が燃料電池車両の最大車速値(変数)を低減させた後に、現勾配量と平均勾配量実績値と平均勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値より小さい値以下になった場合に、低減させていた燃料電池車両の最大車速値(変数)を元の大きさに戻すべく増加させる。
次に、前記AC予備冷却切り替えコントローラ44(図3参照)について、詳細に説明する。AC予備冷却切り替えコントローラ44は、現在および先方の勾配量の急緩の判定や、燃料電池温度の高低の判定を行い、勾配量に関し現在は緩斜面だが先方に急坂があると判定したり、燃料電池温度が低いと判定したりしたときは、その急坂での車室温の上昇に備えて車室を過冷却するために、空調コントローラ23(図1参照)を介して、空調装置本体21(図1参照)の出力を増大させている。
図11に、AC予備冷却切り替えコントローラ44の構成図を示す。AC予備冷却切り替えコントローラ44は、後記する条件に応じて空調装置本体21(図1参照)の出力を増大させている状態を示すUPフラグを設定し、特に初期化としてUPフラグを取り除くUPフラグ設定(初期化)部76を有している。また、設定されたUPフラグを記憶するUPフラグ記憶部77と、記憶されたUPフラグの有無の判定を行うフラグ有無判定部78とを有している。これらによれば、UPフラグの有無に基づいた空調装置本体21の出力の増大が可能になる。
予備冷却温度設定値代入部79(特許請求の範囲の空調出力増大部に対応)は、UPフラグが設定されていると判定された場合に、空調装置本体21(図1参照)の出力を増大させる。具体的には、空調装置本体21の制御目標とする温度設定値(変数)に、運転者が設定した運転者温度に換えて、その運転者温度より低い予備冷却温度を代入する。なお、後記するが、温度設定値(変数)は、空調コントローラ23(図1参照)に設けられて、空調コントローラ23はこの温度設定値(変数)になるように、空調装置本体21の出力を調整することになる。予備冷却温度設定値代入部79は、運転者温度に応じた予備冷却温度を出力可能な運転者温度−予備冷却温度変換データベース79aを有していてもよい。運転者温度−予備冷却温度変換データベース79aにおいては、運転者温度より予備冷却温度を低くなるように関係付けているだけでなく、運転者温度が高くなるほど予備冷却温度も高くなるように関係付けておく。このことによれば、運転者が運転者温度を高く設定しているのであれば、予備冷却温度も高く設定されるので、運転者温度と実際の車室の温度とのギャップを小さくでき、運転手に違和感を与えることがない。
一方、UPフラグが設定されていないと判定された場合は、運転者温度設定値(直接)代入部80が、運転者の設定した運転者温度を、直接に温度設定値(変数)として、空調コントローラ23に設定する。
そこで、入力部81では、運転者温度が入力されている。また、(平均勾配量)予測値、(平均勾配量)実績値、現勾配量、冷却水の水温(燃料電池温度)も入力されている。出力部82からは、温度設定値が空調コントローラ23に出力されている。
次に、UPフラグを立てる条件について説明する。
予測値急坂判定閾値記憶部83は、前記平均勾配量予測値の値が急坂に当たるか否かを判定するための基準値となる予測値急坂判定閾値(特許請求の範囲の急坂判定閾値に対応)を予め記憶しておく。
予測値比較部84(特許請求の範囲の第4比較部に対応)は、平均勾配量予測値と、予測値急坂判定閾値とを比較する。
実績値急坂判定閾値記憶部85は、前記現勾配量又は前記平均勾配量実績値の値が急坂ではない緩斜面に当たるか否かを判定するための基準値となる実績値急坂判定閾値(特許請求の範囲の緩斜面判定閾値に対応)を予め記憶しておく。
実績値比較部86(特許請求の範囲の第5比較部に対応)は、現勾配量と平均勾配量実績値のどちらか一方と、実績値急坂判定閾値とを比較する。
そして、UPフラグを立てる条件は、前記平均勾配量予測値が前記予測値急坂判定閾値以上であり、前記現勾配量と前記平均勾配量実績値のどちらか一方が前記実績値急坂判定閾値以下であるということに設定している。このUPフラグを立てる条件によれば、燃料電池車両1の走行方向前方に急坂が控えており冷却水の水温の上昇が予想されるが、現在あるいは今までは緩斜面を走行しており冷却水の水温は低く保たれ燃料電池6(図1参照)の出力を増大させる余地のある状況にあるか否かを判定することができる。そして、この判定により、UPフラグを立てる条件を満たしている場合は、前記UPフラグ設定部(初期化)部76においてUPフラグが設定されることになる。
また、UPフラグを立てる条件は、冷却水の水温との関係に基づいて設定することもできる。
空調低減(温度)比較部87が、冷却水の水温と前記空調低減判定閾値TW_ACとを比較する。なお、この比較は、図8のAC出力制限コントローラ42の空調低減(温度)比較部62における比較と同じであり、空調低減(温度)比較部87と、空調低減(温度)比較部62とは互いに兼用してもよい。さらに、空調予備冷却(温度)比較部88が、冷却水の水温と前記空調予備冷却判定閾値TW_ACUPとを比較する。
そして、UPフラグを立てる条件は、冷却水の水温が前記空調低減判定閾値TW_AC以下であり、冷却水の水温が前記空調予備冷却判定閾値TW_ACUP以上であるということである。このUPフラグを立てる条件によれば、燃料電池車両1の走行方向前方に急坂を控え現在あるいは今までは緩斜面を走行しており、冷却水の水温が徐々に上昇して、前記空調予備冷却判定閾値TW_ACUP以上になったが、まだ、前記空調低減判定閾値TW_AC以下にとどまっている状況であるか否かを判定することができる。そして、この判定により、UPフラグを立てる条件を満たしている場合は、前記UPフラグ設定部(初期化)部76においてUPフラグが設定されることになる。
前記のようにAC予備冷却切り替えコントローラ44によれば、これから走行するルートに急坂があり、その急坂にて空調装置本体21の出力が低減されると、車室の温度が上昇し、運転者が快適と体感できる温度域から上に外れてしまう場合があると考えられる。そこで、走行先に急坂があることが予測され、現在の走行路面が平坦であったり緩斜面であったりする場合は、冷却水の水温が低く抑えられ、現在の燃料電池6の発電量に余裕があるので、この余裕のある状態の燃料電池6の出力を上げて、空調装置本体21の出力を増大させ、急坂を登坂するに先立って、車室内を予め、たとえば運転者が快適と体感できる温度域の下限温度まで、冷却する。こうすれば、急坂において、車室の温度が上昇しても、車室の温度を、運転者が快適と体感できる温度域内に長時間維持することができる。
次に、前記SOC切り替えコントローラ45について、詳細に説明する。SOC切り替えコントローラ45は、前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値の急緩の判定や、冷却水の水温(燃料電池温度)の高低の判定を行い、前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、前記平均勾配量予測値に基づいて現在は緩斜面だが先方に急坂があると判定したり燃料電池温度が高いと判定したりしたときは、その急坂での冷却水の水温の上昇に備えて、バッテリからのアシストが十分にできるように目標SOCを上げ蓄電量を増加させる。急坂時で水温が上昇してきたときには、燃料電池の出力を通常よりも絞りバッテリからのアシスト量を増加させ燃料電池の発熱量を低減させ、水温が上がりすぎないようにする。これがバッテリ(蓄電装置)アシスト制御モードである。蓄電装置アシスト制御モードによれば、前記モータ14(図1参照)からの出力要求に対して燃料電池6の出力を制限し、バッテリ19からの出力を優先させることができる。一方、対極にあるモードが、燃料電池燃費優先制御モードである。燃料電池燃費優先制御モードでは、ブレーキや下り坂で発生する回生エネルギを十分回収できるようにバッテリの目標SOCを低めに設定(例えば50〜60%)しておく。回生エネルギを無駄なくバッテリに蓄電できるので燃費がよくなる。
図12に、SOC切り替えコントローラ45の構成図を示す。SOC切り替えコントローラ45は、後記する条件に応じて、蓄電装置アシスト制御モードを示すモードフラグ又は燃料電池燃費優先制御モードを示すモードフラグを設定し、特に初期化として燃料電池燃費優先制御モードを示すモードフラグを設定するモードフラグ設定(初期化)部(特許請求の範囲のモード選択部に対応)91を有している。また、設定されたモードフラグを記憶するモードフラグ記憶部92と、記憶されたモードフラグが蓄電装置アシスト制御モードと燃料電池燃費優先制御モードのどちらであるかの判定を行うモード判定部93とを有している。これらによれば、設定されたモードに基づいたバッテリ19と燃料電池6(図1参照)の出力の増減が可能になる。
バッテリ最大出力値増減部94は、蓄電装置アシスト制御モードが設定されていると判定された場合に、バッテリ19の出力を増大させ、燃料電池燃費優先制御モードが設定されていると判定された場合に、バッテリ19の出力を減少させる。具体的には、バッテリ19の出力上限とするバッテリ最大出力値(変数)を、蓄電装置アシスト制御モードにおいて増大させ、燃料電池燃費優先制御モードにおいて減少させる。なお、後記するが、バッテリ最大出力値(変数)は、バッテリコントローラ20(図1参照)に設けられており、バッテリコントローラ20はこのバッテリ最大出力値(変数)を超えないように、バッテリ19の出力を調整している。
燃料電池最大出力値増減部95は、蓄電装置アシスト制御モードが設定されていると判定された場合、水温が低ければ(勾配が緩ければ)高くなった目標SOCを達成するために、バッテリ蓄電用に燃料電池6の出力を上げる。水温が高い場合(勾配が急な場合)かつSOC(蓄電残量)が存在すれば(下限以上であれば)、燃料電池6の出力を低減させ、その発熱を抑える。具体的には、燃料電池6の出力を上げるときには、燃料電池最大出力値(変数)を増加させ、燃料電池6の出力を下げるときには、燃料電池最大出力値(変数)を低下させる。詳細は後記するが、燃料電池最大出力値(変数)は、燃料電池コントローラ5(図1参照)に設けられており、燃料電池コントローラ5はこの燃料電池最大出力値(変数)を超えないように、燃料電池6の出力を調整している。
入力部96には、モード選択を行うために、前記平均勾配量予測値、前記現勾配量、前記平均勾配量実績値、モード切り替え用の判定閾値、冷却水の水温が入力されている。出力部97からは、前記バッテリ最大出力値、前記燃料電池最大出力値が出力されることになる。
次に、モードフラグ選択の条件について説明する。
予測値急坂判定閾値記憶部98は、前記平均勾配量予測値の値が急坂に当たるか否かを判定するための基準値となる予測値急坂判定閾値(特許請求の範囲の第2急坂判定閾値に対応)を予め記憶しておく。なお、予測値急坂判定閾値記憶部98は、図11の予測値急坂判定閾値記憶部83と同じ機能を有するので、兼用することができる。
予測値比較部99(特許請求の範囲の第6比較部に対応)は、平均勾配量予測値と、予測値急坂判定閾値とを比較する。予測値比較部99は、図11の予測値比較部84と同じ機能を有するので、兼用することができる。
実績値急坂判定閾値記憶部100は、前記現勾配量又は前記平均勾配量実績値の値が急坂ではない緩斜面に当たるか否かを判定するための基準値となる実績値急坂判定閾値(特許請求の範囲の第2緩斜面判定閾値に対応)を予め記憶しておく。なお、実績値急坂判定閾値記憶部100は、図11の実績値急坂判定閾値記憶部85と同じ機能を有するので、兼用することができる。
実績値比較部101(特許請求の範囲の第7比較部に対応)は、現勾配量と平均勾配量実績値のどちらか一方と、実績値急坂判定閾値とを比較する。なお、実績値比較部101は、図11の実績値比較部86と同じ機能を有するので、兼用することができる。
そして、前記蓄電装置アシスト制御モードを選択する条件、より正確に、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替える条件は、前記平均勾配量予測値が前記予測値急坂判定閾値以上であり、前記現勾配量と前記平均勾配量実績値のどちらか一方が前記実績値急坂判定閾値以下であるということである。この条件によれば、燃料電池車両1の走行方向前方に急坂が控えており冷却水の水温の上昇が予想されるが、現在あるいは今までは緩斜面を走行して冷却水の水温がある程度上がっており、急坂に備えてバッテリの蓄電量を増加させる余地のある状況にあるか否かを判定することができる。そして、この判定により、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替える条件を満たしている場合は、前記モードフラグ設定部(初期化)部91において蓄電装置アシスト制御モードを示すモードフラグが設定されることになる。
また、モードフラグを選択する条件は、冷却水の水温との関係に基づいて設定することもできる。
まず、モード切り替え(温度)比較部102が、冷却水の水温と前記モード切り替え判定閾値TW_SOCとを比較する。
そして、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替える条件は、冷却水の水温が前記モード切り替え判定閾値TW_SOC以上であるということに設定されている。この条件によれば、燃料電池車両1の走行方向前方に急坂を控え現在あるいは今までは緩斜面を走行してきたことにより、冷却水の水温が徐々に上昇して、前記モード切り替え判定閾値TW_SOC以上になっている状況であるか否かを判定することができる。そして、この判定により、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替える条件を満たしている場合は、前記モードフラグ設定部(初期化)部91において蓄電装置アシスト制御モードを示すモードフラグが設定されることになる。
これから走行するルートに急坂があり、その急坂にて空調装置本体21の出力が低減されると、急坂での燃料電池6の温度の上昇が抑制されることを前提として、急坂に進入する前に、バッテリ蓄電量をFULLの状態にする。そして急坂で温度上昇が生じたときに、バッテリからの出力を増大させ燃料電池の出力を低減することで燃料電池の発熱を低減でき、水温上昇を抑えることができる。そこで、SOC切り替えコントローラ45においては、走行先に急坂があることが予測され、現在の走行路面が平坦であったり緩斜面であったりする場合は、予め燃料電池温度が急上昇することがわかっているので、予備的にバッテリ蓄電量を上げるために、目標SOCを上げ燃料電池6の出力をバッテリ充電分増加させる。そしてバッテリ蓄電量をFULLにした状態で急坂をむかえ、水温が上昇したときのバッテリアシストに備えることができる。
また、SOC切り替えコントローラ45は、前記バッテリ最大出力値増減部94に代えて目標SOC閾値増減部103を有してもよい。
目標SOC閾値増減部103は蓄電装置アシスト制御モードが設定されていると判定された場合に、バッテリの蓄電量を増大させるために目標SOC閾値(変数)を90%まで増大させる。尚、バッテリコントローラ20は燃料電池6の水温が低く出力を上げても問題ないときにこの目標SOCを達成する(目標SOC閾値に達する)ためにバッテリ19を充電する制御を行う。一方、燃料電池燃費優先モードでは目標SOC閾値(変数)を50%程度に設定する。こうすることで下り坂やブレーキ時の回生エネルギの多くをバッテリ19に回収することができ燃費を向上させることができる。
次に、前記空調コントローラ23について、詳細に説明する。図13に、空調コントローラ23の構成図を示す。空調コントローラ23は、前記空調装置本体21の前記制限最大出力値(変数)を記憶する最大出力値記憶部111と、前記温度設定値(変数)を記憶する温度設定値記憶部112とを有している。そして、(制限)最大出力値(変数)、温度設定値(変数)とは、入力部113から入力される。また、入力部113には、現在の車室の温度(車室温)が入力されている。
AC出力比較部114は、記憶されている(制限)最大出力値(変数)と、空調装置本体21の出力とを比較する。
車室温比較部115は、記憶されている温度設定値(変数)と、車室温とを比較する。
AC出力低減部116は、空調装置本体21の出力が(制限)最大出力値(変数)以上になったときに、空調装置本体21の出力が(制限)最大出力値(変数)未満になるように、空調装置本体21の出力を低減させている。また、AC出力低減部116は、空調装置本体21が働くことにより車室温が低下し、温度設定値(変数)以下になったときに、車室温が必要以上に低下しないように、空調装置本体21の出力を低減させている。
次に、前記モータコントローラ18について、詳細に説明する。図14に、モータコントローラ18の構成図を示す。モータコントローラ18は、燃料電池車両1の前記最大車速値(変数)を記憶する最大車速値記憶部121を有している。そして、最大車速値(変数)は、入力部122から入力される。また、入力部122には、現車速と、運転者のアクセルペダル16(図1参照)の踏込み加減に対応したアクセルペダル踏込み量が入力されている。
アクセル対応出力増減部123は、アクセルペダル踏込み量に応じて、モータ14の出力を増減させる。
車速比較部124は、記憶されている最大車速値(変数)と、現車速とを比較する。
モータ出力低減部125は、アクセル対応出力増減部123により現車速が増し、現車速が最大車速値(変数)以上になったときに、現車速が最大車速値(変数)未満になるように、モータ14の出力を低減させている。
次に、前記バッテリコントローラ20について、詳細に説明する。図15に、バッテリコントローラ20の構成図を示す。バッテリコントローラ20は、前記バッテリ最大出力値(変数)を記憶するバッテリ最大出力値記憶部131と、前記目標SOC閾値(変数)とを記憶するSOC閾値記憶部132とを有している。バッテリ最大出力値(変数)、目標SOC閾値(変数)は、入力部133から入力される。
バッテリ出力比較部134は、記憶されたバッテリ最大出力値(変数)と、バッテリ19の出力とを比較する。
SOC閾値比較部135は、記憶された目標SOC閾値(変数)と、バッテリ19のSOCとを比較する。
バッテリ出力低減部136は、バッテリ19の出力が、バッテリ最大出力値(変数)以上になったときに、バッテリ19の出力がバッテリ最大出力値(変数)未満になるように、バッテリ19の出力を低減させている。また、バッテリ出力低減部136は、バッテリ19のSOCが、目標SOC閾値(変数)以上になったときに、バッテリ19のSOCが目標SOC閾値(変数)未満になるように、バッテリ19を放電させる。
次に、前記燃料電池コントローラ5について、詳細に説明する。図16に、燃料電池コントローラ5の構成図を示す。燃料電池コントローラ5は、前記燃料電池最大出力値(変数)を記憶する燃料電池最大出力値記憶部141を有している。そして、燃料電池最大出力値は、入力部142から入力されている。
燃料電池出力比較部143は、記憶された燃料電池最大出力値(変数)と、前記燃料電池6(図1参照)の出力とを比較する。
燃料電池出力低減部144は、燃料電池6の出力が、燃料電池最大出力値(変数)以上になったときに、燃料電池6の出力が燃料電池最大出力値(変数)未満になるように、燃料電池6の出力を低減させている。
(実施例1)
前記では、図1に示した燃料電池車両1について、特に、燃料電池車両の制御装置2の機能と、その周辺に配置されるモータコントローラ18、バッテリコントローラ20、空調コントローラ23、燃料電池コントローラ5の機能について説明した。燃料電池車両の制御装置2の機能については、図3に示すように、メインコントローラ41、AC出力制御コントローラ42、急坂車速制限コントローラ43、AC予備冷却切り替えコントローラ44、SOC切り替えコントローラ45それぞれの機能に分けて説明した。
実施例1では、この燃料電池車両の制御装置2等を搭載したこの燃料電池車両1を用いた燃料電池車両の制御方法を説明する。
図17に、実施例1に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートを示す。フローチャート中の点線で囲んだAC出力制限ルーチンは、AC出力制御コントローラ42(図3参照)によって実施されることになる。急坂車速制限ルーチンは、急坂車速制限コントローラ43(図3参照)によって実施されることになる。AC予備冷却切り替えルーチンは、AC予備冷却切り替えコントローラ44(図3参照)によって実施されることになる。
以下では、燃料電池車両の制御方法をフローチャートのステップを追って説明する。
まず、ステップS1で、スタートとして、イグニションスイッチ(IG)25(図1参照)がオン(ON)される。このことにより、燃料電池車両の制御装置2を含め燃料電池車両1が始動する。
ステップS2で、図11のAC予備冷却切り替えコントローラ44のUPフラグ設定(初期化)部76、UPフラグ記憶部77、フラグ有無判定部78、運転者温度設定値(直接)代入部80と、図1の空調コントローラ23が用いられ、初期化として、AC出力UP制御をオフ(OFF)にする。具体的にはUPフラグを削除し設定からはずされ、運転者が設定した運転者温度にて空調装置本体21が運転される。
ステップS3で、図4のメインコントローラ41のACの制限最大出力値設定部49において、初期化として、ACの制限最大出力値(AC出力Max(kW):変数)に制限されていない無制限最大出力値(ACMAX)を代入する。
ステップS4で、図4のメインコントローラ41の現勾配量設定(取得)部51、走行距離取得部52、現勾配量走行距離記憶部53、実績値取得部54と、予測値取得部55とにより、ナビ(Navi)情報、モータ(MOT)トルク、車速に基づいて、前記現勾配量、登り勾配実績値として前記平均勾配量実績値、登り勾配予測値として前記平均勾配量予測値を算出する。
ステップS5で、図4のメインコントローラ41の空調低減判定閾値設定部56と空調予備冷却判定閾値設定部57とにより、前記現勾配量、登り勾配実績値もしくは登り勾配予測値から、空調低減判定閾値TW_ACと空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを設定する。
ステップS6で、図10の急坂車速制限コントローラ43の勾配比較部71において、現勾配量と、上限勾配を示す前記勾配閾値とを比較する。現勾配量が上限勾配を超えていればステップS7へ進み(S6、Yes)、現勾配量が上限勾配以下であればステップS10へ進む(S6、No)。
ステップS7で、図10の最大車速値低減部73と図1のモータコントローラ18とを用いて、燃料電池車両1の車速制限を行う。
ステップS8で、勾配比較部71において、現勾配量と、上限勾配よりΔ勾配だけ小さい値とを比較する。現勾配量が上限勾配よりΔ勾配だけ小さい値を超えていればステップS10へ進み(S8、Yes)、現勾配量が上限勾配よりΔ勾配だけ小さい値以下であればステップS9へ進む(S8、No)。したがって、ステップS8から直接ステップS10に進む場合は、車速制限がかけられたまま、AC予備冷却切り替えルーチンとAC出力制限ルーチンを実施することになる。なお、Δ勾配は、現勾配量が上限勾配より小さくなったことを確実に判定するために設けられている。
ステップS9で、図10の最大車速値増加部74と図1のモータコントローラ18とを用いて、燃料電池車両1の車速制限を解除する。
ステップS10で、図11のAC予備冷却切り替えコントローラ44の空調低減(温度)比較部87において、前記冷却水の水温(冷却水温)と、前記空調低減判定閾値TW_ACとを比較する。また、空調予備冷却(温度)比較部88において、冷却水温と、前記空調予備冷却判定閾値TW_ACUPとを比較する。冷却水温が、空調低減判定閾値TW_AC未満であり、空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを超えていれば、ステップS11へ進み(S10、Yes)、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_AC以上であったり、空調予備冷却判定閾値TW_ACUP以下であったりすれば、ステップS13へ進む(S10、No)。なお、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_AC未満であり、空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを超えている状況とは、急坂を直前に控えて、走行路面の現勾配量が徐々に大きくなっており、冷却水温も徐々に上昇しているような状況である。そして、この上昇の過程で、冷却水温が空調予備冷却判定閾値TW_ACUPを超えたが、まだ、空調低減判定閾値TW_ACを下回っているような状況である。急坂に進入すれば、燃料電池6の出力に余裕がなくなるが、現状では、まだ、燃料電池6の出力に余裕があるので、AC予備冷却が可能である。
ステップS11で、図11のAC予備冷却切り替えコントローラ44のUPフラグ設定(初期化)部76、UPフラグ記憶部77、フラグ有無判定部78、予備冷却温度設定値代入部(空調出力増大部)79と、図1の空調コントローラ23が用いられ、AC出力UP制御をオン(ON)にする。具体的にはUPフラグが設定され、運転者が設定した運転者温度より低い前記予備冷却温度にて空調装置本体21が運転される。
ステップS12で、図11の空調低減(温度)比較部87において、冷却水温と、前記空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値とを比較する。冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値を超えていれば、ステップS13へ進み(S12、Yes)、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値以下であれば、AC出力制限ルーチンを実施する必要がないことになるので、ステップS4に戻る(S12、No)。なお、ΔTは、冷却水温が空調低減判定閾値TW_ACより小さくなったことを確実に判定するために設けられている。また、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値を超えたということは、近い将来、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACを超え、AC出力制限ルーチンがスタートしてAC出力が低減されると考えられる。そこで、ステップS13では、AC出力UP制御と、AC出力制限ルーチンによるAC出力低減とが、かち合わないように、AC出力UP制御をオフ(OFF)している。
ステップS14で、図8のAC出力制限コントローラ42の空調低減(温度)比較部62において、前記冷却水の水温(冷却水温)と、前記空調低減判定閾値TW_ACとを比較する。冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACを超えていれば、ステップS15へ進み(S14、Yes)、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_AC未満であれば、ステップS4に戻る(S14、No)。なお、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACを超えている状況とは、燃料電池車両1が急坂を登坂しているような状況である。
ステップS15で、図8の空調出力低減部63の低減回数N代入部63aにおいて、低減回数N(変数)に1を代入し、初期化する。
ステップS16で、図8の空調制限量算出部63bにおいて、AC制限量(kW:変数)を算出する。AC制限量(kW:変数)は、1回分の低減幅である単位低減幅ΔACと低減回数N(変数)の積算値を、無制限最大出力値ACMAXから減算することにより算出する。
ステップS17で、図8の制限最大出力値代入部63cにおいて、空調装置本体21の最大出力値となる制限最大出力値AC出力Max(kW:変数)に算出したAC制限量を代入する。空調コントローラ23に制限最大出力値AC出力Max(kW:変数)が入力され、空調コントローラ23は、空調装置本体21の出力が制限最大出力値AC出力Max(kW:変数)を超えないように制御する。制限最大出力値AC出力Max(kW:変数)が下げられたことになり、このことにより空調装置本体21の出力の低減が可能になる。
ステップS18で、図8のタイマ64により、待ち時間を設ける。待ち時間の間に、空調装置本体21の出力を低減した効果が、冷却水の水温の上昇速度の変化として現れるのを待つ。
ステップS19で、図8の必要下限判定閾値決定部65と、必要下限比較部66とを用いて、必要下限判定閾値を決定し、制限最大出力値AC出力Max(変数)とこの必要下限判定閾値とを比較する。制限最大出力値AC出力Max(変数)が、必要下限判定閾値を超えていれば、ステップS20へ進み(S19、Yes)、制限最大出力値AC出力Max(変数)が、必要下限判定閾値以下であれば、ステップS22に進む(S19、No)。なお、制限最大出力値AC出力Max(変数)が、必要下限判定閾値以下である状況とは、空調装置本体21を稼動させても出力が足りずに、快適な車室温度が得られないような状況である。
ステップS20で、図8の温度上昇速度算出部67と上昇速度比較部68とを用いて、
冷却水の水温の上昇速度を算出し、この上昇速度と、速度閾値ゼロ(0)とを比較する。上昇速度が、速度閾値ゼロ(0)を超えていれば、ステップS21へ進み(S20、Yes)、上昇速度が、速度閾値ゼロ(0)以下であれば、ステップS22に進む(S20、No)。なお、上昇速度が速度閾値ゼロ(0)以下である状況とは、冷却水の水温が、一定か低下している状況であるので、燃料電池6がオーバーヒートすることなく継続的に使用可能な状況にあると考えられる。
逆に、ステップS21に至る状況として、冷却水の水温はまだ上昇しているが、制限最大出力値AC出力Max(変数)もまだ下げる余地があるので、低減回数N代入部63aにおいて、低減回数Nを1だけ増やし、制限最大出力値AC出力Max(変数)を下げるためにステップS16に戻る。このようなループを用いることにより、制限最大出力値AC出力Max(変数)を必要最低限の下げ幅で、冷却水の水温の上昇を止めることができる。
ステップS22で、図8の空調低減(温度)比較部62において、冷却水温と、前記空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値とを比較する。冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値を超えていれば、冷却水温を低減するという最終目的が達成できたので、ステップS3に戻り(S22、Yes)、冷却水温が、空調低減判定閾値TW_ACよりΔTだけ小さい値以上であれば、まだ、空調出力低減の効果が冷却水温に現れていないと考え、効果が現れてくるまでの待ち時間を設けるために、ステップS18に戻る(S22、No)。なお、ΔTは、冷却水温が空調低減判定閾値TW_ACより小さくなったことを確実に判定するために設けられている。
(実施例2)
実施例2でも、実施例1と同様に、燃料電池車両の制御装置2等を搭載した燃料電池車両1を用いた燃料電池車両の制御方法を説明する。
図18に、実施例2に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートを示す。実施例2に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートが、実施例1に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートと異なる点は、AC予備冷却切り替えルーチンに換えて、SOC切り替えルーチンが実行される点である。SOC切り替えルーチンは、SOC切り替えコントローラ45(図3参照)によって実施されることになる。なお、このような相違点によるステップの差は、SOC切り替えルーチンに含まれるステップも含めて、ステップS24からステップS29までであるので、以下では、これらのステップS24からステップS29についてのみ説明する。なお、AC予備冷却切り替えルーチンと、SOC切り替えルーチンを、実施例1や実施例2と異なり、1つの燃料電池車両の制御方法のフローチャートに組み入れてもよい。
そして、ステップS24で、図12のSOC切り替えコントローラ45のモードフラグ設定(初期化)部(バッテリ入出力制御モード選択部)91が用いられ、初期化として、バッテリ入出力制御モードに前記燃料電池燃費優先制御モードを設定する。さらに、図12のモードフラグ記憶部92、モード判定部93、バッテリ最大出力値増減部94、燃料電池最大出力値増減部95と、図1のバッテリコントローラ20と燃料電池コントローラ5とを用いて、いわゆる前記燃料電池燃費優先制御モードを実施する。
ステップS25で、図4のメインコントローラ41の空調低減判定閾値設定部56とモード切り替え判定閾値設定部58とにより、前記現勾配量、登り勾配実績値もしくは登り勾配予測値から、空調低減判定閾値TW_ACとモード切り替え判定閾値TW_SOCを設定する。
ステップS26で、図12のSOC切り替えコントローラ45のモード切り替え(温度)比較部102において、前記冷却水の水温(冷却水温度)と、前記モード切り替え判定閾値TW_SOCとを比較する。冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOCを超えていれば、ステップS27へ進み(S26、Yes)、冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOC以下であれば、ステップS29へ進む(S26、No)。なお、冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOCを超えている状況とは、急坂を直前に控えて、走行路面の現勾配量が徐々に大きくなっており、冷却水温度も徐々に上昇しているような状況である。そして、この上昇の過程で、冷却水温度がモード切り替え判定閾値TW_SOCを超えたが、まだ、前記空調低減判定閾値TW_ACを下回っているような状況である。急坂に進入すれば、燃料電池の冷却に余裕がなくなり冷却水温度は否応なしに上昇する。そこで、急坂に進入する前に、バッテリ19の蓄電量を増加させておく。このことによれば急坂において冷却水温度が上昇した喝合、バッテリからのアシストが十分でき燃料電池の発熱を抑えることができる。
ステップS27で、図12のモードフラグ設定(初期化)部91等が用いられ、バッテリ入出力制御モードとして、蓄電装置アシスト制御モードを設定する。この設定により、いわゆる前記蓄電装置アシスト制御モード(アシスト重視SOC制御)が実施されることになる。具体的には、目標SOC(閾値)を増加させ、バッテリ蓄電量を増加することが可能となる。
ステップS28で、図12のモード切り替え(温度)比較部102において、冷却水温度と、前記モード切り替え判定閾値TW_SOCよりΔTだけ小さい値とを比較する。冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOCよりΔTだけ小さい値未満であれば、ステップS29へ進み(S28、Yes)、冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOCよりΔTだけ小さい値以上であれば、AC出力制限ルーチンヘ行き、さらに急坂対応を行う(S14)。なお、ΔTは、冷却水温度がモード切り替え判定閾値TW_SOCより小さくなったことを確実に判定するために設けられている。また、冷却水温度が、モード切り替え判定閾値TW_SOCよりΔTだけ小さい値未満になったということは、バッテリからのアシストによって燃料電池水温を下げるというSOC切り替えルーチンの目的を達成したことになるので、ステップS29では、バッテリ入出力制御モードを前記燃料電池燃費優先制御モード(燃料重視)に戻す。
本発明の実施形態に係る燃料電池車両の制御装置を搭載した燃料電池車両の構成図である。 (a)は燃料電池車両の前部を上方から透視した透視図であり、(b)は燃料電池車両の前部を側方から透視した透視図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池車両の制御装置の構成図である。 メインコントローラの構成図である。 車速・トルク−勾配量データベースに記憶された、車速とモータのトルクと勾配量との関係を示すグラフである。 勾配量−空調低減判定閾値データベースに記憶された、勾配量と空調低減判定閾値との関係を示すグラフと、 勾配量−空調予備冷却判定閾値データベースに記憶された、勾配量と空調予備冷却判定閾値との関係を示すグラフである。 勾配量−モード切り替え判定閾値データベースに記憶された、勾配量とモード切り替え判定閾値との関係を示すグラフである。 AC出力制限コントローラの構成図である。 外気温度−必要下限判定閾値データベースに記憶された、外気温度と必要下限判定閾値との関係を示すグラフである。 急坂車速制限コントローラの構成図である。 AC予備冷却切り替えコントローラの構成図である。 SOC切り替えコントローラの構成図である。 空調コントローラの構成図である。 モータコントローラの構成図である。 バッテリコントローラの構成図である。 燃料電池コントローラの構成図である。 本発明の実施例1に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートである。 本発明の実施例2に係る燃料電池車両の制御方法のフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池車両
2 燃料電池車両の制御装置
3 燃料電池システム
4 冷却システム
5 燃料電池コントローラ
6 燃料電池
7 水温センサ
8 循環ポンプ
9 ラジエータ
10 ラジエータファン
11 駆動輪
12 差動装置
13 減速装置
14 モータ
15 インバータ
16 アクセルペダル
17 トルクセンサ
18 モータコントローラ
19 バッテリ
20 バッテリコントローラ
21 空調装置本体
22 コンデンサ
23 空調コントローラ
24 DC/DCコンバータ
25 IG(イグニションスイッチ)
26 走行距離計
27 車速センサ
28 外気温センサ
29 ナビゲーションシステム
30 車室温センサ
31 温調ツマミ
32 車体フレーム
33 車両進行方向
34 空気の流れ方向
35 フロントグリル

Claims (7)

  1. 車両を走行させるモータと、
    前記車両の車室の熱を車両外部に放出するコンデンサを有し前記車室の空調をする空調装置と、
    前記モータと前記空調装置を駆動する電力を供給する燃料電池と、
    前記燃料電池での発電の際に発生する熱を車両外部へ放出し前記コンデンサの前記車両走行方向後方に配置されるラジエータとを有する燃料電池車両の制御装置であって、
    前記燃料電池の温度と予め設定される温度閾値とを比較する第1比較部と、
    前記燃料電池の温度が前記温度閾値以上となったとき、前記空調装置の出力を低減させる空調出力低減部とを設けたことを特徴とする燃料電池車両の制御装置。
  2. 外気温度が高いほど大きくなるように出力閾値が決定される決定部と、
    前記空調装置の出力と前記出力閾値とを比較する第2比較部とを設け、
    前記空調装置の出力の下限を前記出力閾値とすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の制御装置。
  3. 前記車両が現在走行している路面の現勾配量と、前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値との少なくとも1つを取得する勾配量取得部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが大きいほど、前記温度閾値を小さく設定する閾値設定部とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両の制御装置。
  4. 前記車両が現在走行している路面の現勾配量と、前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値との少なくとも1つを取得する勾配量取得部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つと、勾配閾値とを比較する第3比較部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、前記車両の最大車速値を低減させる最大車速値低減部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値と前記勾配量予測値との少なくとも1つが勾配閾値以上の場合に、前記車両の運転者に車速低減の警告をする警告部とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両の制御装置。
  5. 前記勾配量予測値の取得では、ナビゲーションシステムの情報を利用することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の燃料電池車両の制御装置。
  6. 前記車両が現在走行している路面の現勾配量と前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値のどちらか一方と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値とを取得する勾配量取得部と、
    前記勾配量予測値と、急坂判定閾値とを比較する第4比較部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方と、緩斜面判定閾値とを比較する第5比較部と、
    前記勾配量予測値が前記急坂判定閾値以上であり、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方が前記緩斜面判定閾値以下である場合に、前記空調装置の出力を増大させる空調出力増大部とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両の制御装置。
  7. 前記燃料電池車両は、
    前記モータと前記空調装置を駆動する電力を供給可能であり、前記燃料電池が発電した電力を蓄電可能である蓄電装置を有し、
    前記燃料電池車両の制御装置は、
    前記燃料電池の出力を低減させ前記蓄電装置の出力を増大させる蓄電装置アシスト制御モードと、
    前記燃料電池の出力を増大させ前記蓄電装置の出力を低減させる燃料電池燃費優先制御モードとを備え、
    前記車両が現在走行している路面の現勾配量と前記車両が直近の過去に走行していた路面の勾配量実績値のどちらか一方と、前記車両が直近の未来に走行するであろう路面の勾配量予測値とを取得する勾配量取得部と、
    前記勾配量予測値と、第2急坂判定閾値とを比較する第6比較部と、
    前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方と、第2緩斜面判定閾値とを比較する第7比較部と、
    前記勾配量予測値が前記第2急坂判定閾値以上になり、前記現勾配量と前記勾配量実績値のどちらか一方が前記第2緩斜面判定閾値以下なった場合に、前記燃料電池燃費優先制御モードから前記前記蓄電装置アシスト制御モードへ選択を切り替えるモード選択部とを設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両の制御装置。
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