JP2009040665A - 脆性材料のフルボディ割断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 脆性材料のフルボディ熱応力割断において、応力伝播速度を上限値とする割断高速性の実現をはかることを目的とする。
【解決手段】 脆性材料2のフルボディ熱応力割断を、熱応力発生と亀裂拡大の2プロセスに分離して行う。熱応力発生は、照射レーザ光8を集光レンズ9でガラス板10の表面の集光点10に集光し、走査方向3の方向に直線走査する。亀裂拡大は、初亀裂12から出発し、照射レーザ光8走査方向3と逆方向11にレーザ走査線上に沿って進行し、レーザ照射開始点にまで至る。
脆性材料の熱応力割断を、熱応力分布の発生と応力伝播速度を上限とする亀裂拡大の2つのプロセスに分離することにより、両プロセスの高速化をそれぞれ独立した条件下で実現することができるので、総合的な熱応力割断現象の高速化を実現する方ことができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 脆性材料2のフルボディ熱応力割断を、熱応力発生と亀裂拡大の2プロセスに分離して行う。熱応力発生は、照射レーザ光8を集光レンズ9でガラス板10の表面の集光点10に集光し、走査方向3の方向に直線走査する。亀裂拡大は、初亀裂12から出発し、照射レーザ光8走査方向3と逆方向11にレーザ走査線上に沿って進行し、レーザ照射開始点にまで至る。
脆性材料の熱応力割断を、熱応力分布の発生と応力伝播速度を上限とする亀裂拡大の2つのプロセスに分離することにより、両プロセスの高速化をそれぞれ独立した条件下で実現することができるので、総合的な熱応力割断現象の高速化を実現する方ことができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は脆性材料、なかんずくフラットパネルディスプレイ用ガラスをフルカットする脆性材料のフルボディ割断方法に関する。以下、脆性材料としてガラスを例に説明するが、本発明はガラスの他にも石英、セラミック、半導体などの脆性材料一般に適用が可能である。
最近ガラス割断において、過去1世紀にわたって使用されてきたダイアモンドチップによる機械的方法に代わって、レーザ光照射による熱応力割断方法(以下レーザ割断方法と略記する)が使用されるようになってきた。
レーザ割断方法によれば、機械的方法に固有の欠点、すなわちマイクロクラック発生によるガラス強度の低下、割断時のカレット発生による汚染、適用板厚の下限値の存在などが一掃できる。
このレーザ割断方法によれば機械割断の後工程である研磨、洗浄が不要になり、面粗さ1μm以下の鏡面が得られ、製品外形寸法精度は±25μm以上になる。さらにガラス板厚0.1mmまでの薄さにも使用でき、今後の液晶表示器用ガラスに使用できる。
レーザ割断方法の原理は次の通りである。ガラスに局所的に、加熱だけが発生し、気化、溶融やクラックが発生しない程度のレーザ光照射を行なう。この時ガラス加熱部は熱膨張しようとするが周辺ガラスからの反作用にあい十分な膨張ができず、照射点を中心として圧縮応力が発生する。周辺の非加熱領域でも、加熱部からの膨張に押されてさらに周辺に対して歪みが発生し、その結果圧縮応力が発生する。こうした圧縮応力は半径方向のものである。ところで物体に圧縮応力がある場合には、その直交方向にはポアソン比が関係した引っ張り応力が発生する。ここでは、その方向は接線方向である。この様子を図1に示す。
図1は、原点に中心をおくガウシアン分布の温度上昇がある場合の、半径方向応力成分σxと接線方向応力成分σyの変化を示したものである。半径方向応力成分σxは終始圧縮応力(図1では負値)であるが、接線方向応力成分σyは加熱中心(距離r=0)では圧縮応力であるが、加熱中心から離れると引っ張り応力(図1で正値)に変化する。
これらの応力のうち、割断に関係するのは引っ張り応力である。引っ張り応力が材料固有値である破壊靱性値を超える時には、破壊が随所に発生し制御不能である。レーザ割断方法の場合には、引張り応力をこの破壊靱性値以下に選定しておくので、破壊は発生しない。
ところが、引張り応力存在位置に亀裂がある場合にはこの亀裂先端では応力拡大が発生し、この応力が材料の破壊靱性値を超えると亀裂が拡大する。すなわち、制御された割断が生じることになる。したがって、レーザ照射点を走査することで、亀裂を延長させていくことができる。このレーザ割断方法では、割断面は結晶の劈開面に類似のものになるので、マイクロクラックもカレット発生もなく、前記した機械的方法の欠点が一掃できて、ガラスの加工方法として優れた特性を有するものである。
このガラスのレーザ割断方法はコンドラテンコ氏によって初めて開発され、特許文献1の日本特許が成立している。
特許第3027768号 図2(a)に特許文献1によるレーザ割断方法の原理を示す。レーザ光としてはCO2レーザ光が使用され、CO2レーザ光のビームスポット1におけるエネルギーの99%は、ガラス板2の深さ3.7μmのガラス表面層において吸収され、ガラス板2の全厚さにわたって透過しない。これは、CO2レーザ波長におけるガラスの吸収係数が著しく大きいことによる。レーザによる割断(以下スクライブと称する)の深さはガラス板2中の熱伝導4によって助けられても、通常100μm程度である。しかしながら、ガラス板2は脆性が強く、このスクライブ線にあわせて応力を印加し機械的に割断することが容易である。この機械的応力の印加によって割断するプロセスをブレークと称する。レーザビームは割断方向3の方向に走査される。この方法は従来方法である機械的方法に比較すれば長所があるが、ブレークが必要であることに実用性が限られて、必ずしも普及が完全ではなかった。
これに対して、図2(b)に示すようなガラス板2に透過して行きその一部が吸収されるようなレーザ光5を照射すると、透過光6がガラス板2の全板厚に対して割断を発生させるので、ガラス板2はこの工程のみで割断ができてブレークが不要になる。この割断を、レーザによるフルボディ割断(あるいはフルカット)と称する。
フルカットの採用により、前記したレーザ割断方法の有する技術特徴に加えて、ブレークが不要になりワークの反転が不要になる、自由曲線割断が可能になる、重ねガラスの一方向からの選択的割断が可能になるなどのフルカット特有のメリットが生じ、フラットパネル製造工程において図り知れない改善が実現できるようになった。株式会社レミは、このフルカット技術に対して特許文献2〜8の提案をしている。
特開2006−256944号公報
特開2006−347793号公報
特開2007−55072号公報
特開2007−76077号公報
特願2006−089949
特願2006−311379
特願2006−348836
このようにレーザによるフルカットは優れた技術であるが、開発が進行してくると、割断速度がある限界値以上に増大しないという欠点があることが判明して来た。この欠点を除去すれば、フルカット技術はその有している技術優位性のために広く使用されるであろう。
この割断速度が限定されていることの原因は、熱応力発生のためのレーザ光照射と亀裂拡大による割断を一プロセスとして同時に行なっていることに起因する。本来、ガラス内の亀裂拡大速度は熱応力分布の伝播速度同様、音速に近いものであるはずである。しかし、実際は、熱応力発生のためのレーザ光照射の走査速度はレーザ割断の原因となる熱応力発生のための最適レーザ光走査速度によらねばならず、フルカットの場合の最適レーザ光走査速度は、板厚0.7mmの無アルカリガラスの場合には通常10−100mm/s程度である。一方これに対して、亀裂拡大速度の潜在的上限値は音速に近く、両者には著しい乖離が見られる。亀裂進行がこのように潜在的高速化の可能性があっても、亀裂先端はレーザ照射位置を追い越すことができないので、亀裂拡大速度は実際にはレーザ照射位置の走査速度になってしまう。
本発明はこのフルカット技術における欠点を除去して、熱応力割断が本来有している高速性を実現することを目的とするものである。
本発明においては、フルカット技術における熱応力割断を熱応力発生と亀裂拡大の2プロセスに分離することによって解決する。熱応力発生は、レーザ光照射に限らず種々の方法で行なうことができる。熱応力発生が割断の原因を準備し、一定の遅延時間後に亀裂拡大が発生するようにすればよい。このような現象を、遅延破壊(delayed fracture)と呼ぶことがある。もちろん遅延時間が限りなく0に近く、熱応力発生と亀裂拡大を高速に同時発生させることができる。
本発明においては、フルカット技術における熱応力割断を熱応力発生と亀裂拡大の2プロセスに分離することによって解決する。熱応力発生は、レーザ光照射に限らず種々の方法で行なうことができる。熱応力発生が割断の原因を準備し、一定の遅延時間後に亀裂拡大が発生するようにすればよい。このような現象を、遅延破壊(delayed fracture)と呼ぶことがある。もちろん遅延時間が限りなく0に近く、熱応力発生と亀裂拡大を高速に同時発生させることができる。
本発明によれば、熱応力発生と亀裂拡大の2プロセスの所要時間を総和しても、総合的な割断速度を大幅に増大させることができる。特に亀裂拡大は本来亀裂拡大現象が有する限界速度を実現できる。亀裂拡大速度は、ガラス中の熱応力の伝播速度によって決定されるものである。一方熱応力発生も種々の手段で行なうことができ、その速度向上が実現可能である。
本発明によれば、熱応力割断の有する高品質を実現しながら、割断速度を従来技術に比較して大幅に増加させることができる。レーザによるガラス割断は、多くのすばらしい技術上の利点がありながら、いまだに過去1世紀にわたって使用されてきたダイアモンドチップによる機械的方式を置換できないできた。本発明はそうした事態を一変するものである。
本発明のメリットに、次に挙げるものがある。
(1))脆性材料のフルボディ割断を従来方法に比較して大幅に高速度で行う事ができる。
(2)脆性材料の割断がフルカットだけの一工程ででき、ブレークが不要である。まして、研磨、洗浄などの後工程は不要である。
(3)割断面近傍におけるマイクロクラック発生がなく、ワークの機械強度が高い。
(4)割断面にカレットの付着がなく、清浄である。
(5)曲線割断が可能である。
(6)割断位置精度が高い。
(7)割断面がガラス表面に対して、十分に垂直である。
(8)割断面が鏡面で、面粗さが良好である。
(9)重ねガラスの選択的割断を一方向からのレーザビーム照射でおこなうことができ、ガラス板の反転などの操作が不要である。
(10)割断の自動化ができる。
(1))脆性材料のフルボディ割断を従来方法に比較して大幅に高速度で行う事ができる。
(2)脆性材料の割断がフルカットだけの一工程ででき、ブレークが不要である。まして、研磨、洗浄などの後工程は不要である。
(3)割断面近傍におけるマイクロクラック発生がなく、ワークの機械強度が高い。
(4)割断面にカレットの付着がなく、清浄である。
(5)曲線割断が可能である。
(6)割断位置精度が高い。
(7)割断面がガラス表面に対して、十分に垂直である。
(8)割断面が鏡面で、面粗さが良好である。
(9)重ねガラスの選択的割断を一方向からのレーザビーム照射でおこなうことができ、ガラス板の反転などの操作が不要である。
(10)割断の自動化ができる。
このように、高速度フルボディ熱応力割断がフラットパネルディスプレイ製造過程に導入されれば、加工速度、加工品質、経済性などの向上、従来技術の弱点克服などにおいて、その効果ははかり知れないものがある。
熱応力発生はレーザ光照射、誘電加熱、その他の方法で行なうことができる。必要条件としては、高速性、フルボディ割断のために板厚を貫通する熱源であること、引っ張り応力を増大させる分布であること、高位置精度実現のための局所性、などが要求される。亀裂拡大は出発の低閾値化のために初亀裂を用意しておくとよい。これらについて以下に説明する。
図3に、本発明の第1の実施例における脆性材料のフルボディ割断方法を説明する概念的斜視図を示す。熱応力発生のもっとも簡単な方法は、ガラス表面の割断予定位置に線状の熱源を接触させることであろう。糸の燃焼でもいいし、ニクロム線への通電でもよいであろう。しかしながら、こうした方法は前記した必要条件を満足するものではない。
発明者は図3(a)に示す方式のレーザ光照射の高速走査を行なった。ガラス板2はYbを3重量%添加した板厚0.7mmの無アルカリガラスであった。これに、波長976nmのレーザダイオードユニット7からのレーザ光8(出力1kW)を集光レンズ9を用いてガラス表面の集光点10(0.5×2.5mm2の矩形)に集光し、集光点10の長辺方向に直線走査した。この走査方向を符号3で示す。ガラス板2に吸収されたレーザ光エネルギーは約300Wであり、その80%である240Wが熱に変換された。走査速度は250mm/sであり、これは従来のレーザフルボディ割断の場合に比較して約3倍の速度である。従来のフルボディでは集光スポットは3×4mm2であり、エネルギー密度は約1/10である。ガラス板2はテーブル(図示を省略)から浮かしておき、テーブルへの熱伝導を防止した。実験を通して、亀裂は多くの場合レーザ光8の走査方向3と逆方向に発生することが経験されたので、亀裂開始用の初亀裂12をレーザ光走査の終了点に設置した。
発明者は図3(a)に示す方式のレーザ光照射の高速走査を行なった。ガラス板2はYbを3重量%添加した板厚0.7mmの無アルカリガラスであった。これに、波長976nmのレーザダイオードユニット7からのレーザ光8(出力1kW)を集光レンズ9を用いてガラス表面の集光点10(0.5×2.5mm2の矩形)に集光し、集光点10の長辺方向に直線走査した。この走査方向を符号3で示す。ガラス板2に吸収されたレーザ光エネルギーは約300Wであり、その80%である240Wが熱に変換された。走査速度は250mm/sであり、これは従来のレーザフルボディ割断の場合に比較して約3倍の速度である。従来のフルボディでは集光スポットは3×4mm2であり、エネルギー密度は約1/10である。ガラス板2はテーブル(図示を省略)から浮かしておき、テーブルへの熱伝導を防止した。実験を通して、亀裂は多くの場合レーザ光8の走査方向3と逆方向に発生することが経験されたので、亀裂開始用の初亀裂12をレーザ光走査の終了点に設置した。
レーザ光8の走査終了とほぼ同時に、ガラス板2のフルボディ割断が発生した。この様子を図3(b)に示す。
亀裂はレーザ光走査方向3と逆方向11に進行し、その速度は約30,000mm/sであった。この速度は、従来のレーザフルボディ割断速度に比較して300−3000倍の高速度である。本発明のフルボディ割断は用意した初亀裂12から出発し、レーザ走査線上に沿って進行し、レーザ照射開始点にまで至った。直線性も割断面品質も、従来方法によるレーザフルカット割断なみの品質であった。割断面は、基本的には鏡面であったが若干の波打ちが見られた。しかしながら、本技術はフラットパネルディスプレイ用ガラスの加工手段として十分に使用に耐える品質のものである。マイクロクラックもカレットの発生もまったくなく、ガラスの加工方法としては理想的なものである。
亀裂はレーザ光走査方向3と逆方向11に進行し、その速度は約30,000mm/sであった。この速度は、従来のレーザフルボディ割断速度に比較して300−3000倍の高速度である。本発明のフルボディ割断は用意した初亀裂12から出発し、レーザ走査線上に沿って進行し、レーザ照射開始点にまで至った。直線性も割断面品質も、従来方法によるレーザフルカット割断なみの品質であった。割断面は、基本的には鏡面であったが若干の波打ちが見られた。しかしながら、本技術はフラットパネルディスプレイ用ガラスの加工手段として十分に使用に耐える品質のものである。マイクロクラックもカレットの発生もまったくなく、ガラスの加工方法としては理想的なものである。
図4は、本現象の発生メカニズムを説明する原理図である。図4において、13はガラス内部の温度上昇を上昇温度を縦軸に模式的に表現したものである。斜線14を施した領域が、照射レーザ光走査領域である。3が照射レーザ光の走査方向を示す。レーザ光の照射直後にガラス板2の照射位置では温度上昇が発生するが、ガラス内部で熱伝導15、16などが発生し、いったん上昇した温度は次第に低下する。照射レーザ光の走査は矢印3に示す走査方向に行なわれるので、温度上昇分は走査開始点で最低であり、走査終了点で最高であり、両位置の間では図4に示すような温度勾配が発生する。温度上昇値の最低値を、図4では17で示す。この温度上昇値は時間の経過とともに単調に低下するが、われわれの経験では走査終了後に間髪を要れずに割断が発生するので、図4に示す温度上昇の様子は割断開始時点のものと考えることができる。
線状の一様温度上昇がある場合には、熱応力解析によれば、発生する引張り応力はガラス板端部付近を除いては同線に平行成分しか存在しない。この場合には、照射レーザ光走査線に沿った割断は発生しづらいであろう。本発明で見られる活発な割断は、図4に示す上昇温度勾配に由来する、走査線に直交方向成分の引っ張り応力の存在によるものである。この引っ張り応力成分は温度上昇値の勾配に依存するので、図4に示すように温度上昇値の勾配は照射開始点よりも照射終了点で大きいので、割断が照射終了点で開始しやすい事実に符合している。
このように、温度上昇値の勾配が本発明の割断現象を支配する因子である。図4では、温度上昇値の勾配がレーザ光照射後の熱伝導による冷却によって発生する。熱伝導の時定数に比較して照射レーザ光走査が高速すぎる時には、温度上昇値は一様になってしまい、割断が発生しづらいことが経験された。照射レーザ光強度を場所的に変化させ温度勾配を増大させれば、照射レーザ走査速度をさらに増大させることができる。また、ガラスをテーブルに熱接触させるなどガラスの熱伝導を増大させても同様の効果があるであろう。
本発明では、レーザ光がガラス内部に透過して行きかつ吸収されて、フルカットを発生させることが前提である。このためには使用できるレーザとして、Er:YAGレーザまたはHo:YAGレーザが発振するレーザ光の基本波、Nd:YAGレーザ、Yb:YAGレーザ、Nd:YVO4レーザおよびNd:YLFレーザのいずれかから選択されたレーザが発振するレーザ光の第3高調波乃至第5高調波、光パラメトリック発振器または混晶半導体レーザが使用できる。
また、脆性材料に希土類元素を添加し、この脆性材料への照射レーザ光としてレーザダイオードまたは希土類固体レーザを使用するようしてもよい。
また、脆性材料に希土類元素を添加し、この脆性材料への照射レーザ光としてレーザダイオードまたは希土類固体レーザを使用するようしてもよい。
図5に、本発明の第2の実施例を示す。この実施例ではガラス板2中にレーザ光を透過吸収させる代わりに、ガラス板2の表裏面に接触させた電極18及び19間に電源20から高周波電圧eを印加し、ガラス板2中に発生する誘電損失による発熱によってガラス板2の局所加熱を行なって、フルボディ熱応力割断を行なうものである。図5に示すのはガラス加熱の原理図であって、特許文献4に記述されているものと類似である。この加熱法と本発明の技術要素を組み合わせて、本発明の第2の実施例を構成することができる。図5で、21はガラスの有するキャパシタンスを、22はガラスの有する同誘電損失を模式的に示したものである。
図5に示すのはある位置における断面図であるが、電極18、19を多数個の分割電極にし、それぞれに印加する電圧を変化させると、前記した割断線に沿った温度勾配ができて割断が促進できるであろう。この場合、レーザ光照射の場合よりも高速化が実現できる。また、多数個の分割電極に与える電圧印加に時間差を設けて、場所による冷却効果を制御し、割断線に沿った温度勾配を制御して割断を促進してもよい。
以上の説明は、フルボディ熱応力割断が直線状に行なわれる場合について説明を行なった。しかしながら本発明は直線加工に限定されず、一般の曲線加工にも使用することができる。
以上説明したのは本発明の機能を実現するための若干の実施例であって、本発明の精神はその他の多くの方法で実現可能であることは言を俟たない。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに用いるガラスの切断が、現在はダイアモンドカッターで行われており、カレット発生のための切断後の洗浄工程の必要性や、マイクロクラックの存在による強度低下などの問題を呈している。本発明によるフルボディ熱応力割断は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイに用いるガラスの割断、石英、セラミック、半導体などの各種の脆性材料の割断に使用することができる。
1 表面スクライブ用照射レーザ光
2 ガラス板
3 照射レーザ光の走査方向
4 発生熱の熱伝導による伝播
5 フルカット用照射レーザ光
6 透過レーザ光吸収による熱源
7 レーザダイオードユニット
8 レーザ光
9 レーザ光集光レンズ
10 レーザ光集光点
11 亀裂進行方向
12 初亀裂
13 温度上昇
14 照射レーザ走査領域
15、16 熱伝導
17 走査開始点における温度上昇値
18、19 高周波電極
20 高周波電源
21 キャパシタンス
22 誘電損失
2 ガラス板
3 照射レーザ光の走査方向
4 発生熱の熱伝導による伝播
5 フルカット用照射レーザ光
6 透過レーザ光吸収による熱源
7 レーザダイオードユニット
8 レーザ光
9 レーザ光集光レンズ
10 レーザ光集光点
11 亀裂進行方向
12 初亀裂
13 温度上昇
14 照射レーザ走査領域
15、16 熱伝導
17 走査開始点における温度上昇値
18、19 高周波電極
20 高周波電源
21 キャパシタンス
22 誘電損失
Claims (8)
- 脆性材料を熱応力割断によりフルボディ割断する脆性材料のフルボディ割断方法であって、熱応力割断を、熱応力分布の発生と、応力伝播速度を上限とする亀裂拡大の2つのプロセスに分離して行うことを特徴とする脆性材料のフルボディ割断方法。
- 熱応力分布の発生を温度分布の形成によって、亀裂拡大を亀裂先端における応力拡大によって行うことを特徴とする請求項1に記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 温度分布の形成を照射レーザ光走査による加熱と熱伝導による冷却の組み合わせで行うことを特徴とする請求項2に記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 温度分布の形成を照射レーザ光の場所による強度変調によって行うことを特徴とする請求項3に記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 照射レーザ光としてEr:YAGレーザ光を使用することを特徴とする請求項3および請求項4のいずれかに記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 脆性材料に希土類元素を添加し、前記脆性材料への照射レーザ光としてレーザダイオードまたは希土類固体レーザからの出射光を使用することを特徴とする請求項3および請求項4のいずれかに記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 照射レーザ光として光パラメトリック発振器または混晶半導体レーザからの出射光を使用することを特徴とする請求項3および請求項4のいずれかに記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
- 温度分布の形成を脆性材料の表裏面に接触させた電極間に印加した高周波電圧に基づく誘電損失によって行うことを特徴とする請求項2に記載の脆性材料のフルボディ割断方法。
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