JP2009036362A - 調節弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧の流体がプラグに衝突するのを抑制すると共に、グランド部の結露や凍結を防止した調節弁を提供することを目的とする。
【解決手段】弁本体2は、流入路8(1次側通路)と、流出路9(2次側通路)と、両者の間に設けられた弁室12と、プラグ1が挿入されるケージ形ガイド3を備えている。弁室12には、平形のガスケット6、断面が楔形で中央に流通孔5cを有するシートリング5、断面がデルタ形(三角形)のガスケット4の順に載置される。プラグ1はケージ形ガイド3に挿入される。その際に、プラグ1とケージ形ガイド3との間にはグランドパッキン7が介装されてグランド部を構成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池自動車に供給される水素ステーションのタンクからの水素供給量を制御する調節弁に関するものである。
通常の調節弁では、弁本体内部に、流入路側(1次側)と流出路側(2次側)とを仕切る隔壁が設けられ、隔壁の開口部に流体の流通孔を有するシートリングが配置されている。流量特性部を有するプラグ(弁体)が前記シートリングのシート面に着座すると全閉状態となり、離間するとプラグの流量特性部とシートリングとの隙間を通って流体が2次側へ流れ込む(例えば、特許文献1参照)。
また、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションにも、調節弁が用いられている。具体的には、燃料電池自動車に水素を供給するディスペンサに内蔵され、タンクからの水素供給量を制御するものである。本調節弁は、燃料電池自動車の走行可能距離250km程度とした場合、35MPaの高圧水素ガスの流量を制御することになる。
図3は、高圧水素ガスの流量制御に用いられる調節弁の従来構造を示す縦断面図である。図3に示すような高圧仕様の調節弁としては、最縮流部(絞り部)より前部を1次側とし、後部を2次側とすると、2次側にプラグを配置するのが一般的である。
図3に示す調節弁は、下記のような特徴を有している。
(1)プラグ1及びグランド部(グランドパッキン7)は上蓋10内に収容され、上蓋10と弁本体2とを、スパイラルガスケット11を介して締結部材(トルクレンチ等)で締結している。
(2)流入路(1次側通路)8から弁本体2に流入した流体は、下方よりシートリング5中央の流通孔5cとプラグ1先端のニードル体(流量特性部)1aとの隙間部分(最縮流部)を抜けて、プラグ1下端周面の着座部1bに衝突する。そして、着座部1bより上方に設けられた流出路(2次側通路)9を通って弁本体2の外部へ流出する。
(3)締結部材で上蓋10の上部を締め付けることにより、下向きに押圧力が生じる。上蓋10の下部をシートリング5のフランジ部に当接させ、上記押圧力でシールする構造(以下、他力式シール構造)となっている。
図4は、図3の調節弁の要部拡大断面図である。図4において、上記特徴(2)の下横流れ構造では、プラグ1(特に着座部1b)が2次側に存在している。最縮流部と着座部1bとが接近しているため、最縮流部を抜けた高圧の流体が着座部1bに衝突して、着座部1bが損耗し、当初の設計通りの流量制御性が得られないという問題がある。また、高圧の液体を高差圧にて減圧した場合のフラッシュ現象や、Joule−Thomson効果によるグランド部の凍結等の問題もあった。
以下に、上記の問題を具体的に説明する。図5は、図3の調節弁の流れ系を模式化した図である。また、図6は、図3の調節弁内のエネルギー変化を示した図である。不可逆の程度を表すエントロピー(s)に対してバルブ内の流体がもつエンタルピー(h)の変化の概略を示したものである。
一般的に、実際の調節弁における流れ系をモデル化する場合、1次側から最縮流部まで(以下、縮小流れ系)を可逆過程(等エントロピー過程)とし、最縮流部から2次側まで(以下、拡大流れ系)を不可逆過程とする。そして、流れ係全体を不可逆過程(等エンタルピー過程)としたときが、最も近いモデルであることが知られている。
具体的には、縮小流れ系では等エントロピー過程(断熱膨張過程)となり、拡大流れ系では粘性と熱伝導によりエントロピーが増大する不可逆過程となる。
例えば、流体条件を、流体:水素、1次側圧力:34.4MPa、2次側圧力:大気開放、1次側温度:313K(40℃)と定めた場合について説明する。
図6において、縮小流れ系においては、絞りによる流量抵抗の増加により流体が減圧される。この時の流体は急激に減圧されるので、断熱膨張(等エントロピー過程)であると仮定すると、流体温度も急激に低下する。この過程を示したのが、図6中の「モデル化した過程」である。上記流体条件を当てはめると、流体は約43K(−230℃)程度まで冷却されることになる。
実際には、流体が最縮流部を通過する際に、摩擦や放熱による熱損失が発生するので、図6に示すように、「実際の過程」は「モデル化した過程」から若干乖離したものとなる。
2次側(最縮流部通過後)の流体温度を予測するには、流れ系全体がJoule−Thomson膨張(等エンタルピー過程)であることを利用する。先ず、流体温度を予測する上で重要な目安となるJoule−Thomson係数を求める。Joule−Thomson係数が正の値のときには、圧力低下により流体温度も低下する。一方、負の値のときには、圧力低下により流体温度は上昇する。
上記流体条件を当てはめると、Joule−Thomson係数は負の値をとるので、2次側での圧力低下に伴い、流体温度は上昇する。
但し、水素以外の酸素や窒素に関してはJoule−Thomson係数は正の値となるので、流体温度は低下する。
上記流体条件の場合は、最縮流部において、瞬間的にでも流体温度が約43Kまで低下することによる、グランド部への影響(結露、凍結等)が懸念される。
また、流体が酸素や窒素の場合には、最縮流部を抜けた後のJoule−Thomson膨張による流体温度の低下が発生するため、グランド部が凍結したり結露したりする虞がある。
更に、流体が液体である場合には、最縮流部を抜けた流体が急激に膨張してフラッシュ現象(気液混合状態)が発生する。その結果、プラグの着座部への流体(加速された液体分子)の衝突がより激しくなるという問題もある。
特開平10−160032号公報
従来の調節弁は、以上のように構成されていたので、シートリングの流通孔を通過した高圧の流体が着座部に衝突して、同部の損耗を生じる場合があった。その結果、流体の十分な遮断性能が得られないという課題があった。
また、最縮流部での断熱膨張やJoule−Thomson効果等により、同部を通過した流体の温度が急激に低下し、グランドパッキンが結露または凍結する場合があった。その結果、グランド部から流体が漏れ易くなるという課題があった。
この発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、高圧の流体がプラグに衝突するのを抑制すると共に、グランド部の結露や凍結を防止した調節弁を提供することを目的とする。
この発明に係る調節弁は、弁本体内部のシートリング中央の流通孔を通過する流体の流量をプラグによって制御する調節弁であり、流入口から流入した前記流体を前記プラグが収容されている弁室に導く流入路と、前記弁室に流入した後に前記流通孔を通過した前記流体を流出口へ導く流出路と、前記プラグと前記シートリングにより構成され、前記流体の流れ方向において前記流通孔よりも前段に配設される流体遮断部とを備えることを特徴としたものである。
この発明に係る調節弁は、前記プラグは、前記シートリングの流入側内周面に形成されたシート面に着座する着座部と、前記シートリング中央の流通孔に挿通され、前記流通孔と流量制御部を構成する流量特性部とを備えることを特徴としたものである。
この発明に係る調節弁は、前記流入路から前記流出路への前記流体の流れ方向と逆方向に配置され、前記プラグを囲繞して前記流体の漏れを防止するグランド部とを備えることを特徴としたものである。
この発明によれば、高圧流体の衝突による調節弁の流体遮断部の損耗を低減することができる。その結果、流体遮断部の寿命が延びることから、長期間に渡って調節弁の適正な制御性能を確保することができる。
この発明によれば、プラグの着座部及び流量特性部の損耗を低減することができるので、長期間に渡って調節弁の遮断性能を確保することができる。
この発明によれば、グランド部からの流体の漏れを防止することができる。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る調節弁を示す縦断面図である。
図1において、弁本体2は、流入路8(1次側通路)と、流出路9(2次側通路)と、両者の間に設けられた弁室12と、プラグ1が挿入されるケージ形ガイド3を備えている。
弁室12には、平形のガスケット6、断面が楔形で中央に流通孔5cを有するシートリング5、断面がデルタ形(三角形)のガスケット4の順に載置される。
プラグ1はケージ形ガイド3に挿入される。その際に、プラグ1とケージ形ガイド3との間にはグランドパッキン7が介装されてグランド部を構成する。
ガスケット4、6やグランドパッキン7、シートリング5等のシール部材には、PTFE等の耐熱性、耐食性及びシール性(可撓性)に優れた樹脂を主成分とするものが用いられている。また、その他の部材には、ステンレス等の耐食性に優れた金属が用いられている。
次に、動作について説明する。流入路8から弁本体2に流入した流体は、弁室12に達する。
弁室12において、プラグ1の先端に設けられたニードル体(流量特性部)1aはシートリング5の中央に設けられた流通孔5cに挿通され、両者の隙間部分となる最縮流部を形成する。ニードル体1aが流通孔5cを移動することによって流量が絞られ、流通孔5cを通過する流体の流量が調節される。
図1において、最縮流部を通過する流体の流量は、ニードル体1aの上昇に伴い、最縮流部が拡大して増加する。また、ニードル体1aの下降に伴い、最縮流部が縮小して減少する。ニードル体1aがそのまま下降を続けると、最終的には全閉状態となる。
最縮流部を通過した流体は、流出路9から弁本体2の外部に流出する。
次に、本発明に係る調節弁の横下流れ構造について説明する。図2は、図1の調節弁の要部拡大断面図である。
流入路8、流出路9の弁本体2から外部に面した開口部は、それぞれ外部配管を接続する流入口、流出口となる。
流入路8は、流出路9よりも垂直上方に、また流入路9と平行に位置している(二方弁)。
プラグ1のニードル体1aの基端部上方の外周面に設けられたテーパ状の着座部1bが、シートリング5の流通孔5cの上方に設けられた断面L字型の内周面(シート面5b)に着座して全閉状態となる。
着座部1bとシート面5bとが構成する流体遮断部は、流れ方向において、ニードル体1aと流通孔5cとが構成する最縮流部(流量制御部)よりも前段に位置している。
次に、横下流れ構造における微小流量制御について説明する。流入路8から弁室12に導かれた流体は、最初に着座部1bとシート面5bとが構成する流体遮断部を通過した後に、ニードル体1aと流通孔5cとが構成する最縮流部(流量制御部)を通過する。
最縮流部において絞られた(断熱膨張した)流体は、2次側にて不可逆膨張(Joule−Thomson膨張)して流出路9から流出する。
以上のように、この実施の形態1によれば、流体の1次側から2次側への流れ方向を横下流れ構造とし、プラグを1次側に配置することにより、プラグ1の着座部1bに高圧流体が衝突するのを低減することができる。その結果、プラグの損耗が減少して寿命が延びることから、長期間に亘って調節弁の適正な遮断性能を確保することができる。
また、プラグの流量特性部1aはシートリング5中央の流通孔に挿通されているので、着座部1bより離間され、かつ着座部1bより下流側に位置するので、いっそう高圧流体の衝突低減効果が得られるので、長期間に亘って高精度な流量制御を行なうことができる。
更に、最縮流部を抜けた流体がグランド部に達することがなく、同部の結露や凍結を防止される。その結果、グランド部からの流体の漏れを防止することができる。
なお、以上の説明において、便宜上、上下左右等の表現を用いたが、実際の弁装置の設置方向は様々であり、以上の説明で用いた方向に限定されるものではない。
また、図1は弁本体2が一体のものであるが、図3に示すような弁本体2と上蓋10が分離されるものに対しても適用可能である。
この発明の実施の形態1に係る調節弁を示す縦断面図である。 図1の調節弁の要部拡大断面図である。 高圧水素ガスの流量制御に用いられる調節弁の従来構造を示す縦断面図である。 図3の調節弁の要部拡大断面図である。 図3の調節弁の流れ系を模式化した図である。 図3の調節弁内のエネルギー変化を示した図である。
符号の説明
1 プラグ
1a ニードル体(流量特性部)
1b 着座部、2 弁本体
3 ケージ形ガイド
4 ガスケット
5 シートリング
5b シート面
5c 流通孔
6 ガスケット
7 グランドパッキン
8 流入路(1次側通路)
9 流出路(2次側通路)
10 上蓋
11 スパイラルガスケット
12 弁室

Claims (3)

  1. 弁本体内部のシートリング中央の流通孔を通過する流体の流量をプラグによって制御する調節弁において、
    流入口から流入した前記流体を前記プラグが収容されている弁室に導く流入路と、
    前記弁室に流入した後に前記流通孔を通過した前記流体を流出口へ導く流出路と、
    前記プラグと前記シートリングにより構成され、前記流体の流れ方向において前記流通孔よりも前段に配設される流体遮断部とを備えることを特徴とする調節弁。
  2. 前記プラグは、
    前記シートリングの流入側内周面に形成されたシート面に着座する着座部と、
    前記シートリング中央の流通孔に挿通され、前記流通孔と流量制御部を構成する流量特性部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の調節弁。
  3. 前記流入路から前記流出路への前記流体の流れ方向と逆方向に配設され、前記プラグを囲繞して前記流体の漏れを防止するグランド部とを備えることを特徴とする請求項1記載の調節弁。
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