以下、本発明の第1の実施の形態を図1から図5を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる自動停止型ノズルの外観の正面図を表し、図2、図3および図4は、該自動停止型ノズルの内部の構造を表している。
該自動停止型ノズルは、接続管100と、液体の流れの制御を行う液流制御部200と、ノズル管300とを有している。接続管100には、不図示のホースを介して同じく不図示の送液装置の本体が接続されている。この送液装置は、灯油などの液体を備蓄容器などの1次容器(不図示)から図5に示すような携帯用容器などの容器である2次容器Sに移送するためのものである。具体的な装置としては、例えば、電動ポンプあるいは手動ポンプなどといったものが上げられる。
ここで、1次容器、2次容器とは、例えば、1次容器が灯油用の備蓄タンクとすると、この備蓄タンクから、灯油を小分けするための携帯用のポリタンクが2次容器に相当する。また、1次容器が水備蓄用のプールとすると、このプールから水を小分けするためのドラム缶やポリタンクが2次容器に相当する。
そして、これらの送液装置の本体から送られてきた液体は、接続管100を通って液流制御部200に流入する。液流制御部200に流入した液体は、この液流制御部200が、液体をノズル管300に流すことができる開放状態にあるときはノズル管300に流入する。
一方、液流制御部200が、液体をノズル管300に流すことができない遮断状態にあるときは、液体の移送は液流制御部200で断たれる。
ノズル管300は、図5に示すように2次容器Sに設けられている液体注入口S1から2次容器S内に挿入され、1次容器から移送された液体は、ノズル管300から2次容器S内に注入される。
図2と図3は、それぞれ液流制御部200が開放状態にあるとき(図2)と遮断状態にあるとき(図3)の該自動停止型ノズルを正面側から見た断面(図4に示すX軸に垂直かつY軸を含む面)の端面図である。
図4は、液流制御部200が開放状態にあるときの該自動停止型ノズルを側面側から見た断面(X軸とY軸を含む面)の端面図である。
図2から図4の上記の各図面において、接続管100からノズル管300に向かう方向が、該自動停止型ノズルの上から下への方向であり、液体の流れる方向となっている。
以下に、先ず、液流制御部200の構成について説明する。
この液流制御部200は、外側に配置される略立方体の外筒体201と、外筒体201の内側の円筒状の空間内に配置される筒状の内筒体202を有している。外筒体201の内周面と内筒体202の外周面との間には、断面がリング状となる筒状の空隙203が形成されている。
外筒体201の上側部には、接続管100に繋がる円形状の開口部204が形成され、下側部には、ノズル管300に繋がる円形状の開口部205が形成されている。内筒体202の前後方向(図4に示す軸Xに沿う方向)には、外筒体201の一方を形成する前側壁206と後側壁207が備えられている。
外筒体201の後側壁207と外筒体201の後側壁207に隣接する残りの2側面と内筒体202とは、例えば射出成型加工により一体物として構成されている。このため後側壁207と外筒体201の隣接する側面との繋がり部や後側壁207と内筒体202の繋がり部は、液体が漏れることのない構成となっている。
なお、接続管100と液流制御部200の接続部208も内部の液体が漏れないように接続されている。前側壁206は、外筒体201の前側の開口部を覆うと共に後述するレバー215を保持するもので、外筒体201の前端面の4隅に対してねじ209により取り付けられている。
前側壁206の内側面の近傍であって接続管100に近い部分では、空隙203が外筒体201と内筒体202の側に少し拡幅され(径方向両側に拡大され)、空隙203に沿った凹部210が形成されている。また、ノズル管300に近い側は、内筒体202がノズル管300の方向に伸び、その内筒体202の前側壁206に対向する部分に凹部210が形成されている。この凹部210は、ドーナツ状の円環状とされ、その凹部210には正面視が円環状のゴムパッキン211が嵌め込まれ、前側壁206を外筒体201の一部を形成する一体物の前端面に取り付けたときに、このゴムパッキン211が、凹部210内に圧入される状態となるようになっている。つまり、外筒体201の前側壁206と外筒体201の残りの一体物および前側壁206と内筒体202との間は、ゴムパッキン211によりそれぞれ封止され、空隙203内の液体が外筒体201から漏れたり内筒体202内に入り込むのを防止する構成となっている。
したがって、開口部204から流入した液体は、外部に漏れたり内部に入り込んだりすることなく空隙203を流れ落ちて下側の開口部205からノズル管300に流入することとなる。
内筒体202の内側には円筒状の中空部202aが形成されている。そして、この中空部202a内には、第2磁性体としての第1磁石212aと、同じく第2磁性体としての第2磁石212bを保持する第2磁性体保持手段213が保持されている。この第2磁性体保持手段213は、円柱体を呈していて、中空部202aの内周面に内接しながら軸Xを回転中心として自在に回転できるように中空部202a内に保持されている。
第2磁性体保持手段213に保持されている第1磁石212aと第2磁石212bは、略直方体を呈し、長手方向を軸Xに沿う向きにして、第2磁性体保持手段213に形成された凹部213aに嵌め込まれることにより保持されている。この第1磁石212aと第2磁石212bは、第2磁性体保持手段213が中空部202aの内周面に対し円滑に回転できるように、第2磁性体保持手段213の外周面から突出することのないように、それぞれ四角柱状の凹部213a、213aに嵌め込まれている。
また、第1磁石212aと第2磁石212bとは互いに軸Xの周りに略90度の角度を開けて配置され、第1磁石212aは第2磁性体保持手段213の外周面側にN極が向けられ、第2磁石212bは第2体保持手段213の外周面側にS極が向けられている。
第2磁性体保持手段213の中心部には円柱状の鉄心214が挿入されている。凹部213a、213aに嵌め込まれた第1磁石212aと第2磁石212bは、鉄心214との間に作用する吸磁力、すなわち、第1磁石212aと第2磁石212bが鉄心214と磁力により引き付け合う力により凹部213a、213aに嵌め込むだけで、それぞれ凹部213a内に確実に保持される。
もちろん凹部213a内への保持を一層確実なものとするため、接着剤により第1磁石212aと第2磁石212bを凹部213a、213a内に固着する手段を併用してもよい。また、鉄心214を第1磁石212aと第2磁石212bの異なる磁極の間に配置することにより、磁路を形成することとなり、第1磁石212aと第2磁石212bは、長期間安定した磁力を保つことができる。
前側壁206の前面には、レバー215が取り付けられている。このレバー215と第2磁性体保持手段213とは、ねじ216により互いに固定され、レバー215を軸Xの周りにの回転すると第2磁性体保持手段213も一緒に軸Xの周りに回転するようになっている。
レバー215は、図1に実線で示すようにレバー215の長手方向が、水平方向に向く位置(先端が図1で右方向を向く位置)と、点線で示すように上下に向く位置(先端が下側を向く位置)との間の約90度の範囲を回転できるように、前側壁206に備えられる突起状の回転規制手段217a、217b(図1参照)により回転範囲が規制されている。
回転規制手段217bは、レバー215の先端が下側に向いたときに、レバー215の左側面に当接する位置に設けられていて、レバー215がそれ以上時計方向に回転しないようにレバー215の回転を規制する。他方の回転規制手段217aは、レバー215の先端が右方向に向いたときに、レバー215の右側面に当接する位置に設けられていて、レバー215がそれ以上反時計方向に回転しないようにレバー215の回転を規制する。また、レバー215の先端が下方に向いた状態にあるとき、第2磁石212bが下方に位置し、レバー215の先端が右方向に向いた位置にあるとき第1磁石212aが下方に位置するように、第2磁性体保持手段213とレバー215とは設けられている。
レバー215と前側壁206との間には、レバー215を正面視反時計回りの方向、すなわちレバー215を回転規制手段217a側に付勢するコイルバネ218が設けられている。このコイルバネ218は、前側壁206に軸Xの周りに円弧状に形成された溝部219に嵌め込まれ、レバー215と前側壁206とに対して反力を与えるように備えられている。したがって、レバー215は、常時は、コイルバネ218により回転規制手段217a側に付勢されている状態で、水平方向に向いた位置を保っている。
レバー215をコイルバネ218の付勢力に抗して時計方向に回転操作(コイルバネ218を縮める方向にレバー215を回転操作)しても、手を離すとレバー215はコイルバネ218の付勢力(復帰力)により反時計方向に駆動され水平方向の位置に復帰する。
次に、ノズル管300の構造について説明する。
該自動停止型ノズルは、使用に際しては、このノズル管300を、液体が注入される2次容器S内に挿入して使用する。ノズル管300は、接続部301を介して液流制御部200と液体が漏れないように接続されている。したがって、送液装置の本体から移送されてきた液体は、接続管100から液流制御部200の開口部204を通って空隙203に流れ込み、開口部205からノズル管300を通って2次容器Sに注入されるようになっている。つまり、接続管100から空隙203、そしてノズル管300までの間が、該自動停止型ノズルの流路として形成されている。
円筒形のノズル管300は、上側の概ね4分の1が管内の内径が大径となっているノズル管大径部302として、残りの下側4分の3が管内の内径が小径となっているノズル管小径部303として構成されている。
なお、ノズル管300の断面は略円形をしている。ノズル管小径部303内には、フロート304が挿入され、ノズル管大径部302内には流圧軽減手段305が挿入されている。フロート304は、概ね下側3分の2が径の太い大径部304a(以下、フロート大径部)となっていて、残りの上側3分の1が径の細い小径部304b(以下、フロート小径部)として構成され、全体として略円柱体を呈し、密閉された中空体となっている。そして、2次容器S内に貯められた液体に対して浮力を有するように構成されている。
フロート304のフロート大径部304aとフロート小径部304bとの繋がり部分は、ノズル管300とフロート304に共通の中心軸(Y軸)側から外側に向かって上方から下方に傾斜するテーパー面304cとして形成されている。フロート大径部304aと、ノズル管小径部303は、フロート大径部304aの外周面とノズル管小径部303の内周面のそれぞれの径寸法が、フロート大径部304aとノズル管小径部304の間に液体が流れ落ちることができるだけの空隙が形成される寸法となっている。もちろんフロート小径部304bは、フロート大径部304aより小径であるから、フロート小径部304bとノズル管大径部302の内周面との間にも液体が流れ落ちる空隙が形成されている。また、フロート大径部304aの側面の上下には、それぞれY軸の周りに90度間隔で放射状に形成される計8個のガイド片304dが設けられている。フロート304は、このガイド片304dにより、ノズル管小径部303の内周面に対し、上下方向に摺動自在に支持されている。また、流入してきた液体は、これらのガイド片304d同士の間隔を通り抜けていく。
フロート小径部304bの先端部には、円形状の凹部304eが形成されていて、この凹部304e内に第1磁性体としての円柱状の磁石304fが、先端側(上方側)がS極となるように嵌め込まれている。凹部304eは、磁石304fの外形寸法よりやや小さく形成されていて、磁石304fは、凹部304e内に嵌め込まれ、フロート304に固定されている。なお、凹部304eと磁石304fを接着剤で接着すれば磁石304fはさらに強固に凹部304e内に固定される。
ノズル管300の下方の開口端には、フロート304がノズル管300から抜け落ちてしまうことないように十字状に交差する線条部306が形成されている。この線条部306は細いので、線条部306以外の部分は開口していて、ノズル管300内を流れ落ちてきた液体は、この開口からノズル管300の外に放出されるようになっている。
フロート304の上方には、流圧軽減手段305が、配置されている。この流圧軽減手段305は上方側が閉口し、下方側が開口した中空部305aを有する略円筒体を呈している。中空部305aの内径は、フロート小径部304bよりも大きく、また、中空部305aの上下方向の長さ(中空部305aの奥行きの長さ)は、フロート小径部304bの長さより短く形成されている。したがって、フロート小径部304bが中空部305aにもっとも挿入しきった状態のとき、フロート小径部304bの先端部に備えられる磁石304fと中空部305aの先端突出部305bとが当接することとなる。先端突出部305bは、上端面305cの内側であって、Y軸と交差する部分に半円形状に小さく内側に突出するように形成されている。
流圧軽減手段305の上端部は、上端面305cとテーパー面305dで形成される略円錐台を呈した流路遮断手段としての弁体305eとして構成されている。テーパー面305dは、Y軸の側から外側に向かって上方から下方に傾斜する傾斜面となっている。
開口部205には、ゴムパッキン307が設けられている。このゴムパッキン307は、Y軸に沿って軸方向から見た形状が円環体を呈し、開口部205の周縁部に沿って配置されている。そして、このゴムパッキン307の開口部307aは、開口部205の開口径よりやや小さめの開口で形成されていて、開口部205の中心側にゴムパッキン307が少しせり出るようになっている。
弁体305eは、ゴムパッキン307の内周縁にテーパー面305dを当接してゴムパッキン307の開口部307aを閉鎖するようになっている。開口部307aが閉鎖されることで開口部205が閉鎖されることになる。弁体305eが開口部205を閉鎖した状態のときは、液体は開口部205を通ってノズル管300側に流入することができず、流路は、弁体305eにより遮断されることとなる。
なお、弁体305eが開口部307a、すなわち開口部205を閉鎖している状態にあるときは、ゴムパッキン307の開口部205の内側にせり出た部分は弁体305eのテーパー面305dに重なり、開口部205側に曲げられた状態となっている。このテーパー面305dに重なっている部分のゴムパッキン307には、空隙203内に流れ込んできた液体の圧力が懸かるため、ゴムパッキン307はテーパー面305d側に押し付けられる。そのため、テーパー面305dとゴムパッキン307との接合面が密着され、開口部205は弁体305eにより確実に閉鎖されることとなる。
弁体305eのテーパー面305dが開口部205、すなわち、ゴムパッキン307から離れると、開口部205を通って液体がノズル管300側に流れることになる。つまり、液流制御手段200とノズル管300との間の流路が開放された状態となる。もちろん、流圧軽減手段305の外径は、ノズル管大径部302の内径面との間に液体が流れ落ちることができる空隙が形成される寸法になっている。
また、流圧軽減手段305の側面の上下には、それぞれY軸の周りに90度間隔で放射状に形成される計8個のガイド片305fが設けられている。流圧軽減手段305は、このガイド片305fによりノズル管大径部302の内周面に対し、上下方向に摺動自在に支持されている。また、開口部205を通過してきた液体は、これらのガイド片305f同士の間を通り抜けていく。なお、流圧軽減手段305は、下側のガイド片305fが、ノズル管大径部302とノズル管小径部303の境に設けられている段部308に当接するため、段部308より下方に落ちることがないようになっている。
次に、該自動停止型ノズルの構造についての上述の説明を補足しながら、その作用・動作などについて説明する。
まず、該自動停止型ノズルの使用に先立って、図5に示すようにノズル管300を液体が注入される2次容器S内に、2次容器Sの注入口S1から挿入する。本実施の形態では、ノズル管300にクリップ400を取り付け、このクリップ400を注入口S1の開口縁S1’に留めて、該自動停止型ノズルを開口縁S1’に懸けた状態にする。
レバー215は、その先端を下側に回す操作をするとき以外は、コイルバネ218の付勢力により、水平方向に変位している。このため、第1磁石212aとフロート側304の磁石304fとは異極が対向し、フロート304は、第1磁石212aと磁石304の吸磁力により、図3に示すように液流制御部200側に引き上げられている。フロート304が液流制御部200側に引き上げられた状態では、流圧軽減手段305もフロート304と共に液流制御部200側に引き上げられていて、弁体305eは、開口部205を閉鎖している。つまり、弁体305eが、開口部205を遮断しているときには、弁体305eは流路を遮断する位置にあり、送液装置の本体側から液体が移送されてきても、ノズル管300の側に流れ込むことがない。なお、磁石304fは、第1磁石212aとの間に十分な吸磁力を作用させ、弁体305eが確実に流路を遮断することができるように第1磁石212aと対向する面は平坦になっている。
上記の状態、すなわち、レバー215が水平方向に回されていて、流路が遮断されている状態から、レバー215の先端を下方(時計回り)に回転させると、第1磁石212bのS極と磁石304fのS極が対向し、同極同士が対向することになる。そして第1磁石212bと磁石304fとの間には反発力が作用し、磁石304fが設けられている側のフロート304が反発力により付勢されながら下方に落下すると、流圧軽減手段305も自重で下方に落下する。フロート304は、線条部306に当接するまで落下する。一方、流圧軽減手段305は、段部308に当接するまで落下する。
上述したように、第2磁石212bと磁石304fは同極が対向するため、反発力が生ずる。そのため、例えば、クリップ400の開口部S1’への取り付け方が悪く、ノズル管300が傾斜するような状態で該自動停止型ノズルが開口部S1’に懸けられても、フロート304は、重力による落下に加えて第2磁石212bと磁石304fの反発力も付加されるため、フロート304を確実に下方に落下させることができる。
流圧軽減手段305が下方に落下すると、弁体305eが開口部205、すなわちゴムパッキン307の開口部307aから離れ、弁体305eが流路を開放する位置に変位し、流路が開放される。このため、送液装置の本体から移送されてきている液体は、開口部205を通り抜け、ゴムパッキン307の開口部307aを通過した後、弁体305eの外周に沿ってノズル管300側に流れ込み、2次容器S内に注入される。
フロート304が落下して弁体305eが流路を開放した後、下方に回転させたレバー215から手を離すと、レバー215はコイルバネ218の付勢力により半時計回りに回転し元の水平位置となる。レバー215が水平位置になった状態では、第1磁石212aと磁石304fは異極同士が対向することになるが、フロート304が下方に落下したときには、第1磁石212aと磁石304fの距離が、第1磁石212aと磁石304fの間に、フロート304と流圧軽減手段305を上方に引き上げることができるだけの吸磁力が作用しない距離となっている。そのため、弁体305eは、流路を開放した状態を保ち、液体は、2次容器S内に注入され続ける。そして、2次容器S内に液体が溜まってきて、液面がフロート304に至る。
フロート304は、液体に対して浮力を有しているため、液面位置に対応して変位する。つまり、液面の上昇に連れてフロート304も上方に変位する。
磁石304fは、フロート304の先端に固定されているため、フロート304の変位位置に対応して変位する。つまり、磁石304fもフロート304とともに上方に変位する。そうして、磁石304fが、第1磁石212aとの間にフロート304と流圧軽減手段305を引き上げることができる吸磁力が作用し合う距離になるまで上昇すると、フロート304と流圧軽減手段305が、液流制御部200側に引き上げられ、弁体305eが、前述したように、開口部205を液密に閉鎖して流路を遮断することになる。つまり、フロート304は、液面位置を検出する役目を果たし、液面が、ノズル管300が懸けられる2次容器Sの注入口S1の開口縁S1’から所定距離まで上昇したときに、フロート304と流圧軽減手段305が吸磁力により引き上げられ、弁体305eが流路を遮断する。
該所定距離は、フロート304の長さや、第1磁石212aと磁石304fの吸磁力などによって決定されるもので、液体を開口縁S1’からどの位置まで溜まったときに液体の注入を停止するかによって適宜にフロート304の長さや、第1磁石212aと磁石304fの吸磁力などを設定することで決定される。例えば、フロート304と流圧軽減手段305を引き上げることができる吸磁力が作用し合うときの第1磁石212aと磁石304fの距離が同じであれば、磁石304fより下方のフロート304の長さが長いほど、弁体305eが流路を遮断するときの、開口縁S1’から液面までの距離は長くなり、逆にフロート304の長さが短かければ液面と開口縁S1’の距離は短くなる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る自動停止型ノズルは、2次容器S内の液面の上昇に連れてフロート304も上昇し、液面と2次容器Sの開口縁S1’の距離が所定距離、つまり、2次容器S内に液体が所定位置まで溜まったときに、第1磁石212aと磁石304fの吸磁力により弁体305eが流路を遮断して、2次容器Sへの液体の注入を自動的に停止するものである。
なお、ノズル管300の上部には、側面の2箇所に空気抜き用の孔309が形成されていて、2次容器S内の液面の上昇に従ってノズル管300内の液面が上昇したときに、ノズル管300内の空気をノズル管300外に抜けるようにしている。ノズル管300内の液面の上昇に伴ってノズル管300の空気が抜ける構成にしない場合には、ノズル管300内の液面の上昇とともにノズル管300内の気圧が外気圧より高くなっていくため、ノズル管300内の液面が上昇しなくなってしまうからである。
ここで、流圧軽減手段305の役目について説明する。この流圧軽減手段305は、ノズル管300内を流れ落ちる液体が直接フロート304に当たらないようにする役目をしている。つまり、ノズル管300内を流れ落ちる液体には、送液装置の本体からの移送のためにかけられた圧力や、開口部205からノズル管300内に流れ落ちる際の落下の圧力がかかっている。以下の説明において、流路内を流れる液体の圧力を流圧ということにする。そのため、この流圧が、フロート304の液体に対する浮力や、第1磁石212aと磁石304fの吸磁力より大きい場合は、ノズル管300内を流れ落ちる液体が直接フロート304に当たってしまうと、液面が2次容器Sの開口縁S1’から所定距離まで上昇しているにも係わらずフロート304が上昇できなかったり、第1磁石212aと磁石304fの吸磁力によりフロート304が引き上げることができなくなり、弁体305eが流路を遮断できないという不都合が生ずる。
この不都合を解消するため、流圧軽減手段305を、フロート304を上方から見たときに、フロート小径部304bが、流圧軽減手段305によって覆われるようにフロート304の上方に配置し、フロート小径部304bが流圧軽減手段305の下に隠れるように配置する。そしてさらに、流圧軽減手段305は、ガイド片305fと段部308との係合により、この段部308より下方には変位しない構成としている。
前述したように、フロート小径部304bに備える磁石304fの第1磁石212aと対向する面(S極面)は平坦になっている。そのため、この平坦面に開口部205から流れ落ちる液体が当ると、フロート304には大きな流圧を受けることになる。しかし、上述のように流圧軽減手段305を配置すると、開口部205からノズル管300内に流れ込んだ液体の多くは、フロート小径部304bとフロート大径部304aの繋がり部分のテーパー面304cに流れ落ち、磁石304fのS極面に当たる量はほとんど無くなる。そして、テーパー面304cに流れ落ちた液体は、テーパー面304cに沿ってスムーズに下方に流れるため、フロート304に大きな負荷とはならない。
したがって、フロート304が液面の上昇と共に上昇し、フロート304の先端部の磁石304fが、流圧軽減手段305の中空部305aの先端突出部305bに当接するまでは、フロート304にかかる流圧を小さくすることができる。液面の上昇に伴いフロート304が上昇し、フロート304の先端部にある磁石304fが流圧軽減手段305の中空部305aの先端突出部305bに当接しながら流圧軽減手段305を上昇させるときには、流圧軽減手段305に当たった液体の流圧はそのままフロート304に及ぶこととなる。
しかしこの状態になったときには、第1磁石212aと磁石304fの距離が近くなっているため、第1磁石212aと磁石304fの間に作用する吸磁力の方が、流れてくる液体がフロート304に及ぼす負荷に勝り、フロート304と流圧軽減手段305は上方に変位することができる。
第1磁石212aと磁石304fの吸磁力が、液体の流れ落ちる流圧に抗してフロート304と流圧軽減手段305を引き上げることができる大きさになるまでは、フロート304の先端部の磁石304fが流圧軽減手段305の中空部305aの先端突出部305bに当接しないように、段部308が形成される上下方向の位置や、フロート304の先端部の磁石304fと流圧軽減手段305の中空部305aの先端突出部305bの距離などを設定しておく。なお、フロート304全体を流圧軽減手段305の中空部305aの内径より小さな径としてもよい。このように構成すれば、フロート304にかかる流圧を一層小さくすることができる。
上述の第1の実施の形態において、磁石304f、第1磁石212aおよび第2磁石212b以外の部分、例えば、外筒体201、内筒体202、レバー215などの流液制御部200、ノズル管300、第2磁性体保持手段213、フロート304、流圧軽減手段305などは、ポリエチレンや塩化ビニールあるいはポリカーボネイトなどの非磁性体から構成する。
流液制御部200、ノズル管300、フロート304、流圧軽減手段305などを磁性体で構成すると、これらと磁石304f、第1磁石212aあるいは第2磁石212bとの間で磁力が作用してしまうため、前述した該自動停止型ノズルの動作が正常に行われなくなってしまうからである。
但し、前側壁206を外筒体201の一体物に取り付けるねじ216程度の小さな物であったり磁石304f、第1磁石212aおよび第2磁石212bから距離が離れていて、磁力を作用し合わない物であれば磁性体を使用することは差し支えない。
上述の第1の実施の形態において、磁石304fはフロート304の先端部に固定して設けるようにしているが、必ずしもフロート304に対して磁石304fを固定する必要ない。磁石304fは、フロート304の変位位置に対応して変位すれば良く、例えば、図6に示すようにフロート304の先端部に磁石304fが収められる中空部304gを形成し、この中に、磁石304fを非固定の状態で収納するようにしてもよい。
また、上述の第1の実施の形態においては、第1磁性体と第2磁性体を共に永久磁石として構成したが、いずれか一方を鉄などの磁性体とし、一方を永久磁石として構成してもよい。例えば、フロート304側に設けられる磁石304fはそのままの構成とし、第2磁性体保持手段213の側は第1磁石212aを鉄塊とし、第2磁石212bの部分には凹部213aを形成することなく非磁性体である第2磁性体保持手段213と同一材料のままの構成とする。
このように構成すると、レバー215が水平方向に変位しているときは、フロート304側の磁石304fと第2磁性体保持手段213側の第1磁石212aを置換えた鉄塊の間には吸磁力が作用し合い、レバー215の先端を下方に変位させると、磁石304fは非磁性体の第2磁性体保持手段213自体と向かい合うため吸磁力が作用しなくなる。したがって、レバー215の先端を下方に変位させると、フロート304と流圧軽減手段305は下方に落下し、弁体305eは流路を開放する。そして、レバー215が水平方向に変位すると、フロート304側の磁石304fと第2磁性体保持手段213側の鉄塊の間には、両者間の距離に応じた吸磁力作用し、フロート304が所定位置まで上昇したときに、弁体305eが流路を遮断する。なお、フロート304側の磁石304fを鉄塊とし、第2磁性体保持手段213側の第1磁石212aはそのままで、第2磁石212bの部分を上述のように非磁性体としてもよい。
また、上述の第1の実施の形態においては、1次容器から該自動停止型ノズルへの液体の移送は電動あるいは手動ポンプ等の送液装置の本体駆動部による場合を説明したが、1次容器を該自動停止型ノズルへの液体の移送は、1次容器を該自動停止型ノズルの位置より高い位置に設置して、液体の自由落下による移送であってもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態を図7から図13を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態にかかる自動停止型ノズルの外観の正面図を表し、図8、図9および図10は、該自動停止型ノズルの内部の構造を表している。
既述の第1の実施の形態においては、フロート304が流路内に配置され、ノズル管300内を流れ落ちる液体が直接フロート304に当たる量を減らすために、流圧軽減手段305をフロート304の上方に備えている。しかしながら、該自動停止型ノズルが、水道の蛇口などのような移送される液体の流圧が高い送液装置の本体に繋がれた場合には、フロート304が液面の上昇とともに上昇し、その先端部が流圧軽減手段305の中空部305aの先端突出部305bに当接するようになっても、流圧が磁石304fと第2磁性体保持手段213側の第1磁石212aの吸磁力より勝っている場合がある。
このような場合には、弁体305eが設けられる流圧軽減手段305が上昇することができなくなり、2次容器S内に注入された液体が所定の高さの液面まで溜まっていたとしても流路が遮断されず、2次容器Sから液体があふれ出てしまう問題点がある。
そこで、第2の実施の形態では、フロート700を液体の流路外に配置することにより、流圧が高くてもフロート700が上昇することができる構成としている。
以下に、その構成を説明する。なお、第1の実施の形態と実質的に同等の部材などについては同一の図番を付しその説明を省略することとする。
図8と図9は、それぞれ液流制御部500が開放状態にあるとき(図8)と遮断状態にあるとき(図9)の該自動停止型ノズルを正面側から見た断面(図10に示すX軸に垂直かつY軸を含む面)の端面図である。
図10は、フロート700が下方に落下した直後の状態を示し、液流制御部500が遮断状態にあるときの該自動停止型ノズルを側面側から見た断面(X軸とY軸を含む面)の端面図である。
図7から図10の各図面において、液体の流れる方向は、第1の実施の形態と同様に接続管100からノズル管600に向かう方向となっている。
以下に、先ず、液流制御部500の構造について説明する。
この液流制御部500は、液流制御部500内に形成される流路の形状が第1の実施の形態と異なるが、他の構成については概ね第1の実施の形態と実質的に同等である。この液流制御部500は、第1の実施の形態の外筒体201と内筒体202と同様な外筒体501と内筒体502を有していて、外筒体501の内周面と内筒体502の外周面との間には筒状の空隙503が形成されている。
内筒体502には、下側半分側に断面(正面側から見た断面)が円弧状の空隙502aが前後方向(図10に示す軸Xに沿う方向)に沿って形成されている。この空隙502aの下側には、開口部502bが形成されていて、空隙503と繋がっている。
また、空隙502aは、後方側で外筒体501を貫通して外筒体501の下側部に形成される開口部501aに繋がっている。したがって、上側の開口部204から流入した液体は、液流制御部500内の空隙503から空隙502aを流れて、開口部501aからノズル管600に流入することとなる。なお、外筒体501と内筒体502とは、外筒体501の一部を形成する後側壁504を介して一体形成され、互いの繋ぎ部から液体が漏れることない構成となっている。
外筒体501のと内筒体502に対する前側壁206への取り付け、あるいは第2磁性体保持手段213その他の液流制御部500の構成については、既述した第1の実施の形態と実質的に同等である。
ノズル管600は、該自動停止型ノズルの使用に際して、2次容器S内に挿入して使用されるもので、送液装置の本体から移送されてきた液体は、接続管100から液流制御部500を通って開口部501aからノズル管600に流れ込み2次容器Sに注入されるようになっている。つまり、接続管100から空隙503そして空隙502aさらにノズル管600までの間が、該自動停止ノズルの流路として形成されている。
開口部502bの下側には、流路遮断手段としての弁体505が設けられている。この弁体505は、中央部に上方に向けて円筒状に膨出した膨出部505aが形成され、その周囲にはフランジ状の円環部505bが形成されている。
膨出部505aの内側は、後述する円筒形の第1磁性体としての磁石506が遊嵌できる内径を有した中空の円筒状に形成されている。そして、この弁体505は、弁体保持部507に膨出部505aを上方に向けて保持されている。
弁体保持部507は、弁体受部507aと磁石収容部507bとから構成されている。
弁体受部507aは、弁体505の外周径よりやや径の大きな内周径の円筒の内周面を有していて、弁体505が弁体受部507aの内周面にガイドされながら上下方向に変位できるように遊嵌している。
また、磁石収容部507bは、弁体受部507aの下側に形成され、磁石506が上側にSを向けて収納される。この磁石収容部507bは、弁体受部507aと一体に形成され、磁石506が遊嵌できる内径を有した中空の円筒状に形成されている。磁石収容部507bの内径面には、図11に示すように周囲の4方から上下に延びるリブ507cが形成されていて、磁石506はこのリブ507cにガイドされながら上下方向に変位できるようになっている。上方に変位したときには、磁石506の先端部が、膨出部505aに遊嵌する。
弁体505と弁体保持部507との間には、ゴム材で形成されるパッキン508が掛け渡され、弁体505は、パッキン508により弁体保持部507に対し支持されている。弁体505に対する負荷が無い場合には、図9に示すように、弁体505は上方に位置している。
この状態のときは、パッキン508は、開口部502aの周縁部に当接し、開口部502aはパッキン508により閉口されている。
一方、弁体505に対し、下方向きの負荷が作用すると、図8に示すように、パッキン508の可撓部508aが下方に撓んで、弁体505が下方に変位する。弁体505が下方に変位した状態のときは、パッキン508は、開口部502aから離れ、開口部502aを開口することになる。
つまり、弁体505が上方に変位し開口部502aが閉鎖されているときは流路が遮断されることになり、逆に、弁体505が下方に位置し開口部204が開口されているときは流路が開放されることになる。
流路が閉鎖状態にあるときには、開口部204から空隙503内に流入してきた液体は、空隙502a側に流れることができず、ノズル管600に液体が移送されない。流路が開放状態にあるときには、開口部204から空隙503内に流入してきた液体は、空隙502a側に流れてノズル管600に移送され、2次容器S内に注入されることになる。
次に、弁体505を上下に変位させるための構成について説明する。
レバー215が水平方向に向けられ第2磁性体としての第1磁石212aが下方に位置しているときは、第1磁性体としての磁石506との間に吸磁力が作用しているため、磁石506は第1磁石212aに吸引されることで上方に変位しようとする。磁石506が上方に変位すると、弁体505が磁石506により上方に向けて押し上げられることになり、弁体505が上方に変位する。
磁石506が上方に変位しているときは、弁体505には、磁石506と第1磁石212aとの吸磁力による上方に押し上げられる力が作用することとなり、パッキン508は開口部502bを液密に閉鎖し、空隙503から空隙502a側への液体の移流が確実に断たれる。
一方、上記のように磁石506が第1磁石212aに吸引され弁体505が上方に変位している状態から、レバー215の先端が下方に向くように操作され第2磁性体としての第2磁石212bが下方に位置すると、磁石506と第2磁石212bが対向し、磁石506と第2磁石212bとの間には反発力が作用するため、磁石506はこの反発力に付勢されながら下方に落下する。磁石506が下方に落下しただけの状態のままでは、パッキン508の剛性により、弁体505は上方に変位した状態が維持される。しかしながら、送液装置の本体から液体が移送され、空隙503内に流れ込むと、流圧により弁体505にパッキン508を介して下方向きの負荷が作用する。そうすると、弁体505が図8に示すように下方に変位し、パッキン508が開口部502bを開口し、液体が空隙503から空隙502a側に流れ込むことになる。
次に、磁石506を上下の方向に変位させる機構について説明する。
上方に変位している磁石506は、上記したように、磁石506と第2磁石212bとの反発力を受けて落下する。
磁石506を上方に変位させるための構成は、以下の通りである。磁石506の下方には、フロート700が配置されていて、このフロート700の先端部には磁石701が設けられている。この磁石701は、N極を上方に向け磁石506と同極同士が対向するように設けられている。したがって、磁石506と磁石701との間にが反発力が作用しているため、フロート700が上方に向けて変位すると、このフロート700の変位に対応して磁石506も上方に変位することになる。
フロート700は、フロートガイド管702の中に、ガイド片700aによりフロートガイド管702の内周に対し、支持された状態で遊嵌されている。このガイド片700aは、フロート700の上下に、かつ軸Yの周りに90度の等間隔で放射状に合計8個形成されている。
フロートガイド管702は、ノズル管600と並行して設けられ、図12に示すように2次容器S内への液体の注入に際しては、ノズル管600ともに2次容器S内に挿入される。したがって、2次容器S内に液体が溜まってきて、液面がフロート700に至ると、液体に対して浮力を有するフロート700は、液面位置に対応して変位する。つまり、液面の上昇に連れてフロート700が上方に変位する。
そして、磁石701に対し反発力が作用している磁石506もフロート700の変位位置に対応して変位する。つまり、磁石506もフロート700とともに上方に変位する。
そして、磁石506が第1磁石212aに吸着される位置まで上昇すると、第1磁石212a側に引き上げられ、これと一緒に弁体505も上方に変位し、開口部502bが閉鎖される。つまり、フロート700、すなわち液面が、フロートガイド管702が懸けられている2次容器Sの注入口S1の開口縁S1’から所定距離まで上昇したときに、磁石506が第1磁石212aに吸着され、弁体505が流路を遮断する。
該所定距離は、フロート700の長さや、磁石701と磁石506の反発力、磁石506と第1磁石212aの吸磁力などによれり決定されるもので、液体を開口縁S1’からどの位置まで溜まったときに液体の注入を停止するかによって適宜にフロート700の長さや、第1磁石212aと磁石506の吸磁力などを設定することで決定される。
例えば、第1磁石212aが磁石506を引き上げ始めるときの第1磁石212aと磁石506の距離が同じであれば、フロート700の長さが長いほど、弁体505が流路を遮断するときの、開口縁S1’から液面までの距離は長くなり、逆にフロート700の長さが短かければ液面と開口縁S1’の距離は短くなる。
上述の構成によれば、フロート700が流路外に配置されているため、流圧に関係なくフロート700は液面の上昇とともに上昇することができる。そのため、流圧が高くても液面が所定の高さになったときには、確実に流路を遮断することができる。つまり、第2の実施の形態は、第1の実施の形態に比べて、フロート700および磁石506に対する流圧による負荷が極めて小さい。
なお、フロートガイド管702の下方の開口端には、フロート700がフロートガイド管702から抜け落ちないように十字状に交差する線条部702aが形成されている。この線条部702aは細いので、線条部702以外の部分は開口していて、2次容器S内に溜まった液体はこの線条部702aからフロートガイド管702内に入り、フロートガイド管702内の液面位置と、2次容器Sの液面位置とは同一となるようになっている。
次に弁体505の膨出部505aの上端面に形成された孔505cと円環部505bに形成された孔505dについて、図13を参照しながら説明する。
孔505dは、空隙503と対応した箇所に弁体505とパッキン508を貫いて形成されている。これらの孔505c、505dは弁体505と弁体保持部507とで囲われた空間P内と空隙503、502a内の空気および液体を流通させる作用を有している。
孔505cは、膨出部505aの中心であって、Y軸に沿って形成されると共に、孔505cを囲むように磁石506側に突出した突出部505c’が形成されている。また、孔505cは、空間Pと空隙502aに対して形成され、孔505dは、空間Pと空隙503に対して形成される。
具体的には、下記の作用を有する。
先ず、孔505dについて説明する。弁体505が上方に変位しているときに、送液装置の本体側から液体が移送されても流路は遮断されているため、液体は空隙503から空隙502a側に流入することができない。このとき、孔505dから、空間P内に、空隙503内と空間P内の圧力が等しくなるまで液体が流れ込むことになる。
空間P内に空隙503内の液体が流れ込まない構成とした場合には、空間P内の圧力は、孔505cと繋がる空隙502a内と同じ圧力である。そのため、空間Pは、空隙503側より低い圧力となることとなり、弁体505にはその圧力差分だけ下方に押される力が作用する。この力は、第1磁石212aと磁石506の吸磁力に抗して弁体505を下方に押し下げる力であるため、パッキン508が開口部502bを閉鎖する力が小さくなってしまう。
しかしながら、孔505dを形成することにより、空隙503と空間P内の圧力の差を無くすことができ、第1磁石212aと磁石506の吸磁力に抗して弁体505を下方に押し下げる力の発生を無くすことができる。なお、磁石506の先端にはゴムラバー506aが被せられていて、磁石506が上方に変位した状態では、このコムラバー506aにより孔505cが塞がれるため、空間P内の空気や液体が孔505cから抜けてしまうことなない。
次に孔505cについて説明する。上記のように磁石506が上方に変位し、孔505cが塞がれている状態で、レバー215が回され第2磁石212bと磁石506が対向し、磁石506が第2磁石212bとの反発力により下方に落下すると、孔505cが開口される。そうすると、この孔505cから空間P内の液体や空気が空隙502a側に抜け、空間P内の圧力が空隙503内の液体の流圧より小さくなるため、弁体505が下方に下がり、開口部502bが開口し流路が開放され、空隙503から空隙502a側に液体が流れ込む。
なお、上述のように、磁石506は磁石収容部507bの内周面に対しリブ507cにより支持されているため、磁石506と磁石収容部507bの内周面との間には空隙507d形成されている。したがって、磁石506が下方に落下するときには、磁石506の下側の磁石収容部507b内に溜まった空気や液体は、この空隙507dを通って磁石506の上側に抜け、孔505cから空隙502aに抜ける。
次に、第2の実施の形態に係る該自動停止型ノズルの構造についての上述の説明を補足しながら、その作用・動作などについて説明する。
まず、該自動停止型ノズルの使用に先立って、図12に示すようにノズル管600とフロートガイド管702を液体が注入される2次容器S内に、2次容器Sの注入口S1から挿入する。
本実施の形態では、フロートガイド管702にクリップ400を取り付け、このクリップ400を注入口S1の開口縁S1’に留めて、該自動停止型ノズルを開口縁S1’に懸けた状態にする。
レバー215は、常時は、水平方向に変位していて、第1磁石212aと磁石506とは異極が対向し吸磁力を作用させ合っているため、この吸磁力により弁体505は、開口部502b側に引き上げられ、開口部502bを閉鎖している状態となっている。つまり、弁体505は流路を遮断する位置にあり、送液装置の本体から液体が移送されてきても、空隙502a側に流れ込むことがない。
なお、磁石506は、第1磁石212aとの間に十分な吸磁力を作用させ、弁体505が確実に流路を遮断することができるように、第1磁石212aと対向する面(S極面)は平坦になっている。
レバー215が水平方向に回されていて、流路が遮断されている状態から、レバー215を下方(時計回り)に回転させると、第2磁石212bのS極と磁石506のS極が対向し、同極同士が対向することになる。第2磁石212bと磁石506との間には反発力が作用するため、磁石506が下方に落下する。そうすると、上述したように、空隙503に液体が送液装置の本体から移送されてきているときは、その流圧により弁体505が下方に押し下げられ、パッキン508が開口部502bを開口し、流路が開放される。そうして、この液体は、空隙502aからノズル管600を通って2次容器S内に注入される。
なお、該自動停止型ノズルをフロートガイド管702が傾斜するような状態で開口部S1’に懸けたとしても、磁石506とフロート700は、重力による落下に加えて第2磁石212bと磁石506の反発力も付勢されるため、磁石506とフロート700を確実に下方に落下させることができる。
弁体505が流路を開放した後、下方に回転したレバー215から手を離すと、レバー215はコイルバネ218の付勢力により反時計回りに回転し水平位置となる。レバー215が水平位置に戻った状態では、第1磁石212aと磁石506は異極同士が対向することになるが、磁石506が下方に落下したとき、第1磁石212aと磁石506の距離が、第1磁石212aと磁石506の間に、磁石506を上方に引き上げることができるだけの吸磁力が作用しない距離となっている。そのため、弁体505は、流路を開放した状態を保ち、液体は、2次容器S内に注入され続ける。そして、2次容器S内に液体が溜まってきて、液面がフロート700に至ると、液面の上昇に連れてフロート700も上方に変位する。
このフロート700の上方への変位に伴って、フロート700の先端に設けられている磁石701との間に反発力を作用させ合っている磁石506も上昇する。そうして、磁石506が第1磁石212aにより引き上げられる距離まで変位し、磁石506が第1磁石212a側に引き上げられると、弁体505が、前述したように、開口部502bを閉鎖して流路を遮断することになる。つまり、フロート700、すなわち液面が、フロートガイド管702が懸けられる2次容器Sの注入口S1の開口縁S1’から所定距離まで上昇したときに、磁石506が第1磁石212aとの間の吸磁力により引き上げられ、弁体505が流路を遮断する。
該所定距離は、前述したようにフロート700の長さや、磁石506と第1磁石212aの吸磁力などによって決定される。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る自動停止型ノズルは、2次容器S内の液体が液面の上昇に連れてフロート700も上昇し、液面と2次容器Sの開口縁S1’の距離が所定距離、つまり、2次容器S内に液体が所定位置まで溜まったときに、第1磁石212aと磁石506の吸磁力により弁体505が流路を遮断して、2次容器Sへの液体の注入を自動的に停止するものである。
なお、フロートガイド管702の上部には、側面に空気抜き用の孔703が形成されていて、2次容器S内の液面の上昇に従ってフロートガイド管702内の液面が上昇したときに、フロートガイド管702内の空気をフロートガイド管702外に抜けるようにしている。
上述の第2の実施の形態において、第1磁石212a、第2磁石212b、磁石506および磁石701以外の部分、例えば、流液制御部500、ノズル管600、第2磁性体保持手段213、フロート700、などは、ポリエチレンや塩化ビニールなどの非磁性体から構成することに関しては第1の実施の形態と同様である。また、上述の第2の実施の形態においては、第1磁性体と第2磁性体を共に永久磁石として構成したが、第2磁性体側の第1磁石212aについては、鉄などの磁性体としてもよい。
第2磁性体側の第1磁石212aについては、このまま磁石を使用するか上記のように鉄などの磁性体とするが、第2磁石212bについては、凹部213aを形成することなく非磁性体である第2磁性体保持手段213と同一材料のままの構成としてもよいことにつては、上述の第1実施の形態と同様である。
既述の第1の実施の形態および第2の実施の形態は、いずれも自動停止型ノズルについてのみ説明をしたが、この自動停止型ノズルをモータの動力により液体を移送する電動ポンプや手動により液体を移送する動力を得る手動ポンプや気圧差を利用する液体移送装置といった送液装置本体に接続すれば、自動停止型ノズルを有する送液装置が構成される。
なお、以上の説明において、「液体」は、例えば、水、灯油、ガソリンなどの液状物質を総称したものとして本用語を用いている。