JP2009031072A - シリカ質粉末の不純物濃度分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】純度99.0%以上の高純度シリカ質粉末について、測定試料の調製が容易となり、かつ、高精度の分析を行うことができる蛍光X線分析によるシリカ質粉末の不純物濃度分析方法を提供する。
【解決手段】不純物濃度未知の全粒子の粒径が0.1μm以上10μm以下のシリカ質粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型したバインダ含有量0重量%のペレット状試料を作製し、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により測定したX線強度を対照させて、不純物濃度を定量する。
【選択図】図1
【解決手段】不純物濃度未知の全粒子の粒径が0.1μm以上10μm以下のシリカ質粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型したバインダ含有量0重量%のペレット状試料を作製し、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により測定したX線強度を対照させて、不純物濃度を定量する。
【選択図】図1
Description
本発明は、蛍光X線分析により、純度99.0重量%以上の高純度シリカ質粉末中の不純物濃度の定量分析を行う方法に関する。
太陽電池用ポリシリコンインゴットの製造においては、シリコン原料溶融のために、熱衝撃に強いシリカを主成分としたシリカ質ルツボが用いられている。このシリカ質ルツボは、高純度のポリシリコンを得るために、不純物が少ない、高純度のものであることが望ましい。
このため、高品質のポリシリコンを製造するためには、原料純度のみならず、その製造に用いられるシリカ質ルツボの品質管理も重要であり、該シリカ質ルツボに含まれる不純物分析を精度よく行うことが求められる。
このため、高品質のポリシリコンを製造するためには、原料純度のみならず、その製造に用いられるシリカ質ルツボの品質管理も重要であり、該シリカ質ルツボに含まれる不純物分析を精度よく行うことが求められる。
シリカ質ルツボの成分についての元素分析は、試料が粉末であり、試料調製の容易性、分析精度等の観点から、一般に、蛍光X線分析法により行われている。
具体的には、複数の成分を含有する粉末状の市販の標準試料を用いて、X線強度と所定の不純物の濃度との関係を表す検量線を作成し、この検量線に測定試料のX線強度を対照させて、不純物濃度の定量分析を行っている。
具体的には、複数の成分を含有する粉末状の市販の標準試料を用いて、X線強度と所定の不純物の濃度との関係を表す検量線を作成し、この検量線に測定試料のX線強度を対照させて、不純物濃度の定量分析を行っている。
前記蛍光X線分析法に用いられる標準試料は、上記のような市販品をペレット状にプレス成型して測定に用いていたが、シリカ粉末は成形性が悪く、従来のプレス加工条件においては、成型時にバインダを数%〜数十%添加しなければ、良好なペレット状試料として得ることができなかった(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−72085号公報
上記特許文献1に記載されている測定試料のように、ペレット状試料中に多量のバインダが混入していると、分析測定値にはバインダおよびバインダに含まれる不純物の影響も反映され、測定値の信頼性は高いとは言い難い。
したがって、本来は、測定試料は、バインダが含まれない状態で作製されたものであることが望ましい。
したがって、本来は、測定試料は、バインダが含まれない状態で作製されたものであることが望ましい。
また、市販の標準試料には、測定試料の主成分とは異なる成分が含まれており、標準試料と測定試料とでは含有成分元素が一致しておらず、測定値が真値を示しているか否かは明らかでなかった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、純度99.0%以上の高純度シリカ質粉末について、測定試料の調製が容易となり、かつ、高精度の分析を行うことができる蛍光X線分析によるシリカ質粉末の不純物濃度分析方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係るシリカ質粉末の不純物濃度分析方法は、純度99.0重量%以上の不純物濃度未知の全粒子の粒径が0.1μm以上10μm以下のシリカ質粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型したバインダ含有量0重量%のペレット状試料を作製し、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により測定したX線強度を対照させて、不純物濃度を定量することを特徴とする。
上記分析方法によれば、高純度シリカ質粉末について、微量の不純物についても、高精度で蛍光X線分析法による定量分析を行うことができる。
上記分析方法によれば、高純度シリカ質粉末について、微量の不純物についても、高精度で蛍光X線分析法による定量分析を行うことができる。
上記分析方法においては、前記ペレット状試料は、15℃以上30℃以下、1.0t/cm2以上3.0t/cm2以下で、60秒以上120秒以下のプレス成型により作製することが好ましい。
上記プレス成型条件によれば、バインダを用いることなく、異物が混入していないペレット状試料を容易に調製することができる。
上記プレス成型条件によれば、バインダを用いることなく、異物が混入していないペレット状試料を容易に調製することができる。
上述したとおり、本発明に係るシリカ質粉末の不純物濃度分析方法によれば、純度99.0%以上の高純度シリカ質粉末について、微量の不純物についても、共存元素の影響を受けることなく、高精度で蛍光X線分析法による定量分析を行うことができる。
また、本発明に係る分析方法においては、高精度での分析に好適な測定試料の調製を容易に行うことができる。
また、本発明に係る分析方法においては、高精度での分析に好適な測定試料の調製を容易に行うことができる。
以下、本発明を、より詳細に説明する。
本発明に係るシリカ質粉末の不純物濃度分析方法においては、純度99.0重量%以上の不純物濃度未知のシリカ質粉末試料について、蛍光X線分析により不純物濃度を定量する際、前記粉末試料には、全粒子の粒径が0.1〜10μmの粉末を用い、この粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型し、ペレット状試料を作製する。そして、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により不純物濃度の定量を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るシリカ質粉末の不純物濃度分析方法においては、純度99.0重量%以上の不純物濃度未知のシリカ質粉末試料について、蛍光X線分析により不純物濃度を定量する際、前記粉末試料には、全粒子の粒径が0.1〜10μmの粉末を用い、この粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型し、ペレット状試料を作製する。そして、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により不純物濃度の定量を行うことを特徴とするものである。
本発明においては、蛍光X線分析における検量線作成用ペレット状試料の調製に際し、まず、シリカ質粉末試料は、予め、粒径分布を0.1〜10μmにしておく。
上記範囲内の粒径とすることにより、バインダを添加しなくても、プレス成型により、ペレット状試料を作製することが可能となる。
上記範囲内の粒径とすることにより、バインダを添加しなくても、プレス成型により、ペレット状試料を作製することが可能となる。
定量分析において、共存元素の影響を受けないようにするためには、測定試料に標準試料を添加混合した検量線を作成する、いわゆる標準添加法が用いられる。
しかしながら、従来の市販の標準試料は粉末であり、測定試料中に均一に分散させることが難しく、一見、均一に分散させることができた場合であっても、粉末同士を混合物であるため、微視的には不均一であり、X線強度のばらつきが大きく、検量線の精度も低下し、微量の不純物濃度分析は困難であった。
しかしながら、従来の市販の標準試料は粉末であり、測定試料中に均一に分散させることが難しく、一見、均一に分散させることができた場合であっても、粉末同士を混合物であるため、微視的には不均一であり、X線強度のばらつきが大きく、検量線の精度も低下し、微量の不純物濃度分析は困難であった。
これに対して、本発明においては、粉末標準試料に替えて、測定対象の単一の不純物元素が含まれる濃度既知の水溶液(標準溶液)を用いて、前記シリカ質粉末試料の表面に、均一にコーティングし、乾燥、焼成し、これを検量線作成用ペレット状試料に加工する。
このような方法によれば、測定対象の単一の不純物元素を測定試料内部に均一に拡散させることができ、しかも、共存元素による影響を受けることなく、標準添加法により、1.0重量ppm〜1.0重量%程度の範囲内で、高精度で定量を行うことができる。
このような方法によれば、測定対象の単一の不純物元素を測定試料内部に均一に拡散させることができ、しかも、共存元素による影響を受けることなく、標準添加法により、1.0重量ppm〜1.0重量%程度の範囲内で、高精度で定量を行うことができる。
なお、測定対象となる不純物元素は、例えば、太陽電池用ポリシリコンの製造に用いられるシリカ質ルツボの成分においては、主に、Fe、Ti、Al、Ca、Zr、Na、K、Mg等である。
また、乾燥および焼成の際には、上記測定対象となる不純物元素が揮散しない温度、雰囲気等の条件下で行うことを要する。
また、乾燥および焼成の際には、上記測定対象となる不純物元素が揮散しない温度、雰囲気等の条件下で行うことを要する。
上記により、得られた粉末試料をプレス成型により、ペレット状試料を作製する。
このプレス成型条件は、成形型の温度が15℃以上30℃以下、成形圧力が1.0t/cm2以上3.0t/cm2以下、成形時間が60秒以上120秒以下であることが好ましい。
このプレス成型条件は、成形型の温度が15℃以上30℃以下、成形圧力が1.0t/cm2以上3.0t/cm2以下、成形時間が60秒以上120秒以下であることが好ましい。
成形圧力が1.0t/cm2未満であると、得られたペレット状試料の強度が不十分となり、ハンドリング時に、一部または全体が崩壊する場合がある。
一方、成形圧力が3.0t/cm2を超える場合、得られるペレット状試料の密度のバラツキが大きくなる。なお、ペレット状試料の密度は、シリカ質粉末の粒径分布によってもバラツキが生じる。
一方、成形圧力が3.0t/cm2を超える場合、得られるペレット状試料の密度のバラツキが大きくなる。なお、ペレット状試料の密度は、シリカ質粉末の粒径分布によってもバラツキが生じる。
また、成形時間が60秒未満である場合も、得られたペレット状試料の強度が不十分となり、ハンドリング時に、一部または全体が崩壊する場合がある。
一方、成形時間が120秒を超える場合、得られるペレット状試料の密度、表面粗さのバラツキが大きくなり、測定される蛍光X線強度のバラツキも大きくなる。
一方、成形時間が120秒を超える場合、得られるペレット状試料の密度、表面粗さのバラツキが大きくなり、測定される蛍光X線強度のバラツキも大きくなる。
上記プレス成型条件によれば、バインダを用いることなく、異物の混入のないペレット状試料を容易に調製することができ、このようなペレット状試料は、蛍光X線分析法による高精度での定量分析のための試料として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
約5gの溶融シリカ質粉末試料を精秤した。
測定対象の不純物元素を含む標準液として、硝酸鉄1000ppmを含む溶液を希釈し、10〜1000ppmの範囲内の濃度で、7水準の標準溶液を調製した。
これらの標準溶液をそれぞれ、粉末試料に、満遍なく、均一にコーティングした後、混合撹拌し、約110℃で約24時間乾燥させた。これを、Feが揮散しないように、約400℃の酸化雰囲気で24時間焼成した後、約800℃に昇温し、さらに、24時間かけて焼結させた。
この粉末試料をプレス成型して、ペレット状試料を作製し、波長分散型蛍光X線分析装置にて、Feの蛍光X線スペクトル強度を測定した。
[実施例1]
約5gの溶融シリカ質粉末試料を精秤した。
測定対象の不純物元素を含む標準液として、硝酸鉄1000ppmを含む溶液を希釈し、10〜1000ppmの範囲内の濃度で、7水準の標準溶液を調製した。
これらの標準溶液をそれぞれ、粉末試料に、満遍なく、均一にコーティングした後、混合撹拌し、約110℃で約24時間乾燥させた。これを、Feが揮散しないように、約400℃の酸化雰囲気で24時間焼成した後、約800℃に昇温し、さらに、24時間かけて焼結させた。
この粉末試料をプレス成型して、ペレット状試料を作製し、波長分散型蛍光X線分析装置にて、Feの蛍光X線スペクトル強度を測定した。
これらの各測定強度とFe濃度(含有量)との関係から、検量線を求めた。
表1に検量線データを示し、図1に検量線を示す。
表1に検量線データを示し、図1に検量線を示す。
[比較例1]
市販の粉末標準試料(JIP260A(T−Fe99.0≦)(JFEスチール株式会社製))を用いて、10〜1000ppmの範囲内の濃度で、7水準となるように、溶融シリカ質粉末との混合物を調製した。
これらの各混合物について、波長分散型蛍光X線分析装置にて、Feの蛍光X線スペクトル強度を測定し、各測定強度とFe濃度(含有量)との関係から、検量線を求めた。
表1に、実施例1と併せて、検量線データを示し、図2に検量線を示す。
市販の粉末標準試料(JIP260A(T−Fe99.0≦)(JFEスチール株式会社製))を用いて、10〜1000ppmの範囲内の濃度で、7水準となるように、溶融シリカ質粉末との混合物を調製した。
これらの各混合物について、波長分散型蛍光X線分析装置にて、Feの蛍光X線スペクトル強度を測定し、各測定強度とFe濃度(含有量)との関係から、検量線を求めた。
表1に、実施例1と併せて、検量線データを示し、図2に検量線を示す。
図1に示した実施例1における検量線は、相関係数99.91%と強い相関関係を有していることが認められた。
図2に示した検量線は、図1の検量線と比較して、相関関係が弱いものであった。これは、標準試料中の共存元素の影響によるものと考えられる。
図2に示した検量線は、図1の検量線と比較して、相関関係が弱いものであった。これは、標準試料中の共存元素の影響によるものと考えられる。
Claims (2)
- 純度99.0重量%以上の不純物濃度未知の全粒子の粒径が0.1μm以上10μm以下のシリカ質粉末試料の表面を、濃度既知の単一の不純物元素を含む標準溶液でコーティングし、乾燥、焼成およびプレス成型したバインダ含有量0重量%のペレット状試料を作製し、前記ペレット状試料について、蛍光X線分析によりX線強度と不純物濃度との関係を表す検量線を作成し、前記検量線に基づいて、蛍光X線分析により測定したX線強度を対照させて、不純物濃度を定量することを特徴とするシリカ質粉末の不純物濃度分析方法。
- 前記ペレット状試料は、15℃以上30℃以下、1.0t/cm2以上3.0t/cm2以下で、60秒以上120秒以下のプレス成型により作製することを特徴とする請求項1記載のシリカ質粉末の不純物濃度分析方法。
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JP2007194023A JP2009031072A (ja) | 2007-07-26 | 2007-07-26 | シリカ質粉末の不純物濃度分析方法 |
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2007
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