JP2009028878A - バリ取り装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒状のワークの周壁にある開口部を、横フライス盤などの機械加工することにより開口部周辺に発生するバリを、気流型スピーカの音波を利用して、バリに屈曲運動を与え機械疲労によってバリを除去する方法を提供する。
【解決手段】圧搾空気が供給され、この圧搾空気の流量を音声信号によって調整することにより音波を出力する気流型スピーカ30を備え、音波をバリ取り用音波として利用するバリ取り機構であって、気流型スピーカ30は、圧搾空気とともに音波を出力するノズル20を備え、ノズル20を円筒状ワーク5内に挿入することにより、ワーク5内部のバリ70に音波に従った屈曲運動を加えて、機械疲労によりバリ70を除去する。
【選択図】図1
【解決手段】圧搾空気が供給され、この圧搾空気の流量を音声信号によって調整することにより音波を出力する気流型スピーカ30を備え、音波をバリ取り用音波として利用するバリ取り機構であって、気流型スピーカ30は、圧搾空気とともに音波を出力するノズル20を備え、ノズル20を円筒状ワーク5内に挿入することにより、ワーク5内部のバリ70に音波に従った屈曲運動を加えて、機械疲労によりバリ70を除去する。
【選択図】図1
Description
本発明は、バリ取り装置に関するものであって、特に、ラインマイクロホンに用いるマイクロホンケースの切削加工後のケース内周側に生じているバリの除去に適したバリ取り装置に関するものである。
スポーツ中継や、記者会見などで音声を録音するために利用されているラインマイクロホン(別名ガンマイクともいう)は、目的の音以外の不必要な周囲の音波の導入を極力減らして、目標の音声のみを録音するという目的のため、狭指向性に設定されている。ラインマイクロホンは狭指向性を実現するために、一般的な構成として音響管を備えている。例えば、金属からなる音響管の先端を音響端子とし、音響管の周壁に複数の開口部を設けて、これを音響抵抗としたものが知られている。音響管の前方にある音源以外の音源から出た音波を上記複数の開口部から導きいれることによってお互いに打ち消し合い音響管の前方にある音源からの音波のみを導き入れるというものである。音響管はマイクロホンケースで覆われることによって保護され、マイクロホンケースの周壁にも開口部が設けられている。
ラインマイクロホンの製造工程においてマイクロホンケースに、上記開口部を形成するために切削加工を施す必要がある。マイクロホンケースの材質が金属であること、および、横フライスでの加工を条件とすると、開口部の周縁に大きなバリが発生する。このバリを取り除く作業に人手を費やすとすると、研磨作業を行う人件費がかかる上、品質にばらつきのない常に安定した研磨作業を実施することは困難である。そこで従来のバリ取りの方法をいくつか説明する。バリを取り除く技法および研磨技法は多種多様であり、それぞれの用途に応じたバリ取りの技法を選択する必要がある。
研磨技法の一つとしてショットブラストという技法が知られている。ショットブラストは胡桃の粉、ガラスビーズ、鉄球などの個体からなるブラストを研磨対象物に衝突させてバリ取りなどの表面改質を行う技法である(例えば特許文献4参照)。この技法は肉厚なバリを取るには優れているが、その反面、表面上に傷を残しやすいという欠点があり、対象物が複雑な形状や複合部材には適していない。さらに、バリ取り工程完了後の洗浄工程が必要である。研磨対象物が、例えばマイクロホンケースのように小さいもので、かつ、大量に処理するには適していない。
また他の技法としてバレル研磨という技法が知られている。バレル研磨とは研磨対象物と、粒子状の研磨剤とを共に、樽状のバレルと呼ばれる容器の中に投入し、バレルを回転および上下運動させることにより研磨をおこなう技法である(例えば特許文献3を参照)。一般的には研磨対象物は比較的小さなものを想定しており、バレル内には複数の研磨対象物を投入し、同時に研磨することが多い。バレルの回転は一様ではなく上下運動と同時に回転、あるいは、振動を加えるなどして研磨対象物と研磨剤をバレル内で動かして加工を行う。バレル研磨は研磨剤粒子が小さく、かつ、バレルの回転や上下運動に合わせて内部を自在に移動するため、段付き面など機械で研磨しにくい箇所であっても仕上げが可能である。しかし、研磨対象物の角面が丸まるバレル痕と呼ばれる僅かなへこみが発生することがあり、厳密な寸法精度や表面研磨が要求される精密部品などのバリ取りを必要とする場合にはバレル研磨は適さない。また、バレル研磨を行った後で、超音波洗浄を行う必要があり手間がかかる。
さらに超音波バリ取りという技法も知られている。超音波バリ取りは、研磨対象物と研磨砥粒と水または油を容器に投入して、強力な超音波を照射するものである。容器内部に超音波を照射することにより、キャビテーションによる屈曲振動と、研磨砥粒による浸食作用により短時間でバリを取ることが可能である。また、容器を大きくすればより多くの研磨対象物を投入することができ、一度に大量のバリ取りを並行して行うことが可能である。しかし、超音波バリ取りは、研磨対象物の一部分のみを研磨するということを想定していないため、本発明の意図するワークの内壁のみを研磨する場合には適していない。
このように、従来の研磨技術はいずれも、本発明の意図するバリ取りには適していない。従来のバリ取りに関連する従来技術の例としては次のようなものがある。
特許文献1および2記載のバリ取り装置は、どちらも研磨対象物の形状や用途に合わせてバリ取り装置の形状が異なる。しかし、バリを取るための切削刀を、直接バリに押圧させて削り取るという方法は共通している。特許文献3は、上記バレル研磨技法に類似したタンブリング方式という研磨技法が基になっている。タンブリング方式は、仕上げ面の粗さ、および、加工精度という点でバレル研磨より劣る。また、タンブリング方式での研磨、および、バレル研磨技法では、研磨対象物全体の研磨を想定としており、本発明の意図には適切ではない。
以上説明した従来技術は、いずれも以下のような解決すべき課題がある。特許文献1および2記載の技術は、切削刀を用いたバリ取りを反復継続して行うことで、切削刀に機械的疲労が蓄積し破損する恐れがある。このため、切削刀を定期的に交換する必要があり、その分コストがかかってしまう。特許文献3記載の技術に関しては、上記タンブリング方式の研磨技法であり、研磨対象物の全体面を研磨対象とするものである。本発明は、研磨対象物の全体面ではなく局部のみを研磨の対象としているので、タンブリング方式研磨、バレル研磨、および、超音波バリ取り技法は、これに適した技法ではない。特許文献4記載の技術は、いわゆるショットブラスト方式の研磨技法を基にしたものであり、前述のとおり、研磨対象物を大量生産するには不適切な技法である。
本発明は、上記従来のバリ取り装置の問題点を解消するためになされたもので、マイクロホンケースのように細長い円筒形の内壁のバリを除去すること、および、手作業でのヤスリがけのようなバリ取りの手間を省くことを実現したバリ取り装置を提供することを目的とする。
本発明は、従来例とは全く異なる技法を用いたバリ取り装置である。本発明の課題解決手段を説明するにあたり、本発明が採用している気流型スピーカの構成例について説明する。気流型スピーカとは、振動板、ボイスコイル、磁性体と、これらを収納するハウジングを備え、ハウジング内部には圧搾空気を送り込むための入口孔と、圧搾空気をハウジング外部に送り出す出口孔を備えてなるものである。ハウジング内部の振動板は、ボイスコイルに音声信号を送ることで、電磁力により振動し、この振動板の振動により、上記出口孔を閉鎖および開放することで圧搾空気の流量を調節している。この圧搾空気の流量は音声信号に応じて調節され、笛の原理で圧搾空気の量に応じた音波を出力するものである。
本発明は、圧搾空気が供給され、この圧搾空気の流量を音声信号によって調整することにより音波を出力する気流型スピーカを備え、上記音波をバリ取り用音波として利用するバリ取り装置であって、上記気流型スピーカは、圧搾空気とともに音波を出力するノズルを備え、上記ノズルを円筒状ワーク内に挿入することにより、上記ワーク内部のバリに上記音波に従った屈曲運動を加えて機械疲労によりバリを除去することを最も主要な特徴とするバリ取り装置である。
本発明によれば、上記気流型スピーカから噴出される音波と圧搾空気をノズルからワーク内部に送り込むことにより、音波に従った屈曲運動をバリに加える。バリは、上記音波により、間欠的な屈曲運動により、機械的疲労で切断され、上記圧搾空気により、風圧でワークの外部に吹き飛ばされる。バリは、音波と圧搾空気の作用により切断され吹き飛ばされるので、切断される瞬間はノズルに物理的に接触することなく、除去することが可能である。また、上記バリ取り装置に備えられたノズルが、円筒形の上記ワーク内に挿入されることにより、バリに機械的疲労を与えてバリを除去するため、バリ取りが不要な部分であるワークの内壁面に傷をつける心配がない。さらに、本発明を、例えばマイクロホンの生産工場ラインの一端に加えることで、大量に、かつ、安定したバリ取りを実施することが可能である。
以下、本発明に係るバリ取り装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1はマイクロホンケースのバリ取り装置の実施例の縦断面を示している。符号5はバリ取り前のマイクロホンケースを示している。マイクロホンケース5は、その周壁に横フライス盤などで外周面から内方に向かって機械加工を施して形成された開口部10と、それに起因して内部にできたバリ70を示している。開口部10は、マイクロホンケース5の中心軸線方向に対し直交する方向に長いスリット状の開口部で、多数の開口部10がマイクロホンケース5の軸線方向に列設されている。符号30は気流型スピーカを示している。気流型スピーカ30の後部(図1において右側)には圧搾空気を送り込むための管材35が設けられており、前面(図1において左側)にはマイクロホンケース5の内径より僅かに小さい径の円筒形のノズル20が設けられている。ノズル20の先端部23は砲弾状に形成されており、先端部23の周方向には、上記気流型スピーカ30から出力される音波とともに圧搾空気を噴出するための噴出口22が形成されている。噴出口22は、ワークに応じて単一でも、あるいは、複数でも差し支えないが、図示の実施例では、マイクロホンケース5の中心軸線を挟んで相対向する周壁に開口部10が形成されていることに合わせて、2つの噴出口22が形成されている。
図1はマイクロホンケースのバリ取り装置の実施例の縦断面を示している。符号5はバリ取り前のマイクロホンケースを示している。マイクロホンケース5は、その周壁に横フライス盤などで外周面から内方に向かって機械加工を施して形成された開口部10と、それに起因して内部にできたバリ70を示している。開口部10は、マイクロホンケース5の中心軸線方向に対し直交する方向に長いスリット状の開口部で、多数の開口部10がマイクロホンケース5の軸線方向に列設されている。符号30は気流型スピーカを示している。気流型スピーカ30の後部(図1において右側)には圧搾空気を送り込むための管材35が設けられており、前面(図1において左側)にはマイクロホンケース5の内径より僅かに小さい径の円筒形のノズル20が設けられている。ノズル20の先端部23は砲弾状に形成されており、先端部23の周方向には、上記気流型スピーカ30から出力される音波とともに圧搾空気を噴出するための噴出口22が形成されている。噴出口22は、ワークに応じて単一でも、あるいは、複数でも差し支えないが、図示の実施例では、マイクロホンケース5の中心軸線を挟んで相対向する周壁に開口部10が形成されていることに合わせて、2つの噴出口22が形成されている。
圧搾空気は、管材35から気流型スピーカ30に送り込まれる。図には示していないが、気流型スピーカに音声信号を供給する給電ユニットから、気流型スピーカ30に音声信号を送ることによって、ノズルに送り出す圧搾空気の流量を調整する。空気の量は上記音声信号に応じて調整され、笛の原理により空気量に応じた音波を発生する。音波と圧搾空気は、ノズル20の内部25を通って噴出口22から噴出される。バリを除去する場合には、上記噴出口22から音波および圧搾空気を噴出しながら、ノズル20をマイクロホンケース5の内部に挿入する。この挿入する力によって、砲弾状であるノズル20の先端部23が、マイクロホンケース5の内部から外側に向かってバリ70を押し上げる。図1において符号73は押し上げられたバリを示している。さらに、ノズル20を挿入していくと、ノズル20の先部にある噴出口22が、押し上げられたバリに到達する。バリは、噴出口22から噴出される音波によって、間欠的に屈曲運動を加えられ、機械疲労により切断される。切断されたバリは、噴出口22から噴出される圧搾空気の風圧でマイクロホンケースの外部に吹き飛ばされる。図2において符号75は吹き飛ばされるバリを示している。図2は、図1に示す状態からさらにマイクロホンケース5にノズル20を挿入した状態を示している。
図3は、ワークの例であるマイクロホンケース5の平面図である。図3において符合10は周壁に形成されている開口部を示す。この実施例でのマイクロホンケース5は、マイクロホンケース本体の中心軸線上において、対称となる位置に開口部10が等間隔で形成されている。
図4はマイクロホンケースの側面断面図である。図4において符号10はマイクロホンケース5に形成されている開口部を示す。図4においては、縦長長方形状の開口部10がマイクロホンケース周壁の長手方向において等間隔で複数形成されている。例えば、開口部10が、マイクロホンケースの長手方向に長い長方形でも良い。さらに、開口部10の形状は任意であり、長方形だけでなく、正方形、丸形などでも良い。あくまで、ラインマイクロホンのケースとして高い狭指向性を保持できる音響抵抗をもたせることができる形状であればよい。開口部10を貫通孔として機械加工することによりバリが生じる。本発明に係るバリ取り装置は上記のようにして生じたバリを除去するのに適している。
図5はマイクロホンケースの正面を示している。図5において、符号10はマイクロホンケースの開口部を、符合70は開口部10を機械加工することによって生じたバリを示している。開口部10を横フライス盤などで機械加工することによって、比較的寸法の大きいバリ70を生じてしまう。マイクロホンケース5の内部にバリ70が発生しているので、外部からバリ取りすることは困難で、内部からのバリ取りを実施する方が効率的である。本発明は、円筒形状のマイクロホンケース5の内径に合わせた上記ノズル20をマイクロホンケース5に挿入することによりバリを内側から除去するというものである。
以上の説明から分かるように、マイクロホンケースのように、細長い筒形のワークの内側に生じているバリを除去するには、気流型スピーカから出力される音波と圧搾空気を利用した本発明に係るバリ取り装置によって、バリに機械疲労を起こさせ除去することが効率的であり、生産性も高く、有効な手段である。
5 マイクロホンケース
10 開口部
20 ノズル
22 噴出口
30 気流型スピーカ
70 バリ
10 開口部
20 ノズル
22 噴出口
30 気流型スピーカ
70 バリ
Claims (4)
- 圧搾空気が供給され、この圧搾空気の流量を音声信号によって調整することにより音波を出力する気流型スピーカを備え、上記音波をバリ取り用音波として利用するバリ取り装置であって、
上記気流型スピーカは、圧搾空気とともに音波を出力するノズルを備え、上記ノズルを円筒状ワーク内に挿入することにより、上記ワーク内部のバリに上記音波に従った屈曲運動を加えて機械疲労によりバリを除去することを特徴とするバリ取り装置。 - ワークは、周壁に開口部が形成されたマイクロホンケースであって、マイクロホンケース内面の上記開口部の縁に生じているバリを除去する請求項1記載のバリ取り装置。
- ノズルの音波出力部は、圧搾空気とともに音波をノズルの側面から出力するように形成されている請求項2記載のバリ取り装置。
- 間欠的、かつ、瞬間的に発光する照明部材を備えていて、バリの屈曲運動を目視することができるようにした請求項3記載のバリ取り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007197902A JP2009028878A (ja) | 2007-07-30 | 2007-07-30 | バリ取り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2009028878A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104440449A (zh) * | 2014-12-02 | 2015-03-25 | 郧西精诚汽配有限公司 | 交叉孔相贯线位置、深孔折弯位置微小金属毛刺去除器械 |
CN105817711A (zh) * | 2016-05-24 | 2016-08-03 | 吴鲁宁 | 一种麦克风外壳的加工方法和加工设备 |
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2007
- 2007-07-30 JP JP2007197902A patent/JP2009028878A/ja active Pending
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