JP2009028865A - 多関節型ロボットの制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のオブザーバ制御演算装置では、ロボット自身の姿勢やアームに取り付ける負荷の変化に対応して制御性能の劣化を防ぐには、負荷イナーシャ、状態オブザーバ、状態FBのパラメータのリアルタイムでの演算が必要であり、演算処理の負荷が非常に多くなる。
【解決手段】アームに取り付けられる複数の負荷に応じて予め調整されたパラメータを持つ複数の状態オブザーバと状態FBの演算を同時に行い、アームに取り付けられる負荷情報に基づいてそれぞれの状態FB値のモータ電流指令への加算量を調整する際に、各姿勢におけるアーム回転半径の最大値に対する2乗比の1次関数として定義する姿勢ゲインを乗じることにより、リアルタイムで負荷イナーシャ、状態オブザーバ、状態FBのパラメータ演算を行う必要はなく、ロボットの姿勢変化に応じた振動抑制効果が得られる状態で演算時間を削減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、減速機を介してモータにより駆動されるロボットの位置制御における多関節型ロボットの制御方法に関するものである。
近年、溶接やハンドリングに用いられる垂直多関節ロボットにおいて、作業精度の向上が求められている。しかし、垂直多関節ロボットは、合成アーム長が1m以上、構成軸が6軸以上の構成が一般的であり、アームのしなりや各軸に搭載されている減速機のバネ成分によりアーム先端は振動しやすい構造になっている。特に、減速機のバネ成分による振動は、大型ロボットでは10Hz以下の低い周波数となり、位置制御性能に大きな影響を与える。
図2は、ロボットにおけるモータと減速機をモデル化したものであり、モータ取り付けベースとなる第1アーム(1)にモータ(2)、減速機(3)、ベアリング(4)が固定され、減速機2次側(7)の回転部に結合された負荷である第2アーム(9)を駆動する。
減速機1次側(6)はモータ回転軸(10)でモータ内のロータに結合され、モータ回転速度ωM(11)で回転する。減速機(3)は減速比Rgで、モータ回転速度ωM(11)を負荷回転速度ωL(12)に減速する。
Figure 2009028865
しかし、減速機(3)は減速機1次側(6)と減速機2次側(7)の間にバネ成分が存在するので、(数1)の式が成立するのは、バネの伸びが一定となった定常状態のみである。このバネ成分のバネ定数をKsとして、図2のモデルをブロック線図で表したものが図3である。
図3において、電流指令icom(13)はモータ(2)を駆動するモータ電流指令、Kt(14)はモータ(2)のトルク定数、1/Rg(15、16)は減速比の逆数、(17)はモータ伝達関数、(18)は負荷伝達関数、バネ定数 Ks(19)は減速機(3)のバネ定数、θs(20)は減速機1次側(6)と減速機2次側(7)間に発生するねじれ角、(21)は積分要素、Td(22)は負荷(第2アーム(9))に加わる外力である。
モータ伝達関数(17)において、JMはモータロータ(5)と減速機1次側(6)を合わせた回転軸(10)回りの慣性モーメント、DMは粘性摩擦係数である。また、負荷伝達関数(18)においても、JLは負荷(第2アーム(9))と減速機2次側(7)を合わせた回転軸(10)回りの慣性モーメント、DLは粘性摩擦係数である。
図3の負荷に対し、通常用いられる位置決め制御ループを示したものが図4である。
図4において、位置制御ブロック(27)は、モータに接続されたエンコーダ等によって検出されるモータ回転速度ωMを積分要素(25)で積分したモータ位置フィードバックθM(24)を、モータ位置指令θcom(23)から減算し、位置比例ゲインKPP(26)を乗じてモータ速度指令ωcom(28)を生成する。
Figure 2009028865
速度制御ブロック(31)は、速度指令ωcom(28)とモータ回転速度ωMより下記式で、モータ電流指令icom0(32)を生成する。
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
図4で示す通常の位置制御ループでは、負荷速度ωL(12)や減速機ねじれ角θs(20)を無視し、モータ速度ωM(11)のみを観測して位置制御を行うため、減速機のバネ成分による負荷速度ωL(12)の振動を抑制することは出来なかった。
そこで、負荷速度ωL(12)や減速機ねじれ角θs(20)を計測し、その計測値を用いてフィードバック(以下FBと省略)制御を行うことで、減速機のバネ成分による振動を抑制する方式が考えられる。しかし、負荷速度ωL(12)や減速機ねじれ角θs(20)の計測機能を付加することにより、装置コストや負荷質量の増大を招くので、製品化するにはデメリットが大きい。
上記課題を解決するために、図5では、図4で示した通常の位置制御ループに、状態FBブロック(39)を加えている。
状態FBブロック(39)においては、電流指令icom(13)とモータ速度ωM(11)の値を用いて、状態オブザーバ(33)により、負荷速度推定値ωLo(34)や減速機ねじれ角推定値θso(35)を推定する。これらの推定値とモータ回転速度ωM(11)にゲイン(36)〜(38)を乗じ、速度制御ブロックより生成された電流指令icom0(32)から減じて、新たに電流指令icom(13)を生成する。
Figure 2009028865
このように構成することにより、状態FBゲイン(36)〜(38)を調整することで、減速機のバネ成分による負荷速度ωL(12)の振動を抑制する制御特性の実現が可能になる。
図6は図5における状態オブザーバ(33)を最小次元オブザーバで構成した場合の内部構造を示したもので、状態オブザーバパラメータ61〜70を以下の式で計算することにより構成する。
Figure 2009028865
(数5)において、k1、k2(図6では69、70)は、オブザーバの応答性と安定性を決定するゲインで、オブザーバの応答性と安定性を決定する極をα1、α2と指定すると以下の式で計算される。
Figure 2009028865
一方、状態FBゲインKf1〜3(36)〜(38)の決定方法は最適レギュレータ等様々あるが、速度指令ωcom(23)からモータ速度ωM(11)までの伝達関数の極を指定する方式を図5の制御系で採用した場合は以下のようになる。
指定する極をβ1〜4とすると
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
ところで、垂直多間接ロボットにおいては、ロボット自身の姿勢や、アームに取り付けられる負荷が変化すると、負荷イナーシャJLは変動する。そこで、負荷イナーシャJLを計算し、その値に基づいて、(数5)〜(数7)の式(6)〜(9)で示す状態オブザーバと状態FBのパラメータを再計算すれば良いことが公知技術として知られている。
しかし、近年の高応答性を要求されるロボットにおいては、図5で示す位置ループ制御の全軸分の演算を数ミリ秒以内のサンプリングで行う必要があり、数値演算が速いデジタルシグナルプロセッサ(以後DSPと略す)を用いたとしても、負荷イナーシャJLの演算と(数5)〜(数7)の式(6)〜(9)の演算を位置制御ループサンプリングの余り時間で処理する事は困難である。また、(数5)〜(数7)の式(6)〜(9)にはDSPが不得意とする除算が多く含まれている。
以上の問題に対し、従来は状態方程式の離散化を1次で終了させて演算時間を短縮する方式が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、従来のオブザーバ制御演算装置では短縮したとは言え、ロボット自身の姿勢やアームに取り付ける負荷に変化が発生すると、依然として負荷イナーシャJL、状態オブザーバ、状態FBパラメータの演算が必要であり、また、DSPが不得意とする除算が含まれていることには変わりない。
最近のロボットにおいては、溶接や力制御のアプリケーションに適応した制御や、センサレス衝突検出に代表される安全性を高める制御等にも演算時間を割かねばならず、ますます演算処理の負荷が重くなってきている。
そこで、減速機のバネ成分によるロボット先端部の振動が、ロボットアームが伸長した姿勢で大きくなることに着目し、この姿勢における状態オブザーバと状態FBのパラメータをアームに取り付けられる複数の負荷に対して予め準備し、その数に対応した複数の状態オブザーバ並びに状態FBの演算を同時に行い、それぞれの状態FB値のモータ電流指令への加算量を調整する方法が示されている(例えば、特許文献2参照。)。
図7(a)は制御対象とする垂直多関節ロボットを示している。通常の垂直多関節ロボットは基本3軸と手首3軸で構成されており、図7(a)は基本3軸のみを示している。
図5等に示す、各軸の負荷速度ωL(12)をアーム先端の線速度vLに換算する式は以下の様になる。
Figure 2009028865
ただし、
回転半径r:各軸の回転中心軸とアーム先端までの距離
手首3軸はアーム長が基本3軸に比べ短いため、回転半径rが小さく、軸回りの速度ωLに振動成分が乗っていても、アーム先端速度vLへの影響は少ないので無視することができる。
図7(a)において、(101)は水平面で回転する第1軸、(102)は第1軸に取り付けられ垂直面で回転する第2軸、(103)は第2軸に取り付けられ垂直面で回転する第3軸である。(104)は第1軸の角速度ωL1、(105)は第2軸の角速度ωL2、(106)は第3軸の角速度ωL3である。
図7(b)は(数8)の式(10)が最大となる姿勢を示している。ただし、第3軸については回転中心軸とアーム先端までの距離は手首軸を無視すれば、姿勢によらず一定である。
(107)と(108)は、それぞれ第1軸と第2軸の回転半径r1、r2であり、第1軸と第2軸の回転中心がオフセットしていなければ一致し、図7(b)の姿勢で最大となる。
また、この姿勢では、アームも含めた負荷イナーシャJLが最大となるので、振動周波数が最も低く、制御性能に悪影響を与える。さらに、図2で示す減速機(3)の減速機バネ(8)から先の負荷が大きくなるので、振動を始めると静止させにくくなる。
逆に図7(c)(d)はアームをおりたたんだ姿勢であり、図7(c)に第1軸の回転半径r1(107)、図7(d)に第2軸の回転半径r2(108)を示している。
いずれにしても、図7(b)に比べると回転半径rが小さく、アームも含めた負荷イナーシャJLも小さくなるので、振動周波数が高くなり、振動の抑制も容易である。
つまり、図7(b)で示す姿勢近傍が最も振動が大きく、止めにくいことが考えられるので、図7(b)近傍で状態オブザーバと状態FBのパラメータを予め調整しておく。
しかし、アームに取り付けられる負荷は一定ではなく、移載作業等ではロボットの動作中にも変わる。そこで、数種の負荷に対応したパラメータを図7(b)近傍で、状態オブザーバと状態FBのパラメータを予め調整しておく。
図8は、2種類の負荷に対応した場合の位置制御ループを示すものである。
図8においては2種類の負荷に対応した状態FBブロック1、2(47、57)と状態FB比率ゲインRK1、RK2(48、58)を有する。
状態FBブロック1、2(47、57)においては、DSPが得意とする積和演算のみで構成される。
状態FBブロック1、2(47、57)中の状態オブザーバと状態FBのパラメータは、それぞれの負荷に対応し、図7(b)の姿勢の近傍で予め調整された値を用いる。
ロボット動作プログラムにより、アームに取り付けられる負荷が、状態FBブロック1(47)で調整した負荷から状態FBブロック2(57)で調整した負荷へ切り替わったことが知らされると、図8の状態FB比率ゲインRK1、RK2(48、58)は図9で示すグラフで変化させる。
状態FB比率ゲインRK1、RK2(48、58)の関係は以下の式で定める。
Figure 2009028865
図9では、時刻0ではRK1=1、RK2=0であった状態FB比率ゲインは、時刻0.2で負荷切替が知らされると、RK1を0になるまで減少させる。RK2は(数9)の式(11)の関係を保つので、時刻0.7でRK2=1に増加し、負荷切替対応を完了する。
この方法では、リアルタイムで負荷イナーシャ、状態オブザーバ、状態FBのパラメータ演算を行う必要はなく、DSPが得意とする積和演算で構成される複数の状態オブザーバ、状態FBの演算をするのみで良いので、十分な振動抑制効果が得られる状態で、演算時間を削減することができる。
特開平8−123508号公報 特開2006−116631号公報
しかし、従来例の2例目で示した方法では、状態オブザーバと状態FBのパラメータは、図7(b)で示すアーム伸長姿勢における負荷イナーシャをJLとして計算し、アーム姿勢には関係なく固定値を用いている。
アームをおりたたんだ姿勢の図7(c)(d)においては、回転半径rが小さく、アームも含めた負荷イナーシャJLも小さくなるので、振動周波数が高くなり、状態FBによる振動抑制制御は元来不要であるにも関わらず、図7(b)の伸長姿勢で調整された整合しないパラメータで状態FBによる振動抑制制御が実施されることになる。
つまり、状態FBによる振動抑制制御を実施しない場合より、パラメータ不一致に起因する振動が増加する可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するものであり、ロボットアームが伸長した姿勢で大きくなる減速機バネ成分による振動の抑制と、アーム縮退時のパラメータ不一致に起因する振動増加の防止の両立を、現状の制御周期内の演算時間で可能とするロボットの制御方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の多関節型ロボットの制御方法は、減速機を介してモータで駆動され回転軸を中心に回転するアームを複数有し、予め記憶された動作プログラムによって動作し、前記モータの電流および回転位置情報を基に前記モータのフィードバック制御ループを構成し、状態オブザーバで推定した前記モータに接続された前記アームの回転速度推定値と前記減速機のねじれ推定値および前記モータの回転速度を前記フィードバック制御ループに付加させる状態フィードバック値を出力する状態フィードバックブロックを備えた前記モータの動作を制御する多関節型ロボットの制御方法であって、前記多関節型ロボットの各姿勢における前記回転軸を中心としたアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する比の関数とする姿勢ゲインを乗じた状態フィードバック値をモータ電流指令から減算して新たなモータ電流指令とするものである。
また、本発明の多関節型ロボットの制御方法は、上記に加えて、姿勢ゲインは、回転軸を中心としたアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比の1次関数として決定されるものである。
また、本発明の多関節型ロボットの制御方法は、上記に加えて、姿勢ゲインは1以下であり、多関節型ロボットの各姿勢におけるアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比が0から第1の所定値までは0であり、前記第1の所定値から第2の所定値までは直線状に増加する一次関数であらわされ、前記第2の所定値から1までは1としたものである。
また、本発明の多関節型ロボットの制御方法は、上記に加えて、アームには負荷の装着と離脱が可能であり、前記アームへの負荷の装着と離脱も動作プログラムに含まれ、負荷に応じた状態フィードバックブロックを複数備え、前記動作プログラムによる動作中にアームへの負荷の装着または離脱が実行されて負荷変動が発生する負荷変動時に、負荷に応じて状態フィードバックブロックを切り替えるものである。
以上のように、本発明の多関節型ロボットの制御方法においては、ロボットアームが伸長した姿勢で大きくなる減速機バネ成分による振動の抑制と、アーム縮退時のパラメータ不一致に起因する振動増加の防止を実現できる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、主に図1と図10と図11を用いて説明する。なお、上述した背景技術や発明が解決しようとする課題で説明した図2から図9と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図1は多関節型ロボットの制御方法における1つの軸についての位置制御ループを示す図である。背景技術で説明した図8と異なる主な点は、状態FB比率ゲインRK1(48)、RK2(58)のそれぞれの出力に、姿勢ゲインJ1_KL1(71)、J1_KL2(72)を乗じるようにした点である。
図1において、状態FB比率ゲインRK1(48)、RK2(58)のそれぞれの出力に、姿勢ゲインJ1_KL1(71)、J1_KL2(72)を乗じ、これらを速度制御ブロック31より生成された電流指令icom0(32)から減じて、新たに電流指令icom(13)を生成する。
なお、姿勢ゲインJ1_KL1(71)、J1_KL2(72)は、以下の手順で定める。
上述の背景技術で記した(数4)〜(数7)にわたって状態オブザーバ、状態FBのパラメータを求めるが、ここで用いられる負荷イナーシャJLは、図7(b)に示すような伸長姿勢の近傍の値を用いている。
一方、アームが縮退すると、負荷イナーシャJLが小さくなり、伸長姿勢で求めた状態オブザーバ、状態FBのパラメータの誤差が大きくなるが、反面状態FBによる振動抑制の必要性は低くなるので、負荷イナーシャJLが小さくなるにつれて状態FBを効かせないようにすれば良い。
姿勢ゲインJ1_KL1(71)、J1_KL2(72)は、アームに取り付けられる負荷に応じて状態オブザーバと状態FBのパラメータ計算に用いられた負荷イナーシャJLの最大値JLMAXに対する各姿勢での負荷イナーシャJLのイナーシャ比の1次関数として定義する。
ただし、負荷イナーシャJLを動力学演算等で正確に求めようとすると、演算時間が長くなる。そこで、負荷イナーシャJLの大きさは一般的に質量あるいは回転中心からの距離の2乗に比例するので、アーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比Px(x=1,2,3)を求め、イナーシャ比の代用とする。
図10はイナーシャ比を求める概念を示すための図であり、6軸の多関節ロボットにおける基本3軸と手首3軸のうちの主に基本3軸を示している。図10において、第1軸は第1アーム(1)が回動する回転軸、第2軸は第2アーム(9)が回動する回転軸、第3軸は第3アーム(73)が回動する回転軸である。そして、L1は第1軸から第2軸までの水平距離であり、L2は第2軸から第3軸までの距離であり、L3は第3軸から第3アーム(73)の先端までの距離である。また、R1は多関節ロボットがある姿勢をとっている時の第1軸から第3アーム(73)の先端までの水平距離、すなわち、第1軸の回転半径であり、R1の最大値であるR1MAXはL1+L2+L3となる。また、R2は第2軸から第3アーム(73)の先端までの距離、すなわち、第2軸の回転半径であり、R2の最大値であるR2MAXはL2+L3となる。また、R3は第3軸から第3アーム(73)の先端までの距離、すなわち、第3軸の回転半径であり、R3の最大値であるR3MAXはL3となる。各軸において図10に基づいてアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比Px(x=1,2,3)をあらわすと(数10)のようになる。
Figure 2009028865
図11は、第1軸における回転半径2乗比P1と姿勢ゲインJ1_KL1(71)の1次関数の関係を示した例であり、数式で表すと以下の様になる。
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
上記(数11)の(式13)を用いて姿勢ゲインJ1_KL1(71)を計算し、状態オブザーバによるフィードバックに乗じる。
なお、姿勢ゲインJ1_KL2(72)も姿勢ゲインJ1_KL1(71)と同様であり、下記の(数12)のように表される。
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
また、第2軸および第3軸の姿勢ゲインについても(数11)や(数12)で表した第1軸と同様であり、第2軸については下記の(数13)と(数14)のように表され、第3軸については下記の(数15)と(数16)のように表される。
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
Figure 2009028865
ただし、
Figure 2009028865
ここで、上記した、a11,b11,c11,a21,b21,c21と、a21,b21,c21,a22,b22,c22と、a31,b31,c31,a32,b32,c32とは、例えば実験等により予め求めておくことができる。
また、多関節型ロボットの各姿勢におけるR1やR2は、多関節型ロボットの動作プログラムから求めることができ、あるいは、第1アーム(1),第2アーム(9),第3アーム(73)の形状寸法情報は予めわかっているので、これらアームの形状寸法情報と図10に示す角度情報θ2やθ3とから求めることができる。
上記の構成をとることにより、振動抑制の必要がないアーム縮退時には、姿勢ゲインKLxが0となり、状態オブザーバのフィードバックは無効となる。そして、速度制御ブロックより生成された電流指令icom0(32)がそのまま電流指令icom(13)として用いられる。その結果、パラメータ誤差による悪影響を防止できる。
ところで、回転半径が小さく振動への影響が少ない手首3軸の動作を無視した場合、第3軸の回転半径R3は姿勢によらず一定で、イナーシャ変動は無く、回転半径2乗比P3も一定(=1)である。アーム縮体姿勢で第2軸の回転半径2乗比P2が0に近づいた場合でもP3=1であり、つまり第2軸の姿勢ゲインJ2_KL1が0に近づいた場合でも第3軸の姿勢ゲインJ3_KL1=1であり、状態FB量に大きな差が発生する。
第3軸の回転中心は第2アーム(9)の先端にあり、第2アーム(9)が動作すると第3軸の回転中心が移動する従属関係にあるので、出来るだけ制御系の応答は一致させたい。図12は、ロボット設置面に水平に置かれた直方体のワーク(111)を、ロボット先端に装着した溶接トーチ(110)で、図12(a)の姿勢から図12(b)の姿勢へロボットが縮対する方向(114)に等速で溶接する例を示している。この時、第2軸(102)は時計方向(112)に回転し、第3軸(103)は反時計方向(113)に回転する。第2軸(102)の動作により、第3軸(103)の回転中心はアーム先端動作方向(114)へ動かされると同時に上方へ動作させられる。溶接トーチ(110)をワーク(111)上で並行に等速動作させるためには、第2軸(102)と第3軸(103)を同期して制御する必要がある。しかし、第2軸(102)と第3軸(103)の角度指令θcomが上記軌跡を描くように正しく出力されたとしても、位置制御ループの応答性が軸毎で異なると実際の位置であるθMの追従遅れにも差が生じ、軌跡にズレが生じることとなる。例えば第2軸(102)の応答性が第3軸(103)より速ければ、第2軸(102)の回転動作はアーム全体を持ち上げる方向(第3軸を持ち上げる方向)へより速く動作させるので、溶接トーチ(110)先端は上向き(115)に軌跡がずれることになる。
上記の、軸間の応答差による軌跡ズレを抑制するために、出来るだけ軸間の応答性を一致させる手段の一例として、(数7)の式(8)、(9)で速度指令ωcom(23)からモータ速度ωM(11)までの伝達関数の極を指定する方式を背景技術で示したが、第2軸(102)の状態FB量だけが0に近づき、状態FBが無い時の伝達関数に戻ると第3軸(103)との応答差が広がる可能性が有るので、第3軸(103)の姿勢ゲインとして第2軸のJ2_KL1を用いても良い。
以上のように、本実施の形態の関節型ロボットの制御方法によれば、減速機のバネ成分による振動が発生しやすい姿勢で、アームに取り付けられる複数の負荷に対応して予め調整されたパラメータを持つ複数の状態オブザーバ並びに状態FBの演算を同時に行い、アームに取り付けられる負荷情報に基づいて、それぞれの状態FB値のモータ電流指令への加算量の調整に関し、各姿勢におけるアーム回転半径の最大値に対する2乗比の1次関数として定義する姿勢ゲインを乗じることを特徴とする。これにより、姿勢ゲインは伸長時には1、縮退時には0に近づくので、各姿勢で最適な状態FB量を得ることが出来、リアルタイムで負荷イナーシャ、状態オブザーバ、状態FBのパラメータ演算を行う必要はなく、ロボットの姿勢変化に対応した十分な振動抑制効果が得られる状態で、演算時間を削減することができる。
本発明の多関節型ロボットの制御方法は、従来のオブザーバ制御演算装置法が有していた、負荷イナーシャ、状態オブザーバ、状態FBのパラメータ演算に要する時間を、十分な振動抑制効果が得られる状態でさらに削減することができ、溶接や力制御のアプリケーションに適応した制御や、センサレス衝突検出に代表される安全性を高める制御等にも演算時間を割くことができ、産業上有用である。
本発明の実施の形態における位置制御ループを示すブロック図 ロボットの減速機のバネ成分を示す概略構成図 ロボットの減速機のバネ成分をモデル化したブロック図 1つ目の従来技術における位置制御ループを示すブロック図 1つ目の従来技術におけるオブザーバ制御を用いた位置制御ループを示すブロック図 状態オブザーバの構成を示すブロック図 ロボット姿勢とアーム先端振動の関係を示す概略図 2つ目の従来技術における位置制御ループを示すブロック図 2つ目の従来技術における状態FB比率ゲインの切替方法を示す図 本発明の実施の形態におけるアーム回転半径を示す概略図 本発明の実施の形態における回転半径2乗比P1と姿勢ゲインJ1_KL1の関係を示す図 第2軸と第3軸の応答差による軌跡ズレを説明するための概略図
符号の説明
1 第1アーム(モータ取り付けベース)
2 モータ
3 減速機
4 ベアリング
5 モータロータ
6 減速機1次側
7 減速機2次側
8 減速機バネ
9 第2アーム(負荷)
10 モータ回転軸
11 モータ回転速度ωM
12 負荷回転速度ωL
13 電流指令icom
14 Kt(モータトルク定数)
15 減速比逆数(1/Rg)
16 減速比逆数(1/Rg)
17 モータ伝達関数
18 負荷伝達関数
19 バネ定数 Ks
20 減速機ねじれ角 θs
21 積分要素
22 Td(負荷(第2アーム)に加わる外力)
23 モータ位置指令 θcom
24 モータ位置フィードバックθM
25 積分要素
26 位置比例ゲイン KPP
27 位置制御ブロック
28 モータ速度指令 ωcom
29 速度比例ゲイン KP
30 速度積分ゲイン KI
31 速度制御ブロック
32 モータ電流指令 icom0(速度制御ブロック出力)
33 状態オブザーバ
34 負荷速度推定値 ωLO
35 減速機ねじれ角推定値 θso
36 ゲイン(状態FBゲイン1 Kf1)
37 ゲイン(状態FBゲイン2 Kf2)
38 ゲイン(状態FBゲイン3 Kf3)
39 状態FBブロック
40 状態FB量 SFB
41 状態オブザーバブロック1
42 モータ回転速度推定値 ωMO 1
43 減速機ねじれ角推定値 θso1
44 状態FBゲイン1 Kf11
45 状態FBゲイン2 Kf21
46 状態FBゲイン3 Kf31
47 状態FBブロック1
48 状態FB比率ゲインRK1
49 状態FB量 SFB1
51 状態オブザーバブロック2
52 モータ回転速度推定値 ωMO 2
53 減速機ねじれ角推定値 θso2
54 状態FBゲイン1 Kf12
55 状態FBゲイン2 Kf22
56 状態FBゲイン3 Kf32
57 状態FBブロック2
58 状態FB比率ゲインRK2
59 状態FB量 SFB2
61〜70 状態オブザーバパラメータ
71 J1_KL1(姿勢ゲイン)
72 J1_KL2(姿勢ゲイン)
73 第3アーム

Claims (4)

  1. 減速機を介してモータで駆動され回転軸を中心に回転するアームを複数有し、予め記憶された動作プログラムによって動作し、前記モータの電流および回転位置情報を基に前記モータのフィードバック制御ループを構成し、状態オブザーバで推定した前記モータに接続された前記アームの回転速度推定値と前記減速機のねじれ推定値および前記モータの回転速度を前記フィードバック制御ループに付加させる状態フィードバック値を出力する状態フィードバックブロックを備えた前記モータの動作を制御する多関節型ロボットの制御方法であって、
    前記多関節型ロボットの各姿勢における前記回転軸を中心としたアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する比の関数とする姿勢ゲインを乗じた状態フィードバック値をモータ電流指令から減算して新たなモータ電流指令とする多関節型ロボットの制御方法。
  2. 姿勢ゲインは、回転軸を中心としたアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比の1次関数として決定される請求項1記載の多関節型ロボットの制御方法。
  3. 姿勢ゲインは1以下であり、多関節型ロボットの各姿勢におけるアーム回転半径のアーム回転半径最大値に対する2乗比が0から第1の所定値までは0であり、前記第1の所定値から第2の所定値までは直線状に増加する一次関数であらわされ、前記第2の所定値から1までは1である請求項2記載の多関節型ロボットの制御方法。
  4. アームには負荷の装着と離脱が可能であり、前記アームへの負荷の装着と離脱も動作プログラムに含まれ、負荷に応じた状態フィードバックブロックを複数備え、前記動作プログラムによる動作中に前記アームへの負荷の装着または離脱が実行されて負荷変動が発生する負荷変動時に、負荷に応じて状態フィードバックブロックを切り替える請求項1から3のいずれか1項に記載の多関節型ロボットの制御方法。
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