JP2009024867A - Disc brake with parking mechanism - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、ブレーキペダルの踏み込みに基づいて作動するサービスブレーキに使用するピストンを、パーキングレバーの操作に基づいて機械的に押す事により制動力を発揮させるパーキング機構を組み込んだ、パーキング機構付ディスクブレーキの改良に関する。具体的には、シリンダボディ内に、アジャスト機構を構成するスピンドル或はスリーブが回転する事を阻止する為の加工を施す必要がない構造を実現して、パーキング機構付ディスクブレーキの製造コストの低減を図る事を意図するものである。又、必要に応じて、上記スピンドルとスリーブとのねじ構造部分に存在する空気を、効果的に排出できる構造の実現を意図したものである。 The present invention relates to a disc brake with a parking mechanism that incorporates a parking mechanism that exerts a braking force by mechanically pushing a piston used for a service brake that operates based on depression of a brake pedal based on an operation of a parking lever. Regarding improvements. Specifically, the cylinder body has a structure that does not need to be processed to prevent the spindle or sleeve constituting the adjustment mechanism from rotating, thereby reducing the manufacturing cost of the disc brake with the parking mechanism. It is intended to plan. Further, it is intended to realize a structure capable of effectively discharging the air existing in the screw structure portion of the spindle and sleeve as required.
上述の様なパーキング機構付ディスクブレーキとして、例えば特許文献1〜3に記載された構造のものが知られている。図31は、このうちの特許文献1に記載された構造を示している。このパーキング機構付ディスクブレーキ1は、シリンダボディであるキャリパ2に設けた保持孔3内に、カムシャフト4を回転自在に支持している。この保持孔3は、上記キャリパ2のシリンダ9の中心軸上に形成されている。従って、上記カムシャフト4の中心軸も、このシリンダ9の中心軸と一致する。又、この保持孔3のこのカムシャフト4が貫通する側の端面に固定側カム板5を、その中心部をこのカムシャフト4を貫通させると共に、上記キャリパ2に対する回転を阻止した状態で支持している。又、上記固定側カム板5と、上記カムシャフト4の中間部に設けた駆動側カム板6との間に、複数の転動体7を配置している。パーキングブレーキ機構の作動時には、上記カムシャフト4を回転駆動する事により、上記駆動側カム板6を上記固定側カム板5に対して相対回転させる。そして、上記各転動体7と、これら両カム板5、6の互い対向する側面にそれぞれ形成したカム面との係合に基づいて、上記カムシャフト4を軸方向に変位させる。このカムシャフト4の動きは、アジャスト機構8を介して、上記シリンダ9に嵌装したピストン10に伝達自在とされる。
As a disc brake with a parking mechanism as described above, for example, a structure described in
又、上記アジャスト機構8は、パッドの摩耗状態に応じて上記ピストン10の軸方向位置を調整可能とするもので、それぞれの中心軸が上記シリンダ9の中心軸と一致し、互いにねじ係合する、スピンドル11とスリーブ12とを備える。このうちのスピンドル11は、外周面に雄ねじ部13を有し、上記キャリパ2内に回転自在に支持している。又、上記スリーブ12は、内周面に雌ねじ部14を有し、上記キャリパ2内に回転不能に支持している。この為に、上記カムシャフト4及び上記スリーブ12の周囲に配置した筒状部材15を、上記固定側カム板5に回転不能に支持すると共に、上記スリーブ12の一部を上記筒状部材15の一部に係合している。上記固定側カム板5は、片端面の一部に形成した凸部16を上記保持孔3の端面に形成した凹部17に係合させる事により、上記キャリパ2に対する回転を阻止している。従って、上記スリーブ12も、このキャリパ2に対する回転を阻止される。そして、このスリーブ12に対し上記スピンドル11を回転させる事により、上記雄ねじ部13と雌ねじ部14との係合に基づいて、このスピンドル11が軸方向に変位し、上記ピストン10の軸方向位置を調整する。
The
又、図32〜33は、前記特許文献2に記載されたパーキング機構付ディスクブレーキ1aを示している。この特許文献2に記載された構造の場合、上述の特許文献1に記載された構造と異なり、保持孔3aをシリンダ9aの中心軸の方向に対し直角方向に形成している。そして、この保持孔3a内に、カムシャフトを、自身の中心軸を中心とする回転を可能として支持している。このカムシャフトの先端部には、このカムシャフトの回転に基づいて、上記シリンダ9aの軸方向に突出するカムロッド18を設けている。又、上記保持孔3aとこのシリンダ9aとを仕切る隔壁19に設けた通孔20には、中継部材21を、油密に貫通した状態で設けている。この中継部材21の基端面には、上記カムロッド18の先端部と係合する凹部22を形成している。そして、このカムロッド18の動きを、上記中継部材21及びアジャスト機構8aを介して、ピストン10aに伝達自在としている。
32 to 33 show a
上述の特許文献2に記載された構造の場合、アジャスト機構8aを構成するスリーブ12aをキャリパ2aに対し回転自在に支持し、同じくスピンドル11aをこのキャリパ2aに対する回転を阻止した状態で支持している。この為に、このスピンドル11aの基端部に形成した係合凸部23、23を、上記キャリパ2aの内周面の一部に形成した係合凹部24、24に係合させている。
In the case of the structure described in Patent Document 2 described above, the
上記特許文献1、2に記載された何れの構造の場合も、図示しないパーキングレバーを操作する事により、カムシャフト4を回転させ、アジャスト機構8、8aを介してピストン10、10aを変位させる。そして、このピストン10、10aにより、図示しないインナ側のパッドを押圧し、このインナ側のパッドを、やはり図示しないロータのインナ側の側面に向け押し付ける。この押し付けの反作用としてキャリパ2、2aが、図示しないサポートに対しインナ側に変位するので、これらキャリパ2、2aに設けたキャリパ爪を介して、図示しないアウタ側のパッドを、上記ロータのアウタ側の側面に向け押し付ける。この結果、このロータが一対のパッドにより、軸方向両側から強く挟持されるので、停車状態維持の為に必要な制動力を得られる。
In any of the structures described in
上述の特許文献1、2に記載された構造の場合、アジャスト機構8、8aを構成する、スリーブ12(特許文献1に記載された構造の場合)、或は、スピンドル11a(特許文献2に記載された構造の場合)の回り止めを図るべく、キャリパ2、2a内の一部に凹部17或は係合凹部24を形成している。これらキャリパ2、2a内に各凹部17、24を形成する作業は面倒であり、加工の際にばりが発生し易い。又、この様に発生したばりを除去する作業は面倒である。この為、上記キャリパ2、2a内に上記各凹部17、24を形成する構造とした場合、コストが高くなる。
In the case of the structure described in
又、パーキング機構付ディスクブレーキの場合、パーキング機構を構成するカムシャフトに固定したパーキングレバーが、このカムシャフトから抜け出たり、或は、シリンダボディの保持孔から、カムシャフトと共に抜け出る事を防止する必要がある。例えば、特許文献4、5には、図34、35に示す様な構造が記載されている。これら図34、35に示した構造の場合、リターンスプリング57の一端を係止する為のピン58により、パーキングレバー59の抜け止めも図っている。即ち、このパーキングレバー59が、図34の手前側、図35の上側に抜け出る傾向となった場合に、このパーキングレバー59の一部と、上記ピン58の基端部に設けたフランジ部60とが係合する。これにより、上記パーキングレバー59が抜け出る事を防止している。
In the case of a disc brake with a parking mechanism, it is necessary to prevent the parking lever fixed to the camshaft constituting the parking mechanism from coming out of the camshaft or from the cylinder body holding hole with the camshaft. There is. For example,
但し、上述の図34、35に示した構造の場合、ピン58をシリンダボディ61、61aの一部に固定する必要がある。この為に、上記図34、35に示した構造の場合、上記ピン58を上記シリンダボディ61、61aの一部に圧入固定している。例えば、このピン58が不用意に抜け出ない様にする為に、上記シリンダボディ61、61aの一部に、上記ピン58の圧入部の直径よりも僅かに小さな直径を有する孔を形成すると共に、このピン58の圧入部には、ローレット加工を施す。この様に、シリンダボディ61、61aの一部に孔を形成したり、ピン58にローレット加工を施す事は、加工工程が増え、パーキング機構付ディスクブレーキの製造コスト増大の原因となる。
However, in the case of the structure shown in FIGS. 34 and 35 described above, the
又、特許文献6には、図示は省略するが、シリンダボディを分割した構造が記載されている。この特許文献6に記載された構造の場合、シリンダボディのうち、基端部にパーキングレバーを固定するカムシャフトを配置する為の保持孔を有する部分と、パッドを油圧により押圧するピストンを配置する為のシリンダを有する部分とに分かれている。そして、これら両部分をボルトにより固定している。
又、上述した様なパーキング機構付ディスクブレーキの場合、パーキングレバーの引き力(ケーブルを引く事によりパーキングレバーを回動させる力)に対する反力を支承する為のブラケットを設ける。この様なブラケットをシリンダボディに固定する際に、従来は、例えば、図36(A)(B)に示す様に、ブラケット62の先端部をシリンダボディ61bの一部に突設した突き当て面63に突き当てていた。即ち、上記ブラケット62をボルト64により上記シリンダボディ61bに固定する際に、このボルト64の締め付け作業を、上記ブラケット62の先端部を上記突き当て面63に突き当てつつ行ない、上記ボルト64の締め付けに伴い上記ブラケット62が回動する事を防止していた。
In the case of a disc brake with a parking mechanism as described above, a bracket is provided for supporting a reaction force against the pulling force of the parking lever (the force that rotates the parking lever by pulling the cable). When fixing such a bracket to the cylinder body, conventionally, for example, as shown in FIGS. 36 (A) and 36 (B), the abutting surface in which the tip end portion of the
上述の図36(A)(B)に示した構造のうち、図36(A)の構造の場合、ボルト64の締め付け方向と、上記ブラケット62にパーキングレバー59aの引き力に対する反力Fが作用する方向とが同一方向{図36(A)の時計方向}である為、パーキング作動時に上記ボルト64が緩む事はない。これに対して、図36(B)の構造の場合、ボルト64の締め付け方向が、図36(B)の時計方向であるのに対し、ブラケット62にパーキングレバー59aの引き力に対する反力Fが作用する方向は、図36(B)の反時計方向となる。この為、パーキング作動時にこのブラケット62に上記ボルト64が緩む方向に力が作用する。これにより、ボルト64が外れたりする事はないが、この様にボルト64が緩む方向に力が作用する事は好ましくない。又、上記図36に示した構造の場合、ブラケット62をシリンダボディ61bに対して、1本のボルト64のみで固定している。この為、このブラケット62から作用する荷重がこのボルト64による結合部に集中する。従って、この様な荷重の集中により上記ブラケット62の基端部で上記ボルト64による結合部に対応する部分が変形しない様に、このブラケット62の板厚を大きくする必要がある。このブラケット62の板厚を大きくする事は、製造コストが増大するばかりでなく、パーキング機構付ディスクブレーキの重量増大を招く。
Among the structures shown in FIGS. 36 (A) and 36 (B), in the case of the structure shown in FIG. 36 (A), the tightening direction of the
本発明は、上述の様な事情に鑑み、シリンダボディ内に、アジャスト機構を構成するスピンドル或はスリーブが回転する事を阻止する為の加工を施す必要がない構造を実現して、パーキング機構付ディスクブレーキの製造コストの低減を図るべく発明したものである。
更に本発明は、必要に応じて、上記スピンドルとスリーブとのねじ構造部分に存在する空気を、効果的に排出できる構造を実現するものである。
In view of the circumstances as described above, the present invention realizes a structure in which there is no need to perform processing for preventing the spindle or sleeve constituting the adjustment mechanism from rotating in the cylinder body, and the parking mechanism is provided. The invention was invented to reduce the manufacturing cost of the disc brake.
Furthermore, the present invention realizes a structure capable of effectively discharging air existing in the screw structure portion of the spindle and sleeve as required.
本発明のパーキング機構付ディスクブレーキは、アジャスト機構と、保持孔とを備える。
このうちのアジャスト機構は、互いにねじ係合し、シリンダボディ内に設けたシリンダの中心軸を中心として相対回転する事により、このシリンダの軸方向に相対変位する、スピンドルとスリーブとを備えるものである。又、これらスピンドルとスリーブとのうちの何れか一方の部材が、上記シリンダボディに対して回転しないものである。そして、上記シリンダに嵌装したピストンの軸方向の位置を、パッドの摩耗状態に応じて調整可能としている。
又、上記保持孔は、上記シリンダボディの上記パッドが存在する側と反対側の端部に、上記シリンダの中心軸の方向に対し直角方向に形成されている。
The disc brake with a parking mechanism of the present invention includes an adjustment mechanism and a holding hole.
The adjusting mechanism includes a spindle and a sleeve that engage with each other and rotate relative to each other about the center axis of the cylinder provided in the cylinder body, thereby being relatively displaced in the axial direction of the cylinder. is there. In addition, any one member of the spindle and the sleeve does not rotate with respect to the cylinder body. The axial position of the piston fitted to the cylinder can be adjusted according to the wear state of the pad.
The holding hole is formed in a direction perpendicular to the direction of the central axis of the cylinder at the end of the cylinder body opposite to the side where the pad exists.
特に、本発明のパーキング機構付ディスクブレーキに於いては、上記保持孔内に、上記シリンダの中心軸を中心とした回転を不能に内嵌固定されたライナ部材を有する。そして、このライナ部材に、上記一方の部材の端部を直接又は中継部材を介して、この一方の部材がこのライナ部材に対して回転する事を阻止した状態で係合する事のみにより、この一方の部材の上記シリンダボディに対する回転を阻止している。 In particular, the disc brake with a parking mechanism according to the present invention has a liner member fitted and fixed in the holding hole so as not to rotate around the central axis of the cylinder. Then, only by engaging the end of the one member directly or via a relay member with the liner member while preventing the one member from rotating relative to the liner member, One member is prevented from rotating with respect to the cylinder body.
具体的には、例えば、請求項2に記載した様に、中継部材を介して上記一方の部材の回転を阻止する。この中継部材は、上記保持孔とシリンダとを仕切る隔壁に設けた通孔を油密に貫通した状態で設けられている。又、この保持孔内に配置されるカムシャフトの回転に伴い、上記シリンダの軸方向に変位し、このカムシャフトの動きを上記アジャスト機構を介して上記ピストンに伝達するものである。そして、上記保持孔内に内嵌固定したライナ部材に上記中継部材の一端部を、このライナ部材に対する回転を阻止した状態で係合すると共に、上記一方の部材の端部を上記中継部材の他端部に、この中継部材に対する回転を阻止した状態で係合している。 Specifically, for example, as described in claim 2, the rotation of the one member is prevented via a relay member. The relay member is provided in a state of oil-tightly penetrating a through hole provided in a partition wall that partitions the holding hole and the cylinder. Further, as the camshaft disposed in the holding hole rotates, the camshaft is displaced in the axial direction of the cylinder, and the movement of the camshaft is transmitted to the piston via the adjusting mechanism. Then, one end of the relay member is engaged with the liner member fitted and fixed in the holding hole in a state in which rotation with respect to the liner member is prevented, and the end of the one member is connected to the other of the relay member. The end portion is engaged in a state in which the rotation with respect to the relay member is prevented.
又、上述の請求項2に記載した構造で、請求項3に記載した様に、上記一方の部材が中空状に形成したスリーブである場合には、次の様に構成する事が好ましい。
即ち、このスリーブの端部に凹部を設ける。
又、この凹部の内面のうちの互いに対向する一対の側面を、上記スリーブの中心軸の方向に直角方向に存在して互いに平行である、一対の平坦面とする。
又、上記凹部内に、上記スリーブを貫通する貫通孔の一端部を開口させる。
更に、この凹部の一部を、車両に対し組み付けた状態で鉛直方向上側に開口させる。
Further, in the structure described in claim 2 described above, when the one member is a sleeve formed in a hollow shape as described in claim 3, the following configuration is preferable.
That is, a recess is provided at the end of the sleeve.
Further, a pair of opposite side surfaces of the inner surface of the concave portion are a pair of flat surfaces that exist in a direction perpendicular to the direction of the central axis of the sleeve and are parallel to each other.
Also, one end of a through hole penetrating the sleeve is opened in the recess.
Further, a part of the recess is opened upward in the vertical direction in a state where it is assembled to the vehicle.
又、より好ましくは、請求項4に記載した様に、上記スリーブの端部と上記中継部材の他端部とが係合した状態で、このスリーブの貫通孔が開口した凹部の底面と、この底面と対向する上記中継部材の端面の一部との間に、隙間を存在させる。
More preferably, as described in
又、請求項1に記載した発明で、一方の部材の端部を直接、ライナ部材に係合する構造として、例えば、請求項5に記載した構造がある。
この請求項5に記載した構造の場合、上記一方の部材をスピンドルとしている。そして、このスピンドルの端部を上記ライナ部材に直接、このライナ部材に対して回転する事を阻止した状態で係合している。尚、この様なスピンドルは、上記保持孔内に配置されるカムシャフトの回転に伴い上記シリンダの軸方向に変位し、このカムシャフトの動きを上記アジャスト機構を構成するスリーブを介して上記ピストンに伝達する。
Further, in the invention described in
In the case of the structure described in
又、上述の各発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、上記ライナ部材を、筒状に形成され、側方に上記一方の部材の端部又は上記中継部材の一端部と係合する非円形の開口部を有するものとする。
Preferably, when carrying out each of the above-described inventions, preferably, as described in
或は、請求項7に記載した様に、上記ライナ部材を、上記保持孔の軸方向に関して両端部に、この軸方向と直角に配置された1対の平板部を有するものとする。そして、上記一方の部材の端部又は上記中継部材の一端部を、これら両平板部同士の間に進入させた状態で、これら一方の部材の端部又は中継部材の一端部がこれら両平板部の内面にそれぞれ係合する。
又、上述の請求項7に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項8に記載した様に、上記ライナ部材を、1対の平板部と、これら両平板部同士を連結する連結部とから構成する。
Alternatively, as described in
In carrying out the invention described in
上述の様に構成する本発明の場合には、アジャスト機構を構成するスピンドルとスリーブとのうちの一方の部材が、シリンダボディに対し回転する事を阻止する為の加工を、このシリンダボディ内に施す必要がない。
即ち、本発明の場合、シリンダの中心軸の方向に対し直角な方向に形成した保持孔内に内嵌固定したライナ部材は、このシリンダの中心軸を中心としては回転しない。従って、上記一方の部材の端部を、直接又は中継部材を介して、この一方の部材がこのライナ部材に対して回転を阻止した状態で係合すれば、この構造のみにより、この一方の部材の上記シリンダボディに対する回転を阻止できる。この為、この一方の部材の回転を阻止する為の凹部等の構造を、上記シリンダボディに設ける必要がなく、この凹部等の加工に伴ってばりが発生する事もない。
この結果、パーキング機構付ディスクブレーキの製造コストの低減を図れる。
In the case of the present invention configured as described above, a process for preventing one of the spindle and sleeve constituting the adjusting mechanism from rotating relative to the cylinder body is performed in the cylinder body. There is no need to apply.
That is, in the case of the present invention, the liner member fitted and fixed in a holding hole formed in a direction perpendicular to the direction of the central axis of the cylinder does not rotate around the central axis of the cylinder. Therefore, if the end of the one member is engaged directly or via a relay member in a state in which the one member is prevented from rotating with respect to the liner member, this one member can be obtained only by this structure. Can be prevented from rotating with respect to the cylinder body. For this reason, it is not necessary to provide a structure such as a recess for preventing the rotation of the one member in the cylinder body, and no burrs are generated when the recess is processed.
As a result, the manufacturing cost of the disc brake with a parking mechanism can be reduced.
又、請求項3、4に記載した発明の場合には、上記スピンドルとスリーブとのねじ構造部分に存在する空気を、効果的に排出できる。
即ち、上記ねじ構造部分に存在する空気の一部は、上記スリーブの貫通孔を通じて、この貫通孔が開口する凹部に到達する。請求項2に記載した発明の場合、この凹部の一部は、車両への組み付け状態で鉛直方向上側に開口している為、上記空気を効果的に排出できる。
又、請求項4に記載した発明の場合、上記スリーブと上記中継部材とを組み合わせた状態で、上記凹部の底面とこの中継部材の端面との間に隙間を設けている為、この隙間を通じて、上記スリーブの貫通孔内に存在する空気がより排出され易くなる。
更に、請求項3に記載した発明の場合、スリーブの端面に形成した凹部の一対の側面を、互いに平行な平坦面としている為、これら両側面の加工を行ない易い。
Further, in the case of the invention described in
That is, a part of the air existing in the screw structure portion reaches the concave portion where the through hole is opened through the through hole of the sleeve. In the case of the invention described in claim 2, since a part of the recess is opened to the upper side in the vertical direction in the assembled state to the vehicle, the air can be effectively discharged.
Further, in the case of the invention described in
Further, in the case of the invention described in claim 3, since the pair of side surfaces of the concave portion formed on the end surface of the sleeve are flat surfaces parallel to each other, these both side surfaces can be easily processed.
[実施の形態の第1例]
図1〜10は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例は、本発明を、フローティングキャリパ型のディスクブレーキに適用した場合に就いて示している。本例の場合、シリンダボディであるキャリパ2bのインナ側端部に、保持孔3bを、このキャリパ2b内に設けたシリンダ9bの中心軸の方向(図1の左右方向)に対し直角方向(図1の上下方向)に形成している。この保持孔3b内には、カムシャフト4aを、自身の中心軸を中心とする回転及び上記シリンダ9bに嵌装したピストン10bの軸方向(図1の左右方向)の変位を可能として支持している。即ち、上記カムシャフト4aの中心軸は、パーキング機構の非作動時には、インナ寄りの鎖線α位置に存在するが、作動時には、アウタ寄りの鎖線β位置に移動する。上記カムシャフト4aの基端部で上記保持孔3b外に突出した部分には、パーキングレバー25の基端部を、圧入により結合固定している。尚、このパーキングレバー25と上記カムシャフト4aとの結合部の構造として、セレーション結合、ねじ結合等も挙げられる。
[First example of embodiment]
FIGS. 1-10 has shown the 1st example of embodiment of this invention corresponding to Claims 1-4, 6. FIG. In this example, the present invention is applied to a floating caliper type disc brake. In the case of this example, a holding
パーキング機構の作動時には、上記パーキングレバー25を、リターンスプリング26の弾力に抗して回転させる。すると、上記カムシャフト4aが、回転しながら、後述するカム機構27a、27bの働きにより、上記鎖線α位置から鎖線β位置に平行移動しつつ、次述する中継部材21aを上記ピストン10bに向け押圧する。尚、上記保持孔3bの開口部と上記カムシャフト4aの中間部基端寄り部分の外周面との間には、ゴム等の弾性材製のブーツ28を装着して、上記カムシャフト4aの平行移動を許容しつつ、上記保持孔3b内への異物進入防止を図っている。
When the parking mechanism is operated, the
又、上記中継部材21aを、上記保持孔3bと上記シリンダ9bとを仕切る隔壁19aに設けた通孔20aを挿通した状態で設けている。この通孔20aの内周面と上記中継部材21aの外周面との間にはOリング29を設けて、上記シリンダ9b内に導入された圧油の漏洩を防止しつつ、上記中継部材21aの、上記ピストン10aの軸方向の変位を可能にしている。そして、上記パーキングレバー25の操作に基づいて回転する上記カムシャフト4aの動きを、上記両カム機構27a、27bの働きにより上記中継部材21a及びアジャスト機構8bを介して上記ピストン10bに伝達し、このピストン10bの軸方向の動きに基づき、1対のパッド30a、30bを車輪と共に回転するロータ31の側面に向け押し付けて制動力を生じさせる様にしている。
The
上記アジャスト機構8bは、スピンドル11b及びスリーブ12bを備える。これらスピンドル11b及びスリーブ12bは、互いにねじ係合し、前記キャリパ2b内に設けたシリンダ9bの中心軸を中心として相対回転する事により、上記スピンドル11bが上記スリーブ12bに対し上記シリンダ9bの軸方向に変位する。この際、このスリーブ12bは、上記キャリパ2bに対して回転しない。そして、上記シリンダ9bに嵌装したピストン10bの軸方向の位置を、上記両パッド30a、30bの摩耗状態に応じて調整可能としている。本例の場合、上記スリーブ12bが、特許請求の範囲に記載した「一方の部材」に相当する。尚、この様なアジャスト機構8bの構成及び作用は、例えば、前述の特許文献1、2に記載されている様な周知の構造と同様であり、本発明の要旨でもない為、詳しい説明は省略する。
The
上記両カム機構27a、27bを構成する為に、上記カムシャフト4aの先端寄り部分で上記保持孔3bの奥半部に存在する部分の外周面の直径方向反対側2個所位置に、それぞれカム面32a、32bを形成している。これら両カム面32a、32bはそれぞれ、上記カムシャフト4aの外周面の周方向に関して同方向に向かう程(図2で時計方向に進む程)深さが漸次小さくなる形状としている。そして、上記両カム面32a、32bと、上記保持孔3bに内嵌固定したライナ部材33の内面及び上記中継部材21aの基端面との間に、それぞれ上記カムシャフト4aに対し平行に配置されたローラ34a、34bを設置して、上記両カム機構27a、27bを構成している。尚、上記ライナ部材33は、上記保持孔3b内で、前記シリンダ9bの中心軸を中心とした回転を阻止される。又、上記中継部材21aの基端面35は、この中継部材21aの中心軸に対し直交する方向に存在する平坦面としている。
In order to configure the
上記ライナ部材33は、低炭素鋼(例えばS10C〜S20C)等の素材に鍛造加工を施す(更に、必要に応じて浸炭処理を施す)、或は、引抜材に鍛造又はプレス加工を施す事により一体に造ったもので、全体が異形筒状で、上記カムシャフト4aの軸方向に関して両端部に端部開口を、前記通孔20aに対向する側に側方開口36を、それぞれ有する。この側方開口36は、略長方形に形成されている。従って、この側方開口36の周縁のうち、互いに対向する両側縁同士は、平行な平坦面としている。又、上記ライナ部材33の内周面のうちで、上記側方開口36と反対側部分は、平坦な支承面37としている。この支承面37は、上記中継部材21aの基端面35と平行な平坦面としている。
The
又、上記両カム機構27a、27bを構成する為に、上記中継部材21aの基端部(特許請求の範囲に記載した「一端部」)を、上記側方開口36を通じて上記ライナ部材33の内径側に挿入している。この中継部材21aは、円柱状で、基端部にこの中継部材21aの軸方向に突出する突部38を形成している。この突部38は、上記側方開口36内にほぼがたつきなく挿入自在な、直方体状としている。従って、上記突部38を上記側方開口36を通じて上記ライナ部材33の内径側に挿入した状態では、これら突部38と側方開口36との互いに対向する側面同士が係合し、上記中継部材21aの上記ライナ部材33に対する回転を阻止した状態で、軸方向の変位を可能に組み付けられる。同時に、上記ライナ部材33が前記保持孔3b内で回転する事を阻止する。
Further, in order to constitute both the
一方、上記中継部材21aの先端部(特許請求の範囲に記載した「他端部」)は、外周面の直径方向2個所位置に、上記中継部材21aの中心軸に直角で互いに平行な一対の支承面39、39を形成して、断面形状を小判型としている。これら両支承面39、39は、それぞれ平坦面としている。そして、この様に構成される中継部材21aの先端部を、前記アジャスト機構8bを構成するスリーブ12bの基端部に係合している。即ち、このスリーブ12bの基端面に、凹部55を形成している。この為に、このスリーブ12bの基端部に軸方向に突出する一対の突出部40、40を設け、これら両突出部40、40同士の間部分を、上記凹部55としている。これら両突出部40、40の互いに対向する一対の側面(凹部55の内面のうちの互いに対向する一対の側面)は、上記スリーブ12bの中心軸の方向に対し直角方向に存在して互いに平行である、一対の平坦面41、41としている。これら両平坦面41、41同士の間隔は、上記両支承面39、39同士の間隔とほぼ同じと(同じか僅かに大きく)している。従って、上記中継部材21aの先端部を上記凹部55内に挿入した状態で、上記支承面39、39と上記両平坦面41、41とが、ほぼがたつきなく係合する。そして、上記スリーブ12bの上記中継部材21aに対する回転が阻止される。本例の場合、この様に、スリーブ12bと中継部材21aとの相対回転を阻止すると共に、上述の様に、この中継部材21aとライナ部材33との相対回転を阻止する事のみにより、上記スリーブ12bの、前記キャリパ2bに対する回転を阻止している。
On the other hand, the distal end portion of the
尚、本例の場合、上記スリーブ12bの基端部と上記中継部材21aの先端部との係合を容易に行なう為、図9、10に詳示する様に、凹部55の開口部、即ち、上記スリーブ12bに形成した突出部40、40の端面と平坦面41、41との連続部に、面取り52、52を形成している。この様に構成すれば、これら両面取り52、52に案内され、上記中継部材21aの先端部が上記凹部55内に進入し易くなる。又、図11に示す様に、スリーブ12bの両突出部40、40の直径方向両端部にも、面取り52a、52aをそれぞれ形成しても良い。この様に構成すれば、中継部材21aの先端部を上記スリーブ12bの直径方向から凹部55内に進入させる場合に、上記各面取り52a、52aが案内面となって、この作業を行ない易くなる。
In the case of this example, in order to easily engage the proximal end portion of the
又、上記中継部材21aの先端部と上記スリーブ12bの基端部とを係合した状態で、この中継部材21aの先端面42と上記凹部55の底面56との間に、隙間43を存在させている。この為に、上記中継部材21aの先端部と上記スリーブ12bの基端部とを係合させた状態で、この中継部材21aの中間部外周面と上記両支承面39、39との間に存在する段部44、44を、上記スリーブ12bの基端部に設けた上記両突出部40、40の端面に当接させている。又、これら両突出部40、40の突出量(言い換えれば、凹部55の深さ)を、上記段部44、44と上記中継部材21aの先端面42との軸方向距離よりも大きくしている。これにより、上記凹部55内に上記中継部材21aの先端部を挿入した状態で、上記両突出部40、40の端面と上記段部44、44とが当接し、上記先端面42と上記凹部55の底面56との間に上記隙間43が存在する様にしている。尚、上記中継部材21aから上記スリーブ12bに対し軸方向に作用する力は、上記段部44、44と上記両突出部40、40の端面との当接部により伝達される。
Further, with the distal end portion of the
又、上記凹部55内には、上記スリーブ12bを貫通する貫通孔45の一端部が開口している。本例の場合、パーキング機構付ディスクブレーキ1bを車両に対し組み付けた状態で、上記凹部55の上記スリーブ12bの直径方向片側の開口部が、鉛直方向上側に存在する様にしている。従って、上述の様に、中継部材21aの先端部とスリーブ12bの基端部とを係合させた状態で存在する上記隙間43も、鉛直方向上側に開口する。
In the
尚、本例の場合、上記中継部材21aの基端部に設けた突部38の長手方向に存在する一対の側面と、同じく先端部に形成した一対の支承面39、39との、上記中継部材21aの円周方向に関する位相をずらしているが、このずれ量は設計的に定める。例えば、上記隙間43の開口部を、車両への組み付け状態で鉛直方向上側に存在させる事と、前記カムシャフト4aの基端部に固定されるパーキングレバー25の設置方向との関係を考慮して定める。従って、この関係によっては、上記ずれ量が0、即ち、上記突部38の長手方向の両側面と上記両支承面39、39との位相を同じとする場合もある。
In the case of this example, the relay includes a pair of side surfaces present in the longitudinal direction of the
又、本例の場合、前記両カム機構27a、27bのうち、上記中継部材21a側のカム機構27aは、前記一対のローラ34a、34bのうちの一方のローラ34aの転動面の一部を、上記中継部材21aの基端面35に直接転がり接触させると共に、このローラ34aの転動面の他の部分を、前記両カム面32a、32bのうちの一方のカム面32aに転がり接触させる事により構成している。これに対して、上記両カム機構27a、27bのうち、上記中継部材21aと反対側のカム機構27bは、上記一対のローラ34a、34bのうちの他方のローラ34bの転動面の一部を、前記ライナ部材33の内周面に設けた支承面37に転がり接触させると共に、上記ローラ34bの転動面の他の部分を、前記両カム面32a、32bのうちの他方のカム面32bに転がり接触させる事により構成している。
In the case of this example, of the
又、上記両カム面32a、32bを設けたカムシャフト4aは、前記パーキングレバー25の基端部を結合固定する為の基端部(図1、5、6、7、8の上端部)を除き、基端側から先端側(図1、5、6、7、8の下側)に向かう程外径が小さくなる、段付形状としている。即ち、上記カムシャフト4aは、基半部46と、先半部47と、段差面48と、係止突部49とを備える。このうちの基半部46は、外周面が円筒状で、上記ライナ部材33の内径側に挿入できない外径を有する。又、上記先半部47は、このライナ部材33の内径側に挿入できる外径及びこのライナ部材33の軸方向長さ以上の軸方向長さを有し、外周面の直径方向反対側2個所位置に、上記両カム面32a、32bを形成している。又、上記段差面48は、上記基半部46と上記先半部47との連続部に設けられたもので、上記カムシャフト4aの中心軸に対し直角方向に存在する平坦面である。更に、上記係止突部49は、上記先半部47の先端面中央部から軸方向に突出したもので、この先半部47よりも小径である。
The
上述の様なカムシャフト4aと、前記一対のローラ34a、34b及び上記ライナ部材33とは、上記保持孔3b内に組み付けるのに先立って、図5、6に示す様に仮組み付け(サブアッセンブリし)ておく。この際、必要に応じてグリースを塗布する。即ち、上記カムシャフト4aと上記両ローラ34a、34bとを上記ライナ部材33の内側に挿入する事で組み合わせる。そして、上記カムシャフト4aの先端部に設けた上記係止突部49に、スプリングナットと呼ばれる止め輪50を係止する。この止め輪50の外径は、上記保持孔3bの内径よりも十分に小さく、上記ライナ部材33の内周面に関する内接円の直径よりも大きい。又、上記止め輪50は、上記係止突部49に容易に外嵌できるが、外嵌後は不用意に抜け出る事はない。又、上記基半部46の外径は、上記内接円の直径よりも大きい。従って、上記各部材4a、34a、34b、33を図5、6に示した状態に組み合わせ、上記係止突部49に上記止め輪50を係止した状態では、上記ライナ部材33及び上記両ローラ34a、34bが、この止め輪50と上記段差面48との間で挟持されて、不用意に分離する事はなくなる。この様に、上記各部材4a、34a、34b、33を組み合わせて上記止め輪50を係止する作業は、上記保持孔3b外の広い空間で、容易に行なえる。
Prior to assembling the
上述の様に組み立てた、各部材4a、34a、34b、33は、図1〜2に示す様に上記保持孔3b内に、このうちのライナ部材33をこの保持孔3bにがたつきなく内嵌固定する状態で組み付ける。そして、前記隔壁19aの通孔20aを挿通した前記中継部材21aの基端部に設けた突部38を、上記ライナ部材33の側方開口36を通じてこのライナ部材33の内径側に挿入する。この状態で、上記保持孔3b内に、前記一対のカム機構27a、27bが組み付けられる。又、上記各部材4a、34a、34b、33が、上記保持孔3b内から図1の上下方向に抜け出る事を防止できる。又、本例の場合、前述した様に、カムシャフト4aの基端部に前記パーキングレバー25を固定している。この為に、このカムシャフト4aの基端部にローレット加工を施し、このパーキングレバー25の基端部に形成した円孔65に、上記カムシャフト4aの基端部を圧入固定している。この結果、上記パーキングレバー25が、前記キャリパ2bと分離する事はない。本例の場合、この様にパーキングレバー25の分離防止を図っている為、前述の図33、34に示した構造の様に、ピン58を設ける必要がなく、パーキング機構付ディスクブレーキ1bの低コスト化を図れる。更に、上記中継部材21aの先端部には、前記アジャスト機構8bを構成するスリーブ12bの基端部を係合する。
Each of the
パーキング機構を作動させる際には、上記パーキングレバー25により上記カムシャフト4aを、図2の反時計方向に回動させる。この回動に伴って、上記両ローラ34a、34bが、前記両カム面32a、32bと前記基端面35及び前記支承面37との間で転動する。この結果、これら基端面35と支承面37との間隔が拡がり、上記中継部材21aが、前記ピストン10bに向けて押される。この際、上記カムシャフト4aの中心軸は、図1、2の鎖線α位置から鎖線β位置にまで平行移動する。上記両カム面32a、32bの傾斜角度を同じとした場合、上記中継部材21aの上記ピストン10bに向けての移動量は、上記両鎖線α、β同士の間隔の2倍となる。
When operating the parking mechanism, the
この様に、上記中継部材21aが上記ピストン10bに向けて移動する結果、このピストン10bが、アジャスト機構8bを介して押され、ロータ31に向け平行移動する。すると、このピストン10bが、インナ側のパッド30aをこのロータ31のインナ側側面に向け押し付ける。更に、この押し付けの反作用として前記キャリパ2bが、懸架装置を構成するナックルに固定された、図示しないサポートに対しインナ側に変位するので、上記キャリパ2bに設けたキャリパ爪51が、アウタ側のパッド30bを、上記ロータ31のアウタ側側面に向け押し付ける。この結果、このロータ31が一対のパッド30a、30bにより、軸方向両側から強く挟持されて、停車状態維持の為に必要な制動力を得られる。
In this way, as a result of the
一方、上記両パッド30a、30bの摩耗状態に応じて、上記ピストン10bの軸方向位置を調整する場合には、上記アジャスト機構8bを構成するスリーブ12bに対し、同じくスピンドル11bが回転し、これらスリーブ12bとスピンドル11bとのねじ係合に基づいて、このスピンドル11bが軸方向に移動する。そして、上記ピストン10bの軸方向位置を調整する。このスピンドル11bを上記スリーブ12bに対し相対回転させ、軸方向に移動させる為には、このスリーブ12bの前記キャリパ2bに対する回転を阻止する必要がある。本例の場合、前述した様に、このスリーブ12bを中継部材21aに、この中継部材21aをライナ部材33に、それぞれ回転を阻止した状態で係合している。このライナ部材33は、シリンダ9bの中心軸の方向に対し直角な方向に形成した前記保持孔3b内に内嵌されている為、このシリンダ9bの中心軸を中心として回転する事はない。従って、上記スリーブ12bは、前記キャリパ2bに対し回転が阻止された状態となる。
On the other hand, when the axial position of the
上述の様に構成する本例のパーキング機構付ディスクブレーキ1bの場合には、アジャスト機構8bを構成し、使用時にも回転しないスリーブ12bが、キャリパ2bに対し回転する事を阻止する為の加工を、このキャリパ2b内に施す必要がない。
即ち、本例の場合、上述の様に構成している為、上記キャリパ2bの何れの部分にも、上記スリーブ12bの回転を阻止する為の加工を施す事なく、このスリーブ12bの上記キャリパ2bに対する回転を阻止できる。この為、このスリーブ12bの回転を阻止する為に、例えば、前述の図31〜33に示した様な凹部17や係合凹部24を、上記キャリパ2bに形成する必要がない。又、この様な加工が必要なければ、ばりが発生する事もない。又、本例の場合、互いに係合する、スリーブ12bの基端部に形成した凹部55の両平坦面41、41と、中継部材21aの先端部に形成した両支承面39、39とを、それぞれ互いに平行な平坦面としている為、これら各面41、39の加工を行ない易い。従って、パーキング機構付ディスクブレーキ1bの製造コストの低減を図れる。
In the case of the
That is, in this example, since it is configured as described above, the
又、本例の場合、上記アジャスト機構8bを構成するスピンドル11bとスリーブ12bとのねじ構造部分に存在する空気を、効果的に排出できる。
例えば、上記キャリパ2a内にブレーキ液を充填する際に、上記スピンドル11bとスリーブ12bとのねじ構造部分に空気が滞留する可能性がある。この様にねじ構造部分に滞留した空気の一部は、上記スピンドル12bの貫通孔45を通じて、この貫通孔45の開口部と前記中継部材21aの先端面42との間の隙間43に到達する。本例の場合、この隙間43は、車両への組み付け状態で鉛直方向上側に開口している為、上記空気をこの隙間43を通じて効果的に排出できる。そして、この様にねじ構造部分から排出された空気は、上記キャリパ2aの一部に設けた図示しない空気抜き弁から、外部に排出される。
In the case of this example, the air present in the screw structure portion of the
For example, when the
[実施の形態の第2例]
図12〜17も、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、ライナ部材33aを、1枚の金属板に所定のプレス加工等を施す事により形成される板金製としている。本例の場合、上記ライナ部材33aの側方開口36aのうち、カムシャフト4aの軸方向に関し両端側に存在する部分を、互いに近付く方向に曲げ形成された腕部53、53の先端部同士を近接させる事により構成している。又、上記側方開口36aのうち、上記カムシャフト4aの軸方向に対し直角な方向に存在する部分で、上記各腕部53、53の間部分には、中継部材21a側に延出した延出部54、54を設けている。そして、上記各腕部53、53とこれら延出部54、54とで囲まれる部分を、上記側方開口36aとし、この側方開口36a内に、中継部材21aの基端部に形成した突部38を挿入自在としている。その他の構造及び作用は、上述した実施の形態の第1例と同様である為、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
[Second Example of Embodiment]
12 to 17 also show a second example of the embodiment of the invention corresponding to
[実施の形態の第3例]
図18〜30は、請求項1、5、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合、アジャスト機構8cは、スピンドル11cと、特許請求の範囲に記載したスリーブに相当する、アジャストナット66とを備える。これらスピンドル11cとアジャストナット66とは、互いにねじ係合し、キャリパ2c内に設けたシリンダ9cの中心軸を中心として相対回転する事により、このうちのアジャストナット66が上記スピンドル11cに対し、上記シリンダ9c内に摺動自在に配置されるピストン10cの軸方向に変位する。本例の場合、上記アジャストナット66がキャリパ2cに対して回転し、上記スピンドル11cがこのキャリパ2cに対して回転しない。この為、このスピンドル11cが、特許請求の範囲に記載した一方の部材に相当する。
[Third example of embodiment]
18 to 30 show a third example of the embodiment of the invention corresponding to
又、本例の場合、上記スピンドル11cが上記キャリパ2cに対して回転する事を阻止する為に、このスピンドル11cの端部を直接、ライナ部材33bに対して回転する事を阻止した状態で係合している。この為に本例の場合には、前述の実施の形態の第1、2例と異なり、中継部材を設けていない。上記ライナ部材33bは、図23に詳示する様に、1枚の金属板に所定のプレス加工等を施して、略コ字型に形成されている。即ち、上記ライナ部材33bは、1対の平板部67、67と、これら両平板部67、67の基端部同士を連結する連結部68とから構成される。これら両平板部67、67には、カムシャフト4a及びローラ34a、34bを配置する為の透孔69、69をそれぞれ形成している。この様にライナ部材33bを形成する事により、このライナ部材33bを容易に形成でき、低コスト化を図れる。
In this example, in order to prevent the
上述の様に構成されるライナ部材33bを、前述の実施の形態の第1、2例と同様に、キャリパ2cのインナ側(図18、19の右側)端部に、シリンダ9cの中心軸の方向(図18、19、21の左右方向)に対し直角方向(図18の表裏方向、図19、21の上下方向)に形成した保持孔3c内に配置する。この状態で、上記ライナ部材33bの連結部68が、この保持孔3cの内面のうち、前記シリンダ9cと反対側に存在する支承面37と当接すると共に、両平板部67、67の側縁と上記保持孔3cの内面とが係合する。この結果、上記ライナ部材33bがこの保持孔3c内で、上記シリンダ9cの中心軸を中心として回転する事、及び、この保持孔3c内に挿通する上記カムシャフト4aの中心軸を中心として回転する事を、それぞれ阻止する。即ち、上記両平板部67、67の側縁と上記保持孔3cの内面との係合により、上記ライナ部材33bの上記シリンダ9cの中心軸を中心とする回転が阻止される。又、上記連結部68と上記支承面37との係合により、上記ライナ部材33bの上記カムシャフト4aの中心軸を中心とする回転が阻止される。又、上記保持孔3c内に上記ライナ部材33bを配置した状態で、上記両平板部67、67の先端部が、上記シリンダ9c側に存在する。
As in the first and second examples of the above-described embodiment, the
又、上記ライナ部材33b内には、基端部にパーキングレバー25を固定した上記カムシャフト4a及びローラ34a、34bを、前述の実施の形態の第1、2例と同様に配置している。又、上記カムシャフト4aの先端部に設けた係止突部49に止め輪50を係止すると共に、このカムシャフト4aの基端部で上記パーキングレバー25を固定した部分よりも中間寄り部分に、ブーツ28aを固定している。これにより、これら各部材33b、4a、34a、34b、50、28aを、非分離に組み合わせている。これら各部材33b、4a、34a、34b、50、28aは、上記保持孔3c内に組み付けるのに先立って、仮組み付け(サブアッセンブリ)しておく(後述する、中間組立体93)。尚、上記ブーツ28aは、上記保持孔3cの開口部に形成した、この保持孔3cよりも直径が大きい大径部70に内嵌固定すると共に、上記パーキングレバー25の基端部に当接して、上記カムシャフト4aの平行移動を許容しつつ、外部から上記保持孔3c内に異物が浸入する事を防止する。
In the
上述の様に、保持孔3c内に、ライナ部材33b、カムシャフト4a等の各部材を配置した状態で、前記スピンドル11cの基端部に設けたフランジ部71を、このライナ部材33bの両平板部67、67の先端部同士の間に進入させる。このフランジ部71の外周面には、1対の平面部72、72を互いに平行で径方向反対側に存在する様に形成している。これら両平面部72、72同士の間隔は、上記両平板部67、67の内面同士の間隔とほぼ同じか僅かに小さくしている。従って、上記フランジ部71を上記両平板部67、67同士の間に進入させた状態で、このフランジ部71の外周面に形成した上記両平面部72、72と上記両平面部67、67の内面とが、ほぼがたつきなく係合する。
As described above, in the state where the
上記ライナ部材33bは、前述した様に、保持孔3c内に、シリンダ9cの中心軸を中心とした回転を阻止された状態で内嵌されている為、上述の様に、ライナ部材33bにその基端部を係合したスピンドル11cも、シリンダ9cの中心軸を中心とする回転を阻止される。又、このスピンドル11cの基端面35aは平坦面としている。この基端面35aは、このスピンドル11cの基端部を上記ライナ部材33bに係合した状態で、上記保持孔3cの支承面37と平行になる。従って、前述の実施の形態の第1、2例と同様に、パーキングレバー25の操作に基づいて回転するカムシャフト4aの動きに伴い、ローラ34a、34bと上記基端面35a及び支承面37に当接した連結部68の側面とがそれぞれ係合する事により、上記スピンドル11cが軸方向に変位する。
As described above, the
又、上記スピンドル11cの中間部は、上記保持孔3cと上記シリンダ9cとを仕切る隔壁19bに設けた通孔20bを挿通する。上記スピンドル11cの中間部外周面と、この通孔20bの内周面との間には、Oリング29を設けて、上記シリンダ9c内に導入された圧油の漏洩を防止しつつ、上記スピンドル11cの、上記ピストン10cの軸方向の変位を可能にしている。又、このスピンドル11cの中間部乃至先端部に雄ねじ部13を形成し、前記アジャストナット66の内周面に形成した雌ねじ部14とねじ係合している。このアジャストナット66は、外周面の一部が、上記ピストン10cの内面の一部と係合した状態では回転せず、離れた状態で回転する。従って、上記パーキングレバー25の操作に基づいて上記スピンドル11cが軸方向に変位すると、このスピンドル11cとねじ係合した上記アジャストナット66が上記ピストン10cの内面の一部に押し付けられ、回転せずに上記スピンドル11cの軸方向の変位をこのピストン10cに伝達する。この結果、上記パーキングレバー25の操作に基づいて上記ピストン10cが変位し、前述の実施の形態の第1例と同様に、パーキングブレーキとして機能する。尚、上記アジャストナット66、上記スピンドル11c、所定のばね機構等により構成されるアジャスト機構8cの基本的構造及び作用は、例えば、前述の特許文献6等に記載されている様な周知の構造と同様であり、本発明の要旨でもない為、詳しい説明は省略する。
An intermediate portion of the
又、本例の場合、キャリパ2cは、互いに別体である、シリンダ9c等が存在するシリンダ側ボディ部73と、カムシャフト4a等を配置するカム側ボディ部74とを組み合わせて構成される。即ち、これら両ボディ部73、74同士を、複数のボルト75、75により結合固定している。又、このうちのカム側ボディ部74には、パーキングレバー25の引き力に対する反力を支承する為のブラケット76を固定している。このブラケット76は、上記カム側ボディ部74に結合される結合板部77と、この結合板部77の基端部からほぼ直角に折り曲げられ、上記パーキングレバー25を操作する為のケーブルを挿通する通孔78を有し、上記反力を支承する部分である支承板部79とから構成される。又、これら両板部77、79の両側縁部をそれぞれ90゜折り曲げて、折り曲げ板部80、80としている。そして、これら両折り曲げ板部80、80により、上記ブラケット76の剛性を向上させている。又、上記結合板部77は、基部81と、この基部81から二股に分かれた腕部82、82とを有する。そして、これら両腕部82、82の先端部に通孔83、83を、上記基部81の中間部に通孔84を、それぞれ形成している。
In the case of this example, the
又、上記両折り曲げ板部80、80の先端部に、後述するリターンスプリング85の一端部を係止する為の係止部86、86を、それぞれ形成している。尚、図示の例の場合、係止部86、86を両方の折り曲げ板部80、80にも形成しているが、上記リターンスプリング85を係止するのは、何れか一方の係止部86のみである。即ち、上記パーキングレバー25が存在する側の係止部86に、上記リターンスプリング85の一端部を係止する。従って、上記係止部86、86は、予めパーキングレバー25との位置関係が明らかであれば、何れか一方の折り曲げ板部80の先端部にのみ形成する事もできる。
Further, locking
上記カム側ボディ部74と上記ブラケット76とは、予め、第二のボルト87により結合しておく。即ち、上記カム側ボディ部74のインナ側から、上記ブラケット76の結合板部77を突き当てる。この際、この結合板部77の両腕部82、82同士の間に、内部に保持孔3cが存在するハウジング部88を配置し、このハウジング部88のアウタ側端部(図18、19の左端部)から両側に延出した、フランジ状の延出部89、89に、上記両腕部82、82を当接させる。又、上記結合板部77の基部81の中間部は、上記ハウジング部88のアウタ側端部から突出した、やはりフランジ状の舌片90に当接させる。又、この状態で、上記両延出部89、89に形成した通孔91、91と、上記両腕部82、82に形成した通孔83、83とを、上記舌片90に形成したねじ孔92と、上記基部81の中間部に形成した通孔84とを、それぞれ整合させる。この際、例えば、上記各通孔91、91に挿通した位置決めピンの如き治具を、上記ブラケット76側に向けて突出させ、この治具の突出部を上記各通孔83、83に挿入する等して位置決めを行なう。そして、上記通孔84を挿通した上記第二のボルト87を上記ねじ孔92に螺合し更に締め付ける事により、上記カム側ボディ部74と上記ブラケット76とを結合固定する。本例の場合、上記第二のボルト87を配設する方向は、上記パーキングレバー25の回動中心軸(カムシャフト4aの軸方向)に対し直角な方向となる。尚、上記カム側ボディ部74とブラケット76との結合は、上述の様なボルトによる結合以外に、他の結合手段により行なう事もできる。
The
上述の様に、カム側ボディ部74とブラケット76とを結合する前(或は、結合した後)に、このカム側ボディ部74の保持孔3c内に、カムシャフト4a、ローラ34a、34b、ライナ部材33b、ブーツ28a、止め輪50の各部材同士を組み付けた中間組立体93を配置する。この状態で、上記カム側ボディ部74の上記保持孔3cの側方に形成され、シリンダ9c側とこの保持孔3cとを連通する連通孔94から、上記カム側ボディ部74内に前記スピンドル11cを、その基端側から進入させる。この連通孔94は、上記カム側ボディ部74と前記シリンダ側ボディ部73とを結合した状態で、シリンダ9cと同心となる。そして、このスピンドル11cの基端部に設けたフランジ部71の平面部72、72を、上記保持孔3cに内嵌した上記ライナ部材33bの両平板部67、67の先端部内面に係合させる。又、上記スピンドル11cの基端側にばね95を配置すると共に、上記連通孔94の開口側に止め輪104を係止する。そしてこのばね95を、この止め輪104と上記スピンドル11cのフランジ部71との間で弾性的に圧縮し、このスピンドル11cを上記保持孔3cに向け付勢する。尚、パーキングブレーキ作動時及び油圧によるブレーキ時には上記スピンドル11cが、上記ばね95の弾性力に抗してアウタ側に変位する。
As described above, before the cam
又、上記カムシャフト4aの基端部に固定したパーキングレバー25の一部と、上記ブラケット76の係止部86とに、リターンスプリング85の両端部をそれぞれ係止する。そして、上記パーキングレバー25に、パーキング作動時にケーブルにより引かれる力と反対方向の力を付与する。この様に各部材を組み合わせて、カム側ボディ部74に所定の部材を組み付けたカム側組立体96を得る。
Further, both end portions of the
上述の様に組み立てたカム側組立体96を、図25に示す様に、前記シリンダ側ボディ部73に組み付ける。即ち、このカム側組立体96のスピンドル11cの中間部に予めOリング29を係止した状態で、このスピンドル11cを上記シリンダ側ボディ部73の通孔20bに内嵌する。そして、前記各ボルト75、75を、前記ブラケット76の両腕部82、82の先端部に形成した通孔83、83、及び、カム側ボディ部74の両延出部89、89に形成した通孔91、91に挿通し、上記シリンダ側ボディ部73の内端部に形成したねじ孔97、97に螺合し更に締め付ける。本例の場合、上記各ボルト75、75の配設方向は、前記第二のボルト87と同様に、パーキングレバー25の回動中心軸に対し直角な方向となる。又、この状態で、上記各ボルト75、75のうちの一方のボルト75の頭部が、図22に詳示する様に、パーキングレバー25の基端部の一部とカムシャフト4aの軸方向(図22の上下方向)に関して重畳する。この為、仮に、止め輪50が破損する等して、上記パーキングレバー25が、図22の上方に脱落する傾向となっても、上記一方のボルト75の頭部とこのパーキングレバー25の基端部の一部とが係合し、このパーキングレバー25が脱落する事を防止できる。尚、この様な事態は起こりにくいが、万が一の場合に、二次的に機能する手段としては有効である。
The
又、本例の場合、上記カム側組立体96を上記シリンダ側ボディ部73に組み付けるのに先立って、このシリンダ側ボディ部73に、ピストン10c等の各部材を組み付けている。即ち、このシリンダ側ボディ部73のアウタ側から、内部にアジャストナット66及び所定のばね機構を組み込んだピストン10cを、シール98、ブーツ99、ばね100と共に、上記シリンダ側ボディ部73に組み付ける。この際、上記ピストン10cを、このピストン10cの基端面がシリンダ9cの底面(隔壁19bのアウタ側面)に当接するまで押し込む。尚、上記シール98は、上記ピストン10cの外周面とシリンダ9cとの間をシールするものであり、上記ブーツ99は、このピストン10cの先端部とこのシリンダ9cの開口部との間に配置され、このピストン10cの軸方向の変位を許容しつつ、このシリンダ9c内に外部から異物が進入する事を防止する。又、上記ばね100は、ガータスプリングと呼ばれるもので、上記ブーツ99内に組み込まれ、直径が拡がる方向に弾性力を付与して、このブーツ99の外周面を上記シリンダ9cの開口部内周面に押し付け、この部分のシール性を向上させる。
In the case of this example, prior to assembling the
上述の様に、シリンダ側ボディ部73にピストン10c等の各部材を組み付けた状態で、上記カム側組立体96を、前述の様に、上記シリンダ側ボディ部73に組み付ける。この際、このカム側組立体96を回転させながら行なう。即ち、このカム側組立体96のスピンドル11cの雄ねじ部13を、上記ピストン10c内に配置したアジャストナット66の雌ねじ部14に螺合させつつ行なう。この様に、シリンダ側ボディ部73とカム側組立体96との組み付け作業を、カム側組立体96を回転させながら行なえば、パーキング機構付ディスクブレーキ1cの組立作業をより容易に行なえる。これに対して、上記シリンダ側ボディ部73とカム側組立体96とを結合した後、アジャストナット66等を組み込んだピストン10cを組み付ける場合、先ず、このアジャストナット66やばね機構を組み込んだこのピストン10cを、シール98やブーツ99と共に、シリンダ9c内に配置する。この際、このピストン10cを回転させて、上記アジャストナット66と上記スピンドル11cとをねじ係合させる必要がある。この様な作業は、例えば、シール98の内周面とピストン10cの外周面との当接部で大きな摩擦抵抗が発生する等して困難である。この為、パーキング機構付ディスクブレーキ1cの組み付け作業が難しくなる。
As described above, the
又、本例の場合、(完成後の)初期状態でのピストン10cの基端面とシリンダ9cの底面(隔壁19bのアウタ側面)との隙間δ(図18)と、この隔壁19bの通孔20b内を挿通する上記スピンドル11cのOリング29を配置する位置との関係を、次の様に規制している。即ち、上記ピストン10cの基端面を上記シリンダ9cの底面に当接させた状態で、このピストン10c内に配置したアジャストナット66に上記スピンドル11cを所定位置まで螺合した場合に、このスピンドル11cに外嵌した上記Oリング29が、上記通孔29内に進入しない様に、言い換えれば、このOリング29がこの通孔29の手前側(図18〜19の右側)で止まる様に、上記隙間δとこのOリング29との配置関係を規制している。本例の場合、キャリパ2cのキャリパ爪51の内側面と上記シリンダ9cの底面との距離が、パッド30a、30bの厚さと、ロータ31の厚さと、これら各パッド30a、30bとこのロータ31との間の僅かな隙間と、ピストン10cの軸方向長さと、上記隙間δとの合計となる。
In the case of this example, the gap δ (FIG. 18) between the base end surface of the
従って、本例の場合、上記カム側組立体96を回転させながら上記スピンドル11cを上記アジャストナット66の所定位置まで螺合する作業の際には、このスピンドル11cの中間部外周面に係止した上記Oリング29が上記シリンダ側ボディ部73の通孔20bの手前側で止まる様に、治具等を使用して上記カム側組立体96の上記シリンダ側ボディ部73に向かう変位を止める様にする。そして、この状態から、上記カム側組立体96を直線的に押し込んで、上記スピンドル11cの中間部外周面に係止した上記Oリング29を、上記通孔20b内に配置する。その後、前述した様に、ボルト75、75により上記カム側組立体96と上記シリンダ側ボディ部73とを結合する。
Therefore, in the case of this example, when the
本例の場合、Oリング29を上記通孔20b内に配置する際に、回転させずに行なえる為、組み付け時にこのOリング29が破損しにくくなる。即ち、上述の組み付け作業を最後まで、カム側組立体96を回転させつつ行なった場合、Oリング29が通孔20b内に進入する際に、ねじれたり、この通孔20bの内周面と強く擦れ合ったりして破損する可能性がある。これに対して、本例の様に、Oリング29を通孔20b内に押し込む様に配置すれば、このOリング29が、ねじれたり強く擦れ合ったりする事がなく、組み付け時に破損しにくくなる。
In the case of this example, when the O-
又、本例の場合、上記シリンダ側ボディ部73とカム側組立体96との結合部に設けるOリング101を仮配置する位置と、前記隙間δとの関係も、上述した場合と同様に規制する。即ち、上記シリンダ側ボディ部73の隔壁19bのインナ側端部に突出した円筒部分102の基端部外周面と、カム側ボディ部74の連通孔94の内周面開口部に設けた面取り103との間に、上記Oリング101を設けている。従って、上記カム側組立体96を回転させながら、上記スピンドル11cの雄ねじ部を上記アジャストナット66の雌ねじ部の所定位置まで螺合した場合に、上記面取り103が、上記円筒部分102の先端寄り外周面に仮配置した上記Oリング101の手前側で止まる様にする。そして、上記カム側組立体96を押し込む際に、このOリング101を上記面取り103により押して、上記円筒部分102の基端部まで移動させる。この結果、このOリング101に就いても、ねじれたり上記円筒部分102の外周面と強く擦れ合ったりするのを防止できて、破損しにくくなる。
In the case of this example, the relationship between the position where the O-
上述の様に、カム側組立体96やピストン10cをシリンダ側ボディ部73に組み付けた後、パッド30a、30bを所定位置に配置して、パーキング機構付ディスクブレーキ1cを得る。この様に構成される本例の場合、パーキング機構付ディスクブレーキ1cの組み付け作業を容易に行なえる。又、組み付け時にOリング29、101が破損しにくくなる。又、ブラケット76のカム側ボディ部74への固定方向を、2個のボルト75、75及び第二のボルト87により、パーキングレバー25の回動中心軸と直角な方向(本例の場合には、ピストン10cの軸方向と平行な方向)としている為、上記パーキングレバー25の回動により、上記各ボルト75、87が緩む事はない。又、前述の図36に示した構造の様に、突き当て面63を設ける必要がない。
As described above, after assembling the cam-
更に、本例の場合、このパーキングレバー25の抜け止めを、カムシャフト4aの先端部に係止した止め輪50とライナ部材33bとの係合、及び、このライナ部材33bの両平板部72、72とスピンドル11cの基端部との係合により図っている為、前述の図33、34に示した構造の様に、ピン58を設ける必要がなく、製造コストの低減を図れる。特に、本例の場合、上記カム側組立体96と上記シリンダ側ボディ部73とを結合するボルト75、75の頭部を、上記パーキングレバー25の基端部の一部と、上記カムシャフト4aの軸方向に関し重畳させている為、上記止め輪50が外れる等の万が一の事態が生じた場合でも、上記パーキングレバー25の基端部の一部と上記各ボルト75、75の頭部とが係合して、このパーキングレバー25が脱落する事を防止できる。
Further, in the case of this example, the
尚、本例の場合、図20に示す様に、上記パーキングレバー25を作動させるケーブルにより、上記ブラケット76に作用する反力Fの作用線上に、上記第二のボルト87による結合部を配置すると共に、この作用線に対し対称位置に、上記ボルト75、75により結合部を配置している。この為、上記反力Fを、上記各ボルト87、75の結合部により効率良く支承できると共に、上記各ボルト75、75には、上記反力Fが均等に作用する。この結果、この反力Fにより作用する力を分散でき、各結合部毎に作用する荷重を小さくできる。この為、上記ブラケット76の板厚を薄くでき、パーキング機構付ディスクブレーキ1cの低コスト化、軽量化を図れる。又、上記ブラケット76の成形性が良好となり、例えば、深絞り成形等も可能となる。その他の構造及び作用は、前述の実施の形態の第1例と同様である。
In the case of this example, as shown in FIG. 20, the connecting portion by the
前述した実施の形態の第1、2例の場合、アジャスト機構を構成するスピンドルとスリーブとのうち、使用時に回転しない部材がスリーブである構造に本発明を適用した。但し、例えば、前述の図31〜32に記載した従来構造や、上述した実施の形態の第3例の様に、アジャスト動作時にスピンドルが回転しない構造にも、上記第1、2例の構造を適用できる。この場合、スピンドルの基端部に中継部材の先端部を相対回転を阻止した状態で係合させる。又、上記第3例の構造を、上記第1、2例の様に、スリーブが回転しない構造に適用する事もできる。即ち、スリーブの端部を直接、ライナ部材に係合してこのスリーブが使用時にも回転しない構造とする事もできる。 In the first and second examples of the above-described embodiment, the present invention is applied to a structure in which a member that does not rotate during use is a sleeve among the spindle and the sleeve constituting the adjusting mechanism. However, for example, the structure of the first and second examples is also applied to the structure in which the spindle does not rotate during the adjustment operation, as in the conventional structure described in FIGS. 31 to 32 and the third example of the embodiment described above. Applicable. In this case, the distal end portion of the relay member is engaged with the proximal end portion of the spindle while preventing relative rotation. Further, the structure of the third example can be applied to a structure in which the sleeve does not rotate as in the first and second examples. That is, the end of the sleeve can be directly engaged with the liner member so that the sleeve does not rotate during use.
又、ライナ部材と中継部材或はスピンドル等の、使用時にも回転しない一方の部材の基端部との係合部、及び、この中継部材の先端部とスリーブ或はスピンドルの基端部との係合部は、上述した実施の形態の各例の構造以外にも、それぞれの係合部で相対回転が阻止される構造であれば適用可能である。例えば、実施の形態の第1、2例で使用した様なライナ部材33、33aを実施の形態の第3例の構造に適用したり、この第3例の構造を上記第1例の構造に適用する事もできる。この場合に、中継部材21aの基端部、或は、スピンドル11cの基端部の形状を、ライナ部材の係合する部分の形状と整合する様な形状とする。
Also, the engaging portion of the liner member and the relay member or spindle, etc., of the base end of one member that does not rotate during use, and the tip of the relay member and the base of the sleeve or spindle In addition to the structure of each example of the embodiment described above, the engaging portion can be applied as long as the relative rotation is prevented by each engaging portion. For example, the
又、パーキングレバーを回転させる事により、上記中継部材或は一方の部材を押圧するカム機構に関しても、上述した実施の形態の各例の構造以外に、例えば、前述の特許文献2に記載した構造も適用可能である。又、上述した実施の形態の各例の場合、カム機構をカムシャフトの両側に一対設けているが、何れか一方にのみカム機構を設ける構成とする事もできる。 Further, regarding the cam mechanism for pressing the relay member or one member by rotating the parking lever, for example, the structure described in Patent Document 2 described above, in addition to the structure of each example of the embodiment described above. Is also applicable. In each example of the above-described embodiment, a pair of cam mechanisms are provided on both sides of the camshaft. However, a cam mechanism may be provided on only one of them.
1、1a、1b、1c パーキング機構付ディスクブレーキ
2、2a、2b、2c キャリパ
3、3a、3b、3c 保持孔
4、4a カムシャフト
5 固定側カム板
6 駆動側カム板
7 転動体
8、8a、8b、8c アジャスト機構
9、9a、9b、9c シリンダ
10、10a、10b、10c ピストン
11、11a、11b、11c スピンドル
12、12a、12b スリーブ
13 雄ねじ部
14 雌ねじ部
15 筒状部材
16 凸部
17 凹部
18 カムロッド
19、19a、19b 隔壁
20、20a、20b 通孔
21、21a 中継部材
22 凹部
23 係合凸部
24 係合凹部
25 パーキングレバー
26 リターンスプリング
27a、27b カム機構
28、28a ブーツ
29 Oリング
30a、30b パッド
31 ロータ
32a、32b カム面
33、33a、33b ライナ部材
34a、34b ローラ
35、35a 基端面
36、36a 側方開口
37 支承面
38 突部
39 支承面
40 突出部
41 平坦面
42 先端面
43 隙間
44 段部
45 貫通孔
46 基半部
47 先半部
48 段差面
49 係止突部
50 止め輪
51 キャリパ爪
52、52a 面取り
53 腕部
54 延出部
55 凹部
56 底面
57 リターンスプリング
58 ピン
59、59a パーキングレバー
60 フランジ部
61、61a、61b シリンダボディ
62 ブラケット
63 突き当て面
64 ボルト
65 円孔
66 アジャストナット
67 平板部
68 連結部
69 透孔
70 大径部
71 フランジ部
72 平面部
73 シリンダ側ボディ部
74 カム側ボディ部
75 ボルト
76 ブラケット
77 結合板部
78 通孔
79 支承板部
80 折り曲げ板部
81 基部
82 腕部
83 通孔
84 通孔
85 リターンスプリング
86 係止部
87 第二のボルト
88 ハウジング部
89 延出部
90 舌片
91 通孔
92 ねじ孔
93 中間組立体
94 連通孔
95 ばね
96 カム側組立体
97 ねじ孔
98 シール
99 ブーツ
100 ばね
101 Oリング
102 円筒部分
103 面取り
104 止め輪
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1, 1a, 1b, 1c Parking brake disc brake 2, 2a, 2b, 2c Caliper 3, 3a, 3b, 3c Holding hole 4, 4a Camshaft 5 Fixed side cam plate 6 Drive side cam plate 7 Rolling body 8, 8a , 8b, 8c Adjustment mechanism 9, 9a, 9b, 9c Cylinder 10, 10a, 10b, 10c Piston 11, 11a, 11b, 11c Spindle 12, 12a, 12b Sleeve 13 Male thread 14 Female thread 15 Cylindrical member 16 Protrusion 17 Recess 18 Cam rod 19, 19a, 19b Bulkhead 20, 20a, 20b Through hole 21, 21a Relay member 22 Recess 23 Engagement protrusion 24 Engagement recess 25 Parking lever 26 Return spring 27a, 27b Cam mechanism 28, 28a Boot 29 O-ring 30a, 30b pad 31 rotor 32a, 2b Cam surface 33, 33a, 33b Liner member 34a, 34b Roller 35, 35a Base end surface 36, 36a Side opening 37 Bearing surface 38 Protruding portion 39 Bearing surface 40 Protruding portion 41 Flat surface 42 Tip surface 43 Clearance 44 Step portion 45 Penetration Hole 46 Base half part 47 Leading half part 48 Stepped surface 49 Locking projection part 50 Retaining ring 51 Caliper claw 52, 52a Chamfer 53 Arm part 54 Extension part 55 Concave part 56 Bottom face 57 Return spring 58 Pin 59, 59a Parking lever 60 Flange Part 61, 61a, 61b Cylinder body 62 Bracket 63 Abutting surface 64 Bolt 65 Circular hole 66 Adjust nut 67 Flat plate part 68 Connection part 69 Through hole 70 Large diameter part 71 Flange part 72 Flat part 73 Cylinder side body part 74 Cam side body Part 75 Bolt 76 Bracket 77 Connection Plate portion 78 Through hole 79 Support plate portion 80 Bending plate portion 81 Base portion 82 Arm portion 83 Through hole 84 Through hole 85 Return spring 86 Locking portion 87 Second bolt 88 Housing portion 89 Extension portion 90 Tongue piece 91 Through hole 92 Screw hole 93 Intermediate assembly 94 Communication hole 95 Spring 96 Cam side assembly 97 Screw hole 98 Seal 99 Boot 100 Spring 101 O-ring 102 Cylindrical portion 103 Chamfer 104 Retaining ring
Claims (8)
上記保持孔内に、上記シリンダの中心軸を中心とした回転を不能に内嵌固定されたライナ部材を有し、このライナ部材に、上記一方の部材の端部を直接又は中継部材を介して、この一方の部材がこのライナ部材に対して回転する事を阻止した状態で係合する事のみにより、この一方の部材の上記シリンダボディに対する回転を阻止した事を特徴とするパーキング機構付ディスクブレーキ。 A spindle and a sleeve which are relatively engaged with each other in the axial direction of the cylinder by rotating relative to each other about the center axis of the cylinder provided in the cylinder body by screw engagement are provided. One of the members does not rotate with respect to the cylinder body, and an adjustment mechanism that can adjust the axial position of the piston fitted to the cylinder according to the wear state of the pad; In a disc brake with a parking mechanism provided with a holding hole formed in a direction perpendicular to the direction of the central axis of the cylinder at an end opposite to the side where the pad exists.
The holding hole has a liner member that is fitted and fixed so as not to rotate around the central axis of the cylinder, and the end of the one member is directly or via a relay member on the liner member. The disc brake with a parking mechanism, wherein the one member is prevented from rotating with respect to the cylinder body only by being engaged with the liner member while preventing the one member from rotating with respect to the liner member. .
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