JP2009023487A - 車線内走行支援装置、自動車および車線内走行支援方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】目標走行軌道からの車両位置を基に、操向輪の転舵と、運転者による操舵操作に対する操舵入力手段を介した報知動作とを、それぞれ異なる条件で制御し、車線内走行の支援を行うようにした(ステップS103)。そのため、通常時には、操舵入力手段を介した報知動作を行わず、車線内の目標走行軌道を走行するように操向輪の転舵のみを行い、目標走行軌道からの逸脱度合いが大きいときにのみ前記転舵に加えて報知動作を行って、運転者に車線内を走行させるための支援情報を提供することで、操舵操作と支援情報とを整合させることができ、運転者の違和感を防止しつつ、車線内走行を支援することができる。
【選択図】 図2
Description
このような運転支援装置では、車両が走行する車線内の横位置等に応じて、操舵反力またはその他の手段により、運転者に車線内を走行させるための支援情報を提示している。
例えば、特許文献1に記載された技術は、シート形状を変化させることによって、運転者に対し、車両が走行する車線内の横位置および車両角度を知らせている。
特に、操舵反力等、操舵系統を介して支援情報を提示するシステムにおいては、運転者が行う操舵操作と支援情報を提示するために支援装置が行う制御とが整合しない場合があり、運転者が覚える違和感がさらに強いものとなる。
このように、従来の技術においては、運転者に違和感を与えることを防ぎつつ、車線内走行を支援することが困難であった。
本発明の課題は、運転者に与える違和感を防ぎつつ、車線内走行を支援することである。
<第1実施形態>
<構成>
まず、本実施形態の自動車の構成を説明する。
図1は、本実施形態の自動車1の構成を示す概略図である。
自動車1は、図1に示すように、車体1Aと、ステアリングホイール2と、入力側ステアリング軸3と、ハンドル角度センサ4と、操舵トルクセンサ5と、操舵反力アクチュエータ6と、操舵反力アクチュエータ角度センサ7と、転舵アクチュエータ8と、転舵アクチュエータ角度センサ9と、出力側ステアリング軸10と、転舵トルクセンサ11と、ピニオンギア12と、ピニオン角度センサ13と、ラックギア14と、タイロッド15と、タイロッド軸力センサ16と、車輪17FL〜17RRと、車両状態パラメータ取得部21と、外界認識部22と、方向指示スイッチ23と、車輪速センサ24FL〜24RRと、車線内走行支援コントローラ25と、コントロール/駆動回路ユニット26と、メカニカルバックアップ27と、を備えている。
入力側ステアリング軸3は、操舵反力アクチュエータ6を備えており、ステアリングホイール2によって入力された操舵入力に加え、操舵反力アクチュエータ6によって入力される操舵反力トルクが付与される。
ハンドル角度センサ4は、入力側ステアリング軸3に備えられ、入力側ステアリング軸3の回転角度(すなわち、運転者によるステアリングホイール2への操舵入力角度)を検出する。そして、ハンドル角度センサ4は、検出した入力側ステアリング軸3の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
操舵反力アクチュエータ6は、モータ軸と一体に回転するギアが入力側ステアリング軸3の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、入力側ステアリング軸3に操舵反力トルクを付与する。
転舵アクチュエータ8は、モータ軸と一体に回転するギアが出力側ステアリング軸10の一部に形成されたギアに噛合しており、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って、出力側ステアリング軸10を回転させる。
転舵アクチュエータ角度センサ9は、転舵アクチュエータ8の回転角度(すなわち、転舵アクチュエータ8が出力した転舵のための回転角度)を検出し、検出した回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
転舵トルクセンサ11は、出力側ステアリング軸10に備えられ、出力側ステアリング軸10の回転トルク(すなわち、ラックギア14を介した車輪17FL、17FRの転舵トルク)を検出する。そして、転舵トルクセンサ11は、検出した出力側ステアリング軸10の回転トルクをコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
ピニオン角度センサ13は、ピニオンギア12の回転角度(すなわち、ラックギア14を介して出力される車輪17FL、17FRの転舵角)を検出し、検出したピニオンギア12の回転角度をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
ラックギア14は、ピニオンギア12と噛合する平歯を有し、ピニオンギア12の回転を車幅方向の直線運動に変換する。
タイロッド軸力センサ16は、ラックギア14の両端部に設置されたタイロッド15それぞれに備えられており、タイロッド15に作用している軸力を検出する。そして、タイロッド軸力センサ16は、検出したタイロッド15の軸力をコントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
すなわち、転舵アクチュエータ8が、ステアリングホイール2と機械的に切り離した状態とされ、コントロール/駆動回路ユニット26の指示に従って出力側ステアリング軸10を回転させることで、前輪17FL、17FRを転舵させる構成となっている。
外界認識部22は、車両周囲の画像を撮影するカメラ(例えば、単眼カメラ)と、その撮影画像を解析し、車両前後方向と走行車線とがなす角(車両のヨー角)φr、車線中心を目標走行軌道とし、車線中心からの横変位Xおよび走行車線の曲率ρを算出する演算装置とを備えている。そして、外界認識部22は、演算装置によって算出した車両のヨー角φr、車線中心からの横変位Xおよび走行車線の曲率ρ(以下、これらをまとめて「車線内走行支援情報」という。)を、コントロール/駆動回路ユニット26に出力する。
方向指示スイッチ23は、運転者による方向指示レバーの操作に対応して、右方向あるいは左方向を示唆する方向指示灯を点灯させる。
また、方向指示スイッチ23は、方向指示動作が行われていること、および、その指示方向を示す動作信号を車線内走行支援コントローラ25に出力する。
車輪速センサ24FL〜24RRは、各車輪の回転速度を示すパルス信号を、車両状態パラメータ取得部21および車線内走行支援コントローラ25に出力する。
さらに、コントロール/駆動回路ユニット26は、操舵反力アクチュエータ角度センサ7によって検出された操舵反力アクチュエータ6の回転角度に応じて、前輪17FL、17FRの転舵角を制御させる制御信号を転舵アクチュエータ8に出力する。
なお、メカニカルバックアップ27は、例えば、ケーブル式ステアリング機構等によって構成することができる。
次に、車線内走行支援コントローラ25で実行される車線内走行支援処理を説明する。
図2は、車線内走行支援処理を示すフローチャートである。
この車線内走行支援処理は、図2に示すように、まず、そのステップS100で、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号を読み込む。
具体的には、まず、車輪速センサ24FL〜24RRから各車輪17FL〜17RRの回転速度を示すパルス信号、方向指示スイッチ23から方向指示の動作信号、外界認識部22から車線内走行支援情報(車両のヨー角φr、車線中心からの横変位Xおよび走行車線の曲率ρ)、コントロール/駆動回路ユニット26から操舵入力の状態(操舵入力角θs、操舵入力トルク等)および転舵出力の状態(転舵角θd、転舵トルク等)を読み込む。また、読み込んだパルス信号に基づいて各車輪17FL〜17RRの車輪速Vwi(i=1〜4)を算出する。
次に、外界認識部22(白線認識カメラ)から読み込んだ車線内走行支援情報に基づいて、走行車線左側の路側に障害物があるか否かを判定し、障害物がある場合には、以下の各ステップにおいて、読み込まれた車線中心線からの横変位Xから予め定められた正値を減算したものを「車線中心線からの横変位X」として用いる。
すなわち、走行車線左側の路側に障害物がある場合には、車線中心よりも右側に目標走行軌道を設定し、設定した目標走行軌道からの横変位を示すように車線中心からの横変位Xを補正する。また、障害物がない場合には、車線中心を目標走行軌道に設定し、読み込んだ車線中心からの横変位Xをそのまま用いる。
具体的には、前記ステップS100で算出した各車輪17FL〜17RRの車輪速Vwiに基づき、下記(1)式または(2)式に従って車速Vを算出する。
(前輪駆動の場合)
V=(Vw3+Vw4)/2 ・・・(1)
(後輪駆動の場合)
V=(Vw1+Vw2)/2 ・・・(2)
なお、ABS(Antilock Brake System)制御が作動している場合には、車速Vとして、ABS制御内で推定された推定車体速を用いる。
VAT=(2π・R)・W・(60/1000) ・・・(3)
具体的には、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xに基づき、下記(4)式に従って目標転舵角θoptを算出する。
θopt=Func1(X) ・・・(4)
ここで、目標転舵角θoptは、前輪17FL、17FRを右方向に転舵する場合には正値となり、左方向に転舵する場合には負値となる。
具体的には、まず、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xの絶対値が操舵判断しきい値XL1以上であるか否かを判定し、XL1以上である場合には(|X|≧XL1)反力制御を行うか否かを示す操舵制御開始判断フラグFstrをON状態、つまり、反力制御を行うことを示す状態とする。車線中心からの横変位Xが操舵判断しきい値XL1より小さい場合には(X<XL1)操舵制御開始判断フラグFstrをOFF状態、つまり、反力制御を行わないことを示す状態とする。
次に、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xが値「0」より大きいか否かを判定し、値「0」より大きい場合には(X>0)車両の変位方向を示す変位方向パラメータDstrをright、つまり、車線中心よりも右側を走行していることを示す状態とする。また、車線中心からの横変位Xが値「0」以下である場合には(X≦0)変位方向パラメータDstrをleft、つまり、車線中心よりも左側を走行していることを示す状態とする。
具体的には、まず、前記ステップS100で読み込んだ方向指示スイッチ23の信号に基づいて、方向指示スイッチ23が操作されているか否かを判定する。方向指示スイッチ23が操作されている場合には、方向指示スイッチ23の信号が示す方向Qと前記ステップS103で判定された変位方向パラメータDstrが示す方向とが等しいか否かを判定し、等しい場合には、車線中心からの横変位Xを増大させる操作を運転者が意図的に行っていると判定し、前記ステップS103で設定された操舵制御開始判断フラグFstrをOFF状態に変更する。方向Qと変位方向パラメータDstrが示す方向とが異なる場合には、運転者が意図的に行っていないと判定し、操舵制御開始判断フラグは変更しない。
次にステップS105に移行して、前記ステップS103またはS104で設定された操舵制御開始判断フラグFstrがON状態であるか否かを判定する。そして、ON状態である場合には(Yes)ステップS105に移行し、OFF状態である場合には(No)ステップS107に移行する。
具体的には、まず、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xに基づき、下記(5)式に従って操舵制御トルクTstrを算出する。
Tstr=Func2(X) ・・・(5)
ここで、操舵制御トルクTstrは、ステアリングホイール2を右回転させる場合には正値となり、左回転させる場合には負値となる。
一方、前記ステップS107では、操舵制御トルクTstrを値「0」としてから、前記ステップS108に移行する。
具体的には、前記ステップS102で算出した目標転舵角θoptに転舵角が一致するように転舵アクチュエータ8を制御するパラメータを算出するとともに、操舵反力が前記ステップS106またはS107で算出した操舵制御トルクTstrだけ増大するように操舵反力アクチュエータ6を制御するパラメータを算出してから、前記ステップS100に移行する。
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、車両が直進路で走行車線の中心付近を走行していたとする。すると、車線内走行支援コントローラ25で実行される走行支援制御によって、図2に示すように、まず、そのステップS100で、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号が読み込まれ、ステップS101で、読み込まれた各車輪17FL〜17RRの車輪速Vwiに基づいて車速Vが算出される。また、ステップS102で、前記読み込まれた車線中心からの横変位Xに基づいて目標転舵角θoptが算出される。
そして、コントロール/駆動回路ユニット26によって、出力側ステアリング軸10を回転させる指示が出力され、転舵アクチュエータ8によって、出力側ステアリング軸10が回転され、前輪17FL、17FRの転舵角が目標転舵角θoptの値とされる。
上記フローが繰り返されるうちに、車線中心からの横変位X(≧0)を増大させる操作を運転者が意図せずに行ってしまい、車両が走行車線の中心付近から外れていったとする。すると、走行支援制御によって、前記ステップS100およびS101を経て、前記ステップS102で、目標転舵角θoptが算出される。
また、コントロール/駆動回路ユニット26によって、転舵アクチュエータ8の目標転舵角θoptと実際の転舵角θdとの差に応じた操舵反力を発生させる指示に加え、操舵反力を増大させる指示も出力され、操舵反力アクチュエータ6によって、前記差に応じた操舵反力よりも操舵制御トルクTstrだけ大きい操舵反力が出力される。
一方、上記フローが繰り返されるうちに、走行車線左側の路側に障害物が現れ、車線中心よりも右側を走行させる操作を運転者が行ったとする。すると、走行支援制御によって、前記ステップS100で、車線中心よりも右側に目標走行軌道が設定され、設定された目標走行軌道からの横変位を示すように車線中心からの横変位Xが小さな値とされ、前記ステップS101を経て、前記ステップS102で、前記車線中心からの横変位Xに基づいて目標転舵角θoptが比較的小さい値とされる。
その結果、入力側ステアリング軸3の回転トルクの増大が行われず、前輪17FL、17FRの転舵角のみが制御されることで、車両が車線中心よりも右側を走行する。
(1)このように、本実施形態の車線内走行支援装置にあっては、目標走行軌道からの車両位置(車線中心からの横変位X)を基に、操向輪の転舵と操舵入力手段を介した報知動作とを、それぞれ異なる条件で制御し(転舵制御、反力制御)、車線内走行の支援を行うようにした。そのため、通常時には、操舵入力手段を介した報知動作を行わず、車線内の目標走行軌道を走行するように操向輪の転舵のみを行い、目標走行軌道からの逸脱度合いが大きいときにのみ前記転舵に加えて報知動作を行って、運転者に車線内を走行させるための支援情報を提供することで、操舵操作と支援情報とを整合させることができ、運転者の違和感を防止しつつ、車線内走行を支援することができる。
なお、操舵入力手段を介した報知動作としては、操舵反力を増大する方法の他に、ステアリングホイール2に振動を与える方法を挙げることができる。
(3)さらに、車両の走行位置(車線中心からの横変位X)が、目標走行軌道付近として設定された範囲内(|X|<XL1)にある場合には、操向輪(前輪17FL、17FR)の転舵角の制御のみを行い、報知動作としての操舵反力の増大を行わないようにした。そのため、目標走行軌道付近を走行している場合には、報知動作としての操舵反力の増大が行われないので、運転者の操舵操作への影響をなくすことができ、運転者の違和感をより適切に防止することができる。また、車線内の目標走行軌道を走行するように操向輪を転舵することで、運転者に直進性が向上したように感じさせることができる。
(5)さらに、車線中心を目標走行軌道とした。そのため、目標走行軌道を走行させることで、横風等の不規則な外乱が作用しても車線逸脱が発生し難くなり、走行車線内において安定した走行を実現することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態は、転舵制御、および車両が車線逸脱しないように制動力を発生する制動力制御のいずれかを行えるようにした点が前記第1実施形態と異なる。
具体的には、図5に示すように、自動車1は、ブレーキディスク18と、ホイールシリンダ19と、圧力制御ユニット20と、を備えている。また、図6に示すように、車線内走行支援処理として、図2のステップS104に代えてステップS204〜S209を用い、ステップS108の後にステップS215を挿入したものを備えている。
なお、図5の構成および図6の演算処理は、前記第1実施形態の図1の構成および図2の演算処理と同等の装置およびステップを多く含んでおり、同等の装置およびステップには同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
ブレーキディスク18は、車輪17FL〜17RRと一体に回転し、ホイールシリンダ19の押圧力によってブレーキパッドが押し当てられると、その摩擦力によって制動力を発生する。
ホイールシリンダ19は、各車輪17FL〜17RRに設置されたブレーキパッドを、ブレーキディスク18に押し当てる押圧力を発生する。
圧力制御ユニット20は、車線内走行支援コントローラ25の指示に従って、各車輪17FL〜17RRに備えられたホイールシリンダ19の圧力を個別に制御する。
コントロール/駆動回路ユニット26は、前記第1実施形態における転舵アクチュエータ8の目標転舵角θoptと実際の転舵角θdとの差に応じた操舵反力トルクに代え、車両が発生しているヨーモーメントに応じた操舵反力トルクを、車線内走行支援コントローラ25から入力される前記制御信号による操舵反力に加えて発生させる制御信号を操舵反力アクチュエータ6に出力する。
また、ステップS204では、車両に車線逸脱傾向があるか否かを判定する。
具体的には、まず、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xの絶対値が逸脱判断しきい値XL(>XL1)以上であるか否かを判定し、XL以上である場合には(|X|≧XL)車線逸脱傾向の有無を示す逸脱判断フラグFoutをON状態、つまり、車線逸脱傾向があることを示す状態とする。車線中心からの横変位Xの絶対値が逸脱判断しきい値XLより大きい場合には(|X|>XL)逸脱判断フラグFoutをOFF状態、つまり、車線逸脱傾向がないことを示す状態とする。
次に、車線逸脱傾向がある場合には、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xに基づいて、走行車線から左右いずれの方向への逸脱傾向があるのかを示す逸脱方向パラメータDoutを判定し、右方向への逸脱傾向がある場合には逸脱方向を示す逸脱方向パラメータDoutをrightとし、左方向への逸脱傾向がある場合には逸脱方向パラメータDoutをleftとする。
具体的には、まず、前記ステップS100で読み込んだ方向指示スイッチ23の信号に基づいて、方向指示スイッチ23が操作されているか否かを判定する。方向指示スイッチ23が操作されている場合には、方向指示スイッチ23の信号が示す方向Qと前記ステップS104で判定された変位方向パラメータDstrが示す方向とが等しいか否かを判定し、等しい場合には、車線中心からの横変位Xを増大させる操作を運転者が意図的に行っていると判定し、前記ステップS104で設定された操舵制御開始判断フラグFstrをOFF状態に変更する。方向Qと変位方向パラメータDstrが示す方向とが異なる場合には、運転者が意図的に行っていないと判定し、操舵制御開始判断フラグは変更しない。
次にステップS206に移行して、前記ステップS204またはS205で設定された逸脱判断フラグFoutがON状態であるか否かを判定する。そして、ON状態である場合には(Yes)ステップS207に移行し、OFF状態である場合には(No)ステップS210に移行する。
なお、警報ブザーに加えて制動力制御を行うようにしてもよい。そのようにすれば、制動によって運転者にGが作用し、警報効果を向上させることができる。
次にステップS208に移行して、車両が車線逸脱しないように制動力を制御する制動力制御に用いられるパラメータ(目標ヨーモーメントMs)を算出する。
具体的には、前記ステップS100で読み込んだ車線中心からの横変位Xに基づき、下記(6)式に従って目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1・K2・(|X|―XL) ・・・(6)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は車速Vに基づいて設定される比例ゲインである(図7参照)。
一方、前記ステップS210では、目標ヨーモーメントMsを値「0」としてから、前記ステップS105に移行する。
また、前記ステップS215では、各車輪17FL〜17RRの制動力の制御に関するパラメータを算出する。
具体的には、前記ステップ208またはS210で算出した目標ヨーモーメントMsにヨーモーメントが一致するように左右輪のホイールシリンダ19に圧力差を与えるパラメータを算出してから、前記ステップS100に移行する。なお、目標ヨーモーメントMsが値「0」である場合には、左右輪のホイールシリンダ19に圧力差を与えない。
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、直進路走行中、車線中心からの横変位Xを増大させる操作を運転者が意図せずに行ってしまい、車両が走行車線の中心付近から外れていったとする。すると、図6に示すように、走行支援制御によって、ステップS100およびS101を経て、ステップS102で、目標転舵角θoptが算出される。
また、圧力制御ユニット20によって、左右輪のホイールシリンダ19の圧力が増減され、ヨーモーメントとして目標ヨーモーメントMsの値が発生される。
また、コントロール/駆動回路ユニット26によって、車両のヨーモーメント(目標ヨーモーメントMs)に応じた操舵反力を発生させる指示に加え、操舵反力を増大させる指示も出力され、操舵反力アクチュエータ6によって、前記ヨーモーメントに応じた操舵反力よりも操舵制御トルクTstrだけ大きい操舵反力が出力される。
以上、本実施形態にあっては、図5の圧力制御ユニット20が特許請求の範囲に記載の制動力制御手段を構成し、以下同様に、図5の車線内走行支援コントローラ25、図6のステップS103、S204が車線内走行支援手段を構成する。
(1)このように、本実施形態の車線内走行支援装置にあっては、目標走行軌道からの車両位置(車線中心からの横変位X)を基に、操向輪の転舵と、操舵入力手段を介した報知動作と、制動力の制御とを、それぞれ異なる条件で制御し(転舵制御、反力制御、制動力制御)、車線内走行の支援を行うようにした。そのため、左右輪に制動力差を与えることで、車両のヨーモーメントを直接制御することもでき、車線内走行の支援と支援情報の提供とを高いレベルで実現することができる。
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
この第3実施形態は、車両が走行車線の端付近を走行している場合には、転舵制御、反力制御および制動力制御の全てを行う点が前記第2実施形態と異なる。
具体的には、図8に示すように、車線内走行支援処理として、図6のステップS100、S209に代えてステップS301、S311を用い、ステップS204とS205との間にステップS305を挿入し、ステップS205とS206との間にステップS307を挿入したものを備えている。
まず、そのステップS300では、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号を読み込む。
具体的には、車輪速センサ24FL〜24RRから各車輪17FL〜17RRの回転速度を示すパルス信号、方向指示スイッチ23から方向指示の動作信号、外界認識部22から車線内走行支援情報、コントロール/駆動回路ユニット26から操舵入力の状態および転舵出力の状態を読み込む。また、読み込んだパルス信号に基づいて各車輪17FL〜17RRの車輪速Vwiを算出する。
前記ステップS311では、前記ステップS208で算出された目標ヨーモーメントMsに基づき、下記(7)式に従って、前記ステップS103で算出された目標転舵角θoptを補正する。
修正後θopt=修正前θopt・Func3(Ms) ・・・(7)
ここで、目標ヨーモーメントMsは、車両が右方向に旋回する場合には正値となり、左方向に旋回する場合には負値となる。
なお、本実施形態では、転舵制御と制動力制御との干渉を考慮し、制動力による警報効果が損なわれないように制動力制御による目標ヨーモーメントMsの大きさを変化させず、目標転舵角θoptのみを減少させる例を示したが、例えば、制動力の発生に伴う加熱が問題となる場合や車速が低い場合には、目標転舵角θoptの大きさを変化させず、目標ヨーモーメントMsのみを減少させる方法も挙げられる。
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、直進路走行中、車線中心からの横変位Xを増大させる操作を運転者が意図せずに行ってしまい、車両が走行車線の中心付近から外れていったとする。また、車両の走行車線を区切る境界線を示すレーンマーカが車両の左右両側ともに実線であったとする。すると、図8に示すように、走行支援制御によって、まず、そのステップS300で、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号が読み込まれ、左白線種類パラメータLaneTypeLおよび右白線種類パラメータLaneTypeRがSolidLineとされ、走行地点パラメータAreaTypeがstraightroadとされる。また、ステップS101を経て、ステップS102で、目標転舵角θoptが算出される。
また、圧力制御ユニット20によって、左右輪のホイールシリンダ19の圧力が増減され、ヨーモーメントとして目標ヨーモーメントMsの値が発生される。
その結果、前輪17FL、17FRの転舵角の制御に加え、左右輪のホイールシリンダ19の圧力が増減されることで、車両を車線中心に向かわせるヨーモーメントが発生し、また、ヨーモーメントに応じて操舵反力が増大され、車両の車線逸脱の可能性が把握されて、運転者に操舵操作が促され、前輪17FL、17FRの転舵角の制御のみを行う場合よりも、車両が車線中心により確実に復帰するようになる。
また、一方、車両が分岐合流地点に進入した後、運転者が方向指示スイッチ23を操作せずに他車線への車線変更操作を行い、車両が走行車線の中心付近から右方向に外れていったとする。すると、走行支援制御によって、前記ステップS300で、走行地点パラメータAreaTypeがJunctionとされる。
その結果、左右輪のホイールシリンダ19の圧力の制御が行われず、車両を車線中心に向かわせるヨーモーメント、つまり、車線変更を妨げるヨーモーメントが抑制される。
以上、本実施形態では、図8のステップS103、S204、S305、S307が特許請求の範囲に記載の車線内走行支援手段を構成する。
(1)このように、本実施形態の車線内走行支援装置にあっては、車両の走行位置(車線中心からの横変位X)が、走行車線の端付近として設定された範囲(|X|≧XL)にある場合には、操向輪(前輪17FL、17FR)の転舵、報知動作としての操舵反力の増大および制動力の制御の全てを行うようにした。そのため、車線内走行の支援と支援情報の提供とをより確実に行うことができる。
(2)また、車両に道路外への逸脱傾向がある場合に、制動力の制御を行うようにした。そのため、走行状況に適した支援情報の報知が可能になり、運転者の違和感をより確実に低減することができる。
(3)さらに、車両に道路外への逸脱傾向があっても、分岐合流地点の付近では制動力の制御は行わないようにした。そのため、走行状況により適した支援情報の報知が可能になり、運転者の違和感をより確実に低減することができる。
次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。
この第4実施形態は、車両がセンタラインの無い対面通行路を走行している場合には、車線中心よりも左側に目標走行軌道を設定する点が前記第1実施形態と異なる。
具体的には、図10に示すように、車線内走行支援処理として、図2のステップS400に代えてステップS400〜S402を用いたものを備えている。
まず、そのステップS400では、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号を読み込む。
具体的には、車輪速センサ24FL〜24RRから各車輪17FL〜17RRの回転速度を示すパルス信号、方向指示スイッチ23から方向指示の動作信号、外界認識部22から車線内走行支援情報、コントロール/駆動回路ユニット26から操舵入力の状態および転舵出力の状態を読み込む。また、読み込んだパルス信号に基づいて各車輪17FL〜17RRの車輪速Vwiを算出する。
前記ステップS402では、下記(8)式に従って、前記ステップS400で読み込んだ車線中心からの横変位Xを補正する。
補正後X=補正前X+Wlane/4 ・・・(8)
ここで、Wlaneは道路幅である。
すなわち、車両がセンタラインの無い対面通行路を走行している場合には、車線中心よりも左側に目標走行軌道を設定し、設定した目標走行軌道からの横変位を示すように車線中心からの横変位Xを補正する。
次に、本実施形態の動作を具体的状況に基づいて説明する。
まず、直進路走行中、走行車線がセンタラインの無い対面通行路になったとする。すると、図10に示すように、走行支援制御によって、まず、そのステップS400で、各部に設置されたセンサおよび装置から入力される信号が読み込まれ、走行地点パラメータAreaTypeがAlleywayとされる。また、ステップS401の判定が「Yes」となり、ステップS402で、車線中心からの横変位Xが大きな値に補正され、車線中心よりも左側に目標走行軌道が設定されたときの当該目標走行軌道からの横変位の値(補正後X)とされ、ステップS101を経て、ステップS102で、前記補正後Xに基づいて目標転舵角θoptが算出される。
また、コントロール/駆動回路ユニット26によって、転舵アクチュエータ8の目標転舵角θoptと実際の転舵角θdとの差に応じた操舵反力を発生させる指示に加え、操舵反力を増大させる指示も出力され、操舵反力アクチュエータ6によって、前記差に応じた操舵反力よりも操舵制御トルクTstrだけ大きい操舵反力が出力される。
以上、本実施形態にあっては、図10のステップS401、S402が特許請求の範囲に記載の目標走行軌道設定手段を構成する。
(1)このように、本実施形態の車線内走行支援装置にあっては、センタラインの無い対面通行路を走行している場合には、車線中心よりも左側に目標走行軌道を設定し、設定した目標走行軌道からの車両位置を基に、操向輪の転舵と、運転者による操舵操作に対する操舵入力手段を介した報知動作とを行うようにした。そのため、対向車とのすれ違いが容易となり、安心感のある走行を実現することができる。
(2)また、片側二車線の一般道路において右側車線を走行している場合には、左側車線を走行している他車両が駐停車車両の回避のために右側車線に割り込んでくることを想定し、車線中心より右側に目標走行軌道を設定する方法も挙げられる。
Claims (13)
- 運転者による操舵操作が行われる操舵入力手段と、
前記操舵入力手段に入力された操舵操作の内容を検出する操舵入力検出手段と、
運転者による操舵操作に対して、前記操舵入力手段を介した報知動作を行う報知手段と、
前記操舵入力手段と機械的に切り離した状態とされ、操向輪を転舵させる転舵出力手段と、
前記操舵入力検出手段によって検出された操舵操作の内容に応じて、前記転舵出力手段による操向輪の転舵を制御する転舵出力制御手段と、
車両の走行状況に関する情報を取得する走行状況取得手段と、
前記走行状況取得手段によって取得された車両の走行状況に関する情報に基づいて目標走行軌道を設定する目標走行軌道設定手段と、
前記目標走行軌道設定手段で設定された目標走行軌道に対する車両の横変位を検出する車両位置検出手段と、
前記車両位置検出手段で検出された横変位を基に、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵と、前記報知手段による報知動作とを、それぞれ異なる条件で制御し、車線内走行の支援を行う車線内走行支援手段と、
を備えることを特徴とする車線内走行支援装置。 - 前記報知手段は、前記報知動作として操舵反力を増大することを特徴とする請求項1に記載の車線内走行支援装置。
- 各車輪の制動力をそれぞれ個別に制御する制動力制御手段を備え、
前記車線内走行支援手段は、前記車両位置検出手段で検出された車両位置を基に、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵と、前記報知手段による前記報知動作としての操舵反力の増大と、前記制動力制御手段による制動力の制御とを、それぞれ異なる条件で制御し、車線内走行の支援を行うことを特徴とする請求項2に記載の車線内走行支援装置。 - 前記車線内走行支援手段は、前記車両位置検出手段で検出された車両位置が、目標走行軌道付近として設定された範囲内にある場合には、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵を行い、前記報知手段による前記報知動作としての操舵反力の増大を行わないことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車線内走行支援装置。
- 前記車線内走行支援手段は、前記車両位置検出手段で検出された車両位置が、目標走行軌道付近として設定された範囲外にある場合には、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵および前記報知手段による前記報知動作としての操舵反力の増大の両方を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車線内走行支援装置。
- 前記車線内走行支援手段は、前記車両位置検出手段で検出された車両位置が、走行車線の端付近として設定された範囲にある場合には、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵、前記報知手段による前記報知動作としての操舵反力の増大および前記制動力制御手段による制動力の制御の全てを行うことを特徴とする請求項3に記載の車線内走行支援装置。
- 前記車線内走行支援手段は、前記車両位置検出手段で検出された車両位置が、走行車線の端付近として設定された範囲にある場合には、前記報知手段による前記報知動作としての操舵反力の増大および前記制動力制御手段による制動力の制御のみを行い、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵を行わないことを特徴とする請求項3に記載の車線内走行支援装置。
- 前記目標走行軌道設定手段は、車線中心を前記目標走行軌道とすることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車線内走行支援装置。
- 前記目標走行軌道設定手段は、車両がセンタラインの無い対面通行路を走行している場合には、車線中心よりも左側に前記目標走行軌道を設定することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車線内走行支援装置。
- 前記車線内走行支援手段は、車両に道路外への逸脱傾向があるか否かを判定し、道路外への逸脱傾向がある場合には、前記制動力制御手段による制動力の制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の車線内走行支援装置。
- 前記車線内走行支援手段は、車両に道路外への逸脱傾向があっても、前記車量位置検出手段で検出された車両位置が分岐合流地点の付近にある場合には、前記制動力制御手段による制動力の制御は行わないことを特徴とする請求項10に記載の車線内走行支援装置。
- 車体の車両前後方向前側に配置された操向輪と、
運転者による操舵操作が行われる操舵入力手段と、
前記操舵入力手段に入力された操舵操作の内容を検出する操舵入力検出手段と、
運転者による操舵操作に対して、前記操舵入力手段を介した報知動作を行う報知手段と、
前記操舵入力手段と機械的に切り離した状態とされ、前記操向輪を転舵させる転舵出力手段と、
前記操舵入力検出手段によって検出された操舵操作の内容に応じて、前記転舵出力手段による操向輪の転舵を制御する転舵出力制御手段と、
車両の走行状況に関する情報を取得する走行状況取得手段と、
前記走行状況取得手段によって取得された車両の走行状況に関する情報に基づいて目標走行軌道を設定する目標走行軌道設定手段と、前記目標走行軌道設定手段で設定された目標走行軌道に対する車両の横変位を検出する車両位置検出手段と、
前記車両位置検出手段で検出された横変位を基に、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵と、前記報知手段による報知動作とを、それぞれ異なる条件で制御し、車線内走行の支援を行う車線内走行支援手段と、
を備えることを特徴とする自動車。 - 車両の走行状況に関する情報に基づいて設定された目標走行軌道に対する車両の横変位を検出し、検出された横変位を基に、前記転舵出力制御手段による操向輪の転舵と、前記報知手段による報知動作とを、それぞれ異なる条件で制御し、車線内走行の支援を行うことを特徴とする車線内走行支援方法。
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