JP2009022844A - フッ素汚染土壌の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フッ素またはフッ素化合物の少なくともいずれかで汚染された土壌を、処理剤を残留させることなく、効率よく経済的に、かつ確実に浄化処理する。
【解決手段】(1)フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する工程、(2)その収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する工程、(3)その工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加し撹拌して上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定化処理する工程、(4)その工程を経た土壌に洗浄水を加えて残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させる工程、(5)その工程を経た土壌を、フッ素汚染物質を多く含む細粒土壌と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子を多く含む粗粒土壌とに分級して分離する工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】(1)フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する工程、(2)その収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する工程、(3)その工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加し撹拌して上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定化処理する工程、(4)その工程を経た土壌に洗浄水を加えて残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させる工程、(5)その工程を経た土壌を、フッ素汚染物質を多く含む細粒土壌と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子を多く含む粗粒土壌とに分級して分離する工程とを有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、フッ素またはフッ素化合物の少なくともいずれかで汚染された土壌(本発明では、それを総称して「フッ素汚染土壌」という)を浄化処理する浄化方法に関する。
2003年2月に土壌汚染対策法が施行された以降は、施行以前に比べて土壌洗浄法を取り入れた土壌汚染修復工事が行われるケースが増えている。土壌洗浄法とは、水または適当な溶媒を用いて、汚染物質および汚染物質を含む土壌粒子を、汚染物質を含まない土壌粒子と物理的・化学的に抽出分離する方法であり、これによって、廃棄物となる汚染土壌を少なくすることができる。その結果、汚染物質の漏出や拡散が生じないように厳重な設備を施した処分場に廃棄される汚染土壌を減容化できるという利点がある。従って、分離して得られた清浄な土壌の割合が高いほど、効率的な浄化処理方法といえる。
しかしながら、フッ素汚染土壌を浄化対象とする場合は、土壌洗浄法での実施事例自体があまりないのが実情である。これは、従来の土壌洗浄法単独では、フッ素含有量を環境基準(4000mg/kg)未満に下げることはできても、非現実的な大水量で繰り返し濯ぐ以外にフッ素溶出量を環境基準値(0.8mg/L)未満まで下げることが難しいケースが大半を占めるためである。
そこで、従来行われてきた例えば下記特許文献1に示されるフッ素の代表的処理法であるカルシウム化合物を含む処理剤による不溶化法とほぼ同様な処理を洗浄法の後段で行うことが考えられる。しかし、それによってフッ素溶出量を下げることは可能であるが、洗浄後の清浄土壌に過剰分のカルシウム化合物などの不溶化処理剤が残留するという問題がある。
そのため、土壌洗浄法により浄化された土壌を掘削跡の埋め戻しに利用しようとする場合、過剰分の処理剤が多量に残留している浄化土は、その利用範囲が著しく狭められるため、洗浄する利点が少なくなってしまう。このような状況の下で浄化土に処理剤を残留させることなく、フッ素溶出量を環境基準未満まで確実に下げることのできる浄化方法が望まれていた。
本発明は上記のような要望に応えるべく提案されたもので、浄化土に処理剤を残留させることなく、効率よく経済的に、かつ確実に浄化処理することのできるフッ素汚染土壌の浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の要望に応えるべく鋭意検討を重ねた結果、フッ素で汚染された土壌粒子表面からフッ素汚染物質を剥離した直後に、可溶性カルシウム塩粉末を添加して土壌粒子表面から剥離しているフッ素汚染物質を効率よくカルシウムイオンと反応させた上で、その後段で洗浄水を添加して、添加したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させることにより、さらにまた、フッ素汚染物質とカルシウムイオンとの反応生成物や過剰のカルシウム塩を含む細粒部を湿式分級して取り除くことにより、フッ素汚染土壌の浄化を、浄化土に処理剤を残留させずに効率よく経済的に、かつ確実に浄化処理することができることを見出して、本発明を完成するに至ったものである。
即ち、本発明によるフッ素汚染土壌の浄化方法は、フッ素汚染土壌を土壌洗浄法で浄化する方法であって、
(1)フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する土壌収集工程と、
(2)上記土壌収集工程で収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する汚染物質剥離工程と、
(3)上記汚染物質剥離工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加して撹拌することによって上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定化処理する固定化処理工程と、
(4)上記固定化処理工程を経た土壌に洗浄水を加え、残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させるカルシウム塩溶解工程と、
(5)上記カルシウム塩溶解工程を経た土壌を、フッ素汚染物質を多く含む細粒土壌と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子を多く含む粗粒土壌とに分級して回収する土壌回収工程と
を有することを特徴とする。
(1)フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する土壌収集工程と、
(2)上記土壌収集工程で収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する汚染物質剥離工程と、
(3)上記汚染物質剥離工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加して撹拌することによって上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定化処理する固定化処理工程と、
(4)上記固定化処理工程を経た土壌に洗浄水を加え、残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させるカルシウム塩溶解工程と、
(5)上記カルシウム塩溶解工程を経た土壌を、フッ素汚染物質を多く含む細粒土壌と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子を多く含む粗粒土壌とに分級して回収する土壌回収工程と
を有することを特徴とする。
上記(1)の土壌収集工程で収集する土壌の粒径範囲は、0.03〜20mmとするのが望ましい。
上記のように構成された本発明によるフッ素汚染土壌の浄化方法によれば、浄化土に処理剤が残留することなく、効率よく経済的に、かつ確実にフッ素汚染土壌を浄化することが可能となる。また上記のように浄化土に処理剤が残留しないので、浄化土を埋め戻しに利用する場合の利用範囲が狭められることなく有効に再利用できる等の効果がある。
以下、本発明によるフッ素汚染土壌の浄化方法を具体的に説明する。なお、本発明のフッ素汚染土壌の浄化方法は、特に下記(3)の固定化処理工程で、フッ素汚染物質を可溶性のカルシウム塩粉末との撹拌による接触反応でフッ化カルシウムに固定化させることが重要である。以下、工程順に詳細に説明する。
(1)土壌収集工程 (フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する工程)
先ず、フッ素で汚染された汚染土壌に水を加えてスラリーとする。その手段や手順は適宜であるが、例えば汚染土壌をドラム式撹拌機に供給すると共に、該ドラム撹拌機内に水を供給して上記汚染土壌と撹拌混合してスラリーにすればよい。
次に、上記のようにして得られたスラリーを湿式分級することによって、所定粒径範囲の汚染土壌を分離収集する。その湿式分級する手段は適宜であるが、例えば振動篩、スパイラル分級機、サイクロン分級機、サンドマスターなどを使用することができる。
また上記湿式分級によって収集する土壌の粒径は、0.03〜20mmの範囲内とするのが望ましい。土壌の粒径が0.03mm未満のものには他の粒径のものよりも汚染物質が多く含まれ、汚染濃集物として処理した方が効率が良いからであり、また粒径が20mmを超える土壌は汚染が比較的少なく、必ずしも浄化しなくてもよい場合があり、また浄化する必要がある場合にも別工程で浄化した方が効率がよいからである。もちろん、粒径0.03〜20mmのうち更に特定の粒度範囲を分級のみで清浄土として取り出すことができる場合は、その清浄土として取り出すことができる粒径範囲を分けて取り出し、後に続く汚染物質剥離工程の処理対象から外すことも可能である。
さらに上記所定粒径範囲の土壌を湿式分級により分離収集する際、一度に分級できない場合には、前記の分級する手段を適宜組み合わせて使用するのが好ましい。具体的には例えば振動篩を用いて粒径2〜20mmの土壌を分離収集し、次いでスパイラル分級機を用いて粒径0.03〜2mmの土壌を分離収集する等その他適宜である。上記のようにして分離収集した土壌からは水気を充分に切っておくことが望ましい。
(2)汚染物質剥離工程 (上記土壌収集工程で収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する工程)
次に、前記(1)の土壌収集工程で収集した所定粒径範囲の土壌を撹拌することによって、土壌粒子相互間で磨砕、すなわち擦り合わせて、土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する。
この汚染物質を剥離する工程を実施する装置構成等は適宜であるが、例えば撹拌磨耗式アトリションマシーンなどを使用することができる。具体的には、例えば前記(1)の土壌収集工程で収集した粒径0.03〜20mmの土壌を、撹拌摩耗式アトリションマシーンに供給して撹拌することによって、土壌粒子相互間で磨砕処理がなされ、それによって土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離することができる。
上記の汚染物質剥離工程では、水分はできるだけ供給せず、土壌粒子のみの磨砕により効率的に剥離させることが望ましい。なお、粒径が20mmを超える粒子を撹拌研磨式アトリションマシーンに投入すると、そのアトリションマシーンの撹拌研磨機構の運転に支障が出て円滑な処理ができなくなる場合が散見され、その点からも前記(1)の土壌収集工程で分離収集する土壌の粒径範囲は20mm以下とするのが望ましい。
(3)固定化処理工程 (上記汚染物質剥離工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加して撹拌することによって上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定化処理する工程)
前記(2)の汚染物質剥離工程終了後もしくは該工程中の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加して撹拌することによって、前記の土壌粒子表面から剥離したフッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて水に難溶な状態にするもので、それを実施する装置構成等は適宜であり、例えばドラム式撹拌機等が使用できるが、前記(2)の汚染物質剥離工程を終えた状態の土壌を、機内に蓄えている前記の撹拌磨耗式アトリションマシーンに、可溶性カルシウム粉末を投入し撹拌してもよい。
上記の可溶性カルシウム塩としては、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられるが、水に可溶なものであれば、これらに限定されるものではない。
この固定化処理工程においては、まだ工程内の水分量が少なく、添加した可溶性カルシウム塩の全てが水相に溶解している必要はない。土壌粒子へのカルシウムイオンの吸着などで水相中のカルシウムイオンが消費される都度、消費された分のカルシウムイオンが水相に補給される状態を保つことができればよい。土壌粒子に接する水の量を極力抑えつつ、この水相中にカルシウム塩が常に飽和状態付近の濃度で溶解している状態をこの工程中保つことが重要である。このことにより、この工程で要するカルシウム添加量を極力抑えることが可能となり、効率的に処理することができる。
なお、可溶性フッ素汚染物質を不溶化する場合、水中に溶解したカルシウムイオンで、フッ素汚染物質を不溶化するのが一般的であるが、フッ素汚染物質との接触頻度を高め、確実に不溶化するためには、大量のカルシウム塩が必要であり、また過剰のカルシウム塩が清浄土に残留したり、これを洗浄除去するために大量の洗浄水が必要となるなどの問題が生じてしまう。それに対し、本発明においては、この工程で水相中のカルシウムイオン濃度を充分に高めた状態を保つことにより、土壌粒子表面から剥離されたフッ素汚染物質が、カルシウムイオンと効率よく反応して、水等に不溶なフッ化カルシウムの微細粒として固定化され、再度土壌粒子表面に付着しにくい状態になるので、効果が大きい。
上記の固定化処理は、既述のように前記(2)の汚染物質剥離工程終了後に行ってもよいが、その工程と同時、すなわち上記汚染物質剥離工程中に行うこともできる。例えば、前記(2)の汚染物質剥離工程において、所定粒径範囲の土壌に可溶性カルシウム塩を添加した上で撹拌することによって、土壌粒子相互間で磨砕して該土壌粒子の表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離すると同時に、その剥離したフッ素汚染物質とカルシウムイオンとを反応させることができる。それによって、より効率的な処理が可能となる。
また上記の固定化処理を行う際のハンドリング等を容易にするために、必要に応じて上記可溶性カルシウム塩の粉末に少量の水を加えたスラリーとすることも可能であるが、このとき加える水は、ハンドリングできる範囲の最小限量に抑えるのが好ましい。
(4)カルシウム塩溶解工程 (上記固定化処置工程を経た土壌に洗浄水を加え、残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させる工程)
次に、前記(3)の固定化処理工程を経た土壌に水を加えて撹拌し、カルシウム塩を水中に溶解させるもので、それを実施する装置構成等は適宜であるが、例えば撹拌槽(撹拌機付きの槽)等を使用することができる。具体的には、例えば前記(3)の固定化処理工程を終えて撹拌磨耗式アトリションマシーンから排出した土壌を撹拌槽に溜め、その撹拌槽に洗浄水を投入して撹拌すればよい。
その際、投入する洗浄水の量は、前記(3)の固定化処理工程で添加した可溶性カルシウム塩の全てが水相に溶解するのに充分な量とすることが望ましい。ただし、前記(3)の固定化処理工程を経た土壌中に残留したカルシウム塩の全てが水相に溶解しなくても、引き続く後述の土壌回収工程で残留する固体状態のカルシウム塩が湿式分級によって細粒側に分離されるのであれば、差し支えない。
(5)土壌回収工程 (上記カルシウム塩溶解工程を経た土壌を、剥離されたフッ素汚染物質を多く含む微細粒分と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子からなる粗粒分とに分級して回収する工程)
次に、前記(4)のカルシウム塩溶解工程を経た土壌を、フッ化カルシウムとして固定化されたフッ素汚染物質を多く含む微細粒分と、フッ素汚染物質が剥離されて浄化された後の土壌粒子からなる粗粒分とに、湿式分級により分離し、粗粒分側を浄化された清浄土として回収する。なお、前記(4)で過剰分のカルシウム塩が固体状態で残留した場合も、微細粒分側にこのとき分離できれよい。
上記微細粒分と粗粒分のそれぞれの粒径範囲は適宜であるが、例えば粒径0.03mm以下を微細粒分として分離し、粒径0.03mm以上の粗粒分を清浄土として回収すればよい。粒径0.03mm以下を微細粒分として分離除去したのは、その範囲がフッ素汚染物質が剥離除去された後フッ化カルシウムとして固定化された微細粒子を多く含むからである。
上記の湿式分級する手段は適宜であり、例えば傾斜スクリーン、サイクロン、振動篩などを使用することができる。また粒径範囲に応じて適宜組み合わせて使用することもできる。例えば、前記(4)のカルシウム塩溶解工程を経た土壌から、先ず傾斜スクリーンを用いて粒径0.5mm以上の浄化された土壌を分離回収する。引き続き傾斜スクリーンの篩下(粒径0.5mm以下の部分)から、更に細かい分級点を持つサイクロンを用いて、粒径0.03〜0.5mmの浄化された土壌を回収し、粒径0.03mm以下のフッ素汚染物質が濃集した微細粒分と分離すればよい。傾斜スクリーンで回収した粒径0.5mm以上のものと、サイクロンで回収した粒径0.03〜0.5mmのものを併せた粗粒分が浄化された清浄土壌ということになる。
上記のようにして粗粒分として分離回収した土壌は、フッ素汚染物質が非常に少なく、フッ素溶出量を前記の環境基準値以下にすることも容易であり、清浄な土壌としてそのまま再利用することができる。
また上記の土壌回収工程で微細粒分として分離した土壌スラリー、特に上記例では粒径0.03mm以下の細かい微細粒分スラリーが残り、そのスラリー中にはフッ素汚染物質が多く含まれているので、凝集沈殿工程などを経て汚染濃集産物として回収することによって、効率的でかつ確実なフッ素汚染土壌の処理が可能となる。
なお、前記(3)の固定化処理工程で添加した可溶性カルシウム塩のうち固定化に利用されることなく残ったものの大部分は、前記(4)のカルシウム塩溶解工程で溶解して上記土壌スラリーと共に凝集沈殿工程などを経て分離回収される。また上記カルシウム塩が溶解することなく固体状態で前記(5)の土壌回収工程に導かれた場合でも、その大部分は前記(3)の固定化処理工程で細粒化しているため、微細粒スラリー中に混入した状態で処理される。
上記実施形態においては、前記(1)の土壌収集工程で収集する土壌の粒径範囲を1つの範囲、特に前記例においては粒径0.03〜20mmの範囲とし、その範囲で収集した土壌を一括して前記(2)〜(5)の工程からなる浄化処理を行ったが、複数の範囲で収集した土壌をそれぞれ別々に上記の浄化処理を行ってもよい。例えば、前記(1)の土壌収集工程の具体例では、粒径0.03〜2mmと粒径2〜20mmの汚染土壌を、それぞれ別々に収集した後に1つにまとめて浄化処理を行うようにしたが、上記別々に収集した土壌をそれぞれ別々に浄化処理してもよい。また上記の粒径範囲は前記(5)の土壌回収工程での分級範囲に合わせて(例えば粒径0.03〜0.5mmと粒径0.5〜20mmとに)分離収集してそれぞれ別々に浄化処理を行ってもよい。
以下、本発明による浄化方法によって、フッ素で汚染された土壌の浄化処理を行った具体的な実施例および比較例について説明する。
〔実施例1〕
フッ素で汚染されているサイトAから掘り出した汚染土壌に対して、本発明の浄化処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであつた。
フッ素で汚染されているサイトAから掘り出した汚染土壌に対して、本発明の浄化処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであつた。
先ず初めに、処理対象となった汚染土壌5tを、水5m3とともにドラム撹拌機に投入し撹拌してスラリーとした。次に、そのフッ素汚染土壌のスラリーを、まず振動篩にかけて粒径2〜20mmの土壌を取り出し、引き続き、その篩下をスパイラル分級機に投入して粒径0.03〜2mmの土壌を取り出して水切りした。なお、ここで取り出した粒径0.03〜20mmの土壌の粒分は、合わせて3.5tであった。
上記のようにして取り出して水切りした粒径0.03〜20mmの土壌を、撹拌摩耗式アトリションマシーンに供給し、約5分間撹拌することによって、粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離した。次いで、上記アトリションマシーンに硫酸カルシウム二水和物粉末を7.7kg投入し、更に3分間撹拌することによって、土壌粒子表面から剥離したフッ素汚染物質とカルシウムイオンを反応させて固定化処理した。
次に、その固定化処理した土壌を、アトリションマシーンから抜き出して、洗浄水4m3が入った撹拌槽に投入して撹拌し、全ての硫酸カルシウムを水相へ溶解させた。引き続き、上記撹拌槽の中のものから、シャワー付き傾斜型スクリーンを用いて粒径0.5mm以上の処理済み粒子を取り出し、次いで、その篩下をサイクロンに投入して粒径0.03mm以上の処理済み粒子を取り出した。
上記のようにして取り出した粒径0.03mm以上の処理済み粒子は合計3.1t回収され、そのフッ素溶出量は0.2mg/L未満と、土壌環境基準をクリアするところまで浄化されていることが確認できた。
〔実施例2〕
実施例1と同じ処理対象土壌を用い、本発明の浄化処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであつた。
実施例1と同じ処理対象土壌を用い、本発明の浄化処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであつた。
先ず初めに、処理対象の汚染土壌5tを、水5m3とともにドラム撹拌機に投入し撹拌してスラリーとした。次に、そのフッ素汚染土壌のスラリーを、まず振動篩にかけて粒径2〜20mmの土壌を取り出し、引き続き、その篩下をスパイラル分級機に投入して粒径0.03〜2mmの土壌を取り出し、水切りした。なお、ここで取り出した粒径0.03〜20mmの土壌の粒分は、合わせて3.5tであった。
上記のようにして取り出して水切りした粒径0.03〜20mmの土壌を、撹拌摩耗式アトリションマシーンに供給し、5分間撹拌することによって、粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離した。次いで、上記アトリションマシーンに水酸化カルシウム粉末を4.7kg投入し、更に3分間撹拌することによって、土壌粒子表面から剥離したフッ素汚染物質とカルシウムイオンを反応させて固定化処理した。
次に、その固定化処理した土壌を、アトリションマシーンから抜き出して洗浄水3m3が入った撹拌槽に投入して撹拌し、全ての水酸化カルシウムを水相へ溶解させた。次いで、上記撹拌槽の中のものから、シャワー付き傾斜型スクリーンを用いて粒径0.5mm以上の処理済み粒子を取り出し、引き続き、その篩下をサイクロンに投入して粒径0.03mm以上の処理済み粒子を取り出した。
上記のようにして取り出した粒径0.03mm以上の処理済み粒子は合計3.1t回収され、そのフッ素溶出量は0.2mg/L未満と、土壌環境基準をクリアするところまで浄化されていることが確認できた。
〔比較例1〕
フッ素で汚染されているサイトAから掘り出した汚染土壌に対して、添加する可溶性カルシウム塩を全量水で溶解してから添加し、その他は前記実施例1に示すプロセスに準じた処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであった。
フッ素で汚染されているサイトAから掘り出した汚染土壌に対して、添加する可溶性カルシウム塩を全量水で溶解してから添加し、その他は前記実施例1に示すプロセスに準じた処理を実施した。この汚染土壌の処理前のフッ素溶出量は1.8mg/Lであった。
先ず初めに、処理対象となった汚染土壌5tを、水5m3とともにドラム撹拌機に投入し撹拌してスラリーとした。次に、そのスラリーを、先ず振動篩にかけて粒径2〜20mmの土壌を取り出し、引き続き、その篩下をスパイラル分級機に投入し、粒径0.03〜2mmの土壌を取り出し、水切りした。なお、ここで取り出した粒径0.03〜20mmの土壌の粒分は、合わせて3.5tであった。
上記のようにして取り出した粒径0.03〜20mmの土壌を、撹拌摩耗式アトリションマシーンに供給し、約8分間撹拌することによって、粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離した。次いで、洗浄水4m3に硫酸カルシウム二水和物粉末7.7kgを撹拌槽に投入して、硫酸カルシウムが完全に溶解するまで撹拌し、そこにアトリションマシーンから抜き出した土壌を投入して15分間撹拌した。
次に、上記撹拌槽の中のものから、シャワー付き傾斜型スクリーンを用いて粒径0.5mm以上の処理済み粒子を取り出し、引き続きその篩下をサイクロンに投入して粒径0.03mm以上の処理済み粒子を取り出した。その取り出した粒径0.03mm以上の処理済み粒子は合計3.0t回収されたが、そのフッ素溶出量は1.1mg/Lとなり、土壌環境基準をクリアすることができなかった。
以上のように本発明によるフッ素汚染土壌の浄化方法によれば、浄化土に処理剤を残留させずに効率よく経済的に、かつ確実に、フッ素汚染土壌を浄化することが可能となり、しかも上記のように浄化土に処理剤が残留しないので、浄化土を埋め戻しに利用する場合の利用範囲が広がり、産業上の利用価値や利用可能性を高めることができるものである。
Claims (2)
- フッ素汚染土壌を土壌洗浄法で浄化する浄化方法であって、
(1)フッ素汚染土壌に水を加えてスラリーにした後に所定粒径範囲の土壌を湿式分級により収集する土壌収集工程と、
(2)上記土壌収集工程で収集した土壌を撹拌することにより土壌粒子相互間で磨砕して土壌粒子表面に付着しているフッ素汚染物質を剥離する汚染物質剥離工程と、
(3)上記汚染物質剥離工程終了後もしくは該工程の土壌に可溶性カルシウム塩の粉末を添加して撹拌することによって上記フッ素汚染物質をカルシウムイオンと反応させて固定する固定化処理工程と、
(4)上記固定化処理工程を経た土壌に洗浄水を加え、残留したカルシウム塩を洗浄水中に溶解させるカルシウム塩溶解工程と、
(5)上記カルシウム塩溶解工程を経た土壌を、フッ素汚染物質を多く含む細粒土壌と、汚染物質が剥離された後の土壌粒子を多く含む粗粒土壌とに分級して回収する土壌回収工程と
を有することを特徴とするフッ素汚染土壌の浄化方法。 - 上記(1)の土壌収集工程で収集する土壌の粒径範囲を、0.03〜20mmとした請求項1に記載のフッ素汚染土壌の浄化方法。
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JP2007186599A JP2009022844A (ja) | 2007-07-18 | 2007-07-18 | フッ素汚染土壌の浄化方法 |
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CN109731901A (zh) * | 2019-01-14 | 2019-05-10 | 北京泷涛环境修复有限公司 | 一种氟化物污染土壤的稳定化修复药剂及修复方法 |
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2007
- 2007-07-18 JP JP2007186599A patent/JP2009022844A/ja not_active Withdrawn
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