JP2009016539A - 圧粉磁心用粉末、圧粉磁心用粉末の製造方法、及び圧粉磁心 - Google Patents

圧粉磁心用粉末、圧粉磁心用粉末の製造方法、及び圧粉磁心 Download PDF

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Abstract

【課題】圧粉磁心への成型時及び成型後の熱処理時であっても、磁性粉末同士の絶縁性を容易に確保することができる圧粉磁心用粉末を提供する。
【解決手段】磁性粉末11の表面に少なくとも絶縁層12が被覆された圧粉磁心用粉末10であって、絶縁層12として、磁性粉末11の表面11aから絶縁層の層厚さ方向に沿って、少なくとも第一絶縁層12aと第二絶縁層12bとが順次形成されており、前記第二絶縁層12bの硬度は前記第一絶縁層12aの硬度よりも高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁性粉末の表面に少なくとも絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末、その製造方法、及び該圧粉磁心用粉末により成型された圧粉磁心に係り、特に、絶縁性に優れた圧粉磁心用粉末、その製造方法、及び圧粉磁心に関する。
従来から、電動機等に用いる磁心は、磁性粉末を含む粉末を圧粉成型することにより製造されている。このような圧粉磁心に用いられる粉末(圧粉磁心用粉末)は、加圧成型後の各磁性粉末間の絶縁性を確保するために、磁性粉末の表面に絶縁層が被覆されている。
例えば、前記圧粉磁心用粉末は、磁性粉末の表面にシリコーン樹脂等の絶縁性に優れた高分子樹脂を塗布し、絶縁層として樹脂層を被覆したり、磁性粉末の表面に化学気相蒸着法(CVD)によりシリカ(SiO)等の酸化物を蒸着させ、前記絶縁層として酸化物層を被覆することがある。この他にも、圧粉磁心用粉末として、磁性粉末の表面から、絶縁層として、酸化物絶縁層、シリコーン樹脂層が順次形成された圧粉磁心用粉末が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2006−233295号公報
ところで、前記圧粉磁心用粉末から圧粉磁心を製造する場合には、前記粉末を金型内に充填し、時には1000MPa以上の高圧条件で成型する。そして、成型後の成型体は、炉内に投入されて、数100℃の非酸化雰囲気炉内で焼鈍され、ひずみ除去熱処理が行われる。しかし、圧粉磁心用粉末の絶縁層としてシリコーン樹脂の樹脂層を形成した場合には、成型時の圧力または熱処理時の樹脂の軟化に伴い、図4に示すように、樹脂層72の樹脂が磁性粉末71の表面71aから流動し、粉末間の3重点73に凝縮する場合がある。この結果、磁性粉末71同士が直接接触してしまい、充分な絶縁特性を確保することができない場合がある。また、前記熱処理の条件によっては、シリコーン樹脂などの高分子樹脂は、変質したり、化学変化を起すこともあり、所望の絶縁特性が得られない場合もある。
一方、前記絶縁層としてシリカ等の酸化物層を被覆した場合には、酸化物は脆性材料であるため、成型時の磁性粉末の塑性変形と共に変形することができず(塑性変形に追従できず)、酸化物層は破壊されてしまう。この場合も同様に、磁性粉末同士が直接接触することになり、十分な絶縁特性を得ることができない。
さらに、特許文献1の粉末を用いた場合であっても、同様に、加圧成型初期成型時に粉末の外側層を構成するシリコーン樹脂が押し流されて粉末間の3重点に凝縮される。その後、シリコーン樹脂層が無くなった粉末の酸化物絶縁層同士が接触し、前記したと同様に、酸化物絶縁層が破壊され、磁性粉末同士が直接接触することになってしまう。また、磁性粉末が鉄系材料である場合には、純鉄とシリカの相性は良いとは言えない。よって、磁性粉末の表面に、安定して均一なシリカの絶縁層を形成することは難しい。このような場合、磁性粉末の原材料は、シリカに比較的馴染み性の良い、鉄−シリコン合金などの材料になどに制約される場合もある。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧粉磁心への成型時及び成型後の熱処理時であっても、磁性粉末にかかわらず磁性粉末同士の絶縁性を確保することができる、圧粉磁心用粉末、該粉末の製造方法、及び前記圧粉磁心用粉末により成型された圧粉磁心を提供することにある。
前記課題を解決すべく、本発明に係る圧粉磁心用粉末は、磁性粉末の表面に少なくとも絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末であって、前記絶縁層として、前記磁性粉末の表面から前記絶縁層の層厚さ方向に沿って、少なくとも第一絶縁層と第二絶縁層とが順次形成されており、前記第二絶縁層の硬度は前記第一絶縁層の硬度よりも高いことを特徴とする特徴とする。
本発明に係る圧粉磁心用粉末によれば、第二絶縁層の硬度が第一絶縁層の硬度よりも高い絶縁層としたことにより、少なくとも以下の4つの利点を得ることができる。第一に、加圧成型時に、硬質である第二絶縁層に大きな応力が作用した場合であっても、第二絶縁層と磁性粉末との間のある軟質の第一絶縁層が前記応力に対する緩衝材として機能し、硬質の第二絶縁層の変形・破壊を抑制し、磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。
第二に、相対的に軟質である第一絶縁層が磁性粉末の表面から押出され、第一絶縁層の成分が粉末間の3重点に凝集した場合であっても、第一絶縁層を覆っている硬質の第二絶縁層が、磁性粉末の間に配置されることになり、磁性粉末の絶縁性を確保することができる。
第三に、前記応力よりもさらに高い応力が作用して、硬質の第二絶縁層が破壊された場合であっても、破壊された第二絶縁層の破片が磁性粉間に分散され、該分散された破片の間の空間を満たすように、軟質の第一絶縁層の成分が移動し、磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。
最後に、成型後の焼鈍時において、例えば第二絶縁層が変質した場合であっても、第一絶縁層の成分が変質なく絶縁性を確保することができれば、磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。
また、本発明にいう絶縁層とは、成形後の磁性粉末(粒子)間の電気的絶縁性を確保するための層である。また本発明にいう、第二絶縁層の硬度が第一絶縁層の硬度よりも高いとは、第二絶縁層を構成する材料が、第一絶縁層を構成する材料に比べて、相対的に硬質であることを意味し、このような関係とすることにより、第一絶縁層は、第二絶縁層に比べて、外力により変形しやすいことになる。
また、本発明に係る圧粉磁心用粉末は、前記第一絶縁層の硬度が、前記磁性粉末の硬度よりも低いことがより好ましい。本発明に係る圧粉磁心用粉末によれば、第一絶縁層の硬度を前記磁性粉末の硬度よりも低くしたことにより、成型時の磁性粉末の変形に追従するように前記第一絶縁層が変形可能となり、第二絶縁層は破壊され難い。この結果、磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。なお、本発明にいう前記第一絶縁層の硬度が、前記磁性粉末の硬度よりも低いとは、前記第一絶縁層を構成する材料が、前記磁性粉末を構成する材料に比べて、相対的に軟質であることを意味する。
本発明に係る圧粉磁心用粉末は、前記第二絶縁層の硬度が、前記磁性粉末の硬度よりも高いことがより好ましい。本発明によれば、第二絶縁層を磁性粉末よりも硬質にしたことにより、加圧成型時に第二絶縁層が破壊されたとしても、その破片が磁性粉末の表面に刺さり、該破片の投錨効果によって軟質の第一絶縁層の流動を抑制することができる。この結果、磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。
また、本発明に係る圧粉磁心用粉末は、前記第一絶縁層が高分子樹脂からなり、前記第二絶縁層が金属酸化物などの酸化物からなることがより好ましい。本発明によれば、第二絶縁層を酸化物にすることにより、加圧成型後の焼鈍時に、高分子樹脂が変質した場合であっても、酸化物は変質しないので、磁性粉末間の絶縁性を安定的に確保することができる。たとえば、上記高分子樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、または、シリコーン樹脂などの高分子樹脂を挙げることができ、酸化物として、シリカ、アルミナ、または、ジルコニアなどのセラミックス系材料を挙げることができ、耐熱性のある酸化物であることが好ましい。さらに、前記第一絶縁層の層厚さは、10nm〜10μm、より好ましくは、10nm〜2μmである。本発明によれば、前記層厚さの範囲の第一絶縁層を設けることにより、より好適に磁性粉末間の絶縁性を確保することができる。すなわち、第一絶縁層の層厚さが10nmよりも薄い場合には、第一絶縁層が加圧成型時に緩衝材として機能し難く、磁性粉末間の絶縁性を充分に確保することが難しい。さらに、2μmよりも厚い場合には、第一絶縁層の機能をそれ以上期待することができず、また、10μmよりも厚い場合には、成型後の圧粉磁心の焼鈍時に、第一絶縁層の収縮量が大きくなり、圧粉磁心の寸法精度を確保することが難しくなる。
また、より好ましい態様としては、本発明に係る圧粉磁心用粉末は、前記第一絶縁層はシリコーン樹脂からなり、前記第二絶縁層はシリカからなる。本発明によれば、前記第一絶縁層の材質をシリコーン樹脂とし、前記第二絶縁層の材質をシリカ(SiO)としたことにより、シリカとシリコーン樹脂は、同じSi元素を主成分として含むので、馴染み性がよく、高温時におけるシリコーン樹脂の凝集防止効果を高めることができる。また、材料コストも比較的安価であり、圧粉磁心の大量生産に際してその製造コストを可及的に廉価にできる。
また、本発明に係る磁性粉末は、軟磁性金属粉末が好ましく、例えば、鉄、コバルト、または、ニッケルなどを挙げることができる。より好ましい材料として鉄系の材料であり、例えば、鉄(純鉄)、鉄−シリコン系合金、鉄−窒素系合金、鉄−ニッケル系合金、鉄−炭素系合金、鉄−ホウ素系合金、鉄−コバルト系合金、鉄−リン系合金、鉄−ニッケル−コバルト系合金、または、鉄−アルミニウム−シリコン系合金などが挙げられる。また、磁性粉末は、水アトマイズ粉末、ガスアトマイズ粉末、または粉砕粉末等を挙げあることができ、加圧成型時における絶縁層の破壊の抑制を考慮した場合、粉末の表面に凹凸の少ない粉末を選定することがより好ましい。
また、前記磁性粉末の平均粒径は、5μm〜500μmが好ましく、さらに好ましくは、20μm〜450μmである。前記範囲の磁性粉末を用いることにより、絶縁性に優れた圧粉磁心を得ることができる。すなわち、平均粒径が20μmよりも小さい場合には、該粉末の表面に均一な厚みの第一絶縁層と第二絶縁層を被覆することが難しくなる場合があり、平均粒径が5μmよりも小さい場合には前記理由に加え、磁性粉末そのものを製造することが難しく、製造コストが高くなることがある。一方、450μmよりも大きい場合には、絶縁層を構成する絶縁材料の割合が低下してしまい、所望の磁気特性及び絶縁性(比抵抗)を得ることができ難く、500μm以上である場合には、前記理由に加え粉末を圧粉成型し難くなる。
本発明として、前記圧粉磁心用粉末を製造するに好適な圧粉磁心用粉末の製造方法を以下に開示する。本発明に係る圧粉磁心用粉末の製造方法は、磁性粉末の表面に少なくとも絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末を製造するための方法であって、該製造方法は、前記磁性粉末に第一絶縁層を被覆する工程と、該被覆された磁性粉末に、前記第一絶縁層の硬度よりも高い第二絶縁層を被覆する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、上述した少なくとも4つの利点を有した圧粉磁心用粉末を得ることができる。また、本発明に係る絶縁層を被覆する方法としては、液相法(ゾル−ゲル法)、化学気相蒸着法(CVD)、物理気相蒸着法(PVD)、CCVD(燃焼化学気相蒸着法)、陽極酸化処理、などを挙げることができ、均一かつ均質に絶縁層を被覆することができる方法であれば、特のその方法は限定されるものではない。
また、本発明に係る圧粉磁心の製造方法は、前記第一絶縁層として、前記磁性粉末の硬度よりも硬度が小さい材料を被覆することがより好ましく、前記第二絶縁層として、前記磁性粉末の硬度よりも硬度が高い材料を被覆することがより好ましい。本発明によれば、前記硬さの関係を満たすように絶縁層を被覆することにより、成形後の磁性粉末(粉末がからなる粒子)間に少なくとも一方または双方の絶縁層の一部を残存させ、磁性粉末間の絶縁性を確実に確保することができる。
さらに、前記第一絶縁層として高分子樹脂を被覆し、前記第二絶縁層として金属酸化物を被覆することが好ましく、より好ましくは、前記第一絶縁層としてシリコーン樹脂を被覆し、前記第二絶縁層としてシリカを被覆することである。本発明によれば、第一及び第二の絶縁層を前記材料で被覆することにより、磁性粉末間の絶縁性を確実に確保することができる。また、前記第一絶縁層として、シリコーン樹脂を被覆する場合には、磁性粉末の表面にシリコーン樹脂を塗布し、さらに第二絶縁層として、シリカを被覆する場合には、シリコーン樹脂の塗布後の粉末を、LPGガスとシラン化合物含むシラン系ガスとを燃焼させた雰囲気中に投入し、粉末の表面にシリカを蒸着させる方法(燃焼化学気相蒸着法(CCVD法))により被覆することがより好ましい。
上記する圧粉磁心用粉末を成型型内に充填し、温間金型潤滑成型法により加圧成型し、乾燥及びクーリングを行い、最後に焼鈍によりひずみ除去熱処理を行うことで、高い磁束密度を有し、絶縁性が確保された圧粉磁心を得ることができる。また、前記温間金型潤滑成型法で圧粉磁心に加圧成型することにより、従来の室温成型に比べてより高い圧力で圧粉磁心に成型することができる。
絶縁性及び磁気特性に優れた前記圧粉磁心は、ハイブリッド車や電気自動車の駆動用電動機を構成するステータやロータ、電力変換機を構成するリアクトル用のコア(リアクトルコア)に好適である。
上記説明から理解できるように、本発明によれば、加圧成型時に圧粉成型用粉末の表面に形成される絶縁層が破壊されることを防止することができ、焼鈍時における絶縁層の凝集を効果的に防止することができるため、高い絶縁性を有する圧粉磁心を得ることができる。
以下に、図面を参照して、本発明に係る圧粉磁心用粉末の実施形態に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る圧粉磁心用粉末を示した模式図を示しており、(a)は、圧粉磁心用粉末の全体図であり、(b)は、(a)のAの部分拡大図である。図2は、該圧粉磁心用粉末により圧粉磁心を圧粉成型したときの絶縁層の挙動を説明するための図であり、(a)は、圧粉成型前の粉末を示した模式図であり、(b)は成型型内に投入時に圧粉成型前の粉末の状態を説明するための模式図であり、(c)、(d)は、成型後の粉末の状態を説明するための模式図である。
図1(a),(b)に示すように、本実施形態に係る圧粉磁心用粉末10は、磁性粉末11の表面に少なくとも絶縁層12が被覆された粉末である。より具体的には、絶縁層12として、前記磁性粉末11の表面11aから絶縁層12の層厚さ方向に沿って、少なくとも第一絶縁層12aと第二絶縁層12bとが順次被覆されている。
磁性粉末11は、ガスアトマイズにより製造された純鉄からなる粉末であり、平均粒径が20〜450μmの範囲の軟磁性金属粉末である。また、第一絶縁層12aは、磁性粉末11の表面にシリコーン樹脂を塗布することにより、形成されたシリコーン樹脂からなる絶縁層である。さらに、第二絶縁層12bは、LPGガスとシランガスを用いて、燃焼気相化学蒸着法により、第一絶縁層12aの表面に、被覆されたシリカからなる層である。
前記材料により圧粉磁心用粉末10を製造することにより、第二絶縁層12bの硬度が第一絶縁層12aの硬度よりも高い関係を満たし、第一絶縁層12aの硬度が、磁性粉末11の硬度よりも低い関係を満たし、かつ、第二絶縁層12bの硬度が、磁性粉末11の硬度よりも高い関係を満たすことになる。このような関係を同時に満たすことにより、この圧粉磁心用粉末10を用いて圧粉成型した圧粉磁心は、従来のものに比べて磁気特性をより向上させることができる。
以下に圧粉磁心用粉末10を用いた圧粉磁心の製造方法について簡単に説明する。具体的には、まず、図2(a)に示すように、磁性粉末11の表面から、第一絶縁層(シリコーン樹脂層)12a、第二絶縁層(シリカ層)12bが形成された圧粉磁心用粉末10を準備する。次に、圧粉磁心用粉末10を成型型内に配置する。このとき、図2(b)に示すように、圧粉磁心用粉末10同士は接触しているが、結合していない。その後、成型型内の圧粉磁心用粉末10同士を加圧して、圧粉磁心を成型し、成型後、非酸化雰囲気炉内で焼鈍し、ひずみ除去熱処理を行う。このとき、図2(c)に示すように、第一絶縁層12aに比べ硬質である第二絶縁層12bに成型による応力が作用した場合であっても、第二絶縁層12bと磁性粉末11との間のある軟質の第一絶縁層12aが前記応力に対する緩衝材として機能し、硬質の第二絶縁層12bの変形・破壊を抑制される。
また、図2(d)に示すように、相対的に軟質である第一絶縁層12aが磁性粉末の表面から押出され、第一絶縁層12aの成分が粉末間の3重点13に凝集した場合であっても、第一絶縁層を覆っている硬質の第二絶縁層12bが、磁性粉末11の間に配置される。また、さらに高い応力が作用して、磁性粉末11の塑性変形に追従できず硬質の第二絶縁層12bが破壊された場合であっても、破壊された第二絶縁層12bの破片が磁性粉間に分散され、該分散された破片が磁性粉末11の表面に刺さり、破片間の空間を満たすように、軟質の第一絶縁層12aの一部が移動する。さらに、この破片により、圧粉磁心の焼鈍時には、シリコーン樹脂の3重点への凝集を抑制する投錨効果も期待できる。このようにして、加圧成型及びその後の焼鈍時においても、磁性粉末11の間に絶縁層が確保されるので、磁気特性の優れた圧粉磁心を得ることができる。
(実施例1)
磁性粉末として平均粒径200μmの純鉄粉を準備した。次に、純鉄粉の表面にシリコーン樹脂を塗布し、層厚さ1μmの第一絶縁層を被覆した。さらに、LPGガスとシラン化合物を原料とした燃焼化学気相蒸着法により、磁性粉末上の第一絶縁層の表面に、層厚さ200nmのシリカからなる第二絶縁層を被覆した。
このようにして製造された圧粉磁心用粉末を所定量準備し、該粉末を金型内に充填して温間金型潤滑成型法により成型体を得た。さらに、該成型体を700℃の温度条件で、45分間焼鈍処理を行い、圧粉磁心に相当する試験体を製作した。該試験体に対して比抵抗を測定した。この結果を図3に示す。なお、図3に示す比抵抗値は、後述する比較例1の比抵抗値を正規化したものである。
[比較例1]
実施例1と同じようにして、圧粉磁心用粉末を製作した。実施例1と相違する点は、準鉄粉の表面に、絶縁層としてシリコーン樹脂の第一絶縁層のみを被覆した点である。そして、この粉末を用いて、実施例1と同じようにして、圧粉成型、焼鈍を順次行い試験体を製作し、該試験体の比抵抗を測定した。この結果を図3に示す。
[比較例2]
実施例1と同じようにして、圧粉磁心用粉末を製作した。実施例1と相違する点は、純鉄粉の表面に、絶縁層としてシリコーン樹脂を塗布せずに、燃焼化学気相蒸着法によりシリカからなる第二絶縁層のみを被覆した点である。そして、この粉末を用いて、実施例1と同じようにして、圧粉成型、焼鈍を順次行い試験体を製作し、該試験体の比抵抗を測定した。この結果を図3に示す。
[結果]
図3に示すように、実施例1、比較例1、比較例2の順に比抵抗値が高く、実施例1の比抵抗値は、比較例1のものに比べて3.3倍であった。
[考察]
実施例1の比抵抗値が他のものに比べて高かったのは、成型及び焼鈍時であっても、純鉄粉同士の間にシリコーン樹脂及びシリカからなる絶縁層が確保されていたからであると考えられる。一方、比較例1が前記比抵抗値となったのは、成型及び焼鈍時に、シリコーン樹脂の絶縁層が、押出され粉末間の3重点に凝集され、磁性粉末同士が金属接触したこと、及び焼鈍時の熱処理によりシリコーン樹脂の変質によりシリコーン樹脂の絶縁特性が低下したことによると考えられる。さらに、比較例2が前記比抵抗値となったのは、成型時に、磁性粉末の塑性変形にシリカの絶縁層が追従できず破壊したことによると考えられる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
たとえば、本実施形態では、磁性粉末の表面に第一絶縁層、第二絶縁層を順次被覆したが、成型時及び焼鈍時に上述した第一絶縁層と第二絶縁層の機能が確保されるのであれば、磁性粉末の表面と第一絶縁層との間、第一絶縁層と第二絶縁層との間に、新たな層を設けてもよい。
本実施形態に係る圧粉磁心用粉末を示した模式図であり、(a)は、圧粉磁心用粉末の全体図であり、(b)は、(a)のAの部分拡大図。 該圧粉磁心用粉末により圧粉磁心を圧粉成型したときの絶縁層の挙動を説明するための図であり、(a)は、圧粉成型前の粉末を示した模式図であり、(b)は成型型内に投入時に圧粉成型前の粉末の状態を説明するための模式図であり、(c)及び(d)は、成型後の粉末の状態を説明するための模式図。 実施例1、比較例1、比較例2の試験体の比抵抗値を示した図。 従来の圧粉磁心用粉末を用いて成型した成型体の組織拡大図。
符号の説明
10:圧粉磁心用粉末、11:磁性粉末、12:絶縁層、12a:第一絶縁層、12b:第二絶縁層、71:磁性粉末

Claims (12)

  1. 磁性粉末の表面に少なくとも絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末であって、
    前記絶縁層として、前記磁性粉末の表面から前記絶縁層の層厚さ方向に沿って、少なくとも第一絶縁層と第二絶縁層とが順次形成されており、
    前記第二絶縁層の硬度は前記第一絶縁層の硬度よりも高いことを特徴とする圧粉磁心用粉末。
  2. 前記第一絶縁層の硬度は、前記磁性粉末の硬度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心用粉末。
  3. 前記第二絶縁層の硬度は、前記磁性粉末の硬度よりも高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心用粉末。
  4. 前記第一絶縁層は高分子樹脂からなり、前記第二絶縁層は酸化物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  5. 前記第一絶縁層はシリコーン樹脂からなり、前記第二絶縁層はシリカからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧粉磁心用粉末。
  6. 前記請求項1〜5のいずれかに記載の圧粉磁心用粉末により、成型された圧粉磁心。
  7. 磁性粉末の表面に少なくとも絶縁層が被覆された圧粉磁心用粉末を製造するための方法であって、
    該製造方法は、前記磁性粉末に第一絶縁層を被覆する工程と、該被覆された磁性粉末に、前記第一絶縁層の硬度よりも高い第二絶縁層を被覆する工程と、を含むことを特徴とする圧粉磁心用粉末の製造方法。
  8. 前記第一絶縁層として、前記磁性粉末の硬度よりも硬度が小さい材料を被覆することを特徴とする請求項7に記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
  9. 前記第二絶縁層として、前記磁性粉末の硬度よりも硬度が高い材料を被覆することを特徴とする請求項7又は8に記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
  10. 前記第一絶縁層として高分子樹脂を被覆し、前記第二絶縁層として酸化物を被覆することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
  11. 前記第一絶縁層としてシリコーン樹脂を被覆し、前記第二絶縁層としてシリカを被覆することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の圧粉磁心用粉末の製造方法。
  12. 前記請求項7〜11のいずれかに記載の方法により製造された圧粉磁心用粉末により成型された圧粉磁心。
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