JP2009015727A - 下水道管路施設の維持管理方法 - Google Patents

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泰寛 山下
Akihito Matsushita
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Abstract

【課題】自治体の公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行う、下水道管路施設の維持管理技術の適正化を図り、以って下水道経営の健全化対策に資する。
【解決手段】複数の下水道管路施設に関し、所定の資産状況パラメータを格納した資産状況反映情報を作成するとともに保持するステップと、所定の単位路線毎に、資産状況反映情報に基づいて評価して、維持管理を優先して行うべき単位路線に関する第1の情報を抽出するステップと、自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災に関する所定の評価パラメータを格納した地震防災対策設定情報を作成するとともに保持するステップと、地震防災対策を優先して講じるべき単位路線に関する第2の情報を抽出するステップと、第1の情報と第2の情報の双方に基づいて、維持管理、改築、修繕および/または布設替え工事を優先して行うべきかの調査をする調査優先路線情報を抽出するステップを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、自治体の公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行う下水道管路施設の維持管理技術に関するものである。
自治体の公共下水道における下水道管路施設は、道路の占有物件として道路の下に埋設された地下構造物であり、異常現象を早期に判明し難いことから、計画的な維持管理がなされてはじめて、その機能を発揮できる施設とされる。そのため、従来より、下水道管路施設の維持管理を支援する種々の技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。また、近年、自治体の公共下水道経営の健全化対策に関する動きが高まる中、下水道管路施設の包括的な維持管理技術向上を図る施策が重要課題として掲げられている。わが国でこれまで行われてきた下水道管路施設を対象とした維持管理は、不具合が発生した後に対応を行う「発生対応型」での取り組みが主体的であるが、今後は社会的ニーズに対応した下水道管路施設の有効利用や機能の高度化(高規格化や耐震性能の向上等)を図る要請あるところ、「発生対応型」の維持管理にかえて、機能診断・寿命予測により不具合発生前に事前に対処する「予防発生型」での取り組みによって、維持管理および改築・更新を計画的にマネジメントしていくことが重要とされる。
特開2002−51598号公報
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、自治体の公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行う、下水道管路施設の維持管理技術の適正化を図り、以って下水道経営の健全化対策に資することを課題とする。
上記課題を解決するために、各請求項記載の発明が構成される。なお、本発明は、自治体の公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理技術に対し適用され得る。ここでいう「下水道管路施設」とは、道路の占有物件として道路の下に埋設された地下構造物であり、典型的には、各種の管路、ます、取付管、マンホール等がこの下水道管路施設として挙げられる。
本発明に係る下水道管路施設の維持管理方法は、公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行うための維持管理方法であって、以下に示す第1〜第5のステップを含む。なお、これら第1〜第5のステップの実施順序は必要に応じて適宜設定可能であり、またこれら第1〜第5のステップのうちの複数を組み合わせて1つのステップとすることもできる。また、これら第1〜第5のステップに対し、更なる別のステップを加えることもできる。
第1のステップは、複数の下水道管路施設における、所定の資産状況パラメータを格納した資産状況反映情報を作成するとともに保持するステップとされる。ここでいう「資産状況反映情報」としては、下水道管路施設のデジタルマップないし航空写真等によって構成される地図情報、複数の下水道管路施設の資産管理台帳および設備管理台帳を含む施設情報等が挙げられる。これら資産状況反映情報に、建設費、建設年度、維持管理履歴、耐震診断履歴、機能診断履歴、劣化診断履歴等の資産状況パラメータが格納されている。
第2のステップは、複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、第1のステップによって保持された資産状況反映情報に基づいて評価して、維持管理を優先して行うべき単位路線に関する第1の情報を抽出するステップとされる。ここでいう「第1の情報」は、各単位路線に付された、維持管理を優先して行うべき優先度であって、典型的にはポイント(点数)、順位(ランク)、またこれらポイントや順位を示す図形、図柄、色彩等として出力される。
第3のステップは、資産状況反映情報とは別に、自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災に関する所定の評価パラメータを格納した地震防災対策設定情報を作成するとともに保持するステップとされる。ここでいう「地震防災対策設定情報」としては、典型的には所定の評価パラメータとして、下水道管路施設の重要管路条件(緊急輸送道路、避難路の有無)、路線条件(幹線或いは枝線、防災拠点ないし避難地と処理場が直結、被災時の緊急輸送路下に埋設、被災時の避難路下に埋設、軌道下に埋設)、施設条件(管種、耐震化施工、老朽化の程度)、地盤条件(活断層、液状化層、地下水位の状況、側方流動の危険度、盛土地盤、急傾斜地)等を格納した情報が挙げられる。
第4のステップは、複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、第3のステップによって保持された地震防災対策設定情報に基づいて評価して、地震防災対策を優先して講じるべき単位路線に関する第2の情報を抽出するステップとされる。ここでいう「第2の情報」は、各単位路線に付された、地震防災対策を優先して行うべき優先度であって、典型的にはポイント(点数)、順位(ランク)、またこれらポイントや順位を示す図形、図柄、色彩等として出力される。
第5のステップは、第2のステップによって抽出された第1の情報と、第4のステップによって抽出された第2の情報の双方に基づいて、維持管理、改築、修繕および/または布設替え工事を実際に行うべきかの調査を優先して実施すべき調査優先路線情報を抽出するステップとされる。ここでいう「調査優先路線情報」としては、第1の情報と第2の情報の双方による包括的な判断に基づいて、各単位路線に付された、調査を優先して行うべき最終的な優先度であって、典型的にはポイント(点数)、順位(ランク)、またこれらポイントや順位を示す図形、図柄、色彩等として出力される。
本発明に係る下水道管路施設のこのような維持管理方法によれば、第1〜第5のステップを遂行することによって、下水道管路施設の維持管理という観点と、下水道管路施設の地震防災対策という観点の双方から、調査を優先して行うべき最終的な優先度を抽出することによって、より適正な評価を行うことができ、以って下水道経営の健全化対策に資することが可能となる。また、下水道管路施設の地震防災対策の評価に関しては、とりわけ自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災対策設定情報を用いることとしているため、自治体の地域防災計画が反映されたより現実的な評価を行うことが可能となる。かくして、「発生対応型」の維持管理に代えて、機能診断・寿命予測により不具合発生前に事前に対処する「予防発生型」での取り組みによって、維持管理および改築・更新を計画的にマネジメントしていくことができ、社会的ニーズに対応して下水道管路施設の有効利用や機能の高度化(高規格化や耐震性能の向上等)を図りたいという要請に応えることが可能となる。
本発明に係る維持管理方法の更なる形態では、更に、前記の第5のステップによって抽出された調査優先路線情報に基づく計画的な維持管理の実施に関するステップを有するのが好ましい。典型的には、このステップによって、維持管理に要する事業費(維持管理コスト)を算出するとともに、当該事業費の年度間のばらつきがある場合、例えば各年度における維持管理に要する事業費が相対的に大きい場合や、当該事業費の年度間のばらつきが大きい場合には、事業費を低減する処理や、事業費のピークをずらす(ピークの高い事業費の一部を他の年度に振分ける)処理を遂行することによって、事業費の平準化を図る。このような処理により、維持管理に要する事業費を予防的に支出することで、下水道管路施設の延命化を図るとともに、効率の良い改築・更新の時期を計画することができ、以って突発的な発生対応から予防的な対応を図ることが可能となり、維持管理に要する事業費の平準化が図られた事業計画が策定されることとなる。
本発明に係る維持管理方法の更なる形態では、更に、下水道使用料金の改定に関するステップを有するのが好ましい。典型的には、このステップによって、下水道使用料の対象経費および下水道使用料体系の設定がなされる。この下水道使用料の対象経費は、典型的には、汚水処理にかかる経費(維持管理分および資本分)として算出される。また、下水道使用料体系の設定に際し、典型的には、一般家庭等からの一般排水と、工場・事業場からの特定排水の区分については、それぞれ使用料の対象費用の範囲が異なるので、一般家庭が通常排出する生活排水の実態、生活関連業種の実態等に留意しながらその適正な区分基準を決定するのが好ましい。また、大量排水については、資本費の増大要因による側面も考慮し、汚水処理費用の要因に対応した適正な使用料体系を採用するのが好ましい。また、使用者間の負担の公平を図るとともに、一定の基準を超える水量の排水抑制を図るため、自治体の排水実態、終末処理場の処理能力等を勘案したうえで、必要な場合には、水量による使用料に上乗せして水質使用料を徴収するのが好ましい。この場合には、下水道の機能を著しく妨げ、または施設を損傷することのない限度内および放流水の水質基準を遵守することが可能な限度内とすべきであり、水質濃度については一般家庭の平均的排水濃度をもって下限とされる。このような処理により、適正な下水道使用料体系を構築することができ、以って下水道事業の健全化を図ることが可能とされる。
本発明に係る維持管理方法の更なる形態では、更に、公営企業会計導入に関するステップを有するのが好ましい。典型的には、第1〜第5のステップをはじめ、調査優先路線情報に基づく計画的な維持管理の実施に関するステップや、下水道使用料金の改定に関するステップによって得られた、下水道管路施設に関する各種情報を各自治体に提案(提示)する処理を行う。このような処理によって、各自治体が個別に行う公営企業会計の実施を促す(働きかけを行う)のに有効とされる。
以上のように、本発明によれば、自治体の公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行う、下水道管路施設の維持管理技術の適正化を図ることができ、以って下水道経営の健全化対策に資することとなった。
以下、本発明における「下水道管路施設の維持管理方法」の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施の形態の下水道管路施設の維持管理方法の全体的な処理フローが示される。この維持管理方法は、公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行うために有効な方法であって、図1に示すような処理(ステップS10〜ステップS90)を順次遂行することによって達成される。また、ステップS10〜ステップS90の各ステップの更なる詳細な構成に関しては図2〜図4が参照される。図2には、図1中のステップS10における下水道管路施設情報のデータベース化処理の具体的な処理フローが示される。図3には、図2中のステップS32における耐震化に関する優先度の設定処理の具体的な処理フローが示される。図4には、図1中のステップS70における下水道事業経営の健全化処理の具体的な処理フローが示される。
なお、本実施の形態において「維持管理」とは、下水道管路施設が設計で見込んだ性能にて稼働するようにするための点検および修理等を行って、施設を維持および管理することをいう。また、ここでいう「下水道管路施設」とは、道路の占有物件として道路の下に埋設された地下構造物であり、典型的には、各種の管路、ます、取付管、マンホール等がこの下水道管路施設として挙げられる。
ステップS10は、複数の下水道管路施設に関し、所定の資産状況パラメータを格納した資産状況反映情報を作成するとともに保持する処理とされる。具体的には、下水道管路施設に関する各種の資産状況反映情報を集積してデータベース化し、データベース化したこの資産状況反映情報を保存する。この資産状況反映情報としては、複数の下水道管路施設のデジタルマップないし航空写真等によって構成される地図情報、複数の下水道管路施設の資産管理台帳および設備管理台帳を含む施設情報等が挙げられる。これら資産状況反映情報に、建設費、建設年度、維持管理履歴、耐震診断履歴、機能診断履歴、劣化診断履歴等の資産状況パラメータが格納されている。ステップS10においてデータベース化した資産状況反映情報は、メモリやハードディスク等(後述する記憶部140)に記憶させておき、後述するステップS30〜S90における処理時に都度読み込んで用いるのが好ましい。このステップS10が、本発明における「複数の下水道管路施設に関し、所定の資産状況パラメータを格納した資産状況反映情報を作成するとともに保持する第1のステップ」に相当する。
なお、ここでいう「資産管理台帳」とは、土地、施設および設備を資産と考えて管理する台帳をいう。施設および設備は、耐用年数から建設からの経過年数を差し引きした年数だけその施設および設備を使用できると考え、その施設および設備は、使用できる期間に価値があるため、その価値を資産と考え、またそれらを管理するものを資産管理台帳という。この資産管理台帳では、典型的には下水道事業において取得した固定資産の取得年度、取得原価、残存価格、耐用年数等が網羅される。この資産管理台帳を用いることにより、固定資産の適正な管理によって、下水道事業を経済的かつ効率的に実施することが可能となる。また、ここでいう「設備管理台帳」とは、対象施設を構成する設備の名称、形状寸法、メーカー名、点検業者名、消耗品名、消耗品の購入先等を管理するシステムを設備管理台帳という。
ステップS30は、ステップS10においてデータベース化した出力情報に基づいて、各下水道管路施設の維持管理、改築・更新の計画を作成する処理とされる。このステップS30は、図2に示すように、各下水道管路施設の調査に関する重要度を定量評価するステップS31〜S34、維持管理概算事業費を算出するステップS35および事業計画を策定するステップS36によって少なくとも構成される。
ステップS31は、各下水道管路施設の維持管理に関する優先度の設定を行うステップとされる。このステップS31では、典型的には、ステップS10においてデータベース化した資産状況反映情報のうち、「維持管理の優先度」という観点によって抽出された抽出情報、具体的には既設情報(幹線或いは枝線、供用年度、補修履歴、点検・調査履歴、苦情・事故履歴)、腐食劣化情報(近傍にポンプ場或いは圧送管或いは伏越、段差、下水滞留、臭気発生履歴)、構造劣化情報(管種、主要道路、土被り)に対し、予め設定されたポイントを付与して積算する。これにより、各下水道管路施設に関し、「維持管理の優先度」という観点での評価ポイントP1が算出(抽出)される。
このステップS31が、「複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、第1のステップによって保持された資産状況反映情報に基づいて評価して、維持管理を優先して行うべき単位路線に関する第1の情報を抽出する第2のステップ」に相当し、また当該第2のステップによって算出される評価ポイントP1が、本発明における「維持管理を優先して行うべき単位路線に関する第1の情報」に相当する。
ステップS32は、各下水道管路施設の耐震化に関する優先度の設定を行うステップとされる。このステップS32では、資産状況反映情報とは別に、「地震防災対策の優先度」という観点によって抽出された、下水道管路施設に関する地震防災対策設定情報、具体的には所定の評価パラメータとして、重要管路条件(緊急輸送道路、避難路の有無)、路線条件(幹線或いは枝線、防災拠点ないし避難地と処理場が直結、被災時の緊急輸送路下に埋設、被災時の避難路下に埋設、軌道下に埋設)、施設条件(管種、耐震化施工、老朽化の程度)、地盤条件(活断層、液状化層、地下水位の状況、側方流動の危険度、盛土地盤、急傾斜地)等を格納した情報を集積してデータベース化し、データベース化したこの地震防災対策設定情報を保存する。更に、この地震防災対策設定情報に対し、予め設定されたポイントを付与して積算する。これにより、各下水道管路施設に関し、「地震防災対策の優先度」という観点での評価ポイントP2が算出(抽出)される。なお、第2の評価ポイントP2および前記の第1の評価ポイントP1のポイント設定については、図7の「評価ポイント一覧表」を用いて後述する。
このステップS32によって、本発明における「資産状況反映情報とは別に、自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災に関する所定の評価パラメータを格納した地震防災対策設定情報を作成するとともに保持する第3のステップ」および「複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、第3のステップによって保持された地震防災対策設定情報に基づいて評価して、地震防災対策を優先して講じるべき単位路線に関する第2の情報を抽出する第4のステップが構成され、また当該第4のステップによって算出される評価ポイントP2が、本発明における「地震防災対策を優先して講じるべき単位路線に関する第2の情報」に相当する。
ここで、このステップS32の更なる具体的な処理は、図3によって参照される。この図3には、図2中のステップS32を構成するステップS41〜S47が示される。
ステップS41では、自治体が既に策定している地域防災計画を調査し、内容を把握することによって、地震防災対策のレビューを行う。ステップS42では、住民や地域の視点を反映した上で、地震発生時に下水道が有すべき役割や機能に係る検討を実施する。ステップS43では、施設台帳等による耐震設計強度の整理により、想定される地震での液状化予測を含む下水道管路施設への影響を把握する処理を行う。ステップS44では、ステップS41においてレビューした自治体の地域防災計画に基づき、被災時の影響評価を踏まえ、中長期の防災目標を設定し、緊急時の目標として、5年以内に実施すべき事項を盛り込む処理を行う。下水道施設としての管路施設に対する防災目標は、下水の流下機能の確保と緊急輸送路の確保とされ、また処理場・ポンプ施設に対する防災目標は、最低限の処理機能および揚水機能の確保とされる。ステップS45では、防災目標を勘案し、被災時の暫定対応を想定し、対応方法および必要な事前措置に係る減災目標を設定する処理を行う。下水道施設の被災は、トイレが使用できないほど市民生活に深刻な影響を及ぼすばかりでなく、汚水の滞留・流出に伴う伝染病の発生や、雨水排除機能等の喪失による甚大な浸水被害の発生等、多くの住民の生命・財産を危険にさらす重大な二次災害を発生させるおそれがある。また、マンホールの浮き上がり等が交通機能への障害となり救援活動に支障を来すことになる。そこで、これらの被害の拡大を避けるべく減災目標を設定する。ステップS46では、被害予測を踏まえて、優先順位を付した結果等からの地震対策を実施する対象を把握する処理を行う。ステップS47では、耐震化の優先順位やバックアップ機能の付加に係る検討を行う。前記の第2の評価ポイントP2は、実質的にこれらステップS41〜S47を順次遂行することによって算出(抽出)される。
図2に示すステップS33は、下水道管路施設の重要度ランクを導出するステップとされる。このステップS33では、まずステップS31によって算出した第1の評価ポイントP1と、ステップS32によって算出した第2の評価ポイントP2との和によって、総合評価ポイントP3を積算する。この積算処理では、第1の評価ポイントP1と第2の評価ポイントP2とをそのまま加える処理によって総合評価ポイントP3が積算されてもよいし、或いは第1の評価ポイントP1と第2の評価ポイントP2の少なくとも一方に予め設定された分配係数等をかけた乗算処理を実施した後、乗算処理後の2つの評価ポイントを加える加算処理によって総合評価ポイントP3が積算されてもよい。そして、この積算処理によって得られた総合評価ポイントP3に応じて各下水道管路施設の重要度ランクを導出する。この場合、総合評価ポイントP3が大きいほど調査に関する重要度が高いため、相対的に高い重要度ランクを付与する。具体的には、総合評価ポイントがP3≧a1の関係にある場合をランクA(緊急度最優先路線)、a2(<a1)≦P3<a1の関係にある場合をランクB(緊急度中程度路線)、a3(<a2)≦P3<a2の関係にある場合をランクC(緊急度小路線)、P3<a3の関係にある場合をランクD(要因小路線)とすることができる。ここでいう重要度ランクは、下水道管路施設の維持管理という観点と、下水道管路施設の地震防災対策という観点の双方から、調査を優先して行うべき最終的な優先度を示す調査優先路線情報であって、この重要度ランク或いは前述の総合評価ポイントP3が本発明における「調査優先路線情報」に相当する。なお、第1の評価ポイントP1、第2の評価ポイントP2および総合評価ポイントP3は、ポイント(点数)や順位(ランク)として出力される以外に、これらポイントや順位を示す図形、図柄、色彩等として出力されてもよい。
ステップS34は、調査優先路線図を作成するステップとされる。このステップS34では、前述のステップS33によって導出した重量度ランクに基づいて、調査に関する優先度を明記した調査優先路線図を作成する。この調査優先路線図は、典型的には重量度ランク毎に色分けされた路線図とされ、パソコン画面上に画面出力する出力形態や、プリンタによって印字出力する出力形態を用いて出力される。このステップS34ないし前述のステップS33によって、本発明における「第2のステップによって抽出された第1の情報と、第4のステップによって抽出された第2の情報の双方に基づいて、維持管理、改築、修繕および/または布設替え工事を実際に行うべきかの調査を優先して実施すべき調査優先路線情報を抽出する第5のステップ」が構成される。本発明では、調査を優先して行うべき最終的な優先度を示す調査優先路線情報が少なくとも出力されればよく(少なくともステップS33が実施されればよく)、このステップS34は、必要に応じて省略することもできる。
ステップS35では、ステップS33ないしS34において得られた情報に基づいて、維持管理に要する事業費(維持管理コスト)を算出する。引き続きステップS36では、まずステップS35において算出した事業費に関し、当該事業費の年度間のばらつきを確認する。更に、この事業費の年度間のばらつき情報に基づいて、各年度における維持管理に要する事業費が相対的に大きい場合や、当該事業費の年度間のばらつきが大きい場合には、事業費を低減する処理や、事業費のピークをずらす(ピークの高い事業費の一部を他の年度に振分ける)処理を遂行することによって、事業費の平準化を図る。このような処理により、維持管理に要する事業費を予防的に支出することで、下水道管路施設の延命化を図るとともに、効率の良い改築・更新の時期を計画することができ、以って突発的な発生対応から予防的な対応を図ることが可能となり、維持管理に要する事業費の平準化が図られた事業計画が策定されることとなる。これらステップS35およびステップS36によって、本発明における「計画的な維持管理の実施に関するステップ」が構成される。
ステップS50は、ステップS36において策定した事業計画に基づいて、実際に作業を実施するとともに、実施後の作業のチェックおよび分析、処理および改善を図るための処理とされる。この作業は、具体的には、各下水道管路施設の「改築・修繕および布設替え工事」、「実施計画」、「施工管理」、「維持管理」を遂行することによって達成される。ここでいう「改築」とは、下水道管路施設の全部または一部の再構築あるいは取替えを行う作業として規定される。また、「布設替え工事」とは、現状の下水道管路施設を撤去もしくは埋殺して、新規に下水道管路施設を布設する作業として規定される。また、「実施計画」とは、工事を行う手前の設計として、当該工事に関する図書類を作成する作業として規定される。当該工事に関する図書類としては、設計図面(平面図、縦断図、横断図、構造図および仮設図等)、数量計算書、設計書および調査資料等が挙げられる。また、「施工管理」とは、設計図面どおりに施工がなされているか否かを管理する作業として規定される。
ステップS70は、下水道事業の健全化を図るべく下水道使用料金の改定に関する情報を提供するための処理とされる。このステップS70は、図4に示すステップS71〜S79によって少なくとも構成される。これらステップS71〜S79によって、本発明における「下水道使用料金の改定に関するステップ」が構成される。
ステップS71は、下水道事業の背景等の確認を行うステップとされる。具体的には、このステップS71によって、過去の下水道使用料改定の履歴、対象エリアの近隣自治体の下水道使用料および下水道使用量、水道料金等の比較等の情報が調査されてデータベース化される。ステップS72は、下水道の接続状況と効果の確認を行うステップとされる。ステップS73は、将来需要の予測を行うステップとされる。具体的には、このステップS73によって、下水道にかかる有収水量の把握、事業進捗、接続率、水需要の予測等が行われる。ステップS74は、財政計画等に基づいて維持管理および資本費の予測を行うステップとされる。ステップS75は、汚水処理原価の把握を行うステップとされる。このステップS75によって、下水道事業の採算性の把握が行われる。ステップS76は、下水道使用料の対象経費の設定を行うステップとされる。この下水道使用料の対象経費は、典型的には、汚水処理にかかる経費(維持管理分および資本分)として算出される。ステップS77は、根拠法令の確認を行うステップとされる。この根拠法令としては、地方自治法、都市計画法、水質汚濁防止および下水道法等が挙げられる。ステップS78は、下水道の接続の徹底・コンセンサスの形成を行うステップとされる。ステップS79は、下水道使用料体系の設定を行うステップとされる。
ステップS79におけるこの下水道使用料体系の設定に際し、典型的には、一般家庭等からの一般排水と、工場・事業場からの特定排水の区分については、それぞれ使用料の対象費用の範囲が異なるので、一般家庭が通常排出する生活排水の実態、生活関連業種の実態等に留意しながらその適正な区分基準を決定するのが好ましい。また、大量排水については、資本費の増大要因による側面も考慮し、汚水処理費用の要因に対応した適正な使用料体系を採用するのが好ましい。また、使用者間の負担の公平を図るとともに、一定の基準を超える水量の排水抑制を図るため、各自治体の排水実態、終末処理場の処理能力等を勘案したうえで、必要な場合には、水量による使用料に上乗せして水質使用料を徴収するのが好ましい。この場合には、下水道の機能を著しく妨げ、または施設を損傷することのない限度内および放流水の水質基準を遵守することが可能な限度内とすべきであり、水質濃度については一般家庭の平均的排水濃度をもって下限とされる。かくして、適正な下水道使用料体系を構築することができ、以って下水道事業の健全化を図ることが可能とされる。
ステップS90では、上述のステップS10〜S70によって得られた下水道管路施設に関する各種情報を各自治体に提案(提示)することによって、各自治体が個別に行う公営企業会計の実施を促す(働きかけを行う)処理とされる。この処理においては、後述する出力手段150を用いるのが好ましい。このステップS90が、本発明における「公営企業会計導入に関するステップ」に相当する。
上記のステップS10〜ステップS90を遂行する場合、図5に示す維持管理装置を採用することができる。図5には、本実施の形態の下水道管路施設の維持管理装置100のシステム構成が示される。
図5に示すように、本実施の形態の維持管理装置100は、入力手段110、処理手段120および出力手段150を少なくとも備える構成とされる。入力手段110は、例えば下水道管路施設情報をデータベース化する処理(図2中のステップS10)における情報入力手段としての機能を有する。典型的には、パソコン等のキーボード(入力部分)や、マイク(音声入力部分)等によってこの入力手段110が構成される。出力手段150は、処理手段120において演算処理され或いは記憶された情報を出力する情報出力手段としての機能を有する。典型的には、パソコン等のモニター(表示部分)やプリンター(印字装置)、またスピーカー(音声出力部分)等によってこの出力手段150が構成される。この出力手段150は、入力手段110および処理手段120と一体状に形成された出力手段として構成されてもよいし、或いは各自治体に設置された出力手段として構成されてもよい。各自治体に設置された出力手段を用いる場合には、出力情報は、各自治体との間で構築された維持管理用のネットワークを経由して自治体側の出力手段にて出力される。
処理手段120は、演算部(CPU)130および記憶部140を少なくとも備える。演算部130は、更に第1のデータベース化処理部131、第2のデータベース化処理部132、第1の抽出処理部133、第2の抽出処理部134および第3の抽出処理部135を備える。第1のデータベース化処理部131は、前述のステップS10において、下水道管路施設に関する各種の資産状況反映情報を集積してデータベース化する処理機能を有する。第1の抽出処理部133は、前述のステップS31において、各下水道管路施設の維持管理に関する優先度の設定を行う処理機能を有する。第2のデータベース化処理部132は、前述のステップS32において、下水道管路施設に関する地震防災対策設定情報を集積してデータベース化する処理機能を有する。第2の抽出処理部134は、各下水道管路施設の耐震化に関する優先度の設定を行う処理機能を有する。第3の抽出処理部135は、前述のステップS34ないしステップS33において、維持管理、改築、修繕および/または布設替え工事を実際に行うべきかの調査を優先して実施すべき調査優先路線情報を抽出する処理機能を有する。記憶部140は、入力手段110によって入力された情報や、演算部(CPU)130の各処理部によって処理された情報を適宜保存する機能を有する。
次に、上述したステップS10〜S30に関する一連の処理を具体的な実施例を用いて説明する。なお、この実施例は、一連の処理の流れを簡便に説明するべく準備したモデルケースであって、実際の作業においてはこの処理を基本とした種々の形態を採り得る。
いま、複数の下水道管路施設のうち管路(「路線」ともいう)1〜5に関しポイント評価する場合を考える。このポイント評価に関しては、図6〜図8が参照される。図6には、図1中のステップS10によってデータベース化された下水道管路施設情報のうち管路1〜5の情報が部分的に示される。また、図7には、下水道管路施設にかかる評価ポイント一覧表が示され、図8には、図7中の評価ポイント一覧表に基づいて管路1〜5を評価した評価結果が示される。
なお、図7中の下水道管路施設にかかる評価ポイント一覧表においては、以下の考えに基づいて各項目(1)〜(13)に対し評価ポイントの設定がなされている。図8中に記載のこの評価ポイントの設定や境界条件は、一例として示すものであって、必要に応じて適宜変更が可能である。
〔項目(1)について〕
項目(1)の「幹線・枝線」に関しては、枝線よりも幹線の調査優先度が高いという考えに基づいて、枝線よりも幹線の評価ポイントを高く設定している。また、枝線の中でも相対的に管径(断面積)の大きいものは、調査優先度が高いという考えに基づいて、相対的に管径の大きい枝線に対しては高い評価ポイントを付与している。
〔項目(2)について〕
項目(2)の「供用年度」に関しては、施工後の経過年数が長いものほど調査優先度が高いという考えに基づいて、施工後50年を経過する箇所、施工後30〜49年を経過する箇所、施工後29年以下の箇所の順で高い評価ポイントを付与している。
〔項目(3)について〕
項目(3)の「補修履歴」に関しては、既存情報調査により補修履歴が有る箇所は、調査優先度が低いという考えに基づいて、評価ポイントを減算することとしている。
〔項目(4)について〕
項目(4)の「点検・調査履歴」に関しては、TVカメラ調査や管内潜行目視調査の履歴がある箇所は、調査優先度が低いという考えに基づいて、評価ポイントを減算することとしている。
〔項目(5)について〕
項目(5)の「苦情・事故履歴」に関しては、浸水履歴がある箇所は、流下機能を阻害する管内の不良に起因することが想定されるため、調査優先度が高いという考えに基づいて、評価ポイントを加算することとしている。また、道路陥没の履歴がある箇所は、再び陥没を引き起こすことが想定されるため、調査優先度が高いという考えに基づいて、評価ポイントを加算することとしている。
〔項目(6)について〕
項目(6)の「ポンプ場・圧送管・伏越」に関しては、下水が滞留し易い箇所では、下水中の溶存酸素濃度が低下して嫌気化し溶存硫化物が生成されるが、この溶存硫化物を含む下水が、圧力状態から自然流下状態となり、気相へと硫化水素が拡散され腐食劣化が想定されるため、評価ポイントを加算することとし、特に圧送管の吐出部(下流部)、それ以外の部位(該当部・上流部)の順で高い評価ポイントを付与している。
〔項目(7)について〕
項目(7)の「段差」に関しては、下水に溶存硫化物が含まれているとき、段差、落差のあるマンホール等で硫化水素が気相へと拡散され腐食劣化が想定されるため、段差のある路線については評価ポイントを加算することとし、特に100cm以上の段差のある路線、100〜60cmの段差のある路線、60〜30cmの段差のある路線の順で高い評価ポイントを付与している。
〔項目(8)について〕
項目(8)の「下水滞留」に関しては、逆勾配路線では下水が滞留することにより硫化物が形成されることが想定されるため、逆勾配路線に対し評価ポイントを加算することとしている。
〔項目(9)について〕
項目(9)の「臭気発生履歴」に関しては、臭気の発生は硫化水素ガスに起因することが想定されるため、臭気発生履歴のある路線に対し評価ポイントを加算することとしている。
〔項目(10)について〕
項目(10)の「管種」に関しては、2次製品に比べ現場打のボックスカルバートはコンクリートの養生日数の不足等により生じる施工不良(構造劣化)が想定され、またヒューム管は塩化ビニル管に比べて可とう性が見込めないことから、ボックスカルバートおよびヒューム管に対し評価ポイントを加算することとし、特にボックスカルバート、鉄筋コンクリート管(ヒューム管)の順で高い評価ポイントを付与している。
〔項目(11)について〕
項目(11)の「主要道路」に関しては、国道や主要地方道、県道は、荷重条件の厳しい環境下にある管路を含むため、国道や主要地方道、県道に対し評価ポイントを加算することとし、特に国道や主要地方道、県道の順で高い評価ポイントを付与している。
〔項目(12)について〕
項目(12)の「土被り」に関しては、埋設深さが浅い管路は、路面からの活荷重等の影響を受けて破損やクラックを生じることが想定されるため、土被りが浅い路線に対し評価ポイントを加算することとしている。
〔項目(13)について〕
項目(13)の「重要管路」に関しては、地域要件上重要となる管路、地域防災計画上重要となる緊急輸送道路下や軌道下に埋設されている管路に対し評価ポイントを加算することとしている。
〔管路1について〕
図6より管路1の管材質が「塩化ビニル管」であることから、図7中の項目(10)が参照されることによって、図8中の管材質の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路1の幹枝種別が「枝線」でありまたその管径が「φ200」であることから、図7中の項目(1)が参照されることによって、図8中の管径の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路1の道路種別が「市道」であることから、図7中の項目(11)が参照されることによって、図8中の道路種別の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路1の供用開始日が「S45.1.1」であることから、図7中の項目(2)が参照されることによって、図8中の供用開始日の評価ポイントが「20」となる。これらの評価ポイントの加算によって算出される評価ポイント(ポイント「20」)が第1の評価ポイントP1となる。また、図6より管路1の緊急輸送道路・避難路が「無し」であることから、図7中の項目(13)が参照されることによって、図8中の緊急輸送道路・避難路の評価ポイントが「0」となる。この評価ポイント(ポイント「0」)が第2の評価ポイントP2となる。この結果、第1の評価ポイントP1(ポイント「20」)と第2の評価ポイントP2(ポイント「0」)が加算された合計ポイント(ポイント「20」)が、管路1の総合評価ポイントP3となる。
〔管路2について〕
図6より管路2の管材質が「ヒューム管」であることから、図7中の項目(10)が参照されることによって、図8中の管材質の評価ポイントが「5」となる。また、図6より管路2の幹枝種別が「枝線」でありまたその管径が「φ250」であることから、図7中の項目(1)が参照されることによって、図8中の管径の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路2の道路種別が「市道」であることから、図7中の項目(11)が参照されることによって、図8中の道路種別の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路2の供用開始日が「H2.5.1」であることから、図7中の項目(2)が参照されることによって、図8中の供用開始日の評価ポイントが「10」となる。これらの評価ポイントの加算によって算出される評価ポイント(ポイント「15」)が第1の評価ポイントP1となる。また、図6より管路2の緊急輸送道路・避難路が「有り」であることから、図7中の項目(13)が参照されることによって、図8中の緊急輸送道路・避難路の評価ポイントが「10」となる。この評価ポイント(ポイント「10」)が第2の評価ポイントP2となる。この結果、第1の評価ポイントP1(ポイント「15」)と第2の評価ポイントP2(ポイント「10」)が加算された合計ポイント(ポイント「25」)が、管路2の総合評価ポイントP3となる。
〔管路3について〕
図6より管路3の管材質が「ヒューム管」であることから、図7中の項目(10)が参照されることによって、図8中の管材質の評価ポイントが「5」となる。また、図6より管路3の幹枝種別が「幹線」であることから、図7中の項目(1)が参照されることによって、図8中の幹枝種別の評価ポイントが「15」となる。また、図6より管路3の道路種別が「主要地方道」であることから、図7中の項目(11)が参照されることによって、図8中の道路種別の評価ポイントが「10」となる。また、図6より管路3の供用開始日が「S30.5.1」であることから、図7中の項目(2)が参照されることによって、図8中の供用開始日の評価ポイントが「30」となる。これらの評価ポイントの加算によって算出される評価ポイント(ポイント「60」)が第1の評価ポイントP1となる。また、図6より管路3の緊急輸送道路・避難路が「有り」であることから、図7中の項目(13)が参照されることによって、図8中の緊急輸送道路・避難路の評価ポイントが「10」となる。この評価ポイント(ポイント「10」)が第2の評価ポイントP2となる。この結果、第1の評価ポイントP1(ポイント「60」)と第2の評価ポイントP2(ポイント「10」)が加算された合計ポイント(ポイント「70」)が、管路3の総合評価ポイントP3となる。
〔管路4について〕
図6より管路4の管材質が「ヒューム管」であることから、図7中の項目(10)が参照されることによって、図8中の管材質の評価ポイントが「10」となる。また、図6より管路4の幹枝種別が「枝線」でありまたその管径が「φ400」であることから、図7中の項目(1)が参照されることによって、図8中の管径の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路4の道路種別が「県道」であることから、図7中の項目(11)が参照されることによって、図8中の道路種別の評価ポイントが「5」となる。また、図6より管路4の供用開始日が「S45.1.1」であることから、図7中の項目(2)が参照されることによって、図8中の供用開始日の評価ポイントが「20」となる。これらの評価ポイントの加算によって算出される評価ポイント(ポイント「30」)が第1の評価ポイントP1となる。また、図6より管路4の緊急輸送道路・避難路が「有り」であることから、図7中の項目(13)が参照されることによって、図8中の緊急輸送道路・避難路の評価ポイントが「10」となる。この評価ポイント(ポイント「10」)が第2の評価ポイントP2となる。この結果、第1の評価ポイントP1(ポイント「30」)と第2の評価ポイントP2(ポイント「10」)が加算された合計ポイント(ポイント「40」)が、管路4の総合評価ポイントP3となる。
〔管路5について〕
図6より管路5の管材質が「塩化ビニル管」であることから、図7中の項目(10)が参照されることによって、図8中の管材質の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路5の幹枝種別が「枝線」であり、またその管径が「φ200」であることから、図7中の項目(1)が参照されることによって、図8中の管径の評価ポイントが「0」となる。また、図6より管路5の道路種別が「県道」であることから、図7中の項目(11)が参照されることによって、図8中の道路種別の評価ポイントが「5」となる。また、図6より管路5の供用開始日が「H2.5.1」であることから、図7中の項目(2)が参照されることによって、図8中の供用開始日の評価ポイントが「10」となる。これらの評価ポイントの加算によって算出される評価ポイント(ポイント「15」)が第1の評価ポイントP1となる。また、図6より管路5の緊急輸送道路・避難路が「無し」であることから、図7中の項目(13)が参照されることによって、図8中の緊急輸送道路・避難路の評価ポイントが「0」となる。この評価ポイント(ポイント「0」)が第2の評価ポイントP2となる。この結果、第1の評価ポイントP1(ポイント「15」)と第2の評価ポイントP2(ポイント「0」)が加算された合計ポイント(ポイント「15」)が、管路5の総合評価ポイントP3となる。
上記管路1〜5のそれぞれの総合評価ポイントP3に対し、更に図9中の下水道管路施設にかかる優先路線判定表の記載を適用することによって、管路1〜5の調査に関する緊急度が四段階にランク分けされる。なお、図9に示すように、このランク分けにおいて前述のa1,a2,a3はそれぞれ65,50,35に設定されている。
管路1は、その総合評価ポイントP3が20であることから、図9中の優先路線判定表に基づき、調査に関する緊急度が最も低い評価のDランク(要因小路線)とされる。また、管路2は、その総合評価ポイントP3が25であることから、図9中の優先路線判定表に基づき、調査に関する緊急度が3番目の評価のCランク(緊急度小路線)とされる。また、管路3は、その総合評価ポイントP3が70であることから、図9中の優先路線判定表に基づき、調査に関する緊急度が最も高い評価のAランク(緊急度最優先路線)とされる。また、管路4は、その総合評価ポイントP3が40であることから、図9中の優先路線判定表に基づき、調査に関する緊急度が2番目の評価のBランク(緊急度中程度路線)とされる。また、管路5は、その総合評価ポイントP3が15であることから、図9中の優先路線判定表に基づき、調査に関する緊急度が最も低い評価のDランク(要因小路線)とされる。
なお、管路1〜5に関するこれらのランク分けの結果は、図8中に示すように数値や文字として出力されてもよいが、更に色や記号等を用いて調査優先路線図として出力されるのが好ましい。この調査優先路線図の具体的な出力態様を図10および図11を参照しつつ説明する。図10には、本実施の形態の管路1〜5の調査に関する緊急度のランク分けがなされる前の調査優先路線図が示され、図11には、本実施の形態の管路1〜5の調査に関する緊急度のランク分けがなされた後の調査優先路線図が示される。図10および図11に示すように、管路1〜5は、緊急度のランク分け前は全てが同一の線種(実線)にて示されるのに対し、緊急度のランク分け後はランク毎に異なる線種にて示される。例えば、図11に示すように、Aランクの管路を実線によって、Bランクの管路を一点鎖線によって、Cランクの管路を二点鎖線によって、またDランクの管路を破線(点線)によってそれぞれ示すことができる。或いは、図8中に記載のように、Aランクの管路を赤色線によって、Bランクの管路を黄色線によって、Cランクの管路を緑色線によって、またDランクの管路を青色線によってそれぞれ示すことができる。このような表示を採用することによって、管路1〜5の調査に関する緊急度のランク分け結果が、使用者によって視覚的効果によって容易に把握され得る。
以上のように、本実施の形態によれば、少なくともステップS10およびS30を遂行することによって、下水道管路施設の維持管理という観点と、下水道管路施設の地震防災対策という観点の双方から、調査を優先して行うべき最終的な優先度を抽出することによって、より適正な評価を行うことができ、以って下水道経営の健全化対策に資することが可能となる。また、下水道管路施設の地震防災対策の評価に関しては、とりわけ自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災対策設定情報を用いることとしているため、自治体の地域防災計画が反映されたより現実的な評価を行うことが可能となる。かくして、「発生対応型」の維持管理にかえて、機能診断・寿命予測により不具合発生前に事前に対処する「予防発生型」での取り組みによって、維持管理および改築・更新を計画的にマネジメントしていくことができ、社会的ニーズに対応して下水道管路施設の有効利用や機能の高度化(高規格化や耐震性能の向上等)を図りたいという要請に応えることが可能となる。また、ステップS30のうちステップS35およびS36を遂行し、維持管理に要する事業費を予防的に支出することで、下水道管路施設の延命化を図るとともに、効率の良い改築・更新の時期を計画することができ、以って突発的な発生対応から予防的な対応を図ることが可能となり、維持管理に要する事業費の平準化が図られた事業計画が策定されることとなる。
また、本実施の形態によれば、更にステップS70を遂行することによって、適正な下水道使用料体系を構築することができ、以って下水道事業の健全化を図ることが可能とされる。
また、本実施の形態によれば、更にステップS90を遂行することによって、各自治体が個別に行う公営企業会計の実施を促す(働きかけを行う)のに有効とされる。
(他の実施の形態)
本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施の形態では、図1中のステップS10〜S90を順次実施することによって、下水道管路施設の維持管理処理を行う場合について記載したが、本発明では、少なくともステップS10およびS30を実施することによって、下水道管路施設の維持管理技術の適正化を図るという目的を達成することができる。
本実施の形態の下水道管路施設の維持管理方法の全体的な処理フローである。 図1中のステップS10における下水道管路施設情報のデータベース化処理の具体的な処理フローである。 図2中のステップS32における耐震化に関する優先度の設定処理の具体的な処理フローである。 図1中のステップS70における下水道事業経営の健全化処理の具体的な処理フローである。 本実施の形態の下水道管路施設の維持管理装置100のシステム構成を示す図である。 図1中のステップS10によってデータベース化された下水道管路施設情報のうち管路1〜5の情報が部分的に示す図である。 下水道管路施設にかかる評価ポイント一覧表である。 図7中の評価ポイント一覧表に基づいて管路1〜5を評価した評価結果を示す図である。 下水道管路施設にかかる優先路線判定表である。 本実施の形態の管路1〜5の調査に関する緊急度のランク分けがなされる前の調査優先路線図である。 本実施の形態の管路1〜5の調査に関する緊急度のランク分けがなされた後の調査優先路線図である。
符号の説明
100…維持管理装置
110…入力手段
120…処理手段
130…演算部(CPU)
131…第1のデータベース化処理部
132…第2のデータベース化処理部
133…第1の抽出処理部
134…第2の抽出処理部
135…第3の抽出処理部
140…記憶部
150…出力手段
P1…第1の評価ポイント
P2…第2の評価ポイント
P3…総合評価ポイント

Claims (4)

  1. 公共下水道における複数の下水道管路施設の総合維持管理を行う、下水道管路施設の維持管理方法であって、
    前記複数の下水道管路施設に関し、所定の資産状況パラメータを格納した資産状況反映情報を作成するとともに保持する第1のステップと、
    前記複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、前記第1のステップによって保持された前記資産状況反映情報に基づいて評価して、維持管理を優先して行うべき単位路線に関する第1の情報を抽出する第2のステップと、
    前記資産状況反映情報とは別に、自治体の地域防災計画に基づいて設定された地震防災に関する所定の評価パラメータを格納した地震防災対策設定情報を作成するとともに保持する第3のステップと、
    前記複数の下水道管路施設を、所定の単位路線毎に、前記第3のステップによって保持された前記地震防災対策設定情報に基づいて評価して、地震防災対策を優先して講じるべき単位路線に関する第2の情報を抽出する第4のステップと、
    前記第2のステップによって抽出された前記第1の情報と、前記第4のステップによって抽出された前記第2の情報の双方に基づいて、維持管理、改築、修繕および/または布設替え工事を実際に行うべきかの調査を優先して実施すべき調査優先路線情報を抽出する第5のステップと、
    を有することを特徴とする、下水道管路施設の維持管理方法。
  2. 請求項1に記載の下水道管路施設の維持管理方法であって、
    更に、前記第5のステップによって抽出された前記調査優先路線情報に基づく計画的な維持管理の実施に関するステップを有することを特徴とする、下水道管路施設の維持管理方法。
  3. 請求項1または2に記載の下水道管路施設の維持管理方法であって、
    更に、下水道使用料金の改定に関するステップを有することを特徴とする、下水道管路施設の維持管理方法。
  4. 請求項1から3までのいずれか一項に記載の下水道管路施設の維持管理方法であって、
    更に、公営企業会計導入に関するステップを有することを特徴とする、下水道管路施設の維持管理方法。
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