JP2009014439A - 物質移動制御デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動機構への負担低減及び吸収材の不要化によって低コスト化し、複雑な反応系の構築が可能で、コンタミネーションが生じにくく、分析時間を短縮化した物質移動制御デバイスの提供。
【解決手段】物質移動制御デバイス10は、分析のための試験物質の移動を制御する物質移動制御デバイス10であって、試験物質を移動させる流路115を複数有する本体基板11と、試験物質を移動させる定量孔131を複数有し、本体基板11に回動自在に接する回転バルブ13と、を備え、回転バルブ13を回動させることによって、少なくとも流路115の一つと定量孔131の一つとの間で試験物質が移動自在となる位置及び移動不能となる位置の両位置に、定量孔131を選択的に配置可能とし、流路115及び定量孔131の長軸方向を非水平に配置した。
【選択図】図2

Description

本発明は、分析のための試験物質を移動させる物質移動制御デバイスに関する。
従来、複数種類の物質を内包する試料の中から所望の物質を分離・同定して分析を行うための分析装置が種々開発されている。特に近年では、医療分野において患者から採取した試料の検査結果を治療に迅速に反映することや、環境分野において浄化工程にある土壌の分析結果を迅速に浄化作業計画に反映すること等、試料を採取した場所で即座に試料の分析を行うことへの要求が高まっており、いわゆるオンサイト型の分析装置が求められている。
このような要求に対して、装置構成をコンパクトにすることで可搬性を向上させると共に、試料の反応量を小さくして検査時間の短縮を図った分析装置が提案されている。このような分析装置では、試料や試薬等の計量や移動のための物質移動制御デバイスをいかにコンパクトにできるかが重要であり、例えば、液体試料を流通させる主通路が形成されたチップ本体と、試料を反応させる反応検出部と、主通路と反応検出部との間で試料の量を計量する計量ハウジングとを備えた物質移動制御デバイスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この物質移動制御デバイスにおいては、プレート状のチップ本体の内部に主通路、反応検出部、試料注入通路、試薬注入通路等が形成され、主通路と反応検出部との間には計量ハウジングが嵌め込まれている。計量ハウジングは円筒状の形状をしており、本体チップの内部で回転駆動させることで、主通路と試料注入路とを連通させたり、主通路と試薬注入通路とを連通させたりすることができる。また、計量ハウジングの内部には、所定の容積の計量空間が設けられており、計量空間に試料や試薬を満充填することで、所定量の試料や試薬を計量することができる。
特開2007−03268号公報
ところで、上述のようなオンサイト型の分析装置は、試料を採取する現場の医師や作業者によって直接操作されるものであるため、装置に関する専門的な知識を有する技術者でなくとも当該装置の操作・維持が容易にできることが望ましい。また、試料の採取現場で手軽に分析を実施するためには、分析に要するコストの低減も求められていた。
しかし、従来の物質移動制御デバイスを用いた分析装置は、導入された試料や当該試料の分析に用いられる試薬等を物質移動制御デバイス内部で移動させるために、ポンプやシリンダー等の駆動機構を備える必要があった。この駆動機構を正常に動作させるためには定期的なメンテナンスや部品交換等が必要となるため、分析装置の維持に要するコスト低減の制約となっていた。
また、従来の物質移動制御デバイスにおいては、試料や試薬の流路の設置角度について特別な配慮がなされていなかった。このため、ポンプやシリンダー等の駆動機構を停止させた場合に、重力の影響によって分析済みの試料が物質移動制御デバイス内を逆流することを防止するために、廃液貯蔵のための吸収材等を物質移動制御デバイス内部に備える必要があった。このような吸収材も、分析装置のコスト低減に対する制約となっていた。
また、従来の物質移動制御デバイスは、試料を計量するための計量空間を一式しか備えていなかった。すなわち、物質移動制御デバイスに導入された一種類の試料又は試薬を計量することしかできず、計量できる量も一種類に限られていた。このため、従来の物質移動制御デバイスを、異なる種類や量の試料等を複数段階に渡って反応させる複雑な分析に適用することは難しかった。また、従来の物質移動制御デバイスをこのような複雑な分析に用いた場合、異なる試料や試薬が同一の流路を通過することになるため、コンタミネーションが生じる可能性が高かった。さらに、複数の物質移動制御デバイスを組み合わせて使用する場合には、分析装置全体の構成が大型化し、分析に要する時間も長時間化するなど、オンサイト型の分析装置としてのメリットが縮減されてしまっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、駆動機構への負担を小さくすると共に、吸収材を不要とすることで、低コスト化した物質移動制御デバイスを提供することを第1の目的とする。
また、複雑な反応系を構築することができると共に、コンタミネーションが生じにくく、更に、分析時間を短縮化した物質移動制御デバイスを提供することを第2の目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の物質移動制御デバイスは、分析のための試験物質の移動を制御する物質移動制御デバイスであって、試験物質を移動させる第1の流路を複数有する本体と、試験物質を移動させる第2の流路を複数有し、前記本体に回動自在に接する回動体と、を備え、前記回動体を回動させることによって、少なくとも前記第1の流路の一つと前記第2の流路の一つとの間で試験物質が移動自在となる位置及び移動不能となる位置の両位置に、前記第2の流路を選択的に配置可能とし、前記第1の流路及び前記第2の流路の長軸方向を非水平に配置したこと、を特徴とする。
また、請求項2に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記第2の流路は所定の容積を有し、当該第2の流路内の試験物質を定量する定量手段であること、を特徴とする。
また、請求項3に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1又は2に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記本体は、試験物質を格納し前記第1の流路に当該試験物質を供給する供給手段を備えること、を特徴とする。
また、請求項4に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1から3のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記本体は、前記第1の流路又は前記第2の流路から流出した試験物質を貯蔵する貯蔵手段を、当該本体の底部に備えること、を特徴とする。
また、請求項5に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1から4のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記回動体を回動させた場合に、複数の前記第1の流路と複数の前記第2の流路との間で同時に試験物質が移動自在となる位置及び移動不能となる位置の両位置に、複数の前記第2の流路を選択的に配置可能としたこと、を特徴とする。
また、請求項6に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1から5のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記第2の流路の長軸方向と直交する断面を、略円形としたこと、を特徴とする。
また、請求項7に記載の物質移動制御デバイスは、請求項1から6のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイスにおいて、前記回動体の周面における前記第2の流路の開口形状を、当該回動体の回動方向と直交する方向に細長な形状としたこと、を特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、試験物質を移動させる流路の一部を、非水平の配置としたので、ポンプやシリンダー等の動力によって強制的に移動させるだけでなく、重力によっても試験物質を移動させることができ、ポンプやシリンダー等の駆動機構への負担を低減できる。従って駆動機構の駆動やメンテナンスに要するコストを低減できる。
また、請求項2に記載の発明によれば、回動体に所定の容積を有する第2の流路を設けており、第2の流路に試験物質を充填させることで当該試験物質の定量を行っている。これにより、容易かつ高精度に試験物質の定量を行うことができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、物質移動制御デバイスに供給手段を設けているので、分析の実施の度に試薬の計量を行う必要がなく、低コスト且つ迅速に分析を行うことができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、物質移動制御デバイスの底部には貯蔵手段を設けているので、特別な吸収剤を用いなくても廃液を貯蔵することができ、製造コストを低減することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、複数の流路の相互間における試験物質の移動を同時に制御できるので、試験を一層迅速に行うことができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、第2の流路の長軸方向と直交する断面の形状を略円形としているので、同一面積の矩形断面の場合と比較して試験物質の流動抵抗を低減することができ、ポンプやシリンダー等の駆動機構に対する負荷を低減することができる。また、表面張力によって試験物質が滞留しやすい隅角部がないので、試験物質を円滑に移動させることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、回動体の周面における第2の流路の開口形状を、回動体の回動方向と直交する方向に細長な形状としているので、当該開口が同時に複数の第1の流路、エアベントチャネル、あるいはオーバーフローチャネル等と対向することを防止できる。これにより、複雑な反応系を実現しながらも、無用のコンタミネーションを回避することができる。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る物質移動制御デバイスの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕本実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕本実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
〔I〕本実施の形態の基本的概念
まず、本実施の形態に共通の基本的概念について説明する。本実施の形態に係る物質移動制御デバイスは、分析のための試験物質の移動、定量、及び、貯蔵を目的とするものである。ここで、試験物質とは、分析の一連のプロセスの中で用いられる物質全般を指し、分析の対象となる試料や、試料と反応させるための試薬等を含んでいる。
本実施の形態に係る物質移動制御デバイスの設置対象や分析の内容は任意であり、例えば、医療分野において患者に近い場所(例えば、病院のベッドサイドや自宅)で行われる臨床検査(POCT:Point of Care Testing)用プラットフォームや、環境分野において水質や土壌の分析に用いられるオンサイト分析機器等に適用することができる。
本実施の形態に係る物質移動制御デバイスの特徴の一つは、概略的に、試験物質を移動させる流路を、非水平の配置とし、重力によって試験物質を移動させることにある。これにより、ポンプやシリンダー等の駆動機構への負担を低減できるので、これらの駆動機構のメンテナンスに要するコストを低減できる。また、物質移動制御デバイスの底部に貯蔵手段を設けることで、特別な吸収剤を用いなくても廃液を貯蔵することができるので、コストを低減することができる。
また、本実施の形態に係る物質移動制御デバイスの他の特徴の一つは、試験物質の移動や定量を制御するための複数の回転バルブを備えていることにある。回転バルブには複数の流路が設けられており、物質移動制御デバイスの本体に設けられている複数の流路と相互に同時に接続される。これにより、相互に異なる試料や試薬を同時に定量したり、段階的に移動させたりすることができるので、複雑な反応系を構築することができ、迅速に反応を行わせることができる。また、相互に異なる試料毎に通過させる流路を区別することができるので、コンタミネーションを防止することができる。
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、本発明に係る実施の形態の具体的内容について説明する。なお、上述のように、実施の形態に係る物質移動制御デバイスの設置対象や分析内容は任意であるが、以下では血液検査用のPOCTプラットフォームに物質移動制御デバイスが設置され、酵素免疫測定法によって血液の分析が実施されるものと仮定して説明を行う。ここでは一例として分析対象が血液である場合を仮定しているが、分析対象は特に血液に限定されるものではなく、細胞破砕液や尿等の種々の体液であっても構わない。
(物質移動制御デバイスの構成)
まず、物質移動制御デバイスの構成を説明する。図1は本実施の形態に係る物質移動制御デバイスを搭載するPOCTプラットフォームのシステム概要図、図2は本実施の形態に係る物質移動制御デバイスの正面図である。
図1及び図2に示すように、物質移動制御デバイス10は、本体基板11、及び、回転バルブ13を備えており、POCTプラットフォーム1に設置されて使用される。POCTプラットフォーム1には複数台の物質移動制御デバイス10を同時に搭載することも可能であり、この場合には複数の分析を並行して行わせることができる。POCTプラットフォーム1の具体的な構成は任意であるが、例えば、物質移動制御デバイス10の内部の試験物質を磁気により攪拌あるいは集磁するための粒子攪拌用素子20、後述する回転バルブ13を駆動するためのバルブ駆動モータ30、物質移動制御デバイス10の内部の試験物質を温度調節するための温度制御素子40、試験物質を移動させるためのポンプ50、試験物質から発せられた光を検出するPMT60(Photomultiplier)を備えている。また、粒子攪拌用素子20及び温度制御素子40は、物質移動制御デバイス10がPOCTプラットフォーム1に設置された場合において、当該素子の機能に対応している物質移動制御デバイス10の各部分、すなわち、粒子攪拌素子については後述する粒子リザーバ116a及び反応チャンバ119、温度制御素子40については後述する本体基板11全体及び粒子リザーバ116aに近接して位置するように配置されている。
(物質移動制御デバイスの構成−本体基板11)
本体基板11は、物質移動制御デバイス10のベースとなる部分であり、特許請求の範囲における本体に対応している。本体基板11は略平板状の形状を有しており、その内部に、バルブ嵌込部110、検体導入口111、血球分離部112、流路115、リザーバ116、反応チャンバ119、廃液チャンバ120、オーバーフローチャネル122、及び、エアベントチャネル123を備えている。
バルブ嵌込部110は、後述する回転バルブ13を嵌め込むための略円筒状の凹部であり、本体基板11の一方の平板面に設けられている。バルブ嵌込部110の設置方向は任意であるが、物質制御デバイスをコンパクトにするために、当該物質制御デバイスの平板面とバルブ嵌込部110の略円筒体の端面とが略平行となるように設置することが望ましい。また、バルブ嵌込部110の数は任意であるが、本実施の形態においては二つのバルブ嵌込部110として第1のバルブ嵌込部110a及び第2のバルブ嵌込部110bが設けられている。
検体導入口111は、検体となる血液溶液が導入される開口部であり、物質移動制御デバイス10をPOCTプラットフォーム1に設置した場合において当該物質移動制御デバイス10の頂部となる部分(図2における上部)に配置されている。
血球分離部112は、検体導入口111に導入された血液溶液から血球を分離して血漿を抽出する部分である。血球分離部112は、血液溶液から血球を分離するための血球分離膜113、及び、検体導入口111に導入された血液溶液を血球分離膜113を通して吸引吐出する吸引吐出口114を備えている。また、血球分離部112は第1のバルブ嵌込部110aに隣接して配置されており、血球分離部112の底部が第1のバルブ嵌込部110aの内周面における開口となっている。
流路115は、血球分離部112によって抽出された血漿や、後述するリザーバ116に保存されている試薬等、試験物質を移動させるためのものであり、特許請求の範囲における第1の流路に対応している。本体基板11の内部には、流路a115aから流路k115kの計11本の流路115が形成されている。この内、流路a115aから流路c115cについては、各流路115の一端が第1のバルブ嵌込部110aの内周面における開口となっており、他端が後述する反応チャンバ119の内面における開口となっている。また、流路d115dについては、一端が反応チャンバ119の内面における開口となっており、他端が第2のバルブ嵌込部110bの内周面における開口となっている。流路e115eについては、一端が第2のバルブ嵌込部110bの内周面における開口となっており、他端が後述する廃液チャンバ120の内周面における開口となっている。流路f115fについては、一端が第2のバルブ嵌込部110bの内周面における開口となっており、他端が第1のバルブ嵌込部110aの内周面における開口となっている。流路g115g、流路h115h、流路i115i、流路k115kについては、各流路115の一端がそれぞれ後述する粒子リザーバ116a、酵素標識抗体リザーバ116b、洗浄液リザーバ116c、希釈液リザーバ116eの導出口117と一体となっており、他端が第1のバルブ嵌込部110aの内周面における開口となっている。また、流路j115jについては、一端が後述する基質リザーバ116dの導出口117と一体となっており、他端が第2のバルブ嵌込部110bの内周面における開口となっている。なお、各流路115の配置は任意であるが、各流路115とも少なくとも部分的に、当該流路115の長軸方向が非水平となるように配置されている。また、各流路115の断面形状は任意であるが、各流路115の長軸方向に直交する断面を略円形とすることにより、同一面積の矩形断面の場合と比較して試験物質の流動抵抗を低減することができ、ポンプ50に対する負荷を低減することができる。また、矩形断面を有する流路では、表面張力によって流路の隅角部に試験物質が滞留しやすく、流路の内部における試験物質の移動の妨げにもなることから、流路115の断面は隅角部のない略円形であることが望ましい。
リザーバ116は、血球分離部112によって抽出された血漿や、血漿と反応させる試薬等の試験物質を格納すると共に、格納している試験物質を流路115に供給するためのものであり、特許請求の範囲における供給手段に対応している。リザーバ116は、分析に必要となる各試験物質を格納する空間として、本体基板11の内部に複数形成されている。本実施の形態においては、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子を格納する粒子リザーバ116a、酵素標識抗体を格納する酵素標識抗体リザーバ116b、洗浄液を格納する洗浄液リザーバ116c、基質を格納する基質リザーバ116d、及び、検体希釈液を格納する検体希釈液リザーバ116eが設けられている。また、各リザーバ116は、リザーバ116に格納されている試験物質を流路115に導出させるための導出口117、及び、試験物質が充填された状態で当該リザーバ116を密閉するための図示しないシール材を備えている。
反応チャンバ119は、血漿と試薬とを反応させるための空間として本体基板11の内部に設けられている。上述のように、反応チャンバ119の内面には、流路a115a、流路b115b、流路c115c、及び、流路d115dの一端において開口が設けられており、これらの流路115を通じて、試験物質の導入や導出が行われる。
廃液チャンバ120は、分析のプロセスに使用された後の試験物質を貯蔵するための空間として本体基板11の内部に設けられており、特許請求の範囲における貯蔵手段に対応している。廃液チャンバ120は、物質移動制御デバイス10をPOCTプラットフォーム1に設置した場合において当該物質移動制御デバイス10の底部となる部分(図2における下部)に配置されている。また、廃液チャンバ120には流路e115eの一端において開口が設けられており、この流路e115eを通じて試験物質が導入される。また、廃液チャンバ120は、当該廃液チャンバ120の内部に貯蔵されている試験物質を物質移動制御デバイス10の外部から吸引するための吸引口121を備えている。廃液チャンバ120に貯蔵されている試験物質が漏れ出さないように、吸引口121は物質移動制御デバイス10の頂部に配置されている。
オーバーフローチャネル122は、流路115から後述する回転バルブ13の定量孔131に試験物質を充填する場合において、当該定量孔131の容積を超えた余剰の試験物質が導入される空間として、回転バルブ13に隣接して設けられている。本実施の形態においては、オーバーフローチャネルa122a、オーバーフローチャネルc122c、オーバーフローチャネルd122d、オーバーフローチャネルg122g、オーバーフローチャネルj122j、及び、オーバーフローチャネルk122kの合計6つのオーバーフローチャネル122が設けられている。また、オーバーフローチャネル122は、回転バルブ13を回動させて所定位置とした場合に、当該回転バルブ13の定量孔131の一端と対向する位置に配置されている。オーバーフローチャネル122には、物質移動制御デバイス10の外部から図示しないドレインチューブを介してポンプ50が接続されており、当該ポンプ50によって吸引することで、オーバーフローチャネル122に試験物質を導入し、更に、導入された試験物質をドレインチューブを介してオーバーフローチャネル122から排出させることができる。
エアベントチャネル123は、反応チャンバ119又は定量孔131に対して気体を吐出することで、当該反応チャンバ119又は定量孔131に導入されている試験物質を流路115に導出させるものである。本実施の形態においては、エアベントチャネルa123a、エアベントチャネルc123c、エアベントチャネルd123d、及び、エアベントチャネルf123fの合計4つのエアベントチャネル123が、反応チャンバ119及び後述する回転バルブ13に隣接して設けられている。この内、回転バルブ13に隣接して設けられているエアベントチャネル123は、回転バルブ13を回動させて所定位置とした場合に、当該回転バルブ13の定量孔131と連通する位置に配置されている。エアベントチャネル123には、物質移動制御デバイス10の外部から、図示しないフィードチューブを介してポンプ50が接続されており、エアベントチャネル123から空気を吐出させることができる。
なお、本体基板11の具体的な構成や材料は任意であり、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネート等のプラスチック、生分解性プラスチック、金属、あるいは、ガラス等を使用することができる。また、本体基板11の製造方法は任意であり、例えばプラスチックを用いて本体基板11を製造する場合には、射出成型法によって製造することができる。
(物質移動制御デバイスの構成−回転バルブ13)
回転バルブ13は、試験物質を移動させる流路115の切替、及び、試験物質の定量を行うものであり、特許請求の範囲における回動体に対応している。回転バルブ13は、本体基板11のバルブ嵌込部110に嵌め込まれているものであり、本実施の形態においては、第1のバルブ嵌込部110aに第1の回転バルブ13a、第2のバルブ嵌込部110bに第2の回転バルブ13bが設置されている。
回転バルブ13は、バルブ本体130、定量孔131、図示しないバルブ固定部、及び、図示しない駆動伝達部を備えている。バルブ本体130は、略円筒状の形状を有しており、本体基板11に形成されているバルブ嵌込部110に回動自在に嵌め込まれている。バルブ本体130の外径とバルブ嵌込部110の内径とは略同一であり、バルブ本体130の外周面とバルブ嵌込部110の内周面とが相互に密着しているので、バルブ本体130と本体基板11との間隙に試験物質が侵入することを防止している。なお、バルブ本体130の具体的な構成や材料は任意であり、本体基板11と同様のプラスチックや金属、ガラス等を用いることができる。さらに、シリコーンゴム等の弾性材料でバルブ本体130の外周面をコーティングし、バルブ嵌込部110との密着性を向上させてもよい。あるいは、バルブ本体130の外周面にフッ素樹脂コーティングを施し、バルブ嵌込部110との摩擦抵抗を低減することにより、回転バルブ13の駆動に要する負荷を低減させることもできる。
定量孔131は、試験物質の移動及び定量のためのものであり、特許請求の範囲における第2の流路に対応している。定量孔131は、バルブ本体130の内部において、当該バルブ本体130の両端面と略平行な孔部として穿設されており、定量孔131の両端はバルブ本体130の外周面における開口となっている。この定量孔131の端部としてバルブ本体130の外周面に設けられている開口と、流路115の端部としてバルブ嵌込部110の内面に設けられている開口とが、回転バルブ13を回動させて所定位置に配置させた場合において相互に対向するように、定量孔131が配置されている。この場合、相互に対向している流路115と定量孔131との間で試験物質が移動自在となっている。さらに、流路115の端部と定量孔131の端部とが相互に対向している場合においては、定量孔131の長軸方向が鉛直方向に対して所定の傾斜を有するように、定量孔131が配置されている。なお、定量孔131の長軸方向と直交する断面の断面形状は任意であるが、流路115の場合と同様に、ポンプ50に対する負荷の低減、及び、定量孔131の内部における円滑な試験物質の移動のために、断面を隅角部のない略円形とすることが望ましい。さらに、バルブ本体130の外周面における定量孔131の開口形状を、回転バルブ13の回動方向と直交する方向に細長な形状とすることが望ましい。これにより、当該開口が、同時に複数の流路115、エアベントチャネル123、あるいはオーバーフローチャネル122等と対向し、無用のコンタミネーションを招くことを防止できる。また、定量孔131の長軸方向の長さ、及び、長軸方向と直交する断面の断面積を調整することにより、定量孔131の容積を任意に調整することができる。また、定量孔131の回転バルブ13に設けられる定量孔131の数は任意であり、本実施の形態では、第1の回転バルブ13aには定量孔a131aからcの計3本の定量孔131が設けられ、第2の回転バルブ13bには定量孔d131dからfの計3本の定量孔131が設けられている。また、これらの定量孔131は相互に略平行となるように配置されている。
バルブ固定部は、バルブ本体130と本体基板11とを固定するための固定手段である。バルブ固定部の具体的な構成は任意であり、例えば、回転バルブ13の回動軸に沿って本体基板11に向かって当該バルブ本体130を押圧する図示しないカバーによって、バルブ嵌込部110にはめ込まれた回転バルブ13を固定しても良い。この場合、バルブ本体130を本体基板11に向かって押圧することにより、バルブ本体130の端面と本体基板11との間隙に試験物質が浸透することを防止できる。
駆動伝達部は、POCTプラットフォーム1のバルブ駆動モータ30による駆動力を回転バルブ13に伝達するためのものである。駆動伝達部の具体的な構成は任意であるが、回転バルブ13の回動軸を中心軸とする図示しない歯車を、バルブ本体130の端面のうち本体基板11と接していない側の端面上に設置してもよい。この歯車を、バルブ駆動モータ30に設けられている歯車と噛み合わせることにより、これらの歯車を介してバルブ駆動モータ30の駆動力を回転バルブ13に伝達させることができる。
なお、回転バルブ13の具体的な構成や材料は任意であり、例えば、本体基板11と同様にプラスチック、金属、あるいはガラス等を用いることができる。また、回転バルブ11の製造方法も任意であり、例えば射出成型法によって製造することができる。
(物質移動制御デバイスの作用)
次に、本実施の形態に係る物質移動制御デバイス10の作用について説明する。上述したように、本実施の形態においては、物質移動制御デバイス10を用いて酵素免疫測定法によって血液の分析を実施する場合を仮定して説明を行う。以下では、特に、血漿、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子、及び、酵素標識抗体を一度に反応させる1ステップ免疫測定法を実行した場合について説明する。図3から図16は、分析のフローの各時点における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。
(0)初期状態
初期状態においては、図3に示すように、第1の回転バルブ13a及び第2の回転バルブ13bにおける定量孔131の端部は、本体基板11のいずれの流路115とも対向しておらず、いかなる試験物質も各回転バルブ13を通過できない状態となっている。
(1)検体滴下
まず、図4に示すように、検体である血液をピペット等を用いて検体導入口111に滴下する。
(2)物質移動制御デバイス10のセット
続いて、物質移動制御デバイス10をPOCTプラットフォーム1にセットする。このとき、バルブ駆動モータ30と駆動伝達部との接続、オーバーフローチャネル122へのドレインチューブの接続、及び、エアベントチャネル123へのフィードチューブの接続が行われる。
(3)プレヒート
次に、温度制御素子40によって、物質移動制御デバイス10を所定の温度までプレヒーティングする。このとき、複数の温度制御素子40によって、物質移動制御デバイス10を局所的に異なる温度に制御させてもよい。
(4)磁性粒子攪拌
次に、粒子攪拌用素子20によって、粒子リザーバ116aの内部に保管されている磁性粒子を攪拌させる。
(5)磁性粒子の定量及び導入
次に、図5に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端とオーバーフローチャネルg122gとを対向させると共に、定量孔c131cの他端を流路g115gと対向させる。この状態において、ドレインチューブを介してオーバーフローチャネルg122gに接続されているポンプ50を駆動することにより、粒子リザーバ116aから流路g115g及び定量孔c131cを介して、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子がオーバーフローチャネルg122gに導入される。
このとき、定量孔c131cの内部には、定量孔c131cの容積に等しい量の磁性粒子が充填されている。この状態で、図6に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端と流路c115cとを対向させると共に、定量孔c131cの他端をエアベントチャネルc123cと対向させる。この状態において、フィードチューブを介してエアベントチャネルc123cに接続されているポンプ50を駆動してエアベントチャネルc123cから気体を吐出させることにより、定量孔c131cに充填されている磁性粒子を、流路c115cを介して反応チャンバ119に導入させる。なお、定量孔c131c及び流路c115cは鉛直方向に傾斜しているので、重力により、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子を反応チャンバ119に導入させることも可能である。
(6)検体希釈液の定量及び導入
次に、図7に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端とオーバーフローチャネルk122kとを対向させると共に、定量孔c131cの他端を流路k115kと対向させる。この状態において、ドレインチューブを介してオーバーフローチャネルk122kに接続されているポンプ50を駆動することにより、検体希釈液リザーバ116eから流路k115k及び定量孔c131cを介して検体希釈液がオーバーフローチャネルk122kに導入される。
このとき、定量孔c131cの内部には、定量孔c131cの容積に等しい量の検体希釈液が充填されている。この状態で、図8に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端と流路c115cとを対向させると共に、定量孔c131cの他端をエアベントチャネルc123cと対向させる。この状態において、フィードチューブを介してエアベントチャネルc123cに接続されているポンプ50を駆動してエアベントチャネルc123cから気体を吐出させることにより、定量孔c131cに充填されている検体希釈液を、流路c115cを介して反応チャンバ119に導入させる。なお、定量孔c131c及び流路c115cは鉛直方向に傾斜しているので、重力により磁性粒子を反応チャンバ119に導入させることも可能である。
(7)血漿の生成、定量、及び導入
次に、図9に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、初期状態と同じ位置にする。この状態で、吸引吐出口114に接続されているチューブを介してポンプ50による吸引を行い、検体導入口111に滴下された血液に血球分離膜113を通過させる。血液が血球分離膜113を通過することで生成された血漿は、血球分離部112の内部に保持される。
この状態で、図10に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端と血球分離部112の底部とを対向させると共に、定量孔c131cの他端をオーバーフローチャネルc122cと対向させる。この状態において、ドレインチューブを介してオーバーフローチャネルc122cに接続されているポンプ50を駆動することにより、血球分離部112から定量孔c131cを介して血漿がオーバーフローチャネルc122cに導入される。なお、定量孔c131cは鉛直方向に傾斜しているので、オーバーフローチャネルc122cに接続されているドレインチューブの他端を開放することで、重力により血漿をオーバーフローチャネルc122cまで導入させることも可能である。
このとき、定量孔c131cの内部には、定量孔c131cの容積に等しい量の血漿が充填されている。この状態で、図11に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔c131cの一端と流路c115cとを対向させると共に、定量孔c131cの他端をエアベントチャネルc123cと対向させる。この状態において、フィードチューブを介してエアベントチャネルc123cに接続されているポンプ50を駆動してエアベントチャネルc123cから気体を吐出させることにより、定量孔c131cに充填されている血漿を、流路c115cを介して反応チャンバ119に導入させる。なお、定量孔c131c及び流路c115cは鉛直方向に傾斜しているので、重力により血漿を反応チャンバ119に導入させることも可能である。
(8)酵素標識抗体の定量及び導入
次に、図12に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔a131aの一端とオーバーフローチャネルa122aとを対向させると共に、定量孔a131aの他端を流路h115hと対向させる。この状態において、ドレインチューブを介してオーバーフローチャネルa122aに接続されているポンプ50を駆動することにより、酵素標識抗体リザーバ116bから流路h115h及び定量孔a131aを介して酵素標識抗体がオーバーフローチャネルa122aに導入される。なお、流路h115h及び定量孔a131aは非水平に配置されているので、オーバーフローチャネルa122aに接続されているドレインチューブの他端を開放することで、重力により酵素標識抗体をオーバーフローチャネルa122aまで導入させることも可能である。
このとき、定量孔a131aの内部には、定量孔a131aの容積に等しい量の酵素標識抗体が充填されている。この状態で、図13に示すように、バルブ駆動モータ30によって第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔a131aの一端と流路a115aとを対向させると共に、定量孔a131aの他端をエアベントチャネルa123aと対向させる。この状態において、フィードチューブを介してエアベントチャネルa123aに接続されているポンプ50を駆動してエアベントチャネルa123aから気体を吐出させることにより、定量孔a131aに充填されている酵素標識抗体を、流路a115aを介して反応チャンバ119に導入させる。なお、定量孔a131a及び流路a115aは非水平に配置されているので、エアベントチャネルa123aに接続されているフィードチューブの他端を開放することで、重力により酵素標識抗体を反応チャンバ119に導入させることも可能である。
(9)免疫反応
以上のように、酵素標識抗体、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子、及び、血漿の三種の試験物質が反応チャンバ119に導入された状態において、反応チャンバ119に近接して配置されている粒子攪拌用素子20を動作させ、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子を反応チャンバ119の内部で運動させる。磁性粒子の運動に伴って試験物質が相互に混合されることにより、血漿中に含まれる試験物質と、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子とが結合し、さらに試験物質を介して磁性粒子に酵素標識抗体が結合する。
(10)分離及び洗浄
つづいて、粒子攪拌用素子20を動作させ、磁性粒子を粒子攪拌用素子20に向かって集磁させる。これにより、磁性粒子と結合している検体及び当該検体に結合している酵素標識抗体のみが、粒子攪拌用素子20に集磁される。この状態で、図14に示すように、第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔a131aの一端とオーバーフローチャネルd122dとを対向させると共に、定量孔a131aの他端を流路i115iと対向させる。ポンプ50を動作させ、洗浄液リザーバ116cから流路i115i及び定量孔a131aを介してオーバーフローチャネルd122dに洗浄液を導入させる。さらに、図15に示すように、第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔a131aの一端と流路a115aとを対向させると共に、定量孔a131aの他端をエアベントチャネルa123aと対向させ、定量孔a131aに充填されている洗浄液を反応チャンバ119に導入させる。その後、図16に示すように、バルブ駆動モータ30によって第2の回転バルブ13bを回動させ、定量孔f131fの一端と流路d115dとを対向させると共に定量孔f131fの他端を流路e115eと対向させる。これにより、反応チャンバ119の内部の洗浄液、及び、集磁されていない酵素標識抗体や血漿が、流路d115d、定量孔f131f、及び、流路e115eを介して廃液チャンバ120に排出される。この分離及び洗浄動作を複数回(望ましくは8〜10回)繰り返す。
(11)基質の定量及び導入
次に、図17に示すように、第2の回転バルブ13bを回動させ、定量孔e131eの一端と流路j115jとを対向させると共に、定量孔e131eの他端をオーバーフローチャネルj122jと対向させる。ポンプ50を動作させ、基質リザーバ116dから流路j115j及び定量孔e131eを介してオーバーフローチャネルj122jに基質を導入させる。その後、図18に示すように、第2の回転バルブ13bを回動させ、定量孔e131eの一端と流路f115fとを対向させると共に、定量孔e131eの他端をエアベントチャネルf123fと対向させる。さらに、第1の回転バルブ13aを回動させ、定量孔b131bの一端と流路f115fとを対向させると共に定量孔b131bの他端を流路b115bと対向させる。これにより、第2の回転バルブ13bの定量孔e131eに充填されている基質を、流路f115f、第1の回転バルブ13aの定量孔b131b、及び、流路b115bを介して反応チャンバ119に導入させる。続いて粒子攪拌用素子20によって磁性粒子を反応チャンバ119の内部で拡散させ、酵素標識抗体と基質との反応を行わせる。
(12)検出、結果表示
次に、PMT60を反応チャンバ119に接近させ、反応チャンバ119の内部の反応を光学的に検出する。なお、PMT60の光軸上には一つの物質移動制御デバイス10のみが存在するように配置されているため、他の物質移動制御デバイス10での酵素−基質反応に起因する発光をPMT60が誤検出することはない。このようにPMT60によって得られた信号に基づき、POCTプラットフォーム1は検体の濃度算出や結果表示等を実行する。
(実施の形態の効果)
このように本実施の形態によれば、試験物質を移動させる流路115の一部を、非水平の配置としたので、ポンプやシリンダー等の動力によって強制的に移動させるだけでなく、重力によっても試験物質を移動させることができ、ポンプ50への負担を低減できる。従ってポンプ50の駆動やメンテナンスに要するコストを低減できる。
また、回転バルブ13に所定の容積を有する定量孔131を設けており、定量孔131に試験物質を充填させることで当該試験物質の定量を行っている。これにより、容易かつ高精度に試験物質の定量を行うことができる。
また、物質移動制御デバイス10にリザーバ116を設けているので、分析の実施の度に試薬の計量を行う必要がなく、低コスト且つ迅速に分析を行うことができる。また、物質移動制御デバイス10の底部には廃液チャンバ120を設けているので、特別な吸収剤を用いなくても廃液を貯蔵することができ、製造コストを低減することができる。
また、定量孔131の長軸方向と直交する断面の形状を略円形としているので、同一面積の矩形断面の場合と比較して試験物質の流動抵抗を低減することができ、ポンプ50に対する負荷を低減することができる。また、表面張力によって試験物質が滞留しやすい隅角部がないので、試験物質を円滑に移動させることができる。
また、バルブ本体130の外周面における定量孔131の開口形状を、回転バルブ13の回動方向と直交する方向に細長な形状としているので、当該開口が同時に複数の流路115、エアベントチャネル123、あるいはオーバーフローチャネル122等と対向することを防止できる。これにより、複雑な反応系を実現しながらも、無用のコンタミネーションを回避することができる。
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
(適用する測定法について)
上述の実施の形態では、血漿、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子、及び、酵素標識抗体をまとめて接触させた後に洗浄を行い、その後に基質との反応を行わせる1ステップ法を例に挙げて説明したが、血漿、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子を接触させ、血漿中の試験物質と磁性粒子とを結合させた後1度目の洗浄を行ない、その後酵素標識抗体を前記試験物質を介して磁性粒子に結合させ、2度目の洗浄を行なった後、基質との反応を行なわせる2ステップ法や、酵素標識抗体と血漿中の試験物質を先に接触させた後、試験物質特異的結合物質を担持した磁性粒子を試験物質を介して結合させ洗浄した後、基質と反応させるいわゆるディレイ1ステップ法のような複雑な測定法においても本発明は使用することができる。また、サンドイッチ法のみならず競合法においても使用可能である。
(流路115と定量孔131との相互間における試験物質の移動について)
上述の実施の形態では、一つの流路115と一つの定量孔131との間での物質移動を連続して行わせているが、複数の流路115と複数の定量孔131とが同時に対向するように流路115及び定量孔131を配置し、これらの流路115及び定量孔131の間で同時に物質移動を行わせてもよい。これにより、複数の流路115及び定量孔131の相互間における試験物質の移動を同時に制御できるので、試験を一層迅速に行うことができる。
(回転バルブ13について)
上述の実施の形態では、二つの回転バルブ13を備えた物質移動制御デバイス10について説明したが、回転バルブ13の数は一つ、あるいは三つ以上の任意の数でも良い。また、回転バルブ13が複数ある場合には、それぞれの回転バルブ13の大きさ、定量孔131の形状、定量孔131の本数等は相互に異なっていても良い。また、図17に示すように、複数の回転バルブ13を試験物質の移動方向に直列に配置しても良く、あるいは、図18に示すように、複数の回転バルブ13を試験物質の移動方向に並列に配置してもよい。また、複数の回転バルブ13を一つのバルブ駆動モータ30によって動作させても良く、各回転バルブ13にそれぞれバルブ駆動モータ30を設けても良い。
また、上述の実施の形態では、回転バルブ13の形状が略円筒状であると説明したが、他の形状としても良い。例えば、図19に示すように回転バルブ13を球体とすることもできる。あるいは、図20に示すように半球体とすることもできる。
また、図21に示すように、物質移動制御デバイス10を積層して用いても良い。あるいは、図22に示すように、回転バルブ13の内部に複数の定量孔131を積層して設けても良い。この場合、本体基板11においても流路115を積層して設けておくことで、回転バルブ13を長軸方向に摺動させ、定量孔131と本体基板11の流路115とを選択的に連通させることもできる。
また、図23に示すように、一つの回転バルブ13の中に小型の回転バルブ13を配置しても良い。これにより、物質移動制御デバイス10の小型化を実現することができる。また、このような構成とすることで、進行性化学反応物のインジェクションを行うこともできる。この場合、回転バルブ13の中に配置される小型の回転バルブ13の数は任意の数とすることができる。
また、図24に示すように、回転バルブ13を略輪体としても良い。この場合、回転バルブ13の内側にエアベントチャネル123やオーバーフローチャネル122を設けることにより、物質移動制御デバイス10を小型化することができる。
この発明に係る物質移動制御デバイスは、分析のための試験物質を移動させる物質移動制御デバイスに適用でき、駆動機構への負担を小さくすると共に、吸収材を不要とすることで、低コスト化した物質移動制御デバイスに有用である。また、複雑な反応系を構築することができると共に、コンタミネーションが生じにくく、更に、分析時間を短縮化した物質移動制御デバイスにも有用である。
本実施の形態に係る物質移動制御デバイスを搭載するPOCTプラットフォームのシステム概要図である。 本実施の形態に係る物質移動制御デバイスの正面図である。 分析フローの初期状態における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 検体滴下時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 磁性粒子の定量時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 磁性粒子の導入時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 検体希釈液の定量時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 検体希釈液の導入時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 血漿の生成時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 血漿の定量時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 血漿の導入時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 酵素標識抗体の定量時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 酵素標識抗体の導入時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 分離及び洗浄時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 分離及び洗浄時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 分離及び洗浄時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 基質の定量時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 基質の導入時における物質移動制御デバイス10の状態を示した概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。 本実施の形態の変形例に係る物質移動制御デバイスの概要図である。
符号の説明
1 POCTプラットフォーム
10 物質移動制御デバイス
11 本体基板
13 回転バルブ
13a 第1の回転バルブ
13b 第2の回転バルブ
20 粒子攪拌用素子
30 バルブ駆動モータ
40 温度制御素子
50 ポンプ
60 PMT
110 バルブ嵌込部
110a 第1のバルブ嵌込部
110b 第2のバルブ嵌込部
111 検体導入口
112 血球分離部
113 血球分離膜
114 吸引吐出口
115 流路
115a 流路a
115b 流路b
115c 流路c
115d 流路d
115e 流路e
115f 流路f
115g 流路g
115h 流路h
115i 流路i
115j 流路j
115k 流路k
116 リザーバ
116a 粒子リザーバ
116b 酵素標識抗体リザーバ
116c 洗浄液リザーバ
116d 基質リザーバ
116e 検体希釈液リザーバ
117 導出口
119 反応チャンバ
120 廃液チャンバ
121 吸引口
122 オーバーフローチャネル
122a オーバーフローチャネルa
122c オーバーフローチャネルc
122d オーバーフローチャネルd
122g オーバーフローチャネルg
122j オーバーフローチャネルj
122k オーバーフローチャネルk
123 エアベントチャネル
123a エアベントチャネルa
123c エアベントチャネルc
123d エアベントチャネルd
123f エアベントチャネルf
130 バルブ本体
131 定量孔
131a 定量孔a
131b 定量孔b
131c 定量孔c
131d 定量孔d
131e 定量孔e
131f 定量孔f

Claims (7)

  1. 分析のための試験物質の移動を制御する物質移動制御デバイスであって、
    試験物質を移動させる第1の流路を複数有する本体と、
    試験物質を移動させる第2の流路を複数有し、前記本体に回動自在に接する回動体と、を備え、
    前記回動体を回動させることによって、少なくとも前記第1の流路の一つと前記第2の流路の一つとの間で試験物質が移動自在となる位置及び移動不能となる位置の両位置に、前記第2の流路を選択的に配置可能とし、
    前記第1の流路及び前記第2の流路の長軸方向を非水平に配置したこと、
    を特徴とする物質移動制御デバイス。
  2. 前記第2の流路は所定の容積を有し、当該第2の流路内の試験物質を定量する定量手段であること、
    を特徴とする請求項1に記載の物質移動制御デバイス。
  3. 前記本体は、試験物質を格納し前記第1の流路に当該試験物質を供給する供給手段を備えること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の物質移動制御デバイス。
  4. 前記本体は、前記第1の流路又は前記第2の流路から流出した試験物質を貯蔵する貯蔵手段を、当該本体の底部に備えること、
    を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイス。
  5. 前記回動体を回動させた場合に、複数の前記第1の流路と複数の前記第2の流路との間で同時に試験物質が移動自在となる位置及び移動不能となる位置の両位置に、複数の前記第2の流路を選択的に配置可能としたこと、
    を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイス。
  6. 前記第2の流路の長軸方向と直交する断面を、略円形としたこと、
    を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイス。
  7. 前記回動体の周面における前記第2の流路の開口形状を、当該回動体の回動方向と直交する方向に細長な形状としたこと、
    を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の物質移動制御デバイス。
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