JP2009013138A - 新規レクチン及びその製造方法、並びに糖鎖検出方法及び糖鎖分別方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)分子量が、10,000〜30,000であり、(2)N−末端領域のアミノ酸配列が、Thr-Ile-Gly-であり、(3)Glcα1→6Glc、及び、Manα1→6Manに結合するヌメリガサ属(Hygrophorus)担子菌に由来するレクチンである。
【選択図】なし
Description
本発明は、グルコースやマンノースの結合において、特に、α1→6結合を有するグルコースオリゴマー又はマンノースオリゴマーを特異的に検出可能なレクチンを提供することを目的とする。
前記N−末端領域のアミノ酸配列は、Thr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-であることが好ましい。
また、本発明のレクチンは、ヌメリガサ属担子菌の水系媒体抽出物を、グルコース残基及び/又はマンノース残基を有する糖を含有する溶出液と、グルコース残基及び/又はマンノース残基を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製して得られるものであることが好ましい。
前記ヌメリガサ属担子菌はサクラシメジ、ヒメサクラシメジ、サクラシメジモドキからなる群より選択された少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明の糖鎖化合物の検出方法は、前記レクチン又は前記標識レクチンを用いて、Glcα1→6Glc及びManα1→6Manの少なくとも1種を含む糖鎖を検出する工程を含む糖鎖検出方法である。
更に、本発明の糖鎖化合物の分別方法は、前記レクチン又は前記レクチン固定化担体を用いて、Glcα1→6Glc及びManα1→6Manの少なくとも1種を含む糖鎖を分別する工程を含む糖鎖分別方法である。
本発明におけるヌメリガサ属担子菌としては、サクラシメジ、ヒメサクラシメジ、サクラシメジモドキ、アケボノサクラシメジ、ウコンガサ、キヌメリガサ、コケイロヌメリガサ、シモフリヌメリガサ、フキサクラシメジ、ヤギタケ等を挙げることができ、このうちレクチンの糖認識特異性とレクチンの回収効率の観点から特に、サクラシメジ、ヒメサクラシメジ及びサクラシメジモドキから選択された少なくとも1種であることが好ましく、サクラシメジであることがより好ましい。
SDS電気泳動法による分子量の測定は、例えば、Laemmiの方法(Nature, 227巻, 680頁, 1976年)に準じて行うことができる。
中でも、N−末端領域が、Thr-Ile-Gly-Thr-Ala-Lys-Pro-Ile-Leu-Ala-Gln-Thr-Ala-Ile-Val-Gly-Gly-Pro-Ser-Val-Pro-Phe-Asp-Asp-Ala-Arg-Glu-Val-Ala-Ser-Trp-Pro-Ala-Lys-Leu-Glu-Ile-Ala-Gln-Asp-(配列番号3)、Thr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-Val-Leu-Val-Gln-Asn-Val-Leu-Leu-Gly-Gly-Pro-Ala-Val-(配列番号4)又はThr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-Val-Leu-Val-Gln-Thr-Gly-Ile-Val-Gly-Gly-Pro-X-Val-(配列番号5)からなるアミノ酸配列を有するタンパク質を含むものであることがより好ましい。
ここでGlcα1→6Glcは、2分子のグルコースがα1→6結合で結合したイソマルトース構造を意味する。また、Manα1→6Manは、2分子のマンノースがα1→6結合で結合したα1→6マンノビオース構造を意味する。
本発明のレクチンは、グルコース又はマンノースがα1→6結合で結合した部分構造を有する糖鎖を特異的に認識することができるという従来のレクチンには知られていなかった糖結合特異性を有する。
緩衝液としては、特に制限されることなく公知の緩衝液を用いることができる。中でも、pH3〜pH10の範囲に緩衝能を有するものが好ましく、pH6〜pH8の範囲に緩衝能を有する緩衝液がより好ましい。
緩衝液の塩濃度については、特に制限はないが、抽出効率と緩衝能の点から、1mM〜100mMであることが好ましく、5mM〜20mMであることがより好ましい。
前記デキストラン担体は、架橋デキストランを含有する担体であることが好ましく、中でも分画範囲が100,000Da以下の担体を用いることがより好ましく、1,500〜80,000Daの担体を用いることがより好ましい。具体的には、例えば、Sephadex担体(GEヘルスケアバイオサイエンス(株)製)を挙げることができる。中でも、精製効率の観点から、Sephadex G−50又はSephadex G−75を用いることが特に好ましい。
また本発明においては、前記水系媒体抽出物を前記カラムに吸着させた後に、適当な洗浄液、例えば、上述した緩衝液を用いて洗浄を行った後に、グルコース残基及び/又はマンノース残基を有する糖類を含有する溶出液を用いて分離及び分画することがより好ましい。
前記溶出液に含まれる糖類の濃度には特に制限はないが、例えば、イソマルトオリゴ糖を含む溶出液における糖類の含有量としては、精製効率の点から、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜2質量%であることがより好ましい。また、グルコース又はマンノースを含む溶出液における糖類の濃度としては、精製効率の点から、10mM〜1000mMであることが好ましく、10mM〜500mMであることがより好ましい。
尚、グルコース、マンノース及びイソマルトオリゴ糖は市販のものを好適に用いることができる。
透析処理する工程及び凍結乾燥する工程は、通常用いられる公知の方法によって行うことができる。
標識化合物としては、この用途に通常用いられるものであれば特に制限なく適用することができ、例えば、直接又は間接標識化合物、酵素、蛍光化合物等を挙げることができる。具体的にはビオチン、ジゴキシゲニン、西洋ワサビ由来ペルオキシダーゼ、フルオレセインイソチオシアネート、CyDye等を挙げることができる。これらの標識化合物は常法によりレクチンと結合することができる。
標識レクチンの検出手段は、用いられた標識手段に応じて適宜選択される。例えば、吸光度測定、発光強度測定、蛍光強度測定、目視等により行うことができる。
また支持担体の構造としては、特に制限はなく、例えば、多孔質構造、繊維状構造、ゲル状構造等を挙げることができる。
レクチンは前記支持担体に対して、支持担体に応じた常法を用いて固定化することができる。また、レクチンと支持担体との間には、連結基(スペーサー)が設けられていても良い。
山梨県山林中より採取したヌメリガサ属サクラシメジ(Hygrophorus russula)の子実体100gに、10mMリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4、以下「PBS」ということがある)を100ml加えて、ミキサーにて粉砕した。これを4℃で昼夜放置した後、遠心分離(8500×g、20分間、4℃)し、上清を粗抽出液(水系媒体抽出物)とした。
得られた粗抽出液を、PBSで平衡化したSephadex G−75アフィニティーカラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製;φ5×15cm)に付した。非吸着分をPBS(約700ml)にて洗浄した後、300mMのマンノース溶液を用いて溶出し、レクチン含有画分を得た。尚、レクチンを含有する画分は280nmにおける吸光度及び赤血球凝集活性を測定することによって同定した。
得られたレクチン含有画分を、常法により透析処理し、凍結乾燥することでヌメリガサ属担子菌に由来するレクチン(Hygrophorus russula lectin : HRL)を6mg得た。
実施例1で得られたレクチン(HRL)に対して以下の評価を行った。
[SDS−ポリアクリルアミド電気泳動]
Laemmliらの方法に従い10%のSDSを含む濃縮ゲル5%T、分離ゲル15%Tのアクリルアミドスラブゲルを作製した。
レクチン10μgを蒸留水31.25μlに溶解し、ついで10%SDS10μl、0.5Mトリス緩衝液(pH6.8)6.25μl、2−メルカプトエタノール2.5μlを加えて、総量50μlとした。これを10分間煮沸した後、0.05%ブロモフェノールブルー、70%グリセロールを各5μl加えて、試料溶液とした。また、分子量マーカーとしては、XL-Ladder Low range(APRO社製)を使用した。
泳動はコンパクト−PAGE(ATTO社製)を用いて行った。試料溶液、分子量マーカーは共に5μl用いた。泳動槽用緩衝液として、0.1%のSDSを含むトリス25mM、グリシン192mMを含む緩衝液を用いた。泳動終了後、ゲルを直ちに染色液(0.1%CBB R-250、30%メタノール、10%酢酸)に浸し、60℃で30分間緩やかに振とうしながら染色した。ついで脱色液(30%メタノール、10%酢酸)に浸し、同様に60℃で時折脱色液を交換しながら脱色した。十分脱色後、ゲルを濾紙上にてゲル乾燥機により乾燥し、相対移動度から分子量を推定した。結果を図1に示した。
また、上記試料液の調製において、蒸留水を33.75μl用い、2-メルカプトエタノールを添加しなかった以外は同様にして調製した試料溶液を用いて、上記と同様にして電気泳動を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。このことから、本発明のレクチンはサブユニットがジスルフィド結合で結合したタンパク質ではないことが分かる。
HRL10μgをTA(0.1%TFAとアセトニトリルの体積比2:1の混合物)に溶解した。TAに溶解した飽和マトリックスとHRLのTA溶液を体積比4:1で混合したもの1.0μlをターゲットプレートに滴下してサンプルを調製した。質量分析装置としてブルカーダルトニクス社製Autoflexを用い、LPモードでHRLの分子量を測定した。その結果、HRLの分子量は約18,500であった。
ゲル濾過カラムとして、TSK-gel BioAssist G3SWXL(φ7.8×300mm、東ソー(株)製)を用い、HPLCによるゲル濾過クロマトグラフィーを以下のようにして行い、未変性状態のHRLの分子量を測定した。
あらかじめPBSで平衡化しておいたカラムに試料溶液を付した。流速0.5ml/minで溶出し、試料の溶出時間から分子量を推定した。尚、検出は280nmにおける吸光度で行い、分子量推定用検量線の作製には、Molecular weight markers for gel filtration chromatography(Sigma社製)を使用した。
HRLのN−末端領域のアミノ酸配列を、Protein Peptide Sequencer PPSQ-21 System(島津製作所社製)を用いて解析したところ、下記アミノ酸配列(配列番号3)であることが分かった。
Thy-Ile-Gly-Thr-Ala-Lys-Pro-Ile-Leu-Ala-Gln-Thr-Ala-Ile-Val-Gly-Gly-Pro-Ser-Val-
Pro-Phe-Asp-Asp-Ala-Arg-Glu-Val-Ala-Ser-Trp-Pro-Ala-Lys-Leu-Glu-Ile-Ala-Gln-Asp
市販のゲル(PhastGel IEF 3−10;GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用い、付属のインストラクションマニュアルに従って等電点電気泳動を行った。
試料として10μgのHRLを蒸留水10μlに溶解したものを用い、等電点マーカーはBroad pI calibration kit(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いた。
本発明のレクチンの等電点はpI6.55であった。
50μgのHRLを生理食塩水1mlに溶解し、各試験温度で30分間インキュベートした。直ちに氷冷し10分後に上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図2に示した。
50μgのHRLを生理食塩水1mlに溶解し、これを試験管に分取した。等量の下記の各pH緩衝液をそれぞれ加え、4℃にて24時間インキュベートした後、上記と同様にして赤血球凝集活性を測定した。結果を図3に示した。
pH2.0−3.5 : 20mM KCl−HCl緩衝液
pH4.0−5.5 : 20mM 酢酸緩衝液
pH6.0−7.5 : 20mM リン酸緩衝液
pH8.0−8.5 : 20mM トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)緩衝液
pH9.0−10.5 : 20mM グリシン−NaOH緩衝液
尚、各緩衝液は0.15M 塩化ナトリウムを含む。
タンパク質含有量は、IgGを標準としたBradford色素結合法により測定した。10μg/ml〜1.25μg/mlのIgG溶液を調製した。それぞれの溶液800μlにバイオラッドプロテインアッセイ染色液(日本バイオラッドラボラトリーズ社製)200μlを加え、激しく攪拌した。30分後に595nmの吸光度を測定して、検量線を作成した。
20〜5μg/mlのHRL試料溶液を調製し、上記と同様にして吸光度を測定し、検量線からタンパク質含有量を推定した。
HRLのタンパク質含有量は、79.6%であった。
グルコースを標準としたフェノール−硫酸法により中性糖含有量を測定した。0〜30%のグルコース溶液を調製し、グルコース溶液100μlを比色管に分注した。5%フェノール0.5ml、ついで濃硫酸2.5mlを素早く加え、激しく振盪した。そして、室温になるまで冷却した後、485nmの吸光度を測定し、検量線を作成した。
試料としてHRLの1mg/ml水溶液を用い、グルコースと同様にして、吸光度を測定し、検量線から中性糖含有量を推定した。
HRLの中性糖含有量は3.5%であった。
ウサギ血液10mlを採血後、直ちに3.8%クエン酸ナトリウム溶液2.0mlを加えた試験管内でよく混合し、血液の凝固を阻止した。次に遠心分離(3000×g、3min、常温)を行い血漿及び白血球を除去し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、ウサギ3%赤血球懸濁液とした。
96ウェルタイタープレートの一段にPBSを各20μl入れ、ウェルに、レクチン溶液(20μg/ml)を20μl入れ、順次1/2希釈系列を作製した。上記で得られたウサギ3%赤血球溶液をそれぞれ20μl添加し、室温で約60分放置後、赤血球凝集活性を肉眼にて観察した。凝集が認められた最大稀釈度の逆数を原液の凝集力価とし、凝集力価の2を底とする対数を赤血球凝集活性として表1に示した。
ウサギ赤血球凝集活性試験において、ウサギ血液の代わりにヒツジ血液を用いた以外は同様にして、ヒツジ赤血球凝集活性試験を行った。結果を表1に示した。
A型、B型、O型のヒト血液10mlを採血後、直ちに3.8%クエン酸ナトリウム溶液2.0mlを加えた試験管内でよく混合し、血液の凝固を阻止した。次に遠心分離(3000×g、3min、常温)を行い血漿及び白血球を除去し、赤血球のみとした。これにPBSを赤血球の約3倍量加えてよく混合し、同様の条件で遠心分離し上清を取り除いた。これを3回繰り返すことで血漿及び白血球を完全に取り除き、これを洗浄赤血球とした。この洗浄赤血球をPBSで希釈し、A型、B型、O型の3%赤血球懸濁液とした。次いで以下の処理を行い、アクチナーゼE処理赤血球懸濁液、トリプシン処理赤血球懸濁液、ノイラミニダーゼ処理赤血球懸濁液を調製した。
上記で得られた洗浄赤血球1mlを、4mgのアクチナーゼEを溶解させた9mlのPBSに懸濁し、45℃で30分間振とうして反応させた。反応後、遠心分離(3,000×g、3min、常温)し、上清を取り除くことで赤血球のみとする洗浄を3回繰り返した。この赤血球をPBSで希釈し、3%アクチナーゼE処理赤血球懸濁液とした。
上記で得られた洗浄赤血球1mlを1mgのトリプシンを溶解させた9mlのPBSに懸濁し、37℃で90分間振とうして反応させた。さらに、1mgのトリプシンを添加し、37℃で90分間振とうして反応させた。反応後、遠心分離(3,000×g、3min、常温)し、上清を取り除くことで赤血球のみとする洗浄を3回繰り返した。この赤血球をPBSで希釈し、3%トリプシン処理赤血球懸濁液とした。
上記で得られた洗浄赤血球1mlを1Uのノイラミダーゼを溶解させた9mlのPBSに懸濁し、37℃で60分間振とうして反応させた。反応後、遠心分離(3,000×g、3min、常温)し、上清を取り除くことで赤血球のみとする洗浄を3回繰り返した。この赤血球をPBSで希釈し、3%ノイラミダーゼ処理赤血球懸濁液とした。
種々の単糖、オリゴ糖、多糖および糖タンパクを用いて赤血球凝集反応阻害試験によりレクチンの糖結合特異性を評価した。96穴U底マイクロタイタープレートに10μlの糖溶液の2倍希釈系列を作製した。力価4にあらかじめ調節しておいたレクチン溶液をそれぞれの穴に10μlずつ加えた。室温にて1時間静置して感作させた後、20μlの3%赤血球懸濁液をそれぞれの穴に加え、さらに室温にて1時間静置した。その後、赤血球の凝集を完全に阻害するサンプル溶液の希釈倍率を肉眼にて判定した。阻害を示す最低濃度を最小阻害濃度とした。この最小阻害濃度が小さいほど、レクチンに対する特異性が高いことを示している。結果を下記表2及び表3に示した。
また、これらの特異性を市販のグルコース・マンノース特異的レクチンであるコンカナバリンAレクチン(ConA)ならびに、エンドウマメレクチン(PSA)について評価した結果を下記表2及び表3に併せて示した。
更に、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸は、40mMで赤血球凝集阻害活性を示さなかった。
F344ラット(オス、8週齢)を用いて、常法により脾臓リンパ球を調製した。培地としてRPMI1640(10%FCS、グルタミン、2−メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン、アンホテリシンBを添加)を用い、細胞数が1ウェル当たり1×106個となるようにした脾臓リンパ球の培養液に、終濃度が0μg/ml、0.5μg/ml、1μg/ml、2μg/ml、4μg/ml、8μg/ml、25μg/mlとなるように、HRLをそれぞれ添加した。5%二酸化炭素雰囲気下で37℃、38時間培養した。培養上清を回収し、培養上清中のサイトカイン(IL−6及びIFN−γ)の含有量をELISA法にて測定した。また、HRLの代わりにConAを4μg/ml用い、同様にして培養上清中のサトカイン量を測定した。結果を図4及び図5に示した。
実施例1において、サクラシメジの代わりにヒメサクラシメジ(Hygrophorus capreolarius)を用いた以外は実施例1と同様にしてヌメリガサ属担子菌に由来するレクチン(HCL)を1mg得た。
SDS−ポリアクリルアミド電気泳動の結果を図1に示した。図1からHCLの分子量は15,000〜20,000であることが分かる。
HCLのN−末端領域のアミノ酸配列を、実施例1と同様にして解析したところ、下記アミノ酸配列(配列番号4)であることが分かった。
Thr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-Val-Leu-Val-Gln-Asn-Val-Leu-Leu-Gly-Gly-Pro-Ala-Val-
尚、XはN−末端アミノ酸分析では、決定できなかったことより、Cysであることが予想される。
HRLの代わりにHCLを用いた以外は実施例1と同様にして、ウサギ、ヒツジ及びヒト赤血球凝集活性を測定した。結果を表1に示した。
上記の結果から、HCLはウサギ及びヒツジの赤血球凝集活性を示すことが分かる。
HRLの代わりにHCLを用いた以外は実施例1と同様にして、HCLの糖結合特異性を評価した。結果を表2及び表3に示した。
上記の結果から、HCLは、Glcα1→6Glc、及び、Manα1→6Manに特異的に結合することが分かる。
実施例1において、サクラシメジの代わりにサクラシメジモドキ(Hygrophorus purpurascens)を用いた以外は実施例1と同様にしてヌメリガサ属担子菌に由来するレクチン(HPL)を各1mg得た。
SDS−ポリアクリルアミド電気泳動の結果を図1に示した。図1からHPLの分子量は15,000〜20,000であることが分かる。
HPLのN−末端領域のアミノ酸配列を実施例1と同様にして解析したところ、下記アミノ酸配列(配列番号5)であることが分かった。
Thr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-Val-Leu-Val-Gln-Asn-Val-Leu-Leu-Gly-Gly-Pro-Ala-Val-
尚、XはN−末端アミノ酸分析では、決定できなかったことより、Cysであることが予想される。
HRLの代わりにHPLを用いた以外は実施例1と同様にして、ウサギ、ヒツジ及びヒト赤血球凝集活性を測定した。結果を表1に示した。
上記の結果から、HPLはウサギ及びヒツジの赤血球凝集活性を示すことが分かる。
HRLの代わりにHPLを用いた以外は実施例1と同様にして、HPLの糖結合特異性を評価した。結果を表2及び表3に示した。
上記の結果から、HPLは、Glcα1→6Glc、及び、Manα1→6Manに特異的に結合することが分かる。
Claims (10)
- 以下の特徴を有するヌメリガサ属(Hygrophorus)担子菌に由来するレクチン:
(1)SDS電気泳動法による分子量が、10,000〜30,000であり、
(2)N−末端領域のアミノ酸配列が、Thr-Ile-Gly-であり、
(3)Glcα1→6Glc、及び、Manα1→6Manに結合する。 - 前記N−末端領域のアミノ酸配列は、Thr-Ile-Gly-X-Ala-Lys-Pro-である請求項1に記載のレクチン。
- 前記ヌメリガサ属担子菌が、サクラシメジ、ヒメサクラシメジ、サクラシメジモドキからなる群より選択された少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のレクチン。
- ヌメリガサ属担子菌の水系媒体抽出物を、グルコース残基及び/又はマンノース残基を有する糖類を含有する溶出液と、グルコース残基及び/又はマンノース残基を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製することにより得られる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のレクチン。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレクチンの製造方法であって、ヌメリガサ属担子菌の子実体から水系媒体抽出物を得る抽出工程と、前記水系媒体抽出物を、グルコース残基及び/又はマンノース残基を有する糖類を含有する溶出液と、グルコース残基及び/又はマンノース残基を含有する担体を含有する担体とを用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製する精製工程と、を有するレクチンの製造方法。
- 前記ヌメリガサ属担子菌が、サクラシメジ、ヒメサクラシメジ、サクラシメジモドキからなる群より選択された少なくとも1種である請求項5に記載のレクチンの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレクチンと、標識手段とを含む標識レクチン。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレクチン又は請求項7に記載の標識レクチンを用いて、Glcα1→6Glc及び/又はManα1→6Manを含む糖鎖を検出する工程を含む糖鎖検出方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレクチンと、支持担体とを含むレクチン固定化担体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のレクチン又は請求項9に記載のレクチン固定化担体を用いて、Glcα1→6Glc及び/又はManα1→6Manを含む糖鎖を分別する工程を含む糖鎖分別方法。
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