JP2009008931A - 光学素子、光学ユニット、光学装置、結像光学系、投射光学系及び光学素子の製造方法 - Google Patents

光学素子、光学ユニット、光学装置、結像光学系、投射光学系及び光学素子の製造方法 Download PDF

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淳 高浦
Kazuhiro Fujita
和弘 藤田
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Abstract

【課題】 低コストで必要な面精度が確保された光学面を持つ光学素子の提供。
【解決手段】 光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、任意の異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2がf1>f2であるとき、空間周波数f1である空間周波数成分の面精度σ1と空間周波数f2である空間周波数成分の面精度σ2がσ1<σ2である光学面を有することを特徴とする光学素子。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光学素子、光学ユニット、光学装置、結像光学系、投射光学系及び光学素子の製造方法に関する。
小型のライトバルブに2次元的に画像表示した文字や絵などの静止画像、あるいは動画などを、投射光学系によって拡大投影して画像表示するプロジェクタタイプの画像表示装置が知られている。ライトバルブとしては、透過型液晶パネル、DLP(Digital Light Processor)、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)などが知られており、それぞれのライトバルブに適した投射光学系が用いられている。
プロジェクタ型の画像表示装置には、レンズに代表される透過屈折型光学素子を用いて、ライトバルブ上の画像を拡大投射するタイプのほか、ミラーに代表される反射屈折型光学素子を併用してライトバルブ上の画像を拡大投射するタイプがある。反射屈折型光学素子を併用するタイプにおいては、非球面ミラーや自由曲面ミラーを用いることによって、より短い投射距離で大画面を投射できるようになってきている。
例えば、特許文献1乃至2に記載の投射光学系は、いずれもミラーを併用することによって、短い投射距離で大画面を拡大投射できるという特徴がある。
特許文献1には、中間像形成の光学系と凹面ミラーの組み合わせの投射光学系であり、凹面ミラーとして軸対称非球面ミラーを用いた例が開示されている。
特許文献2には、中間像形成の光学系と凹面ミラーの組み合わせの投射光学系であり、XY多項式面ミラーを用いた投射光学系、拡大投射光学系、拡大投射装置及び画像投射装置が開示されている。これらのミラーをレンズ系と組み合わせて適切に配置構成することによって、短い投射距離で大画面を拡大投射できるようになる。
特許文献3には、プロジェクタに使用する反射鏡の表面粗さが中央部で0.5μm以下であるような反射鏡について開示されている。
特開2004−295107号公報 特開2004−258620号公報 特開2006−301232号公報
上記文献に開示されているいずれの投射光学系においても、ミラーは投影画像形成のキーパーツになっていると考えられる。このため、投影面に投射された投射画像に所望の画像性能を確保するためには、面精度の高いミラーを製造する必要があり、一方で、ミラーの製造コストは極力抑えることも望まれている。上記文献に開示されているミラーは、例えば金型を用いた射出成型によって量産することができるが、この場合には、所望の面精度特性をもつ金型を極力低コストで加工製造できるようにすることが重要な課題である。しかし、上記文献においては、所望の画像性能を確保するための面精度の高いミラー製造方法については十分な開示がなされていない。
例えば、特許文献1及び特許文献2においては、所望の投射画像性能を確保できる適切な面精度のミラーに関する記述はなく、適切な面精度を確保するミラーの製造方法についても記載されていない。
特許文献3には、反射鏡の中央部分の表面粗さRzを0.5μm以下とすることが記載されているが、反射鏡の表面粗さRzは、小さいほど投射画像の画像性能はよくなり、それを定量的に特定したことは有意義である。しかし、反射鏡の表面粗さを小さくすれば、その分反射鏡の製造コストは増大する。
このように、光学素子の製造においては、光学素子の結像性能、画像投影性能など画像形成性能を満足し、且つ製造が容易で製造コストを抑えることは常に課題となる。
本発明の目的は、上記課題を踏まえ、低コストで必要な面精度が確保された光学面を持つ光学素子を提供すること、この光学素子を備えた光学ユニット、光学装置、結像光学系、投射光学系を提供すること、及び低コストで必要な面精度が確保された光学面を持つ光学素子の製造方法を提供することである。
本発明者等は、投射光学系における投射画像などの画像性能は反射鏡の表面粗さだけで一律には規定できないことを見いだした。そして、単に表面粗さを特定しただけのミラーはどのような光学系においても高度な画像性能を示すということはなく、又光学系によっては、十分すぎる表面精度を有し、製造コストの増加を招くことになっていることが判った。本発明者らの検討によると、上記課題を解決するため、光学素子における光学面上の表面精度を空間周波数特性によって特定すれば、好適な画像形成と低廉な製造コストとの両立が図れることを見いだされた。この知見に基づいて本発明を完成し、以下にこれを記載する。
本発明は、光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、任意の異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2がf1>f2であるとき、空間周波数f1である空間周波数成分の面精度σ1と空間周波数f2である空間周波数成分の面精度σ2がσ1<σ2である光学面を有することを特徴とする光学素子である。
本発明は、光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、空間周波数成分の空間周波数fが高いほど面精度σが小さい面精度特性の光学面を有することを特徴とする光学素子である。
好ましい本発明は、前記光学面が、正のパワーを有する鏡面又は屈折面であることを特徴とする前記光学素子である。
本発明は、反射面及び/又は屈折面を有する光学素子を含んで構成される光学ユニットであって、少なくとも一つの前記本発明の光学素子を備えていることを特徴とする光学ユニットである。
本発明は、前記本発明の光学ユニットを搭載したことを特徴とする光学装置である。
本発明は、光源からの画像を光学素子により結像面に結像する結像光学系であって、少なくとも一つの前記本発明の光学素子を含むことを特徴とする結像光学系である。
本発明は、光源からの画像を光学素子により投影面に投影する投射光学系であって、少なくとも一つの前記本発明の光学素子を含むことを特徴とする投射光学系である。
本発明は、光源からの画像により第一の像を結像する第一の光学系と、第一の像を拡大して第二の像を投影面に投影する第二の光学系を有し、第二の光学系は、少なくとも1枚の、正のパワーを有するミラーを有し、前記ミラーは前記本発明の光学素子であることを特徴とする投射光学系である。
本発明は、変調信号に応じて画像形成するライトバルブに形成された画像を、屈折光学系を含む第1の光学系により中間像として結像させ、該中間像をミラーを含む第2の光学系により拡大して投影面に投影する投射光学系であって、第1の光学系における屈折光学系は正のパワーを有し、第2の光学系におけるミラーは正のパワーを有する前記本発明の光学素子であることを特徴とする投射光学系である。
本発明は、光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、光学面の面精度特性として、任意の異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2がf1>f2であるとき、空間周波数f1の空間周波数成分の面精度σ1を空間周波数f2の空間周波数成分の面精度σ2より小さくすることを特徴とする光学素子の製造方法である。
本発明によれば、低コストで必要な面精度が確保された光学面を持つ光学素子を提供すること、この光学素子を備えた光学ユニット、光学装置、結像光学系、投射光学系を提供すること、及び低コストで必要な面精度が確保された光学面を持つ光学素子の製造方法を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい形態における例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明の説明においては、光学面の面形状誤差である凹凸の周期の逆数を意味する空間周波数と、MTF(moduration transfer function)特性を評価する場合に使用する空間周波数との用語の混同を避けるため、「空間周波数」という語は前者の光学面の面形状誤差である凹凸の周期の逆数を表し、後者のMTF特性を評価する場合に使用されている空間周波数は「MTF評価周波数」ということにする。
図1及び図2は、光学面の目標形状に対する凹凸の面形状誤差を2種類の面形状誤差の空間分布として模式的に示したものである。いずれの図においても、短い波長L1の周期的な誤差成分と長い波長L2の周期的な誤差成分の2つの誤差成分が混在している。それぞれの波長の成分を空間周波数成分と呼び、それぞれの波長の逆数1/Lを空間周波数fと呼んでいる。また、それぞれの空間周波数成分の波長の振幅をそれぞれの面精度σとしている。なお、それぞれの空間周波数成分の波長の振幅は、それぞれの空間周波数成分の1周期の波の振れ幅の上端部から下端部までの間隔を言い、例えば図1においては、波長L1の空間周波数成分の振幅はσ1であり、波長L2の空間周波数成分の振幅はσ2であると言える。図1、図2には、それぞれの空間周波数成分における波長L1、L2、及びそれぞれの空間周波数成分における面精度σ1、σ2を示している。なお、空間周波数f1は1/L1、空間周波数f2は1/L2である。
図1においては、波長L1<波長L2、すなわち空間周波数f1(=1/L1)>空間周波数f2(=1/L2)であり、面精度σ1>面精度σ2の関係がある。これに対し、図2においては、波長L1<波長L2、すなわち空間周波数f1(=1/L1)>空間周波数f2(=1/L2)であるが、面精度σ1<面精度σ2の関係となっている。本発明の光学素子の光学面は、図2に示して上述したような面形状誤差の空間分布をしている。
図2に示すような面形状誤差の空間分布をしている光学面を持つ本発明の光学素子は、光源からの像を結像面に結像する光学系について利用できる。例えば、投射光学系の場合には、光源の像としてライトバルブ素子、本発明の光学素子として凹面鏡、結像面としてスクリーン面を想定することができる。なお、このような空間周波数成分の空間周波数fと振幅である面精度σとの関係から光学面の凹凸誤差を特定することは、これまでに全く考えられていなかった。
(実施形態1)
図3には、光源からの画像を結像面上に結像する広角レンズを備えた屈折光学系と平面ミラーとを組み合わせた広角レンズ結像光学系を示しており、この結像光学系を構成するミラーの光学面上における凹凸誤差の各空間周波数領域について、面精度とMTF特性の劣化の関係について以下に説明する。なお、光学系による画像の結像において、結像した画像の良否の判断指標として、MTF特性の劣化を用いた。一応の目安として、MTF特性の劣化が10%と5%の場合を基準とした。
図3は、2枚組の広角レンズと4枚組の正のパワーを持つ屈折レンズ系と平面の反射ミラー11で構成されている。そして、光源からの像は、結像面12に結像する。この実施形態では、反射ミラー1が本発明の光学素子に相当する。反射ミラーの反射面の面精度σが理想状態でゼロのときのMTF特性の劣化は0%である。これに対し、現実には面精度σは、ゼロではなく、面精度σの増加に伴いMTF特性は劣化し増大する。
この光学系を用いて、MTF評価周波数を一律に25cycles/mmとして、空間周波数と劣化率との関係について検討した。
まず、図3における像高比0の画角F1について検討する。空間周波数成分の空間周波数が0.1cycles/mmの場合において、面精度σが19nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。また、空間周波数が1cycles/mmの場合には、面精度σが17nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。さらに、空間周波数が10cycles/mmの場合には、面精度σが2.1nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。
つぎに、像高比0.6の画角F2について検討した。空間周波数成分の空間周波数が0.1cycles/mmの場合において、面精度σが14nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。また、空間周波数が1cycles/mmの場合には、面精度σが12nm以下であればMTF特性の劣化は10%以下であった。さらに、空間周波数が10cycles/mmの場合には、面精度σが2.5nm以下であればMTF特性の劣化は10%以下であった。
さらに、像高比1.0の画角F3について検討した。空間周波数成分の空間周波数が10cycles/mmの場合において、面精度σが12.5nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。また、空間周波数が1cycles/mmの場合には、面精度σが8nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。さらに、空間周波数が10cycles/mmの場合には、面精度σが2.5nm以下であればMTF特性の低下は10%以下であった。
以上の結果から、いずれの画角においても、所定のMTF特性の低下率(この場合10%とした。)を満たす空間周波数成分の面精度σは、空間周波数が高いほど小さくなっており、このことから、異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2が、f1>f2なる関係にあるとき、f1の空間周波数成分の面精度σ1とf2の空間周波数成分の面精度σ2が、σ1<σ2の関係を満たす光学面にすることによって、常にMTF特性の低下が規定値(例えば10%)以下とすることができる。言い換えれば、小さな空間周波数の空間周波数成分の誤差に対する面精度を向上させることは重要であるが、相対的に大きな空間周波数の空間周波数成分の誤差に対する面精度を小さな空間周波数の空間周波数成分の誤差に対する面精度と同じくらい向上させることは、全体としてのMTF特性の劣化抑制にとって重要ではない。むしろ、製造コストの増加に繋がる恐れがある。このように光学面は、空間周波数成分毎に必要な面精度とすることが、光学面の性能バランス及び製造コストの面から好ましい。また、像高に対する必要な面精度があり、光学素子の利用方法から必要な像高が判れば、これを踏まえて面精度を特定することもできる。なお、具体的な、空間周波数と面精度との関係については、後述する関係式を用いればよい。
(実施形態2)
実施形態2として、ライトバルブの像を拡大投射する投射光学系における光学素子の光学面の面精度σについて、空間周波数f1とf2における面精度σ1とσ2の関係とMTF特性劣化度合いの関係を以下に説明する。この実施形態における光学素子は、正のパワーをもつ凹面ミラーである。この凹面ミラーは、図4及び図5に示すような投射光学系の一部を構成している。この投射光学系は、レンズの組み合わせからなる正のパワーを持つ第1の光学系2と、凹面ミラー3からなる第2の光学系とで構成され、光源1からの画像を拡大して投影面4に投影する仕組みになっている。
本実施形態においては、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が0.5μm以下、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.02μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以下であった。
一方、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1は0.5μm以下であるが、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.02μm以上となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以上であった。
また、空間周波数成分の空間周波数f1=0.05cycles/mmのときの面精度σ1が0.02μm以下、空間周波数f2=0.1cycles/mmのときの面精度σ2が0.01μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以下であった。しかし、空間周波数成分の空間周波数f1=0.05cycles/mmのときの面精度σ1は0.02μm以下であっても、空間周波数f2=0.1cycles/mmのときの面精度σ2が0.01μm以上となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以上であった。
このように、MTF特性の劣化が設計値の5%以下になる面精度σと空間周波数の関係について評価した結果、空間周波数fが高くなるほど、許容される面精度σの上限値は小さくなることがわかった。同様に、MTF特性の劣化が設計値の10%以下になる面精度の空間周波数特性について評価してみても、空間周波数が高くなるほど、許容される面精度σの上限値は小さくなった。
これらのことから、空間周波数成分の空間周波数がf1>f2であるときに、面精度がσ1<σ2となるような特性をもつ面がMTF特性の劣化を均等にし、好ましい光学面となるということがわかる。上述の許容面精度σと空間周波数の関係を図6のグラフに示した。
なお、この実施形態におけるMTF評価周波数は0.3cycles/mmとしており、これは投射画面上で、解像度クラスをXGAとしたときに2画素で1line/mmを描画するMTF評価周波数に相当する値であり、投射光学系の解像性能を評価する上で、実用的なMTF評価周波数である。
(実施形態3)
次に、実施形態2と同じ投射光学系に対して、画角を変えて評価した結果について以下に説明する。ライトバルブを投影物の光源1と考えると、ライトバルブ上の物点の位置、すなわち像高を変えたときには、各々の像高に対応して、所定の開口数NAで光束が射出して、これが、投射光学系を介して、投影面4上に投影されて結像することになる。その過程で、各々の光束はミラーの異なる位置で反射集光作用を受けることになる。そこで、像高の違う光束を選んで、面精度特性を比較評価した。図4,図5に示すように、画角番号F1は、ライトバルブ面上で最もY方向の像高が低く(画角はほぼ0)、画角番号F3はY方向の像高が最も高く(画角が大きく)、画角番号F2はF1とF3の中間とした。
画角番号F1の投影光束の場合、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が20μm以下であると同時に、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.9μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以下であったが、いずれかの面精度σがこれ以上のときには劣化は5%以上に増加した。
画角番号F2の投影光束の場合には、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が2.6μm以下であると同時に、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.01μm以下となるように面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以下であったが、いずれかのσがこれ以上のときには劣化は5%以上に増加した。
画角番号F3の投影光束の場合には、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が0.5μm以下、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.02μm以下となるように面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は5%以下であったが、いずれかの面精度σがこれ以上のときには劣化は5%以上に増加した。
これらの結果からも、MTF特性の劣化が設計値の5%以下になる面精度σの空間周波数特性について比較評価してみると、画角によらず、空間周波数成分の空間周波数fが高くなるほど、許容面精度σは小さくなるという傾向があることがわかる。以上の結果を図6のグラフにまとめた。なお、この実施形態におけるMTF評価周波数も0.3cycles/mmとした。
(実施形態4)
実施形態2,3と同様にして、MTF特性の劣化が設計値の10%以下になる面精度の空間周波数特性について評価した。
画角F1の投影光束の場合には、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が34μm以下であると同時に、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が1.5μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は10%以下であったが、いずれかの面精度σがこれ以上のときには劣化は10%以上に増加した。
画角F2の投影光束の場合には、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が3.6μm以下であると同時に、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.2μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は10%以下であったが、いずれかの面精度σがこれ以上のときには劣化は10%以上に増加した。
画角F3の投影光束の場合には、空間周波数成分の空間周波数f1=0.01cycles/mmのときの面精度σ1が0.8μm以下であると同時に、空間周波数成分の空間周波数f2=0.05cycles/mmのときの面精度σ2が0.04μm以下となるような面であるときには、白色MTF特性の設計値に対する劣化は10%以下であったが、いずれかの面精度σがこれ以上のときには劣化は10%以上に増加した。
なお、この実施例においても、MTF評価周波数も、同様に0.3cycles/mmとしており、投射画面上で、解像度クラスをXGAとしたときに2画素で1line/mmを描画する空間周波数に相当する値であって、投射光学系の解像性能を評価する上で、実用的なMTF評価周波数である。
上記の結果についても図6にまとめて記載した。これらの結果から、実施形態2,3と同様に、空間周波数が高くなるほど、許容される面精度σが小さくなるという傾向があり、画角によらず、空間周波数がf1>f2であるときに、面精度がσ1<σ2となるような特性関係をもっている面がMTF特性の劣化が規定値内になり、好ましいということができる。
上記の特性評価から、規定のMTF特性の劣化量を所定値とした場合に、空間周波数成分の空間周波数と許容される面精度との関係についてみると、図6のグラフから判るように、各画角(像高)毎にそれぞれの空間周波数に対応する面精度σがわかる。図6における各直線で表された許容面精度以下であれば、規定のMTF特性の劣化量(この場合、5%ないし10%)以下を満たすことができることになる。
(実施形態5)
図6に示した結果から、各空間周波数成分の空間周波数fと許容面精度σは、常用対数Logを用いることにより、
Logσ<(K×Logf+C) ・・・・ 式(1)
なる関係で表すことができる。Kは近似直線の傾きであり、適用する光学系に応じて変化するが、同一の光学系においては、ほぼ等しい値をとり、この実施形態2〜4の投射光学系においては、略−2.0である。Cは定数で、許容するMTF特性の許容劣化量と画角によって変化する。この式(1)又は図6を利用すれば、同じ光学系において実際に利用する画角(像高)と許容するMTF特性劣化量を決めれば、各空間周波数領域における面精度の許容値が求められる。これにより、最低限の面精度向上の努力で所望の光学素子やこれを用いた光学ユニット、光学装置、結像光学系、及び投射光学系を作成することができる。このことは、光学素子の製造コスト低下に十分なメリットがある。
(実施形態6)
上記式(1)から判るように、同一光学面系おいても定数Cの値によって許容面精度が変化することから、同一光学面内の位置によって許容面精度が異なることが導かれる。また、特許文献3に記載されているように光学面の中心付近の面精度を規定すればよいというものではないことも判る。面内の位置によって面精度の仕様値を変えて製造することが難しい場合には、最も厳しい面精度を光学面内で満たせば、該光学面におけるMTF特性の劣化量は規定値内に保証できる。なお、通常は、実施形態2〜4のように、MTF評価周波数を0.3cycles/mmとしておけば、投射画面上で、解像度クラスをXGAとしたときに2画素で1line/mmを描画する空間周波数に相当する値であって、投射光学系の解像性能を評価する上で、実用的なMTF評価周波数である。
従来のように、空間周波数領域毎に面精度を特定せず、絶対的な面精度の特定では、最も厳しい面精度に合わせて精度を設定するために製造上の困難やコストアップが伴っていた。しかし、上述のように、本発明の光学素子の製造方法によれば、従来のように面精度を厳しく設定する場合に比べて、面精度の仕様を緩めることが可能になる。すなわち、空間周波数が低い空間周波数成分の場合には面精度を緩くできるため、全ての空間周波数成分について厳しい面精度で加工する場合よりも、加工コストは下がり、加工歩留りが改善されるので、該光学素子のコストはもとより、該光学素子を用いた製品においても、そのコストを低減できるようになる。
以上から判るように、MTF特性の劣化が少なくなる光学面の面精度特性は、異なる空間周波数f1とf2においてf1>f2のとき、f1の面精度σ1とf2の面精度σ2がσ1<σ2となる光学面であり、本発明の光学素子はこのような条件を満たす光学面を持つ光学素子である。言い換えれば、この光学素子は、面精度σが、複数の空間周波数成分からなる光学面を有する光学素子であって、光学面は空間周波数が高い空間周波数成分ほどその振幅である面精度σが小さい光学面となっている。この光学面は、正のパワーを持つ鏡面又は屈折面であることが好ましい。
上述の光学素子を備えた光学ユニット、結像光学系、投射光学系、光学装置は優れた画像性能を有する。また、本発明の光学系は、光源からの像を第一の像を結像する第一の光学系と、前記第一の像を拡大して第二の像を投影面に投影する第二の光学系を有しており、前記第二の光学系は、少なくとも1枚の、正のパワーを有するミラーを有しており、前記ミラーは本発明の光学素子である投射光学系であってもよい。
本発明の光学系は、変調信号に応じて画像形成するライトバルブに、光源からの照明光を照射し、上記ライトバルブに形成された画像を、投射光学系により拡大投射する画像投射装置に適用することができ、上記ライトバルブに形成された画像を拡大投影する投射光学系であり、ライトバルブの投影側に、上記ライトバルブの側から第1、第2の順に配設される第1及び第2の光学系を有しており、上記第1の光学系は1以上の屈折光学系を含んでおり、正のパワーを有しており、上記第2の光学系はパワーを有する反射面を1以上含んでおり、正のパワーを有しており、上記ライトバルブにより形成された画像を上記第1及び第2の光学系の光路上に中間像として結像させており、上記中間像をさらに拡大して投射する投射光学系になっていて、前記の正のパワーを有するミラーは、本発明の光学素子である投射光学系であってもよい。
本発明の光学素子の製造方法によれば、結像特性の良好な面精度の光学素子を低コストで加工できるようになる。また、光学素子の面精度を適切な工法・条件で加工できるようになる。これにより、製造歩留りが改善し、従来よりもミラーのコストを抑えることができる。これに伴い、短焦点超広角斜め投射光学系、およびこれを搭載した画像表示装置についても、コスト低減効果が得られる。
面形状誤差の分布例(1) 面形状誤差の分布例(2) 広角レンズ結像光学系 凹面ミラー投射光学系 図4におけるレンズ系の拡大図 空間周波数と面精度の関係 従来の投射光学系
符号の説明
1:光源
2:屈折光学系(第1の光学系)
3:凹面鏡(第2の光学系)
4:投影面
5:中間像
11:結像面
12:平面ミラー
L1:空間周波数の大きい空間周波数成分の波長
L2:空間周波数の小さい空間周波数成分の波長
σ1:空間周波数の大きい空間周波数成分の振幅
σ2:空間周波数の小さい空間周波数成分の振幅
F1:像高の小さい場合の光束
F2:像高の中間場合の光束
F3:像高の大きい場合の光束

Claims (10)

  1. 光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、
    任意の異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2がf1>f2であるとき、空間周波数f1である空間周波数成分の面精度σ1と空間周波数f2である空間周波数成分の面精度σ2がσ1<σ2である光学面を有することを特徴とする光学素子。
  2. 光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、
    空間周波数成分の空間周波数fが高いほど面精度σが小さい面精度特性の光学面を有することを特徴とする光学素子。
  3. 前記光学面は、正のパワーを有する鏡面又は屈折面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
  4. 反射面及び/又は屈折面を有する光学素子を含んで構成される光学ユニットであって、
    少なくとも一つの請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子を備えていることを特徴とする光学ユニット。
  5. 請求項4に記載の光学ユニットを搭載したことを特徴とする光学装置。
  6. 光源からの画像を光学素子により結像面に結像する結像光学系であって、
    少なくとも一つの請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子を含むことを特徴とする結像光学系。
  7. 光源からの画像を光学素子により投影面に投影する投射光学系であって、
    少なくとも一つの請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子を含むことを特徴とする投射光学系。
  8. 光源からの画像により第一の像を結像する第一の光学系と、第一の像を拡大して第二の像を投影面に投影する第二の光学系を有し、第二の光学系は、少なくとも1枚の、正のパワーを有するミラーを有し、前記ミラーは請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子であることを特徴とする投射光学系。
  9. 変調信号に応じて画像形成するライトバルブに形成された画像を、屈折光学系を含む第1の光学系により中間像として結像させ、該中間像をミラーを含む第2の光学系により拡大して投影面に投影する投射光学系であって、
    第1の光学系における屈折光学系は正のパワーを有し、
    第2の光学系におけるミラーは正のパワーを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子であることを特徴とする投射光学系。
  10. 光学面上に存在する凹凸の周期の逆数を空間周波数とし、光学面上に存在する凹凸を2つ以上の空間周波数成分に分解してそれぞれの空間周波数成分の振幅を面精度としたときに、
    光学面の面精度特性として、任意の異なる空間周波数成分の空間周波数f1とf2がf1>f2であるとき、空間周波数f1の空間周波数成分の面精度σ1を空間周波数f2の空間周波数成分の面精度σ2より小さくすることを特徴とする光学素子の製造方法。
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