JP2009005207A - 携帯型無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 RF回路とアンテナ間のインピーダンス不整合ロスによる通信特性の劣化を防止し、開発コストを上昇させることなく、如何なる条件や使用形態でも効果的且つ容易にインピーダンス不整合ロスを少なくできるようにする。
【解決手段】
ベースバンド回路17は、アンテナ11で受信されてRF回路(RFRX回路15,RFIC16)でRF信号処理がなされた受信信号からRSSI値を算出して位相制御部13へ送る。位相制御部13のDSP22は、RSSI値に基づいて、フェーズシフタ21の位相調整制御を行うための制御電圧値を生成し、フェーズシフタ21は、DSP22からの制御電圧値により、アンテナ10の受信信号の位相調整を行う。これにより、位相制御部13は、アンテナ11とRF回路との間のインピーダンスを整合させる。
【選択図】 図1
【解決手段】
ベースバンド回路17は、アンテナ11で受信されてRF回路(RFRX回路15,RFIC16)でRF信号処理がなされた受信信号からRSSI値を算出して位相制御部13へ送る。位相制御部13のDSP22は、RSSI値に基づいて、フェーズシフタ21の位相調整制御を行うための制御電圧値を生成し、フェーズシフタ21は、DSP22からの制御電圧値により、アンテナ10の受信信号の位相調整を行う。これにより、位相制御部13は、アンテナ11とRF回路との間のインピーダンスを整合させる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、携帯電話端末等のように様々な条件や使用形態で用いられる携帯型の無線通信装置に関する。
例えば、特開2005−217836号の公開特許公報(特許文献1)には、送受信用のアンテナと、アンテナに接続された無線部と、各種制御を行う制御部と、ベースバンド信号の処理を行うベースバンド部と、情報の入出力を行う入出力部とを有し、少なくとも人体頭部近傍で音声通話が可能な携帯型無線機において、アンテナを複数の無指向性アンテナで構成すると共に、それらアンテナと無線部との間に接続されていてアンテナを通過する送受信信号の位相を調整する位相調整部を備えた携帯型無線機が開示されている。この携帯型無線機によれば、複数のアンテナを通過する送受信信号の位相調整を行うことで、それらアンテナの指向性を最適に合成して高利得な放射を実現可能となされている。
また、特開2003−318689号の公開特許公報(特許文献2)には、アンテナと受信機との間に、可変リアクタンス素子、移相器、演算処理部、DAコンバータを有するインピーダンス整合器を設け、移相器はアンテナのインピーダンスを変え、可変リアクタンス素子は印加電圧によりリアクタンス値を変え、演算処理部は、移相器の移相と可変リアクタンス素子の容量とを変化させることにより、アンテナと受信機との間のインピーダンスの整合をとるようになされた整合回路が開示されている。なお、演算処理部は、スミスチャートに対応したテーブルを保持し、移相を変化させる際に、そのテーブルを参照する。
また、特開2005−354502号の公開特許公報(特許文献3)には、アンテナと無線受信部との間に、インダクタとキャパシタから構成される複数段の位相回路を備えた位相調整部と、可変容量コンデンサを備えた可変整合部とを設け、受信周波数の位相角と容量値を記憶部に記憶しておき、受信電力検出部にて検出した受信電力値に基づいて、記憶部から位相角を読み出して位相調整部の位相回路の切り替えを行い、記憶部から容量値を読み出して可変整合部の可変容量コンデンサの容量制御を行うことにより、アンテナと無線受信部との間のインピーダンスの整合をとるようになされたアンテナ整合装置が開示されている。
ところで、携帯型の無線通信装置の一例である携帯電話端末では、RF回路設計及び開発において50Ωのインピーダンスを基準とした設計が一般的に行われている。
しかしながら、従来の携帯電話端末では、例えばアンテナ部に人体(例えば指や頭部など)が近づけられたりした場合には、アンテナのインピーダンスが変化してしまうという問題がある。その他にも、例えば折り畳み型の携帯電話端末において、当該端末が閉じられた状態と開かれた状態でも、アンテナのインピーダンスは変化してしまう。すなわち、従来の携帯電話端末の場合、RF回路について設計及び開発時に基準とされた50Ωのインピーダンスと、実使用時におけるアンテナインピーダンスとの間で、不整合が発生してしまうことになる。特に、最近の携帯電話端末のように、いわゆるホイップアンテナに代えて内蔵型アンテナを採用することで小型化を図った端末の場合、上述したような実使用時におけるアンテナインピーダンスの変化量が大きくなることが問題になっている。
一方、アンテナ設計においても、送信信号と受信信号の周波数差が広いため、送信周波数帯と受信周波数帯の両者のアンテナインピーダンスを共に50Ωに設計することが難しく、アンテナサイズの制限からも、両者のアンテナインピーダンスを共に50Ωに設計することの難易度は更に上がってしまう。
このように、アンテナのインピーダンスを50Ωにすることが難しいため、従来通りの50Ωを基準とした設計をRF回路で行うとインピーダンス不整合ロスが発生してしまい、通信特性の劣化を起こしてしまう。特に、例えば受信時に上記インピーダンス不整合ロスが大きくなった場合、受信電力は熱となって放出されてしまうことになるため、受信特性が劣化して信号受信が困難になる虞がある。
なお、前述した特許文献1に記載の技術の場合、複数のアンテナを通過する送受信信号の位相調整を行うことで、それらアンテナの指向性を最適に合成して高利得な放射を実現可能とはなされているものの、RF回路のインピーダンスとアンテナのインピーダンスとの間の不整合ロスについては依然として発生している。
また、前述した特許文献2や特許文献3では、アンテナと受信回路との間のインピーダンスを整合させるための値を予めテーブルに記憶させているため、装置設計時には、インピーダンスの不整合が発生する様々な条件や使用形態について試験等を行い、インピーダンスを整合させるための値を予め求めておかなければならず、開発コストが上昇してしまうという問題がある。さらに、携帯電話端末等の携帯型無線通信装置は、設計開発者の想定から外れた条件や使用形態で用いられる可能性もあり、そのような想定から外れた条件等での使用がなされた場合には、予め求めてテーブルに記憶させていた値では対応できなくなる可能性もある。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、RF回路に設定されているインピーダンスと実使用時のアンテナのインピーダンスとの間の不整合ロスによる通信特性の劣化を防止することができると共に、開発コストの上昇を抑え、また、如何なる条件や使用形態で用いられた場合でも、効果的且つ容易にインピーダンス不整合ロスを少なくすることが可能な携帯型無線通信装置を提供することを目的とする。
本発明の携帯型無線通信装置は、無線信号を少なくとも受信するためのアンテナと、受信信号に対して所定の受信信号処理を行う受信信号処理部と、受信信号から受信特性を表す指標値を算出する指標値算出部と、アンテナと受信信号処理部との間に設けられ、アンテナから出力されて受信信号処理部へ入力される受信信号の位相を位相制御値に応じて調整する位相調整部と、指標値算出部にて算出された指標値に基づいて、位相調整部による位相調整のための位相制御値を生成して位相調整部へ供給する処理を、少なくとも指標値算出部で算出される指標値が所定値以上になるまで繰り返す制御部とを有することにより、上述した課題を解決する。
すなわち、本発明によれば、受信特性を表す指標値に基づいて、位相調整部にて行われる受信信号の位相調整を制御するための位相制御値をリアルタイムに生成しており、指標値算出部で算出される指標値が所定値以上になるまで、つまりアンテナと受信信号処理部との間のインピーダンスが略々整合したと判断できる状態になるまで、位相制御値の生成と位相調整部への供給処理を繰り返すようにしている。
本発明においては、受信特性を表す指標値に基づいて受信信号の位相調整を制御するための位相制御値をリアルタイムに生成しており、その位相制御値の生成処理を、指標値が所定値以上になるまで繰り返すことにより、アンテナと受信信号処理部との間のインピーダンスを整合させるようにしているため、RF回路に設定されているインピーダンスと実使用時のアンテナのインピーダンスとの間の不整合ロスによる通信特性の劣化を防止することができる。
また、本発明においては、インピーダンスを整合させるための位相制御値をリアルタイムに生成しているため、インピーダンスを整合させるための値を予め求めてテーブル等に記憶させておく必要がなく、その結果、装置の開発コストの上昇を抑えることができ、さらには、如何なる形態で当該装置が使用された場合でも、効果的且つ容易にインピーダンス不整合ロスを少なくすることが可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、本発明の携帯型無線通信装置が適用される一実施形態として、携帯電話端末を挙げている。勿論、ここで説明する内容はあくまで一例であり、本発明はこの例に限定されないことは言うまでもない。
図1には、本実施形態の携帯電話端末の本発明にかかる主要部の構成を示す。
本実施形態の携帯電話端末は、基地局からの信号を受信した際の受信電力(例えばRSSI:Receive Signal Strength Indicator)を算出し、その受信電力の計算結果を元に、受信回路のインピーダンスを制御することにより、RF回路とアンテナとの間のインピーダンス不整合ロスによる通信特性の劣化を防止機能を備えている。なお、RSSIとは、携帯電話端末側での受信レベルを計算する目的で基地局から報知されている情報を元にして端末内部で算出されるデータであり、受信信号の受信特性を表す指標値として用いられており、具体的には受信信号の電界強度を示す値となされている。
図1に示す本実施形態の携帯電話端末において、アンテナ10は携帯電話網にて使用される無線信号の送受信を行う。
アンテナスイッチ11とデュープレクサ12は、アンテナ10を信号送信と受信とで共用するためのデバイスであり、アンテナ10からの受信信号は当該アンテナスイッチ11とデュープレクサ12を介して受信RF回路(RFRX回路)15側の受信経路へ送られ、一方、送信経路の送信RF回路(RFTX回路14)からの送信信号はデュープレクサ12とアンテナスイッチ11を介してアンテナ10へ送られる。
RFIC(無線周波数集積回路)16は、送受信信号に対する周波数変換等の高周波信号処理を行う。すなわち、RFIC16は、信号受信時にはRFRX回路15からのRF帯域の受信信号をベースバンド周波数帯域の信号へ変換してベースバンド回路17へ送り、一方、信号送信時にはベースバンド回路17からのベースバンド周波数帯域の信号をRF帯域の送信信号へ変換する。
ベースバンド回路17は、信号受信時には、上記RFIC16からのベースバンド周波数帯域のアナログ受信信号をA/D(デジタル/アナログ)コンバータ23によりデジタルの受信データに変換した後、逆拡散部24にて逆拡散処理し、その後は図示しないデインターリーブや誤り訂正符号等の処理を行うことにより、通信相手側から送られてきたデータを復元する。また、ベースバンド回路17は、受信信号の電界強度を示すデータであるRSSI値の算出も行っている。なお、ベースバンド回路17の送信側の構成については図示を省略するが、当該送信側の構成では、通信相手側へ送信するデータに対してインターリーブや誤り訂正符号の付加、拡散処理、D/A(ディジタル/アナログ)コンバートなどの処理を行って、RFIC16側へ出力する。
上記ベースバンド回路17の後段には、一般的な携帯電話端末に搭載されている各回路等が接続されているが、本実施形態ではそれらの図示及び動作の説明については省略する。
ここで、本実施形態の携帯電話端末は、デュープレクサ12とRFRX回路15の間に位相制御部13を備えている。
位相制御部13は、フェーズシフタ(移相器)21とDSP(Digital Signal Processor)22とを有して構成されている。
フェーズシフタ21は、入力信号の位相を制御電圧値に応じて調整(移相)するためのデバイスであり、本実施形態の場合、上記デュープレクサ12から供給された受信信号の位相を、DSP22からの制御電圧値に基づいて移相させる。
DSP22は、上記ベースバンド回路17にて算出されたRSSI値に基づいて、上記フェーズシフタ21での位相調整を制御するための制御電圧値をリアルタイムに生成する。すなわち、詳細については後述するが、当該DSP22は、上記ベースバンド回路17にて求められたRSSI値に基づいて、上記受信信号の位相調整を行うか否か判断し、位相調整が必要であると判断した場合には、上記ベースバンド回路17で求められるRSSI値が大きくなる方向へ、つまり、アンテナ10とRF回路との間のインピーダンスを整合させる方向(不整合ロスを少なくする方向)へ、上記フェーズシフタ21の位相調整を行わせるための制御電圧値をリアルタイムに生成して、その制御電圧値を上記フェーズシフタ21へ与える。
なお、図1の例では、位相制御部13内にDSP22が設けられている例を挙げたが、このDSP22による位相調整制御は、例えばベースバンド回路17の各種処理を行うために設けられているDSPが行っても良い。
〔RSSI値に基づく位相制御〕
図2には、本実施形態の携帯電話端末の位相制御部13が上記RSSI値に基づいて行う位相制御の流れを示す。なお、本実施形態では、RSSI値が所定値(一例として−100dBm以上)である時に、通信に充分な受信電力が得られていると仮定して説明を行う。また、図2には、RFRX回路15及びRFIC16からなるRF回路と、上記ベースバンド回路17と、位相制御部13のDSP22とにおける各処理を纏めて、一つのフローチャートとして表している。
図2には、本実施形態の携帯電話端末の位相制御部13が上記RSSI値に基づいて行う位相制御の流れを示す。なお、本実施形態では、RSSI値が所定値(一例として−100dBm以上)である時に、通信に充分な受信電力が得られていると仮定して説明を行う。また、図2には、RFRX回路15及びRFIC16からなるRF回路と、上記ベースバンド回路17と、位相制御部13のDSP22とにおける各処理を纏めて、一つのフローチャートとして表している。
図2において、先ず、ステップS1として、RFRX回路15,RFIC16にて信号受信が行われ、その受信信号がベースバンド回路17へ供給されると、当該ベースバンド回路17では、ステップS2の処理としてRSSI値の計算が行われる。そして、RSSI値は、位相制御部13のDSP22へ送られる。
ベースバンド回路17からRSSI値を受け取ると、DSP22は、ステップS3の処理として、入力されたRSSI値(現在のRSSI値)を−100dBmと比較し、RSSI≧−100dBm(つまりRSSI<−100dBm)であれば処理を終了する。一方、RSSI<−100dBmである場合、DSP22は、フェーズシフタ21へ制御電圧値を供給することによる位相制御処理(この場合は一回目の位相制御処理)を開始して、ステップS4以降へ処理を進める。
ステップS4の処理に進むと、DSP22は、上記ベースバンド回路17から供給された現在のRSSI値をRSSI_Pre値として内部メモリに保存する。
そして、DSP22は、ステップS5へ処理を進め、フェーズシフタ21への制御電圧値を、予め決めた設定値分だけ上げるような制御を行う。なお、フェーズシフタ21の制御電圧値は、当該一回目の位相制御処理が開始される前には、予め決められた初期制御電圧値に決められているとする。したがって、DSP22は、一回目の位相制御処理の際には、上記初期制御電圧値から設定値分だけ上げた制御電圧値をフェーズシフタ21へ与えることになる。また、本実施形態では、一回目の位相制御処理の開始により制御電圧値を上げる例としているが、逆に、制御電圧値を下げるようになされていても良い。
次に、ステップS6として、RFRX回路15,RFIC16にて再び信号受信が行われ、その受信信号がベースバンド回路17へ供給され、さらに、ステップS7の処理として、当該ベースバンド回路17にてRSSI値の計算が行われると、そのRSSI値が位相制御部13のDSP22へ送られる。
ベースバンド回路17からRSSI値を再度受け取ったDSP22は、ステップS8の処理として、当該入力された現在のRSSI値を再度−100dBmと比較し、RSSI≧−100dBm(つまりRSSI<−100dBm)であれば処理を終了する。一方、RSSI<−100dBmである場合、DSP22は、フェーズシフタ21へ制御電圧値を与えることによる位相制御処理、つまりこの場合は二回目の位相制御処理を行うために、ステップS9以降へ処理を進める。
ステップS9の処理に進むと、DSP22は、前回の位相制御の際に、上記フェーズシフタ21へ与える位相制御電圧値を上げる方向の制御を行ったか否か判断する。なお、DSP22は、前回の位相制御電圧値をどのような値に設定したかについては当然のことながら認識出来ているため、前回の位相制御の際に、位相制御電圧値を上げる方向の制御を行ったか或いは下げる方向の制御であったかを判断することができる。ここで、前回の位相制御の際、つまりこの場合は一回目の位相制御の際に制御電圧値を上げる方向の制御が行われているため、DSP22は、ステップS9からステップS10以降の処理、つまり前回が電圧値を上げる方向の制御であった場合の位相制御へ処理を進める。
ステップS10の処理に進むと、DSP22は、上記ベースバンド回路17から供給された現在のRSSI値と、前回の位相制御の際(この場合は一回目の位相制御の際)に内部メモリへ保存したRSSI_Pre値とを比較する。
ここで、ステップS10において、現在のRSSI値が前回保存したRSSI_Pre値よりも大きい(つまりRSSI<RSSI_Pre)と判断された場合、すなわち言い換えると、前回、制御電圧値を上げる方向の位相制御を行ったことでRSSI値が大きくなると判断できる場合、DSP22は、ステップS11の処理として、フェーズシフタ21への制御電圧値を更に設定値分だけ上げるような制御を行う。そして、DSP22は、ステップS12の処理として、上記内部メモリに保存されていたRSSI_Pre値を、上記現在のRSSI値により上書きするような更新保存処理を行う。
一方、ステップS10において、現在のRSSI値が前回のRSSI_Pre値以下である(つまりRSSI≧RSSI_Pre)と判断された場合、すなわち言い換えると、前回、制御電圧値を上げる方向の位相制御を行ったことでRSSI値が小さくなったと判断できる場合、DSP22は、ステップS14の処理として、フェーズシフタ21への制御電圧値を設定値分だけ下げるような制御を行う。そして、DSP22は、ステップS12の処理として、上記内部メモリに保存されていたRSSI_Pre値を、上記現在のRSSI値により上書きするような更新保存処理を行う。
次に、ステップS6へ処理が戻り、RFRX回路15,RFIC16にて再び信号受信が行われ、その受信信号がベースバンド回路17へ供給され、さらに、ステップS7の処理として、当該ベースバンド回路17にてRSSI値の計算が行われると、そのRSSI値が位相制御部13のDSP22へ送られる。
ベースバンド回路17からRSSI値を再度受け取ったDSP22は、ステップS8の処理として、当該入力された現在のRSSI値を再度−100dBmと比較し、RSSI≧−100dBm(つまりRSSI<−100dBm)であれば処理を終了する。一方、RSSI<−100dBmである場合、DSP22は、フェーズシフタ21へ制御電圧値を与えることによる位相制御処理、つまりこの場合は三回目の位相制御処理を行うために、ステップS9以降へ処理を進める。
ステップS9の処理に進むと、DSP22は、前回の位相制御の際に、上記フェーズシフタ21へ与える位相制御電圧値を上げる方向の制御を行ったか否か判断する。
ここで、前回の位相制御の際、つまりこの場合は二回目の位相制御の際に制御電圧値を上げる方向の制御が行われた場合には、DSP22は、ステップS9からステップS10以降の処理、つまり前回が電圧値を上げる方向の制御であった場合の位相制御へ処理を進めて、上述の処理を繰り返すことになる。
一方、前回(二回目)の位相制御の際に制御電圧値を下げる方向の制御が行われた場合、DSP22は、ステップS9からステップS13の処理、つまり前回が電圧値を下げる方向の制御であった場合の位相制御へ処理を進める。
ステップS13の処理に進むと、DSP22は、上記ベースバンド回路17から供給された現在のRSSI値と、前回の位相制御の際(この場合は二回目の位相制御の際)に内部メモリへ保存したRSSI_Pre値とを比較する。
ここで、ステップS13において、現在のRSSI値が前回保存したRSSI_Pre値よりも大きい(つまりRSSI<RSSI_Pre)と判断された場合、すなわち言い換えると、前回、制御電圧値を下げる方向の位相制御を行ったことでRSSI値が大きくなると判断できる場合、DSP22は、ステップS14の処理として、フェーズシフタ21への制御電圧値を更に設定値分だけ下げるような制御を行う。そして、DSP22は、ステップS12の処理として、上記内部メモリに保存されていたRSSI_Pre値を、上記現在のRSSI値により上書きするような更新保存処理を行う。
一方、ステップS13において、現在のRSSI値が前回のRSSI_Pre値以下である(つまりRSSI≧RSSI_Pre)と判断された場合、すなわち言い換えると、前回、制御電圧値を下げる方向の位相制御を行ったことでRSSI値が逆に小さくなってしまったと判断された場合には、前回の位相制御の際に内部メモリに保存したRSSI値(RSSI_Pre値)が最も良いRSSI値であったと判断できるため、DSP22は、位相制御の処理を終了する。
なお、図2の処理では、ステップS5とステップS11において制御電圧値を共に同じ設定値分だけ上げる例を挙げたが、ステップS5での設定値とステップS11での設定値は異なっていても良い。
また、ステップS11において制御電圧値を上げる際の設定値とステップS14にて制御電圧値を下げる際の設定値は、共に同じ値でも良いし、或いは異なった値であっても良い。
また、ステップS6以降にて位相制御処理を繰り返す場合において、位相制御処理の回数が増す毎に、ステップS11での設定値を順次大きくするか若しくは逆に順次小さくするような制御を行ったり、同様に、ステップS14での設定値を順次大きくするか若しくは小さくするような制御を行うようにしても良い。特に、制御電圧値を上げるか若しくは下げる際の設定値を、位相制御処理の回数の増加に伴って順次小さくするような制御、つまり制御電圧値の変動幅を順次小さくしていくような制御を行った場合には、位相調整量が次第に細かくなっていき、その結果、RSSI値をより細かく変化させることができるようになって、最大RSSI値を得られる可能性が高くなる。逆に、制御電圧値を上げるか若しくは下げる際の設定値を、位相制御処理の回数の増加に伴って順次大きくするような制御、つまり制御電圧値の変動幅を順次大きくしていくような制御を行った場合には、位相調整量が次第に大きくなり、その結果、位相調整処理の完了までの時間を短縮できる可能性が高くなる。
また、本実施形態では、ステップS4やステップS12では、現在のRSSI値をそのままRSSI_Pre値として保存する例を挙げたが、例えば現在のRSSI値に所定の重み付けの値を加算若しくは減算した値をRSSI_Pre値として保存するようにしても良く、また、位相制御処理の回数の増加に伴って、その重み付けの値を順次小さくしたり大きくするような制御を行っても良い。
また、本実施形態では、ステップS3とステップS8において、RSSI値との比較対象の値として、共に同じ−100dBmの値を用いたが、ステップS3とステップS8で異なる比較対象の値を用いるようにしても良い。また、ステップS8では、位相制御処理の回数の増加に伴って、上記比較対象の値を順次変化させるような制御を行っても良い。
その他、本実施形態では、受信信号の特性劣化を表す指標値としてRSSI値を用いる例を挙げたが、受信信号のビットエラーレート(BER)や信号対雑音比(S/N)の値を受信信号の特性劣化を表す指標値として用いるようにしても良い。勿論、BERやS/Nを用いることにした場合には、DSPの内部メモリに前回の値として保存する指標値も、それらBERやS/Nの値となる。また、RSSIやBERやS/Nの何れか一つを用いる場合だけでなく、それらのうち少なくとも二つ以上を使用しても良い。それらRSSI、BER、S/Nのうち少なくとも二つ以上を用いた場合には、例えば何れか一つが端末故障等により異常な値を示していた場合でも、その異常値にのみ基づいた誤った位相制御処理が行われてしまうことを防ぐことができる。すなわち例えば、何れか一つの値が予め決めた正常範囲内から外れた異常値を示している一方で、他の値が予め定めた正常範囲内であるような場合には、その異常値を示している方を用いずに、残りの正常範囲内の値のみを用いて位相制御処理を行うようにすれば、誤った位相制御処理が行われてしまう確率を低くすることができる。
〔まとめ〕
以上説明したように、本実施形態の携帯電話端末は、受信信号のRSSI値を算出し、そのRSSI値の計算結果に基づいて、受信信号の位相調整のための制御信号(制御電圧値)を生成し、その制御信号によりフェーズシフタの制御を行って、アンテナとRF回路とアンテナとの間のインピーダンスを整合させることにより、インピーダンス不整合ロスによる通信特性の劣化を防止可能となされている。すなわち例えば、携帯電話端末のアンテナ近傍に指等が近づいたり、折り畳み型の携帯電話端末が折り畳まれたりして、アンテナのインピーダンスが変化した場合でも、本実施形態の携帯電話端末は、アンテナとRF回路との間のインピーダンス不整合ロスによる不要な特性劣化を防止することができる。このように、本実施形態によれば、インピーダンス不整合ロスを少なくすることができるため、特に弱電界における受信特性の劣化を極力小さくすることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態の携帯電話端末は、受信信号のRSSI値を算出し、そのRSSI値の計算結果に基づいて、受信信号の位相調整のための制御信号(制御電圧値)を生成し、その制御信号によりフェーズシフタの制御を行って、アンテナとRF回路とアンテナとの間のインピーダンスを整合させることにより、インピーダンス不整合ロスによる通信特性の劣化を防止可能となされている。すなわち例えば、携帯電話端末のアンテナ近傍に指等が近づいたり、折り畳み型の携帯電話端末が折り畳まれたりして、アンテナのインピーダンスが変化した場合でも、本実施形態の携帯電話端末は、アンテナとRF回路との間のインピーダンス不整合ロスによる不要な特性劣化を防止することができる。このように、本実施形態によれば、インピーダンス不整合ロスを少なくすることができるため、特に弱電界における受信特性の劣化を極力小さくすることが可能となる。
また、本実施形態の携帯電話端末では、RSSI値に基づいてフェーズシフタの制御電圧値をリアルタイムに生成しているため、例えば、アンテナとRF回路との間のインピーダンスを整合させるための値を予め求めておいてテーブル等に記憶させおく必要がなく、さらに、設計開発者が予め様々な条件や使用形態を想定して試験等を行う必要もない。したがって、本実施形態によれば、携帯電話端末設計時において、インピーダンスの不整合が発生する様々な条件や使用形態について試験等を行ったり、インピーダンスを整合させるための値を予め求めておく必要がなく、その結果、開発コストの上昇を抑えることが可能であり、如何なる条件や使用形態で用いられた場合でも、効果的にインピーダンス不整合ロスを無くすことができる。
なお、上述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
本実施形態の携帯情報端末は、携帯電話端末に限定されず、無線通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)やノート型のパーソナルコンピュータ、携帯型のゲーム機などにも適用可能である。
10 アンテナ、11 アンテナスイッチ、12 デュープレクサ、13 位相制御部、14 RFTX回路、15 RFRX回路、16 RFIC、17 ベースバンド回路、21 フェーズシフタ、22 DSP、23 A/Dコンバータ、24 逆拡散部
Claims (4)
- 無線信号を少なくとも受信するためのアンテナと、
上記アンテナにて受信された受信信号に対して所定の受信信号処理を行う受信信号処理部と、
上記受信信号から受信特性を表す指標値を算出する指標値算出部と、
上記アンテナと受信信号処理部との間に設けられ、上記アンテナから出力されて受信信号処理部へ入力される受信信号の位相を、位相制御値に応じて調整する位相調整部と、
上記指標値算出部にて算出された指標値に基づいて、上記位相調整部による上記受信信号の位相調整のための上記位相制御値を生成して上記位相調整部へ供給する処理を、少なくとも上記指標値算出部で算出される指標値が所定値以上になるまで繰り返す制御部とを有する、
ことを特徴とする携帯型無線通信装置。 - 上記制御部は、
上記指標値算出部で算出される指標値が所定値を下回っている間、上記生成した位相制御値を上記位相調整部へ供給する前に上記指標値算出部にて算出された指標値を更新保持し、
上記位相調整部で行われた前回の位相調整の際に生成した位相制御値と、上記指標値算出部が算出した指標値と、上記更新保持している指標値とに基づいて、上記位相制御値を上げるか若しくは下げるかの判断を行い、当該位相制御値を上げるか若しくは下げるかの判断結果に応じた新たな位相制御値を生成して上記位相調整部へ供給することを特徴とする請求項1記載の携帯無線通信装置。 - 上記制御部は、上記位相調整部で行われた前回の位相調整の際に生成した位相制御値と、上記指標値算出部が算出した指標値と、上記更新保持している指標値とに基づいて、上記新たな位相制御値の生成と上記位相調整部へ位相制御値を供給する処理を続けるか否か判断することを特徴とする請求項2記載の携帯無線通信装置。
- 上記指標算出部は、自装置にて受信信号レベルを計算する目的で無線基地局から報知されている情報を元にして、受信信号の電界強度を表す上記指標値を算出することを特徴とする請求項1記載の携帯無線通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007165855A JP2009005207A (ja) | 2007-06-25 | 2007-06-25 | 携帯型無線通信装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007165855A JP2009005207A (ja) | 2007-06-25 | 2007-06-25 | 携帯型無線通信装置 |
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JP2009005207A true JP2009005207A (ja) | 2009-01-08 |
Family
ID=40321081
Family Applications (1)
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JP2007165855A Withdrawn JP2009005207A (ja) | 2007-06-25 | 2007-06-25 | 携帯型無線通信装置 |
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-
2007
- 2007-06-25 JP JP2007165855A patent/JP2009005207A/ja not_active Withdrawn
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