JP2009005097A - 色域調整装置および色域調整方法 - Google Patents

色域調整装置および色域調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことができる色域調整装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る色域調整装置は、画像の色域を調整する色域調整装置であって、前記画像が表示される表示サイズを検出する表示サイズ検出部12と、表示サイズ検出部12によって検出された前記表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて前記画像の色域を調整する色域調整部13とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像の色域を調整する色域調整装置および色域調整方法に関する。
ディスプレイの基本的仕様として、所定の色域規定に従って規定内入力色信号を忠実に出力表示再現することが求められる。例えば、デジタル放送HDTVのコンポーネント信号については、Recommendation ITU−R BT.709 (Rec.709)で規定されている。しかしながら、ディスプレイによっては、色をより鮮やかに再現するために所定の規定色域外の色まで拡張して表示するものが存在する。このような事情下、色域の狭い小型ディスプレイから色域の広い大型ディスプレイへの色変換技術が開示されている(例えば、特許文献1)。そこでは、色域の狭い小型ディスプレイから色域の広い大型ディスプレイへの色変換に際して色相の違いに関係なく一様に線形拡張している。
前記特許文献1は、あくまで色域の狭いディスプレイから色域の広いディスプレイへの色変換技術を開示したものであり、予め色域の異なるディスプレイが存在しているという事実に基づいて、それら異なる色域のディスプレイ間の色互換性を解決しようとしたものである。すなわち、前記特許文献1は、ディスプレイそれら自体の画面サイズあるいは表示サイズに応じてディスプレイの色域を拡大あるいは縮小する必要性があるのかどうか、また、画面サイズあるいは表示サイズに応じて色域を変える必要があるとしたらどのように変えたらよいのかといった問題に基づいて色変換技術を開示したものではない。
我々は物を見るとき、そのサイズによって色の「見え」が異なることを経験することができる。例えば、家の外装の塗り替えを注文するような場合、小さな色見本で選んだ色と実際に塗装が終わった家の外装の色とに食い違いを感じるであろう。このため、塗装業者は家主に色見本で家の外装の色を選択してもらう際、事前にこのサイズの違いによる色の見えの違いを忠告する。
一般的には、大きさによる色の見えの違いは色の面積効果として知られている(例えば、非特許文献1)。同じ色でも面積の大きさによって明るく見えたり暗く見えたりする現象であり、明るい色は広い面積になるとより鮮やかに、暗い色はより暗く感じられるという人間の眼の視覚特性として知られている。
我々は、前記の知見を確認するため、プロジェクタから投影された物理的に同一色の100インチサイズの色パッチの色と24インチサイズの色パッチの色とを比較評価した。このとき、もし2つの色パッチの色が異なって見えたならば、一方の色パッチの色はそのままにして、もう一方の色パッチの色を系統的に変えていくことで、2つの色パッチの色の見えが同じになるように調整した。結果は、同一色の100インチサイズと24インチサイズの色パッチの色の見えは異なって見え、それらを一致させるには色相によって色の彩度(飽和度)や明るさ(輝度)をそれぞれ調整する必要があった。
例えば、24インチサイズで見た色パッチの色と同じになるように100インチサイズの色パッチの色を合わせた場合、CIE1931Yxyの色空間で、図11の黒丸と白丸(特に色相で言えば青、緑、赤の黒丸と白丸)で示すように、100インチサイズの色パッチの色座標をより外へ拡張する必要があった。また、その拡張すべき大きさは色相によってそれぞれ異なり、青色成分よりも緑色成分および赤色成分をより大きく外側へ拡張する必要があった。また、この色成分拡張の大きさは知覚的な色差が等間隔になるように色変換された均等色空間のYu'v'色度図で表しても同じ傾向を示した。他の研究でも同様の結果が示されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3)。
特開2003−153027号公報 http://www.color-sp.com/2006/02/post_29.html http: //www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2004/2004info/1050355.pdf 面積効果によるマッチング色の変化 G.Kutas, K.Gocza, P.Bodrogi, J.Schanda AIC Colour 05-10th Congress of the International Colour Association Colour size effect
前記で述べたように、画面サイズあるいは表示サイズの変化は、異なるサイズのディスプレイ間で色の見えを一定に保つ上で問題となる。特に、プロジェクタなど投影サイズを自由に設定することができるディスプレイでは、色の見えが投影サイズによって違って見えるのは問題である。また、表示サイズが固定のディスプレイにおいても、表示サイズによる色の見えの違いを無視して、単にディスプレイが従来よりも大きくなったというだけで色域を拡張すると、人間がそれを見たとき、本来の画像の色の見えとは少し異なった色として見えてしまい違和感を感じてしまうという問題があった。
本発明は、前記の問題を解決するものであって、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことができる色域調整装置および色域調整方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る色域調整装置は、画像の色域を調整する色域調整装置であって、前記画像が表示される表示サイズを検出する表示サイズ検出手段と、前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて前記画像の色域を調整する色域調整手段とを備える。これにより、表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて画像の色域が調整されるので、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことが可能となる。
ここで、前記色域調整手段は、前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズが大きな値を示すほど前記画像の色域を拡張してもよい。これにより、表示サイズが大きな値を示すほど画像の色域が拡張されるので、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことが可能となる。
また、前記色域調整手段は、前記画像の色域内の各色相成分を異なる度合いで拡張してもよい。これにより、画像の色域内の各色相成分が異なる度合いで拡張されるので、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことが可能となる。
また、前記色域調整手段は、前記画像の色域内における青色成分よりも緑色成分および赤色成分を大きく拡張してもよい。これにより、画像の色域内における青色成分よりも緑色成分および赤色成分が大きく拡張されるので、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことが可能となる。
また、前記表示サイズ検出手段は、前記画像を投影する際に調整されたレンズの焦点距離に基づいて投影サイズを推定し、推定した投影サイズを前記表示サイズとして検出してもよい。これにより、プロジェクタによって画像を投影する場合でも、簡便に表示サイズを検出することが可能となる。
また、前記表示サイズ検出手段は、前記表示サイズの値を事前に設定しておき、設定された値を前記表示サイズとして検出してもよい。これにより、表示サイズが固定のディスプレイに画像を表示する場合でも、簡便に表示サイズを検出することが可能となる。
また、前記色域調整装置は、さらに、前記色域調整手段へ入力される色信号に色座標変換を施す入力色座標変換手段と、前記色域調整手段から出力される色信号に色座標変換を施す出力色座標変換手段とを備えてもよい。これにより、入出力のデバイスに左右されない(依存しない)独立な色空間に入出力色信号が変換されるので、色変換式や色変換テーブルを複数用意する手間を省くことが可能となる。
また、前記色域調整手段は、前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて前記色域内の色相を選択する色相選択手段と、前記色相選択手段によって選択された前記色相に対して前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて輝度を調整する輝度調整手段と、前記色相選択手段によって選択された前記色相に対して前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて彩度を調整する彩度調整手段とを有してもよい。これにより、表示サイズに合わせて輝度と彩度とが色相毎に調整されるので、表示サイズの拡大にともない色の見えの変化が色相によって大きく違うことに対応させて色域調整することが可能となる。
なお、本発明は、このような色域調整装置として実現することができるだけでなく、このような色域調整装置が備える特徴的な手段をステップとする色域調整方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。そして、そのようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのは言うまでもない。
以上のように、本発明に係る色域調整装置によれば、画像が表示される表示サイズが変化しても、とりわけ表示サイズが大きくなっても、色の見えを一定に保つことができるため、色再現の不自然さや違和感をもたらすことなく色を再現することができる。すなわち、表示サイズに対する人間の色覚特性を考慮しているので、人間に違和感を与えることなく自然な色を再現することが可能となる。
また、本発明に係る色域調整装置によれば、入出力のデバイスに左右されない(依存しない)独立な色空間に入出力色信号を変換するようにしている。これによって、色変換式や色変換テーブルを複数用意する手間を省くことが可能となる。
さらに、本発明に係る色域調整装置によれば、表示サイズに合わせて輝度と彩度とを色相毎に調整することができる。すなわち、表示サイズの拡大にともない色の見えの変化が色相によって大きく違うことに対応させて色域調整することが可能となる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明が適用される装置の概観図である。
この図に示されるように、本発明はプロジェクタに適用することができる。プロジェクタとは、ディスプレイの一種であって、大型スクリーンなどに画像を投影して表示する装置である。画像の投影サイズはユーザが自由に設定することができる。この図には示されていないが、プロジェクタは、パソコンに接続されてプレゼンテーションなどに使用されたり、ビデオやゲーム機などに接続されてテレビの代わりに使用されたりする。ここではプロジェクタを例示しているが、本発明は、表示サイズが固定のディスプレイにも適用することができる。例えば、様々なディスプレイサイズのTVにカラーマネジメントのモジュールとして組み込みことも可能である。
図2は、本発明の第1の実施形態における色域調整装置10の機能ブロック図である。
この図に示されるように、色域調整装置10は、画像の色域(色の範囲)を調整する装置であって、色信号入力部11と、表示サイズ検出部12と、色域調整部13と、色信号出力部14とを備えている。色信号入力部11は、パソコン等から入力された色信号を色域調整部13に供給する。表示サイズ検出部12は、本発明に係る表示サイズ検出手段の一例であって、画像が表示される表示サイズを検出する。色域調整部13は、本発明に係る色域調整手段の一例であって、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて画像の色域を調整(補正)する。色域を調整するとは、具体的には、表示装置で表示できる最大の色域範囲内で、色域を調整する色成分の色度を色変換式または色変換テーブルを用いて調整することを意味する。ただし、表示サイズが固定の表示装置では、表示装置の発光体を変更することやカラーフィルタの設計を変更すること等を意味する。色信号出力部14は、色域調整部13から供給された色信号を表示装置の出力信号に合った色信号へ変換して出力する。
図3は、本発明の第1の実施形態における色域調整装置10の動作を示すフロー図である。以下、この図に従って色域調整装置10の動作を説明する。
まず、色域調整装置10へ色信号が入力されると、この色信号は色信号入力部11によって受け付けられ(ステップS101)、また、画像が表示される表示サイズが表示サイズ検出部12によって検出される(ステップS102)。ここでいう「表示サイズ」には、「投影サイズ」や「画面サイズ」の意味も含まれるものとする。例えば、プロジェクタなど投影サイズを自由に調整可能な表示装置では、画像を投影する際に調整されたレンズの焦点距離に基づいて投影サイズを推定し、推定した投影サイズを表示サイズとして検出する。推定サイズの値は連続した値でもよいし、数段階にそのサイズが段階分けされた値でもよい。また、表示サイズが固定のディスプレイでは、その表示サイズの値を事前に設定しておき、設定された値を表示サイズとして検出する。
色域調整部13は、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズに応じて、色の見えを一定にするよう調整された色変換テーブルを読み出す(ステップS103)。そして、読み出した色変換テーブルを用いて、色信号入力部11によって出力された色信号を色変換する(ステップS104)。
図4は、色変換テーブル作成のためのデータの一例を示す図である。
具体的には、表示サイズが変化しても色の見えを一定にするためにはどの色相をどれだけ調整する必要があるかを実験的に測定した結果を示している。この実験では、プロジェクタによって投影された24インチ全面に表示された色と100インチ全面に表示された色とが同じ色に見えるように、100インチ全面に表示された色を調整した。図4では、代表的な7つの色パッチ「黄色」「赤」「マジェンタ」「青」「緑」「シアン」「肌色」について、24インチと100インチとが同じ色に見えるCIEのx、y座標を示している。
図5は、色変換テーブル作成のため参考にされるデータの一例を示す図である。
ここでは、24インチと100インチの色パッチのx、y値の差がどれだけ人間の色知覚において差があるか、u‘ v’均等色空間上の色差Duvによって示している。図5中の横軸は評価に用いた7つの色パッチを示し、図5中の縦軸は色差Duvを示している。この図に示されるように、色パッチによって色差Duvは大きく異なる(一様でない)。具体的には、マジェンタや青の色パッチに比べ、赤、黄色、緑、シアン、肌色の色パッチの色差Duvが大きい。
これらの色差Duvは、図11と対応させて見ると、24インチの色パッチと同じ色の見えに調整した100インチの色パッチ(特に、評価で使用した緑、赤、青)のx、y値による色域は、24インチの色パッチのx、y値による色域に比べより外側に拡張していることがわかる。すなわち、図11中の黒丸は100インチの色パッチのx、y値を示し、図11中の白丸は24インチの色パッチのx、y値を示している。このようなx、y値を表示サイズ毎に調べ、図6に示すような色変換テーブルに設定しておく。これによって、色域調整部13は、色変換前の表示サイズが24インチであり、色変換後の表示サイズが100インチである場合は、図11中の白丸の位置が黒丸の位置となるように、画像の色域内の各色相成分を異なる度合いで拡張することができる。
なお、色域の調整値を決める際の基準となる表示サイズについては、例えば、その表示装置の推奨値あるいはデフォルト値とすればよい。プロジェクタでは光源の明るさや解像度、最適な推奨鑑賞距離から推奨値あるいはデフォルト値が設定されるであろう。上記の例では24インチサイズを基準に100インチサイズの表示の色を調整した結果を示したが、逆に100インチサイズを基準にする場合は、24インチサイズで表示するときの色域を拡張ではなく縮小する方向で調整することになる。また、固定サイズの表示装置では、例えば、色域の拡張がなされていなかった従来の機種で最も普及した表示サイズ(例えば、151インチから24インチ)を仮に基準にして、表示サイズによる色域の調整をすればよい。
図11はx、y色座標系で示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、x、yからXYZ値に変換し、さらにXYZ色座標系のXYZ値からRGB色座標系のRGB値へ色座標変換式によって変換することができる。そのため、ステップS103の色変換の色座標系として事前にRGB色座標に変換した色変換式を用いてもよい。また、色変換は結局は色域マッピングであるので、線形あるいは非線形なマッピングが可能なルックアップテーブルを用いてもよい。色変換式あるいはルックアップテーブルの色座標系はx、yやRGBに限定されるものではない。
色域調整部13は、ステップS103において読み出した色変換テーブルを用いて、色信号入力部11から供給された色信号を色変換し(ステップS104)、色信号出力部14に供給する。色信号出力部14は、色域調整部13から供給された色信号を表示装置の出力信号に合った色信号へ変換して出力する(ステップS105)。
以上のように、本発明の第1の実施形態における色域調整装置10によれば、画像が表示される表示サイズが変化しても、とりわけ表示サイズが大きくなっても、色の見えを一定に保つことができるため、色再現の不自然さや違和感をもたらすことなく色を再現することができる。すなわち、表示サイズに対する人間の色覚特性を考慮しているので、人間に違和感を与えなることなく自然な色を再現することが可能となる。
(第2の実施形態)
一般に、色域マッピングを実施する場合、色変換前の入力信号(入力される前のデバイスに依存する)や色変換後の出力信号(出力されるデバイスに依存する)によって、色変換の内容が左右される。そのため、前記第1の実施形態によると、入出力のデバイスの組み合わせの数に相当する色変換式や色変換テーブルが必要になるという問題がある。そこで、本実施形態では、この問題を解決するために以下の構成を採用している。
図7は、本発明の第2の実施形態における色域調整装置10の機能ブロック図である。
本実施形態における色域調整装置10は、入力色座標変換部15および出力色座標変換部16を備える点を除き、前記第1の実施形態における色域調整装置10と同様である。入力色座標変換部15は、本発明に係る入力色座標変換手段の一例であって、色域調整部13へ入力される色信号に色座標変換を施す。出力色座標変換部16は、本発明に係る出力色座標変換手段の一例であって、色域調整部13から出力される色信号に色座標変換を施す。
図8は、本発明の第2の実施形態における色域調整装置10の動作を示すフロー図である。
この図8において、基本となる色域調整部分(点線で囲んだ部分)は、前記第1の実施形態(図3参照)と同様である。前記第1の実施形態との違いは、色域調整部13への入力色信号および色域調整部13からの出力色信号に対して色座標変換を実施する点である(ステップS203およびステップS206)。
前記したように、色域マッピングを実施する場合(図8における色域調整に相当)、色変換前の入力信号(入力される前のデバイスに依存する)や色変換後の出力信号(出力されるデバイスに依存する)によって、色変換の内容が左右される。そのため、前記第1の実施形態によると、入出力のデバイスの組み合わせの数に相当する色変換式や色変換テーブルが必要になるという問題がある。
そこで、本実施形態では、入出力のデバイスに左右されない(依存しない)独立な色空間に入出力色信号を変換するようにしている。これによって、色変換式や色変換テーブルを複数用意する手間を省くことが可能となる。例えば、本実施形態では、ステップS201とステップS207における入出力色信号が入出力デバイスに依存するRGB信号であった場合、それに影響されないXYZ空間、Yu‘v’空間あるいは色相(H)、彩度(C*)、明度(V)からなるHCV空間の色座標に変換する。これによって、異なるタイプの表示装置(プラズマ、液晶、CRT、液晶、プロジェクタなど)でも、色域調整として同じ色変換テーブルを使用することが可能となる。
(第3の実施形態)
前記した通り、表示サイズの拡大にともない色の見えの変化は色相によって大きく違う。本実施形態では、このような人間の視覚特性を考慮した色域調整の具体例を説明する。
図9は、本発明の第3の実施形態における色域調整装置10の要部の詳細機能ブロック図である。ここでいう要部とは、色域調整部13および表示サイズ検出部12である。本実施形態における色域調整装置10の全体構成は、前記第2の実施形態と同様である。
表示サイズ検出部12は、前記第2の実施形態と同様、画像が表示される表示サイズを検出する手段である。例えば、プロジェクタなど投影サイズを自由に調整可能な表示装置では、画像を投影する際に調整されたレンズの焦点距離に基づいて投影サイズを推定し、推定した投影サイズを表示サイズとして検出する。推定サイズの値は連続した値でもよいし、数段階にそのサイズが段階分けされた値でもよい。また、表示サイズが固定のディスプレイでは、その表示サイズの値を事前に設定しておき、設定された値を表示サイズとして検出する。
この図に示されるように、色域調整部13は、色相選択部17と、輝度調整部18と、彩度調整部19とを有する。色相選択部17は、本発明に係る色相選択手段の一例であって、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズに応じて色域内の色相を選択する。このように色相を選択するのは、表示サイズに応じて色域拡張のベクトルが色相毎に異なるためである。輝度調整部18は、本発明に係る輝度調整手段の一例であって、色相選択部17によって選択された色相に対して表示サイズに応じて輝度を調整する。このように輝度を調整するのは、選択された色相の色が表示サイズの大きさによって明るく見えたり暗く見えたりするためである。彩度調整部19は、本発明に係る彩度調整手段の一例であって、色相選択部17によって選択された色相に対して表示サイズに応じて彩度を調整する。このように彩度を調整するのは、明るい色は広い面積になるとより鮮やかに見えるためである。
表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズの信号は色相選択部17と輝度調整部18と彩度調整部19に供給される。色相選択部17は、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズに基づいて色域を調整すべき色相を選択する。選択された色相に関する信号は輝度調整部18と彩度調整部19に供給される。輝度調整部18は、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズと色相選択部17からの色相信号とに基づいて輝度を調整する。同様に、彩度調整部19は、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズと色相選択部17からの色相信号とに基づいて彩度を調整する。これによって、表示サイズが変わっても色の見えは一定に保たれる。
図10は、本発明の第3の実施形態における色域調整装置10の動作を示すフロー図である。本実施形態では、前記第1の実施形態(図3参照)や前記第2の実施形態(図8参照)における色域調整部分(点線で囲んだ部分)と異なり、色変換テーブルと色変換による色域マッピングを色相と輝度と彩度に分けて色域調整する。すなわち、図4や図11で示したように、表示サイズの拡大にともない色の見えの変化が色相によって大きく違うので、このような人間の視覚特性を考慮した色域調整を実施する。前記第2の実施形態と同様、ステップS303とステップS307では、入出力のデバイスに左右されない独立な色空間に入出力色信号を変換する。
ここで、色相選択部17は、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズに基づいて、入力色座標変換された入力色信号の色相を分析し、色域拡張する色相を選択する(ステップS304)。具体的には、表示サイズ検出部12によって検出された表示サイズがより大きな値を示した場合、色域拡張する色相として緑成分や赤成分などの色相を抽出する。すなわち、このように表示サイズが大きくなってもほとんど色域が変化しない青成分は抽出しない。
続いて、輝度調整部18は、色相選択部17によって色相選択された色信号について輝度調整する(ステップS305)。すなわち、色相選択部17によって選択された色相の色は表示サイズの大きさによって明るく見えたり暗く見えたりするので、その知覚現象に対応させる。言い換えると、色相によって個別の輝度調整を行う。
更に、彩度調整部19は、色相選択部17によって色相選択された色信号について彩度調整する(ステップS306)。すなわち、色相選択部17によって選択された色相の色は表示サイズの大きさによって明るさだけなく同時に彩度も異なって見えるので、その知覚現象に対応させる。例えば、明るい色は広い面積になるとより鮮やかに見えるという人間の視覚特性に対応させる。
以上のように、本実施形態によれば、ステップS304からステップS306において、表示サイズに合わせて輝度と彩度とを色相毎に調整することができる。すなわち、表示サイズの拡大にともない色の見えの変化が色相によって大きく違うことに対応させて色域調整することが可能となる。
本発明に係る色域調整装置および色域調整方法は、画像が表示される表示サイズが変化しても色の見えを一定に保つことが必要なプロジェクタやTVなどに適用することができる。
図1は、本発明が適用される装置の概観図である。 図2は、本発明の第1の実施形態における色域調整装置の機能ブロック図である。 図3は、本発明の第1の実施形態における色域調整装置の動作を示すフロー図である。 図4は、色変換テーブル作成のためのデータの一例を示す図である。 図5は、色変換テーブル作成のため参考にされるデータの一例を示す図である。 図6は、色変換テーブルの一例の概念図である。 図7は、本発明の第2の実施形態における色域調整装置の機能ブロック図である。 図8は、本発明の第2の実施形態における色域調整装置の動作を示すフロー図である。 図9は、本発明の第3の実施形態における色域調整装置の要部の機能ブロック図である。 図10は、本発明の第3の実施形態における色域調整装置の動作を示すフロー図である。 図11は、本発明の色域拡張の例を説明するための図である。
符号の説明
11 色信号入力部
12 表示サイズ検出部
13 色域調整部
14 色信号出力部
15 入力色座標変換部
16 出力色座標変換部
17 色相選択部
18 輝度調整部
19 彩度調整部

Claims (10)

  1. 画像の色域を調整する色域調整装置であって、
    前記画像が表示される表示サイズを検出する表示サイズ検出手段と、
    前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて前記画像の色域を調整する色域調整手段と
    を備えることを特徴とする色域調整装置。
  2. 前記色域調整手段は、前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズが大きな値を示すほど前記画像の色域を拡張する
    ことを特徴とする請求項1記載の色域調整装置。
  3. 前記色域調整手段は、前記画像の色域内の各色相成分を異なる度合いで拡張する
    ことを特徴とする請求項2記載の色域調整装置。
  4. 前記色域調整手段は、前記画像の色域内における青色成分よりも緑色成分および赤色成分を大きく拡張する
    ことを特徴とする請求項3記載の色域調整装置。
  5. 前記表示サイズ検出手段は、前記画像を投影する際に調整されたレンズの焦点距離に基づいて投影サイズを推定し、推定した投影サイズを前記表示サイズとして検出する
    ことを特徴とする請求項1記載の色域調整装置。
  6. 前記表示サイズ検出手段は、前記表示サイズの値を事前に設定しておき、設定された値を前記表示サイズとして検出する
    ことを特徴とする請求項1記載の色域調整装置。
  7. 前記色域調整装置は、さらに、
    前記色域調整手段へ入力される色信号に色座標変換を施す入力色座標変換手段と、
    前記色域調整手段から出力される色信号に色座標変換を施す出力色座標変換手段と
    を備えることを特徴とする請求項1記載の色域調整装置。
  8. 前記色域調整手段は、
    前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて前記色域内の色相を選択する色相選択手段と、
    前記色相選択手段によって選択された前記色相に対して前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて輝度を調整する輝度調整手段と、
    前記色相選択手段によって選択された前記色相に対して前記表示サイズ検出手段によって検出された前記表示サイズに応じて彩度を調整する彩度調整手段と
    を有することを特徴とする請求項1記載の色域調整装置。
  9. 画像の色域を調整する色域調整方法であって、
    前記画像が表示される表示サイズを検出する表示サイズ検出ステップと、
    前記表示サイズ検出ステップにおいて検出された前記表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて前記画像の色域を調整する色域調整ステップと
    を含むことを特徴とする色域調整方法。
  10. 画像の色域を調整するためのプログラムであって、
    前記画像が表示される表示サイズを検出する表示サイズ検出ステップと、
    前記表示サイズ検出ステップにおいて検出された前記表示サイズに応じた色変換式または色変換テーブルを用いて前記画像の色域を調整する色域調整ステップと
    をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109756649A (zh) * 2017-11-06 2019-05-14 精工爱普生株式会社 配置文件调节系统、装置以及配置文件调节方法

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