以下、スタジオ回路の一種であるエフェクト・スイッチャーに配置される画像記憶再生部に本発明を適用した実施形態を、図面を用いて説明する。
〔エフェクト・スイッチャーの全体構成〕
図1は、本発明を適用した画像記憶再生部を配置したエフェクト・スイッチャーの全体構成例を示すブロック図である。このエフェクト・スイッチャーは、主ユニット1と操作卓21とで構成されている。
主ユニット1には、外部の装置からSDI(Serial Digital Interface)規格の画像データを入力するための複数のSDI入力回路(入力回路に該当)2と、クロスポイント部3と、キー加工回路4と、合成回路5と、画像メモリ6と、メモリコントローラ7(読み書き回路に該当)と、制御I/F(インターフェース)8と、データI/F9と、マイクロコンピュータ10と、SDI出力回路(出力回路に該当)11と、制御通信系12と、ネットワークI/F13とが設けられている。
SDI入力回路2は、エフェクト・スイッチャーの外部から入力されるSDI(Serial Digital Interface)規格の画像データを、エフェクト・スイッチャーの外部から供給されるリファレンス信号Refに同期してリアルタイムにパラレル形式の画像データに変換する回路であり、複数の入力ポートを有している。
SDI入力回路2には、VTR,ビデオデッキ,テレビジョンカメラ等の様々な機器からSDI規格の画像データを入力させることができるが、ここでは、一例として、SDI入力回路2の1つの入力ポートにはVTR30から画像データが入力されるようになっている。このVTR30にも、エフェクト・スイッチャーに供給されるのと同じリファレンス信号Refが供給される。
クロスポイント部3は、外部からSDI入力回路2に入力された画像データや、合成回路5やメモリコントローラ7から再入力される画像データの中から、合成回路5で背景映像として用いる画像データ(現在の背景映像と次の背景映像との2系統)や、キー加工回路4でキーイングのために用いる画像データ(前景映像であるキーフィル信号と、前景映像と背景映像との合成比率である濃度を示すキーソース信号との2系統)や、画像メモリ6への書き込みのためにメモリコントローラ7に供給する最大2系統の画像データや、SDI出力回路11から外部に出力させる画像データを選択するためのスイッチの集合である。
キー加工回路4は、クロスポイント部3で選択されたキーフィル信号及びキーソース信号を、各種のパラメータ(例えば、キーソース信号のどの映像成分を濃度とするかのパラメータや、キーソース信号の位置を調整するパラメータや、キーフィル信号及びキーソース信号の縮小率を調整するパラメータ等)に基づいて加工する回路である。
合成回路5は、クロスポイント部3に再入力させる画像データ主ユニット1の出力ライン0utから出力する背景映像を、クロスポイント部3で選択された現在の背景映像から、クロスポイント部3で選択された次の背景映像に遷移させる処理(トランジション)や、キー加工回路4からのキーフィル信号及びキーソース信号を用いて、背景映像に前景映像を合成する処理(キーイング)を行う回路である。
画像メモリ6は、複数フレーム分のSDI信号の記憶容量を有するメモリであり、揮発性メモリと不揮発性メモリとで構成されている。メモリコントローラ7は、画像メモリ6への画像データの書き込みと画像メモリ6からの画像データの読み出しとを行う回路であり、2つのポートを用いて最大2系統の画像データを同時に書き込んだり読み出すことができる。メモリコントローラ7によって画像メモリ6から読み出された画像データは、クロスポイント部3に再入力される。メモリコントローラ7は、制御I/F8を介してマイクロコンピュータ10によって制御される。マイクロコンピュータ10は主ユニット1全体を制御するが、本発明で重要なメモリコントローラ7の制御を中心に説明するため、他の制御接続は図示を省略している。
SDI出力回路11は、クロスポイント部3から供給された画像データを、前述のリファレンス信号Refに同期してリアルタイムにSDI規格のシリアル画像データに変換して外部に出力する回路であり、複数の出力ポートを有している。
ここでは、一例として、SDI出力回路11の1つの出力ポートからVTR33に画像データが出力されるようになっている。このVTR33にも、エフェクト・スイッチャーに供給されるのと同じリファレンス信号Refが供給される。また、SDI出力回路11の別の1つの出力ポートからは、モニター34に画像データが出力されるようになっている。
制御通信系12は、イーサネット(登録商標)・ポートまたはRS422ポートであり、マイクロコンピュータ10が操作卓21との間で通信を行うために用いられる。
操作卓21には、各種の操作を行うための操作部22と、各種の表示が行われる表示部23とが筐体表面に配置されているとともに、マイクロコンピュータ(制御部に該当)24,制御通信系25〜27が設けられている。
制御通信系25は、主ユニット1内の制御通信系12と同一のものであり、マイクロコンピュータ24が主ユニット1のマイクロコンピュータ10との間で通信を行うために用いられる。
制御通信系26は、VTR30に設けられている例えばRS422ポートのような制御通信系(図示略)と同一のものであり、マイクロコンピュータ24がVTR30を制御するために用いられる。
制御通信系27は、VTR33に設けられている例えばRS422ポートのような制御通信系(図示略)と同一のものであり、マイクロコンピュータ24がVTR33を制御するために用いられる。
操作部22には、図示は省略するが、表示部23に表示されるセットアップ用の画面や操作用の画面を見ながら、エフェクト・スイッチャーのセットアップ(例えば、SD−SDI規格の画像データ,HD−SDI規格の画像データのうちのいずれをSDI入力回路2に入力させるかの設定や、キー加工回路4のパラメータの設定等)や操作(例えば、クロスポイント部3の切換や、合成回路5でのトランジションの種類の選択等)を行うための操作釦等が設けられている。
また、操作部22には、表示部23に表示されるVTR再生制御用の画面を見ながら、SDI入力回路2に画像データを入力させるVTR(図1ではVTR30)内の画像データのうち、画像メモリ6への記憶を開始させるフレームの画像データのタイムコードを指定するための記録開始タイムコード指定釦22aと、画像メモリ6に記憶させる画像データのフレーム数を指定するための記録フレーム数指定釦22bと、VTR内の画像データの画像メモリ6への記憶の終了を指示するための記録終了釦22cとが設けられている。(VTR再生制御用の画面としてGUI画面を表示する場合には、これらの専用の釦22a〜22cを設けることなく、操作部22に設けられているポインティングデバイスであるトラックパッド22gによってこれらの釦と同じ操作を行うことも可能である。)
さらに、操作部22には、画像メモリ6に書き込まれた複数フレーム分の画像データから成る単一の素材に対して、キーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材という2つの素材に分割する分割位置を指定するための操作手段(第1の操作手段に該当)として、次の(a)〜(c)のような釦等が設けられている。
(a)画像メモリ6に書き込まれた単一の素材中の任意のフレームの画像データを、先頭のフレームを01:00:00:00としたフレーム番号で指定する(あるいは別の例としてタイムコードで指定するようにしてもよい)ことにより、そのフレームの画像データを静止画として画像メモリ6から読み出してモニター表示(図1ではモニター34に表示)させるための静止画フレーム指定釦22d。
(b)静止画フレーム指定釦22dで指定したフレーム番号を1フレーム分ずつ前後にずらすことにより、静止画フレーム指定釦22dで指定したフレームの前後のフレームの画像データを静止画として画像メモリ6から読み出してモニター表示させるための回転ノブ22e。
(c)静止画フレーム指定釦22dや回転ノブ22eの操作によってモニター表示される画像データを確認した上で、2つの素材に分割する分割位置を最終的に指定するための分割位置指定釦22f。
さらに、操作部22では、後述するように、表示部23に表示される素材選択用のGUI画面(図10〜図12)を見ながら、画像メモリ6から読み出すキーフィル信号用の素材やキーソース信号用の素材をトラックパッド22gで指定できるようになっている(これらのGUI画面及びトラックパッド22gが第2の操作手段に該当する)。
〔画像メモリ6の使い方〕
図2は、主ユニット1内の画像メモリ6の使い方を示す図である。主ユニット1内マイクロコンピュータ10は、画像メモリ6に書き込ませる画像データの画像フォーマット(SD−SDIであるかHD−SDIであるか)に応じて、一定のバイト数Nfを決定する。このバイト数Nfは、前述の操作部22での設定によってSD−SDI規格の画像データを入力させることが選択された場合には、SD−SDI規格の1フレーム分の画像データ本体のサイズ(約1メガバイト)に決定され、他方、操作部22での設定によってHD−SDI規格の画像データを入力させることが選択された場合にセットアップ処理によってHD−SDI信号を入力させることが選択された場合には、HD−SDI規格の1フレーム分の画像データ本体のサイズ(約5メガバイト)に決定される。なお、画像フォーマットについては、SD−SDIであるかHD−SDIであるかの二択に限らず、例えば下記の(a)〜(d)のようなアクティブライン数やフレームレートやインターレース/プログレッシブの相違によって多数のフォーマットの中から選択可能にしてもよい。その場合には、それぞれのフォーマット毎に、このバイト数Nfを変えるようにすればよい。
(a)480/59.94Hz(インターレース)
(b)576/50Hz(インターレース)
(c)1080/59.94Hz(インターレース/プログレッシブ)
(d)720/50Hz(プログレッシブ)
そして、マイクロコンピュータ10は、メモリコントローラ7を制御して、画像メモリ6を番地(アドレス)順にこのバイト数Nfずつの複数の区分領域に分割して使用させ、各区分領域に1フレーム分ずつの画像データを書き込ませる。
画像メモリ6をこのように使用することにより、画像メモリ6のうちの先頭の番地をa1とすると、i番目の区分領域の先頭の番地はa1+(Nf×(i−1))となるので、この番号iによって各フレームの画像データの記憶位置を識別することができる。以下では、この区分領域の番号iをレジスタ番号と呼ぶ。
マイクロコンピュータ10は、画像メモリ6のバイト数Nf毎の区分領域のうち、現在画像データが記憶されていない区分領域のレジスタ番号を、線形リストによって管理する。画像メモリ6に全く画像データが記憶されていない状態では、全ての区分領域のレジスタ番号がこの線形リストで結合されている。その後、画像データを書き込ませた区分領域のレジスタ番号は、この線形リストから外す。また、画像データが書き込まれている区分領域から画像データを消去させた場合には、その区分領域のレジスタ番号を線形リストに再び追加する。画像メモリ6からは、どの番地に書き込まれた画像データも直ちに読み出すことができるので、この線形リストにおけるレジスタ番号の隣接順序が実際の番地の順序と異なっていても全く問題はない。なお、前述のように画像メモリ6には揮発性領域(揮発性メモリの部分)と不揮発性領域(不揮発性メモリの部分)とが存在しており、揮発性領域内の区分領域のレジスタ番号と不揮発性領域内の区分領域のレジスタ番号とは、別々の線形リストによって管理する。
〔VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理〕
主ユニット1のマイクロコンピュータ10は、マイクロコンピュータ10内のRAMにファイルシステムを構築している。ファイルシステムは通常はディスク装置などで使用されるが、RAMをディスク装置と同様に看做してその上にファイルシステムを構築する(記憶する)こと自体は一般的に行われている。しかし、マイクロコンピュータ10におけるファイルシステムの使い方には、画像メモリ6に記憶される画像データを管理するという特徴があるとともに、操作卓21のマイクロコンピュータ24によるVTRの再生制御と関連している。
そのため、主ユニット1のマイクロコンピュータ10と操作卓21のマイクロコンピュータ24とは、制御通信系12及び25を介して画像データのフィールド単位の精度(例えばNTSCの場合には約1/60秒の精度)で通信を行いつつ、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理を協同して実行する。以下、このVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理を、図1のVTR30を制御する場合を例にとって説明する。
図3は、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理を示すフローチャートであり、各ステップ番号の後に、主ユニット1のマイクロコンピュータ10,操作卓21のマイクロコンピュータ24のいずれによる処理であるかを区別するために「主ユニット」,「操作卓」の語を付している。
この処理では、最初に、操作卓21のマイクロコンピュータ24が、操作部22の記録開始タイムコード指定釦22a(図1)で指定された記憶開始フレームのタイムコードT1の情報を取得する(ステップS1)。
そして、マイクロコンピュータ24が、プリロール時間をTpとして、タイムコードT1−Tpからのキューアップコマンドと、再生開始コマンドとをVTR30に順次送る(ステップS2,S3)。
続いて、マイクロコンピュータ24が、VTR30から、現在再生中のフレームの画像データのタイムコードTcの通知と、VTR30がリファレンス信号Refに同期しているか否かを示す同期状態の情報Lcとを受信し(ステップS4)、Tc+1=T1であるか否か(すなわち、現在再生中の画像データの次のフレームの画像データが、記録開始タイムコード指定釦22aで指定されたタイムコードに該当する画像データであるか否か)を判断する(ステップS5)。ノーであれば、ステップS4に戻ってステップS4及びS5を繰り返す。
ステップS5でイエスになると、マイクロコンピュータ24が、ステップS4で受信した最新の同期状態の情報Lcは同期していることを示すものであるか否かを判断する(ステップS6)。ノーであれば、マイクロコンピュータ24が、VTR30に再生停止コマンドを送り(ステップS7)、その後ステップS2に戻ってステップS2〜S6を繰り返す。
ステップS6でイエスになると、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築しているファイルシステムに、素材ディレクトリ(D1とする)を作成し(ステップS8)、その後「素材記憶処理」に進む(ステップS9)。
図4は、この素材記憶処理を示すフローチャートである。最初に、VTR30からSDI入力回路2に入力された画像データがメモリコントローラ7に供給されるようにクロスポイント部3を制御し、且つ、画像メモリ6への書き込みを行うようにメモリコントローラ7を制御した上で、1フレーム分の画像データ(最初は、タイムコードTc+1に該当するフレームの画像データ)が画像メモリ6に書き込まれるまで待機する(ステップS11)。なお、クロスポイント部3の制御は、最初にステップS11を実行する際に一度行っておけばよく、その後は、VTR30からSDI入力回路2に入力された画像データがメモリコントローラ7に供給され続ける。また、画像メモリ6への画像データの書き込みは実時間で行われるので、それぞれのフレームの画像データが書き込まれたか否かの確認は、1フレームの時間が経過したか否かをリファレンス信号Refに基づいて判断すれば可能である。
そして、画像メモリ6に書き込まれたそのフレームの画像データを管理するフレーム管理情報(画像メモリ6におけるその画像データの記憶位置情報としての、図2に示したレジスタ番号を含む)を、素材ディレクトリD1内にファイルとして作成して記憶する(ステップS12)。
続いて、操作卓21のマイクロコンピュータ24と通信を行うことにより、操作卓21の操作部22の記録フレーム数指定釦22b(図1)で指定されたフレーム数分の画像データについてステップS12までの処理が完了したという条件と、操作卓21の操作部22の記録終了釦22cが操作されたという条件とのうちのいずれかが満たされたか否かを判断する(ステップS13)。なお、記録フレーム数指定釦22bで指定されたフレーム数については、指定された時点で操作卓21のマイクロコンピュータ24からマイクロコンピュータ10に送信しておけば、ステップS13を実行する毎に通信を行う必要はない。また、記録終了ボタン22cの操作については、操作された時点でマイクロコンピュータ24から操作された旨の情報を主ユニット1のマイクロコンピュータ10に送信しておき、マイクロコンピュータ10は、割り込みタスクでその情報を受信・記憶して、ステップS13の実行時にその記憶した情報を参照するというような方式も可能である。
いずれの条件も満たされていなければ、ステップS11に戻ってステップS11〜S13を繰り返す。ステップS13においていずれの条件が満たされると、素材ディレクトリD1内に、画像メモリ6に記憶された全てのフレームの画像データを一つの素材として管理する素材管理情報をファイルとして作成して記憶する(ステップS14)。そして処理を終了する。
図3に示すように、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が素材記憶処理を終了すると、操作卓21のマイクロコンピュータ24が再生停止コマンドをVTR30に送り(ステップS10)、処理を終了する。
このVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によれば、操作卓21のマイクロコンピュータ24が、VTR30に再生コマンドを送った後、操作部22で指定された記憶を開始すべきフレームのタイムコードでのVTR30のリファレンス信号への同期の有無を確認し、同期していれば、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、VTR30から再生されて入力された画像データを画像メモリ6に記憶させるとともに、画像メモリ6における画像データの記憶位置を示す記憶位置情報をファイルシステムにファイルとして登録する。他方同期していなければ、画像メモリ6への記憶及びファイルシステムへの登録は行われず、操作卓21のマイクロコンピュータ24が再度同じ処理を繰り返し、同期したときに初めて画像メモリ6への記憶及びファイルシステムへの登録が行われる。
すなわち、記憶を開始すべきフレームでVTR30がリファレンス信号に同期していない場合、自動的にリトライし、同期したときに初めて画像メモリ6への記憶及びファイルシステムへの登録が行われる。
これにより、VTR30を制御して再生させた画像データを画像メモリ6に記憶するとともにファイルシステムによって管理することができ、且つ、VTR30のリファレンス信号への同期確認や同期失敗時の煩雑な操作を不要にして、VTR30がリファレンス信号に同期した状態で再生された画像データを、画像メモリ6に記憶させるとともにファイルシステムによって管理することができる。
〔素材分割・対素材化処理〕
ビデオテープには、キーフィル信号として用いる複数フレーム分の画像データと、キーソース信号として用いる複数フレーム分の画像データとが、切れ目なく連続して記録されていることが少なくない。したがって、図3に示したVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理により、VTR30からは、キーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とが、切れ目なく連続してエフェクト・スイッチャーに入力され、単一の素材として画像メモリ6に記憶されることが少なくない。
そのため、操作卓21の操作部22には、前述のように、画像メモリ6に記憶されたこの単一の素材に対して、キーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材という2つの素材に分割する分割位置を指定するための静止画フレーム指定釦22d,回転ノブ22e及び分割位置指定釦22f(図1)が設けられている。
主ユニット1のマイクロコンピュータ10は、静止画フレーム指定釦22dが操作されたり、その後回転ノブ22eが操作されると、メモリコントローラ7を制御して、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によって画像メモリ6に記憶させた単一の素材のうちの、静止画フレーム指定釦22dで指定されたフレームの画像データや、回転ノブ22eで1フレーム分ずつ前後にずらされたフレームの画像データを、静止画として画像メモリ6から読み出させる。また、マイクロコンピュータ10は、メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力されるこの画像データがSDI出力回路11からモニター34に出力されるように、クロスポイント部3を制御する。
エフェクト・スイッチャーの操作者は、このようにしてモニター34に表示される各フレームの画像データを見ることにより、この単一の素材をどのフレームでキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とに分割すればよいかを確認することができる。そして、静止画フレーム指定釦22dや回転ノブ22eの操作によって現在静止画として表示させているフレームを、分割位置指定釦22fで分割位置として指定することができる。
図5及び図6は、この分割位置指定釦22fの操作に応じて主ユニット1のマイクロコンピュータ10が実行する素材分割・対素材化処理(図5が素材分割処理の部分、図6が対素材化処理の部分)を示すフローチャートである。
分割位置指定釦22fが操作されると、図5の素材分割処理を開始する。この処理では、最初に、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によってファイルシステムに作成した前述の素材ディレクトリD1を、素材分割処理の対象として決定する(ステップS21)。
続いて、静止画フレーム指定釦22d,回転ノブ22e及び分割位置指定釦22fの操作によって指定された分割位置のフレーム番号(F1とする)を取得する(ステップS22)。
そして、このファイルシステムに、素材ディレクトリD1とは別の素材ディレクトリ(D2とする)を作成する(ステップS23)。
続いて、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理のうちの図4のステップS12で素材ディレクトリD1内に作成したフレーム管理情報ファイルのうち、フレーム番号F1以降の画像データについてのフレーム管理情報ファイルを素材ディレクトリD1から素材ディレクトリD2に移動させる。また、素材ディレクトリD2内に、フレーム番号F1以降の全てのフレームの画像データを一つの素材として管理する素材管理情報をファイルとして作成して記憶するとともに、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理のうちの図4のステップS14で素材ディレクトリD1内に作成した素材管理情報ファイルの内容を、フレーム番号F1よりも前のフレームの画像データのみを一つの素材として管理するように更新する(ステップS24)。そして処理を終了する。
図5の素材分割処理を終了すると、引き続き図6の対素材化処理を開始する。この処理では、最初に、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築しているファイルシステムから、図3のVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によって作成した素材ディレクトリD1と、図5の素材分割処理によって作成した素材ディレクトリD2とを特定する(ステップS31)。
続いて、素材ディレクトリD1内の素材管理情報に、キーフィル信号用の素材であることと、素材ディレクトリD2内のファイルがこのキーフィル信号用の素材と対になっている素材についてのファイルであることとを示す対情報を格納する(ステップS32)。
また、素材ディレクトリD2内の素材管理情報に、キーソース信号用の素材であることと、素材ディレクトリD1内のファイルがこのキーソース信号用の素材と対になっている素材についてのファイルであることとを示す対情報を格納する(ステップS33)。そして処理を終了する。
図7は、この素材分割・対素材化処理の内容を概念的に例示する図である。例えば図7(a)に示すように、図3のVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理により、フレーム数300の画像データからなる単一の素材が画像メモリ6に記憶されており、静止画フレーム指定釦22dや回転ノブ22eの操作によってこのうちの151フレーム目の画像データをモニター34(図1)に静止画として表示させているときに、分割位置指定釦22fで分割位置を指定したとする。
すると、図5の素材分割処理により、ファイルシステムでの管理上、図7(b)に示すように、この単一の素材が、1フレーム目から150フレーム目までの素材Aと、151フレーム目から300フレーム目までの素材Bとに分割して扱われる。
そして、図6の対素材化処理により、ファイルシステムでの管理上、この2つの素材A及びBが、互いに対になっている素材(キーフィル信号用の素材V及びキーソース信号用の素材K)として扱われる。
この素材分割・対素材化処理により、VTR30から入力されて画像メモリ6に記憶された単一の素材を、操作者の分割操作によって対になる2つの素材としてファイルシステムによって管理することができる。
〔ファイルシステムの内容〕
図8は、主ユニット1のマイクロコンピュータ10内のRAMに構築されたファイルシステムの内容を例示する図である。ディレクトリ“ /Dir1”の下に、図3のVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によって素材ディレクトリD1が作成されている。
そして、この素材ディレクトリD1に、VTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理によって作成された後図5及び図6の素材分割・対素材化処理によって一部移転されたり内容を更新されたフレーム管理情報ファイル及び素材管理情報ファイルが記憶されている。
また、このディレクトリ“ /Dir1”の下に、図5の素材分割処理によって素材ディレクトリD2が作成されている。
そして、この素材ディレクトリD2に、素材分割・対素材化処理によって素材ディレクトリD1から一部移転されたり作成されたフレーム管理情報ファイル及び素材管理情報ファイルが記憶されている。
図8の下端には、フレーム管理情報ファイル及び素材管理情報ファイルの構造を示している。フレーム管理情報ファイルには、ファイル名と、図2に示したレジスタ番号と、その他のヘッダ情報(その画像データの画像フォーマット(SDであるかHDであるか)や、その画像データのファイル形式や、その画像データを記憶した日時等の情報)とが格納される。
素材管理情報ファイルには、ファイル名(素材名)と、素材を構成している画像データのフレーム数と、その他の属性情報とが格納される。
素材ディレクトリD1内の素材管理情報ファイルには、この属性情報として、図6の対素材化処理のステップS32による対情報(キーフィル信号用の素材であることを示す‘V’という情報と、素材ディレクトリD2内のファイルがこのキーフィル信号用の素材と対になっている素材についてのファイルであることを示す‘Pair=D2’という情報)が格納されている。
素材ディレクトリD2内の素材管理情報ファイルには、この属性情報として、図6の対素材化処理のステップS33による対情報(キーソース信号用の素材であることを示す‘K’という情報と、素材ディレクトリD1内のファイルがこのキーソース信号用の素材と対になっている素材についてのファイルであることを示す‘Pair=D1’という情報)が格納されている。
属性情報としては、それ以外に、図3に示したVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理により、素材の先頭フレームの画像データのタイムコードや、素材を記憶した日時等の情報も格納される。
フレーム管理情報ファイル,素材管理情報ファイルは、ファイルの先頭にそれぞれF,Cという識別子を置くことによって互いに識別される。
図8の例では、素材ディレクトリD1内の各フレーム管理情報ファイルのファイル名は、f01を接頭辞として、その後尾にフレーム番号を“0001”,“0002”,“0003”…というように4桁の値に文字列化して付けることによって自動的に決定されている。素材管理情報ファイルのファイル名はClip01に決定されている。
また、素材ディレクトリD2内の各フレーム管理情報ファイルのファイル名は、f02を接頭辞として、その後尾にフレーム番号を“0001”,“0002”,“0003”…というように4桁の値に文字列化して付けることによって自動的に決定されている。素材管理情報ファイルのファイル名はClip02に決定されている。
画像データを高速に読み書きするための比較的高価な画像メモリ6ではなく、マイクロコンピュータ10内のRAMにこうしたフレーム管理情報ファイル及び素材管理情報ファイルを記憶することにより、画像メモリ6の領域を無駄に使うことがないので、経済的な構成を実現することができる。
なお、図8の例のように各フレーム管理情報ファイルのファイル名に“0001”,“0002”,“0003”…というようなフレーム番号を付ける代わりに、各フレーム管理情報ファイルのファイル名をランダムに決定するとともに、各フレーム管理情報ファイルの順番(各フレーム管理情報ファイルで管理している画像データの再生順序)を示す情報を、素材管理情報ファイルに属性情報の一つとして格納するようにしてもよい。また、素材管理情報ファイルのファイル名(素材名)は、常に素材ディレクトリのディレクトリ名と一致させるように決定してもよい。
図8の例では、ルートディレクトリの直下に単独のフレームの画像データについてのフレーム管理情報ファイル(ファイル名file1)が記憶されており、ディレクトリ“ /Dir1/Dir3”の下にも単独のフレームの画像データについてのフレーム管理情報ファイル(ファイル名pict3)が記憶されているが、こうした単独のフレームの画像データを画像メモリ6に記憶させる方法については、後で〔ネットワーク経由でのアクセス〕欄において説明する。
また、前述のように、画像メモリ6には揮発性領域(揮発性メモリの部分)と不揮発性領域(不揮発性メモリの部分)とが存在する。揮発性領域に書き込まれた画像データはエフェクト・スイッチャーの電源が遮断されると消えてしまうが、不揮発性領域に書き込まれた画像データは、電源が遮断されても消えず、その後再び電源が投入されたときにも残っている。そのため、不揮発性領域に書き込まれた画像データは、このファイルシステムでも別に管理する必要がある。図10においてルートディレクトリの直下に位置する”NVRAM”というディレクトリは、この不揮発性領域に書き込まれた画像データを管理するために固定して設けられたディレクトリであり、外部からアクセスしても削除できないようにされている。
マイクロコンピュータ10は、このディレクトリ“NVRAM”を指定して画像データの書き込みが要求された場合には、〔画像メモリ6の使い方〕欄において説明した線形リストのうちの不揮発性領域用の線形リストを用いて、画像メモリ6の不揮発性領域内の区分領域(図2)に画像データを書き込ませ、他方、ディレクトリ“NVRAM”以外のディレクトリを指定して画像データの書き込みが要求された場合には、この線形リストのうちの揮発性領域用の線形リストを用いて、画像メモリ6の揮発性領域内の区分領域に画像データを書き込ませる。
そして、マイクロコンピュータ10は、ディレクトリ“NVRAM”の内容は、電源遮断後も保存されるように、マイクロコンピュータ10内の不揮発性メモリに配置するか、または、この不揮発性メモリにバックアップして電源投入時にこの不揮発性メモリからロードする。
例えば、操作卓21の操作部22に、ディレクトリ“NVRAM”を指定するか否かを選択する操作釦を設け、その操作釦でディレクトリ“NVRAM”が指定された場合には、VTR制御・画像記憶・ファイル登録処理においてディレクトリ“NVRAM”の下に素材ディレクトリD1を作成するようにしてもよい。
〔操作卓21の操作による素材の読み出し〕
主ユニット1(図1)のマイクロコンピュータ10は、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムの情報を、制御通信系12及び25を介して、操作卓21(図1)のマイクロコンピュータ24に送る。マイクロコンピュータ24は、このファイルシステムを表示部23に画面表示させる。
図9は、図8に示したファイルシステムの表示部23での表示例を示す図である。このうち、図9(a)では、対になっている2つの素材であるキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とを、Clip01,Clip02として分けて見せるように表示している。図9(b)では、この2つの素材を、Clip01として1つに見せるように表示している。
操作卓21の操作部22の操作釦等には、表示部23でファイルシステムの表示モードとして、この図9(a),図9(b)のうちの任意のモードを選択するための釦も含まれている。
なお、図9の例では素材中の個々のフレームについてのファイル(図8のフレーム管理情報ファイルに相当するもの)は表示していないが、個々のフレームについてのファイルを表示するモードも設けるようにしてもよい。
まず、キー加工回路4へ供給するための、GUIと処理を説明する。操作卓21において、GUIとトラックパッド22gなどにより、素材の再生を指示する。図9(a)または図9(b)のように画面表示されたファイルシステムを見て、操作部22のトラックパッド22g(図1)で任意のディレクトリを指定すると、操作卓21のマイクロコンピュータ24は、その指定したディレクトリから読み出し対象の素材を選択するためのGUI画面を表示部23に表示させる。
図10は、この素材選択用GUI画面を示す図である。この素材選択用GUI画面には、次の(a)〜(e)のような領域や欄や釦が設けられている。
(a)選択可能な素材が、その素材を管理しているファイルのアイコンとして一覧表示されるアイコン列挙領域51。
(b)アイコン列挙領域51での表示対象として、“クリップ”(複数フレーム分の画像データから成る素材),“フレーム画”(1フレーム分の画像データ)のうちの一方を選択するための表示対象選択欄52。
(c)表示対象選択欄52でクリップを選択した場合に、対になっている2つの素材であるキーフィル信号用の素材及びキーソース信号用の素材のアイコン列挙領域51での表示方法として、“ペアのみ表示”(2つの素材のうちの一方のみを表示し、一方を選択すると両方とも選択したものとして扱う),“シングル表示”(両方とも表示し、個別に選択可能にする)のうちの一方を選択するための表示モード選択欄53。
(d)メモリコントローラ7からの出力で、使用されるものを表示する。表示モード選択欄53でペアのみ表示を選択した場合は、2系統を使う。
(e)アイコン列挙領域51での選択結果を確定するための選択釦55。
図10には、図9(a)または図9(b)のように画面表示されたファイルシステムからディレクトリ“ /Dir1”を指定した場合であって、表示対象選択欄52でクリップを選択し、表示モード選択欄53でペアのみ表示を選択することを選択した状態を示している。
この状態では、アイコン列挙領域51には、ディレクトリ“ /Dir1”の下に作成されている素材ディレクトリD1内のキーフィル信号用の素材についての素材管理情報ファイルClip01のアイコン61が表示されている。また、例えばキー加工回路4に供給する場合にはキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とを同時に供給する必要があるので、出力選択欄54には、画像メモリ6からキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とを同時に読み出すために用いられる2つのポートが“FM OUT1,2”と表示されている。
この状態で、操作部22のトラックパッド22g(図1)を操作してカーソル71でアイコン列挙領域51内のアイコン61を指定し、その後カーソル71で選択釦55をクリックすると、主ユニット1のマイクロコンピュータ10は、図11に示すような対素材同時読み出し処理を実行する。
この処理では、最初に、素材選択用GUI画面での素材の選択結果(ここでは、図8の素材ディレクトリD1内の素材管理情報ファイルClip01が選択されたこと)を取得する(ステップS41)。
続いて、素材ディレクトリD1内の素材管理情報ファイルClip01の属性情報中の対情報(図8の‘V’及び‘Pair=D2’)を参照することにより、素材ディレクトリD1内のファイルがキーフィル信号用の素材についてのファイルであり、素材ディレクトリD2内のファイルが、このキーフィル信号用の素材と対になっているキーソース信号用の素材についてのファイルであることを確認する(ステップS42)。
そして、メモリコントローラ7を制御して、素材ディレクトリD1内のファイルに対応するキーフィル信号用の素材の先頭フレームから最終フレームと、素材ディレクトリD2内のファイルに対応するキーソース信号用の素材の先頭フレームから最終フレームとを、1フレーム期間毎に、画像メモリ6から2つのポートを用いて順次同時に読み出させる。この結果、メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力される画像データを、キー加工回路4に供給可能になる(ステップS43)。そして処理を終了する。
このステップS43では、より具体的には、マイクロコンピュータ10は、素材ディレクトリD1,D2内の各フレーム管理情報ファイルから、それぞれファイル名の接頭辞の後尾のフレーム番号が若いフレーム管理情報ファイルの順にレジスタ番号を取得する。そして、1フレーム期間目には、メモリコントローラ7を制御して、画像メモリ6の区分領域(図2)のうち、素材ディレクトリD1内の最もフレーム番号が若いフレーム管理情報ファイルから取得したレジスタ番号の区分領域に記憶されている画像データ(例えばレジスタ番号が5のときはa1+(Nf×(5−1))番地からのNfバイトの画像データ)と、素材ディレクトリD2内の最もフレーム番号が若いフレーム管理情報ファイルから取得したレジスタ番号の区分領域に記憶されている画像データとを、同時に読み出させる。2フレーム期間目以降も、フレーム番号が2番目以降に若いフレーム管理情報ファイルから取得したレジスタ番号を用いて、同様な読み出し制御を繰り返す。
操作者が図10の状態の素材選択用GUI画面でClip01を選択すると、こうした対素材同時読み出し処理が実行されることにより、素材ディレクトリD1,D2内のファイル(図8)によって管理されているキーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材が、画像メモリ6から同時に読み出され、キー加工回路4に供給して加工可能になる。
このようにして、対になる2つの素材としてファイルシステムによって管理されているキーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材を、見かけ上のファイルシステム中のその2つの素材についてのファイルのうちの一方のみ(図10の素材選択用GUI画面のClip01)を指定するという簡単な操作により、画像メモリ6から同時に読み出してキー加工回路4に供給することができる。
次に、VTRへの記録を行うための操作によるGUIと処理を説明する。操作卓21において、GUIとトラックパッド22gなどにより、VTRへの記録を指示する。それに応じて、GUIに図9(a)または図9(b)のように画面表示されるので、そのファイルシステムを見て、操作部22のトラックパッド22g(図1)で任意のディレクトリを指定すると、操作卓21のマイクロコンピュータ24は、その指定したディレクトリから読み出し対象の素材を選択するための図12のようなGUI画面を表示部23に表示させる。
VTRに記録する場合にはキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とをシーケンシャルに記録させることになるので、出力選択欄54には、画像メモリ6からキーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材とを一方ずつ順番に読み出すために用いられる1つのポートが“FM OUT1”と表示されている。
この状態で、カーソル71でアイコン列挙領域51内のアイコン61を指定し、その後カーソル71で選択釦55をクリックする、主ユニット1のマイクロコンピュータ10と操作卓21のマイクロコンピュータ24とが、制御通信系12及び25を介して画像データのフィールド単位の精度(例えばNTSCの場合には約1/60秒の精度)で通信を行いつつ、VTR対記録処理を協同して実行する。以下、このVTR対記録処理を、図1のVTR33に素材を記録する場合を例にとって説明する。
図13は、VTR対記録処理を示すフローチャートであり、各ステップ番号の後に、主ユニット1のマイクロコンピュータ10,操作卓21のマイクロコンピュータ24のいずれによる処理であるかを区別するために「主ユニット」,「操作卓」の語を付している。
この処理では、最初に、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、素材選択用GUI画面での素材の選択結果(ここでは、図8の素材ディレクトリD1内の素材管理情報ファイルClip01が選択されたこと)を取得する(ステップS51)。
続いて、マイクロコンピュータ10が、素材ディレクトリD1内の素材管理情報ファイルClip01の属性情報中の対情報(図8の‘V’及び‘Pair=D2’)を参照することにより、素材ディレクトリD1内のファイルがキーフィル信号用の素材についてのファイルであり、素材ディレクトリD2内のファイルが、このキーフィル信号用の素材と対になっているキーソース信号用の素材についてのファイルであることを確認する(ステップS52)。
そして、マイクロコンピュータ10が、素材ディレクトリD1内のファイルによって管理されているキーフィル信号用の素材から記録するように、VTR30への素材の記録順序を決定する(ステップS53)。
続いて、操作卓21のマイクロコンピュータ24が、VTR33に記録開始コマンドを送り(ステップS54)、VTR33がリファレンス信号Refに同期しているか否かを示す同期状態の情報Lcを受信して(ステップS55)、この情報Lcは同期していることを示すものであるか否かを判断する(ステップS56)。ノーであれば、ステップS55に戻ってステップS55及びS56を繰り返す。
ステップS56でイエスになると、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、メモリコントローラ7を制御して、素材ディレクトリD1内のファイルに対応するキーフィル信号用の素材の先頭フレームから最終フレームを、1フレーム期間毎に画像メモリ6から順次読み出させる。また、クロスポイント部3を制御して、メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力される画像データを、SDI出力回路11からVTR33に出力させる(ステップS57)。
このステップS57では、より具体的には、マイクロコンピュータ10は、素材ディレクトリD1内の各フレーム管理情報ファイルから、ファイル名の接頭辞の後尾のフレーム番号が若いフレーム管理情報ファイルの順にレジスタ番号を取得する。そして、メモリコントローラ7を制御して、画像メモリ6の区分領域(図2)のうち、取得した各レジスタ番号の区分領域に記憶されている画像データを、順次読み出させる。(後出のステップS59や図15のステップS66等での読み出しも同様である。)
このキーフィル信号用の素材の読み出しが完了すると、続いて、マイクロコンピュータ10が、一定のフレーム数(例えばVTR33の再生動作時のプリロール時間(通常VTRでは5秒前後)に相当するフレーム数)分の期間に亘り、マイクロコンピュータ10内で黒画像(別の例として、黒以外の単色の画像であってもよい)の画像データを生成して、この黒画像データをデータI/F9,メモリコントローラ7,クロスポイント部3を介してSDI出力回路11からVTR33に出力させる(ステップS58)。あるいは、メモリコントローラ7の内部に画像発生回路を設け、そこで単色の画像(あるいは複数の色が組み合わさった画像)を生成し、出力するようにしても良い。
そして、その後、マイクロコンピュータ10が、メモリコントローラ7を制御して、素材ディレクトリD2内のファイルに対応するキーフィル信号用の素材の先頭フレームから最終フレームを、1フレーム期間毎に画像メモリ6から順次読み出させる。(クロスポイント部3は先ほど制御されているので)メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力される画像データを、SDI出力回路11からVTR33に出力させる(ステップS59)。
このキーソース信号用の素材の読み出しが完了すると、操作卓21のマイクロコンピュータ24がVTR33に記録停止コマンドを送って(ステップS60)、処理を終了する。
操作者が図12の状態の素材選択用GUI画面でClip01を選択すると、こうしたVTR対記録処理が実行されることにより、素材ディレクトリD1,D2内のファイル(図8)によって管理されているキーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材が、画像メモリ6から一方ずつ順番に読み出されて、VTR33に記録される。
このようにして、対になる2つの素材としてファイルシステムによって管理されているキーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材を、ファイルシステム中のその2つの素材についてのファイルのうちの一方のみ(図10の素材選択用GUI画面のClip01)を指定するという簡単な操作により、画像メモリ6から順次読み出してVTR33に記録することができる。
また、図13のステップS58の処理により、キーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材との間には単色画像の画像データが挿入して記録されるので、VTR33でこのキーフィル信号用の素材及びキーソース信号用の素材を再生した際に、キーフィル信号用の素材とキーソース信号用の素材との境界を容易に視覚的に確認することができる。
図14には、素材選択用GUI画面の表示内容が、図12の状態から、表示モード選択欄53でシングル表示を選択することによって変化した状態を示している。
この状態では、アイコン列挙領域51には、ディレクトリ“ /Dir1”(図8,図9)の下に作成されている素材ディレクトリD1内のキーフィル信号用の素材についての素材管理情報ファイルClip01のアイコン61と、同じくディレクトリ“ /Dir1”の下に作成されている素材ディレクトリD2内のキーソース信号用の素材についての素材管理情報ファイルClip02のアイコン62との両方が表示されている。
この状態で、カーソル(図14では図示を省略している)でアイコン列挙領域51内のアイコン61,62のうちの任意の一方または両方を指定し、その後カーソルで選択釦55をクリックする(あるいは、アイコン列挙領域51に表示されている全てのファイルを選択したい場合には、アイコン列挙領域51内でアイコンを選択することなく選択釦55をクリックする)と、主ユニット1のマイクロコンピュータ10と操作卓21のマイクロコンピュータ24とが、制御通信系12及び25を介して画像データのフィールド単位の精度(例えばNTSCの場合には約1/60秒の精度)で通信を行いつつ、VTR記録処理を協同して実行する。
但し、このVTR記録処理は、後出の中間画像指定処理を事前に行っている場合と行っていない場合とで、内容が相違する。最初に、中間画像指定処理を行っていない場合のVTR記録処理を、図1のVTR33に素材を記録する場合を例にとって説明する。
図15は、中間画像指定処理を行っていない場合のVTR記録処理を示すフローチャートであり、各ステップ番号の後に、主ユニット1のマイクロコンピュータ10,操作卓21のマイクロコンピュータ24のいずれによる処理であるかを区別するために「主ユニット」,「操作卓」の語を付している。
この処理では、最初に、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、素材選択用GUI画面での素材の選択結果を取得する。なお、図14の状態では、選択されるのは最大で素材ディレクトリD1内のファイルClip01と素材ディレクトリD2内のファイルClip02との2つであるが、ここでは、選択されたファイルをD1〜Dnというn個(nは1以上の整数)の素材ディレクトリとして表現する(ステップS61)。
続いて、操作卓21のマイクロコンピュータ24が、VTR33に記録開始コマンドを送り(ステップS62)、VTR33がリファレンス信号Refに同期しているか否かを示す同期状態の情報Lcを受信して(ステップS63)、この情報Lcは同期していることを示すものであるか否かを判断する(ステップS64)。ノーであれば、ステップS63に戻ってステップS63及びS64を繰り返す。
ステップS64でイエスになると、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、i=1に設定する(ステップS65)。そして、マイクロコンピュータ10が、メモリコントローラ7を制御して、素材ディレクトリDi内のファイルに対応する素材の先頭フレームから最終フレームを、1フレーム期間毎に画像メモリ6から順次読み出させる。また、クロスポイント部3を制御して、メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力される画像データを、SDI出力回路11からVTR33に出力させる(ステップS66)。
ステップS66での素材の読み出しが完了すると、マイクロコンピュータ10が、一定のフレーム数(例えばVTR33の再生動作時のプリロール時間に相当するフレーム数)分の期間に亘り、マイクロコンピュータ10内で黒画像(別の例として、黒以外の単色の画像であってもよい)の画像データを生成して、この黒画像データをデータI/F9,メモリコントローラ7,クロスポイント部3を介してSDI出力回路11からVTR33に出力させる(ステップS67)。
そして、その後、マイクロコンピュータ10が、iの値を1つインクリメントし(ステップS68)、i≦nであるか否かを判断する(ステップS69)。ノーであれば、ステップS66に戻ってステップS66〜S69を繰り返す。
ステップS69でイエスになると、操作卓21のマイクロコンピュータ24がVTR33に記録停止コマンドを送って(ステップS70)、処理を終了する。
次に、中間画像指定処理と、事前に中間画像指定処理を行っている場合のVTR記録処理とを説明する。
図16には、図9(a)または図9(b)のように画面表示されたファイルシステムからディレクトリ“ /Dir3”を指定した場合であって、表示対象選択欄52でフレーム画を選択し、表示モード選択欄53でシングル表示を選択した状態の表示部23での素材選択用GUI画面の表示内容を示している。
この状態では、アイコン列挙領域51には、ディレクトリ“ /Dir3”の下に記憶されている単独のフレームの画像データについてのフレーム管理情報ファイルpict3(図8,図9)のアイコン63が表示されている。
この状態で、カーソル(図16では図示を省略している)でアイコン63を指定し、その後カーソルで選択釦55をクリックすると、主ユニット1のマイクロコンピュータ10は、図17に示すような中間画像指定処理を実行する。
この処理では、最初に、素材選択用GUI画面での素材の選択結果(ここでは、ディレクトリ“ /Dir3”の下のフレーム管理情報ファイルpict3が選択されたこと)を取得する(ステップS71)。
続いて、この選択されたファイルについてのディレクトリ及びファイル名(ここでは、ディレクトリ“ /Dir3”及びファイル名pict3)を、中間画像指定メモリ(例えばマイクロコンピュータ10内のRAMに中間画像指定用に確保した領域)に記憶する(ステップS72)。そして処理を終了する。
図18は、この中間画像指定処理を事前に行った場合のVTR記録処理を示すフローチャートであり、図15のVTR記録処理と同じ処理内容のステップには同じステップ番号を付して重複説明を省略する。
このVTR記録処理では、主ユニット1のマイクロコンピュータ10が、ステップS66の後、中間画像指定メモリからディレクトリ及びファイル名(図17では、ディレクトリ“ /Dir3”及びファイル名pict3)を読み出す。そして、メモリコントローラ7を制御して、そのディレクトリ及びファイル名のファイルに対応する画像データを、一定のフレーム数(例えばVTR33の再生動作時のプリロール時間に相当するフレーム数)分の期間に亘り、画像メモリ6から繰り返し読み出させる(ステップS81)。そしてステップS68に進む。
操作者が図14の状態の素材選択用GUI画面で読み出し対象の素材を選択すると、図15または図18のVTR記録処理が実行されることにより、選択した素材が画像メモリ6から順番に読み出されて、VTR33に記録される。
このようにして、対になる2つの素材としてファイルシステムによって管理されているキーフィル信号用の素材,キーソース信号用の素材のうちの任意の一方または両方(また、図8の例ではディレクトリ“ /Dir1”内で対になる2つの素材として管理されているキーフィル信号用の素材及びキーソース信号用の素材は1組だけであるが、同じディレクトリ内で複数組が対になる2つの素材として管理されている場合には、各々の組についての一方または両方の素材)を、見かけ上、ファイルシステム中のそれらの素材についてのファイルを素材選択用GUI画面で指定するという簡単な操作により、画像メモリ6から順次読み出してVTR33に記録することができる。
また、図15のステップS67や図18のステップS81の処理により、各素材の間には単色画像の画像データまたは操作者が指定した画像データが挿入して記録されるので、VTR33で各素材を再生した際に、各素材の境界を容易に視覚的に確認することができる。
なお、図15のステップS67や図18のステップS81において、フレーム期間の補助データ(Ancillary Data)のタイミングで、VTR33に記録する各素材についてのファイル管理情報ファイル中のヘッダ情報や素材管理情報ファイル中の属性情報(図8)を、マイクロコンピュータ10内のRAMから読み出してデータI/F9を介してメモリコントローラ7に供給して、メモリコントローラ7からクロスポイント部3に再入力させることにより、VTR33に補助データとして記録させるようにしてもよい。また、このヘッダ情報や属性情報が1フレーム分の補助データのサイズを超えている場合には、複数フレーム期間の補助データのタイミングに亘って分割してメモリコントローラ7に供給してVTR33に記録させるようにしてもよい。
あるいはまた、図1には示していないが、エフェクト・スイッチャーにハードディスクドライブやメモリカードリーダ/ライタ等を外付けし、VTR33に記録した各素材についてのファイル管理情報ファイル中のヘッダ情報や素材管理情報ファイル中の属性情報や、VTR33に記録した素材のタイムコード情報(開始点と終点/長さ)を、このハードディスクドライブやメモリカードリーダ/ライタ等で記録させるようにしてもよい。
また、図11や図13や図15や図18の処理の実行時に、操作卓21の操作部22の操作により、画像メモリ6から読み出された素材を表示部23に画像表示させる(マイクロコンピュータ10が、画像メモリ6から読み出させた各フレームの画像データを、メモリコントローラ7からデータI/F9を介して受け取った後、制御通信系12及び25を介して操作卓21のマイクロコンピュータ24に送信し、マイクロコンピュータ24がその画像データを表示部23に表示させる)ようにしてもよい。その場合には、制御通信系12としてイーサネット(登録商標)・ポートを用いることが望ましいが、制御通信系12としてRS422ポートを用いる場合にも、RS422ポートを介して画像データを送信するようにしてよい。マイクロコンピュータ10からマイクロコンピュータ24への画像データの送信は、上記各処理の実行時ではなく、事前に送信しておき、マイクロコンピュータ24のメモリなどに蓄積しておいても良い。ファイル名などで、どの画が出力されているかを特定し、この情報をマイクロコンピュータ10からマイクロコンピュータ24に送れば、蓄積している画像データを使って表示できる。
〔ネットワーク経由でのアクセス〕
図1に示した主ユニット1のネットワークI/F13は、イーサネット(登録商標)・ポートであり、マイクロコンピュータ10をネットワーク31に接続する。
マイクロコンピュータ10は、FTPサーバー・ソフトウェアを動作させることにより、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムを、このネットワークI/F13を介してネットワーク31上に公開する。このネットワーク31に接続されているパーソナルコンピュータ32(図1)は、FTPクライアント・ソフトウェアを動作させることにより、このファイルシステムを図9の例と同様に画面表示させ、このファイルシステムのディレクトリを指定して、ファイルの読み書きを行うことができる。
マイクロコンピュータ10がファイルシステムを管理するために動作させるファイルシステム管理ソフトウェアは、FTPサーバー・ソフトウェアからの呼び出しを受けて、ディレクトリ情報を返したり、指定されたファイルへのアクセスを行う。このファイルシステム管理ソフトウェアは、図8に示したファイルシステムへ単純にアクセスするのではなく、このファイルシステムの内容を使って、画像メモリ6内の画像データがあたかもこのファイルシステム自体に記憶されているかのように、FTPサーバー・ソフトウェアに応答する。
具体的には、ファイルシステム管理ソフトウェアは、例えば図8の例のファイルシステムのルートディレクトリの直下の”file1”という名前のファイルを指定してリード(読み取り)・アクセス要求があると、図19に示すように、図8のファイルシステムにおいて”file1”という名前のファイルからヘッダ情報を読み出し、そのヘッダ情報に、全ての画像データに共通の情報(例えば、エフェクト・スイッチャーの機器IDや、エフェクト・スイッチャーの操作者のユーザーID等)を追加したものを、FTPサーバー・ソフトウェアに返送するデータのヘッダとして作成する。続いて、このファイルからレジスタ番号である値5を読み出し、この値5に基づき、メモリコントローラ7を制御して、画像メモリ6の区分領域(図2)のうちレジスタ番号5の区分領域に記憶されている画像データ、すなわち、a1+(Nf×(5−1))番地からのNfバイトの画像データを読み出させ、その画像データをデータI/F9を介して受け取る。そして、図19に示すように、その画像データの先頭に前述のヘッダを付加したものを、FTPサーバー・ソフトウェアに返送する。
マイクロコンピュータ10がファイルシステム管理ソフトウェアでこのような処理を行うことにより、FTPクライアント・ソフトウェアを動作させるパーソナルコンピュータ32では、画像データをファイルシステム中のファイルとして扱うことができる。特に多数の画像データを扱う場合、ディレクトリ階層構造でそれらの画像データを管理できるので、操作性が向上する。また、パーソナルコンピュータの操作者はディレクトリ階層構造でファイルを管理することを習慣としていることが多いため、違和感なくこの画像メモリ6内の画像データをファイルとして扱うことができる。
また、ファイルシステム管理ソフトウェアは、FTPサーバー・ソフトウェアから、ヘッダ情報(画像フォーマットやファイル形式の情報等)を付加した画像データのファイルが送られ、ネットワーク31上に公開したファイルシステムのディレクトリを指定してライト(書き込み)・アクセス要求があると、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムにおいて、そのディレクトリの下にファイルを作成して、そのファイルにヘッダ情報を(必要に応じて情報を取捨選択して)記憶する。そして、〔画像メモリ6の使い方〕欄において説明した線形リストからレジスタ番号を取得し、生成したファイルにそのレジスタ番号を記憶して、画像メモリ6の区分領域(図2)のうちそのレジスタ番号の区分領域に画像データを書き込ませる。
なお、ライト・アクセス要求があった場合に、FTPサーバー・ソフトウェアから受け取った画像データに付加されているヘッダ情報の内容等がエフェクト・スイッチャー自身の機能または動作状態に対応していない場合は、書き込みを拒否し、FTPサーバー・ソフトウェアにエラーを通知する。その結果、FTPクライアント・ソフトウェアにもエラーが通知される。このような場合としては、例えば、ライト・アクセス要求のあった画像データの画像フォーマットが、エフェクト・スイッチャー自身の動作状態と一致しない場合(操作卓21の操作部22でのセットアップ操作によりSD−SDI規格の画像データを入力させるように設定されている場合に、HD−SDI規格の画像データのライト・アクセス要求があったような場合)や、次に述べるファイル形式変換ルーチンで変換不能なファイル形式の画像データのライト・アクセス要求があった場合が挙げられる。
上述のようなリード・アクセス要求やライト・アクセス要求に基づいてエフェクト・スイッチャーとパーソナルコンピュータ32との間でネットワーク31経由で画像データを送受信する際の画像データのファイル形式が、画像メモリ6に書き込ませる際の画像データのファイル形式と同じであれば、画像メモリ6から読み出させた画像データをそのままネットワーク31経由でパーソナルコンピュータ32に送信したり、パーソナルコンピュータ32からネットワーク31経由で受信した画像データをそのまま画像メモリ6に書き込ませることができる。しかし、画像メモリ6に書き込ませる際のファイル形式は、直ちにSDI信号として出力可能なように非圧縮のファイル形式が望ましいのに対し、ネットワーク31経由で送受信する際のファイル形式は、サイズを小さくして高速に送受信を行えるように圧縮したファイル形式(例えばJPEG等)が望ましい。そこで、マイクロコンピュータ10は、ファイル形式変換ルーチンにより、画像データのファイル形式を変換する。
すなわち、リード・アクセス要求があった場合には、マイクロコンピュータ10は、指定されたファイルの名前の末尾に付加された拡張子等から、要求されるファイル形式を判断し、画像メモリ6から読み出させた画像データをそのファイル形式に変換した後、図6に示したようにヘッダを付加して送信する。
また、ライト・アクセス要求があった場合には、マイクロコンピュータ10は、受け取った画像データのファイル形式をヘッダ情報または画像データの名称の一部から判断する。そして、そのファイル形式を画像メモリ6に書き込ませる際のファイル形式に変換するルーチンが存在すれば、ファイル形式を変換した後、画像メモリ6に書き込ませる。他方、そうしたルーチンが存在しない(画像メモリ6に書き込ませる際のファイル形式に変換できない)場合には、エラーを通知する。
図20,図21は、以上に説明したネットワーク31経由でのリード・アクセス要求,ライト・アクセス要求に基づくマイクロコンピュータ10の処理を、それぞれフローチャートとしてまとめた図である。
図20に示すように、ネットワーク31経由でリード・アクセス要求があると、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムに、指定されたディレクトリ及び指定されたファイルが存在するか否かを判断する(ステップS101)。
存在していれば、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムにおいて、指定されたディレクトリの指定されたファイルからヘッダ情報を読み取り、そのヘッダ情報に、全ての画像データに共通の情報(前述のように、エフェクト・スイッチャーの機器IDや、エフェクト・スイッチャーの操作者のユーザーID等)を追加したものを、FTPサーバー・ソフトウェアに返送するデータのヘッダとして作成する(ステップS102)。
続いて、その指定されたファイルからレジスタ番号iを取得し(ステップS103)、メモリコントローラ7を制御して、画像メモリ6のi番目の区分領域すなわちa1+(Nf×(i−1))番地からNfバイト分の領域(図2)から画像データを読み出させ、データI/F9を介してその画像データを受け取る(ステップS104)。続いて、指定されたファイルの名前の末尾に付加された拡張子等から、要求されるファイル形式を判別して、ファイル形式の変換の必要があれば、画像データのファイル形式を変換する(ステップS105)。そして、その画像データの先頭に、ステップS102で作成したヘッダを付加して、返送する(ステップS106)。そして処理を終了する。
ステップS101で、指定されたディレクトリ及び指定されたファイルが存在しなかった場合は、エラーを通知して(ステップS107)、処理を終了する。
図21に示すように、ネットワーク31経由でライト・アクセス要求があると、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムに、指定されたディレクトリが存在するか否かを判断する(ステップS111)。
存在していれば、受け取った画像データのファイルのヘッダ情報等を確認して、その画像データの画像フォーマットやファイル形式等がエフェクト・スイッチャー自身の機能または動作状態に対応しているか否かを判断する(ステップS112)。
対応していれば、マイクロコンピュータ10内のRAMに構築したファイルシステムにおいて、指定されたディレクトリの下にファイルを生成し、そのファイルにヘッダ情報を記憶する(ステップS113)。また、前述の線形リストからレジスタ番号iを取得し、生成したファイルにそのレジスタ番号を記憶する(ステップS114)。なお、ヘッダ情報は、必要に応じて、フレーム管理情報ファイル(図8)のヘッダ情報と形式や情報の種類を合わせるように加工する。
続いて、ステップS112でのヘッダ情報等を確認した結果、画像データのファイル形式を変換する必要がある場合にはファイル形式を変換して(ステップS115)、画像メモリ6のi番目の区分領域すなわちa1+(Nf×(i−1))番地からNfバイト分の領域(図2)に画像データを書き込ませる(ステップS116)。そして処理を終了する。
ステップS111で、指定されたディレクトリが存在しなかった場合や、ステップS112で、画像フォーマットやファイル形式等が対応していなかった場合は、エラーを通知して(ステップS117)、処理を終了する。
図8の例におけるルートディレクトリの直下の単独のフレームの画像データについてのフレーム管理情報ファイル(ファイル名file1)やディレクトリ“ /Dir1/Dir3”の下の単独のフレームの画像データについてのフレーム管理情報ファイル(ファイル名pict3)は、ネットワーク31経由でのライト・アクセス要求に基づいて図21の処理によって作成されたファイルを示したものである。SDI入力回路2に入力される画像データについても、操作卓21からの操作により、単独のフレームの画像データとして画像メモリ6に記憶させて、このフレーム管理情報ファイルfile1,pict3のようなファイルで管理してももちろん構わない。
なお、図20に示した処理は、ネットワーク経由でのリード・アクセス要求に基づいて
単独のフレームの画像データを返送するものである。しかし、ネットワーク31に接続されているパーソナルコンピュータ32からも、操作卓21における素材選択用GUI画面での操作と同様に、対になっている2つの素材(キーフィル信号用の素材及びキーソース信号用の素材)のうちの一方のみを指定することによってその両方をエフェクト・スイッチャーから取得可能にすることが一層望ましい。
そのためには、例えば、パーソナルコンピュータ32にインストールするソフトウェアとして、ファイルシステムの表示に先立ち、各素材についての素材管理情報ファイルを全て取得し、それらの内容を解析して対になっている素材を対応付けて、その対応付けの結果と各素材に属するフレーム管理情報ファイル(画像データ)をファイルシステムの表示に反映させたり、その対応付けの結果に基づき、対になっている2つの素材のうちの一方のみを指定することによってその両方を選択可能にする画面(例えば、操作卓21で表示される素材選択用GUI画面と同様な画面)を表示させるソフトウェアを採用すればよい。
こうしたソフトウェアによる表示画面の操作によって、対になっている2つの素材の両方が取得対象となった場合には、パーソナルコンピュータ32からは、一方ずつの素材に属するファイル(画像データ)についてのリード・アクセス要求を順に行えばよい。
〔変更例〕
以上の実施の形態では、図2に示したように、画像メモリ6を番地順に一定のバイト数Nfずつの複数の区分領域に分割して、各区分領域に1フレーム分ずつの画像データを書き込ませ、この区分領域の番号であるレジスタ番号を、画像メモリ6における画像データの記憶位置情報として、図8に示したようにファイルシステムにファイルとして記憶している。しかし、画像メモリ6における画像データの記憶位置情報として、こうしたレジスタ番号以外の情報(例えば画像メモリ6の番地そのもの)を、ファイルシステムにファイルとして記憶するようにしてもよい。
また、以上の実施の形態では、主ユニット1のマイクロコンピュータ10と操作卓21のマイクロコンピュータ24とが、制御通信系12及び25を介して通信を行いつつ、協同して図3のVTR再生制御・画像記憶・ファイル登録処理や図13のVTR対記録処理や図15,図18のVTR記録処理を実行している。しかし、主ユニットに操作卓が一体化されているようなエフェクト・スイッチャーの場合には、主ユニットのマイクロコンピュータに単独でこれらの処理を実行させるようにすればよい。あるいは、逆に、3つ以上のマイクロコンピュータを配置し、それらのマイクロコンピュータに処理を分担させることによって協同してVTR制御・画像記憶・ファイル登録処理を実行させるようにしてもよい。
[処理の補足・変形例]
図5の素材分割処理の説明では、ビデオテープに、キーフィル信号として用いる複数フレーム分の画像データと、キーソース信号として用いる複数フレーム分の画像データとが、切れ目なく連続して記録されているとしていた。しかし、両者の間に無関係な画像データ(複数フレーム)が入っていても、この処理はそのまま適用できる。図7ではAの終わりがBの先頭となる場合であるが、Aの終わりに無関係な画像データが入っていても、Bの先頭で分割を行えば、図7(c)で出来る対の素材は、先頭の揃った対となり、素材を再生する長さを指定して末尾の無関係な部分を除外すれば、所望の出力が得られる。
また、以上の例では、ファイルシステムを持つ領域について、マイクロコンピュータ10内のメモリ(RAM)と記述してきたが、これはマイクロコンピュータ中のCPUが、要求される応答時間内にアクセス可能な記憶媒体であれば良い。したがって、物理的なメモリの所在位置やメモリの種類とは無関係である。
また、通信について、「受信」と記述した動作について、受動的に受信待ちして受けるのみでなく、要求を送信し、それによる返信を受け取る動作としても良い。例えばタイムコードを受信する場合は、毎フレームにタイムコードの要求コマンドを送信し、その返信を毎フレーム受けても良い。
また、動作タイミングについては、以上に記載した流れに完全に一致する必要はなく、例えば、フロー中でTc+1で比較している箇所についてTc+2で比較するように変更し、その後の制御に1フレームの余裕を持たせ、マイクロコンピュータ間の通信や関連する処理の時間に充てるなどの変形が可能である。
また、画像データをメモリに書き込む際、該当フレームが入力される前に記憶を指示する方法と、入力された後、そのフレームが終わる前に記憶を指示する方法がある。後者は、書き込みに指定したメモリ領域に、繰り返し、入力されるフレーム画を書き込み続けておき、記憶の指示を受けたら次のフレームの書き込みを行わず、フレームの最後で書き込みを停止することで、実現できる。これは、制御のタイミングの取り方によっては有効な方法である。
また、以上の実施の形態では、エフェクト・スイッチャーに配置される画像記憶再生部に本発明を適用しているが、これに限らず、エフェクト・スイッチャー以外のスタジオ回路に配置される画像記憶再生部や、スタジオ回路以外の画像記憶再生装置にも本発明を適用してよい。
1 主ユニット、 2 SDI入力回路、 3 クロスポイント部、 4 キー加工回路、 5 合成回路、 6 画像メモリ、 7 メモリコントローラ、 8 制御I/F、 9 データI/F、 10 マイクロコンピュータ、 11 SDI出力回路、 12 制御通信系、 13 ネットワークI/F、 21 操作卓、 22 操作部、 23 表示部、 24 マイクロコンピュータ、 25,26,27 制御通信系、 30 VTR、 31 ネットワーク、 32 パーソナルコンピュータ、 33 VTR、 34 モニター