JP2008546374A5 - - Google Patents

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抗MCP−1抗体、組成物、方法および使用 関連出願との関係
本出願は、2005年5月19日付けの米国仮特許出願第60/682654号明細書および同第60/682620号明細書に対する優先権を請求するものであり、それらの
内容が引用することにより完全に組み込まれている。
本発明は、少なくとも1つのヒト単球化学誘引性(chemoattractant)タンパク質−1(MCP−1)タンパク質またはそのフラグメントについて特異的な、特定された部分または変異体を含む抗体、ならびに抗イディオタイプ抗体、およびかかる抗MCP−1抗体をコードする核酸、相補的核酸、ベクター、宿主細胞および、治療用処方、投与およびデバイスを含めたその製造および使用方法に関する。
76個のアミノ酸残基を含有する8.6kDaのタンパク質であるヒト単球化学誘引性タンパク質−1(MCP−1)(CCL−2とも呼ばれる)は、サイトカインのケモカイン・ベータ(またはC−C)ファミリの一員である。ケモカインは、組織損傷部位での白血球の特異的サブセットの血管周囲の通り抜けおよび積において中心的役割を果たすことが示されてきた低分子量(8〜10kDa)で誘発可能な分泌型炎症性走化性サイトカインである。4つの保存されたシステインの位置づけに応じて、2つの主要なファミリが定義されてきた。CXCまたはα−ケモカインは、主に好中球を誘引し、一方CCまたはβ−ケモカインは主に単球およびその他の白血球を誘引するが、好球中は誘引しない(非特許文献1)。単球走化性タンパク質−1(MCP−1)ファミリの成員は、ケモカインのC−Cファミリの主要な構成要素を形成し、単球、マクロファージおよび活性化リンパ球の可動化に関与する主要なケモカインとみなされている。異なる種からのMCP−1の相同性を見てみると、ヒトとサルのMCP−1は、2つのアミノ酸においてのみ異なっており、97%の配列同一性を明らかにしているが、125個のアミノ酸残基を含有する13.8kDaのタンパク質であるマウスMCP−1は、グリコシル化の範囲および分子サイズがヒトMCP−1と異なっている。
ケモカインレセプターは、Gタンパク質共役型の7つの膜貫通(7TM)ドメインレセプター(GPCR、蛇行レセプターとも呼ばれる)の大きなファミリに属している。1996年の走化性サイトカインに関するゴードン研究会議で作成されたレセプター命名法に基づくと、CXCケモカインを結合させるケモカインレセプターは、CXCRと呼称され、CCケモカインを結合させるレセプターはCCRと呼称される。
MCP−1は、ケモカインレセプターCCR2を通して結合し、シグナル伝達することが知られている。CCR2は、単球、T細胞、B−細胞および好塩基球を含む数多くの細胞上で発現される7回膜貫通全域Gタンパク質共役型レセプターである。MCP−1のナノモル(nM)濃度に応答してシグナル伝達する2つのMCP−1特異的レセプターCCR2AおよびCCR2Bがクローニングされてきた。CCR2A(CC−CKR2A)およびCCR2B(CC−CKR2A)は、選択的スプライスを受けたカルボキシル尾部をもつ2つのMCP−1特異的レセプターをコードする2つのcDNAを表わす。MCP−1は、高い親和性で両方のイソタイプに結合する。MCP−1はCCR2Bを発現する細胞中でカルシウム流出を誘発するが、CCR2Aを発現する細胞内ではこれを誘発しない。CCR2Aを発現する細胞と比べてCCR2Bを発現する細胞内では5分の1のMCP−1で走化性が誘発される。
ヒトMCP−1に対するある種の機能的および配列上の相同性を有するその他のタンパク質が知られている。特にMCP−1(GenBank NP_002973)に類似しているのは、MCP−2(GenBank NP_005614)およびエオタキシン(GenBank P_51671)であり、MCP−1に対してMCP−2は61.8パーセントの配列同一性をもち、エオタキシン−1は63.2パーセントの配列同一性を有する。ヒトホメオスタシス機構および病理におけるこれらのタンパク質の関与スペクトル
および活動の範囲は、MCP−1相同体についてはさほどよく理解されていない。例えばMCP−2(CCL8と改名)はMCP−1およびMCP−3(CCL7と改名、GenBank NP_006264)に密に関係づけされており、その機能的レセプターとしてCCR1ならびにCCR2Bの両方を使用する。MCP−3は、D6と呼称されるレセプターに結合する。MCP−3は同様にCCR10およびCCR1にも結合する。MCP−3タンパク質(アミノ酸97個)配列はMCP−1と74パーセントの同一性を示し、MCP−2と58パーセントの相同性を示す。分泌されたMCP−3はN−グリコシル化されているという点でMCP−1と異なっている。MCP−4(CCL13と改名、GenBankNP_005399)は、3つの既知の単球走化性タンパク質と56〜61パーセントの配列同一性を共有し、エオタキシン−1と60パーセント同一である。MCP−4の機能は、MCP−3およびエオタキシンのものときわめて類似しているものと思われる。MCP−3と同様に、MCP−4は単球およびT−リンパ球について強力な化学誘引性有する。これは、好中球上で不活性である。単球上では、MCP−4は、MCP−1、MCP−3、RANTES(CCL5)およびエオタキシン(CCR1およびCCR3レセプター)を認識するレセプターに結合し、エオタキシン−1と完全な交差脱感作を示す。MCP−5はマウスCC−ケモカインであり、ヒトMCP−1に最も密に関係している(66%のアミノ酸同一性)。MCP−5についての遺伝子記号はSCYA12(CCL12に改名)である。ケモカインレセプターCCR2でトランスフェクトされた細胞は、MCP−5に応答することが示されてきた。サイトカインおよびケモカインに関する一般的情報についてはhttp://www.copewithcytokines.de/cope.cgiを、又現行の分類系については非特許文献2を参照のこと。
125I−MCP−1は単球に結合し、スカッチャード(Scatchard)プロット分析は、単球が約2nMのKdで細胞1個あたり最低約1700個の結合部位を有することを示した(非特許文献3)。ヒト単球でのその後の平衡結合実験は、0.77nMのKdで細胞1個あたり約3000個の結合部位の存在を明らかにしている(非特許文献4)。125I−MCP−1は同様に、0.4nMのKd値でCCR2レセプターを発現するdEoL−3細胞に対する高親和性結合も実証し(非特許文献5)、MCP−1のそのレセプターに対するサブナノモル親和性を確認した。そのレセプターCCR2と接触するMCP−1の領域を同定するために、全ての表面露出残基がアラニンと置換させられた。一部の残基は、特定の位置での電荷、疎水性または芳香性の重要性を同定するために、その他のアミノ酸に突然変異させられた。35A疎水性溝で分離された主として塩基性である残基(R24、K35、K38、K49およびY13)の2つのクラスターが結合レベルを15−100分の1に低減させた。データは、MCP−1の大きな表面積がレセプターと接触する1つのモデルを示唆しており、数多くの弱い相互作用の蓄積の結果、野生型(WT)タンパク質について35pMの親和性が観察された(非特許文献6)。文献中の2nMから35pMまでの親和性範囲は、使用された検定およびそれぞれの検定の制限に起因するものであるかもしれない。
ヒトMCP−1に対するある種の機能的および配列上の相同性を伴うその他のタンパク質が知られている。特にMCP−1(GenBank NP_002973)に類似しているのは、MCP−2(GenBank NP_005614)およびエオタキシン(GenBank P_51671)であり、MCP−2はMCP−1に対する61.8パーセントの配列同一性をもち、エオタキシン−1は63.2パーセントの配列同一性を有する。ヒトホメオスタシス機構および病理におけるこれらのタンパク質の関与スペクトルおよび活動の範囲は、MCP−1相同体についてはさほどよく理解されていない。例えばMCP−2はMCP−1およびMCP−3(GenBankNP_006264)に密に関係づけされており、その機能的レセプターとしてCCR1ならびにCCR2Bの両方を使用する。MCP−3は、D6と呼称されるレセプターに結合する。MCP−3は同様にCCR10にも結合する。MCP−3タンパク質(アミノ酸97個)配列はMCP−1と7
4パーセントの同一性を示し、MCP−2と58パーセントの相同性を示す。分泌されたMCP−3はN−グリコシル化されているという点でMCP−1と異なっている。MCP−4(GenBank NP_005399)は、3つの既知の単球走化性タンパク質と56〜61パーセントの配列同一性を共有し、エオタキシン−1と60パーセント同一である。MCP−4の機能は、MCP−3およびエオタキシンのものときわめて類似しているものと思われる。MCP−3と同様に、MCP−4は単球およびT−リンパ球について強力な化学誘引性有する。これは、好中球上で不活性である。単球上では、MCP−4は、MCP−1、MCP−3およびRANTES(CCR2)認識するレセプターに結合する。好酸球上では、MCP−4はMCP−3、RANTESおよびエオタキシンと類似の有効性および効力を有する。MCP−4は、エオタキシン(CCR1およびCCR3)とレセプターを共有し、エオタキシン−1と完全な交差脱感作を示す。
MCP−1を結合できるその他の抗体が報告されている:すなわち特許文献1は、単離血球から得た抗体を開示しており、特許文献2は、IgM抗ヒトMCP−1を分泌するハイブリドーマを開示している。より最近では、MCP−1を含む複数のベータケモカインを結合する能力をもつ抗体(特許文献3)および同じくエオタキシンも結合させるMCP−1結合抗体(特許文献4)が開示された。
日本特開平09−067399号公報 日本特開平05−276986号公報 国際公開第03/048083号パンフレット 米国特許出願公開第2004/0047860号明細書 レオナルドおよび吉村(Leonard and Yoshimura)ら、1990年 ズロトニック(Zlotnik)A.、ヨシエ(Yoshie)O.、2000年、「Cemokines:a new classification system and their role in immunity」、Immunity第12号、121〜127頁 吉村およびレオナルド(LEONARD)、1990年 エルンスト(Ernst)ら、1994年 サロー(Sarau)ら、1997年 ヘマリッヒ(Hemmerich)ら、1999年
従って、MCP−1依存性疾患の症候を軽減または除去するための療法において使用するためのヒトMCP−1に特異的なヒト抗体、ならびに既知の抗体またはそのフラグメントに対する改良を提供する必要がある。
本発明は、当該技術分野において既知のものと組合せた形で、本明細書に記載された通りに、単離ヒト、霊長類、ゲッ歯類、哺乳動物、キメラ、ヒト化および/またはCDR移植型抗MCP−1抗体およびその他の免疫グロブリン由来のタンパク質、フラグメント、分割産物およびそのその他の特定された部分および変異体、ならびに抗−MCP−1抗体組成物、コーディングまたは相補的核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、処方物、デバイス、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物およびその製造および使用方法を提供している。本明細書に記載されている通りの本発明の抗体の組成物に加えて、本発明の抗体は、ヒトMCP−1についてのその親和性、ヒトMCP−1についての特異性およびヒトMCP−1の生物活性を遮断する能力により定義される。
本発明は同様に、本明細書に記載されている通りの少なくとも1つの抗体、抗体融合タ
ンパク質またはフラグメントといったような(ただしこれらに限定されるわけではない)少なくとも1つの単離抗MCP−1抗体をも提供している。本発明に従った抗体には、さらにヒト免疫グロブリンの少なくともCH1、ヒンジ、CH2またはCH3が場合により含まれていてもよく、表4Cに記載されている通りのフレームワーク領域(例えばFR1、FR2、FR3、FR4)またはそのフラグメント(配列番号2〜5)と場合によって機能的に会合させられている、表4A、B、DおよびE(配列番号6〜26)内に提供されている通りの重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分といった(ただしこれらに限定されるわけではない)少なくとも1つのリガンド結合ドメインといった(ただしこれらに限定されるわけではない)免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでなるあらゆるタンパク質またはペプチド含有分子が含まれる。少なくとも1つの抗体アミノ酸配列はさらに、場合により、本明細書に記載されているかまたは当該技術分野において既知のとおりの少なくとも1つの特定された置換、挿入または欠失を含んでなり得る。
一実施形態においては、抗体のリガンド結合部分は、配列番号27および28を含んでなる。一態様においては、本発明は、配列番号27または28を含む少なくとも1つの可変領域を含んでなる、少なくとも1つの単離哺乳動物抗−MCP−1抗体を提供する。
もう1つの態様においては、本発明は(i)配列番号6、7および9の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列の全て;または(ii)配列番号13、14および16の軽鎖CDRアミノ酸配列の全て、のいずれかを含んでなる少なくとも1つの単離哺乳動物抗−MCP−1抗体を提供している。
本発明は、1つの態様において、少なくとも1つの特定された配列、ドメイン、部分またはその変異体を含む特定の抗MCP−1抗体をコードするポリヌクレオチドを含むかまたはこれに対し相補的な、またはこれに対しハイブリッド形成する単離核酸分子を提供している。本発明はさらに、前記抗MCP−1抗体核酸分子を含む組換え型ベクター、かかる核酸および/または組換え型ベクターを含有する宿主細胞、ならびにかかる抗体核酸、ベクターおよび/または宿主細胞の製造および/または使用方法をも提供している。
本発明の少なくとも1つの抗体は、配列番号1中に提供されているもののような少なくとも1つのMCP−1タンパク質または変異体または誘導体に特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープを結合させる。該少なくとも1つのエピトープは、前記タンパク質の少なくとも一部分を含んでなる少なくとも1つの抗体結合領域を含んでなり得、このエピトープは好ましくは、前記タンパク質の少なくとも1つの機能的、細胞外、可溶性、親水性、外部または細胞質ドメインまたはその任意の部分といった(ただしこれらに限定されるわけではない)その少なくとも一部分の少なくとも1〜5個のアミノ酸で構成されている。
少なくとも1つの抗体は、少なくとも1つの定常領域または可変フレームワーク領域またはその任意の部分を場合によりさらに含んでなる、配列番号6、7、9、13、14および16として提供されている少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)(例えば、それぞれ配列番号27および28として提供されている重鎖または軽鎖可変領域のCDR1、CDR2またはCDR3)の少なくとも1つの特定された部分を場合により含んでなり得、ここで該抗体は、細胞表面上のレセプターに対するMCP−1結合、CCR2レセプター内在化、MCP−1刺激型Ca2+可動化またはその他のあらゆる適切な既知のMCP−1検定といったような(ただしこれらに限定されるわけではない)少なくとも1つの活性を遮断、阻害または防止する。かくして、抗MCP−1抗体は、MCP−1タンパク質に向かっての少なくとも1つの生物活性といった(ただしこれらに限定されるわけではない)対応する活性について、既知の方法に従ってスクリーニングされ得る。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つのMCP−1抗体に対する少なくとも1つのMCP−1抗イディオタイプ抗体を提供する。該抗イディオタイプ抗体は、本発明の抗イディオタイプ抗体の中に取込むことのできる、重鎖または軽鎖の相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖定常領域、フレームワーク領域、またはその任意の部分といった(ただしこれらに限定されるわけではない)少なくとも1つのリガンド結合部分(LBP)といった(ただしこれらに限定されるわけではない)免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでなるあらゆるタンパク質またはペプチド含有分子を内含する。本発明の抗イディオタイプ抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、ゲッ歯類、霊長類などといった(ただしこれらに限定されるわけではない)あらゆる哺乳動物を含むかまたはこれらから誘導され得る。
本発明は、一態様において、少なくとも1つの特定された配列、ドメイン、部分またはその変異体を含んでなる、少なくとも1つのMCP−1抗イディオタイプ抗体をコードするポリヌクレオチドを含んでなるか、これに対し相補的であるかまたはこれに対しハイブリッド形成する単離核酸分子を提供している。本発明はさらに、核酸分子をコードする前記MCP−1抗イディオタイプ抗体を含んでなる組換え型ベクター、このような核酸および/または組換え型ベクターを含有する宿主細胞、ならびに、かかる抗イディオタイプ抗体核酸、ベクターおよび/または宿主細胞の製造および/または使用方法を提供している。
本発明は同様に、少なくとも1つの抗MCP−1抗体が検出可能かつ/または回収可能な量で発現される条件下で、本明細書に記載された通りの宿主細胞を培養する工程を含んでなる、宿主細胞中で少なくとも1つの抗MCP−1抗体またはMCP−1抗イディオタイプ抗体を発現させるための少なくとも1つの方法をも提供している。
本発明は同様に、(a)本明細書に記載されている通りの核酸および/または抗体をコードする単離抗MCP−1抗体;および(b)適切な担体または希釈剤を含んでなる少なくとも1つの組成物をも提供する。担体または希釈剤は場合により、既知の担体または希釈剤に従って製薬学的に受容可能であり得る。組成物は場合により、さらに少なくとも1つのさらなる化合物、タンパク質または組成物を含むことができる。
本発明はさらに、当該技術分野で既知のとおりのおよび/または本明細書に記載されている通りの関連する身体条件の前後またはその間に、かつ/または細胞、組織、器官、動物または患者の中の少なくとも1つのMCP−1関連の身体条件を変調または治療するべく治療上有効な量を投与するための、少なくとも1つの抗MCP−1抗体方法または組成物を提供している。
本発明は同様に、本発明に従った治療的または予防的有効量の少なくとも1つの抗MCP−1抗体の少なくとも1つの送達用組成物、バイスおよび/または方法をも提供している。
本発明はさらに、当該技術分野で既知のとおりのおよび/または本明細書に記載されている通りの関連する身体条件の前後またはその間に、かつ/または細胞、組織、器官、動物または患者の中の少なくとも1つのMCP−1関連の身体条件について診断を下すための、少なくとも1つの抗MCP−1抗体方法または組成物を提供している。
本発明は同様に、本発明に従った少なくとも1つの抗MCP−1抗体の診断目的の少なくとも1つの送達用組成物、バイスおよび/または方法をも提供している。
1つの態様においては、本発明は、配列番号27または28を含んでなる少なくとも1つの可変領域を含んでなる少なくとも1つの単離哺乳動物抗−MCP−1抗体を提供している。
もう1つの態様においては、本発明は(i)配列番号6、7および8または9の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列の全て;または(ii)配列番号13、14および15または16の軽鎖CDRアミノ酸配列の全て、のいずれかを含んでなる少なくとも1つの単離哺乳動物抗−MCP−1抗体を提供している。
もう1つの態様においては、本発明は(i)配列番号6、7および8または9の重鎖相補性決定領域(CDR)アミノ酸配列の全て;または(ii)配列番号13、14および15または16の軽鎖CDRアミノ酸配列の全て、のうちの少なくとも一方を含んでなる少なくとも1つの単離哺乳動物抗−MCP−1抗体を提供している。
少なくとも1つの抗体は場合により、少なくとも10−9M、少なくとも10−10M、少なくとも10−11Mまたは少なくとも10−12Mから選択された少なくとも1つの親和性でMCP−1を結合させること、または少なくとも1つのMCP−1タンパク質の少なくとも1つの活性を実質的に中和することのうちの少なくとも1つのことを行なうことができる。同様に提供されているのは、少なくとも1つの単離哺乳動物抗MCP−1抗体をコードする単離核酸、単離核酸を含んでなる単離核酸ベクターおよび/または単離核酸を含んでなる原核生物宿主または真核生物宿主細胞である。該宿主細胞は、場合により、NSO、COS−1、COS−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、HepG2、YB2/0、SP2/0、HeLa、骨髄腫またはリンパ腫細胞、またはそのあらゆる誘導体、不死化または形質転換細胞から選択された少なくとも1つのものであり得る。同様に提供されているのは、MCP−1抗体が検出可能なまたは回収可能な量で発現されるようにインビトロ、インビボまたはインサイチュ(in sit)条件下で核酸をコードする抗体を翻訳する工程を含んでなる、少なくとも1つの抗MCP−1抗体の生産方法である。
同様に提供されているのは、少なくとも1つの単離哺乳動物抗MCP−1抗体および少なくとも1つの製薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含んでなる組成物である。
同様に提供されているのは、細胞、組織、器官または動物内のMCP−1関連の身体条件を診断し治療するための方法であって、(a)前記細胞、組織、器官または動物と有効量の本発明の少なくとも1つの単離哺乳動物抗MCP−1抗体を含んでなる組成物と接触させる工程またはそれらに対しかかる組成物を投与する工程を含んでなる方法である。
同様に提供されているのは、非経口、皮下、筋内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内または経皮から選択された少なくとも1つの様式により、少なくとも1つの抗MCP−1抗体を投与または接触させる工程に適している本発明の少なくとも1つ単離哺乳動物抗MCP−1抗体を含んでなる医療デバイスである。
同様に提供されているのは、本発明の少なくとも1つの単離哺乳動物抗MCP−1抗体を溶液、微粒子または凍結乾燥形態で含んでなる包装材料および容器を含んでなる、ヒトの製薬または診断用途向けの製造品である。
同様に提供されているのは、抗体を回収可能な量で発現する能力をもつ宿主細胞または
トランスジェニック動物またはトランスジェニック植物または植物細胞を提供する工程を含んでなる、本発明の少なくとも1つの単離哺乳動物抗MCP−1抗体の生産方法である。さらに本発明において提供されているのは、上述の方法により生産された少なくとも1つの抗MCP−1抗体である。
本発明はさらに、本明細書に記載のあらゆる発明を提供している。
本発明は、少なくとも1つの精製、単離、組換え型および/または合成抗MCP−1ヒト、霊長類、ゲッ歯類、哺乳動物、キメラ、ヒト化、改変(engineered)またはCDR移植抗体およびそれに対するMCP−1抗イディオタイプ抗体、ならびに少なくとも1つの抗MCP−1抗体または抗イディオタイプ抗体をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを含んでなる組成物およびコーディング核酸分子を提供している。本発明はさらに、診断用および治療用組成物、方法およびデバイスを含めた、かかる核酸および抗体および抗イディオタイプ抗体の製造および使用方法を内含するが、これらに限定されない
引用:本明細書で引用されている全ての刊行物または特許は、本発明の時点における技術的現状を示すことから、かつ/または本発明の描写および使用可能性を提供する目的で、その全体が本明細書に参照により援用されている。刊行物というのは、あらゆる科学的または特許刊行物、または全ての記録、電子または印刷形式を含めた任意のメディア形式で利用可能なその他のあらゆる情報を意味する。以下の参考文献はその全体が本明細書に参照により援用されている:アウスベル(Ausubel)ら編、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1987〜2004年);サンブルック(Sambrook)ら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(1989年);ハーロウおよびレーン(Harlow and Lane)、「Antibodies、a Laboratory Manual」、Cold
Spring Harbor、ニューヨーク(1989年);コリガン(Colligan)ら編、「Current Protocols in Immunology」、John Wiley & Sons、Inc.、ニューヨーク(1994〜2004年);コリガンら、「Current Protocols in Protein Science」、John Wiley & Sons、ニューヨーク州ニューヨーク(1997〜2004年)。
略号
aa:アミノ酸; BSA:ウシ血清アルブミン; CDR:相補的決定領域; ECL:電気化学発光; HuCAL(登録商標):ヒトコンビナトリアル抗体ライブラリ; HSA:ヒト血清アルブミン; MCP−1:単球化学誘引性タンパク質−1; Ig:免疫グロブリン; IPTG:イソプロピルβ−D−チオガラクトシド; mAb:モノクローナル抗体; PBS:リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4; SET:溶解平衡滴定; VH:免疫グロブリン重鎖可変領域; VL:免疫グロブリン軽鎖可変領域。
定義
本明細書で使用されている「抗CCL2抗体」、「抗MCP−1抗体」、「抗MCP−1抗体部分」、または「抗MCP−1抗体フラグメント」および/または「抗MCP−1抗体変異体」などという用語には、本発明の抗体の中に取込むことのできる、MCP−1レセプターまたは結合タンパク質の少なくとも1部分または、重鎖または軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)またはそのリガンド結合部分、重鎖または軽鎖可変領域、重鎖または軽鎖定常領域、フレームワーク領域またはその任意の一部分といった(ただしこれらに限定されるわけではない)免疫グロブリン分子の少なくとも一部分を含んでなるあらゆるタンパク質またはペプチド含有分子が含まれている。かかる抗体は場合によりさらに、特定のリガンドに影響を及ぼし、例えばかかる抗体は、インビトロ、インサイチュおよび/またはインビボで少なくとも1つのMCP−1活性または結合またはMCP−1レセプター活性または結合に、変調、低減、増大、拮抗、作動、軽減、緩和、遮断、
阻害、無効化および干渉(ただしこれらに限定されるわけではない)という影響を及ぼす。制限的意味のない例として、本発明の適切な抗MCP−1抗体、その特定された部分または変異体は、少なくとも1つのMCP−1またはその特定された部分、変異体またはドメインを結合させることができる。
本明細書で使用されている「エピトープ」という用語は、抗体に対して特異的に結合する能力をもつタンパク質のセグメントまたは特長を意味する。エピトープは通常、アミノ酸または糖側鎖といったような分子の化学的に活性な表面集団で構成されており、通常、特異的な3次元構造特性ならびに比電荷特性を有する。立体構造エピトープと非立体構造エピトープは、変性溶媒の存在下で立体構造エピトープに対する結合が失なわれるが非立体構造エピトープについては失なわれないという点で区別される。MCP−1分子の線形配列の異なる部分からのアミノ酸が3次元空間内で近接して集まる場合に発生するMCP−1分子の立体構造折畳みの結果としてもたらされるタンパク質エピトープが内含される。
「MCP−1」というのは、NCBI記録登録番号NP_002973の中で言及されMCP(単球走化性タンパク質)、SMC−CF(平滑筋細胞走化性因子)、LDCF(リンパ球由来走化性因子)、GDCF(神経膠腫由来単球走化性因子)、TDCF(腫瘍由来走化性因子)、HC11(ヒトサイトカイン11)、MCAF(単球走化性および活性化因子)としてさまざまな形で知られている76個のアミノ酸配列を意味する。遺伝子記号は、ヒト染色体17上のJE遺伝子であるSCYA2であり、新規名称はCCL2である(ズロトニック、ヨシエ、2000年、Immunity第12号:121〜127頁)。JEは、ヒトMCP−1/CCL2のマウス相同体である。
本明細書で使用されている「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的にすべての部分(例えばCDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えばC1、C2、C3)、ヒンジ、(V、V))がヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子配列の組換え事象からまたは成熟ヒト抗体配列から誘導されている抗体を意味する。ヒト単離抗体に加えて、かかるヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン生殖細胞系列遺伝子を有し免疫応答を開始する能力をもつトランスジェニックマウスを免疫化することによって得ることができ(ロンバーグ(Lonberg)ら、Int Rev Immunol第13(1):65〜93頁(1995年)およびフィシュワルド(Fishwald)ら、Nat Biotechnol第14(7):845〜851頁(1996年))、そうでなければ本明細書に記載されているようなヒト抗体レパートリライブラリから選択することができる。かかるヒト遺伝子配列の供給源は、ヒト抗体遺伝子(http://www.mrc−cpe.cam.ac.uk/imt−doc)またはその翻訳産物のデータベースであるVBASEといったようなあらゆる適切なライブラリ内かまたはそのアミノ酸配列類似性に基づいた集団へと分類されたヒト抗体を示すhttp://people.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s/に見出すことができる。この定義の範囲に入るのは、1個もしくはそれ以上のヒト抗体配列からのフレームワーク領域および2つの異なるヒトまたは非ヒト供給源からのCDR領域を含む複合抗体またはヒト複合抗体の機能的フラグメントである。「ヒト抗体」の定義に入るのは、生殖細胞系列および再配置の両方のヒト抗体配列からのフレームワーク領域および2つの異なる供給源抗体からのCDR領域を含有する複合抗体またはヒト複合抗体の機能的フラグメントである。本開示に従ったヒト複合抗体またはその機能的フラグメントは、1個もしくはそれ以上のヒト抗体配列からのフレームワーク領域およびヒトまたは非ヒト抗体配列から誘導されたCDR領域を内含し、そうでなければ、完全に合成であってもよい。かくしてヒト抗体は、キメラまたはヒト化抗体とは全く異なっている。ヒト抗体が、機能的に再配置されたヒト免疫グロブリン(例えば重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現する能力をもつ非ヒト動物または原核または真核細胞により産生され得るということが指摘される。さらに、ヒト抗体が
1本鎖抗体である場合、これは未変性ヒト抗体(native human antibodies)の中に見出されないリンカーペプチドを含んでなる可能性がある。例えば、Fvは、重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域を接続する2〜約8個のグリシンまたはその他のアミノ酸残基といったようなリンカーペプチドを含んでなり得る。かかるリンカーペプチドはヒト由来のものとみなされる。
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンから誘導された実質的に置換された配列部分を有するキメラ抗体である。ヒト化抗体は、大部分、レシピエントのCDR(超可変領域としても知られている相補性決定領域)残基が所望の特異性、親和性および能力をもつマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類といったような非ヒト種(ドナー抗体)からのCDR残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。一部のケースでは、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体内に見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに高めるように行なわれる。一般に、ヒト化抗体は、超可変領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つそして標準的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含んでなることになる。ヒト化抗体は、場合により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、標準的にはヒトIgG免疫グロブリンの少なくとも一部分を含んでなることになる。さらなる詳細については、ジョーンズ(Jones)ら、Nature第321:522〜525頁(1986年);ライヒマン(Reichmann)ら、Nature第332:323〜329頁(1988年);およびプレスタ(Presta)、Curr.Op.Struct.Biol.第2:593〜596頁(1992年)を参照のこと。
本明細書で使用される抗体のKdというのは、予め定められた抗原についての抗体、解離定数Kを意味し、特異的標的に対する抗体の親和性の尺度である。高親和性抗体は、予め定められた抗原について10−8M以下、より好ましくは10−9M以下、さらに一層好ましくは10−10M以下のKを有する。本明細書で使用される「Kdis」または「K」または「K」という用語は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を意味するように意図されている。「K」は、「オフ速度(Koff)」とも呼ばれる解離速度(k)と会合速度(k)または「オン速度(kon)」の比である。かくしてKはk/kまたはkoff/konに等しく、モル濃度(M)として表現される。そのため、Kが小さくなればなるほど結合は強くなる。10−6MのK(または1マイクロM)は、10−9M(または1nM)に比べて弱い結合を表わす。
本明細書で使用される「〜に対する特異性」、および「特異的結合」および「特異的に結合する」という用語は、その他の抗原またはタンパク質に対してよりも大きな親和性をもつ予め定められた抗原に対する抗体結合を意味する。標準的には、抗体は10−7M以下の解離定数(K)で結合し、予め定められた抗原以外の非特異的抗原(例えばBSA、カゼイン、またはその他のあらゆる特定されたポリペプチド)に対して結合するためのそのKよりも少なくとも2分の1小さいKで、予め定められた抗原に対し結合する。「1抗原を認識する抗体」および「1抗原に特異的な抗体」という語句は、ここでは「1抗原に対し特異的に結合する抗体」または「抗原特異的抗体」例えばMCP−1特異的抗体、という用語と互換的に用いられる。
1.発明の抗体の調製
単離および/またはMCP−1タンパク質またはその一部分(合成ペプチドといった合成分子を含む)といったようなヒトMCP−1タンパク質またはそのフラグメントに対し特異的なヒト抗体の調製は、当該技術分野において既知のあらゆる適切な技術を用いて実
施可能である。ヒト抗体は、当該技術分野において既知のさまざまな技術を用いて生産可能である。一実施形態においては、ヒト抗体は、1つのファージライブラリから選択され、ここでこのファージライブラリはヒト抗体を発現する(ヴォーガン(Vaughan)ら、Nature Biotechnology第14:309〜314頁(1996年):シーツ(Sheets)ら、PITAS(USA)第95:6157〜6162頁(1998年));フーゲンブームおよびウィンター(Hoogenboom and
Winter)、J.Mol.Biol.第227:381頁(1991年);マークス(Marks)ら、J.Mol.Biol.第222:581頁(1991年))。
ヒト抗体は、内部で内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化される例えばマウスなどのトランスジェニック動物の中にヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作ることもできる。例えば、機能的に再配置されたヒト免疫グロブリン重鎖トランス遺伝子および機能的再配置を受けることのできるヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含んでなるトランス遺伝子を含んでなるトランスジェニックマウスを、ヒトMCP−1またはそのフラグメントで免疫化して、抗体の産生を惹起することができる。所望の場合、本明細書に記載されている通りおよび/または当該技術分野において既知の通りに、抗体産生細胞を単離し、ハイブリドーマまたはその他の不死化された抗体産生細胞を調製することができる。代替的には、抗体、特定された部分または変異体を、適切な宿主細胞内で、コーディング核酸またはその一部分を用いて発現することができる。
適切な抗原での攻撃誘発(challenge)時点で、ヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再配置、組立ておよび抗体レパートリを含めた全ての面でヒトにおいて見られるものと酷似している。このアプローチは、例えば米国特許第5,545,807号明細書;同第5,545,806号明細書;同第5,569,825号明細書;同第5,625,126号明細書;同第5,633,425;同第5,661,016号号明細書中および、マークスら、Bio/Technology第10:779〜783頁(1992年);ロンバーグら、Nature第368:856〜859頁(1994年);モリソン(Morrison)、Nature第368:812〜13頁(1994年);フィシュワイルド(Fishwild)ら、Nature Biotechnology第14:845〜51頁(1996年);ニューベルガー(Neuberger)、Nature Biotechnology第14:826頁(1996年);ロンバーグおよびヒューザー(Huezar)、Intern.Rev;Immunol、第13:65〜93頁(1995年)といった科学的刊行物中に記載されている。代替的には、ヒト抗体は、標的抗原に対し向けられた抗体を産生するヒトBリンパ球の不死化を介して調製可能である(このようなBリンパ球は、個体から回収することもできるし、又インビトロで免疫化されていてもよい)。例えばコール(Cole)ら、「Monoclonal
antibodies and Cancer Therapy」、アラン、R.リス(Alan R.Liss)、77頁(1985年);ボエルナー(Boerner)ら、J.Immunol.第147(1):86〜95頁(1991年);および米国特許第5,750,373号明細書を参照のこと。抗体産生細胞は、問題の抗原で免疫化されたヒトまたはその他の適切な動物の末梢血または好ましくは脾臓またはリンパ節から得ることもできる。本発明の抗体、特定されたそのフラグメントまたは変異体をコードする異種または内因性の核酸を発現させるために、その他の任意の適切な宿主細胞を使用することも可能である。選択的培養条件またはその他の適切な既知の方法を用いて融合細胞(ハイブリドーマ)または組換え型細胞を単離し、限界希釈法または細胞選別或いはその他の既知の方法によりクローニングすることができる。所望の特異性をもつ抗体を産生する細胞を、適切な検定(例えばELISA)により選択することができる。
1つのアプローチでは、適切な不死細胞系列(例えばSp2/0、Sp2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2SA3、Sp2MAI、Sp2SS1、Sp2SA5、U937、MLA144、ACTIV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH3T3、HL−60、MLA144、NAMAIWA、NEURO2Aなどといった(ただしこれらに限定されるわけではない)骨髄腫細胞系列またはヘテロ骨髄腫、その融合産物またはそれから誘導されたあらゆる細胞または融合細胞または当該技術分野において既知の通りのその他のあらゆる適切な細胞系列、例えばwww.atcc.org.www.lifetech.com.参照など)を、単離またはクローニングされた脾臓、末梢血、リンパ液、へんとう腺またはその他の免疫またはB細胞含有細胞、または内因性または異種核酸としてかまたは組換え型または内因性、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、は虫類、魚類、哺乳動物、ゲッ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノミックDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAまたはRNA、葉緑体DNAまたはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、1本鎖、2本鎖または3本鎖、ハイブリッド形成されたものなどまたはそれらの任意の組合せのいずれかとして重鎖または軽鎖定常または可変またはフレームワークまたはCDR配列を発現するその他のあらゆる細胞といったような(ただしこれらに限定されるわけではない)抗体産生細胞と融合させることによって、ハイブリドーマが産生される。例えば全体が本明細書に参照により援用されているアウスベル、上掲書、およびコリガン、「Immunology」、上掲書、第2章を参照のこと。
ヒトMCP−1に結合し、定義された重鎖または軽鎖可変領域を含んでなるヒト抗体は、ファージ表示法(カツベ(Katsube)Yら、Int J Mol.Med.第1(5):863〜868頁(1998年))といったような適切な方法を用いて調製可能である。ペプチドまたはタンパク質ライブラリ(例えばバクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなど、表示ライブラリ;例えば英国ケンブリッジシャーのケンブリッジ・アンチボディ・テクノロジーズ(Cambridge antibody Technologies);デンマークMartinsreid/Planeggのモルフォシス(MorphoSys);英国スコットランド、アバディーンのバイオヴェーション(Biovation);スウェーデンLundのバイオインベント(BioInvent);ダイアックス(Dyax Corp.)、エンゾン(Enzon)、アフィマックス/バイオサイト(Affymax/Biosite);カリフォルニア州バークレーのゾーマ(Xoma);イクシス(Ixsys)。から入手可能なもの、例えば、欧州特許第368,684号明細書、PCT/GB第91/01134号明細書;PCT/GB第92/01755号明細書;PCT/GB第92/002240号明細書;PCT/GB第92/00883号明細書;PCT/GB第93/00605号明細書;米国特許第08/350260号明細書(5/12/94);PCT/GB第94/01422号明細書;PCT/GB第94/02662号明細書;PCT/GB第97/01835号明細書;(CAT/MRC);国際公開第90/14443号パンフレット;国際公開第90/14424号パンフレット;国際公開第90/14430号パンフレット;PCT/US94/1234号明細書;国際公開第92/18619号パンフレット;国際公開第96/07754号パンフレット;(スクリップス(Scripps));国際公開第96/13583号パンフレット、国際公開第97/08320号パンフレット(モルフォシス);国際公開第95/16027号パンフレット(バイオインベント);国際公開第88/06630号パンフレット;国際公開第90/3809号パンフレット(ダイアックス);米国特許第4,704,692号明細書(エンゾン);PCT/US第91/02989号明細書(アフィマックス);国際公開第89/06283号パンフレット;欧州特許第371998号明細書;欧州特許第550400号パンフレット(ゾーマ);欧州特許第229046号明細書;PCT/US91/07149号明細書(イクシス);または参照(ただしこれらに限定されるわけではない);または確率
的に生成されたペプチドまたはタンパク質(米国特許第5723323、5763192、5814476、5817483、5824514、5976862号明細書、国際公開第86/05803号パンフレット、欧州特許第590689号明細書(イクシス、現在のアプライド・モレキュラー・エボリューション(Applied Molecular Evolution(AME))(各々全体が本明細書に参照により援用されている))から組換え型抗体を選択する方法か、またはトランスジェニック動物(例えばSCIDマウス、各々全体が本明細書に参照により援用されているグエン(Nguyen)ら、Microbiol.Immunol.第41:901〜907頁(1997年);サンドュー(Sandhu)ら、Crit.Rev.Biotechnol.第16:95〜118頁(1996年);エラン(Eren)ら、Immunol.第93:154〜161頁(1998年))の免疫化に依存している方法を含めた(ただしこれらに限定されるわけではない)、必要な特異性の抗体を産生または単離させるその他の適切な方法を使用することが可能である。
特定的な実施形態
出願人らは、ファージ表示法ヒトFabライブラリから出発して、ヒトMCP−1に向かう所望の親和性、特異性および生物活性をもつヒト抗体を選択し作製する方法を例証した。要約すると、10回のパニング全てから17856のクローンがスクリーニングされ、1104の一次ヒットそして最終的に26のユニークFabを導いた。
天然発生のMCP−1レセプターに結合する抗原保持能力を例証したユニークリガンドを提供するために、ヒトMCP−1およびその類似体または「突然変異タンパク質(muteins)」を化学的に合成し、選択、親和性および生物学的検定における特異的使用のために修飾した。初期固相パニングならびに抗体選択および親和性成熟検定のその他の態様においてヒトMCP−1Ile41およびヒトMCP−1Tyr43を使用し、ここでは、MCP−1突然変異タンパク質のビオチニル化バージョンすなわちIle41、Lys(ビオチン−PEG69)および(Ile41、Lys(ビオチン−PEG75(配列番号1)と同様に記述した。
26個のユニークFabのいずれも、特定された生物学的検定において所望のIC50値またはK<0.5nMとして測定された親和性を有していなかったことから、成熟が不可欠であった。親和性成熟候補をFabとして選択し、それぞれのIgGを成熟プロセスと並行して分析した。選択基準は、1)全細胞レセプター結合検定における活性、2)カルシウム可動化検定における活性、3)ヒトMCP−1に対する親和性、4)ヒトMCP−1に対する特異性、および5)カニクイザルMCP−1(cyno MCP-1)に対する親和性および未変性MCP−1に対する結合、であった。
溶解状態のMCP−1でのFab捕捉モードでのバイアコア(BiaCore)親和性測定は、成熟候補の等級づけのためにうまく行なわれ、親和性は49〜406nMの範囲内にあった。最高の親Fabは、50nMの親和性を示し、これは、親和性成功基準に達するべく少なくとも100倍親和性を最適化しなくてはならないということを表わしていた。さらに、カニクイザルおよび未変性ヒトMCP−1に対する結合は、Fab捕捉モードで検出でき、これは、成熟のための付加的な前提条件であった。カニクイザルMCP−1に対する親和性は、ヒトMCP−1の場合と同じ範囲内にあった。例えばグリコシル化といった潜在的修飾に起因して、抗体が合成または組換え型MCP−1を認識するばかりでなく、内因的に発現されヒトPANC−1細胞上清から精製された未変性MCP−1をも認識するということが示されなくてはならなかった。
MCP−1に対する特異性は、各々のケモカインを100nMずつ添加し、結合シグナルを検出して、バイアコア内で抗体捕捉モードで測定された。成熟のための候補Fabの
大部分は特異的であり、一方、一対は相同体ケモカインに対する幾分かの交叉反応性を示した。
Fabの非常に重要な特徴は中和活性であり、複数の異なる検定がこの活性を分析するべくセットアップされた。125IMCP−1THP−1細胞結合検定は最も感応性の高い検定であり、これは、最適化の後に特に重要であった。親Fabは、10〜650nMのIC50値を示した。放射性リガンド結合検定の他に、その他の2次的な生物学的検定が、MCP−1の下流側シグナル伝達経路の異なるレベルで中和活性を立証するために計画された。
単球の誘引は、MCP−1の主要な機能の1つであるが、最も高い確率で活性欠如、同時精製された因子または内毒素に起因して、親Fabは走化性検定内で働かず、従って、この検定で働くFabを獲得しようとする代りにそれぞれのIgG1のみをテストすることで同意された。もう1つの下流側シグナル伝達事象は、細胞質内へのカルシウム放出である。実際、放射性リガンド結合検定内の中和活性を示した全てのFabが、0.1〜3μMのIC50範囲でTHP−1細胞内のMCP−1により誘発されたカルシウム可動化を阻害した。IgG形式への転換後、親Fabの生物学的活性は完全に保持されるということを示さなくてはならなかった。予想通り、それぞれのIgGは全て、放射性リガンド結合検定、カルシウム可動化検定、さらには走化性検定において活性を示し、最終的に全てのIgGsがFab形式で見られた活性を保持したこと、そしてさらにはMCP−1誘発型走化性を阻害したことを証明した。
親和性成熟については、放射性リガンド結合検定内の10〜650nMの範囲内のIC50値および10〜400nMの範囲内のKをもつ7つの異なるFabがその特性に従って選択された。その後、これらを、ライブラリクローニングおよびその後の選択のため3つのグループに分けた。並行してL−CDR3およびH−CDR2最適化を実施した。高品質ライブラリが生成された。選択プロセスのために溶液パニングを使用し、抗原の削減、オフ速度選択および非常に長い洗浄工程により、選択のストリンジェンシーを増大させた。後続するスクリーニングプロセスについては、最適化された結合剤のハイスループット等級付けを可能にするバイオベリス(Bio Veris)スクリーニングが使用された。スクリーニングは、改良型結合剤の同定のためにきわめて効率良く機能にした。さらに、L−CDR3およびH−CDR2で最適化されたFabを同定することができ、MOR03471およびMOR03548誘導体のための交叉クローニングが可能となった。特に、MOR03471誘導体の交叉クローニングが非常に成功し、2つの最適化された出発Fabに比べてさらに100倍改善された親和性まで導いた。17個の最適化されたFabのうち、16個は、詳細な特徴づけのために選択され、最終的に全ての成功基準を満たした4つの結合剤が親MOR03471から誘導され、うち2つがL−CDR3のみの中で最適化され、2つが交叉クローニングに由来した。親和性成熟した候補分析および配列は、例3および4、表4〜6および配列番号2〜28の中で詳述されている。
成熟の後、主として検出限界に達したために、最適化された結合剤の親和性をバイアコア内で分析することはできなかった。モルフォシス(MorphoSys)では、バイオベリス技術と組合わせた溶解平衡滴定(SET)である、非常に感受性の高いK決定方法が使用された。FabおよびIgGのための適切な適合モデルを用いて、1価の解離定数を計算することができた。親和性測定に加えて、この方法は、交叉反応性研究のために用いられた。最終候補の親和性は、バイオベリス内で測定されセントコア(Centocor)にてキネックス(Kinex)Aにより確認され、ヒトおよびカニクイザルMCP−1に対して10〜320pMの範囲内であった。バイオベリスを用いた特異性テストは、テストされた全ての16FabおよびIgGsについてヒトMCP−2に対する交叉反応性を全く示さなかった。いくつかのFabおよびIgGは、同様にヒトエオタキシン(
Eotaxin)に対しても有意な交叉反応性を全く示さなかった。成功基準に従って、バイアコア抗体捕捉モードで100Mの相同体ヒトMCP−2、3、4および100nMのヒトエオタキシン1、2および3に対する結合無しとして特異性基準を定められた。バイオコアFab捕捉モードにおいて、全ての選択されたFabは、MCP−2およびエオタキシンとの異なった程度の交叉反応性を示した。IgGに比べたFabの推定上のわずかに増大した不安定度およびケモカインの一般的な非特異的結合能力は、非特異的結合に寄与した可能性がある。選択されたIgGのうちのいくつかは、相同体ケモカインに対する有意な結合シグナルを全く示さず、バイアコアIgG捕捉モードでの特異性成功基準を満たした。バイオベリスを用いた溶解平衡滴定実験においては、いくつかのFabでさえ交叉反応性を全く示さなかった。バイアコア内で検出されたMCP−2に対するFab結合活性が中和活性に形を変えるか否かを分析するために、セントコアで放射線リガンド全細胞結合検定が開発された。この検定内でテストされたFabは、Thp−1細胞上でのCCR2レセプターに対する125I標識されたMCP−2の結合の有意な阻害を全く示さなかった(IC50≧2μM)。
必要とされるMCP−1の量が1ng/mlと低いことから、放射性リガンド結合検定は、Fabについては約100pMさらにIgGについては20pMという検定IC50限界で、このプロジェクトにおいて最も感応性の高い検定であった。親和性以外に、この検定における活性は、詳細な特徴づけのための最適化された結合剤の等級付けおよび選択のために用いられた。最適化の間の活性の全体的改善は、最高1000倍の倍率であったが、最終的に、1つのMOR03471誘導Fab、MOR03878が110pMで最高の親和性を示した。テストされた全てのIgGは放射性リガンド結合検定において活性を保持した。4つの最終的IgG候補、MOR03781、MOR03790、MOR03850およびMOR03878のIC50値は、20〜50pMの範囲内にあり、Fabのそれぞれの活性に比べてわずかに優れてさえいた。改善された活性の1つの理由は、2価のIgGが分子1個あたり2つのMCP−1を中和する(倍率2倍)ということにある。IgGは純粋なスケールアップされた生産に由来し、従って、もう1つの理由は抗体の純度、安定性または活性にあったのかもしれない。二次的生物学検定として、MCP−1誘発型CCR2レセプターの内在化の阻害を測定するFACSベースの検定の開発が成功した。最後に、検定は、IC50の決定および等級付けさえ可能にした。最終的な4つの候補Fab、MOR03790、MOR03850、MOR03781およびMOR03878は、3〜5nMの範囲内でIC50値を示した。
合成または組換え型MCP−1に対して単離されたMCP−1抗体の活性を確認するためには未変性MCP−1が必要であった。未変性MCP−1がPANC1上清から精製され、カルシウム放出の誘発のために使用された。最適化されたFabは、基準抗体C775に比べて高い活性で、未変性MCP−1誘発型カルシウム可動化の阻害を示した。MOR03548由来の予め選択されたFabは全て、競合ELISAにおいてMCP1に対するC775の結合を完全に阻害した。MOR03471由来の予め選択されたFabは全て、ELISA内で部分的(約60%)の競合を示し、エピトープが少なくとも重複していることを表わしていた。最終的に、4つの抗体MOR03781、MOR03790、MOR03850およびMOR03878は、特異性基準および未変性MCP−1の中和を含めた全ての成功基準を満たした。
抗体を生産するその他の適切な方法
当該技術分野で既知でありかつ/または本明細書に記載されている通り、本発明の抗体を産生するためのその他の方法が、ヒト抗体のレパートリを生産する能力を有している。かかる技術としては、リボソーム表示法(ヘインズ(Hanes)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第94:4937〜4942頁(1997年5月);ヘインズら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第95:14130〜
14135頁(1998年11月))号;単一細胞抗体生成技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(“SLAM”)(米国特許第5,627,052号明細書、ウェン(Wen)ら、J.Immunol.第17:887〜892頁(1987);バブコック(Babcook)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93:7843〜7848頁(1996年));ゲル微液滴とフローサイトメトリ(ポーウェル(Powell)ら、Biotechnol.第8:333〜337頁(1990年);マサチューセッツ州Cambridgeのワンセルシステムズ(One Cell Systems));グレイ(Gray)ら、J.Imm.Meth.第182:155〜163頁(1995年);ケニー(Kenny)ら、Bio/Technol.第13:787〜790頁(1995年));「B−cell selection」スティーンベッカーズ(Steenbakkers)ら、Molec.Biol.Reports第19:125〜134頁(1994年);ヨナク(Jonak)ら、Progress Biotech、第5巻、In Vitro Immunization in Hybridoma Technology」、ボアベック(Borrebaeck)、編、Elsevier Science Publishers B.V.、Amsterdam、オランダ(1988年))が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
非ヒトまたはヒト抗体を工学処理するかまたはヒト化するための方法も同様に使用でき、当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化されたまたは工学処理された抗体は、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類またはその他の哺乳動物といった(ただしこれらに限定されるわけではない)ヒト以外の供給源からの1個もしくはそれ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒトアミノ酸残基は、標準的に既知のヒト配列の「インポート」可変、定常またはその他のドメインから取られる「インポート」残基と呼ばれることが多い。既知のヒトIg配列は当該技術分野において周知であり、任意の既知の配列であり得る。工学処理されたヒト化抗体の結合、立体配座および免疫原性減少を最適化するためのさまざまな戦略が、例えばプレスタ(Presta)ら.J Immunol.第151号:2623〜2632頁、1993年;国際公開第2003/02019号パンフレットおよび国際公開第2005/080432号パンフレット中などで記述されてきた。
かかるインポートされた配列は、免疫原性を減少させるかまたは当該技術分野において既知の通り、結合、親和性、オン速度、オフ速度、結合力(avidity)、特異性、半減期またはその他の適切な任意の特性を削減、増強または修飾するために使用することができる。一般に、可変および定常領域の非ヒト配列がヒトまたはその他のアミノ酸と置き換えられている一方で、非ヒトまたはヒトCDR配列の一部分または全てが維持される。抗体は同様に場合により、抗原に対する高い親和性およびその他の有利な生物学的特性を保持してヒト化することもできる。この目的を達成するため、場合によりヒト化抗体を、親およびヒト化配列の3次元モデルを使用した親配列およびさまざまな概念ヒト化産物の分析プロセスによって調製することが可能である。3次元免疫グロブリンモデルが一般に利用可能であり、当業者にとってなじみ深いものである。選択された候補免疫グロブリン配列の確率の高い3次元立体配座構造を例示し表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を検討することで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の考えられる役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増大といたような所望の抗体特性が達成されるような形で、コンセンサスおよびインポート配列から、FR残基を選択し組合せることができる。一般に、CDR残基は抗原結合に影響を及ぼすことに直接的にかつ最も実質的に関与している。本発明の抗体のヒト化または工学処理は、各々全体が本明細書に参照により援用されている、ウィンター(Winter)(ジョーンズ(Jones)ら、Nature第321:522頁(1986年);ライヒマン(Riechmann)ら、Nature第332:323頁(1988年);ヴ
ァホーヤン(Verhoeyen)ら、Science、第239:1534頁(1988年))、シムス(Sims)ら、J.Immunol.第151:2296頁(1993年);ショティア(Chothia)およびレスク(Lesk)、J.Mol.Biol.第196:901頁(1987年)、カーター(Carter)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第89:4285頁(1992年);プレスタら、J.Immunol.第151:2623頁(1993)、米国特許第5723323号明細書、同第5976862号明細書、同第5824514号明細書、同第5817483号明細書、同第5814476号明細書、同第5763192号明細書、同第5723323号明細書、同第5,766886号明細書、同第5714352号明細書、同第6204023号明細書、同第6180370号明細書、同第5693762号明細書、同第5530101号明細書、同第5585089号明細書、同第5225539号明細書、同第4816567号明細書、国際出願PCT/:US第98/16280号明細書、同US第96/18978号明細書、同US第91/09630号明細書、同US第91/05939号明細書、同US第94/01234号明細書、英国特許第89/01334号明細書、同第91/01134号明細書、同第92/01755号明細書;国際公開第90/14443号パンフレット、同第90/14424号パンフレット、同第90/14430号パンフレット、欧州特許第229246号明細書(その中に引用されている参考文献を含む)中で記述されたものといったような(ただしこれらに限定されるわけではない)任意の既知の方法を用いて実施可能である。
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリを産生できるトランスジェニックマウスは、既知の方法で生産可能である(例えば、各々その全体が本明細書に参照により援用されているロンバーグらに交付された米国特許第5,770,428号明細書、同第5,569,825号明細書、同第5,545,806号明細書、同第5,625,126号明細書、同第5,625,825号明細書、同第5,633,425号明細書、同第5,661,016号明細書および同第5,789,650号明細書;ヤコボビッツ(Jakobovits)ら、国際公開第98/50433号パンフレット、ヤコボビッツら、国際公開第98/24893号パンフレット、ロンバーグら、国際公開第98/24884号パンフレット、ロンバーグら、国際公開第97/13852号パンフレット、ロンバーグら、国際公開第94/25585号パンフレット、クシェルラペイト(Kucherlapate)ら、国際公開第96/34096号パンフレット、クシェルラペイトら、欧州特許第0463,151B1号パンフレット、クシェルラペイトら、欧州特許出願公開第0710,719A1号明細書、スラニ(Surani)ら、米国特許第5,545,807号明細書、ブラッグマン(Bruggemann)ら、国際公開第90/04036号パンフレット、ブラッグマンら、欧州特許第0438,474B1号パンフレット、ロンバーグら、欧州特許出願公開第0814,259A2号明細書、ロンバーグら、英国特許第2,272,440A号明細書、ロンバーグら、Nature、第368:856〜859頁(1994年)、Taylor(テイラー)ら、Int.Immunol.第6(4)579〜591頁(1994年)、グリーン(Green)ら、Nature Genetics第7:13〜21頁(1994年)、メンデス(Mendez)ら、Nature Genetics第15:146〜156頁(1997年)、テイラーら、Nucleic Acids Research、第20(23):6287〜6295頁(1992年)、ツアイヨン(Tuaillon)ら、Proc Natl Acad Sci USA、第90(8):3720〜3724頁(1993年)、ロンバーグら、Int Rev Immunol第13(1):65〜93頁(1995年)およびフィッシュワルドら、Nat Biotechnol第14(7):845〜851頁(1996年)など(ただしこれらに限定されるわけではない))。一般に、これらのマウスは、機能的に再配置されているかまたは機能的再配置を受けることのできる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座からのDNAを含んでなる少なくとも1つのトランス遺伝子を含んでなる。かかるマウスの体内の内因性免疫グロブリン遺伝子座を分
断または欠失させて、内因性遺伝子によりコードされた抗体を産生する該動物の能力を無くすることができる。
類似のタンパク質またはフラグメントに対する特異的結合について抗体をスクリーニングすることは、ペプチド表示ライブラリを用いて都合よく達成可能である。この方法には、所望の機能または構造をもつ個々の成員について大きなペプチド収集物をスクリーニングすることも関与している。ペプチド表示ライブラリの抗体スクリーニングは、当該技術分野において周知である。表示されたペプチド配列の長さは3〜5000またはそれ以上のアミノ酸、頻繁に5〜100アミノ酸そして往々にして約8〜25のアミノ酸であり得る。ペプチドライブラリを生成するための直接的化学合成方法に加えて、複数の組換え型DNA方法も記述されてきた。1つのタイプには、バクテリオファージまたは細胞の表面上のペプチド配列の表示が関与している。各バクテリオファージまたは細胞は、特定の表示されたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。かかる方法はPCT特許公開第91/17271号明細書、同第91/18980号明細書、同第91/19818号明細書および同第93/08278号明細書の中で記載されている。ペプチドのライブラリを生成するためのその他のシステムは、インビトロ化学合成および組換え型方法の両方の特徴を有している。PCT特許公開第92/05258号明細書、同第92/14843号明細書および同第96/19256号明細書を参照のこと。米国特許第5,658,754号明細書および同第5,643,768号明細書も参照のこと。ペプチド表示ライブラリ、ベクターおよびスクリーニングキットはインビトロジェン(Invitrogen)(カリフォルニア州Carlsbad)およびケンブリッジ・アンチボディーズ・テクノロジーズ(英国Cambridgeshire)といった供給業者から市販されている。例えばエンゾンに譲渡された米国特許第4704692号明細書、同第4939666号明細書、同第4946778号明細書、同第5260203号明細書、同第5455030号明細書、同第5518889号明細書、同第5534621号明細書、同第5656730号明細書、同第5763733号明細書、同第5767260号明細書、同第5856456号明細書;ダイアックスに譲渡された同第5223409号明細書、同第5403484号明細書、同第5571698号明細書、同第5837500号明細書;アフィマックスに譲渡された米国特許第5427908号明細書および同第5580717号明細書;ケンブリッジ・アンチボディーズ・テクノロジーズに譲渡された米国特許第5885793号明細書;ジェンテックに譲渡された米国特許第5750373号明細書;ゾーマに譲渡された米国特許第5618920号明細書、同第5595898号明細書、同第5576195号明細書、同第5698435号明細書、同第5693493号明細書、同第5698417号明細書;コリガン、上掲書;アウスベル、上掲書またはサンブルック、上掲書を参照のこと。なお上述の特許および刊行物の各々は、その全体が本明細書に参照により援用されている。
2.発明の核酸
配列番号2〜5および27〜28のうちの少なくとも1つの連続するアミノ酸の少なくとも70〜100%をコードするヌクレオチド配列、その特定されたフラグメント、変異体またはコンセンサス配列といったような本明細書に提供されている情報を用いて、少なくとも1つの抗−MCP−1抗体をコードする本発明の核酸分子を、本明細書に記載されている方法または当該技術分野で既知の通りの方法を使用して得ることができる。本発明の単離核酸分子には例えば、少なくとも1つの重鎖(例えば配列番号6〜12、22および23)または軽鎖(例えば配列番号13〜21および24〜26)のCDR1、CDR2および/またはCDR3といった少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定された部分といった(ただしこれに制限されるわけではない)1個もしくはそれ以上のイントロンを場合により伴う読取り枠(ORF)を含んでなる核酸分子;抗MCP−1抗体または可変領域のためのコーディング配列例えば配列番号2〜5、27および28)を含んでなる核酸分子;および、上記のものと実質的に異なる核酸配列を含んでなるものの、
伝コードの縮重に起因して、本明細書に記載されている通りおよび/または当該技術分野において既知のとおり少なくとも1つの抗MCP−1抗体をなおもコードする核酸分子が含まれる。当然のことながら、遺伝コードは当該技術分野において周知である。かくして、本発明の特異的抗MCP−1抗体についてコードするこのような縮退核酸変異体を生成することは、当業者にとっては日常的な作業であると思われる。例えば、アウスベルら、前掲書を参照のこと。又かかる核酸変異体は本発明内に含まれている。
本明細書に記されているように、抗MCP−1抗体をコードする核酸を含んでなる本発明の核酸分子には、単独で抗体フラグメントのアミノ酸配列をコードするもの;全抗体またはその一部分についてのコーディング配列;1つの抗体、フラグメントまたは一部分についてのコーディング配列ならびに付加的配列、例えばスプライシングおよびポリアデニル化シグナルを含めた、転写、mRNAプロセッシングにおいて1つの役割を果たす転写された未翻訳配列(例えばリボソーム結合およびmRNAの安定性)といった非コーディング5’および3’配列を含む(ただしこれらに限定されるわけではない)付加的な非コーディング配列と共に、少なくとも1つのイントロンといったような前述の付加的なコーディング配列を伴うまたは伴わない、少なくとも1つのシグナルリーダーまたは融合ペプチドのコーディング配列;付加的な官能基を提供するもののような付加的なアミノ酸についてコードする付加的なコーディング配列、が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。かくして、抗体をコードする配列は、抗体フラグメントまたは部分を含んでなる融合された抗体の精製を容易にするペプチドをコードする配列といったようなマーカー配列に対して融合され得る。
本明細書に記載されている通りのポリヌクレオチドに対して選択的にハイブリッド形成するポリヌクレオチド:本発明は、選択的ハイブリダイゼーション条件下で本明細書に開示されているポリヌクレオチドにハイブリッド形成する単離核酸を提供する。かくして、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含んでなる核酸を単離、検出および/または定量化するために使用可能である。例えば、本発明のポリヌクレオチドは、寄託されたライブラリ内の部分的または全長クローンを同定、単離または増幅するために使用することができる。一部の実施形態においては、ポリヌクレオチドはゲノミックまたはcDNA配列単離されているが、またはその他の形でヒトまたは哺乳動物核酸ライブラリ由来のcDNAに対して相補的である。
好ましくは、cDNAライブラリは少なくとも80%の全長配列、好ましくは少なくとも85%または90%の全長配列そしてより好ましくは少なくとも95%の全長配列を含む。cDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるべく正規化され得る。低または中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が標準的に(但し排他的にではなく)、相補的配列に比べて低い配列同一性をもつ配列について利用される。中および高ストリンジェンシー条件は、より高い同一性をもつ配列のために場合により利用可能である。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガスまたはパラロガス配列を同定するために利用可能である。
場合により、本発明のポリヌクレオチドは本明細書に記載されているポリヌクレオチドによってコードされた抗体の少なくとも一つの部分をコードすることになる。本発明のポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションのために利用可能な核酸配列を包含する。例えば、各々その全体が本明細書に参照により援用されている、アウスベル、上掲書;コリガン、上掲書を参照のこと。
核酸の構築:本発明の単離核酸は、当該技術分野において周知の通り、(a)組換え型方法、(b)合成技術、(c)精製技術またはその組合せを用いて作ることができる。
核酸を構築するための組換え型方法:RNA、cDNA、ゲノミックDNAまたはそのあらゆる組合せといったような本発明の単離核酸組成物は、当業者にとっては既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物学的供給源から得ることができる。一部の実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドプローブが、cDNAまたはゲノミックDNAライブラリ内の所望の配列を同定するために使用される。RNAの単離およびcDNAおよびゲノミックライブラリの構築は、当業者にとって周知の作業である(例えば、アウスベル、上掲書;またはサンブルック、上掲書を参照のこと)。
核酸スクリーニングおよび単離方法:本明細書で開示されているもののような本発明のポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを用いて、cDNAまたはゲノミックライブラリをスクリーニングすることができる。同じまたは異なる生体内の相同な遺伝子を単離するべくゲノミックDNAまたはcDNA配列をハイブリッド形成するためにプローブを使用することができる。当業者であれば、検定中でさまざまな度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、ハイブリダイゼーションまたは洗浄のいずれかの培地がストリンジェントであり得るということを認識するだろう。ハイブリダイゼーションのための条件がよりストリンジェントになるにつれて、2重鎖形成が起こるのにプローブと標的の間に必要な相補性度は高くなる。ストリンジェンシー度は、温度、イオン強度、pHおよびホルムアミドといったような部分的に変性する溶媒の存在のうちの1個もしくはそれ以上のものによって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば0%〜50%の範囲内のホルムアミド濃度の操作などを通して反応物溶液の極性を変更することにより都合良く変動させられる。検出可能な結合のために必要とされる相補性(配列同一性)度は、ハイブリダイゼーション培地および/または洗浄培地のストリンジェンシーに従って変動することになる。相補性度は、最適には100%または70〜100%またはその中の任意の範囲または値である。しかしながら、プローブおよびプライマ内のわずかな配列変動は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄培地のストリンジェンシーを低減させることで相殺できるということを理解すべきである。
RNAまたはDNAの増幅方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書中で紹介する教示および指針に基づいて過度の実験無く本発明に従って使用可能である。DNAおよびRNA増幅の既知の方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および関連する増幅プロセスが含まれるが、これらに限定されるわけではない(マリス(Mullis)ら、米国特許第4,683,202号明細書(1987年);およびイニス(Innis)ら、「PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications」、Eds.、Academic Press Inc.、カリフォルニア州San Diego(1990年))。
核酸を構築するための合成方法:本発明の単離核酸は、同様に、既知の方法による直接化学合成によっても調製可能である(例えば、アウスベルら、上掲書を参照のこと)。化学合成は一般に、相補的配列でのハイブリダイゼーションまたは鋳型として1本鎖を用いたDNAポリメラーゼでの重合によって本鎖DNAへと転換可能である1本鎖オリゴヌクレオチドを生成する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100以上の塩基の配列に制限され得るものの、より短かい配列のライゲーションによりさらに長い配列を得ることができる、ということを認識するだろう。コーディング配列の化学的合成のための特に好ましい方法が米国特許第6521427号明細書および同第6670127号明細書の中で教示されている。
3.ベクターと発現系
本発明は、抗MCP−1抗体をコードする核酸を含有するかまたは、さまざまな抗体HCまたはLC遺伝子またはその一部分を含有するプラスミドを得るために使用することのできるベクター、好ましくは発現ベクターを提供する。本明細書で使用されている「ベクター」という用語は、連結されたもう1つの核酸を輸送する能力をもつ核酸分子を意味する。1つのベクタータイプは「プラスミド」であり、これは、付加的なDNAセグメントを中にライゲートできる円形の2本鎖DNAループを意味する。もう1つのタイプのベクターは、ウイルスゲノム内に付加的DNAセグメントをライゲートできるウイルスベクターである。本発明は同様に、本発明の単離核酸分子を内含するベクター、組換え型ベクターで遺伝的に工学処理されている宿主細胞、および当該技術分野において周知であるような組換え技術による少なくとも1つの抗CP−1抗体の生産にも関する。例えば各々その全体が本明細書に参照により援用されているサンブルックら、上掲書;アウスベルら、上掲書、を参照のこと。
抗体またはその抗体フラグメントの発現のためには、部分的または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列に対し作動的に連結されるような形で発現カセットまたはベクター内に挿入することができる。抗体をコードするカセットを、1つの構成体として組立てることができる。当該技術分野において既知の方法を用いて、構成体を調製することができる。より大きなプラスミドの一部として、構成体を調製することができる。このような調製は、適正な構成の選択およびクローニングを効率良く可能にする。構成体は、それらを残りのプラスミド配列から容易に単離できるような形でプラスミドまたはその他のベクター上の都合の良い制限部位の間に位置設定され得る。
一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物といったような沈殿物内、またはDEAE−デキストランの荷電膜質との錯体の中に導入される。ベクターがウイルスである場合、それは適切なパッケージング細胞系列を用いてインビトロでパッケージングされ、その後宿主細胞内に形質導入され得る。宿主細胞内へのベクター構成体の導入は同様に、電気穿孔またはその他の既知の方法により行なうこともできる。かかる方法については、サンブルック、上掲書、第1〜4および16〜18章;アウスベル、上掲書、第1、9、13、15、16章といったように当該技術分野において記載されている。
これに関連して、「作動的に連結された」という用語は、ベクター内部の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するその意図された機能に役立つような形で、抗体遺伝子が1つのベクター内にライゲートされることを意味するものと意図されている。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と相容性があるように選択される。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は別々のベクター内に挿入され得、そうでなければ、より標準的に、両方の遺伝子が同じ発現ベクター内に挿入される。抗体遺伝子は、標準方法により発現ベクター内に挿入される(例えば、抗体遺伝子フラグメントおよびベクター上の相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が全く存在しない場合には平滑末端ライゲーション)。
本明細書に記載されている抗体の軽鎖および重鎖可変領域は、VHセグメントがベクター内部でCHセグメントに対し作動的に連結され、VIセグメントがベクター内でCLセグメントに対し作動的に連結されるような形で所望のイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードしている発現ベクター内に挿入することによって任意の抗体イソタイプの全長抗体遺伝子を作り上げるために使用可能である。付加的にまたは代替的に、組換え型発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが枠内で抗体鎖遺伝子のアミノ末端に連結されるような形でベクター内にクローニングされ得る。シグナルペプチドは免疫グロブリンシグナルペプチドまたは非相同シグナルペプチド(すなわち非免疫グロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であり得る。
原核生物または真核生物宿主細胞のいずれかの中で発明の抗体を発現させることは理論的には可能であるが、真核細胞特に哺乳動物細胞は原核細胞よりも、適切に折畳まれ免疫学的に活性な抗体を組立て分泌する確率が高いことから、真核細胞内そして最も好ましくは哺乳動物宿主細胞内の抗体の発現が最も好ましい。
一般に、哺乳動物発現ベクターは、(1)通常イルスプロモータまたはエンハンサ配列の形をしており広い宿主および組織範囲により特徴づけされる調節要素;(2)プラスミドベクター内部への抗体コーディング配列を含んでなるDNAフラグメントの挿入を促進する「ポリリンカー」配列および(3)mRNA転写産物のポリアデニル化およびイントロンスプライシングを相当する配列を含有することになる。プロモーターポリリンカー・ポリアデニル化部位のこの隣接する領域は、一般に転写単位と呼ばれる。ベクターは同様に、(4)大腸菌(E.coli)内の初期陽性形質転換体の選択を可能にする、抗生物質(例えばアンピシリン)に対する耐性を付与することの多い選択可能なマーカー遺伝子(例えばベータ・ラクタマーゼ遺伝子);および(5)細菌および哺乳動物の両方の宿主中のベクターの複製を促進する配列をも含有する確率が高くなる。プラスミド複製起点が、大腸菌内での発現構成体の伝播のために内含され、Cos細胞内の過渡的発現のためには、SV40複製起点が発現プラスミド中に内含される。
プロモータは、SV40プロモータ(例えば晩期または早期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号明細書;同第5,385,839号明細書)、HSVtkプロモータ、pgk(ホスホグリセラートキナーゼ)プロモータ、EF−1アルファプロモータ(米国特許第5,266,491号明細書)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータから選択され得る。
発現ベクターは好ましくは、ただし場合により、少なくとも1つの選択可能なマーカーを内含する。かかるマーカーには、例えばメトトレキサート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、米国特許第4,399,216号明細書;同第4,634,665号明細書;同第4,656,134号明細書;同第4,956,288号明細書;同第5,149,636号明細書;同第5,179,017号明細書、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、または真核細胞培養のためのグルタミンシンターゼ(GS、米国特許第5,122,464号明細書;同第5,770,359号明細書;同第5,827,739号明細書)耐性および大腸菌またはその他の細菌または原生生物中での培養のためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子(上述の特許はその全体が本明細書に参照として援用されている)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。上述の宿主細胞についての適切な培地および条件は、当該技術分野において既知である。適切なベクターは、当業者にとって直ちに明白である。
真核宿主細胞が利用される場合、ベクター内にポリアデニル化または転写ターミネータ配列が標準的に取込まれる。ターミネータ配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。写しの正確なスプライシングのための配列も同様に内含させることができる。スプライシング配列の一例としては、SV40由来のVP1イントロンがある((スプラーグ(Sprague)ら、J.Virol.第45:773〜781頁(1983年))。付加的には、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列を、当該技術分野において既知の通りにベクター内に取込むことができる。同様に、重鎖分子の高い表面発現を回避するためには、膜貫通ドメイン変異体スプライスを無くする発現ベクターを使用する必要があるかもしれない。
付加的な要素としては、エンハンサ、コザック配列およびRNAスプライシングのためのドナーおよびアクセプタ部位によりフランキングされた介在配列が含まれる。高効率の
転写は、SV40由来の早期および晩期プロモータ、レトロウイルスからの長末端反復(LTRS)例えばRSV、HTLVI、HIVI、およびサイトメガロウイルス(CMV)の早期プロモータで達成可能である。しかしながら、細胞要素も同様に使用可能である(例えばヒトアクチンプロモータ)。本発明を実践する上で使用するための適切な発現ベクターとしては例えば、pIRES1neo、pRetro−Off、pRetro−On、PLXSN、またはpLNCX(カリフォルニア州Palo Altoのクローンテック・ラブス(Clonetech Labs)、)、pcDNA3.1(+/−)、pcDNA/Zeo(+/−)またはpcDNA3.1/Hygro(+/−)(インビトロジェン)、PSVLおよびPMSG(スウェーデンUppsalaのファルマシア(Pharmacia))、pRSVcat(ATCC37152)、pSV2dhfr(ATCC37146)およびpBC12MI(ATCC67109)といったベクターが含まれる。
代替的には、染色体内に組込まれた遺伝子を含有する安定した細胞系列の中で、抗体配列をコードする核酸を発現させることができる。dhfr、gpt、ネオマイシンまたはハイグロマイシンといったような選択可能なマーカーでの同時トランスフェクションにより、コードされた抗体を大量に発現するトランスフェクションを受けた細胞の同定および単離が可能となる。DHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)マーカーは、問題の遺伝子の数百さらには数千のコピーを担持する細胞系列を開発するのに有利である。もう1つの有用な選択マーカーは、酵素グルタミンシンターゼ(GS)である(マーフィー(Murphy)ら、Biochem.J.第227:277〜279頁(1991年);ベビントン(Bebbington)ら、Bio/Technology第10:169〜175頁(1992年))。これらのマーカーを用いて、哺乳動物細胞は選択培地内で成長させられ、最高の耐性をもつ細胞が選択される。これらの細胞系列は、染色体内に組込まれた増幅された遺伝子を含有する。抗体の産生のためには、チャイニーズハムスタ卵巣(CHO)およびNSO細胞が用いられることが多い。
本発明の抗体の生産において用いられるDNA構成体は、任意には少なくとも1つのインシュレータ配列を含む。「インシュレータ」、「インシュレータ配列」および「インシュレータ要素」は本明細書では互換的に使用される。インシュレータ要素は、その活動範囲内に置かれた遺伝子の転写を絶縁するものの、遺伝子発現をマイナスまたはプラスのいずれにも混乱させない制御要素である。好ましくは、インシュレータ配列は、転写されるべきDNA配列のいずれかの側に挿入される。例えば、インシュレータは、問題の遺伝子の3’末端でプロモータから少なくとも約1kb〜5kb、プロモータから5’、約200bp〜約1kbのところに位置づけされ得る。プロモータおよび問題の遺伝子の3’末端からのインシュレータ配列の距離は、問題の遺伝子の相対的サイズ、構成体中で用いられるエンハンサおよびプロモータに応じて、当業者により決定され得る。さらに、2つ以上のインシュレータ配列をプロモータから5’のところまたはトランス遺伝子の3’末端に位置づけできる。例えば、プロモータから5’のところに2つ以上のインシュレータ配列を位置づけすることができる。トランス遺伝子の3’末端にあるインシュレータは、問題の遺伝子の3’末端または3’調節配列の3’末端例えば3’未翻訳領域(UTR)または3’フランキング配列に位置づけされ得る。
適切な誘発性非融合大腸菌発現ベクターの例としては、pTrc(アマン(Amann)ら、(1988年)Gene第69:301〜315頁)およびpET11d(スタジア(Studier)ら、「Gene Expression Technology:Methods in Enzymology」、185、カリフォルニア州San DiegoのAcademic Press、(1990年)60〜89頁)が含まれる。pTrcベクターからの標的遺伝子発現は、ハイブリッドtrp−lac融合プロモータからの宿主RNAポリメラーゼ転写に依存している。pET11dベクターからの標的
遺伝子発現は、同時発現されたウイルスRNAポリメラーゼ(T7gn1)により媒介されたT7gn10−lac融合プロモータからの転写に依存する。このウイルスポリメラーゼは、lacUV5プロモータの転写制御下でT7gn1遺伝子を宿す常在λプロフィージからの宿主菌株BL21(DE3)またはHMS174(DE3)によって供給される。
もう1つの実施形態においては、発現ベクターは、酵母発現ベクターである。酵母S.cerevisiae内での発現のためのベクターの例としては、pYepSec1(バルダリ(Baldari)ら、(1987年)EMBO J.第6:229〜234頁)、pMFa(クルジャン(Kurjan)およびヘルコヴィッツ(Herskowitz)、(1982年)Cell、第30:933〜943頁)、pJRY88(シュルツ(Schultz)ら、(1987年)、Gene、第54:113〜123頁)、pYES2(カリフォルニア州San Diegoのインビトロジェン・コーポレーション(Invitrogen Corporation))およびpPicZ(カリフォルニア州San Diegoのインビトロジェン・コーポレーション)がある。
代替的には、発現ベクターは、バキュロウイルス発現ベクターである。培養された昆虫細胞(例えばSf9細胞)内でのタンパク質の発現のために利用可能なバキュロウイルスベクターには、pAcシリーズ(スミス(Smith)ら、(1983年)Mol.Cell Biol.第3:2156〜2165頁)およびpVLシリ−ズ(ラックロウ(Lucklow)およびサマーズ(Summers)(1989年)、Virology第170:31〜39頁)が含まれる。
さらにもう1つの実施形態においては、哺乳動物発現ベクターを用いて哺乳動物細胞内で本発明の核酸が発現される。哺乳動物発現ベクターの例としては、pCDM8(シード(Seed)(1987年)、Nature第329:840頁)およびpMT2PC(カウフマン(Kaufman)ら、(1987年)EMBO J.第6:187〜195頁)が含まれる。哺乳動物細胞内で使用される場合、発現ベクターの制御機能は往々にしてウイルス調節要素により提供される。例えば、一般的に使用されるプロモータは、ポリオーマ、アデノウイルス2、サイトメガロウイルスおよびシミアンウイルス40から誘導される。原核および真核の両方の細胞のために適したその他の発現系については、サンブルックら、上掲書の第16章および17章を参照のこと。
もう1つの実施形態においては、組換え型哺乳動物発現ベクターは、リンパ腫細胞(例えばマウス骨髄腫細胞)といったような特定の細胞型の中で優先的に核酸の発現を導く能力をもつ。特定の細胞型においては、核酸を発現するために組織特異的調節要素が使用される。組織特異的調節要素は当該技術分野において既知である。適切な組織特異的プロモータの制限的意味のない例としては、アルブミン・プロモータ(肝臓特異的;ピンカート(Pinkert)ら、(1987年)、Genes Dev.第1:268〜277頁)、リンパ系特異的プロモータ(カラム(Calame)およびイートン(Eaton)(1988年)、Adv.Immunol.第43:235〜275頁)、特に、T細胞レセプターのプロモータ(ウィノト(Winoto)およびバルチモア(Baltimore)(1989年)、EMBO J.第8:729〜733頁)および免疫グロブリン(バネルジ(Banerji)ら、(1983年)、Cell第33:729〜740頁;クイーン(Queen)およびバルチモア(1983年)、Cell第33:741〜748頁)、ニューロン特異的プロモータ(例えば、ニューロフィラメントプロモータ;バーン(Byrne)およびラッドル(Ruddle)(1989年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA第86:5473〜5477頁)、膵臓特異的プロモータ(エドランド(Edlund)ら、(1985年)、Science、第230:912〜916頁)、および乳腺特異的プロモータ(例えば、乳清プロモータ
;米国特許第4,873,316号明細書および欧州特許出願公開第264,166号明細書)が含まれている。例えば、マウスホックス(hox)プロモータ(ケッセル(Kessel)およびグラス(Gruss)(1990年)Science第249:374〜379頁)およびα−フェトタンパク質プロモータ(カンペルス(Campes)およびティルマン(Tilghman)(1989年)Genes Dev.第3:537〜546頁)などにより、発生学的に調節されているプロモータも包含されている。
本発明はさらに、アンチセンス配向で発現ベクター内にクローニングされたDNA分子を含む組換え型発現ベクターを提供する。すなわち、DNA分子は、ポリペプチドをコートするmRNAに対しアンチセンスであるRNA分子の(DNA分子の転写による)発現を可能にするような形で調節配列に作動的に連結されている。さまざまな細胞型内でアンチセンスRNA分子の連続的発現を導くアンチセンス配向でクローニングされた核酸に作動的に連結された調節配列を選択することができる。例えば、アンチセンスRNAの構成性、組織特異的または細胞型特異的発現を導くウイルスプロモータおよび/またはエンハンサまたは調節配列を選択することができる。アンチセンス発現ベクターは、ベクターが導入される細胞型によって活性が決定され得る、内部で高効率調節領域の制御下でアンチセンス核酸が産生される弱毒化ウイルス、組換え型プラスミド、ファージミド(phagemid)の形をしている可能性がある。アンチセンス遺伝子を用いた遺伝子発現の調節の論述については、ワイントローブ(Weintraub)ら、「Reviews−Trends
in Genetics」、第1巻(1)、1986年)を参照のこと。
骨髄腫細胞のクローニングおよび発現
cM−T412(その全体が参照により援用されている欧州特許第0511308号明細書)として知られているヒトCD4に対するキメラマウス/ヒトIgG1Kモノクローナル抗体が、トランスフェクションを受けた骨髄腫細胞内で高レベルに発現されることが観察された(ルーニー(Looney)ら、1992年、Hum Anitibodies Hybridomas、第3(4):191〜200頁)。培養条件を最適化するのに多大な努力を払うことなく、500mg/Lを超える生産レベル(一日細胞個あたりのpgに基づく比生産性はわかっていない)が、1990年ペンシルバニア州Malvernのセントコール(Centocor、Inc)で容易に得られた。これらの発現ベクターの構成要素をベースとして、遺伝子プロモータ/転写開始核酸配列、5’未翻訳配列および翻訳開始核酸配列、シグナル配列をコードする核酸配列、シグナルイントロンおよびJ−Cイントロンのためのイントロン/エキソンスプライスドナー配列、およびJ−Cイントロンエンハンサ核酸配列を含めた、HCおよびLCクローニングにとって有用な抗体クローニングベクターが開発された。pUC19プラスミドであるプラスミドp139は、全マウスM−T412Abを分泌するC123ハイブリドーマ細胞からクローニングされた5.8kbのEcoRI−EcoRIゲノミックフラグメントを含有し、該フラグメントは、cM−T412HC遺伝子のV領域部分およびプロモータを含有する。LCV領域ベクター工学処理用の出発材料は、C123ハイブリドーマからクローニングされた3kbのHindIII−HindIIIゲノミクフラグメントを含有するpUCプラスミドであるプラスミドp39であった。このフラグメントはcM−T412LC遺伝子のV領域部分およびプロモータを含有する。P139およびp39から誘導された工学処理済みベクターは、1)V領域ベクター内の特異的に調製された制限部位間で問題の配列をコードするDNAをクローニングし、かくして、V領域コーディング配列がベクターコードされたシグナル配列のすぐ下流側ならびに遺伝子プロモータの一部分または全部の下流側に位置づけされることになる工程;および2)V領域ベクターからC領域ベクターまで適正な配位で挿入済み配列全体にわたるフラグメントを移送し、かくして、結果として得られたプラスミドが細胞内での発現に適した最終的発現プラスミドを構成することになる工程を伴う2段階プロセスにおいて哺乳動物宿主細胞内で発現するのに適したHCまたはLC遺伝子の適切な組立てを可能にするように設計された(スカロン(Scallon
)ら、1995年、Cytokine第7(8):759〜769頁)。
CHO細胞内でのクローニングおよび発現
プラスミドpC4は、プラスミドpSV2−dhfr(ATCC登録番号第37146号)の誘導体である。該プラスミドは、SV40早期プロモータの制御下でマウスDHFR遺伝子を含有する。これらのプラスミドでトランスフェクトされ、ジヒドロ葉酸活性が欠如したチャイニーズハムスタの卵巣またはその他の細胞を、化学療法剤メトトレキサートで補足された選択培地(例えば、アルファマイナスMEM、メリーランド州Gaithersburgのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies))の中で細胞を成長させることによって選択することができる。メトトレキサート(MTX)に対する耐性をもつ細胞内のDHFR遺伝子の増幅は、充分に立証されてきた(例えば、F.W.アルト(Alt)ら、J.Biol.Chem.第253:1357〜1370頁(1978年);J.L.ハムリン(Hamlin)およびC.マー(Ma)、Biochem.et Biophys.Acta第1097:107〜143頁(1990年);およびM.J.ペイジ(Page)およびM.A.シンデナム(Sydenham)、Biotechnology第9:64〜68頁(1991年)を参照のこと)。増大する濃度のMTX中で成長させられた細胞は、DHFR遺伝子の増幅の結果として標的酵素DHFRを過剰産生することにより、薬物に対する耐性を発生させる。第2の遺伝子がDHFR遺伝子に連結される場合、それは通常同時増幅され過剰発現される。当該技術分野においては、増幅された遺伝子1000コピー超を担持する細胞系列を発生させるためにこのアプローチを使用できることがわかっている。その後、メトトレキサートが引き抜かれた時点で、宿主細胞の1個もしくはそれ以上の染色体の中に組込まれた増幅された遺伝子を含有する細胞系列が得られる。
プラスミドpC4は、問題の遺伝子を発現するために、ラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)の強いプロモータ(カレン(Cullen)ら、Molec.Cell.Biol.第5:438〜447(1985年))とヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期遺伝子のエンハンサから単離されたフラグメント(ボシャート(Boshart)ら、Cell第41:521〜530頁(1985年))を含有している。該プロモータの下流側には、遺伝子の組込みを可能にするBamHI、XbaI、およびAsp718制限部位がある。これらのクローニング部位の後ろに、該プラスミドは、ラットプレプロインシュリン遺伝子の3’イントロンおよびポリアデニル化部位を含んでいる。発現のためには、ヒトb−アクチンプロモータ、SV40早期または晩期プロモータまたはHIVおよびHTLVIなどのその他のレトロウイルスからの長末端反復といったその他の高効率プロモータを使用することもできる。哺乳動物細胞内で調節された形でMCP−1抗体を発現するためには、クローンテック社のテットオフ(Tet−Off)およびテットオン(Tet−On)遺伝子発現系および類似の系を使用することができる(M.ゴッセン(Gossen)およびH.ブジャール(Bujard)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA第89:5547〜5551頁(1992年))。mRNAのポリアデニル化のためには、例えばヒト成長ホルモンまたはグロビン遺伝子からのその他のシグナルを使用することもできる。
抗体産生用の宿主細胞
本発明の少なくとも1つの抗MCP−1抗体は、当該技術分野において周知の通りの細胞系列、混合細胞系列、不死化細胞または不死化細胞のクローン集団によって場合により産生され得る。例えば各々全体が本明細書に参照により援用されている、アウスベルら編、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley & Sons、Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1987〜2004年);サンブルックら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」)、第2版、Cold Spring Harb
or、ニューヨーク(1989年);ハーロウおよびレーン、「Antibodies、a Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(1989年);コリガンら編、「Current Protocols in Immunology」、John Wiley & Sons、Inc.、ニューヨーク(1994〜2004年);コリガンら、「Current Protocols in Protein Science」、John Wiley & Sons、ニューヨーク州ニューヨーク(1997〜2004年)を参照のこと。
生物薬剤学製品を生産するためには、組換え型ポリペプチドの効率の良い再生可能な発現の能力ある生産細胞系列が必要とされる。該細胞系列は安定していて確かなものである。この目的でさまざまな宿主細胞を利用することができる。細胞機構いかに生物療法製品の最終的量および組成物に影響を及ぼすかという複雑さを理解するにつれて、製品の生産および組成に対し必要な属性を付与することになる宿主細胞系列の選択はより明白なものとなる。
連続的ゲノミックDNA配列から転写される大部分の遺伝子とは異なり、抗体遺伝子は、生殖細胞系内で広く分離され得る遺伝子セグメントから組立てられる。特に、抗体の可変(V)、多様性(D)および接合(J)/定常(C)領域をコードする3つのゲノミックセグメントの組合せにより、重鎖遺伝子が形成される。
V領域をコードするものとJ/C領域をコードするものという2つの遺伝子セグメントを接合することにより、機能的軽鎖遺伝子が形成される。重鎖およびカッパ軽鎖遺伝子座の両方が、1000kbをはるかに超えて広がると推定される数多くのV遺伝子グメント(推定値は100sと1000sの間で変動する)を含む。これとは対照的に、ラムダ遺伝子座は、はるかに小さく、マウス内の染色体16上で約300kbにわたることが示されてきた。それは、2つの可変遺伝子セグメントと4つの接合/定常(J/C)領域遺伝子セグメントから成る。機能的遺伝子の形成には、VおよびJ/C要素の間の組換えが必要である。
抗体が自然に生産されるB細胞の中では、再配置重鎖およびカッパ軽鎖遺伝子の両方の転写の制御がV領域の上流側の組織特異的プロモータおよびJ−Cイントロン内にある組織特異的エンハンサの活性に共に左右される。これらの要素は相乗的に作用する。同様に第2のB細胞特異的エンハンサが、カッパ軽鎖遺伝子座内で同定されてきた。このさらなるエンハンサは、Ckappaの下流側の9kbのところに位置設定されている。かくして、抗体発現遺伝子を不死化するハイブリドーマ方法は、親B細胞系統の内因性プロモータおよびエンハンサ配列に依存している。代替的には、本発明の核酸は、本発明の抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で(操作により)オン切換えすることにより宿主細胞中で発現され得る。かかる方法は、例えばその全体が本明細書に参照により援用されている米国特許第5,580,734号明細書、同第5,641,670号明細書、同第5,733,746号明細書および同第5,733,761号明細書中で記載されている通り、当該技術分野において周知である。
人工ベクター内への抗体ゲノミックDNAのクローニングは、抗体発現能力をもつ宿主細胞を作り上げるもう1つの方法である。しかしながら、強いプロモータの後ろでのモノクローナル抗体の発現は、高生産性細胞系列を同定しモノクローナル抗体のより高い収量を得る確率を増大させる。本発明の抗体は、例えば、当該技術分野において周知であるように(例えば、モリソン、S.(1985年)Science第229:1202頁)組換え型DNA技術および遺伝子トランスフェクション方法の組合せを用いて宿主細胞トランスフェクトーマの中で生産され得る。
異なるさまざまな宿主細胞中の抗体を含む生物薬品のクローニングおよび発現のための系は周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母およびバキュロウイルス系およびトランスジェニック植物および動物が含まれる。非相同ポリペプチド無傷グリコシル化タンパク質の発現のための当該技術分野において利用可能な哺乳動物細胞系列としては、チャイニーズハムスタ卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎細胞(BHK)、NSOマウス黒色腫細胞および誘導された細胞系列、例えばSP2/0、YB2/0(ATC CRL−1662)ラット骨髄腫細胞、ヒト胚腎臓細胞(HEK)、ヒト胚網膜細胞PerC.6細胞、hep G2細胞、BSC−1(例えばATCC CRL−26)および例えばバージニア州Manassasのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture
Collection)、(www.atcc.org)から入手可能なその他の数多くのものが含まれる。一般的な好ましい細菌宿主細胞は、大腸菌である。
非相同遺伝子の安定した発現のためには、CHO細胞、骨髄腫細胞、HEK293細胞、BHK細胞(BHK21、ATCC CRL−10)、マウスLtk−細胞およびNIH3T3細胞といったような哺乳動物細胞が用いられることが多かった。これとは対照的に、Cos(COS−1 ATCC CRL1650;COS−7、ATCC CRL−1651)およびHEK293といったような細胞系列が、組換え型タンパク質の過渡的な発現のために日常的に用いられる。
本発明の組換え型抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞としては、その高い発現速度のため、Sp2/0、YB2/0(ATC CRL−1662)、NSOおよびP3X63.Ag8.653(例えば、SP2/0−Ag14)といったような骨髄腫細胞がある。特に、NSO骨髄腫細胞について使用するためのもう1つの好ましい発現系は、国際公開第87/04462号パンフレット、国際公開第89/01036号パンフレットおよび欧州特許第338,841号明細書において開示されているGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする組換え型発現ベクターが哺乳動物宿主細胞内に導入された時点で、宿主細胞内での抗体の発現またはより好ましくは該宿主細胞が内部で成長させられる培地内への抗体の分泌を可能にするのに充分な時間宿主細胞を培養することによって、抗体が産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製方法を用いて培地から回収可能である。
抗体、その特定された部分または変異体の産生にとって有用な細胞培養の一例としては哺乳動物細胞がある。哺乳動物細胞系は、細胞の単層の形をとることが多いが、哺乳動物細胞の懸濁液またはバイオリアクタも同様に使用可能である。
当該技術分野においては、無傷のグリコシル化タンパク質を発現する能力をもつ数多くの適切な宿主細胞系列が開発されており、これには例えば、バージニア州Manassasのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(www.atcc.org)から容易に入手可能なCOS−1(例えば、ATCC CRL1650)、COS−7(例えば、ATCC CRL−1651)、HEK293、BHK21(例えば、ATCC CRL−10)、CHO(例えば、ATCC CRL1610)およびBSC−1(例えば、ATCC CRL−26)細胞系、Cos−7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0−Ag14、293細胞、HeLa細胞など、が含まれる。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫およびリンパ腫細胞といったようなリンパ由来の細胞が含まれる。特に好ましい宿主細胞はP3X63Ag8.653細胞(ATCC登録番号CRL−1580)およびSP2/0−Ag14細胞(ATCC登録番号CRL−1851)である。
問題の遺伝子の増幅は、例えば薬物メトトレキサート(MTX)を用いた選択可能かつ
増幅可能なマーカーDHFRの取込みによって可能になることから(R.J.カウフマン、1990年、Methods Enzymol.、第185:537〜566頁)、高レベルのタンパク質産生のためには、CHO−K1およびDHFR−CHO細胞DG44およびDUK−B11(G.ウアラウプ(Urlaub)、L.A.チェイシン(Chasin)、1980年、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.第77、4216〜4220頁)が使用される。高レベルで組換え型mAbsを産生するためには、DHFRCHO細胞を使用するとうまくいく。DHFRCHOは、一日10 個の細胞あたり80〜110mgまたは200mg超の速度でant−MCP−1抗体を産生し得る。例えばb−アクチンプロモータ、ヒトCMV MIEプロモータ、Adウイルス主要晩期プロモータ(MLP)、RSVプロモータおよびマウス白血病ウイルスLTRといったさまざまなプロモータが、これらのCHO細胞内でのH鎖およびL鎖
の発現を得るために使用されてきた。mAb発現のための数多くのベクターが文献中で記述されており、ここでは、独立した選択可能/増幅可能なマーカーと共に2つの異なるプラスミドにより2つのIg鎖が提供されている。DHFRマーカーに連結されたH鎖およびNeoマーカーを伴うL鎖発現カセットなどの1つの抗体鎖またはその反対を含有するベクターを用いて、スピナーフラスコ内で7日1Lあたり最高180mgのヒト化mAbを得ることができる。初期選択およびその後の増幅のために用いられる方法は変えることができ、当業者にとって周知のものである。一般に、以下の工程を用いて、高レベルのmAb発現を得ることができる:すなわち、候補クローンの初期選択およびその後の増幅、同時選択(例えばH鎖およびL鎖発現ベクターの両方がDHFR発現単位を担持している場合)および増幅、異なる増幅可能マーカーを用いた同時増幅、および大量培養中の初期選択および増幅とそれに続く個々の高発現クローンを同定するための希釈クローニング。組込み部位がH鎖およびL鎖の発現および全体的mAb発現の効率に影響を及ぼし得ることから、2つのIg鎖発現単位が縦一列に置かれている単一のベクターが作り出された。これらのベクターは同様に、NeoおよびDHFR発現カセットといったような優勢選択可能マーカーを担持している。再考のためには、ガングリー(Ganguly)、S.およびA.シャッツマン(Shatzman)、「Expression Systems、mammalian cells」、1999年、John Wiley
& Sons、Incによる「Encyclopedia of Bioprocess Technology:Fermentation、Biocatalysis、and Bioseparation」を参照のこと。
コケット(Cockett)ら、(1990年、Bio/Technology第8、662〜667頁は、CHO細胞中での非相同遺伝子の高レベル発現のためのGS系を開発した。CHO−K1細胞内への(hCMVプロモータの転写制御下での)cDNAおよび(SV40晩期プロモータの制御下での)GSミニ遺伝子を含有する発現ベクターのトランスフェクション(とそれに続く20mM〜500mMのMSXでの選択)を用いて、DHFR−CHO系のものと比較可能な収率で本発明の抗体を発現するクローンを生成することができる。GS系については欧州特許第0,216,846号明細書、同第0,256,055号明細書および同第0,323,997号明細書および欧州特許出願第89303964.4号明細書に関連して、全体的にまたは部分的に論述される。
制限的意味のない例としては、例えば誘発可能なプロモータを用いて、組換え型タンパク質を大量に提供するべく、組換え型タンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉が成功裡に用いられてきた。例えばクラマー(Cramer)ら、Curr.Top.Microbol.Immunol.第240:95〜118頁(1999年)およびその中で引用された参考文献を参照のこと。同様に、トランスジェニックトウモロコシを用いて、その他の組換え型系の中で産生されるかまたは天然の供給源から精製されたものと等価の生物活性で、商業的生産レベルで哺乳動物タンパク質が発現されてきた。例えば、フード(Hood)ら、Adv.Exp.Med.Biol.第464:127〜14
7頁(1999年)およびその中で引用されている参考文献を参照のこと。タバコの種子およびジャガイモ塊茎を含めた1本鎖抗体(scFv’s)といったような抗体フラグメントを含むトランスジェニック植物種子からも同様に大量に抗体が生産されてきた。例えばコンラッド(Conrad)ら、Plant Mol.Biol.第38:101〜109頁(1998年)およびその中で引用されている参考文献を参照のこと。かくして、本発明の抗体は、既知の方法に従ってトランスジェニック植物を用いて生産することも可能である。例えば、フィッシャー(Fischer)ら、Biotechnol.Appl.Biochem.第30:99〜108頁(Oct.、1999年)、マーら、Trends Biotechnol.第13:522〜7頁(1995年);マーら、Plant Physiol.第109:341〜6頁(1995年);ホワイトラム(Whitelam)ら、Biochem.Soc.Trans.第22:940〜944頁(1994年);およびその中で引用されている参考文献も参照のこと。同様に、抗体の植物発現について一般的には(ただし制限的な意味なく)米国特許第5959177号明細書を参照のこと。上述の参考文献の各々はその全体が本明細書に参照により援用されている。
5.抗体の精製
プロテインA精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィ、ホスホセルロースクロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、親和性クロマトグラフィ、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィおよびレクチンクロマトグラフィを含めた(ただしこれらに限定されるわけではない)周知の方法により、組換え型細胞培養から、抗MCP−1抗体を回収し精製することができる。精製には高性能液体クロマトグラフィ(「HPLC」)を利用することもできる。例えば各々その全体が本明細書に参照により援用されているコリガン、「Current Protocols in Immunology」または「Current Protocols in Protein Science」、John Wiley & Sons、ニューヨーク州ニューヨーク、(1997〜2001年)の例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照のこと。
本発明の抗体には、天然に精製された生成物、化学合成手順の生成物、および例えば酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含めた真核生物宿主から組換え技術により生産された生成物が含まれる。組換え生産手順において利用される宿主に応じて、本発明の抗体は、グリコシル化されていてもいなくてもよいが、グリコシル化抗体が好まれる。かかる方法については、その全てが本明細書中に参照により援用されている、サンブルック、上掲書、第17.37−17.42節;アウスベル、上掲書、第10、12、13、16、18および20章、コリガン、「Protein Science」、上掲書、第12−14章、といったような数多くの標準的実験室マニュアルの中で記載されている。
6.発明の抗体
本発明の方法および組成物において有用な抗MCP−1抗体(抗−CCL−2抗体またはMCP−1抗体とも呼ばれる)は、場合により、MCP−1に対する高い親和性結合、MCP−1に対するきわめて特異的な結合、MCP−1と結びつけられた生物活性のうち1個もしくはそれ以上のものを阻害する能力そして場合によりかつ好ましくは低い毒性を有すること、によって特徴づけされ得る。
本発明の抗体は、広範囲の親和性(K)で、ヒトMCP−1と結合し得る。好ましい実施形態においては、本発明の少なくとも1つのヒトmAbが場合により高い親和性でヒトMCP−1を結合させる。例えば、ヒトmAbは、0.1〜9.9(または任意の範囲またはその中の値)×10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13または任意の範囲またはその中の値といったような(ただしこれらに限
定されるわけではない)、約10−7M以下のKでヒトMCP−1を結合させることができる。
1抗原についての1抗体の親和性または結合力は、任意の適切な方法を用いて経験的に決定可能である(例えば、ベルゾフスキー(Berzofsky)ら、「Fundamental Immunology」中の「Antibody−Antigen Interactions」、Paul、W.E.、Ed.、Raven Press:ニューヨーク州ニューヨーク(1984年);クビー(Kuby)、ジャニス(Janis)、「Immunology」、W.H.Freeman and Company:ニューヨーク州ニューヨーク(1992年);および本明細書中に記載されている方法を参照のこと)。特定の抗体−抗原相互作用の測定された親和性は、異なる条件(例えば塩濃度、pH)下で測定された場合に変動し得る。かくして、親和性およびその他の抗原結合パラメータ(例えばK、K、K)の測定は好ましくは、標準化された抗体および抗原の溶液および標準化された緩衝液例えば本明細書中に記述された標準溶液および緩衝液を用いて行なわれる。
本発明の単離された抗体は、任意の適切なポリヌクレオチドによってコードされた本明細書で開示されている抗体アミノ酸配列または任意の単離または調製された抗体を含んでなる。好ましくは、ヒト抗体または抗原結合フラグメントはヒトMCP−1を結合させ、かくして、部分的または実質的に該タンパク質の少なくとも1つの生物活性を中和する。少なくとも1つのMCP−1タンパク質またはフラグメントの少なくとも1つの生物活性を部分的にまたは好ましくは実質的に中和する抗体またはその特定された部分または変異体は、該タンパク質またはフラグメントを結合させかくしてMCP−1のMCP−1レセプターに対する結合を通してかまたはその他のMCP−1依存性または媒介型機序を通して媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用される「中和抗体」という用語は、MCP−1依存性活性を約20〜120%、好ましくは検定に応じて少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%以上だけ害できる抗体のことを意味する。MCP−1依存性活性を阻害する抗MCP−1抗体の能力は、好ましくは、本明細書に記載されている通りおよび/または当該技術分野において知られている通り、少なくとも1つの適切なMCP−1タンパク質またはレセプター検定によって査定される。本発明のヒト抗体は、あらゆるクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)またはイソタイプのものであり得、カッパまたはラムダ軽鎖を含んでなることができる。一実施形態においては、ヒト抗体は例えばイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のうちの少なくとも1つといったIgG重鎖または画定されたフラグメントを含んでなる。このタイプの抗体は、トランスジェニックマウスまたは、本明細書に記載されているかつ/または当該技術分野において既知の通りの少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgAおよびIgM(例えばγ1、γ2、γ3、γ4))導入遺伝子を含むその他のトランスジェニック非ヒト哺乳動物を用いることによって調製可能である。もう1つの実施形態においては、抗ヒトMCP−1ヒト抗体はIgG1重鎖およびIgG1軽鎖を含んでなる。
本発明の少なくとも1つの抗体は、少なくとも1つのMCP−1タンパク質、そのフラグメント、一部分または任意の組合せに特異的な少なくとも1つの特定されたエピトープを結合させる。該少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含んでなる少なくとも1つの抗体結合領域を含んでなり得、このエピトープは好ましくは、配列番号1の連続するアミノ酸の少なくとも1〜3個のアミノ酸から特定された部分全体で構成されている。
一般に、本発明のヒト抗体または抗原結合フラグメントは、少なくとも1つのヒト相補
性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)または少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体および少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)または少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含んでなる抗原結合領域を含んでなることになる。制限的意味のない例としては、抗体または抗原結合部分または変異体は、配列番号9または12のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3および/または配列番号15〜17、20または21のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3のうちの少なくとも1つを含んでなることができる。特定の一実施形態においては、抗体または抗原結合フラグメントは、対応するCDR1、2および/または3のアミノ酸配列(例えば配列番号6〜12および/または22、23および26)を有する少なくとも1つの重鎖CDR(すなわちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部分を含んでなる抗原結合領域を有することができる。もう1つの特定の実施形態においては、抗体または抗原結合部分または変異体は、対応するCDR1、2および/または3のアミノ酸配列(例えば配列番号13〜21および/または24および25)を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわちCDR1、CDR2および/またはCDR3)の少なくとも一部分を含んでなる抗原結合領域を有することができる。好ましい実施形態においては、抗体または抗原結合フラグメントの3つの重鎖CDRおよび3つの軽鎖CDRは、本明細書に記載されている通りのFab MOR0336、MOR03464、MOR03468、MOR03470、MOR03471、MOR03473、MOR03548のうちの少なくとも1つのものの対応するCDRから誘導されたアミノ酸配列およびVH3抗体から誘導された重鎖フレームワーク領域(配列番号2)およびカッパ型抗体から誘導された軽鎖フレームワーク領域(配列番号4)を。かかる抗体は、従来の技術を用いて抗体のさまざまな部分(CDRおよびフレームワーク)を化学的に接合させることによってかまたは、組換え型DNA技術の従来の技術を用いて抗体をコードする核酸分子を調製し発現させることによってか、またはその他の適切な任意の方法を用いることによって調製可能である。
抗MCP−1抗体は、フレームワーク領域内に画定されたアミノ酸配列を有する重鎖または軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含んでなり得る。例えば、好ましい実施形態において、抗−MCP−1抗体は、場合により配列番号2または3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可変領域および/または場合により配列番号4または5のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含んでなる。
抗体のクラスまたはイソタイプ(IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgM)は、重鎖定常領域遺伝子によりコードされる定常領域によって付与される。ヒトIgGクラスの中には、最高から出発して最低まで血清中のその天然の存在度の順に命名されたIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4という4つのサブクラスまたはサブタイプが存在する。IgA抗体は、IgA1およびIgA2という2つのサブクラスとして見出される。本明細書で使用されるような「イソタイプスイッチング」という用語も、IgGサブクラスまたはサブタイプの間での変更を意味している。
本発明は同様に、本明細書に記載されているアミノ酸配列と実質的に同じである配列内のアミノ酸を含む抗体、抗原結合フラグメント、免疫グロブリン鎖およびCDRにも関する。好ましくは、のような抗体または抗原結合フラグメントおよびかかる鎖またはCDRを含んでなる抗体は、高い親和性(例えば約10−9M以下のK)で、ヒトMCP−1を結合させることができる。本明細書に記載されている配列を実質的に同じであるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含んでなる配列を内含する。保存的アミノ酸置換というのは、第1のアミノ酸のものと類似した化学および/または物理的特性(例えば電荷、構造、極性、疎水性/親水性)をもつ第2のアミノ酸による第1のアミノ酸の置き換えを意味する。保存的置換には、リジン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパラギン(D)およびグルタミン(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシ
ン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G);F、WおよびY;C、SおよびTという群の中に入るもう1つのアミノ酸による1つのアミノ酸の置き換えが含まれる。
本発明の抗MCP−1抗体は、ヒト生殖系列遺伝子配列から誘導されVH1A、VH1B、VH2などと呼称されたファミリに配列親似性によっておよびカッパまたはラムダサブグループとして軽鎖により分類される可変領域についてクナピック(Knappik)ら、米国特許第6828422号明細書中で教示されているかまたは本明細書で特定されている通りの人間による操作または天然の突然変異のいずれかに由来する、1個もしくはそれ以上のアミノ酸置換、欠失または付加を内含し得る。これらの配列および本発明において使用可能なその他の配列としては、本明細書で教示されている通り本発明のIg誘導されたタンパク質の中でその一部分を使用することのできる、重鎖および軽鎖可変および定常ドメイン配列、フレームワーク、サブドメイン、領域および置換の例を示す、全体が本明細書に参照により援用されている2004年6月21日出願のPCT公報国際公開第05/005604号パンフレットおよび米国特許出願第10/872,932号明細書の図1〜42にさらに描かれている通り、表1に提示された立体配置が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
当業者が行なうと思われるアミノ酸置換の数は、上述のものを含めた数多くの要因により左右される。一般的に言うと、任意の与えられた抗MCP−1抗体、フラグメントまたは変異体についてのアミノ酸置換、挿入または欠失の数は、本明細書で規定されているように、1〜30またはその中の任意の範囲または値といったように40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1を超えないものとなる。
機能上不可欠である本発明の抗MCP−1抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発またはアラニン走査突然変位誘発といったような当該技術分野において既知の方法により同定可能である(例えば、アウスベル、上掲書、第8、15章;カニンガム(Cunningham)およびウェルズ(Wells)、Science第244:1081〜1085頁(1989年))。後者の手順は、分子内のすべての残基において単一アラニ
ン突然変異を導入する。次に、結果として得られた突然変異体分子が、例えば(ただしこれに制限されるわけではない)少なくとも1つのMCP−1中和活性といったような生物活性についてテストされる。抗体結合にとってきわめて重要である部位も又、結晶化、核磁気共鳴または光親和性標識といったような構造分析によって同定可能である(スミス(Smith)ら、J.Mol.Biol.第224:899〜904頁(1992年)およびデボス(de Vos)ら、Science第255:306〜312頁(1992年))。
本発明の抗―MCP−1抗体は、配列番号2〜5および27〜8のうちのいずれか1つのものの連続するアミノ酸のうちの5個乃至全てのアミノ酸から選択された少なくとも1つの部分、配列または組合せを含むことができるが、これらに限定されるわけではない。
抗MCP−1抗体はさらに、場合により、配列番号27および28のうちの少なくとも1つの配列番号の1つのポリペプチドを含んでなる。一実施形態においては、免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列またはその一部分は、抗−MCP−1抗体の結合特異性を変えない保存的置換を除いて、配列番号27〜28の少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列に対する約100%の同一性を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列番号4または5の配列と比較可能であるか、そうでなければ、重鎖のアミノ酸配列を配列番号2または3と比較することができる。好ましくは、アミノ酸同一性は、当該技術分野で既知の通り、適切なコンピュータアルゴリズムを用いて決定される。
当業者であれば認識するように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性ある抗体が含まれている。生物活性ある抗体は、未変性(非合成)内因性または関連するおよび既知の抗体のものの少なくとも20%、30%または40%そして好ましくは少なくとも50%、60%または70%、かつ最も好ましくは少なくとも80%、90%または95%〜100%の比活性を有する。酵素活性および基質特異性の検定および定量化措置の方法は、当業者にとって周知であり、本明細書中に記載されている。
もう1つの態様においては、本発明は、有機部分の共有結合付着により修飾される本明細書に記載されている通りのヒト抗体および抗原結合フラグメントに関する。かかる修飾は、改善された薬学速度論的特性(例えば増大したインビボ血清半減期)をもつ抗体または抗原結合フラグメントを生成することができる。有機部分は、線形または有枝親水性重合体基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。特定の実施形態においては、該親水性重合体基は、約800〜約120000ダルトンの分子量を有することができ、ポリアルカングリコール(例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物重合体、アミノ酸重合体またはポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸または脂肪酸エステル基は、約8個〜約40個の炭素原子を含むことができる。
本発明の修飾済み抗体および抗原結合フラグメントは、抗体に対し直接または間接的に共有結合される1個もしくはそれ以上の有機部分を含んでなることができる。本発明の抗体または抗原結合フラグメントに結合した各々の有機部分は、独立して、親水性重合体基、脂肪酸基または脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で使用されている「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸およびジカルボン酸を包含する。本明細書で使用されている「親水性重合体基」という用語は、オクタン中よりも水中でより溶解度が高い有機重合体を意味する。例えば、ポリリシンは、オクタン中よりも水中でさらに溶解度が高い。かくして、ポリリシンの共有結合付着により修飾された抗体が、本発明により包含されている。本発明の抗体を修飾するのに適した親水性重合体は、線形または有枝であり得、たとえばポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ−ポリエチレンングリコール
(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖類など)、親水性アミノ酸の重合体(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸塩など)、酸化ポリアルカン(例えば、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレンなど)およびポリビニルピロリドンを内含する。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性重合体は、別の分子的実体として約800〜約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000およびPEG20,000(なおここで下付き文字はダルトン単位の重合体の平均分子量である)が使用可能である。親水性重合体基は、1個乃至約6個アルキル、脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換可能である。脂肪酸または脂肪酸エステル基で置換される親水性重合体は、適切な方法を用いることによって調製可能である。例えば、アミン基を含む重合体を脂肪酸または脂肪酸エステルのカルボン酸塩にカップリングさせることができ、脂肪酸または脂肪酸エステル上の(例えばN、N−カルボニルジイミダゾールで活性化された)活性化カルボン酸塩を重合体上のヒドロキシル基にカップリングさせることができる。
本発明の抗体を修飾するのに適した脂肪酸および脂肪酸エステルは飽和可能であり、そうでなければ1個もしくはそれ以上の不飽和単位を含有し得る。本発明の抗体を修飾するのに適した脂肪酸には、例えばn−ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n−テトラデカン酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n−オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、n−エイコサン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、n−ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸塩)、n−トリアコンタン酸塩(C30)、n−テトラコンタン酸塩(C40)、cis−Δ9−オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのcis−Δ5,8,11,14−エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸、などが含まれる。適切な脂肪酸エステルには、線形または有枝低級アルキル基を含むジカルボン酸モノエステルが含まれる。低級アルキル基は1個乃至約12個、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含み得る。
1個もしくはそれ以上の修飾剤との反応などにより適切な方法を用いて、修飾済みヒト抗体および抗原結合フラグメントを調製することができる。本明細書で使用される「修飾剤」という用語は、活性化基を含んでなる適切な有機基(例えば親水性重合体、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」というのは、適切な条件下で第2の化学基と反応しかくして修飾剤と第2の化学基の間に共有結合を形成することのできる化学部分または官能基である。例えば、アミン反応性活性化基は、トシラート、メシラート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などといったような求電子基を内含する。チオールと反応し得る活性化基は、例えばマレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5−チオール−2−ニトロベンゼン酸チオール(TNB−チオール)などを内含する。アミンまたはヒドラジド含有分子に対しアルデヒド官能基をカップリングさせることができ、アジド基が、3価のリン基と反応してホスホルアミダートまたはホスホルイミド連結を形成することができる。分子中に活性基を導入するための適切な方法が、当該技術分野において既知である(例えばハーマンソン(Hermanson)、G.T.、「Bioconjugate
Techniques」、Academic Press:カリフォルニア州San Diego(1996年)を参照のこと)。有機基(例えば親水性重合体、脂肪酸、脂肪酸エステル)に対して直接、或いはリンカー部分例えば2価のC−C12基(なおここで1個もしくはそれ以上の炭素原子を酸素、窒素または硫黄といったようなヘテロ原子で置き換えることができる)を通して、活性化基を結合させることができる。適切なリンカー部分としては例えば、テトラエチレングリコール、−(CH−、−NH−(CH−NH−、−(CH−NH−およびCH−O−CH−CH−O−CH−CH−O−CH−NH−が含まれる。リンカー部分を含む修飾剤は例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下でモノ−Boc−アルキルジアミン(例えばモノ−Boc−エチレンジアミン、モノ−Boc−ジ
アミノへキサン)を脂肪酸と反応させて遊離アミンと脂肪酸カルボキシラートの間のアミド結合を形成することによって、生産可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(TFA)での処理により生成物から除去し、記載されている通りもう1つのカルボン酸塩にカップリングされ得る一級アミンを露出させることができ、そうでなければこれを無水マレイン酸と反応させ、結果として得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる(例えばその教示全体が本明細書に参照により援用されている、トンプソン(Thompson)ら、国際公開第92/16221号パンフレットを参照のこと)。
本発明の修飾された抗体は、修飾剤とヒト抗体または抗原結合フラグメントを反応させることによって生産可能である。例えば、PEGのNHSエステルといったアミン反応性修飾剤を利用することによって、有機部分を非部位特異的に抗体に結合させることができる。抗体または抗原結合フラグメントのジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元させることによって、修飾済みヒト抗体または抗原結合フラグメントを調製することもできる。このとき、還元された抗体または抗原結合フラグメントをチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を産生させることが可能である。本発明の抗体の特異的部位に結合された有機部分を含んでなる修飾済みヒト抗体および抗原結合フラグメントを、逆タンパク質分解(フィッシュ(Fisch)ら、Bioconjugate Chem.第3:147〜153頁(1992年);ワーレン(Werlen)ら、Bioconjugate Chem.第5:411〜417頁(1994年);クマラン(Kumaran)ら、Protein Sci.第6(10):2233〜2241頁(1997年);イトウ(Itoh)ら、Bioorg.Chem.第24(1):59〜68頁(1996年);カペラス(Capellas)ら、Biotechnol.Bioeng.第56(4):456〜463頁(1997年))およびハーマンソン、G.T.、「Bioconjugate Techniques」、Academic Press:カリフォルニア州San Diego(1996年)に記載されている方法といったような適切な方法を用いて調製することが可能である。
7.抗MCP−1抗体に対する抗イディオタイプ抗体
モノクローナルまたはキメラ抗−MCP−1抗体に加えて、本発明は同様に、本発明のかかる抗体に特異的な抗イディオタイプ(抗−Id)抗体にも向けられている。抗Id抗体は、一般にもう1つの抗体の抗原結合領域と会合されたユニーク決定基を認識する抗体である。抗Idは、抗体またはそのCDR含有領域を伴うId抗体の供給源と同じ種および遺伝子型(例えばマウス株)の動物を免疫化することによって調製可能である。免疫化された動物は、免疫化抗体のイディオタイプ決定基を認識しこれに応答し、抗Id抗体を産生する。抗Id抗体は同様に、さらにもう1つの動物の体内で免疫応答を誘発し、いわゆる抗−抗−Id抗体を産生するための「免疫原」としても使用可能である。
8.さらなる治療活性ある成分を含んでなる抗体組成物
組成物は、場合によりさらに、皮膚病薬、抗炎症薬、鎮痛剤、腎臓作用薬(例えばアンギオテンシンレセプター遮断薬(ARB)またはアンタゴニスト)、抗感染症薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、呼吸管薬、消化(GI)管作用薬、ホルモン薬、体液または電解質平衡作用薬、血液製剤、抗新生物薬、免疫調節薬、眼科耳鼻科薬、局所作用薬、栄養薬などのうちの少なくとも1つから選択された少なくとも1つの化合物またはタンパク質を有効量含んでなることができる。かかる薬物は、各々について本明細書で提示されている処方、適応症、用量決定および投与方法を含め、当該技術分野において周知のものである(例えば、各々その全体が本明細書に参照により援用されている「Nursing 2001 Handbook of Drugs」、第21版、ペンシルバニア州SpringhouseのSpringhouse Corp.、2001年;「Health Professional’s Dru
g Guide 2001」、シャノン(Shannon)、ウィルソン(Wilson)、スタング(Stang)編、ニュージャージー州Upper Saddle RiverのPrentice−Hall、Inc、;「Pharmacotherapy Handbook」、ウェルズら編、コネチカット州StamfordのAppleton
& Lange、を参照のこと)。
本発明の抗−MCP−1抗体組成物は、さらにその変調、治療または療法を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に対する少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含んでなり、場合によりさらに、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えば制限的な意味なく、TNF化学物質またはタンパク質アンタゴニスト、TNFモノクローナルまたはポリクローナル抗体またはフラグメント、可溶性TNFレセプター(例えばp55、p70またはp85)またはそのフラグメント、融合ポリペプチド、または小分子TNFアンタゴニスト例えばTNF結合タンパク質IまたはII(TBP−1またはTBP−II)、ネレリモンマブ、インフリキシマグ、エンテラセプト、CDP−571、CDP−870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋肉弛緩剤、睡眠薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔剤、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗菌剤)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連作用剤、ミネラル、栄養薬、甲状腺作用剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、便秘薬、抗凝血剤、エリスロポイエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポゲン(Neupogen))、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン(Leukine))、慢性閉塞性肺疾患(COPD)作用薬、抗線維症剤、予防接種、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲンレセプター調節物質、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、精神病治療薬、抗不安薬、催眠剤、交換神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、ベータアゴニスト、吸引ステロイド薬、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼアルファ(プルモザイム(Pulmozyme))、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択された少なくとも1つのものをさらに含んでなる組成物または薬学組成物(医薬組成物(pharmaceutical composition))を任意の適切な量および有効量のうちの少なくとも一方を含んでなり得る。かかるサイトカインの制限的意味のない例としては、IL−1〜IL−29のいずれかが含まれるが、これらに限定されるわけではない。適切な投与量は、当該技術分野において周知である。例えばその各々の参考文献各々の全体が本明細書に参照により援用されている、ウェルズら編、「Pharmacotheragy
Handbook」第2版、コネチカット州StamfordのAppleton and Lange、(2000年);「PDR
Pharmacopoeia」、「Tarascon Pocket Pharmacopoeia、2000」、豪華版、Tarascon Publishing、カリフォルニア州Loma Linda(2000年)、を参照のこと。
このような抗癌または抗感染薬は同様に、本発明の少なくとも1つの抗体と含合、結合、同時処方または同時投与される毒素分子をも内含することができる。毒素は場合により、選択的に病的細胞または組織を殺すように作用することができる。病的細胞は癌またはその他の細胞であり得る。かかる毒素は、例えばリシン、ジフテリア毒素、毒液毒素または細菌毒素のうちの少なくとも1つから選択された毒素の少なくとも1つの機能的細胞毒
性ドメインを含んでなる精製済みまたは組換え型毒素または毒素フラグメントであり得るが、これらに限定されるわけではない。毒素という用語は同様に、結果として死をもたらす可能性のある毒素ショックを含め、ヒトおよびその他の哺乳動物の体内で任意の病的状態をひき起こし得る任意の天然発生型、突然変異型または組換え型細菌またはウイルスにより産生される内毒素および外毒素の両方を内含する。かかる毒素は、腸管毒素産生大腸菌易熱性腸管毒素(LT)、耐熱性腸管毒素(ST)、赤痢菌細胞毒素、アエロモナス腸管毒素、毒素性ショック症候群毒素−1(TSST−1)、ブドウ球菌腸管毒素A(SEA)、B(SEB)またはC(SEC)、連鎖球菌腸管毒素などを内含し得るが、これらに限定されるわけではない。かかる細菌には腸管毒素産生大腸菌(ETEC)、腸管出血性大腸菌(例えば、0157:H7血清型菌株)、ブドウ球菌種(例えば、黄色ブドウ球菌、化膿性ブドウ球菌)、赤痢菌種(例えば、志賀赤痢菌、箕田赤痢菌、C群赤痢菌およびD群赤痢菌)、サルモネラ菌種(例えば、サルモネラ・チフィ(チフス菌)、サルモネラ・コレラスイス、サルモネラ・エンテリティディス(腸炎菌))、クロストリジウム種(例えば、クロストリジウム・パーフリンジェンス、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・ボツリナム(ボツリヌス菌))、カンフロバクター種(例えば、カンフロバクター・ジェジュニ、カンフロバクター・フェタス)、ヘリコバクター種、(例えば、ヘリコバクターピロリ)、アエロモナス種(例えば、アエロモナス・ソブリア、アエロモナス・ヒドロフィラ、アエロモナス・カビエ)、プレシオモナス・シゲロイデス、エルシニア・エンテロコリチカ、ビブリオ種(例えば、ビブリオ・コレレ、ビブリオ・パラヘモリティカス(腸炎ビブリオ))、クレブシエラ種、シュードモナス・アエルギノサ(緑膿菌)および連鎖球菌、といった種の菌株が含まれるが、これらに限定されるわけではない。例えば、その内容全体が本明細書に参照により援用されている例えば、スタイン(Stein)編、「INTERNAL MEDICINE」、第3版、1〜13頁、Little、Brown and Co.、ボストン、(1990年);エヴァンズ(Evans)ら編、「Bacterial Infections of Humans:Epidemiology and Control」、第2版、239〜254頁、Plenum Medical Book Co.、ニューヨーク(1991年);マンデル(Mandell)ら、「Principles and Practice of Infectious Diseases」、第3版、Churchill Livingstone、ニューヨーク(1990年);ベルコフ(Berkow)ら編、「The Merck Manual」、第16版、Merck and Co.、ニュージャージー州Rahway、1992年;ウッド(Wood)ら、FEMS Microbiology Immunology、第76:121〜134頁(1991年);マラック(Marrack)ら、Science、第248:705〜711頁(1990年)を参照のこと。
本発明の抗MCP−1抗体化合物、組成物または組合せはさらに、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、防腐剤、アジュバントなどといった(ただしこれらに限定されるわけではない)任意の適切な補助作用物質のうちの少なくとも1つを含んでなり得る。製薬学的に受容可能な助剤が好ましい。かかる無菌溶液の制限的意味のない例およびその調製方法は、ジェンナラ(Gennaro)編、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第18版、Mack Publishing Co.(ペンシルベニア州Easton)1990年といったように(ただしこれらに限定されるわけではない)、当該技術分野において周知である。当該技術分野において周知の通りまたは本明細書に記載されている通りの抗−MCP−1抗体、フラグメントまたは変異体組成物の投与様式、溶解度および/または安定性に適した製薬学的に受容可能な担体を、日常的に選択することができる。
当該組成物において有用な製薬学的賦形剤および添加剤には、単独でまたは組合せた形で1〜99.99重量%または体積%を構成する、単独でまたは組合せた形で存在し得る
タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖類、2糖類、3糖類、4糖類およびオリゴ糖;導体化された糖、例えばアルジトール、アルドン酸、エステル化糖など;および多糖類または糖重合体を含む糖)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。タンパク質賦形剤の例としては、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、組換え型ヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。緩衝能力においても機能しうる代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタームなどが含まれている。1つの好ましいアミノ酸はグリシンである。
本発明において使用するのに適した炭水化物賦形剤としては、例えば単糖類例えばフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなど;2糖類、例えばラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなど;多糖類、例えばラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、でんぷんなど;およびアルジトール、例えばマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどが含まれる。本発明において使用するための好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロースおよびラフィノースである。
抗MCP−1抗体組成物は同様に、緩衝液またはpH調整剤を内含し得る。標準的には、緩衝液は有機酸または塩基から調製された塩である。代表的緩衝液には有機酸塩例えばクエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸またはフタル酸の塩;トリス、塩酸トロメタミンまたはリン酸緩衝液が含まれる。当該組成物中で使用するための好ましい緩衝液は、クエン酸といったような有機酸塩である。
付加的には、本発明の抗MCP−1抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(重合体糖)、デキストラート(例えば、シクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)、ポリエチレンングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、静電防止剤、界面活性剤(例えば、ポリソルバート、例えば「トゥイーン20」および「トゥイーン80」)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、およびキレート剤(例えば、EDTA)といったような重合体賦形剤/添加剤を内含することができる。
本発明に従った抗MCP−1抗体、部分または変異体組成物の中で使用するために適したこれらのおよび付加的な既知の製薬学的賦形剤および/または添加剤は、例えばその開示全体が本明細書に参照により援用されている「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」、第19版、Williams & Williams、(1995年)、および「Physician’s Desk Reference」、第52版、Medical Economics、ニュージャージー州Montvale(1998年)に列挙されている通り、当該技術分野において既知のものである。好ましい担体または賦形剤材料は、炭水化物(例えば類およびアルジトール)および緩衝液(例えばクエン酸塩)または重合体剤である。
9.処方物
上述の通り、本発明は、製薬学的に受容可能な処方物中に少なくとも1つの抗−MCP−1抗体を含む、薬学または獣医学での使用に適した安定した処方物を提供する。
上述の通り、本発明は、包装材料および場合により水性希釈剤中の規定の緩衝液および/または防腐剤を伴う少なくとも1つの抗−MCP−1抗体の溶液を含んでなる少なくとも1つのバイアルを含んでなる製造品において、前記包装材料が、かかる溶液を1、2、
3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上の期間にわたり保持できることを記したラベルを含んでなる、製造品を提供している。本発明はさらに、包装材料、凍結乾燥された少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含んでなる第1のバイアルおよび規定の緩衝液または防腐剤の水性希釈剤を含んでなる第2のバイアル含んでなる製造品において、前記包装材料が、患者に対し水性希釈剤中で少なくとも1つの抗MCP−1抗体を復元して24時間以上の期間にわたり保持され得る溶液を形成するように指示するラベルを含んでなる、製造品を含んでなる。
本発明の製品中の少なくとも1つの抗MCP−1抗体の範囲には、湿潤/乾燥系内にある場合、復元した時点で約1.0μg/ml〜約1000mg/mlの濃度を生み出す量が含まれているが、さらに低いおよび高い濃度も操作可能であり、これは意図された送達ビヒクルによって左右され、例えば溶液処方物は経皮パッチ、肺、経粘膜または浸透圧またはマイクロポンプ方法とは異なることになる。
水性希釈剤は場合により、さらに、製薬学的に受容可能な防腐剤を含んでなる。好ましい防腐剤には、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはそれらの混合物から成る群から選択されるものが含まれる。処方中で使用される防腐剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は選択された防腐剤により左右され、当業者により容易に決定される。
その他の賦形剤例えば等張性剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤エンハンサを場合によりそして好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンといったような等張性剤が、既知の濃度で一般に使用される。改善されたpH制御を提供するべく、好ましくは生理的に寛容された緩衝液が添加される。処方物は、約pH4〜約pH10といった広範囲のpHそして好ましくは約pH5〜約pH9の範囲、最も好ましくは約6.0〜約8.0の範囲を網羅し得る。好ましくは、本発明の処方物は約6.8〜約7.8の間のpHを有する。好ましい緩衝液には、リン酸緩衝液、最も好ましくはリン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。
場合により、凝集を削減するべく処方物または組成物に対して他の添加剤、例えば以下のような製薬学的に受容可能な溶解剤、トゥイーン20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラート)、トゥイーン40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミタート)、トゥイーン80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート)、プルロニックF68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体)およびPEG(ポリエチレンングリコール)または非イオン性界面活性剤、例えばポリソルバート20または80またはポロキサマー184または188、プルロニック(登録商標)ポリル、その他のブロック共重合体およびキレート化剤、例えばEDTAおよびEGTAを添加することができる。これらの添加物は、処方物を投与するためにポンプまたはプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。製薬学的に受容可能な界面活性剤の存在は、タンパク質が凝集する性向を軽減させる。
本発明の処方物は、所望の濃度でタンパク質を提供するのに充分な量で少なくとも1つの抗MCP−1抗体および緩衝溶液を混合する工程を含んでなるプロセスによって調製され得る。当業者であれば、このプロセスの変形形態を認識するものと思われる。例えば、構成要素の添加順序、付加的な添加剤が使用されるか否か、処方物が調製される濃度およびpHは、全て、使用される投与手段および濃度について最適化され得る因子である。
請求対象の処方物は、患者に対して溶液としてかまたは、水性希釈剤中の選択された塩
および水、防腐剤および/または賦形剤、好ましくは、リン酸緩衝液および/または生理食塩水の入った第2のバイアルを用いて復元される凍結乾燥された少なくとも1つの抗MCP−1抗体のバイアルを含んでなるデュアルバイアルとして提供され得る。シングル溶液バイアルまたは復元を必要とするデュアルバイアルのいずれも、何回でも再利用可能であり、単一回または多数回の患者治療サイクルに充分であり得、かくして現在利用可能なものにさらに便利な治療処方計画を提供することができる。
ここで請求されている製造品は、即刻乃至は24時間以上の期間にわたる投与にとって有用である。従って、ここで請求されている製造品は患者に対し多大な利点を提供する。本発明の処方物は、場合により、約2℃〜約40℃の温度で安全に貯蔵され得、長時間にわたりタンパク質の生物活性を保持し、かくして、該溶液が6、12、18、24、36、48、72または96時間以上の期間にわたり保持されかつ/または使用され得ることを示す包装ラベルの貼付を可能にする。保存希釈剤が使用される場合には、かかるラベルに最高1〜12ヵ月、半年、1.5年および/または2年までの使用を内含することができる。
請求対象の製品は、水性希釈剤の入った第2のバイアルを用いて戻される凍結乾燥した少なくとも1つの抗MCP−1抗体のバイアルを含む2重バイアルまたは透明溶液を薬局、診療所またはその他のかかる機関および施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供され得る。この場合、透明溶液は最高1リットルまたはさらにはそれ以上のサイズを有し、大きなタンクが提供され、そこから薬局または診療所が、少なくとも1つの抗体溶液のより小さい部分を1回または多数回取出してより小さなバイアルに移し、顧客および/または患者に提供する。
これらのシングルバイアルシステムを含んでなる認定されたデバイスとしては、例えばベクトン・ディッキンソン(Becton Dickensen(ニュージャージー州Franklin Lakes、www.bectondickenson.com)、ディセトロニック(Disetronic)(スイスBurgdorf、www.disetronic.com;バイオジェクト(Bioject)、オレゴン州Portland、(www.bioject.com);ナショナル・メディカルプロダクツ(National Medical Products)、ウェストン・メディカル(Weston Medical)(英国Peterborough、www.weston−medical.com)、メデイジェット・コープ(Medi−Ject Corp)(ミネソタ州Minneapolis、www.mediject.com)が製造または開発したBD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B−D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、および OptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco−Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J−tip Needle−Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi−Ject(登録商標)といったような溶液の送達用ペンインジェクタデバイスがある。2重バイアルシステムを含んでなる認定されたデバイスとしては、Humatro Pen(登録商標)といったような復元された溶液の送達用のカートリッジの中で凍結乾燥された薬物を復元するためのペン−インジェクタシステムがある。
ここで請求されている製品には、包装材料が含まれる。包装材料は、規制機関により必要とされる情報に加えて、製品を使用できる条件を提供している。本発明の包装材料は、水性希釈剤中で少なくとも1つの抗MCP−1抗体を復元して溶液を形成し、2バイアル湿潤/乾燥製品については2〜24時間以上の期間に該溶液を使用する指示を、患者に対
して提供している。シングルバイアル溶液製品については、該ラベルは、2〜24時間以上の期間にわたりかかる溶液を使用できるということを指示している。ここで請求されている製品はヒト用薬学製品用途に有用である。
抗MCP−1抗体を安定化するその他の処方物または方法は結果として、前記抗体を含む凍結乾燥粉末の透明な溶液以外のものをもたらし得る。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含んでなる処方物があり、かかる微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェアまたはリポソームとしてさまざまな形で知られる、可変的寸法の構造内に抗MCR−1抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するこのような比較的均質で基本的に球形の微粒子処方物は、米国特許第4,589,330号明細書中で教示されている活性薬剤および重合体を含有する水相と非水相を接触させその後非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体をひき起こすことによって形成可能である。連続溶媒中に分散した重合体および活性薬剤を含有する第1の相を用い、米国特許第4,818,542号明細書中に教示されているような凍結乾燥または希釈−抽出−沈殿により懸濁液から前記溶媒を除去することで多孔質微小粒子を調製することができる。このような調製物のための好ましい重合体は、ゼラチン、寒天、でんぷん、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド−L(−)ラクチドポリ(ε−カプロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン−CO−乳酸)、ポリ(ε−カプロラクトン−CO−グリコール酸)、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、酸化ポリエチレン、ポリエチレンン、ポリ(アルキル−2−シアノアクリラート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2−ヒドロキシエチルDL−アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L−フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6−ジイソシアナートへキサン)およびポリ(メチルメタクリラート)から成る群から選択された天然または合成の共重合体または重合体である。特に好ましい重合体は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド−L(−)ラクチドポリ(ε−カプロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン−CO−乳酸)、およびポリ(ε−カプロラクトン−CO−グリコール酸)といったポリエステルである。重合体および/または活性薬剤を溶解させるのに有用な溶媒としては水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、へキサン、ベンゼンまたはヘキサフルオロアセトンセスキ水和物がある。第2の相で活性薬剤含有相を分散させるプロセスには、ノズル内のオリフィスに前記第1相を圧力で強制的に通過させて液滴形成に作用する工程が含まれていてよい。
乾燥粉末処方物は、例えば水性または非水性溶媒を除去するための1個もしくはそれ以上の工程が後続する結晶質組成物の沈殿または蒸発による溶媒抽出または噴霧乾燥といったような凍結乾燥以外のプロセスの結果として得ることもできる。噴霧乾燥された抗体調製物の調製は、米国特許第6019968号明細書中で教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液またはスラリーそして場合により賦形剤を呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で溶媒中で噴霧乾燥させることによって生産可能である。溶媒には、容易に乾燥可能な水およびエタノールといったような極性化合物が含まれていてよい。抗体安定性は、乾燥用気体として窒素を使用することによってかまたは窒素ブランケット下といったような酸素不在下での噴霧乾燥手順を実施することによって増強させることができる。もう1つの比較的乾燥した処方物は、国際公開第9916419号パンフレット中で教示されているようなヒドロフルオロアルカン高圧ガスを標準的に含んでなる懸濁培地中に分散させられた複数の有孔微細構造の分散である。安定化された分散は、計量式吸入器を用いて患者の肺に投与され得る。噴霧乾燥された薬剤の商業的製造において有用な機器は、ブッチ株式会社(Buchi Ltd.)またはニロ株式会社(Niro.Corp)により製造されている。
本明細書に記載されている安定または保存処方物または溶液のいずれかの中の少なくとも1つの抗MCP−1抗体は、本発明に従って、SCまたはIM注入;経皮、肺内、経粘
膜、インプラント、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプまたは当該技術分野において周知の通りの当業者により評価されているその他の手段を含めたさまざまな送達方法を介して、患者に投与され得る。
10.治療的応用
本発明は同様に、本発明の少なくとも1つのMCP−1抗体を用いて、本明細書に記載されているようにまたは当該技術分野において既知の通り、細胞、組織、器官、動物または患者の体内の少なくとも1つのMCP−1関連疾患を変調させるかまたは治療するための方法をも提供している。本発明は同様に、悪性疾患、代謝性疾患、免疫または炎症性関連疾患、心臓血管疾患、感染性疾患または神経系疾患のうちの少なくとも1つを含めた(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つのMCP−1関連疾患を変調させるかまたは治療するための方法をも提供している。
かかる身体条件は、細胞粘着および/または血管形成により媒介される疾病または身体条件から選択されるが、これらに限定されるわけではない。かかる疾病または身体条件には、免疫障害または疾患、心臓血管障害または疾患、感染性、悪性および/または神経系障害または疾患またはその他の既知のまたは特定されたMCP−1関連身体条件が含まれる。特に、抗体は、血管形成が関与する疾病例えば眼疾患および腫瘍性疾患、再狭窄といった組織再形成およびある種の細胞型の増殖特に上皮および扁平上皮細胞癌の治療にとって有用である。特別な適応症としては、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、癌転位、関節リウマチ、糖尿病性網膜症および黄斑変性症の治療における使用が含まれる。本発明の中和抗体は同様に、例えば骨粗しょう症において見られる、または一部の腫瘍によるPTHrP過剰発現の結果もたらされる望ましくない骨吸収または骨分解を防止または治療するためにも有用である。抗体は同様に、特発性肺線維症、糖尿病性腎症、肝炎および肝硬変といったようなさまざまな線維症の治療においても有用であり得る。
かくして、本発明は、本発明の少なくとも1つのMCP−1抗体を用いて、当該技術分野において既知のまたは本明細書に記載されている通りに、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つのMCP−1関連疾患を変調または治療するための方法を提供している。特別な指摘については以下に論述する。
肺疾患
本発明は同様に、肺炎;肺膿瘍;粉塵、ガスまたは飛沫の形をした作用物質を原因とする職業性肺疾患;喘息、閉塞性繊維性細気管支炎、呼吸不全、過敏性肺炎(外因性アレルギー性肺胞炎)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症および薬物反応を含む肺の過敏性疾患;成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、グッドバスチャー症候群、慢性閉塞性気道疾患(COPD)、特発性間質性肺疾患、例えば特発性肺線維症およびサルコイドーシス、剥離性間質性肺炎、急性間質性肺炎、呼吸細気管支炎関連間質性肺疾患、気質性肺炎を伴う特発性閉塞性細気管支炎、リンパ球性間質性肺炎、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、特発性肺ヘモジデリン沈着症;急性気管支炎、肺胞タンパク症、気管支拡張症、胸膜疾患、無気肺、嚢胞性線維症および肺腫瘍、および肺栓塞症のうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの悪性疾患を変調または治療するための方法をも提供している。
悪性疾患
本発明は同様に、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B−細胞、T−細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、
多発性骨髄腫、カポジ肉腫、直腸結腸癌腫、膵臓癌腫、腎臓細胞癌腫、乳癌、鼻咽頭癌腫、悪性組織球増殖症、腫瘍随伴症候群/悪性高カルシウム血症、充実性腫瘍、腺癌腫、扁平上皮細胞癌腫、肉腫、悪性黒色腫、特に転移性の黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛などのうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの悪性疾患を変調または治療するための方法をも提供している。
免疫関連疾患
本発明は同様に関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身発症性若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、骨関節炎、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、全身性紅斑性狼瘡、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性血管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管切除後再疎通術、アレルギー性/アトピー性疾患、喘息、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主病、全身性炎症反応症候群、敗血症候群、グラム陽性菌敗血症、グラム陰性菌敗血症、培養陰性敗血症、真菌性敗血症、好中球減少性発熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、火傷、電離放射線曝露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病理、サルコイドーシス、クローン病病理、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、過敏反応、アレルギー性鼻炎、花粉症、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、喘息、蕁麻疹、全身性アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、任意の臓器または組織の移植片拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植片(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植片拒絶反応、骨移植片拒絶反応、小大腸移植片拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植片拒絶反応、任意の臓器または組織の異種移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反応、抗−レセプター過敏性反応、グレーブス(バゼドウ)病、レーノー病、B型インスリン抵抗性糖尿病、喘息、重症筋無力症、抗体媒介性細胞毒性、III型過敏反応、全身性紅斑性狼瘡、POEMS症候群(多発性ニューロパシー、臓器巨大症、内分泌害、モノクローナル高ガンマグロブリン血症および皮膚変化症候群)、多発性ニューロパシー、臓器巨大症、内分泌傷害、モノクローナル高ガンマグロブリン血症、皮膚変化症候群、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、特発性アディソン病、真性糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、血管炎、MI後心臓切開症候群(post−MI cardiotomy syndrome)、IV型過敏性、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植片拒絶反応、細胞内生物に起因する肉芽種、薬物感受性、代謝性/特発性、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス、α−1−アンチトリプシン欠損症、糖尿病性網膜症、橋本甲状腺炎、骨粗鬆症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、新生児慢性肺疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、家族性血球貪食性リンパ組織球増殖症、皮膚病状態、乾癬、脱毛症、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎臓不全、血液透析、尿毒症、毒性、子癇前症、OKT3療法、抗CD3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、無力症、貧血、悪液質など、ただしこれらに限定されるわけではない)、慢性サリチル酸中毒などのうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの免疫関連疾患を変調または治療するための方法をも提供している。例えば、各々その全体が参照により援用されているメルクマニュアル、第12〜17版、Merck & Company、ニュージャージー州Rahway(1972年、1977年、1982年、1987年、1992年、1999年)、薬物療法便覧、ウェルズら編、第2版、Appleton and Lange、コネチカット州Stamford(1998年、2000年)を参照のこと。
心臓血管疾患
本発明は同様に、心筋気絶症候群、心筋梗塞、うっ血性心不全、脳卒中、虚血性脳卒中、出血、動脈硬化症、アテローム硬化症、再狭窄、糖尿病性アテローム硬化疾患、高血圧、動脈性高血圧、腎血管性高血圧、失神、ショック、心臓血管系の梅毒、心不全、肺性心、原発性肺高血圧、心臓不整脈、心房異所性拍動、心房粗動、心房細動(持続性または発作性)、潅流後症候群、心肺バイパス炎症性応答、無秩序または多病巣性の心房性頻脈、規則的狭QRS頻脈、特異的不整脈、心室細動、ヒス束不整脈、房室ブロック、脚ブロック、心筋虚血性疾患、冠動脈疾患、狭心症、心筋梗塞、心筋症、拡張型うっ血性心筋症、拘束型心筋症、心臓弁膜症、心内膜炎、心膜疾患、心臓腫瘍、大動脈および末梢大動脈瘤、大動脈解離、大動脈の炎症、腹大動脈およびその分岐部の閉塞、末梢血管障害、閉塞性動脈障害、末梢アテローム硬化疾患、閉塞性血栓血管炎、末梢動脈機能障害、レーノー現象および疾患、肢端チアノーゼ、肢端紅痛症、静脈疾患、静脈血栓症、静脈瘤、動静脈瘻、リンパ水腫、脂肪性浮腫、不安定狭心症、再潅流傷害、ポストポンプ症候群(post
pump syndrome)、虚血性再潅流傷害などのうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの心臓血管疾患を変調または治療するための方法をも提供している。かかる方法は、場合により、少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含んでなる有効量の組成物または薬学組成物を、かかる変調、治療または療法を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に対し投与する工程を含んでなる。
神経系疾患
本発明は同様に、神経変性疾患、多発性硬化症、片頭痛、エイズによる認知症、脱髄疾患、例えば多発性硬化症および急性横断性脊髄炎;錐体外路および小脳疾患、例えば皮質脊髄系の病変;基底核の疾患または小脳疾患;多動性障害、例えばハンチントン舞踏病および老年舞踏病;薬物誘発型運動障害、例えばCNSドーパミンレセプターをブロックする薬剤によって誘発されるもの;運動減退障害、例えばパーキンソン病;進行性核上性麻痺;小脳の構造的病変;脊柱小脳変性、例えば脊髄性運動失調症、フリードライヒ失調症、小脳皮質変性、多系統変性症(メンセル、デジェリン・トーマス、シャイ・ドレガーおよびマチャド・ジョセフ);全身性疾患(レフサム病、無βリポタンパク血症、運動失調、毛細血管拡張症およびミトコンドリア多系統疾患);脱髄性コア障害(demyelinating core disorders)、例えば多発性硬化症、急性横断性脊髄炎;および運動単位、例えば脊髄性筋萎縮症(前角細胞変性、例えば萎縮性側索硬化症、乳児脊髄性筋萎縮症および若年性脊髄性筋萎縮症);アルツハイマー病;中年期ダウン症候群;びまん性レビー小体病;レビー小体型の老年性認知症;ウエルニッケ・コルサコフ症候群;慢性アルコール中毒;クロイツフェルト・ヤコブ病;亜急性硬化性全脳炎、ハレルフォルデン・スパッツ病;およびボクサー認知症などのうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの神経系疾患を変調または治療するための方法をも提供している。かかる方法は、場合により、少なくとも1つのTNF抗体または特定された部分または変異体を含んでなる有効量の組成物または薬学組成物を、かかる変調、治療または療法を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に対し投与する工程を含んで成ることができる。例えば、メルクマニュアル、第16版、Merck & Company、ニュージャージー州Rahway(1992年)を参照のこと。
線維性身体条件
上述の身体条件および疾病に加えて、本発明は同様に肝臓線維症(アルコール性肝硬変、ウイルス性肝硬変、自己免疫性肝炎を含むがこれらに限定されるわけではない);肺線維症(強皮症、特発性肺線維症を含むがこれらに限定されるわけではない);腎臓線維症(強皮症、糖尿病性腎炎、糸球体腎炎、ループス腎炎を含むがこれらに限定されるわけではない);皮膚線維症(強皮症、肥厚性およびケロイド瘢痕、火傷を含むがこれらに限定されるわけではない);骨髄線維症;神経線維腫症;線維腫;腸線維症;および外科手術
の結果としての線維化付着といったようなさまざまな病因の線維性身体条件を変調または治療するための方法をも提供している。
本発明は同様に、胸部、腹部、頭蓋または口腔外科手術を含めた外科手術に付随する肉体的損傷または外傷のうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)、または創傷が非感染創、挫傷、切創、裂創、非穿通創、開放創、穿通創、穿孔創、穿刺創、感染創、栓塞および皮下創からなる群から選択されている、または創傷が虚血性潰瘍、辱瘡、瘻孔、重度の咬傷、熱傷および採取部位創からなる群から選択されている、または創傷がアフタ創、外傷またはヘルペス関連創である、細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの創傷、外傷または組織傷害またはそれらから生じるか、もしくはそれらに関連する慢性身体条件を変調または治療するための方法をも提供している。ドナー部位創傷は、例えば移植に関連して、体の一部分から体のもう1つの部分への硬組織の除去に関連して発生する創傷である。このような手術の結果としての創傷はきわめて苦痛が激しく、従って治癒の改善は非常に価値のあることである。創傷線維症も同様に、創傷部域に最初に侵入する細胞が好中球とそれに続くマクロファージにより活性化された単球であることから、抗MCP−1抗体療法に適している。マクロファージは、それらも病原体の食作用お
よび組織残屑の片付けを担当することから、効率の良い創傷治癒にとって不可欠であると考えられている。さらにこれらは、後続する治癒プロセスの事象に関与する数多くの因子を放出する。マクロファージは、コラーゲンの産生を開始させる線維芽細胞を誘引する。ほぼ全ての組織修復プロセスが早期結合組織形成を含み、このおよび後続するプロセスの刺激が組織の治癒を改善させるが、結合組織およびコラーゲンの過剰産生は、非弾性の低酸素組織として特徴づけされる線維性組織を導く可能性がある。本発明の抗MCP−1抗体は、創傷治癒のかかる続発症を変調、治療または予防するための方法において使用可能である。
本発明の当該抗体は、心臓移植片といったような移植された器官、組織または細胞の慢性的拒絶の少なくとも1つの症候を変調または治療するための方法において使用することもできる。
抗MCP−1抗体のその他の治療的使用
本発明は同様に、細菌性、ウイルス性および真菌性感染、HIV感染/HIVニューロパシー、髄膜炎、肝炎(A,BまたはC型など)、敗血症性関節炎、腹膜炎、肺炎、咽頭蓋炎、大腸菌0157:h7、溶血性尿毒性症候群/血栓溶解性血小板減少性紫斑病、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、ハンセン病、毒素性ショック症候群、連鎖球菌筋炎、ガス壊疽、ヒト型結核、細胞内トリ型結核菌、ニューモシスティスカリニ肺炎、骨盤炎症性疾患、精巣炎/副睾丸炎、レジオネラ、ライム病、インフルエンザa、エプスタイン・バールウイルス、ウイルス関連血球貧食症候群、ウイルス脳炎/非感染髄膜炎などを含む急性または慢性細菌感染、急性および慢性寄生性または感染性過程、のうちの少なくとも1つを含む(ただしこれらに限定されるわけではない)細胞、組織、器官、動物または患者における少なくとも1つの感染性疾患を変調または治療するための方法をも提供している。
本発明のあらゆる方法が、かかる変調、治療または療法を必要としている細胞、組織、器官、動物または患者に対して、少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含んでなる有効量の組成物または薬学組成物を投与する工程を含んでなることができる。かかる方法は場合によりさらに、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えばTNF抗体またはフラグメント、可溶性TNFレセプターまたはフラグメント、その融合タンパク質または小分子TNFアンタゴニスト、ただしこれらに限定されるわけではない)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタ
ネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋肉弛緩剤、麻酔薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、睡眠薬、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド(デキサメタゾン)、アナボリックステロイド(テストステロン)、糖尿病関連作用剤、ミオネラル、栄養薬、甲状腺作用薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、便秘薬、抗凝血剤、エリスロポイエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポゲン)、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン)、予防接種、免疫グロブリン(リツキシマブ)、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、生殖ホルモンアンタゴニスト(フルタミド、ニルタミド)、ホルモン放出調節因子(ロイプロリド、ゴセレリン)、ホルモン補充薬、エストロゲンレセプター調節物質(タモキシフェン)、レチノイド(トレチノイン)、トポイソメラーゼ阻害剤(エトポシド、イリノテカン)、細胞毒(ドキソルビシン)、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤(カルボプラチン)、ナイトロジェンマスタード(メルファレン、クロラブシル)、ニトロソウレア(カルムスチン、エストラムスチン)、代謝拮抗物質(メトトレキサート、シタラビン、フルオロウラシル)、分裂抑制剤(ビンクリスチン、タキソール)、放射性医薬品(イオジン131−トシツモマブ)、放射性増感剤(ミソニダゾール、チラパザミン)、抗うつ薬、抗躁薬、精神病治療薬、抗不安薬、催眠薬、交換神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、ベータアゴニスト、吸引ステロイド薬、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼアルファ(プルモジム)、サイトカイン(インターフェロンα−2、IL2)またはサイトカインアンタゴニスト(インフリキシマブ)から選択された少なくとも1つをできる。適切な投薬量は当該技術分野において周知である。例えば、各々全体が本明細書に参照により援用されている、ウェルズら編、「Pharmacotherapy Handbook」第2版、Appleton and Lange、コネチカット州Stamford(2000年);「PDR Pharmacopoeia、Tarascon Pocket Pharmacopoeia、2000」、豪華版、Tarascon Publishing、カリフォルニア州Loma Linda(2000年)、を参照のこと。
腫瘍性疾患の治療のための特殊な組合せは、アルキル化剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、抗生物質、代謝拮抗物質、ホルモンアゴニストまたはアンタゴニスト、免疫調節剤などといったような抗腫瘍薬を、前後および/または同時に投与することによる同時投与または組合せ療法を含んでなる。転移性悪性黒色腫およびその他の腫瘍性疾患で使用するためには、好ましい組合せは、デカルバジン、インターフェロンα、インターロイキン−2、テモゾロミド、シスプラチン、ビンブラスチン、メシル酸イマチニブ、カルムスチン、パクリタキセルなどと共に抗体を同時投与することにある。転移性黒色腫のためには、デカルバジンが好ましい。
11.投薬量と投与方法
本発明の方法は、かかる変調、治療または療法を必要とする細胞、組織、器官、動物または患者に対して少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含んでなる有効量の組成物または薬学組成物を投与する工程を含んでなるMCP−1媒介型障害を治療するための方法を含んでなり得る。かかる方法は、かかる疾病または障害を治療するための同時投与または組合せ療法を場合によりさらに含んでなり、ここで前記少なくとも1つの抗MCP−1抗体、その特定された部分または変異体の投与工程はさらに、前後および/または同時に、腎臓作用薬、皮膚病薬、抗血管形成薬、抗感染症薬、心臓血管(CV)系作用薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、呼吸管薬、消化(GI)管作用薬、ホルモ
ン薬、体液または電解質平衡のための作用薬、血液製剤、抗新生物薬、免疫調節薬、眼科耳鼻科薬、局所作用薬、栄養薬など、少なくとも1つのTNFアンタゴニスト(例えば、TNF抗体またはフラグメント、可溶性TNFレセプターまたはフラグメント、その融合タンパク質、または小分子TNFアンタゴニスト、ただしこれらに制限されない)、抗リウマチ剤(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、オーロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサルジン)、筋肉弛緩剤、睡眠薬、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、麻酔剤、鎮静剤、局所麻酔剤、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、駆虫薬、抗ウイルス薬、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他の抗菌薬)、乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連作用剤、ミネラル、栄養薬、甲状腺作用薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、便秘薬、抗凝血剤、エリスロポイエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、ニューポゲン)、サルグラモスチム(GM−CSF、ロイキン)、予防接種、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充作用薬、エストロゲンレセプター調節物質、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗物質、分裂抑制剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、精神病治療薬、抗不安薬、催眠薬、交換神経様作用薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息治療薬、ベータアゴニスト、吸引ステロイド薬、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンまたは類似体、ドルナーゼアルファ(プルモジム)、サイトカインまたはサイトカインアンタゴニストから選択された少なくとも1つのものを投与することを含んでなる。かかる薬物は、本明細書に提示されている各々についての処方、適応症、用量決定および投与を含めて、当該技術分野において周知である(例えば各々その全体が本明細書に参照により援用されている「Nursing 2001 Handbook of Drugs」、第21版、Springhouse Corp.、ペンシルバニア州Springhouse、2001年;「Health Professional‘s Drug Guide 2001」、シャノン、ウィルソン、スタン編、Prentice−Hall、Inc、ニュージャージー州Upper Saddle River;「Pharmacotherapy Handbook」、ウェルズら編、Appleton & Lange、コネチカット州Stamford、を参照のこと)。
標準的には、病的状態の治療は、組成物の中に含まれているものの比活性に応じて合計で1用量あたり患者の体重1kgあたり平均して少なくとも約0.01〜500ミリグラムの少なくとも1つの抗MCP−1抗体の範囲好ましくは、単回または多数回投与あたり患者の体重1kgにつき平均して少なくとも約0.1〜100ミリグラムの抗体の範囲となる有効量または投薬量の少なくとも1つの抗MCP−1抗体組成物を投与することによって行なわれる。代替的には、有効な血清濃度は、単回または多数回投与あたり0.1〜5000μg/mlの血清濃度を含むことができる。適切な投薬量は医療従事者にとって既知であり、当然のことながら、特定の疾病状態、投与対象の組成物の比活性および治療対象の特定の患者によって左右されることになる。一部のケースでは、所望の治療量を達成するためには、反復投与すなわち特定の監視されたまたは計量された用量の反復的な個々の投与を提供することが必要であり得、この場合、個々の投与は、所望の日用量または効果が達成されるまで反復される。
好ましい用量としては、場合により、投与1回、体重1kgあたり0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、4
8、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99および/または100〜500mgまたはその任意の範囲、値または分散(fraction)、または単回または多数回投与あた0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、
1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500および/または5000μg/mlたはその任意の範囲、値または分散の血清濃度を達成するための用量が含まれ得る。
代替的には、投与された投薬量は、特定の作用物質の薬力学的特性およびその投与様式および投与経路;レシピエントの年令、健康状態および体重;症候の内容および範囲、同時治療の種類、治療の頻度、および所望の効果といったような既知の因子に応じて変動し得る。通常、活性成分の投薬量は、体重1キロあたり約0.1〜100ミリグラムであり得る。所望の結果を得るためには、持続放出形態でまたは投与一回あたり1キログラムにつき通常0.1〜50、好ましくは0.1〜10ミリグラムが有効である。
制限的な意味のない例としては、ヒトまたは動物の治療は、単回用量、注入量または反復用量を用いて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40日目のうちの少なくとも1つの日に、又、代替的にまたは付加的には1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51または52週目のうちの少なくとも1つの週、又、代替的にまたは付加的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20年のうちの少なくとも1つの間、またはそのいずれかの組合せで、一日あたり体重1kgにつき0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90または100mgといった0.1〜100mg/kgの1回または周期的投薬量の本発明の少なくとも1つの抗体として、提供可能である。
内部投与に適した剤形(組成物)は一般に、一単位または一容器あたり約0.001〜約500ミリグラムの活性成分を含有する。これらの薬学組成物においては、活性成分は通常、組成物の合計重量に基づいて約0.5〜99.999重量%の量で存在することに
なる。
非経口投与のためには、抗体を、製薬学的に受容可能な非経口ビヒクルと合わせた状態のまたはそれと別途供給される溶液、懸濁液、エマルジョン、粒子、粉末、または凍結乾燥された粉末として処方され得る。かかるビヒクルの例としては、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、および1〜10%のヒト血清アルブミンがある。リポソームおよび非水性ビヒクル例えば固定油も同様に使用可能である。ビヒクルまたは凍結乾燥された粉末は、等張性(例えば塩化ナトリウム、マンニトール)および化学的安定性(例えば緩衝液および防腐剤)を維持する添加剤を含有し得る。処方物は、既知のまたは適切な技術により滅菌される。適切な製薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストである「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、A.オソール編の最新版の中で記載されている。
代替的投与
本発明に従った少なくとも1つの抗MCP−1抗体を製薬学的に有効な量だけ投与するために数多くの既知のおよび開発された投与様式を本発明に従って使用することができる。以下の記述では肺投与が用いられているが、本発明に従ってその他の投与様式を使用して、適当な結果を得ることもできる。本発明のMCP−1抗体は、担体中で、溶液、エマルジョン、コロイドまたは懸濁液としてまたは乾燥粉末として、吸入によるかまたは当該技術分野の範囲内のまたは当該技術分野で既知の本明細書に記載したその他の様式による投与に適したさまざまなデバイスおよび方法のいずれかを用いて送達可能である。
非経口処方物および投与
非経口投与のための処方は、一般的賦形剤として滅菌水または生理食塩水、ポリアルキレングリコール例えばポリエチレングリコール、植物性油、水素化ナフタリンなどを含有し得る。注射用の水性または油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤または加湿剤および懸濁剤を使用することによって調製可能である。注入剤は、溶媒中の無菌注射溶液または懸濁液または水溶液といった非毒性で経口投与不能の希釈剤であり得る。使用可能なビヒクルまたは溶媒としては、水、リンガー溶液、等張食塩水などが許容される。通常の溶媒または懸濁溶媒としては、無菌不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然または合成のまたは半合成の脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成のモノまたはジまたはトリグリセリドを含めた、あらゆる種類の不揮発性油および脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、これには当該技術分野において周知の通りの従来の注射手段、ガス加圧式無針注入デバイスまたはレーザー穿孔機デバイスが含まれるがこれらに限定されるわけではない(例えば全体が本明細書に参照により援用されている米国特許第5,851,198号明細書および米国特許第5,839,446号明細書に開示されている材料および方法、これらに限定されるわけではない)。
代替的送達
本発明はさらに、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、液嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、または経皮手段による少なくとも1つの抗MCP−1抗体の投与に関する。少なくとも1つの抗MCP−1抗体組成物を、特に液体溶液または懸濁液の形での非経口(皮下、筋肉または静脈内)またはその他のあらゆる投与に使用するため;クリームまたは座薬といった(ただしこれらに限定されるわけではない特に半固体形態での膣内または直腸内投与で使用するため;錠剤またはカプセルの形での(ただしこれらに限定されるわけではない)口腔内または舌下投与のため;または粉末、点鼻薬、またはエアロゾルまたは一部の
作用物質の形で(ただしこれらに限定されるわけではない)鼻腔内で;または皮膚構造を修飾するかまたは経皮パッチ内の薬物濃度を増大させるためジメチルスルホキンドといったような化学的エンハンサを伴う(全体が本明細書に参照により援用されているユンギンガー(Junginger)ら、「Drug Permeation Enhancement」;シエ(Hsieh)、D.S.編、59〜90頁(Marcel Dekker、Inc.、New York1994年、)または皮膚上へのタンパク質およびペプチドを含有する処方の塗布(国際公開第98/53847号パンフレット)または電気穿孔といった過渡的輸送経路を作り出すかまたはイオントフォレーシスといったように皮膚を通して荷電薬物の易動性を増大させるための電界の適用、またはソノフォレーシスといったような超音波の適用(米国特許第4309989号明細書および同第4767402号明細書)を可能にする酸化剤を伴うゲル、軟こう、ローション、懸濁液またはパッチ送達系といった(ただしこれらに限定されるわけではない)ように経皮的に投与するために、調製することができる(上述の刊行物および特許はその全体が本明細書に参照により援用されている)。
肺/鼻腔内投与
肺投与のためには、好ましくは少なくとも1つの抗−MCP−1抗体組成物が、肺または洞の下気道に達するのに有効な粒度で送達される。本発明に従うと、少なくとも1つの抗MCP−1抗体は、吸入される治療薬の投与のため当該技術分野において既知のさまざまな吸入または鼻腔内デバイスのいずれかにより送達可能である。患者の洞腔または肺胞内にエアロゾル化した処方物を被着させる能力のあるこれらのデバイスには、計量式吸入器、ネブライザ、乾燥粉末発生器、噴霧器などが含まれる。当該技術分野においては、抗体の肺または鼻腔内投与を導くのに適したその他のデバイスも知られている。このようなデバイスは全てエアロゾル中の抗体送り出しのための投与に適した処方物を使用することができる。かかるエアロゾルは、溶液(水性および非水性の両方)または固体粒子のいずれかで構成され得る。Ventolin(登録商標)計量式吸入器のような計量式吸入器は推進剤ガスを使用し、標準的に、吸息中の作動を必要とする(例えば、国際公開第94/16970号パンフレット、国際公開第98/35888号パンフレットを参照のこと)。えばTurbuhalerTM(アストラ(Astra))、Rotahaler(登録商標)(グラクソ(Glaxo))、Diskus(登録商標)(グラクソ)、SpirosTM吸入器(ドュラ(Dura))、インヘイル・テラプティックス(Inhale Therapeutics)により市販されているデバイス、およびSpinaler(登録商標)パウダー吸入器(ファイソンズ(Fisons))といったような乾燥粉末吸入器は、混合粉末の呼気作動を用いる(米国特許第4668218号明細書(アストラ)、欧州特許第237507号明細書(アストラ)、国際公開第97/25086号パンフレット(グラクソ)、国際公開第94/08552号(ドュラ)、米国特許第5458135号明細書(インヘイル)、国際公開第94/06498号パンフレット(ファイソンズ)はその全体が本明細書に参照により援用されている)。AERxTMアラダイム(Aradigm)、Ultravent(登録商標)ネブライザ(マリンクロッド(Mallinckrodt))、およびAcorn II(登録商標)ネブライザ(マークエスト・メディカル・プロダクツ(Marquest Medical Products))(米国特許第5404871号明細書、アラダイム、国際公開第97/22376号パンフレット)といったネブライザ(以上の参考文献はその全体が本明細書に参照により援用されている)は、溶液からエアロゾルを生成するのに対し、計量式吸入器、乾燥粉末吸入器、などは小粒子エアロゾルを生成する。市販の吸入デバイスのこれらの特異的例は、本発明の実施に適した特定的デバイスを代表するものとして意図されており、本発明の範囲を制限するものとして意図されていない。好ましくは、少なくとも1つの抗MCP−1抗体を含む組成物は、乾燥粉末吸入器または噴霧器によって送達される。本発明の少なくとも1つの抗体を投与するための吸入デバイスには複数の望ましい特長が存在する。例えば、吸入デバイスによる送達は、有利には信頼性が高く、再現可能でありかつ
精確である。吸入デバイスは場合により、うまく呼吸できるように例えば約10μm未満、好ましくは約1〜5μmの小さな乾燥粒子を送達することができる。
実施例1:制限的な意味のない例としてファージ表示法を用いたMCP−1に特異的なMCP−1抗体の生成
出願人らは、C775と呼ばれかつ出願人の同時係属特許出願である米国特許出願第11/170453号明細書(それぞれ重鎖および軽鎖可変領域についてのこの出願の配列番号7および8)および関連する出願の中で記載されているマウス抗ヒトMCP−1抗体の望ましい治療特性について、以前に示した。当該研究努力の目標は、ヒトケモカインMCP−1の生物活性を中和し類似の属性を提示するHuCAL GOLD(登録商標)からの少なくとも1つのヒト抗体を同定することにあった。C775抗体ひいては所望のヒト抗MCP−1抗体の属性を、以下に概略的に示した成功基準により定義づけした。
少なくとも1つの治療用抗体のための成功基準:
− 固相形式でヒトMCP−1に結合する;
− 相同タンパク質ヒトMCP−2、3、4およびヒトエオタキシン1、2、および3に対する100nMでの結合の欠如として特異性が定義づけされる。
− Thp−1細胞上のそのヒトレセプターCCR2に対するヒトMCP−1結合を阻害し、IC50の値は基準FabC775の場合より低い。
− THP−1細胞のヒトMCP−1媒介型走化性を阻害し、IC50の値は基準FabC775の場合よりも低い。
− 定量的検定において基準FabC775に匹敵する効力で、または定性的イエス/ノー基準として、第2の生物学的検定(例えばCa2+可動化またはCCL−2誘発されたレセプター内在化)におけるヒトMCP−1媒介型活性を阻害する。
− Kd<0.5nMでヒトMCP−1に結合する。
− K<20nM、好ましくは<10nMで、カニクイザルMCP−1に結合する;
− 匹敵する効力で未変性ヒトMCP−1および化学合成されたヒトMCP−1生物活性を阻害する。
− 比較器としてのC775の全長IgG形態に基づいて、IgGとしてのFabの再工学処理の後基準1〜8を保持する。
選択プロセスの要約
HuCAL GOLD(登録商標)を用いて異なるパニングを実施し、17856個のクローンをスクリーニングし、結果として1104の一次ヒットを得た。最終的に、ELISAにおいて合成ヒトMCP−1を結合する26のユニークFabを同定した。これらのうち、カニクイザルおよび未変性ヒトMCP−1に対する親和性、生物活性、特異性および結合に従って、親和性成熟について7個の異なるFabを選択した。親Fabの親和性は、10〜400nMの範囲内にあり、放射性リガンド結合検定におけるIC50値は、10〜600nMであった。
材料および方法
DNA制限および修飾酵素ならびにポリメラーゼを、インビトロジェン(米国カリフォルニア州Carlsbad)、ニューイングランド・バイオラブス(New England Biolabs)(米国マサチューセッツ州Beverly)、ロシュ・ダイアグノステックス(Roche Diagnostics)(ドイツ、Mannheim)およびMBIフェルメンタス(リトアニア、Vilnius)から購入した。フラグメント特異的でPODコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgGF(ab’)は、ジャクソンズ(Jacksons)(米国ペンシルバニア州West Grove)により供給され、Fdフラグメント特異的なヒツジ抗ヒトIgG抗体はザ・バインディング・サイト(The Binding Site)(英国Birmingham)により供給され、アルカ
リホスファターゼにコンジュゲートされたストレプトアビジン(ZyMAXTMグレード)はザイメド・ラボラトリーズ(Zymed Laboratories)(米国カリフォルニア州San Francisco)によりコンジュゲートされた。組換え型ヒトケモカイン、hMCP−1、2、3、4およびhエオタキシン1、2および3(RアンドDシステムズ(R&D systems))試薬、リガンドおよび抗体:ヒトMCP−1特異的mAb279、(RアンドDシステムズ);合成hMCP−1(ベイケム(Bachem));mAblマウス抗hCCR2ビオチン(RアンドDシステムズ);ヒトガンマグロブリン(ジャクソンズ・イムノ・リサーチ(Jackson Immuno Research));マウスガンマグロブリン(ジャクソンズ・イムノ・リサーチ);mAb
mIgG2bイソタイプ制御ビオチン(RアンドDシステムズ);ストレプトアビジン−PE(BDファルミゲン(Pharmingen));Versene(インビトロジェン;PBS(インビトロジェン);FCS(PAN);V底ウェル平板(グレイナー(Greiner));およびU底ウェル平板(ナンク(Nunc))。
MCP−1ポリペプチドおよび類似体の調製
出願人の同時係属出願である米国仮特許出願第60/682620号明細書およびクラスジンスキー(Kruszynski)ら、2006年、J Peptide Sci.第12:25〜32頁内で記載されている通りの生物活性をもつ、単離された全長かつ成熟(76個のアミノ酸)し適正に折畳まれ場合により修飾されたヒトMCP−1および変異体を提供するための、段階的な固相ペプチド合成および親和性精製。未変性表面トポロジーおよびペプチド主鎖構造を示すように設計された変異体は、A40S、V41IおよびF43Yを内含する。化学合成は同様に、レセプター結合に関与しないリジンのイプシロンアミノ基を用いたヒトMCP−1の部位特異的オチニル化のための方法を提供しており、そうでなければK69およびK75における表面活性は構造内で無秩序化される(米国仮特許出願第60/682620号明細書およびクラスジンスキーら、2006年、J Peptide Sci.第12:354〜360頁)。4つのエチレンオキシ単位(PEG)の親水性スペーサが、リジン残基のε−アミノ基とビオチンの間に挿入された。ビオチンアミドから末端カルボシルまでの鎖長は19.2Åである。スペーサは、溶解度を増大させストレプトアビジンコンジュゲートを結合させるのに充分なスペーサ長を提供するように選択された。MCP−1および変異体の配列は、配列番号1に記されている。変異体は、THP−1細胞内でCa2+可動化を誘発する能力を保持するものと判定された。スクリーニング、確立および親和性判定において並列してビオチン・Lys69およびビオチン・Lys75MCP−1を比較し、有意な差異は全く観察されなかった。バイアコアを用いて、35個の最適化したFabをMCP−1Ile41、Lys(ビオチン−PEG69およびMCP−1Il 41上で分析し、並行してLys(ビオチン−PEG75をストレプトアビジンチップ上で固定化した。一般に、MCP−1K69およびK75上での測定された親和性は比較可能なものであった。
ファージFabライブラリ
ファージミドライブラリは、HuCAL(登録商標)の概念(クナピックら、2000年)に基づくものであり、ファージ表面上でFabを提示するためにCys DisplayTM技術を用いている(ローニング(Loehning)、2001年)。該ライブラリは、小外皮タンパク質pIIIに対する融合としてM13バクテリオファージ上に提示された約1010個のユニークFabをコードする。選択のため、HuCAL GOLD(登録商標)抗体−ファージを、異なるVHマスター遺伝子を含む3つのプールに分割した。さらに、1つのプール(VH1−6)中で全ライブラリを使用した。各パニングのために2×1013個のHuCAL GOLD(登録商標)投入ファージを使用した。それぞれヒトMCP−1類似体1(V41I、Ile41)および類似体−2(F43Y、Tyr43)についての3回のパニングラウンドおよび1−2−1および2−1−2の順での類似体に対する2つの交互パニングを含め、4つの異なるパニング戦略を適用した。
固相パニング
4℃で一晩、Maxisorp(登録商標)ウェル(ナルゲン・ヌンク(Nalgen
Nunc、ニューヨーク州Rochester)上でPBS中50μg/ml、pH7.4でヒトMCP−1類似体−1(V41I)または類似体−2(F43Y)の100μlのアリコートを直接コーティングした。コーティングされたウェルを洗浄し、5%のMPBS(PBS、5%の低脂肪粉乳)で遮断した。1ウェルあたり100μlの遮断したHuCAL GOLD(登録商標)ファージを室温で2時間添加した。複数の洗浄工程の後、結合したファージを10分間室温でインキュベートしたpH8.0の10mMのトリス/HCl中の100μlの20mMDTTによって溶出させた。中相大腸菌TG1(ストラタジーン、オランダ、Amsterdam)を感染させるために該溶出液を使用し、記載されている通りに(クレブス(Krebs)ら、2001)ファージミドを増幅させた。
中和Fab分子を結果としてもたらすヒトMCP−1類似体−1(V41I)および類似体−2(F43Y)に対する半溶解パニング。溶解状態のHuCAL GOLD(登録商標)ファージと共に2つのビオチニル化されたヒトMCP−1誘導体、V41I、K69−PEG−ビオチンまたはV41I、K75−PEG−ビチオン(配列番号1)をインキュベートしその後Reacti−Bindのニュートラビジン(Neutravidin)でコーティングされたポリスチレンマイクロタイター平板ストリップ(PERBIO)にファージ抗原複合体を捕捉することにより、半溶解パニングを実施した。パニングのためには、1.5ml入りのエッペンドルフ管を4℃でPBSO/Nで1対1希釈したケミブロッカ(ケミコンインターナショナル)で遮断させた。翌日、Reacti BindTMニュートラビジン(ピアース(Pierce)、米国イリノイ州Rockford)マイクロタイター平板ストリップ(結合能力:25Pmolesビオチン/ウェル;PERBIO)を、ニュートラビジン結合剤の数を削減するための2回の予備吸着工程に必要な2×300μlPBSで洗い流した。100μlの50%ケミブロッカー(ケミコン)、0.05%トゥイーン20(シグマ)中のHuCAL GOLD(登録商標)ライブラリからの1ウェルあたり2×1013個のファージを添加し、穏やかに振とうさせながら室温で1時間遮断させた。2回目の予備吸着工程のために、ファージ溶液を新しいReacti−Bindニュートラビジンがコーティングされたポリスチレンマイクロタイター平板ストリップに移し、穏やかに振とうしながら室温で1時間インキュベートした。その後、予備吸着したファージおよびビオチニル化抗原(ビオチニル化のためには3:1のビオチン対抗原比:200nMの最終濃度)を予め遮断した1.5mlのエッペンドルフ管に添加し、回転ホイール上で室温で1時間インキュベートした。並行して、2×300μlのPBSでさらなるReacti−Bind Neutravidinコーティングされたポリスチレンマイクロタイター平板ストリップを洗い流し、1時間PBSで1:1希釈した300μlのケミブロッカーで遮断させ、1×300μlのPBSで洗浄した。マイクロタイター平板ストリップ内に1ウェルあたり100μlのビオチン−抗原−ファージ複合体をピペットでとり、穏やかに振とうしながら室温で一時間インキュベートした。複数の洗浄工程の後、10分間室温でインキュベートさせたpH8.0の10mMのトリス/Hcl中で110μlの20mMのDTTにより結合したファージを溶出させた。溶出液は、中相大腸菌TG1(ストラタジーン、オランダAmsterdam)を感染させるために使用され、記載されている通りに(クレブスら、2001年)ファージミドを増幅させた。
選択されたFabフラグメントのサブクローニングおよびミクロ発現。可溶性Fabの急速な発現を促進するため、XbaIおよびEcoRIを介して発現ベクターpMORPH(登録商標)×9_FH内に、選択されたHuCAL GOLD(登録商標)ファージのインサートをコードするFabをサブクローニングした。FabフラグメントはC末端
FLAGTMタグ((プリケット(Prickett)ら、1989年)そして第2のC末端タグとして6×His−タグ(チェン(Chen)ら、1994年))を担持している。TG1−F単―クローンの形質転換後、HuCAL(登録商標)−Fabフラグメントを含有するペリプラズム抽出物の発現および調製が、先に記述された通り((ラウヘンベルガー(Rauchenberger)ら、2003年)に実施された。
上述の通りに、ヒトMCP−1類似体―1(V41I)についての固相形式結合検定を実施した。遮断の後、ペリプラズム抽出物を添加した。ヤギ抗ヒトIgG、F(ab’)フラグメント特異的抗体と共にインキュベートすることにより、Fab−フラグメントの検出を実施した。
4℃で16時間H7.4のPBS中で希釈させた0.5μl/mのビオチニル化hMCP−1類似体−1(V41I)または類似体−2(F43Y)20μlでコーティングしたReacti−BindTMニュートラビジンTM384ウェル平板(ピアース、米国イリノイ州Rockford)を用いて、固定化したビオチニル化hMCP−1V41Iについてのスクリーニングを実施した。室温で1時間、TBS中の1%BSA、0.05%のトゥイーン20(シグマ(Sigma)、米国ミズーリ州St.Louis))で遮断した後、ペリプラズム抽出物を添加した。ヤギ抗ヒトIgG、F(ab’)フラグメント特異的抗体とのインキュベーションにより、Fab−フラグメントの検出を実施した。
4℃で16時間pH7.4のPBS中で1:1000希釈させた20μlのヒツジ抗ヒトIgG、Fdフラグメント特異的抗体でMaxisorp(ヌンク(Nunc)、米国ニューヨーク州Rochester)384ウェル平板をコーティングすることにより、ビオチニル化hMCP−1類似体−1(V41I)での溶液相スクリーニングを実施した。室温で2時間、TBS中の3%のBSA、0.05%のトゥイーン20(シグマ(Sigma)、米国ミズーリ州St.Louis))で遮断させた後、ペリプラズム抽出物を添加した。その後、捕捉されたHuCAL(登録商標)−FabフラグメントをTBS中の0.2μg/mlのビオチニル化hMCP−1類似体−1(V41I)に結合させ、これをアルカリホスファターゼにコンジュゲートされたストレプトアビジンでのインキュベージョンとそれに続くAtto Plos蛍光基質(ロシュ・ダイアグノステックス、ドイツ、Mannheim)の添加により検出した。535nmの蛍光放射を、430nmの励起で記録した。
生物活性検定
細胞培養
加湿されたインキュベータの中で37℃、5%COで標準化された条件下で全ての細胞を培養した。標準培地内で、CCR2を発現する細胞を成長させた。さらに、2mMのL−グルタミン1.5g/Lの重炭酸ナトリウム、4.5g/Lのグルコース、10mMのHEPESおよび1.0mMのピルビン酸ナトリウムを含有するRPMI90%;10%のウシ胎児血清(FBS;Vitacell RPMI20−2001、ATCC、バージニア州Manassas)の中で37℃、5%COで、4〜8×10細胞/mLの密度で、THP−1細胞(ヒト急性単球性白血病細胞)を培養させた。
放射性リガンド結合検定。 ミリポア(Millipore)フィルタ平板、(マサチューセッツ州Bedfordのミリポア(Millipore))内で競合検定を実施した。異なる濃度の組換え型ヒト(rh)MCP−1(279−MC、RアンドDシステムズ、ミネソタ州Minneapolis)または合成タンパク質と合わせて125I−MCP−1(1ng/ml;パーキンエルマ・ライフサイエンス(Perkin Elmer Life Science)、マサチューセッツ州Boston)と共に1×10
個のTHP−1細胞/ウェルをインキュベートした。RPMI培地1640(インビトロジェン、ニューヨーク州Grand Island)および0.1%のBSAから成る結合緩衝液中で全ての試薬を希釈させた。競合を室温で1時間進行させ、150μl/ウェルの洗浄緩衝液(結合緩衝液+1MのNaCl)で3回ウェルを洗浄した。Wallac
Wizard1470自動ガンマ計数器(パーキンエルマ・ライフサイエンシーズ、マサチューセッツ州Boston)を用いてフィルタ上の放射能を計数した。変動する用量の組換え型または合成MCP−1のいずれかによる125I―MCP−1のCCR2に対する結合の阻害百分率を計算した。阻害百分率値を次にグラフパッド・プリズム(Graphpad Prism)プログラム内にインポートし、最低値=0および最高値=100の定数および可変勾配を伴うS字形用量−応答曲線を用いてプロットした。
カルシウム可動化検定。非接着性細胞のためのメーカーのプロトコルに従ってFLEXstationTMCa2+プラス検定キット(モレキュラー・デバイシーズ(Molecular Devices)、カリフォルニア州Sunnyvale)およびFLEXstationTM(モレキュラー・デバイシーズ(Molecular Devices)、カリフォルニア州Sunnyvale)を用いて、96ウェル形式で、Ca2+可動化検定を実施した。ピークRFU値を、分析のグラフパッド・プリズム内にインポートした。
MCP−1誘発型CCR2レセプター内在化FACS検定。リガンド濃度(合成MCP−1のEC50、約100ng/ml)およびインキュベーション時間(1時間後に最大の内在化が発生した)の最適化の後、異なる濃度の抗体を添加することによりIC50を判定した。培養したCCR2発現細胞をPBSで洗浄し、37℃で約10分間ヴェルシーン(Versene)(インビトロジェン)で切り離した。細胞の全ての遠心分離工程は約200×gで行なわれた。細胞をFACS緩衝液(PBS/3%FCS)で2回洗浄し、計数し、生存率について検査した(トリパンブルー)。96V底ウェル平板(グレイナー)に、1ウェルにつき100μl中約2.5×10個の細胞を充てんし、氷上に置いた。96U底ウェル平板(ヌンク(Nunc)の中で、細胞培地(MEME)中に抗体を希釈させて、約200μg/mlから0.001μg/mlまでのトリプリケート試料を得た。異なる濃度の抗体を室温で10分間、100ng/mlの最終濃度の合成MCP−1(Bachem)と共に予備インキュベートさせた。細胞を、予備インキュベートした100μlのMCP−1/抗体混合物と共に再懸濁させ、レセプター内在化のためインキュベータ内で37℃で1時間インキュベートさせた。内在化の後、細胞を一回180μlの低温FACS緩衝液で洗浄したが、さらなる内在化を防ぐため全ての後続工程について平板を氷上に保たなくてはならない。FACS緩衝液内で1:10の割合でビオチニル化マウス抗−hCCR2mAb(RアンドDシステムズ)を希釈した。対照としてマウスIgG2bイソタイプビオチンmAb(RアンドDシステムズ)も同様にFACS緩衝液内で1:10に希釈した。10μg/mlの最終濃度のヒトおよびマウスガンマグロブリンの1:1混合物(ジャクソンズ・イムノ・リサーチ)を、抗−hCCR2および対照mAbの両方に添加してFc−レセプターを遮断した。細胞を50μlの抗−CCR2/ガンマグロブリンミックス(または対照IgG2b/ガンマグロブリンミックス)の中に再懸濁させ、氷上で1時間インキュベートした。細胞を2回180μlのFACS緩衝液で洗浄し、50μlの1:400の希釈ストレプトアビジン−PE(BDファーミゲン(Pharmingen))内で再懸濁させ、暗所で氷上にて4℃で1時間インキュベートした。180μlのFACS緩衝液で2回、細胞を洗浄し、100μlの2%PFA/PBS中で再懸濁させ、固定のため4℃で一晩貯蔵した(代替的には、PFA固定無しの直接的測定が可能である)。FACS測定のために、細胞を200μlのFACS緩衝液で再懸濁させ、少なくとも5000個の細胞を各々計数した。
親和性検定
判定用溶解平衡滴定(SET)方法およびバイオベリスを用いた交叉反応性研究。溶解状態の親和性判定を基本的に文献中で記載されている通りに実施した(フリゲ(Friguet)ら、1985年)。SET方法の感度および精度を改善するために、それを従来のELISAからECLベースのバイオベリス技術に移した(ハーネル(Haenel)ら、2005年、Analytical Biochemistry中に公表受諾されたもの)。メーカーの指示に従って、1mg/mlのヤギ抗−ヒト(Fab)またはヤギ抗マウスIgG、F フラグメント特異的抗体(ジャクソンズ・イムノ・リサーチ)を、BV−tagTMNHS−Ester(バイオベリス・ユアロップ(Bioveris Europe)、英国オックスフォードシャーWitney)で標識した。検定緩衝液として0.5%のBSAおよび0.02%のTween20を伴うpH7.4のPBSでポリプロピレンマイクロタイター平板内で実験を実施した。4段階で未標識抗原を希釈した。ヒトおよびカニクイザルMCP−1については10pM〜40nMの濃度範囲そして交叉反応性コントロール(エオキシンおよびMCP−2)については40pM〜160nMの濃度範囲を選択した。抗原無しのウェルを用いてSmax値を判定した。100pMのFabまたはIgG(75μLの最終体積中の濃度)の添加後、混合物を室温で2時間インキュベートした。その後、抗ヒトFabについて1:4000または抗マウスIgGについて1:2000の最終希釈物中の0.25μg/mlのビオチニル化MCP−1(K69)およびBV−tag標識された検出抗体でコーティングされた25μlのDynabeads(0.4mg/mlのM−280ストレプトアビジン、DYNAL、Hamburg)の混合物を1ウェルにつき添加した。室温でエッペンドルフ振とう器(700rpm)上で30分間インキュベートした後、M−384シリーズ(登録商標)ワークステーション(バイオベリス・ユアロップ)を用いて電気化学発光シグナルを検出した。カストマイズされた適合モデルを応用するOrigin5.0(Microcal)ソフトウェア(Fabについてはハーネルら、2005年、Analytical Biochemistry中に公表受諾されたもの;IgGについてはピーラー(Piehler)ら、1997年に従う)で、データを評価した。
直接コーティングされた抗原についてのバイアコアK判定。速度定数KonおよびKoffを、バイアコア3000計器(バイアコア(Biacore)、スウェーデンUppsala)を用いて共有結合により固定化されたMCP−1に結合するそれぞれのFbの段階希釈物で判定した。共有結合性抗原固定化のためには、標準時EDC−NHSアミンカップリング化学が用いられた。反応速度測定を、1.5〜500nMのFab濃度範囲を用いて20μl/分の流速でPBS(136mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNaHPO、1.76mMのKHPO pH7.4)中で行なった。各濃度についての注入時間は1分でありそれに3分間の解離段階が続いた。再生のためには、5μlの10mMのHClを使用した。BIA評価ソフトウェア3.1(バイアコア)を用いて全てのセンソグラムを適合させた。Biotin−K69ヒトMCP−1およびカニクイザルMCP−1についてのバイアコアK判定。ストレプトアビジンチップ表面に対してビオチン−K69ヒトMCP−1およびビオチニル化カニクイザルMCP−1をコーティングし、CM5チップに対し直接カニクイザルMCP−1をコーティングした。標準的方法を用いてFabの結合をテストした。
抗体捕捉モードでのバイアコアK判定。CM5チップ(流速5μl/分)上で抗−hFab(s.3.15)を用いて500MでFabを捕捉し、各類似体(MCP1、2、3、4およびエオタキシン、エオタキシン−2および3)の溶液を注入した。全てのサイトカインに担体を含まず、親和性判定のための検体として15〜500M(最適化前の親Fabについて)の濃度範囲で使用された。BIA評価ソフトウェアを用いて、センサーグラムを分析した。バイアコアの検出限界に達したため最適化された結合剤について抗体捕捉モードでのMCP−1に対するバイアコア親和性判定は不可能であった。
Fabの特異性分析のためには、捕捉検定を用いる表面プラズモン共鳴を使用した(バイアコア3000、スウェーデンUppsala)。Fabを捕捉し、さまざまなタンパク質(MCP−2、−3、−4およびエオタキシン−1、−2および3)を検体として使用した。CM5チップ(バイアコア、スウェーデン)を、標準的EDC−NHSアミンカップリング化学を用いて4フローセル全てについて、6500〜8000RUの抗−F(ab)(ダイアアノヴア(Dianova)、Affipure F(ab)フラグメントヤギ抗−ヒトIgG、F(ab)フラグメント特異的;10mM酢酸塩緩衝液、pH4.5)でコーティングした。フローセル2〜4を、特異的抗−MCP−1 Fabで捕捉した(10μl/mlの流速で20μlの500nM Fab、結果としての捕捉密度300〜400RU)。Fabの捕捉後、100nMの濃度でケモカインを注入した(20μl、流速20μl/分、PBS pH7.4)。小さなアリコートの形でケモカインを貯蔵し、測定のためには、最大1回の凍結−解凍サイクルで解凍されたばかりの材料のみを使用した。抗Fab/Fab相互作用およびFab特異的相互作用、MCP−1のオフ速度により刺激される複数のオフ速度の組合せを避けるために、抗Fab/Fab相互作用の解離を判定するべく緩衝液を注入した。達成した緩衝液センサーグラムを特異的なものから減算した。応答単位は、表面上への捕捉抗体の量に正規化した。
抗体捕捉モード内での未変性MCP−1に対する結合。上述の通りの方法を使用した。PANC1上清から未変性MCP−1を精製し、結合分析のために使用した。Fab捕捉モードでの未変性MCP−1に対する結合は、検出限界をはるかに上回っていたが、未変性MCP−1の適正な濃度を覆い隠す抽出物中の不純物のせいで、真の親和性測定は不可能であった。
IgGへの変換
全長IgGを発現する目的で、ヒトIgG1、ヒトIgG4、キメラヒト/マウスIgG1およびIgG2aについてFab発現ベクターから適切なpMorph_hIgベクターへと、重鎖(VH)および軽鎖(VL)の可変ドメインフラグメントをサブクローニングした。制限酵素EcoRI、MfeI、BIpIをpMorph_hIgG1.1、pMorph_hIgG4.1、pMorph_mIgG1.1またはpMorph_mIgG2a.1へのVHドメインフラグメントのサブクローニングのために、そしてEcoRV、BsiWIをpMorph_hIgκ_1、pMorph_hIgλ_1、pMorph_mIgκ_1またはpMorph_mIgλ_1ベクターへのVLドメインフラグメントのサブクローニングのために、それぞれ使用した。結果としてのIgG構成体はCNTOにおいて発現させられた。
結果
Maxisorp平板に直接コーティングされたhMCP−1(41I)およびhMCP−1(43Y)上で固相パニングを実施した。各々3つの選択ラウンドを含む4つの異なるパニング戦略を応用した。発現ベクターpMORPH×9_Fab_FH内へのサブクローニングの後、直接コーティングされたhMCP−1(41I)およびビオチニル化hMCP−1について、固相スクリーニングを実施した。合計8832個のクローンを一次スクリーニングにおいて分析し、983の一次ヒットを得た。最終的に5個のユニークFabを同定したが、5つのFab全てが細胞検定内でMCP−1を中和せず、Maxisorpに対する直接的コーティングが、中和エピトープの立体配座または少なくともアクセス可能性を損う可能性があることを表わしていた。
溶解状態のHuCAL GOLD(登録商標)ファージと共にビオチニル化されたヒトMCP−1類似体−1(V41I)および類似体−2(F43Y)をインキュベートし続いて記載されている通り、ファージ抗原複合体を捕捉して、半溶解パニングを実施した。それぞれビオチニル化ヒトMCP−1タンパク質類似体−1(V41I)および類似体−
2(F43Y)(交互パニング無し)に対する3ラウンドのパニングを含む2つの異なる主パニング戦略を応用した。合計9024のクローンを一次スクリーニングにおいて分析し、121の一次ヒットを得、最終的に18個のユニーク結合剤が明らかとなった。ビオチニル化ヒトMCP−1タンパク質類似体−1(V41I)についてのパニングからの192クローンのLuminexベースの再スクリーニングにより、9つの付加的な一次ヒットおよび3つの付加的なユニーク結合剤が導かれ、Lumirexスクリーニングが捕捉スクリーニングに対する適切な代替的スクリーニング方法であることを示している。半溶解パニングから合計21のユニーク結合剤が同定され、そのうち14の結合剤が中和活性を示した。HuCAL GOLD(登録商標)からの中和Fabは全て、このパニングに由来していた。
HuCAL GOLD(登録商標)Fabの特徴づけ
ユニークFabを発現させ、さらなる特徴づけのために精製した。バイアコアによりhMCP−1結合親和性を決定し、1)125I―CCL−2のThp−1細胞に対する結合の阻害、および2)Thp−1細胞中のhMCP−2誘導型Ca2+可動化の阻害という検定の中でFabを特徴づけした。細胞ベースの検定において中和活性を示したFabをさらに、1)合成カニクイザルhMCP−2に対する結合;2)結合特異性のためのhMCP−2ファミリ関連ヒトケモカインに対する結合(すなわちMCP−2、3、4およびエオタキシン1、2、3);および3)合成hMCP−2ペプチドを用いて選択されたFabが未変性hMCP−2を確実に認識するようにするための未変性ヒトhMCP−2に対する結合、についてテストした。付加的な親和性成熟のために、最適な特性をもつ7つのFabを選択した。
親和性成熟のために選択されたFabの特性は表2にまとめられている。親和性成熟のために選択された7つのFabは、ライブラリクローニングおよび選択のため3つのグループに割当てられた。L−CDR3およびH−CDR2最適化が並行して実施された。軽および重可変鎖の並行な最適化は、さらなる改良型抗体さえも生成するべく交叉クローニングを介して改良型重鎖および軽鎖を組合せ潜在的可能性を作り出した。
実施例2:FABSからの高親和性MCP−1特異的抗体の評価
指摘した通り、親和性成熟のための候補の選択は、遊離Fab形式の候補について実施
された。選択基準は、放射性リガンド結合検定における活性、Ca2+可動化検定における活性、バイアコアにより測定されるヒトMCP−1に対する親和性、ヒトMCP−1に対する特異性、カニクイザルMCP−1に対する親和性およびバイアコア内で検出された未変性MCP−1に対する結合であった。親Fabをグループ化するための付加的な基準は、ELISAにおけるC775競合であり、可変重鎖および軽鎖のフレームワークファミリに基づいていた。特に走化性検定におけるIgGとしての成熟候補の特徴づけを、成熟選択プロセスと並行して実施した。
成熟のため選択された7つのFabは、3つの異なる配列クラスに入った。1つのクラス(グループ1、表2)では、Fab03336、03464、03468および03470が、2つの異なる重鎖フレームワークの1つと共にVλ3軽鎖フレームワークを有していた。Fab03336および03464はVH3重鎖フレームワークを有し、Fab03468および03470は、VHB重鎖フレームワークを有していた。Fabの第2のクラス(グループ2、表2)03471および03473は、VH1A重鎖フレームワークおよびVκ3軽鎖フレームワークを有していた。Fab03548は、第1のクラス内のFabのうちの2つ(VH3、Vλ3)と同じ重鎖および軽鎖フレームワークを有していたが、例外的に強力な生物活性およびエオタキシンとの結合交叉反応性を有していたことから別々に維持された(グループ3、表2)。本明細書で使用されている可変領域配列分類の完全な記述については、全体が本明細書に参照により援用されている米国特許第6828422号明細書を参照のこと。後者の成熟の最終目的は、特異性を増大させながらCCL−2に対する03548の親和性を改善することにあった。
成熟の前に、カニクイザルおよび未変性ヒトMCP−1に対する親和性ではなくこれらに対する結合のみがバイアコアFab捕捉モードで判定された。7つの親Fabは全て、成熟のための前提条件であるカニクイザルおよび未変性−MCP−1の両方に対する結合を示した。
親IgGの結合特異性
7つの親Fab全てのIgG1への転換後、IgG形態について交叉反応性研究を反復した。エオタキシン3はセンサーチップ上でデキストラン表面に非特異的に結合し、この非特異的結合はカルボキシルメチルデキストランを添加することにより競合させて取去ることができた。その他のケモカインのデキストラン表面に対する非特異的結合も可能であったことから、全てのバイアコア特異性検定においてカルボキシルメチルデキストランを添加した。Fabとは対照的に、2つのIgGがヒトMCP−1に対する有意な結合を全く示さず、興味深いことに、全ての成功基準を満たした4つの最終結合剤全てが1つの親Fabから来ていた。
表面上の捕捉抗体の量により、MCP−1の結合シグナル(応答単位)を正規化した。すなわちモル結合比=(結合した抗原のRU/抗原のMW)×(mAbのMW/表面上に捕捉されたmAbのRU)であり、0.5未満のモル結合比が有意でないものと予想された。4つのIgGが、MCP−1に対して0.5超のそして、全相同体ケモカインに対し0.5未満の正規化された結合比を示し、従って、IgGレベルで特異的と称された。1つのIgGも同様に、Fabレベルですでに検出されたエオタキシンおよびMCP−2に対する幾分かの結合を示したが、この交叉反応性はIgGレベルで削減された。MOR03468IgGのデータは示されていない。
THP−1細胞(CNTO)に対するI125MCP−1結合の阻害
IgG1形式での親結合剤の中和活性を最初に放射性リガンド結合検定においてテストした。無関係のヒトIgG1を添加することによりTHP−1細胞上のFCレセプターを遮断した後、全ての親IgGについてMCP−1結合の阻害を検出することができた。4
つのIgGが、基準IgGC775の範囲内のIC50値でTHP−1細胞に対する放射性標識されたヒトMCP−1の阻害を示した。
カルシウム可動化(CNTO)の阻害
全ての親IgGは、THP−1細胞内でMCP−1誘発型のカルシウム可動化を阻害した。4つのIgGが、基準IgGC775に比べて高い抗体濃度でMCP−1誘発型のカルシウム可動化の阻害を示した。
MCP−1誘発型走化性(CNTO)の阻害
親Fabを走化性検定においてテストすることができなかったことから、MCP−1誘発型走化性の阻害をIgG形式でテストした。テストされた親IgGは全て走化性検定において活性であり、4つのIgGは基準IgGC775に比べて高い抗体濃度でMCP−1誘発型走化性の阻害を示した。
実施例3:L−CDR3/H−CDR2カセットの並行交換による選択されたFABの親和性成熟
親和性成熟プロセスの要約
第1の成熟ラウンドにおいて、L−CDR3最適化およびH−CDR2最適化が並行して実施された。各々のFabクラスからのDNAを、成熟ライブラリ構築のためにプールした。各々のDNAプールについてランダム化された配列によりもとの重鎖CDR2および軽鎖CDR3配列を置き換え、結果として6つの新しいライブラリすなわち3つのランダム化されたH−CDR2と3つのランダム化されたL−CDR3ライブラリを得た。6つのライブラリの各々の多様性は、10超のユニークFabであった。ニュートラビジンがコーティングされたプラスチックウェル上で捕捉されたビオチンペプチドの溶液パニングまたはパニングのいずれかのために、合成CCL−2−41I―ビオチン−K69ペプチドを使用した。6つのライブラリの各々をさまざまな条件下でパニングして、緩慢なオフ速度(すなわち長時間洗浄、削減された抗原濃度)でFabについて富化させた。溶液および半溶解パニングを含めた36の並行パニングを実施した。抗原濃度の削減、オフ速度選択および長期洗浄の結果、ストリンジェントパニング条件が得られた。バイオベリス(前IGEN)電気化学発光(ECL)ベースのプラットフォームを用いて、親和性スクリーニングを実施し、改善された親和性での高生産性親和性等級付けおよびFab分子の同定が可能となった。
H1AおよびH1Bの重鎖H−CDR2ライブラとしての親和性成熟用ライブラリを別々にクローニングし、7つの異なる可変領域ライブラリをクローニングした。その後2つのH1AおよびH1Bライブラリを選択に先立ちプールし、6つの選択ライブラリを得た。ライブラリサイズは、10〜8×10の範囲内であった。理論的多様性の0.625倍がなおも網羅されていたMOR03548λ3L−CDR3ライブラリを除いて、全てのライブラリについて全ての理論的多様性が網羅された。無作為に取り上げたクローンの配列決定により、ライブラリの品質管理を実施した。配列の75中71(95%)が適正で多様であったが、75の配列のうち4つについて、フレームシフトが検出された。全ての親Fabの誘導体がそのそれぞれのライブラリ内で発見された。
選択された抗体フラグメントの親和性および生物活性を増大させるために、フレームワーク領域が恒常に保たれる一方で、トリヌクレオチド誘導突然変異誘発ヴィルネカス(Virnekaes)ら、1994年)を用いたカセット突然変異誘発により並行してL−CDR3およびH−CDR2領域を最適化した。親和性成熟のためのクローニングに先立ち、全ての親Fabフラグメントを対応する発現ベクター(pMORPH(登録商標)×9_FH)からXbaI/EcoRIを介してCysDisplayTMベクターpMORPH(登録商標)25_LHC内に移送した。H−CDR2最適化のためのライブラ
リクローニングと干渉する1つのBssHII部位の除去により、HuCAL GOLD(登録商標)表示ベクターpMORPH(登録商標)23_LHCからMORPH(登録商標)25_LHCを作り出した。親FabフラグメントのプールのL−CDR3を最適化するために、結合剤プールの軽鎖(405bp)の定常領域、L−CDR3およびフレームワーク4をBpiI/SphIにより除去し、定常ドメインおよびフレームワークと共に多様化されたL−CDR3sのレパートリで置き換えた。このL−CDR3カセットの設計、合成およびクローニングについては、別途記述する予定である(原稿準備中)。5μgの結合剤プールベクターを、多様化されたL−CDR3sを担持するインサートフラグメントの3倍モル余剰分でライゲートさせた。第2のライブラリセットにおいては、結合するフレームワーク領域が定常に保たれる一方で、H−CDR2(XhoI/BssHII)を多様化させた。クローニング効率を監視するために、親H−CDR2をダミーで置き換えてから、多様化したH−CDR2カセットを中にクローニングした。4mlの大腸菌TOP10F細胞内で7つの異なるライブラリのライゲーション混合物を電気穿孔させ(インビトロジェン、米国カリフォルニア州Carlsbad)、1×10〜8×10個の独立したコロニーを生成した。このライブラリサイズは、理論的多様性を確実に網羅した。ライブラリの増幅を、前述の通りに実施した(ラウヘンベルガーら、2003年)。品質管理のため、単一のクローンを無作為に取上げ、配列決定した(セキサーブ(SequiServe)、ドイツ、Vaterstetten)。
親和性成熟のためのヒトビオチン−K69MCP−1(V41I)に対する半溶解パニング
最適化ライブラリから取返した1×1013個のファージを、レアクティ・バインド・ニュートラビジン(Reacti−Bind Neutravidin)でコーティングされたポリスチレンマイクロタイター平板ストリップ上に2回予備吸着させ、その後ケミ・ブロッカー(Chemi BLOCKER)で遮断した(ケミコン(Chemicon)、米国カリフォルニア州Temecula)。予備吸着させたファージおよび異なる濃度のビオチンK69MCP−1(0.02〜50nM)を溶解状態で22℃で1.5時間インキュベートし、その後、レアクティ・バインド・ニュートラビジンでコーティングされたポリスチレンマイクロタイター平板ストリップ(PERBIO)に対しファージ−抗原複合体を捕捉した。22℃での洗浄工程を、12時間まで延長させた。10mMのトリス/HCl、pH8.0中の20mMのDTTによる溶出および各々のパニングラウンド間のファージミド増幅を、上述の通り行なった。
親和性成熟のためのヒトビオチン−K69MCP−1(V41I)に対する溶液パニング
上述の通りの親和性成熟ライブラリから取返した1×1013個のファージをケミブロッカー(ケミコン、米国カリフォルニア州Temecula)、0.05%トゥイーン20(シグマ、米国ミズーリ州St.Louis)で遮断し、トゥイーン20無しでケミブロッカーにより遮断されたダイナビーズ(Dynabeads)(登録商標)M−280ストレプトアビジン(ダイナル・バイオテク、ノルウェーOslo)上で2回予備吸着させた。抗原の削減を3回のパニングラウンド中に適用し、ビオチン−K69MCP−1の濃度は0.01から5nMまでの範囲内であった。ビオチニル化抗原に結合されたファージを捕捉するために、遮断されたDynabeads(登録商標)および磁気粒子分離装置、MPC−E(ダイナル・バイオテク、ノルウェーOslo)を使用した。洗浄工程(ラウヘンエルガーら、2003年)、10mMのトリス/HCl、pH8.0中の20mMのDTTによる溶出および各々のパニングラウンド間のファージミド増幅を上述の通りに行なった。さらに、パニングストリンジェンシーを、オフ速度選択(ホーキンス(Hawkins)ら、1992年)および長時間洗浄工程(最高6時間)によりさらに増大させた。
3312個のクローンをスクリーニングし、7つの親Fabのうちの4つに由来する8
5の最適化されたFabを同定した。L−CDR3およびH−CDR2の両方において最適化されたFabを同定し、2つの異なる親クローンの誘導体について、改良型軽鎖および重鎖の交叉クローニングを実施し、最高100倍の親和性(K)のさらなる改善を導いた。約1−10nMで推定されたKdをもつ上位結合剤(約100個)を配列決定して、41個のユニークな改良型Fabの同定を導いた。改良型結合剤の大部分は、グループIII(03548)に由来していた。グループIおよびグループIIにおいて付加的なスクリーンを行なって、これらの成熟群においてより改良されたFabを同定した。29の付加的なクラスIおよびIIの結合剤を同定した。全体として、7個の親Fabのうちの5つに由来する87個のユニークFabを成熟プロセスにおいて同定した。表3は、成熟パニングの結果をまとめたものである。
親クローン03741および03548のH−CDR2またはL−CDR3のいずれかの中に、成熟したFab内のアミノ酸変化が位置づけされていた。Fabの最良の軽鎖CDR3と最良の改良型重鎖CDR2の交叉クローニングを次に実施して、さらに高い親和性をもつFabを生成しようと試みた。約36の交叉クローンが生成された。全てのユニークFab配列を同様に、N−連結されたグリコシル化部位の予測についてスクリーニングした。重鎖CDR2内のグリコシル化のためのNISコンセンサス配列をもつわずかなFabを同定した。これらのFabをさらなる特徴づけから除外した。合計84のFabを発現させ、モルフォシス(Morphosys)で精製し、生物学的特徴づけのためセントコール(Centocor)に移した。
バイアコアを用いた親和性測定のための感度限界には、最適化Fabで達した。従って、ECLベースの溶解平衡滴定(SET)により、親和性の値を判定した(ハーネルら、2004年、Analytical Biochemistry中での公表に提出されたもの)。親和性成熟の後、約10pMのKが達成され、値をKinexAを用いて確認した。放射性リガンド検定におけるFab結合は、110pMのIC50を達成した。かくして、MCP−1親和性および結合反応速度の両方が、親Fabに比べて最高1000倍まで改善した。4つの最適化Fabは、9つの全ての成功基準を満たした。2つはL−CDR3最適化Fabであり、2つはL−CDR3およびH−CDR2の最適化鎖から成る交叉クローンであった。4個は全てIgG1に転換され、放射性リガンド結合検定において20pMの最良のIC50および10pMの最良のKで、全てのテスト対象検定において活性を保持した。1つの付加的な交叉クローンMOR03899は、FabとしてではなくIgG1として全ての成功基準を満たした。成功基準を満たした全ての結合剤は、MOR03471親Fab(配列番号2、4)から誘導されていた。ユニークFab、MOR03790は、表4Dおよび配列番号6、7、9、13、14および16内で記されている重鎖および軽鎖可変領域配列を含みMOR03471に基づく動物モデル内での
インビボ評価、スケールアップ製造開発、およびIgG産生のため選択された
親和性成熟中のバイオベリススクリーニング
ECLベースのハイスループット親和性スクリーニングバイオベリス検定により、親和性改良型Fabクローンを同定した。ヒット選択後、4つのサブクローンを同じ方法で確立した。
親和性成熟のためのパニング戦略
合計で36個の異なるパニングを実施した。ストレプトアビジンビーズに対するファージ−抗原複合体の捕捉を伴うビオチン−K69MCP−1(V41I)に対する18回の溶液パニング。抗原濃度の削減、オフ速度選択および長時間洗浄により、選択プロセス中のストリンジェンシーを増大させた。さらに、ビオチン−K69MCP−1に対する18回の半溶解パニングを実施し、ニュートラビジン平板にファージ−抗原複合体を捕捉した。これらのパニングにおいては、抗原の削減および長い洗浄によりストリンジェンシーを増大させた。
親和性成熟についてのバイオベリススクリーニング
成熟パニングにおいてと同様バイオベリスベースのスクリーニングのためにも、抗原ビオチン−K69MCP−141Iを使用した。改良型結合剤の同定のために、スクリーニングが非常に効率良く機能した。36のパニング条件の各々について、92のクローンをスクリーニングし、結果として3312のスクリーン済みクローンが得られた。合計して85の異なるユニーク最適化結合剤を同定した。3つのグループ全てから最適化Fabを発見した。さらに、L−CDR3およびH−CDR2の中で最適化したFabを同定することができ、MOR03471およびMOR03548誘導体と呼称されたFabについての交叉クローニングが可能となった。46個の最適化FabがMOR03548に由来し、H−CRD2最適化に由来したFabのうち35個が、11L−CDR3で最適化されたFabに比べ高い親和性および活性を示した。しかしながら親MOR03471も同様に、この成熟において非常にうまく最適化されており、23個のFabがL−CDR3内で、又1個がH−CDR2内で最適化された。7個の親Fabのうちの4個から改良型Fabが由来し、このことは各々の親結合剤が異なる最適化潜在性を有することを表わしていた。最終的に、全ての成功基準を満たす4つのFabが、MOR03471に由来し、2つがL−CDR3のみにおいて最適化され、交叉クローニングからの2つがL−CDR3およびH−CDR2において最適化された。
最適化されたFab分子の交叉クローニング
Hu CAL(登録商標)技術のモジュラー構造は、クローニング工程において2つの最適化された鎖を組合せるだけで、同じ親クローンから誘導された最適化Fabの最適化軽鎖および重鎖の急速な交叉クローニングを可能にする。交叉クローニングは、付加的な成熟ラウンド無くさらに改善された抗体を得る潜在性をもつ高速方法である。一方では、2個のL−CDR3最適化MOR03548誘導体を6個のH−CDR2最適化MOR03548と交叉クローニングさせて、12個の交叉クローンを導いた。他方では、22個のL−CDR3最適化MOR03471を1つの利用可能なH−CDR2最適化MOR03471クローンと交叉クローニングさせた。このプロジェクトにおいては、交叉クローニングは成功し、2つの異なるMOR03471由来の交叉クローン、MOR03850およびMOR03878を導き、これらは最終的に全ての成功基準を満たした。
16個の予備選択された抗体の詳細な特徴づけ
親和性スクリーニングから同定された85個の最適化Fabおよび付加的な34個の交叉クローン(以上参照)が結果として、全て利用可能な定によっても全ては特徴づけされなかった合計119個の異なるユニークな最適化Fabをもたらした。従って、16
の最適化Fabを、放射性リガンド結合阻害におけるそのIC50、カルシウム放出検定における活性、CDR中のN―グリコシル化部位の欠如(表4AおよびB)および親和性に従って予備選択した。さらなる詳細な特徴づけには、特異性試験、未変性MCP−1に対する結合およびその中和、ヒトおよびカニクイザルMCP−1に対する親和性、走化性検定における活性および全ての転換済みIgG1の特徴づけが含まれていた。
最適化Fabを表わすクローンは、表4A−Cに示された配列によって表わされており、ここで、クローンMOR03471親FabはVH3xカッパ3フレームワークを有し、MOR03548はVH1Axラムダ3フレームワークを有する。所望の物理化学属性(CDR中のN−グリコシル化部位無し)および親和性および生物活性の最適化された特性をもつ17個の選択されたFabは、使用されたフレームワーク(VH3およびVH1A)内で、いくつかのユニークCDR配列、およびHC−CDR2およびLC CDR3配列間の代表的コンセンサス配列、ならびにより一般的に全てのHC−CDR1間のコンセンサスを示す。これらのコンセンサス配列は、表4C−4Eおよび配列番号2〜26に示されている。
バイアコアにより測定された未変性MCP−1に対する結合
未変性MCP−1に対する結合をバイアコアFab捕捉モードでテストし、選択された全てのFabは未変性MCP−1に対する結合を示した。特に、最適化されたFabでバイアコア内でのK決定についての検出限界に達したことから、親和性判定および特異性確認のための代替的方法を使用しなければならなかった。
IgG転換
詳細な特徴づけのために選択された全ての最適化FabをIgG1形式に転換させ、さらに4つのFabをIgG4形式にサブクローニングした。テスト対象のヒトIgG4の異なる検定における活性および発現データはそれぞれのIgG1のものと同じ位優れていた。
バイオベリスを用いた溶解平衡滴定
敏感なK判定のための代替的方法として、バイオベリス技術を用いた溶解平衡滴定(SET)を実施した。FabおよびIgGのための適切な適合モデルを用いて一価の解離定数を計算した。この方法は、親和性測定および交叉反応性研究に適していた。バイオベリスを用いた溶解平衡滴定(SET)により全ての選択された16の結合剤を分析し(表5および表6)、これらの親和性値を最終的親和性値とみなした。FabおよびIgGとしてのMOR03757、MOR03781、MOR03790、MOR03850、MOR03878、およびIgGとしてのMOR03899を含めた複数の結合剤が、0.5nM未満であるヒトMCP−1および20nM未満であるカニクイザルMCP−1に対する親和性成功基準を満たした。ヒトMCP−1に対する最良の親和性はFabのレベルで20〜40pMであり、IgGのレベルで10〜20pMであった(表5)。カニクイザルMCP−1に対する最良の親和性は、Fabレベルで10〜40pMであり、IgGレベルで20pMであった(表6)。
バイオベリスを用いた特異性試験
親和性以外にも特異性特にエオタキシンおよびMCP−2に対する交叉反応性をバイオ
ベリスを用いて溶解平衡滴定(SET)において分析した。テスト対象の選択された16個のFabおよび15個のIgG(16個の選択されたIgGのうちの1つは利用不可能であった)について、ヒトMCP−2に対する交叉反応性は全く検出不可能であった。ヒトMCP−1と同様、ヒトMCP−2は主としてCCR2レセプターに結合し、一方ヒトエオタキシンは大部分CCR3レセプターに結合する。バイオベリスでMOR03744、MOR03747、MOR03790およびMOR03781FabおよびIgGについてはヒトエオタキシンに対する交叉反応性は全く検出不可能であり、一方MOR03850を含めた12個の選択された結合剤は、FabまたはIgG形式でエオタキシンに対する幾分かの交叉反応性を示した(データ示さず)。
バイアコア抗体捕捉モード(CNTO)での最適化抗体の特異性
選択されたIgGで特異性評価を実施した。バイアコア内で、捕捉された最適化抗体に対して100nMのヒトMCP−1、ヒトMCP−2、3、4およびヒトエオタキシン1、2および3を添加した。MOR03790、MOR03791、MOR03747、MOR03850、MOR03744、MOR03849、MOR03878、MOR03885、MOR3899およびMOR03781IgGは、相同体ケモカインに対する有意な結合シグナルを全く示さず、特異性成功基準を満たした(表6)。
MCP−2に結合するFabは、Thp−1細胞(CNTO)に対する125IMCP2結合を阻害しない。バイアコア内で検出されたエオタキシンおよびMCP−2に対するFab結合活性が中和活性の形をとったか否かを分析するために、セントコールにおいて放射性リガンド全細胞結合検定を開発した。I125MCP−2は、Thp−1細胞に対する優れた結合を示し、結合は、MCP−1特異的基準抗体C775の添加によってではなく未標識MCP−2の添加によって阻害された。結果は、結合/中和特異性をテストするための重要な機能的検定を提供した。レセプター結合検定においては1ng/mlのMCP−1が使用されたのに対し、MCP−2標識(MCP-2 labeling)が活性の損失をひき起こした可能性があるため、この検定では約100ng/mlのMCP−2が必要であった。MOR03754は、Thp−1細胞上のCCR2レセプターに対する125I標識されたMCP−2結合の有意な阻害を全く示さなかった(IC50≧2μM)。
成熟したFabは、THP−1細胞(CNTO)に対するI125MCP−1結合を強力に阻害する。必要とされるMCP−1が1ng/mlと少量であるため、この検定は、Fabについては約100pMそしてIgGについてはさらに20pM(表5)という検定IC50限界で、このプロジェクト中最も感度の高い検定であった。最適化の後、Fabは、基準FabC775より低いIC50でThp−1細胞上のそのヒトレセプターCCR2に対するヒトMCP−1結合を阻害することになった。親MOR03471Fabは180nMのIC50を示し、最適化MOR03471Fb誘導体(180pMのMOR03781、260pMのMOR03790、160pMのMOR03850、110pMのMOR03878および130pMのMOR03899)は、最高1000倍の倍率で最適化中に活性の全体的改善を示した。この検定はこのプロジェクトにおいて利用可能な最も感度の高い生物学的検定であったが、この検定においてさえ、最適化結合剤は検定限界に達したように思われた。
成熟したIgGはTHP−1細胞(CNTO)に対するI125MCP−1結合を強力に阻害する。無関係のヒトIgG1を添加することによるFcレセプター結合部位の遮断は、放射性リガンドの結合およびカルシウム可動化検定にとって重要であった。テストされた全てのIgG1は放射性リガンド結合検定における活性を保持した。最適化されたMOR03781のIC50値は20pMであり、MOR03790については30pM、MOR03850については50pM、MOR03878については30pMそしてMOR03899については50pMであった。MCP−1誘発型CCR2レセプター内在化
の阻害 FACS検定の開発。レセプター内在化検定は、THP−1細胞よりも高いCCR2発現を示すCCR−2を発現する細胞を用いて実施され、より優れた信号対雑音比を導いた。第1に合成ヒトMCP−1を検定内で滴定してEC50値を決定した。MCP−1についてのEC50値は116ng/mlであることがわかった。従って、さらなるFACS検定のためには100ng/ml(約11nM)のMCP−1を選択した。さらに、完全な内在化を得るための最適なインキュベーション時間を37℃で評価した。大部分の内在化は最初の30分以内に発生した。従って、全ての後続する検定においては、1時間のインキュベーション時間を用いた。IC50の判定を可能にするように、検定をうまく開発した。MCP−1誘発型レセプター内在化を阻害するために用いられる0.001〜200μg/mlの間のFabまたはIgGの活性および等級付けを測定した。選択された最適化結合剤は、MCP−1誘発型レセプター内在化の優れた阻害を示した(データは示さず)。Fabの2つの異なるバッチを並行してテストし、再現性が実証された。
Fabを用いた内在化検定に関しては、MOR03790については5nMのIC50を、MOR03850については4nM、MOR03781については7nM、MOR03878については5.3nM、そしてMOR03899については3.3nMのIC50を検出した(表6)。MOR03781IgG1も同様に7nMを示し、これは、IgG転換の後活性が保持されたことを表わしていた。
カルシウム可動化(CNTO)の阻害
MCP−1は、フルオロフォアの助けを借りて検出できるTHP−1細胞内のカルシウム可動化を誘発する。最適化された抗体は、カルシウム可動化の強力な阻害を示し、4つの最終的候補MOR03781、MOR03790、MOR03850およびMOR03878Fabは、18〜28nMのIC50値を示した。それぞれのIgGは又活性を保持し、1IgGにつき2つのMCP−1分子を中和するその能力のため約6〜10nMのわずかに優れたIC50値さえ示した。ここでも又、約10nMで検定限界に達したように思われた。
未変性MCP−1誘発型カルシウム可動化の阻害
PANC1上清から未変性MCP−1を精製し、カルシウム放出の誘発のために使用した。最適化Fabは、基準抗体C775に比べてさらに高い活性で、未変性MCP−1誘発型カルシウム可動化の阻害を示した。ここでも又、検定限界には約10〜20nMの未変性MCP−1で達するように思われた。
走化性阻害
潜在的非特異性効果に起因して、親Fabを走化性検定においてテストすることはできなかったが、成熟後はテスト対象の最適化Fab全てが特異的に走化性を阻害し、これは活性の増大によるものであると考えられた。テスト対象の全ての最適化IgGは走化性検定において活性であった。検定は半定量的であることから、適切なIC50値は全く判定できなかった。
基準抗体C775での結合競合。MOR03548由来の全ての予め選択されたFabは、競合固相形式でC775のMCP1に対する結合を完全に阻害した。7つのMOR03471由来の予め選択されたFabは全て、この検定において部分的(約60%)競合を示した。
要約データ
実施例4:治療候補の選択
最終治療候補、CNTO888の選択と生成
その軽鎖CDR3配列(表4BおよびD、配列番号15および16)のみが異なっている2つのmAbs、3781および3790は、検定においてほぼ同一の生物学的活性を示した。潜在的HLAクラスII結合ペプチドを同定し、候補がHLA結合エピトープに関して有意に異なっているか否かを判定するためにインシリコ免疫原性分析を実施した。分析は、mAb3790が免疫原性についてmAb3781より低い潜在性を示すことを予測した。この分析そして表6に示したその他の生化学的および生物学的分析に基づいて、重鎖VH1Aフレームワーク領域(配列番号2)および重鎖CDR領域、配列番号6、7、および9;および軽鎖カッパ3フレームワーク(配列番号4)およびCDR領域、配列番号13、14および16を含んでなる3790を最終的な治療用mAbとして選択した。
mAb3790のN−末端配列は、クローニング中に導入されたアミノ酸変化に起因してヒト生殖細胞系列配列からの一定の変動。さらに、アミノ酸コドン(すなわち、DNA配列)は原核細菌細胞内での偏向された最大発現であった。生殖細胞系列配列に対する不完全なN−末端アラインメントを修正し、高度に発現されたヒトタンパク質において好まれるものに対するコドン偏向を変更するようにMAb DNAを再合成した。配列修飾された3790mAbは、それぞれ配列番号27および28の重鎖および軽鎖可変領域配列を含んでなるCNTO888として呼称され、以下に(CDRsに下線付き)、ここで重
鎖のN−末端残基は、QVQ(Gln−Val−Gln)でありかつ/または軽鎖はEIV(Glu−Ile−Val)である。
CNTO888重鎖可変配列(配列番号:27)
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYGISWVRQAPGQGLEWMGGIIPIFGTANYAQKFQGRVTITADESTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARYDGIYGELDFWGQGTLVTVSS

CNTO888軽鎖可変(配列番号:28)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSDAYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASSRATGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCHQYIQLHSFTFGQGTKVEIK
CNTO888の生化学的および生物物理化学的特徴づけ
CNTO888は、完全ヒトIgG1カッパ抗体である。該配列中には、予測されたN−連結型グリコシル化部位は全く存在しない。CNTO888(HEK293細胞中で過渡的に発現され、タンパク質A親和性クロマトグラフィにより精製されたもの)の生化学的および生物物理学的特性を、結合親和性(Kd)および特異性について、SDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、質量スペクトル(MS)およびバイアコアにおいて特徴づけした。SDS−PAGEでは、未変性CNTO888は、約150kDaで単一バンドとして移動する。還元され/アルカリ化されたIgGは、約60kDaおよび33kDaで2バンドとして移行する。CNTO888のサイズ排除クロマトグラフィは、IgGが、レミケードIgG対照(データ示さず)について測定されたものと同じ溶出体積で単一峰として溶出することを実証した。最終的に、MS分析はCNTO888が147,000Daの質量を有することを示した(データ示さず)。バイアコア分析は、ヒトおよびカニクイザルCCL−2に対するCNTO888結合親和性(Kd)が、それぞれ30および10pMであることを実証した。CNTO888は、CCL−2関連ケモカイン、すなわちMCP−2、3、4およびエオタキシン1、2および3に対しバイアコア内での検出可能な結合を示さなかった。
CNTO888のインビトロ特徴づけ
CNTO888の生物活性を、細胞ベースの様々な検定中で評価した。全ての成功基準検定において評価された過渡的に発現されたCNTO888は、親mAb3790と区別不能である活性を有していた(表5)。
実施例5:抗MCP−1抗体のクローニングおよび発現
CNTO888プラスミドp2844およびp2882を伴うE.coliのアリコートは、それぞれ抗体重鎖および軽鎖を含有する。プラスミドp2844は、抗−CD4重鎖プロモータの下でCNTO888コーディング領域の最適化重鎖コーディング配列を含有し、プラスミドp2882は、抗−CD4軽鎖プロモータの下でCNTO888コーディング領域の最適化軽鎖を含有する。両方の構成体共、gpt選択遺伝子を内含して、MHX(ミコフェノール酸、ヒポキサンチンおよびキサンチン)に対する化学的耐性を与えている。各々のプラスミドを精製し、特徴づけし、定量しかつ配列決定した。
C463A宿主細胞系列の指数関数培養由来の細胞、化学的に規定された組成培地(CD−ハイブリドーマ)中での成長に適応させたSp2/0誘導体を、線形化されたp2844およびp2882で同時電気穿孔した。48時間後、細胞を1倍のMHX(ミコフェノール酸0.5mg/L、ヒポキサンチン2.5mg/Lおよびキサンチン50mg/L)に曝露した。選択から3日後に、細胞生存率は13%未満に低下し、この時点で約90,000個の生存細胞をメチルセルロース中に平板固定した。細胞を8〜13日間乱さな
い状態でインキュベートし、その後alo手順を用いてスクリーニングし、24−ウェル平板中に採取した。培養を膨張させ、24−ウェル過成長滴定量を得た。
最高の親細胞系列(1C4)は、70mg/Lの24−ウェル過成長滴定量および振とうフラスコ中(CD−ハイブリドーマ 培地中)で108.5mg/Lの滴定量を有していた。この親細胞系列C1262Aを、振とうフラスコ中でのさらなる評価のために選択した。C1262Aを、開発細胞バンク(Development Cell Bank(DCB))生成のため細胞バンキンググループ(Cell Banking Group)に提出した。C1262A:DCB;02SEP04と呼称されたたDCBからの細胞を、マイコプラズマおよび不稔性ついてテストし陰性であった。(大豆ペプトンの添加を伴う)振とうフラスコ中におけるC1262A細胞からのさらなる調査研究の支援を目的としたCNTO888の生産は、230mg/Lの滴定量に達し、2Lの培養から366mgの精製CNTO888を生み出した。並行して、C1262A細胞の付加的な9−L培養により、初期精製および処方物開発用の約2gの粗製CNTO888材料が生産された。
親細胞系列、C1262Aを、Halo手順を用いてサブクローニングし、5つの高生産性サブクローン細胞系列を生み出した。最良のサブクローン細胞系列(4D5)は、150.5mg/Lの24−ウェル過成長滴定量および振とうフラスコ中(CD−ハイブリドーマ中)の167mg/Lの滴定量を有していた。このサブクローンされた細胞系列を、C1262Bとコード化した。
実施例6:CNTO888でのヒト膵臓腫瘍の治療
本研究は、(ヒト腫瘍由来細胞が生成した)腫瘍MCP−1の遮断が、マウス異種移植片中での腫瘍成長を抑制するか否かを調査するものである。腫瘍並びに宿主MCP−1相同体、JE、成長における役割および悪性疾患の進行を測るために、抗−ヒトMCP−1および抗−マウスJE抗体の両方を、インビボでのヒト膵臓腫瘍の成長を抑制する能力についてテストした。
BxPC−3膵臓腫瘍を有するマウスを、ヒトIgG1定常領域に融合された可変領域配列(配列番号27および28)含んでなるCNTO888と呼称されたヒト抗−ヒトMCP−1抗体で処理した。CNTO888のインビボ活性を、宿主効果の阻害に最も効果的であることがわかった以前にテストされたマウス抗体と比較するために、CNTO888およびマウス抗−ヒトMCP−1(C775)の両方を抗−muJE(C1142)と組合せて投与した。最終的な腫瘍重量の測定に基づくと、ヒト(CNTO888)およびマウス(C775)の抗−ヒトMCP−1Mabsは両方共、腫瘍成長を有意に阻害した。
材料および方法
BxPC−3はヒト膵臓癌由来細胞である。エンゲルブレスホルムスワム(Engelbreth−Holm−Swarm(EHS))腫瘍から調製されたマトリゲル(Matrigel)TMは、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)(0.2EU/mg、マサチューセッツ州Bedford)から入手した。
C775は、マウス抗−ヒトMCP−1Mabであり、C1142はラット/マウスキメラ抗−マウスJE抗体であり、ラット可変およびマウス定常領域の両方が出願人の同時係属特許出願である米国特許出願第11/170453号明細書および関連出願中で記載されている。対照抗体cVaMは、C1142およびC775についてのイソタイプ対照として役立つラット可変およびマウス定常領域からなるラット/マウスキメラIgG2akである。臨床グレードのヒトIgGをベケット・アポテキャリー(Beckett A
pothecary)およびペンシルバニア州Sharon Hillのホーム・ヘルス・ケアー社(Home Health Care、Inc)から入手し、これはCNTO888のための対照として役立っている。
本研究では、チャールス・リバー(Charles River)(ノースカロライナ州Raleigh)から入手した雌のSCIDマウス(生後6〜8週目)を使用した。マウスを、フィルタートップのプラスチックケージ内に集団収容し、加圧殺菌食および水を供給した。
BxPC−3細胞を、10%のFBSを含有するRPMI1640培地(完全培地)中で培養した。研究開始の48時間前に細胞を1:3に分割した。研究当日に、単一細胞懸濁液を生成するために細胞をトリプシン処理し、トリプシンを中和するために該細胞懸濁液を10体積の完全培地で洗浄した。細胞を遠心沈降させ、無血清RPMI中で再懸濁させた。マトリゲルTMを一晩4°Cで解凍した。等体積のマトリゲルTM溶液およびBxPC−3細胞を混合することによってマトリゲルTM・腫瘍細胞懸濁液を調製した。癌細胞懸濁液の最終濃度は5mg/mlマトリゲルTM中5×10細胞/mLであった。
0日目に、80匹の雌SCIDマウスに0.2mlのBxPC−3細胞懸濁液を皮下移植した。0.2mlの細胞懸濁液は、1×10のBxPC−3細胞および1.0mgのマトリゲルTMを含有していた。マトリゲルTMの重合を避けるために低温のシリンジを使用した。
全ての動物を、研究の開始時および研究中は週に1回計量した。ひとたび腫瘍の成長が観察されたならば(3.0mm)、キャリパを用いてミリメートル単位(mm)で2次元(長さおよび幅)で腫瘍を測定した。腫瘍の成長ついてマウスを観察し、[長さ×幅×幅]/2、の公式に基づいて腫瘍の体積(mm)を計算した。
腫瘍細胞の移植後14日目に、約50mmの平均腫瘍体積を有するマウスを5つのグループにランダム化した(n=10/グループ)。治療(表7)を14日目に開始し、研究の残りの期間、治療を週に2回投与した(14日目に治療を開始した後52日間)。研究の残りの期間、週に1回腫瘍を測定した。研究の終了時点で、CO窒息によりマウスを安楽死させた。腫瘍を切除し、デジタル天秤上で秤量し、固定した。腫瘍をデジタルカメラを用いて撮影した。50日目に、グループ3内の1匹のマウスが研究指針に基づく許容可能な限度を超過する腫瘍を有しており、これを屠殺した。この動物の体積および重量は最終分析に内含されている。
腫瘍の重量に関して、データを標準線形モデルおよび分散分析(ANOVA)を介して分析した。別途指示のある場合を除いて、全てのテストおよび比較について0.05未満のP−値が有意と見なされた。等分散および正規分布形状の根底にある前提がより良く満たされることから、対数目盛りを用いた。腫瘍をもたないマウスについての半ダースのゼロ値を、小スプライン補間値(0.007240538)で置き換え、これによりデータ構造の破壊なく対数目盛り中において統計分析が容易になった。
腫瘍体積に関しては、反復測定モデルを、一次自己相関共分散構造を仮定したデータに適合させた。時間プロファイルにおける傾向の曲率を柔軟にモデリングするために、自然スプラインを使用した。各時間点でグループ間における一対比較を行った。計算は、Rソフトウェア環境で実施した。
結果
PBSおよびcVam/huIgGの両方の負の対照グループが、51日後に約350mmに達する類似の腫瘍成長を示した。このことは、不適切な抗体による抗体治療が腫瘍成長を阻害しないことを表している。3つのテストグループ(C775/C1142およびCNTO888/C1142)における腫瘍の成長が負の対照グループよりも緩慢であったが、このことは抗−CCL2/抗−JE治療が腫瘍の成長に対してインパクトをもつことを表していた。C775/C1142およびCNTO888/C1142(2mg/kg)グループは、18日目から研究終了まで腫瘍体積によって測定されるように、PBS対照グループに比較して有意な腫瘍の阻害を示した。CNTO888/C1142(20mg/kg)グループは、PBS対照グループと比較して、18日目から39日目まで有意な阻害を示した。
51日目の研究終了時点で腫瘍重量を得た(表8)。PBSグループ1(マウス1匹)、C775/C1142グループ3(マウス3匹)およびCNTO888/C1142グループ4(マウス2匹)には腫瘍のないマウスがいた。腫瘍重量を比較した場合、CNTO888テストグループは各々、PBS対照グループに比較して腫瘍重量の有意な削減を示した(表8)。2mg/kgで投薬されたCNTO888/C1142グループにおける阻害百分率は、80%(P=0.006)であったが、一方20mg/kgで投薬されたCNTO888/C1142グループについては、阻害は68%(P=0.046)であった。C775/C1142グループも同様に腫瘍成長の有意な阻害を示した(P=0.004)。腫瘍体積対腫瘍重量の結果の統計的解釈に見られた差異はおそらく、動物から切除された腫瘍秤量の精確さに比較して、キャリパによる腫瘍の体積測定が不精確であることに起因すると思われる。
集合的に、これらの結果は、確立されたBxPC−3モデルにおいて、MCP−1およびマウスJEの遮断が腫瘍の成長を有意に阻害していること、およびCNTO888が抗−腫瘍活性を有することを表している。
以上の記述および実施例中で特に記されたものとは別な形で本発明を実施できるということは明白であろう。
以上の教示に照らして、本発明の数多くの修正および変形形態が可能であり、従ってこれらは、添付の特許請求の範囲内に入るものである。
参考文献





Claims (5)

  1. 単球走化性タンパク質(MCP−1)に結合する単離抗体であって、配列番号27の重鎖可変配列および配列番号28軽鎖可変配列を含んでなる、上記体。
  2. 鎖可変領域および鎖可変領域を含むMCP−1に結合する単離抗体であって、前記重鎖可変領域が配列番号6、7および重鎖補性決定領域(CDR)アミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号13、14および16の軽鎖CDRアミノ酸配列を含んでなる、上記体。
  3. −9〜10 −12 の親和性でMCP−1と結合する、請求項1または2に記載の体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の体、および製薬学的に受容可能な担体または希釈剤を含んでなる医薬組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の体を溶液または凍結乾燥形態で含んでなる包装材料および容器を含んでなる造品。
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