JP2008544065A - 異種ポリマーブレンドの製造方法 - Google Patents

異種ポリマーブレンドの製造方法 Download PDF

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Abstract

異種ポリマーブレンドの製造方法において、少なくとも1つの第一モノマーを担持触媒の存在下で、第一反応ゾーンにおいて重合して、結晶化度が少なくとも30%の第一ポリマーを製造する。前記第一ポリマーの少なくとも一部を、少なくとも1つの第二モノマー及び少なくとも1つのポリエンと、結晶化度が20%未満の第二ポリマーを製造するのに十分な環境下で接触させる。この第二ポリマーは、第二ポリマーの少なくとも1つの分画がキシレンに不溶であり、及び前記第一ポリマーと第二ポリマーが異なる相となるように、第二重合ゾーンにおいて少なくとも部分的に架橋される。
【選択図】なし

Description

本出願は、2005年6月22日に出願された米国仮出願No.60/693,030に対して優先権を主張する2005年12月7日に出願された米国特許出願No.11/296,830に対して優先権を主張する。本発明は異種ポリマーブレンドの製造方法に関する。
第一ポリマーとそのの基質中に分散している第二ポリマーとを含む異種ポリマーブレンドは有用な物質である。第一ポリマー及び第二ポリマーの性質及び量により、幅広い性質を有する各種ポリマーブレンドを生成することが可能である。特に注目されているポリマーブレンドは、熱可塑性エラストマー(TPE)とも言われている、第一ポリマーがポリプロピレン等の熱可塑性物質であり、第二ポリマーが、エチレン−プロピレンエラストマー又はエチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴムである、ポリマーブレンドである。そのような熱可塑性エラストマーの例は、ポリプロピレンインパクトコポリマー、熱可塑性オレフィン、及び熱可塑性加硫物である。
熱可塑性エラストマーは提供された温度において、加硫されたゴムと同じ性能を有しているが、従来の加硫されたゴムとは異なり、熱可塑性物質のように処理及び再利用することが可能である。前述のポリマーブレンドを製造する1つの方法は、既に重合された2つの異なるポリマーを混合して、所望の性質を有するブレンドを製造することである。しかしながら、この方法は直接的な重合によりブレンドを製造するという好ましい方法よりも、費用がかかる。直接的な重合によるブレンドは、1つの反応器からの生成物が異なる重合環境を有する次の第二反応器に供給され、2つの異なる生成物を十分に混合して最終製品を得ることを特徴とする、複数の反応器を連続して用いる。連続反応器を操作してバナジウム触媒を用い、異なるタイプのEPDM組成物を製造する、そのような方法の例としては、米国特許Nos.3,629,212、4,016,342、及び4,306,041がある。
米国特許No.6,245,856は、ポリプロピレンと、エチレン−アルファオレフィンエラストマーと、プロピレン含量が80重量パーセントより多いエチレン−プロピレンコポリマーを含む親和剤とを含む熱可塑性オレフィン組成物を開示する。この特許には、ここの組成物を別個に製造し、機械混合によりこれらの成分を一緒に混合する方法、あるいは個々の成分を別個の反応器で調製し、反応生成物を第二の成分を調製する第二反応器に移動させることを特徴とする、2つ以上の成分を連続反応器を用いて反応ブレンドとして調製する方法が開示されている。親和剤がない場合、エラストマー相は、5ミクロンより大きい不揃いの粒子となる。親和剤を添加すると、エラストマー相の粒子サイズが約1ミクロンになり、分散が改善される。このポリマーブレンドのエラストマー相は架橋されていない。
米国特許No.6,207,756は、ポリプロピレン等の準結晶性プラスチックの連続相と、エチレン、C乃至C20アルファオレフィン、及び非共役ジエンのターポリマー等のアモルファスエラストマーの分散相とのブレンドを製造する方法を開示する。このブレンドは、第一反応器で製造される第一ポリマー成分を直接第二反応器に流し込み、第一ポリマー成分の存在する第二反応器中において、溶液中で第二ポリマー成分を製造する方法である。米国特許No.6,319,998もエチレンコポリマーのブレンドを製造する溶液重合法を開示する。米国特許No.6,770,714は、異なるポリマー成分を並行反応器において製造し、その後これらの成分を押出し成形、又の他の既知の混合技術を用いてブレンドする方法を開示する。1つのポリマー成分はプロピレンホモポリマー又はコポリマーであり、第二ポリマー成分はエチレンコポリマーである。
異種熱可塑性エラストマーブレンド、特に高分子量及び融点の高い結晶相、及び高分子量のエラストマー相を有するブレンドの製造における問題の一つは、個々のブレンド成分の製造に好ましい条件が本質的に異なっていることである。従って、例えば、アイソタクチックポリプロピレンは、スラリー重合プロセスにより幅広く製造されているがTPE製品に好適なエチレンプロピレンコポリマーは溶液プロセスで商業的に製造されている。しかしながら、溶液プロセスは高分子量及び高融点を有するポリプロピレンを製造し得ない方法であるとされている。エチレンプロピレンコポリマーエラストマーはこれまでスラリーベースの重合法を用いて製造することが難しかった。製造に低い温度を用いると、反応成分が反応器内で、付着物となり、反応器内の撹拌器に付着するゴムの塊を形成し、この存在により、反応器を停止しなければならないことも生じる。従って、TPE物質を(ポリプロピレンに好適な)スラリー工程又は(ゴムに好適な)溶液工程のいずれかを用いて反応器内で製造することは、不可能でないにしても、困難なことであった。
熱可塑性エラストマーの1つの有用な形態は、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の基質中にEPDMゴム等の硬化されたエラストマー性物質の粒子の分散を有する、熱可塑性加硫物(TPV)である。TPVは通常、高せん断及び熱可塑性プラスチックよりも高い融解温度下において、可塑剤(例えば、プロセスオイル)、充填剤、安定剤、及び架橋剤と共に、熱可塑性プラスチック樹脂とエラストマー成分を加硫又は架橋する工程である「動的加硫」により製造される。混合は、通常2軸押出成形器において行われ、熱可塑性プラスチック樹脂内に硬化されたエラストマー性物質の細かい分散を形成する。熱可塑性プラスチック樹脂及び可塑剤(オイル)のレベルを調節して、異なる硬度、流動性、及び加工特性を有する生成物を作ることができるが、通常、ポリマーブレンド全体を基準にして50wt%より多いエラストマー相を含むブレンドを動的加硫により製造することは難しい。動的加硫の例は米国特許Nos.4,130,533及び4,311,628に開示されている。
しかしながら、動的加硫が、独特な性質プロファイルを有するTPVの製造に有利である一方で、この方は費用が掛かり、多くの不利益も有している。従って、高品質な製品の製造することは高度な技術を必要とし、特別な装置が必要となる。更に、この方は多くの工程を含み、個々の工程は最終製品の性質に重要な影響を及ぼす。ポリマーブレンドの形成は、通常、エラストマー性ポリマー(通常、市販のEPDMゴムが用いられる)を粉砕する工程、これを熱可塑性プラスチック樹脂と、プロセスオイル、硬化剤、及び他の好適な添加剤と、好適な高せん断混合装置において機械的に混合して、樹脂粒子を粉砕し、硬化して連続熱可塑性プラスチック樹脂基質中に組み込まれた硬化ゴム粒子を形成する工程、を含む。最終生成物中のこの硬化ゴム粒子は1乃至10ミクロンの平均粒子サイズを有する。プロセスオイルの添加に注意を払うことにより、硬度等の最終製品の性質だけでなく、(圧力上昇を最小化するために)反応押出し成形器における液体の流動性質を制御することができる。架橋されたエラストマー粒子のサイズ及び分布は(圧縮永久歪みにより測定される)弾性回復率等の性質に影響することから、これらを正確に制御することも考えられる。既存の技術を用いて製造された製品は、多くの好適な性質を有している一方で、性質プロファイル全体におけるギャップが存在する。即ち、高い使用可能温度、改善された弾性回復率、柔軟な製品、高い引張強度、加工容易性、オイル非添加組成物、及び無色製品に対する必要性が存在する。
改善されたTPVの製法は米国特許No.6,388,016に記載されている。該文献を参照により本明細書に援用する。この方において、ポリマーブレンドはメタロセン触媒を用いた連続反応器中で溶液重合により製造されており、得られたブレンドが動的加硫される。特に、この方法はエチレン及び高級アルファ−オレフィンから選択されるモノマー及び溶媒の第一セットを連続流れ撹拌タンク反応器に提供する工程、全ての反応器に提供されるメタロセン触媒の総量に基づいて50乃至100重量%の量のメタロセン触媒を第一反応器に添加する工程、第一反応器を稼動して前記モノマーを重合し、第一ポリマーを含む排出液を製造する工程、第一反応器からの前記排出液を第二連続流れ撹拌反応器に提供する工程、エチレン、高級アルファ−オレフィン、及び非共役ジエンから選択されるモノマーの第二セット並びに追加的な溶媒を第二反応器に提供する工程、前記第二反応器を稼動して、第二モノマーを重合し、ジエンを含む第二ポリマーを製造する工程、得られた第一及び第二ポリマーを回収する工程、及び、前記ブレンドが流動するのに十分な熱及びせん断条件下でこれらを硬化剤と混合して、ジエン含有ポリマーを少なくとも部分的に架橋させて、第一ポリマー基質中に硬化されたジエン含有粒子の分散を形成する工程を含む。しかしながら、この改善された方法は依然として、エラストマー成分を硬化させるために動的加硫に依存する方法である。更に、エラストマー性第二ポリマーを製造するために溶液重合法を使用すると、溶液粘度が高まり、生成物の相分離、及び低い温度において反応器内に付着物が生じることから、製造されるポリマーの分子量は制限される。
従って、異種ポリマーブレンド、特に熱可塑性の連続相及び連続相中に分散している架橋されたエラストマー相を含む異種ポリマーブレンドを製造するための改良された方法が必要とされている。本発明は、スラリー重合工程及び溶液重合工程の組合せを用いると、独特の固形状態での形態を有し、且つ同様の組成物の従来のブレンドによりも幅広い範囲の粒子サイズを有する分散されたエラストマーを製造することが可能になるという発見に基づくものである。分散されたエラストマーの幅広い粒子サイズは、多くの製品に改良された機械的性質を付与する点において好ましい。
発明の概要
第一の側面において、本発明は、少なくとも、30%の結晶化度を有する熱可塑性第一ポリマーを含む第一相と、20%未満の結晶化度を有し且つ少なくとも部分的に架橋されている第二ポリマーを含む第二相とを含む異種ポリマーブレンドの製造方法に関する。該方法は、
(a)担持されえた触媒が存在する第一反応器内において、少なくとも1つの第一モノマーを重合して、前記熱可塑性第一ポリマーを製造する工程と、
(b)少なくとも1つの前記第一ポリマーを少なくとも1つの第二モノマー及び少なくとも1つのポリエンを、第二重合ゾーンにおいて接触させて、前記第二モノマーを重合して製造し、且つ前記第二相がキシレンに不溶である少なくとも1つの分画を有するように架橋させる工程とを含む。
好ましくは、前記重合(a)がスラリー重合工程である。接触工程(b)は有利には、溶液、懸濁、又はスラリー重合工程である。
前記キシレンに不溶である分画は、前記第二相の少なくとも4%、少なくとも10%、少なくとも、20%、少なくとも40%、少なくとも50%であることが好ましい。
前記第一ポリマーは、前記ポリマーブレンドの連続相を有し、前記第二ポリマーは前記連続相中に分散された粒子の形態で存在することが好ましい。
前記第二ポリマーの粒子の平均粒子サイズは、約50ナノメートル乃至約3ミクロンの間である。
好ましくは、前記熱可塑性第一ポリマーはC乃至C20アルファオレフィンのホモポリマー又はC乃至C20オレフィンと少なくとも1つの15wt%より少ない1つのコモノマーとのコポリマーである。前記C乃至C20オレフィンはプロピレンであることが好ましい。
前記少なくとも1つの第二モノマーは少なくとも1つのC乃至C20オレフィンを含み、エチレンと少なくとも1つのC乃至C20オレフィンを含むことが好ましい。
前記ポリエンは少なくとも2つの重合可能な不飽和基を含むことが好ましい。より好ましくは、前記ポリエンはジエンである。
更なる側面において、本発明は、
(a)C乃至C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーを製造することができる触媒を選択する工程と、
(b)細孔を有する担体上に配置された前記触媒を用いて、少なくとも50℃の温度で、前記触媒を1つ以上のC乃至C20オレフィンと接触させて、少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーを製造する工程と、
(c)前記第一ポリマーと前記担持触媒とを、少なくともC乃至C20オレフィンと少なくとも1つのポリエンとに、前記少なくとも1つのC乃至C20オレフィンを重合し、第二ポリマーを製造し、且つ同時に前記第二ポリマーを架橋させるのに充分な条件下で接触させる工程とを含む、異種ポリマーブレンドを製造する方法に関する。前記接触工程(c)の生成物は少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーの連続相と5ミクロン未満の平均粒子サイズを有する前記第二ポリマーの粒子である不連続相を含む異種ポリマーブレンドであり、前記第二ポリマーは少なくとも部分的に架橋されており、少なくとも15wt%の前記C乃至C20オレフィンと、少なくとも0.0001wt%の前記ポリエンを含む。
前記ポリエンは少なくとも2つの重合可能な不飽和基を有することが好ましい。
前記工程(a)において選択された触媒は、通常メタロセンである少なくとも1つの触媒成分と少なくとも、1つの活性剤とを含む。
更なる態様において、本発明は、
(a)C乃至C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーを製造することができる触媒を選択する工程と、
(b)細孔を有する担体上に配置された前記触媒を用いて、少なくとも50℃の温度で、前記触媒を1つ以上のC乃至C20オレフィンと接触させて、少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーを製造する工程と、
(c)前記第一ポリマーを、少なくともC乃至C20オレフィンと少なくとも1つのポリエンと嵩高いモノマーを重合することができる触媒一緒に、前記少なくとも1つのC乃至C20オレフィンと重合するのに充分な条件下で接触させ、第二ポリマーを製造し、且つ同時に前記第二ポリマーを架橋する工程とを含む、異種ポリマーブレンドの製造方法に関する。前記接触工程(c)の生成物は少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーの連続相と5ミクロン未満の平均粒子サイズを有する前記第二ポリマーの粒子である不連続相を含む異種ポリマーブレンドであり、前記第二ポリマーは少なくとも部分的に架橋されており、少なくとも15wt%の前記C乃至C20オレフィンと、少なくとも0.0001wt%の前記ポリエンを含む。
前記接触工程(c)に用いた前記触媒は20,000以上のMwと、20%未満の結晶化度とを有するポリマーを製造することができるものである。
1つの態様において、前記接触工程(c)で用いた触媒は、前記接触工程(b)に用いた触媒と同じ触媒である。
他の態様において、前記接触工程(c)で用いた触媒は、前記接触工程(b)に用いた触媒と違うものであり、触媒冷却を前記接触工程(b)と前記接触工程(c)の間に適用することができる。
発明の詳細な説明
本発明及び特許請求の範囲において、ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むと記載されている場合、前記オレフィンは、それぞれ、オレフィンの重合形態及びオリゴマー形態であるポリマー又はオリゴマーとして存在し得る。同様に、ポリマーの語はホモポリマー及びコポリマーを含む。更に、コポリマーの語は、2又はそれ以上のモノマーを有する任意のポリマーを含む。従って、本明細書において、「ポリプロピレン」の語は、少なくとも50%のプロピレン単位、好ましくは70%プロピレン単位、より好ましくは少なくとも80%のプロピレン単位、より好ましくは少なくとも90%のプロピレン単位、更に好ましくは少なくとも95%のプロピレン単位、又は100%のプロピレン単位から成るポリマーを意味する。
本明細書において「異種ブレンド」の語は、同じ状態において形態が異なる2つ以上の相を有する組成物を意味する。例えば、1つのポリマーが他のポリマーの基質中に不連続な束として存在する2つのポリマーは固形状態において異種であると言う。異種ブレンドは、ブレンド成分が別個に視認されるけれども、連続相及び分離相が不明確である共連続ブレンドを含むとも定義される。そのような形態は操作電子顕微鏡(SEM)、又は原子間力顕微鏡(AFM)で決定される。SEM及びAFMが異なるデータを提供した場合、AFMデータを用いる。連続相は異種ブレンドの基質を意味する。不連続相は異種ブレンドの分散相を意味する。
対照的に、「均一ブレンド」は、同じ状態において1つの形態的相を有する組成物を意味する。例えば、1つのポリマーが他のポリマーに対して混和性を有している場合、この2つのポリマーのブレンドは固体状態において均一であると言われる。そのような形態は、走査電子顕微鏡を用いて決定される。「混和性」は、2つ以上のポリマーのブレンドが、ガラス転移温度について単相挙動(single−phase behavior)を示すことを意味し、例えば、Tgがtanδ(貯蔵弾性率に対する損失弾性率の比)対温度の動的機械熱解析(DMTA)トレース上で、単一のシャープな転移温度を示すことを意味する。対照的に、ブレンドされた個々の成分に対応する、別個の2つの転移温度は不混和性ブレンドにおいて観察されるであろう。DMATトレースにおいて1つのTgを示すブレンドは混和性である。混和性ブレンドは均一であり、不混和性ブレンドは不均一である。
通常、分散相である、本発明の異種ポリマーブレンドの第二相は、「少なくとも部分的に架橋された」第二ポリマーを含んでいる。ブレンド中のそのように架橋されたポリマーの存在及びその量は、多工程溶媒抽出法により決定される。この方法において、重合後硬化工程の生成物を初めに、25℃のシクロヘキサンに48時間接触させ、ブレンド中の硬化されていないエラストマー及び分岐の少ないエラストマーを溶解し、その後残りの固形物をキシレンの沸騰温度に24時間還流させて、「少なくとも部分的に架橋されているポリマー」を単離する。この「少なくとも部分的に架橋されているポリマー」は本明細書において「キシレン不溶物」とも言う。溶媒抽出手順の詳細は、実施例に記載している。
本明細書において用いる、「実質的にプロセス油を含まない」の語は、関連する生成物が動的加硫の間にブレンドの流動的性質を制御するために、従来のポリマーブレンドに添加されている、エキステンダー油、合成プロセス油、オリゴマーエキステンダー油、又はこれらの組合せ等のオイルベースの加工助剤を僅かしか含まないか、又は全く含まないことを意味する。本発明のポリマーブレンドの第二ポリマーが反応器内で、第一ポリマー相内に分散されている少なくとも部分的に架橋された粒子の形態であるという事実は、後の動的加硫工程及び、プロセスオイルの添加の必要性を省くことができるという利点を有する。しかしながら、幾つかのケースにおいて、本発明のポリマーブレンドは第二ポリマーの架橋を追加するために重合後硬化工程及び/又は動的加硫工程に付することができることは理解されるであろう。本発明のポリマーブレンドは、1wt%未満のプロセス油を含むことが好ましく、より好適には、0.5wt%未満、より好適には、0.1wt%未満のプロセス油を含むことが好ましい。前記ポリマーブレンド中のオイルの量は、実施例において説明する溶媒抽出を用いて決定される。
本明細書において「硬化剤」の語は、重合後の動的加硫工程の間にブレンドの1つ以上の成分を効果的に硬化するためにポリマーブレンドに添加される添加剤を意味する。既知の硬化剤の例としては、硫酸、硫酸供与体、金属酸化物、フェノー樹脂等の樹脂系、過酸化物系、プラチナ又は過酸化物及び同種のものとのヒドロシリル化合物であり、促進剤及び共同剤(coagent)を含んでいてもいなくても良い。
本明細書において、「嵩高いモノマー」の語は、直鎖C乃至C20アルファオレフィンではないオレフィンモノマーを意味する。嵩高いモノマーは、5−エチリデン−2−ノルボルナジエン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、シクロペンタジエン等の環状オレフィンモノマー及び3,5,5−トリメチルへキセン−1等の分岐オレフィンモノマー;及び末端不飽和オリゴマー又は末端不飽和ポリマー等のマクロモノマーを含む。
本明細書において、「末端不飽和」の語は、ポリマー鎖の末端上のビニル不飽和、ビニレン不飽和、又はビニリデン不飽和を意味する。本発明において、ビニル不飽和が好ましい。
本発明は、少なくとも1つの第一モノマーを担持触媒が存在する反応器内で重合して、少なくとも30%の結晶化度を有する熱可塑性第一ポリマーを製造する工程と、その後に前記第一ポリマーの少なくとも一部を少なくとも1つの第二モノマー及び少なくとも1つのポリエンと第二反応器内で接触させ、結晶化度が20%よりも少ない第二モノマーを重合して第二ポリマーを製造し、同時に前記第二ポリマーを架橋して、少なくとも1つのキシレンに不溶である分画を含む第二ポリマーを製造する工程とを含む。
前記熱可塑性第一ポリマーは通常得られたポリマーブレンド中の連続相を形成する。一方、第二ポリマーは前記連続相中に分散された粒子の形態で存在する。前記分散された粒子は通常、20ミクロン未満、10ミクロン未満、好ましくは5ミクロン未満、又は約50ナノメートル乃至約3ミクロンの間の、平均粒子サイズを有する。前記第二ポリマーは、多機能モノマー、具体的には、少なくとも2つの重合可能な不飽和基を有するポリエンを使用して、部分的に架橋されている。架橋度は、第二重合工程の間の反応環境により制御することができる。
得られた異種ポリマーブレンドはハイブリッドポリマーを含む。理論に拘束されることを意図しないけれども、第一重合工程において生成された反応中間体が第二重合工程中に起こる重合工程に関与してハイブリッドポリマー(分岐ブロックコポリマーとしても知られている)を生成すると考えられる。前記ハイブリッドポリマーは第一及び第二反応器ゾーンにおいて形成され、第一ポリマーの融点、及び第二ポリマーの低いガラス転移温度等の各ポリマーの性質を併せ持つ。
2つの重合工程に続いて、重合反応器の生成組成物は、直接、通常のポリマーの最終仕上げ工程に供される。前記工程では、好適な添加剤を添加して、前記ポリマーを溶融混合する。最終生成物は、加工容易性、高い弾性回復率、高い引張強度、及び高い伸び率を示す。これまで、そのような性質を有するポリマーは動的加硫を介してのみ製造可能であった。
第一ポリマー
本発明の異種ポリマーブレンドの基質は、結晶性又は準結晶性熱可塑性ポリマー又はこれらの混合物である。有用な熱可塑性ポリマーは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%の示差走査熱量計(DSC)により測定される結晶化度を有する。第一ポリマーは必要とされる引張強度及び温度耐性を有する組成物を提供する。従って、DSCにより測定される融点が100℃以上、好ましくは120℃以上、好ましくは140℃以上である準結晶性ポリマーが好ましい。通常、第一ポリマーは約20℃乃至約120℃、約70℃乃至約110℃の間の結晶化温度(Tc)を有する。高温耐性を付与する高いガラス転移温度を有するポリマーも熱可塑性基質として使用可能である。
典型的な熱可塑性ポリマーはポリオレフィン樹脂、(ポリエチレン、テレフタル酸塩、テレフタル酸ポリブチレン等の)ポリエステル、(ナイロン等の)ポリアミド、ポリカルボネート、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、酸化ポリフェニレン、ポリオキシメチレン、及びフッ素含有熱可塑性物質を含む。好適な熱可塑性樹脂は、エチレン、プロピレン、及び1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等のC乃至C12α−オレフィン、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されないC2乃至C20アルファオレフィンを重合することにより製造される、結晶可能ポリオレフィンである。エチレンとプロピレンとのコポリマー、又はエチレン又はプロピレンと、ブテン−1;ペンテン−1,2−メチルペンテン−1,3−メチルブテン−1;ヘキセン1,3−メチルペンテン−1,4−メチルペンテン−1,3,3−ジメチルブテン−1;へプテン−1;ヘキセン−1;メチルへキセン−1;ジメチルペンテン−1 トリメチルブテン−1;エチルペンテン−1;オクテン−1;メチルペンテン−1;ジメチルへキセン−1;トリエチルペンテン−1;エチルへキセン−1;メチルエチルペンテン−1;ジエチルブテン−1;プロピルペンテン−1;デセン−1;メチルノネン−1;ノネン−1;ジメチルオクテン−1;トリメチルペンテン−1;エチルオクテン−1;メチルエチルブテン−1;ジエチルへキセン−1;及びドデセン−1等のC乃至C12α―オレフィンとのコポリマーも用いることができる。
1つの態様において、前記熱可塑性ポリマーはプロピレンホモポリマー、又はプロピレンのコポリマー、又はプロピレンホモポリマー及びコポリマーの混合物を含む。通常、プロピレンポリマーは主に結晶性であり、すなわち、110℃より高い、あるいは115℃より高い、好ましくは130℃より高い融点を有する。本明細書で用いる「結晶」の語は、固形状態において、高度な分子内及び分子間の規則性を有することを特徴とする、60J/gより高い、あるいは少なくとも70J/gの、あるいは少なくとも80J/gのDSC解析により測定される、結晶化度の測定値である、融解熱を有すことが好ましい。融解熱はポリプロピレンの組成物に依存している。プロピレンホモポリマーはそのコポリマー又はホモポリマー及びコポリマーのブレンドよりも高い融解熱を有する。
熱可塑性第一ポリマーがポリプロピレンである場合、基質は組成物において非常に変化しうる。例えば、ポリプロピレンホモポリマー、又は10重量パーセント又はそれ以下のコモノマーを含むプロピレンコポリマーを用いることができる(即ち、少なくとも90%のプロピレンを含む)。更に、ポリプロピレンセグメントは110℃以上、あるいは115℃以上、あるいは130℃以上のシャープな融点を特徴とする立体規則性を有するプロピレン配列を有するグラフト(コポリマー)又はブロック(コポリマー)の一部でもよい。第一ポリマーがプロピレンコポリマーである場合、コポリマー中の共重合しているアルファ−オレフィンのパーセンテージは通常、重量により9%まで、あるいは、重量により0.5%乃至8%、あるいは重量により2%乃至6%である。好適なアルファオレフィンは2、又は4乃至12の炭素原子を含む。1つ、2つ、又はそれ以上のα−オレフィンもプロピレンと共に共重合され得る。
第二ポリマー
本発明の異種ポリマーブレンドの第二ポリマー相は通常、エラストマー性コポリマーであり、第一ポリマーの存在下において、重合と同時に架橋される。前記第二ポリマーは、通常、アモルファス、又は低い結晶化度(20%未満の結晶化度)を有するポリマーであり、特に、重合の間に架橋システムを形成することができる任意のエラストマー又はそれらの混合物を含む。そのようなエラストマーの非限定的な例としては、オレフィンコポリマー、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンコポリマーゴム、ブタジエンゴム、アクリルニトリルゴム、臭素及び塩素を付加したイソブチレンイソプレンコポリマーゴム等のハロゲン化ゴム、ブタジエン−スチレンン−ビニルピリジンゴム、ウレタンゴム、ポリイソプレンゴム、エピクロロヒドリンターポリマーゴム、及びポリクロロプレンを含むがこれらに限定されない。本発明の異種ポリマーブレンドの第二ポリマーはアタクチックポリプロピレン等のアタクチックポリマーを含むこともできる。好適な第二ポリマーはエラストマー性オレフィンコポリマーである。
本発明の好適なエラストマーコポリマーは、2つ以上のアルファオレフィンを少なくとも1つのポリエン、通常ジエン、と共重合して製造される弾性コポリマーである。より具体的には、前記エラストマー成分は、少なくとも1つのアルファオレフィンモノマーを有するエチレンと少なくとも1つのジエンモノマーとのコポリマーである。前記アルファオレフィンは、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1 ペンテン、オクテン−1、デセン−1、等のC乃至C20アルファオレフィン又はこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。好適なアルファオレフィンはプロピレン、ヘキセン−1、オクテン−1、又はこれらの組合せである。従って、例えば、第二ポリマーは、エチレン−プロピレン−ジエン(通常、「EPDM」と言われている)であることができる。通常、第二ポリマーは少なくとも15wt%のC乃至C20オレフィン及び/又は少なくとも0.0001wt%のジエンを含む。
1つの態様において、前記ポリエンは、ポリマーに取り込まれて架橋ポリマーを形成することができる少なくとも2つの不飽和結合を有する。そのようなポリエンの例としては、α,ω−ジエン(ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、及び1,13−テトラデカジエン等)及び特定の多環脂環式融合及び架橋環式ジエン(テトラヒドロインデン;ノルボルンジエン;メチル−テトラヒドロインデン;ジシクロペンタジエン;ビシクロ−(2.2.1)−ヘプタ−2,5−ジエン;及びアルキル−、アルキルジエン−、シクロアルケニル、及び/又はシクロアルキレンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び5−ビニル−2−ノルボルネンを含む)がある。
更なる態様において、前記ポリエンは少なくとも2つの不飽和結合を含む。前記不飽和結合のうちの1つは、容易にポリマーに取り込まれる。第二の不飽和結合は特に重合において架橋ポリマーを形成するために用いられるが、重合後の工程における官能化(マレイン酸、又は無水マレイン酸)、硬化又は加硫に適している、ポリマー中の少なくともいくつかの不飽和結合を提供する。前記の態様に用いるポリエンの例としては、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジデン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリコサジエン、及び1000g/mol未満の分子量(Mw)を有するポリブタジエンを含むがこれらに限定されない。直鎖脂環式ジエンの例としては、1,4−ヘキサジエン、及び/又は1,6−オクタジエンを含むがこれらに限定されない。分岐鎖脂環式ジエンの例としては、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、及び3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンがあるがこれらに限定されない。単脂環式ジエンの例としては、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、及び1,7−シクロドデカジエンがあるがこれらに限定されない。多脂環式融合及び/又は架橋環ジエンの例としては、テトラヒドロインデン;ノルボマジエン(norbomadiene);メチル−テトラヒドロインデン;ジソクロペンタジエン;ビシクロ−(2.2.1)−ヘプタ−2,5−ジエン;及びアルケニル−、アルキリデン−、シクロアルケニル−、及び/又はシクロアルケニレンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピルジエン−2ノルボルネン、5−(4−シクロペンタニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、及び/又は5−ビニル−2−ノルボルネンを含む)があるが、これらに限定されない。シクロアルケニル置換アルケンの例としては、ビニルシクロヘキセン、アリルシクロヘキセン、ビニルシクロオクテン、4−ビニルシクロヘキセン、アリルシクロデセン、ビニルシクロドデセン、及びテトラシクロ(A−11,12)−5,8−ドデセンがあるがこれらに限定されない。
本発明の1つの側面において、エラストマー相を形成する第二重合工程の間、架橋生成物の分布は第一熱可塑性ポリマーのグラフティングから第二エラストマー性ポリマーへ広かりながら形成される。これらのハイブリッド架橋生成物は、第一重合工程からの反応性の中間体が第二反応工程に行くときに形成され、第二ポリマーの重合中に沈降する、分岐ブロックコポリマーとして知られている。この分岐ブロックコポリマーの存在は、製品の性質のほかに、重合の間に起こる反応に影響すると考えられている。この影響の程度は、分岐ブロックコポリマー分画の集団の分布に依存している。
第一ポリマーに対する第二ポリマーの量はポリマーの性質及び最終的なポリマーブレンドの用途に依存して幅広く変化させることができる。しかしながら、本発明の1つの利点は、第二ポリマーの不連続な粒子が、異種ポリマーブレンドの50wt%より多く、60%より多く、70wt%より多く、含まれるような異種ポリマーブレンドを作ることができることである。TPV製品において、第一ポリマーに対する第二ポリマーの重量比は通常、約90:10乃至約50:50、より好ましくは約80:20乃至約60:40、及び最も好ましくは約75:25乃至約65:35である。TPO又はインパクトコポリマー製品に対しては、第一ポリマーに対する第二ポリマーの重量比は、通常約49:51乃至約10:90、より好ましくは約35:65乃至15:85である。
一つの好適な態様において、前記熱可塑性第一ポリマーは、通常前記異種ポリマーブレンドの連続相を構成し、前記第二ポリマーは前記連続相中に分散された細かい粒子の形態である。通常、第二ポリマーの粒子は20ミクロン未満、10ミクロン未満、好ましくは5ミクロン未満、より好ましくは3ミクロン未満、又は50ナノメートル乃至約3ミクロンの間の、平均粒子サイズを有する。
ポリマーブレンドの製造
本発明において、前記ポリマー組成物は、新規な2工程重合方法により製造される。第一工程において、結晶性熱可塑性ポリマーは、1つ以上の重合ゾーンにおいて、担持触媒の存在下で、少なくとも1つの第一モノマーを重合することにより製造される。第一工程からの排出液はその後、第二重合工程へ供給され、第一工程において重合されたポリマーの存在下で、エラストマーが製造される。該エラストマーは第二重合ゾーンにおいて、その場で、少なくとも部分的に、架橋される。架橋されたエラストマーは結晶性熱可塑性基質内に分散し、最終的に、細かく分散された粒子を形成する。
既知の重合法を用いて、熱可塑性ポリマーを製造することができる。例えば、前記ポリマーは一段階又は多段階器において、プロピレンをホモ重合することにより得られたプロピレンホモポリマーでもよい。一段階又は多段階器において、プロピレンと2、又は4乃至20炭素原子を有するアルファオレフィンを共重合して得られたコポリマーも用いることができる。重合法は、従来のチグラ−ナッタ触媒、又は一部位、メタロセン触媒システム、又は二金属触媒を含む前記触媒の組合せ(即ち、Z/N、及び/又はメタロセン)を用いた、高圧法、スラリー法、気法、バルク法、懸濁法、超臨界法、又は溶液相、又はこれらの組合せを含む。前記熱可塑性ポリマーはスラリー重合により製造することが好ましい。好適な触媒は、C乃至C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度及び少なくとも0.01%末端不飽和を有する第一ポリマーを生成することができるものである。前記触媒は均一な溶液、懸濁液、又はこれらの組合せの形態でよい。連続、準連続、又はバッチ法により重合を行うこともでき、鎖転移剤、スカベンジャー、又は適用可能と判断される他の添加剤も用いることができる。「連続」は中断又は停止をせずに操作(又は操作を意図する)システムを意味する。例えば、ポリマーを製造するための連続工程は反応物が連続的に1つ以上の反応器に導入され、重合生成物が連続的に取り出されるようなシステムである。
熱可塑性基質がプロピレンポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンを含む場合、前記ポリオレフィンは、通常、一部位触媒、好ましくはメタロセン触媒と活性剤、任意でスカベンジャーの存在下において製造される。好適なメタロセン触媒は、C乃至C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度を有する第一ポリマーを製造することができるものである。
本発明の方法における熱可塑性第一ポリマー製造するために好適なメタロセン触媒は特に限定されないけれども、高分子量、高融点、高アイソタクチックなプロピレンポリマーを製造できることで知られている、架橋されたビス(シクロペンタジエニル)メタロセンのクラスのもの、特に、架橋され、置換されたビス(インデニル)メタロセンのクラスのものである。特に好適な触媒は、各インデニル環の2位及び4位の1つ又は両方が置換されている、あるいは各インデニル環の2位、4位、及び7位が置換されている、架橋されたビス−インデニルメタロセン触媒である。米国特許No.5,770,753(該文献の全体を参照により本明細書に援用する)に開示されている一般的なクラスのメタロセン触媒は好適であるが、得られるポリマーは、なかでも、特定の置換メタロセンに依存することは知られている。有用な触媒化合物の具体的なリストはWO2004/026921、29頁、段落[00100]乃至66頁、4行目に記載されている。他の態様において、WO2004/026921、66頁、段落[00103]乃至70頁、3行目に記載の触媒化合物も本発明の実施に好適である。
特に好適なものは、rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[1−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[3,5−ジメチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[オルト−メチル−フェニル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイルビス−(2−メチル、4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイルビス−(2−メチル、4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル、4−[3,5−ジ−t−ブチル−フェニル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル、4−[オルトフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;rac−ジメチルシラジイル(2−メチル−4−[1−ナフチル]インデニル)ジルコニウムジクロライド;及びrac−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[3,5−ジ−t−ブチルフェニル]インデニル)ジルコニウムジクロライド等のラセミメタロセン化合物である。これらのメタロセンのアルキル化変異形(例えば、ジ−メチルの変わりに、ジクロライドを用いた変異形)も有用であり、特に非配位アニオンタイプの活性剤と共に用いる場合に有用である。このような及び他のメタロセン化合物は、米国特許No.6,376,407、6,376,408、6,376,409、6,376,410、6,376,411、6,376,412、6,376,413、6,376,627、6,380,120、6,380,121、6,380,122、6,380,123、6,380,124、6,380,330、6,380,331、6,380,334、6,399,723、及び6,825,372に詳述されている。
第一重合工程に用いる触媒の活性化方法は変えることができる。アルモキサン及び、好ましくはメチルアルモキサン(MAO)を用いることができる。非配位又は弱配位アニオン活性剤(NCA)はEP277004、EP246637に記載の任意の方法で得ることができる。活性は、通常メチル基等のアニオン基の引き抜き反応がメタロセンカチオンを形成することを含むと考えられているが、幾つかの文献には、双性イオンが生成されるとも記載されている。NCA前駆体は活性時に幾つかの方法、例えば、テトラキスペンタフルオロフェニルボロンのトリチル又はアンモニウム誘導体等の、ホウ素又はアルミン酸塩のイオン対でもよい(EP277004参照)。前記NCA前駆体はメタロセン触媒から引き抜かれたアニオン基の引き抜き反応及び取り込みによりカチオンに形成されるホウ酸塩等の中性化合物でもよい(EP426638参照)。
アルモキサン活性剤は1:1乃至20,000:1又はそれ以上のアルミナ対メタロセンのモル比で用いられる。前記非配位アニオン活性剤は10:1乃至1:1のメタロセン化合物対比配位アニオンのモル比で用いられる。
特に好適な活性剤はジメチルアミニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロ−2−ナフチル)ボレートを含む。有用な活性剤の詳細については、WO2004/026921、72頁、段落[00119]乃至81頁、段落[00151]を参照のこと。本発明の実施に特に有用な活性剤の具体的なリストは、WO2004/046214、72頁、段落[00177]乃至74頁、段落[00178]に記載されている。
熱可塑性第一ポリマーの製造に用いる触媒システムは、例えば、タルク、無機酸化物、無機塩化物、並びにポリオレフィン又はポリマー化合物等の樹脂物質等の、細孔を有する物質に担持されている。好ましくは、前記担持物質は周期律の2、3、4、5、13又は14族の金属の酸化物を含む無機酸化物質である。シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、及びこれらの混合物は特に好ましい。単独に、又はシリカ、アルミナ、又はシリカ−アルミナ等と組み合わせて用いることができる他の無機酸化物はマグネシウム、チタン、ジルコニウム等である。
好ましくは、前記担持物質は表面面積が10乃至700m/g、総細孔容量が0.1cc/g乃至4.0cc/g、及び平均粒子サイズが10乃至500μmである細孔を有するシリカである。表面面積が50乃至500m/g、総細孔容量が0.5cc/g乃至3.5cc/g、及び平均粒子サイズが20乃至200μmである細孔を有するシリカでがより好ましい。表面面積が100乃至400m/g、総細孔容量が0.8cc/g乃至3.0cc/g、及び平均粒子サイズが30乃至100μmである細孔を有するシリカが最も好ましい。通常の細孔性担持物質の平均細孔サイズは、10乃至1000Åである。好ましくは、50乃至500Åの平均細孔直径を有する担持物質を用いることが好ましく、75乃至350Åの平均細孔直径を有する担持物質を用いることが最も好ましい。シリカを100℃乃至800℃の温度で3乃至24時間、脱水したものが特に好ましい。
好ましくは、第一重合工程は連続撹拌タンク反応器において行われる。原料、触媒及び/又は架橋剤を段階的な方法で導入する機械設備を備えた管状反応器も用いることができる。通常、重合反応器は撹拌により濃度勾配を減らすか、又は排除する。反応環境は、液体炭化水素が希釈剤又は溶媒として作用する場合のほか、モノマーが希釈剤又は溶媒として作用する場合がある。好適な液体炭化水素は脱硫された軽質バージンナフサ等の脂環及び芳香族液体、及びプロパン、イソブタン、混合ブタン、ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン、イソオクタン、及びオクタン等のアルカンを含む。代替的な態様において、ペルフルオロカーボン、又はハイドロフルオロカーボンが溶媒又は希釈剤として用いられる。
第一重合工程に好適な条件は、約50乃至約250℃、好ましくは約50℃乃至約150℃、より好ましくは約70℃乃至約150℃の温度、及び0.1Mpa又はこれ以上、好ましくは2Mpa又はこれ以上の圧力を含む。圧力の上限は厳密には限定されないが、通常200MPa以下、好ましくは120MPa以下である。超臨界相において操作する場合を除いては、圧力及び温度は用いる反応媒体の臨界点以上である(通常、プロピレン重合については、95℃及び4.6MPa以上)。臨界重合の詳細については、WO2004/026921を参照のこと。反応器内の温度制御は、反応器ジャケット、又は冷却コイル、自動冷却器、予備チルド供給、液体媒体(希釈剤、モノマー、又は溶媒、あるいはこれら3つの組合せ)の気化により反応器を冷却して、重合熱とバランスをとることにより行う。予備チルド原料を用いた断熱反応器も用いることができる。
第一重合工程において形成された若干の又は全ての第一ポリマーを、第二重合工程において、通常エチレンとC乃至C20オレフィンである、少なくとも1つの第二モノマー、及び通常、ジエンである少なくとも1つの架橋剤と、第二モノマーを重合するのに十分な条件下で接触させ、第二ポリマーを形成し、同時に前記第二ポリマーを架橋させる。第二重合工程で生成された架橋の結果、第二重合工程の生成物は少なくともキシレンに溶解しない分画を含むことになる。好ましくは、第二ポリマーに基づく前記キシレンに溶解しない分画の重量は、第二ポリマーの架橋の程度にもよるが、少なくとも4%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも50%である。
溶液、懸濁液、スラリー、臨界、及び気相重合法を含む任意の既知の重合法を用いて第二ポリマー成分を製造することができる。通常、第二ポリマー成分の製造に用いる触媒は高分子量のモノマーを重合することができる触媒であり、20,000以上のMw及び20%未満の結晶化度を有するポリマーを製造することができる触媒である。
1つの態様において、前記第二ポリマー成分の製造に用いる触媒は熱可塑性基質の製造に用いる触媒と同じであるか、又はこれと相性の良いものである。この場合、第一及び第二重合ゾーンは、任意の活性触媒を含む第一反応ゾーンからの排出液全部が第二反応ゾーンに供給される多ゾーン反応器、又は分離した、連結した反応器中にあってもよい。必要に応じて第二反応ゾーンに追加の触媒を添加することができる。特に好適な態様において、本発明の方法はメタロセン触媒を用いた、2つ以上の連結された、連続流れ、撹拌タンク又は管状反応器において行われる。
他の態様において、触媒冷却を2つの重合ゾーンの間で行い、別の触媒を第二反応ゾーンに導入して、エラストマー成分を製造する。触媒冷却剤(空気又はアルコール)を反応器を出た後の第一重合ゾーンに導入して、第一重合に用いた触媒を失活させてもよい。スカベンジャーも有用であり、触媒冷却剤の注入ポイントの下流又は第二重合ゾーンに供給することができる。
別の触媒をエラストマー性ポリマーの製造に用いる場合、以下のタイプのいずれか、又は両方のメタロセン化合物の1つ、又は混合物を用いることが有利である:
1)(1)配位子として2個のCp環系を有するシクロペンタジエニル(Cp)錯体。Cp配位子は金属を有するサンドイッチ錯体を形成し、自由に回転し得る(非架橋)か、架橋基により固定した形にロックされている。Cp環配位子は同等であるか同等でなく、無置換、置換または置換し得る複素環系等のその誘導体であり、置換基が縮合してテトラヒドロインデニル、インデニルまたはフルオレニル環系等の他の飽和または不飽和環系を形成することができる。これらのシクロペンタジエニル錯体は以下の化学式を有する:
Figure 2008544065
式中、リガンドのCp(Cp )およびCp(Cp )は同一または異なったシクロペンタジエニル環であり;RおよびRはそれぞれ独立にハロゲンまたはヒドロカルボニル、ハロカルボニル、約20個までの炭素原子を含むヒドロカルボニル置換有機メタロイドまたはハロカルボニル置換有機メタロイド基であり;mは0、1、2、3、4、又は5であり;pは0、1、2、3、4、又は5であり;それと結合するシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子上の2個のRおよび/またはR置換基が一つになって4〜約20個の炭素原子を含む環を形成することが可能で;Rは架橋基であり;nは2個の配位子間の直接鎖中の原子数であり、0、1、2、3、4、5、6、7、又は8、好ましくは0、1、2、又は3であり;Mは3、4、5、又は6の原子価を有する、好ましくは周期律表の元素の中の4、5または6族の遷移金属であり、好ましくはその最大酸化状態にあり;Xはそれぞれ非シクロペンタジエニル配位子であり、独立に水素、ハロゲンまたはヒドロカルビル、オキシカルビル、ハロカルビル、約20までの炭素原子を含むヒドロカルビル置換有機メタロイド、オキシヒドロカルボニル置換有機メタロイド、またはハロカルビル置換有機メタロイド基であり;qはMの原子価マイナス2に等しい。
2)配位子としてCp環を1個のみ有するモノシクロペンタジエニル錯体。Cp錯体は金属と半サンドイッチ錯体を形成し、自由に回転し得るか(非架橋)、または架橋基によりヘテロ原子含有配位子に固定した形にロックされている。Cp環は無置換、置換または置換し得る複素環等の誘導体であり、置換基が縮合してテトラヒドロインデニル、インデニルまたはフルオレニル環系等の他の飽和または不飽和環系を形成することができる。ヘテロ原子含有配位子は金属と、随意には架橋基によりCp配位子の双方と結合している。ヘテロ原子そのものは元素の周期律表の15族由来のまたは16族由来の配位数3を有する原子である。モノシクロペンタジエニル錯体は以下の化学式を有する:
Figure 2008544065
式中、Rは独立にハロゲンまたはヒドロカルボニル、ハロカルボニル、約20個までの炭素原子を含むヒドロカルボニル置換有機メタロイドまたはハロカルボニル置換有機メタロイド基であり、mは0、1、2、3、4、又は5であり、結合するシクロペンタジエニル環の隣接する炭素原子上の2個のR置換基が一緒になって4〜約20炭素原子を含む環を形成することが可能で;Rは架橋基であり;nは0又は1で有り;Mは原子価3、4、5、又は6を有する、好ましくは元素の周期律表の4、5または6族由来の遷移金属であり、好ましくはその最大酸化状態にあり;Yはヘテロ原子が15族由来の配位数3を有するか、16族由来の配位数2を有する元素であるヘテロ原子含有基、好ましくは窒素、リン、酸素または硫黄含有基であり;RはC乃至C20炭化水素ラディカル、置換C乃至C20炭化水素ラディカルでなる群より選ばれたラディカルであり、1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換され、Yが3配位で架橋されていない場合、Yの上には2個のR基が存在し、それぞれが独立にC乃至C20炭化水素ラディカル、置換C乃至C20炭化水素ラディカルでなる群より選ばれたラディカルであり、1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換され、各Xは非シクロペンタジエニル配位子であり、独立に水素、ハロゲン、またはヒドロカルビル、オキシカルビル、ハロカルビル、約20個までの炭素原子を含むヒドロカルビル置換有機メタロイド、オキシカルボニル置換有機メタロイドまたはハロカルビル置換有機メタロイドであり、sはMの価数マイナス2に等しい。CpはCp環である。
上記グループ(1)記載のタイプの適当なビシクロペンタジエニルメタロセンの例は、米国特許No.5,324,800、5,198,401、5,278,119、5,387,568、5,120,867、5,017,714、4,871,705、4,542,199、4,752,597、5,132,262、5,391,629、5,243,001、5,278,264、5,296,434、及び5,304,614に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
上記グループ(1)記載のタイプの適当なビシクロペンタジエニルメタロセンの例示として以下の化合物のラセミ異性体を示すが、それらに限定されるものではない:
μ−(CHSi(インデニル)M(Cl)
μ−(CHSi(インデニル)M(CH
μ−(CHSi(テトラヒドロインデニル)M(Cl)
μ−(CHSi(テトラヒドロインデニル)M(CH
μ−(CHSi(インデニル)M(CHCH、および
μ−(CC(インデニル)M(CH
式中、MはZrまたはHfである。
上記グループ(1)記載のタイプの適当な非対称シクロペンタジエニルメタロセンの例は米国特許第4、892、851号、第5、334、677号、第5、416、228号および第5、449、651号、およびジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)1988、110、6255の論文に開示されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
上記グループ(1)記載のタイプの好ましい非対象シクロペンタジエニルメタロセンのの例として以下の化合物を示すが、それらに限定されるものではない:
μ−(CC(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)M(R)
μ−(CC(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)M(R)
μ−(CHC(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)M(R)
μ−(CC(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)M(R)
μ−(CC(3−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチルフルオレニル)M(R)
μ−(p−トリエチルシリルフェニル)C(シクロペンタジエニル)(3,8−ジ−t−ブチルフルオレニル)M(R)
μ−(CC(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルインデニル)M(R);および
μ−(CHC(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルインデニル)M(R)
式中、MはZrまたはHf、RはClまたはCHである。RはCl及びCHからなる群より選択される。
上記グループ(2)記載のタイプのモノシクロペンタジエニルメタロセンの例は米国特許第5、026、798号、第5、057、475号、第5、350、723号、第5、264、405号、第5、055、438号、および国際公開第96/002244号に開示されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
上記グループ(2)記載のタイプの好ましい非対象シクロペンタジエニルメタロセンのの例として以下の化合物を示すが、それらに限定されるものではない:
μ−(CHSi(シクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)M(R)
μ−(CHSi(3−tertブチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)M(R)
μ−(CHSi(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)M(R)
μ−(CHC(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−アダマンチルアミド)M(R)
μ−(CHSi(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−tertブチルアミド)M(R)
μ−(CHSi(フルオレニル)(1−tertブチルアミド)M(R)
μ−(CHSi(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−シクロドデシルアミド)M(R)
μ−(CHC(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−シクロドデシルアミド)M(R)
式中、MはTi、Zr、及びHfから選択され、RはCl及びCHから選択される。
第二ポリマー成分の製造に有用な触媒である有機メタロセン化合物の他のクラスは、デュポン(Du Pont)によるWO96/23010に開示されているものである。これらの重合触媒化合物を参照により本明細書に援用する。
好適な処理方法において、ジエン等の2機能性モノマーを有するエラストマー性モノマーを共重合するためだけでなく、得られたエラストマーの少なくとも部分的な架橋を引き起こすために第二重合ゾーンの条件を調整する。第二重合ゾーンの典型的な条件は約10℃乃至約250℃の温度、及び約0.1MPa乃至約200MPaの圧力を含む。
オレフィン及びジエンの共重合反応において少なくとも部分的に架橋されている第二ポリマーは、ポリマー鎖を急速に固定しその後に形成させるために、触媒部位を不溶及び/又は未満固定にしたままにできる条件下で、オレフィン及びジエンを溶液、懸濁、又はスラリーで重合して得ることができる。このような固定化は、例えば、(1)固形、不溶性触媒の使用、(2)第一工程で製造された熱可塑性ポリマーの結晶融解温度以下に重合反応を維持すること、及び(3)フッ素添加炭化水素等の溶解力のある溶媒の使用により影響を受ける。
前記熱可塑性第一ポリマーは、膨張した懸濁液か、顆粒の形態で存在するか、又は反応媒体中に溶解された状態で第二反応器中に存在する。第二重合ゾーン内の第一ポリマーの物理的状態は、溶媒、温度、圧力等の反応環境に依存する。第一ポリマーが反応媒体内に溶解するように、第二重合ゾーンの重合環境を選択することが好ましい。
溶液工程において、架橋されていない第二ポリマーは重合媒体に溶解している(又は可溶である)。第二ポリマーはその後反応媒体から相分離され、ポリマーが架橋されたときにミクロ粒子を形成する。このin−situ架橋及び相分離は高分子量ポリマーを製造する工程を促進する。
触媒、重合反応条件を選択することにより、及び/又はジエン修飾剤を導入することにより、第一ポリマー及び/又は第二ポリマーをお互いに結合して分岐ブロック構造を作ることができる。理論に拘束されることを意図しないけれども、前記分岐ブロックコポリマーは、第一ポリマーに起因する結晶性側鎖を有するアモルファス骨格を含むと考えられる。
第一ポリマーのポリマー鎖を第二ポリマーの成長鎖に効率的に取り込むために、第一重合工程がビニル末端基等の活性末端を有するマクロモノマーを生成することが好ましい。活性末端を有するマクロモノマーとは12以上の(好ましくは20以上、より好ましくは30以上、より好ましくは12乃至8000の間の)炭素原子を有し、及びビニル、ビニリデン、ビニレン、又は重合により成長鎖となり得る他の末端基を有するポリマーを意味する。反応末端を有するマクロモノマーを重合し得るとは、活性末端を有するマクロモノマーを成長鎖内へ取り込むことができる触媒成分を意味する。ビニル末端を有する鎖は通常、ビニレン、又はビニリデン末端を有する鎖よりも活性が高い。通常、第一重合工程は、少なくとも0.01%の不飽和末端を有する第一ポリマーを製造する。
前記熱可塑性第一ポリマーは、1つ以上のアルファオレフィン及び少なくとも2つのオレフィン系不飽和結合を有する1つ以上のモノマーとのコポリマーであり得る。これらの不飽和結合は、第一又は第二触媒システムのいずれかを用いた配位重合による成長鎖への取り込まれ、且つ成長鎖に容易に取り込まれ、1つの二重結合を第一ポリマーセグメントに取り込まれ、他の二重結合は第二エラストマー性ポリマーセグメントに取り込まれて分岐ブロックコポリマーを形成するのに適している。好適な態様において、少なくとも2つのオレフィン系不飽和結合を有するこれらのモノマーは、ジオレフィンであり、好ましくはジ−ビニルモノマーである。
従来の分離法を用いて、他の成分からポリマーを分離することにより、第一重合工程又は第二重合工程のいずれかかの排出液からポリマーを回収することができる。例えば、ポリマーはイソプロピルアルコール、酢酸、又はn−ブチルアルコール等の非溶媒を用いて凝固させることによりいずれかの排出液から回収することができる、又は前記ポリマーは熱又は流れを用いて溶媒又は他の媒体を除去することにより回収することができる。回収工程の間、抗酸化剤等の従来用いられている1つ以上の添加剤を加えることができる。用いることができる抗酸化剤は、フェニル−ベータ−ナフチルアミド、ジ−tert−ブチルヒドロキノン、トリフェニルフォスフェート、ヘプチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチル)フェノール、及び2,2,4−トリメチル−6−フェニル−1,2−ジヒドロキノリンを含む。低い臨界溶液温度(LCST)を適用した後に揮発成分を除去すること等の他の回収方法も想定される。下流におけるポリマー回収工程において、更なる制御困難な重合を減らす又は排除するための分離手順の一部として触媒を失活させてもよい。失活は水等の好適な極性物質と混合することにより行う。再利用の後に残った活性は、好適な分子篩又はスカベンジャーシステムにより弱めることができる。
反応器内で製造されたポリマーブレンドの性質
本発明の新規な重合工程により、製造された異種ポリマーブレンドは第一熱可塑性樹脂ポリマーの基質内に分散された第二ポリマー粒子を含むだけでなく、分散相の一部に架橋され、キシレン不溶分画中に、好ましくは少なくとも100℃の融点等の第一及び第二ポリマーの性質を有する第一及び第二ポリマーのハイブリッドを含む。更に、第二ポリマーの粒子は、従来の反応押出し成形により得られた生成物よりも、充分に分散されており、充分に小さい。
更に、後の動的加硫工程において全ての架橋が形成されるのではなく、分散相の少なくとも幾つかの架橋は、後の第二重合工程において行われていることから、異種ポリマーブレンドの分散相は、少なくともキシレンに不溶であり、通常、重合後の動的加硫における架橋を促進するためにポリマーブレンドに添加される硬化剤を実質的に含まないことを特徴とする、少なくとも1つの分画を含んでいる。実質的に含まないとは、分散相が1,000ppm、100ppm未満、10ppm未満の硬化剤しか含まないことを意味する。
分子量の二峰分布を有するポリマー及び組成物は、例えば、第一及び第二重合ゾーンの重合条件を制御することにより、及び各重合ゾーンにおいて複数の触媒を用いる等の第一及び第二重合の触媒を選択することにより、本発明の重合工程により製造することができる。第一重合ゾーンにおいて製造されたポリマー鎖の幾つかは、第二重合ゾーンにおいても維持されている。このように製造されたこのポリマー鎖は第二重合ゾーンにおいて結晶性ポリマーセグメントとアモルファスセグメントを含み、ブロック構造を形成する。このブロック組成物は第一及び第二ポリマーの特徴を有している。
本発明の異種ポリマーブレンドのエラストマー性分散相中に、オレフィンは、約95%乃至約99.99%の割合で存在する。前記エラストマー性分散相において、前記エラストマー性コポリマーのジエン含量は約0.01%乃至約5%である。しかし、特定の態様においてはジエンの含量を変化させることもできる。幾つかの態様において、前記エラストマー性成分中に2つ以上の異なるオレフィンが含まれる。これらのオレフィンにおいて、そのうちの少なくとも1つはエチレン、プロピレン、及びC乃至C20アルファオレフィンから選択される。通常、前記少なくとも1つのモノマー単位はエチレンを含み、他のモノマーは、プロピレン及びC乃至C20アルファオレフィンから選択されるが、プロピレンが好ましい。これらの態様は通常、コポリマーの12wt%乃至88wt%、例えば、30wt%乃至70%の量で1のオレフィンを含む。一方他のオレフィンはコポリマーの88wt%乃至12wt%、例えば、70wt%乃至30wt%の量で含まれる。
より好ましくは、前記コポリマーはコポリマーの12wt%乃至88wt%の範囲でエチレン単位を有する。プロピレン又は他のα−オレフィン単位は、88wt%乃至12wt%の範囲で存在する。70wt%乃至30wt%の範囲のエチレン単位及び70wt%乃至30%の範囲のプロピレン又は他のα−オレフィンを含むことが好ましい。40wt%乃至60wt%の範囲のエチレン単位及び60wt%乃至40%の範囲のプロピレン又は他のα−オレフィンを含むことがより好ましい。
本発明の異種ポリマーブレンドの個々の成分は溶媒抽出により分離することができる。好適な溶媒抽出法において、任意の追加的な工程を経ていないブレンドを25℃のキシレンに48時間接触させ、未硬化及び分岐エラストマー性成分を溶解する。その後に残った固形分を沸騰しているキシレン中で24時間還流させ、連続相の熱可塑性物質を溶解する。残ったキシレン不溶分は第一及び第二ポリマーが架橋しているハイブリッドコポリマーを含む。これらのハイブリッドコポリマーは通常100℃以上の融点を有する。
1つの態様において、本明細書のポリマーブレンドは0.5MPa以上の、あるいは0.75MPa以上の、あるいは1.0MPa以上の、あるいは1.5MPa以上の、あるいは2.0MPa以上の、あるいは2.5MPa以上の、あるいは3.0MPa以上の、あるいは3.5MPa以上の(23℃においてISO37により測定される)破断点における引張強度を有する。
他の態様において、本明細書のポリマーブレンドは、10A乃至90Dの、好ましくは15A乃至90D(ISO868により測定される)ショア硬度を有する。
他の態様において、本明細書のポリマーブレンドは、20%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上の(ISO37により測定される)最大伸びを有する。
他の態様において、本明細書のポリマーブレンドは、90%以下、好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下の(ISO815Aにより測定される)圧縮永久歪を有する。
他の態様において、本明細書のポリマーブレンドは、100%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下、より好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下の(ISO2285により測定される)残留伸びを有する。
他の態様において、本明細書のたポリマーブレンドは、500%以下、好ましくは250%以下、より好ましくは100%以下の(ASTM D417により測定される)オイル膨張性を有する。
添加剤
本発明の異種ポリマーブレンドは、任意に増強剤、及び非増強性充填剤、可塑剤、抗酸化剤、安定剤、ゴムプロセス油、エキステンダー油、潤滑剤、抗ブロッキング剤、抗静電気剤、ワックス、発泡剤、顔料、難燃剤、及びゴム配合の分野において知られている他の処理剤を含み得る。そのような添加剤は、組成物全体に対して約70wt%まで、より好ましくは65%まで含まれる。用いる充填剤及びエキステンダーは、カルシウム、炭素、クレイ、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック等の従来用いられている無機物を含む。ゴムプロセス油は、通常、パラフィン油、ナフテン油、又は石油分画由来の芳香族油である。前記油は、組成物中に存在する具体的なゴム、又はゴム成分に関して従来使用されているものから選択される。
充填剤及びオイル等の添加剤は第一重合ゾーン又は第二重合ゾーンのいずれかにおける重合の間に本発明の異種ポリマーブレンドに導入することができる。前記添加剤は第二重合ゾーンからの排出液に添加することもでき、好ましくは溶媒又は希釈剤を除去したあと、又は反応後重合の後のポリマーブレンドに、溶融混合を通じて、添加される。
追加的なポリマーもブレンドを形成するために添加することができる。1つ以上の態様において、前記追加的なポリマーは熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂の例としては、結晶性又は結晶可能なポリオレフィンを含む。好適な熱可塑性樹脂はスチレン−エチレンコポリマー等のポリオレフィンとスチレンとのコモノマーも含む。1つ以上の態様において、前記熱可塑性樹脂はエチレン又はプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等α−オレフィン、及びこれらの混合物を重合することにより形成される。エチレン及びプロピレンのコポリマー、並びにエチレンとプロピレンと、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン等α−オレフィン、及びこれらの混合物とのコポリマーも好適である。プロピレンと、上に記載の他の高級αオレフィンとの、又はC10乃至C20ジオレフィンとのインパクトコポリマー及びランダムコポリマーの他に、ホモポリプロピレンも好ましい。少なくとも130℃、例えば少なくとも140℃、及び好ましくは170℃以下の融点、少なくとも75J/g、あるいは少なくとも80J/gのDSC解析で測定される融解熱、及び少なくとも100,000、あるいは少なくとも500,000の重量平均分子量(Mw)を有するホモポリプロピレンが好ましい。プロピレンコポリマーのコモノマー含量は通常、ポリマーの1乃至約30wt%である。米国特許No.6,268,438、6,288,171、及び6,245、856参照。VISTAMAXX(商標)(エクソンモービル)の商標で市販されているコポリマーも本発明の実施に好適である。これらのホモポリマー及びコポリマーは、従来のチグラ−ナッタタイプの重合を含むがこれらに限定されない当該分野で知られている好適な重合技術及び、メタロセン触媒を含むがこれらに限定されない一部位有機金属触媒を用いた触媒を用いて合成することができる。
1つ以上の態様において、「嵩高いモノマー」は未反応のペンダント二重結合が、仕上げ工程の間に熱架橋し、前記ゴム相の架橋度を高めることができるように選択される。
1つ以上の態様において、最終工程の間に、硬化剤をポリマー最終工程中の排出流れに注入して、動的加硫により分散ゴム相の硬化度を高めることができる。硬化剤の例としては、フェノール樹脂硬化システム、過酸化物硬化システム、及びシリコン含有硬化システムを含む。
1つ以上の態様において、前記フェノール樹脂は米国特許No.2,927,600、3,287,440、5,952,425、及び6,437,030及び国際出願No.PCT/UA04/30518に記載のものを含む。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
フェノールレジン硬化剤は、レゾール樹脂とも言われており、アルカリ培地中で、ホルムアルデヒド等のアルデヒドとアルキル置換フェノール又は未置換フェノールの濃縮、又は二機能性フェノールジアルコールの濃縮により得られる樹脂を含む。前記アルキル置換フェノールのアルキル置換基は、1乃至約10の炭素原子を含む。パラの位置で、1乃至約10の炭素原子を含むアルキル基で置換されたジメチルオルフェノール又はフェノール樹脂が好ましい。1つの態様において、オクチルフェノール及び/又はノニルフェノール樹脂のブレンドも用いられる。このブレンドは約25乃至約40wt%のオクチルフェノール及び/又は約75乃至約60wt%のノニルフェノールを含む(任意で、約30乃至約35重量%のオクチルフェノール及び約70乃至65wt%のノニルフェノールであってもよい)。1つの態様において、前記ブレンドは約33wt%のオクチルフェノールホルムアミド及び約67wt%のノニルフェノールホルムアルデヒドを含み、オクチルフェノール及びノニルフェノールはそれぞれメチロール基を有する。このブレンドはパラフィンオイル中に約30%の固形分として溶解することができる。
有用なフェノール樹脂は、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂とも言われているSP−1044、SP−1045(Schenectady International; Schenectady, N.Y.)の商標で販売されているものである。SP−1045はメチロール基を含むオクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂であると考えられている。SP−1044及びSP−1045樹脂はハロゲン置換基又はハロゲン化合物残基を実質的に含まないものであると考えられている。ハロゲン置換基を実質的に含まないということは、この樹脂の合成が、微量のハロゲン含有化合物しか含まない非ハロゲン化レジンを提供することを意味する。
1つ以上の態様において、前記フェノール樹脂は、塩化第一スズ等のハロゲン源、及び金属酸化物、又は酸化亜鉛等の還元化合物と組み合わせて用いることができる。
1つ以上の態様において、有用な過酸化硬化剤は、有機過酸化物を含む。有用な過酸化硬化剤は、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクルミルペルオキシド、t−ブチルクルミルペルオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4−4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレエート、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を含むがこれらに限定されない、有機過酸化物、及びこれらの混合物を含む。ジアリルペルオキシド、ケトンペルオキシド、ペルオキシジカルボネート、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシケタール、及びこれらの混合物も用いられる。有用な過酸化物及びこれらを熱可塑性加硫物の動的加硫に用いる方法は、参照により本明細書に援用する米国特許No.5,656,693に記載されている。
1つ以上の態様において、前記過酸化硬化剤は共同剤と共に用いる。共同剤の例は、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルフォフェート、硫黄、N−フェニルビス−マレアミド、ジアクリレート亜鉛、メタクリレート亜鉛、ジビニルベンゼン、1,2−ポリブタジエン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリコールジアクリレート、三官能性アクリルエステル、多官能性アクリレート、リタードシクロヘキサン、ジメタノールジアクリレートエステル、多官能性メタクリレート、アクリレート及びメタクリレート金属塩、例えば、キノンオキシム等のオキシマーを含む。過酸化物/共同剤の効率を最大化するために、窒素雰囲気下において混合及び動的加硫を行うことが好ましい。
好適なシリコン含有硬化システムは少なくとも2つのSiH基を有する水素化シリコン化合物を含む。これらの化合物は、水素化シラノール基触媒の存在下において、不飽和ポリマーの炭素−炭素二重結合と反応すると考えられている。本発明の実施に有用な水素化シリコン化合物はメチルハイドロゲンポリシロキサン、メチルハイドロゲンジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチルポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、及びこれらの混合物を含む。
ヒドロシリル化(hydrosilation)に有用な触媒は、過酸化触媒及びVIII族遷移金属を含む触媒であるがこれらに限定されない。これらの金属は、パラジウム、ロジウム、及びプラチナ、及びこれらの金属の複合体を含むがこれらに限定されない。熱可塑性加硫物の硬化にヒドロシリル化(hydrosilation)を用いることについての詳細は、米国特許No.5,936、028を参照のこと。1つ以上の態様において、シリコン含有硬化剤は5−ビニル2−ノルボルネン由来単位を含むエラストマー性コポリマーを硬化するのに用いることができる。
1つ以上の態様において、ゴムの硬化に有用な硬化剤は、米国特許No.5,013,793、5,100,947、5,021,500、4,978,714、及び4,810,752に記載されているものを含む。
ポリマーブレンドの使用
本明細書で述べる異種ポリマーブレンドは、当該分野において知られている好適な手段を用いて所望の最終製品に成形される。そられは、特に吹込成形、押出成形、射出成形、熱成形、ガス成形、弾性溶接、及び圧縮成形技術により製造される製品に有用である。
熱成形は柔軟な熱可塑性シートを所望の形に成形する成形法である。熱成形手順の態様を開示するが、本発明の組成物に有用な熱成形方法を限定するために解釈すべきではない。第一に、本発明の組成物の押出し成形されたフィルム(及び任意で他の層又は物質)をシャトルラック上に置き、加熱の間それを固定しておく。このシャトルラックをオーブン内へスライドさせて入れ、成形前にフィルムを呼び加熱する。フィルムを加熱したら、このシャトルラックを成形ツール内へスライドさせて入れる。フィルムを成形ツール上で真空引きしてフィルムを所定の位置に固定し、成形ツールを閉じる。前記成形ツールは雄型又は雌型のいずれでもよい。前記ツールを閉じてフィルムを冷却し、その後、前記ツールを開く。成形された薄板をその後ツールからはずす。
熱成形は陽圧又は陰圧の、プラグアシスト真空形成、又はこれらを組合せた真空引き及びこれらの変更方法により行われ、シート状物質は、通常、140℃乃至185℃、又はそれ以上の熱成形温度に達する。予備延伸されたバブル成形工程も用いられ、特に物質分布を改善するために、大きな部品の製造に用いられる。他の態様において、連結ラックが加熱された薄板を雄型成形ツールに向かって押し上げ、該雄型成形ツール内のオリフィスから真空引きすることにより成形する。雄型成形ツールにおいて薄片が最終的に成形されると、熱成形された薄片は、通常風を当てることにより冷却される。プラグアシスト成形は通常小さく、奥行きのある部品に用いる。プラグ物質、デザイン、及びタイミングはこの工程を最適化するために重要である。絶縁発泡体から形成されたプラグはプラスチックのプレマチュア(premature)冷却がない。このプラグ形状は、モールドキャビティーに似ているが、より小さく、簡単な構造である円筒のプラグ底部は通常均一な材料分布と均一な側壁厚さを得やすくする。
成形された薄層体は金型内で冷却される。30乃至65℃の成形温度を維持して充分に冷却することが好ましい。1つの態様において射出前の温度は90℃乃至100℃である。熱成形を成功させるためには、最も低い溶融流量のポリマーを用いることが好ましい。その後、成形薄層体の余分な薄層体部分を切り取る。
射出成形、多層ブロー成形、押出ブロー成形及び伸延ブロー成形を含むブロー成形は他の好適な方法であり、例えば、ガソリン、及び他の液体容器等の閉鎖又は中空製品に特に適している。ブロー成形の詳細は、例えば、CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING 90−92 (Jacqueline I. Kroschwitz, ed., John Wiley & Sons 1990)に記載されている。
形成又は成形方法の更なる態様において、異形共押出成形法が用いられる。異形共押出成形法のパラメータは150℃乃至235℃の範囲のダイ温度(二領域、頂部と脚部)、原料ブロックが90℃乃至250℃、及び水冷却タンクの温度が10℃乃至40℃である以外は、上記のブロー成形法と同様である。
射出成形工程の1つの態様を以下で説明する。成形された薄層体は射出成形ツール内に置かれる。金型を閉じて、基質物質を金型に注入する。基質物質は1つの態様において200℃乃至300℃の間の融点を有し、例えば、215℃乃至250℃である。前記基質物質は2乃至10秒の間に金型内へ注入される。注入後、前記物質は決められた温度及び時間で、充填状態を保ち、寸法及び外観的に正確な部品が作られる。通常、時間は5乃至25秒、及び圧力は1,380kPa乃至10,400kPaである。金型を10乃至70℃の温度で冷やして、基質を冷やす。温度は所望のつや及び外観に依り異なる。通常、冷却時間は部分的に厚みに依存して10乃至30秒である。最終的に金型を開き、成形された合成製品を取り出す。
同様に、成形製品は、金型へ、溶融ポリマーを注入し、金型が溶融ポリマーを所望の状態及び厚さに成形し又は固めることにより得られる。シートはダイから実質的にフラット形状のものをチル・ロールに向けて押出成形するか、又は代替的にカレンダ加工のいずれかにより作られる。相当な厚みのあるシートも存在するが、通常シートは10mils乃至100mils(254μm乃至2540μm)の厚さを有するものであると考えられている。医療、飲料、水容器、土地排水製品又は同種の製品に用いるチューブ又はパイプは、異形押出成形法により得られる。異形押出成形法はダイを通じた溶融ポリマーの押出形成を含む。押出成形されたチューブ又はパイプはチルウォーター又は空気冷却により固められ、連続押出成形品となる。この管類は通常、外側の直径が0.31cm乃至2.54cmであり、245cm乃至0.5cmの幅の厚みを有する。パイプは外側の直径が2.54cm乃至254cmであり、0.5cm乃至15cmの幅の厚みを有する。本発明の各種態様の生成物から作られたシートは、コンテナを作るために用いられる。そのようなコンテナは熱成形、固形相圧縮成形、スタンピング及び他の成形技術により成形される。床、壁又は他の表面を覆うためのシートも形成することができる。
熱成形プロセスの1つの態様において、オーブン温度は160℃乃至195℃の間であり、オーブン内にある時間は10秒乃至20秒であり、及び成形ツール、通常雄型の温度は10乃至71℃である。冷却され、成形された薄層体の最終的な厚さは1つの態様において10μm乃至6000μm、他の態様において200μm乃至6000μm、更なる態様において250μm乃至3000μmであり、更なる態様において500μm乃至1550μmであり、更なる態様において、好ましい範囲は、これらの上限値及び下限値の組合せも含む。
射出成形の他の態様において、基質物質が、成形された薄層体を含むツール内へ射出成形される場合、基質物質の温度は1つの態様において、230℃乃至255℃の間であり、他の態様において235℃乃至250℃の間であり、充填時間は1つの態様において2乃至10秒であり、他の態様において2乃至8秒であり、ツール温度は1つの態様において25℃乃至65℃であり、他の態様において27℃乃至60℃である。好ましい態様において、基質物質は、層間を接着させるために、接着する層物質又は裏当てとなる層を融解するのに充分高い温度である。
本発明の更なる態様において、本発明の組成物はブロー成形法を用いて基質物質を固めることもできる。ブロー成形は、燃料タンク及び他の液体用容器等の密閉製品、運動設備、アウトドア家具、及び小さい閉鎖構造を形成する製品において特に有用である。この方法の他の態様において、本発明の組成物は多層ヘッドを通じて押し出され、冷却されていない薄層体を金型内に配置されて、冷却され、パリソンを形成する。雌型又は雄型のいずれかのパターンを内部に有する金型は、その後冷却され、空気が送り込まれ部品が成形される。
所望の結果を得るために上で概説した方法を変更することは、当業者に理解されている。例えば、本発明の組成物の押出シートは、冷却しないで、直接熱成形又はブロー成形してもよく、その場合、冷却工程を省略することとなる。他のパラメータは、所望の特性を有する最終合成製品を得るためにも変更することができる。
本発明の熱可塑性エラストマーブレンドは、ウェザーシール、ホース、ベルト、ガスケット、成形製品、ブーツ、弾性繊維等の各種製品に有用である。発泡最終製品も意図される。より具体的には、本発明のブレンドは、ウェザーシール、結合ディスク、ダイヤフラムカップ等のカップを含むがこれらに限定されないブレーキ部品、等速結合部(constant velosity joints)、及びラック及びピニオンジョイント(rack and pinion joint)等のブーツ(boots)、チューブ製品、シーリングガスケット、水圧及び油圧駆動装置、オーリング、ピストン、バルブ、バルブシート、及びバルブガイド、及び当該分野おいて知られている金属、プラスチック混合物質等の他の物質と組み合わせて用いる他のエラストマー性ポリマーベース部品又はエラストマー性ポリマーを含むがこれらに限定されない乗り物用部品に有用である。V−ベルトを含む輸送ベルト、布被覆のVを含む切断リブを有する歯車ベルト、補強された短繊維被覆V面、又はフロック加工された短繊維被覆V面を有する成形ゴムも意図される。そのようなベルト及びそれらのリブの切断面はベルトの最終用途、市場の種類、及び伝達する力により変化させることができる。それらは、摩擦を生じる外部面を有する強化布繊維からできている平坦な形状のものでもよい。このような部品が用いられる乗り物の例としては、乗用車、オートバイ、トラック、ボート、及び他の輸送用の乗り物を含むがこれらに限定されない。
追加的な態様において、本発明は、更に、
1.少なくとも30%の結晶化度を有する熱可塑性第一ポリマーを含む第一相、及び20%未満の結晶化度を有し、少なくとも部分的に架橋されている第二ポリマーを含む第二相を含む異種ポリマーブレンドの製造方法であって、
(a)担持触媒の存在下の第一反応ゾーンにおいて少なくとも1つの第一モノマーを重合して前記熱可塑性第一ポリマーを製造する工程と、
(b)少なくとも1つの前記第一ポリマーを少なくとも1つの第二モノマー及び少なくとも1つのポリエンと、第二重合ゾーンにおいて接触させて、前記第二モノマーを重合して製造し、且つ前記第二相がキシレンに不溶である少なくとも1つの分画を有するように架橋させる工程と、
を含む方法、
2.前記重合工程(a)がスラリー重合工程であることを特徴とする、前記1の方法、
3.前記接触する工程(b)が溶液、懸濁液、又はスラリー重合工程であることを特徴とする、前記1又は2の方法、
4.前記熱可塑性第一ポリマーがC2乃至C20オレフィンのホモポリマーであることを特徴とする、前記1乃至3のいずれかに記載の方法、
5.前記熱可塑性第一ポリマーが15wt%未満の少なくとも1つのコモノマー含むC2乃至C20のオレフィンのコポリマーであることを特徴とする、前記1乃至3のいずれかに記載の方法、
6.前記熱可塑性第一ポリマーがプロピレンのポリマーを含むことを特徴とする、前記1乃至5のいずれかに記載の方法、
7.前記少なくとも1つの第二モノマーが少なくとも1つのC3乃至C20オレフィンを含むことを特徴とする、前記1乃至6のいずれかに記載の方法、
8.前記少なくとも1つの第二モノマーが更にエチレンを含むことを特徴とする、前記7に記載の方法、
9.前記少なくとも1つの第二モノマーがプロピレン及びエチレンを含むことを特徴とする、前記1乃至8のいずれかに記載の方法、
10.前記少なくとも1つのプロピレンが少なくとも2つの重合可能な不飽和基を有することを特徴とする、前記1乃至9のいずれかに記載の方法、
11.前記キシレンに不溶な分画が少なくとも4%の第二ポリマーを含むことを特徴とする、前記1乃至10のいずれかに記載の方法、
12.前記第一ポリマーが前記ポリマーブレンドの連続相を含み、及び前記第二ポリマーが前記連続相中に分散している粒子の形態であることを特徴とする、前記1乃至11のいずれかに記載の方法、
13.前記第二ポリマーの粒子の平均粒子サイズが約50ナノメートル及び約3ミクロンの間であることを特徴とする、前記12の方法、
14.工程(a)において用いる触媒が支持体、少なくとも1つの触媒成分、及び少なくとも1つの活性剤を含むことを特徴とする、前記1乃至13のいずれかに記載の方法、
15.前記接触工程(b)が前記重合工程(a)で用いている担持触媒の存在下において行われることを特徴とする、前記1乃至14のいずれかに記載の方法、に関する。
本発明は実施例及び添付の図面を参照することにより具体的に説明される。
実施例において、分子量(数平均分子量(Mn))、重量平均分子量(Mw)、及びz平均分子量(Mz))は示差屈折率検出器(DRI)、オンライン小角光散乱(LALLS)検出器、及び粘度計(VIS)を備えたWaters150サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて決定した。これらの検出器のキャリブレーション及び詳細は例えば、T.Sun,P.Bran,R.R.Chance、及びW.W.Graessley,in Macromolecules,Volume 34, Number 19, 6812−6820、(2001)に記載されている。該文献を参照により本明細書に援用する。SEC試験に用いる溶媒は、4リットルの1,2,4トリクロロベンゼンのボトルに抗酸化剤としてブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)6gを添加して、BHTが溶解するのを待つことにより調製する。その後0.7ミクロンのガラスプレフィルター及びその後に0.1ミクロンのテフロンフィルターを通して該TCB混合物をフィルター処理する。高圧ポンプとSECとの間に、オンラインの0.7ミクロンのガラスプレフィルター/0.22ミクロンのテフロンフィルター部品がある。SECに入る前に、TCBをオンラインの脱気装置(Phenimenex、Model DG−4000)で脱気する。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、好適な量のTCBを入れ、この混合物を160℃で撹拌しながら約2時間加熱することによりポリマー溶液を調製した。全ての量は重量測定法で測定した。ポリマー濃度を容積/容量単位で表すと、TCBは室温において、1,463g/mlであり、135℃において、1.324g/mlであった。注入濃度は、1.0乃至2.0の間で変化した。低い濃度は高い分子量サンプルのために用いた。
分岐指数はオンライン粘度計(SEC−VIS)を備えたSECを用いて測定し、SECトレースの各分子量についてg’として記録した。分岐指数g’は、
式1
Figure 2008544065
として定義される。ここで、ηは分岐ポリマーの固有粘度であり、ηは当該分岐ポリマーと同じ粘度平均分子量(Mv)の直鎖ポリマーの固有粘度である。η=KM α、K及びαは直鎖ポリマーについて測定した値であり、分岐指数測定に用いるものと同じSEC−DRI−LS−VIS機器により得られる。本発明で提示するポリプロピレンサンプルに関し、K=0.0002288及びα=0.705を用いた。SEC−DRI−LS−VIS法は、固有粘度及び分子量が恐らく狭く分散したポリマーを含む個々の溶出体積について測定されるので、多分散性に関して修正する必要性がない。比較のため標準として選択する直鎖ポリマーは同じ粘度平均分子量及びコモノマー含量であるべきである。C乃至C10モノマーを含むポリマーの線形特性はRandallの炭素−13 NMR法により確認する(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3)、第285−297頁)。C11及び上述のモノマーの線形特性はMALLS検出器を用いてGPC分析により確認する。例えば、プロピレンのコポリマーに関して、NMRは当該コモノマーよりも大きな分岐を示さないはずである(すなわち、コモノマーがブテンの場合、3炭素以上の分岐は存在しない)。プロピレンのホモポリマーに関して、GPCは3炭素原子以上の分岐を示さないはずである。コモノマーがC以上であるポリマーに線形標準が望ましい場合、それらのポリマーの標準を測定する手順は、T.Sun,P.Brant,R.R.Chance及びW.W.Graessley,Macromolecules,第34巻、No.19、6812−6820(2001)が参照できる。シンジオタクチックポリマーの場合、スタンダードはC13NMRで測定される比較可能なシンジオタクチシティーを有している。g’で平均化された粘度は以下の式を用いて計算する:
式2
Figure 2008544065
式中、Ciはポリマーピーク中のスライスiにおけるポリマーの濃度である。[ηはポリマーピーク中のスライスiにおける分岐ポリマーの粘度である。Miは光散乱により測定されるポリマーピーク中のスライスiにおける重量平均分子量である。K及びαは上で定義されたものと同じである。
ピーク融点(Tm)、ピーク結晶化温度(Tc)、はASTM E 794−85に従い以下の手順を用いて測定した。結晶化度はASTM D 3417−99により測定される融解熱を用いて計算した。示差走査熱量計(DSC)データはTAインスツルメンツモデルQ100又はパーキンエルマーDSC−7を用いて得た。サンプルを約5乃至10mg量り取り、アルミニウムサンプルパン内に密閉した。DSCデータを室温から200℃まで10℃/分で加熱する第一過熱(第一融解)を記録した。その後、サンプルを200℃で5分間維持し、10℃/分で−100℃まで冷却し、−100℃で5分間等温に維持し、その後10℃/分で200℃まで加熱した(第二融解)。熱イベントの第一及び第二サイクルを記録した。実施例において報告されるピーク融解温度及び融解熱は第二融解において得られたデータである。融解曲線の下の面積を測定し、融解熱及び結晶化度の程度を決定するために用いた。結晶化度のパーセンテージは、式、[曲線下の面積(J/g)/B(J/g)]*100で計算した。式中、Bは主要モノマー成分のホモポリマーに対する融解熱である。Bの値は、John Wiley and Sons、Nwe York 1999より出版されたポリマーハンドブック、第4版(Polymer Handbook、Fourth Edition)に記載されている。189J/g(B)の値は100%の結晶化度のポリプロピレンの融解熱として用いる。290J/gの値は100%の結晶化度を有するポリエチレンの融解熱として用いる。複数の冷却及び融解ピークを示すポリマーについて、全ての結晶化温度のピーク及び融点のピークを記録した。各融点に対して別個に融解熱を計算した。
ガラス転移温度(Tg)はTA Instruments モデルQ100マシンを用いてASTM E 1356により測定した。
形態学的データは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。サンプルの弛緩を排除するために全てのサンプルを低温における表面仕上げの後8時間以内に測定した。低温での表面仕上げの間、サンプルは−130℃に冷却され、Rechert極低温マイクロトームにおいてダイヤモンドナイフで切断した。これらをその後、乾燥窒素ガスのディセクター内に置き、圧縮しないように室温に戻した。最終的に、表面仕上げをしたサンプルをAFM解析のための小型万力にマウントした。AFM測定は、長方形のSiカンチレバーを用いて、Nano Scope Dimension 3000走査(型)プローブ顕微鏡(Digital Instrument)上で、空気中で、行った。カンチレバーの剛性は~4N/mで、共鳴頻度は~70kHzであった。自由振動増幅は高く、80nm乃至100nmの範囲であり、RMSは3.8voltに設定した。セットポイント比は0.5以下の値に維持し、コンスタントセットポイントを、陽性相シフト伴反発力(repulsive contacts)を常に確実にするために調節した。カンチレバーは共鳴頻度と同じか又はわずかに下で運転した。
全てのサンプルのAFM相イメージをTIFFフォーマットに転換し、PHOTOSHOP(Adobe System、Inc.)で処理した。画像処理ツールキット(Reindeer Games,Inc.)をイメージの測定に用いた。イメージ測定の結果をテキストファイルに書き込み、続いて、エクセル(マイクロソフト)又はMATLAB(Math Works, Inc.)を用いたデータ処理を行い分散相、共連続相の共連続因子のサイズ/形状、又は最も近い内部粒子の距離の演算を行った。
透過型電子顕微鏡(TEM)をエチレン/プロピレン/ジエンゴムと準結晶性プロピレン相との接合部分の詳細を研究するために使用した。用いた装置は、JEOL 2000FX顕微鏡であった。重金属染色技術を用いて同じ形態の詳細を描写するコントラストを作成した。ルテニウムタートオキシドはアモルファス及び結晶領域の間の良いコントラストを提供し、これを用いた。低密度及びアモルファスポリマーは高密度及びより結晶化度の高いポリマーよりも濃く染色されている。従って、濃く染色された化合物は、TEM増幅コントラストイメージにおいて濃く現れ、あまり染色されていない物質は明るく現れる。TEM解析法は以下を含む:
● 解析の面(plane)の位置方向を設定する。通常MD−ND(機械方向/通常方向)planeが機械方向に方向付けられたサンプルに対して好ましい。
● 低温ミクロトームを用いてバルクポリマーサンプルにおける変形のない面を生成する。
● ルテニウムテトロオシキドの気相を用いて8時間染色を行う。
● 非常に薄い(約100nm)の切片をウルトラミクロトームを用いて染色された面から切断し、収集する。切断はダイヤモンドナイフを用いて行う。切片はTEMグリッド上に浮かせておく。
● 適切な促進電圧(通常、160乃至200kv)切片を試験のためにTEMに装填する。
● 切片を検査して必要とされるサンプリングのレベルを決定する。
● 市販の好適なソフトウェアを用いてデジタルイメージを得る。
エチレン/プロピレンコポリマーのチレン含量はFTIRを用いて、以下の基準に従って決定した。約150℃の温度で圧縮されたポリマーの薄い均一なフィルムを、Perkin Elmer Spectrum 2000赤外線分光光度計上にマウントした。600cm−1乃至4000cm−1のサンプルのフルスペクトルを記録し、該スペクトルにおける〜1165cm−1におけるプロピレンのバンドの下のエリア、及び〜732cm−1のエチレンのバンドのエリアを計算した。メチレンロッキングバンドに対するベースラインインテグレーションレンジ(integration range)は、通常695cm−1から、745cm−1及び775cm−1の間の最小値である。ポリプロピレンバンドについては、ベースライン及びインテグレーションレンジ及びは通常1195乃至1126cm−1である。エチレン含量(wt%)は以下の式に従い計算した。
エチレン含量(wt%)=72.698−86.495X+13.693X
式中、X=AR/(AR+1)及びARは〜732cm−1におけるピークのエリアに対する〜1165cm−1におけるピークのエリアの比である。
溶媒抽出を用いて、反応器内ポリマーブレンドの異なるポリマー種を単離した。2段階の連続的な溶媒抽出を行った。ポリマーブレンドがオイルを含まない場合には、そのうちの1はシクロヘキサンを溶媒とする抽出であり、他方はキシレンソックスレー抽出である。シクロヘキサン溶媒抽出において、約30gのポリマーを60mlのシクロヘキサン中に置き、ポリマーブレンドの未硬化の及びわずかに分岐したエラストマー化合物を単離する。この混合物を連続的に室温において48時間撹拌した。吸引しながらフィルター処理を行い、可溶分画(シクロヘキサン可溶分画という)を不溶物質(シクロヘキサン不溶分画という)から単離した。不溶物質をその後、キシレンソックスレー抽出にかけた。この工程において、室温のシクロヘキサン抽出物からの不溶物質をキシレンを用いて24時間抽出した。このキシレン不溶部分(キシレン不溶分画という)をフィルター処理により回収した。この抽出された分画は少なくとも部分的に架橋された第二ポリマーを含む抽出物である。残りの部分を室温まで冷却し、ガラス容器内に24時間放置して沈殿を行った。沈殿成分(キシレン沈殿分画という)をフィルター処理により回収し、キシレン溶媒を蒸発させ、可溶成分(キシレン可溶という)を回収した。キシレン沈殿分画は、熱可塑性結晶性成分残渣である。パラフィンオイル可塑剤等が含まれているブレンドの場合、シクロヘキサン抽出及びキシレンソックスレー抽出の前に、アセトン及びシクロヘキサンを2:1の容量比で含む共沸混合物を用いて、他のソックスレー抽出を行って、ブレンドからオイルを単離する。可溶分画を共沸物質可溶分画とした。
ポリマーブレンドの物理的性質を測定するために、サンプルを〜45mlのミキシングヘッドを有するブラベンダー溶融ミキサー中で混合した。このポリマーをブラベンダー内で混合している間に抗酸化剤を用いてポリマーを安定化させた。このブラベンダーは100rpm及び180℃の温度で操作した。この温度での混合時間は5乃至10分であり、この後にサンプルをチャンバーから出した。均一化されたサンプルをCarver hydraulic press上でフィルムに成形し、解析に供した。約7gの均一化サンプルをテフロン(商標)コートされたアルミニウム箔を用いて、真ちゅう板ラインの間で成形した。4インチ×4インチ(10.2cm×10.2cm)の面積で0.033inch(0.08cm)厚の層をサンプルの厚みを制御するために用いた。最小圧力下で、170℃、又は180℃で1分間予備加熱した後、水圧を10,000乃至15,000lbsまで上げ、この圧力を3分間維持した。続いてサンプル及び成形プレートを10,000乃至15,000lbsの圧力下で、圧縮器の水冷プレート間で3分間冷却した。物理的性質の試験を行う前に、プラークを最短で24時間室温において平衡化した。
β弛緩、損失モジュラス(E’’)、及び貯蔵モジュラス(E’)は、動的機械熱解析(DMTA)により測定した。装置はTA Instruments、Nwe Castle、DEのRSA II、Rheometrics Solid Analyszer IIであった。サンプル条件は、0.1%strain、1Hz頻度、及び2分/分の加熱速度、温度範囲は、−135℃乃至サンプルの融点までであった。サンプルを約200℃で成形した。通常のサンプル寸法は、23mm長×6.4mm幅×0.25mm乃至0.7mm厚(サンプルに依存する)であった。TanσはE’’/E’の比である。DMTA試験は、貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E’’)の結果を提供する。貯蔵弾性率は、弾性反応又は貯蔵エネルギーに対する物質の性能を測定するものである。損失弾性率は、粘性反応又は分散エネルギーに対する物質性能を測定するものである。E’’/E’の比(=Tanσ)は物質の制動エネルギーを測定するものである。エネルギー分散メカニズム(即ち、弛緩モード)はtanσにおけるピークとして示され、温度の関数として低下するE’に関係している。E’の報告値についての正確さは、成形工程由来の変動に依存しており、±10%の範囲である。
ショア硬度はISO868に従って測定した。
最大引張強度、最大伸び、及び100%モジュラス等の応力−歪性質はISO37に従った、Instron試験機器を用いて、23℃において2mm厚の圧縮試験片を測定して得た。
圧縮歪試験は、ISO815Aに従って行った。
引張歪はISO2285に従って測定した。
オイル膨張(オイル増量)は、ASTM D 471に従って、圧縮成形片から型抜きしたサンプルをIRM No.3流体中に、125℃で、24時間浸した後に測定した。
LCR(ラボラトリーキャピラリーレオメーター)粘度は、30:1L/D(長さ/直径)比、1200 1/s、及び204℃の温度で測定されるDyniscoキャピラリー粘度計を用いて、ASTM D 3835−02に従い、ラボラトリーキャピラリーレオメーターを用いて測定した。このラボラトリーキャピラリーレオメーターの入り口角度は180°であり、バレル直径は9.55mmであった。振とう浸漬時間は6分であった。
実施例1A乃至1D
溶液方法である第一工程でプロピレンを重合してホモポリマーを製造し、第二工程で、第一工程で製造されたホモポリマーの存在下で、プロピレンとエチレンとジエン架橋剤を共重合する2段階重合反応により4つのポリマーブレンドを製造した。この重合は撹拌器、温度制御のための外付けの水/流れジャケット、乾燥窒素、触媒、エチレン、及びプロピレンの供給器、並びに、他の溶媒、触媒及びスカベンジャー溶液を導入するためのセプタム(septum)注入口を有する2リットルのオートクレーブ反応器内において行った。最初にこの反応器を熱いトルエンで洗浄し、その後乾燥させ、使用前に完全に脱気を行った。全ての溶媒及びモノマーを反応器内に入れる前に、600℃で活性化した1リットルの塩基アルミニウムカラムに通し、続いて600℃で活性化したモレキュラーシーブカラム、又はSelexsorbCDカラムを用いて精製した。
重合の第一工程において、H及びプロピレンのスカベンジャー溶液を初めに反応器に添加した。全ての作業は室温で行った。混合物を撹拌し、重合に好適な温度に加熱した。その後、担持触媒と追加的のプロピレン一緒に反応器へ注入した。反応の間の圧力をモニターしながら、所望の量のポリプロピレンが製造されたときに重合の第一工程を終了した。第一重合工程において用いた触媒を部分的に失活させるために約100mlの溶媒を有する反応器に、約12mlの空気を注入した。反応培地を適宜撹拌しながら8乃至15分間維持し、第二時工程の前に好ましい触媒−空気含量にした。第一工程と同じ触媒を第二工程に用いた。追加の触媒を添加した。第二重合工程に用いる追加の溶媒を反応器に添加した。反応媒体を所望の温度になるまで加熱した。エチレンを用いて約400psigまで反応器を加圧した。その後、連続的に、ジエン、及び追加のスカベンジャー(TNOA又はTEAL)を反応器に添加した。追加のエチレンを反応器に供給し、必要に応じて、エチレンを供給して第二重合反応の間、相対的に反応器内の圧力を一定に維持した。第一工程で製造されたポリプロピレンの顆粒は第二重合工程の間、重合培地内に膨張した懸濁液の状態で存在すると考えられる。所望の量のゴムが製造されたときに第二重合反応を終了させた。その後、該反応器を冷却し、未反応モノマー及び溶媒(希釈剤)を大気中に放出した。溶媒の大部分、ポリマー、及び未反応モノマーを含む得られた混合物を収集容器内に収集し、初めにフード内で風乾して大部分の溶媒を除去し、その後、約90℃の温度のバキュームオーブンで約12時間乾燥させた。
1,9−デカジエンを第二重合工程においてジエン架橋剤として用いた。この1,9−デカジエンはSigma−Aldrichから入手したものであり、窒素雰囲気下で高温で活性化されたカラムを通し、その後窒素雰囲気下で高温で活性化したモレキュラーシーブに通すことにより精製した。
トリメチルアルミニウム(TEAL)(ヘキサン中1mol.%)及びトリ−n−オクチルアルミニウム(TNOA)(ヘキサン中25wt%)をSigma−Aldrichから入手した。
米国特許No.6,143,686に記載の、フッ化(F)シリカ担体上に担持されたメタロセンと、非配位アニオン(NCA)活性剤を含む担持触媒システム(触媒C)を用いた。この触媒システムは、米国特許No.6,143,686に記載のように、トルエン中のトリスペルフルオロフェニルボロン(Albemarle Corporation、Baton Rouge、LA)とN,N−ジメチルアニリンを結合させて、その後にフッ化シリカと一緒に撹拌する。rac−ジメチルシラニル−ビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルをその後添加する。
前記フッ化シリカは国際特許公報No.WO00/12565に記載されている。通常、N細孔容量が1.63cc/gmで、表面面積が312m/gmであり、W.R.Grace Co.,Connの子会社であるグレースディビジョン(Grace Davision)により、Sylopol(商標)952(「952シリカゲル」)として供給されてるSiOを、Aldrich Chemical Company, Milwaukee WIより供給されている、アンモニウムヘキサフルオロシリケート0.5乃至3gmのと乾燥混合して、フッ化シリカを調製する。添加されたアンモニウムヘキサフルオロシリケートの量は、シリカゲル1gm当たり1.05ミリモルFに相当する。この混合物を加熱炉に移し、Nを流して、シリカ床を流動させる。該加熱炉は以下のスケジュールで加熱した:
5時間かけて、温度を125度から150℃に上げる;
150℃を4時間維持する;
2時間かけて温度を150℃から500℃に上げる;
500℃を5時間維持する;
加熱を止めN下で、冷却する;
冷却したら、フッ化シリカをN下で貯蔵する
この触媒システムは反応器に添加しやすいようにオイルスラリー中に懸濁する。Drakeol(商標)ミネラルオイル(Penreco,Dickinson、TX)を懸濁に用いた。
この重合反応は、2リットルの反応器内で行った。試験条件の詳細及び得られたポリマーブレンドの性質を以下の表1Aに示す。
Figure 2008544065
架橋度は以下の式により計算した。
式3
Figure 2008544065
架橋度は第二ポリマー中でキシレン不溶分画のパーセントで表示される。
上の表に示したTg値は反応器で製造されたブレンドの実施例におけるエラストマー成分についてのものである。この値は、エラストマー成分のアモルファス性質を示している。(主にキシレン沈殿分画中に存在している)プロピレン成分のTgは約0℃であり、この値は準結晶性プロピレンホモポリマーについての値である。
実施例1A乃至1Dにおいて製造されたポリマーブレンドをブラベンダーミキサー中で溶融混合し、プラーク(plaque)に圧縮成形し、熱可塑性エラストマー製品についての試験を行った。上で説明した手順により得られたデータを表1Bに示す。
Figure 2008544065
実施例2A及び2B
これらの実施例は、担持触媒を用いてスラリー法でポリプロピレンを製造する第一工程と同じ触媒を第二工程に用いて、エチレン/プロピレン/ジエンゴムを製造する、2工程重合反応を説明する。用いた担持触媒は実施例1A及び1Bに用いたものと同じであり、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートで活性化した、[ジ(p−トリエチルシリルフェニル)メチレン](シクロペンタジエニル)(3,8−ジ−t−ブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル触媒(触媒B)を、トルエン中1:1のモル比で希釈したものを第二工程に用いた。ポリプロピレンの分子量は反応温度及び水素の添加により制御した。2リットルのオートクレーブ反応器を重合に用いた。TEAL、H、プロピレンを順々に室温で反応器に添加した。この混合物を所望の温度にまで過熱し、担持触媒を添加して第一工程でポリプロピレンを製造した。第二工程は、反応器に第二触媒溶液を添加して第一工程の重合を続ける工程である。第一工程の終わりに、溶媒、エチレン、及び触媒Bを反応器に添加し、続いてジエンを注入する。前述の手順及び反応条件及びポリマー性質を表2Aに示す。第一工程で製造されたポリプロピレン顆粒を実施例2Bの第二重合工程の間、重合媒体に懸濁されていた。実施例2A及び2Cにおいて、前記第一工程で製造されたポリプロピレン顆粒は第二重合工程の間重合培地に溶解されていた。第二工程は溶液/懸濁液状態で行った。
Figure 2008544065
実施例2A及び2Cにおいて反応器内で製造されたポリマーブレンドについて溶媒抽出を行った。各分画の量を表2Aに示す。更に、実施例2A、2B、及び2Cで製造されたポリマーブレンドをブラベンダーミキサーで溶融混合し、プラーク(plaque)に圧縮成形し、熱可塑性エラストマー製品のための試験を行った。上で説明した方法を用いて得た性能データを表2Bに示す。
Figure 2008544065
実施例2A、2B、及び2Cで製造されたポリマーブレンドの形態を上で説明するAFMを用いて検察し、結果を表1A、1B、及び1Cにまとめた。分散相のゴムがポリプロピレン基質中に分散していることが確認された。分散相の内側にポリプロピレンが包含されている形態も見られた。
実施例3A及び3B
第一重合工程の終わりに(反応器に空気を入れることにより)触媒の失活を行わない以外は、実施例2A及び2Bと同じ方法で、2リットルの反応器内で2つのサンプルを製造した。第一工程で製造されたポリプロピレンの顆粒は第二重合工程の間、重合媒体内に膨張した懸濁液の状態で存在すると考えられる。実施例の条件及び得られたポリマーブレンドの性質を表3Aに示す。
Figure 2008544065
実施例3A及び3Bで製造されたポリマーブレンドをブラベンダーミキサーで溶融混合し、プラーク(plaque)に圧縮成形し、熱可塑性エラストマー製品についての試験を行った。実施例3A及び3Bで製造されたポリマーブレンドは動的加硫も行った。動的加硫は表3B及び3Cに記載のての成分を用いて、ブラベンダーミキサー内で従来技術を用いて行った。水素化シリコン、DC25804(1.97%)をDow Corningから入手した。水素化シリコンは水素化シリコン基を有するポリシロキサンである。SP1045はSchenectady Internaional(Schenectady, Nwe York)から入手したフェノール樹脂である。プラチナ触媒混合物(PC085)(2.63%)をUnited Chemical Technilogies Inc.より入手した。この触媒混合物は0.0055重量部のプラチナ触媒及び2.49重量部のミネラルオイルを含む。酸化亜鉛はZinc Corporation Americaより入手した。Sunpar 150MはSunoco,Inc.,Philadelphia,PAから入手した。Sunpar 150Mは飽和環及び長いパラフィン側鎖を主に含む。無水塩化第一スズは、Mason Crop.,U.S. Route 14, Schereville,INより入手した。PPはEquistar F800Fの商標で、Equistarから入手した。前述の方法を用いて入手した性能データを表3B及び3Cに示す。圧縮歪み及び重量増加のような、エラストマー性質が高くなっていることが動的硬化されたポリマーブレンドの改良点を示している。
Figure 2008544065
Figure 2008544065
実施例3A及び3Bで製造された2つのポリマーブレンドについて溶媒抽出を行った。核分画の量を表3Aに示す。実施例3Aのポリマーブレンドからの分画成分の物理的性質のいくつかを表3Dに示す。
Figure 2008544065
製剤2、7、及び9についても溶媒抽出を行い、各分画の量を表3Eに示した。
Figure 2008544065
硬化度を以下の式で定義する。
式4
Figure 2008544065
架橋度及び硬化度はオイルを含まない反応器内生成ポリマーブレンドについては同じ値を示す。
実施例3Aにおいて製造されたブレンド及びその動的後重合硬化ポリマーブレンド組成物のカウンターパート(counter part)(表3Bの製剤4)の形態をAFMを用いて上で説明したように測定し、結果を図2A及び2Bに記載した。ポリプロピレン基質中に分散している不連続な粒子相であるゴムが観察できる。分散相の内側にポリプロピレンが包含されている形態も見られた。
従来文献及び試験方法を含む本明細書において言及されている全ての文献を、本明細書記載の条件に矛盾しない範囲で、参照により本明細書に援用する。本発明の好適な態様であると考えられるものについて説明をしているが、当業者は本発明の精神から逸脱せずに、他の及び更なる態様を実施することができるであろうし、そのような変更は本明細書に添付の特許請求の範囲に含まれる。
図1Aは、実施例2Aにおいて製造されたポリマーブレンドの原子間力顕微鏡写真(AFM)(イメージサイズ=20×20μm)である。 図1Bは、実施例2Bにおいて製造されたポリマーブレンドの原子間力顕微鏡写真(AFM)(イメージサイズ=20×20μm)である。 図1Cは、実施例2Cにおいて製造されたポリマーブレンドの原子間力顕微鏡写真(AFM)(イメージサイズ=20×20μm)である。 図2Aは、実施例3Aにおいて製造されたポリマーブレンドの原子間力顕微鏡写真(AFM)である。 図2Bは、製剤4において重合後に硬化された組成物の原子間力顕微鏡写真(AFM)である。

Claims (15)

  1. 少なくとも30%の結晶化度を有する熱可塑性第一ポリマーを含む第一相、及び20%未満の結晶化度を有し、少なくとも部分的に架橋されている第二ポリマーを含む第二相を含む異種ポリマーブレンドの製造方法であって、
    (a)担持触媒が存在する第一反応ゾーンにおいて少なくとも1つの第一モノマーを重合して前記熱可塑性第一ポリマーを製造する工程と、
    (b)少なくとも1つの前記第一ポリマーを少なくとも1つの第二モノマー及び少なくとも1つのポリエンとに、第二重合ゾーンにおいて接触させて、前記第二モノマーを重合して製造し、且つ前記第二相がキシレンに不溶である少なくとも1つの分画を有するように架橋させる工程と、
    を含む方法。
  2. 前記重合工程(a)がスラリー重合工程であることを特徴とする、請求項1の方法。
  3. 前記接触する工程(b)が溶液、懸濁液、又はスラリー重合工であることを特徴とする、請求項1又は2の方法。
  4. 前記熱可塑性第一ポリマーがC乃至C20オレフィンのホモポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記熱可塑性第一ポリマーが15wt%未満の少なくとも1つのコモノマー含むC乃至C20のオレフィンのコポリマーであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
  6. 前記熱可塑性第一ポリマーがプロピレンのポリマーを含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの第二モノマーが少なくとも1つのC乃至C20オレフィンを含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの第二モノマーが更にエチレンを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの第二モノマーがプロピレン及びエチレンを含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つのプロピレンが少なくとも2つの重合可能な不飽和基を有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記キシレンに不溶な分画が少なくとも4%の第二ポリマーを含むことを特徴とする。請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記第一ポリマーが前記ポリマーブレンドの連続相を含み、及び前記第二ポリマーが前記連続相中に分散している粒子の形態であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記第二ポリマーの粒子の平均粒子サイズが約50ナノメートル及び約3ミクロンの間であることを特徴とする、請求項12の方法。
  14. 前記重合工程(a)において用いる触媒が支持体、少なくとも1つの触媒成分、及び少なくとも1つの活性剤を含むことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記接触工程(b)が前記重合工程(a)で用いている担持触媒の存在下において行われることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
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