JP2008543922A - 生体吸収性ヒドロゲル - Google Patents

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Abstract

本発明は、塩基媒体ゲルの形態で結合されたアルブミンの血漿タンパク質からなり、親水性を有し、水中で膨張し、水媒体中における溶解が緩慢である物理的架橋ヒドロゲル、並びに生体吸収性分離膜としてのその使用及びその調製方法に関する。

Description

本発明は、水媒体中で溶解する親水性ゲル、このヒドロゲルを調製するための方法、並びに特に外科において、とりわけ外科手術後の癒着の形成を最小限に抑える及び/又は防止する目的で使用可能な生体吸収性分離膜に関する。
心臓手術、腹部手術、又は骨盤手術時には術後癒着の形成は極めて頻繁である。これらの癒着は、その範囲及びその重篤度に応じて閉塞的病変を発生することがある。腹部手術の場合、癒着の形成により例えば器官の可動性を妨げ、患者に対し慢性的疼痛をきたすことがある。女性における小腸閉塞の49%から74%、不妊症の10%から15%、慢性骨盤疼痛の20%から50%は癒着を原因とするものである。更に、再手術の場合、癒着が存在すると外科手術の複雑さ及び所要時間並びに術後合併症が著しく増加することがある。心臓手術、肺手術、胸部手術の場合にも同じ結論が適用される。癒着の存在は、手術のリスク(死亡率及び罹患率)に対しても、また手術費用に対しても影響を与えるファクターである。
癒着の形成は健康な組織の自然治癒の過程の間に発現し、外科手術の対象となった器官間、或いは腹膜又は心膜のような分離膜と下部器官との間の繊維状付着で構成される。例えば外科手術中に腹膜が損傷すると、腹膜の表面にフィブリンが蓄積する。これらのフィブリン帯は接着剤として作用し、器官と膜との間に癒着を生じさせる。最適な条件においては、部位の治癒にともない、中皮損傷部位に存在するフィブリンはプラスミンにより破壊される。プラスミンは、血液プラスミノゲンに対する組織プラスミノゲン活性化因子(中皮細胞)の作用により生じるものである。この病理には繊維素溶解及び凝固カスケードが貢献している。コラーゲン沈着と並行して、繊維芽細胞の集合及びその増殖並びに炎症細胞の存在も見られる。場合によっては、癒着の形成に内皮細胞の監視下、血管新生機構が関与しているかもしれない。
自然治癒機構にはあまり干渉しないで癒着の形成を制限する目的で現在提案されている革新的な戦略のうちの1つは、天然又は人工ポリマー製で、化学的に架橋された又はされていない乾燥又は非乾燥シートを損傷膜と下部器官との間に挿入するというものである。組織に接触する乾燥シートは水分が抜け、低速溶解機構又は加水分解による侵食を受ける。このプロセスにより、シートはその移植後数週間で完全に吸収される。手術後すぐに始まる癒着の形成はおよそ7日後には終息する。従って、第一週の間に、例えば心膜と心外膜の間、或いは腹膜と胃腸系器官との間、更には肋膜と肺との間に物理的バリアが設置されると、そこにおける癒着部位数は最小限に抑えられる。バリアの消失時においては、部位の端部の1つのみによって結合された癒着が見られた。このバリア、即ち分離膜は、生分解性、可塑性、生体適合性を有する一方で研磨性を有してはならず、また容易に合成できるものでなければならない。
ヒドロゲルという用語は定義上、自身の重量の数倍の水分を保持する特性を有する天然又は人工ポリマー材料のことを言い、そのためこの材料は水分に関して生体組織との類似性がある。従ってヒドロゲルは例えば分離膜のようなバリアの役割を果たすことができると思われる。
水和高分子フィルムの大部分は二官能性物質が存在する中で天然又は合成親水性ポリマーを化学的に架橋すること、或いはモノマーを重合化することにより得られ、それによりフィルムに高い構造的安定性が付与され、その結果、生分解性が低くなる。そのようなフィルムは皮膚用包帯としてまた監視下での薬剤の放出用として、外用において有用である。生体内ではフィルムの分解速度が極めて遅いため、フィルムの使用及び利用は限られている。従って医薬品の分野においては、癒着を減少させ、更にはinsituで監視下での薬剤の放出ができるよう、外科手術の際に生体内で使用することができる生分解性水和ヒドロゲルフィルムが求められている。監視下での薬剤の放出を目的とし、溶解により分解する乾燥高分子フィルムはいくつもの種類が存在する。これらの乾燥フィルムは人体のいくつかの部分には移植することができないが、それはこれらのフィルムが固体であるため柔軟性がなく摩耗作用を有し、元々柔軟性を有し摩耗作用をもたない水和ヒドロゲルとは反対に、機械的応力のない移植場所を必要とするからである。生分解性水和ヒドロゲルフィルムは人体のあらゆる部位に移植することができ、関節、心臓、腹膜腔など機械的応力を受ける部位にも移植することができる。ヒドロゲルが分解した後は、移植部位にはヒドロゲルの痕跡は一切残らないため、ポリマーの生蓄積に関するあらゆるリスクが排除される。
水和高分子フィルムの大部分はニ官能性物質が存在する中で天然又は合成親水性ポリマーを化学的に架橋すること、或いはモノマーを重合化することにより得られ、それによりフィルムに高い構造的安定性が付与され、その結果、生分解性が低くなる。従って生体内での使用の場合、ヒドロゲルフィルムは充分に短時間で、即ちインプラントに対する宿主の細胞炎症反応の結果として生じる線維性被膜の形成に必要な時間よりも短い時間で分解しなければならない。ここでの分解時間は20日間から数週間である。
骨盤内手術の際、モデルウサギにおいて、放射線を照射した人間の羊膜(非特許文献1)が使用され、一定の成功を見た。しかしながら、倫理上及び供給の問題のため、その開発は制限された。モデルネズミにおいて2つのヒドロゲル、即ちinsitu光重合されポリ(エチレングリコール)−コ−ジアクリル乳酸からなる第一ヒドロゲルと、物理的に架橋されポリ(エチレングリコール)−コ−ポリ(プロピレングリコール)及びPoloxamer407からなる第二ヒドロゲルとが評価された(非特許文献2)。これに対しそれぞれ75%、38%の癒着の減少が見られ、生分解時間は第一ヒドロゲルの場合が4日間、第二ヒドロゲルの場合が2日間であった。最近、ポリ(エチレングリコール)を含む2つの液体を粉状化してブタの骨盤内手術部位に吹き付けたところ、癒着の数及び強度を60%というように顕著に減少させることができた。ヒドロゲルのコーティングは5日間で吸収された(非特許文献3).
架橋ヒアルロン酸ヒドロゲルによりウサギにおける癒着及び再癒着が顕著減少したが、ポリマーの分解性については論じられなかった(非特許文献4)。臨床研究においては、ヒアルロン酸及びカルボキシメチルセルロースのシートにより、腹部手術後、癒着の発生率を51%減少させ、これらの癒着の重度を87%減少させることができた(非特許文献5)。
心臓手術に関しては、心外膜−心膜癒着の形成を制限するための第一膜は、ポリ(エチレンテレフタレート)で補強されたポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)で作製された(非特許文献6)。かなり硬いこれらのヒドロゲル膜は生分解性がなく、イヌに移植した後9ヶ月で石灰化した。ポリ(ヒドロキシブチレート)膜はヒツジでは良好な結果をもたらしたが、30ヶ月後はマクロファージによる吸収が極めて遅かった(非特許文献7)。ポリ(エチレングリコール)及びポリ(乳)酸を基材とする吸収性膜を使用したイヌにおける同様の実験では癒着が減少することが判ったが、これらの膜の生分解は極めて速く、数日後には吸収が完全であった(非特許文献8)。ヒトの心臓手術時の癒着の数を減少させるためにエラスチンコラーゲン吸収膜(非特許文献9)が使われ成功をみた。更に最近では、ウサギにおいて同じ目的にN−Oカルボキシメチル−キトサンシートが使用され、癒着数を極めて著しく減少させることができたが、これらのシートの生分解については論じられていない(非特許文献10)。
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本発明の目的は、既知のポリマーフィルムの欠点を解消することを目的とし、すぐれた生体適合性、良好な生体内分解性、取り扱いを容易にする特性を有し、かつ研磨効果を有さない、生分解性分離膜を形成するための新しいタイプのヒドロゲルを提供することを目的とする。
従って、上述した目的を達成することを意図する本発明の第1の対象は、塩基媒体ゲルの形態で結合されたアルブミンの血漿タンパク質からなり、親水性を有し、水中で膨張し、水媒体中における溶解が緩慢である、物理的架橋ヒドロゲルである。
本発明の第2の対象は、上記ヒドロゲルのフィルムにより形成される生体吸収性分離膜である。
本発明の第3の対象は、タンパク質アルブミンの水溶液を塩基と混合し、次に、アルブミンの単分子が重合するまで混合物を静置することからなる上記ヒドロゲルの調製方法である。
最後に本発明は獣医外科又は人間外科における分離膜の使用、並びに治療効果がある物質の監視下投与への分離膜の使用も対象とする。
アルブミンの血液タンパク質は、動物由来(ウシ、ウサギ、ブタなど)又はヒト由来の血漿又は血清から分離することができる。
ヒト由来のアルブミンは、血液バンクから、或いは遺伝子工学によるか、更には自家的(autologous)に得ることができる。自家的に得る場合、膜は自家的に組成されるため、インプラントに対する患者の受容度は明らかに高くなるだろう。
本発明によるヒドロゲルの調製方法に関しては、アルブミンの水溶液が(対体積重量)で10%から20%の間に含まれること、塩基がNaOH 5Nであること、NaOHとアルブミンの溶液との間の比が(対体積重量)で0.5%から2.0%の間に含まれること、並びに重合化時間が1時間から8時間の間に含まれることを特徴とするのが好ましい。同様に、本発明による方法の全段階は無菌状態で実施されるのが好ましい。
本発明による生分解性分離膜に関しては、胸部、骨盤内、腹部、心臓、或いはその他の部位の手術の際、癒着の形成を減少させるために、この膜は外科医又は獣医が使用するのが有利である。
生分解性分離膜を形成するヒドロゲルは治療効果がある物質、或いは、生理学的的に許容される形態を有し、経口、経直腸、経膣投与、又は外科的インプラントの形態の投与に適した薬品の監視下放出システムを含むこともできる。
最後に、膜の生体適合性及び分解性を変えるために、様々な分子量のモノエトキシポリ(エチレン−グリコール)鎖の共有結合的付加、或いはポリ(エチレン−グリコール)の溶液中での培養により、分離膜の表面を変性させることもできる。
前述のことがらを勘案すると、本発明による新規ヒドロゲルは、寸法が調節可能な薄膜化が可能であること、高い含水率、容易な取り扱いを可能にする機械特性、半透明であるため位置決めが容易であること、生理学的条件下でのinsituにおける生分解特性など、極めて興味深い生物医学的特徴を有する。
次に、以下の実施例により本発明を詳細に説明する。
実施例1:吸収性血清アルブミンヒドロゲルの合成
非限定的実施例としてウサギ又はウシの血清アルブミンのような商用血清アルブミンが、(重量/体積比で)10%から20%の間で変化する濃度で蒸留水中に溶解され、1.5%から0.6%の間に位置する基の最終比率を得るために例えば(重量/体積比で)5.0NのNaOHの水溶液が加えられ、このアルブミンは、およそ1時間から8時間になることがある室温での待機期間後にゲル化する。このようにしてアルブミンがゲル化することにより、水和され、展性を有し、半透明であって、水分率が97%まで達するヒドロゲルとなるゲルができる(表1を参照のこと)。基材及びアルブミンの量を変化させることにより得られたヒドロゲルの性状は粘弾性が極めて高い状態からガラス質まで変化するが、柔軟性及び水分は保持する。ヒドロゲルのpHは、所望の生理溶液中で1時間培養するだけで生理学的pH又は他のpHに調節することができる。この培養及び平衡期間中に緩衝生理食塩溶液を2回交換する。所望の寸法及び厚さのヒドロゲルを得るために、所望の厚さ(0.75mmから2.0mm)のスペーサーバーにより分離され、アセンブリ時に所望の防水性を確保する2つの清澄なガラス板の間に、必要な量の基礎液を新たに加えたアルブミン溶液を流し込むことができる。この目的には、電気泳動用ポリアクリルアミドゲルの調製に用いられるこの種のアセンブリが役立ち得る。
Figure 2008543922
1 ウシ血清アルブミンの初期溶液(100mg/mlの水(対体積重量比10%)など、1mlがヒドロゲルの合成に使われた。)
2 アルブミン溶液中のNaOHの最終対体積重量%。( )内に1mlのアルブミン溶液に加えられたNaOHの5N水溶液の体積を単位マイクロリットルで示す。
3 手を使って評価したヒドロゲルの硬度:± ゲルに粘性があり取り扱いが困難。+ ゲルは粘弾性が極めて高い、++ 若干ガラス質、+++ ガラス質、++++ 極めてガラス質であり、取り扱いが容易であり、指で押えると破損する。
4 防腐剤として0.02%のアジ化ナトリウムを含む蒸留水中で1時間洗浄処理した後のヒドロゲルの重量
5 EWC、平衡状態のハイドロゲルの水分%=((湿潤重量−理論乾燥重量)/湿潤重量)×100。理論乾燥重量はヒドロゲルの合成に使用されるアルブミン及びNaOHの量に相当する。
実施例2:ヒト又は動物の自家性(autologous)ヒドロゲル
上で説明したプロトコルに従い、動物アルブミンを、外科的にヒドロゲンを受け取るようになっている患者又は動物の血から分離したヒトアルブミンに置き換える。採取する血の量は、合成するヒドロゲルの大きさ及び数によって増減するものとする。これを行うため、Hao法(Hao,Vox.Sang.36:313−320,1979)により採取したばかりのある体積の血からアルブミンを分離するが、この方法は単に実施例として示したものである。全ての段階を−5℃から0℃の間の温度で実施する。要するにこの方法は、2つの体積の0.15MNaClの水溶液により、ある体積の血漿を希釈するものであり、ある量のpH4.0の酢酸ナトリウム0.8Mの溶液を加えることによりpHが5.6に調節される。混合物が冷却されたら、(体積比)95%のエタノールの水溶液を、最終的に(体積比)42%の濃度のエタノールが得られるまで攪拌しながらゆっくり加える。次に、1時間、攪拌を維持し、溶液を12000g/1時間で遠心分離する。次に酢酸塩緩衝液により上澄のpHを4.8に調節する。次に溶液を1時間攪拌し、3時間、攪拌せずに静置する。次に溶液を12000g/1時間で遠心分離する。次に沈殿物を回収するがここにアルブミンが含まれている。ある体積の水の中にはアルブミンが溶解しているので、ビシンコ酸試験(BCA,Pierce,USA)によりタンパク質の推定する。アルブミンは滅菌水を使用して所望の最終濃度(対体積重量比で15%から20%)に希釈され、次に、アルブミンを殺菌するために0.01ミクロンの多孔率の膜でろ過する。
上で説明したようなヒドロゲルが得られる。また、得られたヒドロゲルが無菌になるように全ての操作が行われる。
実施例3:術後癒着を防止するためのウサギの心膜−心外膜位置へのヒドロゲルの移植
心臓手術により生じる癒着に対しヒドロゲルによりもたらされる保護を評価するとともに、ヒドロゲルの生体内吸収速度を評価するために、これらのヒドロゲルをウサギの心臓腔内に移植する。
これを行うため、0.9%NaClの溶液1mlあたり150mgのウサギアルブミン(Sigma,USA)を混合し、50mlのNaOH 5.0Nとヒドロゲル着色用として1%メチレンブルーを1滴加えることにより、25×20×1mmのサイズのヒドロゲルを用意する。また、外科医がヒドロゲルを心膜の内部に良好に固定できるよう、Ethicon910縫合糸(J&J,USA)を予めガラスプレートの間に付加した。合成後、ヒドロゲルを数回にわたり洗浄し、0.9%NaCl中に保存する。全ての溶液を0.2ミクロンMilliporeフィルターでろ過され、全ての操作は無菌状態で実施される。
ウサギに0.5mgのアトロピン、0.5mg/kgのミダゾラム、及び6mg/kgのアザペロンを麻酔前投薬した後、イソフルラン(1.5%)で麻酔をかける。当該動物は、右頚静脈からの0.2mg/kgのパンクロニウムによる筋肉弛緩の後、挿管され機械的に送風される。手術の開始時、10mg/kgのフェンタニルが投与され、30分毎に0.05mg反復投与される。ウサギは背面位で置かれる。胸部の毛を刈り消毒した後、開いている心膜に到達するために胸骨正中切開術及び様々な面の切開が行われる。(ウサギをチェックした状態で)Vicryl/0連続方法により心膜は直ちに閉じられるか、ウサギアルブミンヒドロゲルを移植し、心膜の内壁に固定し閉じる。止血並びに胸骨、皮下組織及び皮膚の閉鎖を行う。瘢痕が消毒され、動物が覚醒される。
動物は1−2−3−4−5−7−8週目に死亡させ、組織分析のためにヒドロゲル/心膜部分を採取する。組織の評価としては、10%中性フォルムアルデヒド溶液内に予め固定した組織を切断し、次にヘマトキシリン−エオシンで染色する。顕微鏡的評価に従い、線維症がない0から肉芽種細胞、細胞増殖が存在する4までの基準で線維症及び炎症の程度を評価する。
この一連の実験から、8週間後にはヒドロゲルは完全に吸収されたこと、移植部位には炎症活動がみられないこと、及び顕著ではない残留癒着がところどころで観察されたに過ぎないことが明らかになった。
従って、ウサギで実施した生体内研究の中間結果により、生体適合性、生分解性、術後線維症の発現を制限する特性が確認された。実際、ゲルの移植に対する拒否反応は見られず(生体適合性)、材料は3ないし4週間で溶解し(生分解性)、現在までのところ、最も重要な特徴である術後線維症を制限又は阻止する保護現象が維持されている。
実施例4:監視下での薬剤の放出及び術後の癒着の防止のためのウサギにおけるヒドロゲルの皮下移植
前述の組成と同じ組成のヒドロゲルが12.5×10×1.5mmの最終寸法で合成された。ヒドロゲルは、0.9%NaCl生理学的媒質で洗浄された後、0.9%NaCl内の0.5%イブプロフェン溶液、分子量4.000Daのポリ(エチレングリコール)の2%溶液、或いは単純に0.9%NaCl溶液内で3時間培養された。その後、様々なヒドロゲルがウサギの背部位置において皮下移植された。
ウサギは1−2−3−4−5−7−8週目に死亡させられ、癒着、炎症、及び残留ヒドロゲルの存在を評価するために、移植部位において組織分析切開が行われた。その後、観察が行われ、例えば中間結果では、生体適合性、生分解性、及びヒドロゲルに含まれている主成分がある状態では術後線維症の度合が下がることが確認された。
実施例5:体外におけるヒドロゲルの溶解速度
アルブミン及び基材の量に関して種々の組成のヒドロゲルが調製され、生理学的緩衝液中で洗浄された。これらヒドロゲルは、完全な溶解に必要な時間を見積るため、即ち溶解による吸収に必要な時間を求めるために、37℃の生理学的緩衝液中にて個別に培養された。
8週目の時点で、ゲルが分解し、当初の稠度及び機械的強度を失ったこと観察され、その結果、8週間後は体外における生分解が有効であることが確認され、本発明の有用性が確認された。

Claims (10)

  1. 塩基媒体ゲルの形態で結合されたアルブミンの血漿タンパク質からなり、親水性を有し、水中で膨張し、水媒体中における溶解が緩慢である物理的架橋ヒドロゲル。
  2. アルブミンの血漿タンパク質が、動物又はヒト由来の血漿又は血清から隔離されることを特徴とする、請求項1記載のヒドロゲル。
  3. ヒト由来のアルブミンが血液バンクから提供され、自家性(autologous)であるか遺伝子工学により得られることを特徴とする、請求項2記載のヒドロゲル。
  4. 請求項1ないし3いずれか1項に記載のヒドロゲルのフィルムにより形成されることを特徴とする生体吸収性分離膜。
  5. 前記膜を構成するヒドロゲルに治療効果があることを特徴とする、請求項4記載の生体吸収性分離膜。
  6. 共有結合により固定されたモノメトキシ−ポリ(エチレン−グリコール)鎖を表面に有することを特徴とする、請求項4記載の生体吸収性分離膜。
  7. 獣医外科又は人間外科における請求項4記載の分離膜の使用。
  8. 治療効果がある物質の監視下投与への請求項5記載の分離膜の使用。
  9. タンパク質アルブミンの水溶液を塩基と混合し、次に、アルブミンの単分子が重合するまで混合物を静置することからなる、請求項1記載のヒドロゲルの調製方法。
  10. アルブミンの水溶液が(対体積重量)で10%から20%の間に含まれること、塩基がNaOH 5Nであること、NaOHとアルブミンの溶液との間の比が(対体積重量)で0.5%から2.0%の間に含まれること、並びに重合化時間が1時間から8時間の間に含まれることを特徴とする、請求項8記載の方法。
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