JP2008541746A - 新規プロセス - Google Patents

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Abstract

複合タンパク質を産生する動物細胞を培養するためのプロセスであって、ここで、1種の植物由来ペプトンまたは植物由来ペプトンの組み合わせが細胞培養に流加される上記プロセス、ならびに複合タンパク質を産生する動物細胞を培養するための流加培養プロセス中に過渡に流加されるアミノ酸の毒性効果を減少するための方法。

Description

本発明は複合タンパク質を生産する哺乳類細胞の培養のための流加培養プロセスに関する。
確立した哺乳類細胞株の培養は現在、例えば、糖タンパク質などの複合タンパク質を産生するために生物医薬業界おいて使用される。特に、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は単クローン性抗体の産生のために、より頻繁に使用され始めた。培養は流加形式、流加培養形式、または、灌流形式で行うことができる。マウス骨髄腫(NS0)や、子ハムスターの腎臓(BHK)、ヒト胎児腎臓細胞(HEK―293)あるいはヒト網膜由来細胞(PER.C6)などのその他の細胞株を代わりに用いることができる。これら全ての細胞株は浮遊培養内での生育が最適化されていて、撹拌槽型生物反応器を用いてのスケールアップが容易である[Butler M. Appl. Microbiol. Biotechnol., 68: 283−291 (2005)]。
流加培養プロセスは基礎培地(basal medium)に接種された細胞、および基礎培地とともに開始される培養である。培地はエネルギー源、アミノ酸、イオン源、ビタミン、有機化合物、成長因子、微量元素、無機塩、pH緩衝能力および適正な浸透圧を供給する。細胞接種後、1つまたはいくつかの要素の供給は、いずれの要素が供給されるのか、そしてどのような頻度や濃度で供給されるのかについてオペレータによって確立されたルールに従って始まる。Bibilaら[Bibila T A et al. Biotechnology Progress, 10: p. 87−96 (1994); Bibila T A, et al. Biotechnology Progress, Jan−Feb;11(1):1−13 (1995)]は、他の概念と組み合わせた本発明の実施例で使用された、流加培養プロセスの方法を記述した。
流加培養内での栄養素を供給する主な理由は、バッチ培養内よりも生存細胞数および生存率が高いことが頻繁に起こるからである。最高の生産性を実現するために、出来るだけ長期間、生存率を可能な限り高く保つことが目標である。しかしながら、乳酸やアンモニアなどの副産物の蓄積が、次第に生存細胞数および生存率の低下をもたらす。乳酸蓄積は培養物のpHを下げ、pHをコントロールするには、アルカリの添加が必要になり、培地内の浸透圧を増加させる要因となる。アンモニアは細胞に浸透し、細胞内pHを変化させる。従って、代謝副産物の蓄積を減少させることが重要である。[Gambhir A, et al. Journal of Bioscience and Bioengineering, 87(6): 805−810 (1999)]。しかしながら乳酸およびアンモニアに対する感受性は細胞株特異であり、細胞株間で大きく異なる[Lao M−S. et al. Biotechnol. Prog. 13: 688−691 (1997)]。
哺乳類細胞が成長するために、培地への必須アミノ酸補給が必要である。見込まれるアミノ酸過剰供給の毒性作用を回避するために、必須およびその他のアミノ酸の、バランスのとれた補給を得ることが重要である[Ducommun P, et al. Cytotechnology, 37: 65−73 (2001)]。
血清は、成長因子、栄養素ならびにホルモンなどの成長促進物質が含まれており、哺乳類細胞培養の培地では、補給物として幅広く使用されてきた。しかしながら、血清の使用には、いくつかの不都合がある。血清はバッチ間で寿命および組成の変化を示すので、バッチ間の再現性を達成することを可能にする大がかりな品質管理を要する。また、タンパク質の精製が難しく、たびたび高額な費用が伴う。しかし、動物由来血清使用の最も大きな不都合は、ウイルス、マイコプラズマ、またはプリオンの汚染の危険性であり、生物医薬製品への汚染危険の可能性もある[Freshney I R. Culture of Animal cells − A manual of basic technique, Wiley−Liss, 4th ed. (2000)]。
血清は培地内で多くの機能を有するので、血清中の全ての成長促進物質の代替物を見つけなくてはならない。例えば、鉄キャリアトランスフェリンは、無機塩類およびキレート剤に代えることができる。界面活性剤プルロニック(Pluronic) F68はせん断応力に対する細胞の保護において血清の代替になる[Burteau C C et al. In Vitro Cell Dev. Biol−Animal, 39:291−296 (2003)]。同様に、エタノールアミンや亜セレン酸塩は血清が含まれていない培地での細胞成長促進の重要な補助物質と考えられている[Hewlett G. Cytotechnology, 5: 3−14 (1991)]。
しかしながら血清内の全ての重要な物質を化学的に定義された代替物質にうまく置き換えるのは難しいことが示されている。成長の要件は細胞株間、そしてクローン間でさえ幅広く変化する[Butler M. Appl. Microbiol. Biotechnol., 68: 283−291 (2005)]。代謝分析は、重要な培地補助物質の発見に役立つことがある。成長中に、細胞によって発現した受容体のマイクロアレイ分析は、対応するリガンドの特定に使用され、そのリガンドは培地内で補充されうる[Butler M. Appl. Microbiol. Biotechnol. 68: 283−291 (2005)]。
ペプトンまたはタンパク質加水分解物は肉、酵母、ラクトアルブミン、大豆、綿実、米、小麦などの一定の起源のタンパク質の酵素消化、あるいは酸性消化のいずれかによって得られる、アミノ酸とアミノ酸ポリペプチドの混合物である。それらは大腸菌などの微生物の発酵を促進するために使用されてきた。しかしながら、微生物と動物細胞が大変異なった要求性を有することから、これらの成果は動物細胞培養には応用できなかった。例えば、微生物は動物細胞より単純な代謝を有しており、また動物細胞が合成できないアミノ酸合成能力も有している。したがって、動物細胞は成長するためのビタミン、ミネラル、塩、アミノ酸や成長因子などの様々な栄養素を含んだ、より複雑な培地が必要である。
動物細胞のためのペプトンの添加は数十年にわたり研究されてきた。肉由来のペプトンは動物細胞培養での初めて研究されたペプトンの一つである。細胞培養から血清の除去が肉由来ペプトンへの置き換えにより、容易になってきたので、同様の細胞培養および生産性の実績が期待される[US 6,087,126 to Horwitz A et al.; US 5,705,364 to Etcheverry T et al.; US 5,691,202 to Wan N C]。肉由来ペプトンは必要な単一アミノ酸に代わることができ、単一アミノ酸とは異なるメカニズムで、ペプチドが細胞により取り込まれ得ることがわかっている。単一アミノ酸添加の代替方法における、アミノ酸補給、特にグルタミン補給としてのペプトンの使用は、一連のタンパク質加水分解物(牛乳、肉、大豆、小麦、米またはトウモロコシタンパク質についてBlom W R et al.[US 5,741,705]において説明されている。動物由来のペプトンの使用は、ウイルス、マイコプラズマまたはプリオンによる汚染の可能性を含んでいる。動物細胞培養媒体での肉由来のペプトンから、米または大豆または酵母由来のペプトンへの代替はKeen M J et al.[US 5,633,162]やPrice et al [US 6,103,529]に記載されている。Jayme D W et al., [Cytotechnology 33:27−36 (2,000)]は、ベロ細胞(VERO)生物分析システムにおいて、ヒトアルブミンが米、小麦および大豆ペプトンに代えられた細胞成長成果を発表した。ペプトンはCHO細胞batch培養での成長または抗アポトーシスの促進のような他の特性を有していることが、記載されている[Burteau C C et al., In Vitro Cell Dev. Biol−Animal 39:291−296 2003]。Shlaeger E J [J. Immunol. Methods 194:191−199 (1,996)]は抗アポトーシス効果によるものとする、マウスハイブリドーマおよび骨髄腫細胞のbatch細胞での最大細胞密度および生存率の向上を観察した。Franeck F et al[Biotechnology Progress 16(5),688−692(2000)]は小麦粉ペプトンのサイズ分離分画が細胞増殖および生存率を高めることを示している。この効果が見られなかったこともあり、子ハムスター腎臓細胞系の連続培養において、ペプトンのカクテル、すなわち小麦および大豆という2つの異なる起源のペプトンがアミノ酸供給に代替するという機能のみが見出された[Heideman R et al., Cytotechnology 32(2),157−167(2000)]。
CHO細胞の流加培養プロセスでの肉由来ペプトン供給の使用は、Gu X et al.[Biotechnology and Bioengineering,56:353−360(1997)]により報告されており、そこでは、このペプトン供給は各アミノ酸供給と同等であるが、細胞増殖、細胞生存率あるいは生産性の向上はもたらさなかったことが観察されている。
ここで示されているように、他の刊行物には、ペプトン供給は各アミノ酸供給の単なる代替法であること、すなわち細胞増殖、細胞生存率、あるいは生産性の補助的で有益な効果は、ペプトン供給では観察されないことを記載している。ペプトンが、培養の初めから存在する、あるいはペプトンが供給されないバッチ培養に関して細胞増殖および、または細胞生存率の向上効果が記述されている。本発明は、1種のペプトンあるいはペプトンの組み合わせを供給することによって、生産性の向上を伴う細胞増殖および、または細胞生産率に対する補助的で有益な効果をもたらす。
さらに、本発明は動物由来のペプトンの使用が患者の安全を目的に除外されている動物細胞の培養プロセスに照準を定めている。植物由来のペプトンは、ウイルス、マイコプラズマ、またはプリオンによる汚染の危険性を減少させる。
驚くべきことに、選択された植物由来ペプトンのカクテルが動物細胞系統の流加培養プロセスに流加される場合、細胞増殖および/または細胞生存率が改善されることを見出した。細胞に対するこの効果は生産性の増強を伴う。従って、本発明は、ヒト細胞を含む動物細胞を培養するための流加培養プロセスに関し、ここで、1種もしくは組み合わせのペプトンが細胞培養物に流加される。
1つの実施態様では、本発明に従うプロセスは流加培養プロセスであり、ここで、1種もしくは組み合わせのペプトンが細胞培養物に流加される。具体的には、本発明は、流加培養プロセスに関し、ここで、基礎培地は細胞播種のために使用され、流加培地は細胞培養物に流加される。本発明において使用される流加培養は、グルコース、グルタミン、アミノ酸および濃縮された流加培地を流加することを含んでなる。濃縮された流加培地は、ビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地を含んでなる。流加培地は、連続的、間欠的または追加的(boost−wise)に流加され得る。別の実施態様では、本発明は、流加灌流プロセスに関し、ここで、1種もしくは組み合わせのペプトンが細胞培養物に流加される。
さらに、本発明は、培養細胞がタンパク質を分泌しているプロセスに関する。好ましくは、本発明は、培養細胞が、グリコシル化および/またはリン酸化を含む翻訳後修飾を必要とするタンパク質のような複合タンパク質を分泌しているプロセスに関する。より好ましくは、分泌されるタンパク質は抗体である。
従って、本発明は、生細胞密度および細胞生存率の減少を部分的もしくは完全に妨げるために、1種のペプトンまたはペプトンの組み合わせが細胞培養物に流加されることを特徴とする、ヒト細胞を含む動物細胞を培養するためのプロセスに関する。具体的には、本発明は、動物細胞を培養するためのプロセスに関し、ここで、基礎培地は、細胞播種のために使用され、流加培地は細胞培養に流加され、生細胞密度および細胞生存率の低下を減少させるために、流加培地が1種のペプトンを含有するか、またはペプトンの組み合わせが細胞培養物に流加されることを特徴とする。
プロセスにおいて改善された細胞増殖および/または細胞生存率は、進行した培養中のペプトンカクテルの添加による。ペプトンまたはペプトンの組み合わせは、連続的、間欠的もしくは追加的(boost−wise)に細胞培養物に流加される。同じ組み合わせのペプトンが基礎培地に存在する、即ち、培養の開始時から存在する場合、それは同じ効果を有さない。
好ましくは、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加は、細胞播種と、細胞生存率が細胞播種時の生存率未満にまで減少する前との間の任意の時間に開始される。より好ましくは、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加は、細胞播種と、細胞生存率が細胞播種時の生存率未満にまで減少する3日前との間の任意の時間に開始される。さらにより好ましくは、ペプトンの流加は、細胞生存率が低下する前に開始される。また、ペプトンの流加は、細胞培養が定常期に到達する前か、または細胞培養が定常期に到達している場合に、開始され得る。
驚くべきことに、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの添加はまた、生細胞密度および細胞生存率が減少し始めている場合、有益な効果を有し、細胞密度および細胞生存率の増加をもたらすことを見出した。従って、本発明はさらに、動物細胞を培養するためのプロセスに関し、ここで、生細胞密度および/または細胞生存率が減少し始めている場合に、ペプトンが添加される。
さらに、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの添加は、アミノ酸流加が流加培養プロセスに対して十分には最適化されていない場合、有益な効果を有することを見出した。より具体的には、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの添加は、流加培養プロセス中のアミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和することができ、細胞密度、細胞生存率、プロセス寿命、および生産性の改善を生じる。
好ましくは、本発明は、動物細胞を培養するためのプロセスに関し、ここで、植物から誘導されるペプトンまたはペプトンの組み合わせは、細胞培養物に流加される。
好ましくは、本発明は、動物細胞を培養するためのプロセスに関し、ここで、少なくとも1つのペプトンがプロセスに流加される。より好ましくは、このペプトンはマメ科ソラマメ連(Fabaceae vicieae)タンパク質由来である。具体的には、ペプトンはエンドウ(Pisum sativum)(即ち、エンドウ)由来である。
あるいは、本発明は、動物細胞を培養するためのプロセスに関し、ここで、ペプトンの組み合わせが細胞培養物に流加される。好ましくは、ペプトンの組み合わせは、少なくとも、酵素消化によって生成され、マメ(Fabaceae)科ソラマメ(vicieae)連、例えば、エンドウ(Pisum sativum)すなわちエンドウのタンパク質由来であるペプトンを含む。具体的には、ペプトンの組み合わせは、マメ科ダイズ(Fabaceae glycine max)タンパク質(ダイズ)、アオイ科(Malvaceae)種子、例えば、アオイ科ワタ属(Malvaceae gossypium)(綿実タンパク質)、または両方由来のペプトンをさらに含む。
ペプトンカクテル流加は、播種時培養容積の1リットルあたり0.01グラム〜播種時培養容積の1リットルあたり15グラム、好ましくは、播種時培養容積の1リットルあたり0.01〜11グラム、より好ましくは、播種時培養容積の1リットルあたり0.01〜5グラムの全濃度の全用量に対応して、流加培養プロセス中に毎日、1日おきまたは追加的(boost−wise)に添加される。
全濃度は、カクテルの個々のペプトンの濃度の合計として規定され、個々の濃度は、播種時培養容積の1リットルあたりのグラムである。流加培養プロセスでは、基礎培地は、ペプトンを含有しても、含有しなくてもよい。ペプトンを含有する場合には、これらは流加されるペプトンカクテルと同じ性質であっても、そうでなくてもよい。
好ましくは、本発明に従うプロセスにおいて使用される動物細胞は、哺乳動物細胞である。より好ましくは、動物細胞は、げっ歯類細胞である。さらに好ましくは、動物細胞は、ハムスター細胞である。さらにより好ましくは、動物細胞は、CHO細胞である。
定義
本明細書において使用される「複合タンパク質」は、グリコシル化および/またはリン酸化を含む翻訳後修飾を必要とするタンパク質を指す。翻訳後修飾は、タンパク質の物理および化学的特性、フォールディング、配座分布、安定性、活性、ならびに従って、機能に重要であり得る。
本明細書において使用される「ペプトン」は、動物、植物もしくは酵母起源を伴うタンパク質の耐熱性の酸または酵素加水分解物の群の一般名である。
本明細書において使用される「バッチプロセス」は、培養容積が一定であり、すべての基質成分が開始時から存在するプロセスである。
本明細書において使用される「流加培養プロセス」は、細胞を培養基礎培地または基礎培地に播種することによって培養が開始され、培養中に多様な添加物の添加が実施されるプロセスである。
本明細書において使用される「灌流」は、細胞を除去した上清が連続的または間欠的に培養バイオリアクターから取り出され、澄明化した上清の部分の再循環を伴ってもしくは伴わずに、新鮮基礎培養培地が連続的または間欠的にバイオリアクター培養に添加される、培養プロセスである。
本明細書において使用される「流加灌流」は、基礎培地にすでに存在する成分に加えて、1つもしくはいくらかの成分が流加される灌流プロセスである。補充流加される成分は、基礎培地に存在してもよく、または流加される濃度とは異なる濃度で基礎培地に存在してもよい。
本明細書において使用される「培養基礎培地」または「基礎培地」は、培養の細胞播種のために初期に使用される培養培地である。この培地は、動物細胞増殖を維持することが可能であり、水、エネルギー源、アミノ酸、鉄源、ビタミン、有機化合物、鉱物塩、微量元素、鉱物塩、pH緩衝能および正確な容量オスモル濃度を含有する。場合により、それはまた、1つもしくはいくらかの増殖促進因子を含有する。
本明細書において使用される「流加培地」は、1つの成分もしくはそれ以上を含有する水に基づく混合物であり、流加培養プロセス中、連続的、間欠的または追加的(boost−wise)に細胞培養に流加される。
本明細書において使用される「ペプトンのカクテル」は、1、2、3もしくは4種のペプトンの組み合わせである。
本明細書において使用される「全細胞密度」は、すべての細胞、即ち、生細胞および死細胞の両方を含む。
本明細書において使用される「細胞生存率」は、全細胞密度に対する生細胞密度の割合として規定される。
本明細書において使用される「定常期」は、細胞増殖が停止している、および細胞の数が一定を保持する、および新たな細胞が古い細胞が死ぬ速度と同じ速度で産生される時期として規定される。
本明細書において使用される「全用量」は、プロセスに流加されるすべての個々の用量の合計として規定される。
以下の具体的な実施例は、単なる例示に過ぎず、いかなる方法においても本開示内容の他の部分を制限しないものと解釈すべきである。これ以上詳細に述べるまでもなく、当業者であれば、本明細書に記載の説明に基づいて、その最も完全な程度で本発明を利用することができると考えられる。
実施例1
抗体産生CHO細胞系統を伴うスピナーフラスコにおいて、流加式培養を実施した。流加式培養に、グルコース、グルタミン、アミノ酸カクテル、3種のペプトン(即ち、D、EおよびG)ならびにビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した。基礎培地は、アミノ酸、界面活性剤、ビタミン、および有機化合物で富化されたDMEM/F12培地に基づいた。ペプトンD 5g/Lは、この基礎培地に添加されていた。この流加培養ストラテジーは、5g/LペプトンDを補充された同じ基礎培地を伴うコントロールバッチ培養において得られるよりも有意に高い力価を生じた。図1は、バッチ培養(バッチ)と比較して、ダイズ、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の流加を伴う流加培養ストラテジーが適用された(Sp3)場合、有意な力価改善が得られたことを示し、基礎培地は両方の培養実験においてダイズペプトンを含む。
ペプトンD=ダイズタンパク質加水分解物
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例2
抗体産生CHO細胞系統を伴うスピナーフラスコにおいて、流加式培養、スピナー3を実施した。流加式培養に、グルコース、グルタミン、アミノ酸カクテルならびにビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した。7日目、生細胞密度および細胞生存率が減少し始めた後、ペプトンGおよびEの組み合わせ(50/50 %/%)を流加することによって、アミノ酸カクテルを置き換えた。基礎培地は、アミノ酸、界面活性剤、ビタミン、および有機化合物で富化されたDMEM/F12培地に基づいた。ペプトンD 2.5g/LおよびペプトンG 2.5g/Lは、この基礎培地に添加されていた。コントロールとして、アミノ酸カクテルを7日目にペプトン流加によって置き換えずに、流加培養において以前に適用されたのと同じ方法で継続したことを除いて、正確に同じ条件で平行した流加式培養、スピナー1を実施した。第3の流加式培養、スピナー2もまた平行して実施し、基礎培地がペプトンD 2.5g/LおよびペプトンG 2.5g/Lの代わりにペプトンE 2.5g/LおよびペプトンG 2.5g/Lで補充されたことを除いて、コントロールスピナー1と正確に同じ条件を有した。バッチ培養もまた、同じ基礎培地を使用して平行して実施し、ペプトンD 5g/Lで補充した。7日目からペプトンGおよびE流加を適用したスピナー3は、翌日に驚くべき細胞増加および生存率増加を生じた。コントロールのスピナー1では、生細胞密度および細胞生存率は、継続して減少した。スピナー2は、正確なペプトンの組み合わせGおよびE(50/50 %/%)を含む基礎培地を有した。生細胞密度および細胞生存率の結果から、7日目より後のスピナー3におけるペプトンGおよびEの流加こそが、生細胞密度および細胞生存率増加を生じ、のみならず、基礎培地(スピナー2)において、即ち、全培養中においてペプトンGおよびEの存在を生じたことが認められ得る。
最終的に、力価および細胞特異的生産性の結果は、スピナー3においてペプトンGおよびEを流加することのこのような便益性がまた、7日目より後の生産性および細胞特異的生産性についての便益性をも生じたことを示す。図2は、7日目にペプトンE、およびペプトンGの組み合わせを流加することにより、ペプトン流加が存在しないことを除いて同じ条件下で実施された流加培養スピナー1(Sp1)と比較して、スピナー3(Sp3)において細胞密度および細胞生存率の増加を生じたことを示す。図2はまた、基礎培地において綿実およびエンドウペプトンを有した流加培養スピナー2(Sp2)がスピナー3のものより高くない細胞密度および生存率を有したため、スピナー3(Sp3)における綿実およびエンドウペプトンの流加こそが、細胞密度の増加を与えたことを示す。図3は、7日目に綿実およびエンドウペプトンの組み合わせを流加することによって、ペプトン流加が存在しないことを除いて同じ条件下で実施された流加培養スピナー1(Sp1)と比較して、スピナー3(Sp3)において7日目より後により高い生産性が得られたことを示す。図3はまた、基礎培地において綿実およびエンドウペプトンを有した流加培養スピナー2(Sp2)が、7日目より後のスピナー3のものより低い生産性を有したため、スピナー3(Sp3)における綿実およびエンドウペプトンの流加こそが、生産性の増加を与えたことを示す。
ペプトンD=ダイズタンパク質加水分解物
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例3
抗体産生CHO細胞系統を伴うスピナーフラスコにおいて、流加式培養、スピナー6を実施した。流加式培養に、グルコース、グルタミン、アミノ酸カクテルならびにビタミン、金属、生合成前駆体およびピルビン酸塩で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した。4日間、生存率が57%と極めて低かったため、9日目、生細胞密度および細胞生存率が減少し始めた後、ペプトンGおよびEの組み合わせ(50/50 %/%)を流加することによって、アミノ酸カクテルを置き換えた。基礎培地は、アミノ酸、界面活性剤、ビタミン、および有機化合物で富化されたDMEM/F12培地に基づいた。ペプトンD 5g/Lは、この基礎培地に添加されていた。比較のために、次の例外を伴う以外は正確に同じ条件下で、2つの平行した流加式培養、スピナー1および2を実施した:ペプトン流加によって9日目にアミノ酸カクテルを置き換えず、前日と同じ方法で継続させ、基礎培地を、それぞれ、ペプトンDおよびGならびにペプトンGおよびEで補充し、スピナー1および2流加培地は、ピルビン酸塩で富化していなかった。スピナー6におけるピルビン酸塩(puryvate)富化流加は、スピナー1および2におけるよりも良好な細胞密度または生存率を生じなかったこと、およびこれは、スピナー6において9日目より後に観察される改善の原因ではあり得ないことに留意すること。生細胞数および細胞生存率は、実施例2において観察されるのと同等な効果で増加することが観察され、実施例2の結果が確認された。細胞は継続して抗体を産生すること、および16%にまで減少したそれらの細胞特異的生産性は、デノボで36%および56%にまで増加し、ここで、100%は、5日目におけるスピナー2の細胞特異的生産性であることに留意すること。図4は、9日目の細胞生存率は極めて低く57%であったが、スピナー6(Sp6)において9日目にペプトンEおよびペプトンGを流加することは、9日目のより後の細胞密度および生存率の増加を生じたを示す。図5は、スピナー6(Sp6)において9日目にペプトンEおよびペプトンGを流加することにより、抗体のさらなる蓄積を生じることを示す。図6は、スピナー6(Sp6)において9日目にペプトンEおよびペプトンGを流加することによって、細胞特異的生産性が増加することを示す。
ペプトンD=ダイズタンパク質加水分解物
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例4
2つの流加式培養、流加培養番号1および流加培養番号2を、ビタミン、金属、生合成前駆体およびピルビン酸塩で富化し、5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充したDMEM/F12培地に基づく基礎培地を使用して、3Lバイオリアクターにおいて、抗体産生CHO細胞系統により実施した。2日目から、培養に、グルコース、グルタミン、アミノ酸カクテルならびにビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を連続的に流加した。流加培養番号2に対し、流加物はまた、0.6g/L/日の全濃度で連続的に流加されるペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを含んだ。細胞生存率が70〜80%の間であった場合、両方の培養物を終結させた。図7は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが培養物に流加された場合の細胞生存率ならびに、従ってプロセス寿命の改善を示す。図8は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが培養物に流加された場合の抗体産生の増加を示す。
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例5
2つの流加式培養、流加培養番号1および流加培養番号2を、界面活性剤、微量元素、アミノ酸、ビタミン、増殖因子を含む開示された添加物で富化し、5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充したDMEM/F12培地に基づく基礎培地を使用して、スピナーにおいて、抗体産生CHO細胞系統により実施した。1日おきに、培養に、グルコース、グルタミン、および濃縮基礎培地を流加した。流加培養番号2に対し、流加物はまた、1.2g/Lの全濃度で1日おきに流加されるペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを含んだ。5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充した開示された同じ基礎培地におけるバッチ培養を、対照として実施した。図9は、流加培養物における生細胞数の有意な増加および細胞生存率の有意な改善を示す。綿実およびエンドウタンパク質加水分解物を流加することにより、生細胞数および細胞生存率がさらに増加した。図10は、流加培養物における抗体産生の有意な増加を示す。綿実およびエンドウタンパク質加水分解物を流加することにより、抗体産生がさらに増加した。
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例6
この実施例は、ペプトン流加の有益な効果が、アミノ酸の補充によって再現され得ないことを示す。過渡に流加されるアミノ酸は、細胞に対して毒性であり得る。実施例はまた、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの添加は、流加培養プロセス中のアミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和することができ、生細胞数、細胞生存率、プロセス寿命、および生産性の改善を生じることを示す。6つの流加式培養、流加培養番号1、流加培養番号2、流加培養番号3、流加培養番号4、流加培養番号5、流加培養番号6を、ビタミン、金属、生合成前駆体およびピルビン酸塩で富化し、5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充したDMEM/F12培地に基づく基礎培地を使用して、50mlフィルター付チューブにおいて、抗体産生CHO細胞系統により2回反復で実施した(表1)。
Figure 2008541746
流加培養番号1に、グルコース、グルタミン、ならびにビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した。ペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせもまた、2および4日目に0.8g/L、ならびに6および8日目に0.4g/Lの全用量で流加培養番号1に添加した。流加培養番号2は、流加培養番号2と全く同様に流加されたが、但し、ペプトン流加の用量は2倍にされた。流加培養番号3は、流加培養番号1と全く同様に流加されたが、但し、ペプトン流加は、2、4、および6日目の0.4ml、および8日目の0.2mlの全用量でのアミノ酸カクテルによる流加によって置き換えられた。流加培養番号4は、流加培養番号3と全く同様に流加されたが、但し、アミノ酸カクテル流加の用量は4倍に増加された。流加培養番号5は、流加培養番号3と全く同様に流加され、かつ、流加培養番号1と同じ用量によるペプトン流加を伴った。流加培養番号6は、流加培養番号3と全く同様に流加され、かつ、流加培養番号2と同じ用量によるペプトン流加を伴った。5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充した同じ基礎培地におけるバッチ培養を、対照として実施した。2回反復培養物の平均値を図11〜13に提示した。生細胞数、細胞生存率、および抗体産生は、バッチ培養物と比較して、流加培養物番号1および番号2において有意に増加したことを見出した。ペプトン流加がアミノ酸カクテルによる流加で置き換えられた(流加培養番号3および番号4)場合、より低い生細胞数、細胞生存率、ならびに抗体産生が得られた。流加培養番号4においてより高い用量のアミノ酸カクテルを流加することは、細胞に対してより毒性であった。驚くべきことに、ペプトンが、流加培養番号5および番号6においてアミノ酸カクテルと共に流加される場合、流加培養番号3と比較して、生細胞数、細胞生存率、および抗体産生が改善された。流加培養番号6におけるより高い用量のペプトンの添加は、高い程度でアミノ酸カクテル流加の毒性効果を中和し得、流加培養番号1および番号2に匹敵する生細胞数および抗体産生を生じた。
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例7
この実施例は、ペプトンまたはペプトンの組み合わせの添加は、流加培養プロセス中のアミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和することができ、生細胞数、細胞生存率、プロセス寿命、および生産性の改善を生じることを示す。4つの流加式培養、流加培養番号1、番号2、番号3、および番号4を、ビタミン、金属、生合成前駆体およびピルビン酸塩で富化し、5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充したDMEM/F12培地に基づく基礎培地を使用して、スピナーにおいて、抗体産生CHO細胞系統により実施した。4つのすべての流加培養物に、グルコース、グルタミン、ならびにビタミン、金属および生合成前駆体で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した(表2)。
Figure 2008541746
流加培養番号2に対し、流加物はまた、1日おきの1.2g/Lの全濃度でのペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを含んだ(流加培地+ペプトン)。流加培養番号3に対し、流加物はまた、アミノ酸のカクテルを含んだ(流加培地+アミノ酸カクテル)。流加培養番号4に対し、流加物はまた、ペプトンGおよびEの組み合わせ(50/50 %/%)ならびにそれぞれ流加培養番号2および番号3に流加されるのと同じ用量を伴うアミノ酸のカクテルを含んだ(流加培地+ペプトン+アミノ酸カクテル)。5g/Lの全濃度でペプトンGおよびE(50/50 %/%)の組み合わせを補充した同じ基礎培地におけるバッチ培養を、対照として実施した。図11は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが培養物に流加された場合の生細胞数の増加ならびに細胞生存率の改善を示す(番号2対番号1)。アミノ酸カクテルが培養物(番号3対番号1)に流加された場合、生細胞数および細胞生存率が減少し、アミノ酸流加から生じる毒性効果が示唆された。アミノ酸カクテルおよびペプトンの両方が培養物(番号4対番号3)に流加された場合、生細胞数ならびに細胞生存率が改善され、ペプトンの添加が、アミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和したことを示唆した。図12において示されるように、流加培養番号2は最も高い抗体産生を与え、続いて、流加培養番号1、流加培養番号4、および次いで、流加培養番号3であった。予想されるように、バッチ培養物は、最も乏しい細胞増殖および最も低い抗体産生を有した。
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
実施例8
この実施例は、ペプトンGおよびEを硫化する場合、ならびに、のみならず、基礎培地において、即ち、全培養中においてペプトンGおよびEが存在する場合の生細胞密度および細胞生存率の増加を実証する。
3つの流加式培養実験、実験番号1、番号2および番号3は、界面活性剤、微量元素、アミノ酸、ビタミン、および増殖因子を含む開示された添加物のリストで富化され、ペプトンもしくはペプトンの組み合わせによる補充を伴うまたは伴わないDMEM/F12培地に基づく基礎培地を使用して実施される。培養に、いくらかの成分、即ち、グルコース、グルタミン、アミノ酸カクテルならびにビタミン、金属および生合成前駆体を含む開示された添加物で富化された基礎培地よりなる濃縮流加培地を流加した。生細胞密度および細胞生存率が減少し始めている場合、アミノ酸カクテルは、ペプトンGおよびEを含むカクテルを流加することによって、実験番号3において置き換えられる。ペプトンDおよびペプトンGは基礎培地に添加される。コントロールとして、流加式培養実験番号1は、アミノ酸カクテルがペプトン流加によって置き換えられず、同じ方法で継続されることを除いて、実験番号3と全く同じ条件で実施される。流加式培養実験番号2は、基礎培地がペプトンDおよびペプトンGの代わりにペプトンEおよびペプトンGで補充されることを除いて、実験番号1と同じ条件に従って実施される。実験番号3において、ペプトンGおよびE流加は、生細胞密度が減少し始めた後に適用され、それは、細胞増加および生存率増加を生じる一方、実験番号1では、生細胞密度および細胞生存率が継続して減少する。実験番号2は、正確なペプトンの組み合わせGおよびEを含む基礎培地を有した。
ペプトンD=ダイズタンパク質加水分解物
ペプトンE=綿実タンパク質加水分解物
ペプトンG=エンドウタンパク質加水分解物
図1は、バッチと比較した、流加培養ストラテジーによって得られる力価改善を示す。 図2は、ペプトン添加なしおよびバッチコントロールと比較したスピナー3におけるペプトン添加後の生細胞密度および細胞生存率増加を提示する。 図3は、異なるスピナーにおける生成物力価を比較し、ここで、ペプトンは、スピナー3、およびバッチコントロールに添加される。 図4は、生細胞密度および細胞生存率が減少し始めている場合に、ペプトンがスピナー6に添加された場合の生細胞密度および生存率における増加を提示する。 図5は、生細胞密度および細胞生存率が減少し始めた場合に、ペプトンが添加された場合のスピナー6における抗体のさらなる蓄積を示す。 図6は、異なるスピナーにおける細胞特異的生産性を比較し、ここで、生細胞密度および生存率が減少し始めた後、ペプトンがスピナー6に添加された。 図7は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが3Lバイオリアクター中の培養物に流加された場合の細胞生存率ならびに、従ってプロセス寿命の改善を示す。 図8は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが3Lバイオリアクター中の培養物に流加された場合の抗体産生の増加を示す。 図9は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物を流加することは、開示された無血清培地を使用して、流加培養物における生細胞数および細胞生存率を増加したことを示す。 図10は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物を流加することは、開示された無血清培地を使用して、流加培養物における抗体産生を増加したことを示す。 図11は、バッチ培養物と比較して、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物が流加された流加培養物において生細胞数が増加したこと、ならびにアミノ酸カクテル流加の毒性効果が部分的に中和されたことを例示する。 図12は、バッチ培養物と比較して、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物が流加された流加培養物において細胞生存率が増加したこと、ならびにアミノ酸カクテル流加の毒性効果が部分的に中和されたことを例示する。 図13は、バッチ培養物と比較して、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物が流加された流加培養物において抗体産生が増加したこと、ならびにアミノ酸カクテル流加の毒性効果が部分的に中和されたことを例示する。 図14は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが培養物に流加された場合に生細胞数および細胞生存率が増加したこと、ならびにペプトンの添加が、アミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和したことを示す。 図15は、綿実およびエンドウタンパク質加水分解物の組み合わせが培養物に流加された場合に抗体産生が増加したこと、ならびにペプトンの添加が、アミノ酸の過渡な流加から生じる毒性効果を部分的に中和したことを示す。

Claims (32)

  1. 1種の植物由来ペプトンまたは植物由来ペプトンの組み合わせが細胞培養物に流加される、複合タンパク質を産生する動物細胞を培養するためのプロセス。
  2. 基礎培地が細胞播種のために使用され、流加培地が前記細胞培養物に流加される、請求項2に記載のプロセス。
  3. 前記プロセスが流加培養プロセスである、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. 前記プロセスが流加灌流プロセスである、請求項1または2に記載のプロセス。
  5. 前記培養細胞がタンパク質を分泌している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
  6. 前記分泌されるタンパク質が抗体である、請求項5に記載のプロセス。
  7. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞培養物が定常期に到達する前に開始される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
  8. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞培養物が定常期に到達している場合に開始される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
  9. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞播種と、細胞生存率が前記細胞播種時の生存率未満にまで減少する前との間の任意の時間に開始される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
  10. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞播種と、細胞生存率が前記細胞播種時の生存率未満にまで減少する3日前との間の任意の時間に開始される、請求項9に記載のプロセス。
  11. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞播種と、細胞生存率が前記細胞播種時の生存率未満にまで減少する3日前との間の任意の時間に開始される、請求項10に記載のプロセス。
  12. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせの流加が、前記細胞播種と、細胞生存率が減少し始める前との間の任意の時間に開始される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
  13. 前記ペプトンまたはペプトンの組み合わせが、生細胞密度および/または細胞生存率が減少し始めている場合に流加される、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロセス。
  14. 1種のペプトンが前記細胞培養物に流加される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
  15. 前記ペプトンがマメ科ソラマメ連(Fabaceae vicieae)タンパク質由来である、請求項14に記載のプロセス。
  16. ペプトンの組み合わせが前記細胞培養物に流加される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
  17. 前記ペプトンの組み合わせが、酵素消化によって生成されるペプトンを含み、マメ(Fabaceae)科ソラマメ(vicieae)連のタンパク質由来である、請求項16に記載のプロセス。
  18. 前記ペプトンがエンドウ(Pisum sativum)(エンドウ)由来である、請求項17に記載のプロセス。
  19. 前記ペプトンの組み合わせが、マメ科ダイズ(Fabaceae glycine max)タンパク質(ダイズ)、もしくはアオイ科(Malvaceae)種子タンパク質、または両方由来のペプトンをさらに含む、請求項18に記載のプロセス。
  20. アオイ科(Malvaceae)の前記種子タンパク質由来の前記ペプトンがアオイ科ワタ属(Malvaceae gossypium)(綿実タンパク質)である、請求項19に記載のプロセス。
  21. 前記プロセスのための全用量が、播種時培養容積の1リットルあたり0.01グラムから播種時培養容積の1リットルあたり15グラムまで(上下限値を含む)の前記細胞培養物に流加されるペプトンまたはペプトンの組み合わせの全濃度に対応する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
  22. 前記プロセスのための全用量が、播種時培養容積の1リットルあたり0.01グラムから播種時培養容積の1リットルあたり11グラムまで(上下限値を含む)の前記細胞培養物に流加されるペプトンまたはペプトンの組み合わせの全濃度に対応する、請求項21に記載のプロセス。
  23. 前記プロセスのための全用量が、播種時培養容積の1リットルあたり0.01グラムから播種時培養容積の1リットルあたり5グラムまで(上下限値を含む)の前記細胞培養物に流加されるペプトンまたはペプトンの組み合わせの全濃度に対応する、請求項22に記載のプロセス。
  24. 前記動物細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜23のいずれか1項に記載のプロセス。
  25. 前記哺乳動物細胞がヒト細胞またはげっ歯類細胞である、請求項24に記載のプロセス。
  26. 前記げっ歯類細胞がハムスター細胞である、請求項25に記載のプロセス。
  27. 前記ハムスター細胞がCHO細胞である、請求項26に記載のプロセス。
  28. 前記流加培地が前記細胞培養物に連続的に添加される、請求項1〜27のいずれか1項に記載のプロセス。
  29. 前記流加培地が前記細胞培養物に間欠的に添加される、請求項1〜27のいずれか1項に記載のプロセス。
  30. 前記流加培地が前記細胞培養物に追加的に添加される、請求項1〜27のいずれか1項に記載のプロセス。
  31. 前記基礎培地がペプトンを含有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載のプロセス。
  32. 請求項1〜31のいずれか1項に記載のプロセスに従って、1種の植物由来ペプトンまたは植物由来ペプトンの組み合わせを細胞培養物に流加することによって、複合タンパク質を産生する動物細胞を培養するための流加培養プロセス中に過渡に流加されるアミノ酸の毒性効果を減少するための方法。
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