JP2008540566A - 2−デオキシグルコースを用いたがんの処置 - Google Patents

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Abstract

化合物の2−デオキシグルコースは、治療上有効な用量を投与し、また、任意には、他の抗がん剤と併用して投与するか、または、外科的切除もしくは放射線治療と組み合わせて投与すると、がんを治療したり、患者の転帰を改善したりすることができる。第一の態様において、本発明は、各回服用後に最大血漿濃度(Cmax)が少なくとも約125μg/mLになるように2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)の一日量を変えて投与することを含む、がんの治療法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本発明は、2005年5月12日に出願した米国特許出願第60/680,708号および2006年3月29日に出願した米国特許出願第60/787,304号(これらは、その全体が参考として本明細書に援用される。)の利益を主張する。
発明の背景
化合物である2−デオキシグルコース(2−DG)は、腫瘍の低酸素領域に存在する分裂が緩慢であるか、または分裂しないがん細胞に対する選択的な毒物であることが確認されている(参照されて組み込まれるPCT公開第2001/82926号(特許文献1)参照)。急激に分裂するがん細胞を標的とする他の薬剤と組み合わせて、2−DGによりがんを治療するためのさまざまな療法が記載されており(参照されて組み込まれる米国特許第6,670,330号(特許文献2)参照)、そのような療法に合わせた投薬スケジュールおよび投薬経路がある(参照されて組み込まれる米国特許第6,979,675号(特許文献3)参照)。
しかし、がんは、多様な細胞型および組織型で生じる可能性があり、そのため、多様な形態をとる。当然のことながら、一つの抗がん剤が、多様なタイプのがんに対して同じように有効であることは滅多になく、がんが異なれば、ある薬剤による治療を最も有効なものとするためには投与量と投与経路を変える必要があるかもしれない。したがって、2−DGによって特定のタイプのがんを治療する方法に対する需要が依然として存在する。本発明はこのような需要を満たしている。
国際公開第2001/82926号パンフレット 米国特許第6,670,330号明細書 米国特許第6,979,675号明細書
発明の詳細な説明
第一の態様において、本発明は、各回服用後に最大血漿濃度(Cmax)が少なくとも約125μg/mLになるように2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)の一日量を変えて投与することを含む、がんの治療法を提供する。一つの実施態様において、Cmaxは約250μg/mLを超えない。別の実施態様において、Cmaxは約175μg/mLを超えない。一つの実施態様において、2−DGは、少なくとも約125μg/mLのCmaxを達成するために、患者の体重1kg当り60mgよりも多い一日量で経口投与される。別の実施態様において、2−DGは、少なくとも約150μg/mLのCmaxを達成するために、患者の体重1kg当り90mgよりも多い一日量で経口投与される。
第二の態様において、本発明は、非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺様嚢胞がん、乳がん、および頭頸部がんからなる群から選択されるがんを治療する方法であって、各回服用後にCmaxが少なくとも約125μg/mLになるように2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)を複数回投与することを含む、がんの治療法を提供する。一つの実施態様においては、少なくとも3週間、1週間あたり5日間連続して毎日2−DGを投与する。一つの実施態様においては、少なくとも1ヶ月、毎日2−DGを投与する。一つの実施態様においては、ドセタキセルを2−DGと同時投与する。
本発明は、治療上有効量の2−DGを単独、または他の抗がん療法である、外科的切除、放射線療法、および薬物療法などと組み合わせて投与することによりがんを治療する方法を提供する。本発明を正しく評価できるように、本説明を以下のトピックに分けることにする。(i)2−DGを治療上有効に投与すること、(ii)他の抗がん剤と同時投与すること、(iii)特定のがんを治療すること、および(iv)2−DGを製剤およびパッケージングすること。
2−DGの治療上有効な投与法
本発明は、一つには、がんの治療において、2−DGの所望の治療効果が、各回投与後に一定の最大血漿濃度(Cmax)を達成する有効投与範囲で化合物を反復投与することによって達成することができるという発見、および、一定のがんが、そのような治療に対して高度に感受性であるという発見から生じたものである。一つの態様において、本発明は、患者に治療上有効な用量の2−DGを投与して、患者のがんを治療する方法であって、治療上有効用量の各回投与後に達成されたCmaxが少なくとも125μg/mlである方法を提供する。「患者」とは、通常、ヒトを意味するが、当業者には、本発明の方法および組成物を使用して、ヒト以外の霊長類、およびヒトのがんの実験モデルなどの哺乳動物のがんも治療することができることも理解できよう。本発明の一つの実施態様において、患者はヒト患者である。本明細書において、がんを「治療する」(あるいは、がんを患っている患者を治療する)とは、がんの一つ以上の症状を軽減または改善させること、病変範囲を縮小させること、病状悪化を遅延または緩徐化させること、病状を改善、緩和、または安定化させること、部分的または完全に寛解させること、生存期間を延長すること、ならびにその他、当技術分野において周知されている有益な結果など、有益または所望の結果を得るための手段を講ずることを意味する。
本発明に従って、2−DGを、患者の体重1kgあたり約50mgから約150mgの範囲内の2−DGという一日量にして経口投与することができる。一つの実施態様において、2−DGを、治療を受ける患者の体重1kgあたり約65mgの2−DGという一日量にして投与する。別の実施態様において、治療上有効な用量は、治療を受ける患者の体重1kgあたり約90mgの2−DGという一日量である。別の実施態様において、治療上有効な用量は、治療を受ける患者の体重1kgあたり約125mgの2−DGである。
治療的有効性を達成するためには、通常、治療上有効な一日量の2−DGを複数回患者に投与する。一つの実施態様において、2−DGをある期間毎日投与する。典型的には、少なくとも5日間連続して毎日投与する方法が用いられる。他の実施態様において、投与は、少なくとも7日間連続するか、少なくとも10日間連続するか、少なくとも1ヶ月間連続するか、少なくとも3ヶ月間連続する。臨床医によって選択された用量、処方、および投与経路、ならびに患者の便宜に応じて、全一日量を毎日1回投与することも可能であり、または一日量を、より少ない複数回用量にして、(ポンプを用いた注入、または静脈内投与などによって)一日を通じて投与することも可能である。例えば、容量をより少ない2回分用量に分けて、1日に2回投与するか、より少ない3回分用量に分けて、1日3回投与することも可能である。読者にとっては、本明細書において、「毎日」投与するとは、1日あたり1回の投与に限定されるものではなく、複数回投与することも含みうるため、「一日量」とは、24時間毎に患者に投与される薬剤の全量を意味することは明らかであろう。
最適な治療効果を得るには、治療上有効量の投与を複数日間、典型的には、少なくとも3週間、しばしば少なくとも1ヶ月間、時には数ヶ月以上継続する。すなわち、本発明の方法に従って、連続して数日間、1週間、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間、または1年間以上、2−DGを患者に投与することができる。
他の抗がん剤の投与処方と同様に、2−DGを、複数の投与「期間」に投与することもできる。例えば、いくつかの実施態様において、少なくとも5日から10日間連続して毎日1回2−DGを投与することができ、そのような5日から10日間の治療を、時には、各複数日治療の間に、(2−DGによる)治療を行わない期間を1週間から数週間置いて、1回、2回、または3回以上繰り返すことができる。その他の複数期間投与計画法も、本開示を手引きとすれば、臨床医にとっては明らかであろう。
一つの態様において、「治療上有効な用量または処方の2−DGを投与すること」とは、(i)特定の期間内に特定の最小日数間、指定された範囲の2−DG(例えば、患者の体重1kgあたり50mgから150mgの2−DG、典型的には、患者の体重1kgあたり50mgから100mgの2−DG)を投与し、その2−DGの投与が患者のがんに治療効果を及ぼすことを意味する。2−DGの治療上有効な用量法の具体例は、例えば、5日間連続して、7日間連続して、10日間連続して、1週間あたり少なくとも5日、1週間あたり少なくとも5日を1ヶ月間、1ヶ月あたり少なくとも10日連続して、および1ヶ月あたり少なくとも20日連続して2−DGを投与するなど、本明細書に記載した用量法を含む。
他の抗がん剤について当技術分野で理解されているように、本発明の範囲を逸脱することなく、2−DGによる治療を、毒性が認められた場合、または患者の都合によって、一時的に中止してから再開することが可能である。2−DGの毒性は、低血糖症と符合する症状(発汗、いらいら、または吐き気など)をもたらすかもしれない。再治療の処方では、以前の治療における患者の耐性を反映させるように、投薬量を調整することができる。如何なる場合でも、反復投与の過程で毒性が認められたならば、重篤な症状が認められた時点で、投薬を一時的に止めることができる。投薬を一時的に中断する期間(休薬期間)は、毒性が最初に認められた器官(例えば脳)が顕著な濃度の2−DG(症状が消えることで間接的に測定または判定することができる)を含まなくなった時点で終らせることができる。したがって、間欠投与期間は、具体的な日数によって定義できるだけでなく、症状および正常な臓器による2−DGのクリアランスに基づいた休薬期間によって個別化することもできる。
副作用の可能性を減少させため、および/または効能を増大させるために、本発明は、本明細書記載の方法のいくつかの実施態様を提供する。一つの実施態様においては、グルコースを含まない処方剤にして2−DGを投与する。一つの実施態様において、患者は、2−DGの投与を受ける8から16時間前から絶食させられる。一つの実施態様において、患者は、2−DGの投与を受けている間、低グルコース食を摂り続ける。一つの実施態様においては、アトキンス・ダイエットなど、低炭水化物食を摂っている患者に2−DGを投与する。
2−DGは当業者に周知された如何なる方法(例えば、経口、非経口、筋肉内、局所、または皮下などの経路)で投与することも可能であるが、通常は、経口、または非経口注射(例えば、静脈内投与)によって投与される。抗がん剤にとっては、静脈内投与が一般に好ましいが、意外にも、2−DGの経口投与は、静脈内投与と同等に効果的であり、より耐性に優れている(毒性が低い)。したがって、本発明の一つの実施態様において、2−DGは経口投与され、上記したように、ある期間にわたり複数の用量が投与される。
この治療上有効な用量法および投与法を用いて、当技術分野において熟練した臨床医は、現在開発中の新たな薬物療法だけでなく、現在利用されているがん療法(外科的切除、放射線療法、および薬物療法など)によっても、治療成果を顕著に改善することができる。一つの重要な態様において、本発明は、次節で考察するように、他の抗がん剤を2−DGと併用することによってがんを治療する方法を提供する。
他の抗がん剤との同時投与
本発明の方法に従って、2−DGを他の抗がん剤と併用して同時投与することができる。特定の機構または作用に拘泥するつもりはないが、そのような同時投与は、場合によっては、以下のようないくつかの予期せぬ効果の一つ以上をもたらすことがある:(i)2−DGと抗がん剤の同時投与が、がん細胞死の誘導に対して相乗効果をもつこと;(ii)同時投与は、抗がん剤を単独で投与するよりも、より優れた治療結果をもたらすこと。例えば、がんの症状の一つ以上を大きく軽減または改善すること、病変範囲を縮小させること、病状の進行を遅延または緩徐化すること、病状を改善、緩和、または安定化させること、部分的または完全に寛解させること、生存期間を延長すること、またはその他の有益な治療効果をもたらす;(iii)2−DGを同時投与すると、抗がん剤に対するがん細胞の感受性が高まって、患者に対する低用量の抗がん剤投与が可能になり、または、それ以外では薬剤に対して耐性であるか、もしくは治療に対して難治性である細胞を治療するために抗がん剤を使用することが可能になること;(iv)2−DGと抗がん剤を同時投与すると、抗がん剤単独では十分に死滅させられない、腫瘍の低酸素領域における細胞の死滅を促進できること。
本明細書において、2−DGとは別の抗がん剤(以下、本明細書において「薬剤」と称する)が同一の治療コースの一部として投与される場合、この2−DGが、薬剤と「同時投与」されるという。一つの実施態様において、薬剤を投与する(すなわち、その他のがん療法が開始される)前に、まず2−DGを投与し、薬剤が投与される全コース(すなわち、その他のがん療法のコース)にわたって、2−DGによる治療を継続する。別の実施態様において、2−DGを、その他のがん療法を開始または完了した後に投与する。他の実施態様において、その他のがん療法の開始と同時に、まず2−DGを投与する。一つの実施態様において、薬剤を投与する前に、まず2−DGを投与し、薬剤の投与を中断した後も2−DGによる治療を継続する。一つの実施態様において、薬剤を投与する前に、まず2−DGを投与し、2−DGによる治療を、薬剤の投与期間の一部の期間継続する。
今日の抗がん剤療法は、典型的には、抗がん剤の投与を複数回繰り返すこと、すなわち、投与「サイクル」を含む。2−DGを投与することについて、各投与サイクル(および完全なひとまとまりのサイクル)を、第2の薬剤の投与と見なすことができる。すなわち、2−DGは、他方の「薬剤」による治療の複数サイクルのいつでも、またはそのすべてにおいて投与することができ、一般的には、各サイクル期間中の少なくとも2日間以上、2−DGが毎日投与される。本発明の一つの態様において、各回で繰り返されるスケジュールに従って、2−DGを「薬剤」と同時に投与する。例えば、ある通常の療法では、21日毎に1回、例えば、治療コースの21日目、42日目、63日目、または84日目に、24時間注入としてIVによって、パクリタキセルを135mg/mになるよう投与する。この例では、パクリタキセルを投与する各回に、パクリタキセル投与と同時に(例えば、21、42、63、および84日目に2−DGを投与する)、パクリタキセル投与に先行して(例えば、20、41、62、および83日目に2−DGを投与する)、また、パクリタキセル投与直後に(例えば、22、43、64、および85日目に2−DGを投与する)2−DGの同時投与を伴わせることができる。しかし、便宜上、特に、IV注入により「薬剤」を投与する場合、医師は、最初のサイクルの前日の2−DGの投与を省くことができる。あるいは、抗がん剤の複数の投与サイクルにわたって継続的に2−DGを投与することができる(例えば、パクリタキセルの例では、21日目当日、またはその前から開始して、治療が終了するまで毎日、21日目当日、またはその前から開始して、治療が終了するまで一日おきに投与する)。当然のことながら、上記の例は例示に過ぎず、如何なる態様においても本発明を制限するものではない。また、当業者は、多くの場合、患者の都合に合わせて、最初の治療サイクルにおいて同時投与のスケジュールを変えることができる(例えば、パクリタキセルを最初に投与する前には、2−DGを投与しない)。
2−DGは、任意の抗がん剤と組み合わせて、本発明の方法に従って投与することができる。既知の承認された抗がん剤に関する具体的な投与法(すなわち、推奨有効用量)は、医師に知られており、例えば、the Physician’s Desk Reference 2003,(Physicians’ Desk Reference, 57th Ed)Medical Economics Company,Inc.,Oradell,NJの中の製品説明に記載されており、および/または連邦医薬品局(the Federal Drug Administration)から入手可能である。また、一定の抗がん剤に関する投薬法の例も以下に示す。
抗がん剤は通常、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗生物質、アロマターゼ阻害剤、ビスフォスフォネート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、葉酸拮抗剤、無機ヒ酸、微小管阻害剤、修飾因子、ニトロソウレア、ヌクレオシドアナログ、破骨細胞阻害剤、白金系化合物、レチノイド、トポイソメラーゼ1阻害剤、トポイソメラーゼ2阻害剤、およびチロシンキナーゼ阻害剤として分類することができる。本発明の方法に従って、2−DGを、これらの分類のいずれかに由来する抗がん剤と同時投与するか、またはそのような薬剤もしくはそのような薬剤を組み合わせたもので治療した前か後に投与することができる。さらに、2−DGを生物学的療法(例えば、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、およびモノクローナル抗体による治療)と組み合わせて投与することができる。
このように、本発明は、2−DGまたはその薬学的に許容される塩、および一つ以上の別の抗がん剤を患者に投与する、がんの治療法を提供する。そのような別の抗がん剤の具体的な実施態様は、ドセタキセルおよびパクリタキセルなどのタキサン類を含むが、これらに限定されない。別の実施態様は、2−DGと、別の抗がん剤であって、この抗がん剤に対する耐性を生じた患者に、この抗がん剤をがん細胞から輸送するエネルギー要求性ポンプを介して、がん細胞が耐性を生じうる別の抗がん剤を同時投与することである。この実施態様において、2−DGは、がん細胞におけるエネルギー産生を効果的に低下させることができるため、2−DGが存在しなければ耐性となる細胞を、再びその薬剤に対して感受性にする。本発明の方法は、全てのがんに適用可能であるが、広範な低酸素組織領域を特徴とする固形腫瘍、およびこのような固形腫瘍の特定のタイプの治療において特に顕著な治療効果を示す。本発明の方法によって治療することができる具体的ながんについて、次節で考察する。
特定のがんの治療
本発明の方法および組成物を用いて、悪性であるか良性であるかを問わず、如何なるがんも治療することができる。一つの重要な実施態様において、本発明は、ヒトおよびその他の哺乳動物における非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺様嚢胞がん、乳がん、頭頸部がん、前立腺がん、大腸がん、小細胞肺がん、耳下腺腺様嚢胞がん、腺がん、ならびに、軟口蓋の扁平上皮細胞がんを含む扁平上皮がんを含むが、これらに限定されない特定のタイプの悪性がんを治療する方法を提供する。これらの方法は、治療上有効量の2−DGまたはその薬学的に許容される塩を、単独、または抗新生物剤として有効な量の別の一つ以上の抗がん剤と併用して投与することを含む。
本発明の一つの好適な実施態様において、非小細胞肺がん(NSCLC)を治療するために2−DGが投与される。NSCLCは、現在のところ、放射線療法、外科手術、および/または化学療法によって治療されている。本明細書に記載されているように2−DGを同時投与することで、すべての現在の療法の治療成果を改善することができるかもしれない。非小細胞肺がんに対する現在の治療法は、ゲムシタビン(Gemcitabine)(Eli Lilly、ジフルオロデキシシチジン)、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、またはイリノテカン(カンプトテシン−11)を単一剤として投与すること;ならびに、エポトシドとシスプラチン、ビンデシン(Vindesine:デアセチルビンブラスチンカルボキサミド)とシスプラチン、パクリタキセルとカルボプラチン、ゲムシタビンとカルボプラチン、ドセタキセルとシスプラチン、ビノレルビンとシスプラチン、またはイロノテカンとシスプラチンを併用療法において投与することを含むが、これらに限定されるものではない。参照されて本明細書に組み込まれるBunn,15 Sep.2002,J.Clin.Onc.20(18s):23−33参照。本発明の方法に従って、このような治療計画において、2−DGを同時投与して、患者の転帰を改善することができる。例えば、無制限に、本明細書に記載されているように、2−DGをドセタキセルと組み合わせて同時投与することで、NSCLCの患者の治療成果を改善することができる。
本発明の別の実施態様において、本明細書に記載されているように、2−DGをドセタキセルと一緒に投与して、乳がんを治療する。乳がんは、現在のところ、普通は、外科手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法をさまざまに組み合わせることによって治療されている。下記の実施例に示されているように、本発明の方法による2−DGとドセタキセルの同時投与が、乳がんの治療に有効である。
また、下記の実施例は、本発明の方法が、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺状嚢胞がん、および頭頸部がんを治療するのに有効であることを例証している。その例証的な実施例では、2−DGを経口投与用の液体として製剤した。本発明の方法において有用なこの製剤および他の製剤を次章で説明する。
2−DGの製剤およびパッケージング
本発明の方法は、医師、患者、および治療すべきがんの種類に適した投与経路を用いて、実施することができる。2−DGは、例えば、不活性希釈剤とともに、もしくは吸収可能な可食担体とともに経口投与することができ、または硬質もしくは軟質のシェルをもつゼラチンカプセルに封入することができ、または圧縮して錠剤にするか、または液体もしくはゲルに懸濁することができ、または食事の食べ物とともに直接摂取することもできる。経口で治療薬を投与するためには、2−DGを賦形剤とともに摂取させることができ、体内に摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハースなどの形態にして利用することができる。このような組成物および調製物は、上記の治療上有効な用量を送達するのに十分な活性薬剤を含む。また、錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、以下のものも含む:トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;第二リン酸カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモでんぷん、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;サッカリンなどの甘味剤;および/またはハッカ、ウィンターグリーン油、またはサクランボ風味などの香料。単位剤形がカプセルの場合、上記のタイプの材料に加えて、液体担体を含むことができる。その他さまざまな材料が、コーティング剤として、またはそれ以外に、単位剤形の物理的形状を変更するために存在することが可能である。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルをセラックでコーティングすることができる。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤、保存剤としてのメチルパラベンおよびプロピルパラベン、ならびにサクランボ風味またはオレンジ風味などの香料を含むことが可能である。当然ながら、任意の単位剤形を調製するのに用いる材料は、薬学的に純粋であり、使用される量において、実質的に非毒性でなければならない。さらに、活性化合物を徐放性の調製物または処方剤に取り込むことも可能である。
一つの実施態様において、前記処方剤が本来結晶性であるため、2−DGは、後でデカンテーションを行って、患者に経口投与するための飲用液とするために小袋に詰めておく。この実施態様において、飲用液はシロップ、または、より簡便には、水、フルーツジュース、商標Crystal Light(Kraft)、またはコーラなど、一般に飲用されている液体であってもよい。通常、本発明の処方剤に2−DGを溶解、希釈、または懸濁するために使用される液体はグルコースを含まない。別の実施態様において、2−DGは、約10mgから約10gの範囲内の量の2−DGを含む錠剤またはピルとして処方される。いくつかの実施態様において、各錠剤またはピルは、約100mgから約5gの2−DGを含む。一つの実施態様において、各錠剤またはピルは、1gの2−DGを含む。
本発明の方法において有用な2−DGの処方剤には、経口投与および非経口注射に適したものがあるが、これらに限定されない。非経口注射(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、腫瘍内への注射)のために、2−DGを、注射に適した滅菌溶液に溶解または懸濁する。非経口投与のために、本発明の2−DG処方剤は、一つ以上の薬学的に許容される成分、例えば、等張化剤(NaCl、マンニトールなどを含むが、これらに限定されない)、抗酸化剤(重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などを含むが、これらに限定されない)、および保存剤(ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルパラベンとプロピルパラベンの混合物などを含むが、これらに限定されない)などと混合された2−DGを含むことができる。一つの実施態様において、本発明の方法において有用である適当な液剤は、50から250mg/mLの範囲内の濃度で2−DGを含む。一つの実施態様において、2−DGの濃度は100mg/mLである。
経口投与するには、2−DGを、錠剤、カプセル、カプレット、および溶液(例えば、投与用の滅菌溶液に溶解または懸濁したもの)という剤形など、経口投与に適した形態で投与することができる。経口投与のために、保存剤を含まない処方剤、または保存剤を含む処方剤のいずれかを使用することができる。本発明の方法において有用な、保存剤を含む経口用液体処方剤に使用することができる保存剤の具体例は、ベンジルアルコール(0.1〜1%)、メチルパラベン(0.05〜0.5%)、プロピルパラベン(0.01〜0.1%)、およびメチルパラベンとプロピルパラベンの混合物があるが、これに限定されるものではない。一つに実施態様において、液体2−DG処方剤は、100mg/mLの2−DG、0.18%メチルパラベン、および0.2%プロピルパラベンを含む。本発明の別の処方剤において、2−DGは、本来、固体か非結晶質か結晶質であり、患者に経口投与するための液体に溶解するよう、小袋またはその他の容器にパッケージされている。一つの実施態様において、結晶性の2−DGを一つ以上の保存剤と混合して、本発明の安定した処方剤を調製する。別の実施態様において、この2−DGを、約50mgから約5gの範囲で2−DGを含む錠剤またはピルとして処方する。
2−DGを経口投与するための代表的な医薬処方剤の調製を、以下のようにして行うことができる。一つの実施態様において、100mgから1gの2−DGを含む硬質シェルのゼラチンカプセルに、2−DGを分注し、任意には、約0.5%(重量/重量)のステアリン酸マグネシウムを加えることができる。さらに、2−DGとラクトースの混合物をカプセルで使用することができる。別の実施態様において、2−DG(ラクトースの有無および量に応じて20.0%〜89.9%)、ステアリン酸マグネシウム(0.9%)、デンプン(8.6%)、任意にはラクトース(0〜69.6%)およびPVP(ポリビニルピロリジン;0.9%)は、ステアリン酸マグネシウムを除けば、混合し、造粒液として水を使用して顆粒化される。そして、この処方剤を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと混合してから、タブレット形成機で錠剤にする。別の実施態様において、2−DGを、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、およびポリソルベート80の混合液に溶解させ、水を加え、得られた混合液をボトルに分注する。別の実施態様において、2−DG(20%〜60%重量/重量)、ピーナッツオイル(38%〜78%)、および2.0%(重量/重量)Span60の混合液を調製して、融解し、混合して、軟カプセル剤に充填する。
別の実施態様において、純水中2−DG(100mg/mL);メチルパラベン、NF(1.8mg/mL);およびプロピルパラベン、NF(0.2mg/mL)の液剤を、以下の通りに、40mLの透明1型ガラスバイアル(ねじ蓋付き)の中で調製する。呼び充填量は20mLであり、目標充填量は23mL(製造過程範囲:22〜24mL)である。バッチ量の約40%の純水を、適当なサイズの容器に入れる。この水を70±5℃まで加熱し、この温度で維持する。正確に秤量されたメチルパラベンおよびプロピルパラベンを熱水に移して、溶解するまで混合する。溶解が完了した後、2−DGを加え、溶解するまで混合した。この溶液を、純水で最終容積または最終重量(密度=1.025g/mL)まで希釈し、完全に混合してから、溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過して、清潔な受容容器に入れる。この溶液をバイアル瓶に充填して、バイアルに蓋をする。製造過程で、外観、pH(5.0から7.0の範囲)、およびHPLC(95.0から105.0mg/mLの範囲)による2−DG含有量のチェックを行う。
また、2−DGは非経口的または腹腔内に投与することもできる。非経口投与には、2−DG溶液を、静脈内注射によって、一般的には、薬品を注射用滅菌水、注射用静菌水、塩化ナトリウム注射剤(0.45%、0.9%)、デキストロース注射剤(2.5%、5%、10%)、乳酸加リンガー液などで希釈して投与することができる。ただし、好適な態様では、使用される処方剤は、実質的にグルコースを含まないか、またはグルコースを含む複合糖類を含まない。遊離酸または薬学的に許容される塩として、活性化合物の溶液を、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水で調製することができる。また、分散液も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物の中、ならびにオイルの中で調製することができる。通常の保存および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を抑制する保存剤を含む。
注射用に適した薬剤形態には、無菌の注射用の溶液または分散液を即時調製するための無菌の水溶液または水分散液、および無菌粉末を含む。すべての場合に、形状は無菌性でなければならず、最終的な形状では、注射器に容易に充填できる程度の流動性がなければならない。製造および保存状態では安定していなければならず、微生物や菌類などの混入から保存されなければならない。
無菌注射液は、適当な溶媒の中に必要とされる量の活性化合物を、上に列挙したその他さまざまな成分とともに取り込み、その後、必要に応じて、濾過滅菌を行って調製する。一般に、分散液は、さまざまな無菌の活性成分を、塩基性分散媒と、上に列挙したものに由来するその他の成分で必要とされるものとを含む無菌賦形剤の中に取り込んで調製される。無菌注射液を調製するための無菌粉末の場合、好適な調製法は、真空乾燥法および凍結乾燥法であるが、これらは活性成分に加えて、滅菌濾過しておいたその溶液に由来する別の所望の成分の粉末をもたらす。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」には、あらゆる溶剤、分散媒、培養液、被覆剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などがある。このような培地および薬剤を薬学的に活性のある物質のために使用することは、当技術分野においてよく知られている。既知の通常の培地または薬剤が活性成分と適合しない場合を除き、本発明の治療用化合物にそれを使用することが考えられる。補助的活性成分を、本発明の化合物に組み込むこともできる。
前節までで本発明を詳細に説明してきたが、本発明の一定の態様を説明するために、以下の実施例を提供するが、それらは、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
解糖阻害剤と化学療法との組み合わせ:固形腫瘍患者における、2−デオキシグルコースとドセタキセルの第一相試験
低酸素症に関連する、固形腫瘍のゆっくりと増殖する細胞集団は、化学療法剤に対して並はずれた耐性形態を示すが、これらの腫瘍細胞の嫌気性代謝も、2−DGなどの解糖阻止剤に対する選択ウインドウを提供する。したがって、ヒト骨肉腫細胞株およびヒト肺がん細胞株のマウスへの異種移植片において、アドリアマイシンまたはパクリタキセルと併用した2−DGを用いて、既に実証されているように(Cancer Res; 2004 64:31−4)、(急速に分裂する細胞を標的とするための)化学療法剤と(緩やかに分裂する細胞を選択的に死滅させるための)2−DGの併用剤が、どちらの薬剤を単独で使用した場合よりも有効であるかもしれない。
第I相人体臨床試験は、以下目的で実施された:(1)進行した固形悪性腫瘍の患者であって、以前化学療法に失敗したか、または利用できる標準的な治療処置が存在しない患者に、単独で、または週1回ドセタキセルと併用して投与される2−DGの一日あたりの経口投与量の最大耐用量(MTD)を決定するため;(2)進行した固形悪性腫瘍を患う被験者に、単独で、または週1回ドセタキセルと併用して投与したときの、単回投与後または複数回投与後の2−DGの薬物動態(PK)を評価するため;および(3)単独で、または週1回ドセタキセルと併用して投与された2−DGの、腫瘍による18F−フルオロデオキシグルコースの取り込みに対する生物学的効果を、陽電子放出型断層撮影法(FDG−PET)を用いて評価するため。
この試験では、2つの実験が行われた。最初の実験では、2−DGを、2mg/kgという用量から開始して、1週間おき(8週からなる毎サイクルの1週目、3週目、5週目、および7週目)に7日間、1日に1回経口投与し、ドセタキセルを、4週間毎に2週目から3週間(8週からなる毎サイクルの2、3、4、6、7および8週目)、週の第1日目に1時間にわたって30mg/mでIVにより投与した。各用量レベルで単一の被験者を加入させ、用量制限毒性(DLT)が起きるまでの用量増加を100%とする修正加速滴定デザイン法(modified accelerated titration design)を用いた。次に、3〜6人の患者のコホートを、40%の用量増加になったところで加入させた。MDTは、それ以下のレベルで、3〜6人の患者において2DLTをもたらした用量レベルのことである。もう一つの実験では、2−DGを、2mg/kgという用量から開始して、21日間毎日1回ずつ経口投与した後、1週間投与せず、その後21日間投与し(8週からなる毎サイクルの第1、2、3、4、6、7、および8週目)、ドセタキセルを、4週間毎に2週目から3週間(8週からなる毎サイクルの2、3、4、6、7および8週目)、週の第1日目に1時間にわたって30mg/mでIVにより投与した。
薬物動態。2−DGをPK解析するために、第1週の1日目および5日目ならびに第3週の1日目に、血液のサンプルを採取した(サンプリング時間:投薬後0.5、1、2、4、6、8、12、および24時間)。ドセタキセルをPK解析するために、第2週および第3週の1日目に、血液のサンプルを採取した(サンプリング時間:投薬後0.5、1、2、4、6、8、12、および24時間)。2−DGをPK解析するために、第1週の1日目および5日目ならびに第3週の1日目に、尿のサンプルを採取した(投薬前、および投薬後0〜4、4〜8、8〜12、および12〜24時間)。有効なLC/MS/MSアッセイ法を用いて、2−DGの血漿濃度および尿中濃度、ならびにドセタキセルの血漿濃度を解析した。
薬力学的評価。第1週の1日目および5日目、ならびに第2週および第3週の1日目(投与前、および投与後0.5、1、2、4、6、8、12、および24時間)の血漿中グルコースを、ヘキソキナーゼ−グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ・グルコース解析法を用いて測定したが、これは2−DGと交差反応しない。治療開始時、および各サイクルの終わりに、ヘモグロビンA1c(Hgb A1c)を測定した。第1週の1日目および5日目、ならびに第3週の1日目に、投与前、および投与後1、4、および24時間目の血漿中インシュリンを測定した。治療開始時、および第1、2および3週の7日目にFDG−PETを測定した。
抗腫瘍活性。治療後8週間経過するごとに、RECIST基準に従って、反応を評価した。さまざまなタイプの悪性腫瘍(すなわち、非小細胞肺がん(NSCLC);肝転移を起こした小細胞舌原発がん;小細胞肺がん;類基底型非小細胞肺がん;気管の腺様嚢胞がん;肺転移を起こした耳下腺腺様嚢がん腫;転移性乳がん;髄様乳がん;頭頸部がん;右側頭骨へ転移した腺様嚢胞がん;原因不明の腺がん;測定可能な皮膚の固形腫瘍を引き起こしているT細胞非ホジキンリンパ腫;乳房に生じた大細胞リンパ腫(胸部および頸部の固形腫瘍以外は除去された腫瘍);頭皮の腺がん;軟口蓋の転移性扁平上皮がん;甲状腺がん;および前立腺がん)を患っている患者21名が、最大88mg/kgまでの2−DG投与試験に参加した。1名の患者が、有害事象(ドセタキセル関連感覚性ニューロパシー)のために中止した。DLTの単独症例が生じた:一過性無症候性(64mg/kg)および症候性(88mg/kg)のグレード3高血糖。MTDには達しなかった。
治療後の腫瘍評価を受けた20名の患者中8名で、疾患が安定した(NSCLC、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺様嚢胞がん、原発巣不明、3例の頭頸部がん)。乳がん患者1名で部分寛解が起こり、PETによって、2−DG単独投与後に全ての病変部において標準取り込み値が減少したことが明らかになった。11名の患者で、進行性疾患の最良の反応が見られた。最も一般的な非血液学的な有害事象は倦怠感、眩暈および発汗であった。2−DGを単独で投与している間、血液毒性は生じなかった。3名の患者が、グレード2の好中球減少症を発症したが、誰もグレード1の好中球減少症にはならなかった。3名の被験者が、重篤な有害事象(SAE)、胃炎の悪化、術後呼吸抑制ならびに今まで未確認の脳転移に起因する感覚異常および知覚麻痺を発症した。
図1および4に示したように、2−DGは、単回投与および複数回投与の後、調べられた用量範囲(2〜88mg/kg)で、直線的な薬物動態を示している(最大血漿濃度(Cmax)、および血漿濃度曲線下の最大持続面積(AUC))。2−DGは、5〜10時間の消失半減期で急速に吸収される(Tmax0.5〜1時間)。2−DGは、63および88mg/kgで半減期が伸びた結果としての多重投与に際しても蓄積は少ない。図2に示されているように、PK解析では、2−DGとパクリタキセルの間の相互作用は明らかにならなかった。2−DGの動態は、ドセタキセルにより変化せず、またドセタキセルの動態も2−DGによって変化しない。
薬力学的評価(FDG−PET)。10人の患者が、治療開始時と第2週の1日目(2−DGの1週間後、およびドセタキセルの前)に治療後FDG−PETを受けた。RECISTによってPRであることが確認された1名の患者で、2−DGの1週間後に両方の病変部のSUVが減少した。
図3は、平均血清グルコース量を示す。血清グルコースは、2−DGと競合するため、急速に増加するが、投与後24時間までには、ほとんどの患者で治療開始時のレベルに戻る。その効果は、投与して5日目(第1週5日目)までには弱まる。デキサメタゾンの前投薬(ドセタキセルのため)の効果は、2−DGの効果に類似している(第2週1日目;2−DG無投与)。デキサメタゾンと2−DGを投与すると、第3週(第3週1日目)までには、グルコース反応が、これら2つの薬剤を個別に投与した場合の反応に類似する。2−DGの投与量の増加に伴って血清中グルコースが増加する傾向にあるが、被験者間の変動は大きかった。治療の前後にHgb A1c測定を受けた5人の患者では、調べてみると、最大の増加は、8週間後の0.5%であった。
これらの結果は、2−DGとドセタキセルの併用が安全であって、抗腫瘍活性を示すことを明らかにしている。効能を高めるため、本発明の方法に従って、2−DGの連続的な毎日投与を、ドセタキセルの毎週投与と併用して行うことができる。
本発明を、その具体的な実施態様に言及しながら説明してきたが、当然のことながら、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな改変を加えることができ、また等価物で代替できることを理解しているはずである。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明によって提供される利益を達成するために、特定の状況、材料、物質の組成、方法、工程に合わせて、数多くの変更を加えることができる。そのような変更はすべて、本明細書に添付した請求の範囲に含まれるものである。本明細書で引用された全ての刊行物および特許文献は、該刊行物または文献がそれぞれ具体的かつ個別に、参照されて本明細書に組み込まれると示されているのと同様に、参照されて本明細書に組み込まれる。刊行物および特許文献の引用は、該文献が、関連する先行技術であると示すものでも、それらの内容および日付について容認するものでもない。
各人における2−DGの最大血漿濃度(Cmax)をプロットした図。第1週1日目(実線);第1週5日目(点線);第3週1日目(一点鎖線)。このプロット図では、一点鎖線と実線は重なっている。 2−DGを単独で、またはドセタキセルと併用して投与したときの血漿中2−DG濃度を用量について標準化したプロット図を示す。 投薬後の血清中グルコース濃度を示す(すべての用量レベルの平均)。 調べた2−DG投与範囲(2〜88mg/kg)における血漿濃度曲線(AUC)の下での最大持続面積(sustained area)を示す。説明は図1に同じ。

Claims (13)

  1. 治療上有効な用量の2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)を患者に投与して、各回投与後に少なくとも約125μg/mLのCmaxをもたらすことを含む、がん患者のがんを治療する方法。
  2. maxが約250μg/mLを超えない、請求項1記載の方法。
  3. maxが約175μg/mLを超えない、請求項1記載の方法。
  4. 患者の体重1kg当り60mgよりも多い日用量の2−DGを患者に経口投与して得られる治療上有効用量の2−DGを投与して、少なくとも約125μg/mL以上のCmaxをもたらすことを含む、がん患者のがんを治療する方法。
  5. 2−DGを約90mg/kgの日用量で経口投与して、少なくとも約150μg/mLのCmaxを達成させる、請求項4記載の方法。
  6. 2−DGを、少なくとも3週間、少なくとも1週間当り5日間連続して毎日投与する、請求項4記載の方法。
  7. 2−DGを、少なくとも1ヶ月間毎日投与する、請求項4記載の方法。
  8. 2−DGを最初に投与してから0.5時間より早くCmaxに達しない、請求項1記載の方法。
  9. 2−DGを最初に投与してから約0.5時間から約2時間内に血清中でCmaxに達する、請求項1記載の方法。
  10. がんが、非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺様嚢胞がん、乳がん、および頭頸部がんからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか記載の方法。
  11. がんが多剤耐性がんである、請求項10記載の方法。
  12. 非小細胞肺がん、非ホジキンリンパ腫、甲状腺がん、気管の腺様嚢胞がん、乳がん、および頭頸部がんからなる群から選択されるがんを治療する方法であって、2−デオキシ−D−グルコース(2−DG)を複数回投与して、各回投与後に少なくとも約125μg/mLのCmaxを達成する方法。
  13. ドセタキセルが2−DGと同時に投与される、請求項12記載の方法。
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