JP2008539765A - 移植片拒絶反応および自己免疫疾患における、同種異系抗原または自己抗原に対する細胞応答の分子精査 - Google Patents
移植片拒絶反応および自己免疫疾患における、同種異系抗原または自己抗原に対する細胞応答の分子精査 Download PDFInfo
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Abstract
同種異系抗原、組織特異抗原(例えば自己免疫疾患に関与する膵島抗原もしくは他の自己抗原)、または自己(もしくは宿主)抗原に対する抗原特異的T細胞応答は、移植片拒絶反応または再発性自己免疫の初期に検出される。末梢血における細胞傷害性リンパ球遺伝子(CLG)発現の上昇は、有害な免疫応答の発生の危険因子であり、それは機能分析によって確認してもよい。例えば、T細胞による調節性または炎症性サイトカインの産生の識別は、誘導されている免疫応答の型を精査し得る:1型糖尿病を処置するために用いられる移植された膵島細胞の生存をモニタリングしてもよく、移植片拒絶反応(すなわち同種異系抗原標的)による移植片の喪失を、自己免疫疾患(すなわち自己または宿主抗原標的)から識別してもよい。
Description
本発明は、同種異系抗原、組織特異抗原(例えば自己免疫疾患に関与する膵島抗原もしくは他の自己抗原)、または自己(もしくは宿主)抗原に対する抗原特異的T細胞応答の早期検出に関する。末梢血におけるグランザイムB、パーフォリン、Fasリガンド、またはそれらの任意の組み合わせの発現の上昇は、移植した細胞または宿主細胞に対する有害な免疫応答の発生の危険因子であり、それは抗原特異的T細胞の機能分析によって確認してもよい。
関連出願の相互参照
本出願は2005年5月13日に出願された米国特許出願第60/680,503号の恩典を主張する。
本出願は2005年5月13日に出願された米国特許出願第60/680,503号の恩典を主張する。
発明の背景
先行技術において、同種移植片のレシピエントである患者または自己免疫疾患に罹患した患者におけるT細胞の特徴は、矛盾した報告をもたらした。フローサイトメトリーによる免疫表現型の決定は、一般に活性化マーカーの発現、およびより近年には細胞内サイトカインプロファルに重点が置かれてきた。拒絶反応対臨床的に安定な患者における、または自己免疫疾患の異なる病期の複数の患者における一貫性の欠如は、末梢血細胞での測定と、標的組織において何が生じているかの関連性の欠如に起因すると仮定されてきた。または、自己免疫疾患を有する患者において、アッセイは疾患の進行に伴って生じる免疫状態の変化を捕捉し得ない。さらに複雑にする要因は、検出することができる推定上の自己抗原特異的T細胞の数を増加させるためにルーチン的に行われているような、細胞を活性化するための非特異性の刺激の使用である。
先行技術において、同種移植片のレシピエントである患者または自己免疫疾患に罹患した患者におけるT細胞の特徴は、矛盾した報告をもたらした。フローサイトメトリーによる免疫表現型の決定は、一般に活性化マーカーの発現、およびより近年には細胞内サイトカインプロファルに重点が置かれてきた。拒絶反応対臨床的に安定な患者における、または自己免疫疾患の異なる病期の複数の患者における一貫性の欠如は、末梢血細胞での測定と、標的組織において何が生じているかの関連性の欠如に起因すると仮定されてきた。または、自己免疫疾患を有する患者において、アッセイは疾患の進行に伴って生じる免疫状態の変化を捕捉し得ない。さらに複雑にする要因は、検出することができる推定上の自己抗原特異的T細胞の数を増加させるためにルーチン的に行われているような、細胞を活性化するための非特異性の刺激の使用である。
明らかに、フローサイトメトリーに基づく方法単独の欠点の1つは、抗原特異的または非特異的刺激により関心対象のT細胞クローンのクローンを最初に増大することなく、末梢血中のまれな事象である抗原特異的T細胞の機能的状態を有効に検出できないことである。非特異的刺激が抗原特異的T細胞の数を増加させる一方、関心対象のクローンではない残りの細胞も増大されるであろう。関心対象の開始T細胞クローンが複雑化を排除するのに十分頻出しない限り、最終結果は、関心対象の抗原特異的T細胞集合のさらなる希釈であり、これらの細胞を正確に検出できないことであり得る。例えば四量体技術については、抗原特異的および非特異的T細胞活性化技術の両方を組み合わせることにより、ある程度まで対処される。さらに、インビトロでの非特異的活性化は、インビボでの状況を反映しないT細胞機能性状態の変化をもたらし得る。まれな事象である抗原特異的T細胞の機能性状態の改善された分析は、そのような変数を除外するのに必要である。さらに、貧血、患者に対する不便、制限された研究者資源、および輸送による試料劣化を含む、患者採血に関連するロジスティックな問題は、比較的数少ない所定の時点(例えば3ヵ月ごと)で血液を得るように、治験を設計することを必要するが、それにも関わらず各個人は、各自の時間枠において移植片喪失またはその後の疾患病期へ進行するであろう。これは、従来の所定の周期的な血液採取時間が、宿主または移植片組織が破壊されそうであるかまたは破壊されているという正の知見を時折もたらすだけであることを意味する。これは、大部分の免疫性事象は患部組織中に生じ、かつ細胞が標的組織部位に移動するにつれて捕獲される場合に末梢血中でまれに発生する細胞が検出されるだけであろうという事実によってさらに複雑になる。または、組織破壊が進んだ場合、細胞が末梢血に再度入り得る組織破壊の最終段階において細胞を検出することが可能であった。本発明者らの知見(すなわち臨床症状がない場合、および移植片喪失後に存在するCLG上昇)は、この論点を支持する。
本発明は、まれな事象である活性化T細胞またはエフェクターT細胞が末梢血中に存在することを、抗原非特異的様式で最初に決定した後、末梢血中の抗原特異的T細胞(同種異系抗原、自己抗原、または自己抗原標的に反応性)の機能性状態を決定するプロセスを提供する。本発明者らが以前に公開した結果は、RT-PCRによる細胞傷害性リンパ球遺伝子(CLG)発現の分析が、膵島レシピエントにおける拒絶反応の検出およびもしかすると予測を可能にすることを実証した。CLG発現の増加は、移植片拒絶反応の臨床症状の発症の前に数週間生じた;同様に重要なこととして、臨床症状の発症時(例えば血液グルコースレベルの増加、インシュリン必要量の増加)に、CLG発現は陰性であった。その後の移植片レスキューにより拒絶反応の化学マーカーが宿主の治療的操作を可能にする臓器移植とは異なり、膵島同種移植片拒絶反応を逆転させることは臨床的に不可能であった。これは、膵島塊の大部分が既に、臨床症状が生じるまでに失われているという事実に起因する可能性が最も高い。
これらのデータは、末梢血リンパ球(PBL)の分析結果が移植片の状態と再現性よく相関し得ない理由についての手掛かりを提供する。細胞表面および細胞内マーカーの発現についてのフローサイトメトリーに基づく分析、もしくはELISPOT、MLR、四量体、または抗原特異的T細胞の検出のための他の技術の使用など、PBL分析のための現在の方法は、これらのまれな事象の細胞を検出するのに十分感受性であり得ない。理論的に、一旦リンパ球が移植片部位に向かうと、移植片の部位で破壊性クローンの増大が起こり、末梢血中ではそのような反応性の細胞はもはや検出できない。この仮定は、移植片の機能不全の徴候(インシュリン依存性への回帰、不安定な糖血症制御)の時点で検出できないCLG発現、およびそれに続き移植片機能が明らかに劣化した後のCLG発現が増加へ戻ることを示す本発明者らのデータによって支持される。Han et al. Diabetes 53:2281-2290 (2004)(非特許文献1)を参照されたい。ステロイドを含まない免疫抑制によって処置した膵島移植片宿主の末梢血の表現型分析は、全ての細胞サブセットの減少が、免疫抑制治療計画によって処置された患者において見出される白血球数(WBC)の減少と相関して生じることを実証する。安定な移植片機能を有する宿主について、これらの数は減少したままであるが、機能を失う宿主は全ての細胞集団をおよそベースラインレベルまで徐々に取り戻し、加えて活性化マーカーを発現するT細胞が増加する。
血糖値の上昇、外部からのインシュリン投与への回帰、またはインシュリン用量の増加(膵島の大部分が喪失した後生じる)以外、膵島喪失の生化学的指標はないが、分子アッセイは、高血糖症の発症前に、末梢血中の活性化されたエフェクターT細胞を検出するのに十分感受性であろう。CLG発現の増加の以前の報告、ならびにマウスおよびヒトにおける進行中の腎臓同種移植片拒絶反応との相関は、CLG発現の増加が膵島拒絶反応の予測となるかどうかという疑問を、本発明者らにもたらした。Strehlau et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:695-700 (1997)(非特許文献2); Vasconcellos et al. Transplantation 66:562-566 (1998)(非特許文献3); Sabek et al. Transplantation 74:701-707 (2002)(非特許文献4)を参照されたい。本発明者らは、CLG発現の増加は臨床的不安定性の発症に数週間先行することが見出されたことを、最初にNHPにおいて、次いで膵島同種移植片のヒトレシピエントにおいて実証した。Han et al. Diabetes 51:562-566 (2002)(非特許文献5)およびHan et al. Diabetes 53:2281-2290 (2004)(非特許文献1)を参照されたい。この免疫活性化は、時間がかかり、高価で、かつ本発明よりも大量の血液容量を必要とする細胞に基づくアッセイにおいては検出されなかった。本明細書において提示される結果は、CLG発現の増加が、免疫活性化、および同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)の認識の初期の前兆であることを示す。
細胞アッセイの必要性を示唆する分子アッセイにおけるCLG発現の増加の利用は、免疫を介する疾患に対する処置の動物実験および臨床試験におけるモニタリングを容易にするであろう。細胞アッセイの時間がかかる性質、大量の血液の必要性(一般的に最大80 mLの血液)、およびそのようなアッセイの複雑性により、先行技術において血液試料は頻繁に採取されなかった(例えば3ヶ月間隔)。しかしながら各被験体(すなわち動物モデルまたは患者)は、異なる速度で移植片拒絶反応または再発性自己免疫疾患へ進行するであろう。決定的な(情報価値のある)細胞はまれであり、それらは被験体の末梢血中に存在する場合でさえ検出するのは難しい。さらに、症状が明らかになる時までに、決定的な細胞はすでに移植片または疾患の部位へ移動している可能性があり、したがって末梢血には存在しない。分子アッセイはまれな事象の細胞においてシグナルの増幅を可能にし、必要とする血液試料(最大10 mL)は少量であり、したがって患者試料はより頻繁に採取することができる。本発明者らは、CLG発現の増加は抗原特異的免疫応答が開始されたという初期の前兆であり、次いで特異的抗原による刺激を含むより複雑な細胞性(すなわち機能性)アッセイが実施され得ることを以下に示す。
本発明のさらなる目的および利点を次に記載する。
Han et al. Diabetes 53:2281-2290 (2004)
Strehlau et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:695-700 (1997)
Vasconcellos et al. Transplantation 66:562-566 (1998)
Sabek et al. Transplantation 74:701-707 (2002)
Han et al. Diabetes 51:562-566 (2002)
発明の概要
本発明の目的は、被験体における移植片(すなわち臓器移植、組織様膵島、幹細胞などの細胞)の1つまたは複数の同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)に対する抗原特異的T細胞応答の発症に対する危険因子を同定することである。被験体は、ヒト患者または動物の疾患もしくは移植モデルであってよい。移植片拒絶反応および活自己免疫疾患を仲介する活性化された抗原特異的T細胞による細胞または組織破壊の前に、グランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンドの少なくとも1つの発現の増加を検出することができるという利点がある。
本発明の目的は、被験体における移植片(すなわち臓器移植、組織様膵島、幹細胞などの細胞)の1つまたは複数の同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)に対する抗原特異的T細胞応答の発症に対する危険因子を同定することである。被験体は、ヒト患者または動物の疾患もしくは移植モデルであってよい。移植片拒絶反応および活自己免疫疾患を仲介する活性化された抗原特異的T細胞による細胞または組織破壊の前に、グランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンドの少なくとも1つの発現の増加を検出することができるという利点がある。
本発明の一つの態様において、試料を被験体から得;グランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンド(すなわち細胞傷害性リンパ球遺伝子)からなる群の少なくとも1つの発現を測定し;および1つまたは複数のCLGの発現が増加する場合、機能分析によって、少なくとも同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するT細胞の存在を検出する。免疫活性化および炎症に関連する他の遺伝子の発現の変化は、「分子フラグ」として用いてもよく、機能分析が少なくとも同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するT細胞の存在を確認することを示唆する。
診断およびこれらの抗体を含む診断キットの作製のために、リンパ球特異的抗体の組み合わせを用いるプロセスもまた提供される。しかしながら、プロセスの特定の工程が製品の請求項に再度引用されない限り、製品を対象とした請求項はこれらのプロセスに必然的に限定されないことに留意すべきである。本発明のさらなる局面は、以下の特定の態様および特許請求の範囲の記載、ならびにそれらの総括から、当業者に明らかであろう。
本発明の特定の態様の説明
細胞傷害性リンパ球遺伝子(CLG、好ましくはグランザイムB)発現は、RNA転写のレベルで(例えばマイクロアレイもしくは他のハイブリダイゼーション技術、ヌクレアーゼ保護、プライマー伸長法、プローブハイブリダイゼーション、RT-PCR)、またはタンパク質翻訳レベルで(例えばクロマトグラフィーもしくは電気泳動による分離;イムノアッセイ、質量分析法、もしくはNMRによる検出;ELISA、免疫蛍光染色、免疫組織化学、もしくはウエスタンブロットのような技術)、測定してもよい。CLG発現の増加は、疾患の処置(例えば免疫抑制治療計画)に先立って、または移植の前に、健康状態で確立されたベースラインと比較して検出してもよい。または、処置の開始後もしくは移植後に採取された一連の試料の中の、成功した試料間の比較、または移植後すぐの頻繁な試料採取が自己免疫もしくは移植片拒絶反応の早期検出を可能にする他の分析によって、増加を検出してもよい。
細胞傷害性リンパ球遺伝子(CLG、好ましくはグランザイムB)発現は、RNA転写のレベルで(例えばマイクロアレイもしくは他のハイブリダイゼーション技術、ヌクレアーゼ保護、プライマー伸長法、プローブハイブリダイゼーション、RT-PCR)、またはタンパク質翻訳レベルで(例えばクロマトグラフィーもしくは電気泳動による分離;イムノアッセイ、質量分析法、もしくはNMRによる検出;ELISA、免疫蛍光染色、免疫組織化学、もしくはウエスタンブロットのような技術)、測定してもよい。CLG発現の増加は、疾患の処置(例えば免疫抑制治療計画)に先立って、または移植の前に、健康状態で確立されたベースラインと比較して検出してもよい。または、処置の開始後もしくは移植後に採取された一連の試料の中の、成功した試料間の比較、または移植後すぐの頻繁な試料採取が自己免疫もしくは移植片拒絶反応の早期検出を可能にする他の分析によって、増加を検出してもよい。
試料中の抗原特異的リンパ球(特にT細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞の存在は、以下についての細胞の機能分析(例えば細胞増殖、サイトカイン産生およびプロファイリング、ELISPOT、免疫表現型、限界希釈分析、混合リンパ球反応、特異的抗原による刺激、四量体染色)によって確認してもよい:(i)抗原特異性(例えば同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen))、(ii)主要組織適合性複合体(MHC)拘束性(例えばドナーまたは宿主/レシピエントMHC)、および(iii)抗原特異的リンパ球またはNK細胞の活性化状態。機能分析において、特異的抗原による刺激;MHC拘束性抗原提示;および/または特異的リンパ球サブセットの増殖、活性化マーカーの発現、サイトカインもしくはケモカイン産生、サイトカインもしくはケモカイン受容体の活性、遺伝子発現の変化、またはそれらの任意の組み合わせの測定が組み入れられることが好まれる。臨床的介入(例えばステロイドを含まない免疫抑制)を、試料中に検出されるリンパ球およびNK細胞による標的細胞の破壊を阻止するために開始してもよい。
ドナーから宿主(またはレシピエント)に移植されてもよい実質臓器およびそれらの細胞の例は、他の細胞および組織タイプと同様に、以下を含む;骨髄、心臓、肝細胞、腎臓、肝臓、肺、神経細胞、膵臓、膵島細胞、および幹細胞(造血幹細胞、間葉幹細胞、胚性幹細胞、他の幹細胞タイプ、または幹細胞由来組織)。移植片拒絶反応は移植した組織の破壊をもたらす。臓器特異的自己免疫疾患は、アジソン病、1型糖尿病、グレーブス病、および橋本甲状腺炎、特に再発性または回帰性の性質を持つ自己免疫疾患を含む。最初の試料は、免疫介入の開始または免疫抑制および移植に先立って得ることが好ましい。
被験体から得る試料(例えば末梢血、間質液、リンパ、血奬、血清、ドナーもしくは宿主の他の液体または組織)は、1 mL、3 mL、5 mL、または10 mL未満の容量であってよい。患者の指を刺し、血液を保存用の吸収性物質に滴下させ、その後乾燥試料を分析することが可能であった。少なくとも日に1回、週1回、2週間に1回、月1回、または2ヶ月に1回の間隔で、試料を被験体から得た。最初の試料は、移植の24時間、1週間、2週間、3週間、または1ヶ月以内に被験体から得てもよく;プレ試料は、免疫抑制(すなわち移植のプレ処置)および/または移植の前に被験体から得てもよい。
一つの態様において、宿主による移植片拒絶反応は、自己免疫の再発と識別することができる。膵島移植の文脈において、膵島破壊は同種異系抗原、自己抗原、またはそれらの組み合わせの認識によって仲介されることもある。したがって、抗原活性化T細胞の機能性能力(例えばドナー細胞を用いて同種異系抗原特異的T細胞を活性化する、および標的組織の自己抗原由来のペプチドプールを用いて自己免疫T細胞を活性化する)を、増殖性能の分析、調節性または炎症性サイトカインのプロファル間の識別、異なる細胞サブセット(例えば調節性対エフェクター細胞)に関連する細胞内または細胞表面タンパク質の発現、ならびに活性化マーカーの発現によって決定することが好ましい。抗原活性化リンパ球による増殖性能の欠如は、抗原特異的細胞が末梢血から除去されたこと、または調節性細胞がそのような増殖を抑制していることを示す。抗原特異的調節性細胞は、分化マーカー(Foxp3、サイトカイン、ケモカイン)のそれらの発現、細胞表面マーカー発現、および分泌されたサイトカインプロファルによって検出可能であるべきである。調節性サイトカインプロファル(例えばIL-10および/もしくはTGF-β)または炎症性サイトカインプロファル(例えばIFN-γおよび/もしくはTGF-α)は、特異的抗原による刺激後に検出可能であり、T細胞サブセット(例えばCD4+対CD8+)を決定することができる。単一の細胞のレベルで、細胞内サイトカインの産生は分泌されたサイトカインと識別され得る:例えばフローサイトメトリーは、細胞透過処理後に細胞内サイトカインを検出することができ、ELISPOTは細胞によって分泌されたサイトカインを検出することができる。
機能分析は、ドナーもしくは宿主MHCまたは組織抗原、抗原提示細胞(例えばB細胞、樹状細胞、マクロファージ、もしくはドナー組織の任意の供給源)、サイトカインもしくは増殖因子、内因性もしくは外部から添加された抗原(例えば同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、もしくは自己抗原(self antigen))、阻害性もしくは刺激性抗体もしくは可溶性媒介物質、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。試料の少なくとも細胞および/または可溶性因子(例えばサイトカインもしくはケモカイン)は、アッセイの他の構成要素と相互作用し(例えば、細胞間もしくは受容体-リガンド結合間の物理的接触によって)、結果が測定される。免疫反応のインビトロ検出は、宿主(もしくはレシピエント)におけるインビボでの自己免疫疾患もしくは移植片拒絶反応の発生、またはそのような有害な事象の発生の可能性の指標となる。疾患もしくは拒絶反応のプロセスにおいて組織破壊を防止するまたは回復させるのに十分初期に検出が生じる(例えば「実質的な」組織破壊は、高血糖症または外部からのインシュリン投与の必要性などの生理的変化によって検出してもよい)ことが好ましい。
本発明の好ましい態様は、マルチパラメーターフローサイトメトリーである機能分析を含む:抗体の異なる標識、試料の細胞またはそこから単離された細胞への同時結合、どのサブセット(例えばCD4+またはCD8+ T細胞)が抗原刺激に応答しているかの決定(抗原およびMHC認識の推測)、細胞が増殖性能を有するか否か、活性化マーカーが細胞上で発現しているか否か、ならびに炎症性または調節性サイトカインが産生されているか否か(例えばエフェクター対調節性T細胞)によって識別可能かつ分離可能である複数の抗体を、アッセイに添加する。
本発明の別の好ましい態様は、個々の抗原特異的T細胞を、適切な四量体によって検出する機能分析を含む(例えば、膵島特異的自己抗原T細胞の検出のために、標識したHLAペプチド四量体による蛍光染色)。「四量体」技術は、HLAクラスIまたはII、ドナーまたは宿主HLAアレル、抗原のペプチドエピトープ、および任意の蛍光標識として特徴付けられる可溶性MHC四量体を指す。それらは研究者が合成してもよく、またはiTAg(商標)四量体として市販されているものを購入してもよい。フローサイトメトリーによるインサイチュー検出または定量化を用いて、抗原特異的T細胞を特徴付けることができる。Bleesing & Fleisher Semin. Hematol. 38:169-178 (2001)およびKita et al. Autoimmune. Rev. 2:43-49 (2003)を参照されたい。
本発明のさらに別の態様は、感染による炎症、薬物処置、手術、または免疫による組織破壊からの外傷(例えば同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen))を識別する。したがって、好ましい態様において、感染、薬物誘導性炎症変化、手術、または外傷の混同された結果(例えばグランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンドの少なくとも1つの発現の増加)は、さらなる臨床的情報(例えば、病原の検出、炎症性変化を引き起こし得る他の処置の治療歴)の収集によって、および最終的には、組織破壊による免疫反応から感染による免疫反応を識別することができる適切なマーカー(例えば病原による感染の指標となる細菌、真菌、もしくはウイルス抗原、または反応性抗体)の測定によって識別される。T細胞を様々な病原(例えばCMV、EBV)由来の抗原ペプチドのプールで刺激すること、およびドナー細胞とは対照的に病原に対する反応性が増加するかどうかを決定することもまた可能である。グランザイムB発現のみの増加は、移植片拒絶反応の指標となり得、一方グランザイムB発現の増加を伴わないパーフォリンおよびFasリガンド発現の増加は、再発性自己免疫疾患または急性拒絶反応とは対照的におそらく慢性拒絶反応の指標となり得る。
本発明は、被験体の標的細胞に対する同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)への抗原特異的T細胞応答の発生をモニターする方法として、実施してもよい。または、この方法を実施するキットを提供してもよい。任意で単一のパッケージに保存され輸送されるキットは、試薬の1つもしくは複数の容器またはそれらの混合物を、この方法を実施するための説明書の任意のセットと共に含む。試薬は以下を含んでもよい:(i)CLG発現を決定するための試薬(例えば、RNAを転写しタンパク質を翻訳するCLGに特異的な核酸プライマーもしくはプローブ、CLG抗原に特異的な抗体、CLG発現を検出するための標識、CLG発現の量を定量するための1つもしくは複数の標準および/もしくは対照、またはそれらの任意の組み合わせ);(ii)T細胞が同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するかどうかを、機能分析によって決定するための試薬(例えば1つもしくは複数の同種異系抗原、自己抗原、組織特異抗原、ドナーおよび/もしくは宿主HLAクラスI/クラスIIアレルの抗原提示細胞、細胞色素もしくは染色、ドナーもしくは宿主細胞、標識を伴うまたは伴わないHLAペプチド四量体、サイトカインもしくは白血球抗原に対する抗体、ELISAもしくはELISPOTプレート、標識された二次抗体、またはそれらの任意の組み合わせ);(iii)細胞培養(例えば収集フラスコもしくはチューブ、サイトカインもしくは増殖因子、液体培地、非特異的もしくは特異的T細胞アクチベーター、またはそれらの任意の組み合わせ)、および/もしくは細胞分離(例えば、密度もしくは速度遠心分離培地、遠心分離チューブ、アフィニティー精製のためのクロマトグラフィーカラムもしくは磁気ビーズ、細胞表面分子に対する抗体、またはそれらの任意の組み合わせ)のための試薬;ならびに/または(iv)細胞分析のための試薬(例えば細胞色素または染色、細胞溶解または透過処理緩衝液、洗浄緩衝液、4つまたはそれより多い異なる蛍光標識を有する抗体カクテル、有形メモリー内に保存されたデータ処理および分析ソフトウェア、細胞サイズ、蛍光シグナル、ゲートなどについての標準または対照)。キットのための例示的な抗体は、グランザイムB、Fasリガンド、パーフォリン、CXCR3、NKG2D、およびHLA-DR3/DR4と同様に、以下に記載する細胞内抗原、分泌性抗原、または細胞表面抗原を認識してもよい。CLG発現の決定および機能分析は、同じもしくは異なる試料を用いて、別々にまたは一緒に実施してもよい。
自己、宿主、およびレシピエントという用語は、大きく重なり合い、かつ文脈によって用いられる(すなわち移植片拒絶反応または自己免疫)。同様に、ドナー、移植片(graft)、および移植片(transplant)という用語も大きく重なり合う。同種異系抗原は、ドナーのヒト白血球抗原(HLA)を含む。自己抗原は、レシピエントHLAと同様に標的組織または実質臓器の自己抗原を含んでもよい。膵島移植による糖尿病患者の処置は、以下の両方の局面において研究されてもよい:同種移植片拒絶反応(例えば外来のHLAに対して)および/または自己免疫疾患(例えば膵島特異的抗原に対して)。
CLG発現は疾患の臨床症状の発症前に増加する。しかしながら移植片喪失の最初の臨床的証拠がある時には、CLG発現はベースラインに戻り、膵島の重大な喪失が起こるまで再度現れることはない。これらのデータは、CLG発現の敏感な検出によって、肝臓の流入節(draining nodes of the liver)で最初に活性化された後に移植片へと向かうプロセスにあるドナー特異的T細胞を検出可能にすることを示唆する。または、自己抗原特異的T細胞の再活性化が検出される。
安定な移植片機能を有する4種の非ヒト霊長類(NHP)を取り上げ、免疫抑制を中止することにより、CLG発現の増加が同種移植片拒絶反応の予測値となることが見出された。ヒト移植片レシピエントの研究の開始に先立って、C-ペプチド陰性であり(残存するβ細胞機能の証拠がない)、移植待ちのリストに載っている長期にわたる1型糖尿病患者から得た末梢血試料中のCLG発現を、RT-PCRによって測定した。移植待ちのリストに載っている1型糖尿病患者と正常対照の間のパーフォリンまたはFasリガンドの発現における統計的有意差を観察した。しかしグランザイムBの発現は患者の両方のグループで同様であった。その後、免疫抑制およびプレ移植の開始に先立って、ベースラインとして末梢血試料を膵島レシピエントから採取した。追加の試料は、移植後定期的に収集した。他の理由がない場合(例えば上気道感染)、拒絶反応の臨床症状の不在(すなわち患者は正常血糖値を有し、インシュリン独立性を保つ)および細胞アッセイによる改変された反応性の欠如にも関わらず、ベースラインを2倍以上上回るCLG発現の増加は、免疫応答の発生の初期の予測因子と考えてもよい。発現の増加は、ベースラインの少なくとも2倍、5倍、または10倍であってよい。試料は少量であり、これは、必要であれば白血球数(WBC)が減少し貧血を有する患者を含む移植後の患者から、末梢血を頻繁に採取することを可能にする。
臨床的移植片喪失を経験した8/8の患者(例えば高血糖症、外部からのインシュリン投与への回帰)が、末梢血中のCLG発現の増加を有し、それは高血糖症の発症およびインシュリン療法の再投与に先立って数週間現れたことが確認された。7/8の患者において、免疫抑制が先細る間(IS、n=6)、または不適切なISの長い期間の間(n=1)、増加が生じた。7/8の患者について、ドナー抗原に対する感作が、混合されたリンパ球反応(MLR)において観察され、それはレシピエントの末梢血リンパ球(PBL)がドナー細胞に応答して増殖する能力をアッセイする。長期的には、増加したパーフォリンおよびFasリガンド発現は再発性自己免疫と相関するようであり、それによって、明らかな差が研究集団に存在する状況において(対照と比較した場合、1型糖尿病を有する患者がパーフォリンおよびFasリガンド発現の有意に低いレベル、ならびにグランザイムB発現の同様のレベルを有する)、拒絶反応対再発性自己免疫を表す遺伝子に関連する免疫を同定することが可能であろうことが示唆される。
主に試料が少量であるためそれが実行可能であったことから、試料を患者血液の分子分析のためより頻繁に採集した。MLRおよびフローサイトメトリーアッセイは、より低い頻度で実施されるが、生成されたデータからは、単独で実施された細胞アッセイが移植片喪失と相関する一方、それらは確実に予測的ではないように見える。さらに、各細胞アッセイは1つのパラメーターのみを測定する。CLG分析は、細胞傷害性エフェクター遺伝子発現は全血中で増加することを示すことができるが、NK細胞か細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のどちらが原因であるかの識別を可能にしない。MLRにおける増殖は、CD4+またはCD8+細胞のどちらが反応しているかを決定せず、調節性細胞集団(例えばIL-10またはTGF-βなどのサイトカインを産生するCD4+調節性T細胞)とエフェクター細胞集団(例えばIFN-γまたはTNF-αなどのサイトカインを産生するCD4+エフェクターT細胞)の増殖を識別しない。本発明は、実質的な組織破壊およびその結果の生理的変化の前に、臨床的介入を可能にするのに十分早期に、自己免疫または移植片拒絶反応を検出できるように、信頼性を改善することによってこれらの問題に対処する。
本発明者らはまた、マルチパラメーターフローサイトメトリーによって、特異的サブセットの増殖性能およびサイトカインプロファルを決定する方法を開発した。抗原特異的T細胞の機能性状態を評価する本発明者らの手腕を亢進させる、抗体のパネルが開発された。例として、患者が数週間ステロイドを含まない免疫抑制(SFIS)におかれた後、混合されたリンパ球培養においてドナー抗原で刺激されたレシピエントの末梢血単核球(PBMC)は、増殖しなかった。これは、ドナー特異的細胞の欠如または調節性集団の存在に起因するであろう。これに対処するために、抗サイトカイン特異的モノクローナル抗体を、CD4+およびCD8+ T細胞に特異的な抗体のパネルに含め、調節性サイトカインとしてIL-10およびTGF-β、ならびに炎症性サイトカインとしてIFN-γおよびTNF-αで開始した。フローサイトメトリーによりグランザイムB発現が分子発現と相関するかを判定するために、グランザイムBに対する抗体を、メモリーとエフェクター細胞傷害性細胞を識別するマーカーとして、CD8チューブに含めた。さらなる抗サイトカイン抗体によりパネルは拡大され、CD8+ T細胞の分析を可能にした。静止状態の細胞および刺激された細胞の両集団を評価する:静止状態の全血、MLR刺激PBMC、およびCD3/CD28刺激PBMC。強力なCD3/CD28刺激の含有は、患者が過剰に免疫抑制されいないことを立証することができ、膵島移植片喪失は移植片の拒絶反応か再発性自己免疫のどちらに起因するかをMLR刺激が決定する。移植片喪失が起こった後では全血表現型の主要な変化が生じ、介入には遅すぎることから、ドナーおよび自己抗原応答性についてより時間のかかる細胞分析を実施するために、分子プロファル変化の同定を初期のシグナルとして用いることができる。ドナー細胞によるMLRまたは他の機能分析により細胞反応性を頻繁に決定することは、エフェクター細胞が標的組織の破壊を引き起こす前に、免疫活性化の初期の検出をもたらし得る。
リンパ球サブセットの表現(例えばT細胞、B細胞、NK細胞)および末梢血リンパ球の活性化状態の表現(例えばCD3+/CD4+ T細胞が活性化マーカーCD69を発現するかどうか)を可能にし、ならびに同時に活性化T細胞(例えばCD3+/CD4+/CD69+)が増殖し炎症性または調節性サイトカインを産生するかどうかを決定する抗体を、1つのチューブに配置することができる。各チューブは、様々なリンパ球サブセットおよびサイトカインに特異的な蛍光色素結合モノクローナル抗体を含む。したがって、そのような抗体のパネルは特異的T細胞サブセットの機能性状態(すなわち同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)による分析の前に細胞を刺激することにより間接的に達成された抗原特異性)の定義を可能にし、CD3+/CD4+調節性または炎症性T細胞、CD3+/CD8+調節性またはエフェクターT細胞、エフェクターまたはナイーブB細胞、および静止状態または活性化されたNK細胞を含むがそれらに限定されない。色素カルボキシフルオレセインジアセテート、スクシンイミジルエステル(CFSE)を用いて細胞を標識することができ、細胞は活性プロセスによって色素を取り込む。各細胞が分裂するにつれ、娘細胞はCFSEの元の量の半分を有し、これが各細胞分裂ごとに続く。フローサイトメトリーのゲート機能を用いて、1回または複数回分裂した細胞を分析することが可能であり、かつそれが特定の細胞サブセットのマーカー(例えばCD3+/CD4+ T細胞)を発現するか否か、それがエフェクター免疫応答に関連するマーカー(例えばCD69、CD25、HLA-DR、CD45ROなど、およびIFN-γまたはTNF-αのような炎症性サイトカイン)を発現するか否か、または調節性免疫応答に関連するマーカー(例えばCD25ブライト、IL-7受容体、Foxp3など、ならびにTGF-βおよびIL-10のような調節性サイトカイン)を発現するか否かを決定することが可能である。
別の例において、細胞をCFSEで標識し、次いでリンパ球サブセットを同定する少なくとも1つのマーカー、活性化に関連する抗原を同定する少なくとも1つのマーカー、ナイーブとエフェクターとメモリー細胞を識別する少なくとも1つのマーカー、および調節性とエフェクター機能を識別する少なくとも1つのマーカーに特異的なモノクローナル抗体で染色することができる。4つ以上の蛍光色素結合モノクローナル抗体の免疫表現型パネルを用いることができる。より多くの異なるモノクローナル抗体を、利用可能な技術により用いることができる(すなわち重ならない蛍光色素標識、多色フローサイトメトリー、およびデータ分析のためのソフトウェアの有用性を用いることができる)。
マーカーの数が増えるにつれ、特異的リンパ球サブセットの同定は容易になる。例えば、ドナー刺激に応答してTGF-βを産生するCD3+/CD4+/CD25+/Foxp3+細胞は、調節性細胞であり、一般に移植片安定性に関連するであろうが(そのような細胞は増殖してもしなくてもよい)、一方ではFoxp3陰性であり、ドナー刺激に応答して増殖しTNF-αを産生するCD3+/CD4+/CD25+細胞は、移植片の破壊に関連するエフェクター細胞であると考えられるであろう。先行する例において、6つの異なる蛍光色素が必要とされた。チューブ当たりわずか4つの抗体でこれらの決定を行うことが可能であるが、必要なマーカーを適切に評価するために、より多くのチューブが必要であろう。
静止または活性化(例えば、抗CD3および抗CD28刺激性抗体、ホルボールエステル、イオノフォア、超抗原、マイトジェン、またはそれらの任意の組み合わせによる非特異的活性化)末梢血T細胞における、細胞内サイトカイン発現のフローサイトメトリーによるマルチパラメーター分析が可能である。非特異的刺激に続き、CD25、HLA-DR、CD69、およびCD154などのマーカーを発現する活性化されたT細胞を同定し、エフェクター免疫応答に関連するサイトカインの細胞内発現を観察することは特に容易である。正常細胞集合において、IL-10およびTGF-βなどの調節性サイトカインは非特異的刺激後に観察されない。
非特異的活性化は、患者がどのように移植片または自己抗原に応答しているかの明らかな指標を必ずしも提供しない。膵島レシピエントの末梢血試料をフローサイトメトリーによって分析した:静止状態の全血、MLR中のドナー細胞によって活性化されたレシピエントのPBL、およびCD3-CD28ビーズに基づく技術によって活性化されたレシピエントのPBLを、細胞表面および細胞内マーカーについて評価した。ドナー細胞刺激に応答したIL-10(すなわち調節性サイトカイン)発現が、患者のうち二人だけに見出された。IL-10はある程度、その患者の静止状態の全血(例えば活性化されたCD4+/CD69+ T細胞)中でも検出可能であったが、IFN-γは検出されなかった。非特異的活性化(例えば抗CD3dex+抗CD28刺激性抗体)において、しかしながらこれらの細胞はそれらのIL-10発現にそって希釈され、それによって特異的抗原、この場合ドナー同種異系抗原によって活性化されたT細胞の分析の重要な必要性を実証した。MLRにおけるドナー細胞による活性化は、IL-10産生(調節性)細胞の増加の検出を可能にし;IFN-γ産生細胞の高いレベルが移植片拒絶反応へのシフトを示す一方、IFN-γ産生(炎症性)細胞の低いレベルは、二つの細胞集団間のバランスを示すであろう。
要約すれば、抗原特異的T細胞の機能性状態を評価するマルチパラメーターアプローチによってさえ、分子レベルでの免疫応答の活性化は、標準的な細胞に基づくアッセイのみでは容易に検出できないことが明らかとなってきた。細胞反応性のより特異的な評価の要因となる分子フラグの利用は、患者の免疫状態のよりよい理解を提供し、それによって拒絶反応および/または再発性自己免疫を停止するための初期の介入を可能にする。分子フラグは、細胞傷害性リンパ球遺伝子の1つまたは複数であってよいが、免疫活性化および炎症に関連する他の遺伝子の発現の改変もまた用いてよい。
実施例
移植の前は、最終的に膵島拒絶反応を経験するであろう患者と、安定な移植片機能を保持する患者の間に、WBCにおける統計的有意差はなかった(図1)。Han et al. (Diabetes 53:2281-2290, 2004)によって記載されるように、グランザイムB(GB)発現を、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって定量した。特定のヒトCD抗原(human cluster differentiation antigen)に特異的なモノクローナル抗体の4色のカクテルを全血に添加した後、15分インキュベートし、Beckman-Coulter Q-Prepを用いてプロセッシングすることによって、フローサイトメトリーを行った。EPICS XLフローサイトメトリーを用いて分析を行った。免疫表現型において統計的有意差は観察されなかった。免疫抑制および移植の開始前は、最終的に膵島拒絶反応を経験するであろう患者と、安定な移植片機能を保持する患者の間に見出される統計的有意差は、グランザイムBについてのみであった。この差は、安定な患者の一人についての極端に高い移植前、免疫抑制前のGB値による可能性が最も高かった。しかしこの例外的に高く範囲外の値を分析から除けば、差はもはや有意であるとは見なされなかった(p=0.6963)。
移植の前は、最終的に膵島拒絶反応を経験するであろう患者と、安定な移植片機能を保持する患者の間に、WBCにおける統計的有意差はなかった(図1)。Han et al. (Diabetes 53:2281-2290, 2004)によって記載されるように、グランザイムB(GB)発現を、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって定量した。特定のヒトCD抗原(human cluster differentiation antigen)に特異的なモノクローナル抗体の4色のカクテルを全血に添加した後、15分インキュベートし、Beckman-Coulter Q-Prepを用いてプロセッシングすることによって、フローサイトメトリーを行った。EPICS XLフローサイトメトリーを用いて分析を行った。免疫表現型において統計的有意差は観察されなかった。免疫抑制および移植の開始前は、最終的に膵島拒絶反応を経験するであろう患者と、安定な移植片機能を保持する患者の間に見出される統計的有意差は、グランザイムBについてのみであった。この差は、安定な患者の一人についての極端に高い移植前、免疫抑制前のGB値による可能性が最も高かった。しかしこの例外的に高く範囲外の値を分析から除けば、差はもはや有意であるとは見なされなかった(p=0.6963)。
RT-PCRデータの遡及的分析は、正常血糖およびインシュリン独立性にも関わらず、および気道における感染がない場合、最終的に少なくとも部分的に膵島同種移植片喪失を経験する8/8患者においてGB発現の増加が生じたことを明らかにした。実証された臨床的感染がない場合、移植片機能を保持した患者においてそのような増加は検出されなかった。図2は、二人の代表的患者について、手術後の日数の関数としてGB発現を利用して、可能性のある移植片喪失の臨床的フェーズを精査する。最終的に移植片喪失を経験した患者は、「拒絶」(R)として同定され、安定な移植片機能を維持しGB発現の異なるフェーズを経験しなかった患者は、「安定」(S)として同定された。GBの上昇は、フローサイトメトリーデータを4つの異なるフェーズに分けることにより、移植片喪失の臨床的証拠がない場合に免疫活性化を示す「分子フラグ」として用いた(図3):臨床的に安定、RおよびSの両方の患者についてGBの上昇はない(CS/M-);臨床的に安定、R患者についてGBの上昇(CS/M+);臨床的に不安定、R患者についてGBは検出不能(CUS/M-);および明らかな移植片喪失、R患者についてGB再出現(GL/M+)。
本発明者らは、免疫抑制の開始にも関わらず、大半の患者が移植後最初の一ヶ月にGBレベルの上昇を経験したが、その後の移植がない場合はGBレベルが拒絶反応の証拠を伴わずベースラインに戻ったことを観察した。さらなる膵島注入または感染のいずれもない場合に生じたその後の上昇は、最終的な移植片喪失と相関した。RおよびS患者の両方について、移植片注入後のGB発現の増加は最終的にベースラインに戻ったことが観察された。R患者について、膵島喪失の臨床症状がない場合に生じたいくつかの時点でGBレベルが上昇したことを明らかに見ることができる(安定な血中グルコース、外部からのインシュリンなし、CS/M+)。BG発現の増加を伴い、POD 305で臨床的に不安定なフェーズ(すなわち高血糖症、まだ外部からのインシュリンなし)に切り替わった。M+からM-への切り替わり(すなわちGB発現の低下)は、POD 431で外部からのインシュリン投与の前に、実際は生じたことに留意されたい。明らかな移植片喪失が生じるまで、GB発現は再度上昇しなかった。これはGB発現が、膵島同種移植片の病気分類および移植片状態による他の細胞に基づくアッセイの結果の相関に有用であることを示唆した。
膵島移植の前に、患者は、ラパマイシン(シロリムス)、FK506(タクロリムス)、および抗IL2受容体特異的モノクローナル抗体(ダクリズマブ)からなるステロイドを含まない免疫抑制を受けた。これらの薬剤およびデキサメタゾンまたはシクロスポリンなどの他の薬剤は、移植片拒絶反応または自己免疫疾患の抑制のために投与することが可能であった。この薬物投与計画は、リンパ球枯渇をもたらすことが知られており、両群(RおよびS)は、WBCおよびリンパ球サブセットの絶対数の減少を経験した(データは免疫抑制の一ヶ月後に分析され、完全な抑制効果を明らかにした)。図4において統計的に有意ではないが、WBCはS群について45%減少し、分子フラグが増加しなかった臨床的に安定な患者のR群(CS/M-、ベースラインは移植後および免疫抑制開始後一ヶ月に確立された)について31%減少した。患者のRとS群間でGB発現の統計的有意差もなかった。免疫抑制の一ヶ月後、T細胞コンパートメント(CD3+/CD45+)についてRとS群間にほぼ統計的有意差があった(p=0.0511)。B細胞コンパートメント(CD20+/CD40+/CD19+)における差のように、ナイーブCD3+/CD45RA+ T細胞サブセットについてのRとS群間の差は、統計的に有意であり(p=0.0281)、R群はS群と比較してこれらの細胞サブセットのより高いレベルを保持している。両群は全ての他のサブセットについて絶対数の減少を経験したが、群間の得られた差は分析した他の集団について統計的に有意ではなかった。
これらのデータは、TおよびB細胞コンパートメントに対する免疫抑制の最初の効果は、患者が移植片の拒絶反応を受けるか否かについて影響を与える可能性があり、臨床的に安定な患者は総TおよびB細胞の非常に大きな減少を経験することを示唆する。
同種異系抗原または自己抗原の免疫認識を活性化する性向を示す危険因子としてGB発現の増加を用いて、R群についてのフローサイトメトリーデータを、GB発現の増加の期間分析した(図5)。いずれのリンパ球サブセットについてもRとS群間で、有意差は検出されなかった。これらのデータは、グランザイムB、パーフォリン、Fasリガンドの発現の増加がない場合、RとS群の患者間の有意差はフローサイトメトリー分析によって検出されなかったことを実証する。臨床試験においてルーチンに研究された比較的少数の時点に起因して、拒絶反応の集団内の免疫表現型の変化は、単一の患者由来のデータの設定においては明らかではない可能性が高い。さらに、各拒絶反応の患者が、移植後の異なる時点でGB発現の増加を経験したことから、所定の時点(例えば3ヶ月毎)で患者から試料を採取する従来の実施は、免疫状態の有意な変化の検出を阻止するであろう。
グランザイムB、パーフォリン、またはFasリガンドの発現(例えばRNA転写またはタンパク質翻訳)の頻繁なモニタリング(わずか1〜4週間毎、移植後最初の6ヶ月はより頻繁に、その後頻度は減少)は分子レベル(例えば、遺伝子アレイ、ヌクレアーゼ保護、プライマー伸長法、RT-PCR、イムノアッセイ、質量分析法、またはヌクレアーゼ磁気共鳴による発現プロファイリング)で、フローサイトメトリー、MLR、抗原特異的および/またはHLA-特異的刺激、ELISPOTなどのような細胞に基づく研究ではルーチンに逃す変化の検出を可能にするであろう。分離した細胞および血清のELISAは、細胞内サイトカインと分泌性サイトカインの識別のためには好まれない。
臨床的不安定性の発生の時点で(例えば高血糖症、外部からのインシュリン投与の開始)、R群ではGB発現の増加はもはや検出されなかった(図6)。この期間のR群におけるWBCの分析は、さらなる増加を明らかにし、その結果SおよびR群にとどまる患者間の有意差をもたらした。GB発現の増加がない臨床的に安定な患者から移植片不安定性の発生までのR群の患者におけるWBCの差は有意になった。
フローサイトメトリー分析は、RとS群の臨床的に不安定なGB-患者(CUS/M-)間のB細胞コンパートメント(CD20+/CD40+/CD19+)について統計的有意差を明らかにし、それは拒絶反応の集団における有意に高いB細胞数を伴った。他のマーカーは二群間に差を表さなかった。以前に言及したように、所定の時点での単一の患者由来のデータのフローサイトメトリー分析は、表現型における臨床的に関連する変化の検出を可能にしないだろう。臨床的不安定性の発生の前に生じた同種異系間もしくは自己(もしくは宿主)組織の宿主対移植片または自己免疫破壊の発生に対するこの危険因子の知識なしに、同種異系抗原または自己抗原の被験体の免疫認識における変化の指標はないだろう。
一旦機能性膵島塊の明らかな喪失が生じると、明白な高血糖症、外部からのインシュリンの必要性の増加、およびC-ペプチド産生の低下によって示されるように、いくつかの統計的有意差は検出可能であった。実質的な移植片機能が失われ、分子フラグが増加した高血糖症患者(GL/M+)は、患者のRとS群間のWBCにおける統計的有意差を示した(図7)。同様に、統計的に有意な免疫表現型の差は、CD3+/CD45+およびCD3+/CD69+ T細胞、CD20+/CD40+/CD19+ B細胞、ならびにNK細胞(CD56+/CD16+/CD3-)の数についてRとS患者間で見出された(図7)。総(CD3+/CD4+/CD45+)および活性化された(CD3+/CD4+/CD69+)CD4+ T細胞数のように、活性化されたCD3+/CD25+ T細胞数は、R群の患者において高かった。R群において、GB発現はベースラインを十分上回って再度増加し、S群の患者より有意に高かった。
GB発現の増加を伴わないR群の臨床的に安定な患者について得られた絶対数と比較して、拒絶反応の患者(移植片喪失を受けているか既に受けた患者)についてのデータは、WBC、活性化されたCD4+ T細胞(CD3+/CD4+/CD25+、CD3+/CD4+/CD69+)、活性化されたCD8+ T細胞(CD3+/CD8+/CD25+)、およびGB発現の統計的に有意な増加を明らかにする(図8)。移植片喪失の期間、免疫表現型の有意な変化が観察される可能性がある:しかしながらこの時点で、膵島細胞(移植片拒絶反応または自己免疫のどちらが関与するかによって、移植片または宿主細胞のいずれか)の免疫による破壊を妨げるには遅すぎる。
図9〜25は上記の結果を要約し、さらなる比較を提供し、かつRとS群の患者間の他の統計的有意差を同定する。抗原によって刺激されていない細胞におけるフローサイトメトリーによって検出可能な細胞表面の有意な変化の大半は、移植片喪失フェーズにおいて生じ、移植片喪失が現れる前の唯一の明らかな識別可能な特徴は、CLG発現の上昇である(この場合GB)。
表1は、照射されたドナーPBMCによって刺激された場合の宿主リンパ球の増殖によって測定されるように、宿主におけるグランザイムB(GB)発現、白血球数(WBC)、リンパ球サブセット、およびドナー特異的応答性の細胞アッセイ(すなわち混合リンパ球反応またはMLR)についてRとS患者群の間の差の統計的分析を要約する。抗ドナー特異的MLRは、ステロイドを含まない免疫抑制(SFIS、これは免疫抑制治療計画によって変わり得る)の開始後に抑制され、その反応は臨床的に安定なGB+フェーズの間は抑制されたままであった。CUS/M+フェーズの間MLRは戻り始め、移植片喪失後は再び明らかに陽性である。これは、末梢血内でまれな事象である細胞を検出し、(細胞レベルでそれらを検出可能にするため)抗原特異的細胞の拡大およびそれらの機能性(例えば調節性、エフェクター)性能の決定に対して、研究者にさらなる血液試料を得る時点を知らせる分子アッセイの可能性を支持する。
この免疫抑制治療計画における全ての患者が時間が経てばドナー細胞に反応しなくなるという点において、免疫表現型データは、抗ドナー混合リンパ球培養の分析から得たデータと相関する。有意な膵島喪失が生じた後でのみ、抗ドナーMLR反応性は再出現する。これは、各レシピエントに対して変化の検出を可能にしない規定の時点を用いることに、一部起因し得る(すなわち免疫変化はすでに生じている可能性があるが、末梢血中ではもはや検出可能ではなかった)。
本発明者らの分子データは、活性化されたT細胞は炎症の初期のフェーズで血液中に低いレベルで出現し、次いで移植片不安定性が最初に見られた時点で消失することを示唆する。活性化されたT細胞はその後、移植片喪失後に再出現する。
現在、まれな事象である抗原特異的T細胞の検出を可能にするために、細胞を拡大する試みは、非特異的刺激および抗原特異的刺激の使用を含む。細胞が低い頻度で存在する場合、非特異的刺激は抗原特異的クローンの希釈をもたらし、病状または臨床的状態に関連しないT細胞の拡大を可能にする。本発明者らのデータはこの可能性を支持する。
免疫状態の変化を細胞レベルで検出できないことは、ドナー膵島抗原の提示を可能にする微環境内で、ドナー特異的T細胞が所属リンパ節で活性化されなければならないという事実に起因し得る。活性化されたT細胞は次いで、移植部位に向かわなければならない。この時点で末梢血中に存在するドナー特異的細胞または活性化された細胞の頻度は、非常に低いであろう(すなわちドナー特異的、活性化されたT細胞は、細胞レベルでは容易に検出できないまれな事象を表す)。一旦細胞が移植片に向かうと、それらはもはや末梢血中では検出不能である(分子レベルまたは細胞レベルで)。活性化されたドナーおよび/または膵島特異的T細胞の拡大、ならびに組織破壊に続き、それらの細胞は末梢血中で再度検出可能である。
本発明者らのデータは、活性化されたドナー特異的および/または膵島特異的T細胞が、抗移植片反応の初期に末梢血中で検出できることを実証する。各患者は、個々の様式で免疫抑制に応答し、拒絶反応への時間的経過は変化するだろう。グランザイムB、パーフォリン、またはFasリガンドの発現増加を、宿主免疫系の活性化に対する危険因子として用いて、時宜を得た(および最終的には抗原特異的)様式で生じ、かつ介入する特異的免疫反応の性質(抗ドナー=レシピエント対移植片反応;抗膵島=自己免疫反応の再発性)に関するより多くの情報を得ることが可能であり得る。これは遺伝子発現の増加を用いて行われ、拒絶反応と自己免疫疾患を識別する可能性を有する抗原特異的T細胞アッセイを始める必要性を知らせるであろう。抗原特異的T細胞反応性の増加は、免疫介入が失敗し、さらなる測定を行う必要があることを知らせる。臨床試験の現在の実施は、3〜6ヶ月の所定の基準において、時間がかかり、大量の血液を必要とするアッセイを確立する。抗原刺激がまれなT細胞クローンの拡大をもたらすことができることから、そのようなアッセイは、これらの細胞が実際末梢血中に存在する決定的な時点、すなわち活性化された細胞が移植部位へ移動する間に行われた場合、増加する抗原特異的免疫反応性の検出を可能にするだろう。所定の時点を用いることで、この好機を逃す可能性がある。これは、本発明の開示までこれらのアッセイが有用性を有すると実証するのが歴史的に困難であった理由の一つである。さらに、以下で示すように、非特異的刺激の使用はまれな事象である抗原特異的T細胞の存在を希釈し得る。患者が過剰に免疫抑制されていないことを実証するための細胞の非特異的刺激、および関心対象の細胞を同定するための抗原特異的刺激の両方を採用することが好ましい。
エフェクター(炎症性サイトカインIFNγ)または調節性(IL-10サイトカイン)能力に関連する細胞内サイトカインは、刺激されていないPBMC(図26)、具体的にCD3+/CD69-およびCD3+/CD4+/CD69-細胞において検出された。デキストラン架橋抗CD3+抗CD28(すなわち包括的なアクチベーター)による非特異的刺激後、細胞のIL-10+集合は希釈され、もはや見えず、一方細胞のIFNγ+集合はCD69+(すなわちCD3+/CD69+およびCD3+/CD4+/CD69+)へ切り替わった(図27)。対照的に、MLRにおけるドナー1369由来のPBMCによるレシピエント細胞の同種異系抗原特異的活性化(図28)は、現在は大半がCD69+であるIL-10+細胞(調節性表現型)を増加させ、かつ非常にわずかなIFNγ+細胞(炎症性表現型)が検出され、それによってドナー特異的T細胞に対する調節性バランスを示唆する。MLRにおけるドナー1461由来のPBMCによる活性化(図29)は、IL-10+細胞を増加させたが、同様にIFNγ+細胞も増加させ、それによってドナー特異的T細胞に対する免疫のバランスが拒絶反応に有利に働くことを示唆する。
表2はこれらの結果を要約し、T細胞集合の抗原特異的刺激がどのように、末梢血試料から得た抗原特異的T細胞の機能的性能に情報を提供することができるかを実証する。
細胞の抗原特異的刺激と非特異的刺激の差は、図30〜32でさらに実証され、ここでドナー細胞に対するレシピエント細胞の増殖が、刺激されていない細胞について(図30)、非特異的に刺激された細胞について(図31)、および同種異系抗原刺激細胞について(すなわちMLR、図32)、フローサイトメトリーを介して(CFSE色素の組み込みおよび各細胞分裂による希釈を用いて)確認された。予想されたように増殖の度合いの明確な差が観察され、この方法は細胞表面表現型および細胞内サイトカインの分析と組み合わされた。これは、特異的抗原刺激(例えば自己抗原、ドナーまたはサードパーティの同種異系抗原、自己の膵島抗原)に応答し、それらの機能性特性(例えばサイトカインおよびそれらの受容体の発現、エフェクター分子、接着分子などの細胞内および細胞表面活性化)を決定する特異的細胞亜集団におけるゲートを可能にする。末梢血中のまれな事象である細胞の存在を示す分子フラグの利用は、抗原特異的機能分析のためのPBMCの単離に十分なサイズの試料容量を達成するのを可能にすることができる。
本明細書で引用した特許、特許出願、書籍、および他の刊行物は、その全体が参照により組み入れられる。
特許請求の範囲の意味およびそれらの法的等価物の範囲内での全ての改変および置換は、それらの範囲内に包含される。語句「含む」を用いる請求項は、請求項の範囲内への他の要素の包含を可能にする;本発明は、用語「含む」の代わりに移行句「本質的に〜からなる」(すなわち、それらが本発明の作用に実質的に影響しない場合、請求項の範囲内への他の要素の包含を可能にする)および語句「からなる」(すなわち、通常本発明に関連する夾雑物または些末な作用以外の請求項に列挙される要素のみを可能にする)を用いたそのような請求項によっても記載される。これら3つの語句のいずれかが本発明の特許請求に用いることができる。
特許請求の範囲に明確に記載されない限り、本明細書中に記載される要素が特許請求される本発明の制限として解釈されるべきではないことは理解されるべきである。したがって、承諾された特許請求の範囲は、特許請求の範囲に読まれる明細書からの制限ではなく、法的保護の範囲を決定する基準である。対比して、特許請求された発明に先行するかまたは新規性を損なう特定の態様の範囲で、先行技術は明確に本発明から除外される。さらに、請求項の制限の間の特定の関係は、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り意図されない。同様に、本明細書において開示される個々の要素の全ての可能な組み合わせおよび順列は、本発明の局面として考えられる。同様に、本発明の記載の総括は本発明の一部と考えられる。
以上より、その精神または本質的特徴を逸脱しない範囲で、本発明は他の特定の形態において具体化することができることは当業者に明らかであろう。本発明に提供される法的保護の範囲が本明細書よりも添付の特許請求の範囲によって示されることから、記載された態様は説明としてのみ考慮されるべきであり、制限するものではない。
(図1)免疫抑制および膵島移植の前(プレ-Txpl)に、最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)と安定な移植片機能を保持する患者(S)の間の、白血球数(WBC×103細胞/μL)、免疫表現型によるサブセット(細胞/μL)、およびグランザイムB(GB)遺伝子発現(mRNA/アクチン)%を比較した結果を示す。以下の末梢血単核球(PBMC)サブセットを、マルチパラメーターフローサイトメトリーによって分析した:既に抗原に遭遇した総T細胞(CD3/45)、メモリーT細胞(CD3/CD45RO);以前に抗原に遭遇していないナイーブT細胞(CD3/CD45RA);MHCクラスII(DR)発現、CD69もしくはCD25、ナチュラルキラー(NK)細胞(CD56/16/3-)、およびB細胞(CD20/40/19)により評価されるような活性化されたヘルパーT細胞(CD3/4)または活性化された細胞傷害性T細胞(CD3/8)。データは、リンパ球の絶対数として表され、リンパ球ゲート内の陽性細胞のパーセンテージにリンパ球の絶対数を掛けることによって得られる。データは、混合された回帰モデルによって分析された(p<0.05は統計的有意差であるとみなされた)。
(図2)2つの代表的な「拒絶」(図2A)および「安定」(図2B)患者について、グランザイムB(GB)発現を、時間の関数として示す(手術後の日数またはPOD)。データは、異なる4つのフェーズに分けることができる:臨床的に安定、RおよびSの両方の患者についてGBの上昇はない(CS/M-);臨床的に安定、R患者についてGBの上昇(CS/M+);臨床的に不安定、R患者についてGBは検出不能(CUS/M-);および明らかな移植片喪失、最終的に移植片を喪失したR患者についてGB再出現(GL/M+)。S患者は安定な移植片機能を維持し、R患者について記載するようなGB発現の異なるフェーズは経験しなかった。
(図3)分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおける、最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)および安定な移植片機能を保持する患者(S)の平均グランザイムB(GB)発現を示す。P値は、処置の示されたフェーズにおけるRとS患者の間の比較について示された;p<0.05は統計的有意差であるとみなされた。
(図4〜7)最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)と安定な移植片機能を保持する患者(S)の間の、白血球数(WBC×103細胞/μL)、免疫表現型によるサブセット(細胞/μL)、およびグランザイムB(GB)遺伝子発現を比較した結果を示す。末梢血単核球(PBMC)の以下のサブセットを、括弧内に示されたそれらのマーカーによって規定する:既に抗原に遭遇した総T細胞(CD3/45)、メモリーT細胞(CD3/CD45RO);以前に抗原に遭遇していないナイーブT細胞(CD3/CD45RA);MHCクラスII(DR)発現、CD69もしくはCD25、ナチュラルキラー(NK)細胞(CD56/16/3-)、およびB細胞(CD20/40/19)により評価されるような活性化されたヘルパーT細胞(CD3/4)または活性化された細胞傷害性T細胞(CD3/8)。データは、リンパ球の絶対数として表され、リンパ球ゲート内の陽性細胞のパーセンテージにリンパ球の絶対数を掛けることによって得られる。分子フラグが増加しなかった臨床的に安定な患者(CS/M-、図4);分子フラグが増加した臨床的に安定な患者(CS/M+、図5);分子フラグが増加しなかった臨床的に不安定で高血糖症の患者(CUS/M-、図6);および重要な移植片機能が失われ、インシュリン投与が再開され、かつGB発現が増加した、高血糖症の患者(GL/M+、図7)を、混合された回帰モデルによって個別に分析した(p<0.05は統計的有意差であるとみなされた)。
(図8)最終的に拒絶反応を経験する患者(R)由来であり、分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおけるデータであって、患者が図2Aに示す経路に沿って経過するにつれ、刺激されていない全血中に統計的有意差が観察されるかどうか分析されたデータを示す。0.05未満のP値が統計的有意差であるとみなされた。
(図9〜25)分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおける、最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)および安定な移植片機能を保持する患者(S)の平均グランザイムB(GB)発現を示す。P値は、処置の示されたフェーズにおけるRとS患者の間の比較について示される;p<0.05は統計的有意差であるとみなされた。
(図26〜29)以下の複数のドナーから膵島注入を受けた長期膵島移植患者(手術後の日数またはPOD 1040)由来の、ヒト末梢血単核球(PBMC)のフローサイトメトリー分析を示す:非刺激PBMC(図26)、デキストラン架橋抗CD3+抗CD28による非特異的刺激(図27)、ドナー1369の細胞による抗原特異的刺激(図28)、およびドナー1461の細胞による抗原特異的刺激(図29)。細胞を、CD3染色(図26A、27A、28A、29A)について、またはCD4染色(図26B、27B、28B、29B)についてゲートにかけ、次いでCD69、インターフェロンγ(IFNγ)、およびインターロイキン10(IL-10)の染色についてさらに分析した。
(図30〜32)カルボキシフルオレスセインジアセテート、スクシンイミジルエステル(CFSE)で標識したヒト末梢血単核球(PBMC)のフローサイトメトリー分析を示す:非刺激PBMC(図30)、デキストラン架橋抗CD3+抗CD28によるPMBCの非特異的刺激(図31)、およびPMBCの同種異系抗原特異的刺激(図32)。6日間培養後、細胞をCD3、CD4、CD8、CD16、またはCD19について染色した。CD3対CFSE(図30A、31A、32A);CD4対CFSE(図30B、31B、32B);CD8対CFSE(図30C、31C、32C);CD16対CFSE(図30D、31D、32D);およびCD19対CFSE(図30E、31E、32E)のプロットを示す。
(図2)2つの代表的な「拒絶」(図2A)および「安定」(図2B)患者について、グランザイムB(GB)発現を、時間の関数として示す(手術後の日数またはPOD)。データは、異なる4つのフェーズに分けることができる:臨床的に安定、RおよびSの両方の患者についてGBの上昇はない(CS/M-);臨床的に安定、R患者についてGBの上昇(CS/M+);臨床的に不安定、R患者についてGBは検出不能(CUS/M-);および明らかな移植片喪失、最終的に移植片を喪失したR患者についてGB再出現(GL/M+)。S患者は安定な移植片機能を維持し、R患者について記載するようなGB発現の異なるフェーズは経験しなかった。
(図3)分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおける、最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)および安定な移植片機能を保持する患者(S)の平均グランザイムB(GB)発現を示す。P値は、処置の示されたフェーズにおけるRとS患者の間の比較について示された;p<0.05は統計的有意差であるとみなされた。
(図4〜7)最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)と安定な移植片機能を保持する患者(S)の間の、白血球数(WBC×103細胞/μL)、免疫表現型によるサブセット(細胞/μL)、およびグランザイムB(GB)遺伝子発現を比較した結果を示す。末梢血単核球(PBMC)の以下のサブセットを、括弧内に示されたそれらのマーカーによって規定する:既に抗原に遭遇した総T細胞(CD3/45)、メモリーT細胞(CD3/CD45RO);以前に抗原に遭遇していないナイーブT細胞(CD3/CD45RA);MHCクラスII(DR)発現、CD69もしくはCD25、ナチュラルキラー(NK)細胞(CD56/16/3-)、およびB細胞(CD20/40/19)により評価されるような活性化されたヘルパーT細胞(CD3/4)または活性化された細胞傷害性T細胞(CD3/8)。データは、リンパ球の絶対数として表され、リンパ球ゲート内の陽性細胞のパーセンテージにリンパ球の絶対数を掛けることによって得られる。分子フラグが増加しなかった臨床的に安定な患者(CS/M-、図4);分子フラグが増加した臨床的に安定な患者(CS/M+、図5);分子フラグが増加しなかった臨床的に不安定で高血糖症の患者(CUS/M-、図6);および重要な移植片機能が失われ、インシュリン投与が再開され、かつGB発現が増加した、高血糖症の患者(GL/M+、図7)を、混合された回帰モデルによって個別に分析した(p<0.05は統計的有意差であるとみなされた)。
(図8)最終的に拒絶反応を経験する患者(R)由来であり、分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおけるデータであって、患者が図2Aに示す経路に沿って経過するにつれ、刺激されていない全血中に統計的有意差が観察されるかどうか分析されたデータを示す。0.05未満のP値が統計的有意差であるとみなされた。
(図9〜25)分子マーカーが増加する(M+)もしくは増加しない(M-)患者に対する臨床的に安定(CS)、臨床的に不安定(CUS)、または移植片喪失(GL)の様々なフェーズにおける、最終的に膵島拒絶反応を経験する患者(R)および安定な移植片機能を保持する患者(S)の平均グランザイムB(GB)発現を示す。P値は、処置の示されたフェーズにおけるRとS患者の間の比較について示される;p<0.05は統計的有意差であるとみなされた。
(図26〜29)以下の複数のドナーから膵島注入を受けた長期膵島移植患者(手術後の日数またはPOD 1040)由来の、ヒト末梢血単核球(PBMC)のフローサイトメトリー分析を示す:非刺激PBMC(図26)、デキストラン架橋抗CD3+抗CD28による非特異的刺激(図27)、ドナー1369の細胞による抗原特異的刺激(図28)、およびドナー1461の細胞による抗原特異的刺激(図29)。細胞を、CD3染色(図26A、27A、28A、29A)について、またはCD4染色(図26B、27B、28B、29B)についてゲートにかけ、次いでCD69、インターフェロンγ(IFNγ)、およびインターロイキン10(IL-10)の染色についてさらに分析した。
(図30〜32)カルボキシフルオレスセインジアセテート、スクシンイミジルエステル(CFSE)で標識したヒト末梢血単核球(PBMC)のフローサイトメトリー分析を示す:非刺激PBMC(図30)、デキストラン架橋抗CD3+抗CD28によるPMBCの非特異的刺激(図31)、およびPMBCの同種異系抗原特異的刺激(図32)。6日間培養後、細胞をCD3、CD4、CD8、CD16、またはCD19について染色した。CD3対CFSE(図30A、31A、32A);CD4対CFSE(図30B、31B、32B);CD8対CFSE(図30C、31C、32C);CD16対CFSE(図30D、31D、32D);およびCD19対CFSE(図30E、31E、32E)のプロットを示す。
Claims (25)
- 以下の段階を含む、被験体の標的細胞に対する同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)への抗原特異的T細胞応答の発生をモニターするインビトロ方法:
(a)被験体から試料を得る段階、
(b)被験体由来の試料においてグランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンドからなる群の少なくとも1つの発現が増加するかどうかを判定する段階、ならびに
(c)グランザイムB、パーフォリン、およびFasリガンドの少なくとも1つの発現が増加した後、同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するT細胞が被験体由来の試料中に存在するかどうかを機能分析によって判定する段階。 - 試料の少なくとも1つが、発現のベースラインを確立するために免疫抑制処置の前に被験体から得られる、請求項1記載の方法。
- 試料の少なくとも1つが、発現の増加が検出される前に被験体から得られる、請求項1記載の方法。
- 各試料が10 mLより少ない容量である、請求項1記載の方法。
- 試料が少なくとも2ヶ月毎に被験体から得られる、請求項1記載の方法。
- 最初の試料が移植の24時間以内に被験体から得られる、請求項1記載の方法。
- RNA転写が発現レベルを決定するために測定される、請求項1記載の方法。
- タンパク質翻訳が発現レベルを決定するために測定される、請求項1記載の方法。
- 末梢血の単核細胞を単離して機能的にアッセイする段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 標的細胞の実質的な破壊が被験体において生理的変化を引き起こす前に、発現の増加が決定される、請求項1記載の方法。
- 抗原が同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)である、請求項1記載の方法。
- 機能分析が、細胞増殖、サイトカイン産生、ELISPOT、免疫表現型、限界希釈分析、混合リンパ球反応、および四量体技術からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、被験体の主要組織適合性複合体(MHC)により拘束されるT細胞が存在するか否かを判定する、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するT細胞が存在するか否かを判定する、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、活性化されたT細胞が存在するか否かを判定する、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)のいずれかが活性化されたT細胞により認識されるかどうかを判定する、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、調節性および/もしくは炎症性サイトカインまたはケモカインがT細胞により産生されるか否かを判定する、請求項1記載の方法。
- 機能分析が、ドナーまたは宿主のヒト白血球抗原(HLA)と試料の少なくとも細胞を相互作用させる段階を含む、請求項1記載の方法。
- 機能分析が、同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)と試料の少なくとも細胞を相互作用させる段階を含む、請求項1記載の方法。
- 機能分析によって、試料中の同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するリンパ球の頻度を測定する、請求項1記載の方法。
- 被験体が実質臓器、組織、またはその細胞によって移植を受けている、請求項1記載の方法。
- 被験体が幹細胞によって移植を受けている、請求項1記載の方法。
- 同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するT細胞の(b)発現の増加および(c)存在の判定後、抗原特異的T細胞応答の発生を阻害する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 1つもしくは複数のステロイド、マクロライド、細胞傷害性抗体、またはそれらの任意の組み合わせが患者に投与され、抗原特異的T細胞応答を抑制する、請求項23記載の方法。
- 1つまたは複数の容器内に以下を含む、被験体の標的細胞に対する同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)への抗原特異的T細胞応答の発生をモニターするためのキット:
(i)CLG発現を判定する試薬;
(ii)T細胞が同種異系抗原、自己抗原(autoantigen)、または自己抗原(self antigen)を認識するかどうかをそれらの機能によって判定するアッセイ試薬;(iii)細胞培養のための試薬;および
(iv)細胞分析のための試薬。
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