JP2008539209A - 診断及び治療剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ペプチド配列X−R−Y−P−Zn、或いはその薬学的又は生理学的に許容される塩を含有する腫瘍ターゲッティング単位に関する。本発明はまた、少なくとも1種のエフェクター単位に直接に、又は間接的にカプリングされている少なくとも1種の本発明によるターゲッティング単位を含有する腫瘍ターゲッティング剤に関する。本発明はさらにまた、本発明による少なくとも1種のターゲッティング単位又は少なくとも1種のターゲッティング剤を含有する診断組成物又は医薬組成物に関し、及び本発明によるターゲッティング単位又はターゲッティング剤の癌又は癌関連疾病を処置するための、特に非小細胞肺癌又はその転移体を処置するための医薬の製造における使用に関する。

Description

(発明の分野)
本発明はターゲッティング剤、特に腫瘍ターゲッティング剤、例えば肺腫瘍、特に非小細胞肺癌(NSCLC)ターゲッティング剤に関し、該ターゲッティング剤は少なくとも1種のターゲッティング単位及び少なくとも1種のエフェクター単位を含有する。本発明はまた、腫瘍ターゲッティング単位及びそのモチーフ、例えば肺腫瘍及びNSCLCターゲッティング単位及びそのモチーフに関する。さらにまた、本発明はこのようなターゲッティング剤又はターゲッティング単位を含有する医薬組成物及び診断組成物に関し、さらにまた本発明はこのようなターゲッティング剤及びターゲッティング単位を薬学的又は診断的用具として使用することに関する。本発明はさらに、このようなターゲッティング剤及びターゲッティング単位を医薬組成物又は診断組成物の製造に使用することに関する。さらにまた、本発明は癌、例えば肺癌、特に非小細胞肺癌を診断又は処置するためのキットに関する。
(発明の背景)
悪性腫瘍は、中でも人間及び動物にとって最大の健康上の問題であり、最も一般的な死亡原因であり、また中でも若年の個人にとって最大の健康上の問題である。利用可能な癌の処置方法は、数十年にわたる徹底的努力にもかかわらず全く制限されている。治療的処置、通常化学療法及び/又は放射線治療と組み合わされた手術は時には有効であるが、悪性腫瘍は依然として、毎年、無限数の生命を必要としている。実際に、治療的処置は、病気を初期に診断できない場合にはほとんど達成されない。さらに、或る種の癌はあるとしても、治療することができる場合は稀である。
この非常に望ましくない状況には種々の理由があり、最も重要な理由は大部分の処置計画が、手術を除いて、充分な選択性に欠けているという事実にあることは明白である。慣用されている化学療法剤は腫瘍の悪性細胞のみに作用せず、その他の細胞に対して、特に例えば造血細胞及び上皮細胞などの急速に分裂する種類の細胞に対して高度に毒性であり、格別に望ましくない副作用をもたらす。同じことが放射線治療にも当てはまる。
さらに、2つの主要問題が悪性固形体腫瘍の手術に頼らない処置を困難にしている。腫瘍内部の生理学的障壁は、全部の癌細胞への有効濃度の治療剤の供給を妨害し、また遺伝子的及び後天的メカニズムから生じる後天的医薬耐性は利用できる医薬の効果を減少させる。
また、患者の継続管理を包含する癌及び転移(metastases)の診断及び腫瘍及び転移に対する処置の効果の研究において、信頼でき、感受性であり、またさらに選択的である方法及び薬剤は格別に有利である。現時点で使用されている方法の全部、例えば核磁気共鳴造影法、X線法、組織学的染色法などは依然として、腫瘍組織、転移腫瘍組織又は腫瘍細胞に対する、及び/又は腫瘍内皮に対する特異的又は選択的検出にかかわり実在に標的を定めることができる薬剤に欠けている。
肺癌は男性及び女性の両方において癌関連死亡の先導的要因である。非小細胞肺癌(non−small cell lung cancer)は、全肺癌の80%近くにのぼり、小細胞肺癌(small cell lung cancer)は、全肺癌の20%近くにのぼる。肺癌と診断された患者の10%のみが5年以上生存するものと推定されている。多くの場合、診断時に、癌はすでに広がっており、唯一の効果的処置である手術による処置も不可能である。さらに、手術的に治療段階にある癌患者は数種の別の病気を患っており、これが外科手術を不可能にする。早期診断は非小細胞肺癌(NSCLC)の処置の成功にとって必須である。現時点まで、早期診断には問題が多く、スパイラルコンピュータ断層造影法(spiral computer tomography)が唯一の満足すべき結果をもたらす方法である。しかしながら、スパイラルCTは方法として高価であり、また判別試験として実用的でない。
常習的治療(手術、化学療法及び放射線治療)を受けた患者の長期間生存率はわずかである。進行したNSCLCの処置にプラチナ含有医薬と組合わせて使用されている現時点の治療剤、例えば有糸分裂抑制剤(パクリタキセル(paclitaxel)及びドセタキセル(docetaxel)などのタキサン類)、代謝拮抗剤(ゲムシタビン(gemsitabine))、ビンカアルカロイド類(ビノレルビン(vinorelbine))、及びトポイソメラーゼ阻害剤(イリノテカン(irinotecane))などは治療効果の閾値に達している。
肺腫瘍の細胞に対し特異的であるモノクローナル抗体は、肺癌処置用のターゲッティング剤として臨床的有望性を示している。しかしながら、2つの事実、すなわち大きいサイズ及び肝臓及び網内皮系による抗体分子の非特異的吸収に基づいて、抗体−ターゲッティング治療にはいくつかの主要な限界が存在する。サイズが大きいことは抗体医薬の貧弱な腫瘍浸透をもたらし、またしばしば免疫応答を生じる。他方、肝臓及び網内皮系による非特異的吸収は肝臓及び骨髄に対する投与量制限性毒性をもたらす。
ターゲッティングペプチドはヒト癌の標的を定めた処置のための優れた代替物質であり、またサイズが比較的小さいことから、これらは抗体ターゲッティングに付随する問題のいくつかを克服することができる。ペプチドの利点には次の利点がある:より大きい安定性、ペプチドは数週間にわたり室温で保存することができる;製造費用が安価である(合成製造対組換え製造);迅速な薬物動態;変化させることができる排泄経路;及び最終ターゲッティング剤の量あたりでより高い活性。
タイプが相違する細胞及び組織に帰巣するペプチドを開示する多くの刊行物が存在する。これらのいくつかは癌ターゲッティングペプチドとして有用であると主張されている。開示された中で、最も初期に同定された帰巣性ペプチドはRuoslahti等により、例えば米国特許第6,180,084号に記載されたNGR−レセプターターゲッティングペプチド及びインテグリンである。
国際特許公開WO00/12738は異種遺伝子放出用の標的を定めたアデノウイルスベクターを開示している。この開示されているベクターは、例えばNQNSRRPSRAなどのペプチド配列を含有するものとして開示されており、ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターレセプター(UPAR)を標的としている。
国際特許公開WO02/020822は選択的に結合するペプチドを同定するための、例えばCSRRPEVVCによるバイオパニング(biopanning)方法を開示している。CSRRPEVVCは間葉幹細胞に標的を定めるものと主張されている環状ペプチドである。
NSCLC細胞に対し特異的に標的を定めるペプチドが同定されたことを開示する刊行物は存在していない。
従って、NSCLCの診断及び治療に有用なターゲッティング剤が求められている。
(発明の簡単な説明)
本発明は、肺癌、さらに特に非小細胞肺腫瘍に標的を定める腫瘍ターゲッティング単位に関し、該ターゲッティング単位はペプチド配列X−R−Y−P−Zn、或いはその薬学的又は生理学的に許容される塩又は誘導体を含有する。上記配列において、Xはアラニン、セリン又はホモセリン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;Rはアルギニン又はホモアルギニン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;Yはアルギニン、アラニン、ロイシン、セリン、バリン又はプロリンであり;Pはプロリン又はその構造的又は機能的類縁体であり;Zはいずれかのアミノ酸残基であり、ここで各Znは相違していてもよく、類似していてもよく、又は同一であってもよく;及びnは0〜7の整数である。本発明によるターゲッティング単位は直鎖状又は環状であることができ、或いは環状構造の一部分を構成していることができる。本発明はさらに、少なくとも1種のエフェクター単位に直接的又は間接的にカプリングしている少なくとも1種の本発明によるターゲッティング単位を含有する腫瘍ターゲッティング剤に関する。好ましくは、このエフェクター単位は直接的又は間接的検出剤又は治療剤である。
本発明はさらにまた、少なくとも1種の本発明によるターゲッティング単位又は少なくとも1種の本発明によるターゲッティング剤を含有する医薬組成物又は診断組成物に関し、さらにまた本発明は本発明によるターゲッティング単位又はターゲッティング剤を癌又は癌関連疾病を処置するための、特に非小細胞肺癌又はその転移体を処置するための医薬の製造に使用することに関する。
本発明はさらにまた、非小細胞肺癌又はその転移体を処置するために、治療有効量の本発明による医薬組成物を、その必要性を有する患者に付与することによって癌又は癌関連疾病を処置する方法に関する。
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は新規腫瘍ターゲッティング剤を提供することにあり、このターゲッティング剤は少なくとも1種のターゲッティング単位及び任意に少なくとも1種のエフェクター単位を含有する。重要な実施形態において、本発明は肺の固形体腫瘍に標的を定めることができる少なくとも1種のモチーフを含有するターゲッティング単位を提供する。特定の実施形態として、本発明は非小細胞肺癌細胞に特異的に標的を定める腫瘍ターゲッティングモチーフ及びターゲッティング単位を提供する。
少なくとも1種のエフェクター単位とカプリングしていてもよい本発明によるターゲッティング単位は、特に転移体を包含する癌、好ましくは肺の腫瘍及び転移体の処置及び診断に治療的に及び診断的に有用である。さらにまた、本発明によるターゲッティング剤は細胞の分離、選択、分別及び濃縮に有用である。
本発明の第二の目的は少なくとも1種の本発明によるモチーフを含有する少なくとも1種のターゲッティング剤又は少なくとも1種のターゲッティング単位を含有する医薬組成物及び診断組成物を提供することにある。このような組成物は腫瘍の破壊に、又はそれらの増殖の防止に、或いは癌の診断に使用することができる。
転移体の早期診断は癌の処置の成功にとって非常に重要であることから、本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤の使用は腫瘍転移の早期診断にとって重要である。
本発明の第三の目的は癌、好ましくは転移体を包含する肺癌の新規処置方法及び/又は新規診断方法及びこれらの処置及び/又は診断用キットを提供することにある。
本発明によるターゲッティング単位はそのままで、又は少なくとも1種のエフェクター単位とカプリングさせて使用することができる。
本発明の目的のために本明細書で使用されている「癌」の用語は最も広い意味で用いられており、形質転換細胞又は悪性細胞を包含する全ての病気又は症状を包含する。当技術において、癌はそれらの組織起源(組織学的タイプ)に従い5種の主要カテゴリに分類される:癌腫(carcinomas)、肉腫(sarcomas)、脊髄腫(myelomas)及びリンパ腫(lymphomas)(これらは固形体腫瘍タイプの癌である)、ならびに白血病(これは「液体癌」(liquid cancers)である)。本発明で使用されているものとして、癌の用語は主として、検出可能な固形体腫瘍が存在していない場合、又は悪性又は形質転換細胞、「癌細胞」が健康な組織中のその他の細胞の中に散在して、又は浸潤して拡散しているように見える場合の病気状態を包含する固形体腫瘍を特徴とするタイプの病気の全部を包含する用語である。
本明細書において、「アミノ酸」及び「アミノアルコール」の用語は、ジアミノ、トリアミノ、オリゴアミノ及びポリアミノ酸及びアルコール;ジカルボキシル、トリカルボキシル、オリゴカルボキシル及びポリカルボキシルアミノ酸;ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、オリゴヒドロキシ及びポリヒドロキシアミノアルコール;及び1個以上のカルボキシル基又はヒドロキシル基と1個又は2個以上のアミノ基を含有する類縁化合物をまた包含するものとする。
確立されている命名法に従い、「ペプチド」の用語は、ペプチド結合によって一緒に結合し、アミノ酸鎖を形成しているアミノ酸鎖(ペプチド単位)を意味する。ペプチドは以下で説明するように直鎖状又は環状であることができる。本発明の目的にかかわり、1個又は2個以上のD−アミノ酸、ベータ−アミノ酸及び/又はその他の非天然アミノ酸(例えば、非天然側鎖を有するアミノ酸)を包含する化合物はまた、「ペプチド」の用語に包含される。本発明の目的にかかわり、「ペプチド」の用語は修飾されているアミノ酸を包含するペプチジル類縁化合物を包含するものとする。このような修飾は、例えば置換基の導入又は存在;「臨時」の官能性基、例えばアミノ、ヒドラジノ、カルボキシル、ホルミル(アルデヒド)又はケト基、或いは別の分子の導入又は存在;ならびに官能性基又はその他の分子の非存在又は分離を包含することができる。この用語はまた、アミノ酸及び/又はカルボキシ末端が修飾されている類縁化合物、例えばペプチドアミド化合物及びN−置換アミド化合物、ペプチドヒドラジド化合物、N−置換ヒドラジド化合物、ペプチドエステル化合物などの類縁化合物、及びアミノ末端−NH基を含有していないか、又は例えば修飾されているアミノ−末端アミノ基或いはアミノ−末端アミノ基の代わりにイミノ基又はヒドラジノ基を有する基を包含するペプチド、ならびにカルボキシ−末端カルボキシル基を含有していないか、又はその代わりに修飾基を有するペプチドなどを包含する。
「ペプチド類縁化合物」を形成するペプチドの修飾に使用することができる可能な反応タイプの数種の例には、例えば縮合及び親核性付加反応、ならびにエステル化、アミド形成、置換アミドの形成、N−アルキル化、ヒドラジドの形成、塩形成がある。塩形成はいずれかのタイプの塩、例えばアルカリ又はその他の金属塩、アンモニウム塩、有機塩基による塩、酸付加塩などであることができる。ペプチジル類縁化合物は対応するペプチドから、又は直接に(別の経路を経て)、合成することができる。
本発明によるペプチドの「構造的又は機能的類縁体」(structural or functional analogues)の表現は、アミノ酸からなる化合物ではない化合物、アミノ酸単独ではない化合物、或いはその結合単位の一部又は全部が修飾アミノ酸である化合物を包含するものとして使用されている。当業者に充分に認識されているように、この目的には種々のタイプの結合単位を使用することができる。これらの化合物の生物学系における機能はペプチドの機能と本質的に同様である。すなわち、これらの化合物と元のペプチドとの間の類似性は、構造的及び機能的類似に基づいている。このような化合物は、これらが元のペプチドの機能、形状及び/又は構造に類似していることから、ペプチド偽装類縁化合物と称される。本発明の目的にかかわり、これらの化合物は「ペプチド」の用語に包含される。
本発明によるペプチドの機能的類縁体は、腫瘍、腫瘍組織、腫瘍細胞又は腫瘍内皮への結合にかかわり、これらが類似するペプチドのこれらの結合に本質的に類似している結合能力を有することを特徴としている。
一例として、起源ペプチドの一次配列に基づき類縁体を含有するベンゾラクタム又はピペラジンのような化合物を使用することができる(Adams等、1999;Nakanishi and Kahn、1996;Houghten等、1999;Nargund等、1998)。多くの種々のタイプのペプチド偽装物質が科学刊行物及び特許文献に報告されており、また当業者に充分に知られている。ペプチド偽装物質(類縁体)は、例えば1種又は2種以上の下記構造要素を含有することができる:還元アミド類、ヒドロキシメチレン及び/又はヒドロキシエチルアミンイソステア類(isosteres)、N−メチルアミノ酸類、尿素誘導体、チオ尿素誘導体、環状尿素及び/又はチオ尿素誘導体、ポリ(エステルイミド)類、ポリエステル類、エステル類、グアニジン誘導体、環状グアニジン類、イミダゾイル化合物、イミダゾリニル化合物、イミダゾリジニル化合物、ラクタム類、ラクトン類、芳香族環化合物、二環状化合物、ヒダントイン及び/又はチオヒダントイン類、ならびに種々のその他の構造体。
ペプチド偽装化合物の合成には、かなりのタイプの化合物を多数の市場供給源から利用することができる(例えば、Peptide and Peptidomimetic Synthesis,Reagents for Drug Discovery,Fluka ChemieGmbH,Buchs,Switzerland,2000及びNovabiochem 2000 Catalog,Calbiochem−Novabiochem AG,Laufelfingen,Switzerland,2000)。ペプチド偽装化合物と元のペプチドとの間の類似性は構造的及び/又は機能的類似に基づいている。従って、ペプチド偽装化合物は元のペプチドの性質を偽装し、また本発明の目的のために、それらの結合能力はこれらが類似しているペプチドに類似している。
ペプチド偽装化合物は、例えば起源アミノ酸には見られない非天然アミノ酸(例えば、D−アミノ酸又は非天然側鎖を含有するアミノ酸、或いはb−アミノ酸など)から構成することができ、或いはこれらの化合物は他の化合物又は構造単位からなることができ、又は他の化合物又は構造単位から形成することができるものと考えることができる。合成ペプチド偽装化合物の例には、N−アルキルアミノ環状尿素、チオ尿素、ポリエステル類、ポリ(エステルアミド)類、二環状グアニジン類、ヒダントイン類、チオヒダントイン類、及びイミダゾール−ピリジノ−インオール類を包含する(Houghten等、1999及びNargund等、1998)。このようなペプチド偽装化合物は本発明によるペプチドの「構造的又は機能的」類縁体であるものと特徴付けることができる。
本発明の目的のために「ターゲッティング単位」の用語は、腫瘍、腫瘍組織及び好ましくは、腫瘍間質、腫瘍柔組織及び/又は腫瘍の細胞外マトリックス(ECM)に対して選択的ターゲッティングが可能である化合物、ペプチド又はその構造的又は機能的類縁化合物を表す。さらに特に、このターゲッティング単位は細胞表面に、特異的分子に、又は細胞表面上又は細胞内の構造体に結合することができるか、或いはこれらは細胞間に存在する細胞外マトリックスと会合することができる。このターゲッティング単位はまた、内皮細胞又は腫瘍血管系の細胞外マトリックスに結合することもできる。このターゲッティング単位はまた、腫瘍塊、腫瘍細胞及び転移腫瘍の細胞外マトリックスに結合することもできる。
一般に、「ターゲッティング」又は「結合」の用語は、本発明によるターゲッティング単位が腫瘍、腫瘍細胞及び/又は腫瘍組織に対し、例えばインビトロにおける腫瘍生検でインビボ又はエキストラビボペプチド競合試験により、又はその場での免疫学的染色により、或いは当業者にとって既知の方法により、その結合を明白に測定し、決定することができる程度にまで結合するか、接着するか、付着するか、又は親和性を示すことを表す。腫瘍ターゲッティングの用語は、ヒト又は動物身体に投与された場合、ターゲッティング単位が腫瘍に対し特異的に結合することを意味する。この特異的会合にかかわり当技術で使用されているもう一つの用語には、「ホーミング」(homing)がある。この結合が通常的試料処理に対し、例えば生理学的塩類溶液又はその他の生理学的に許容される塩溶液、或いは生理学的pHの緩衝剤溶液による洗浄及びすすぎ処理に対し耐えるに充分に強力である場合、或いはインビボにおける腫瘍標的に対する結合が、その機能を発揮するためのエフェクター単位に対し充分に長時間にわたり該標的に結合する場合、本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤は、インビトロで腫瘍標的に結合するものと考える。
本発明によるターゲッティング剤又はターゲッティング単位の腫瘍への結合は「選択的」である。このことは、本発明によるターゲッティング剤又はターゲッティング単位が正常細胞及び器官には結合しないか、又は腫瘍に比較して充分に低い程度で正常細胞及び器官に結合することを意味する。
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤の薬学的に又は生理学的に又は診断学的に許容される塩及び誘導体は、塩類、エステル類、アミド類、ヒドラジド類、N−置換アミド類、N−置換ヒドラジド類、ヒドロキサミン酸誘導体、その脱カルボキシル化及びN−置換誘導体を包含する。その他の適当な薬学的に許容される誘導体は、当業者が容易に認識できることである。
本発明は、特定のアミノ酸配列又はモチーフを有する一群の直鎖状又は環状ペプチドがインビボで腫瘍に、特にNSCLC腫瘍に、及びインビトロで腫瘍細胞に選択的に標的を定めることができることを見出したことに基づいている。すなわち、本発明によるペプチドは、ヒト又は動物対象に投与された場合、腫瘍に特異的に結合することができるが、身体の正常組織には結合しない。
本発明による腫瘍ターゲッティング単位はファージディスプレイライブラリー(phage display libraries)のバイオ−パンニングによって同定された。ファージディスプレイは、無作為ペプチドのライブラリーがファージゲノムの遺伝子III中にそのコードDNA配列を挿入することによってファージカプシドタンパク質pIIIの一部としてバクテリオファージの表面に発現される方法である。pIIIライブラリーはファージ粒子1個あたりそれぞれ各ペプチドの複写3〜5個を表示する(Smith and Scott,1993)。
ファージディスプレイペプチドライブラリーをバイオ−パンニングによってスクリーニングし、非小細胞肺癌に特異性であるペプチドを選択する。このバイオ−パンニングの原理は、1)ホモゲナイズされた組織試料のファージライブラリーへの曝露、2)未結合ファージの洗浄、及び3)標的組織に結合したファージの救出を包含する。1〜3回の反復工程によって、元のファージライブラリーの別のペプチドに比較して標的組織に対し高度の結合親和性を有する高度に濃縮されたペプチドが得られる。本発明において、例の部分でさらに詳細に説明されているように、ファージディスプレイペプチドライブラリーを非小細胞癌患者の原発性腫瘍から採取された組織試料に対しパンニングした。
本発明によるターゲッティングモチーフ
ここに驚くべきことに、下記4アミノ酸モチーフが腫瘍及び腫瘍細胞に対し、特にNSCLCに対し標的を定め、選択的結合を示すことが見出された:
X−R−Y−P
式中、
Xはアラニン、セリン又はホモセリン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;Rはアルギニン又はホモアルギニン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;Yはアルギニン、ホモアルギニン、アラニン、ロイシン、セリン、ホモセリン、バリン又はプロリン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;Pはプロリン、又はその構造的又は機能的類縁体である。
本発明による特に好適なモチーフは、Xがアラニンであり、及びYがアルギニンであるモチーフ、すなわちA−R−R−Pである。
Xは好ましくは、アラニンであるか、或いは側鎖を有していないか、又はその側鎖(1個又は2個以上)に最多で4個、さらに好ましくは最多で3個、さらに好ましくは最多で2個の非水素原子を含有するその構造的又は機能的類縁体である。アラニンの構造的又は機能的類縁体は、例えば該化合物のいずれかの光学異性体、例えば3−クロロアラニン、3−フルオロアラニン、2−アミノブタン酸、4−フルオロ−2−アミノブタン酸、4−クロロ−2−アミノブタン酸、3−シアノアラニン、3−シクロプロピルアラニン、2−アミノ−3−ブテン酸及び2−アミノ−3−ブチン酸などを包含する。
本発明によるもう一つの好適態様において、Xはセリン又はホモセリン、或いは少なくとも1個のヒドロキシル基又は水素結合を形成することができる他の酸素含有基、好ましくはヒドロキシル基を含有する、その構造的又は機能的類縁体である。
セリン又はホモセリンの構造的又は機能的類縁体はまた、例えばその同族体;又はアミノ酸、アミノアルコール、ジアミノアルコール、トリ−、オリゴ−又はポリ−アミノアルコール、或いは少なくとも1個のヒドロキシル基、エステル化ヒドロキシル基、メトキシ基、他のエーテル化ヒドロキシル(エーテル)基、ケトキシム基、アルドキシム基、ヒドロキサミン酸基、或いはケトン又はアルデヒドカルボキシル基を含有するアミノ酸類縁体又は誘導体であることができる。
セリン又はホモセリンの構造的又は機能的類縁体の例には、そのいずれかの光学異性体、イソセリン、アロ−スレオニン、フェニルイソセリン、2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシプロピオン酸、S−(2−ヒドロキシエチル)−システイン、2−アミノ−4−ヒドロキシペンタンジオン酸、O−ホスホ−セリン、O−スルホ−セリン、スタチン、ベータ−(2−チエニル)セリン、O−ホスホスレオニン、2−アミノ−3−メチルオキシプロピオン酸、ならびにチロニン、4−メトキシ−フェニルアラニン、2−アミノチロシン、3−アミノチロシン、3−ヨウドチロシン、3,5−ジブロモチロシン、3,5−ジヨウドチロシン、いずれかその他のモノ−又はジ−又はトリ−又はテトラハロゲン化チロシン、3−ニトロチロシン、3,5−ジニトロチロシン、O−ホスホチロシン、O−スルホチロシン、及びまた例えば2−アミノマロン酸、2−アミノマロン酸モノエチルエステル及び2−アミノ−3−オキソブタン酸ならびにそのモノエステルなどの化合物がある。
本発明に従い、Rはアルギニン、ホモアルギニン及びカナバニンの任意の光学異性体;ならびにその構造的又は機能的類縁体、好ましくは少なくとも1個のグアニル基、アミジノ基、又は非局在化陽電荷を有するか、又はプロトン化により非局在化陽電荷を獲得することができる関連基を含有する類縁体を包含する。
アルギニン又はホモアルギニンの構造的又は機能的類縁体の例は、カナバニン、2−アミノ−8−グアニジノ−オクタン酸、2−アミノ−7−グアニジノ−オクタン酸、2−アミノ−6−グアニジノ−オクタン酸、2−アミノ−5−グアニジノ−オクタン酸、2−アミノ−7−グアニジノ−ヘプタン酸、2−アミノ−6−グアニジノ−ヘプタン酸、2−アミノ−5−グアニジノ−ヘプタン酸、2−アミノ−4−グアニジノ−ヘプタン酸、2−アミノ−5−グアニジノ−ヘキサン酸、2−アミノ−4−グアニジノ−ヘキサン酸、2−アミノ−3−グアニジノ−ヘキサン酸、2−アミノ−4−グアニジノ−ペンタン酸及び2−アミノ−3−グアニジノ−ペンタン酸、ならびにこれらの化合物のN−メチル化及びジメチル化誘導体を包含する。
本発明に従い、Yはアルギニン、アラニン、ロイシン、セリン、バリン又はプロリン、或いはその構造的又は機能的類縁体から選択することができる。
アルギニン、アラニン及びセリンの構造的又は機能的類縁体の例は上記で説明されている。
ロイシン及びバリンの構造的又は機能的類縁体の例には:
(a)アミノ酸及びそれらの1個の側鎖又は2個以上の側鎖として、或いはそれらの1個の側鎖又は2個以上の側鎖中に、炭素原子、ケイ素原子、少なくとも1個の炭素原子に結合したハロゲン原子、エーテル酸素及びチオエーテルイオウからなる群から選択される少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の同一又は相違する原子を含有する少なくとも1個の分枝状、非分枝状又は脂環式構造基を含有するアミノ酸の類縁化合物及び誘導体(例えば、アミノアルコール及びポリアミノ酸);又は
(b)分枝状、非分枝状又は環状非芳香族の親油性又は疎水性アミノ酸又はアミノ酸の類縁化合物又は誘導体、或いはその構造的又は機能的類縁体、或いは1個又は2個以上の親油性カルボラン型又はその他の親油性ホウ素含有側鎖(1個又は2個以上)、或いはその/それらの同等体(1種又は2種以上)、或いは別の親油性ケージ型構造を有するカルボン酸類縁化合物又は誘導体或いはアミノ酸類縁化合物又は誘導体;
がある。
従って、Yは、例えばバリン、アラニン、イソロイシン、ロイシン、ノルロイシン、ノルバリン、アロ−ロイシン、2−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、2−アミノ−4,4−ジメチルペンタン酸、4,5−ジヒドロロイシン、2−アミノ−6−イソプロピルアミノ−ヘキサン酸、4−アミノ−6−メチルヘプタン酸、3−アミノ−6−メチルヘプタン酸、2−アミノ−6−メチルヘプタン酸、tert−ロイシン、4−アミノ−5−シクロヘキシル−3−ヒドロキシペンタン酸、4−アミノ−5−シクロヘキシル−ペンタン酸、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロピオン酸、2−アミノ−4−シクロヘキシルブタン酸、2−アミノ−3−シクロペンチルプロピオン酸、2−アミノ−4−シクロペンチルブタン酸、2−アミノ−3−シクロブチルプロピオン酸、2−アミノ−4−シクロブチルブタン酸、
2−アミノ−3−シクロプロピルプロピオン酸、2−アミノ−4−シクロプロピルブタン酸、2−アミノ−3−(1−シクロペンテニル)−プロピオン酸、2−アミノ−4−(1−シクロペンテニル)−ブタン酸、2−アミノ−3−エチルスルファニルプロピオン酸、2−アミノ−3−メチルスルファニルプロピオン酸、3−フルオロアラニン、3−クロロアラニン、3,3−ジシクロヘキシルアラニン、2−アミノ−3−プロペン酸、2−アミノ−4,4−ジメチルペンタン酸又はスタチン、或いは上記化合物のいずれかのN−メチル類縁化合物、上記化合物のいずれかのN−エチル類縁化合物、上記化合物のいずれかの他のN−アルキル類縁化合物、アルファ−メチル類縁化合物(2−メチル−類縁化合物)、上記化合物のいずれかのアルファ−エチル類縁化合物(2−エチル−類縁化合物)、
或いは上記化合物のいずれかの他のアルファ−アルキル類縁化合物(2−アルキル類縁化合物)の全ての光学又は幾何学的異性体;
或いは2−アミノブタン酸、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、4−アミノ−5−シクロヘキシル−3−ヒドロキシペンタン酸、4−アミノ−5−シクロヘキシルペンタン酸、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−3−シクロヘキシルプロピオン酸、2−アミノ−4−シクロヘキシルブタン酸、2−アミノ−3−エチルスルファニルプロピオン酸、2−アミノ−3−メチルスルファニルプロピオン酸、2−アミノ−4,4−ジメチルペンタン酸、アロ−イソロイシン、4,5−ジヒドロロイシン、2−アミノ−6−イソプロピルアミノ−ヘキサン酸、ノルロイシン、ノルバリン、スタチン、4−アミノ−6−メチルヘプタン酸、3−アミノ−6−メチルヘプタン酸、2−アミノ−6−メチルヘプタン酸、或いは上記化合物のいずれかのN−メチル類縁化合物、又は上記化合物のいずれかのN−エチル類縁化合物、又は他のN−アルキル類縁化合物、アルファ−メチル類縁化合物(2−メチル類縁化合物)、アルファ−エチル類縁化合物(2−エチル類縁化合物)、又は他のアルファ−アルキル類縁化合物(2−アルキル類縁化合物)であることができる。
本発明に従い、R及びYはまた一緒になって、アルギニン又はホモアルギニンのいずれかの光学異性体、或いは少なくとも1個のグアニル又はアミジノ基、或いは非局在化陽電荷を有するか、又はプロトン化を経て非局在化陽電荷を得ることができる関連基を含有するその類縁体を包含する単位を構成していてもよい。
本発明に従い、Pはプロリンのいずれかの光学又は幾何学的異性体;ならびにヘテロ環状又は炭素環状環構造基、或いは二重結合を含有する構造基を有する構造的又は機能的類縁体を包含し、ここで上記類縁体は好ましくは、プロリンの立体又はニック−形成性性質と同様の又は類似する立体又はニック−形成性性質を有する。
本発明によるモチーフX−R−Y−Pは大型構造体、例えばペプチド又は数種の別の構造体の一部分を構成していてもよい。この対象化合物又は構造体はまた、1個以上のモチーフX−R−Y−Pを含有することができ、またこれらのモチーフの配向及び方向は変えることができる。
本発明によるターゲッティング単位
本明細書に定義されている本発明による腫瘍ターゲッティングモチーフを含有する構造的又は機能的類縁体を包含するペプチドが腫瘍、特に肺腫瘍に、及び非小細胞肺癌細胞腫瘍に標的を定め、そこに選択的結合を示すことがまた見出された。本発明による腫瘍ターゲッティングモチーフ及び7個までの追加のアミノ酸残基又はその類縁基を含有するペプチドはまた、このようなターゲッティング及び選択的結合性を示し、これは本発明の特に好適な実施形態である。
このようなペプチドは、例えばそれらのサイズが小さいこと及びこれらを容易に、信頼性を持って、安価に製造することができることから本発明によるターゲッティング単位として格別に有利に使用することができる。本発明によるペプチドはサイズが小さいことから、精製、分析及び品質制御が容易であり、商品として有用である。
本発明による好適腫瘍ターゲッティング単位は、上記定義のとおりの腫瘍ターゲッティングモチーフX−R−Y−P及び天然アミノ酸、非天然アミノ酸、最多で30個の非水素原子及び無制限の水素原子を含有するアミノ酸類縁化合物;及びその分子量及び/又は式重量が最高で270である他の構造単位及び残基からなる群から選択される追加の残基を含有する。この場合、追加の残基の数は0〜7個、好ましくは0〜6個、好ましくは0〜5個、好ましくは0〜4個、最も好ましくは0〜3個の範囲である。
本発明によるターゲッティング単位は好ましくは、直鎖状である。本発明による直鎖状ペプチドは製造が迅速であり、容易であり、また安価である。このことは、こような単位が合成後のいずれかの追加の処理(環化など)を必要とせず、また環化に必要である複雑なオルトゴナル性及びその他の防護ならびに追加の官能性基が不必要であることによるものである。直鎖状ペプチドへの追加の単位の結合はさらに容易である。このことは、例えば環化の目的に「予備」の官能性基を必要とせず、或いは高価で、複雑なオルトゴナル防護の使用を必要としないことなどによるものである。本発明のいくつかの好適実施形態において、ヒト身体における直鎖状ペプチドの効果的な分解は、例えば迅速なクリアランスが要求される診断用途において、さらに分解が遅い物質の使用に比較し有利である。
本発明のもう一つの実施形態において、環状ペプチドが好適であることもある。従って、本発明によるターゲッティング単位は、環状であってもよい。環状ペプチドは通常、インビボでさらに安定であり、当業者に知られているように、かなりの別の生物学的系において、それらの非環状対抗ペプチドと比較してより安定である。本発明によるさらに安定なペプチドは或る種の目的、例えば或る種の治療用途において格別に好適である。
本発明による好適ターゲッティング単位は下記配列を含有することができる:
X−R−Y−P−Zn
式中、X−R−Y−Pは上記定義のとおりであり、Zはアミノ酸残基又はその構造的又は機能的類縁基であり;及びnは0〜7、好ましくは0〜6、0〜5、0〜4、最も好ましくは0〜3の整数である。
特に好適なターゲッティング単位は、Zがヒスチジン又はトリプトファン以外のいずれかのアミノ酸残基である単位である。特に好適なターゲッティング単位は、Zが次のアミノ酸の少なくとも1個を含有する単位である:リジン、ロイシン又はアスパラギン酸、或いはその構造的又は機能的類縁体。
リジンの構造的又は機能的類縁体の例には、リジン又はオルニチンのいずれかの光学異性体及びその構造的又は機能的類縁体があり、好ましくは少なくとも1個のアミノ基又は置換アミノ基或いは陽電荷を有するか、又はプロトン化を経て陽電荷を獲得することができる他の窒素含有基を含有する。
アスパラギン酸の構造的又は機能的類縁体の例は、グルタミン酸又はアスパラギン酸のいずれかの光学異性体、ならびに水素結合を形成することができる少なくとも1個の酸素原子を含有する、その構造的又は機能的類縁体を包含し、好ましくは少なくとも1個のカルボキシル基、エステル化カルボキシル基、ヒドロキサミン酸官能性基、エステル化ヒドロキサミン酸官能性基、アルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基、エステル化アルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基、ケト基又はアルデヒド官能性基を含有し、さらに好ましくは少なくとも1個のカルボキシル基、ヒドロキサミン酸官能性基、エステル化ヒドロキサミン酸官能性基、アルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基、エステル化アルコール性又はフェノール性ヒドロキシル基を含有し、さらにまた好ましくは少なくとも1個のカルボキシル基、エステル化カルボキシル基、ヒドロキサミン酸官能性基、アルコール性ヒドロキシル基又はエステル化アルコール性ヒドロキシル基を含有し、最も好ましくは少なくとも1個のカルボキシル基又はエステル化カルボキシル基を含有するその構造的又は機能的類縁体を包含し、或いは1個又は2個以上のオキソ官能性基、好ましくは−SO 、−OSO 、いずれかの無機ホスフェート基又はそのエステルを含有するその構造的又は機能的類縁体を包含する。
本発明による好適ターゲッティング単位は、配列番号(SEQ ID NO):1〜配列番号:73で同定されているペプチドからなる群から選択される単位を包含する。本発明による格別に好適なターゲッティング単位は、ARRPKLD(配列番号:1)、SRRPKLD(配列番号:65)、ARRP(配列番号:66)、SRAP(配列番号:67)、ARAP(配列番号:68)、SRVP(配列番号:69)、SRLP(配列番号:70)、ARLP(配列番号:71)、ARPP(配列番号:72)、SRRP(配列番号:73)を包含する。
本発明によるターゲッティング剤
少なくとも1種の本発明による腫瘍ターゲッティング単位及び少なくとも1種のエフェクター単位を含有するターゲッティング剤は癌細胞及び癌組織に対し標的を定め、これらに対し選択的結合を示すことがまた、ここに見出された。
本発明による腫瘍ターゲッティング剤は任意に、リンカー、溶解性修正剤、安定剤、電荷修正剤、スペーサー、溶解又は反応又は反応性修正剤、中間単位又は中間エンハンサー又は膜相互反応単位又はその他の局所経路単位、付着単位、結合単位及び分布関与単位などの単位(1種又は2種以上)を含有することができる。本発明による腫瘍ターゲッティング剤中のこのような付加単位は、いずれかこの目的に適する手段によって相互に結合することができる。
対象又は関連タイプの構造体、分子及び基の相互結合に関して、かなりの可能性が当業者に知られている。各種単位は直接に、又は1種又は2種以上の同一、類似及び/又は相違するリンカー単位によって結合させることができる。本発明による腫瘍ターゲッティング剤は、例えば以下に図で示されている無制限のタイプのいずれかなどの相違する構造を有することができる:
Figure 2008539209
ここで、EUは「エフェクター」単位を表し、及びTUは「ターゲッティング」単位を表し、またn、m及びkは独立して、0を除くいずれかの整数である。
本発明によるターゲッティング剤において、多くの別の医薬及び別の物質として、該ターゲッティング単位をエフェクター単位又はその他の単位による立体的又は電子的「混乱」から防護するために、或いは防止又は「遮蔽」するために、例えばアミノ酸及びそれらの類縁化合物、例えば長鎖状オメガ−アミノ酸などのスペーサー又はリンカーを含有するものと考えることができる。
本発明によるターゲッティング剤において、樹枝状又は環状構造体を使用は、その活性を増加させるために、例えば複数のエフェクター単位又は追加単位を導入する可能性を得るために有用であることがある。
本発明による好適ターゲッティング剤は、構造:EU−TU−OU、TU−EU−OU又はTU−OU−EUを包含し、ここでTUは上記定義のとおりの本発明によるターゲッティング単位であり、及びEU及びOUは下記群から選択されるエフェクター単位又は任意の単位である:
エフェクター単位、リンカー単位、溶解性修正剤単位、安定剤単位、電荷修正剤単位、スペーサー単位、溶解及び/又は反応及び/又は反応性修正剤単位、中間及び/又は中間エンハンサー及び/又は膜相互反応単位及び/又はその他の局所経路及び/又は局所付着/局所結合及び/又は分布関与単位、吸着増強剤単位、及びその他の関連単位;及び
少なくとも1種のこのような単位を含有するペプチド配列及びその他の構造体;及び
20個よりも多くない、好ましくは12個よりも多くない、さらに好ましくは6個よりも多くない、天然及び/又は非天然アミノ酸;及び
25個よりも多くない非水素原子及び無制限数の水素原子;
ならびにその塩、エステル、誘導体及び類縁体。
エフェクター単位
本発明の目的にかかわり、「エフェクター単位」(EU)は、分子又は基又は他の化学実在物質又は大型粒子(例えばコロイド状粒子など);リポソーム、ナノ粒子又はミクロ粒子を意味する。適当なエフェクター単位はまた、ナノデバイス又はナノチップ又はそれらの類似物品;或いは上記のいずれかの組合わせ、及びエフェクター単位の構成部分を相互に、又はターゲッティング剤の別の部分に接合するための任意の化学的構造体を包含することができる。エフェクター単位はまた、該エフェクター単位の安定性又は溶解性を修正する分子を含有することができる。
本発明に従いエフェクター単位によって付与される好適効果には、標的を定めた腫瘍の治療(生物学的、化学的又は物理的)効果;診断の目的にかかわり腫瘍又は腫瘍細胞を検出又は造影できる性質;又は種々の用途における該ターゲッティング剤の使用に関連する結合能力がある。
本発明に従うエフェクター単位の好適(生物学的)活性は、治療効果である。このような治療活性の例には、例えば細胞毒性、細胞静止効果、細胞の分化を生じさせる能力、又は分化程度を増加させる効果、又は表現型変更又は代謝変更、化学走性活性、免疫調節活性、痛み軽減活性、放射性活性、細胞サイクルに影響を及ぼす能力、アポトーシスを生じさせる能力、ホルモン性活性、酵素性活性、細胞をトランスフェクションする能力、遺伝子をトランスフェクションする能力、1個又は2個以上の遺伝子の「ノックアウト」(knock−out)を仲介する能力、遺伝子置き換え又は「ノックイン」(knock−in)を生じさせる能力、遺伝子又はタンパク質発現を減少、阻止又はブロックする能力、抗血管形成活性、熱又は外部照射線又は電場或いは磁場からの他のエネルギイを収集する能力、細胞の遺伝子情報又は外部関連情報の転写、翻訳又は複製に影響を及ぼす能力、及び転写後又は翻訳後の事象に影響を及ぼす能力などがある。
本発明に従うエフェクター単位によって達成できる他の好適治療作用は、熱(遅速)ニュートロン(ニュートロン捕獲体によって適当な核放射活性にするため)の使用、又は例えばエステル結合又は他の結合を加水分解できる酵素の投与、或いは本発明による標的を定められた酵素の投与に基づくことができる。
本発明に従うエフェクター単位の検出に適する好適機能の例には、放射線活性、常磁性、強磁性、フェリ磁性、又はいずれかのタイプの磁性、或いはNMR分光分析により検出される能力、又はEPR(ESR)分光分析により検出される能力、又はPET及び/又はSPECT造影にかかわる適応性、又は免疫原性構造体の存在、又は抗体又は抗体断片又は抗体型構造体の存在、又は金粒子の存在、又はビオチン又はアビジン又は他のタンパク質の存在、及び/又は発光及び/又は蛍光及び/又は燐光活性、或いは腫瘍、腫瘍細胞、内皮細胞及び転移体の電子顕微鏡、光学顕微鏡(UV及び/又は可視光線)、赤外線顕微鏡、原子力顕微鏡又はトンネリング(tunneling)顕微鏡による検出を強化する能力などがある。
本発明に従うエフェクター単位の好適結合能力の例は、下記能力を包含する:
a)金属イオン(1種又は2種以上)結合能力、例えばキレート形成による、
b)細胞毒性、細胞壊死性又は代謝影響物質、或いはこのような物質にその場で変換されうる物質に対する結合能力、
c)ヒスチジンタグ又はその他のタグなどの物質又は構造体に対する結合能力、
d)酵素又は修飾酵素に対する結合能力、
e)ビオチン又はその類縁体に対する結合能力、
f)アビジン又はその類縁体に対する結合能力、
g)インテグリン又はその他の細胞接着、移動又は細胞内シグナル生成に包含される物質に対する結合能力、
h)ファージ結合能力、
i)リンパ球又はその他の血液細胞に対する結合能力、
j)バイオパンニングにより、又はその他の方法により選択された抗体又は構造体の存在に基づいていずれか予め選択された物質に結合する能力、
k)シグナル生成又は増幅に使用される物質に対する結合能力、
l)治療物質に対する結合能力。
このような結合は、例えばキレート形成、共有結合の形成、抗体−抗原型親和性、イオン対又はイオン会合形成、アビジン−ビオチン型の特異的相互作用、或いはいずれかの形式又は様相の結合又は親和性の結果であることができる。
1種又は2種以上のエフェクター単位又はそれらの一部分はまた、ターゲッティング単位それら自体の一部であることもできる。すなわち、エフェクター単位は、例えばターゲッティング単位の1種又は2種以上の原子又は核であることができ、例えば放射性原子又は放射能を発生することができる原子、或いは常磁性原子又はMRI又はNMR分光分析によって容易に検出することができる原子(例えば、炭素−13)であることができる。追加の例には、例えばホウ素含有構造体、例えばカルボラン型親油性側鎖がある。
エフェクター単位は、ターゲッティング剤のエフェクター単位の大部分、又は好ましくは全部、又は実質的に全部が例えばヒト又は動物対象、或いは研究又は処置中の生物学的試料における実質的(必要)ターゲッティング方法の期間中にわたりターゲッティング単位に結合したままであるのに充分に強力であるいずれかの方式の結合又は構造又はそれらの組合わせによってターゲッティング単位に結合させることができる。
エフェクター単位又はそれらの一部分はターゲッティング単位に結合したまま残ることができ、或いはエフェクター単位又はそれらの一部分は自発的化学反応又は平衡化によって、又は自発的酵素性プロセス又はその他の生物学的プロセスによって、又は加水分解性酵素又はその他の化学物質の投与などの計画的操作又は処理の結果として、ターゲッティング単位から部分的に又は完全に加水分解させるか、又は別様に分解させることもできる。本発明に従い酵素などの標的が定められた物質の投与によって酵素性プロセス又はその他の反応を生じさせるか、又は強化することもできる。
エフェクター単位又はそれらの一部分は、ターゲッティング剤から加水分解させることができ、或いは腫瘍(例えば、細胞内、細胞膜又は細胞外マトリックス)に、或いはそれらの近辺に存在する種々の加水分解性酵素の1種又は2種以上の作用によって、より小さい単位に加水分解させることもできる。
本発明によるターゲッティングは、身体内の何処ででも生じる非特異的加水分解が1種又は2種以上のエフェクター単位(1個又は2個以上)の故意の加水分解に許容され、有用であることがある場合でさえも、非常に迅速であることは考慮されるべきことである。この理由は、適当な場合(例えば、立体障害、又はいずれかのこのような妨害作用がなくても)、身体の加水分解性酵素の存在にもかかわらず、このような加水分解がターゲッティング剤の安全なターゲッティングを可能にするほど緩慢であることによるものである。このことは当業者に非常に充分に理解されていることである。加水分解後、不溶性生成物又は細胞中に迅速に吸収されるか、又はそれらの表面に結合される生成物の生成はまた、腫瘍又はそれらの近辺に留まらせるために、ターゲッティングされたエフェクター単位又はそれらの断片などにとって有益であることができる。
本発明の好適実施形態において、エフェクター単位は直接的又は間接的に、治療又はその他の作用、シグナル検出、予め選択された物質(生物学的物質、分子、イオン、微生物又は細胞を包含する)の結合の「増幅」を可能にする。
このような「増幅」は、例えば下記非制限的タイプの1種又は2種以上に基づくことができる:
−他の物質(例えば、抗体、蛍光性抗体、別の「標識付け」された物質、アビジンなどの物質)をさらに結合させることができる他の物質のエフェクター単位による結合。この場合、好ましくは数種の追加の物質の分子又は「単位」を各エフェクター単位にそれぞれ結合させることができる;
−エフェクター単位が結合可能な1種以上の実体、例えばタンパク質を含有する。この場合、直接的増幅が可能にされる;
−1種以上の工程における増幅。
本発明による好適エフェクター単位は下記群から選択することができる:
−細胞増殖抑制又は細胞毒性薬剤
−アポトーシスを生じさせるか、又は強化させる薬剤
−酵素又は酵素阻害剤
−代謝拮抗剤
−膜機能を撹乱させることができる薬剤
−放射性又は常磁性物質
−1種又は2種以上の金属イオンを含有する物質
−ホウ素、ガドリニウム、リチウムを含有する物質
−ニュートロン捕獲治療に適する物質、例えばホウ素又はカルボラン
−標識付けされた物質
−インターカレーター及びこれらを含有する物質
−酸化剤又は還元剤
−ヌクレオチド及びそれらの類縁体
−金属キレート又はキレート形成剤。
本発明の特に好適な態様において、エフェクター単位はアルファ発射剤である。
本発明の別の好適態様において、エフェクター単位は銅キレート、例えばトランス−ビス(サリシルアルドキシメート)銅(II)及びその類縁化合物、或いは白金化合物、例えばシスプラチン(cisplatin)及びカルボプラチン(carboplatin)などを含有することができる。
さらに特に、進行したNSCLCの処置において、白金化合物と組合わせて下記薬剤又はそれらの構造的又は機能的類縁化合物を使用することができる:有糸分裂抑制剤/タキサン類(taxanes),例えばパクリタキセル(paclitaxel)又はドセタキセル(docetaxel)、或いは代謝拮抗物質、例えばゲムシタビン(gemsitabine)又はメトトレキサート(metotrexate)、或いはビンカアルカロイド、例えばビノレルビン(vinorelbine)、或いはアルキル化剤、例えばイソホスファミド又はシクロホスファミド、或いは抗生物質、例えばブレオマイシン(bleomycine)又はミトマイシン(mitomycine)、或いはトポイソメラーゼ阻害剤、例えばイリノテカン(irinotecane)又はトポテカン(topotecane)。
例えば内在化(internalization)を細胞中で生じさせるか、又は強化させるために使用することができる相違する種類の構造体、物質及び群が知られており、例えばRQIKIWFQNRRMKWKK;ペネトラチン(Penetratin)(Prochiantz,1996)、ならびにステアリル誘導体(Promega Notes Magazine,2000)がある。
アポトーシス−誘発性構造体として、例えばミトコンドリア膜内部細胞と相互作用することが報告されているペプチド配列KLAKLAKを含有させることができる(Ellerby等、1999)。
細胞選別又はいずれかの関連用途を包含する本発明の実施形態で使用する場合、例えば下記の本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤を使用することができる:
a)磁性粒子にカプリング又は結合されている、
b)プラスティック、ガラス又はその他の固形、多孔質、繊維状物質−形態又はその他の表面(1種又は2種以上)などに吸着、カプリング、連結又は結合されている、
c)カラム又は関連装置に使用することができる1種又は2種以上の物質又は材料中に、又はこれらの物質又は材料上に、吸着、共有結合又は別段の連結、カプリング又は結合されている、
d)沈殿、遠心分離、又は別段の分離又は除去することができる1種又は2種以上の物質又は材料中に、又はこれらの物質又は材料上に、吸着、共有結合又は別段の連結、カプリング又は結合されている。
本発明によるターゲッティング剤の任意の単位(OU)
本発明によるターゲッティング剤及びターゲッティング単位は場合により、例えば下記の単位などの追加の単位を含有することができる:
本発明によるターゲッティング単位、エフェクター単位、又はその他の任意の単位を相互にカプリングさせるためのリンカー単位;
ターゲッティング単位又はそれらの加水分解生成物の溶解性を変更するための溶解性修正単位;
合成、修飾、プロセッシング、保存又はインビボ又はインビトロにおける使用の期間中、ターゲッティング単位又はターゲッティング剤の構造を安定化するための安定剤単位;ターゲッティング単位又はターゲッティング剤、或いはそれらの出発物質の電荷を変更するための電荷修正単位;
生成物又はそれらの出発物質の立体的障害又は構造的ひずみを減少又は開放する場合、ターゲッティング剤又はそれらの出発物質の特定単位間の距離を増加するためのスペーサー単位;
反応性修飾単位;
ターゲッティング又はターゲッティング剤の取込みを強化するためのインターナリゼーション性単位又はエンハンサー単位;
例えばターゲッティング剤のインビボ吸着を強化する吸着強化単位、例えば脂肪溶解性又は水溶性構造体;或いは
その他関連単位。
多数の適当なリンカー単位が当技術で知られており、適当なリンカーの例には下記リンカーがある:
1.アミノ基を含有する単位を結合させる場合;環状無水物、ジカルボン系又は多価の活性化又は誘導体化されていてもよいカルボン酸、2個又は3個以上の反応性ハロゲンを有する化合物、或いは少なくとも1個の反応性ハロゲン原子及び少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物;
2.カルボキシル基又はその誘導体を含有する単位を結合させる場合;、少なくとも2個の同一又は相違する基、例えばアミノ、置換アミノ、ヒドロキシル、−NHNH−又はその置換形態、該目的用のその他公知の基(活性化剤を使用することができる);
3.アミノ基又はカルボキシル基を結合させる場合、例えばアミノ酸又はそれらの活性化或いは保護形態又は誘導体;
4.ホルミル基又はケト基を他の基に結合させる場合、例えば少なくとも1個の−N−NH又は−O−NH又は=N−NH基などを含有する化合物;
5.数個のアミノ含有単位を結合させる場合、EDTA、DTPA又はポリカルボン酸又はその無水物、そのエステル、又はそのアシルハライドなどのポリカルボン酸系物質;
6.アミノ基を含有する物質をホルミル基又はカルボキシル基を含有する物質に結合させる場合、ヒドラジノカルボン酸など、好ましくはヒドラジノ分子又はカルボキシル基が保護されているか、又は活性化されている化合物、例えば4−(FMOC−ヒドラジノ)安息香酸;
7.有機構造体を金属イオンに結合させる場合、有機構造体にカプリングさせることができる物質(例えば、それらの−COOH基又はそれらのNH基による)、或いはその内在部分である物質、及びポリカルボン酸部分をさらに含有する物質、例えばEDTA−又はDTPA−様構造体、数個のヒスチジンを含有するペプチドなど、数個のシステイン又はその他のそれぞれ−SH基を含有する分子を含有するペプチド、或いは有機構造体への金属イオンの結合に使用することができる官能性基を含有する他のキレート形成剤。
多数の種々の上記物質及び別のタイプの適当な結合剤が当技術で知られている。
多数の適当な溶解性修正単位は当技術で知られている。適当な溶解性修正単位は下記例を包含する:
−水溶性を増加させる場合、SO 、O−SO 、COOH、COO、NH、NH 、OH、ホスフェート基、グアニジノ又はアミジノ基、或いはその他のイオン性又はイオン化性基又は糖型構造体を含有する分子;
−脂肪溶解性又は有機溶媒中における溶解性を増加させる場合、(長鎖)脂肪族分枝状又は非分枝状アルキル又はアルケニル基、環状非芳香族基(例えば、シクロヘキシル基)、芳香族環又はステロイド構造体を含有する単位。
当技術で知られている多数の単位を安定剤単位として使用することができ、例えば立体障害を増加させる場合、嵩だかの構造体(例えば、tert−ブチル基、ナフチル基、アダマンチル基、及び関連基など)を使用することができ、また酵素性加水分解を防止又は妨害させる場合、D−アミノ酸及びその他の非天然アミノ酸(ベータ−アミノ酸、オメガ−アミノ酸、非常に長い側鎖を有するアミノ酸など)を使用することができる。
陽電荷、陰電荷又は両電荷を有する単位は、電荷修正単位として使用することができ、陽電荷、陰電荷又は両電荷を有する単位に変換することができるか、変換する構造体であることができる。
スペーサー単位は非常に重要であることがあり、このような単位を使用する必要性は構造体中の別の成分(例えば、使用される生物学的活性剤及びそれらの作用メカニズム)及び使用される合成プロセスに依存する。
適当なスペーサー単位は、例えば長鎖状又は糖型構造体(過剰に高い親油性を有するものを除く)又は大型環状構造体を包含する。適当な化合物は当技術で入手することができる。好適種類のスペーサー単位の一つは長鎖状オメガ−アミノ酸である。このような化合物はまた、アミノ−含有単位とカルボキシル−含有単位との間のリンカー単位として使用することもできる。かなり多くのこのような化合物がそのままの形態で及び各種の保護誘導体の形態で市販されている。
加水分解(自発化学的加水分解又は身体自体の酵素或いは患者に投与された酵素による酵素的加水分解)に感受性である単位は、エフェクター単位がターゲッティング剤から遊離することが望まれる場合、例えば細胞内又は細胞外DNA又はレセプター結合を内在化する場合、非常に有利であることができる。この目的に適する単位には、例えば1個又は2個以上のエステル又はアセチル官能性基を含有する構造体が包含される。挙げられている目的にかかわり、各種プロテアーゼを使用することができる。プロドラッグの製造に使用されるかなり多くの基が加水分解性の増加又は加水分解の発生に、溶解反応に、又はその他の分解プロセスに適当であることができる。
本発明によるエフェクター単位、ターゲッティング単位及び任意の単位は1種以上の機能を同時的に果たすことができる。すなわち、一例として、ターゲッティング単位は同時にエフェクター単位であることができ、或いは数種のエフェクター単位を包含することができる;スペーサー単位は同時に、リンカー単位又は電荷修正単位又はその両方であることができる;安定剤単位は別のエフェクター単位の性質とは相違する性質を有するエフェクター単位であることができる;などが挙げられる。エフェクター単位は、例えば数種の類似する機能又は相違する機能を有することもできる。
本発明の好適実施形態の一つにおいて、腫瘍ターゲッティング剤は1種以上の相違するエフェクター単位を含有する。このような場合、このエフェクター単位は、例えば診断用単位及び治療用単位であることができる。すなわち、一例として、ホウ素ニュートロン治療の場合、そのエフェクター単位がホウ素原子を含有するのに加えて、該薬剤の投与後に患者においてインビボ検出又は定量することができるターゲッティング剤を使用すると好ましく、これにより、例えば該薬剤が処置されるべき腫瘍に不適当に蓄積したか否かを確認することができ、或いはニュートロン処置の時機を最適にすることができる。この目的は、例えばホウ素原子(好ましくは、同位元素−濃縮ホウ素)及びNMRIなどで検出可能な基を含有するエフェクター単位を含有するような本発明によるターゲッティング剤を使用することによって達成することができる。同様に、1種以上の治療的に有用なエフェクター単位の存在は好適であることがある。さらに、ターゲッティング単位及びターゲッティング剤は、所望により、1種又は2種以上の「古典的」又はその他の腫瘍治療方法、例えば手術、化学療法、他のターゲッティング療法、放射線治療、免疫療法などと組合わせて使用することができる。
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤の製造
本発明によるターゲッティング単位は好ましくは、合成ペプチドである。ペプチドは広く種々の周知の技術によって、例えば固相合成法(FMOC−、BOC−及びその他の保護スキーム、各種樹脂方式)、溶液合成法(FMOC、BOC及びその他の変法)、及びこれらの組合わせ方法によって合成することができる。この目的用の自動式装置/デバイスはまた、商業的に入手することができ、決まりきった合成及び精製事業と同様である。これら手段の全部は当業者に非常に充分に知られている。数種の方法及び材料について、下記刊行物が例として挙げられる:Bachem AG,SASRINA(1999)、The BACHEM Practise of SPPS(2000)、Bachem 2001 catalogue(2001)、Novabiochem 2000 Catalog(2000)、Peptide and Peptidomimetic Synthesis(2000)、及びThe Combinatorial Chemistry Catalog & Solide Phase Organic Chemistry(SPOC)Handbook98/99。ペプチド合成はまた、例により例示されている。
当技術で知られているように、1種又は2種以上の保護基の使用はしばしば、推奨され、重要であり、及び/又は必要である。広く種々の保護基が当技術で知られており、例えばFMOC、BOC及びトリチル基など、さらにまた例で挙げられているその他の保護基などがある。保護基はしばしば、アミノ、カルボキシル、ヒドロキシル、グアニル及び−SH基の保護に、ならびにいずれか反応性基/官能性基に使用される。
当業者にとって周知であるように、活性化はしばしば、カルボキシル官能性基活性化及び/又はアミノ基の活性化を包含する。
保護はまた、オルトゴナル(orthogonal)及び/又はセミ/クアジ/プソイド−(semi/quasi/pseudo−)又はトゴナル(thogonal)であることができる。保護及び活性化基、物質及びそれらの使用は例で例示されており、また本明細書で引用されている刊行物に記載されており、ならびに当技術で公知の多数の刊行物及び他の情報源に開示されている(例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,1999)。
固相合成用樹脂はまた、当技術で周知であり、例及び上記引用刊行物に記載されている。
環状ペプチドは通常、生物学的環境で特に安定であり、従って好適である。本発明による環状構造体は、例えば国際特許公開WO2004/031219(この刊行物を引用してここに組み入れる)に記載されているようなオルトゴナル的に保護されているアミノ酸の使用に基づく方法によって合成することができる。
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤はまた、縮合タンパク質として製造することができ、又は当技術で公知のその他適当な組換えDNA法によって製造することができる。このような本発明によるペプチドの製造手段は、エフェクター単位及び/又は任意の単位がペプチド又はタンパク質である場合に特に好適である。有用なタンパク質エフェクター単位の一例は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である。
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤の利点
診断又は治療用途を目的とするペプチドに関連する問題が知られている。これらの問題の一つは配列の長さから派生する:特に保護−脱保護を必要とするか、又は副反応を生じる複雑な残基の存在などの別の合成上の問題が存在する場合、配列が長く成長すると所望の生成物の合成がますます困難になる。
長く、また問題の多いアミノ酸残基を有する生成が困難な配列を含有する公知ペプチドに比較して、本発明によるペプチドは明白に優れている。本発明によるターゲッティング単位は容易に、かつ確実に合成することができる。多くの従来技術のペプチドに比較して、本発明によるターゲッティング単位及びモチーフは問題の多い塩基性アミノ酸リジン及びヒスチジンを含有する必要がなく、またトリプトファンを含有する必要がないという点で有利である。これらのアミノ酸は全部がペプチド合成において重大な副反応を生じさせることがあり、またこれらのアミノ酸によって、所望の生成物の収率は急速に低下されることがあり、或いは適当な量又は適当な品質を有する生成物を得ることが不可能になることさえある。
それらのさらに小さいサイズ、従って合成工程が劇的に少ないことから、本発明によるペプチドは従来技術の大部分のターゲッティングペプチドに比較して生成が容易であり、また安価である。
ヒスチジンは本発明による生成物には不必要であることから、ラセミ化の危険性は無関係になる。このことは本発明による生成物の経済的な合成にとって格別に有利であるばかりでなく、また精製及び分析ならびに品質制御において、ヒスチジンのいずれのラセミ化も考慮しなくてもよいという点で有利である。このことはまた、ヒト及び動物への投与を安全で、さらに率直にする。
本発明によるターゲッティング単位のサイズが小さいことから、総合価格は劇的に減少され、また精製がより容易で、さらに確実であることから良好な生成物を多量に得ることができる。さらにまた、精製の確実性は治療及び診断用途における毒性残留物の問題及び致命的な、又は別段の重大な副作用の問題を少なくする。
本発明によるターゲッティング単位はまた、それらの高い溶解性、特異性、無毒性及び非免疫原性によって格別に有利である。従来技術のターゲッティングペプチドの大きな問題は、それらの水溶解性又は一般的溶解性が通常、非常に低く、極端に低いことさえあることにある。従って、良好なターゲッティング性質及び優れた溶解性を有し、合成及び精製が容易であるターゲッティングペプチドは緊急に求められている。本発明は、優れたターゲッティング性質、容易で安価な合成及び精製をもって、さらに格別に疎水性であるカルボランにカプリングされていても、格別に良好な水溶解性を有するターゲッティングペプチドを提供することによって、これらの問題を解消する。
本発明によるターゲッティング剤の固相合成において、エフェクター単位及び任意の追加単位は、保護基の分離がエフェクター単位又は任意の単位の分解を生じさせる危険を伴うことなく、樹脂に結合されたままでターゲッティングペプチドに結合させることができる。同様の利点は溶液合成の場合にも当てはまる。
本発明及び本発明による生成物、方法及び使用におけるもう一つの重要な利点は、生成物が高度に選択的で、かつ強力なターゲッティング性を有することにある。
抗体又は抗体断片を用いる標的を定めた治療に比較して、本発明による生成物及び方法は数種の理由で格別に有利である。大型生体分子の場合、潜在的免疫学的危険及び関連危険の存在は明白である。本発明によるターゲッティング剤、単位及びモチーフなどの小型合成分子に比較して、アレルギイ反応はこのような生成物にとって格別に問題になる。
抗体又は抗体断片を用いるターゲッティングに比較して、本発明によって開示されている生成物及び方法は、それらの構造を必要に応じて、又は所望により容易に変更することができることから格別に有利である。ヒスチジン、トリプトファン、チロシン及びスレオニンなどの特定のアミノ酸は、所望により排除することができ、また必要な官能性基は非常に少ない。他方、ターゲッティング効果を乱すことなく、種々の相違する構造体を包含させることができ、これにより特定の用途に特別の価値を有する特異的な所望の性質を得ることができる。
本発明によるターゲッティング剤の使用
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤は、例に示されているように、これらがインビボで腫瘍に対し、特にNSCLC腫瘍に対し選択的に標的を定めることから癌の診断及び治療に有用である。エフェクター単位は所望の効果、検出又は治療に応じて選択することができる。所望の効果はまた、ターゲッティング単位内にエフェクターを含有させるなどによって達成することができる。放射線治療に用いる場合、ターゲッティング単位それ自体が、例えば放射活性に標識付けされていてもよい。
本発明はまた、有効量の本発明による少なくとも1種のターゲッティング剤を含有する診断組成物に関する。本発明によるターゲッティング剤の診断上の有効量は、例えば選択されるエフェクター単位に応じて、1フェムトmol〜10mmolの範囲であることができる。ターゲッティング剤に加えて、本発明による診断組成物は、場合により、担体、溶媒、ベヒクル、懸濁剤、標識付与剤及びその他の診断組成物に慣用される添加剤を含有することができる。このような診断組成物は腫瘍、腫瘍細胞及び転移体、特に肺の腫瘍、さらに特に非小細胞肺癌腫瘍及びNSCLC型の腺癌の診断に有用である。
本発明による診断組成物は液体、ゲル又は固体製剤に、或いは吸入剤などの製剤に調製することができ、好ましくは本発明によるターゲッティング剤を約1x10−10mg/l〜25x10mg/lの範囲の濃度で含有する水性液体に調製することができる。この組成物はまた、安定剤、洗剤、例えばポリソルベート、ならびにその他の添加剤をさらに含有することができる。これらの成分の濃度は、使用される組成に格別に依存する。この診断組成物は、インビボ又はインビトロで使用することができる。
本発明はまた、ターゲッティング剤及びターゲッティング単位を癌処置用医薬組成物の製造に使用することを包含する。
本発明はまた、本発明による少なくとも1種のターゲッティング剤の治療有効量を含有する医薬組成物に関する。この医薬組成物は、本発明によるターゲッティング剤又はターゲッティング単位、或いはその治療的に許容される塩、エステル又は別の誘導体を含有する医薬組成物の治療有効量を投与することによって癌疾病の処置、予防又は緩和に使用することができる。この組成物はまた、相違する組合わせのターゲッティング剤及びターゲッティング単位を標識付与剤、造影剤、医薬及びその他の添加剤とともに含有することができる。
本発明によるターゲッティング剤の治療有効量は該医薬組成物の組成に応じて変えることができる。好ましくは、本発明による医薬組成物は、約0.00001mg/l〜250g/l、さらに好ましくは約0.001mg/l〜50g/l、最も好ましくは0.01mg/l〜20g/lの変化する濃度でターゲッティング剤を含有することができる。
本発明による医薬組成物は本発明によるターゲッティング剤の投与に有用である。経口使用、静脈又は局所注射、又は注入、又は吸入に適する医薬組成物は特に好適である。該医薬組成物は、インビボ又はエクスビボで使用することができる。
これらの製剤は凍結乾燥することができ、投与前に再構成することができ、或いは、すぐに投与できる形状、例えば溶液、懸濁液、懸濁液−溶液などとして、或いは一般に粉末、濃縮物、凍結液体及びいずれかその他の種類の形態又は形状で保存することができる。これらの製剤はまた、使用前に、混合し、次いで可能な別段の操作及び/又は処理などを行う分離した構成成分からなることができる。液体製剤は、再構成をすることなく投与することができるという利点を備えている。溶液製剤のpHは約1〜約12の範囲、好ましくは生理学的pH付近である。この溶液の浸透圧は、例えば塩化ナトリウム及び/又は糖、ポリオール及び/又はアミノ酸及び/又は類似の成分を用いて好適数値に調整することができる。該組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤及び/又は安定剤、例えばアルブミン、糖及び各種ポリオール、ならびにいずれか許容される添加剤、又はその他の活性成分、例えば化学療法剤を含有することができる。
本発明はまた、癌の処置を必要とする患者に治療有効量の本発明による医薬組成物を投与することによって癌、特に固形癌を処置する方法に関する。
治療用量は、利用可能なターゲッティング剤及びターゲッティング単位をインビトロ又はインビボ試験系において試験することによって実験的に決定することができる。適当な治療有効量は次いで、これらの試験から推定することができる。
経口投与の場合、ターゲッティング単位及びターゲッティング剤が安定であって、腸器官から適度に吸収されることが重要である。
本発明による医薬組成物は全身的に、非全身的に、局所的に又は局部的に、非経口的に、ならびに経口的に、例えば皮下、静脈内、筋肉内、経口、鼻内に、肺エアゾル又は粉末により、特定の臓器又は領域中への注射又は注入により、口腔に、頭内又は腹腔内などに投与することができる。
本発明による腫瘍ターゲッティング剤の投与量及び投与計画は、癌処置の臨床分野の当業者によって容易に決定することができる。一般に、この投与量は、例えば使用されるターゲッティング剤のタイプ;年齢;健康状態;処置される医学的状態;なされている場合、現時点での処置の種類;処置の頻度及び所望の効果の性質;性別;症状の持続期間;及びなされている場合、反対の指示、及び担当医師により調整されるべき他の諸問題;などを考慮して変えることができる。本発明によるターゲッティング単位又はターゲッティング剤のヒト患者に対する好適投与量は、ボーラス又は反復投与として、例えば一日投与量として、約1x10−9mg/体重kg〜約40mg/体重kgの範囲で変えることができる。
本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤ならびに医薬組成物はまた、DNA又はRNA或いはその構造的及び機能的類縁体、例えばホスホロチオエート、又はペプチド核酸(PNA)を腫瘍中及びそれらの転移体に、或いはインビトロで単離細胞及び臓器に供給するためのターゲッティングデバイスとして、すなわちインビボ及びインビトロの両方における遺伝子治療用の道具として使用することもできる。このような場合、これらのターゲッティング剤又はターゲッティング単位は、ウイルスキャプシド又はエンベロープの、リポソームの、或いはその他のDNA/RNAの「容器」(containers)又は関連物質の一部であることができ、又はDNA/RNA又は上記その他の分子に直接にカプリングさせることもできる。本発明の特に好適な実施形態において、ターゲッティング剤は1個の連続分子としてペプチド結合を介して結合されているアミノ酸鎖又はその構造的又は機能的類縁化合物としてTUを含有し、及びPNA又はその類縁体としてEUを含有する。このようなターゲッティング剤は遺伝子発現の遺伝子産物−特異性阻害(サイレンシング)(silencing)用の小型干渉性RNA(siRNA;この場合、「siPNA」)の細胞内供給に使用することができる。
本発明はまた、インビボ及びインビトロにおける癌又は癌細胞の診断、検出又は分析用のキット及びキット構成成分を包含する。このようなキットは少なくとも1種の本発明によるターゲッティング剤又はターゲッティング単位を検出可能な診断要素とともに含有する。このキットは、例えば免疫学的方法、放射性又は酵素性方法或いはその他の当技術で公知の方法による検出のための単位とカップリングしているターゲッティング剤又はターゲッティング単位を包含することができる。
さらにまた、本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤、ならびにターゲッティングモチーフ及び配列は、上記目的のいずれかのためのペプチド模擬化合物の設計に先導化合物として使用することができる。
さらにまた、本発明によるターゲッティング単位及びターゲッティング剤、ならびにターゲッティングモチーフ及び配列は、そのままで、又は他の材料にカプリングさせて、細胞、分子及び関連生物学的標的の単離、精製及び同定に使用することができる。
下記例は本発明の好適実施形態をさらに説明するものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。本発明の概念を種々の方法で実行できることは、技術的進歩として、当業者に明白であろう。本発明及びその実施形態は上記例に制限されるものではなく、特許請求の範囲内で変えることができる。
実施例1
患者試料をバイオ−パンニングするための一般的スクリーニング方法
ファージディスプレイライブラリー。Smith及びScott(1993)による標準的方法を使用した。臨床試料のスクリーニングに用いられるファージディスプレイライブラリーをfUSE5ベクターでクローン形成し、及び構造体X7及びX10のクローンを形成した;すなわち、これらは7個又は10個のランダムアミノ酸を含有する直鎖状体であった。このライブラリーは別々に分離して、又は混合物として使用した。ファージ増幅用のホストとしては、E.coli株K91kanを使用した。
消去式パンニング(subtractional panning)。バイオ−パンニングは正常な肺に結合するファージクローンの消去を伴い開始した。腫瘍切除中に分離される手術による肺切除から採取した正常な肺組織を、プロテアーゼ阻害剤(P1);10mM PMSF(パラ−メチル−スルホニル−フルオライド)、アプロチニン(Aprotinin)(10mg/ml)、ロイペプチン(Leupeptin)(10mg/ml)を含有する氷冷DMEM(ダルベッコ(Dulbecco)の培地)中に入れた。組織試料は小細胞培養プレートのDMEM−P1 1ml中でレーザ刃により細分化した。この試料をエッペンドルフ管に移し、次いでDMEM−P1 1mlにより洗浄した。
試料は4000rpmで5分間、遠心分離し、次いでDMEM−P1 1ml中で25℃において45分間にわたり、ファージ(1種又は2種以上のペプチドライブラリー)の1010形質転換性単位(TU)とともにインキュベートした。この後、試料を1%BSA(ウシ血清アルブミン)含有DMEM−P1により3回、洗浄した。
カナマイシン(kanamycin)(kan)100μg/mlを含有するLB(ルリアンブロス(Lurian broth))中のK91kan細菌 1ml、OD600(光学濃度:600nm)1−1.5を、正常肺組織には結合しないファージ粒子を含有する上清に25℃において25分間かけて感染させた。感染後、100μg/ml kan含有LBにより容積を2mlに増加させた。次いで、感染細菌を、各200μl中テトラサイクリン(tetracycline)(tet)40μg/ml含有LB寒天プレート上にプレート形成した。これらのプレートを+37℃で一夜にわたりインキュベートした。
翌日、さらに増殖させるために、該プレートから細菌コロニーをLB 200ml(100μg/mlkan、20μg/ml tet)中に一緒に集めた。この培養物を37℃で1〜1.5時間かけて増殖させた。
次いで、これらの細菌を5000rpmで15分間かけてペレット化した。増幅されたファージを含有する上清を、0.04g/mlまでのPEG(ポリエチレングリコール)及び0.03g/mlまでのNaClの添加により沈殿させた。これらのファージを氷上で+4℃において一夜にわたり振り混ぜた。この後、ファージを+4℃において10000rpmで20分間の遠心分離によりペレット化した。生成するペレットをTBS(トリス−緩衝溶液)中に再懸濁し、次いで上記のとおり、PEG/NaClの添加により氷上で+4℃において1時間かけて再沈殿させた。
次いで、これらのファージを+4℃において14000rpmで20分間かけてペレット化した。最後に、これらのペレットを0.02% NaN含有TBS 1ml中に再懸濁し、次いで+4℃で保存した。
ファージの力価測定(titration)。臨床試料のバイオ−パンニングの次のラウンドのために、このTBSファージストックの力価(titer)を下記のとおりにして測定した:ホスト細菌の感染用に数種の希釈(1:1000〜1:1x10)を行った。感染後、細菌をテトラサイクリン(tet)40μg/mlを含有するLB寒天プレート上でプレート形成し、これらのプレートを+37℃において一夜にわたりインキュベートした。
翌日、コロニーを計数することによって力価を計算した(TU/ml TBSファージストック)。
臨床腫瘍試料におけるファージ表示。組織試料は非小細胞肺癌患者の原発性腫瘍から手術により分離し、冷DMEM−P1に入れた。試料の一部は組織学的検査用に取っておいた。これらの腫瘍試料のタイプ及び性質を先ず、NSCLCであるものとしてベリフィケーションした。その後、NSCLCのサブタイプ及びその段階の詳細を組織学的に特定した。
組織試料をプロテアーゼ阻害剤含有DMEM 1mlを含有する小細胞培養管においてレーザ刃により細分化した。これらの試料をエッペンドルフ管に移し、次いでDMEM−P1 1mlにより洗浄した。
試料を4000rpmで5分間にわたり遠心処理し、次いでDMEM−P1 1ml中のファージ(1種又は2種以上のペプチドライブラリーから)1010TUとともに25℃において15分間にわたりインキュベートした。この後、試料を1%BSA(ウシ血清アルブミン)含有DMEM−P1で3回、洗浄した。
カナマイシン(kan)100μg/mlを含有するLB中のK91kan細菌1ml、OD600:1−1.5を、選択的に結合したファージ粒子を含有する洗浄ペレットにより25℃で25分間かけて感染させた。感染後、100μg/ml kan含有LBにより2mlに増加させた。
次いで、感染細菌を、下記のとおりにテトラサイクリン(tet)40μg/ml含有LB寒天プレート上でプレート形成した:3種の希釈(1:50、1:500、1:5000)の2列平行プレート及び各200μlの上記K91kan培養物の残り。これらのプレートを+37℃で一夜にわたりインキュベートした。
引続く24〜48日間、LBtetプレートからコロニーをファージDNAのスクリーニング用の96−ウエルミクロプレートに採取した。別法では、クローンは後刻の分析用に−20℃で保存した。
スクリーニング用にコロニーを採取した後、残りの細菌コロニーは、さらに増殖させるためにプレートから200ml LB(100μg/mlkan、20μg/mltet)に集めた。この培養物を37℃で1〜1.5時間かけて増殖させた。
次いで、これらの細菌を5000rpmで15分間かけてペレット化した。増幅されたファージを含有する上清を、0.04g/mlまでのPEG及び0.03g/mlまでのNaClの添加により沈殿させた。これらのファージを氷上で+4℃において一夜にわたり振り混ぜた。この後、ファージを+4℃における10000rpmで20分間の遠心分離によりペレット化した。生成するペレットをTBS中に再懸濁し、次いで上記のとおり、PEG/NaClの添加により氷上で+4℃において1時間かけて再沈殿させた。次いで、これらのファージを氷上で+4℃において14000rpmで20分間かけてペレット化した。最後に、これらのペレットを0.02% NaN含有TBS 1ml中に再懸濁し、次いで+4℃で保存した。臨床試料のバイオ−パンニングの次のラウンドのために、このTBSファージストックの力価を上記のとおりに測定した。
腫瘍ターゲッティングペプチドの選択的濃縮を達成するために、上記のとおりにして調製したファージストックを、3〜6回の臨床試料バイオ−パンニングに使用した。
ペプチド濃縮の監視。選択的に濃縮されたペプチドの配列数を測定するために、DNA配列決定を、先行する二次バイオ−パンニングからの各ファージコロニーを代表する24〜48のコロニーについて行った。
最初のコロニーPCRを行い、スクリーニング用DNAを生成した。96−ウエルプレートのウエルにおいて、細菌コロニーをTBS緩衝溶液10mlに懸濁し、この懸濁液5μlをPCR反応に付した。次いで、PCR−Mixを調製した:一反応あたりのPCR−Mixは:10mM dNTP’s 0.1ml、鋳型 5.0μl、F1−フォワードプライマー(15μM)0.7μl、F1−リバースプライマー(15μM)0.7μl、10xダイナザイム(Dynazyme)緩衝溶液4μl、ダイナザイムポリメラーゼ(=1U)0.5μl及び最終容積を40mlにするdH2O 29μlである。使用されたPCRプログラムの設定は、96℃で5分間、次いで1分間の3工程、1)92℃で30秒間、2)60℃で30秒間、及び3)72℃でサイクルであった。この3工程サイクルを35回、反復した。PCR増幅に使用されたプライマーの配列は、F1−Fについて5’−gCAAgCTgATAAACCgATACAATTAAAgg−3’であり、またF1−Rについて5’−gCCCTCATAgTTAgCgTAACgATC−3’であった。
配列決定に先立ち、ファージコロニーのDNA挿入物の増幅を電気泳動によって確認した。配列決定は上記F1−F及びF1−Rプライマーを用いるALF自動式DNA配列決定装置(AmershamPharmacia Biotech)を用いて行った。
ヒト肺腫瘍組織のバイオ−パンニングにより選択的に濃縮されたペプチド配列。肺腫瘍に選択的に結合するペプチドを表1に列挙する。濃縮ペプチド配列は4〜6回のエクソビボ バイオ−パンニングラウンドから収集した。
Figure 2008539209
実施例2
合成ペプチドの製造
全部のペプチド合成は手動式で、又は自動式合成装置(Applied 433A又はAdvanced Chem Tech 396DC)を用いて行った。この方法はN−FMOC保護及びHBTU/HOBt/DIPEA活性化に基づく固相ペプチド合成であった。使用された合成樹脂はRinkアミドMBHA樹脂、又はシステアミン−2−クロロトリチル樹脂又は予備装填されているFMOC−アミノ酸Wang樹脂であった。自動式合成において、製造業者により推奨されている標準的操作方法及び試薬を使用した。
これらの合成における主要試薬は、Applied Biosystemeから、又はNovabiochemから入手した:Fmoc−Ala−OH(「A」で表す)、Fmoc−Asp(OtBu)−OH(「D」で表す)、Fmoc−Gly−OH(「G」で表す)、Fmoc−Lys(tBoc)−OH(「K」で表す)、Fmoc−Leu−OH(「L」で表す)、Fmoc−Pro−OH(「P」で表す)、Fmoc−Arg(Pbf)−OH(「R」で表す)。スペサーアミノ酸:Fmoc−11−アミノ−3,6,9−ウンデカン酸(「PEG」で表す)は、Kuopic大学、Finlandから購入し、従来開示されているとおりに調製されていた(Boumrah等、1997)。
リンカー:2−アミノエタンチオールはシステアミン樹脂の分解を経て生成した。2個のアミノ基のオルトゴナル保護の観点から分枝状構造の生成には、Fmoc−Lys(Mtt)−OHを使用した。1個のカルボキシルを介してカプリングされている金属キレート化剤Dota、すなわち1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸は、Macrocyclics,Dalas,TexasからDotaトリス(t−Buエステル)の固相カプリングによって配合した。
標識:Perkin Elmerからのチオール反応性標識付け試薬、p−ヨウドアセトアミドベンジル−DTPAのユウロピウム(III)キレートをパーキン エルマー(Perkin Elmer)の推奨方法に従いスルフヒドリル担持ペプチドとカプリングさせた。
本明細書において、下記略語を使用する:
「Ac」は、CHC(O)、すなわちアセチルを表す(アクチニウムではない)。
「ADGA」は、Ala−Asp−Gly−Alaを表す。
「AMB−DTPA−Eu」は、一級アミノ基を介してカプリングされている(p−((2−アミノエチルメルカプト)アセトアミド)ベンジル)ジエチレントリアミン−N1,N2,N3,N3−ペンタ酢酸のEu3+−キレートを表す。
「アミド」は、カルボキシル基(例えば、ペプチドのC−末端に存在する)に結合したNH基を表す。
「Dota」は、1個のカルボキシルを介してカプリングされている1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸、すなわち(CHCHN(CHCOOH))マイナスOH 1個を表す。
「DPLKRAR」は、Asp−Pro−Leu−Lys−Arg−Ala−Argを表す。
「DTPA」は、ジエチレントリアミン−N1,N2,N3,N3−ペンタ酢酸を表す。
「DTPA−Eu」は、DTPAのEu3+−キレートを表す。
「EAT」は、2−アミノエタンチオール、すなわちエチレンアミノチオール、すなわち−NHCHCHSHを表す。
「G3」は、Gly−Gly−Glyを表す。
「GA」は、Gly−Alaを表す。
「GAAG」は、Gly−Ala−Ala−Glyを表す。
「PEG」は、NH−CHCH−O−CHCH−O−CHCH−O−CH−C(O)を表す。
「EG」は、NH−CHCH−O−CHCH−O−CHCHNHを表す。
「ビオチン(Biotin)」は、D−ビオチニル、すなわちそのカルボキシル基を介してカプリングされているビタミンHを表す。
「カルボラン(Carborane)」は、5−(1−o−カルボラニル)−ペンタノイル基、C(O)−(CH−C1011を表す。
試薬のリスト
Fmoc−Gly−OH、CAS No.29022−11−5、Novabiochem、Cat.No.04−12−1001、分子量:297.3g/mol。
Fmoc−L−Arg(Pbf)−OH、CAS No.154445−77−9、Applied Biosysems、Cat.No.GEN911097、分子量:648.8g/mol。
Fmoc−L−Leu−OH、CAS No.35661−60−0、Applied Biosysems、Cat.No.GEN911048、分子量:353.4g/mol。
Fmoc−L−Pro−OH、CAS No.71989−31−6、Applied Biosysems、Cat.No.GEN911060、分子量:337.4g/mol。
Fmoc−L−Lys−OH、CAS No.71989−26−9、Applied Biosysems、Cat.No.GEN911051、分子量:468.6g/mol。
システアミン−2−クロロトリチル樹脂、Novabiochem 01−64−0107、subst.:1.33mmol/g。
RinkアミドMBHA樹脂、Novabiochem 01−64−0107、subst.:1.33mmol/g。
Fmoc−Gly樹脂、Applied Biosysems、Cat.No.401421、0.65mmol/g。
Fmoc−Gly樹脂(カルボキシル末端「Gly−OH」を表す)、Applied Biosysems、Cat.No.401421、0.65mmol/g。
O−ビス−(アミノエチル)エチレングリコールトリチル樹脂(「EG」で表す)、Novabiochem product、No.01−64−0235。
D−ビオチン(ビタミンH)、CAS No.58−85−5、Sigma B−4501、分子量:244.3g/mol。
5−(1−o−カルボラニル)−ペンタン酸(「カルボラン」で表す)、Katchem、Prague、Czech Republic、分子量:244.34g/mol。
ペプチド合成の一般的方法:手動式固相合成。質量分析測定。
全部の手動式合成方法は、2〜4の有孔度を有する焼結ガラスフィルタディスク、先端に存在するポリプロピレン又はフェノール系プラスティックねじ付栓(密封用)、及び2個のPTFEキイストップコック(1個はフィルタディスクの真下に存在し(排出用)及び1個はねじ付栓頚部の肩部分上に傾斜角度で存在する(アルゴンガス導入用))を備えた密封可能なガラスロートで行った。
このロートに適当な固相合成樹脂及び各処理用の溶液を装填し、適当な期間、「手首運動」様ボトルシェーカを用いて効果的に振り混ぜ、次いで中程度のアルゴンガス圧力を適用して濾過した。
この合成の1サイクル(1個のアミノ酸付加)の一般的方法は下記のとおりであった:
適当な合成樹脂(Applied Biosysems又はNovabiochemから)に、推奨されている保護基を有する1種又は2種以上のアミノ酸単位からなるFMOC−ペプチド(=そのアミノ−末端アミノ基が9−フルオレニルメチルオキシカルボニル基により保護されている)約0.25mmolを装填した;樹脂約0.5g(0.5mmol)は以下に示す方法で処理した、各処理工程は、別段の記載がないかぎり、指示溶液又は溶媒10mlとの1〜2分間の振り混ぜ及び濾過を包含する。
「DCM」はジクロロメタンを意味し、また「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドとの振り混ぜを意味する(DMFの代わりにNMP、すなわちN−メチルピロリジノンを使用することもできる)。
処理工程は下記のとおりであった:
1. DCM、10〜20分間の振り混ぜ
2. DMF
3. 5分間、DMF中の20%(容積%)ピペリジン
4. 10分間、DMF中の20%(容積%)ピペリジン
5〜7. DMF
8〜10. DCM
11. DMF
12. 活性化アミノ酸(製造方法は下記に示す)0.75mmolのDMF溶液、2時間の振り混ぜ
13〜15.DMF
16〜18.DCM。
最後の処理(18)後、アルゴンガスを約15分間にわたり樹脂に通し、次いでこの樹脂をアルゴン下に保存した(当合成を追加の単位とともに継続する場合、密封した反応ロート中で)。
樹脂上のアミノ酸又はペプチド鎖に付加されるべき9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−N−保護アミノ酸(FMOC−アミノ酸)の活性化は、処理工程No.12の前に別の容器において以下で挙げられている試薬を用いて行った。すなわち、FMOC−アミノ酸(0.75mmol)をDMF約3mlに溶解し、DMF中のHOBtの0.5M溶液1.5mlに溶解したHBTU 0.75mmolの溶液により1分間かけて処理し、次いで直ちに、2.0M DIPEA溶液 0.75mlで5分間かけて処理した。
FMOC−アミノ酸の活性化に使用された活性化試薬は下記のとおりであった:
HBTU=2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、CASNo.[94790−37−1]、Applied Biosysems、Cat.No.401091、分子量:379.3g/mol。
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、DMF中0.5M溶液、Applied Biosysems、Cat.No.400934。
DIPEA=N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリドン中の2.0M溶液、Applied Biosysems、Cat.No.401517。
上記方法を適当な保護基を有する相違するFMOC−アミノ酸を用いて数サイクル反復し、「樹脂結合」ペプチド(すなわち、適当なペプチドの樹脂状供給源)を生成する。この方法はまた、或る種のエフェクター単位又はリンカー単位、例えばDota又はFMOC−Teg(すなわち、Fmoc−11−アミノ−3,6,9−ウンデカノイル基)の樹脂結合ペプチドへの結合方法を提供する。また、上記したこの一般的カプリング方法を用いて、ほとんど最初の単位(配列のC−末端部位)を、Rinkアミド樹脂に、又はシステアミン樹脂に連結することができる。システアミン樹脂の場合、このピペリジンによる初期処理(工程3〜11)は、第一サイクルでは不必要である。
N−末端アセチル化生成物が要求される場合、工程12において活性化FMOC−アミノ酸の代わりに無水酢酸を用いる以外は、上記方法を行った:N−メチルピロリジン中のN,N−プロピルエチルアミンの2.0M溶液4倍量中に混合されている無水酢酸1容量。
樹脂から解離は下記試薬混合物を用いて行った:
トリフルオロ酢酸(TFA) 92.5容量%
水 2.5容量%
エタンジチオール 2.5容量%。
工程1〜10(上記一般的方法に記載されているとおり)を経て保護FMOC基を分離した後、この樹脂をDCMで洗浄し、アルゴン流下に乾燥させ、次いで上記試薬混合物3部(各部10ml)によりそれぞれ1時間かけて処理した。これらの処理は上記の方法でアルゴン雰囲気下に行った。この処理から3時間後、濾過から得られたTFA溶液を減圧下に回転蒸発器を用いて濃縮し、次いでアルゴンを再装填した。精製は逆相高速液体クロマトグラフイ(HPLC)法により粒子サイズ10マイクロメーターのC−18型カラムを備えた「Waters600」ポンプ装置及びその組成を30分の間に99.9%水/0.1%TFAから99.9%アセトニトリル/0.1TFAまで変える直鎖状溶質勾配を用いて行った。このHPLCカラムの寸法は25cmx21.2mm(Supelco cat.no.567212−U)及び15cmx10mm(Supelco cat.no.567208−U)であった。検出は218nmにおける吸光に基づき、「Waters2487」装置を用いて行った。
上記切断混合物はまた、下記保護基を同時に分離した:リジンの側鎖の保護に使用されたtert−ブトキシカルボニル(Boc);アルギニンの側鎖の保護に使用された2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾファン−5−スルホニル(Pbf);アスパラギン酸の側鎖カルボキシル基の保護に使用されたtert−ブチルエステル(OtBu);また上記切断混合物は類似構造体(チオール、グアニル、カルボキシル)上のこれらの保護基の分離に常用することができる。
この方法で合成された化合物は簡単に提示されている(本明細書でも)配列において「右から左」に構成することができる、すなわちペプチド鎖のC−末端から開始することもできる。
採用された質量分析法
マトリックス支持レーザ脱着イオン化−フライト時間(Matrix Assisted Laser Desorption Ionization−Time of Flifht)(MALDI−TOF)。
装置の型式
ブルカー ウルトラフレックス(Bruker Ultraflex)MALDI TOF/TOF質量分析計
装置供給業者
Bruker Daltonic GmbH
Fahrenheitsrasse 4
D−28359 Bremen
ドイツ国
MALDI−TOF陽イオン反射モード
外部標準:
アンギオテンシンII、アンギオテンシンII、物質P(RPKPQQFFGLM)、ボムベシン(bombesin)、ACTH(1−17)ACTH(18−39)、ソマトスタチン(somatostatin)28、及びブラディキニン(bradykinin)1−7。
マトリックス:
アルファ−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(トリフルオロ酢酸0.1%含有水性60%アセトニトリル中の2mg/ml溶液、又は酸感受性試料の場合、アセトンのみ)。
MALDI−TOF陰イオン反射モード
外部標準:
コルシストキニン(cholecystokinin)及びグルカゴン又は[Glu1]−フィブリノーゲンペプチドB。
マトリックス
アルファ−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(アセトン中の飽和溶液)。
試料の調製:
試料は上記マトリックス溶液により10−100ピコモル/マイクロリッター濃度で混合し、次いで標的上で乾燥させた。
波長337nmにおいて窒素レーザを減圧で「発射」することによってイオン化する。プローブプレートの電圧は陽イオン反射モードで19kvであり、また陰イオン反射モードで−19kvであった。
スペクトルにかかわる一般的注意点(陽イオンモードの場合のみ):
全部の場合、同位元素サテライトに基づくその典型的な細かい構造によるM+1(すなわち1個のプロトン付加)シグナルが、明白に支配的であった。ほとんどの場合、このM+1パターンは類似するが、格別に弱いM+23におけるピークバンドを付随した(Na付加)。M+1及びM+23におけるバンドに加えて、M+39(K+付加)又はM+56(Fe+付加)におけるバンドをまた、かなりの場合に見出すことができた。
合成例内で報告されている分子質量値は各要素の最も豊富な同位元素に、すなわち「正確な質量」に相当した。
実施例3
ターゲッティング剤IS257の合成
Ac−ARRPKLD−アミド(IS257)、すなわちCH−C(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−NHの合成は、上記の一般的方法に従い手動式で行い、RinkアミドNBHA樹脂に基づいていた。試薬(試薬リストの項で上記)は合成方向で上記配列に従い使用した(Fmoc−Asp(OtBu)−OHから出発、すなわち右から左)。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:896.51Da。アイソトーピックM計算値:895.54Da。
実施例4
ターゲッティング剤HP196の合成
ADGA−ARRPKLD−GAAG(HP196)、すなわちH−Ala−Asp−Gly−Ala−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−Ala−Gly−NHの合成は、上記の一般的方法に従い手動式で行い、RinkアミドNBHA樹脂に基づいていた。試薬(試薬リストの項で上記)は合成方向で上記配列に従い使用した(Fmoc−Gly−OHから出発、すなわち右から左の方向)。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1424.8Da。アイソトーピックM計算値:1423.8Da。
実施例5
ターゲッティング剤HP199の合成
ペプチド配列ADGA−ARRPKLD−GAAGに含まれているターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのペプチド配列のC−末端に存在するスぺーサー単位を経るスルフヒドリル担持リンカー単位を含有するターゲッティング剤ADGA−ARRPKLD−GAAG−PEG−G3−EATの合成は、Applied Biosysems433Aペプチド合成装置を用い、システアミン−2−クロロトリチル樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ及び必要な保護アミノ酸試薬(通常、通常の様式で用いられるFmoc−OEG−OHを包含する)に基づいて行った。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:Ala−Asp−Gly−Ala−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−Ala−Gly−NH−CHCH−O−CHCH−O−CHCH−O−CH−C(O)−Gly−Gly−Gly−NHCHCHSH。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1845.27Da。アイソトーピックM計算値:1843.93Da。
実施例6
ターゲッティング剤HP201の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDおよターゲッティング単位のC−末端に存在するスペーサー単位を経るスルフヒドリル担持リンカー単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−GAAG−PEG−G3−EATの合成は、Applied Biosysems433Aペプチド合成装置を用い、システアミン−2−クロロトリチル樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ及び必要な保護アミノ酸試薬(通常、通常の様式で用いられるFmoc−OEG−OHを包含する)に基づいて行った。プロリンの次のアルギニンは二重の処理により結合させ、またN−末端をアセチル化により封鎖した。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:Ala−Gly−NH−CHCH−O−CHCH−O−CHCH−O−CH−C(O)−Gly3−NHCHCHSH。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1572.85Da。アイソトーピックM計算値:1571.82Da。
実施例7
ターゲッティング剤A48の合成
ペプチド配列ARRPKLD−GAに含まれているターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのターゲッティング単位のC−末端に存在するスルフヒドリル担持リンカー単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−GA−EATの合成は、Applied Biosysems433Aペプチド合成装置を用い、システアミン−2−クロロトリチル樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ及び必要な保護アミノ酸試薬に基づいて行った。N−末端はアセチル化した。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:CHC(O)−Ala−Asp−Gly−Ala−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−NHCHCHSH。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1085Da。アイソトーピックM計算値:1083.60Da。
実施例8
ユウロピウム−標識付けターゲッティング剤 A48−Euの合成
そのC−末端にメルカプト基を有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−GA−EATを、パーキン−エルマー(PerkinElmer Life Sciences and Analytical Sciences−Wallac Oy.Turku,Finland)からのチオール反応性(ヨウドアセトアミド活性化)IAA−DTPAユウロピウムキレートによりパーキン−エルマーの指示に従い処理した。
すなわち、ペプチド(コードA48)6.6mgを0.05M NaHCO 1ml中に溶解した。このペプチド溶液に0.05 NaHCO 1.5ml中の(p−ヨウドアセトアミドベンジル)ジエチレントリアミン−N1,N2,N3,N3−ペンタ酢酸のEu3+−キレート(8mg)を添加した。pHを8.5に調整した後、この溶液を光から保護し、次いで30℃で一夜にわたり放置した。生成物:CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−NHCHCHS−p−CHCONH−ベンジル−DTPAユウロピウムキレートは、0.05M酢酸アンモニウムによって緩衝されている水−アセトニトリル溶出液勾配を用いてRP−HPLCにより精製し、次いで陰イオンモードのMALDI−TOF質量分析により同定した。陰イオンM−1測定値:典型的アイソトーピック分布を伴う1770.74Da。アイソトーピックM計算値:1771.68Da。
実施例9
ターゲッティング剤A49の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのターゲッティング単位のC−末端でスペーサーを経てスルフヒドリル担持リンカー単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−GAAG−PEGSU−EATの合成は、Applied Biosysems433Aペプチド合成装置を用い、システアミン−2−クロロトリチル樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ及び最初のアミノ酸(1−アミノ−4,7,10−トリオキサ−13−トリデカンアミンコハク酸)を除いて普通に保護されているアミノ酸試薬に基づいて行った[「PEGSU」はNH−(CH−(O−CHCH−CH−NH−C(O)CHCHC(O)を表す]。このための試薬は、製品番号:NeoMPSのFA18801(Strasbourg,France):Fmoc−1−アミノ−4,7,10−トリオキサ−13−トリデカンアミンコハク酸であり、通常のFmoc−アミノ酸と同様の合成に使用した。そのN−末端はアセチル化した。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−Ala−Gly−NH−(CH−(O−CHCH−CH−NH−C(O)CHCH−C(O)−NHCHCHSH。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1514.86Da。アイソトーピックM計算値:1513.84Da。
実施例10
ターゲッティング剤F5M−A49の合成
フルオレセイン標識付けしたターゲッティング剤を、フルオレセイン−5−マレイミド(Promega)を用いて合成した。この反応において、ペプチドA49を、そのスルフヒドリル基を経て標識のマレイミド部分にカプリングさせた。このカプリング反応において、F5M及びA49はカプリング用緩衝溶液(10mMトリス/HCl、pH7.5、5mM NaHPO、2mM EDTA)中で4mMにした。この反応におけるF5Mのモル濃度はA49のモル濃度の3倍である。この反応は、光から保護して一夜にわたり37℃で混合することによって行った。この反応をβ−メルカプトエタノールの添加により終了させ、次いでHPLCを用いて精製し、その後、凍結乾燥させた。使用時、F5M−A49はPBS、pH7.4に溶解した。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−Gly−Ala−Ala−Gly−NH−(CH−(O−CHCH−CH−NH−C(O)CHCH−C(O)−NHCHCHS−C(COOH)−C(O)−NH−(C2011)、すなわち、A49のフルオレセイン−5−スクシンアミド酸チオエーテル誘導体である。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1959.95Da。アイソトーピックM計算値:1958.92Da。
実施例11
ターゲッティング剤HP192の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのターゲッティング単位のC−末端でスペーサーを経て金属キレート化剤Dotaを含有するターゲッティング剤Dota−Lys−(Ac−ARRPKLD−(PEG)2)−アミド(HP192)の合成は、上記一般的方法に従い手動式で行い、RinkアミドNBHA樹脂にカプリングさせたFmoc−Lys(Mtt)−OHに基づいていた。Dotaトリス−t−Bu−エステルを通常の方法に従い樹脂上でLys(Mtt)とカプリングさせた。この合成を継続する前に、保護基4−メチルトリチル基(すなわち、Mtt)を、試薬混合物:ジクロロメタン中の4%トリフルオロ酢酸/1%エタンジオールを用いる引続く2回の10分間の処理によってリジン部分の側鎖から分離した。脱保護後であって最初のFmoc−PEG−OHのカプリングの前に、次の洗浄を行った:2回のジクロロメタンによる洗浄、1回のジクロロメタン中0.1Mエチル−N,N−ジイソプロピルアミンによる洗浄、及び3回のN,N−ジメチルホルムアミドによる洗浄。
この合成は下記の相当するアミノ酸試薬を用いて一般的方法に従い手動式で継続した:Fmoc−PEG−OH(2サイクル)、Fmoc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(tBoc)−OH、Fmoc−Pro−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH(2サイクル)及びFmoc−Ala−OH。2時間の最終終了カプリングは、試薬混合物:4倍容量のN−メチルピロリジノン(すなわち、NMP)中2Mのエチル−N,N−ジイソプロピルアミンと混合されている1容量の無水酢酸を用いて行った。3部のN,N−ジメチルホルムアミド及び4部のジクロロメタンにより洗浄した後、生成物は上記常法で単離した。
このターゲッティング剤の構造は次のとおりである:Dota−Lys[CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−PEG−PEG]−NH
このペプチド配列ARRPKLDはN−末端でアセチル化し、次いで2個のアミノ酸単位(PEG)を経てリジンの側鎖とカプリングされている。「PEG」はNH−CHCH−O−CHCH−O−CHCH−O−CH−C(O)を表す。「Dota」は1個のカルボキシル基を経てカプリングされている1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸を表す、すなわち(CHCHN(CHCOOH))マイナス1個のOHを表す。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1788.94Da。アイソトーピックM計算値:1788.0Da。
実施例12
化合物HP187及びIS248のための出発物質HP186の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのペプチド配列のC−末端にスペーサー単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−EG−Hの合成は、上記一般的方法に従い手動式で行い、NovabiochemからのO−ビス−(アミノエチル)エチレングリコールトリチル樹脂(製品番号01−64−0235)に基づいていた。試薬(試薬リストの項に記載のとおり)を上記配列に従い合成方向で使用し(Fomc−Asp(OtBu)−OH、から出発、すなわち右から左)、そのN−末端はアセチル化によって封じた。樹脂の切断は一般的方法とは相違する方法で行い、保護基を保持した。
この樹脂をジクロロメタン中2%(容量による)トリフルオロ酢酸で2回、それぞれ15分間かけて処理した。濾過溶液は該酸と等モル量のピリジン上に注ぎ入れ、次いで生成物を水により沈殿させ、次いで減圧乾燥させた。この生成物はそのまま使用した。その同定は先の生成物(コードHP186及びIS248)の分析に基づいていた。
この原料化合物の構造は:CHC(O)−Ala−Arg(Pbf)−Arg(Pbf)−Pro−Lys(tBoc)−Leu−Asp(OtBu)−NH(CHCHO)CHCHNHである。「EG」はNH(CHCHO)CHCHNH−を表す。
実施例13
ターゲッティング剤HP187の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのペプチド配列のC−末端でスペーサー単位を経てビオチン担持リンカー単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−EG−ビオチン(HP187)の合成は、Novabiochemからのビス(6−カルボキシ−HOBt)−N−(2−アミノエチル)−アミノメチルポリスチレン樹脂(製品番号01−64−0179)上で行った。この樹脂を3倍過剰量のビオチンとPyBroP(ブロモ−トリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、CAS No.132705−51−2、分子量:466.2g/mol、Novabiochem、製品番号:01−62−0017)との混合物及び6倍過剰量のN,N−ジメチルホルムアミド中のDIPEAと5時間かけて振り混ぜた後、樹脂を一般的手動式固相合成方法について上記されているようにDMF及びジクロロメタンで洗浄した。ビオチンを用いる処理を13時間にわたり反復し、次いで洗浄した。次いで、25%過剰の樹脂を、N,N−ジメチルホルムアミド中の上記原料化合物(コードHP186)を含有する保護ターゲッティング単位とともに一夜にわたり振り混ぜた。この溶液を濾過し、残留物をジクロロメタンにより抽出し、次いで集めた溶液を蒸発乾燥させ、次いで上記のとおりに脱保護(及び樹脂の切断)に慣用の92%TFA/水試薬混合物で処理し、次いでHPLCにより精製した。
このターゲッティングの構造は:CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−NH(CHCHO)CHCHNH−ビオチニルである。ここで、ビオチンはそのカルボキシル基を介して該ターゲッティング単位のC−末端で「EG」スペーサーにカプリングされている。
生成物の同定はQ−TOF ES+質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1253.81Da。アイソトーピックM計算値:1252.71Da。
実施例14
ターゲッティング剤IS248の合成
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びこのペプチド配列のC−末端でスペーサー単位を経て複数のホウ素担持エフェクター単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−EG−カルボランの合成。
このターゲッティング剤の構造は、CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−NH(CHCHO)CHCHNHC(O)−(CH−(1−o−カルボラニル)である。ここで、5−(1−o−カルボラニル)−ペンタン酸はそのカルボキシル基を介して該ターゲッティング単位のC−末端で「EG」スペーサーにカプリングされている。
ターゲッティング単位ARRPKLDを含有し、及びまたこのペプチド配列のC−末端でスペーサー単位を経て複数のホウ素担持エフェクター単位を含有するターゲッティング剤Ac−ARRPKLD−EG−カルボランの合成は、有機溶液中で行った。すなわち、5−(1−o−カルボラニル)−ペンタン酸0.185mol及びNovabiochemからのWSC 0.192mol(1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド.HCl、CASNo.25952−53−8、分子量:155.2+36.5)(製品番号:01−62−0011))をジクロロメタン1.5mlに溶解した。20分後、上記原料化合物(コードHP186)を含有する保護ターゲッティング単位0.062molを上記溶液と一緒に合わせ、次いで室温で一夜にわたり攪拌した。次いで、この混合物を蒸発乾燥させ、次いで95%TFA/5%水混合物で2時間かけて処理した。蒸発後、この残留物をジエチルエーテルとすり混ぜ、次いで沈殿をHPLCにより精製した。
このターゲッティングの構造は:CHC(O)−Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp−NH(CHCHO)CHCHNHC(O)−(CH−(1−o−カルボラニル)である。ここで、5−(1−o−カルボラニル)−ペンタン酸はそのカルボキシル基を介して該ターゲッティング単位のC−末端で「EG」スペーサーにカプリングされている。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:10個のホウ素原子により影響される典型的アイソトーピックパターンの最高ピークを表す陽イオンM+1測定値:1254.87Da。アイソトーピックM計算値:1254.86Da(1253.89Daはアイソトーピックパターンの最高ピークを表す)。
実施例15
各種ターゲッティング単位の合成
15種の化合物を合成した:6種のターゲッティングペプチドARRPKLD(すなわち、Ala−Arg−Arg−Pro−Lys−Leu−Asp)では、1個のアミノ酸残基を、A(すなわち、アラニン)で置き換えることによる、すなわちAARRKLD、ARAPKLD、ARRAKLD、ARRPALD、ARRPKAD、及びARRPKLA。5種のターゲッティングペプチドでは、K(すなわち、リジン)を、D(すなわち、アスパラギン酸)で、O(すなわち、オルニチン)で、R(すなわち、アルギニン)で、又はY(すなわち、チロシン)で置き換えることによる、すなわちARRPDLD、ARRPOLD、ARRPRLD、又はARRPYLD。4種のターゲッティングペプチドでは、L(すなわち、ロイシン)を、I(すなわち、イソロイシン)で、V(すなわち、バリン)で、又はF(すなわち、フェニルアラニン)で置き換えることによる、すなわちARRPKID、ARRPKVD、及びARRPKFD。最後の2種のターゲッティングペプチドでは、D(すなわち、アスパラギン酸)を、N(すなわち、アスパラギン)で、又はK(すなわち、リジン)で置き換えることによる、すなわちARRPKLN及びARRPKLK。
これら15種の合成はAdvanced Chem Tech 396DCマルチチャンネル合成装置(Supplier:Advanced ChemTech,Louisville,Kentucky,USA)を用いて行い、予備装填されているWang樹脂に基づいていた。合成方法はN−FMOC保護及びHBTU/HOBt/DIPEA活性化に基づく固相ペプチド合成であった。装置製造業者により推奨されている標準的操作及び試薬を使用した。
実施例16
対照ペプチドBTK148の合成
比較ペプチドADGA−DPLKRAR−GAAGの合成はAdvanced Chem Tech 396DCペプチド合成装置により行い、グリシンWang樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ、ならびに慣用の保護アミノ酸試薬に基づいていた。
構造:H−Ala−Asp−Gly−Ala−Asp−Pro−Leu−Lys−Arg−Ala−Arg−Gly−Ala−Ala−Gly−OH。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1424.75Da。アイソトーピックM計算値:1425.8Da。
実施例17
対照ペプチドHP205の合成
ごちゃ混ぜのペプチド配列及び該ペプチド配列のC−末端にスペーサー単位を経てスルフヒドリル担持リンカー単位を含有する比較化合物ADGA−DPLKRAR−GAAG−PEG−G3−ETAの合成は、Applied Biosystems 433Aペプチド合成装置で行い、システアミン−2−クロロトリチル樹脂及び固相Fmoc−ケミストリイ、ならびに慣用の保護アミノ酸試薬(試薬方法で用いられる慣用ではないFmoc−PEG−OHを包含する)に基づいていた。
この化合物の構造は:H−Ala−Asp−Gly−Ala−Asp−Pro−Leu−Lys−Arg−Ala−Arg−Gly−Ala−Ala−Gly−NH−CHCH−O−CHCH−O−CHCH−O−CH−C(O)−Gly3−NHCHCHSHである。
生成物の同定はMALDI−TOF質量分析に基づいていた:陽イオンM+1測定値:1844.91Da。アイソトーピックM計算値:1843.93Da。
実施例18
インビトロ及びインビボ試験に使用される細胞系の説明
この例において、別段の記載がない場合、下記細胞系及び培養条件を使用した。
非小細胞肺癌(NSCLC)腺癌細胞系NCI−H23(これはまた、本明細書において「NCI−H23」とも称する)は、従来から開示されている(Littile等、1983)。この細胞系は重炭酸ナトリウム1.5g/L、グルコース4.5g/L、10mM HEPES及び1.0mMナトリウムピルベート、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10%胎児ウシ血清を含有するように調節された2mM L−グルタミン含有RPM1164培地において培養した。
NSCLC腺癌細胞系A549(これはまた、本明細書において「A549」と称する)は、従来から開示されている(Giard等、1973)。Ham’s−F−12培地は、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節した。
NSCLC類表皮癌細胞系NCI−H520(これはまた、本明細書において「NCI−H520」と称する)は、従来から開示されている(Banks−Schlegel等、1985)。この細胞系は重炭酸ナトリウム1.5g/L、グルコース4.5g/L、10mM HEPES及び1.0mMナトリウムピルベート、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10%胎児ウシ血清を含有するように調節された2mM L−グルタミン含有RPM1164培地において培養した。
NSCLC大細胞ガン腫細胞系NCI−H460(これはまた、本明細書において「NCI−H460」と称する)は、従来から開示されている(Banks−Schlegel等、1985)。この細胞系は重炭酸ナトリウム1.5g/L、グルコース4.5g/L、10mM HEPES及び1.0mMナトリウムピルベート、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、10%胎児ウシ血清を含有するように調節された2mM L−グルタミン含有RPMI1640培地において培養した。
ヒト原発肺動脈平滑筋細胞(PASMC)(これはまた、本明細書において「PASMC」(CAMBREX、CC−2581)と称する)を、Clonetics SmGM(登録商品名)−2 Bulletkit(CC−3182)を用いて培養した。表皮内癌細胞系HeLa(これはまた、本明細書において「HeLe」と称する)は、従来から開示されている(Scherer等、1953)。この細胞系は、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節されたダルベッコの変性イーグル培地(Dulbecco’sModified EagleMedium)において培養した。
マウス繊維芽細胞系NIH313(これはまた、本明細書において「NIH313」と称する)は、従来から開示されている(Koga等、1979)。この細胞系は2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節されたDMEM培地において培養した。
マウス胎胚内皮細胞系E10V(これはまた、本明細書において「E10V」と称する)は、従来から開示されている(Garlanda等、1994)。この細胞系は、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節されたDMEM培地において培養した。
マウス血管内皮細胞系SVEC4−10(これはまた、本明細書において「SVEC4−10」と称する)は、従来から開示されている(O’Connell、1990)。この細胞系は、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節されたDMEM培地において培養した。
ヒトメラノーマ細胞系C8161/M1(これはまた、本明細書において「C8161/M1」と称する)は、従来から開示されている(Bregman、1986)。この細胞系は、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%胎児ウシ血清を含有するように調節されたDMEM培地において培養した。
実施例19
非小細胞肺癌細胞への不動化ターゲッティング剤の選択的結合
評価用プレートの調製:Reacti−Bindマレイミド活性化透明空プレート(Pierce,Prod#.15150)に、本発明によるターゲッティング剤を30μg/mlの濃度で塗布した。インキュベーションは20℃で一夜かけて行った。これらのウエルから未結合ペプチドを含有する結合用緩衝溶液を分離した。
これらのウエルをブロッキング用緩衝溶液(リン酸塩緩衝塩類溶液(PBS)、pH7中の0.05%ツイーン(Tween)20、1.0%BSA))によりブロッキングした。PBSは次のとおりに調製した:NaCl 40g、KCl 1g、NaHPOx2HO 7g及びKHPO 1gを脱イオン化HO 1000mlに溶解した。対照として、空ウエルをブロッキング用緩衝溶液で処理することによってブランクウエルを調製した。これらのプレートを20℃で1時間30分間、インキュベートした。
インキュベーション後、これらのプレートをPBSで3回洗浄した。
細胞結合試験:培地150μl容量中の細胞75000個を、塗布ウエルに添加し、次いで37℃で30分間かけてインキュベートした。細胞結合後、これらのウエルをPBSで30分かけて洗浄した。ターゲッティング剤が結合した細胞の検出はMTT試験法(例23に詳細に記載されている、細胞毒性)に基づいていた。ウエルにMTT試薬10μl及び培地90μlを添加した。このプレートを+37℃で3時間にわたりインキュベートした。インキュベーション後、ウエルに溶解用緩衝溶液100μlを添加し、37℃でインキベートした。翌日、プレートの吸光度をELISA−読取り機(ThermoLabsystems,multiskanEX)により560nmで測定した。
細胞結合には、細胞系NCI−H23、NCI−H520、A549、Hela及びNIH3T3(例18に記載されている)及びターゲッティング剤HP199、HP201及びHP205(例5、6、17に記載されている)を使用した。
NSCLC細胞系のターゲッティング剤に対する高度に選択的な結合を示すこの細胞結合試験の結果は、図1に示されている。NSCLC細胞系NCI−H23(A)、A549(B)及びNCI−H520(C)は不動化ターゲッティング剤HP199及びHP201に選択的に結合し、他方対照細胞系PASMC(D)、ヒト原発肺動脈平滑筋細胞系及びNIH3T3(E)、マウス繊維芽細胞系は結合しない。また、NSCLC細胞系は対照ペプチドHP205(3)に結合しない。これらの結果は560nmにおいて測定された吸光度として示される。
実施例20
非小細胞肺癌細胞への蛍光ターゲッティング剤の選択的結合
A549細胞及びHeLa細胞(例18に記載されている)をガラススライド上で増殖させ、PBSで洗浄し、次いでメタノールで固定した。蛍光ターゲッティング剤F5M−A49(例10に記載されている)を使用し、これらの細胞を下記のとおりにして染色した:細胞を先ず、ブロッキング用緩衝溶液(PBS、pH7中の0.05%ツイーン20、1.0%BSA)により20℃で1時間かけてブロッキングした。ガラススライド上の細胞をF5M−A49ターゲッティング剤20μg(PBS中50μg/ml、pH7.4)とともにインキュベートした。対照として、ターゲッティング剤添加前に、F5M−A49の結合をPBS、pH7.4中500μg/ml)中のIS257ターゲッティング単位20μg(例3に記載の遊離ペプチド)と競合させた。陰性対照として、いずれのターゲッティング剤とも共にインキュベートしない細胞を使用した。染色後、細胞を対象ガラス上にマウンテックス(mountex)(Histolab Products Ltd.)により固定した。この後、細胞を蛍光顕微鏡(Carl Zeiss Microscopy,Jena,Germany)により観察した。この試験は、A549細胞が強力に染色され、HeLa細胞は染色されないことを示した。またA549に結合するF5M−A49は遊離ペプチドIS257でブロックされた。すなわち、この染色結果はフルオレセイン標識付けしたターゲッティング剤
(F5M−A49)のA549NSCLC細胞系への選択的結合を証明している。
実施例21
ターゲッティング剤細胞結合競合試験
5000細胞、A549、NCI−H23、NCI−H520、NCI−H460及び対照細胞PASMC及びHeLa(例18に記載されている)を、例18に記載の条件に従い多ウエルプレートで増殖させる。これらのウエルに、ターゲッティング剤A48−Eu(例8に記載されている)を添加し、5pMの最終濃度を得る。次いで、これらの細胞を37℃で30分間かけてインキュベートする。この競合試験用に、相違するターゲッティング単位、ターゲッティング単位変種、及び対照ペプチド(例3、4、15及び16に記載されている)50pMをそれぞれ、それ自体の一連のウエルに、A48−Euターゲッティング剤の添加に先立って添加する。
30分のインキュベーション後、細胞をPBSにより5回、洗浄する。PBSを分離し、細胞を次いで誘発溶液(Inducer Solution)(Perkin−Elmer Ltd)中で5分間にわたり振り混ぜる。この後、Victor III蛍光測定器(Perkin−Elmer Ltd)を用いて蛍光消滅時間により蛍光を測定する。
結果は、ターゲッティング剤A48−EuのNSCLC細胞への結合が、それらの配列中にXRXPモチーフを含有するターゲッティング単位変種の全部により選択的にブロックされることを示す。さらにまた、対照細胞系PASMC及びHeLaにおいては、ターゲッティング剤A48−Euの結合は見出されない。
実施例22
腫瘍を有するマウスにおけるターゲッティング剤のインビボ生体分布
この例では、ターゲッティング剤A48−Eu(例8に記載されている)の生体分布を2種の相違するタイプの原発性腫瘍、A549及びNCI−H520について証明する。本発明による被験ターゲッティング剤はインビボで原発性腫瘍に選択的に標的を定めることを示す。
実験的腫瘍を生成するために、A549及びNCI−H520 NSCLC細胞系(例18に記載されている)1x10細胞を、無胸腺ヌードマウス株(Harlan Laboratories)の両方の横腹中に注入した。腫瘍が約0.2gに達した時点で、腫瘍を採取した。腫瘍を有するマウスを、ドミトール(Domitor)60μl(無菌水1ml中のメチル−パラヒドロキシベンズ.1mg/ml、プロピル−パラヒドロキシベンズ.1mg/ml、塩化ナトリウム9mg/ml、Orion Pharmaから)及びケタラー(Ketalar)(無菌水1ml中のケタミン1mg/ml、ベンゼトンクロライド(benzethon.Chlorid)1mg/ml、Pfizerから)の注射により麻酔し、その後アベルチン(Avertin)0.02ml/体重g[2−メチル−2−ブタノール 10ml(Sigma Aldrich)中の2,2,2−トリブロモエタノール10g(Fluka)]を腹腔内に投与した(i.p.)。
ターゲッティング剤A48−Euの生体分布パターンを測定するために、A48−Euターゲッティング剤275nmolを無胸腺ヌードマウスの尾静脈に生理塩類溶液(Baxter)中の200μlの容量で注射した。マウスに次いで、生理塩類溶液60mlを心臓を通過する灌流により注入した。腫瘍を包含する臓器及び組織を採取した。
各種組織中のEu含有量を測定するために、組織試料0.2gを誘導結合プラズマ法質量分析(ICP−MS)を用いる分析用に採取した。この試料を、マイクロ波オーブン(inductively−coupled plasma mass spectrometry)中でHNO−H混合物(2,5mlHNO+0.5mlH)に溶解した。この試料を次いで、1%HNOを用いて30mlに希釈した。10ng/mlベリリウムを次いで、内部標準として試料に添加した。試料全部を次いで、標準ICP−MS装置(VG Plasma Quad.2+;Varian)を用いて分析した。この結果をngランタニド/gマウス組織として計算した(表2)。
Figure 2008539209
マウス組織で検出されたユウロピウムの量の比較は、A48−Euターゲッティング剤が正常組織に比較し、A549腫瘍に対し強力に、かつ選択的に蓄積したことを示した。ただし、腎臓及び肝臓は高い信号を示したが、これは該ターゲッティング剤がこれらの経路で排泄されるためである。
15.7:1の見出された高い腫瘍対筋肉比は、A48−EuのA549腫瘍への高度に選択的な結合をさらに証明している。
従って、使用されたターゲッティング剤は高度に選択的な腫瘍ターゲッティング性質を示す。
実施例23
細胞毒性試験
この試験において、細胞系を2種の相違する濃度(50μg/ml及び500μg/ml)のIS257ターゲッティング単位(例3に記載されている)に、2〜3日間にわたり露呈し、該ペプチドの毒性を試験した。細胞生存率の測定はMTT(Thiazolyl blu、Sigma M−5655)テトラゾリウム塩を用いて行った。MTTは、生存している細胞中でのみ活性である「スクシネート−テトラゾリウムレダクターゼ」系によって水不溶性ホルマザン染料に分解される。ホルマザンを10%SDS−0.01M HClにより可溶化した後、ELISA分析計(TheroLabsystems Multiscan EX)において560nmで定量した。100%毒性を示す陽性対照として、CuSAO[トランス−ビス(サリチルアルドキシメート)銅(II)](Elo OH、Lumme PO.、1985)7.5μg/mlを使用した。
方法:細胞はTE 1mlにより1〜5分かけて細胞培養皿(φ9cm)からトリプシン化し、次いで50mlファルコン(Falcon)管に移した。この後、その容積を細胞系特異培地20mlに増加し、次いで細胞をブルカー(Burker)チャンバーに移し、次いで培地中で細胞系に応じて2500〜3500細胞/100μlの濃度に希釈した。2個又は3個、24時間、48時間(及び72時間)の96−ウエルマイクロプレート、は下記のとおりに調製した:96−ウエルプレートの第一カラムには、100μl培地/ウエル(w/o細胞)を充填し、実験に必要なカラムの残りには細胞溶液100μlを充填し、これにより各ウエルが2500〜3000の細胞を含有するようにした。この後、細胞を細胞培養インキュベータ中で一夜にわたり放置した。
翌日、培地40μlを全部のウエルから分離するが、ただし培地のみを含有するウエル及び細胞のみを含有するウエルは除いた(相違する細胞系が同一プレートで使用された場合、各細胞系のカラムの1個は触れずにおく)。
次いで、適当な媒質中のIS257ターゲッティング単位40μlを最終濃度が50μg/ml及び500μg/mlになるようにして2種の濃度でウエルに添加し、ウエルの容積を100μlに戻した。同様に、対照物質Cu(SAO) 40μlを1個のカラムの全部のウエルに添加し、最終濃度を7.5μlにした。このプレートをインキュベータ内で24時間(48時間又は72時間)、インキュベートした。翌日、細胞形態を顕微鏡により分析した。この後、PBS中5mg/ml MTT試薬10μlをプレート上の全ウエルに添加し、次いでプレートを37℃で3時間かけてインキュベートした。最後に、0.01M HCl中の10%SDS 100μlを全ウエルに添加し、次いでこのマイクロプレートを37℃で3時間かけてインキュベートした。
翌日、上記MTT試験を行った。生存数は下記式に従い計算した:
平均中毒細胞吸光値 − 平均DMEM吸光値
――――――――――――――――――――――=生存数
平均生存細胞吸光値 − 平均DMEM吸光値
被験細胞系:例18に記載されている全部で9種の細胞系をIS257ターゲッティング剤に対して試験した。
NSCLC細胞系 その他の細胞系
A549 腺癌 C8161/M1 メラノーマ
NCI−H23 腺癌 HeLa 上皮内癌腫
NCI−H520 上皮癌腫 NIH3T3 マウス繊維芽
NCI−H460 大細胞癌腫 E10V マウス胚内皮
SVSC4−10 マウス血管内皮
1S257ターゲッティング単位は、被験細胞系の全部に対し無毒性であることが見出された。陽性対照として使用されたCuSAO、7.5μg/mlは、1時間の処置後に100%細胞殺滅を示した。この結果の例は図2に生存数対時間として示されている。図2はこの結果を生存数対時間として示すものである。
ターゲッティング単位IS257を、2種の最終濃度、50μg/ml(1)及び500μg/ml(2)中のNSCLC細胞系NCI−H23にそれぞれ添加した。陽性対照として使用されたCuSAO、7.5μg/ml(3)は、1時間の処置後に100%細胞殺滅を示した。2回又は3回の時点(24時間、48時間、72時間)で観察を行った。細胞殺滅/生存数はMTT試験法を用いて分析した。
実施例24
インビボ細胞毒性
ターゲッティング単位IS257(例3に記載されている)1mgを無菌生理塩類溶液中の100μlの容量で無胸腺ヌードマウスの尾静脈中に注射した(i.v.)。注射後、直後30分の間、及び翌日に15分の間、マウスの挙動を観察した(無注射マウスとの比較)。この試験には3匹のマウスを使用した(プラス無注射対照)。この試験で、ターゲッティング単位IS257の注射はマウスに対していずれの毒性も有していなかった。
実施例25
本発明によるターゲッティング単位の免疫原性試験
マウス及び免疫化:この試験には、雌の6〜8週齢のbalb/c雌マウス(Hartan Laboratories,オランダ)を使用した。ターゲッティング単位IS257(例3に記載されている)を0.5mg/ml及び0.25mg/mlの濃度で無菌塩類溶液に溶解した。1群5匹のマウスを、0日目にターゲッティング単位50μgの腹腔内投与により初期免疫化した。引続く免疫化を14日目、28日目、56日目及び84日目にターゲッティング単位25μgを用いて行った。マウスの尾静脈から0日目に採血し(免疫化前血液)、その後、42日目、70日目及び98日目(終点血液)に採血した。血液は試験管に採集し、次いで血清を3500RPMにおける7分間の遠心分離によって浄化した。マウスからの血清試料を集め、血清学的試験に使用した。
血清学的抗体試験:ターゲッティング単位IS257により免疫化したマウスからの血清及び非免疫化対照マウスからの血清中の抗ターゲッティング単位抗体レベルを、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により捕獲抗原としてターゲッティング剤HP201(例6に記載されている)を用いて試験した。簡単に言えば、PBS(pH7.0)中のHP201の30μg/ml溶液150μlを使用し、Reacti−Bind マレイミド活性化透明ストリッププレート(Pierce)のウエルに4℃で一夜かけて塗布した。これらのウエルをブロッキング溶液(PBS、pH7.0中3%BSA、0.05%ツイーン)により37℃で1.5時間かけてブロックした。終点血液からの被験血清又は対照血清のブロッキング溶液中1:40希釈液を150μlの容量でウエルに添加し、次いで37℃で2時間にわたりインキュベートした。これらのウエルを洗浄用緩衝溶液(0.05%ツイーン50含有PBS)により5回、洗浄し、次いでヤギ抗−マウスIgG+IgMのホースラディシュペルオキシダーゼ結合アフィニピュア(Affinipure)(Jackson ImmunoReserch Europe Ltd.)の1:1000希釈液150μlとともに37℃で1時間かけてインキュベートし、次いでベルオキシダーゼ用DAB(3,3’−ジアミノベントジジン)基質キット(Vector Laboratories)を用いて検出した。
陽性対照として、ホースラディシュペルオキシダーゼ結合アフィニピュアヤギ抗−マウスIgG+IgM(10μg/ml)を使用し、Reacti−Bind マレイミド活性化透明ストリッププレート(Pierce)のウエルに4℃で一夜かけて塗布した。陽性対照のシグナルの発現はDAB基質キットで直接に行った。プレートはELISAブレート読取装置(ThermoLabsysrems Multiskan EX)を使用し、405nmで読取った。ターゲッティング単位IS257は、血清学的抗体検定法において無免疫原性であることが見出された。すなわち抗−ターゲッティング単位抗体を検出することはできなかった。
これらの結果は図3に示されている。本発明によるターゲッティング単位により免疫化されたマウスは、いずれの免疫応答も発現しない。ターゲッティング単位IS257により免疫化されたマウスからの血清中の抗体レベル(A)及び非免疫化マウスからの血清中の抗体レベル(B)は酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)により捕獲抗原としてHP201を用いて評価した(1)。陽性対照として、ヤギ抗−マウス抗体を使用した(2)。これらの結果は、405nmにおける吸光度の測定値として示される。
Figure 2008539209

Figure 2008539209
(図面の簡単な説明)
下記において、添付図面を引用する好適実施形態によって本発明をさらに詳細に説明する。
図1はターゲッティング剤に対するNSCLC細胞系の選択的結合を示している。 図2は本発明によるペプチドがインビトロで無毒性であることを示している。 図3は本発明によるペプチドが非免疫原性であることを示している。

Claims (36)

  1. ペプチド配列:
    X−R−Y−P−Zn
    式中、
    Xはアラニン、セリン又はホモセリン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;
    Rはアルギニン又はホモアルギニン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;
    Yはアルギニン、ホモアルギニン、アラニン、ロイシン、セリン、ホモセリン、バリン又はプロリン、或いはその構造的又は機能的類縁体であり;或いは
    R及びYは一緒になって、アルギニン又はホモアルギニンの少なくとも1種の光学異性体、或いは少なくとも1個のグアニル又はアミジノ基、或いは非局在化陽電荷を有するか、又はプロトン化を経て非局在化陽電荷を得ることができる関連基を含有するその構造的又は機能的類縁体であるか、又はこれらを包含する単位を構成しており;
    Pはプロリン又はその構造的又は機能的類縁体であり;
    Zはいずれかのアミノ酸残基であり、ここで各Znは相違していてもよく、類似していてもよく、又は同一であってもよく;及び
    nは0〜7の整数である;
    を含有するターゲッティング単位、或いはその薬学的に又は生理学的に又は診断的に許容される塩であって、上記単位が腫瘍に対し特異的に標的を定めるものであることを特徴とするターゲッティング単位。
  2. 上記腫瘍が肺癌腫瘍である、請求項1に記載のターゲッティング単位。
  3. 上記肺癌が非小細胞肺癌腫瘍である、請求項1又は2のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  4. Xがアラニン或いはその構造的又は機能的類縁体である、請求項1〜3のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  5. Xがセリン或いはその構造的又は機能的類縁体である、請求項1〜3のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  6. Yがアルギニン或いはその構造的又は機能的類縁体である、請求項1〜5のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  7. Yがアラニン或いはその構造的又は機能的類縁体である、請求項1〜5のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  8. nが0〜6である、請求項1〜7のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  9. nが0〜5である、請求項8に記載のターゲッティング単位。
  10. nが0〜4である、請求項9に記載のターゲッティング単位。
  11. nが0〜3である、請求項10に記載のターゲッティング単位。
  12. nが0である、請求項11に記載のターゲッティング単位。
  13. 該ペプチドが直鎖状である、請求項1〜12のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  14. 該ペプチドが環状であるか、又は環状構造の一部分を構成している、請求項1〜12のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  15. 配列番号1〜配列番号73により同定されるペプチドからなる群から選択される、請求項1〜14のいずれかに記載のターゲッティング単位。
  16. ARRPKLD(配列番号:1)、SRRPKLD(配列番号:65)、ARRP(配列番号:66)、SRAP(配列番号:67)、ARAP(配列番号:68)、SRVP(配列番号:69)、SRLP(配列番号:70)、ARLP(配列番号:71)、ARPP(配列番号:72)、SRRP(配列番号:73)からなる群から選択される、請求項15に記載のターゲッティング単位。
  17. 少なくとも1種のエフェクター単位に、直接的に又は間接的にカプリングされている請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位の少なくとも1種を含有する腫瘍ターゲッティング剤。
  18. 該エフェクター単位が直接的又は間接的検出剤又は治療剤である、請求項17に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  19. 該検出剤がキレーター、金属複合体、濃縮同位元素、放射性物質、常磁性物質、親和性標識、又は蛍光或いは発光標識を包含する、請求項18に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  20. 該検出剤が希土類金属を包含する、請求項18に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  21. 該検出剤がベータ−又はアルファ−発射物質を包含する、請求項18に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  22. 該検出剤がガドリニウム又はユーロピウムを包含する、請求項18に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  23. 該治療剤が細胞毒性物質、細胞増殖抑制物質及び放射線発射性物質からなる群から選択される、請求項18に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  24. 該治療剤がパクリタキセル、ビノレルビン、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン、ドーノルビシン、メトトレキサート、ゲムシタビン、アルファ−又はベータ−発射物質又はホウ素を包含する、請求項23に記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  25. 少なくとも1種の任意の単位をさらに含有する、請求項17〜24のいずれかに記載の腫瘍ターゲッティング剤。
  26. 少なくとも1種の請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位、又は少なくとも1種の請求項17〜25のいずれかに記載のターゲッティング剤を含有する診断組成物又は医薬組成物。
  27. 請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位、又は請求項17〜25のいずれかに記載のターゲッティング剤の治療における使用。
  28. 請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位、又は請求項17〜25のいずれかに記載のターゲッティング剤の診断における使用。
  29. 請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位、又は請求項17〜25のいずれかに記載のターゲッティング剤の癌又は癌関連疾病の処置用医薬の製造における使用。
  30. 該癌又は癌関連疾病が固形体腫瘍又はその転移体である、請求項29に記載の使用。
  31. 該固形体腫瘍が非小細胞肺癌又はその転移体である、請求項30に記載の使用。
  32. 請求項1〜16のいずれかに記載のターゲッティング単位、又は請求項17〜25のいずれかに記載のターゲッティング剤の癌又は癌関連疾病の診断用診断組成物の製造における使用。
  33. 癌又は癌関連疾病の処置方法であって、請求項26に記載の医薬組成物の治療有効量を、その必要性を有する患者に付与することを包含する処置方法。
  34. 該癌又は癌関連疾病が肺癌又はその転移体である、請求項33に記載の方法。
  35. 該固形体腫瘍が非小細胞肺癌又はその転移体である、請求項34に記載の方法。
  36. 癌又は癌関連疾病の診断方法であって、請求項26に記載の医薬組成物の診断に適する量を、その必要性を有する患者に付与することを包含する診断方法。
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