JP2008539017A - 不整脈を検出することが可能な医療デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】患者を適切に処置し、重篤で、生命にかかわるか、又は、消耗性の事象を防止するために、心房細動(AF)及び統一性のある心房頻脈(OAT)を検出及び弁別する埋め込み可能医療デバイスを提供する
【解決手段】埋め込み可能医療デバイスは、AF又はOATを表す心室周期長のローレンツ分布に相当するクラスタシグネチャ証拠メトリックについてしきい値検査基準を定義することを含む、VCL情報を含む信号を使用して、連続する心室周期長が、選択される時間間隔で求めら、VCLのローレンツプロットの数値的表現としてヒストグラムが生成される。いくつかのクラスタシグネチャメトリックが、記憶された心室周期長の情報を使用して計算され、クラスタシグネチャ証拠メトリックが、クラスタシグネチャメトリックから計算される。対応するクラスタシグネチャ証拠メトリックの比較解析がしきい値検出基準を満たす場合、AF又はOATが検出される。
【選択図】図1
【解決手段】埋め込み可能医療デバイスは、AF又はOATを表す心室周期長のローレンツ分布に相当するクラスタシグネチャ証拠メトリックについてしきい値検査基準を定義することを含む、VCL情報を含む信号を使用して、連続する心室周期長が、選択される時間間隔で求めら、VCLのローレンツプロットの数値的表現としてヒストグラムが生成される。いくつかのクラスタシグネチャメトリックが、記憶された心室周期長の情報を使用して計算され、クラスタシグネチャ証拠メトリックが、クラスタシグネチャメトリックから計算される。対応するクラスタシグネチャ証拠メトリックの比較解析がしきい値検出基準を満たす場合、AF又はOATが検出される。
【選択図】図1
Description
本発明は、医療デバイスに関し、より詳細には、周期長の弁別シグネチャを使用して不整脈を検出することが可能な医療デバイスに関する。
正常洞調律(NSR)中に、心拍動は、右心房壁に位置する洞房(SA)結節によって生成される電気信号によって調節される。SA結節によって生成される各心房脱分極信号は、心房にわたって広がり、心房の脱分極及び収縮を引き起こし、房室(A−V)結節に到達する。
A−V結節は、心室脱分極信号を、心室中隔のヒス束を通って、その後、右心室及び左心室の脚(bundle branch)及びプルキンエ筋繊維(Purkinje muscle fiber)に伝播させることによって反応する。
心房頻脈性不整脈は、統一性のない形態の心房細動、及び、心房粗動を含む統一性の程度が変動する心房頻脈を含む。心房細動(AF)は、心房内に複数の焦点性トリガーがあるため、又は、心房内の物質の変化が、心房の異なる領域にわたる伝導の不均一性をもたらすために起こる。異所性トリガーは、左心房又は右心房又は肺静脈内のどこででも発生する可能性がある。AV結節は、頻繁で且つ不規則な心房活性化を受けるが、AV結節が不応でないときに脱分極信号を伝導するだけであることになる。心室周期長は、不規則であり、AV結節の不応性の異なる状態に依存するであろう。
心房粗動(AFL)を含む統一性のある心房頻脈(OAT)中に、上室性調律は、心房内の物質変化によって生じる再入可能な回路によって支配される。AV結節に対するOATの伝導の影響は、心室周期長の、規則的なパターンか、不規則的なパターンか、又は繰り返しパターンのいずれかをもたらす可能性がある。心室周期長の群拍動パターン(group beating pattern)は、近位及び遠位のAV結節内の異なるレベルのブロックによって観測される。1つの共通パターンは、近位AV結節における2:1ブロック及び遠位AV結節における4:3ウェンケバッハ型ブロックによって起こり、2つの短い周期と1つの長い周期とを含む心室周期長の繰り返しパターンをもたらす。心室周期長の変動を生じる他の正常心調律及び異常心調律は、洞頻脈、呼吸洞不整脈、一連の心房期外収縮(PAC)、及び一連の心室期外収縮(PVC)を含む。
昔は、心房不整脈は、これらの不整脈が比較的良性であるという認識によってほとんどが不十分に処置されてきた。比較的重篤な心室不整脈及び発作の関連するリスク等の、持続性AT/AFの重篤な結果が理解されるようになるにつれて、昔よりも、心房不整脈を監視し処置することに対する関心が高まってきた。さらに、AF及びOATは、通常、AFとOATとの間の遷移と同時に存在するため、両方の形態のATを検出し監視することは、抗凝固治療の適切な用量を提供すること等の、患者ケアを管理するときに重要である。
臨床状況における、また、外来患者が装着する可搬型外部モニタとしての外部医療デバイス(EMD)、又は、患者の毎日の活動中の電気心臓機能に関連するデータを採取するための、外来患者に埋め込まれる埋め込み可能医療デバイス(IMD)を使用して、心臓の電気活動に関するデータを採取し解釈する種々の技法が開発されてきた。
心臓不整脈を弁別する方法は、心房EGM信号と心室EGM信号との両方を利用可能である、2腔埋め込み可能デバイスで使用するために開発された。心臓不整脈の弁別は、心房及び/又は心室の周期長、周期長パターン、並びにEGM形態に依存する可能性がある。このような方法は、心室不整脈を上室性不整脈から確実に弁別することが示された。
しかし、単腔埋め込み可能デバイス又は埋め込み可能監視デバイス若しくは体外監視デバイスでは、心房EGM信号は、心房不整脈を検出し弁別するときの使用に、常に利用可能であるわけではない。しかし、AF及びOATの検出及び弁別は、患者を適切に処置し、重篤で、生命にかかわるか、又は、消耗性の事象を防止するのに重要である。
本発明の課題は、患者を適切に処置し、重篤で、生命にかかわるか、又は、消耗性の事象を防止するために、心房細動(AF)及び統一性のある心房頻脈(OAT)を検出及び弁別することができる埋め込み可能医療デバイスを提供することである。
本発明が、添付図面に関連して考えられるときに、本発明の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるにつれて、本発明の態様及び特徴が、認識されるであろう。
本発明は、心室周期長の弁別クラスタシグネチャを使用してAFを検出し、AFとOATとを弁別する方法及び装置を提供する。AF及び統一性のあるAT並びにPAC中の心臓内の基礎になる伝導メカニズム、又は、心室周期長(VCL)の不規則性の他の原因は、VCLにおいて不規則性の異なるパターンを生成する。AFを検出し、AF及び、AFLを含むOATを弁別することは、基礎になる調律の伝導パターンに固有のVCLの種々のパターンの弁別に基づく。
本方法は、電気信号、圧力信号、酸素測定信号、又は、心室周期長を求めることを可能にする任意の他の生理的信号であることができる心室心臓信号を取得すること、及び、VCLの拍動ごとの差を測定することを含む。一実施形態では、表面ECG信号又は心臓内EGM信号であってよい、電気心臓信号を使用して、R−R間隔(RRI)が測定される。連続するRRI又はδRR間の差が、その後求められる。連続するRRI、δRRi、及びδRR(i−1)の対間の差を使用して、δRR(i−1)対δRRiの2次元ローレンツプロットが生成される。ローレンツプロットエリアは、座標系の原点を基準にして、或る範囲の大きさ及び位相によって定義することができるセグメントに分割される。定義されたセグメントは、OAT又はPACの発生に関連する特定のVCLパターンに相当する。VCL情報の取得中に、各セグメントが、いくつかのヒストグラムビンを含む2次元ヒストグラムによって、ローレンツプロットが数値的に表現される。ヒストグラムビンを使用して、設定された時間間隔中に求めた(δRRi,δRR(i−1))点が記憶される。
いくつかのクラスタシグネチャメトリックが、各セグメントで起こる点の数及び占有されたヒストグラムビンの数に基づいて計算される。不規則性メトリックもまた、測定されたRRIの時間スケーリングされたメジアンを使用して計算される。クラスタシグネチャメトリック及び規則性メトリックは、AF及びOATを検出するための比較解析で使用される。一実施形態では、AFとOATは共に、(δRRi,δRR(i−1))点のローレンツプロットの2次元ヒストグラム表現を使用して、検出され弁別される。1つの単純化された実施形態では、(δRRi,δRR(i−1))点の2次元ヒストグラムだけを使用するAF検出のアルゴリズムが提供される。
さらに別の実施形態では、δRRi点を記憶する1次元ヒストグラムが使用され、検出アルゴリズムを実施するためのメモリ要件を低減する。ローレンツプロットの1次元表現から求めたクラスタシグネチャメトリックを利用する、AFのみの検出アルゴリズム又はAFとOATとの検出アルゴリズムが提供される。さらに別の実施形態では、連続するδRRi点の固定のセットが、AF及びOATを検出し、AFからOATを弁別する同じ原理に基づくロジックで使用される。
本発明は、AFLを含む統一性のある頻脈性不整脈及びAFを検出する方法を提供し、その方法は、VCLを求めるために心室信号に依存し、心房信号源を必要としない。提示される方法は、埋め込み可能医療デバイス又は外部医療デバイス内のソフトウェア又はファームウェアのいずれかで具現化されてもよい。このようなデバイスは、心臓EGM監視能力及び関連するEGMセンス電極(心臓内電極か、心外膜電極か、又は皮下電極であってよい)を有する埋め込み可能監視デバイスを含む。本発明によって提供される方法は、たとえば、単腔ペーシングシステム若しくは両心室ペーシングシステム、又は、心室内でR波を検知し、心室に電気刺激治療を送出するICD等の、医療デバイス用の、治療送出のソフトウェア又はファームウェアに組み込まれることもできる。本発明によって提供される方法はまた、R波を検出するために患者の皮膚に結合したECG電極を有する外部モニタ、たとえば、ホルタモニタのファームウェア又はソフトウェアに、又は、予め記録されたECGデータ又はEGMデータを評価するコンピュータ化されたシステム内に組み込まれてもよい。本発明はまた、埋め込み可能デバイス又は装着可能デバイスによって送出されたデータを処理する集中コピュータシステム等の患者監視システムで実施されてもよい。
本発明は、VCL測定値を、そこから生成することができる心室活動の他のセンサを有する、内部又は外部の監視システムで実施されてもよいことも認識される。本発明の実践方法は、VCLを測定するために、EGM信号又はECG信号を使用することに限定されない。圧力信号、血中酸素測定信号、流量信号、心室壁運動信号、容積関連インピーダンス変化、又は、心室周期に応答する他の生理的信号等の、他の信号が、VCLを測定するために使用することができる。一般に、VCL不規則性の規則的なパターン(OATの場合も同様)が、クラスタシグネチャメトリックに基づいて、VCL不規則性の不規則なパターン(AFの場合も同様)から弁別されることを可能にするために、VCL測定は、約1ミリ秒〜20ミリ秒程度の分解能を有するべきである。しかし、本発明の態様は、低い分解能のVCL測定を有するシステムで実施されてもよい。
図1は、本発明の一実施形態による、或る時系列のRR間隔についての、連続するRR間隔点間の差のローレンツプロットの生成を示す略図である。ローレンツプロット14は、x軸18に沿ってδRRiを、y軸16に沿ってδRRi−1を定義したデカルト座標系である。したがって、ローレンツプロットの各プロット点は、δRRiに等しいx座標と、δRRi−1に等しいy座標によって定義される。δRRiは、i番目のRRIと、前のRRI、RRIi−1との差である。δRRi−1は、RRIi−1とRRIi−2との差である。したがって、ローレンツプロット14上にプロットされた各点は、3つの連続するVCL、RRIi、RRIi−1、及びRRIi−2に関連するVCLパターンを表す。先に述べたように、VCL情報は、R波の検出及びRRIを求めることに限定されない。VCL測定が、EGM信号又はECG信号からの一連のR波検出から導出されようが、任意の他の生理的信号からの他の心室周期事象検出から導出されようが、本明細書で使用されるRRI及びδRRiという用語は、一般に、それぞれ、VCLの測定値及び2つの連続するVCL測定値間の差を指す。例示のために、本明細書で述べる実施形態は、VCL測定を実施し、(δRRi,δRRi−1)点を求めるための、R波検出を指すことが多い。
図1では、一連のR波事象20が示される。ローレンツプロットエリア14上に点をプロットするために、(δRRi,δRRi−1)点が、R波事象20から求めた連続するRRIを測定することによって求められる。図示する例では、3つの連続するRRI(RRIi−2、RRIi−1及びRRIi)の第1のシリーズ22は、短−短−長のVCLパターンを提示し、最初の2つの短いRRIはほぼ等しい。したがって、RRIi−2とRRIi−1との差であるδRRi−1は、ほぼ0である。δRRi、すなわち短いRRIi−1と比較的長いRRIiとの差は、正の変化である。相応して、0に近いy座標と正のx座標とを有する(δRRi,δRRi−1)点23が、ローレンツプロット14にプロットされ、短−短−長(S−S−L)シーケンス22を表す。
3つのRRIの次のシリーズ24は、短−長−短シリーズを提示し、正のRRI変化(δRRi−1)とそれに続く、ほぼ同じ大きさの負のRRI変化(δRRi)をもたらす。大きさがほぼ同じ、負のx座標と正のy座標を有する(δRRi,δRRi−1)点25が、ローレンツプロット14上にプロットされ、S−L−Sシーケンス24を表す。(δRRi,δRRi−1)点をプロットするこのプロセスは、ひき続き行われ、3つの周期シリーズ26は、長−短−短パターンを提示し、負のδRRi−1とゼロにほぼ等しいδRRiとをもたらす。点27が、負のy座標とゼロに近いx座標に基づいてローレンツプロット上にプロットされ、L−S−Sシーケンス26を表す。
パターンが継続するにつれて、点29、31、及び33が、それぞれの、S−S−Lシリーズ28、S−L−Sシリーズ30、及びL−S−Sシリーズ32に応答してプロットされることになる。S−S−Lの繰り返しパターンは、3つのRRIシーケンスのS−S−L、S−L−S、及びL−S−Sの繰り返しに相当するプロット点のクラスタを生成することになる。2次元ローレンツプロットにプロットされた各点は、3周期パターン及び3周期パターン内の周期長の変化の極性をエンコードする。以下で述べるように、結果的に得られる点クラスタシグネチャは、AF及びOATを検出し弁別するのに使用されるであろう。
AFは、不規則で相関のないVCLをもたらし、また、参照によりその全体が本明細書に援用される、Ritscher他に対する2002年11月11日(No.P10307)に出願された「Algorithm for Detecting Arrhythmias from Discriminatory Signatures of Ventricular Cycle Lengths」という名称の米国特許出願第10/292,285号に以前に述べられたように、まばらに散在した(sparsely scattered)点のプロットを生成するであろう。AT中の、統一性(organization)の程度の変動が、点のクラスタをもたらすことになる。点クラスタシグネチャのメトリックを求めるために、ローレンツプロットエリアは、図1で0〜12と表示された、いくつかのセグメントに分割される。セグメントは、OATに相当する典型的な点クラスタシグネチャに基づいて定義される。
座標系の原点を含むセグメント0は、定義済みの正常洞調律(NRS)RRI差範囲(「NSRmask」と呼ぶ)より大きいRRIの変化が全くないことを特徴とする、3つのRRIのシリーズを表す任意の点を含むことになる。セグメント0は、原点からNSRmask40に等しい大きさまで広がり、1つの例示的な実施形態では、形が円である。しかし、原点から全ての方向において、NSRmask40にほぼ等しい境界を定義するほぼ四角形の形状又は他の幾何形状が許容可能であり、AFを検出し、AFをOATから弁別するアルゴリズムの性能を制限しないであろう。NSRmask40は、基準値(nominal value:公称値)、たとえば、75ミリ秒、又は、AV結節の正常自律神経変調(normal autonomic modulation)によってNSR中に起こることが予測されるVCL変化範囲を含むように求められた別の固定値を割り当てられる。NSRmask40は、NSR中のVCL変動性の履歴尺度(historical measure)に基づいて個々の患者について求められてもよい。
セグメント1〜12は、プロットエリア内で且つ互いを基準にして、OATの特徴的シグネチャを表す点クラスタの検出を可能にするように定義される。プロットエリア14の左上象限のセグメント1及び9は、短−長−短(S−L−S)のVCLパターンを表す点を含むことになる。セグメント1又は9内の点は、短いRRIiから減算された長いRRIi−1から得られる負のδRRi、及び、長いRRIi−1から減算された短いRRIi−2から得られる正のδRRi−1によって生成される。セグメント9は、図1のシリーズ24に示すように、短いVCLと長いVCLとの間の変化が規則的であることを指示する大きさに近いδRRi値とδRRi−1値とを有する点を含むことになる。
L−S間隔間の負の変化及びS−L間隔間の正の変化はほぼ等しい。RRIの変化がほぼ等しいこのようなS−L−Sパターンは、A−V伝導比の変化が起こるOATの特徴を表す。
セグメント9の幅は、AV結節の自律神経変調によるVCLの変動を反映するためにNSRmask40に等しい。
セグメント1は、短いVCLと長いVCLとの、変動する差を有する点を含むことになる。すなわち、S−L−Sパターンにおいて、L−S間隔間の負の変化とS−L間隔間の正の変化とが異なる。S−L−Sパターンにおける負の変化と正の変化とのこのような差は、PAC又はPVC等の代償性休止期(compensatory pause)を呈する調律の特徴を表す。
反対の、プロットエリア14の右下象限では、セグメント3及び11に含まれる点は、L−S−LのVCLパターンを表す。VCLの正の変化(長いRRIiから短いRRIi−1を減算した値は、正のδRRiをもたらす)は、VCLの負の変化(短いRRIi−1から長いRRIi−2を減算した値は、負のδRRi−1をもたらす)に続く。セグメント11では、L−S−Lパターンにおける負の変化と正の変化とは、同様であり、OAT中の変化する伝導比の特徴を表す。セグメント11の幅は、NSRmaskに等しい。セグメント3では、負の変化と正の変化とは、大きさが同様ではなく、代償性休止期を呈する調律の特徴を表す。
プロットエリア14の右上象限のセグメント4及び12は、短−中間(medium)−長(S−M−L)のパターンによって提示される2つの正のVCLの変化を表す点を含む。左下象限のセグメント2及び10は、L−M−Sのパターンによって提示される2つの負のVCLの変化を表す点を含む。対角セグメント10及び12に沿った点は、2つの負の変化又は2つの正の変化が、それぞれ、大きさが同様であり、NSRmaskの大きさ内にあるパターンを表すことになる。このようなパターンは、通常、VCLの大きな不規則性を表し、AF又は一連の期外収縮に関連する。
座標系の軸に沿って起こるセグメント、セグメント5、6、7、及び8は、全く変化がなく、また、正の変化か負の変化のいずれかがあるVCLパターンを表す点を含むことになる。これらのセグメントはそれぞれ、AV結節に及ぼす自律神経の影響を反映するためにNSRmaskに等しい幅も有する。セグメント5は、NSRmaskより大きくない変化とそれに続く負の変化を表す点、すなわち、L−L−Sのパターンを含むことになる。セグメント6は、負の変化とそれに続くNSRmaskより大きくない変化を表す点、すなわち、L−S−Sのパターンを含むことになる(シリーズ26及びシリーズ32と、それぞれの点27及び33とで表す)。セグメント7は、NSRmaskより大きくない変化とそれに続く正の変化を表す点、すなわち、S−S−Lのパターンを含むことになる(シリーズ22及びシリーズ28と、それぞれの点23及び29とで表す)。セグメント8は、正の変化とそれに続くNSRmaskより大きくない変化を表す点、すなわち、S−L−Lのパターンを含むことになる。
表1は、VCLパターン、及び、図1に示すセグメント0〜12のそれぞれによって表される、δRRi及びδRRi−1の対応する相対差を要約する。
AF中、図2Bに示すように、(δRRi,δRRi−1)点は、プロットエリアにわたってまばらに散在し、点はセグメント0〜12のそれぞれに入る。VCLは、不規則で且つ相関がない。
図3A〜図3Fは、本発明の一実施形態による、統一性の程度が変動する心房頻脈中に得られたローレンツプロットである。プロットは、統一性の程度が変動する間に、RRIの2分セグメントから生成される。
図3Aは、一貫した1:1A−V結節伝導による規則的な心房活性化によって非常に規則的なVCLを有するOATを表す。VCLの唯一の変動は、A−V結節の自律神経変調の結果である。図3B〜図3Dは、個別の統一性の異なる程度を示し、点のクラスタが、セグメント6、7、9、及び11にある。これらの例は、個別に一貫性のないA−V結節伝導による恒常的に不規則な(regularly irregular)VCLを有する、OATの共通クラスタシグネチャを表す。各クラスタの密度又は散在性は、A−V結節の自律神経変調の程度の変動を示唆する。
図3E及び図3Fは、不規則な心房活性化及び一貫性のないAV結節伝導の結果としてのVCLの程度の高い不規則性を有するOATを表す。VCLの変動は、不規則な心房活性化によるA−V結節の不応性の変調、A−V結節の自律神経変調、及びA−V伝導比の変化に応じて、AT中に様々な程度で起こる。
図3Bは、最大の程度の統一性を表し、図3Fは、示す例について最小の統一性を表す。図3A〜図3Fは、全ての可能性のあるA−V伝導比の変化及び自律神経系によるA−V結節変調が可能である、統一性の連続体が存在することを示唆する。これらの例はそれぞれ、OAT中に、点が、セグメント6、7、9、及び11内に存在する高い確率が存在することも示す。各クラスタは、A−V伝導比の個別の変化を指示する。点クラスタの密度は、A−V結節の自律神経変調の程度の変動に伴って変動するであろう。AF及びOATの検出アルゴリズムは、いくつかのクラスタシグネチャメトリックを使用してクラスタシグネチャを定量化することによって、VCL変化のこれらの認識可能なパターンを利用することができる。
図4A及び図4Bは、本発明の一実施形態による、一連の心房期外収縮(PAC)中に得られるローレンツプロットである。図4Aでは、セグメント1及び3内とセグメント5及び6内との点クラスタは、一連のPAC中の2連脈(代償性休止期が続く2つの高速な拍動)の提示から得られる。図4Bでは、セグメント1及び3内とセグメント10内との点クラスタは、一連のPAC中の3連脈(代償性休止期が続く3つの高速な拍動)の提示から得られる。1及び3の非対角セグメント内の点クラスタは、一連のPAC中に共通である。
このような観測に基づいて、ローレンツプロット内で、点及び点クラスタのロケーション並びに点クラスタの相対的な散在性又は密度の比較解析を行うための、いくつかのクラスタメトリックを定義することができる。これらのクラスタメトリックは、その後、AFをOATから弁別するために評価されることができる。
図5は、本発明の一実施形態によるローレンツプロットエリアの2次元ヒストグラムである。ローレンツプロットエリアは、それぞれ、δRRi座標及びδRRi−1座標について、正と負の両方の方向に定義済の範囲166及び164を有する2次元ヒストグラム160によって数値的に表現される。2次元ヒストグラムは、それぞれが、δRRi値及びδRRi−1値の定義済の範囲を有するビン168に分割される。一例では、ヒストグラム範囲は、δRRi値とδRRi−1値との両方について、−1200ミリ秒〜+1200ミリ秒に及んでもよく、2次元ヒストグラムのそれぞれにおいて7.5ミリ秒に及ぶビンに分割され、160×160ヒストグラムをもたらす。
外れ値(outlier)境界170が定義される。外れ値境界170の外側の任意の(δRRi,δRRi−1)値は、クラスタシグネチャメトリックを求めるために無視される。一実施形態では、外れ値は、−1500ミリ秒より小さい、又は、+1500ミリ秒より大きい座標値を有する任意の点である。外れ値点は、2次元ヒストグラムビン内でカウントされない。
許容範囲外の点は、ヒストグラム範囲162の外であるが、外れ値境界170内に入る(δRRi,δRRi−1)座標を有する点として定義されてもよい。たとえば、2次元ヒストグラム160が、各δRRi方向及びδRRi−1方向に±600ミリ秒の範囲162を有し、且つ、外れ値境界170が±1500ミリ秒として定義される場合、(δRRi,δRRi−1)によって定義される点は、δRRi又はδRRi−1が、ヒストグラム範囲162(±1200ミリ秒)の外側にあるが、外れ値境界170(±1500ミリ秒)内にある場合外れ値である。許容範囲外のゾーン176内に入る点は、2次元ヒストグラム162の外側範囲172に沿って選択される適切な「縁」ビン内でカウントされることができる。他の実施形態では、許容範囲外の点は、無視され、ヒストグラムビン内でカウントされない。
原点ビン174は、ローレンツプロットエリアの原点を含むビンとして定義される。統一性の高いAT又はAFL中では、図3Aに示すように、原点ビン174は、(δRRi,δRRi−1)点の大きなパーセンテージを含むことになる。
図5に示す2次元ヒストグラムを使用して、AFとOATとの弁別時に使用するための、いくつかのクラスタシグネチャメトリックを導出することができるように、測定されたVCLから求めた(δRRi,δRRi−1)点の数及び相対ロケーションが定量化される。
一部の実施形態では、(δRRi,δRRi−1)座標の一方又は両方は、2次元ヒストグラム内に点を格納する前に、それぞれ、係数ki又はki−1を乗算される。一例では、δRRを計算するのに使用されるVCLの1つが、500ミリ秒より小さい場合、δRR値は、k=2の値を乗算される。δRRを計算するのに使用されるVCLの1つが、1000ミリ秒より大きい場合、δRR値は、k=0.5の値を乗算される。以下に続く説明では、(δRRi,δRRi−1)点に対する言及は、点座標値が、係数ki又はki−1で調整された、(ki *δRRi,ki−1 *δRRi−1)点のことを指すことができる。
定数によるδRR値の乗算は、固定のヒストグラム範囲及びビンサイズの効率的な使用を可能にする。R−R間隔の変動性は、一般に、非常に速いレートでは小さく、狭い範囲のヒストグラムビンにわたって比較的密な点集団を生成する。低い頻脈性不整脈レートでは、δRR値は、比較的大きく、大きな範囲のプロットエリアにわたってより散在したローレンツプロット点を生成する。定数による小さなδRR値の乗算及び定数による大きなδRR値の除算は、固定のヒストグラム範囲及びビンサイズが、クラスタシグネチャメトリックを測定するために効率的に使用されることを可能にする。
一部の実施形態では、2次元ヒストグラムは、固定パラメータで定義される。他の実施形態では、ヒストグラムパラメータ(ヒストグラム範囲及びビンサイズ等)は、VCLデータストリームの何らかの特徴に基づいて動的であることができる。たとえば、ヒストグラム範囲及びビンサイズは、データ取得時間間隔中のVCLメジアンの関数として定義されてもよい。メジアンVCLが変化するにつれて、新しいヒストグラム範囲及びビンサイズを求めることができる。VCLの範囲、平均、又は標準偏差等のVCLデータストリームの他の局面は、可変ヒストグラムパラメータを定義するために使用することができる。
図6は、本発明の一実施形態による、心室周期長のローレンツプロットの数値的2次元ヒストグラム表現を使用して、心房細動と統一性のある心房頻脈とを検出し弁別するために使用される装置の機能ブロック図である。図6に要約される機能は、ペースメーカ及び埋め込み可能カーディオバータディフィブリレータを含む心臓刺激デバイス又は心臓監視デバイス等の埋め込み可能医療デバイスに埋め込むことができる。本発明を組み込むことができる埋め込み可能監視デバイスの例は、参照によりその全体が本明細書に援用される、Klein他に発行された米国特許第5,987,352号に開示される。或いは、図6に要約される機能は、心臓調律を監視するのに使用される外部デバイスで実施されてもよい。他の実施形態では、図6に要約される機能は、2つ以上のデバイスにわたって実施されてもよい。たとえば、埋め込み可能医療デバイスを使用して、解析及び評価のために外部デバイスにアップリンクされるRRIデータを採取し記憶するためのEGM信号が得られてもよい。図6によって要約される機能に従ってAF及びOATの検出及び弁別を達成するための、種々のデバイスの実施態様が実現されてもよい。
VCL信号源101は、RRI検出器103に対する入力として設けられる。VCL信号源101は、VCLが生理的信号から導出されるように、心室周期の情報を含む任意の生理的信号として提供される。VCL信号源101は、R波信号を含む、心臓の電気信号を検知する心臓電極又は表面電極として具現化されてもよい。RRI検出器103は、VCL信号源101から受信した信号から、R波又は心室周期の開示時刻を指示する別の事象を検出し、出力としてRRI信号を提供する。一実施形態では、RRI検出器103は、R波検出しきい値を自動的に調整することに基づいてR波を検出するセンス増幅器を含む。R波が検出されるたびに、R波検出信号が生成され、R波検出信号間で起こる時間間隔が、RRI検出器103からの出力として提供される。
本発明は、RRIを検出するためにECG/EGM信号を使用することに限定されない。RRIの概念は、任意のVCLに対して一般化されることができる。対象となるのは、心室の活性化であるが、電気的活性化の詳細ではない。心室周期の開始についての近似を行うことができる他の生理的信号が、VCL信号源101と置換えられることができる。1つの代替の実施形態では、圧力信号を使用して、心周期の開始を検出してもよい。たとえば、圧力振幅及び/又はdP/dt振幅の所定のしきい値交差が、心室活性化関連事象として検出され、RRI検出器103によるVCLの測定のために、心室周期の開示時点として使用されてもよい。VCLの測定時に使用するための代替の心臓信号源は、心室圧信号、壁運動信号、血中酸素測定信号、又は心室周期長に相当する周期的変動を特徴とする他の信号を含む。心室周期の開始に相当するVCL信号源101の特徴部は、心室周期長を測定する「RRI」検出器103によって検出される。心室周期長を測定する、既知の任意の方法が、RRI検出器103によって使用されてもよい。
RRI検出器103の出力は、RRIスケールメジアンモジュール110に提供される。RRIスケールメジアンモジュール110は、いくつかの異なる時間スケールについてメジアンRRIを計算する。いずれかの統一性の程度を有するAT中に、AV結節伝導比の変化によって、恒常的に不規則になる、基礎になるベースVCLが存在することになる。変動する時間間隔から求めたメジアンRRIは、ベースVCLがOAT中に存在するときに一貫性があることになる。異なる時間スケールにわたってメジアンRRIを求め、これらの「スケールメジアン」を比較することによって、VCLの規則性についての判定を行うことができる。したがって、VCL規則性のメトリック、すなわち、RegularityEvidence(規則性証拠)が、メジアンRRIモジュール110からの入力として受信されたスケールメジアンを使用して、ブロック118にて計算されることができる。
図7は、本発明の一実施形態による、RR間隔スケールメジアンを求めるための時間ラインである。一般に、いくつかの異なるサイズのサンプル窓202、204、206、208、210、及び212は、スケールメジアンを計算するために、所定の時間間隔200の間に取得される。サンプル窓は、サンプルサイズに従って、又は、時間間隔に従って定義されてもよい。RRIメジアンは、各時間スケール又はサンプル数スケール窓について求められる。一実施形態では、2n+1のサンプル数スケール窓が、T分時間間隔にわたって取得される。図7に示す例では、5、9、17、33、65、及び129のサンプル数窓サイズが、2分時間間隔にわたって適用される。全ての時間又はサンプル数スケールについてのメジアンが使用されてもよく、又は、選択されたスケールのセットについてメジアンが使用されてもよい。2分間隔の間に起こるRRIの数は、得ることができる、5サンプル窓、9サンプル窓、17サンプル窓等の数を決めることになる。各サンプル窓は、T分間隔200が終了するまで繰り返される。各サンプル窓の間に、2n+1のサンプルからRRIメジアンが求められる。T分間隔についてのメジアンRRIもまた求められる。
RRIスケールメジアンモジュール110によって提供されるスケールメジアンを使用してモジュール118によって計算されたRegularityEvidenceメトリックは、基線RRIメジアンの所定の範囲内にあるスケールメジアンのパーセンテージとして計算されることができる。基線RRIメジアンは、以前の時間窓から求めたRRIメジアンである。1つの例示的な実施形態では、基線RRIメジアンは、以前の時間間隔Tのメジアンとして求められる。代替の実施形態では、基線RRIメジアンは、任意の選択される先行する時間間隔から求められてもよく、又は、拍動ごとに若しくは他の周期的方式で更新される現在のメジアンRRIであってもよい。
図8は、本発明の一実施形態による、RR間隔スケールメジアンを使用してメトリックを計算する方法のフローチャートである。方法220は、時間間隔Tの間に計算されるRRIメジアンの数及び基線RRIメジアンの規則性範囲内にあるRRIメジアンの数をカウントするときに使用されることになるカウンタをゼロに初期化することによって、ステップ222にて始まる。
ステップ224にて、タイマが、所定の時間間隔Tに設定され、その時間間隔Tにわたって、いくつかのスケールメジアンRRIが求められることになる。ステップ226にて、RRIは、入力として提供される。RRI検出器103(図6)によって測定されるRRIは、スケールメジアンRRIを求めるために、一時メモリバッファに記憶される。先に示した例示的な実施形態では、2n+1(n=2、3、4、5、6、及び7)のRRIは、5、9、17、33、65、及び129個のRRIのサンプル数窓を満たすために記憶される。代替の実施形態では、ステップ226にて入力として提供されるRRIは、いくつかの時間スケール窓にわたって記憶されてもよい。たとえば、RRIは、5、10、20、40、60、及び120秒の間隔にわたって記憶されてもよい。各サンプル数又は時間スケール窓は、Tが終了するまで間隔Tにわたって繰り返される。
したがって、サンプル数窓が、所望の数のサンプルで満たされるたびに、又は、Tが終了する前に、時間スケール窓が終了したと、決定ステップ228にて判定されると、ステップ230にて、RRIスケールメジアンが求められる。時間間隔Tの間に計算されるスケールメジアンの数をカウントするのに使用されるカウンタは、ステップ230にてスケールメジアンが求められるたびに、ステップ232にて、1だけ増加する。
ステップ234にて、RRIスケールメジアンと基線メジアンとの差が計算される。1つの例示的な実施形態では、基線メジアンは、以前の時間間隔Tについて求めたRRIメジアンである。RRIスケールメジアンと基線メジアンとの差は、決定ステップ236にて、規則性範囲と比較される。規則性範囲は、A−V伝導比が変動する間の、AFL等の統一性の高いAT、又は、個別のOAT中のVCL変動性を包含すると予想される時間間隔に設定される。図3Aの例を見てわかるように、AV伝導比が一定である間、VCLの変動性が小さいため、統一性の高いAT又はAFL中に、密な点クラスタが、セグメント0に提示される。図3Bの例では、AV伝導比が変化する間、VCLの小さな変動性が起こるため、密な点クラスタは、異なるセグメントに提示される。一実施形態では、規則性範囲は、±12ミリ秒に設定される。規則性範囲は、図2Aに見られるように、NSR中に予想されるVCLの変動性を包含しない。
ステップ230にて求めたスケールメジアンと基線メジアンとの差が、12ミリ秒又は選択された別の規則性範囲より小さい場合、スケールメジアンは、統一性の高いAT中に起こる規則的なVCLを表すと考えられる。規則性カウンタは、ステップ238にて、1だけ増加する。スケールメジアンと基線メジアンとの差が、選択された規則性範囲より大きい場合、スケールメジアンは、NSR中に起こるVCL変動性又はAF中に起こるVCL不規則性を表すと考えられる。差が規則性範囲内にない場合、規則性カウンタは、ステップ238にて増加しない。
ステップ240にて、方法220は、時間間隔Tが終了したか否かを判定する。終了していない場合、方法220は、スケールメジアン窓が満たされるか、又は、終了するときにスケールメジアンを計算するために、入力ステップ226にて、RRIを記憶し続ける。決定ステップ240にて、時間間隔Tが終了した場合、ステップ242にて、基線メジアンを更新することができる。基線メジアンが、以前の時間間隔Tのメジアンとして定義されるとき、新しい基線メジアンが、各時間間隔Tの終了時に求められて、次の時間間隔Tの間に求められるスケールメジアンとの比較時に使用される。
ステップ244にて、RegularityEvidenceが、求めたスケールメジアンの総数又はスケールメジアンカウントに対する規則性カウントのパーセンテージ又は比として計算される。統一性の高いAT中に(図3Aに示すように)、RegularityEvidenceは、1に等しいか又は1に近い値を有することになり、全てのスケールメジアンは、基線メジアンの規則性範囲内にある。AF中、RegularityEvidenceは、0に等しいか又は0に近い値を有することになる。RegularityEvidenceは、NSR中、0と1との中間値及びOATの程度の変動を有することになる。
再び、図6の機能ブロック図を参照すると、ブロック118にて計算されたRegularityEvidenceメトリックは、規則性比較器130への入力として提供される。RegularityEvidenceは、RegularityEvidenceを、規則性比較器130への入力として同様に提供される規則性しきい値128と比較することによってOATの検出で使用することができる。RegularityEvidenceが規則性しきい値128を超える場合、OATが検出され、OAT検出信号132が、比較器130によって生成される。規則性しきい値128は、規則性比較器130によって行われる比較が、統一性の高いATを表すセグメント0内の密な点クラスタの検出に感度があり(図3Aに示すように)、NSRを表すセグメント0内の散在的なクラスタシグネチャを検出しないように選択される(図2Aに示すように)。
RRI検出器103の出力は、減算ブロック105及び1つの心室周期についてRRIを記憶する一時的バッファ104への入力としても提供される。バッファ104によって記憶される以前のRRI(RRi−1)及び新しいRRIは、減算ブロック105への入力として提供され、それにより、2つの連続するRRIの差、すなわちδRRiが、計算され、Histogram(ヒストグラム)カウンタ109への入力として提供されることができる。減算ブロック105からの出力δRRiは、1つの心室周期についてδRRiを記憶する一時的バッファ107への入力としても提供され、それにより、Histogramカウンタ109への入力として、以前のδRRi又はδRRi−1が、新しいδRRiと共に提供される。(δRRi,δRRi−1)値を受信することによって、Histogramカウンタ109は、(δRRi,δRRi−1)値に相当するヒストグラムビンカウントを更新する。そのため、Histogramカウンタ109は、図5に示す2次元ヒストグラム162に含まれる各ヒストグラムビンに対応するいくつかのカウンタを含む。全てのヒストグラムビンを完璧にカウントすることなくいくつかのクラスタシグネチャメトリックを求めるためには、各セグメント内の点の数及び占有されたビンの数だけをカウントすることで十分であるため、Histogramカウンタ109は、本発明の全ての実施態様について必要とされるわけではない。
適切なヒストグラムビンカウンタを更新することによって、他のカウントの数が、新しい(δRRi,δRRi−1)点を含んだヒストグラムビンに従って更新される。PointCountnカウンタ112を使用して、ローレンツプロットエリアのn個のセグメント、たとえば、図1に示すセグメント0〜12のそれぞれの中のビン内でカウントされる点の数がカウントされ、各セグメント内の点の総数が生成される。したがって、PointCountnカウンタ112は、n個の定義済みセグメントのそれぞれについてセグメント点カウンタを含み、新しい(δRRi,δRRi−1)点によって、ヒストグラムビンが増加されるたびに、セグメント点カウンタのうちの1つが適切に増加する。
NonZeroBinCount(非ゼロビンカウント)nカウンタ114を使用して、ローレンツプロットエリアの各セグメント内の占有されたビンの数がカウントされ、点がその中にあるセグメントの総数が生成される。したがって、NonZeroBinCountnカウンタ114はn個のカウンタを含み、カウンタはそれぞれ、ローレンツプロットエリア内で定義されるn個のセグメントのうちの1つに対応する。新しい(δRRi,δRRi−1)点が、Histogramカウンタ109により、以前に占有されていないビンによってカウントされる場合、以前に占有されていないビンを含むセグメントに対応するNonZeroBinCountnカウンタ114内のカウンタが、1だけ増加する。
OriginCount(原点カウント)カウンタ116を使用して、原点ビン174(図5に示す)内に入る点の数がカウントされる。新しい(δRRi,δRRi−1)点が、Histogramカウンタ109による原点ビンの増分をもたらす場合、OriginCountカウンタ116は、1だけ増加する。そのため、新しい(δRRi,δRRi−1)点が、Histogramカウンタ109によってカウントされるたびに、3つの付加的なカウンタ、PointCount(点カウント)nカウンタ112、NonZeroBinCountnカウンタ114、及びOriginCountカウンタ116が、適切に更新される。
所定のデータ取得時間間隔の終了時に、カウンタ値を使用して、いくつかのクラスタシグネチャメトリックが求められる。データ取得時間間隔は、何秒かに又は何分かに設定されてもよい。1つの例示的な実施形態では、データ取得時間間隔は、2分に設定され、それにより、カウンタ112、114、及び116は、2分間隔の間、全ての心周期に関して更新され、2分間隔の終了時に、上述したRegularityEvidenceメトリックを含むクラスタシグネチャメトリックが求められる。データ取得間隔の終了時におけるクラスタシグネチャメトリックの計算後に、カウンタは全てゼロにリセットされる。
ブロック120にて、AnisotropyEvidence(異方性証拠)メトリックが計算される。AnisotropyEvidenceメトリックを使用して、図3B〜図3Fに示す例示的なローレンツプロットにおいて観測される、伝導比が変動する間のATの個別の統一性の特徴を表すクラスタパターンの指向性が認識される。セグメント5、6、7、8、9、10、及び11に対応するPointCount値は、PointCountnカウンタ112から得られる。対角セグメント10及び12並びに軸セグメント5及び8(図1に示される)内の点の数に対する、対角セグメント9及び11並びに軸セグメント6及び7内の点の大きな数は、たとえば図3B〜図3Fに示すように、OATクラスタシグネチャを指示するであろう。
図9は、本発明の一実施形態による異方性メトリックの計算の機能ブロック図である。セグメント5及び8(PointCount5及びPointCount8)内にあるビン内でカウントされる点の数は、加算ブロック204への入力として提供される。結果的に得られる和は、減算ブロック210に提供される。PointCount6及びPointCount7の値は、加算ブロック202への入力として提供され、結果的に得られる和は、減算ブロック210に提供され、それにより、セグメント6及び7内の点の数と、セグメント5及び8内の点の数との差が求められて、異方性シグネチャを同定することができる。
同様に、PointCount9及びPointCount11の値は、加算ブロック206への入力として提供され、結果的に得られる和は、減算ブロック220に提供される。PointCount10及びPointCount12の値は、加算ブロック208への入力として提供され、結果的に得られる和は、減算ブロック220に提供され、それにより、セグメント9及び11内の点の数と、セグメント10及び12内の点の数との差が求められて、異方性シグネチャを同定することができる。
減算ブロック210及び減算ブロック220の出力の絶対値は、加算ブロック222にて加算されて、異方性のメトリックとしてAnisotropyEvidence出力224が提供される。
モジュール120によるAnisotropyEvidenceの計算は、以下の式によって数学的に提示される。
図6の機能ブロック図を再び参照すると、ブロック122にて、DensityEvidence(密度証拠)が、各セグメント内でプロットされた点の密度のメトリックとして計算される。DensityEvidenceは、OAT中の異なるA−V伝導比に関連する群拍動現象(group beating phenomenon)の目安である。所与のセグメント内の点の密度Densitynは、以下のように、セグメント内の点の数と、セグメント内の占有されたビンの数との差を計算することによって測定することができる。
DensityEvidenceは、OATに関連する点クラスタを通常含む、セグメント5〜12についてのDensity値の和として、次式によりブロック122にて計算される。
ブロック124にて、PACの証拠を求めるためのメトリックPACEvidence(PAC証拠)が計算される。図4A及び図4Bに示す例に見られるように、一連のPACに関連するクラスタシグネチャは、通常、セグメント1、2、3、又は4内に点のクラスタを提示し、その時、セグメント10内に点のクラスタがあり、対向するセグメント12内には点が全く無いか若しくは少数の点があり(図4B)、又は、セグメント5及び6内に点のクラスタを提示し、その時、対向するセグメント7及び8にはほとんど点がない。したがって、PACEvidenceは、セグメント1〜4についてのDensityn値の加算結果が、セグメント5及び6についてのDensityn値の和とセグメント7及び8についてのDensityn値の和との差に加算され、セグメント10のDensityn値とセグメント12のDensityn値との差に加算された値として計算される。
異方性、密度、PAC、規則性、及び不規則性についてのクラスタシグネチャメトリックは、ブロック134にて、OATを検出するためのメトリックを計算する入力として提供される。PAC及び不規則性についてのクラスタシグネチャメトリック並びにOriginCountは、ブロック142にて、AFを検出するときに使用するためのメトリックへの入力として提供される。規則的なVCL不規則性、(δRRi,δRRi−1)点の異方性パターン、及び一連のPACに関連しない(δRRi,δRRi−1)点の密度又は集合の程度(clustering)は、OATの証拠である。一実施形態では、ATEvidence(AT証拠)メトリックが、以下の式に従って、クラスタシグネチャメトリックから計算される。
不規則なVCL不規則性は、AFの証拠である。高いOriginCountは、AFに対する証拠であることになる。したがって、AFEvidence(AF証拠)は、以下の式に従ってクラスタシグネチャメトリックから計算される。
しかし、AFEvidence式にOriginCountを含むことによって、高い感度でAF検出が行われてもよい。AF検出の高い特異性及び高い感度について最適化された重み係数は、先に提供されたAFEvidence式内の項のそれぞれに適用することができる。
ATEvidenceメトリック及びAFEvidenceメトリックは、それぞれ、比較器138及び146への入力として提供される。比較器138は、ATEvidenceの値を、以前に定義したOATしきい値136と比較する。ATEvidenceがOATしきい値136より大きい場合、OAT検出信号140が生成される。
比較器146は、AFEvidenceの値を、以前に定義したAFしきい値144と比較する。AFEvidenceがAFしきい値144より大きい場合、AF検出信号148が生成される。OATしきい値136及びAFしきい値144は、比較器138及び146によって行われるそれぞれの比較が、それぞれ、OAT及びAFの検出に対して感度があり且つ特異的であるように選択される。
OAT及びAFの検出に使用される、2次元ヒストグラム寸法及びクラスタシグネチャメトリックについてのパラメータセットを最適化するために実施される調査において、AFの検出についての最大の感度と特異性が、2分の時間間隔Tを使用して見出された。その時間間隔の間に、(δRRi,δRRi−1)点が取得され、ヒストグラムに記憶され、また、その時間間隔の間に、スケールメジアンが求められる。AF検出用の最大の感度と特異性とについての最適ヒストグラム寸法は、各方向で25ミリ秒のビンに分割され、75ミリ秒のNSRmaskを持つ、全ての軸方向で500ミリ秒のヒストグラム範囲であった。
これらの設定を使用して、OAT及びAFの検出の感度及び特異性が、或る範囲の規則性しきい値及び或る範囲のOATしきい値について試験された。最適化されたしきい値は、AT/AF負荷測定について、90%以上の特異性と感度とをもたらした。規則性しきい値、OATしきい値、及びAFしきい値の設定は、選択された患者集団の臨床履歴データ又は個々の患者の履歴データに基づいて選択され、最適化されてもよい。最適設定は、患者ごとに変わってもよい。
図10は、本発明の一実施形態による、心臓事象を検出し弁別するためにクラスタシグネチャメトリックを使用する方法のフローチャートである。
方法250は、RRIをカウントするために使用されるであろうカウンタ、ヒストグラムビンカウンタ、PointCountカウンタ、NonZeroBinCountカウンタ、OriginCountカウンタ、及び、図6に関連して述べられる機能を実施するときに使用される任意の他のカウンタを全てゼロに初期化することによって、ステップ252にて始まる。
ステップ254にて、タイマが、所望の時間間隔Tに設定される。タイマは、1つの例示的な実施形態では、2分に設定されるが、OAT及びAFを検出し弁別するために実施されるクラスタシグネチャメトリック及び比較解析は、任意の所望の時間間隔にわたって実施することができる。或いは、所望の数の(δRRi,δRRi−1)点が、AF及びOATの検出及び弁別に使用されることが可能になるように、固定数又は可変数のVCLが採取される。得られるVCLの数は、VCLデータストリームの特徴に基づいてもよい。
ステップ256にて、RRI測定値が、ステップ258にてRRIスケールメジアンを求めるための入力として提供される。ステップ257にて、上述したローレンツプロットエリアを表す2次元ヒストグラム内の(δRRi,δRRi−1)座標ロケーションに基づいて、ステップ260にてPointCountnカウンタを、ステップ262にてNonZeroBinCountnカウンタを、ステップ264にてOriginCountカウンタを更新するときに使用するための入力として、δRRi測定値が提供される。
実際には、図6に示す2次元ヒストグラムの計算は、全ての実施態様において完全な形では必要とされない。一実施態様では、ビット算術演算を使用して、各ビンの2値状態が指示される。おそらく、ビン状態(占有されているか、又は、占有されていないか)を指示するのに、単一ビットだけが必要とされる。ビット算術演算を使用して、クラスタシグネチャメトリックを求めるためのメモリ要件が低減される。ローレンツプロット原点を含むビン内の点を除いて、セグメント0内の点はカウントされる必要はない。NonZeroBinCountnは、(単一ビットだけを必要とする)2値状態に基づいて各セグメント内の占有されたビンの数を求めるであろう。PointCountは、各セグメント1〜12内の点をカウントするための12個のカウンタとして設けられるであろう。
ローレンツプロットセグメントの階層的実施態様は、患者履歴に基づいてもよい。
患者の調律履歴を使用して、どのセグメントが、(δRRi,δRRi−1)点を含む確率が最も高いかを選択してもよい。たとえば、図1に示すセグメント9〜12は、OATを頻繁に経験する患者における点をカウントするために選択されてもよく、その時、他のセグメント内に入る点は、無視されるか、又は、それらのセグメント内のヒストグラムビンの2値状態(占有されているか、又は、占有されていないか)としてだけカウントされる。
セグメント5〜8は、次に考えられてもよく、セグメント1〜4は、点を含む可能性が最も低い。一部の実施形態では、階層の低いセグメント内のビンの数は、階層の高いセグメント内のビンの数に比べて小さい場合がある。たとえば、セグメント1〜4は、それぞれ、単一ビンが割り当てられてもよい。
RRIスケールメジアン、PointCountnカウンタ、NonZeroBinCountnカウンタ、及びOriginCountカウンタは、時間間隔T中の各RRI測定後に更新される。時間間隔Tが終了したと、決定ステップ266にて判定されることによって、ステップ268にて、いくつかのクラスタシグネチャメトリックが計算される。クラスタシグネチャメトリックは、RegularityEvidence、AnisotropyEvidence、DensityEvidence、PACEvidence、及びIrregularityEvidenceを含むことができる。
ステップ270にて、ATEvidence及びAFEvidenceのメトリックが、ステップ268にて計算したクラスタシグネチャメトリックから計算される。統一性指数は、任意選択で、ステップ271にて計算される。統一性指数は、1からAFEvidenceとATEvidenceとの比を引いた値として計算されてもよい。AFLと同様に、ATが、統一性が高い場合、統一性指数は1に近い。AFと同様に、ATが、統一性が非常に低い(highly disorganized)場合、統一性指数は0に近い。統一性指数は、治療を選択するとき、又は、疾病状態を監視するときに有用である場合がある。
別の実施形態では、統一性指数は、OriginCount、RegularityEvidence、AnisotropyEvidence、DensityEvidence、及びIrregularityEvidenceの重み付き和として計算される。1つの例示的な実施形態は、先に指定したメトリックについて、それぞれ、{1、1、1、1、−2}の重み係数を採用するであろう。さらに別の実施形態では、Histogramカウンタを使用して、各セグメント内の任意のビン内の最大カウントが計算される。統一性指数は、その後、各セグメントについての最大カウントの和として計算される。
ATEvidence、AFEvidence、及びRegularityEvidenceのしきい値比較は、AF又はOATを検出するためにステップ272にて使用される。AF及びOATの検出のためのクラスタシグネチャメトリックとの比較に使用される種々のしきい値は、一定値に限定されない。一実施形態では、OAT又はAFの開始を検出するためのしきい値、OATからAFへの遷移を検出するためのしきい値、並びにOAT及びAFの終了を検出するためのしきい値は、異なるように定義されてもよい。別の実施形態では、しきい値は、VCL若しくはVCLの変化、及び/又は、1つ若しくは複数のクラスタシグネチャメトリックの関数として定義されることもできる。たとえば、しきい値は、1つ又は複数のクラスタシグネチャメトリックの値に基づいて、又は、その時の時間間隔について測定されたメジアンVCLに基づいて自動調整されることができる。
しきい値比較に基づいて、AFもOATも検出されない場合、方法250は、ステップ252に戻って、全てのカウンタをゼロにリセットし、新しい時間間隔Tを開始する。AFEvidenceとATEvidenceが共に、関連する検出しきい値を超える場合、統一性指数を使用して、決定ステップ272にて、AFとOATとを弁別してもよい。統一性指数は、しきい値と比較されて、検出された不整脈が、(AFLに似た)統一性のあるATであるか、又はAFであるかが判定される。
こうして、クラスタシグネチャメトリックが、AF又はOATの検出についてしきい値比較基準を満たす場合、各時間間隔T後に、AF又はOATの検出を行うことができる。或いは、AF又はOATの検出は、任意の選択された数の時間間隔後に行うことができる。たとえば、クラスタシグネチャメトリックは、各時間間隔T後に計算することができる。所望の数の時間間隔が過ぎた後、Y個のブロックからX個のブロック(X out of Y)について計算されたクラスタシグネチャメトリックが、OAT又はAFの検出についてのしきい値基準を満たすために必要とされるというロジックに基づいて、OAT/AF決定が行われる。同様なロジックは、OATからAFへの遷移及びOAT又はAFの終了を検出するために適用されることができる。
AF又はOATが、決定ステップ272にて検出される場合、ステップ274にて、応答が提供される。適切な応答は、検出結果を記憶すること、AT/AF負荷を計算すること、OAT/AF検出及びAT/AF負荷及び他の関連するデータの報告を生成すること、警告信号を生成すること、又は、治療を送出すること、一時中止する(withhold)こと、若しくは調整することを含んでもよい。
送出されるか、又は、調整される治療は、薬剤治療、心臓刺激治療、又は神経刺激治療を含んでもよい。たとえば、OAT又はAFに応答して、適切な抗頻脈性不整脈治療が送出されてもよい。期外収縮刺激等の、1つのタイプの心臓刺激は、OAT又はAFの検出によって一時中止されてもよい。調整されることができる薬剤治療は、抗不整脈薬及び抗凝固剤を含む。
一般に、N次元ヒストグラムを使用して、N時系列のδRR点のローレンツプロットを数値的に表すことができる。2次元ヒストグラムは、2つの時系列のδRR点、δRRiと、1だけ遅延したδRRi又はδRRi−1とを表す。N次元評価において、時系列は、δRRi、δRRi−1、δRRi−2、δRRi−3、…、δRRi−N−1を含むことができる。N時系列のδRR値を表すN次元ヒストグラムから計算されるクラスタシグネチャメトリックを使用して、N時系列間の相関が評価される。
以前のδRR点に基づいて次のδRR点を予測することができることは、OATの証拠を提供する、或る程度の相関が存在することを指示する。AF中に、δRR点の相関は存在せず、したがって、予測可能性は存在しない。より一般的に、本明細書で述べる方法を使用して、計算能力及び電池パワーが制限されたデバイスについて理想的に適する、索引付け、カウンティング、加算、減算、及びビットシフト演算だけを使用して、任意の数の時系列間の相関又はコヒーレンスを計算することができる。別の2つの時系列の例は、1つの時系列としての心拍数及び第2の時系列としての血圧である。
図11は、本発明の一実施形態による、心臓事象を検出するためにクラスタシグネチャメトリックを使用する方法のフローチャートである。AF検出だけのためにクラスタシグネチャメトリックを使用する1つの単純化した実施形態では、セグメント1〜12は、単一セグメントとして合成されてもよい。NonZeroBinCountカウンタは、セグメント0の外側に入る占有されたビンの数をカウントすることになる。セグメント0内の原点を含むビン内に入る点だけが、OriginCountカウンタによってカウントされることになる。セグメント0内の他の点は、カウントされる必要はない。
したがって、ステップ302にて、全てのカウンタが、0に初期化され、ステップ304にて、タイマは、2分等の選択された時間間隔Tに設定される。ステップ306にて、δRRiデータが、ステップ308にてNonZeroBinCountカウンタを、ステップ310にてOriginCountカウンタを更新するための入力として提供される。2次元ヒストグラムにおいて、ヒストグラムビンカウントは、その時の心室周期についての(δRRi,δRRi−1)点に基づいて更新される。(δRRi,δRRi−1)点が、以前に占有されなかった、セグメント0の外側の任意のビンに入る場合、ステップ308にて、NonZeroBinCountカウンタは、1だけ増加する。(δRRi,δRRi−1)点が、原点ビンに入る場合、ステップ310にて、OriginCountカウンタは、1だけ増加する。
一部の実施形態では、ローレンツプロットの1次元ヒストグラム表現は、2−Dヒストグラムに置換えられてもよい。δRRiの1−Dヒストグラムは、軸のいずれかに沿って2−Dヒストグラムを投影したようなものであることになる。2−Dヒストグラムは、3つのRRIのシーケンスに関する、大きさと360度の変化方向又は位相情報との両方を含む。1−Dヒストグラムは、2つのRRIのシーケンスについての大きさ及び双方向変化情報を含む。1−Dヒストグラムは、メモリ要件においてかなりの節約を提供するが、計算上の要件においては、2−Dヒストグラムの実施態様と同じである。1−Dヒストグラムの実施態様では、NonZeroBinCountカウンタは、0セグメントの外側で(選択されたNSRmaskより大きい又は小さい)、以前に占有されなかった1−Dビン内に入る各δRRi点について、ステップ308にて更新される。OriginCountカウンタは、1−Dヒストグラムの原点を含むビン内に入る各δRRi点について更新される。
AFだけを検出するためのクラスタシグネチャメトリックの2−D又は1−Dの実施態様について、PointCountカウンタは必要とされない。セグメント0に入るが原点カウントの外側の点、及び、以前に占有されたヒストグラムビンに入る点は、NonZeroBinCountカウンタとOriginCountカウンタのいずれにも影響を及ぼさないであろう。
時間間隔Tがいまだ終了していないと、決定ステップ312にて判定される場合、方法300は、(δRRi,δRRi−1)点を取得し、NonZeroBinCountカウンタ及びOriginCountカウンタを適切に更新し続ける。AFEvidenceのメトリックは、NonZeroBinCountとOriginCountとの差として計算される。AFEvidenceが、AF検出しきい値を超えると、決定ステップ316にて判定される場合、ステップ318にて、AF検出が行われる。図10に関連して先に述べたように、AF検出によって応答が提供されてもよい。方法300は、ステップ302に戻って、カウンタをゼロにリセットして、新しい時間間隔Tを開始させる。
或いは、一定数のVCLが採取されて、AFを検出し、AFをOATから弁別するために、所望の数のδRRi値が使用されることを可能にする。一例では、12個のδRRi値が、採取され、AFを検出するための上述した同じロジックを使用して解析される。
図12は、本発明の一実施形態による心臓事象を検出する方法において、連続するRR間隔点間の差を記憶するために使用することができる1次元ヒストグラムである。3つのセグメント330、332、及び334が定義される。セグメント0 332は、原点ビン340を含み、−NSRmask336から+NSRmask338へ延びる。セグメント1 330は、パラメータ−Extentで定義することができる負の範囲326から−NSRmask336まで延びる。セグメント1 330は、NSRmaskより大きいRRIの負の変化を表す全てのδRRi点を含むことになる。セグメント2 334は、+NSRmask338からヒストグラム325の正の範囲すなわち+Extent328まで延びる。セグメント2 334は、NSRmaskより大きいRRIの正の変化を表す全てのδRRi点を含むことになる。
図13は、本発明の一実施形態による、ローレンツプロットの1次元ヒストグラム表現を使用して心臓事象を検出する方法のフローチャートである。ステップ352にて、RRIサンプル数をカウントするのに使用されるカウンタ、PointCountカウンタ、NonZeroBinCountカウンタ、OriginCountカウンタ、ヒストグラムビンカウンタ、及び方法350を実行する任意の他のカウンタは、ゼロに初期化される。タイマは、ステップ354にて、選択された時間間隔T(通常は2分)に設定される。ステップ356にて、RRI情報が、先に述べたスケーリングされたメジアンを求めるためにステップ358に提供される。2次元の実施態様において計算されるRegularityEvidenceは、1次元の概念であり、したがって、1−Dの実施態様に組み込まれることができる。したがって、図6、図7、及び図8に関連して述べた同じ方法で、RRIスケールメジアンが、ステップ358にて求められる。
ステップ362にて、δRRi情報は、ステップ360にてPointCountカウンタを、ステップ364にてNonZeroBinCountカウンタを、ステップ366にてOriginCountカウンタを更新するために提供される。PointCountカウンタは、各セグメント0、1、及び2(図12に示す)内に記憶されるδRRi点の総数をカウントすることになる。NonZeroBinCountカウンタは、各セグメント0、1、及び2内の占有されるビンの数をカウントすることになる。OriginCountカウンタは、原点ビン340(図12に示す)に入るδRRi点の数をカウントすることになる。
位相方向情報が、1−Dヒストグラム表現から利用可能でないため、2−Dヒストグラムについて計算されるAnisotropyEvidence及びDensityEvidenceは利用可能でない。代替のクラスタシグネチャメトリックが、1−Dの実施態様で計算される。タイマが終了したと、決定ステップ368にて判定された後、代替のDensityEvidenceメトリックが、Density1とDensity2との和として計算される。Density1とDensity2とは、先に述べた各PointCountn値と各NonZeroBinCountn値との差として、それぞれセグメント1及び2について計算される。DensityEvidenceは、セグメント0の外側に入るδRRi点の密度の尺度を提供し、したがって、OATを表すことができる点の集合の程度の目安を提供する。1−Dヒストグラムは、2−Dヒストグラムで利用可能な位相方向情報が欠如し、したがって、1−Dの実施態様で提供されるDensityEvidenceメトリックは、一連の早期収縮を表すことができる点クラスタ(1〜4の2−Dヒストグラムセグメントに見出される)を排除することによって、OATの特徴を表す点クラスタ(5〜12の2−Dヒストグラムセグメントに見出される)だけを考慮するのではない。
SymmetryEvidence(対称性証拠)は、AnisotropyEvidence用の代替メトリックとしてステップ372にて計算される。OAT中に、δRRi点は、一連の期外収縮中又はAF中に比べて、原点を中心とする程度の大きな対称性を提示することになる。したがって、原点ビンから同距離にあるセグメント1内のヒストグラムビンとセグメント2内のヒストグラムビンとの差が求められる。これらの差の最大絶対値を使用して、SymmetryEvidenceメトリックを求めることができる。一実施形態では、SymmetryEvidenceは、次式として数学的に表される。
ステップ378にて、AF又はOATを検出するために、AFEvidence、ATEvidence、及びRegularityEvidenceのしきい値比較が行われる。これらのクラスタシグネチャメトリックは、それぞれの以前に定義されたしきい値、AFしきい値、OATしきい値、及び規則性しきい値と比較される。AFEvidenceが、AFしきい値を超える場合、AFが検出される。ATEvidenceがOATしきい値を超えるか、又は、RegularityEvidenceが規則性しきい値を超える場合、OATが検出される。しきい値比較を実施し、いずれかの適切な検出を行った後、方法350は、ステップ352に戻って、全てのカウンタをリセットし、新しい時間間隔Tを開始する。任意のAF又はOATの検出に対する適切な応答が、先に述べたように行われてもよい。
こうして、心房信号を必要とすることなく、VCL情報を使用してAF及びOATの検出を実現する方法が述べられた。これらの方法は、心室頻脈の上室性頻脈からの弁別が重要である監視及び治療適用において有益である可能性がある。さらに、AFのOATからの弁別は、治療を管理し、疾病状態を監視するための、患者のより正確な診断の観点を提供する。本明細書で詳細に述べる実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示すために提供され、添付の特許請求の範囲に関して限定的であることを意図しない。
Claims (21)
- 心臓事象を判定する方法であって、
検知による心臓信号に関連する複数の周期長を求めること、
前記求めた複数の周期長の連続する周期長間の差を求めること、
前記求めた差に応じてクラスタシグネチャメトリックを求めること、及び
前記求めたクラスタシグネチャメトリックに応じて前記心臓事象を識別すること
を含む、心臓事象を判定する方法。 - 前記クラスタシグネチャメトリックを求めることは、
前記心臓事象に相当する所定の範囲内にある複数の前記求めた差の数を求めること、及び
複数の前記求めた差の前記求めた数と、複数の該求めた差のメジアンとの比を求めること
を含む、請求項1に記載の心臓事象を判定する方法。 - 前記求めた比を、前記心臓事象に相当するしきい値と比較することをさらに含む、請求項2に記載の心臓事象を判定する方法。
- 前記求めた差に相当するプロットを生成すること、及び
前記プロットの原点に対して或る範囲の大きさと位相とによって定義され、且つ、前記心臓事象に関連するパターンに相当する、前記プロットの複数のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること
をさらに含む、請求項1に記載の心臓事象を判定する方法。 - 前記心臓事象は、統一性のある心房頻脈性不整脈に相当する、請求項1に記載の心臓事象を判定する方法。
- 第1の出力を生成するために、前記複数のセグメントの第2のセグメント内に配置される前記求めた差の数に対して、該複数のセグメントの第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めることをさらに含む、請求項4に記載の心臓事象を判定する方法。
- 第2の出力を生成するために、前記複数のセグメントの第4のセグメント内に配置される前記求めた差の数に対して、該複数のセグメントの第3のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、及び
前記第1の出力と前記第2の出力の和とを求めること
をさらに含む、請求項6に記載の心臓事象を判定する方法。 - 前記複数のセグメントのそれぞれのセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
密度カウントを生成するために、前記複数のセグメントの各セグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求めること、及び
前記密度カウントの和を求めること
をさらに含む、請求項4に記載の心臓事象を判定する方法。 - 前記複数のセグメントの第1の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
第1の密度カウントを生成するために、前記第1の所定のセグメントの各セグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求めること、
第1の密度和を生成するために、前記第1の密度カウントを加算すること、
前記複数のセグメントの第2の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
第2の密度カウントを生成するために、前記第2の所定のセグメントの各セグメントについて、セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置されるセグメントの前記求めた数との差を求めること、
第2の密度和を生成するために、前記第2の密度カウントを加算すること、及び
前記第1の密度和と前記第2の密度和との差を求めること
をさらに含む、請求項4に記載の心臓事象を判定する方法。 - 前記複数のセグメントの第1のセグメントは、前記プロットの原点の周りの所定のエリアに相当しており、第1のクラスタシグネチャメトリックM1を生成するために、前記第1のセグメント以外の複数のセグメント内に配置される前記求めた差の総数を求めることをさらに含む、請求項4に記載の心臓事象を判定する方法。
- 第2のクラスタシグネチャメトリックM2を生成するために、前記第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントの第1の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
第1の密度カウントを生成するために、前記第1の所定のセグメントの各セグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求めること、
第1の密度和を生成するために、前記第1の密度カウントを加算すること、
前記複数のセグメントの第2の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
第2の密度カウントを生成するために、前記第2の所定のセグメントの各セグメントについて、セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置されるセグメントの前記求めた数との差を求めること、
前記第2の密度カウントを加算することであって、それにより、第2の密度和を生成する、加算すること、
第3のクラスタシグメチャメトリックM3を生成するために、前記第1の密度和と前記第2の密度和との差を求めること、及び
第1の式に応じて第1の事象として前記心臓事象を識別することであって、該第1の式は、M1−M2−J*M3に相当し、Jは前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する重み係数であること
をさらに含む、請求項10に記載の心臓事象を判定する方法。 - 所定の期間にわたって起こる複数のそれぞれのサンプル窓に相当する前記求めた差の複数のメジアンを計算すること、
第2のクラスタシグネチャメトリックM2を生成するために、前記計算した複数のメジアンを前記心臓事象に関連する所定の基線メジアンと比較すること、
前記複数のセグメントのそれぞれのセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
密度カウントを生成するために、前記複数のセグメントの各セグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求めること、
第3のクラスタシグネチャメトリックM3を生成するために、前記密度カウントの和を求めること、
第1の出力を生成するために、前記複数のセグメントの第2のセグメント内に配置される前記求めた差の数に対して、該複数のセグメントの前記第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
第2の出力を生成するために、前記複数のセグメントの第4のセグメント内に配置される前記求めた差の数に対して、該複数のセグメントの第3のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
第4のクラスタシグネチャメトリックM4を生成するために、前記第1の出力と前記第2の出力との和を求めること、
前記複数のセグメントの第1の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
第1の密度カウントを生成するために、前記第1の所定のセグメントの各セグメントについて、セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置されるセグメントの前記求めた数との差を求めること、
第1の密度和を生成するために、前記第1の密度カウントを加算すること、
前記複数のセグメントの第2の所定のセグメントの各セグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
第2の密度カウントを生成するために、前記第2の所定のセグメントの各セグメントについて、セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置されるセグメントの前記求めた数との差を求めること、
第2の密度和を生成するために、前記第2の密度カウントを加算すること、及び
第5のクラスタシグネチャメトリックM5を生成するために、前記第1の密度和と前記第2の密度和との差を求めること
をさらに含む、請求項10に記載の心臓事象を判定する方法。 - 第1の式に応じて第1の事象として前記心臓事象を識別することであって、該第1の式は、M1+M2+M3+M4−J*M5に相当し、Jは前記第1の事象と異なる第2の事象に関連する重み係数であることをさらに含む、請求項12に記載の心臓事象を判定する方法。
- 第6のクラスタシグネチャメトリックM6を生成するために、前記第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
M1−M6−J*M5に相当する第2の式に応じて第3の事象として前記心臓事象を識別すること、及び
前記第1の式と前記第2の式とに応じて統一性指数を生成すること
をさらに含む、請求項13に記載の心臓事象を判定する方法。 - 複数の前記求めた差の前記求めた数を求めることは、
所定の期間にわたって起こる複数のそれぞれのサンプル窓に相当する前記求めた差の複数のメジアンを計算すること、及び
前記計算した複数のメジアンを前記心臓事象に関連する所定の基線メジアンと比較すること
を含む、請求項2に記載の心臓事象を判定する方法。 - 心臓事象を判定する方法であって、
検知による心臓事象に関連する複数の周期長を求めること、
前記求めた複数の周期長の連続する周期長間の差を求めること、
前記求めた差の間の時間関係に相当するプロットの表現を生成すること、
前記プロットの原点に対して或る範囲の大きさと位相とによって定義され、且つ、前記心臓事象に関連するパターンに相当する、前記プロットの複数のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、及び
前記複数のセグメント内に配置される前記求めた差の前記数に応じて前記心臓事象を識別すること
を含む、心臓事象を判定する方法。 - 前記複数のセグメントのそれぞれのセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求めること、
前記プロットの原点の周りの所定のエリアに相当する、前記複数のセグメントの第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求めること、及び
密度カウントを生成するために、前記複数のセグメントの所定のセグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求めること
をさらに含む、請求項16に記載の心臓事象を判定する方法。 - 所定の期間にわたって起こる複数のそれぞれのサンプル窓に相当する前記求めた差の複数のメジアンを計算すること、及び
前記計算した複数のメジアンを前記心臓事象に関連する所定の基線メジアンと比較すること
をさらに含む、請求項17に記載の心臓事象を判定する方法。 - 心臓事象を判定する医療デバイスであって、
検知による心臓事象に関連する複数の周期長を求める手段と、
前記求めた複数の周期長の連続する周期長間の差を求める手段と、
前記求めた差の間の時間関係に相当するプロットの表現を生成する手段と、
前記プロットの原点に対して或る範囲の大きさと位相とによって定義され、且つ、前記心臓事象に関連するパターンに相当する、前記プロットの複数のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求める手段と、
前記複数のセグメント内に配置される前記求めた差の前記数に応じて前記心臓事象を識別する手段と
を備える、心臓事象を判定する医療デバイス。 - 前記複数のセグメントのそれぞれのセグメント内に配置される前記求めた差の数を求める手段と、
前記複数のセグメントのうちの、求めた差が内部に配置されるセグメントの数を求める手段と、
前記プロットの原点の周りの所定のエリアに相当する、前記複数のセグメントの第1のセグメント内に配置される前記求めた差の数を求める手段と、
密度カウントを生成するために、前記複数のセグメントの所定のセグメントについて、前記セグメント内に配置される前記求めた差の前記求めた数と、求めた差が内部に配置される前記セグメントの前記求めた数との差を求める手段と
をさらに備える、請求項19に記載の心臓事象を判定する医療デバイス。 - 心臓事象を判定する方法であって、
心房不整脈を表す心室周期長のローレンツ分布に相当するクラスタシグネチャ証拠メトリックについてしきい値検出基準を定義すること、
或る時間間隔中の連続する心室周期長の数を求めること、
前記心室周期長の情報をヒストグラムに格納すること、
前記格納した心室周期長の情報を使用して、多数のクラスタシグネチャメトリックを求めること、
前記クラスタシグネチャメトリックを使用して、前記クラスタシグネチャ証拠メトリックを計算すること、
前記しきい値検出基準と前記クラスタシグネチャ証拠メトリックとの比較解析を実施すること、及び
前記クラスタシグネチャ証拠メトリックが、前記しきい値検出基準を満たす場合、前記心房不整脈を検出すること
を含む、心臓事象を判定する方法。
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