好ましい実施例の説明
本発明の開示は、この技術に精通した者が本発明を実施できるように詳細かつ正確であるが、ここに開示される物理的実施例は、他の特異的構造においても具現化することができる本発明を例示するにすぎない。好ましい実施例が説明されているが、詳細は本発明から逸脱することなく変更することができ、それは請求項によって定義される。
I.心臓弁輪の短軸の直接短縮のための経中隔移植片
A.移植構造
図10Aから10Dは、僧帽弁輪に架かり、概して前後方向に左心房にわたって伸びるような大きさにされ、かつ構成される移植片10の実施例を示す。前記移植片10は、後方架橋停止部位14および前方架橋停止部位16を有する橋渡し部位または架橋要素12を備える。
前記後方架橋停止部位14は、前記架橋要素12を後方僧帽弁輪の上側の心房組織部位内に設置できるような大きさにされ、かつ構成される。通常、後方僧帽弁輪における、またはそれに隣接する組織部位よりも、前記後方架橋停止部位14の把握を得るためのより大きい組織塊を提供するので、この部位が好ましい。この輪上位置における組織の係合はまた、冠動脈回旋枝に対する損傷の危険性を軽減することもできる。少数の症例において、冠動脈回旋枝は、大心臓静脈の左心房側面上の大心臓静脈を越え、およびその内側を通過し、大心臓静脈と左心房の心内膜との間に来る場合がある。しかしながら、前記後方架橋停止部位における力は左心房に関連して上向きおよび内側に向かっており、大心臓静脈の長軸に沿った収縮様態ではないため、回旋動脈圧迫の可能性は、大心臓静脈の組織を収縮させるこの分野における他の技術と比べて低い。それにもかかわらず、冠動脈造影が回旋動脈狭窄を明らかにするならば、T字形部材の一方の突出部が他方よりも短い場合など、前記対称形状後方架橋停止部を、非対称形状架橋停止部と差し替えることができ、よって回旋動脈の交差点の圧迫を回避する。非対称形はまた、まず事前の血管造影図に基づいて選択することもできる。
非対称後方架橋停止部を他の理由で利用することもできる。前記非対称後方架橋停止部は、患者が重度に狭窄した遠位大心臓静脈を有することが分かっている場合、前記非対称架橋停止部がその血管の閉塞を回避するためにより良く役立つ場合に、選択することができる。また、非対称架橋停止部は、治療を最適化するために後方僧帽弁輪に沿った異なる点で区別をつけ優先的に力をかけることを選択する際に、つまり、奇形または非対称僧帽弁の症例において、その使用を選ぶことができる。
前記前方架橋停止部位16は、右心房内またはその近くの隣接組織である隔壁を通って右心房内を通過する際に、前記架橋要素12を設置できるような大きさにされ、かつ構成される。例えば、図10Aから10Dに示されるとおりに、前記前方架橋停止部位16は、心房中隔内の線維組織部位に隣接または接することができる。図示されるとおりに、前記架橋停止部位16は望ましくは、前記後方架橋停止部位14の高さとおよそ同じまたはそれ以上の高さで、前方帽弁輪よりも上部にある。図示された実施例において、前記前方架橋停止部位16は、卵円窩の下縁に隣接または近接している。あるいは、前記前方架橋停止部位16は、卵円窩の上縁またはその近くなど、隔壁内のより上部の位置に位置付けることができる。前記前方架橋停止部位16はまた、前記架橋停止部位が組織部位を傷つけないのであれば、卵円窩から離れて、隔壁内のより上部または下部の位置に位置付けることもできる。
あるいは、図11Aおよび11Bにおいて見られるとおりに、前記前方架橋停止部位16は、隔壁を通って右心房内へと通る際に、内側に位置付けるか、または隔壁そのものの代わりに上大静脈(SVC)または下大静脈(IVC)内に位置付けることができる。
使用の際、前記橋渡し部位または架橋要素12は、2つの架橋停止部位14および16の間の張力内に設置することができる。それによって前記移植片10は、左心房にわたって概して後方から前方の方向に、直接機械力を加える。前記直接機械力は、輪の短軸(図7の線P−A)を短縮する働きをすることができる。そうする際に、前記移植片10はまた、その短軸(図7の線CM−CL)に沿って輪を反動的に再形成し、および/または他の周辺解剖構造を反動的に再形成することもできる。しかし当然のことながら、前記移植片10の存在は、短軸または主軸の長さに影響することなく、心臓弁輪に隣接する組織を安定させる働きをすることができる。
同様に当然のことながら、他の弁構造内に位置付けられると、周辺生体構造により、影響を受ける軸は「主」および「短」軸ではない場合がある。また、治療効果を持つためには、前記移植片10は、僧帽弁漏出の多くが発生する時期で、心室収縮期の収縮の開始において心臓がもっとも血液で充満している時期である、拡張期後期および収縮期初期中など、心周期の一部において輪の再形成をすればよいだけになる可能性がある。例えば、前記移植片10は、輪が拡張すると、心室拡張期の弛緩後期における輪の外側への位置ずれを制限するような大きさにすることができる。
左心房にわたって前記移植片10によって加えられる機械力は、心臓弁輪および弁尖をより正常な解剖学的形状および張力に戻すことができる。より正常な解剖学的形状および張力は、心室拡張期後期および心室収縮期初期において弁尖の接合を促し、順に僧帽弁逆流を軽減する。
その最も基本的な形態において、前記移植片10は、生体適合性金属または高分子素材、または生体適合性を与えるような素材で適切にコーティング、含浸、または処理される金属または高分子素材、またはそのような素材の組み合せからできている。前記素材はまた、望ましくは、放射線不透性であるか、または蛍光視覚化を容易にするための放射線不透性機能を組み込む。
前記移植片10は、柔軟性または剛性、または非弾性または弾性特性、またはその組み合せを有することができる金属または高分子ワイヤー型構造の屈曲、成形、接合、機械加工、または押し出し成形によって形成することができる。あるいは、前記移植片10は、金属または高分子糸状または縫合素材から形成することができる。前記移植片10を形成することができる素材は、ステンレス鋼、ニチノール、チタニウム、シリコーン、めっき金属、ElgiloyTM、NP55、およびNP57を含むがそれに制限されない。
前記移植片10は様々な形状をとり、様々な断面形状を有することができる。前記移植片10は、略曲線(つまり円形または卵形)断面、または略直線断面(つまり正方形または長方形)、またはその組み合わせなどを有することができる。より平滑な表面および血流方向のより長く狭い先端および後縁などの特徴がある、層流を促進し、よって溶血を軽減する形状が検討される。
B.後方架橋停止部位
前記後方架橋停止部位14は、輪上位置での左心房内またはその部分に位置するよう、つまり後方僧帽弁輪の上側の左心房壁内またはその近くに位置付けられるような大きさにされ、かつ構成される。
図示された実施例において、前記後方架橋停止部位14は概して、後方僧帽弁輪の大部分に隣接または平行して走る大心臓静脈の高さに位置することが示されている。冠状静脈洞のこの支流は、その内部に放射線不透性装置が設置されたり、または造影剤がその中に注入されると、強力かつ信頼できる蛍光指標を提供することができる。前述のとおり、この輪上位置で前記架橋要素12を固定することによっても、僧帽弁輪僧帽弁輪に適用される手技と比べて、回旋動脈に対する侵害の危険性および損傷の危険性を低減する。さらに、輪上位置は弁尖との接触がないことを確実にし、よって接合を可能にして物理的損害の危険性を軽減する。
大心臓静脈はまた、比較的薄い非線維性心房組織を容易に増強および強固することができる部位も提供する。本質的に非線維性の心臓組織であるものにおいて前記後方架橋停止部位14の保持または把握を高めるため、および前記移植片10によって加えられる力の分配を向上させるために、前記後方架橋停止部位14は、大心臓静脈内に設置され、静脈組織と接する後部架橋停止18を含むことができる。これによって、臨床的に関連する時間枠において発現される裂開なく、かなりの期間その組織上でかなりの保持または把握をそれでもなお維持できる方法で心臓の非線維部分において前記後方架橋停止部位14の固定を可能にする。
C.前方架橋停止部位
前記前方架橋停止部位16は、前記架橋要素12を心房中隔の右心房側における線維組織および周辺組織に隣接または近接する位置にしっかりととどめることができるような大きさにされ、かつ構成される。この部位における繊維組織は、筋肉と比べて優れた機械的強度および完全性を提供し、貫通する装置により耐えることができる。隔壁は、心臓内でのそれ自身の範囲において最も繊維性の組織構造である。外科的に対処すると、通常、縫合を実際に設置することができ、綿撒糸または筋肉組織中への深い把握なしで保持を期待することができるのは心臓組織のみの1つであり、後者が必要とされる場所である。
図10Aから10Dが示すとおりに、前記前方架橋停止部位16は、前方僧帽弁輪の平面の上側の輪上位置で隔壁を貫通する。前方側の輪上距離は概して、後方側の輪上距離またはその上側となることができる。先に指摘したとおりに、心房中隔および周辺構造に対する損害を防ぐ必要性を考慮して、他のより下またはより上の部位を卵円窩の内側または外側で使用することができるが、前記前方架橋停止部位16は卵円窩の下縁またはその近くで図10Aから10Dに示されている。
左心房の完全に外側にあり前方僧帽弁輪のかなり上側に間隔を空けられている、右心房内のこの輪上高さに前記架橋要素12を位置付けることによって、前記移植片10は前方僧帽弁輪における、またはそれに隣接する血管内付着の非実際性を回避し、この場所は前方で前尖によって、下方で大動脈流出路によって、および内側で伝導系の房室結節によって境界される輪組織の非常に薄い縁があるだけである。前方僧帽弁輪は、大動脈弁の無冠状動脈弁尖が中心線維体を通って僧帽弁輪に付着する場所である。右心房内の輪上高さ(隔壁内または大静脈内のいずれか)における前記移植片10の前方位置は、大動脈弁および房室結節の両方に対する損傷の侵害および危険性を回避する。
線維中隔組織における前記前方架橋停止部位16の把握は、望ましくは、中隔部材30または前方架橋停止部20、または両方の組み合わせによって高められる。図10Aないし10Cは、中隔部材30を含む前記架橋停止部位を示す。図10Dは、中隔部材のない前記前方架橋停止部位を示す。前記中隔部材30は拡張型装置でもよく、またAmplatzer(R)PFO Occluder(図12Aおよび12B参照)などの中隔閉塞器のような市販の装置であってもよい。前記中隔部材30は、好ましくは、線維組織部位で前記前方架橋停止部位16の保持または把握を機械的に増幅する。前記中隔部材30はまた、望ましくは、少なくとも部分的に、前記移植片10の位置を堅固にするよう隔壁の隣接解剖構造への依存を増大させる。また、前記中隔部材30はまた、移植手技中に卵円窩または周辺領域内に作られた小開口を埋めたり、または塞いだりする働きをすることもできる。
的確なけん引力が前記前方架橋停止部位16によって隔壁に加えられることを予期して、前記中隔部材30に作用する力は、弁、血管、または伝導組織上の侵害を引き起こすことなく、適度な範囲に広がるべきである。輪に伝達されているけん引力または緊張力によって、短軸の短縮が達成される。前記架橋要素に対する張力が増すと、左心房の架橋要素張力の方向に限局性狭窄をあまり引き起こさなくなる傾向があるため、屈曲する堅い中隔部材が好ましい。前記中隔部材30はまた、心臓内部に配置される装置に対する血栓形成を軽減するよう薄型構造および極めて水洗い可能な表面も有するべきである。前記中隔部材はまた、折りたたみ構造および展開構造を有することもできる。前記中隔部材30はまた、前記架橋停止部20の付着を可能にするようハブ31(図12Aおよび12B参照)を含むこともできる。前記中隔30はまた、前記架橋要素12の調整中など、前記中隔部材を通して前記架橋要素の妨げられていない動きを可能にするよう前記中隔部材の中心またはその近くに位置付けられる環または同様の保護装置32を含むこともできる(図12C参照)。前記ハブ31はこの機能も同様に備えることができる。
中隔固定器はまた、隔壁に沿って力を均一に分配するよう前記中隔部材30および前方架橋停止部20と組み合わせて使用することもできる(図11C参照)。あるいは、隔壁に限定される代わりに、IVCまたはSVC内の装置を架橋停止部位として使用することができる(図11Aおよび11B参照)。
放射線不透性架橋係止および境界明瞭な蛍光指標をそれぞれ記述した輪上組織部位に有する前記後方および前方架橋停止部位14および16の位置は、回旋動脈、房室結節、および大動脈弁の左冠状動脈および無冠状動脈弁葉などに対する主要な重要構造損傷または局所的侵害が存在しないことを提供するだけでなく、輪上集中部位もまた、組織と直接張力荷重貫通/咬合/保持組織付着機構との間の把握に依存していない。その代わり、機械てこおよび架橋係止の付着または取付により良く対応するステント、T字形部材、および中隔部材などの物理的構造および力分配機構を使用することができ、それを通して潜在的な組織引き裂き力をより良く分配することができる。さらに、前記架橋停止部位14、16は、操作者が複雑な画像化を使用することを必要としない。
移植後または最中の移植位置の調整もまた、これらの制約なしで促進される。前記架橋停止部位14、16はまた、前記架橋要素12が現れる場所である左心房壁のどちらかの側でそれを血管内で捕らえてから切断することによって、前記移植片10の完全な心房内回復も可能にする。図10Cに見られるとおりに、フックまたはループ24などの再配置手段を、前記架橋停止部位14、16に再接続する補助をして、例えば将来的な調整または移植片除去を可能にするよう備えることもできる。前記再配置手段は、初期手技または調整の数日、数か月、または数年後の前記移植片の調整または除去を可能にする。
D.架橋要素の配向性
図10Aから10Dに示される実施例において、前記移植片10は、僧帽弁輪のおよそ中間点の上方にある後方焦点から始まって、隔壁内の前方焦点の領域に直接向かう略直線経路で前方方向に進んで、左心房に架かることが示されている。図10Aから10Dに示されるとおりに、前記移植片10の橋渡し部位または架橋要素12は、配置の後方および前方部位の間の高さの相違に決定付けられる場合以外は、輪の平面に向かった、または離れた高さにおいて有意な偏向なく、輪の平面の上側のこの本質的直線経路で伸びるよう実施または構成することができる。
所望であれば、この経路での外側および内側偏向、および/または上方または下方偏向を与え、前記移植片10が加える力ベクトルまたはベクトルの性質および方向に影響を及ぼすことができる。当然ながら、前記橋渡し部位または架橋要素12は、患者の特別な治療ニーズおよび形態に配慮する、目標とされた輪および/または心房構造再形成を達成するよう、様々な内側/外側および/または下方/上方偏向によって実施または構成することができる。また、前記架橋要素の経路における偏向はまた、左心房などの心腔内の高速血液経路を回避するために与えることもできる。
例えば、図13に示されるとおりに、前記移植片10は、輪の外側三角部により近い(つまり隔壁からより遠い)後方部位で始まって左心房に架かることが示されている。あるいは、前記後方部位は、輪の内側三角部により近い(つまり隔壁により近い)位置にあることができる。これらの後方部位のいずれか一方より、前記移植片10は、隔壁内の前方部位に直接向かう直線経路で前方方向に伸びることができる。図10Aと同様、図13に示されるとおりに、前記移植片10の橋渡し部位または架橋要素12は、もしあれば、後方および前方部位の間の高さの相違に決定付けられる場合以外は、輪の平面に向かったまたは離れた高さにおいて有意な偏向なく、輪の平面の上側で本質的直線経路で伸びるよう実施または構成される。
前記後方部位の特定位置にもかかわらず(図14参照)、前記移植片10の前記橋渡し部位または架橋要素12は、左心房の円蓋に向かって弁の平面の上側で上方に弓状になるよう実施または構成することができる。あるいは(図15参照)、前記移植片10の前記橋渡し部位または架橋要素12は、輪の平面の近くに伸びるが、そうでなければ弁尖との干渉を回避して、輪に向かった弁の平面に向かって下方に下がるよう実施または構成することができる。また、さらにあるいは(図16参照)、前記移植片10の前記橋渡し部位または架橋要素12は、前方部位への通過の前に輪の三角部(内側または外側)に向かって曲がり、曲線経路をたどるよう実施または構成することができる。
前記移植片10の前記橋渡し部位または架橋要素12の内側/外側偏向および上方/下方変更の様々な組み合わせがもちろん可能である。例えば、図17に示されるとおりに、前記橋渡し部位または架橋要素12は、輪の三角部(内側または外側)の周りを曲がる曲線経路をたどり、かつ弁の平面から離れて弓状に上昇することができる。または、図18に示されるとおりに、前記橋渡し部位または架橋要素12は、輪の三角部(内側または外側)の周りを曲がる曲線経路をたどり、かつ弁の平面に向かって下がることできる。
配向性にかかわらず、1つ以上の移植片10を設置して移植システム22を形成することができる。例えば、図19は、記述されているように前記移植片10と一致する種類の外側移植片10Lおよび内側移植片10Mを備えるシステム22を示す。図19は、共通前方架橋停止部位16に位置付けられている前記移植片10Lおよび10Mを示す。当然ながら、前記移植片10Lおよび10Mは相隔たる前方架橋停止部位を含むこともできる。
前記移植片10Lおよび10Mの一方または両方は、直線(図13のとおり)、または上方に弓状(図14のとおり)、または下方に曲がる(図15のとおり)ことができる。既定のシステム10は、種々の構成の外側および内側移植片10Lおよび10Mを備えることができる。また、既定のシステム22は2つ以上の移植片10を備えることもできる。
図20は、図16に示される種類の2つの曲線移植片10Lおよび10Mを備えるシステム22を示す。図20では、前記曲線移植片10Lおよび10Mが共通後方部位に位置付けられることが示されているが、前記移植片10は同様に相隔たる後方部位から始まることもできる。前記曲線移植片10Lおよび10Mの一方または両方は、弁の平面に対して平行(図16のとおり)、または上方に弓状(図17のとおり)、または下方に曲がる(図18のとおり)ことができる。既定のシステム22は、種々の構成の曲線移植片10Lおよび10Mを備えることができる。
図21は、直接中央移植片10D、内側曲線移植片10M、および直接外側移植片10Lを備えるシステム22を示す。前記移植片10の1つ、2つ、または全ては、前述のとおりに、弁と平行、または上方に弓状、または下方に曲がることができる。
E.後方および前方架橋停止部
当然ながら、後方または前方架橋停止部を含む、ここで記述される架橋停止部は、引張状態で前記架橋要素12を解放可能に保持することができる装置を表す。図22Aおよび22Bで見ることができるように、架橋停止部20および18はそれぞれ、緊張力が低減されたりまたはゼロになるかもしれない時である、心周期の一部において前記架橋停止部の構造が心房中隔および大心臓静脈の内壁から独立して前後に動くことを可能にし、架橋要素12に解放可能に固定されることが示されている。他の実施例もまた説明されており、それらの全てはこの機能を備えることができる。同様に当然ながら、後方および前方の一般的な説明は前記架橋停止機能に限定されず、つまり、後方架橋停止部を前方に使用してもよく、前方架橋停止部を後方に使用してもよい。
前記架橋停止部が、例えば中隔部材またはT字形部材と隣接する関係にある場合、前記架橋停止部は前記架橋要素が前記中隔部材またはT字形部材の内側または周囲で自由に動くことを可能にし、つまり、前記架橋要素は前記中隔部材またはT字形部材に接続されない。この構成において、前記架橋要素は前記架橋停止部による張力において保持され、それによって前記中隔部材またはT字形部材は、より広い表面積にわたって前記架橋要素によって加えられる力を分配する働きをする。あるいは、例えば前記架橋停止部が前記中隔部材ハブの上側に位置付けられてそれに固定される場合、前記架橋停止部を前記中隔部材またはT字形部材に機械的に接続することができる。この構成において、前記架橋要素は前記中隔部材の位置に対して固定され、前記中隔部材の周りを動くことができない。
II.経中隔移植の一般的方法
記述のとおりに、前記移植片10または移植システム22は様々な方法で心臓弁輪における移植に役立つ。前記移植片10または移植システム22は、心臓切開外科的手技などにおいて移植することができる。あるいは、前記移植片10または移植システム22は、画像誘導下で大腿または頸静脈(IVCまたはSVCを介して)などの末梢静脈到達部位を介したカテーテルを基盤とした技術、または同様に画像誘導下で大腿動脈から大動脈を通して左心房に向かう経動脈後退到達法を使用して移植することができる。
あるいは、前記移植片10または移植システム22は、同様に画像誘導下で、胸を通した胸腔鏡手段を使用して、または右心房を通したその他の外科的到達を用いて移植することができる。画像誘導は、蛍光透視、超音波、磁気共鳴、コンピュータ断層撮影、またはその組み合わせを含むがそれに限定されない。
前記移植片10または移植システム22は、移植片を形成するよう体内で組み立てられる独立部品、またあるいは、体の外部で組み立てられて全体として移植される独立部品を備えることができる。
図23から30は、画像誘導下で経皮的なカテーテルを基盤とした手技によって図10Aから10Dにおいて示される種類の移植片10の展開の代表的実施例を示す。
経皮的血管アクセスは、従来の方法によって、大腿または頸静脈、または両方の組み合わせへと達成される。図23および24が示すとおりに、画像誘導下で、第一カテーテル、または大心臓静脈カテーテル40、および第二カテーテル、または左心房カテーテル60は、脈管構造を通って右心房内へと導かれる。後方架橋端停止部位を確立することが、大心臓静脈(GCV)カテーテル40および左心房(LA)カテーテル60の機能である。左右心房へのカテーテルのアクセスは、大腿静脈からIVCまたはSVC(後者の場合、大静脈固定器に対して)への経路、または上肢または頸静脈からSVCまたはIVC(後者の場合、大静脈固定器に対して)への経路のいずれかを通して達成することができる。SVCの場合、最も容易なアクセスは上肢または頸静脈系からであるが、IVCもまた、SVCおよび右心房を貫通することによってアクセスすることができる。同様に、IVCへの最も容易なアクセスは大腿静脈を通るが、SVCもまたIVCおよび右心房を貫通することによってアクセスすることができる。図23、24、27、28および29は、図示の目的で、SVC経路およびIVC経路の両方を通るアクセスを示す。
前記移植片10または移植システム22の移植は、まず4つの一般的なステップにおいてここで説明される。これらのステップおよび使用される様々な道具のそれぞれは、下記III項で付加的詳細とともに説明される。さらに、他の移植ステップを使用することもでき、IV項で説明される。架橋停止部の付加的な他の実施例はV項で説明され、T字形部材または架橋停止部の付加的な他の実施例はVI項で説明され、架橋要素の付加的な他の実施例はVII項で説明される。
第一移植ステップは概して、前記後方架橋停止部位14を確立するステップとして説明することができる。図24で見ることができるとおり、前記GCVカテーテル40は脈管構造を通って右心房内へと導かれる。そして前記GCVカテーテル40は冠状静脈洞を通って大心臓静脈内へと導かれる。前記第二カテーテルまたはLAカテーテル60もまた、脈管構造を通って右心房内へと導かれる。そして前記LAカテーテル60は、卵円窩における、またはその近くの隔壁を貫通して左心房に進入する。MullinsTMカテーテル26を、左心房内への前記LAカテーテル60の誘導を補助するよう備えることもできる。いったん前記GCVカテーテル40および前記LAカテーテル60が大心臓静脈および左心房内のそれぞれの位置に付くと、前記後方架橋停止部位14を構成することが前記GCVおよびLAカテーテル40、60の機能である。
第二移植ステップは、前記経中隔架橋要素12を確立するステップとして通常説明することができる。前記LAカテーテル60を介した展開カテーテル24は、後方架橋停止部18、および大心臓静脈内の好ましい事前付属で所定の長さの架橋要素12を位置付けるために使用される(図27参照)。例えば2メートルの、前記所定の長さの架橋要素12は、前記後方架橋停止部18から左心房を通り、卵円窩を通り、脈管構造を通って伸び、好ましくは体の外部から到達可能なままである。前記所定の長さの架橋要素は、前記後方架橋停止部18から前記前方架橋停止部20へと伸びる部分を移植したまま、将来的なステップにおいて切断または分離することができる。あるいは、前記架橋要素20は前記前方架橋停止部20において切断または分離ができないが、その代わり、前記架橋要素20を起こり得る将来的な回復のために下大静脈内に伸ばすことができる。
第三移植ステップは、前記前方架橋停止部位16を確立するステップとして通常説明することができる(図29参照)。前記架橋要素12はまず、前記中隔部材30に通される。そして前記中隔部材30は、Mullinsカテーテル26を通って折りたたみ状態で前記架橋要素12の上側を進み、右心房内の卵円窩において、またはその近くに位置付けられ配置される。架橋停止部20を前記架橋要素12に取り付けて前記中隔部材30とともに進ませることもでき、またあるいは、前記中隔部材が位置付けられた、または配置された後に、前記架橋停止部20を前記中隔部材30の右心房側へ進ませることもできる。
第四移植ステップは、適切な治療効果のために前記架橋要素12を調整するステップとして通常説明することができる。前述のとおりに構成された前記後方架橋停止部位14、架橋要素12、および前方架橋停止部位16によって、張力が前記架橋要素12に加えられる。前記移植片10および関連部位は、例えば5秒以上など、所定時間で固定することができる。所望の治療効果に対して僧帽弁および僧帽弁逆流が観察される。前記架橋要素12に対する張力は、所望の結果が達成されるまで、調整または再調整することができる。そして所望の張力または測定長さまたは僧帽弁逆流軽減の程度が達成されると、前記架橋停止部20は前記架橋要素12を固定することができる。
III.詳細な方法および移植装置
これから、前記移植片10または移植システム22の移植において使用される様々な道具および装置を含む、移植の4つの概説されるステップを説明する。模範的な実施例は、移植片10を移植するための方法および道具を説明する。移植システム22を移植するために、これらの同じまたは同様の方法および道具を使用することができる。
A.後方架橋停止部位の確立
1.移植道具
前記後方架橋停止部位14を確立するために様々な道具を使用することができる。例えば、前記大心臓静脈(GCV)カテーテル40、前記左心房(LA)カテーテル60、および切断カテーテル80を使用することができる。
図37Aは、本発明に従った前記GCVカテーテル40の一実施例を示す。前記GCVカテーテル40は、好ましくは、前記カテーテル軸45の遠位端に位置付けられる磁気または強磁性ヘッド42、および近位端に位置付けられるハブ46を含む。前記カテーテル軸45は、第一区分48および第二区分50を含むこともできる。前記第一区分48は前記軸45のトルク能力を可能にするよう概して堅くすることができ、固形または網状構造にすることができる。前記第一区分48は、例えば50センチメートルなどの、所定の長さを含んで脈管構造内の前記軸45の位置付けを可能にする。前記第二区分50はまた、脈管構造内、つまり冠状静脈洞内への操縦能力を可能にするよう概して柔軟にすることができる。前記第二区分50はまた、例えば10センチメートルなどの、所定の長さを含むこともできる。前記カテーテル軸45の内径または管腔52は、好ましくは、GCVガイドワイヤー54、およびさらにLAガイドワイヤー74の通過を可能にするような大きさである(図39および40参照)。前記GCVガイドワイヤー54および前記LAガイドワイヤー74の両方は予め曲げることでき、両方とも操縦可能とすることができる。前記GCVカテーテル40は、好ましくは、前記LAカテーテル60と協調するよう画像誘導下で前記カテーテルの調整を容易にするための放射線不透性指標56を含む。
前記磁気または強磁性ヘッド42は、好ましくは、前記LAカテーテル60の遠位端を磁気的に引き付ける、または結合するよう偏極している(図37Bおよび25参照)。前記ヘッド42は、その中に形成される側孔58を含み、前記LAガイドワイヤー74の通過を可能にする。図40に示されるとおり、前記ヘッド42の左心房側43には引き付ける磁力があり、前記ヘッド42の心臓側44の外部には反発する磁力がある。当然ながら、各カテーテルにおける磁力が適切な磁気誘引力と一致する限り、これらの磁力を留保することができる。前記磁気ヘッド42は、好ましくは、弾丸型または円錐状先端55を含み、前記カテーテルが脈管系の中を通れるようにする。前記先端55の内側は、前記GCVガイドワイヤー54の通過を可能にするよう構成される端孔59である。
図38は、前記LAカテーテル60の一実施例を示す。前記GCVカテーテル40と同様に、前記LAカテーテル60は、好ましくは、前記カテーテル軸65の遠位端に位置付けられる磁気または強磁性ヘッド62、および近位端に位置付けられるハブ66を含む。前記カテーテル軸65は、第一区分68および第二区分70を含むこともできる。前記第一区分68は前記軸65のトルク能力を可能にするよう概して堅くすることができ、固形または網状構造にすることができる。前記第一区分68は、例えば90センチメートルなどの、所定の長さを含んで脈管構造内の前記軸65の位置付けを可能にする。前記第二区分70はまた、卵円窩を通る左心房内への操縦能力を可能にするよう、概して柔軟かつ解剖学的形状にすることができる。前記第二区分70はまた、例えば10センチメートルなどの、所定の長さを含むこともできる。前記カテーテル軸65の内径または管腔72は、好ましくは、LAガイドワイヤー74の通過を可能にするような大きさであり、さらに、GCVから通過した前記ガイドワイヤー54を受け入れることができる。前記LAカテーテル60は、前記GCVカテーテル40と協調するよう画像誘導下で前記カテーテル60の調整を容易にするための放射線不透性指標76を含むことができる。
前記LAカテーテル60の前記磁気または強磁性ヘッド62は、前記GCVカテーテル40の遠位端を磁気的に引き付ける、または結合するよう偏極している。図40に示されるとおりに、前記ヘッド62の端側64は、前記GCVカテーテルヘッド42をひきつけるよう偏極している。前記LAカテーテル60および前記GCVカテーテル40における誘引磁極が調整されている限り、前記ヘッド62における磁力を留保することができる。前記磁気ヘッド62は、好ましくは、略平面の先端75を含み、また前記切断カテーテル80および前記LAガイドワイヤー74の通過に対する大きさにされた中心孔78も含む(図38参照)。
図41は、好ましくは前記LAカテーテル60の前記内径または管腔72内に位置付けられるような大きさにされた前記切断カテーテル80を示す。あるいは、前記切断カテーテル80は、前記LAカテーテル60を取り外し、前記LAガイドワイヤー74の上側に位置付けることができる。
前記切断カテーテル80は、好ましくは、前記カテーテル軸85の遠位端に位置付けられる中空切断先端82、および近位端に位置付けられるハブ86を含む。前記カテーテル軸85は、第一区分88および第二区分90を含むこともできる。前記第一区分88は前記軸85のトルク能力を可能にするよう概して堅くすることができ、固形または網状構造にすることができる。前記第一区分88は、例えば90センチメートルなどの、所定の長さを含んで脈管構造および前記LAカテーテル内の前記軸85の位置付けを可能にする。前記第二区分90はまた、卵円窩を通る左心房内への操縦能力を可能にするよう、概して柔軟にすることができる。前記第二区分90はまた、例えば20センチメートルなどの、所定の長さを含むこともできる。前記カテーテル軸85の前記内径92は、好ましくは、前記LAガイドワイヤー74の通過を可能にするような大きさである。前記切断カテーテル80は、好ましくは、前記LAカテーテル60の前記放射線不透性磁気ヘッド62またはマーカー76に対して、切断の深さを印付けるために、前記軸85上に位置付けられる放射線不透性マーカー96を含む。
前記中空切断またな貫通先端82はとがらせた遠位端98を含み、好ましくは、前記LAカテーテル60および磁気ヘッド62を通って適合するような大きさである(図42A図参照)。あるいは、図42Bおよび42Cで見られるとおりに、切断または貫通先端100および105は、前記中空切断先端82の代わりに、または組み合わせて使用することができる。図42Bの3ブレード100は、何枚のブレードを使用してもよいが、鋭い遠位先端101および3つの切断ブレード102を含む。前記3ブレード100は、前記中空切断先端82の産物である場合のある、中空組織の産出を回避するために使用することができる。中空組織の除去は、塞栓性合併症の可能性を低下するのに役立つ。図42Cに示される鋭先端ガイドワイヤー105もまた使用することができる。前記鋭先端106はガイドワイヤーの端に位置付けられ、左心房および大心臓静脈の壁を貫通する。
2.移植方法
脈管系へのアクセスは一般的に、当技術で周知の導入器の使用によって提供される。例えば、16F以下の止血導入鞘(図示せず)をまず上大静脈(SVC)内に位置付けて、前記GCVカテーテル40に対するアクセスを提供することができる。
あるいは、前記導入器を鎖骨下静脈内に位置付けてもよい。そして第二の16F以下の止血導入鞘(図示せず)を右大腿静脈内に位置付けて、前記LAカテーテル60に対するアクセスを提供することもできる。例えば、SVCおよび右大腿静脈の両方におけるアクセスによっても、移植方法はループガイドワイヤーを利用することができる。例えば、後述する手技において、ループガイドワイヤーは、体から出て上大静脈鞘および大腿鞘の両方において体の外部に伸びるまで、脈管構造を通って前記LAガイドワイヤー74を前進することによって生成される。前記LAガイドワイヤー74は、少なくとも上大静脈鞘から心房中隔を通って左心房内へ、および左心房から心房組織を通り大心臓静脈を通って大腿鞘内へと伸びる血管内経路をたどることができる。前記ループガイドワイヤーによって、医師は移植手技中に装置を押したり引いたり、いずれもができるようになる(図35Aおよび36A参照)。
随意のステップは、基線測定を提供するために脈管系内でのカテーテルの位置付けを含んでもよい。AcuNavTM心内心エコー検査(ICE)カテーテル(図示せず)または同様の装置は、右大腿動脈または静脈を介して位置付けられ、限定されない例の目的で、基線中隔−外側(S−L)分離距離測定、心房壁分離、および僧帽弁逆流測定などの測定を提供することができる。また、前記ICEカテーテルは、大動脈、三尖、および肺動脈弁、IVC、SVC、肺静脈、および左心房アクセスを評価するために使用することができる。
そして前記GCVカテーテルが僧帽弁の後方輪に隣接する大心臓静脈内に配置される。SVCより、画像誘導下で、例えば、前記.035インチGCVガイドワイヤー54を冠状静脈洞内へ、大心臓静脈へと前進させる。随意で、血管造影用カテーテルによる造影剤の注入を大動脈から左主幹動脈内へと行うことができ、左冠動脈系の画像を撮影して主要冠状動脈構造の位置を評価することができる。また、造影剤の注入は、画像および測定を提供するために、大心臓静脈に行ってもよい。大心臓静脈が小さすぎる場合は、例えば5から12ミリメートルのバルーンで、後尖の中間まで大心臓静脈を拡張することができる。そして前記GCVカテーテル40を、例えば後尖または後方僧帽弁輪の中心近くの、大心臓静脈内の位置まで前記GCVガイドワイヤー54の上側で前進させる(図23参照)。前記GCVカテーテル40に対する所望の位置はまた、前方心室内静脈出発点から約2から6センチメートルとして見なすこともできる。いったん前記GCVカテーテル40が位置付けられると、注入を行って前記GCVカテーテル40の周りの十分な血流を確認することができる。血流が低いかまたは存在しない場合は、前記GCVカテーテル40を必要とされるまで冠状静脈洞内に引き戻すことができる。
そして前記LAカテーテル60を左心房内に配置する。大腿静脈より、画像誘導下で、例えば、前記.035インチLAガイドワイヤー74を右心房内へと前進させる。経中隔針を持つ7F MullinsTM拡張器を右心房内へ配置する(図示せず)。注入を右心房内で行って隔壁上の卵円窩を位置付ける。そして卵円窩における隔壁を経中隔針で穿刺し、前記ガイドワイヤー74を左心房内へと前進させる。そして経中隔針を取り除き、前記拡張器を左心房内へと前進させる。注入を行い、左心室に対する位置を確認する。前記7F Mullinsシステムを取り除いてから、12Fまたはその他の適切な大きさのMullinsシステム26と交換する。前記12F Mullinsシステム26は右心房内に位置付けられ、左心房内への短距離を伸ばす。
図24に見られるとおりに、前記LAカテーテル60は次に、前記LAガイドワイヤー74の上側を前進して左心房内に位置付けられる。前記GCVカテーテル40が血流を可能にするよう後退されていた場合、所定の位置に前進し直す。そして前記GCVカテーテル40は、前記LAカテーテル60と磁気的に協調するよう大幅に回転される。図25を参照して、好ましくは画像誘導下で、前記LAカテーテル60は、前記LAカテーテル60の前記磁気誘引ヘッド62が前記GCVカテーテル40の前記磁気誘引ヘッド42を磁気的に引き付けるまで、必要ならば前進および回転される。左心房壁および大心臓静脈組織は、前記LAカテーテル60および前記GCVカテーテル40を分離する。必要ならば、磁気的付着は、好ましくは、いくつかの視角からの画像化を介して確認される。
次に、アクセス管腔115を大心臓静脈内に作成する(図26参照)。前記切断カテーテル80をまず、前記LAカテーテル60内部の前記LAガイドワイヤー74の上側に設置する。前記切断カテーテル80および前記LAガイドワイヤー74は、左心房の壁に対して抵抗が感じられるまで前進させる。前記LAガイドワイヤー74をわずかに引っ込めて、順行圧力が前記切断カテーテル80に加えられている間に、前記切断カテーテル80を回転および/または押し込む。画像誘導下で、大心臓静脈内への前記切断カテーテル80の貫通が確認される。そして前記LAガイドワイヤー74を大心臓静脈内へと、そしてさらに冠状静脈洞に向かって前記GCVカテーテル40内へと前進させ、最終的に首の鞘において体から出て行く。これで、前記LAカテーテル60および前記GCVカテーテル40は取り除いてもよい。これで、前記LAガイドワイヤー74および前記GCVガイドワイヤー54の両方が、前記経中隔架橋要素12を確立する次のステップのための位置にある。
B.経中隔架橋要素の確立
前記後方架橋停止部位14が確立されたので、前記経中隔架橋要素12は、前記後方架橋停止部位14から左心房にわたって後方から前方への方向に、かつ前記前方架橋停止部位16へと伸びるよう位置付けられる。
移植方法のこの模範的な実施方法において、前記経中隔架橋要素12は、左心房からGCVへの到達法を介して移植される。この到達法では、前記GCVガイドワイヤー54は利用されず、取り外すこともできない。あるいは、GCVから左心房への到達法も説明される。この到達法では、前記GCVガイドワイヤー54が利用される。前記経中隔架橋要素12を確立するための、前記他のGCVから左心房への到達法はIV項で詳しく説明する。
前記架橋要素12は、当技術分野で周知の縫合素材または縫合同等物から成ることができる。一般的な例には、1−0、2−0、および3−0ポリエステル縫合糸、ステンレス鋼ブレイズ(.022インチ直径など)、およびNiTiワイヤー(.008インチ直径など)が含まれるがそれに限定されない。あるいは、前記架橋要素12は、好ましくはグルタールアルデヒド固定状態のウシ、ウマ、またはブタ心膜、または保存哺乳類組織などの生物組織から成ることができる。あるいは、前記架橋要素12は心膜、またはポリエステル繊維または同等物から成ることができる。付加的な他の架橋要素はVII項で説明する。
T字形架橋停止部120などの架橋停止は、好ましくは前記架橋要素12の所定の長さに接続される。架橋要素12は架橋停止部170(図44A参照)の使用によって前記T字形架橋停止部120に固定することができるか、または結束、溶接、または接着、またはその組み合わせなどの固定手段121によって前記T字形架橋停止部120に接続することができる。図43Aおよび43Bに見られるとおりに、前記T字形架橋停止部120は対称形状または非対称形状にすることができ、曲線または直線にすることができ、好ましくは、例えば3から8センチメートルの所定の長さ、および少なくともガイドワイヤーを通すことができる大きさの内径124を有する柔軟性チューブ122を含む。前記チューブ122は、好ましくは網状であるが、同様に固形とすることもでき、また高分子素材でコーティングすることもできる。前記チューブ122の各端126は、好ましくは放射線不透性マーカー128を含んで前記T字形架橋停止部120の設置および位置付けを補助する。前記チューブ122もまた、好ましくは傷をつけない端130を含んで血管壁を保護する。前記T字形架橋停止部120は、大心臓静脈または心房中隔の曲線形状に概して一致し周囲の組織への外傷を抑えるよう、屈曲する曲線状となるかまたは予め形成することができる。前記T字形架橋停止部120の全体形状は所定かつ、前記架橋停止部の長さ、前記架橋停止部の材料組成、および前記架橋停止部に加えられる荷重を含むがそれに限定されない多数の要因に基づくことができる。
補強中心チューブ132もまた、前記T字形架橋停止部120に含まれることができる。前記補強チューブ132は図示するように、前記柔軟性チューブ122の上側に位置付けることができ、またあるいは、前記柔軟性チューブ122の内側に位置付けることができる。前記補強チューブ132は、好ましくは固形であるが、同様に網状とすることもでき、前記柔軟性チューブ122よりも例えば1センチメートルなど長さを短くすることができる。前記補強中心チューブ132は前記T字形架橋停止部120に剛性を加え、大心臓静脈および左心房壁内の前記中空またはせん孔管腔115を通して前記T字形部材120の脱出を防ぐことを補助する。
他のT字形部材または架橋係止、および前記架橋要素12を前記T字形架橋係止に接続するための手段はVI項で説明する。
図27で見ることができるとおりに、前記T字形架橋停止部120(前記架橋要素12の先端に接続されている)は、まず前記LAガイドワイヤー74上または上側に位置付けられる。そして前記展開カテーテル24が前記LAガイドワイヤー74(適切な位置にとどまり、大心臓静脈内へと伸びる)上に位置付けられ、前記Mullinsカテーテル26を通って右心房内へ、および右心房から心房中隔を通って左心房内へと、および左心房から心房組織を通って後方僧帽弁輪に隣接する大心臓静脈の部位内へと、前記T字形架橋停止部120を押し込むために使用される。そして前記LAガイドワイヤー74は前記展開カテーテル24の先端に近接して引き抜かれる。そして前記展開カテーテル24および前記ガイドワイヤー74はちょうど左心房壁へと引き抜かれる。前記T字形架橋停止部120および前記取り付けられた架橋要素12は大心臓静脈内にとどまる。前記架橋要素12の長さは、前記後方T字形架橋停止部120から左心房を通り、卵円窩を通り、脈管構造を通って伸び、好ましくは後端が体の外部から到達可能なままである。好ましくは画像誘導下で、前記架橋要素12の後端を静かに引き、前記T字形架橋停止部120を前記展開カテーテル24から分離させる。分離が確認されると、前記架橋要素12を再び静かに引き、前記T字形架橋停止部120を大心臓静脈の部位内の静脈組織に接触して位置付け、前記大心臓静脈アクセス管腔115の上側で中心に置く。そして前記展開カテーテル24および前記ガイドワイヤー74を取り外すことができる(図28参照)。
前記経中隔架橋要素12は現在適切な位置にあり、後方から前方への方向に、前記後方架橋停止部位14から左心房にわたって前記前方架橋停止部位16へと伸びる。前記架橋要素12は好ましくは、脈管構造を通って伸び、体の外側に伸びる。
C.前方架橋停止部位の確立
こうして前記経中隔架橋要素12が適切な位置にあるので、前記前方架橋停止部位16を次に確立する。
一実施例において、体の外側に伸びる前記架橋要素12の近位部または後端は、前記中隔部材30などの前方架橋停止部を通って、またはその周囲を通り抜ける。好ましくは、後に卵円窩の上側に配置された時に前記架橋要素12が前記中隔部材30上の中心点にその力を伝達するように、前記架橋要素12をその中心に最も近い体の外側の前記中隔部材30を貫通させることによって、前記中隔部材のねじれまたは揺れを軽減する。前記中隔部材は、Mullinsカテーテル26を通って折りたたみ構造で前記架橋要素12の上側を進み、右心房内に位置付けられ、卵円窩においてかつ心房中隔組織に隣接して配置される。そして前記架橋要素12は架橋停止部20を経由して張力において保持することができる(図29および30参照)。前記前方架橋停止部20を前記架橋要素12に取り付け、またはその上側に位置付けて前記中隔部材30とともに進ませることもでき、またあるいは、前記中隔部材が位置付けられた、または配置された後に、前記架橋停止部20を前記架橋要素12の上側で前記中隔部材30の右心房側へ進ませることもできる。あるいは、前記架橋停止部20はまた、前記LAガイドワイヤー74の上側に位置付けて前記展開カテーテル24によって右心房内へと押し込むこともできる。いったん右心房内に入ると、前記架橋停止部20は前記架橋要素12に取り付けるか、またはその上側に位置付けることができ、前記LAガイドワイヤー74および展開カテーテル24を体から完全に取り外すことができる。
図44Aは架橋停止部170の断面図を示す。前記架橋停止部170は、カテーテル先端に架橋係止調整ねじ174を有するカテーテル172に結合されて示されている。一実施例において、前記架橋係止調整ネジ174は、調整が完了した後に前記架橋停止部170に結合されたままである。他の実施例において、前記架橋係止調整ネジ174は、調整が完了した後に取り外しのため前記カテーテル172に結合されたままである。前記架橋停止部170は、それを通って軸方向に伸びる管腔178を有する筐体176を備える。前記管腔178内に、クランプまたは留め具または噛み合い要素180および閉鎖スプリング182などの前記架橋要素を保持し調整するための手段に対する空間が備えられている。図に示すように、前記留め具要素180は閉鎖位置にある。前記留め具先端184は、前記閉鎖スプリング182によって前記留め具180に加えられる力によって共に強く促される。この閉鎖位置において、前記閉鎖スプリング182は、順につかみ力を前記架橋要素12に与える前記留め具先端184に所定の力を与え、前記架橋要素の位置を維持する。前記任意停止要素158は付加的な障壁を提供して前記架橋要素12を定位置に維持し、前記架橋要素12の調整を可能にして前記停止要素の所定の間隔に適合させる。
あるいは、前記留め具180が閉じている間に、前記架橋要素12の長さを短縮する(張力を増加させる)ために前記カテーテル172を使用してもよい。前記露出ループ156をつかむために有鉤先端を有するカテーテル146を使用してもよい。そして前記調整スクリュー174を、前記カテーテル172を前記架橋停止170に結合させるよう、前記架橋停止部170内に部分的にねじ込む。前記カテーテル172が固定されて保持されている間、前記架橋要素12および関連任意停止要素158に与えられる力が前記留め具180の保持力を克服するのに十分強い地点に前記架橋要素12を引っ張り、前記架橋要素12および停止要素158が前記留め具先端184を貫通できるようにする。
前記架橋停止部170および下述するほかの架橋停止部についてここで説明するとおりに、再配置/調整手段(つまり再配置ループ156)を、数日、数か月、または数年後でも移植片を再配置および/または調整する能力を提供するために含むことができる。これは初期移植手技後、または以前の調整後に行うことができる。
図44Bは、図44Aに示される前記架橋停止部170の断面図であり、開放位置における架橋要素調整機能を示している。図に示すように、前記調整スクリュー174は前記架橋係止筐体176の前記管腔178内にねじ込まれて示されている。前記調整スクリュー174が前記架橋停止部170内にねじ込まれると、前記調整スクリュー174の前記先端186は、前記閉鎖スプリング182の力を克服するのに十分な力を留め具180に与える。前記留め具先端184は、開いて前記架橋要素12の短縮および延長の両方を可能にする。
前記架橋停止部170、および後述する他の実施例には、例えば8ミリメートル×8ミリメートルなどの所定の大きさがあり、例えば中隔部材またはT字形部材に隣接してそれらを位置付けることを可能にする。前記架橋係止もまた、好ましくはステンレス鋼、または移植に適切なその他の生体適合性金属または高分子素材でできている。
付加的な他の架橋停止部の実施例はV項で説明する。
D.架橋要素調整
前記前方架橋停止部20は、好ましくは前記中隔部材30と隣接する関係に位置づけられ、または随意で前記中隔部材ハブ31の上側に位置付けることができる。前記架橋停止部20は、引張状態で前記架橋要素12を調整可能に停止または保持する働きをし、適切な治療効果を達成する。
前述のとおりに構成された前記後方架橋停止部位14、架橋要素12、および前方架橋停止部位16によって、前記架橋要素12の近位部で体の外側または脈管構造および心臓構造の内側を含む内部で、張力を前記架橋要素12に加えることができる。まず前記架橋要素12に張力を加えた後、前記移植片10および関連部位は、例えば5秒など所定時間で固定することができる。そして所望の治療効果に対して僧帽弁および関連僧帽弁逆流が観察される。前記架橋要素12に対する張力は、所望の結果が達成されるまで、これらのステップに従って反復可能に調整することができる(各架橋停止部の実施例について説明されているとおり)。そして前記架橋停止部20は前記架橋要素12の所望の張力を確保することができる。そして前記架橋要素12は、例えば右心房内へ0から3センチメートルなど、前記架橋停止部20から離れて所定距離で切断または分離することができる。そして前記架橋要素12の残りの長さは、脈管組織から取り外すことができる。あるいは、前記架橋要素12は、フックまたはループ、またはその他の構造などの再配置手段を含むことができ、前記移植システム10の将来的な調整、回復、または除去のために前記架橋停止部位14、16への再接続を可能にする。
あるいは、前記架橋要素12はIVC内および大腿静脈内へと伸びることができ、大腿到達点まで伸びる可能性がある。前記架橋要素をIVC内および大腿静脈内に伸ばすことによって、例えば、前記架橋要素の調整が必要または望まれる場合に、将来の前記架橋要素の回復を可能にする。
張力を加える、待機する、観察する、および必要ならば再調整するステップを含む、記述したとおりの前記架橋要素調整手順は、同時に実時間超音波映像を観察して前記実時間超音波映像に基づいて調整を続ける間に医師が張力を加える場合など、同時または実時間で観察および調整しながらの調整を含む手順よりも好ましい。待機ステップは、心臓および移植片が休止時間を経ることを可能にするので有益である。この休止期間は心臓および移植片が落ち着くことを可能にし、前記後方および前方架橋停止部位における張力および装置が平衡状態に達し始めることを可能にする。僧帽弁を観察し、張力を確保する前に固定時間を与えられずに張力を実時間で調整する場合と比べて、張力を確保する前に心臓および移植片が固定できる場合に、所望の結果がより維持される。
図31は、前記移植片10の移植の前の僧帽弁不全の解剖学的図を示す。図に示すように、2つの弁尖が接合しておらず、結果として、左心室から左心房への望ましくない血液の逆流が起こる可能性がある。前記移植片10が記述のとおりに移植された後、前記移植片10は輪の短軸を短縮する働きをすることによって、2つの弁尖が接合することを可能にして望ましくない僧帽弁逆流を軽減する(図32および33参照)。図に示すように、前記移植片10は、僧帽弁輪に架かる前記架橋要素12、卵円窩上またはその近くの前記前方架橋停止部20および中隔部材30、および大心臓静脈内の前記後方架橋停止部18を含み、心臓内に位置付けられる。
IV.他の移植ステップ
前述のとおりの移植のステップは、患者の年齢、健康、および体格、および治療効果などあらゆる理由によって変更することができる。一実施例において、前記後方T字形架橋停止部120(または他の実施例)は、前述のとおりの左心房到達法の代わりに、GCV到達法を介して移植される。付加的な他の実施例において、左心房壁の中空手技は、大心臓静脈から左心房への貫通手技に交代される。
A.GCV到達法
前述のとおりに、大心臓静脈内への切断カテーテル80の貫通は画像誘導下で確認される(図26参照)。貫通が確認されると、前記LAガイドワイヤー74を大心臓静脈内および前記GCVカテーテル40内へ前進させる。前記LAガイドワイヤー74は、その端が体から抜け出るまで(好ましくは上大静脈鞘において)前記GCVガイドワイヤー40を通ってさらに前進させる。これで、前記LAカテーテル60および前記GCVカテーテル40は取り除いてもよい。これで、前記LAガイドワイヤー74および前記GCVガイドワイヤー54の両方が、前記経中隔架橋要素12を確立する次のステップのための位置にある(図35A参照)。この時点で、オプション交換カテーテル28を、前記ガイドワイヤー74のどちらかの端から始まって大腿鞘または上大静脈鞘のいずれかにおいて体に進入し、かつ前記ガイドワイヤー74のもう一方の端において体から抜け出るまで前記交換カテーテル28を前進させて、前記LAガイドワイヤー74の上側を前進させることができる。この交換カテーテルの目的は、下述する手順において血管および心臓組織を切断または損傷することなく、前記LAガイドワイヤー74および架橋要素12の通過を容易にすることである。好ましい実施例において、前記交換カテーテル28は、約.040から.060インチ内径、約.070から.090インチ外径、長さ約150cm、滑らかな内径表面を有し、かつ組織を損傷せずに脈管組織を通って前進させることができるように少なくとも一方の端に傷つけない軟先端を有する。当然ながら、内径、外径、および長さは行われる特定の手技によって変化する場合がある。
GCV到達法において、前記経中隔架橋要素12は、GCVを介して左心房到達へと移植される。架橋要素12(前端および後端を有する)の例えば2メートルなどの所定の長さは前端で、上大静脈鞘および大腿鞘において体から以前抜け出ていた前記LAガイドワイヤー74の先端に接続される。本実施例において、前記LAガイドワイヤー74は前記ループガイドワイヤーとして働き、前記架橋要素を脈管構造の少なくとも一部の中へ、またはそれを通って、および心腔内へと静かに引いたりまたは引っ込めたりさせる。前記架橋要素の血管経路は、上大静脈鞘から冠状静脈洞を通って後方僧帽弁輪に隣接する大心臓静脈の部位内へ、大心臓静脈から心房組織を通って左心房へ、左心房から心房中隔を通って右心房へ、右心房から大腿鞘へと伸びることができる。
図34Aから34Dで見ることができるように、圧着チューブまたは連結器800は、前記架橋要素12を前記LAガイドワイヤー74の少なくとも一方の端に接続するために使用することができる。図34Aは、好ましくは外側保護外郭構造802および内チューブ804を有する圧着チューブ800を示す。前記外側保護外郭構造802は、他の圧着可能素材を使用してもよいが、好ましくは傷をつけない柔軟を提供するよう高分子素材でできている。前記内チューブ804は、圧着が前記架橋要素12およびガイドワイヤー74を定位置に保持することができるように軟質金属などの延性または可鍛性素材で作ることができる。前記圧着チューブ端806は、内側に向けて静かに曲線となり、前記チューブ800が脈管構造を通って動くと前記圧着チューブの動きに役立つことができる。当然ながら、前記圧着チューブは単に、延性または可鍛性素材でできた単一チューブを備えることができる。
前記架橋要素12は部分的に前記圧着チューブ800内に位置付けられる。プライヤーまたは同様の圧着工具で力を加えて第一圧着808を作成する(図34B参照)。前記架橋要素の端は、一つ結びなどの結び目を含んで前記圧着チューブ内で前記架橋要素12の保持に役立つことができる。次に、前記LAガイドワイヤー74は部分的に、前記架橋要素12の反対側の前記圧着チューブ800内に位置付けられる。プライヤーまたは同様の圧着工具で再び力を加えて第二圧着810を作成する(図34C参照)。あるいは、前記架橋要素12および前記ガイドワイヤー74の両方を反対側で前記圧着チューブ800内に設置することができ、単一圧着812を使用して前記架橋要素12および前記ガイドワイヤー74の両方を前記圧着チューブ内で固定することができる(図34D参照)。当然ながら、移植手技中に前記圧着チューブ800内の前記架橋要素12の圧着ステップを排除するように、移植手技前に前記圧着チューブ800を前記架橋要素12またはガイドワイヤーに取り付けてもよい。こうして前記ガイドワイヤー74を静かに引っ込める準備ができる。同様に当然ながら、接着剤を使用する装置、またはあるいはかみ合うあらかじめ取り付けられた機構もまた、架橋要素をガイドワイヤーに接続するために使用してもよい。
図35Bで見ることができるように、前記ガイドワイヤー74を静かに引っ込め、前記架橋要素12を脈管構造に従わせる。前記オプション交換カテーテル28を使用する場合(図35Aおよび35Bに示すとおり)、前記LAガイドワイヤー74は組織を損傷することなく前記交換カテーテル28の管腔を通って引っ込む。前記LAガイドワイヤー74は大腿静脈鞘において体から完全に取り除かれ、前記架橋要素12は脈管構造を通って体の外側へ伸び(好ましくは大腿鞘において)、上大静脈鞘において再び抜け出している。そして前記LAガイドワイヤー74は、前記圧着チューブ800において、またはその近くで前記架橋要素12を切断または分離することによって、前記架橋要素12から取り外すことができる。
T字形架橋停止部120などの後方架橋停止は、好ましくは上大静脈鞘から伸びる前記架橋要素12の後端に接続される。そして前記T字形架橋停止部120は、前記GCVガイドワイヤー54上またはその上側に位置付けられる。そして展開カテーテル24は前記GCVガイドワイヤー54上またはその上側に位置付けられ、右心房を通り、冠状静脈洞を通り、大心臓静脈内へと前記T字形停止部120および架橋要素12を前進させる、または押し込むために使用される。前記オプション交換カテーテル28を使用する場合、前記交換カテーテルを前記架橋要素12とともに、またはそれのわずか前方に引っ込める(図36Aおよび36B参照)。随意で、個別に、または前記展開カテーテル24との組み合わせのいずれかで、前記架橋要素12を大腿静脈部位から抜いて、前記T字形架橋停止部120および架橋要素12を大心臓静脈内へと前進させることができる。そして前記GCVガイドワイヤー54を引っ込め、前記T字形架橋停止部120を前記GCVガイドワイヤー54および展開カテーテル24から分離させる。好ましくは画像誘導下で、分離が確認されると、前記架橋要素12を静かに引っ込めて前記T字形架橋停止部120を大心臓静脈内の静脈組織に対して隣接して位置付け、前記GCVアクセス管腔115の上側で中心に置く。そして前記展開カテーテル24および前記オプション交換カテーテル28は取り除くことができる。
前記T字形架橋停止部120および前記取り付けられた架橋要素12は大心臓静脈内にとどまる。前記架橋要素12の長さは、前記後方T字形架橋停止部120から左心房を通り、卵円窩を通り、脈管構造を通って伸び、好ましくは体の外部から到達可能なままである。こうして前記架橋要素12は、前述のとおり、かつ図28から30に示されるとおりに、前記前方架橋停止部位16を確立する次のステップの準備ができている。
B.貫通手技
当他の実施例において、左心房から大心臓静脈内へ管腔を抜く手技は、大心臓静脈内の鋭先端ガイドワイヤーを使用して大心臓静脈から左心房内への通路を作成する手技に交代される。前記GCVカテーテル40および前記LAカテーテル60の両方の磁気ヘッドに対する他の実施例が、好ましくはこの手技に使用される。
図45Aおよび45Bは、前記GCVカテーテル磁気ヘッド200および前記LAカテーテル磁気ヘッド210に対する端側極性実施例を示す。あるいは、側極性を使用してもよい。前記GCVカテーテル磁気ヘッド200は、端側極性および端端極性の両方に対して同じ構造を維持することができるが、前記LAカテーテル磁気ヘッド215は、側極性実施例に対して本質的に90度回転して示されている(図46参照)。
図45Bで見られるとおりに、前記GCVカテーテル磁気ヘッド200は二重管腔構造を含む。ナビゲーションガイドワイヤー管腔202は、前記GCVカテーテル40を所定の位置に操縦するために、前記GCVガイドワイヤー54が前記ヘッド200の円錐または弾丸型先端204を通って伸びることができるようにする。第二放射状曲線側孔管腔206は、鋭先端ガイドワイヤー105(または例えば3ブレード100)が前記ヘッド200を通って伸びることができるようにし、前記鋭先端ガイドワイヤー105を前記LAカテーテル磁気ヘッド210内へ向ける。前記LAカテーテル磁気ヘッド210は、じょうご状端212およびガイドワイヤー管腔214を含む(図45C参照)。前記じょうご状端212は前記鋭先端ガイドワイヤー105を前記管腔214内および前記LAカテーテル軸65内に向ける。
図46は、側極性実施例で使用される前記LAカテーテル磁気ヘッド215の他の実施例を示す。前記ヘッド215は、図39および40に示され、かつIII項で説明される前記GCVカテーテル磁気ヘッド42と同じ構造を持つことができる。前記ヘッド215は、円錐または弾丸型端218にあるナビゲーションガイドワイヤー管腔216、および側孔220を含む。前記側孔220は、前記GCVカテーテル40から前記LAカテーテル60へと前記鋭先端ガイドワイヤー105(または例えば3ブレード100)を送り込み、前記ガイドワイヤー105を前記LAカテーテル軸65内へ向ける。
使用の際、前記GCVカテーテル40および前記LAカテーテル60の両方を、前述のとおりに大心臓静脈および左心房内に前進させる。前記GCVカテーテル40および前記LAカテーテル60はそれぞれ、記述のとおりに他の磁気誘引ヘッド部を含む。図45Aおよび45Bで最も良く見られるとおりに、鋭先端ガイドワイヤー105を前記GCVカテーテル40を通って大心臓静脈の内壁へと前進させる。前記鋭先端ガイドワイヤー105はさらに、大心臓静脈および左心房の壁に穴を開けるかまたは貫通するまで前進させ、前記LAカテーテルヘッド210内の前記じょうご状端212に進入する。前記鋭先端ガイドワイヤー105はさらに、前記LAカテーテル60の近位端から抜け出るまで前進させる。こうして前記GCVガイドワイヤー54および前記鋭先端ガイドワイヤー105は定位置のままで、前記GCVカテーテル40および前記LAカテーテル60の両方を取り除くことができる。前述のとおり、かつ図35Aから36Bに示されるとおりに、こうして前記後方T字形架橋停止部120はGCV到達法を介して移植される。
V.他の架橋停止部の実施例
架橋停止部の他の実施例も使用することができ、ここで説明する。前記架橋停止部は、前記前方架橋停止部位16または前記後方架橋停止部位14、または両方において前記架橋要素12を固定する働きをすることができる。当然ながら、前記架橋停止部の他の実施例は単一の要素を備えることができ、または複数の要素を備えることもできる。また、前記架橋停止部の他の実施例は、締めるのみ、または緩めるのみ、または緩めかつ締めるための架橋要素の調整を特色とすることができる。
図47は、図10Aから10Dに示される種類の移植システム10の他の実施例の斜視図を示す。図47の前記移植システム10は、例えば前記移植システムの調整または除去を可能にする露出ループ156の使用を示す。図に示すように、前記露出ループ156をつかむために有鉤先端を有するカテーテル146を使用してもよい。前記露出ループ156の把握またはつかみを容易にするために放射線不透性マーカー160を使用してもよい。前記架橋要素12もまた、前記前方架橋停止部170と連動した任意停止要素158の使用を含んで示されている。
図48は、本発明に従った架橋停止部390の他の実施例の斜視図である。前記他の架橋停止部390は、好ましくは歯状リボン392および架橋停止部筐体394を含む。前記歯状リボン392は前記架橋要素12の全体または一部を備え、前記リボンの少なくとも一方の端に沿って位置付けられる相隔たる歯396の少なくとも一列を含む。前記筐体は一方の端に係止環を含む。前記係止環398は、前記環が開放位置にある場合に(図48参照)前記歯状リボン392の自由な動きを可能にするように、および前記環398が係止位置にある場合に(図49参照)前記歯396を係合するように長方形状開口部400を含む。付加的な架橋要素または縫合型素材402を、前記筐体494および係止環398を前記歯状リボン上に位置付けることができるように、前記歯状リボン492に結合することができる。
使用の際、前記架橋停止部390は、前記係止環398を開放位置に回転させることによって、前記歯状リボン392を含む前記架橋要素の長さを調整できるようにする(図48参照)。カテーテル(図示せず)を望ましくは使用して、前記係止環398を把握し、回転機能を提供する。前記係止環が開放位置になると、前記リボン392を自由に動かすことができ、それによって前記架橋要素12の長さを調整する。所望の張力が確立されると、前記歯396を係合して前記リボン392を定位置に保持するように、前記カテーテルを再度使用して前記係止環398を回転させる(図49参照)。
図50は、本発明に従った架橋停止部410の他の実施例の斜視図である。前記他の架橋停止部410は、好ましくは調整環またはナット414、係止環またはナット416、およびネジ込み軸412を含み、前記ネジ込み軸412は前記架橋要素12の全体または一部を含む。図に示すように、前記調整ナット414および前記係止ナット416の両方は、回転を容易にする機能を含むことができる。調整ナット414は、前記ナットから放射状に伸びる1つのまたは複数の棒418とともに示されている。係止ナット416は、前記ナットの周辺上の1つ以上の凹部420とともに示されている。これらの回転機能は、前記係止ナット416を緩めるよう、前記ネジ込み軸412と前記調整ナット414および係止ナット416の両方の上側にカテーテルを設置することを可能にし、前記調整ナット414の位置を調整し、それによって前記架橋要素12上の張力を調整し、そして前記係止ナット416を締め直す。付加的な架橋要素または縫合型素材402を、前記調整ナット414および係止ナット416を前記ネジ込み軸上に位置付けることができるように、前記ネジ込み軸412に結合することができる。
あるいは、ナイロンネジなどの自動係止式ネジ山を有する単一ナット422を使用してもよい(図51参照)。単一ナットには、前記架橋要素12を調整するために必要なステップの数を減らすという利点がある。
図52は、本発明に従った架橋停止部430の他の実施例の斜視図である。前記他の架橋停止部430は、好ましくは有孔リボン432および架橋停止部筐体434を含む。前記歯状リボン432は前記架橋要素12の全体または一部を備え、前記リボンの長さに沿って位置付けられる相隔たるせん孔436の少なくとも一列を含む。付加的な架橋要素または縫合型素材402を、前記架橋停止部筐体434を前記有孔リボン上に位置付けることができるように、前記有孔リボン432に結合することができる。
図53および54を参照して、前記筐体は凹部440内に位置付けられる係止スプリング438を含む。前記筐体434もまた、調整カテーテル444の結合を可能にするための1つのタブまたは複数のタブ442を含むことができる。図に示すように、前記カテーテル444は前記筐体タブ442を結合するための1つのまたは複数の結合アーム446を含む(図54参照)。前記筐体と前記調整カテーテルとの間のこの結合は、前記有孔リボン432を調整して前記架橋要素の長さを増加または減少させることができるよう、前記架橋停止部筐体434の位置を維持する。
図53は係止構造における前記架橋停止部430を示す。前記係止スプリング438は、前記リボン432内のせん孔436内へと伸びて示されている。前記架橋要素を調整するために、前記カテーテル444はまず、前記カテーテル結合アーム446を係合することによって前記結合停止部筐体タブ442に結合される。図54で見ることができるとおり、前記調整カテーテル444は前記架橋停止部430に結合される。この調整構造において、前記有孔リボン432は引かれたり、または押されたりすることができ、前記係止スプリング438を一時的に曲げて前記せん孔436から外に出し、前記利用可能な凹部440に入れる。前記せん孔436は、前記リボン432が調整されると前記係止スプリング438が前記せん孔436から曲がって外に出ることを容易にするように、丸みのある端を有することができる。前記リボンは、前記係止スプリング438が再び前記せん孔436内へと曲がって入り、前記架橋要素12の位置を維持する地点まで調整される。
図55および56は、本発明に従った架橋停止部450の他の実施例の斜視図である。前記他の架橋停止部450は、好ましくは一方向歯状リボン452およびそれを通って軸方向に伸びる管腔456を有する架橋停止部筐体454を含む。前記一方向歯状リボン452は前記架橋要素12の全体または一部を備え、前記リボンの少なくとも一方の端に沿って位置付けられる相隔たる歯458の少なくとも一列を含む。一実施例において、前記歯458は、前記リボン452の一方向調整を可能にするために傾斜にすることができる(図55参照)。前記筐体管腔456内には、前記一方向歯状リボン452を定位置に保持するための手段が備えられている。図55および56で見ることができるとおりに、タブ460またはその類似物は前記筐体管腔456内に位置付けられ、前記傾斜歯458を係合して前記歯が双方向ではなく一方向に通過できるようにする。一実施例において、前記筐体が一方向に前記歯458の上側に押されるようにするが、反対方向の前記筐体454の動きに抵抗するように、前記傾斜歯458は概して柔軟であるが、前記タブ460は概して硬質である。他の実施例において、前記傾斜歯458は概して硬質であるが、前記タブ460は概して柔軟である。当然ながら、前記架橋停止部450もまた、概して柔軟な歯458およびタブ460を含むように改造し、前記歯状リボン452の双方向運動を可能にすることができる。
図57Aないし58Cは、本発明に従った架橋停止部470の付加的な他の実施例を示す。図57Aないし57Cは、制限構造における架橋要素12を含む前記架橋停止部470を示す一方、図58Aないし58Cは、無制限構造における架橋要素12を含む前記架橋停止部470を示す。前記他の架橋停止部470は好ましくは、必要ではないがチューブ状の形状にすることができる筐体472を含み、前記筐体は、上面474、底面476、内面478、および外面480を含む。前記筐体内には、前記上面474またはその近くから、概して前記底面476またはその近くにある前記内面478へと伸びる傾斜壁または斜面482が位置付けられている。前記斜面482内には、オフセット円形開口部486へと伸びる溝またはスロット484が位置付けられている。前記スロット484は、前記上面474またはその近くに位置付けられ、前記底面476またはその近くに位置付けられる前記円形開口部486へと伸びる。
図57Aないし57Cは、制限位置における前記架橋要素12および関連任意停止要素158を示す。図に示すように、前記スロット484は、前記架橋要素12のみが前記スロット内で動くことができるような大きさである。上向き方向で(前記筐体上面474に向かって)前記架橋要素12に加えられる張力は、図示するように、前記斜面482が前記停止要素158および架橋要素12の前記スロット484内、かつ制限位置への運動を容易にすることを可能にする。前記停止要素158は、前記架橋要素12が実質的に上向き方向に動くことを防ぐ。
図58Aないし58Cは、無制限位置における前記架橋要素12および関連任意停止要素158を示す。この構造において、前記架橋要素12の長さ(張力)を調整することができる。図に示すように、前記円形開口部486は、前記任意停止要素158を含む前記架橋要素12が前記開口部486を通過できるような大きさでありかつ構成される。当然ながら、前記開口部は、前記停止要素158の形状と関連するあらゆる形状を取ることができる。前記架橋要素12に加えられる張力(前記筐体底面476に向かって)は、図示するように、前記斜面482が前記停止要素158および架橋要素12の前記斜面482を下り(つまり前記スロット484を出て前記開口部486へ入る)、かつ無制限位置への運動を容易にすることを可能にする。前記停止要素158(および架橋要素12)は、自由に前記円形開口部486を通過することができる。当然ながら、前記架橋要素12および前記任意停止要素158は単一の要素を備えることができ、または例えば前記架橋要素に結合される個別停止要素を備えることができる。
図59Aないし60Cは、前記架橋停止部470の他の実施例を示す。前記他の架橋停止部970は好ましくは、回転ゲート988の付加を含む。前記回転ゲート988は利便機構を提供して前記架橋要素12および前記任意停止要素158がリセットされることを可能にし、手技中に調整を可能にする。図59Aないし59Cは、制限構造における架橋要素12を含む前記架橋停止部970を示す一方、図60Aないし60Cは、無制限構造における架橋要素12を含む前記架橋停止970を示す。
前記他の架橋停止部970は好ましくは、必要ではないがチューブ状の形状にすることができる筐体972を含み、前記筐体は、上面974、底面976、内面978、および外面980を含む。前記筐体内には、前記上面974またはその近くから、概して前記底面976またはその近くにある前記内面978へと伸びる傾斜壁または斜面982が位置付けられている。前記斜面982内には、オフセット円形開口部986へと伸びる溝またはスロット984が位置付けられている。前記スロット984は、前記上面974またはその近くに位置付けられ、前記底面976またはその近くに位置付けられる前記円形開口部986へと伸びる。前記筐体972内に位置付けられる前記回転ゲート988は、前記斜面982内に位置付けられるスロット984の長さおよび幅と概して適合するような大きさでありかつ構成されるスロット989を含む。
前記回転ゲート988はちょうつがいで連結するか、または前記筐体972または斜面982に回転自在に結合することができる。図示するとおりに、前記回転ゲート988は、開口991内に位置付けられるピンまたはタブ990を含み、前記ゲート988が前記タブ990の周りを旋回または回転できるようにする。前記開口991は、前記斜面982内の前記スロット984が前記オフセット円形開口部986に接触する場所またはその近くで前記回転ゲート988が旋回または回転できるよう、前記筐体972内に位置付けられる。前記回転ゲート988は、例えばスプリング994を経由して制限位置で保持することができ(図59Aないし59Cに示すとおりに)、または前記ゲートは自由に動くようにすることができ、その運動は前記架橋要素12および前記任意停止要素158の張力に左右される。前記回転ゲート988の前記外端992に、放射線不透性マーカー160を有するリセットループ993を結合することができる。
図59Aないし59Cは、制限位置における前記架橋要素12および関連任意停止要素158を示す。図に示すように、前記斜面982内の前記スロット984および前記ゲート988内の前記スロット989は、前記架橋要素12のみが各スロット内で動くことができるような大きさである。上向き方向で(前記筐体上面974に向かって)前記架橋要素12に加えられる張力は、図示するように、前記ゲート988が前記停止要素158および架橋要素12の前記スロット988(およびスロット984)内、かつ制限位置への運動を容易にすることを可能にする。前記停止要素158は、前記架橋要素12が実質的に上向き方向に動くことを防ぐ。
図60Aないし60Cは、無制限位置における前記架橋要素12および関連任意停止要素158を示す。この構造において、前記架橋要素12の長さ(張力)を調整することができる。図に示すように、前記円形開口部986は、前記任意停止要素158を含む前記架橋要素12が前記開口部986を通過できるような大きさでありかつ構成される。当然ながら、前記開口部は、前記停止要素158の形状と関連するあらゆる形状を取ることができる。カテーテル(図示せず)を用いて、前記リセットループ993を下向き方向に(前記筐体底面976に向かって)引き、前記架橋要素12および前記任意停止要素158を前記回転ゲート988の下に(つまり前記スロット989の外へ)、かつ前記オフセット円形開口部986、および調整のために無制限位置へと強く促す。前記停止要素158(および架橋要素12)は、自由に前記円形開口部986を通過することができる。当然ながら、前記架橋要素12および前記任意停止要素158は単一の要素を備えることができ、または例えば前記架橋要素に結合される個別停止要素を備えることができる。
図61は、本発明に従った架橋停止部500の付加的な他の実施例の斜視図である。前記他の滑動可能架橋停止部500は、好ましくは歯状リボン502および架橋停止滑動部品504を含む。前記歯状リボン502は前記架橋要素12の全体または一部を備え、前記リボンの少なくとも一方の端に沿って位置付けられる相隔たる歯506の少なくとも一列を含む。図示するように、前記歯状リボン502は、前記リボンの各側に一列の相隔たる歯506を含む。前記歯506は、非ねじれ形のこ歯形態で位置付けられて示されている。一実施例において、前記歯状リボン502には、高さH1は変わる場合があるが、約.060インチの高さH1がある。前記滑動部品504は、溝付き部品508および留め金部品510を備えることができる。
図62および63は前記溝付き部品508を示す(図63は断面における前記溝付き部品を示す)。図に示すように、前記溝付き部品は略チューブ状の形状にすることができ、そこから伸びる管腔512を含む。
前記外面518の周辺に伸びる溝または経路520は、前記外面518上で、概して第一端514および第二端516との間の中間に位置付けられる。
くぼみまたは陥凹522を堪能前記経路520内に位置付けることができる。望ましくは、前記経路520はそれぞれから90度離れて位置付けられる4つのくぼみ522を含むことができる。前記溝付き部品508はまた、前記外面518から放射状に伸びる1つのまたは複数のトルクピン524を含むこともできる。
前記溝付き部品508の前記管腔512の内側には、軸対称溝526が位置付けられる(特に図63参照)。前記溝526は、完全に前記管腔512の内径の周囲を伸びてはいけない。少なくとも1つの架橋要素経路528、および好ましくは2つの並列経路が、前記溝付き部品508の全体に伸びる。
図64は、前記溝付き部品508の部分的に上側で、かつそれを通って回転自在に位置付けられる前記留め金部品510を示す。前記留め金部品510は、基部530、前記基部530から伸びる少なくとも1つの指532、および基部延長534を備える。前記基部530および基部延長は、それを通って伸びる経路536を含む。前記少なくとも1つの指は望ましくは、前記溝付き部品508上のくぼみ522につき1つの指という、4つの指532を備える。各指532の先端には、くぼみ522と連携して動き、前記溝付き部品508の周囲の前記留め金部品510の回転運動を制限する戻り止めとして働くタブ538を位置付けることができる。
使用の際、図61で見ることができるとおりに、前記留め金部品510は、前記溝付き部品508の上側に位置付けられる。前記歯状リボン502は、前記溝付き部品508内の前記経路528が前記留め金部品内の前記経路536と合わさると、調整することができる(前記架橋要素の延長または短縮)。この調整構造において(図65参照)、前記歯状リボン502上の前記相隔たる歯506は、前記溝付き部品508とともに位置付けられる前記溝526によって制限されず、前記リボン502は前記架橋停止部500内で自由に滑動することができる。前記戻り止め機能(くぼみ522およびタブ538)は、調整構造と制限構造との間でより簡単に転換するために、前記架橋停止部500に所定の調整および制限位置を提供する。
前記架橋要素12上で所望の張力が得られると、前記溝付き部品508の適合する溝526内で相隔たる歯306を係合するように前記歯状リボン(および留め金部品510)の位置を維持しながら、時計回りまたは半時計回りの方向のいずれかで前記溝付き部品508を回転させるためにその遠位端にトルク工具540を有するカテーテル(図67参照)を使用し、それによって、前記歯状リボン502を制限する(図66参照)。再び、前記戻り止め機能(くぼみ522およびタブ538)は、前記トルク工具540が取り除かれた後に、所定の制限位置を提供してこの制限構造における前記架橋停止部500を維持する。
図67で見ることができるように、前記トルク工具540は外側トルカー542および内側トルカー544を備えることができる。前記外側トルカー542は、前記溝付き部品508上で前記トルクピン524を係合するためにその遠位端548に少なくとも1つの凹部546を含む。前記内側トルカー544(前記外側トルカー542の内側に位置付けられる)は、前記歯状リボンが前記内側トルカー544の内側で伸びることができるような大きさであり、かつ構成される経路550を含む。
前記滑動可能架橋停止部500の他の実施例において、前記ネジ山架橋停止部560(図68参照)は好ましくは、歯状リボン562および架橋停止部ネジ山部品564を含む。前記歯状リボン562は前記架橋要素12の全体または一部を備え、前記リボンの少なくとも一方の端に沿って位置付けられる相隔たる歯566の少なくとも一列を含む。図示するように、前記歯状リボン562は、前記リボンの各側に一列の相隔たる歯566を含む。前記歯566は、ねじれ形のこ歯形態で位置付けられて示されている。一実施例において、前記歯状リボン562には、高さH2は変わる場合があるが、約.060インチの高さH2がある。前記ネジ山部品564は、ネジ込み部品568および基部部品570を備えることができる。
図69および70は前記溝付き部品568を示す(図70は断面における前記ネジ込み部品を示す)。図に示すように、前記ネジ込み部品は略チューブ状の形状にすることができ、そこから伸びる管腔572を含む。前記外面578の周辺に伸びる溝または経路580は、前記外面578上で、概して第一端574および第二端576との間の中間に位置付けられる。前記ネジ込み部品568はまた、前記外面578から放射状に伸びる1つのまたは複数のピン584を含むこともできる。
前記ネジ込み部品578の前記管腔572の内側には、らせん状(ネジ込み)溝586が位置付けられる(特に図70参照)。前記溝586は、完全に前記管腔572の内径の周囲を伸びる。
図71は、前記ネジ込み部品568の部分的に上側で、かつそれを通って回転自在に位置付けられる前記基部部品570を示す。前記基部部品570は、基部またはハブ590および基部延長594を備えることができる。前記ハブ590および基部延長594は、それを通って伸びる経路596を含む。1つ以上の穴598は前記ハブ590内に位置付けられ、ピン600を制限するような大きさであり、かつ構成される。2つの穴598は図71に示される。前記ネジ込み部品568が前記基部部品570に結合された後、前記ピン600は前記穴598の中に挿入される。前記穴598は、前記挿入済みピン600が前記ネジ込み部品568上の前記経路580内に位置付けることができるように位置付けられる。前記ピン600は前記ネジ込み部品568上で前記基部部品570を保持するが、前記基部部品570に対して前記ネジ込み部品568の回転を可能にする。
使用の際、図68で見ることができるとおりに、前記基部部品570は、前記溝付き部品568の上側に位置付けられる。前記架橋要素12を調整する場合、時計回りまたは半時計回りの方向のいずれかで前記溝付き部品568を回転させるためにその遠位端にトルク工具540を有するカテーテル(図67で見ることができ、かつ上述のとおり)を使用する。前記ネジ込み部品568の前記らせん状溝586は前記歯状リボン562の前記歯566を係合し、順に前記歯状リボン562(架橋要素)を延長または短縮する前記架橋停止部560に前記歯状リボンを通り抜けさせる。前記架橋要素の所望の張力が得られると、前記トルク工具540を取り除く。
当然ながら、前記架橋停止部の各実施例は、前記架橋停止部内またはその周りで前記架橋要素を自由に動かせるようにするために必要な陽性作動力を必要とするように、静止状態で構造を固定する架橋を有するよう構成することができる。前記架橋要素において所望の張力が得られると、作動力を取り除くことができ、それによって前記架橋停止部をその静止状態に戻して前記架橋停止部を前記架橋要素に固定する。あるいは、前記架橋停止部は、その静止状態で前記架橋要素12の自由な動きを可能にするよう構成することができ、それによって前記架橋停止部内で前記架橋要素を固定するために必要な架橋停止部上で陽性固定力が維持されることを必要とする。
好ましくは、前記架橋固定機能は、触覚または蛍光透視フィードバックを介して明瞭である。前記固定機能は好ましくは、数回係止または解除することができ、それによって前記架橋要素が再調整できるようにする。前記架橋停止部素材はまた、望ましくは、放射線不透性であるか、または蛍光透視で前記架橋停止部の場所を特定付けることができるように放射線不透性機能を組み込む。
前述のとおりに、前記架橋要素12は単一の要素を備えることができ、または複数の要素を備えることもできる。上述した多数の実施例において、前記架橋要素は複数の要素を備える。図72は、前記架橋停止部500の歯状リボン502が前記架橋要素12の一部を備える例を示す。図に示すように、前記歯状リボン502は、例えば、前記架橋停止部500を通り、かつ中隔部材30を通って伸び、そして架橋要素12の一部に結合される。前記歯状リボン502は、限定されない例として、結束、接着、圧着、溶接を手段として前記架橋要素12に結合するか、または単一の素材から機械加工することができる。
他の実施例において、前記歯状リボン502は、例えば、図73に示すとおりに、前記架橋要素全体を備えることができる。図に示すように、前記歯状リボン502は、前記架橋停止部500を通り、かつ中隔部材30を通って伸び、左心房を通って、前記後方架橋停止18に結合される場所である前記後方架橋停止部位14へと続く。
架橋要素12の一部はまた、図72に示すとおりに右心房内へと伸びることができ、前記移植システムの回復または前記架橋要素の調整を可能にする。図に示すように、露出ループ156を含む架橋要素の一部は、前記歯状リボン502から伸びる。前記露出ループ156の把握またはつかみを容易にするために放射線不透性マーカー160を使用してもよい。
他の実施例において、前記歯状リボン502は、一体フックまたはループ303を備えることができ、前記移植システムの回復または前記架橋要素の調整を可能にする。前記露出ループ303の把握またはつかみを容易にするために放射線不透性マーカー160を使用してもよい。
VI.他のT字形架橋停止部の実施例
T字形架橋停止部の他の実施例も使用することができ、ここで説明する。前記T字形架橋停止部は、前記前方架橋停止部位16または前記後方架橋停止部位14、または両方において、前記架橋要素12(または他の架橋要素の実施例)を固定する働きをすることができる。当然ながら、前記T字形架橋停止部の他の実施例は単一の要素を備えることができ、または、例えば図43Aおよび43Bに示され、かつ説明されるとおりに、複数の要素を備えることもできる。当然ながら、前記T字形架橋停止装置の他の実施例は対称にすることができ、または非対称形状にすることもできる。また、前記T字形架橋停止部の他の実施例は、締めるのみ、または緩めかつ締めるための架橋要素の調整を特色とすることができる。
図74は、本発明に従ったT字形架橋停止部680の他の実施例の斜視図である。前記他のT字形架橋停止部680は好ましくは、部分的に内部ネジ込み雌部材684内に入れられる外部ネジ込み雄部材682を含む。前記雄部材682は、前記雄部材682のおよそ中央まで前記雌部材内に位置付けられる前記端688から伸びるチューブ状部686を含み、前記チューブ状部686は、前記雄部材682の長さ全体に伸びることを含んで前記雄部材の中央を越えて伸びることができるが、または前記雄部材の中央以下まで伸びることもできる。開口690は、前記雄部材682内に位置付けられ、前記雄部材の前記外面692から前記チューブ状部686へと伸びる。
使用の際、前記T字形架橋停止部680は、前記雌部材を時計回りまたは反時計回り方向のいずれかに回転させることによって、前記架橋要素12の長さを調整できるようにする。図74で見ることができるように、前記雌部材の回転を提供するために、カテーテル694を使用して前記雌部材684の前記端696に結合することができる。前記雌部材684によって前記T字形架橋停止部680の全体の長さが拡張または縮小するように、架橋要素12は前記雌部材684内の698に固定され、それによって前記架橋要素12の長さを調整する。前記T字形架橋停止部680は、管700の管腔内に位置付けられて示されている。前記架橋要素12は、固定点698から前記雄部材の前記チューブ状部686を通り、そして前記開口690、かつ702における血管壁を通って伸びる。702における血管壁を通り、かつ開口690を通る前記架橋要素12の貫通は、前記雄部682の回転を止め、それによって、前記雌部材684の回転が前記架橋要素12の長さを調整できるようにする。
図75は、本発明に従ったT字形架橋停止部710の他の実施例の斜視図である。前記他のT字形架橋停止部710は、好ましくは、第一部材720および第二部材722を有する歯止め機構712(例えばボールペン型機構など)、および前記歯止め機構712と連携して動く圧縮スプリング714を含み、いずれもチューブ状部材716内に位置付けることができる。開口718は、前記架橋要素12を前記チューブ状部材716の壁を通過させて前記歯止め機構712に結合できるようにする前記チューブ状部材716の概して中間に位置付けられる(しかし前記架橋停止部の長さに沿ったその他の位置が可能である)。
使用の際、前記T字形架橋停止部710は、前記歯止め機構712の操作によって、前記架橋要素12の長さを調整できるようにする。図75で見ることができるように、カテーテル694を使用して前記歯止め機構712の第一部材720を結合し、順に前記歯止め機構の前記第二部材722を回転させる軸力を前記歯止め機構に提供することができる。前記架橋要素12の任意部分は、前記第一端720を前記カテーテル694で押すと、開口718を通って分配する、または引っ込めることができる。前記カテーテル694はまた、前記歯止め機構712を回転させることによって、前記架橋要素12上の張力を解放しリセットすることもできる。前記第二部材722の回転によって、前記架橋要素12は前記第二部材722の周りを覆い、それによって前記架橋要素12の長さを調整する。図74に示すとおりに、前記T字形架橋停止部710は、血管内に、または臓器壁に接して位置付けることができる。血管壁を通り、かつ開口718を通る前記架橋要素12の貫通は、前記チューブ状部716の回転を止め、それによって、前記第二部材722の回転が前記架橋要素12の長さを調整できるようにする。
図76は、本発明に従ったT字形架橋停止部730の他の実施例の斜視図である。前記他のT字形架橋停止部730は好ましくは、開口734を有するチューブ状部材732、および前記チューブ状部材732内に位置付けられる留め具736を含む。開口734は、概して前記チューブ状部材732の中間に位置付けられ(前記架橋停止部の長さに沿ったその他の位置は可能であるが)、前記留め具736は、概して前記チューブ状部材の第一端738の近くに位置付けられる。前記チューブ状部材732の内部で、概して第二端740の近くで、前記架橋要素は固定点742において前記チューブ状部材に結合される。
使用の際、前記T字形架橋停止部730は、有鉤先端746など調整のための手段を有するカテーテルで前記架橋要素12の前記露出ループ744を引っ張ることによって、前記架橋要素12の長さが短縮できるようにする(張力の増加)。当然ながら、例えば留め具、ループまたは磁石など、前記架橋要素12の露出端に結合する付加的手段も同様に考慮される。図76で見ることができるとおり、前記カテーテル746は前記露出ループ744をつかんで引っ張るために使用される。前記露出ループを引っ張ることによって、前記架橋要素12の一方の脚は前記留め具736を貫通する。前記露出ループ744が解放された時に前記留め具内の前記架橋要素の位置を維持するように、けん引力は前記留め具736のつかみ力よりも大きくなければならない。前記留め具736は、前記留め具736の能力を向上させるための鋸歯状かみ合い748を含み、張力を増加させるために前記架橋要素12がそれを貫通できるようにするが、前記架橋要素12上の張力が前記架橋要素を前記留め具736を通って後退させないようにする(これは張力の増加を引き起こす)。
図77は、本発明に従ったT字形架橋停止部750の他の実施例の斜視図である。前記他の架橋停止部750は好ましくは、スリット754を有するチューブ状部材752を含む。前記架橋停止部の長さに沿った他の位置は可能であるが、前記スリット754は概して前記チューブ状部材752の中間に位置付けられる。
使用の際、前記T字形架橋停止部750は、例えば有鉤先端146を有する調整カテーテルで前記架橋要素12の前記露出ループ756を引っ張ることによって、前記架橋要素12の長さが短縮できるようにする(張力の増加)。図77で見ることができるとおり、本実施例において、前記カテーテル12は任意ビーズまたは停止要素158を含む。前記カテーテル146は、前記露出ループ156をつかんで引っ張るために使用される。前記露出ループを引っ張ることによって、前記任意停止要素158を含む前記架橋要素12は、前記スリット754を貫通する。前記スリット754は、前記ビーズを前記チューブ状部材752内に引き込むことができるようにするが、前記チューブ状部材の外には引き出さない。前記スリット754は、前記架橋要素12上の張力の維持を助長し、前記任意停止要素158が前記架橋要素12上の張力によって前記チューブ状部材752から引き出されることを防ぐために、フラップ760(例えばカモノハシ弁など)を含むことができる。前記任意停止要素158は、これら所定の長さで前記架橋要素の短縮を可能にするように、所定の長さ(例えば約2mmから約5mm)でそれぞれから離して位置付けることができる。
VII.他の架橋要素の実施例
架橋要素の他の実施例も使用することができ、ここで説明する。前記架橋要素は、前記前方架橋停止部位16を前記後方架橋停止部位14に固定する働きをする。当然ながら、前記架橋要素の他の実施例は単一の要素を備えることができ、または複数の要素を備えることもできる。
図78は、本発明に従った架橋要素770を有する移植システム10の他の実施例の斜視図である。第一端772および第二端774を有する前記架橋要素770は、中隔部材30を通って伸び、かつ後方架橋停止部18に結合されて示されている。前記架橋要素もまた、前記中隔部材30に結合することができる。架橋要素770は望ましくは、ステンレス鋼など延性特性を有する(つまり成形したり、曲げたり、または引き伸ばしたりすることができる)素材のリボンを備える。前記後方架橋停止部位14および/または前記前方架橋停止部位16において達成することができる前記架橋要素770のねじりによって、前記架橋要素が短縮または延長し、前記架橋要素が屈するため、それは所望の長さにとどまる。前記架橋要素770を調整するために必要なねじり力は、前記架橋要素上の張力よりも大きい。前記ねじりは、調整カテーテル(図示せず)で達成することができる。
図79は、本発明に従った架橋要素780を有する移植システム10の付加的な他の実施例の斜視図である。前記架橋要素780は、中隔部材30を通って伸び、かつ後方架橋停止部18に結合されて示されている。前記架橋要素もまた、前記中隔部材30に結合することができる。架橋要素780は、望ましくは少なくとも1つの環状架橋要素を備える。架橋要素780の前記第一端782は、前記中隔部材30と結合、またあるいは前記前方架橋停止部20と結合、またあるいは前記索環32と結合することができる。前記第一端782から、前記架橋要素は前記後方架橋停止部18に結合されるフックまたは固定器具784の周りに輪をつけて、前記中隔部材30へ戻って、かつそれを通って伸びる。前記環状架橋要素780は、前記架橋要素の長さを2倍にし、そうすることで、1/2単位対1単位という改善された引張り比率により前記移植システム10のより細かい調整を可能にする。
図80Aは、本発明に従った架橋要素790を有する移植システム10の付加的な他の実施例の斜視図である。第一端792および第二端794を有する前記架橋要素790は、一体前方架橋停止部26を有し、また後方架橋停止18にも結合されて示されている。当然ながら、前記架橋要素790は一体後方架橋停止部を有することができ、また一体前方および後方架橋停止部の両方も同様に有することができる。架橋要素790は望ましくは、所定の長さを有する網状ニチノールワイヤーから成る。前記網状ニチノールワイヤーは望ましくは、所定の範囲(例えば約8cmから約10cm)にわたって直線にされている。前記網状ワイヤーの所定の部分(例えば約1cmから約3cm)は、右心房内の送出カテーテルから解放されると、前方架橋停止部796の中へと曲がるように予め形成される。図80Bおよび80Cは、前記架橋要素790上の張力が増加(図80B参照)または減少(図80C参照)する際の前記第一端792の変化する構造(つまり前記前方架橋停止部796)を示す。
前述のものは、本発明の原理の説明のみとして考慮される。さらに、本技術に精通した者には多数の改良および変更が容易に思い当たるであろうため、図示されかつ説明される正確な構造および操作に本発明を制限することは望ましくない。好ましい実施例が説明されているが、詳細は本発明から逸脱することなく変更することができ、それは特許請求の範囲によって定義される。