JP2008533239A - 多重官能性ポリマー粒子および製造方法 - Google Patents

多重官能性ポリマー粒子および製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、同一粒子中に少なくとも2種類の反応性官能基、例えば酸官能基と組み合わせたエポキシ官能またはヒドロキシ官能基を含む多重官能性(multifunctional)ポリマー粒子を含むコーティングまたは組成物およびその製造方法に関する。かかる分散体から作られる無孔質または多孔質コーティング組成物は、その被覆された製品が指紋、通常の汚染、およびこぼれたものに耐えるように画像層を含めた様々な基材を保護するために使用することができる。

Description

本発明は、同一のポリマー分子を含む同一粒子中に少なくとも2つの相補的な架橋性官能基を含む多重官能性(multifunctional)ポリマー粒子の製造方法ならびにそれら粒子を含む組成物に関する。水性分散体およびかかる分散体から調製されるコーティング組成物は、様々な基材または支持体に適用することができる。
エポキシ含有粒子の水性分散体が、当業界で知られている様々な方法で調製されてきた。水性分散体のこのような調製方法の一つは、Starkの米国特許第5,741,835号に開示されているものなどのいわゆる「転相乳化」法である。この方法は、典型的には、エポキシ化合物と界面活性剤を一緒に溶融させることを必要とする。任意選択的に、この溶融物に塩基が加えられる。次いで油中水型混合物から水中油型混合物への転相が起るまで、激しく撹拌しながらこのエポキシ溶融物に熱水を徐々に加える。その後、さらなる水を加えることができる。Starkは、この発明が、好ましくは約2μm未満、より好ましくは約1μm未満の平均粒径を有する安定なすぐれた水性分散液を提供すると述べている。
Chu他の米国特許第4,446,258号は、エポキシ樹脂と酸ポリマーの反応生成物を分散させることについて開示している。好ましくは、このイオン性のエポキシ樹脂−酸ポリマー生成物を、アンモニアまたはアミンと共に高分子界面活性剤の存在下で水中に分散させ、当該ポリマー生成物を中和させる。
カルボキシ官能ポリマーとエポキシ官能ポリマーのかかる水系生成物は、装飾および/または保護目的のコーティング、例えば建築、自動車、および工業用コーティングの分野で広く使用されてきた。かかるコーティングは、例えば金属性の缶類などの金属性および様々な他の基材および物品を被覆するための汎用性を有する。Matthews他の米国特許第4,247,439号に述べられているようにかかるコーティングは、例えば耐腐食性、光沢、加水分解安定性、それらと接触する食品および飲料の品質低下防止を提供することができる。
画像処理の分野では水または水溶液による損傷から画像を保護するゼラチン系写真製品用の保護コーティングを実現する試みが長年にわたってなされてきた。多くの特許、例えば米国特許第2,259,009号、第2,331,746号、第2,798,004号、第3,113,867号、第3,190,197号、第3,415,670号、第3,733,293号、第5,853,926号、および第5,856,051号には、写真処理完了後に画像上に保護層を溶剤コーティングする方法について記載されている。米国特許第5,856,051号に例示されているポリマーには、55〜200℃の融点(Tm)を有するポリエチレンが含まれている。かかるポリマーを含む層は、その試料を処理して画像を生成させた後に、その層をポリマーのTmよりも高い温度で融着させることによって、耐水性になることができる。
画像形成要素用の架橋オーバーコートも当業界で知られている。例えば米国特許第6,436,617号は、水分散性ラテックス粒子を含む写真像形成要素用の保護オーバーコートに関し、当該水分散性ラテックス粒子はエポキシ材料および熱可塑性の酸ポリマーと、水溶性の親水性ポリマーと、疎水性に改質された会合性増粘剤とを含む。この親水性ポリマーは、その他の材料のコアレッセンスを促進する写真処理の間に実質的に洗い流される。このコアレッセンスの別の推進力は、写真処理に伴う乾燥中の高温である。
米国特許第6,548,182号はインクジェット記録材料に関し、このインクジェット記録材料において、コーティングは架橋剤としての水溶性オキサゾリン化合物と共に、複数個のカルボキシル基を有する水溶性ポリマーを含む。欧州特許第0 320 594 A2号は、可融性インクジェット媒体に使用される水性の架橋可能な樹脂分散体を開示しているが、この樹脂分散体では、高分子粒子が乳化剤化合物と反応する。
本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/881,127号には、支持体を含み、この支持体上に、最上部から順に、
(a)(i)反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む可融性ポリマー粒子と、(ii)この熱可塑性ポリマー上の前記反応性官能基を架橋することができる相補的反応性官能基を有する多重官能性化合物と、(iii)任意選択的に使用されるバインダーとを含む可融性で多孔質の顔料捕捉層、および
(b)任意選択のインクキャリア液受容層、
を有するインクジェット記録要素が開示されている。この支持体は、単独でまたは任意選択のインクキャリア液受容層とともに液体吸収サンプ層として働くこともできる。
同様に、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/881,264号には、支持体を含み、この支持体上に、最上部から順に、
(a)(i)反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む可融性ポリマー粒子と、(ii)この熱可塑性ポリマー上の前記反応性官能基を架橋することができる相補的反応性官能基を有する多重官能性化合物と、(iii)任意選択的に使用されるバインダーとを含む可融性で多孔質のインク輸送層、
(b)可融性ポリマー粒子と、色素媒染剤と、任意選択的に使用される親水性バインダーとを含む可融性の色素捕捉層、および
(c)任意選択的に使用されるインクキャリア液受容層、
を有するインクジェット記録要素が開示されている。
本発明の目的は、様々な基材を被覆し保護するために用いることができるコーティング組成物に使用される反応性粒子を伴う水性分散体の改良された製造方法を提供することである。かかる使用法の一つは、その被覆された製品が指紋、通常の汚染、およびこぼれたもの(spills)に耐えるようにインクジェットなどの画像形成された要素または他の印刷物を保護することであることが望ましい。本発明のコーティング組成物は、印刷後に融着させて画像を水および汚染に対して抵抗性にすることができる上側の多孔質層を備えた改良されたインクジェット記録要素を提供するために用いることができる。
本発明は、種々の反応性基を含む多重官能性粒子、例えばコーティング組成物用のエポキシ官能および酸官能ポリマー粒子を含む水性分散体を含む組成物に関する。かかるコーティングは、インクジェット印刷物などを含む様々な基材を保護するために使用することができる。
本発明はまた、かかる多重官能性粒子の製造方法に関する。
本発明の別の側面は、本発明による組成物を基材に適用することによって形成されるコーティングを提供する。この適用された組成物の乾燥中または乾燥後、コーティングを加熱または融着にかけることによって、そのコーティングを架橋させることができ、それによって基材を環境的損傷から保護するために用いることができる透明または着色したコーティングを生成する。
本発明は、それぞれが反応性の架橋性官能基を含む多重官能性ポリマー粒子の水性分散体を製造する簡単かつ費用の掛からない方法を提供する。本発明によればかかる多重官能性粒子を含むコーティング組成物を基材上に適用することができる。例えば、本発明によるオーバーコート配合物は、エンドユーザーによる頻繁な取扱いおよび酷使に遭遇する恐れのある写真品質印刷物に特に相応しいインクジェット記録要素のトップコートとして適用することができる。
本発明の好ましい実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、ほぼ球形で単分散である。単分散粒子は、流体の吸収を制御するのに有利なことがあり、また乾燥時間を改善するために用いることができる。一方、単分散粒子は製造がより難しいことがある。
UPA単分散度(「Dp」)は、Microtrac(登録商標)Ultra Fine Particle Analyzer(Leeds and Northrup)により50%メジアン値において測定されるビーズ中のポリマーの質量平均分子量を数平均分子量で割ったものとして定義される。これは、粒子(または「ビーズ」)のサイズとともにその望ましい毛管作用にとって重要な粒径分布が比較的狭いことを表す別の方法である。
多重官能性ポリマー粒子は、場合によっては多孔質層の形成をもたらす粒径を有することができる。本発明の特に好ましい実施形態では、ポリマー粒子の平均粒径は、好適には約5〜約10,000nmの範囲にわたり、また粒子の単分散度(Dp)は1.5未満、好ましくは1.3未満、より好ましくは1.1未満である。好ましくは、この分散体中のポリマー粒子のサイズは、約50〜5,000nm、より好ましくは0.1〜約2μm、最も好ましくは0.2〜1μmにわたる。
本発明の好ましい実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、連鎖生長ポリマー、例えばスチレン系ポリマー、ビニルポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、ポリアクリラート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、および/または酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマーを含む。本発明の特に好ましい実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、アルキル基が好ましくは1〜6個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルモノマーから誘導される1または2以上の単量体単位を含むポリアクリラートポリマーまたはコポリマー(例えばアクリルビーズ)から構成される。
前述のように、多重官能性ポリマー粒子は、互いに相補的な種々の反応性官能基を有するポリマーを含む。ポリマーの数平均分子量は5,000〜1,000,000に及ぶことができ、そのガラス転移温度は好ましくは−50℃〜120℃にわたる。好ましくは、多重官能性ポリマー粒子のTgは、約20℃超かつ120℃未満であり、より好ましくは50℃超かつ90℃未満であり、また最も好ましくは80℃未満である。多重官能性ポリマーは鎖状でも分岐状でもよく、またその官能基は同一の鎖上にあっても、または、例えば分岐ポリマーの場合には同一分子の異なる鎖セグメント上にあってもよい。
多重官能性ポリマー粒子は、1種または2種以上の非反応性モノマーおよび2種または3種以上の反応性官能モノマーを含む(異なる種類の)モノマー(これら反応性官能モノマーのそれぞれは、架橋反応中に別の反応性官能モノマー上の相補的架橋性官能基と反応することができる架橋性官能基を含む)の混合物の反応生成物であることができる。したがって、多重官能性ポリマー粒子のそれぞれの中の第一の反応性官能単量体単位上の第一の反応性官能基は、分子内架橋反応および/または分子間架橋反応において、同一分子中の、または、同一粒子または1または2以上の他の粒子中の他の分子上の第二の反応性官能単量体単位上の第二の反応性官能基と相補的に反応することができる。かかる反応性官能モノマーとしては、次の基、すなわちシアナート、オキサゾリン、エポキシ、酸、酸無水物、ヒドロキシル、フェノール、アセトアセトキシ、チオールおよび/またはアミン官能基などのうちの1または2以上を含有するモノマーを挙げることができる。
本発明による分散体は、異種粒子の混合物を含むこともでき、また同種粒子のみを含むこともできる。例えば、この分散体は、(異なる)多重官能性ポリマー粒子の混合物、あるいは単官能性または非官能性粒子と多重官能性ポリマー粒子の混合物を含むことができる。それにもかかわらず、この多重官能性ポリマー粒子は、分散液中に質量基準で少なくともかなりの量で存在する。好ましくは質量を基準にして分散液中の粒子の大部分、より好ましくは実質上全て、最も好ましくは全てが、それぞれ同一ポリマー粒子内に相補的反応官能基を有する多重官能性ポリマー粒子である。
好ましくは、多重官能性ポリマー粒子は、反応性単量体単位を0.1〜50モルパーセント、より好ましくは1〜50モルパーセント、最も好ましくは30モルパーセント未満含むことができる。過度の架橋は望ましくない脆性をもたらす。多重官能性ポリマー粒子は、非反応性単量体単位を50〜99.9モルパーセント含むことができる。
任意選択的に、相補的反応性単量体単位を0.1〜100モルパーセント、より好ましくは1〜50モルパーセント含む多官能性(polyfunctional)の架橋性化合物を加えることができ、多重官能性粒子は他の粒子またはこの多官能性の架橋性化合物のどちらかと反応することができる。この多官能性の架橋性化合物は、同一の(単官能性の)または異なる(多官能価の)非反応性単量体単位を0〜99.9モルパーセント含むことができる。かかる非粒状の多官能性架橋性化合物は、同時係属中の米国特許出願第10/881,264号および第10/881,127号中に開示されており、両方とも中に引用によりその全内容を本明細書に援用する。
好ましい実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、官能基を1グラム当量含有する固形分のグラム数(「g/当量」)として定義される「官能基当量」(モノマー当量とも呼ばれる)により特徴づけることができる(モノマーは同一モノマー上に2個以上の官能基、例えば2個の酸基を有することができる)。分散体中の多重官能性ポリマー粒子上の、より具体的にはその熱可塑性ポリマー上の第一の官能基と、本発明のインクジェット記録要素中の粒子(合計の)上の第二のすなわち相補的反応性官能基のg/当量比は、平均で1.0/0.1〜0.1/1.0、より好ましくは平均で1.0/0.5〜0.5/1.0に及ぶ。これは、例えば多重官能性ポリマー粒子との反応的に関連する他の種類の粒子または化合物上のさらなる官能基の場合は変わり得る。
上記のように、多重官能性ポリマー粒子は相補的反応性官能基を含む。例えば、多重官能性ポリマー粒子は、エポキシ官能単量体単位を、ポリマー粒子中のアミン、カルボン酸、ヒドロキシル、チオール、酸無水物、または同様の反応性官能基を含む単量体単位などの当該エポキシ官能基と反応する1または2以上の他の官能性単量体単位とともに含むことができる。同様に、オキサゾリン基も様々なプロトン官能性モノマーと相補的に反応する。
オキサゾリン官能性単量体単位の好ましい例は、2−ビニル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−2−オキサゾリンなどのモノマーから誘導されたものである。プロトン型反応性官能基を有する官能性単量体単位の例としては、メタクリル酸などの酸官能性モノマー、または(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、例えば(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどのヒドロキシ官能性モノマーから誘導されたものが挙げられる。以下でさらに述べるように、酸モノマーは、ポリマーを調製するために使用されるその他のモノマーと共重合可能なエチレン不飽和酸、モノプロトン性化合物(monoprotic)もしくはジプロトン性化合物(diprotic)、酸塩化物、酸塩化物、または二塩基酸のモノエステルであることができる。最も好ましいエチレン不飽和酸モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、およびイタコン酸である。
一般的に、多重官能性ポリマー粒子中のエポキシ官能性反応基は、そのポリマー粒子中のカルボン酸(−−COOH)、酸無水物、ヒドロキシル(−−OH)、第一約アミン(−−NH2)基、またはチオール基(−−SH)と反応することができ、例えば多重官能性ポリマー粒子は、エポキシ官能性モノマーおよび1種または2種以上の下記のモノマー、すなわちメタクリル酸(MAA)、ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)などのヒドロキシアルキルメタクリラート、またはアミノプロピルメタクリラートなどのメタクリル酸アミノアルキル(すべて一般的な市販のモノマー)から誘導された単量体単位を含むことができる。熟練した化学者であれば当然分かるように、高温での加熱または融着の間の相補的官能基の反応の速度を速めるために触媒を使用することができる。例えば、アルコールの場合、4−ジメチルアミノピリジンなどの触媒を用いて反応の速度を速めることができる。
別の実施形態では、多重官能性ポリマー粒子中のオキサゾリン官能基を用いて、同一ポリマー粒子中の、カルボン酸、酸無水物、アミン、フェノール、ヒドロキシル、およびチオールなどの別の官能基と同様に反応させることができる。本発明の一実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、例えばカルボン酸含有モノマーなどのプロトン性基(protic group)を有する同一ポリマー粒子中の他の非開環官能基と反応することができる少なくとも1個の開環基、エポキシドまたはオキサゾリン基を有する反復単位を含有することができる。有用なプロトン性の反応性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、およびマレイン酸、並びにそれらの酸無水物が挙げられる。
高分子多重官能性粒子の製造に好適な共重合可能なモノマーとしては、一般式
Figure 2008533239
のアクリラートおよびメタクリラートなどの通常のビニルモノマーが挙げられる。式中、R2は水素またはアルキル、好ましくはメチルであり、R5はメチル、または炭素原子を20個以下有する直鎖状もしくは分岐状の脂肪族、脂環式もしくは芳香族の基であり、この基は置換されていなくても置換されていてもよい。
有用または好適な共重合可能なモノマーとしては、例えばメチルアクリラートおよびメチルメタクリラート、エチルアクリラートおよびエチルメタクリラート、プロピルアクリラートおよびプロピルメタクリラート、イソプロピルアクリラートおよびイソプロピルメタクリラート、ブチルアクリラートおよびブチルメタクリラート、エトキシエチルアクリラートおよびエトキシエチルメタクリラート、メトキシエチルアクリラートおよびメトキシエチルメタクリラート、エトキシプロピルアクリラートおよびエトキシプロピルメタクリラート、フェニルアクリラートおよびフェニルメタクリラート、ベンジルアクリラートおよびベンジルメタクリラート、シクロヘキシルアクリラートおよびシクロヘキシルメタクリラート、ヘキサフルオロイソプロピルアクリラートおよびヘキサフルオロイソプロピルメタクリラート、またはn−オクチルアクリラートおよびn−オクチルメタクリラート、ならびに例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ヘキセン、塩化ビニルなどが挙げられる。
本発明の一つの好ましい実施形態では、多重官能性ポリマー粒子は、次式
Figure 2008533239
で表されるオキサゾリン基を含む。この式中、R1〜R5は、例えば(I)中のR1を式(II)
Figure 2008533239
により表される分岐または非分岐ビニル基であるように選択することによって、分岐または非分岐ビニルオキサゾリン化合物となるように選択される。式中、R8は、水素、分岐または線状C1〜C20アルキル部分、C3〜C20シクロアルキル部分、C6〜C20アリール部分、およびC7〜C20アルキルアリール部分からなる群から選択される。R1がかかるビニル基の場合、R2〜R5は同一でも異なっていてもよく、水素、分岐または線状C1〜C20アルキル部分、C3〜C20シクロアルキル部分、C6〜C20アリール部分、およびC7〜C20アルキルアリール部分から選択される。
モノマーから誘導されたオキサゾリン官能性単量体単位は、同じ多重官能性ポリマー粒子上の他の相補的反応性官能基、例えば−COOH、−NH、−SH、および−OHなどに対して反応性の部分をポリマーに与える(またはその逆)ことになる。オキサゾリン化合物の調製に関する詳細な考察は、Brenton等の論文「Preparation of Functionalized Oxazolines」Synthetic Communications, 22(17),2543〜2554(1992)、Wiley等の論文「The Chemistry of Oxazolines」Chemical Reviews, v44, 447〜476(1949)、およびFrump, John A.の論文「Oxazolines, Their Preparation, Reactions, and Applications」Chemical Reviews, v71, 483〜505(1971)中に見出すことができ、これらの開示内容は引用により援用する。
オキサゾリン基を有する多重官能性ポリマー粒子の例としては、付加重合可能なオキサゾリンモノマーをそれと共重合可能なモノマーと共重合することによって得られるオキサゾリン基を含有するポリマーが挙げられる。付加重合可能なオキサゾリンモノマーの例としては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、および2−イソプロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンが挙げられる。これらはそれぞれ単独で使用することも、または互いに組み合わせて使用することもできる。例えばビニルオキサゾリンの非限定的な例であるモノマー2−イソプロペニル−2−オキサゾリンは、次の構造式で表される。
Figure 2008533239
かかる付加重合可能なオキサゾリンモノマーと共重合可能な反応性モノマーとしては、例として他のオキサゾリン含有モノマー類、例えば2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、および2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンと、アクリラートまたはメタクリラート類、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびメタクリル酸2−エチルヘキシルと、不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸と、不飽和ニトリル類、例えばアクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルと、不飽和アミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、およびN−メチロールメタクリルアミドと、ビニルエステル類、例えば酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニルと、ビニルエーテル類、例えばメチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテルと、オレフィン類、例えばエチレンおよびプロピレンと、ハロゲン含有α−、β−不飽和モノマー類、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、およびフッ化ビニルと、α−、β−不飽和芳香族モノマー類、例えばスチレンおよびα−メチルスチレンとが挙げられる。
本発明の別の実施形態では、多重官能性ポリマー粒子中の開環反応基がエポキシ官能性ポリマーによって形成される。この好ましいエポキシ含有多重官能性ポリマー粒子は、エピクロロヒドリン、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキセン−1,2−エポキシドなどのオキシラン含有モノマーを基とするが、他のエポキシ含有モノマーも使用することができる。
本発明の別の側面は、対応するモノマーから合成されて粒子のコロイド分散体を形成する上記多重官能性ポリマー粒子の製造方法に関する。この方法の一実施形態では、多重官能性ポリマー粒子の水性分散体であって、粒子が少なくとも2種類の異なる反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含み、これら官能基は高温にさらされた場合に互いに反応して当該熱可塑性ポリマーを架橋することができる水性分散体が製造される。この方法は、それぞれ2種類の異なる反応性官能基を有する少なくとも2種類の異なるモノマーを、水性溶媒中で第一および第二のレドックス開始剤成分と酸化剤と還元剤とを含むレドックス重合開始剤系の存在下で反応させるステップであって、反応温度を約50℃未満、好ましくは40℃未満に維持して前記反応性官能基を実質上未反応のまま残すことによって10μm未満の平均粒径を有する多重官能性ポリマー粒子の水性分散体の形態のモノマーの重合生成物を形成するステップを含む。
レドックス開始剤成分は、併用されるとイオンラジカルを発生することができる化合物である。重合開始剤系は、典型的には、酸化剤としてラジカル生成剤を含み、このラジカル生成剤は還元剤と組み合わされる。過酸化水素はかかるラジカル生成剤の例であり、他の考え得る例としては、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類と、t−ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類と、第二セリウム塩類と、過マンガン酸塩類と、亜塩素酸塩類と、次亜塩素酸塩類とが挙げられる。かかるラジカル生成剤は、好ましくは重合性モノマーの0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の量で用いられる。
還元剤に関し、好適な化合物としては、L−アスコルビン酸またはそのアルカリ金属塩と、亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸水素ナトリウムなどの亜硫酸塩類と、チオ亜硫酸ナトリウムと、酢酸コバルトと、硫酸銅と、硫酸鉄(II)とが挙げられる。かかる還元剤は、好ましくは重合性モノマーの0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜2質量%の量で用いられる。過硫酸塩酸化剤およびメタ亜硫酸塩還元剤が好ましい。
好ましいレドックス重合開始剤系は、過硫酸カリウムまたは過硫酸アンモニウムや、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸アンモニウムや、過酸化物類や、メタ重亜硫酸ナトリウムなどのイオンラジカルを生成することができる水溶性開始剤を含む。好ましくは、水溶性の過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、または過硫酸アンモニウムが使用される。
重合反応は、50℃以下、好ましくは40℃未満の温度で行われる。一実施形態では、コーティングまたは他の組成物に用いられる多重官能性粒子の本発明による好ましい製造方法は、(1)異なる反応性官能基を有する少なくとも2種類の異なるモノマー、第一のレドックス開始剤組成物(例えば酸化剤)、および界面活性剤を含む水性モノマーエマルションを形成するステップ、(2)第二のレドックス開始剤組成物(例えば還元剤か、または還元剤と酸化剤)を含む水性混合物を形成するステップ、および(3)水性モノマーエマルションを長時間かけてこの水性混合物に加えてモノマーの重合生成物を形成するステップを含む。好ましくは、この水性混合物は脱イオン水を含む。必要に応じて、分散体生成物を濾過し、第二の水性溶媒中に分散させることができる。
かかる方法は、都合のよいことに、狭い粒径分布を有するきわめて微細なサブミクロンまたはミクロンサイズの多重官能性粒子を提供する。その平均粒径は10μm未満である。これはコーティング特性の改良に寄与する。また、この分散体は保管中に優れた安定性を有する。
コーティング用の水性分散体生成物中の多重官能性高分子粒子の濃度は、固形分の質量を基準にして、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
好適には、ステップ(1)、(2)および(3)において、温度を、反応性官能基が実質的に未反応のまま残るように、基本的には約50℃未満、好ましくは40℃未満に維持する。特に、ステップ(3)において、反応性官能基が実質的に未反応のまま残るように、重合温度は約50℃未満、好ましくは40℃未満に維持する。場合によっては、この方法は室温近くで行うことができるので好都合である。いずれにせよ、反応性官能基が実質上保たれる(未反応である)ような温度であるべきであり、これは示差走査熱量測定法(DSC)により、完全に反応した粒子(100℃を超える温度を必要とする)に対して粒子のDSCを比較して決めることができる。
レドックス重合開始剤系は様々な方法で形成することができる。例えばこの水性混合物は、モノマーエマルションに加えて、モル量基準で好ましくは還元剤よりも少ない量の酸化剤を含むことができる。
代わりに、単一反応器中での混合で、(a)それぞれ異なる反応性官能基を有する少なくとも2種類のモノマーを含む反応させるべきモノマーの全量と、(b)レドックス重合開始剤系の全量と、(c)任意選択的に界面活性剤とを含む水性モノマーエマルションを形成することができ、反応温度を約50℃未満に維持することによって長時間にわたってモノマーの添加なしにその単一反応器の使用が可能となる。例えば、その混合物を20℃で混合し、次いで、その温度を30〜50℃の温度に上げて反応させることができる。したがって、十分に低い温度に保たれる場合、両方のレドックス開始剤成分が水性モノマーエマルション中に存在することができ、それによって単一ポット反応器が可能になる。しかし2ポット配列(two−pot arrangement)は反応のより良い制御を可能にする。
本発明の方法では、モノマーは、エマルション、サスペンション、または水性溶媒に可溶な混合物を形成することができる。好ましくは、開始剤成分がモノマーに可溶なモノマーエマルションまたはサスペンションが使用される。
好ましくは、この方法によって製造されるポリマー粒子の分散体中の水性溶媒、またはコーティング組成物に使用するためにそれから形成される分散体中の水性溶媒は、水を少なくとも60体積パーセント、より好ましくは少なくとも80体積パーセント含む。しかし、水性溶媒は、水混和性有機溶剤を0または20体積パーセント以下含むことができる。ただし、水混和性とは、その水への溶解度が少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも20パーセントであることを意味する。好適な混和性有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ブチルジエトキシアルコール、およびジプロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。しかし、水性溶媒には水100%を用いることが好ましい。
任意選択的に、当業界で知られている様々な分散剤および界面活性剤を水性分散体を形成する際の安定剤として使用することができる。分散剤は、非イオン性、アニオン性、およびカチオン性であることができ、高分子物質であることもでき、ポリマー粒子の20質量%もの高い割合で使用される。かかる界面活性剤は他の問題の潜在的な原因になるため、最低限の量の界面活性剤を使用すべきである。ポリマー粒子の分散体が凝固または凝集する場合、調製されたばかりの、分散体にまたは分散体を調製するために用いられる水性相に計った量の界面活性剤を添加して、その分散体の安定性を評価することができる。最も好ましくは、分散体は、分散相の沈降に関して安定であるはずである。しかし、本発明の文脈では、用語「安定な」とは、その多重官能性ポリマー粒子が凝集または凝固するのでなく、はっきりした粒子として事実上残る分散体を意味する。保管時にこのような粒子が沈降する場合、それらは振りまぜまたは適度な撹拌によって容易に再分散させることができる。しかし、粒子が凝集する場合、長時間の高せん断混合なしには再分散させることができない。
販売または適用される際、最終分散体用の溶媒は、主として水を含み、好適には少なくとも50質量パーセント、好ましくは60〜80質量パーセントの水を含む。
本発明の別の側面は、上記分散体を含むか、または任意選択的にその分散体を高分子バインダーと混ぜ合わせたコーティング組成物の製造方法に関する。このコーティング組成物は、分散体単独または他の成分との組合せから構成することができる。任意選択的に、この分散された多重官能性ポリマー粒子は高分子バインダーと組み合わされるかまたは混合される。好適な高分子バインダーとしては、水溶性ポリマーか、あるいは乳化重合によって調製したコロイド高分子粒子または予備形成されたポリマーを適切な分散法を用いてもしくは適切な分散剤を用いて水中で乳化することにより調製されたコロイド高分子粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
好適には多重官能性ポリマー粒子は、コーティング組成物中に乾燥質量を基準にして少なくとも10%の量で存在する(好ましくは水分散性多重官能性粒子と高分子バインダーの質量比は90:10〜10:90であり、より好ましくは、少なくとも幾つかの実施形態では、バインダーは水溶性であるか、それとも水に分散可能な疎水性粒子もしくはラテックスであるかに応じて、50:50〜80:20である)。
この多重官能性ポリマー粒子を用いて多孔質または無孔質コーティングを形成することができる。多孔質コーティングの場合、低バインダーレベル、すなわち10%以下が、最終的なコーティングされた構造体における高多孔度と、そのコーティングをロッドコーティングなどの高速(低コスト)コーティングプロセスに一層適したものにするコーティング溶融物の低粘度との二つの理由の故に好ましい。0〜50質量%の範囲のバインダーレベルは、低級の多孔質インクジェットコーティングと、高級での無孔質保護コーティングとを包含するはずである。
本発明による組成物は、丈夫な環境抵抗性コーティングを形成するために用いることもできる。この組成物は、建築物の保全コーティングならびに乗用車および貨物自動車の外装仕上げコーティングに使用することができる。この組成物は、着色仕上げコーティングを形成するように顔料を加えてもよく、また透明コーティングとして用いるために顔料を加えなくてもよい。この組成物は、スプレイコーティングなどの通常の方法により基材にトップコートとして適用することができる。得られるコーティングは、100℃を超える、好ましくは100〜150℃の高温で乾燥させ硬化させることができる。コーティングを建築物表面およびアプライアンス(appliances)類に適用して、典型的には、厚さ約0.05〜5ミルの上塗りを形成することができる。
このコーティング組成物から作られるコーティングの耐候性を改良するために紫外線安定剤またはそれらの組合せをそのポリマー粒子中またはポリマー粒子の分散体のどちらかに固形分質量を基準にして約0.1〜5質量%加えることができる。これら安定剤には、紫外線吸収剤、スクリーナー、消光剤、および特定のヒンダードアミン光安定剤が挙げられる。また酸化防止剤を固形分質量を基準にして約0.1〜5質量%用いることもできる。有用な一般的な紫外線安定剤が、例えば米国特許第4,906,677号に列挙されている。
上記熱可塑性ポリマーに加えて多重官能性ポリマー粒子中に存在させることができる任意選択の成分または添加剤としては、安定剤類および酸化防止剤類が挙げられる。
本発明の別の側面は、前述の分散体を含むコーティング組成物を基材にコーティングするステップ、およびその適用されたコーティングを加熱して反応性官能基の反応を促進させるステップを含む、基材へのコーティング方法を対象とする。好適には、このコーティングの厚さは125ミクロン未満、好ましくは25ミクロン未満である。
上記水性分散体をコーティング組成物の製造に用いることができ、このコーティング組成物は様々な基材に塗布して透明な保護層を形成するためまたは顔料を含む着色層を形成するために用いることができる。基材としては、例えば床、壁、アプライアンス、自動車、またはそれらの部品を挙げることができる。一実施形態では、基材は画像形成要素である。したがって本発明の別の態様は、保護オーバーコートを有する画像形成要素の製造方法に関し、その保護オーバーコートは上記方法により形成された多重官能性粒子を含むコーティング組成物から作られる。無孔質または多孔質コーティングを用いることができる。多孔質コーティングの用途には、例えば画像形成要素、インクジェット媒体、および医療用途が挙げられる。多孔質材料を使用して試験用の生物試料を吸収し保管することができる。
無孔質保護コーティングの場合、比較的低い質量比率でのみ水性コーティング系に加えられるレオロジー添加剤(rheological additives)がそのコーティングのレオロジーを調整して様々なコーティング用途の要求を満たすことができることは長く知られていた。このように調整される水性系としては、ラテックスコーティング、保護コーティング、紙用コーティング、家庭用洗剤、化粧品およびパーソナルケア用品、接着剤およびシーラント、インク、掘穿泥水などが挙げられる。レオロジー添加剤は液体系に三次元網目組織を付与する(低せん断速度における粘度の増加によって表される)チキソトロープ剤である。系が高せん断速度でせん断されるとこの網目組織が破壊し、その結果、粘度の低下をひき起す。この網目組織は外力が取り除かれると回復する。レオロジー添加剤は、増粘すべき系の全質量を基準にして約0.01%〜約10%(その増粘剤、増粘すべき系の特徴、および所望のレオロジー特性によって決まる)が加えられる。チキソトロープ剤、増粘剤、およびレオロジー添加剤の用語はしばしば区別なく使用される。水性系用の多くのレオロジー添加剤、すなわち天然のもの、変性された天然のもの、および合成のものが入手可能である。天然のレオロジー添加剤としては、グアーガム、ペクチン、カゼイン、カラゲーン、キサンタンガム、およびアルギン酸エステル類が挙げられる。変性添加剤としては、変性セルロース類、より具体的にはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
代わりに、これら多重官能性粒子はスプレイコーティング技術により粉末組成物として塗布することもできる。例えば、通常の静電スプレイコーティングを利用して多重官能性粒子を塗布することができる。
コーティング助剤としての界面活性剤の例としては、コーティング調製物の表面張力を十分に下げて、エッジ撤退性(edge−withdrawal)、剥離性、および他のコーティング欠陥を防止する任意の表面活性物質が挙げられる。これらの界面活性剤としては、アルキルオキシもしくはアルキルフェノキシポリエーテルまたはポリグリシドール誘導体およびそれらの硫酸塩、例えばノニルフェノキシポリ(グリシドール)(Olin Matheson Corporationから入手できる)またはオクチルフェノキシポリ(エチレンオキシド)硫酸ナトリウムと、有機硫酸塩またはスルホン酸塩、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム(AEROSOL OT)と、アルキルカルボン酸塩、例えばデカン酸ナトリウムと、シリコーン界面活性剤と、フルオロ界面活性剤とが挙げられる。
オーバーコートの表面特性は、主に多重官能性ポリマー粒子の物理的特性によって決まる。しかし、オーバーコートの表面特性は、その表面を任意選択的に融着する条件によって変えることもできる。例えば、接触融着では、ポリマーを融着させて連続的なオーバーコート層を形成するために用いられる融着要素の表面特性を選択して、その要素の表面に所望の度合いの滑らかさ、テクスチャー(texture)、またはパターンを付与することができる。したがって、例えば、高度に滑らかな融着要素は、画像形成された要素に光沢のある表面を与え、テクスチャー付きの融着要素は、要素に艶消しあるいは他のテクスチャー付き表面を与え、パターン付き融着要素は、要素の表面にパターンを付ける。
本発明により製造されるコーティング組成物は、浸漬コーティング、ロッドコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、グラビアコーティングおよびリバースロールコーティング、押出コーティング、スライドコーティング、カーテンコーティングなどの複数のよく知られた技術のいずれかによって適用することができる。コーティング後、その層は一般には単純な蒸発によって乾燥されるが、対流加熱などの周知の技術によって加速することもできる。オーバーコートのレイダウンはその適用領域に左右される。
一つの具体的な実施形態では、本発明は、エンドユーザーによる頻繁な取扱いおよび酷使に遭遇するインクジェット印刷物などの画像形成要素または材料の画像形成側用の改良されたオーバーコート配合物の製造方法を提供する。インクジェット記録要素は、典型的には、その少なくとも一方の面に少なくとも1層のインク受容層を有する支持体を含む。典型的には、インク受容層は、毛管作用によりインクを吸い込む多孔質層か、または膨潤してインクを吸収するポリマー層のいずれかである。透明な膨潤性の親水性ポリマー層は光を散乱せず、したがって最適な画像濃度および色域を与えるが、乾燥するのに望ましからざる長時間を要する可能性がある。多孔質インク受容層は、通常、バインダーによって結合された無機または有機粒子から構成される。インクジェット印刷過程の間に、インクの液滴は毛管作用により急速にコーティング中に吸収され、画像はプリンタから出た直後に指触乾燥状態になる。したがって多孔質コーティングはインクの急速な「乾燥」を可能にし、耐汚染性画像を生成する。しかし多孔質層は多数の空気−粒子界面により光を散乱し、その結果、低濃度の印刷画像をもたらす可能性がある。
インクジェット記録要素上へ印刷することによって調製されるインクジェット印刷物は環境的劣化を受けやすい。それらは水との、またオゾンなどの大気ガスとの接触により生ずる損傷に特に弱い。オゾンはインクジェット色素を漂白し、濃度の減損をひき起す。多孔質層は、開放気孔のために大気ガスに特に弱い。画像形成後の水との接触によりひき起される損傷は、トップコートの光沢低下に由来するウォータスポット(water spots)の形成や、望ましくない色素の拡散による色素汚染の形で現れ、場合によっては画像記録層が全体的に溶解してしまうことがある。これらの欠点を克服するために、本発明によるオーバーコート配合物を用いて上側の層を形成することができる。画像を印刷した後にこの上側の層を融着することは、耐水性および耐汚染性のための保護オーバーコートを与えること、画像品質を改良するために光散乱を減少することの両方の利点を有する。
本発明の分散体を用いて製造することができるインクジェット記録要素の一実施形態の一例は、支持体を含み、この支持体上に、順に、可融性の
a)(i)可融性の多重官能性ポリマー粒子であって、それぞれの粒子が同一ポリマー鎖、粒子中で互いに架橋できる少なくとも2種類の異なる反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む可融性の多重官能性ポリマー粒子、および/または別のかかる粒子中のかかる反応性官能基と架橋することができる少なくとも2種類の異なる反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む可融性の多重官能性ポリマー粒子と、
(ii)任意選択的に使用されるバインダーと、
を含む上側の可融性多孔質層、および
b)可融性または非可融性であり、任意選択的に媒染剤を含んでいてもよいインクキャリア液を受容する任意選択的に使用される下側の多孔質層、
を有する。
インクジェット媒体中の層に関して本明細書中で用いられる用語「上の」、「上方の」、「上側の」、「下の」、「下側の」などは支持体上の順序を意味するが、それら層がじかに隣接していることまたは中間層が存在しないことを必ずしも指すものではない。
媒体上に画像を印刷した後、融着とそれと並行する架橋は十分完全におこなわねばならない。不十分な融着または架橋は、粘着性の、脆い、または不連続な表面をもたらすことがあり、またその可融性多孔質層が多孔質のままか、あまりに脆すぎるか、または亀裂が入る場合、インクジェット要素は望ましい耐ブロッキング性を有しないだけでなく、耐水性および耐汚性にならない。
多重官能性ポリマー粒子は、加熱または融着された場合(例えば、加熱されたフューザーニップにおける画像形成要素の融着)に流動し架橋し、それによって優れた画像品質および印刷物耐久性能を有するインクジェット表面コーティングおよび媒体を達成することを意図している。
インクジェットオーバーコート用の分散体に使用される粒子および任意選択的に使用されるバインダーの粒子対バインダー比は、約100:0〜60:40、好ましくは約100:0〜約90:10にわたることができる。一般的に、多孔質層の場合、上記範囲外の粒子対バインダー比では、普通は良好な画像品質を実現するのに十分な多孔性にはならない。
上側の可融性の多孔質インク捕捉層の製造に使用する場合、多重官能性粒子を含むコーティングは、通常、約1g/m2〜約50g/m2の量で存在する。好ましい実施形態では、可融性多孔質層は約1g/m2〜約10g/m2の量で存在する。
熱および/または圧力を加えることによる融着によって、その層の元の多孔質構造中に存在する空気−粒子界面はなくなり、印刷画像を有する非散乱性の実質上連続な層が生じる。この用途では、可融性多孔質層非散乱性の層に変換することができるものである。なぜなら非散乱性層は画像濃度を著しく向上させるからである。
インクジェット記録要素用の支持体は、必要に応じて、単独または任意選択の下側の多孔質層とともに液体吸収層またはサンプ層として働くことができる。このインクジェット記録要素としては、染料系インク、顔料系インク、またはその両方と共に使用するように意図されたものが挙げられる。染料系インクを用いて印刷する場合、インクジェット記録要素を、その下側の多孔質層が好ましくは上側の可融性多孔質層とは別個の主たる染料捕捉層として働くように設計することができる。顔料系インクを用いて印刷する場合、インクジェット記録要素を、下側の多孔質層ない形に設計するか、または下側の多孔質層が好ましくはサンプ層として働くように設計することができる。しかし、上側の可融性多孔質層は、印刷に使われるインク組成物にもよるが、サンプ層として働く任意選択的に使用される下側の多孔質層と一緒に染料捕捉層または顔料捕捉層のどちらかとして働くことも可能である。
第一の実施形態では、上側の可融性多孔質層は、好ましくは顔料捕捉層として働くように設計される。
第二の実施形態では、上側の可融性多孔質層は、好ましくは代わりに顔料捕捉層および染料捕捉層の両方として働くように設計される。すなわち印刷画像はインク組成物に関係なく上側の可融性多孔質層中で形成される。
さらに第三の実施形態では、上側の可融性多孔質層は、好ましくはインク受容層として働くように設計され、その上側の可融性多孔質層より下には可融性ポリマー粒子(必ずしも架橋性でない)、任意選択の染料媒染剤、および任意選択的に使用される親水性バインダーを含む下側の可融性多孔質染料捕捉層が存在する。また、任意選択的に、インクキャリア液受容層が、その下側の可融性多孔質染料捕捉層より下にある。
この第三の実施形態では、染料捕捉層および/または支持体は、任意選択的に、単独または任意選択的に使用されるインクキャリア液受容層とともにある程度までは液体吸収サンプ層として働くことができる。
またこの第三の実施形態では、上側の可融性多孔質層は、染料を含む水性インクの一部または全部が、より親水性の材料を含む下側の層へ移動するのを促進するように任意選択的に疎水性高分子バインダーを含むことができる。こうしてインク中の着色剤を2つの可融性層に分配することができ、あるいは実質上すべてのインク着色剤を下側の可融性多孔質染料捕捉層へ運ぶことができ、この場合、上側の可融性多孔質層はインク輸送層と呼ぶことができる。
上記第一および第三の実施形態は、好ましくは顔料系インクまたは染料系インクのどちらかで印刷するように設計された記録要素を伴うが、両方の種類のインクでその上に印刷することも可能である。例えば第二の実施形態におけるインク輸送層は顔料捕捉層として働くこともでき、顔料捕捉層はまた染料捕捉層として働くこともできる。また、第二の実施形態の場合のように、顔料系インクを使用するかそれとも染料系インクを使用するかに関係なく使用するための「汎用」記録要素を設計することも可能である。このような汎用記録要素の好ましい実施形態では、上側の可融性多孔質層の下に独立した染料捕捉層は存在せず、したがって、1つの可融性層だけが存在する。
用語「多孔質」層とは、適用されたインクを染料の拡散ではなく毛管作用によって吸収する層を意味する。多孔度は、粒子対バインダーの幾何配置によって影響される可能性がある。混合物の多孔度は、限界顔料体積濃度(CPVC)に基づいて予測することができる。
任意選択的に使用される多孔質インクキャリア液受容層は、インクキャリア液が上側の可融性多孔質層を通過し、上側の可融性多孔質層において実質上すべての着色剤が除去された後、インクキャリア液を受容する。この任意選択的に使用される多孔質のインクキャリア液受容層は、インクが多孔質インク輸送層を通過して、多孔質染料捕捉層を通過し、多孔質染料捕捉層において実質的にすべての染料が除かれた後、インクキャリア液を受容する。このインクキャリア液受容層は、任意の通常の多孔質構造であることができる。好ましい実施形態では、インクキャリア液受容層は、約1g/m2〜約50g/m2、好ましくは約10g/m2〜約45g/m2の量で存在する。この層の厚さは、多孔質支持体を用いるか、それとも無孔質支持体を用いるかによって決まるであろう。
一般的に、多孔質インクキャリア液受容層は約1μm〜約50μmの厚さを有し、またその上に存在する上側の可融性多孔質層は通常2μm〜約50μmの厚さを有するはずである。
インクジェット記録要素の一実施形態では、インクキャリア液受容層は、有機または無機粒子を含有する連続的で同一の広がりをもつ(co−extensive)多孔質層である。使用することができる有機粒子の例としては、Kapusniak他の米国特許第6,492,006号中で開示されているものなどのコア/シェル粒子、およびKapusniak他の米国特許第6,475,602号中で開示されているものなどの均一な粒子が挙げられる。なお、これらの開示内容は引用により本明細書に援用する。この層に使用することができる有機粒子の例としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース誘導体、ポリビニル樹脂、エチレン−アリルコポリマー、重付加ポリマー、例えばポリウレタン類、および重縮合ポリマー、例えばポリエステル類が挙げられる。
インクキャリア液受容層中で使用することができる無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、クレー、炭酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、または酸化亜鉛が挙げられる。本発明の分散体を用いて製造することができるインクジェット記録要素の好ましい実施形態では、多孔質インクキャリア液受容層は、粒子を約20質量%〜約100質量%および高分子バインダーを約0質量%〜約80質量%、好ましくは粒子を約80質量%〜約95質量%および高分子バインダーを約20質量%〜約5質量%含む。好ましい実施形態では、高分子バインダーは、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ゼラチン、セルロースエーテル類、ポリオキサゾリン類、ポリビニルアセトアミド類、部分加水分解ポリ(酢酸ビニル/ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド)、スルホン化またはリン酸化ポリエステル類およびポリスチレン類、カゼイン、ゼイン、アルブミン、キチン、キトサン、デキストラン、ペクチン、コラーゲン誘導体、コロジアン、寒天、アロールート(arrowroot)、グアー、カラギーナン、トラガカント、キサンタン、ラムサン(rhamsan)などの親水性ポリマーであることができる。好ましくは、親水性ポリマーは、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(酢酸ビニル)、またはこれらのコポリマー、またはゼラチンである。
インクキャリア液受容層に機械的耐久性を付与するために、上記でバインダーに作用する架橋剤を少量加えることができる。かかる添加剤は層の凝集強さを改善する。カルボジイミド類、多官能アジリジン類、アルデヒド類、イソシアナート類、エポキシド類、多価金属カチオン類、ビニルスルホン類、ピリジニウム、ピリジリウムジカチオンエーテル、メトキシアルキルメラミン類、トリアジン類、ジオキサン誘導体、クロムミョウバン、硫酸ジルコニウム、ホウ酸の誘導体などの架橋剤を使用することができる。好ましくは架橋剤は、アルデヒド、アセタール、またはケタール、例えば2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンである。
多孔質インクキャリア液受容層はまた、開放気孔ポリオレフィン、開放気孔ポリエステル、または開放気孔膜を含むことができる。開放気孔膜は、周知の転相法により形成することができる。開放気孔膜を備えた多孔質インクキャリア液受容層の例は、両方ともLandry−Coltrain他の米国特許第6,497,941号および第6,503,607号中に開示されており、これらの内容は引用により本明細書に援用する。
インクジェット記録要素の一つの好ましい実施形態では、多孔質インクキャリア液受容層は、高分子バインダー中にメタケイ酸カルシウムの針状結晶と、任意選択的に有機および/または無機粒子とを含む連続的で同一の広がりをもつ多孔質メタケイ酸カルシウム含有ベース層である。本発明で使用することができるメタケイ酸カルシウムの例には、VANSIL針状ウォラストナイトが挙げられる。個々のインクジェット記録システムに応じて、有用な銘柄としては、VANSIL WG、VANSIL HR−1500、およびHR−325が挙げられ、これらはすべてR.T. Vanderbilt Co., Inc., Norwalk, Conn.(website: www.rtvanderbilt.com)から市販されている。
本発明による分散体を用いて製造することができるインクジェット記録要素の第一の実施形態は、好ましくは顔料捕捉上側層として働くように設計された上側の(好ましくは最も上の)可融性多孔質層を含み、また本発明の第二の実施形態は、好ましくは代わりに顔料捕捉層および染料捕捉層の両方として働くように設計された上側(好ましくは最も上)の可融性多孔質層を含み、すなわち印刷画像がインク組成物とは無関係に上側の可融性多孔質層に形成される、さらに、第三の実施形態では、上側の可融性多孔質層が、可融性ポリマー粒子(必ずしも架橋性でない)と、任意選択的に使用される染料媒染剤と、任意選択的に使用される親水性バインダーとを含む下側の可融性多孔質染料捕捉層の上のインク輸送層として好ましくは働くように設計される。
この第三の実施形態では、上側の可融性多孔質層は、皮膜形成性の疎水性バインダーをさらに含有していてもよく下側の染料捕捉層も可融性の場合には、このバインダーは有利なことがある。少量のバインダーの存在は、融着前の原料保存性(raw−stock keeping)と、耐久性と、取扱性能とを高めることができる。本発明で有用な皮膜形成性の疎水性バインダーは、水中に分散することができる任意の皮膜形成性の疎水性ポリマーであることができる。しかし、本発明の好ましい実施形態では、バインダーは存在しない。バインダーを使用する場合、好ましくは少量を使用すべきである。
上側のインク輸送層からインクを受け取る可融性染料捕捉層と組み合わせて好ましくはインク輸送層として働くように設計された上側の可融性多孔質層の場合、その可融性染料捕捉層は好ましくは実質上すべての染料を保持し、任意選択的に使用される下にある多孔質インクキャリア液受容層および/または場合によっては多孔質支持体へのインクキャリア液の通過を可能にする。
熱および/または圧力を加えることによる融着によって、染料捕捉層(画像層とも呼ぶ)の元の多孔質構造中に存在する空気−粒子界面はなくなり、印刷画像を含む非散乱性の実質上連続的な層が形成される。可融性多孔質インク輸送層および下にある染料捕捉層の両方が画像濃度を顕著に上げるように非散乱層に変形できることが本発明のこの実施形態の重要な特徴である。
この実施形態の染料捕捉層に使用される可融性ポリマー粒子は、典型的には、約0.1μm〜10μmの範囲にわたるが、より小さな粒子も可能である。染料捕捉層中に使用される粒子は、可融性の、すなわち熱および/または圧力を加えることによりばらばらの粒子から実質上連続的な層に変換することができる任意のポリマーから形成することができる。好ましい実施形態では、可融性ポリマー粒子は、酢酸酪酸セルロースなどの天然ポリマーのエステル誘導体、ポリエステルまたはポリウレタンなどの逐次生長ポリマー、連鎖生長ポリマー、例えばスチレン系ポリマー、ビニルポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、ポリアクリラート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、または酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマーなどを含む。
染料捕捉層中に使用されるバインダーは、可融性ポリマー粒子と結合するように働く任意の皮膜形成ポリマーであることができる。好ましい実施形態では、このバインダーは、アクリル系ポリマー、酢酸ビニルポリマー、またはポリウレタンの水性分散体から誘導された疎水性皮膜形成バインダーである。
染料媒染剤が染料捕捉層に使用されることが好ましい。かかる染料媒染剤は、インクジェット染料に効果的に直接作用する任意の物質であることができる。染料媒染剤は、多孔質インク輸送層から受け取ったインクから染料を除いて、その染料を染料捕捉層内に固定する。かかる媒染剤の例としては、米国特許第6,297,296号およびその中で引用されている参考文献中に開示されているような陽イオン格子、米国特許第5,342,688号に開示されているようなカチオンポリマー類、および米国特許第5,916,673号に開示されているような多価イオン類が挙げられる。なお、これらの開示内容は引用により本明細書に援用する。これら媒染剤の例としては、高分子量第四級アンモニウム化合物、または塩基性ポリマー類、例えばポリ(ジメチルアミノエチル)−メタクリラート、ポリアルキレンポリアミン類、およびこれとジシアノジアミドの縮合生成物、アミン−エピクロロヒドリン重縮合物、およびポリエチレンイミン−エピクロロヒドリンが挙げられる。さらにレシチン類およびリン脂質化合物も使用することができる。かかる媒染剤の具体例としては、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド/エチレングリコールジメタクリラート、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(2−N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルメタクリラートメトスルファート、ポリ(3−N,N,N−トリメチル−アンモニウム)プロピルメタクリラートクロリド、ビニルピロリジノンとビニル(N−メチルイミダゾリウムクロリド)のコポリマー、および(3−N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロピルクロリドで誘導体化されたヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。好ましい実施形態では、カチオン媒染剤は第四級アンモニウム化合物である。
媒染剤と混和性であるように、バインダーと可融性粒子を構成するポリマーとの両方が、好ましくは電荷も持たないか、または媒染剤と同じ電荷を有する。ポリマー粒子またはバインダーが媒染剤と逆の電荷を有する場合、コロイドの不安定性および望ましくない凝集が生ずる恐れがある。
一つの具体的な実施形態では、染料捕捉層中の可融性粒子は約95〜約60質量部の範囲にわたることができ、バインダーは約40〜約5質量部の範囲にわたることができ、また染料媒染剤は約2質量部〜約40質量部の範囲にわたることができる。より好ましくは、染料捕捉層は、約80質量部の可融性粒子、約10質量部のバインダー、および約10質量部の染料媒染剤を含む。染料捕捉層は、質量基準で約1g/m2〜約50g/m2の量、より好ましくは約1g/m2〜約10g/m2の量で記録要素中に存在することができる。
インクジェット記録要素に使用される支持体は、不透明、半透明、または透明であることができる。例えば普通紙、樹脂コート紙、例えばポリエステル樹脂、例えばポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(エチレンナフタラート)、およびポリ(二酢酸エステル)を含めた様々なプラスチック、ポリカーボネート樹脂、ポリ乳酸、フッ素樹脂、例えばポリ(テトラ−フルオロエチレン)、金属箔、様々なガラス材料などを使用することができる。好ましい実施形態では、支持体は、下記の実施例で用いられるような開放構造の紙支持体である。本発明で使用される支持体の厚さは、約12〜約500μm、好ましくは約75〜約300μmである。
必要に応じて、ベース層の支持体に対する接着を向上させるために、そのベース層又は溶媒吸収層を支持体に適用する前に支持体の表面をコロナ放電処理することもできる。
インクジェット記録要素は他の画像記録製品、あるいは画像記録装置の駆動または搬送機構と接触することがあるので、界面活性剤、滑剤、艶消し材料などの添加剤を、問題にしている諸特性を低下させない程度までその要素に加えることができる。
また裏面コーティングをインクジェット記録要素の支持体の反対側にコートして耐水性および耐汚染性、前面と裏面の耐熱ブロッキング性、許容し得る原保存特性、およびカールバランス(curl balance)を与えることもできる。上記特徴の一部または全てを付与する好ましいコーティングは、分散された疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスなどの高分子コーティングである。さらに、前面コーティングと同様にこの裏面コーティングも他の画像記録製品、あるいは画像記録装置の駆動または搬送機構と接触することがあるので、界面活性剤、滑剤、補強を与える無機粒子、艶消スペーサ粒子などの添加剤を、問題にしている諸特性を低下させない程度にこの裏面コーティングに加えることができる。
インクキャリア液受容層および上側の可融性多孔質層を含めた前述の層は、当業界で一般に用いられている支持材上への通常のコーティング手段によりコートすることができる。この実施形態によれば、染料捕捉層およびインク輸送層は、支持材上に同様にコートすることができる。コーティング法としては、巻ワイヤロッドコーティング、エアナイフコーティング、スロットコーティング、スライドホッパコーティング、グラビア、カーテンコーティングなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの方法の幾つかは3つの層すべての同時コーティングを可能にし、これは製造の経済的観点から好ましい。
本発明の要素上に印刷した後、上側の可融性多孔質層を熱および/圧力で融着させてその表面に実質上連続的なオーバーコート層を形成する。融着によって、この層は非光散乱性になる。融着およびそれと並行して架橋を十分完全におこなわねばならない。不十分な融着および架橋は粘着性表面をもたらす恐れがあり、その可融性多孔質層が多孔質のままの場合、インクジェット要素は望ましい耐ブロッキング性を有しないだけでなく、耐水性および耐汚染性にならない。
融着は、意図する目的にとって効果的な任意のやり方で達成することができる。融着ベルトを使用する融着方法に関する記述を米国特許第5,258,256号中に見出すことができ、また融着ローラを使用する融着方法に関する記述を米国特許第4,913,991号中に見出すことができる。なお、これらの開示内容は引用により本明細書に援用する。融着ローラを使用する場合、有利なことに、本発明の低Tg反応性ポリマー粒子によって融着は容易になる。
好ましい実施形態で、融着は、要素の表面を融着ローラまたは融着ベルトなどの熱融着部材と接触させることによって達成される。したがって、例えば融着は、この要素を、約0.005m/秒〜約0.5m/秒の輸送速度で5〜約15MPaの圧力を用いて約60℃〜約160℃に加熱した一対の加熱ローラを通過させることによって達成することができる。
前述のように可融性ポリマー粒子の低い初期Tgは、比較的低い温度および/または低い圧力、例えば幾つかの従来技術のセルロースエステルの可融性ポリマー粒子にとって必要とされる華氏350度の代わりに華氏約300度未満で融着する場合の利点となりうる。融着および架橋の後、インクジェット要素のトップ層のTgが高くなるため、ブロッキングの問題が避けられる。また、本発明により製造することができるインクジェット媒体のさらなる利点は、要素を融着するのにより少ない熱を必要とするので、変形することなく、また光沢を減らすことまたは平滑な表面に悪影響を与えることなくインクジェット要素をその融着要素から開放することができる。これは、そうでない場合、インクジェット要素が冷却してから開放するために十分な時間を取るようにより長時間の接触を与えることを必要とする可能性のあるベルト融着器と比べて、融着ローラの使用が容易になる。
下記の例により、本発明をさらに例示する。
ポリマー粒子分散体P−1からP−11を次のように調製した。粒径は、別段の指示がない限り、MICROTRAC Ultra Fine Particle Analyzer(Lees and Northrup)により50%メジアン値で測定した。
ポリマー粒子P−1の合成:
下記の成分を使用して乳化重合法によりポリマー粒子分散体を調製した。
A部: 脱イオン水(100g)
過硫酸カリウム(0.15g)
Na225(メタ硫酸ナトリウム)(0.9g)
B部: 脱イオン水(120g)
メタクリル酸グリシジル(5.37g)
メタクリル酸エチル(17.4g)
メタクリル酸ブチル(39.0g)
メチルアクリル酸(3.25g)
過硫酸カリウム(0.8g)
SDS(0.25g)
3−メルカプトプロピオン酸(0.75g)
まず(A)部を、窒素の入口、機械的撹拌器、および凝縮器を備えた1 Lの3首フラスコに装入した。このフラスコを35℃の一定温度の槽中に浸漬し、窒素で20分間パージした。
この混合物に(B)部を加えた。モノマーエマルションの供給の間中ずっと撹拌を持続した。モノマーエマルション(B)の添加時間は2時間であった。
モノマーエマルションの添加後、重合を30分間続けた。
混合物を室温まで冷却し濾過した。この最終的な固形分は約22%であり、また最終的な粒径は約0.51μmであった。UPAにより求めた単分散度は1.03であった。
ポリマー粒子P−2からP−11の合成を、異なる組成またはモノマーを使用したことを除いて上記試料と同じ方法で行った。
試料P−8の平均分子量は、46,000(数平均)および97,000(質量平均)であった。下記の表1はポリマー組成の詳細を示す。
Figure 2008533239
本発明による高分子粒子、それらの分散体、およびコーティング組成物を含む様々なインクジェット記録要素を調製した。
例1
メタケイ酸カルシウム(R.T. Vanderbilt Company Inc., Norwalk, Connecticut製のWOLLASTONITE HR325)、プラスチック顔料ラテックス(Dow Chemical, Marietta, Georgia製のHS3000 NA高Tgアクリル中空ビーズ(1μm))、およびポリビニルアルコール(日本合成(大阪、日本)製のGOHSENOL GH17)を乾燥質量比45/45/10で含有する固形分25%の水溶液を調製した。次いで、これを用紙DOMTAR QUANTUM 80上にホッパーコータを用いて26.9g/m2(2.5g/ft2)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて支持体上にインクキャリア液受容層を得た。
例2
分散体P−8を希釈して18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて非反応性熱可塑性ポリマー粒子を含む可融性多孔質層を備えた比較用の記録要素を形成した。
例3
ポリマー粒子分散体P−1を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例4
ポリマー粒子分散体P−2を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例5
ポリマー粒子分散体P−3を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例6
ポリマー粒子分散体P−6を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例7
ポリマー粒子分散体P−7を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し、乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例8
(1)高分子粒子P−4、(2)コロイド状カチオン媒染剤ジビニルベンゼン−co−N−ビニルベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、および(3)ポリ(ビニルアルコール)(日本合成製のGOHSENOL GH17)の分散体を乾燥質量比75/15/10で希釈して18%水性分散体(分散液中の粒子の乾燥質量)を調製した。次いでこれを実施例1のインクキャリア液受容層上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて支持体上のインクキャリア液受容層上にコーティングされた色素捕捉層を備えた記録要素を形成した。
例9
ポリマー粒子分散液P−5を希釈して18%水溶液を調製した。次いで、これを例8の染料捕捉層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて支持体上のインクキャリア液受容層上にコーティングされた染料捕捉層上にコーティングされたインク受容層を備えた比較用の記録要素を形成した。
例10
ポリマー粒子分散体P−1を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例8上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例11
ポリマー粒子分散体P−2を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例8上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例12
ポリマー粒子分散体P−3を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例8上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例13
ポリマー粒子分散体P−6を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例8上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例14
ポリマー粒子分散体P−7を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例8上に6.2g/m2(0.6g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例15
ポリマー粒子分散体P−9を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例16
ポリマー粒子分散体P−10を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
例17
ポリマー粒子分散体P−11を用いて18%水溶液を調製した。次いで、これを例1のインクキャリア液受容層上に8.6g/m2(0.8g/平方フィート)の乾燥レイダウンで塗布し乾燥させて本発明による記録要素を形成した。
印刷:
例2〜7、実施例9〜14、および例15〜17を、Eastman Kodakの顔料インクを用いてCANON i960インクジェットプリンタで印刷した。テストターゲットは1cm2のカラーパッチ(それぞれ一組の原色および二次色)からなる。各パッチは100%濃度で印刷した。
また例9〜14は組み込まれたCANON色素系インクを用いてCANON i550プリンタで印刷した。テストターゲットは1cm2のカラーパッチ(それぞれ一組の原色および二次色)からなる。各パッチは100%濃度で印刷した。
融着および試験:
印刷された要素を1時間乾燥させ、次いで76cm/分のゾル−ゲル塗工したポリイミドベルトと4.2kg/cm2で接した125℃の加熱ニップで融着させた。1滴の水、コーヒー、およびフルーツポンチ(Red Dye #40およびBlue Dye #1を含有するHAWIIAN PUNCH)をそれらカラーパッチ上および白色の非印刷領域上にたらし、10分間放置にし、次いで拭き取った。滴をたらしたそれぞれの領域を、表面になんらかの汚点、ウォターマーク、および変形がないか目視的に検査した。なんらかの汚点、ウォターマーク、または変形が検出された場合、それを不合格品位に指定した。汚点、ウォターマーク、または変形が検出されない場合、それを合格品位に指定した。表2にこれらの結果を要約する。
Figure 2008533239
これらデータは、内部架橋性粒子を用いてコーティングを熱的に固定するすべてのケースですぐれた耐汚染性が得られたことをはっきり示している。このような内部架橋性粒子を使用しなかった場合は不十分な耐汚染性が得られた。

Claims (40)

  1. 少なくとも2種類の異なる反応性官能基を各ポリマー分子上に有する熱可塑性ポリマーを含み、前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、高温にさられた場合に、互いに反応して前記熱可塑性ポリマーを架橋させることができる多重官能性ポリマー粒子の水性分散体の製造方法であって、それぞれ異なる反応性官能基を有する少なくとも2種類の異なるモノマーを、第一および第二のレドックス開始剤成分を含むレドックス重合開始剤系の存在下で水性溶媒中において反応させるステップであって、反応温度を約50℃未満に維持して前記反応性官能基を実質上未反応のまま残すことによって10μm未満の平均粒径を有する前記多重官能性ポリマー粒子の水性分散体の形態の前記モノマーの重合生成物を形成するステップを含む方法。
  2. 前記方法が、
    (a)それぞれ異なる反応性官能基を有する少なくとも2種類の異なるモノマーと、第一のレドックス開始剤成分と、任意選択的に界面活性剤とを含む水性モノマーエマルションを形成するステップ、
    (b)相補的な第二のレドックス開始剤成分を含む水性組成物を形成するステップ、および
    (c)長時間にわたって前記水性モノマーエマルションを前記水性組成物に加えて前記重合生成物を形成するステップ
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記レドックス重合開始剤系が酸化剤および還元剤を含む、請求項1に記載の方法。
  4. まず(a)それぞれ異なる反応性官能基を有する前記少なくとも2種類の異なるモノマーを含めた反応すべきモノマーの全量と、(b)前記レドックス重合開始剤系の全量と、(c)任意選択的に使用される界面活性剤とを単一反応器中で混合して水性モノマーエマルションを形成し、反応温度を約50℃未満に保ち、次いで反応させる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも2種類の異なるモノマーが、エチレン不飽和酸、モノプロトン性化合物もしくはジプロトン性化合物、酸無水物、または二塩基酸のモノエステルからなる群から選択される酸モノマーを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記多重官能性ポリマー粒子が、約0.1〜約10μmのサイズにわたる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記多重官能性ポリマー粒子が1.3未満の単分散度を有する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記熱可塑性ポリマーの数平均分子量が5,000〜1,000,000であり、そのガラス転移温度が約20℃超かつ約100℃未満である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、スチレン系ポリマー、ビニルポリマー、エチレン−塩化ビニルコポリマー、アクリル系ポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、およびこれらのコポリマーからなる群から選択される連鎖生長ポリマーである、請求項1に記載の方法。
  10. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、アルキル基が好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルモノマーまたはメタクリル酸アルキルモノマーから誘導される1または2以上の単量体単位を含むポリアクリラートポリマーまたはコポリマーである、請求項1に記載の方法。
  11. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、オキサゾリン官能基、エポキシ官能基、酸官能基、酸無水物官能基、アセトアセトキシ官能基、第一級または第二級アミン官能基、ヒドロキシル官能基、フェノール官能基、チオール官能基およびイソシアナート官能基からなる群から選択される反応性官能基を有する第一の単量体単位と、さらに相補的反応性官能基を有する第二の単量体単位とを含み、前記相補的反応性官能基は前記反応性官能基が架橋できるように上記と同じ群から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、エポキシおよび/またはオキサゾリン基からなる群から選択される第一の反応性官能基と、酸官能基、ヒドロキシ官能基、アミン官能基および酸無水物官能基からなる群から選択される第二の反応性官能基とを有する単量体単位を0.5〜50パーセント含む、請求項11に記載の方法。
  13. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれヒドロキシ基およびエポキシ基を含む、請求項1に記載の方法。
  14. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれヒドロキシ基およびカルボン酸基を含む、請求項1に記載の方法。
  15. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれオキサゾリン基およびカルボン酸基を含む、請求項1に記載の方法。
  16. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれエポキシ基およびカルボン酸基を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれアセトアセトキシおよびアミン官能基を含む、請求項1に記載の方法。
  18. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれエポキシおよびアミン官能基を含む、請求項1に記載の方法。
  19. 少なくとも2種類の異なるモノマーが、それぞれ酸無水物およびアミン官能基を含む、請求項1に記載の方法。
  20. 少なくとも2種類の異なる反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む多重官能性ポリマー粒子を含み、前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、高温および任意選択的に圧力にさられた場合に、同一ポリマー分子内で互いに反応するか、又は同一もしくは別の多重官能性ポリマー粒子中の別の分子と反応して前記熱可塑性ポリマーを架橋させることができる組成物。
  21. 前記組成物が、水性溶媒中の前記多重官能性ポリマーの水性分散液であり、任意選択的に前記水性溶媒中の高分子バインダーとさらに組み合わされていてもよい、請求項20に記載の組成物。
  22. 白色または非白色着色剤をさらに含む、コーティング組成物に有用な請求項20に記載の組成物。
  23. 前記高分子バインダーが水溶性または水分散性である、請求項21に記載の組成物。
  24. 前記組成物中の前記多重官能性ポリマー粒子の質量比が、前記水性分散体中の固形分の少なくとも10質量パーセントである、請求項21に記載の組成物。
  25. 前記組成物が、紫外線吸収剤、界面活性剤、乳化剤、塗布助剤、滑剤、艶消粒子、レオロジー調整剤、架橋剤、曇り防止剤、無機充填剤、顔料、磁性粒子、および/または殺生物剤をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
  26. 前記多重官能性ポリマー粒子が1.3未満の単分散度を有する、請求項20に記載の組成物。
  27. 前記熱可塑性ポリマーの数平均分子量が5,000〜1,000,000であり、そのガラス転移温度が約20℃超かつ約100℃未満である、請求項20に記載の組成物。
  28. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、アルキル基が好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアクリル酸アルキルまたはメタクリル酸アルキルモノマーから誘導される1または2以上の単量体単位を含むポリアクリラートポリマーまたはコポリマーである、請求項20に記載の組成物。
  29. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、オキサゾリン官能基、エポキシ官能基、酸官能基、酸無水物官能基、アセトアセトキシ官能基、第一級または第二級アミン官能基、ヒドロキシル官能基、フェノール官能基、チオール官能基およびイソシアナート官能基からなる群から選択される反応性官能基を有する第一の単量体単位と、さらに相補的反応性官能基を有する第二の単量体単位とを含み、前記相補的反応性官能基は前記反応性官能基が架橋できるように上記と同じ群から選択される、請求項20に記載の組成物。
  30. 前記多重官能性ポリマー粒子を構成する前記熱可塑性ポリマーが、酸官能基、ヒドロキシ官能基、アミン官能基、および/または酸無水物官能基とともにエポキシおよび/またはオキサゾリン基からなる群から選択される相補的反応性官能基を有する単量体単位を0.5〜50パーセント含む、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれヒドロキシ基およびエポキシ基を含む、請求項20に記載の組成物。
  32. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれヒドロキシ基およびカルボン酸基を含む、請求項20に記載の組成物。
  33. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれオキサゾリン基およびカルボン酸基を含む、請求項20に記載の組成物。
  34. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれエポキシ基およびカルボン酸基を含む、請求項20に記載の組成物。
  35. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれアセトアセトキシおよびアミン官能基を含む、請求項20に記載の組成物。
  36. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれエポキシおよびアミン官能基を含む、請求項31に記載の組成物。
  37. 前記少なくとも2種類の異なる反応性官能基が、それぞれ酸無水物およびアミン官能基を含む、請求項20に記載の組成物。
  38. 前記水性分散体がバインダーを含まない、請求項21に記載の組成物。
  39. 前記多重官能性ポリマー粒子が、約0.1〜約10μmまでのサイズにわたる、請求項21に記載の組成物。
  40. 基材上のコーティングであって、少なくとも2種類の異なる反応性官能基を有する熱可塑性ポリマーを含む多重官能性ポリマー粒子を含み、前記2種類の異なる反応性官能基が、高温および任意選択的に圧力にさらされた場合に、同一ポリマー分子内で互いに反応するか、又は同一もしくは別の多重官能性ポリマー粒子中の別の分子と反応して前記熱可塑性ポリマーを架橋させることができるコーティング。
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