JP2008532535A - 宿主細胞における改善された発現クローニング法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、宿主細胞中の目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列の単離のための改善された発現クローニング法において非常に適したプロモーターDNA配列と、このプロモーターが使用される改善された発現クローニング法とに関する。単離したDNA配列は、目的のタンパク質を産生するための方法において有用である。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、発現クローニングによって目的のタンパク質をコードするDNA配列を同定するための方法において使用されるのに非常に適したプロモーターに関する。
[発明の背景]
発現クローニングに基づくスクリーニング方法の数が増大していることは、既に知られている。このような方法は、これまで、例えばバシラス(Bacillus)(米国特許第4,469,791号明細書、国際公開第2005/38024号パンフレットを参照)および大腸菌(例えば、国際公開第95/18219号パンフレットおよび国際公開第95/34662号パンフレット)において、原核生物の遺伝子産物を同定するためにうまく使用されている。国際公開第2005/38024号パンフレットには、組換えバシラス細胞を分泌するタンパク質をスクリーニングする方法が記載されている。しかしながら、この方法は、高処理自動検出技術が欠けている。また酵母は、真核生物遺伝子の発現クローニングのための宿主として使用されている。ストラッサー(Strasser)ら(Eur.J.Biochem.(1989年)184:699−706頁)は、酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)における真菌ゲノムDNAの発現クローニングによる真菌α−アミラーゼの同定について報告している。同様に、国際公開第93/11249号パンフレットには、S.セレビシエにおける真菌cDNAの発現クローニングによる真菌セルラーゼの同定が報告される。最後に、糸状菌における発現クローニング法が記載されている(国際公開第99/32617号パンフレット)。
これら全ての方法において、多数の形質転換体は、目的の特性を有するタンパク質を分泌する形質転換体が単離される前にスクリーニングされる必要があり得る。従って、分泌タンパク質をコードするDNA配列を検出する機会を最適化し得る発現クローニング法が必要とされている。
[発明の説明]
プロモーターDNA配列
本発明の第1の態様によると、
(a)以下のリスト:配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に存在するDNA配列、
(b)(a)のDNA配列とハイブリダイズすることができるDNA配列、
(c)(a)のDNA配列に対して少なくとも50%相同のDNA配列、
(d)(a)〜(c)のDNA配列のいずれかの変異体、または
(e)(a)〜(d)のDNA配列のいずれかの部分配列
などのプロモーターDNA配列が提供される。
好ましい実施形態によると、本発明のプロモーター配列は、
(a)以下のリスト:配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に存在する1つのDNA配列
(b)(a)のDNA配列とハイブリダイズすることができる1つのDNA配列、
(c)(a)のDNA配列に対して少なくとも50%相同の1つのDNA配列、
(d)(a)〜(c)のDNA配列のいずれかの1つの変異体、または
(e)(a)〜(d)のDNA配列のいずれかの1つの部分配列
などの1つのプロモーターDNA配列である。
本出願との関連では、プロモーターDNA配列は、このプロモーターDNA配列がコード配列と作用的に関連する場合にこのコード配列の発現を制御することができるDNA配列である。「作用的に関連する」という用語は、本明細書では、プロモーターDNA配列がコード配列によりコードされたポリペプチドの産生を指示するように、プロモーターDNA配列がコード配列に対する位置に適切に配置された立体配置であると定義される。
「コード配列」という用語は、本明細書では、適切な制御配列の制御下に置かれたときにポリペプチドに翻訳されるmRNAに転写される核酸配列であると定義される。コード配列の境界は一般に、通常はmRNAの5’末端におけるオープンリーディングフレームの開始点であるATG開始コドンと、mRNAの3’末端におけるオープンリーディングフレームのすぐ下流側に位置する転写ターミネーター配列とによって決定される。コード配列は、ゲノムDNA、cDNA、半合成、合成および組換えの核酸配列を含むことができるが、これらに限定されない。好ましくは、プロモーターDNA配列は、それに関連するコード配列の上流側に位置するDNA配列であることによって、そしてこのコード配列の発現を制御可能であることによって定義される。
より具体的には、「プロモーター」という用語は、本明細書では、RNAポリメラーゼと結合し、ポリペプチドをコードするコード配列の正しい下流側転写開始部位へポリメラーゼを方向付けて、転写を開始させるDNA配列であると定義される。RNAポリメラーゼは、コード領域の適切なDNA鎖に相補的なメッセンジャーRNAの構築を有効に触媒する。また、「プロモーター」という用語は、mRNAへの転写後の翻訳のための5’非コード領域(プロモーターと翻訳開始点との間)、エンハンサーなどのシス作用性の転写制御要素、および転写因子と相互作用をすることができる他のヌクレオチド配列を含むと理解されるであろう。
好ましい実施形態では、本発明のプロモーターDNA配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に由来するDNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態によると、本発明のプロモーターDNA配列は、以下のリスト:配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に存在するDNA配列とハイブリダイズすることができ、それでもプロモーター活性を保持し得るDNA配列である。
プロモーター活性は、好ましくは、プロモーターと作用的に関連するコード配列の発現の結果として産生されるタンパク質の濃度を測定することによって決定される。あるいは、プロモーター活性は、プロモーターと作用的に関連するコード配列によってコードされるタンパク質の酵素活性を測定することによって決定される。好ましい実施形態によると、プロモーター活性(およびその強度)は、lacZレポーター遺伝子のコード配列の発現を測定することによって決定される(ルオ(Luo)、Gene 163(1995年)127−131頁またはパーキンス(Perkins)およびヤングマン(Youngman)(1986年)Proc Natl Acad Sci USA 83:140頁、またはバグネル(Vagner)ら(1998年)Microbiology 144:3097頁)。もう1つの好ましい実施形態によると、プロモーター活性は、コード配列として緑色蛍光タンパク質を用いることによって決定される(Microbiology、1999年3月、145(Pt3):729−34頁、サンテール・ヘンリクセン(Santerre Henriksen)AL、エベン(Even)S、ミュラー(Muller)C、パント(Punt)PJ、バン・デン・ホンデル(van den Hondel)CA、ニールセン(Nielsen)J.スタディ(Study))。細菌細胞において、GFPおよび他の蛍光タンパク質は、発現および(動的)タンパク質局在化の研究のために広範囲にわたって使用されている(サウスワード(Southward)およびサレット(Surette)(2002年)Mol.Microbiol.45:1191頁においてレビューされる)。さらに、プロモーター活性は、プロモーターの制御下で発生される転写物のmRNAレベルを測定することによって決定することができる。mRNAレベルは、例えば、ノーザンブロット、ジーンチップ(GeneChip)TM(アフィメトリクス(Affymetrix))またはスポット状アレイ技術または定量的(リアルタイム)PCRによって測定することができる(J.サムブルック(Sambrook)、E.F.フリッチュ(Fritsch)、およびT.マニアティス(Maniatis)、2001年、分子クローニング、実験室マニュアル、第3版、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク)。最も好ましくは、プロモーター活性は、ノーザンブロットを用いるmRNA分析によって決定される。
好ましくは、本発明の(単離)プロモーターDNA配列は、非常に低いストリンジェンシー条件下、より好ましくは低いストリンジェンシー条件下、より好ましくは中程度のストリンジェンシー条件下、より好ましくは中程度〜高いストリンジェンシー条件下、さらにより好ましくは高いストリンジェンシー条件下、そして最も好ましくは非常に高いストリンジェンシー条件下において、同一条件下で
(i)配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24、もしくは
(ii)(i)の部分配列、もしくは
(iii)(i)、(ii)の相補鎖
とハイブリダイズする核酸プローブとハイブリダイズする。
相補鎖という用語は当業者には知られており、(J.サムブルック(Sambrook)、E.F.フリッチュ(Fritsch)、およびT.マニアティス(Maniatus)、1989年、分子クローニング、実験室マニュアル、第2版、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク)に記載されている。配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の部分配列は、20ヌクレオチドと、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24のそれぞれのコード領域の上流側の全配列との間の範囲であり得る(配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の対応するコード領域はそれぞれ、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29で与えられる)。
配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の核酸配列もしくはその部分配列(前の段落で定義されたとおり)を使用して、当該技術分野においてよく知られている方法に従って様々な属または種の菌株からDNAプロモーターを同定およびクローン化するための核酸プローブを設計することができる。特に、このようなプローブは、その中の対応する遺伝子を同定および単離するために、標準サザンブロッティング手順に従って目的の属または種のゲノムまたはcDNAとのハイブリダイゼーションのために使用することができる。このようなプローブは全体の配列よりもかなり短くてよいが、少なくとも15、好ましくは少なくとも25、そしてより好ましくは少なくとも35ヌクレオチドの長さでなければならない。さらに、このようなプローブは、PCRによってDNAプロモーターを増幅するために使用することができる。より長いプローブも使用することができる。DNA、RNAおよびペプチド核酸(Peptide Nucleid Acid、PNA)プローブも使用することができる。プローブは通常、対応する遺伝子を検出するために標識化される(例えば、32P、33P、H、35S、ビオチン、またはアビジンまたは蛍光マーカーによる)。このようなプローブは、本発明によって包含される。
従って、このような他の生物体から調製されるゲノムDNAまたはcDNAライブラリーは、上記のプローブとハイブリダイズしてポリペプチドをコードするDNAについて、スクリーニングされ得る。このような他の生物体からのゲノムまたは他のDNAは、アガロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動法、あるいは他の分離技術によって分離することができる。ライブラリーからのDNAまたは分離されたDNAは、ニトロセルロースまたは他の適切な担体材料に移されて固定化され得る。配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24もしくはこれらの部分配列と相同であるクローンまたはDNA配列を同定するために、担体材料はサザンブロットにおいて使用され得る。本発明の目的のために、ハイブリダイゼーションは、DNA配列が、非常に低いないし非常に高いストリンジェンシー条件下で、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24において示されるDNA配列、前記DNA配列の相補鎖、もしくは前記DNA配列の部分配列に相当する標識核酸プローブとハイブリダイズすることを示す。これらの条件下で核酸プローブがハイブリダイズする分子は、例えばX線フィルムを用いて検出される。検出のために蛍光、そして支持体としてガラス面および/またはDNAマイクロアレイを用いる技法など、他のハイブリダイゼーション技法を使用することもできる。DNAマイクロアレイハイブリダイゼーション検出の一例は、FEMS Yeast Res.2003年12月、4(3):259−69頁(ダラン−ラピュエイド(Daran−Lapujade)P、ダラン(Daran)JM、コッター(Kotter)P、プティ(Petit)T、パイパー(Piper)MD、プロンク(Pronk)JT。「オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いるサッカロミセス・セレビシエ実験用菌株S288CおよびCEN.PK113−7Dの比較遺伝子型同定」)において与えられる。さらに、ハイブリダイゼーションのためのPNAマイクロアレイの使用は、Nucleic Acids Res.2003年10月1日、31(19):e119(ブラント(Brandt)O、フェルドナー(Feldner)J、ステファン(Stephan)A、シュローダー(Schroder)M、シュノルザー(Schnolzer)M、アーリングハウス(Arlinghaus)HF、ホエイゼル(Hoheisel)JD、ジェイコブ(Jacob)A.非標識化DNAサンプルのハイブリダイゼーションのためのPNAマイクロアレイ)に記載されている。
好ましい実施形態では、核酸またはDNAプローブは、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24のDNA配列である。もう1つの実施形態では、核酸プローブは、配列番号1のヌクレオチド100〜150を有するDNA配列、または配列番号2のヌクレオチド170〜220を有するDNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態では、核酸プローブは、
配列番号20のヌクレオチド996〜2797、配列番号21のヌクレオチド996〜3561、配列番号22のヌクレオチド997〜3536、配列番号23のヌクレオチド1034〜3175、または配列番号24のヌクレオチド1080〜4054を有するDNA配列であり、より好ましくは、
配列番号20のヌクレオチド1496〜2497、配列番号21のヌクレオチド1496〜3261、配列番号22のヌクレオチド1497〜3236、配列番号23のヌクレオチド1534〜2875、または配列番号24のヌクレオチド1580〜3754を有するDNA配列であり、さらにより好ましくは、
配列番号20のヌクレオチド1896〜2197、配列番号21のヌクレオチド1896〜2861、配列番号22のヌクレオチド1897〜2936、配列番号23のヌクレオチド1934〜2575、または配列番号24のヌクレオチド1980〜3454を有するDNA配列であり、そして最も好ましくは、
配列番号20のヌクレオチド1996〜2100、配列番号21のヌクレオチド1996〜2300、配列番号22のヌクレオチド1997〜2400、配列番号23のヌクレオチド2034〜2100、または配列番号24のヌクレオチド2080〜2800を有するDNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態によると、プローブは、コード配列の上流側に位置する配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24のDNA配列の一部である。配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24の対応するコード領域はそれぞれ、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29で与えられる。
少なくとも100ヌクレオチドの長さである長いプローブについては、非常に低い〜非常に高いストリンジェンシー条件は、標準サザンブロッティング手順に従って、5×SSPE、0.3%SDS、200マイクログラム/mlのせん断および変性したサケ精子DNA、そして、非常に低いおよび低いストリンジェンシーの場合には25%ホルムアミド、中程度および中程度〜高いストリンジェンシーの場合には35%ホルムアミド、または高いおよび非常に高いストリンジェンシーの場合には50%ホルムアミドのいずれかの中で、摂氏42度におけるプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションであると定義される。少なくとも100ヌクレオチドの長さである長いプローブについては、担体材料は、最後に、好ましくは少なくとも摂氏45度(非常に低いストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも摂氏50度(低いストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも摂氏55度(中程度のストリンジェンシー)、より好ましくは少なくとも摂氏60度(中程度〜高いストリンジェンシー)、さらにより好ましくは少なくとも摂氏65度(高いストリンジェンシー)、そして最も好ましくは少なくとも摂氏70度(非常に高いストリンジェンシー)において、2×SSC、0.2%SDSを用いて15分間ずつ3回洗浄される。
約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドの長さである短いプローブについては、ストリンジェンシー条件は、標準サザンブロッティング手順に従って、0.9MのNaCl、0.09MのTris−HCl pH7.6、6mMのEDTA、0.5%NP−40、1×デンハート溶液、1mMのピロリン酸ナトリウム、1mMの一塩基性リン酸ナトリウム、0.1mMのATP、および1mlあたり0.2mgの酵母RNA中で、ボルトン(Bolton)およびマッカーシー(McCarthy)(1962年、全米科学アカデミー紀要48:1390頁)に従う計算を用いて計算されるTmよりも摂氏5度〜摂氏10度低い温度におけるプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション、および洗浄ポストハイブリダイゼーションであると定義される。約15ヌクレオチド〜約70ヌクレオチドの長さである短いプローブについては、担体材料は、計算Tmよりも摂氏5度〜摂氏10度低い温度において、6×SCCおよび0.1%SDS中で15分間を1回、6×SSCを用いて15分間ずつ2回洗浄される。
もう1つの好ましい実施形態によると、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に由来する本発明のプロモーターDNA配列は、初めに、それと作用的に関連する天然遺伝子、コード配列またはその一部をクローン化するために使用される。これは、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24、もしくは前に定義したこれらの部分配列のいずれかから始まり、この配列をプローブとして用いて行うことができる。プローブは、本出願で定義される所与の宿主、バシラス、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)または他の宿主のいずれかのcDNAまたはゲノムライブラリーとハイブリダイズされる。天然遺伝子またはその一部がクローン化されたら、次にそれ自体をプローブとして使用し、本明細書中に記載されるハイブリダイゼーション実験によって、他の宿主に由来するこれらの相同遺伝子をクローン化することができる。これに関連して、相同遺伝子は、天然遺伝子に対して少なくとも50%相同の遺伝子を意味する。好ましくは、相同遺伝子は、天然遺伝子に対して少なくとも55%相同であり、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%、好ましくは約80%、より好ましくは約90%、さらにより好ましくは約95%、そして最も好ましくは約97%相同である。
相同遺伝子のコード配列の上流側の配列は、本発明によって包含されるプロモーターである。あるいは、本発明のプロモーターと作用的に関連する天然遺伝子、コード配列またはその一部の配列は、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28または配列番号29もしくは前に定義したこれらの部分配列を用いることによって同定され、例えば、本明細書中に記載されるアライメントまたはBLASTアルゴリズムを用いてゲノムデータベースを探索することができる。次に、この同定した配列を用いて、本出願において定義される他の任意の真菌宿主におけるオルソログまたは相同遺伝子を同定することができる。同定したオルソログまたは相同遺伝子のコード配列の上流側の配列は、本発明によって包含されるプロモーターである。
もう1つの好ましい実施形態によると、本発明のプロモーターDNA配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に由来し、前に定義したプロモーター活性を依然として有する(単離)DNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態によると、本発明のプロモーターDNA配列は、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24のいずれかに由来する(単離)DNA配列であり、これらはそれぞれ、それぞれのコード領域(配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28または配列番号29)の上流側に位置するそれぞれの対応するDNA配列、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の少なくとも一部に対して少なくとも50%相同である。好ましくは、由来されるDNA配列は、それぞれの対応するコード領域の上流側に位置する配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の少なくとも一部に対して少なくとも55%相同であり、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも75%、好ましくは約80%、より好ましくは約90%、さらにより好ましくは約95%、そして最も好ましくは約97%相同である。
本発明の目的のために、2つの核酸配列の間の相同性の度合いは、好ましくは、アイデンティティー表および以下のマルチプルアライメントパラメータ:ギャップペナルティ10およびギャップ長ペナルティ10を有するLASERGENE.TM.、MEGALIGN.TM.ソフトウェア(ウィスコンシン州マディソンのDNASTAR社)を用いて、ウィルバー−リップマン(Wilbur−Lipman)法(ウィルバーおよびリップマン、1983年、全米科学アカデミー紀要80:726−730頁)によって決定される。ペアワイズアライメントパラメータは、Ktuple=3、ギャップペナルティ=3、およびウィンドウ=20であった。
もう1つの好ましい実施形態によると、本発明のプロモーターDNA配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19、もしくはそれぞれの対応するコード領域の上流側に位置する配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の一部のいずれかの変異体である(単離)DNA配列に由来する。「変異プロモーター」という用語は、本明細書では、親プロモーターの1つまたは複数のヌクレオチドの置換、欠失、および/または挿入を含むヌクレオチド配列を有するプロモーターであると定義され、ここで変異プロモーターは、対応する親プロモーターよりも多いまたは少ないプロモーター活性を有する。また「変異プロモーター」という用語は、天然変異体、ならびに古典的な変異誘発、部位特異的変異誘発、およびDNAシャッフリングなどの当該技術分野においてよく知られている方法を用いて得られるインビトロ発生変異体も包含し得る。変異プロモーターは、1つまたは複数の突然変異を有し得る。それぞれの突然変異は、ヌクレオチドの独立した置換、欠失、および/または挿入である。ヌクレオチドの置換、欠失、および/または挿入のプロモーターへの導入は、古典的な変異誘発、部位特異的変異誘発、またはDNAシャッフリングなどの当該技術分野において既知の方法のいずれかを用いて達成され得る。特に有用なのは、所望の突然変異を含有する目的の挿入断片および2つの合成プライマーを有する高次コイルの二本鎖DNAベクターを用いる手順である。ベクターの反対の鎖にそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、Pfu DNAポリメラーゼを用いる温度サイクリングの間に伸長する。プライマーの取り込みにおいて、ねじれ型ニックを含有する突然変異プラスミドが発生される。温度サイクリングに続いて、産物は、メチル化およびヘミメチル化DNAに特異的であるDpnIで処理され、親の鋳型DNAを消化して、突然変異を含有する合成DNAを選択する。当該技術分野において既知の他の手順が使用されてもよい。他の手順の例は、クイックチェンジ(QuickChange)TM、部位特異的変異誘発キット(カリフォルニア州ラ・ホーヤのストラタジーン・クローニング・システムズ(Stratagene Cloning Systems)、「アルタード・サイト(The Altered Sites)(登録商標)IIインビトロ変異誘発システム」(プロメガ・コーポレーション(Promega Corporation))であるか、あるいはGene.1989年4月15、77(1):51−9頁、(ホー(Ho)SN、ハント(Hunt)HD、ホートン(Horton)RM、プーレン(Pullen)JK、ピース(Pease)LR「ポリメラーゼ鎖反応を用いる重複伸長による部位特異的変異誘発」)に記載されるPCRを用いる、または分子生物学:現状の革新および将来の動向(A.M.グリフィン(Griffin)およびH.G.グリフィン(Griffin)編、ISBN1−898486−01−8 1995年 ホライズン・サイエンティフィック・プレス(Horizon Scientific Press)、英国ノーフォーク州ワイモンダム PO Box1)に記載されるPCRを用いる重複伸長によるものである。好ましい実施形態によると、変異プロモーターは、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19に最初に由来するプロモーター配列と比較して少なくとも1つの変更された調節部位を有するプロモーターである。このような調節部位はその完全性が除去されているか、あるいは上記のように特異的に突然変異されている可能性がある。従って、このようなプロモーター変異体の調節は、例えば、もはやグルコースにより誘発されないように変更される。このようなプロモーター変異体の例、およびこれらを得るための方法に関する技術は、EP673429B号明細書または国際公開第94/04673号パンフレットに記載されている。
プロモーター変異体は、対立遺伝子変異体でもあり得る。対立遺伝子変異体は、同じ染色体位置を占有する遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを示す。対立遺伝子変異は、突然変異によって自然に発生し、その結果、集団内に多型をもたらし得る。変異プロモーターは、以下のステップ(a)および(b):
(a)非常に低い、低い、中程度、中〜高い、高い、または非常に高いストリンジェンシー条件下でDNA配列を、
(i)配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19、もしくは
(ii)(i)の部分配列、もしくは
(iii)(i)、(ii)の相補鎖、
とハイブリダイズするステップと、
(b)変異プロモーターをDNA配列から単離するステップと
を含む方法によって得ることができる。ストリンジェンシーおよび洗浄条件は、本明細書において定義される。
変異プロモーターは、プロモーター配列と、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域との連結を容易にする特異的な制限部位を導入するためのリンカーがその配列に提供され得るプロモーターであり得る。
もう1つの好ましい実施形態では、プロモーターDNA配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の部分配列に由来する。部分配列は、好ましくは、これに関連して、既に定義されたそれぞれの対応するコード配列の上流側に位置する配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19の一部であると定義される。
部分配列は、好ましくは、少なくとも約50ヌクレオチド、または好ましくは少なくとも約100ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約200ヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも約230ヌクレオチド、さらにより好ましくは少なくとも約250ヌクレオチド、そして最も好ましくは少なくとも約290ヌクレオチドを含有する。
もう1つの好ましい実施形態によると、部分配列は、5’および/または3’末端からの1つまたは複数のヌクレオチドが欠失しているという事実によって、前の文中で定義したものとは異なるが、それでも前記DNA配列は、前に定義したプロモーター活性を有する。
もう1つの好ましい実施形態では、プロモーター部分配列は、翻訳開始点からおよび/または転写開始点からの「トリムされた」部分配列である。プロモーターをトリムし、それを機能的に分析することの例は、Gene.1994年8月5日、145(2):179−87頁:アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼコード化遺伝子の発現に対する上流領域の多重コピーの影響、ベルドーズ(Verdoes)JC、パント(Punt)PJ、ストウサメア(Stouthamer)AH、バン・デン・ホンデル(van den Hondel)CA)に記載されている。
本明細書で提供される配列情報は、誤って同定された塩基の包含を必要とするためにあまり狭く解釈されてはならない。本明細書において開示される特異的な配列は、糸状菌、特にアスペルギルス・ニガーからの本来のDNA配列を単離するために、容易に使用され、そして最終的にさらなる配列分析を受けることができ、それにより配列決定エラーが同定される。
別途指示されない限り、本明細書においてDNA分子の配列決定により決定される全てのヌクレオチド配列は、自動DNA配列決定装置を用いて決定した。従って、この自動アプローチにより決定されるDNA配列について当該技術分野において知られているように、本明細書において決定されるヌクレオチド配列はどれも、いくらかのエラーを含有し得る。自動化により決定されるヌクレオチド配列は、配列決定されるDNA分子の実際のヌクレオチド配列に対して、典型的には少なくとも約90%同一であり、より典型的には少なくとも約95%から少なくとも約99.9%同一である。実際の配列は、当該技術分野においてよく知られている手動DNA配列決定法を含む他のアプローチによってより正確に決定することができる。
当業者は、このような誤って同定された塩基を同定することができ、このようなエラーを補正する方法を知っている。
機能性核酸等価物は、通常、それが含有するプロモーターの生物学的機能を変更しない突然変異を含有し得る。「機能性等価物」という用語は、A.ニガーDNA配列のオルソログも包含する。A.ニガーDNA配列のオルソログは、他の菌株または種属から単離することができるDNA配列であり、類似または同一の生物活性を有する。
相同(類似または同一)配列は、「配列比較アルゴリズム」を用いることによって決定することもできる。比較のための最適な配列アライメントは、例えば、スミス(Smith)&ウォーターマン(Waterman)、Adv.Appl.Math.2:482頁(1981年)の局所相同性アルゴリズムによって、ニードルマン(Needleman)&ウンシュ(Wunsch)、J.Mol.Biol.48:443頁(1970年)の相同性アライメントアルゴリズムによって、ピアソン(Pearson)&リップマン(Lipman)、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 85:2444頁(1988年)の類似性検索方法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージ(Wisconsin Genetics Software Package)におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、ジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)、ウィスコンシン州マディソン575サイエンス・ドライブ(Science Dr.))によって、あるいは目視検査によって行なうことができる。配列類似性を決定するために適切なアルゴリズムの一例はBLASTアルゴリズムであり、アルチュル(Altschul)ら、J.Mol.Biol.215:403−410頁(1990年)において記載されている。あるいは、本明細書において前に記載した配列アライメントのために他のプログラムを使用することもできる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公的に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列内の同じ長さのワードとアライメントさせたときにある正の値のしきい値スコアTと一致するか、あるいは満足させるクエリー配列内の長さWのショートワードを同定することによって、スコアの高い配列対(HSP)を同定することを含む。これらの最初の近隣ワードヒットは、これらを含有するより長いHSPを見つけるための出発点としての役割を果たす。ワードヒットは、累積アライメントスコアが増大され得る限りは、比較している2つの配列のそれぞれに沿って両方向に拡張される。累積アライメントスコアが最大達成値から量Xだけ低下するか、累積スコアがゼロまたはそれ以下になるか、あるいはいずれかの配列の端部が到達されると、ワードヒットの伸長は停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータW、TおよびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11のワード長(W)、BLOSUM62スコアリング行列(ヘニコフ(Henikoff)&ヘニコフ(Henikoff)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915頁(1989年)を参照)の50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を用いる。次に、BLASTアルゴリズムは、2つの配列間の類似性の統計的分析を実行する(例えば、カーリン(Karlin)&アルチュル(Altschul)、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:5873−5787頁(1993年)を参照)。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は最小和の確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の一致が偶然に発生し得る確率の表示を提供する。例えば、試験アミノ酸配列とプロテアーゼなどのタンパク質のアミノ酸配列との比較における最小和の確率が約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満であれば、アミノ酸配列はプロテアーゼなどのタンパク質と同様であると考えられる。
好ましくは、変異プロモーターの類似性は、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19を有するDNA配列のうちの1つに対して少なくとも40%相同である。より好ましくは、類似性は、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19を有するDNA配列に対して少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そしてより好ましくは少なくとも95%または少なくとも98%相同である。
プロモーター配列の天然に存在する対立遺伝子変異体に加えて、当業者は、配列番号1、配列番号2、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18または配列番号19に由来するプロモーター配列への突然変異によって、実質的にそのプロモーター機能を変更することなく変化が導入され得ることを認識するであろう。
本発明のプロモーター配列は、任意の属の微生物から得ることができる。本発明の目的のために、所与のソースに関連して本明細書で使用される「から得られる」という用語は、ポリペプチドがそのソースによって、あるいはそのソースからの遺伝子が挿入された細胞によって産生されることを意味するものとする。好ましくは、微生物は原核生物である。好ましい原核生物は、バシラスおよび大腸菌である。好ましいバシラスは、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)、バシラス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・ファーマス(Bacillus firmus)、バシラス・プミリス(Bacilluspumilis)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、またはバシラス・スリンジェンシス(Bacillus thuringiensis)である。
あるいは、プロモーター配列は、真核生物、好ましくは真菌源から得られ、より好ましくはカンジダ、ハンゼヌラ、クルイベロミセス、ピキア、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、またはヤロウイア株などの酵母株から、あるいはより好ましくはアクレモニウム、アスペルギルス、アウレオバシディウム、クリプトコッカス、フィリバシジウム、フザリウム、フミコラ、マグナポルテ、ムコール、ミセリオフトーラ、ネオカリマスティクス、ニューロスポラ、ペシロマイセス、ペニシリウム、ピロミセス、シゾフィラム、タラロマイセス、サーモアスカス、チエラビア、トリポクラジウム、またはトリコデルマ株などの糸状菌株から得られる。
好ましい実施形態では、プロモーター配列は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ディアスタテッカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ダグラシイ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、サッカロミセス・オビフォーミス(Saccharomyces oviformis)、サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)、サッカロミセス・バヤヌス、var.ウバルム(Saccharomyces bayanus,var.uvarum)またはサッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)株から得られる。
もう1つの好ましい実施形態では、プロモーター配列は、アスペルギルス・アキュリエタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フォエティダス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス(Aspergillus japonicus)、A.ニデュランス(nidulans)、A.ニガー、好ましくはA.ニガーCBS513.88、A.ソーヤ(sojae)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)(A.オリゼー)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコール・ミーヘイ(Mucor miehei)、ミセリオフトーラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・パープロゲナム(Penicillium purpurogenum)、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、またはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)株から得られる。
もう1つの好ましい実施形態では、プロモーター配列は、フザリウム・バクトリジオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フザリウム・クルークウェレンス(Fusarium crookwellense)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミナム(Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポラム(Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・レティクラタム(Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フザリウム・サムバシナム(Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロサム(Fusarium torulosum)、フザリウム・トリコテシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)株から得られる。
上記の種属について、これらが知られている種属の名前にかかわらず、本発明が完全および不完全な状態ならびに他の分類学的等価物、例えば無性世代を包含することは理解されるであろう。当業者は、適切な等価物の同一性を容易に認識するであろう。これらの種属の菌株は、米国微生物系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)、ドイツ微生物保存機関(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSM)、菌株保存機関(Centraalbureau Voor Schimmelcultures)(CBS)、および農業研究部特許菌株保存機関(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、北部地方研究センター(Northern Regional Research Center)(NRRL)などの多数の培養菌保存機関において公に容易に入手可能である。
さらに、このような核酸配列は、上記のプローブを用いて、自然(例えば、土壌、堆肥、水など)から単離される微生物を含む他のソースから同定および入手され得る。自然の生息環境から微生物を単離するための技法は、当該技術分野においてよく知られている。核酸配列は、次に、別の微生物のゲノムDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることによって誘導され得る。プロモーターをコードする核酸配列がプローブにより検出されたら、その配列は当業者に知られる技法を用いて単離またはクローン化され得る(例えば、上記のサムブルックら、1989年を参照)。
本発明において、プロモーターDNA配列は、本発明の1つまたは複数のプロモーターの一部か、本発明のプロモーターの一部および別の既知のプロモーターの一部、例えば1つのプロモーターのリーダー配列および他のプロモーターからの転写開始部位か、あるいは本発明の1つまたは複数のプロモーターの一部および1つまたは複数の他のプロモーターの一部を含むハイブリッドプロモーターでもよい。他のプロモーターは、変異、切断、およびハイブリッドプロモーターを含む一般に好まれる宿主細胞において転写活性を示すどんなプロモーター配列でもよく、宿主細胞に対して相同または異種のいずれかである細胞外または細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。他のプロモーター配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して天然でも外来性でもよく、細胞に対して天然でも外来性でもよい。
好ましい実施形態として、同定されたプロモーターの重要な調節部分配列は、他の「基本」プロモーターに融合されて、そのプロモーター活性を高めることができる(例えば、Mol Microbiol.1994年5月、12(3):479−90頁、アスペルギルス・ツビゲンシス(Aspergillus tubigensis)のキシラナーゼをコードするxlnA遺伝子の調節、デ・グラーフ(de Graaff)LH、バン・デン・ブルーク(van den Broeck)HC、バン・オオイエン(van Ooijen)AJ、ビサー(Visser)Jに記載)。
本発明のプロモーターとのハイブリッドプロモーターの構築において有用な他のプロモーターの他の例には、A.オリゼーのTAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)のアスパラギン酸プロテイナーゼ、A.ニガーの中性α−アミラーゼ、A.ニガーの酸安定性α−アミラーゼ、A.ニガーまたはアスペルギルス・アワモリのグルコアミラーゼ(glaA)、A.ニガーのgpdA、A.ニガーのグルコースオキシダーゼgoxC、リゾムコール・ミエヘイのリパーゼ、A.オリゼーのアルカリプロテアーゼ、A.オリゼーのトリオースリン酸イソメラーゼ、A.ニデュランスのアセトアミダーゼ、およびフザリウム・オキシスポラムのトリプシン様プロテアーゼ(国際公開第96/00787号パンフレット)の遺伝子から得られるプロモーター、そしてNA2−tpiプロモーター(A.ニガーの中性α−アミラーゼおよびA.オリゼーのトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子からのプロモーターのハイブリッド)、サッカロミセス・セレビシエのエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシエのガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシエのアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、およびサッカロミセス・セレビシエの3−ホスホグリセレートキナーゼ、ならびにこれらの突然変異、切断、およびハイブリッドプロモーターが含まれる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、ロマノス(Romanos)ら、1992年、Yeast 8:423−488頁によって記載されている。細菌細胞のための他の有用なプロモーターは、以下の遺伝子、B.サブチリスのアルカリプロテアーゼ(apr)、B.サブチリスの中性プロテアーゼ(npr)、B.アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ(amyQ)、B.アミロリケファシエンスのアルカリプロテアーゼ(apr)およびB.アミロリケファシエンスの中性プロテアーゼ(npr)のプロモーターである。
本発明において、プロモーターDNA配列は、「タンデムプロモーター」でもよい。「タンデムプロモーター」は、本明細書では、そのそれぞれがコード配列と作用的に関連し、コード配列のmRNAへの転写を仲介する2つ以上のプロモーター配列であると定義される。
タンデムプロモーターは2つ以上の本発明のプロモーターを含むか、あるいは1つまたは複数の本発明のプロモーターと、ハイブリッドプロモーターの構築に有用な上記に例示されたものなどの1つまたは複数の他の既知のプロモーターとを含む。タンデムプロモーターの2つ以上のプロモーター配列は、核酸配列の転写を同時に促進してもよい。あるいは、タンデムプロモーターの1つまたは複数のプロモーター配列は、細胞の成長の異なる段階で、あるいは真菌宿主の場合には、菌糸の形態的に異なる部分、またはバシラスなどの細菌の胞子形成における胞子の発達中に異なる細胞区画で、核酸配列の転写を促進してもよい。
本発明において、プロモーターは、コード配列および/または宿主細胞に対して外来性であり得る。本発明の変異、ハイブリッド、またはタンデムプロモーターは、たとえ野生型プロモーターがコード配列または宿主細胞に対して天然であっても、ポリペプチドをコードするDNA配列に対して外来性であることが理解されるであろう。
本発明の変異、ハイブリッド、またはタンデムプロモーターは、配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に由来する、前に定義したプロモーターの少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約100%、さらにより好ましくは少なくとも約200%、最も好ましくは少なくとも約300%、そしてさらに最も好ましくは少なくとも約400%のプロモーター活性を有する。プロモーター活性は、好ましくは、前に定義したように決定される。最も好ましくは、プロモーター活性は、ノーザンブロットを用いるmRNA分析によって決定される。
DNA構築物
第2の態様によると、本発明は、選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子と作用的に関連する、前のセクションで定義した本発明のプロモーターDNA配列を含むDNA構築物を提供する。レポーター遺伝子は、選択可能な形質を適切な宿主に与える任意の遺伝子であり得る。好ましくは、レポーター遺伝子は選択マーカー遺伝子である。
「DNA構築物」は、本明細書では、天然に存在する遺伝子から単離されるか、あるいは自然には存在し得ない形で結合および並置された核酸のセグメントを含有するように修飾された一本鎖または二本鎖のいずれかの核酸分子であると定義される。
DNA構築物という用語は、DNA構築物がコード配列またはレポーター遺伝子およびコード配列またはレポーター遺伝子の発現に必要とされる全ての制御配列を含有する場合には、発現カセットという用語と同義である。本出願との関連では、「DNA構築物」という用語は、「単離DNA構築物」という用語と交換可能に使用され、両方の用語は同義であると解釈される。
DNA構築物は選択マーカー遺伝子を含むことができ、これにより、形質転換宿主細胞の容易な選択が可能になる。DNA構築物が2つの選択マーカー遺伝子を含む場合には、当業者は、これらの2つの選択マーカー遺伝子が同一ではなく、本発明のプロモーターと関連される第1の選択マーカー遺伝子は本発明のスクリーニング法において使用され、DNA構築物に存在する第2の選択マーカー遺伝子は形質転換宿主細胞の標準的な選択を可能にすることを理解するであろう。
レポーター遺伝子は、レポーター遺伝子が所与の宿主細胞においてプロモーターDNA配列の制御下で発現されるように、本発明のプロモーターDNA配列と作用的に関連する。レポーター遺伝子によってコードされるポリペプチドは、宿主細胞および/またはプロモーターDNA配列に対して天然でも異種でもよい。
これに関連して、単数形(「a」)は、「少なくとも1つ」を意味する。従って、DNA構築物は、少なくとも1つのレポーター遺伝子を含む。宿主は、少なくとも2つのDNA構築物(1つは選択マーカーを含み、もう1つはレポーター遺伝子と関連する本発明のプロモーターを含む)で同時形質転換され得る。
あるいは、そしてより好ましい実施形態に従って、DNA構築物に含まれるレポーター遺伝子は、第1のレポーター遺伝子の少なくとも一部と、第2のレポーター遺伝子の少なくとも一部とを含むハイブリッドレポーター遺伝子であり、第1および第2のレポーター遺伝子のコード配列は互いにインフレームで結合されており、前記ハイブリッドレポーター遺伝子は、本発明のプロモーターに作用可能に連結している。第1および/または第2のレポーター遺伝子は、選択可能な形質を適切な宿主に与える任意の遺伝子でよい。真菌のための好ましいハイブリッドレポーター遺伝子は、ストレプトアロテイクス・ヒンダスタニス(Streptoalloteichus hindustanis)のGFP遺伝子およびフレオマイシン耐性遺伝子(BLE)を含む(ドロコート(Drocourt)ら、1990年3月)。
選択マーカーまたは選択可能なマーカーは遺伝子であり、その産物は殺生物性またはウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に対する原栄養性などを提供する。原核生物宿主細胞のための適切な選択可能なマーカーには、カナマイシン、ネオマイシン、エリスロマイシンおよび他のMLS型マーカー(マクロライド−リンコサミド−ストレプトグラミンB)、クロラムフェニコール、アンピシリン、テトラサイクリン、ストレプトマイシンおよびスペクチノマイシンが含まれるが、これらに限定されない。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3である。糸状菌宿主細胞において使用するための選択可能なマーカーには、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hygB(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニルトランスフェラーゼ)、trpC(アントラニレートシンターゼ)、ならびにこれらの等価物が含まれるが、これらに限定されない。例えばフレオマイシン、ハイグロマイシンBまたはG418に対する耐性を与えるマーカーを使用することもできる。アスペルギルス細胞において使用するのに好ましいのは、A.ニデュランスまたはA.オリゼーのamdSおよびpyrG遺伝子、ならびにストレプトミセス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子である。amdSマーカー遺伝子は、好ましくは、EP635574B号明細書または国際公開第97/06261号パンフレットに記載される技法を適用して使用される。好ましい選択マーカー遺伝子は、A.ニデュランスのgpdAプロモーターに融合されたA.ニデュランスのamdSコード配列である(EP635574B号明細書)。他の糸状菌からのamdS遺伝子が使用されてもよい(国際公開第97/06261号パンフレット)。
もう1つの好ましい実施形態によると、レポーター遺伝子は、本明細書において上記で記載した原核生物、酵母および/または糸状菌の細胞のための選択可能なマーカーをコードする。あるいは、レポーター遺伝子は、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、エクオリン、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびこれらの変異体(赤色、シアン、黄色−蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ、ラックス(lux)、ヘム(heme)、β−ラクタマーゼ、またはアルカリホスファターゼのようなレポータータンパク質をコードする。より好ましくは、レポーター遺伝子は、GFP、YFP、およびCFP(それぞれ、緑色、黄色およびシアン蛍光タンパク質)などの蛍光レポータータンパク質をコードする遺伝子であるか、あるいはこれらを含むが、これらに限定されない。形質転換体は蛍光を示し、高感度細胞分取技術(FACS、蛍光活性化細胞分取(fluorescence activated cell sorting))を用いて非発現クローンから分離することができる。この方法の重要な利点は、形質転換混合物のプレーティングが必要でないこと(スクリーニング手順の処理量をかなり増大させる)、そして更なる自動処理のために陽性のクローンをMTPフォーマット直接に配列できることである。あるいは、レポーター遺伝子は、抗体が産生され得る(トランス)膜タンパク質または細胞壁タンパク質をコードする。前記膜タンパク質を示す形質転換体は、磁気細胞分取技術(MACS(登録商標)、磁気細胞分取(Magnetic cell sorting)、www.miltenyibiotec.com)を用いて非発現形質転換体から分離することができる。
制御要素
DNA構築物は、プロモーターDNA配列に加えて、1つまたは複数の制御配列をさらに含むことができ、これは、適切な宿主細胞において制御配列に適合性の条件下でレポーター遺伝子の発現を指示する。発現は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および分泌を含むがこれらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与するステップを含むことが理解されるであろう。1つまたは複数の制御配列は、レポーター遺伝子または宿主に対して天然でよい。あるいは、1つまたは複数の制御配列は、宿主細胞におけるレポーター遺伝子の発現を改善するために核酸配列に対して外来性の1つまたは複数の制御配列で置換されてもよい。
「制御配列」という用語は、本明細書では、レポーター遺伝子などのコード配列の発現のために必要または有利な本発明のプロモーターを含む全ての成分を含むと定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードするコード配列に対して天然でも外来性でもよい。このような制御配列には、リーダー、最適翻訳開始配列(コザック(Kozak)、1991年、J.Biol.Chem.266:19867−19870頁に記載)、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配列、上流活性化配列、その変異体、断片、ハイブリッドおよびタンデムを含む本発明のプロモーター、ならびに転写ターミネーターが含まれるが、これらに限定されない。最小限では、制御配列は、転写および翻訳停止シグナル、ならびに本発明のプロモーター(の一部)を含む。制御配列は、制御配列と、ポリペプチドをコードするレポーター遺伝子などのコード配列との連結を容易にする特異的な制限部位を導入するためのリンカーを備えていてもよい。
制御配列は、適切な転写ターミネーター配列、転写を終結するために宿主細胞により認識される配列でもよい。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードするコード配列の3’末端と作用的に関連する。一般に好まれる宿主細胞において機能的であるターミネーターはどれも本発明において使用することができる。
当業者には、配列の5’末端および3’末端はそれぞれのコード配列ごとに定義されることが分かるであろう。所与のターミネーター配列および所与のコード配列について、当業者はこれらをどのようにして作用的に関連させるか分かるであろう。
糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、A.オリゼーのTAKAアミラーゼ、A.ニガーのグルコアミラーゼ、A.ニデュランスのアントラニレートシンターゼ、A.ニガーのα−グルコシダーゼ、trpC遺伝子、およびフザリウム・オキシスポラムのトリプシン様プロテアーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシエのエノラーゼ、サッカロミセス・セレビシエのチトクロムC(CYC1)、およびサッカロミセス・セレビシエのグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼの遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、上記のロマノス(Romanos)ら、1992年によって記載されている。制御配列は、適切なリーダー配列、宿主細胞による翻訳のために重要なmRNAの非翻訳領域でもよい。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端と作用的に関連する。一般に好まれる宿主細胞において機能的であるリーダー配列はどれも本発明において使用することができる。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、A.オリゼーのTAKAアミラーゼ、A.ニデュランスのトリオースリン酸イソメラーゼおよびA.ニガーのグルコアミラーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシエのエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシエの3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシエのα−因子、およびサッカロミセス・セレビシエのアルコールデヒドロゲナーゼおよびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2およびGAP)の遺伝子から得られる。
制御配列は、ポリアデニル化配列、核酸配列の3’末端と作用的に関連する配列でもよい。糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、A.オリゼーのTAKAアミラーゼ、A.ニガーのグルコアミラーゼ、A.ニデュランスのアントラニレートシンターゼ、フザリウム・オキシスポラムのトリプシン様プロテアーゼ、およびA.ニガーのα−グルコシダーゼの遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、グオ(Guo)およびシャーマン(Sherman)、1995年、Molecular Cellular Biology 15:5983−5990頁によって記載されている。
また、宿主細胞の成長に関するレポーター遺伝子の発現の調節を可能にする調節配列を追加することが望ましいこともある。調節系の例は、調節化合物の存在を含む化学的または物理的な刺激に応答してレポーター遺伝子の発現をオンまたはオフするものである。原核生物系における調節系には、大腸菌のlac、およびtrpオペレーター系、ならびにB.サブチリスのspac、xyl、sacB、およびcitM系が含まれる(「タンパク質発現技術、現状および将来の動向」(F.バニクス(Baneyx)編)、英国ノーフォーク州ワイモンダムのホライズン・バイオサイエンス(Horizon Bioscience)、199−252頁において、メイマ(Meima)ら(2004年)バシラスにおける発現系でレビューされる)。バシラスにおける制御された発現のために有用な他のプロモーターは、PhoレギュロンおよびTnrA/GlnR系(それぞれリン酸塩および窒素の制御下である)などの栄養飢餓条件下で誘発されるものである。酵母では、ADH2系またはGAL1系が使用され得る。糸状菌では、米国特許第5,503,991号明細書に記載されるように、TAKAα−アミラーゼプロモーター、A.ニガーのグルコアミラーゼプロモーター、A.オリゼーのグルコアミラーゼプロモーター、A.ツビンゲンシス(tubingensis)のエンドキシナラーゼ(xlnA)プロモーター、A.ニガーの硝酸還元酵素(niaD)プロモーター、トリコデルマ・リーゼイのセロビオヒドロラーゼプロモーターおよびA.ニデュランスのアルコールおよびアルデヒドデヒドロゲナーゼ(それぞれ、alcAおよびaldA)プロモーターが、調節配列として使用され得る。調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。真核生物系では、これらには、メトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子が含まれる。これらの場合、ポリペプチドをコードする核酸配列は、調節配列と作用的に関連し得る。
本発明のプロモーターDNA配列中に存在する内在性の調節配列は除去されてもよく、例えば、creA結合部位の除去(以前にEP673429B号明細書において記載されたような炭素異化産物の抑制)、pacCおよびareAの変化(pHおよび窒素調節のため)である。B.サブチリスでは、炭素異化産物の抑制(CCR)は、CcpAタンパク質のcre要素への結合を含む。cre要素は、発現系の発生のためにキシロース誘発性xylプロモーターと組み合わせて使用され、目的の遺伝子の二重制御を可能にした(バブサー(Bhavsar)ら(2001年)Appl Environ Microbiol 67:403頁)。
好ましくは、DNA構築物は、本発明からのプロモーターDNA配列と、前記プロモーターDNA配列と作用的に関連するレポーター遺伝子と、
以下の配列リスト:TAAG、TAGAおよびTAAAから選択される、好ましくはTAAAである5’から3’への方向に位置が定められた1つの翻訳終結配列、および/または
以下の配列リスト:
Figure 2008532535

から選択され、好ましくは
Figure 2008532535

である5’から3’への方向に位置が定められた1つの翻訳開始コード配列、および/または
ヌクレオチド:m(A/C)、w(A/T)、y(C/T)、k(G/T)、h(A/C/T)のための多義性コードを用いて以下の配列リスト:
Figure 2008532535

から選択され、好ましくは
Figure 2008532535

である1つの転写開始配列
などの翻訳制御配列とを含む。
本発明との関連では、「翻訳開始コード配列」という用語は、DNAコード配列のオープンリーディングフレームのイニシエーターまたは開始コドンのすぐ下流側の9ヌクレオチドであると定義される。イニシエーターまたは開始コドンは、AAメチオニンをコードする。開始コドンは通常ATGであるが、GTGなどの任意の機能性開始コドンであってもよい。
本発明との関連では、「翻訳終結配列」という用語は、オープンリーディングフレームまたはヌクレオチドコード配列の3’末端で翻訳終止コドンから始まり、5’から3’への方向に位置が定められた3または4ヌクレオチドであると定義される。
本発明との関連では、「翻訳開始配列」という用語は、ポリペプチドをコードするDNA配列のオープンリーディングフレームのイニシエーターまたは開始コドンのすぐ上流側の10ヌクレオチドであると定義される。イニシエーターまたは開始コドンは、AAメチオニンをコードする。開始コドンは通常ATGであるが、GTGなどの任意の機能性開始コドンであってもよい。ウラシル、UがRNAのデオキシヌクレオチドチミン、Tを置換することは当該技術分野においてよく知られている。
原核生物のための好ましい制御配列は、EP284126A号明細書において既に記載されている。
本発明は、レポーター遺伝子と作用的に関連する本発明のプロモーター、ならびに転写および翻訳停止シグナルを含む組換え発現ベクターにも関する。上記の様々なレポーター遺伝子および制御配列は一緒に結合されて、1つまたは複数の便利な制限部位を含み得る組換え発現ベクターを生じることができ、該部位におけるプロモーターおよび/またはレポーター遺伝子の挿入または置換を可能にする。あるいは、レポーター遺伝子およびプロモーターの融合は、例えば、Gene.1989年4月、15、77(1):51−9頁、ホー(Ho)SN、ハント(Hunt)HD、ホートン(Horton)RM、プーレン(Pullen)JK、ピース(Pease)LR、「ポリメラーゼ鎖反応を用いる重複伸長による部位特異的変異誘発」)に記載されるようなPCRを用いる配列重複伸長(SOE−PCR)によって、あるいはゲートウェイ(Gateway)TMクローニング系(インビトロジェン(Invitrogen))を用いるクローニングによって行うことができる。
組換え発現ベクターは、宿主細胞を形質転換することができるどのベクターでもよい。ベクターの選択は通常、ベクターと、ベクターが導入される宿主細胞との適合性に依存し得る。ベクターは、直鎖状または閉環状のプラスミドであり得る。ベクターは、組込みまたは自己複製ベクターであり得る。
ベクターは、自己複製ベクター、すなわち染色体外の実体、例えばプラスミド、染色体外要素、ミニ染色体、または人工染色体として存在するベクターでよく、その複製は染色体の複製とは無関係である。自己複製ベクターは、自己複製を確実にする手段を含有することができる。ベクターは、宿主細胞内に導入されたときに、ゲノムに組み込まれて、組み込まれた染色体と一緒に複製されるものでもよい。さらに、宿主細胞のゲノムに導入されるべき全DNA、またはトランスポゾンを一緒に含有する単一のベクターまたはプラスミド、もしくは2つ以上のベクターまたはプラスミドが使用されてもよい。自律的に維持されるクローニングベクターの一例は、AMA1−配列を含むクローニングベクターである。AMA1は、A.ニデュランスから単離される6.0kbのゲノムDNA断片であり、アスペルギルスにおける自律的な維持が可能である(例えば、アレクセンコ(Aleksenko)およびクラッターバック(Clutterbuck)(1997年)、Fungal Genet.Biol.21:373−397頁を参照)。B.サブチリスおよびB.アミロリケファシエンスなどのグラム陽性細菌における発現に有用な自己複製ベクターの例は、ブドウ球菌ベクターpUB110(マッケンジー(McKenzie)ら、(1986)Plasmid 15:93頁)、ならびに内在性B.サブチリスプラスミドpTA1015、pTA1040およびpTA1060そしてこれらに由来するベクター(例えば、pHB201、ブロン(Bron)ら、(1998年)J Biotechnol 64:3頁)である。
本発明のベクターは、好ましくは、宿主細胞のゲノム内へのベクターの安定な組込み、またはゲノムとは無関係の細胞内でのベクターの自己複製を可能にする要素を含有する。
宿主細胞ゲノムへの組込みについて、ベクターは、相同または非相同の組換えによるゲノムへのベクターの安定した組込みのために、プロモーター配列および/またはレポーター遺伝子配列またはベクターの他の任意の要素に依存し得る。ベクターは、宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組込みを指示するためのさらなる核酸配列を含有してもよい。さらなる核酸配列は、ベクターが染色体の正確な位置で宿主細胞ゲノムに組み込まれるのを可能にする。正確な位置での組込みの可能性を増大させるために、組込み要素は、好ましくは、20〜50、好ましくは55〜95、好ましくは100〜1,500塩基対、好ましくは400〜1,500塩基対、より好ましくは800〜1,500塩基対、そして最も好ましくは少なくとも2kbなど、宿主細胞のゲノム中の所定の標的座位におけるDNA配列に相同である十分な数の核酸を含有すべきである。組込み要素は、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同である任意の配列でよい。さらに、組込み要素は、非コード化またはコード化核酸配列であり得る。標的の組込みを促進するために、クローニングベクターは、好ましくは、宿主細胞の形質転換の前に直線化される。直線化は、好ましくは、クローニングベクターの少なくとも一方であるが好ましくは両方の末端が、標的座位と相同である配列によってフランキングされるように実施される。
好ましくは、標的座位と相同である発現ベクター内の組込み要素は高発現座位に由来し、これは、これらが宿主細胞において高発現レベルが可能である遺伝子に由来することを意味する。高発現レベルが可能な遺伝子、すなわち高発現遺伝子は、本明細書では、例えば誘発条件下でそのmRNAが少なくとも全細胞性mRNAの0.5%(w/w)を構成することができる遺伝子、あるいはその遺伝子産物が全細胞性タンパク質の少なくとも1%(w/w)を構成することができる、または、分泌遺伝子産物の場合には、少なくとも0.1g/lのレベルまで分泌されることができる遺伝子であると定義される(EP357127B1号明細書に記載される)。例として、アスペルギルスまたはトリコデルマからのアミラーゼ、グルコアミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、グリセルアルデヒド−リン酸デヒドロゲナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ遺伝子などの多数の好ましい高発現真菌遺伝子が与えられる。これらの目的のために最も好ましい高発現遺伝子は、グルコアミラーゼ遺伝子、好ましくはA.ニガーのグルコアミラーゼ遺伝子、A.オリゼーのTAKA−アミラーゼ遺伝子、A.ニデュランスのgpdA遺伝子、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29の座位、好ましくは配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29のA、ニガー座位、もしくはトリコデルマ・リーゼイのセロビオヒドロラーゼ遺伝子である。
あるいは、ベクターは、非相同組換えによって宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよい。
あるいはおよび/または上記の実施形態と組み合わせて、本発明のプロモーターと作用的に関連するレポーター遺伝子を含むDNA構築物は、本発明のステップ(e)で目的のタンパク質の産生、好ましくは分泌について細胞がスクリーニングされた後、宿主細胞から欠失され得る。ステップ(e)は以下に説明される。これにより、宿主細胞がレポーター遺伝子および/または選択可能なマーカー遺伝子を含むことなく、宿主細胞が目的のタンパク質の産生のために直接使用されることが可能になる。本発明のDNA構築物の欠失を可能にするために、DNA構築物は、好ましくは、レポーター遺伝子およびDNA反復間の双方向性の選択可能なマーカー遺伝子の両方を含む。DNA反復は、染色体内の相同組換えによって、DNA構築物の欠失を可能にする。この方法は、EP0635574B1号明細書に記載される「マーカー−遺伝子フリー」アプローチに類似している。
自己複製のために、ベクターはさらに、ベクターが問題の宿主細胞において自律的に複製できるようにする複製開始点を含むことができる。酵母宿主細胞において使用するための複製開始点の例は、2ミクロンの複製開始点、ARS1、ARS4、ARS1およびCEN3の組み合わせ、ならびにARS4およびCEN6の組み合わせである。複製開始点は、宿主細胞においてその機能性を温度感受性にする突然変異を有するものでもよい(例えば、アーリック(Ehrlich)、1978年、全米科学アカデミー紀要75:1433頁を参照)。
本発明のDNA構築物の2つ以上のコピーが宿主細胞に挿入されてもよい。これは、好ましくは、DNA配列をそのゲノムコピーへ組み込むことによって、より好ましくは高発現座位、好ましくはグルコアミラーゼ座位、または配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28および配列番号29の座位におけるDNA配列の組込みを標的とすることによって行うことができる。あるいはこれは、核酸配列を有する増幅可能な選択可能なマーカー遺伝子を含むことにより行うことができ、この場合、適切な選択可能な試薬の存在下で細胞を培養することによって、選択可能なマーカー遺伝子の増幅されたコピー、そしてそれにより核酸配列のさらなるコピーを含有する細胞を選択することができる。過剰発現すべきDNA配列のコピー数をさらにより増大させるために、国際公開第98/46772号パンフレットに記載されるような遺伝子変換技法が使用されてもよい。
上記の要素を連結して本発明の組換え発現ベクターを構築するために使用される手順は、当業者によく知られている(例えば、上記のサムブルックら、1989年を参照)。
宿主細胞
本発明はさらに、レポーター遺伝子と作用的に関連する本発明のプロモーターDNA配列を含む上記のセクションで定義されたDNA構築物で形質転換された組換え宿主細胞に関する。好ましくは、形質転換宿主細胞はさらに、目的の特性を有する1つまたは複数のタンパク質を産生することができると考えられる生物体からのDNAライブラリーに由来するコード配列を含むDNA配列を含むさらなるDNA構築物を含む。
このような細胞は、次のセクションで記載される発現クローニング法において有利に使用することができる。レポーター遺伝子と作用的に関連する本発明のプロモーターDNA配列を含む発現ベクターは、宿主細胞内に導入される。宿主細胞はさらに、DNAライブラリーに由来するコード配列を含むDNA配列を含むDNA構築物または発現ベクターで形質転換される。前に記載したように、DNA構築物または発現ベクターは両方とも、染色体組込み体として、または自己複製染色体外ベクターとしてのいずれかで維持される。宿主細胞の選択は、DNAライブラリーが作製された生物体および/または使用されるプロモーターDNA配列の起源にかなりの程度で依存し得る。
宿主細胞は任意の微生物でよい。好ましくは、宿主細胞は、DNAライブラリーが作製されたもの、および/または本明細書において前に定義したように本発明のプロモーターが由来するものと同じ生物体である。好ましい実施形態によると、宿主細胞は、原核生物または真核生物である。より好ましい実施形態によると、本発明の方法において有用な宿主細胞は原核生物であり、より好ましくはプロモーターのセクションにおいてプロモーターのソースとして定義した原核生物である。より好ましくは、原核生物宿主細胞は、好ましくはバシラス・サブチリス、バシラス・リシェニフォルミスおよび/またはバシラス・アミロリケファシエンスの種属のバシラス宿主細胞である。
もう1つのより好ましい実施形態によると、本発明の方法において有用な宿主細胞は、真菌である。
宿主細胞は、野生型の糸状菌宿主細胞、もしくは変異体、突然変異体または遺伝子改変された糸状菌宿主細胞でもよい。本発明の好ましい実施形態では、宿主細胞は、プロテアーゼ欠損またはプロテアーゼマイナス株である。これは、「alp」という名前のアルカリプロテアーゼ遺伝子が欠失されたプロテアーゼ欠損株アスペルギルス・オリゼーJaL125(国際公開第97/35956号パンフレットまたはEP429490号明細書に記載される)、または国際公開第96/14404号パンフレットに開示されるA.ニガーのトリペプチジル−アミノペプチダーゼ(TPAP)欠損株でよい。さらに、国際公開第01/68864号パンフレットに記載されるように、転写活性化剤(prtT)の産生が低下した宿主細胞も本発明に従って考慮される。もう1つの特に考慮される宿主株は、アスペルギルス・オリゼーBECh2であり、ここで、親株IF04177中に存在する3つのTAKAアミラーゼ遺伝子は不活性化されている。さらに、2つのプロテアーゼ、アルカリプロテアーゼおよび中性メタロプロテアーゼ11は、遺伝子破壊により破壊されている。代謝産物シクロピアゾン酸およびコウジ酸を形成する能力は、突然変異により破壊されている。BECh2は国際公開第00/39322号パンフレットに記載されており、JaL228(国際公開第98/12300号パンフレットに記載)に由来する。これは、もう一度言うと、A1560として米国特許5,766、912号明細書に記載されるIF04177の突然変異体であった。
任意で、糸状菌宿主細胞は、目的のポリペプチドの産生能力を高めるために、野生型細胞と比較して上昇した非折り畳みタンパク質応答(UPR)を含んでもよい。UPRは、米国特許出願公開第2004/0186070A1号明細書および/または米国特許出願公開第2001/0034045A1号明細書および/または国際公開第01/72783A2号パンフレットおよび/または国際公開第2005/123763号パンフレットに記載される技法によって増大され得る。より具体的には、HAC1および/またはIRE1および/またはPTC2のタンパク質レベルは調節されており、および/またはSEC61タンパク質は、上昇したUPRを有する宿主細胞を得るために操作されている。
あるいは、または上昇したUPRと組み合わせて、宿主細胞は遺伝子改変されて、目的のポリペプチドの産生能力を高めるために野生型細胞と比較して低いプロテアーゼの発現および/またはプロテアーゼの分泌を示す表現型を得ることができる。このような表現型は、プロテアーゼの発現の転写制御因子の欠失および/または修飾および/または不活性化によって得ることができる。このような転写制御因子は、例えばprtTである。prtTの調節によるプロテアーゼの発現の低下は、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書およびEP2005/055145号明細書に記載される技法によって実施され得る。
あるいは、もしくは上昇したUPRおよび/またはより低いプロテアーゼの発現および/またはプロテアーゼの分泌を示す表現型と組み合わせて、宿主細胞は、目的のポリペプチドの産生の収率を高めるために、シュウ酸欠損表現型を示すことができる。シュウ酸欠損表現型は、国際公開第2004/070022A2号パンフレットおよび/または国際公開第2000/50576号パンフレットに記載される技法によって得ることができる。
あるいは、もしくは上昇したUPRおよび/またはより低いプロテアーゼの発現および/またはプロテアーゼの分泌および/またはシュウ酸欠損を示す表現型と組み合わせて、宿主細胞は、目的のポリペプチドの産生の収率を高めるために野生細胞と比較した表現型の差異の組み合わせを示すことができる。これらの差異は、グルコアミラーゼおよび/または中性α−アミラーゼAおよび/または中性α−アミラーゼB、α−1、6トランスグルコシダーゼ、プロテアーゼ、およびシュウ酸ヒドロラーゼの低下した発現を含むことができるが、これらに限定されない。宿主細胞によって示される前記表現型の差異は、米国特許出願公開第2004/0191864A1号明細書に記載される技法に従って遺伝子改変によって得ることができる。
あるいは、または本明細書において上記で記載される表現型と組み合わせて、相同組換えによる宿主細胞のゲノムへの核酸構築物の標的組込み、すなわち所定の標的座位における組込みの効率は、好ましくは、宿主細胞の増強した相同組換え能力によって増大され得る。細胞のこのような表現型は、好ましくは、国際公開第2005/095624号パンフレットに記載されるような欠損hdfAまたはhdfB遺伝子を含む。国際公開第2005/095624号パンフレットには、増大した効率の標的組込みを含む糸状菌細胞を得るための好ましい方法が開示されている。
より好ましくは、本発明の宿主細胞は、以下のリスト:バシラス、酵母および糸状菌、好ましくはアスペルギルス、ペニシリウムまたはトリコデルマ種から選択される。さらにより好ましくは、アスペルギルス宿主細胞は、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・ソーヤまたはアスペルギルス・オリゼー種である。
また本発明は、本発明の2つ以上のプロモーターDNA配列を含み、各プロモーターがレポーター遺伝子と作用的に関連する組換え宿主細胞にも関する。このような宿主細胞は、次のセクションにおいて記載される発現クローニング法において有利に使用され得る。細菌細胞は、化学的に誘発された受容能(例えばCaCl)またはエレクトロポレーション(サムブルックら、(1989年)「分子クローニング:実験室マニュアル」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリーズ、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨーク)、プロトプラスト形質転換(チャン(Chang)およびコーエン(Cohen)(1979年)Mol Gen Genet 168:111頁)、そしていくつかのバシラス種の場合には、自然の受容能(スピジィツェン(Spizizen)(1958年)、Proc Natl Acad Sci USA 44:1072頁)を含む様々な方法によって形質転換され得る。真菌細胞は、それ自体は知られている方法でプロトプラスト形成、プロトプラストの形質転換、および細胞壁の再生を含む方法によって形質転換され得る。アスペルギルス宿主細胞の形質転換のための適切な手順は、EP238023号明細書およびイエルトン(Yelton)ら、1984年、全米科学アカデミー紀要81:1470−1474頁に記載されている。アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)を用いるアスペルギルスおよび他の糸状菌宿主細胞の形質転換のための適切な手順は、例えば、Nat Biotechnol.1998年9月、16(9):839−42頁、Nat Biotechnol 1998年11月、16(11):1074頁における誤植、アグロバクテリウム・ツメファシエンス仲介の糸状菌の形質転換、デ・グルート(de Groot)MJ、バンドック(Bundock)P、ホーイカース(Hooykaas)PJ、ベイジャースベルゲン(Beijersbergen)AG、オランダ、フラールディンゲンのユニリーバ・リサーチ・ラボラトリー(Unilever Research Laboratory)に記載されている。フザリウム種を形質転換するための適切な方法は、マラルディエ(Malardier)ら、1989年、Gene 78:147−156頁および国際公開第96/00787号パンフレットによって記載されている。酵母は、ベッカー(Becker)およびグアレンテ(Guarente)によるアベルソン(Abelson)J.N.およびサイモン(Simon)M.I.編、酵母遺伝学および分子生物学の入門書、酵素学における方法、第194巻、182−187頁、アカデミック・プレス社(Academic Press,Inc.)ニューヨーク、イトウ(lto)ら、1983年、Journal of Bacteriology 153:163頁、およびヒンネン(Hinnen)ら、1978年、全米科学アカデミー紀要75:1920頁において記載される手順を用いて形質転換され得る。原核生物の形質転換は、EP284126A号明細書に記載されるように実施することができる。
発現クローニング法
さらなる態様によると、本発明は、宿主細胞中の目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列を単離するための方法を提供し、前記方法は、
(a)選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子と作用的に関連するプロモーターDNA配列を含む第1のDNA構築物を調製するステップであって、前記DNA構築物が宿主細胞中に存在する場合、そして目的のタンパク質、好ましくは目的の分泌タンパク質が宿主細胞によって産生される場合に前記プロモーターDNA配列が誘発されるステップと、
(b)1つまたは複数の目的のタンパク質を産生することができると考えられる生物体からのDNAライブラリーに由来する目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列を含む第2のDNA構築物を調製するステップと、
(c)ステップ(a)および(b)において調製されたDNA構築物の両方で宿主細胞を形質転換するステップと、
(d)DNAライブラリー中に存在する目的のタンパク質の産生に寄与する条件下でステップ(c)において得られた形質転換宿主細胞の全てを培養するステップと、
(e)ステップ(d)において産生されたタンパク質の分析によって、目的のタンパク質を産生する形質転換宿主細胞をスクリーニングするステップと、
を含む。
ステップ(a)
選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子と作用的に関連するプロモーターDNA配列を含む第1のDNA構築物が調製され、前記プロモーターDNA配列は、DNA構築物が宿主細胞中に存在する場合と、目的のタンパク質、好ましくは目的の分泌タンパク質が宿主細胞によって産生される場合に誘発される。
第1のDNA構築物中に存在するプロモーターは、目的のタンパク質、好ましくは目的の分泌タンパク質が宿主細胞によって産生される場合に誘発されるプロモーターである。
本発明において、「誘発される」という用語は、同じ培養条件下で対応する対照宿主細胞において目的のタンパク質が(過剰)産生されない場合のプロモーターの活性と比較して、目的のタンパク質が宿主細胞によって(過剰)産生される、好ましくは分泌される場合の本発明のプロモーターのプロモーター活性の増大であると定義される。好ましくは、目的のタンパク質が宿主細胞において(過剰)産生される、好ましくは分泌される場合、同じ培養条件下で目的のタンパク質が(過剰)産生されない対応する対照宿主細胞と比較して、プロモーター活性は少なくとも約1.5倍増大し、より好ましくは少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約3倍、より好ましくは少なくとも約4倍、より好ましくは少なくとも約5倍、さらにより好ましくは少なくとも約6倍、さらにより好ましくは少なくとも約8倍、さらにより好ましくは少なくとも約10倍、さらにより好ましくは少なくとも約20倍、さらにより好ましくは少なくとも約50倍、そして最も好ましくは少なくとも約100倍増大する。より好ましくは、プロモーター活性の増大は無限大である。すなわち、目的のタンパク質が(過剰)産生されない場合には、プロモーター活性は検出されないか、あるいはプロモーターは不活性であり、目的のタンパク質が(過剰)産生される場合にプロモーターが誘発される。プロモーター活性は、好ましくは、既に定義されたように決定される。最も好ましくは、プロモーター活性は、ノーザンブロットを用いるmRNA分析によって決定される。
このようなプロモーターは、目的のタンパク質を産生する細胞の遺伝子発現プロファイルと、前記タンパク質を産生しない対照株の遺伝子発現プロファイルとを比較することによって同定することができる。好ましくは、このような発現プロファイルは、確立されたDNAマイクロアレイ分析を用いて比較される。あるいは、発現プロファイルは、ノーザンブロットまたは定量的PCR分析などの当業者に知られた他の方法を用いて比較することもできる。発現プロファイルを比較するための最も好ましい方法は、まずDNAマイクロアレイ分析によって発現プロファイルを比較した後、次にマイクロアレイの結果をノーザンブロットにより確実にすることによって実施される。好ましい実施形態によると、プロモーターは、プロモーターのセクションで記載された本発明のプロモーターDNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態によると、宿主細胞がバシラス細胞である場合、プロモーターは、列挙される以下のゲノムDNA配列:htrA(配列番号1)またはhtrB(配列番号2)に由来する。好ましくは、プロモーターDNA配列は、開始コドンの上流側に位置するこれらのうちの1つのゲノムDNA配列の非コード部分または上流側に位置する前記ゲノム配列の一部に由来する。より好ましくは、使用されるプロモーターは、配列番号1または配列番号2のいずれかのDNA配列である。
もう1つの好ましい実施形態によると、宿主細胞が糸状菌細胞である場合、プロモーターは、列挙される以下のゲノムDNA配列:配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、または配列番号24に由来する。好ましくは、プロモーターDNA配列は、開始コドンの上流側に位置するこれらのうちの1つのゲノムDNA配列の非コード部分または上流側に位置する前記ゲノム配列の一部に由来する。より好ましくは、使用されるプロモーターは、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、または配列番号19のいずれかのDNA配列、またはその誘導体である。
ステップ(a)において調製される第1のDNA構築物は対応する「DNA構築物」セクションにおいて既に記載されており、好ましくは、「DNA構築物」セクションに記載されるように、選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子を含む。
ステップ(b)
ステップ(b)において調製されるDNA構築物は、1つまたは複数の目的のタンパク質を産生することができると考えられる生物体からのDNAライブラリーに由来する目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列を含む。通常1つまたは複数の目的のタンパク質を産生すると考えられる生物体は、原核生物または真核生物である。好ましい原核生物および真核生物の例は、本発明のプロモーターの起源に関連して本明細書において既に定義されている。1つの好ましい実施形態によると、生物体はバシラス、より好ましくはプロモーターのセクションで定義されたバシラス種である。もう1つの好ましい実施形態によると、生物体は真核生物、より好ましくは真菌、その中で最も好ましくは糸状菌である。
ステップ(b)において調製されるDNA構築物は、好ましくは、「DNA構築物」および「制御要素」セクションで定義されたような調節配列を含む。
本発明に従う方法では、1つまたは複数の目的のタンパク質を産生すると考えられる生物体からのDNA断片のライブラリーは、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーであり得る。しかしながら真核生物ドナーの場合、真菌宿主生物体におけるプロモーターまたはスプライスシグナルの認識に関する問題を回避するために、好ましくはcDNAライブラリーが使用される。cDNAライブラリーは、好ましくは、目的のタンパク質の発現に寄与する条件下で成長された場合にソース生物体から単離されたmRNAから作製される。
本発明に従う方法は、宿主細胞により発現されたときにタンパク質の検出に利用することができるアッセイがあれば、目的の任意のタンパク質またはポリペプチドをコードするDNA配列の単離に適用することができる。
ステップ(C)
両方のDNA構築物で形質転換される宿主細胞の同一性は、宿主細胞のセクションで既に記載された。形質転換の方法は、同じセクションで既に記載された。1つの実施形態によると、宿主細胞は、ステップ(a)および(b)において調製された構築物で同時に形質転換される。あるいは、そしてもう1つの実施形態によると、宿主細胞は、まずステップ(a)において調製されたDNA構築物で形質転換され、引き続きステップ(b)において調製されたDNA構築物で形質転換される。
好ましい実施形態によると、宿主細胞は原核生物、好ましくはバシラス細胞であり、より好ましくはバシラス・サブチリスであり、さらにより好ましくはhtrA遺伝子欠損バシラス・サブチリス(ここで、htrA遺伝子のコード領域の少なくとも一部が欠失および/または置換されており、そして/またはhtrA遺伝子の非コード領域は前記バシラス細胞のゲノム中にまだ存在している)であり、最も好ましくは、バシラス・サブチリスBV2003が使用される(ヒリライネン(Hyyrylainen)ら(2001年)Mol Microbiol 41:1159頁)。
あるいは、または前の好ましい実施形態と組み合わせて、宿主細胞はバシラス細胞であり、レポーター遺伝子は、DNA構築物のセクションで定義された蛍光レポータータンパク質、最も好ましくはGFPをコードする。
あるいは、または前の好ましい実施形態と組み合わせて、宿主細胞がバシラス細胞である場合には、プロモーターは、以下のリスト:htrA(配列番号1)またはhtrB(配列番号2)で提示されるゲノムDNA配列に由来する。好ましくは、プロモーター配列は、開始コドンの上流側に位置するこれらの2つのうちの1つのゲノムDNA配列の非コード部分または上流側に位置する前記配列の一部に由来する。より好ましくは、使用されるプロモーターは、配列番号1または配列番号2のいずれかに由来するものである。最も好ましい実施形態によると、使用されるプロモーターおよび使用されるレポーター遺伝子は、配列番号1と作用的に関連するGFPまたは配列番号2と作用的に関連するGFPのいずれかである。
もう1つの好ましい実施形態によると、生物体は真核生物、より好ましくは真菌、その中で最も好ましくは糸状菌である。好ましくは、糸状菌はアスペルギルス、ペニシリウムまたはトリコデルマ種である。さらにより好ましくは、アスペルギルス宿主細胞は、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・ソーヤまたはアスペルギルス・オリゼー種である。最も好ましい宿主細胞はA.ニガーであり、好ましくはCBS513.88またはその誘導体である。
あるいは、または前の好ましい実施形態と組み合わせて、宿主細胞は糸状菌細胞であり、レポーター遺伝子は、DNA構築物のセクションで定義された蛍光レポータータンパク質、最も好ましくはGFPをコードする。あるいは、レポーター遺伝子は、選択可能なマーカーをコードする。より好ましくは、レポーター遺伝子は、蛍光タンパク質および選択可能なマーカーのハイブリッドレポーター遺伝子である。最も好ましくは、ハイブリッドレポーター遺伝子は、GFPおよびストレプトアロテイクス・ヒンダスタニスのフレオマイシン耐性遺伝子(BLE)を含む(ドロコート(Drocourt)ら、NAR、1990年)。
あるいは、または前の好ましい実施形態と組み合わせて、宿主細胞が糸状菌細胞である場合には、プロモーターは、以下のリスト:配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24で提示されるゲノムDNA配列に由来する。好ましくは、プロモーター配列は、開始コドンの上流側に位置する列挙されたうちの1つのゲノムDNA配列の非コード部分または上流側に位置する前記配列の一部に由来する。より好ましくは、使用されるプロモーターは、実施例3〜7において使用されるものの1つであり、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24のいずれかに由来する。最も好ましい実施形態によると、使用されるプロモーターおよび使用されるハイブリッドレポーター遺伝子は、プロモーター配列番号15と作用的に関連するGFP−BLE(配列番号61)、プロモーター配列番号16と作用的に関連するGFP−BLE、プロモーター配列番号17と作用的に関連するGFP−BLE、プロモーター配列番号18と作用的に関連するGFP−BLE、またはプロモーター配列番号19と作用的に関連するGFP−BLEのいずれかである。
ステップ(d)
両方のDNA構築物による宿主細胞の形質転換の後、DNAライブラリー中に存在する目的のタンパク質の産生に寄与する条件下で、得られた形質転換宿主細胞クローンの全てが培養される。目的のタンパク質の検出に必要とされるアッセイに依存して、形質転換クローンは増殖され、寒天プレートなどの固体培地または液外培地にコロニーとして貯蔵され、それによって個々のライブラリークローンが成長され、貯蔵され、そして/またはマイクロタイタープレートのウェルにおいてアッセイされる。
当業者は、当該技術分野において既知のクローニング法への通常の適応が本発明の方法にも同様に適用できることを理解するであろう。適応には、例えば、ライブラリークローンのプールのスクリーニング、多数の異なる目的のタンパク質に対して同じライブラリーをスクリーニングすること、ならびにより正確な結果を保証するために陽性クローンの再スクリーニング、再単離および再クローニングが含まれるがこれらに限定されない。
スクリーニング法で同定された形質転換宿主細胞から目的のタンパク質をコードするDNA配列を単離するため、および単離されたDNA配列を次に特徴づけするために、当業者は様々な方法を利用することができる。
ステップ(e)
ステップ(d)に続いて、形質転換宿主細胞は、産生されたタンパク質の分析によって、目的のタンパク質の産生、好ましくは分泌についてスクリーニングされる。ステップ(e)の間、第1のDNA構築物中に存在するプロモーターDNA配列によって誘発された産生依存性、好ましくは分泌依存性のレポーター発現をモニターすることによって、目的のタンパク質を産生、好ましくは分泌する形質転換宿主細胞についてスクリーニングする。
好ましい実施形態によると、宿主細胞がバシラス細胞である場合、第1のDNA構築物中に存在するプロモーターDNA配列によって誘発された産生依存性、好ましくは分泌依存性のレポーター発現をモニターすることにより目的のタンパク質を産生、好ましくは分泌する形質転換宿主細胞を同定するためのスクリーニングは、好ましくは、蛍光に基づく細胞分析アッセイ、例えば蛍光活性化細胞走査、蛍光活性化細胞分取(FACS)または蛍光定量分析を用いて実施される。より好ましくは、宿主細胞は、第1のDNA構築物を含むバシラス細胞であり、前記DNA構築物は、配列番号1またはその誘導体もしくは配列番号2またはその誘導体などのプロモーターを含み、前記DNA構築物はさらに、蛍光レポーターをコードするレポーター遺伝子を含み、スクリーニングは、蛍光に基づく細胞分析アッセイを用いて実施される。さらにより好ましくは、宿主細胞はバシラス細胞であり、第1のDNA構築物は、
− GFPと作用的に関連するプロモーターDNA配列、配列番号1またはその誘導体か、もしくは
− GFPと作用的に関連するプロモーターDNA配列、配列番号2またはその誘導体
を含み、スクリーニングは、FACSを用いて実施される。あるいは、または前の実施形態と組み合わせて、スクリーニングは、例えば比色分析アッセイを用いて、または選択的培養条件を用いて実施されてもよい。当業者は、使用されるレポーター遺伝子に依存して、選択的培養条件はそれに応じて選択されるべきであることを理解するであろう。選択的培養条件の例は、殺生物剤の使用、抗生物質の使用、少なくとも1つの栄養物、原栄養性の制限であるが、これらに限定されない。
もう1つの好ましい実施形態によると、宿主細胞が糸状菌細胞である場合、本発明の第1のDNA構築物中に存在するプロモーターDNA配列によって誘発された産生依存性、好ましくは分泌依存性のレポーター発現をモニターすることにより目的のタンパク質を産生、好ましくは分泌する形質転換宿主細胞を同定するためのスクリーニングは、好ましくは、選択的培養条件下における培養によって実施される。当業者は、使用されるレポーター遺伝子に依存して、選択的培養条件はそれに応じて選択されるべきであることを理解するであろう。選択的培養条件の例は、殺生物剤の使用、抗生物質の使用、少なくとも1つの栄養物、原栄養性の制限であるが、これらに限定されない。あるいは、または前の実施形態と組み合わせて、スクリーニングは、例えば、比色分析、蛍光定量(FACSなど)または酵素活性に基づくアッセイを用いて実施されてもよい。より好ましい実施形態によると、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含む糸状菌細胞であり、スクリーニングは、選択的培養条件を用いて実施される。より好ましくは、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含む糸状菌細胞であり、前記DNA構築物は、配列番号15またはその誘導体、配列番号16またはその誘導体、配列番号17またはその誘導体、配列番号18またはその誘導体、配列番号19またはその誘導体のリストから選択されるプロモーターを含み、前記DNA構築物はさらに、選択可能なマーカーをコードするレポーター遺伝子を含み、スクリーニングは、選択的培養条件を用いて実施される。さらにより好ましくは、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含む糸状菌細胞であり、前記DNA構築物は、配列番号15またはその誘導体、配列番号16またはその誘導体、配列番号17またはその誘導体、配列番号18またはその誘導体、配列番号19またはその誘導体のリストから選択されるプロモーターを含み、前記DNA構築物はさらに、配列番号61などのハイブリッドレポーター遺伝子を含み、スクリーニングは選択的培養条件を用いて実施される。
もう1つのより好ましい実施形態によると、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含むA.ニガー細胞であり、スクリーニングは選択的培養条件を用いて実施される。より好ましくは、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含むA.ニガー細胞であり、前記DNA構築物は、配列番号15またはその誘導体、配列番号16またはその誘導体、配列番号17またはその誘導体、配列番号18またはその誘導体、配列番号19またはその誘導体のリストから選択されるプロモーターを含み、前記DNA構築物はさらに、選択可能なマーカーをコードするレポーター遺伝子を含み、スクリーニングは選択的培養条件を用いて実施される。さらにより好ましくは、宿主細胞は、本発明の第1のDNA構築物を含むA.ニガー細胞であり、前記DNA構築物は、配列番号15またはその誘導体、配列番号16またはその誘導体、配列番号17またはその誘導体、配列番号18またはその誘導体、配列番号19またはその誘導体のリストから選択されるプロモーターを含み、前記DNA構築物はさらに、配列番号61などのハイブリッドレポーター遺伝子を含み、スクリーニングは選択的培養条件を用いて実施される。さらにより好ましくは、宿主細胞はA.ニガー細胞であり、第1のDNA構築物は、
− プロモーター配列番号15と作用的に関連するハイブリッドレポーター遺伝子GFP−BLE(配列番号61)、もしくは
− プロモーター配列番号16またはその誘導体と作用的に関連するGFP−BLEもしくは
− プロモーター配列番号17またはその誘導体と作用的に関連するGFP−BLE、もしくは
− プロモーター配列番号18またはその誘導体と作用的に関連するGFP−BLE、もしくは
− プロモーター配列番号19またはその誘導体と作用的に関連するGFP−BLEを含み、スクリーニングは、選択的な薬剤として抗生物質、好ましくはフレオマイシンを含む選択的培養条件を用いて実施される。
上記のように本発明のスクリーニング法により単離されたDNA配列は、DNA配列によりコードされる目的のタンパク質の産生を生じるため、または改善するために使用される。有利に、上記のスクリーニング法において単離される形質転換宿主細胞は、目的のタンパク質の産生、好ましくは分泌に寄与する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、任意でタンパク質を回収することによって、目的のタンパク質の産生のための工程において直接使用される。
好ましい実施形態によると、宿主細胞がレポーター遺伝子および/または選択可能なマーカー遺伝子を含むことなく、宿主細胞が目的のタンパク質の産生のために直接使用されることが可能になる。従って、本発明のプロモーターと作用的に関連するレポーター遺伝子を含むDNA構築物は、細胞が目的のタンパク質の産生、好ましくは分泌についてスクリーニングされた後に宿主細胞から欠失される。本発明のDNA構築物の欠失を可能にするために、DNA構築物は、好ましくは、レポーター遺伝子およびDNA反復間の双方向性の選択可能なマーカー遺伝子の両方を含む。DNA反復は、染色体内の相同組換えによって、DNA構築物の欠失を可能にする。この方法は、EP0635574B1号明細書に記載される「マーカー−遺伝子フリー」アプローチに類似している。
多くの場合、本発明のスクリーニング法で単離される最初の形質転換宿主細胞は、スクリーニングの目的では満足できるが、経済的な産生のためには大幅に改善され得る発現レベルを有するであろう。このために、DNA配列は発現ベクターに挿入され、これは次に、適切な宿主細胞を形質転換するために使用される。発現ベクター内で、DNA配列は、プロモーター、任意でシグナル配列およびターミネーターなどの適切な発現シグナルに作用可能に結合され、これらは、「DNA構築物」および「制御要素」セクションで定義されたように、宿主生物体内でタンパク質の発現を指示することができる。タンパク質の産生のための適切な宿主細胞は、原核生物または真核生物細胞のいずれでもよく、好ましくは真正細菌、酵母または糸状菌である。好ましい細菌宿主細胞は、プロモーターのセクションで定義したようなバシラス属から選択される。もう1つの好ましい実施形態によると、宿主細胞は、「宿主細胞」のセクションで既に定義したような酵母または糸状菌である。好ましい酵母宿主細胞は、サッカロミセス属、クルイベロミセス属、ヤロウイア属、ピキア属、およびハンゼヌラ属からなる群から選択される。好ましい糸状菌宿主細胞は、スクリーニング法のために好ましい宿主細胞として上記で列挙した属と同じ属から選択される。より好ましくは、糸状菌はアスペルギルス、ペニシリウムまたはトリコデルマ種である。さらにより好ましくは、アスペルギルス宿主細胞は、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・ソーヤまたはアスペルギルス・オリゼー種である。最も好ましい宿主細胞はA.ニガー、好ましくはCBS513.88またはその誘導体である。
適切な宿主細胞は、当業者が利用できる様々なプロトコルのいずれかによって、発現ベクターで形質転換される。形質転換宿主細胞は、次に、タンパク質をコードするDNA配列の発現に寄与する条件下で形質転換宿主細胞を培養し、任意でタンパク質を回収することによって目的のタンパク質を産生するための工程において使用される。
好ましくは、目的のタンパク質は酵素である。
従って、本発明は、発現クローニング法における本発明のプロモーターの使用に関する。
本発明はさらに、本発明のプロモーターの他の使用に関する。好ましくは、本発明のプロモーターは、前のセクションで全て定義されたDNA構築物または発現ベクター中の任意のコード配列と作用的に関連し得る。このようなDNA構築物または発現ベクターは、「宿主細胞」セクションにおいて定義したような任意の宿主細胞内に導入されて、所与の価値のある化合物の発現のために使用され得る。このような価値のある化合物の例は代謝産物またはポリペプチドであるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明のプロモーターと作用的に関連するコード配列は、価値のある化合物をコードする。あるいは、そして本発明のもう1つの好ましい実施形態によると、本発明のプロモーターと作用的に関連するコード配列は価値のある化合物の産生に関与する。
あるいは、そして本発明のプロモーターのもう1つの好ましい使用によると、本発明のプロモーターは不活性化または置換構築物に組み込まれ、所与の宿主細胞内に形質転換され、そして標的遺伝子を不活性化または置換するために使用される。
本発明はさらに、以下の実施例によって説明される。
材料および方法
一般的な手順
サムブルックら、(2001年)「分子クローニング:実験室マニュアル、第3版」、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリーズ、コールド・スプリング・ハーバー、ニューヨークおよびイニス(Innis)ら、(1990年)「PCRプロトコル、方法および用途の入門書」アカデミック・プレス(Academic Press)、サンディエゴによって記載されるように、DNA単離、ゲル電気泳動法、核酸の酵素制限修飾、ノーザン分析、大腸菌形質転換などの標準分子クローニング技法を実施した。合成オリゴデオキシヌクレオチドは、インビトロジェン(Invitrogen)(オランダ、ブレダ)から入手した。室温は摂氏20度±2度である。
アスペルギルス・ニガーの形質転換
A.ニガーの形質転換は、ティルバーン(Tilburn)J.ら(1983年)Gene 26、205−221頁およびケリー(Kelly)J.&ハインズ(Hynes)M.(1985年)EMBO J.、4、475−479頁によって記載される方法に従って、以下の点を変更して実施した。
アスペルギルス最少培地(100ml)において、300rpmのロータリーシェーカー内に入れた振とうフラスコ中、摂氏30度で16時間、胞子を発芽および培養した。アスペルギルス最少培地は、1リットルあたり、6gのNaNO、0.52gのKCl、1.52gのKHPO、1.12mlの4MのKOH、0.52gのMgSO・7HO、10gのグルコース、1gのカザミノ酸、22mgのZnSO・7HO、11mgのHBO、5mgのFeSO・7HO、1.7mgのCoCl・6HO、1.6mgのCuSO・5HO、5mgのMnCl・2HO、1.5mgのNaMoO・2HO、50mgのEDTA、2mgのリボフラビン、2mgのチアミン−HCl、2mgのニコチンアミド、1mgのピリドキシン−HCL、0.2mgのパントテン酸、4gのビオチン、10mlのペニシリン(5000IU/ml)ストレプトマイシン(5000UG/ml)溶液(ギブコ(Gibco))を含有する。
− プロトプラストの調製のために、ヘリカーゼの代わりにノボザイム(Novozym)234TM(ノボ・インダストリーズ(Novo Industries))を使用した。
− プロトプラスト形成(60〜90分)の後、KC緩衝液(0.8MのKCl、9.5mMのクエン酸、pH6.2)を45mlの最終体積まで添加した。揺動バケットローターにおいて摂氏4度、3000rpmで10分間、プロトプラスト懸濁液を遠心分離した。プロトプラストを20mlのKC緩衝液中に再懸濁させ、続いて25mlのSTC緩衝液(1.2Mのソルビトール、10mMのTris−HCl pH7.5、50mMのCaCl)を添加した。揺動バケットローターにおいて摂氏4度、3000rpmで10分間プロトプラスト懸濁液を遠心分離し、STC−緩衝液中で洗浄し、STC−緩衝液中に10E8のプロトプラスト/mlの濃度で再懸濁させた。
− 200マイクロリットルのプロトプラスト懸濁液に、10マイクロリットルのTE緩衝液(10mMのTris−HCl pH7.5、0.1mMのEDTA)および100マイクロリットルのPEG溶液(20%のPEG4000(メルク(Merck))、0.8Mのソルビトール、10mMのTris−HCl pH7.5、50mMのCaCl)中に溶解したDNA断片を添加した。
− 室温で10分間のDNA−プロトプラスト懸濁液のインキュベーションの後、管を繰り返し混合しながら、1.5mlのPEG溶液(60%PEG4000(メルク)、10mMのTris−HCl pH7.5、50mMのCaCl)をゆっくり添加した。室温で20分間のインキュベーションの後、懸濁液を5mlの1.2Mのソルビトールで希釈し、反転させて混合し、室温で10分間、4000rpmで遠心分離した。プロトプラストを1mlの1.2Mのソルビトール中に静かに再懸濁させ、リボフラビン、チアミン.HCL、ニコチンアミド、ピリドキシン、パントテン酸、ビオチン、カザミノ酸およびグルコースを含まないいずれかのアスペルギルス最少培地からなる固体の選択再生培地にプレーティングした。アセトアミド選択の場合、培地は、唯一の窒素源としての10mMのアセトアミドおよび浸透圧調節物質およびC−源としての1Mのスクロースを含有した。あるいは、1〜50マイクログラム/mlのフレオマイシンおよび浸透圧調節物質としての1Mのスクロースが追加されたPDA(ポテトデキストロース寒天、オキソイド(Oxoid))にプロトプラストをプレーティングした。2%の寒天(寒天No.1、オキソイド(Oxoid)L11)を用いて再生プレートを凝固させた。摂氏30度で6〜10日間のインキュベーションの後、2%グルコースおよび1.5%アガロース(インビトロジェン)を有するアスペルギルス選択培地(アセトアミド選択の場合には唯一の窒素源としてのアセトアミドを含有する最少培地、またはフレオマイシン選択の場合には1〜50マイクログラム/mlのフレオマイシンが追加されたPDA)からなるプレートに形質転換体の分生胞子を移し、摂氏30度で5〜10日間インキュベートした。単一の形質転換体を単離してこの選択的精製ステップを一回繰り返し、精製した形質転換体を貯蔵した。
アスペルギルス・ニガーのマイクロタイタープレート発酵およびサンプリング
A.ニガーの胞子を得るために、供給元の使用説明書に従って調製した、150マイクロリットルの固体PDA培地(ポテトデキストロース寒天、オキソイド)を充満したマイクロタイタープレートに菌糸を移植した。摂氏30度で3〜7日間の成長(静止)の後、胞子が形成された。続いて、100マイクロリットルの液体発酵培地(70g/lのグルコース・HO、25g/lのペプトン(カゼインから)、12.5g/lの酵母抽出物(ディフコ(Difco))、2g/lのKSO、1g/lのKHPO、0.5g/lのMgSO・7HO、0.03g/lのZnCL、0.02g/lのCaCL、9mg/lのMnSO・HO、3mg/lのFeSO・7HO、4NのHSOでpH5.6に調整)をそれぞれのウェルに添加した。発酵培地をピペットで20回上下させて、培地中の胞子を単離した。接種した発酵培地を別のマイクロタイタープレートに移し、オービタルマイクロタイタープレートシェーカー(インフォース(Infors)HT)において、摂氏34度、550rpmおよび80%湿度で6日間インキュベートした。6日目に、上澄みを採取し、分泌タンパク質の検出のために使用した。
マススペクトロメトリー分析
ウルトラセル(Ultracel)ろ過プレート(米国マサチューセッツ州ビルリカのミリポア(Millipore))において、上澄みを遠心力によって限外ろ過した。限外ろ過は、製造業者により提供されるプロトコルに従って実施した。限外ろ過した上澄みに、10マイクロリットルの200mMの重炭酸アンモニウム、pH7.8(独国ゼールツェのリーデル−デ・ハーン社(Riedel−de Haen AG))および1マイクロリットルの250マイクログラム/mlのトリプシン(米国ニュージャージー州レークウッドのワージントン(Worthington))を添加した。上澄みを摂氏37度で3時間消化した。消化した上澄みを、10ミリグラム/mlの再結晶化α−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(?CHCA)(仏国ソフィア・アンティポリス・セデックスのレーザー・バイオ・ラブズ(Laser Bio Labs))溶液と1:1の割合で混合し、これらの混合物から、1マイクロリットルをMALDIターゲットにスポッティングした。スポッティングしたサンプルを、MALDI LTQ質量分析計(米国フロリダ州オーランドのサーモ・エレクトロン(Thermo electron))においてMALDI MSおよびMALDI MS/MSで分析した。
得られたMS/MSスペクトルをペプチド配列に変換して、予め作成したFASTAタンパク質データベースの利用可能なタンパク質配列と比較し、個々の酵素を同定した。
RNAの単離
ペトリ皿において、20mlの液体の選択再生培地(6g/lのNaNO、0.52g/lのKCl、1.52g/lのKHPO、0.25g/lのKOH、0.52g/lのMgSO・7HO、22mg/lのZnSO・7HO、11mg/lのHBO、5mg/lのFeSO・7HO、1.7mg/lのCoCl・6HO、1.6mg/lのCuSO・5HO、5mg/lのMnCl・2HO、1.5mg/lのNaMoO・2HO、50mg/lのEDTA、341g/lのスクロース、10mlのペニシリン(5000lU/ml)ストレプトマイシン(5000UG/ml)溶液(ギブコ))で形成されたアスペルギルス・ニガー菌糸を収集し、脱塩水で洗浄し、ペーパータオルの間で圧迫して過剰の水を除去した。菌糸を液体窒素中で直ちに凍結し、乳鉢および乳棒を用いて細かい粉末に粉砕した。得られた粉末を無菌の50mlの管に移して秤量し、粉砕した菌糸1〜1.2gごとに10mlのTRIzol試薬(インビトロジェン)を添加した(管あたり最大25ml)。激しく攪拌する(1分間のボルテックス)ことによって菌糸粉末を直ちに可溶化し、その後時々混合しながら5分間の室温インキュベーションを行った。0.2(初めのTRIzol)体積のクロロホルム(従って、初めに使用したTRIzol10mlごとに2ml)を添加し、ボルテックスし、室温で10分間放置した。続いて、摂氏4度、6000gで30分間混合物を遠心分離した。上部の水相を新しい管に移し、0.5(初めのTRIzol)体積の100%イソプロピルアルコール(従って、初めに使用したTRIzol10mlごとに5mlのイソプロピルアルコール)の添加によって全RNAを沈殿させた。室温で10分間の沈殿後、6000gで30分間の遠心分離によってRNAを回収した。上澄みを除去して、RNAペレットを1(初めのTRIzol)体積の70%エタノールで洗浄した。エタノールを除去した後、RNAペレットを空気乾燥した。乾燥したRNAペレットを3mlのGTS(100mMのTris−Cl、pH7.5、4Mのチオシアン酸グアニジウム、0.5%ラウリルサルコシン酸ナトリウム)緩衝液中に溶解した。RNAのさらなる精製は、供給元のマニュアルに従ってRneasy Maxi Kit(キアゲン(Qiagen))を用いて実施した。10マイクロリットルのRNA溶液を用いて、核酸の品質および濃度を決定した。
アスペルギルス・ニガー株
A.ニガーWT−1:
このA.ニガー株は、グルコアミラーゼ(glaA)、真菌アミラーゼおよび酸アミラーゼをコードする遺伝子の欠失を含むCBS513.88である。A.ニガーWT1は、EP0635574B1号明細書に記載される「マーカー−遺伝子フリー」アプローチを用いることにより構築した。この特許では、CBS513.88のゲノムにおけるglaA特異性DNA配列を欠失する方法が広範囲にわたって記載されている。最初の手順で、最終的に外来性のDNA配列を全く所有しないマーカー−遺伝子フリー?glaA組換えA.ニガーCBS513.88株が得られた。続いて、EP0635574B1号明細書に記載される方法によって、真菌アミラーゼおよび酸アミラーゼをコードする遺伝子をA.ニガーWT−1のゲノムから欠失させた。図7〜9および11〜14に描かれる所望の構築物のクローニングのために使用されるベクターは、国際公開第99/32617号パンフレットにおいて以前に記載された基幹の特徴を含有する。
A.ニガーWT−GFP:
このA.ニガー株は、よく知られた緑色蛍光タンパク質(GFP)チャルフィ(Chalfie)Mら、Science(1994年)263(5148):802−805頁)をコードする遺伝子(を含有する図7に描かれる発現ベクターpGBFINGFP−2を用いて、グルコアミラーゼプロモーターによって駆動されるA.ニガーWT−1の形質転換によって入手した。選択培地における精製の後、PCR分析に基づいて単一コピー組込み体を選択した。
A.ニガーWT−PHY:
このA.ニガー株は、フィターゼ遺伝子PHY(国際公開第99/32617号パンフレットに既に記載されたFytAと同一)を含有する図8に描かれる発現ベクターpGBFIN−32を用いて、グルコアミラーゼプロモーターによって駆動されるA.ニガーWT−1の形質転換によって入手した。選択培地における精製の後、PCR分析に基づいて単一コピー組込み体を選択した。
A.ニガーWT−PHY−2:
このA.ニガー株は、フィターゼ遺伝子PHY(国際公開第99/32617号パンフレットに既に記載されたFytAと同一)を含有する図8に描かれる発現ベクターpGBFIN−32を用いて、グルコアミラーゼプロモーターによって駆動されるA.ニガーWT−1の形質転換によって入手した。選択培地における精製の後、PCR分析に基づいてマルチコピー組込み体を選択した。
A.ニガーWT−ベクター:
このA.ニガー株は、図9に描かれる空の制御ベクターpGBFIN−40を用いて、A.ニガーWT−1株の形質転換によって入手した。空の制御ベクターpGBFIN−40は、図8に描かれるpGBFIN−32のXhoI消化、および最大の断片の再連結によって構築し、それにより、グルコアミラーゼプロモーターおよびフィターゼ遺伝子PHYの5’部分が除去された。PCR分析によって単一コピー組込み体を選択した。
実施例1
バシラスレポータープラスミドおよびレポーター株の構築
1.1 レポータープラスミドpPhtrA−gfp−amyEおよびpPhtrB−gfp−amyEの構築
最初に、レポータープラスミドpPhtrA−gfp−amyEを以下のように構築した。GFPの最適化バージョンをコードする遺伝子、gfpmut−1(P.コーマック(Cormack)、R.H.バルディビア(Valdivia)、およびS.ファルコー(Falkow)、1996年、緑色蛍光タンパク質(GFP)のFACS−最適化突然変異体、Gene 173、33)を、以下のプライマー:RN−lacZ−rv(配列番号3)
Figure 2008532535

およびgfp−ターミネーター−rv(配列番号4)
Figure 2008532535

と共に、pSG1151(P.J.ルイス(Lewis)およびA.L.マーストン(Marston)、1999年、バシラス・サブチリスにおけるタンパク質融合物の制御された発現および二重標識化のためのGFPベクター、Gene 227、101)を鋳型DNAとして用いてPCRにより増幅し、gfpmut−1の上流側および下流側にそれぞれ、KpnIおよびBpu1101I(太字)部位が得られた。913bpPCR産物を、KpnIおよびBpu1101I部位を用いて、pDL(部位特異的組換えのためのamyE座位の相同のフランキング領域を含有する)(G.ユアン(Yuan)およびS.L.ワン(Wong)、1995年、バシラス・サブチリスにおけるgroE発現の調節:シグマA様プロモーターの関与および逆方向反復配列の役割(CIRCE)、J.Bacteriol.177、5427)内に連結して、pGFP−amyEが得られた。htrAのプロモーター(PhtrA)(配列番号1)を、B.サブチリス168(バシラス遺伝子ストックセンターID:1A1)の染色体DNAを鋳型DNAとして用いるPCRによって増幅した。使用したプライマーは、PhtrA−fw(配列番号5)
Figure 2008532535

およびPhtr−rv(配列番号6)
Figure 2008532535

であり、それぞれ、KpnIおよびHindIII部位(太字)を導入した。KpnIおよびHind3による消化の後、531bpPCR産物を、gfp遺伝子の上流側でpGFP−amyE内に連結し、レポータープラスミドpPhtrA−gfp−amyEが得られた。このプラスミドのマップは、図1に描かれる。上記と同様の方法でプラスミドpPhtrB−gfp−AmyEを構築した。htrBのプロモーター(PhtrB)(配列番号2)の増幅のために使用したプライマーは、PhtrB−fw(配列番号7)
Figure 2008532535

およびPhtrA−rv(配列番号8)
Figure 2008532535

であった。
1.2 バシラスレポーター株VT210AおよびVT210Bの構築
得られたプラスミドpPhtrA−gfp−amyEおよびpPhtrB−gfp−amyEを、B.サブチリスDB104、DaprE、DnprE二重突然変異体(F.カワムラ(Kawamura)およびR.H.ドイ(Doi)、1984年、細胞外アルカリおよび中性プロテアーゼが欠損したバシラス・サブチリス二重突然変異体の構築、J.Bacteriol.160、442)内に導入した。クロラムフェニコール耐性の形質転換体に、染色体DNAにおけるPCRによって、amyE座位におけるダブルクロスオーバーによる部位特異的組込みの検査をした。PhtrAのHtrAによる負のフィードバック調節を低減するために(D.ヌーン(Noone)、A.ハウエル(Howell)、R.コレリー(Collery)、およびK.M.デバイン(Devine)、2001年、バシラス・サブチリスにおけるYkdAおよびYvtA、HtrA−様セリンプロテアーゼは、ykdAおよびyvtA遺伝子発現の負の自己調節および相互の交差調節に関与する、J.Bacteriol.183、654)、pMutin2の組込みにより分裂されたhtrA遺伝子を有するB.サブチリスBV2003の染色体DNAで、新しい株を形質転換した(H.L.ヒリライネン(Hyyrylainen)、A.ボルフイス(Bolhuis)、E.ダルモン(Darmon)、L.ムッコネン(Muukkonen)、P.コスキ(Koski)、M.ビティカイネン(Vitikainen)、M.サーバス(Sarvas)、Z.プレイガイ(Pragai)、S.ブロン(Bron)、J.M.バン・ディール(van Dijl)、およびV.P.コンティネン(Kontinen)、2001年、厳しい分泌ストレスに耐えるためのバシラス・サブチリスにおける新規の2成分調節系、Mol.Microbiol.41、1159)。形質転換体をエリスロマイシン耐性について選択し、htrA破壊について染色体DNAにおいてPCRにより検査した。得られた株をVT200AおよびVT200Bと名付けた。
VT200A株の形質転換効率を増大するために、BsuMR破壊構築物を設計した。BsuMR系は、BsuMRの機能のためにそれぞれが必須である3つの遺伝子、ydiR、ydiSおよびydjAからなるオペロンによって形成される(P.J.ルイス(Lewis)およびA.L.マーストン(Marston)、1999年、バシラス・サブチリスにおけるタンパク質融合物の制御された発現および二重標識化のためのGFPベクター、Gene 227、101)。以下のプライマー:flrBsu1F、(配列番号9)
Figure 2008532535

およびfrl1BsuR、(配列番号10)
Figure 2008532535

ならびに鋳型としてのB.サブチリスの染色体DNAを用いて、ydiRのフランキング領域1(flr1)、756bp領域を増幅した。pDG1726(A.M.ゲロート−フリュリー(Guerout−Fleury)、K.シャザンド(Shazand)、N.フランセン(Frandsen)、およびP.ストレイジャー(Stragier)、1995年、バシラス・サブチリスのための抗生物質耐性のカセット、Gene 167、335)を鋳型DNAとして用いて、以下のプライマー:specBsu−F(配列番号11)
Figure 2008532535

およびspecBsu−R(配列番号12)
Figure 2008532535

と共に、スペクチノマイシン耐性マーカーを増幅した。第2のPCRでは、1319bpのPCR産物およびflrBsu1断片を用い、両方の断片が、プライマーflrBsu1−RおよびspecBsu−F(太字)により導入されたその相同端部の組換えにおいて1つの鋳型としての機能を果たした。プライマーflrBsu1−FおよびspecBsu−Rを用いて、2075bpPCR断片、flr1−specを得て、これをpCR−XL−TOPO(インビトロジェン)においてサブクローニングし、pCT−XL−TOPO−flr1−specが得られた。プライマーflrBsu2−F(配列番号13)
Figure 2008532535

およびプライマーflrBsu2−R(配列番号14)
Figure 2008532535

ならびに鋳型としてのB.サブチリスの染色体DNAを用いて、フランキング領域2、ydiSの3’末端の24bpを包含する739bp領域(DNAエンドヌクレアーゼをコードする)および隣接するydjAの大部分(未知の機能)を増幅した。pCR−XL−TOPOにおいてPCR産物をクローニングして、pCR−XL−TOPO−flr2が得られた。pCR−XL−TOPOベクターの多重クローニング部位を使用して、XhoIおよびNsilを用いてflr1−specをpCR−XL−TOPO−flr1から制限し、XhoIおよびPstI(NsiIに適合性)で消化されたpCR−XL−TOPO−flr2内に連結した。この結果、株VT200A内に導入された欠失構築物pTOPO−flr1−spec−flr2が得られた。染色体DNAにおけるPCRによって、スペクチノマイシン耐性形質転換体をydiS欠失について検査した。得られた最終のレポーター株をVT210AおよびVT210Bと名付け、さらなる実験のために使用した。これらの株の構築の一般的な概要は、図2に描かれる。
1.3 発現ベクターpUBnpr2およびpUBBAGの構築:
プラスミドpUB110の構築およびその配列は以前に記載されている(マッケンジー(McKenzie)T.、ホシノ(Hoshino)T.、およびスエオカ(Sueoka)、N.、1986年。pUB110のヌクレオチド配列、複製およびその調節に関するいくつかの顕著な特徴、Plasmid 15:93−103頁)。pUB110におけるバシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQ(ジェンバンク受入番号J01542)のクローニングは、以前に記載されたようにプラスミドpKTH10をもたらす(パルバ(Palva)I.1982年、バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子の分子クローニングおよびB.サブチリスにおけるその発現、Gene 19:81−87頁)。
いずれもバシラス・アミロリケファシエンスからの中性プロテアーゼ遺伝子npr(ジェンバンク受入番号K02497)およびβ−グルカナーゼ遺伝子bag(ジェンバンク受入番号M15674)のベクターpUB110へのクローニングは、本質的に、amyQのクローニングのために使用される方法に従って実施し、図3および4に描かれるようなプラスミドpUBnpr2およびpUBBAGが得られた。
1.4 発現構築物pKTH10、pUBnpr2およびpUBBAGのバシラスレポーター株VT210Aへの形質転換
バシラス・サブチリス株VT210Aの形質転換は、本質的に、以前に記載されたようにこの生物体の自然の受容能を使用して実施した(アナグノストプーロス(Anagnostopoulos)C.およびスピジツェン(Spizizen)J.1961年、バシラス・サブチリスにおける形質転換の必要条件、J.Bacteriology 81:741−746頁)。DNAインキュベーションの後、0.1%デンプンおよび形質転換のための選択試薬としての抗生物質カナマイシン(20μg/ml)を含有する2×TY寒天上に細胞を広げた。プレートを摂氏37度で一晩インキュベートした。プラスミドpKTH10が形質転換に関与した場合には、コロニーをルゴール溶液で被覆して、アミラーゼ分泌細胞を検出した。
実施例2
蛍光活性化細胞アッセイによる分泌ストレス細胞の分析
2.1 蛍光活性化細胞分取による分泌ストレス細胞の選択:
バシラス・サブチリス株VT210Aの同時形質転換のために、プラスミドpUB110(空の制御ベクター)およびpKTH10(バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQをコードする)を1:20の割合で用いた。細胞の一部分を選択TY寒天プレートに広げ、他の部分にはカナマイシンを含有する2×TYブロスを添加し、細胞を一晩培養した。同時形質転換の場合と同じ操作を行って別個のプラスミドを同様に形質転換した。次の日、熟練したオペレーターにより、フローサイトメーター型FACS(ダコ−サイトメーション(Dako−cytomation)のMo−FIo)でGFP蛍光について培養物を分析した。80mWattおよび488nmの青色レーザーを使用した。典型的なFACS実験は、20,000事象(細胞)の分析を含んだ。最初に、VT210A、pUB110の細胞(分泌ストレスなし)およびVT210A、pKTH10の細胞(α−アミラーゼAmyQの過剰産生による分泌ストレス)の蛍光シグナルを別々に(図5Aおよび5B)、そして混合物として(図5C)分析した。これらの結果に基づいて、細胞分取限界よりも高いGFP蛍光を表示する細胞が分取されるように、細胞分取限界を手動で設定した(図5Dの点線)。同時形質転換培養物をフローサイトメーターに適用させ、分取した細胞を管に採取した。分取した蛍光集団ではα−アミラーゼ分泌細胞が濃縮されていることを立証するために、異なる希釈の採取細胞を、デンプンを含有する選択寒天上に広げた。FACSにより分取していない元の一晩インプット培養物についても同じことを行った。成長後、コロニーをルゴール溶液で被覆し、α−アミラーゼ活性により生じるハロ形成を視覚化した。表1に示されるように、約90%の分取細胞はα−アミラーゼを実際に分泌したが、インプット培養物ではわずか0.5〜0.7%の細胞がα−アミラーゼを分泌した。この結果により、通常の細胞と分泌によるストレスのある細胞との間の蛍光シグナルの識別を用いてタンパク質分泌細胞を単離することによる本発明の強力な選択手段が明白に実証される。
Figure 2008532535
2.2 蛍光細胞走査による分泌ストレス細胞の選択:
プラスミドpUB110(空の制御ベクター)およびpKTH10(バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQをコードする)を別々にバシラス・サブチリス株VT210Bに形質転換した。細胞の一部分を選択TY寒天プレートに広げ、他の部分にはカナマイシンを含有する2×TYブロスを添加し、細胞を一晩培養した。熟練したオペレーターにより、フローサイトメーター(コールター・エピックス(Coulter Epics)XL−MCL、ベックマン・コールター(Beckman Coulter))において培養物を分析した。典型的な実験は、20,000事象(細胞)の分析を含んだ。FITC−フィルターを用いて蛍光シグナルを検出し、光電子増倍管電圧の設定は、700ボルトと800ボルトの間であった。通常の細胞と分泌によるストレスのある細胞との間の蛍光シグナルの差は、図6に描かれる。
2.3 蛍光光度計を用いる分泌ストレスVT210A細胞の選択
形質転換レポーター株細胞をカナマイシンの存在下で2×TYブロス中に接種し、摂氏37度で一晩成長させた。プラスミドpUB110、pKTH10、pUBnpr2およびpUBBAGの形質転換のために使用したDNAは等量であった。静止期まで成長させた後、96ウェルのマイクロタイタープレートフォーマットにおいて、4つの形質転換の培養細胞を等しい体積で8つに分割した。蛍光光度計(モレキュラー・デバイシーズ(Molecular Devices)、スペクトラ・マックス・ジェミニ(Spectra MAX Gemini)型)においてウェルを蛍光について分析した。励起は490nm、発光は510nm、そしてカットオフは495nmである。不等分散を仮定した標準t−テストを実施した。表2は、非ストレス細胞(pUB110)が、蛍光シグナルの明白に著しい(P両側<0.05)差異によってストレス細胞(pKTH10、pUBnpr2およびpUBBAG)とは区別されたことを実証する。
Figure 2008532535
実施例3
分泌誘発プロモーターを同定するためのA.ニガーのゲノム全体での発現の分析
A.ニガーWT−PHYにおいて高発現であり、そしてA.ニガーWT−GFP、A.ニガーWT−ベクターおよびA.ニガーWT−1において発現を示さないか、または低発現であるプロモーター配列を同定するためにゲノム全体での発現の分析を実施した。将来の応用実験をシミュレートするために、A.ニガーWT−1、A.ニガーWT−GFP、A.ニガーWT−PHYおよびA.ニガーWT−ベクター株のプロトプラストを得た。A.ニガーWT−GFP、A.ニガーWT−PHYおよびA.ニガーWT−ベクターの場合には50mg/lのフレオマイシン(インビトロジェン)が追加される20mlの量の液体選択再生培地に、ペトリ皿において、100マイクロリットル10E7/mlのプロトプラストを接種した。摂氏30度で3日間の成長(静止)の後、全RNA単離のために使用した液体培地の表面に菌糸ペレットが形成された。アフィメトリクス(Affymetrix)A.ニガー・ジーンチップス(GeneChips)TMにおけるcDNA合成、cDNAの標識化およびハイブリダイゼーションは、供給元のプロトコルに従って実施した。次の発現分析により、A.ニガーWT−PHY株では、A.ニガーWT−1、A.ニガーWT−GFPおよびA.ニガーWT−ベクターにおける基礎発現レベルの少なくとも8.5倍の発現レベルを有する5つの遺伝子の同定が得られた。発見を確認するために、ノーザンブロット分析を実施した。
実施例4
ノーザン分析
アフィメトリクス(Affymetrix)A.ニガー・ジーンチップス(GeneChips)TM実験の結果を確認するために、ノーザンブロット分析を実施した。このために、A.ニガー株WT−1、WT−GFP、WT−FYTおよびWT−ベクターから全RNAを単離した。RNAを変性させ、1%アガロースゲルにおけるゲル電気泳動法によって分離し、製造業者の使用説明書に従ってキャピラリーブロッティングによりナイロン膜(ハイボンド(Hybond)−N+、アマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences))へ移した。GS・ジーン・リンカー(GS Gene Linker)TM(バイオラド(BioRad)、C3セッティング、150ミリジュール)において、RNAをナイロン膜へUV架橋した。鋳型としてA.ニガーWT−1のゲノムDNAを使用し、表3に列挙されるプライマー(配列番号50〜59)を用いるPCRによって、32P−標識化DNAプローブの生成のためのDNAを単離した。供給元の使用説明書(ラッドプライム(RadPrime)DNAラベリングシステム、インビトロジェン)に従ってノーザンブロットを、分泌誘発遺伝子(配列番号20〜24)を表すランダムに刺激された32P−標識化DNAプローブとハイブリダイズした。ノーザン分析の結果は、図10に示される。ノーザンブロットのハイブリダイゼーションパターンにより、アフィメトリクスA.ニガー・ジーンチップス(GeneChips)TMデータの発現分析で得られたデータ:A.ニガー株WT−1、WT−GFP、WT−ベクターにおける分泌誘発遺伝子の低発現、およびA.ニガーWT−PHYにおける高発現が確認される。
Figure 2008532535
実施例5
GFP−BLE分泌誘発レポーター構築物のクローニング
GFP(緑色蛍光タンパク質(チャルフィ(Chalfie)Mら、Science(1994年)263(5148):802−805頁)およびフレオマイシン結合タンパク質(BLE、国際公開第99/32617号パンフレットに既に記載されたpGBFIN−14中に存在)の融合物をPCRにより構築した。配列番号62および配列番号63からなるプライマーセットを用いるPCRによりGFP断片を増幅した。鋳型としてのpGBFIN−14と共に配列番号64および配列番号65からなるプライマーセットを用いるPCRにより、BLE断片を増幅した。得られた重複PCR断片は、プライマー配列番号62および配列番号65との融合PCRにおいて使用し、PCR融合産物GFP−BLE(配列番号61)が得られた。GFP−BLE融合物を制限酵素PacIおよびAscIで消化し、PacI、AscI直線化クローニングベクターpGBFIN−2中に連結し(国際公開第99/32617号パンフレットおよびEP98/08577号明細書に記載)、それにより、GFP−BLE融合物を、グルコアミラーゼプロモーターの制御下に置いた。得られるベクターpGBFINBLE−2は、図11に描かれる。
鋳型としてA.ニガーWT−1からのゲノムDNA、そして表4に示されるプライマーを用いるPCRによって、分泌誘発遺伝子のプロモーター配列を単離した。
Figure 2008532535
得られたPCR断片(配列番号35〜39)を制限酵素XhoIおよびPacIで消化し、図11に描かれるようなXhoI、PacI直線化クローニングベクターpGBFINBLE−2中に連結し、それによりPgpdA−amdSが除去され、それぞれの分泌誘発性プロモーター、Pindでグルコアミラーゼプロモーターが置換され、pGBFINGFPBLE−1〜5が得られた。pGBFINGFPBLE−1は図12に描かれ、pGBFINGFPBLE−2〜5の代表である。pGBFINGFPBLE−1のXhoIおよびFsel消化によって、それぞれの誘発性プロモーターのGFP−BLEとの融合構築物を単離し、次に、図13に描かれるXhoI、Fsel直線化A.ニガー発現ベクターpGBTOPSEL−1中に連結した。得られた分泌レポーター構築物、pGBTOPGFPBLE−1〜5は、それぞれ分泌誘発性プロモーターP1、P2、P3、P4、P5の制御下で、GFP−BLEの融合物を含有する。図14には、pGBTOPGFPBLE−1〜5の代表としてpGBTOPGFPBLE−1が描かれる。これらのベクターを用いて、実施例6および7においてA.ニガーWT−1を形質転換した。
実施例6
細胞外タンパク質の過剰発現はGFP−BLEレポーター構築物を発現するA.ニガーにフレオマイシン耐性を与える。
分泌レポーター構築物pGBTOPGFPBLE−1〜5の、分泌タンパク質フィターゼを過剰発現するA.ニガーWT−PHY−2への形質転換は、材料および方法に記載される手順に従って実施した。選択試薬として様々な量のフレオマイシン(0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50マイクログラム/ml)を追加した選択再生プレートにおいて、形質転換体を選択した。5つのレポーター構築物は全て、フレオマイシン含有プレートにおける形質転換体の直接的な選択を可能にしたが、ネガティブコントロール、WT−PHY−2、野生型は、フレオマイシンを含有するプレートのいずれにおいても成長することができなかった。分泌レポーター構築物pGBTOPGFPBLE−1〜5はそれぞれ50、35、50、35、25マイクログラム/mlのフレオマイシンにおける成長を可能にした。それによって、これらの構築物の分泌誘発性プロモーターは機能性であり、形質転換後にフレオマイシンにおける直接選択が可能であることが実証される。
実施例7
cDNAライブラリーおよびGFP−BLEレポーター構築物の同時形質転換後に細胞外タンパク質を発現するA.ニガークローンの選択
50の細胞外タンパク質および50の細胞内タンパク質をコードする定義したA.ニガーcDNAライブラリーと組み合わせて分泌レポーター構築物pGBTOPGFPBLE−1〜5を用いて、アスペルギルス・ニガーWT−1を同時形質転換した。コロニーPCRによって、同時形質転換事象を確認した。発現ライブラリー構築物と組み合わせて分泌レポーター構築物を含有する同時形質転換体の胞子を、様々な量のフレオマイシン(0、5、25、50、100、175マイクログラム/ml)を追加した選択プレートにおいて成長させた。細胞外のタンパク質をコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌レポーター構築物を含有する同時形質転換体について、細胞内タンパク質をコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌レポーター構築物を有する形質転換体と比較して、フレオマイシン耐性の平均の増大を実証した。分泌感受性プロモーターP4およびP5についてのこれらの結果を示すグラフは、図15および16に示される。これらの結果は、少なくとも20倍までのフレオマイシン耐性の増大が達成されたことを実証する。
細胞外タンパク質をコードするライブラリー構築物と組み合わせてプロモーターP1またはP3を含む分泌レポーター構築物を含有する同時形質転換体により産生される細胞外タンパク質の多様性が実証された。同時形質転換体をマイクロタイタープレート中で個々に成長させ、6日目に、E−PAGETMハイ−スループット・プレ−キャスト・ゲル・システム(High−Throughput Pre−Cast Gel System)(インビトロジェン)およびマススペクトロメトリー(MALDI MS/MS)によって、これらの培養物の上澄みにタンパク質分析を行った。
E−PAGETM96、6%ゲル(インビトロジェン)は、マイクロタイタープレートフォーマットの96のサンプルレーンおよびタンパク質分離のための8のマーカーレーンを含有する。上澄みおよびマーカー(E−PAGETMシーブルー(SeeBlue)(登録商標)着色標準(インビトロジェン))を供給元のマニュアルに従ってゲルに負荷した。ゲルの電気泳動の後、供給元のマニュアルに従って、着色のためにシンプリーブルー(SimplyBlueTM)セーフステイン(Safestain)(インビトロジェン)を使用した。マイクロタイタープレートフォーマットのタンパク質サンプルをアライメントさせるインビトロジェンにより提供されるE−エディタープログラムによって、E−PAGETMゲルの走査を編集した。分泌感受性プロモーターP1およびP3との同時形質転換体により産生される細胞外タンパク質は、図17および18に示され、表5に要約される。これらの結果は、分析したフレオマイシン耐性コロニーの77%までが、E−PAGEにより検出可能な量のタンパク質を分泌したことを実証する。ゲル上で観察されたタンパク質断片のサイズに基づいて、定義したライブラリーで形質転換されたクローンの多様性が評価される。これらの結果は、E−PAGE分析に基づいて35%までの多様性が観察され得ることを実証する。
マススペクトロメトリー結果は表5に示される。分析したフレオマイシン耐性コロニーの58%までが、マススペクトロメトリーにより検出可能な量のタンパク質を分泌した。多様性は、検出されたペプチド配列の同一性に基づいて評価した。これらの結果は、マススペクトロメトリーを用いて100%までの多様性が観察され得ることを実証する。
Figure 2008532535
pPhtrA−gfp−amyEが描かれる。この分泌レポーターベクターは、GFPと作用的に関連するB.サブチリスのhtrAプロモーターを含む。このベクターは、pPhtrB−gfp−amyEの代表である。 分泌ストレスのためのB.サブチリスレポーター株の構築。htrプロモーターをGFP遺伝子に融合し、最終的にプラスミドpPhtrA−gfp−amyEおよびpPhtrB−gfp−amyEが得られた。得られたプラスミドを、対応するhtr座位における単一の交差組換えによってバシラス宿主細胞の染色体内に組み込み、VT210AおよびVT210B細胞が得られた。Cmrはクロラムフェニコール耐性遺伝子を表す。 バシラス・アミロリケファシエンスからの中性プロテアーゼ遺伝子npr(ジェンバンク受入番号K02497)を含むpUBnpr−2が描かれる。 バシラス・アミロリケファシエンスからのβ−グルカナーゼ遺伝子bag(ジェンバンク受入番号M15674)を含むpUBBAGが描かれる。 プラスミドpUB110(空の制御ベクター)またはプラスミドpKTH10(バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQをコードする)のいずれかで形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の、蛍光活性化細胞分取を用いる分析が描かれる。y軸には観察された事象の量が示され、x軸には相対蛍光が示される。パネルAには、空のベクターpUB110で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の分析が描かれる。パネルBには、amyQベクターpKTH10で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の分析が描かれる。パネルCには、1:20の割合のpUB110およびpKTH10で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の混合集団の分析が描かれる。パネルDには、pUB110およびpKTH10の両方で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の混合集団の細胞分取が描かれる。垂直の点線により細胞分取限界が示される。この限界よりも高い蛍光を示す細胞を分取した。 プラスミドpUB110(空の制御ベクター)またはプラスミドpKTH10(バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQをコードする)のいずれかで形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の、蛍光活性化細胞分取を用いる分析が描かれる。y軸には観察された事象の量が示され、x軸には相対蛍光が示される。パネルAには、空のベクターpUB110で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の分析が描かれる。パネルBには、amyQベクターpKTH10で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の分析が描かれる。パネルCには、1:20の割合のpUB110およびpKTH10で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の混合集団の分析が描かれる。パネルDには、pUB110およびpKTH10の両方で形質転換されたバシラス・サブチリスVT210A細胞の混合集団の細胞分取が描かれる。垂直の点線により細胞分取限界が示される。この限界よりも高い蛍光を示す細胞を分取した。 プラスミドpUB110(空の制御ベクター)またはプラスミドpKTH10(バシラス・アミロリケファシエンスのα−アミラーゼ遺伝子amyQをコードする)のいずれかで形質転換されたバシラス・サブチリスVT210B細胞の混合集団の分析が描かれる。分析は蛍光活性化細胞走査によって実施した。y軸には観察された事象の量が示され、x軸には相対蛍光が示される。 A.ニガーにおける緑色蛍光タンパク質(GFP、チャルフィ(Chalfie)Mら、Science(1994年)263(5148):802−805頁)の発現のために使用されるpGBFINGFP−2ベクターが描かれる。描かれたFINベクターの基幹の特徴は、国際公開第99/32617号パンフレットにおいて以前に記載されている。 A.ニガーにおけるフィターゼ(PHY)(国際公開第99/32617号パンフレットに記載されるFytAと同一であるフィターゼ遺伝子PHY)の発現のために使用されるpGBFIN−32ベクターが描かれる。 フィターゼ遺伝子のより大きい部分およびグルコアミラーゼプロモーター全部が除去されたpGBFIN−40ベクターが描かれており、このベクターは、A.ニガーWT−ベクター株の構築のための空の制御ベクターとして使用される。 分泌誘発プロモーターの同定を確認するために実施されるノーザンブロット分析が描かれる。 A.ニガーにおける遺伝子発現のために使用されるベクターが描かれる。このベクターは、分泌誘発A.ニガーレポーター構築物の構築における基幹として使用される。 pGBFINGFPBLE−1クローニングベクターが描かれる。この分泌誘発性レポーター構築物は、本発明の分泌誘発性プロモーター1と作用的に関連するGFP−BLEレポーター融合遺伝子を含む。構築物は、pGBFINGFPBLE−2、pGBFINGFPBLE−3、pGBFINGFPBLE−4、およびpGBFINGFPBLE−5の代表である。 pGBTOPSEL−1が描かれており、このベクターは、最終の分泌誘発性レポータープラスミドの構築のための基幹として使用される。描かれたベクターの基幹の特徴は、国際公開第99/32617号パンフレットにおいて以前に記載された。 最終の分泌レポーター構築物pGBTOPGFPBLE−1が描かれる。この分泌誘発レポーターベクターは、本発明の分泌誘発性プロモーター1と作用的に関連するGFP−BLEレポーター構築物を含む。ベクターは、pGBTOPGFPBLE−2、pGBTOPGFPBLE−3、pGBTOPGFPBLE−4、およびpGBTOPGFPBLE−5の代表である。 細胞内タンパク質(黒い点で表される)または細胞外タンパク質(黒い四角で表される)のいずれかをコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌誘発性プロモーターP4を有するレポーター構築物を含有するA.ニガー同時形質転換体のフレオマイシン耐性の差異が描かれる。 細胞内タンパク質(黒い点で表される)または細胞外タンパク質(黒い四角で表される)のいずれかをコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌誘発性プロモーターP5を有するレポーター構築物を含有するA.ニガー同時形質転換体のフレオマイシン耐性の差異が描かれる。 E−PAGETMゲルが描かれており、ここで各レーンは、細胞外タンパク質をコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌誘発性プロモーターP1を有するレポーター構築物を含む同時形質転換A.ニガークローンを表す。Mは、E−PAGEシーブルー(SeeBlue(登録商標))着色標準(英国インビトロジェン)を表す。 E−PAGETMゲルが描かれており、ここで各レーンは、細胞外タンパク質をコードするライブラリー構築物と組み合わせて分泌誘発性プロモーターP3を有するレポーター構築物を含む同時形質転換A.ニガークローンを表す。Mは、E−PAGEシーブルー(SeeBlue(登録商標))着色標準(英国インビトロジェン)を表す。

Claims (14)

  1. (a)以下のリスト:配列番号1、配列番号2、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23または配列番号24に存在するDNA配列、
    (b)(a)のDNA配列とハイブリダイズすることができるDNA配列、
    (c)(a)のDNA配列に対して少なくとも50%相同のDNA配列、
    (d)(a)〜(c)のDNA配列のいずれかの変異体、または
    (e)(a)〜(d)のDNA配列のいずれかの部分配列
    などのプロモーターDNA配列。
  2. 選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子と作用的に関連する請求項1に記載のプロモーターDNA配列を含むDNA構築物。
  3. 前記DNA構築物が宿主細胞のゲノム中の所定の標的座位のDNA配列と相同であるDNA断片を含み、好ましくは、前記所定の標的座位が高発現遺伝子を含む、請求項2に記載のDNA構築物を含む発現ベクター。
  4. 前記DNA構築物が宿主細胞中で自律的な維持能力があり、好ましくは、前記DNA構築物がAMA1−配列を含む、請求項2に記載のDNA構築物を含む発現ベクター。
  5. 請求項2に記載のDNA構築物もしくは請求項3または4に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  6. 1つまたは複数の目的のタンパク質を産生することができると考えられる生物体からのDNAライブラリーに由来するコード配列を含むDNA配列を含むDNA構築物をさらに含む請求項5に記載の宿主細胞。
  7. 前記宿主細胞が、原核生物または真核生物である請求項5または6に記載の宿主細胞。
  8. 前記宿主細胞が、以下のリスト:バシラス、酵母または糸状菌、好ましくはアスペルギルス、ペニシリウムまたはトリコデルマ種から選択される請求項7に記載の宿主細胞。
  9. 前記アスペルギルスが、アスペルギルス・ニガーまたはアスペルギルス・ソーヤまたはアスペルギルス・オリゼー種である請求項8に記載の宿主細胞。
  10. 宿主細胞中の目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列を単離するため方法であって、
    (a)選択可能な形質を与えるレポーター遺伝子と作用的に関連するプロモーターDNA配列を含む第1のDNA構築物を調製するステップであって、前記DNA構築物が宿主細胞中に存在する場合、そして目的のタンパク質、好ましくは目的の分泌タンパク質が宿主細胞によって産生される場合に前記プロモーターDNA配列が誘発されるステップと、
    (b)1つまたは複数の目的のタンパク質を産生することができると考えられる生物体からのDNAライブラリーに由来する目的のタンパク質をコードするDNA配列を含むDNA配列を含む第2のDNA構築物を調製するステップと、
    (c)ステップ(a)およびステップ(b)において調製されたDNA構築物の両方で宿主細胞を形質転換するステップと、
    (d)DNAライブラリー中に存在する目的のタンパク質の産生に寄与する条件下で、ステップ(c)において得られた形質転換宿主細胞の全てを培養するステップと、
    (e)ステップ(d)において産生されたタンパク質の分析によって、目的のタンパク質を産生する形質転換宿主細胞をスクリーニングするステップと
    を含む方法。
  11. 前記宿主細胞が、初めにステップ(a)において調製されたDNA構築物で形質転換され、引き続きステップ(b)において調製されたDNA構築物で形質転換される請求項10に記載の方法。
  12. ステップ(a)において使用される前記プロモーターが、請求項1に記載のプロモーターである請求項10または11に記載の方法。
  13. 目的のタンパク質を産生することができると考えられる前記生物体が、真核生物または原核生物である請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記目的のタンパク質が酵素である請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
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