JP2008530198A - 4−ヒドロキシイソロイシンのジアステレオ異性体及びこれらの使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、立体配置異性体4−ヒドロキシイソロイシンに関し、このラクトン、薬学的に許容可能な塩、及びプロドラッグに関し、これらの調製のプロセスに関し、また、これらを具える薬学的組成物に関する。本発明の異性体は、インスリン分泌促進作用を示し、従って、糖尿病(タイプ1及び2型糖尿病)、前糖尿病、及びメタボリックシンドロームを含む炭水化物又は脂質代謝の疾患の予防及び治療に有益である。
【選択図】図3

Description

本発明の背景
a)本発明の分野
本発明は、4−ヒドロキシイソロイシンの異性体に関し、これらのラクトン、薬学的に許容可能な塩及びプロドラッグに関し、これらの調製のプロセスに関し、これらを具える薬学的組成物に関し、糖尿病(1型及び2型糖尿病)、前糖尿病、及びメタボリックシンドロームを含む炭水化物又は脂質代謝の疾患の予防又は治療のためのこれらの使用に関する。
b)関連する技術の簡単な説明
糖尿病は、炭水化物代謝の疾患であり、身体が血液グルコースレベルを効果的にコントロールできない場合に発現する。この疾患は、インスリンの不十分な分泌又は利用、血液及び尿中の高いグルコースレベル、及び過剰な口渇、空腹感、体重減少、及び尿の産生によって特徴付けられる。これは心疾患、腎疾患、失明、神経障害、及び肢虚血を含む多数の重大な合併症を引き起こす。
糖尿病は、2つの型、即ち1型及び2型に分類され、後者は、症例の約90%を数える。1型糖尿病では、身体は、膵臓のインスリン産生β細胞を破壊し、身体がインスリンを産生することを不能にする。1型糖尿病は、典型的に、子供や若年成人に起こり、一般的にインスリン投与、厳重食、及び運動によって管理する。1型糖尿病は、2型糖尿病の治療不全の後の成人に同様にも見られる。2型糖尿病は、インスリンに反応する通常のインスリン感受性組織(例えば、肝臓及び筋肉)の能力の低下と共に、β細胞機能の変化に起因するインスリン分泌障害によって特徴付けられる。2型糖尿病は、一般的に、45歳を超える人に発現するが、最近では、より若い人々にも発見されている。この疾患は、年齢、家系、肥満、運動不足、高血圧、及び脂質異常症等の危険因子と関連する。治療は、厳重食及び運動療法、経口投薬(例えば、インスリン分泌及び/又はインスリン感受性を大きくする投薬)、及び、いくつかの場合では、インスリン投与を含む。
2型糖尿病は、西欧諸国の主要な公衆衛生上の懸念としてその重要性が急速に大きくなってきている。100年前では、比較的珍しい疾患であったが、今日では、世界で2億人以上の2型糖尿病患者がおり、この数は、2025年までに約3億人以上に増加すると推定されている。2型糖尿病の症例のこの劇的な増加は、西欧文化における肥満の増加と平行である。更に、より多くの文化が、西欧の食習慣を取り入れるにつれて、2型糖尿病は、世界中の流行の域に達しそうである。その急激な症例の増加のと同様に、この疾患と関連する合併症の重大さは、治療に対する効果的なアプローチの開発を、医薬分野での主要な関心事としている。
1973年に、Fowden et alはPhytochemistry 12:1707−1711,1973で、アジア、アフリカ、及びヨーロッパで広範囲に分布している一年生植物であるフェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子中の(2S,3R,4R)−4−ヒドロキシ−3−メチルペンタン酸(4−ヒドロキシイソロイシン、又は4−OH)の存在を報告した。その完全な構造は、Alcock et alによってPhytochemistry 28:1835−1841,1989で(2S,3R,4S)であるとして実質的に再調査され、修正された。この珍しい物質は、種子重量の約0.6%であり、種子の85%は、2つの共存する異性体:(2S,3R,4S)異性体(〜90%)及び(2R,3R,4S)異性体(〜10%)を有する遊離アミノ酸である(Sauvaire et al.,Herbs,Botanicals and Teas(2000),Edited by G.Mazza and BP.Oomah,p.107−129)。この(2S,3R,4S)異性体がインスリン分泌促進作用及びインスリン感作作用を有し(Broca et al.,Am.J.Physiol.277:E617−E623,1999;Broca et al.,Eur.J.Pharmacol.390:339−345,2000;Broca et al.,Am.J Physiol.Endocrinol.Metah.287:E463−E471,2004)、この化合物が、糖尿病の治療用に開発されている(PCT公開公報第WO97/32577号、及び第WO01/15689号)ことが示された。一方、(2R,3R,4S)異性体は、生体活性がない、又は(2S,3R,4S)異性体よりもずっと小さいことが報告されている(Broca et al.,Eur.J.Pharmaco.390:339−345,2000)。
糖尿病治療用の4−ヒドロキシイソロイシンの陽性作用の証拠の成長する身体にも関わらず、(2S,3R,4S)異性体以外の4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体が、糖尿病等の代謝疾患の予防及び/又は治療に有効であることは、かつて誰も示さなかった。
上記を考慮しても、炭水化物及び脂質代謝の疾患、特に糖尿病を予防及び治療する代替の、強化した化合物が求められている。
また、薬学的組成物及びグルコース摂取を刺激する、及び/又はインスリン分泌を刺激する治療方法も求められている。
本発明は、これらの化合物の使用方法に沿ったこのような化合物を提供する。従って、本発明は、次の明細書を読んで当業者に明らかになるように、上記の必要性及びその他の必要性を満たすものである。
本発明の概要
本発明者らは、(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体もインビトロアッセイでインスリン分泌促進作用があることを示している:このアッセイは、1つは、インスリン分泌INS−1細胞のインスリン分泌のグルコース依存性刺激をモニタするものであり、もう1つは、分化した3T3−L1脂肪細胞のグルコース摂取をモニタするものである。
従って、本発明は、ここで規定されるような4−ヒドロキシイソロイシン(4−OH)の異性体の治療、及び/又は予防目的のために使用を特徴とする。好ましい実施例では、本発明による異性体は:

Figure 2008530198

から成る群より選択された2S,3R,4S 4−ヒドロキシイソロイシンの異性体である。
例示的なプロドラッグは、カルボキシラート基及びヒドロキシル基を縮合して次のラクトン:

Figure 2008530198

を形成するこれらの化合物を含む。
本発明の別の態様は、次の化合物:

Figure 2008530198

又はそのラクトンプロドラッグ:

Figure 2008530198

で特徴付けられる。
別の態様では、本発明は、1又はそれ以上のこのような異性体、及び薬学的に許容可能な賦形剤を具える薬学的組成物で特徴付けられる。
別の態様では、本発明は、ここで規定されるような1又はそれ以上の4−OHの異性体をほ乳類に投与するステップを含む炭水化物又は脂質代謝の疾患を有するほ乳類の治療方法を提供する。好ましくは、この疾患が、非インスリン依存性糖尿病であり、より好ましくは、2型糖尿病である。1の実施例では、この方法は二次薬剤をほ乳類に投与するステップを更に含むことができ、この薬剤は、例えば抗糖尿病薬であってよい。
別の態様では、本発明は、インスリン分泌を刺激する化合物の投与によって治療可能なほ乳類の疾患の治療方法を対象とし、この方法は、本発明による治療上有効量の4−OHの少なくとも1の異性体と、単体又はその他の薬理活性剤と組み合わせて薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを具える治療上有効量の薬学的組成物の投与を具える。
別の態様では、本発明は、筋肉細胞、及び/又は脂肪細胞によってグルコース摂取を刺激する方法であって、このような細胞を本発明による有効量の異性体と接触させる方法を対象とする。
別の態様では、本発明は、ランゲルハンス島のベータ細胞によってインスリン分泌を刺激する方法であって、前記細胞を本発明による有効量の異性体と接触させる方法を具える方法を対象とする。
更なる別の態様では、本発明は、薬学的組成物を対象とし、より具体的には、炭水化物又は脂質代謝の疾患の治療で用いる薬剤の調製における本発明による異性体の使用を対象とする。ここでは、循環グルコースレベルが徐々に上がっていくことが、限定はされないが、糖尿病(1型及び2型糖尿病)、前糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖症、糖尿病性神経障害及び糖尿病性腎症を含めて問題となっている。
本発明の更なる態様では、本発明による異性体の調整用プロセスが提供される。
本発明の利点は、新規で有益なグルコース摂取の刺激物質、及びインスリン分泌の刺激物質を提供することである。また、本発明は、炭水化物又は脂質代謝に関するまだ対処されていない医学的要請、特に2型糖尿病用の化合物、組成物及び方法を提供する。
本発明の更なる目的、利点、及び特徴は、例示である添付の図を参照して、好ましい実施例の次の非限定的記載を読むとより明らかになる。これらは、本発明の範囲を限定するように解釈するべきではない。
本発明の詳細な説明
本発明は、(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの異性体、即ち、グルコース依存方法でインスリン分泌を刺激し、インスリン耐性を小さくしてしまうことが示される化合物を含む、化合物、薬学的組成物、及び方法で特徴付けられる(e.g.,U.S.Patent No.5,470,879;WO01/15689;Broca et al.,Am.J.Physiol.277:E617−E623,1999;及びBroca et al.,Am.J Physiol.Endocrinol.Metab.287:E463−E471,2004参照)。より具体的には、本発明は、(2S,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンと、炭水化物又は脂質代謝の疾患に罹患しているほ乳類の治療用の、4−ヒドロキシイソロイシンの(2S,3S,4S)、(2S,3R,4R)、(2S,3S,4R)、(2R,3S,4R)、(2R,3S,4S)、(2R,3R,4R)又は(2R,3R,4R)立体配置異性体のうちの1又はそれ以上を含む薬学的組成及び方法で特徴付けられる。
このような用語に対してここで与えられる範囲を含めて、明細書及び特許請求の範囲を明確でより一貫して理解するために、次のように定義する:
A)定義
用語「投与」又は「投与すること」は、ヒト等のほ乳類にある用量の薬学的組成物を与える方法をいい、この方法は、例えば、経口、皮下、局所、静脈、腹腔内、又は筋肉内投与方法である。好ましい投与方法は、様々な因子、例えば、薬学的組成物の成分、潜在的又は実際の疾患の部位、及び疾患の重症度によって変わる。
「炭水化物代謝の疾患」は、この疾患を有する対象が、適切に糖を代謝できない代謝性疾患を意味する。このような疾患の例は、例えば、糖尿病(1型及び2型)、前糖尿病、高血糖症、耐糖能異常、メタボリックシンドローム、糖尿、糖尿病性神経障害及び糖尿病性腎症、肥満、及び摂食障害を含む。
「脂質代謝の疾患」は、この疾患を有する対象が、適切に脂肪を代謝、分散、及び/又は蓄えることができない代謝性疾患を意味する。このような疾患の例は、限定はされないが、2型糖尿病、前糖尿病、及びメタボリックシンドロームを含む。
「有効量」は、例えば、糖尿病及びメタボリックシンドローム等の炭水化物又は脂質代謝の疾患を治療又は予防するのに必要とされる化合物の量を意味する。炭水化物又は脂質代謝の疾患によって引き起こされる、又はこれらが寄与する状態の治療処置又は予防処置に本発明を実施するのに用いられる活性化合物の有効量は、投与方法、及び対象の年齢、体重、及び全体的な健康状態によって変わる。最終的には、主治医、又は獣医が、適切な量及び用量管理を決定する。また、有効量は、この疾患の1又はそれ以上の症状のなんらかの改善する、又はこの疾患の発生可能性を低減する量であってよい。
同じ分子式を有するが、その性質が異なる化合物、又は原子の結合順序、又は原子の空間配列が異なる化合物を「異性体」という。原子間の結合性が同じであるが、これらの原子の空間配列が異なる異性体を「立体異性体」という。互いに鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオ異性体」といい、互いに重ね合わせることができない鏡像体である立体異性体を「鏡像異性体」という。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、4つの異なる基に結合し、1組の鏡像異性体があり得る。鏡像異性体はその不斉中心の絶対配置によって特徴付けることができ、Cahn、Ingold、及びPrelogのR−及びS−配列則によって、又は分子が偏光面を回転する方法によって記述でき、右旋性又は左旋性と(即ち、それぞれ、(+)又は(−)異性体として)よぶことができる。キラル化合物は、独立した鏡像異性体として、又はこれらの混合物として存在することができる。均等な割合で鏡像異性体を含む混合物を「ラセミ混合物」という。
不斉中心又はキラル中心が、本発明の化合物に存在することがある。特に示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲の特定の化合物の記述又は命名は、全ての独立した鏡像異性体、及びこれらの混合物、ラセミ体、又はそれ以外のものを含むことを意図している。立体化学の定量方法、及び立体異性体の分離方法は、本技術分野でよく知られている(“Advanced Organic Chemistry”,4th edition J.March,John Wiley and Sons,New York,1992の第4章の議論参照)。本発明の化合物の独立した立体異性体は、不斉又はキラル中心を含む市販で入手できる開始物質から合成で調製され、又は、鏡像異性体化合物の混合物を調製し、その後、当業者によく知られた方法で分解することによって調製される。これらの分解の方法は、(1)(+/−)を指定された鏡像異性体のラセミ混合物をキラル補助基に付着させ、再結晶又はクロマトグラフィによって得たジアステレオ異性体を分離し、及びこの補助基から光学的に純粋な産物を単体分離することによって、又は(2)キラルクロマトグラフィカラムの光学鏡像異性体の混合物を直接分離することによって例証される。鏡像異性体は、ここでは、キラル炭素原子の周りの置換基の構造に依存する記号「R」又は「S」によって指定され、或いは3次元空間のページの平面の上の置換を規定する太線、及び3次元空間を印刷したページの平面の下の置換基を規定する点線又は破線を用いる従来の手段によって描かれる。
当業者に一般的に理解されているように、光学的に純粋な化合物は、鏡像異性的に純粋である化合物である。ここで用いられるとき、用語「光学的に純粋な」は、所望の薬理活性を有する化合物を産生するのに少なくとも十分な量の単一鏡像異性体を具える化合物を意味することを意図している。好ましくは、「光学的に純粋な」は、少なくとも90%の単一異性体(鏡像体過剰率、即ち「e.e.」80%)、好ましくは、少なくとも95%(90%e.e.)、より好ましくは、少なくとも97.5%(95%e.e.)、最も好ましくは、少なくとも99%(98%e.e.)を具える化合物を意味することを意図している。好ましくは、本発明の化合物は、光学的に純粋である。
ここで用いられるとき、用語「4−ヒドロキシイソロイシン」、「4−OHの異性体」、「本発明の異性体」又は「本発明の化合物」は、ここで定義されている(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンのジアステレオ異性体をいい、薬学的に許容可能なラクトン、これらの塩、結晶形状、代謝産物、溶媒和物、エステル、及びプロドラッグを含む。
ここで用いられるとき、用語「薬学的に許容可能な塩」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギィ反応等のないヒト及び動物の組織と接触させた使用に好適であり、適当な利益/危険率で釣り合っているこれらの塩を意味する。薬学的に許容可能な塩はこの分野でよく知られている。例えば、S.M.Berge et al.は、J.Pharmaceutical Sciences 66:1−19,1977に詳細に薬学的に許容可能な塩を記載している。この塩は、本発明の化合物の最終単離及び精製中にインサイチュウで、又は、好適な有機酸と遊離塩基基を反応させることによって個別に、調製することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシルスルファート、エタンスルファート、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルフォナート、2−ナフタレンスルホナート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、及び、限定はされないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含む非毒性アンモニウム、第4級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。
ここで用いられるとき、「薬学的に許容可能なエステル」は、インビボで加水分解するエステルを示し、ヒトの体内ですぐに分解されて、これらの親化合物又は塩を残すものが挙げられる。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容可能な脂肪族カルボン酸、特に、各アルキル又はアルケニル基が多くても6炭素原子を有するアルカン、アルケン、シクロアルカン、及びアルカン二酸から誘導されるものが挙げられる。具体的なエステルの例としては、蟻酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル、及びエチル琥珀酸エステルが挙げられる。
ここで用いられるとき、用語「プロドラッグ」は、例えば、血液中での加水分解によって上式の親化合物にインビボですぐに変性する化合物を意味する。徹底した議論が、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,and Judkins et al.,Synthetic Communications 26(23):4351−4367,1996で提供されている。これらを参照によってここに組み込む。
本発明による異性体のプロドラッグは、修飾がインビボで開裂して親異性体を放出するような方法で官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは修飾異性体を含み、これは前記異性体のいずれかにおいて水酸基又はアミノ基が、インビボで開裂して、遊離水酸基又はアミノ基それぞれを再生するいずれかの基に結合されている。プロドラッグの例としては、限定はされないが、エステル(例えば、酢酸エステル、蟻酸エステル、及び安息香酸エステル誘導体)、式(I)、(II)、(III)の化合物のヒドロキシ官能基のカルバミン酸エステル(例えば、N,N−ジメチルアミノカルボニル)、等が挙げられる。
ここで用いられるとき、用語「薬学的に許容可能なプロドラッグ」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギィ反応等がなく、適当な利益/危険率で釣り合っているヒト及び動物の組織と接触した使用に好適である本発明の化合物のこれらのプロドラッグを示し、可能であれば、本発明の化合物の双性イオン形と同様に、本発明の使用目的に有効である。
「薬学的に許容可能な活性代謝産物」は、体内での4−OHの異性体の代謝によって生成した薬理的活性生成物を意味することを意図している。
「薬学的に許容可能な溶媒」は、本発明による異性体の生体活性成分の生物学的効果及び特性を保持する溶媒を意味することを意図している。薬学的に許容可能な溶媒の例としては、限定はされないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンが挙げられる。
B)本発明による化合物
後に詳細に記載するように、本発明者らは、一連の4−ヒドロキシイソロイシンの異性体を調製した。本発明の好ましい実施例によれば、これらの異性体は、ほ乳類のグルコース摂取を刺激する、及び/又はインスリン分泌を刺激するために活性であり、従って、グルコースレベルの上昇が問題となる疾患の予防及び/又は治療に有効である。その結果、このような異性体を提供することは、糖尿病の治療だけでなく、炭水化物又は脂質代謝の他の疾患の治療にも望ましい。
第1の態様によれば、本発明は、2S,3R,4S 4−ヒドロキシイソロイシンの異性体及び薬学的に許容可能なラクトン、塩、結晶形状、プロドラッグ、エステル、代謝物、又はこれらの溶媒で特徴付けられている。ある実施例では、本発明の異性体は:

Figure 2008530198

から成る群より選択される。
例示的プロドラッグとしては、カルボキシル基及び水酸基を縮合して以下のラクトン:

Figure 2008530198

のうちの1つを形成する化合物が挙げられる。
好ましい実施例では、本発明の異性体は:

Figure 2008530198

から成る群より選択される。
関連した態様によれば、本発明は、以下の化合物:

Figure 2008530198

及び薬学的に許容可能なラクトン、塩、結晶形状、プロドラッグ、エステル、代謝物、又はこれらの溶媒で特徴付けられる。好ましい実施例では、ラクトンは、以下の式:

Figure 2008530198

を有するラクトンプロドラッグである。
本発明の異性体及び組成物(以下を参照)は、容易に入手できる開始材料を用いて、当該分野で入手可能な技術を用いることによって調製される。例えば、(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの調製方法が記載されている。例えば、米国特許出願第2003/0219880号;Rolland−Fulcrand et al.,Eur.J.Org.Chem.873−877,2004;及びWang et al.,Eur.J.Org.Chem.834−839,2002を参照されたい。加えて、この化合物を、フェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子から単離することが可能である。また、4−ヒドロキシイソロイシンの付加立体配置異性体、又はこれらのプロドラッグの生成方法は、2005年11月10日に出願された第PCT/FR2005/02805号(2006年5月 日に公開された国際公開公報第WO2006/ 号)に記載されている。これを参照によってここに組み込む。
本発明の更なる態様は、本発明による異性体の新しい合成方法に関する。本発明の化合物の新規で例示的な調製方法は、例示セクションに記載されている。このような方法は、本発明の範囲内である。
C)グルコース摂取を刺激する方法及びインスリン分泌を刺激する方法
本発明の異性体は、好ましくは、筋肉組織又は脂肪組織によってグルコース摂取を刺激する、及び/又は膵臓β細胞によってインスリン分泌を刺激する。本発明の異性体の生体活性は、インビボ及びインビトロアッセイを含む、当業者に利用可能ないずれかの方法によって測定される。このような測定用の好適なアッセイのいくつかの例は、本明細書の例示セクションに記載されている。このような測定についての好適な技術認識アッセイの更なる例示はよく知られている。
従って、関連する態様では、本発明は、筋肉及び/又は脂肪組織によるグルコース摂取の刺激方法を提供し、この方法は:
− 本明細書に規定したような本発明による少なくとも1の異性体を提供するステップと;
− グルコース摂取刺激が査定可能である機能性インビトロ細胞ベースアッセイを提供するステップと;
− 前記異性体の有効量をグルコース摂取活性を刺激するアッセイに導入するステップと;
を具える。
一の実施例では、インビトロ細胞ベースアッセイは、3T3−L1脂肪細胞を具え、約10μM 2−デオキシ−D−グルコース及び約16μM H−デオキシ−D−グルコースの存在下で実施される。
従って、関連した態様では、本発明は、β細胞によるインスリン分泌の刺激方法を提供し、この方法は:
− 本明細書で規定するような本発明による少なくとも1の異性体を提供するステップと;
− インスリン分泌刺激が査定可能である機能性インビトロ細胞ベースアッセイを提供するステップと;
− 有効量の前記異性体をインスリン分泌を刺激する前記アッセイに導入するステップと;
を具える。
1の実施例では、インビトロ細胞ベースアッセイがINS−1細胞を具え、約2mMから約10mMのグルコース濃度の存在下で実施される。
D)薬学的組成物及び治療用途
なんらかの特定の理論によって拘束されることを望むことなく、本発明者らは、本発明の異性体が、グルコース摂取の刺激、及び/又はインスリン分泌の刺激に好適であることを実証した。従って、本発明は、4−OHの異性体及びこれらの薬学的組成物を治療目的又は予防目的用に使用する方法に関する。好ましい実施例では、この方法は、本明細書に記載されたいずれかの独立した異性体、又はこれらの任意の組み合わせを投与するステップを具える(compromises)。
本発明の好ましい実施例によれば、ほ乳類は、本発明の方法及び/又は異性体による治療の必要性のあるヒト対象であり、この必要性に基づいて治療が選択される。特に2型糖尿病に関して、治療の必要なヒトは、技術的に認識され、異常な高血糖レベル、グルコース耐性の低下、脂肪代謝の調節障害を有すると認識される対象を含み、過剰な体重を有する(例えば、対象が肥満である)。また、治療の必要性のあるヒトは、このような疾患や疾病の危険性があり、診断、例えば、医学的診断に基づいて、治療(例えば、疾患又は疾病、疾患又は疾病の徴候、又は疾患又は疾病の危険性の治療(curing)、治療(healing)、予防(preventing)、緩和(alleviating)、緩和(relieving)、変化(altering)、治療(remedying)、改善(ameliorating)、回復(improving)、影響(affecting))から恩恵を受けることを期待するであろう。
従って、本発明の関連した態様は、治療目的又は予防目的のための薬学的組成物の有効成分として本発明の異性体を使用することに関する。ここで用いられているように、「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」は、少なくとも炭水化物又は脂質代謝の疾患に関連する、より具体的にはヒト等のほ乳類の2型糖尿病の症状の緩和を意味することを意図している。この症状は、インスリン分泌の刺激によって、及び/又はグルコース摂取の刺激によって緩和される。「治療(treating)」又は「治療(treatment)」は、症状の全体又は一部の治療(curing)、治療(healing)、抑制(inhibiting)(例えば、疾病又はその臨床的症状進行の停止又は軽減)、緩和(relieving from)、回復(improving)、及び/又は緩和(alleviating)(疾病又はその臨床的症状の退行)を含む。
ここで用いられるとき、「予防(prophylaxis)」又は「予防する(prevent)」又は「予防(prevention)」は、炭水化物又は脂質代謝の疾患、より具体的には、ヒトの2型糖尿病に関連した症状の可能性を少なくとも低減することを意味することを意図している。科学文献で認識又は提案された2型糖尿病の素因には、とりわけ、(i)その病状を有するが、その疾病を有するとは診断されない遺伝的素因と、(ii)肥満であることと、(iii)脂肪代謝の調節異常を有することと、及び/又は(iv)座りがちの生活習慣が挙げられる。例えば、ヒトが前糖尿病である場合、ヒトが過剰体重である場合、ヒトが異常な高血糖レベルを示す場合、及び/又はヒトがグルコースに対する耐性の低下を示す場合に、本発明の異性体、又は本発明の異性体を具える組成物を投与することによってヒトの2型糖尿病を予防又は治療することができそうである。
対象は、ヒトの女性、又はヒトの男性であってよく、小人、中人、又は大人であってよい。
特定の態様によれば、本発明は、糖尿病(1型又は2型糖尿病)、前糖尿病、又はメタボリックシンドロームを有するヒト等のほ乳類の治療方法で特徴付けられる。本発明は、本発明の異性体、及び/又は本発明の異性体を具える組成物をその循環グルコースレベルを低減するのに十分な量投与するステップを含む。
ある実施例によれば、本発明の異性体、組成物、及び方法は、治療の前のもとのレベルと比較して、およそ少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、75、又は100パーセントから、対象の血漿のグルコースレベルを低減するのに十分な治療上効果的な用量で投与される。
ある実施例によれば、本発明の異性体、組成物、及び方法は、治療の前のもとのレベルと比較して、少なくとも約5、10、15、20、25、30、40、50、75、又は100パーセントから、患者の血漿中のインスリンレベルを十分に増加する治療上有効量で投与される。
典型的に、本発明の異性体は、グルコース及び/又はインスリンレベルが標準に戻るまで与えられる。本発明の異性体によって標的とされる疾患及び状態の性質によっては、慢性的又は一生の投与が必要とされるであろう。好ましい実施例では、本発明による異性体及び薬学的組成物は、1日当たり1回から3回投与される。
対象の血液、又は血漿中のグルコース又はインスリンの量は、限定はされないが、携帯型血糖計、酵素アッセイ(例えば、グルコースオキシダーゼ、又はヘキソキナーゼベースのアッセイ)、酵素結合免疫吸着剤アッセイ(ELISA)、定量免疫ブロット試験法、及び放射免疫測定(RIA)を含む当業者によく知られた技術及び方法を用いることによって評価される。
従って、本発明は、ここに記載されている治療上有効な量の4−OHの異性体を薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と共に、具える薬学的組成物を提供する。好適な担体又は賦形剤は、限定はされないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びこれらの組み合わせを含む。薬学的組成物は、特に、例えば、局所、非経口、経口、経肛門、経腟、静脈、腹腔内、筋肉内、眼球内、皮下、経鼻、気管支内、又は皮内経路による投与を含む任意の効果的な従来の方法で投与される。
薬学的組成物の好適な薬学的形状を調製する許容できる方法は、当業者に知られている。例えば、薬学的調製物は、混合、整粒、タブレット形状にしたい場合には圧縮、又は成分を適切に混合、充填及び溶解するステップを含む従来の薬剤師の技術で調製され、様々な投与ルートに適した製品とする。
本発明による異性体の毒性及び治療上の有効性は、細胞培地又は実験動物の標準的な薬学的手順によって評価することができる。本発明による異性体の治療上の有効性は、ヒトの疾病の有効性の予測である動物モデルシステムで評価することができる。例えば、グルコース摂取の効果を評価する動物モデルとしては、糖尿病の動物モデル又はグルコース注入率を測定することができるその他の関連動物モデルが挙げられる。糖尿病についての好適な動物モデルの例としては、限定はされないが、DIOマウス、ob/obマウス、db/dbマウス、及びZucker fa/faラットが挙げられる。代替として、異性体の能力は、分化3T3−L1脂肪細胞を用いて(例2参照)、又はL6筋細胞を用いて、グルコース摂取を刺激する化合物の能力を試験することによって、INS−1細胞を用いて(例3参照)、又は潅流膵臓を用いて、インスリン分泌を刺激する化合物の能力を試験することによってインビトロで評価できる。毒性副作用がある薬剤を用いる一方で、治療は、非罹細胞に対する潜在的損傷を最小にするために、罹患した組織の部位に対してこのような薬剤を標的とするデリバリシステムを設計するように行うべきであり、これによって、可能性があればいつでも副作用を低減する。
広範囲の薬物を、本発明の異性体、組成物、及び方法と共に用いることができる。このような薬物は、抗糖尿病薬、血圧降下薬、抗炎症剤、抗肥満薬等から選択されてよい。
本発明の異性体と共に用いることができる有益な抗糖尿病薬の非限定的リストは、インスリン、例えば、メトホルンミン(Glucophage(登録商標)、米国所在のBristol−Myers Squibb Company社;Stagid(登録商標)、ヨーロッパ所在のLipha Sante社)等のビグアニド;例えば、グリクラチド(Diamicron(登録商標))、グリベンクラミド、グリピジド(Glucotrol(登録商標)及びGlucotrol XL(登録商標),Pfizer社)、グリメピリド(Amaryl(登録商標)、Aventis社)、クロルプロパミド(Diabinese(登録商標)、Pfizer社)、トルブタミド、及びグリブリド(Micronase(登録商標)、Glynase(登録商標)、及びDiabeta(登録商標))等のスルホニル尿素薬;例えば、レパグリニド(Prandin(登録商標)又はNovoNorm(登録商標);Novo Nordisk社)、オルミチグリニド(ormitiglinide)、ナテグリニド(Starlix(登録商標))、セナグリニド、及びBTS−67582等のグリニド;例えば、グリタゾン、マレイン酸ロシグリタゾン(rosiglitazone maleate)(Avandia(登録商標)、Glaxo Smith Kline社)、ピオグリタゾン(Actos(登録商標)、EIi Lilly、Takeda社)、トログリタゾン、シグリタゾン、イサグリタゾン(isaglitazone)、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS−011/CI−1037、T 174、Gl 262570、YM−440、MCC−555、JTT−501、AR−H039242、KRP−297、GW−409544、CRE−16336、AR−H049020、LY510929、MBX−102、CLX−0940、GW−501516等のチアゾリジンジオン、及び国際公開公報第WO97/41097号(DRF−2344)、第WO97/41119号、第WO97/41120号、第WO98/45292号、第WO99/19313号(NN622/DRF−2725)、第WO00/23415号、第WO00/23416号、第WO00/23417号、第WO00/23425号、第WO00/23445号、第WO00/23451号、第WO00/41121号、第WO00/50414号、第WO00/63153号、第WO00/63189号、第WO00/63190号、第WO00/63191号、第WO00/63192号、第WO00/63193号、第WO00/63196号、及び第WO00/63209号に記載の化合物等のインスリン感作剤;例えば、エキセンディン−4(1−39)(Ex−4)、バイエッタ(Byetta(登録商標))(Amylin Pharmaceuticals Inc社)、CJC−1131(Conjuchem Inc社)、NN−2211(Scios Inc社)、及び国際公開公報第WO98/08871号、及び第WO00/42026号に記載されているこれらのGLP−1アゴニスト等のグルカゴン様ペプチド1(GLP−1)受容体作用薬、例えば、α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、及びエミグリタート)等の炭水化物の吸収を抑制する薬剤;例えば、グルカゴン様ペプチド1、コレシストキニン(cholescystokinin)、アミリン、及びプラムリンチド等の胃内容排出を阻害する薬剤;例えば、キノキサリン誘導体(例えば、2−スチリル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピルメチルアミノ]−6,7−ジクロロキノキサリン;Collins et al.,Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 2(9):915−918,1992)、スキリン(skyrin)及びスキリン(skyrin)類似体(例えば、米国特許第4,359,474号に記載されているもの)、1−フェニルピラゾール誘導体(例えば、米国特許第4,359,474号に記載されているもの)、置換ジシラシクロヘキサン(例えば、米国特許第4,374,130号に記載されているもの)、置換ピリミジン及びビフェニル(例えば、国際公開公報第WO 98/04528号に記載されているもの)、置換ピリジルピロール(例えば、米国特許第5,776,954号に記載されているもの)、2,4−ジアリール−5−ピリジルイミダゾール(例えば、国際公開公報第WO98/21957号、第WO98/22108号、第WO98/22109号、及び米国特許第5,880,139号に記載されているもの)2,5−置換アリールピロール(例えば、国際公開公報第WO97/16442号、及び米国特許第5,837,719号に記載されているもの)、置換ピリミジノン、ピリドン、及びピリミジン化合物(例えば、国際公開公報第WO98/24780号、第WO98/24782号、第WO99/24404号、及び第WO99/32448号に記載されているもの)、2−(ベンズイミダゾール−2−イルチオ)−1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−エタノン(Madsen et al.,J.Med.Chem.41:5151−5157,1998参照)、アルキリデンヒドラジド(例えば、国際公開公報第WO99/01423号、及び第WO00/39088号に記載されているもの)、国際公開公報第WO00/69810号、第WO02/00612号、第WO02/40444号、第WO02/40445号、及び第WO02/40446に記載されているようなもの等のその他の化合物等のグルカゴンアンタゴニスト;及び、例えば、国際公開公報第WO00/58293号、第WO01/44216号、第WO01/83465号、第WO01/83478号、第WO01/85706号、及び第WO01/85707号に記載されているもの等のグルコキナーゼ活性剤等のビグアニドが挙げられる。
本発明による1又はそれ以上の異性体と共に用いられる抗糖尿病薬のその他の例としては、イミダゾリン(例えば、エファロキサン、イダゾキサン、フェントラミン、及び1−フェニル−2−(イミダゾリン−2−イル)ベンズイミダゾール);グリコガンホスホリラーゼ阻害剤(国際公開公報第WO97/09040号参照);オキサジアゾリジンジオン、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)阻害剤、タンパク質チロシンホスホターゼ(PTPase)阻害剤、グルコース新生及び/又は糖原分解の刺激に含まれる肝酵素阻害剤、グルコース摂取修飾物質、グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)阻害剤、脂質代謝を変調する化合物(例えば、高脂血症薬、及び抗高脂血薬)、一般的なペルオキシソーム増殖剤反応性受容体(PPAR)アゴニスト又はアンタゴニスト、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト(例えば、ALRT−268、LG−1268、及びLG−1069)、及び抗高脂血症薬又は抗高脂血薬(例えば、コレスチラミン、コレスチポル、クロフィブラート、ゲムフィブロジル(gemfibrozil)、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、プロブコール、及びデキストロチロキシン)が挙げられる。その他の好適な抗糖尿病薬は、本明細書の他の場所で提供される表1に挙げられている。
本発明の異性体と共に用いられる血圧降下剤の例としては、β−拮抗薬(例えば、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロール、及びメトプロロール)、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、及びラミプリル)、カルシウムチャネル拮抗薬(例えば、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼム、及びベラパミル)、及びα−遮断薬(例えば、ドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシン、テラゾシン)が挙げられる。
本発明の異性体と共に用いられる抗炎症剤の例としては、抗ヒスタミン、及び抗−TNFαが挙げられる。
本発明の異性体と用いられる抗肥満薬の例としては、ゼニカル(商標)(Roche社)、メリディア(商標)(Abbott社)、アコンプリア(商標)(Sanofi−Aventis社)、プラムリンチド(Amylin社)、及び交感神経興奮性フェンテルミンが挙げられる。
また、本発明の異性体、組成物、及び方法は、2005年2月18日に出願された米国暫定出願第60/654,342号の優先権を主張する“ANALOGS OF 4−HYDROXYISOLEUCINE AND USES THEREOF”と題されたPCT出願に記載されているような4−OHの類似体と共に用いられる。
従って、別の態様は、本明細書に記載されている4−OHのあらゆる異性体、又はこれらの任意の組み合わせ、及び二次抗糖尿病薬を含む薬学的キット又は薬学的組成物に関する。この薬学的キット又は組成物は、4−ヒドロキシイソロイシン異性体、及び、例えば、タブレット又はカプセル等の単一組成中に調合された二次抗糖尿病薬を含むことができる。また、本発明は、患者の糖尿病(1型糖尿病又は2型糖尿病)、前糖尿病、又はメタボリックシンドロームを治療する方法を提供し、これは、1又はそれ以上の抗糖尿病薬と共に、本明細書に記載されているような4−ヒドロキシイソロイシンの1又はそれ以上の異性体を患者に投与するステップを含む。この薬剤の組み合わせは、互いに同じ時間に、又は異なる時間に投与することができる。
本発明のこの組み合わせは、いくつかの利点を提供する。例えば、本明細書に記載されている薬物の組み合わせを用いて、改善した(例えば、付加的又は相乗的)効果を得ることができるので、少ない量の各薬物を投与することと、あらゆる薬のあらゆる有害な副作用と同様に、薬物に対して患者を全面的に曝すことを減らすことを考慮することが可能である。加えて、薬物が異なるメカニズムで疾病を治すことができるので、疾病をより一層制御することができる。
投与
本発明の治療方法に関して、ほ乳類に対する化合物の投与が、投与の特定の方法、用量、又は投与の頻度に限定されることは意図しておらず;本発明は、経口、腹腔内、筋肉内、静脈、関節内、病巣内、皮下、吸入によって、又は、糖尿病(1型糖尿病及び2型糖尿病)及び本明細書に記載されているような炭水化物又は脂質代謝のその他の疾患を予防又は治療するのに適切な用量を十分に提供する別の経路を含む全投与方法を含む。1又はそれ以上の化合物を単回投与で、又は複数回投与でほ乳類に投与する。複数回投与で投与する場合、この投与は、例えば、数時間、1日、又は1週間という間を開ける。いずれかの特定の対象について、特定の投与計画は、個人的必要性、及び投与する、又は組成物の投与を監視する人間の専門的な判断によって時間を超えて調整するべきである。本発明の異性体、組成物、及び方法を用いて治療できる例示のほ乳類としては、ヒト、サル等の霊長類、獣医学的対象の動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、及びウマ)、及び家庭内ペット(例えば、イヌ及びネコ)が挙げられる。また、本発明の異性体及び組成物を治療目的で、及び/又は実験目的(例えば、化合物の反応メカニズムの研究、異性体の効果のスクリーニング及び試験、構造設計等)で齧歯類(例えば、マウス、ラット、スナネズミ、ハムスター、モルモット、及びウサギ)に投与することができる。
治療又は予防の臨床用途について、本発明の異性体又は組成物は、一般的に、例えば、経口、皮下、非経口、静脈、筋肉内、病巣内(colonically)、経鼻、腹腔内、経腸、吸入、又は経口によって投与される。ヒトの薬剤又は獣医学的な薬剤用に好適である本発明による4−ヒドロキシイソロイシンの少なくとも1の異性体を含む組成物は、好適な経路による投与を可能にする形状で存在することができる。これらの組成物は、1又はそれ以上の薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を用いて、通例の方法によって調製される。この担体は、とりわけ、希釈剤、殺菌した水性培地、及び様々な非毒性有機溶媒を具える。治療上許容可能な担体又は希釈剤は、薬学の分野でよく知られており、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th ed.),ed.A.R.Gennaro,Lippincott Williams & Wilkins,2000,Philadelphia,and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology,eds.J.Swarbrick and J.C.Boylan,1988−1999,Marcel Dekker,New Yorkに記載されている。この組成物は、タブレット、ピル、顆粒、パウダァ、水溶液又は懸濁液、注入溶液、エリキシル剤、又はシロップの形状で存在し、この組成物は、薬学的に許容可能な調整液を得るために、甘味料、香料、色素、及び安定剤から成る群より選択された1又はそれ以上の薬剤を選択的に含むことができる。
媒体の選択及び媒体の活性物質の内容物は、製品の溶解度及び化学的特性、特定の投与方法、及び薬務で見られる規定に従って一般的に決定される。例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸二カルシウム、及びデンプン、アルギン酸、及び潤滑剤と結合したある種のケイ酸錯体等の崩解剤(ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び滑石)等の賦形剤を、タブレットの調製に用いることができる。カプセルを調製するには、高分子量ポリエチレングリコールを用いることが有利である。水性懸濁液を用いる場合、懸濁を促進する乳化剤を含むことができる。エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、クロロホルム、又はこれらの混合物等の希釈剤も用いることができる。加えて、例えば、イソマルトース(isomalt)、ソルビトール、キシリトール等の低カロリー甘味料を、本発明の処方に用いることができる。
非経口投与について、エマルジョン、懸濁液、又は植物油(例えば、ごま油、落花生油、又はオリーブオイル)中の本発明の組成物の溶液、水−有機溶液(例えば、水とプロピレングリコール)、注入可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、又は薬学的に許容可能な塩の滅菌水溶液を用いることができる。本発明の組成物の塩の溶液は、筋肉内又は皮下注射による投与に特に有益である。純粋な蒸留水の塩の溶液を含む水溶液を、(i)pHを好適に調節し、(ii)適切に調節して、十分な量の塩化ナトリウムでの等張状態にし、(iii)加熱、照射、又は精密ろ過によって殺菌することを条件に、静脈投与に用いることができる。本発明の異性体を含む好適な組成物は、噴霧器、又は懸濁液又は溶液エアゾールの使用に好適な担体に溶解又は懸濁し、又は乾燥パウダァ吸入器での使用に好適な固相担体に吸収又は吸着させることができる。経腸投与用の固相組成物としては、公知の方法によって調製剤された座薬が挙げられる。適切な投与と処方中の薬剤の濃度(即ち、4−ヒドロキシイソロイシンの異性体単体、及び/又は他の薬剤と組み合わせて)は、投与すべき薬剤の用量、投与経路、薬剤の性質、投与頻度及び方法、所望の治療、薬剤が投与される形状、薬剤の効能、治療を受ける対象の性別、年齢、体重、及び一般的な状態、治療される状態の性質及び重度、治療を受ける疾病のあらゆる合併症、及び当業者に明らかであるその他の要因を含む数多くの要因に依存して様々である。薬学的組成物の用量は、本発明による異性体の少なくとも治療上有効量を含み、好ましくは、1又はそれ以上の薬学的投与単位でできている。選択した投与量を、治療を必要とするヒトの対象に投与することができる。「治療上有効量」は、治療を受ける対象に治療上の効果を与える本発明の異性体の量を意味することを意図している。治療上の効果は客観的(即ち、試験又はマーカ(例えば、インスリン又はグルコースレベル)によって測定可能である)又は主観的(即ち、対象が徴候を与える、又は効果を感じる)である。
薬学的組成物の用量は、少なくとも治療上有効量の本発明による異性体を含み、好ましくは、1又はそれ以上の薬学的投与単位でなる。選択された用量を、ほ乳類、例えば、治療が必要なヒトの患者に投与することができる。上記のように、「治療上有効量」は、疾病を治療する対象に投与する場合、治療対象の治療効果と与える本発明の異性体の量を意味することを意図している。治療上の効果は、客観的(即ち、試験又はマーカによって測定できる(例えば、インスリン又はグルコース血中レベル))又は主観的(即ち、対象が、徴候を与える、又は効果を感じる)である。例えば、2型糖尿病に関する1の実施例では、「治療上有効な」量は、筋肉及び/又は脂肪組織によってグルコース摂取を増やし、及び/又は膵臓β細胞によってインスリン分泌を刺激する。2型糖尿病に関する別の実施例では、「治療上有効な」量がグルコースレベルを低減し、及び/又は、例えば、未処置の対象と比較して、少なくとも約20%ずつ、又は少なくとも約40%ずつ、又は、少なくとも約60%ずつ、又は少なくとも約80%ずつ、対象の血液のインスリンレベルを増加させる。
「治療上有効量」に相当する量は、特定の化合物、投与経路、賦形剤の使用、病状及び重度等、これらが必要な対象のアイデンティティ、治療対象の年齢、体重、その他、疾病を治療する他の薬剤との共投与の可能性の要因によって様々である。それにも関わらず、治療上の有効量は、当業者によって容易に決定できる。
ほ乳類、特にヒトに対しては、1日当たり、体重1kg当たりの各活性化合物の約0.1mgから約50mg(例えば、約5mgから約100mg、約1mgから約50mg、又は約5mgから約25mg)の成人用量の治療を用いることが考えられる。典型的な経口投与は、例えば、1日当たり約50mgから約5g(例えば、約100mgから約4g、250mgから3g、又は500mgから2g)の範囲内であり、1回から3回の投与といった1又はそれ以上の用量で投与される。当業者は容易に決定できるように、用量は、必要に応じて増減することができる。適切に決定されるならば、例えば、特定の薬剤の量を、別の薬剤と組み合わせて用いられる場合、低減することができる。加えて、本明細書に記載された薬剤を投与するために用いられる標準量及びアプローチ参照することが出来る。
本明細書に記載した抗糖尿病薬の用量の例は、以下の表1に提供されている。抗糖尿病薬は、例えば、250mg−1g/日(例えば、350−900、450−800、又は550−700mg/日)の範囲の量で、一般的に投与される4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体と組み合わせる場合、これらの用量で用いられることができる。代替的に、当業者によって適切であると決定されるように、本発明の薬物の組み合わせを用いる場合に得られる潜在的付加又は相乗効果に起因して、表1の量及び/又は投与する異性体の量を低減することができる(約10−70%、20−60%、30−50%、又は35−45%)。
いずれにせよ、医師が、個人に最も好適である実際の用量を決定する。上記の用量は、平均的ケースの例示である。もちろん、より高い又はより低い用量範囲が当然であるような個々の例があってよく、これは、本発明の範囲内である。
投与用として、本発明のあらゆる化合物又は組成物を用いる治療の期間は、投与前について上述したリストに挙げられたもの等の、いくつかの要因によって変化する。にも関わらず、当業者は投与の適切な期間を容易に決定できる。ある実施例では、本発明の化合物を毎日、毎週、又は継続的に投与する。
表1:よく知られている抗糖尿病薬のリスト

Figure 2008530198

Figure 2008530198
本発明の異性体及び組成物は、主に炭水化物代謝の疾患、特に2型糖尿病の治療で効果的であるとが考えられる。しかし、本発明による異性体及び組成物は、本発明による異性体及び組成物が脂肪分布に影響されるため、限定はされないが、HIVと関連するリポジストロフィや脂質血症を含む脂肪代謝の疾患に関連して有益であると考えられる。
また、この他の関連する又は関連しない用途について本発明の異性体を用いることが考えられる。例えば、心臓血管機能を改善するために本発明の異性体で被覆したカテーテル等の留置デバイスを提供することが有益である。

以下に記載した例は、本発明の化合物の例示的合成を提供する。また、グルコース摂取の刺激、及びインスリン分泌の刺激としてのその活性について本発明の化合物を分析する例示的方法を提供する。これらの例は、当業者が、より詳しく理解し、本発明を実施することを可能にするためのものであり、その範囲を規定又は制限することを目的とするものではない。
例1:4−ヒドロキシイソロイシンの異性体調製の一般的手順
A)一般的実験手順
4−ヒドロキシイソロイシンの8つの立体配置異性体(SRS、SRR、SSS、SSR、RSR、RSS、RRR、及びRRS)の合成スキームを図1に示す。イミン中間体1を、p−アニシジン及びグリオキシル酸エチルから調製した(Cordova et al.,A highly enantioselective amino acid−catalyzed route to functionalized alpha−amino acids,J.Am.Chem.Soc.124:1842−43,2002)。触媒としてのL−プロリンの存在下で2−ブタノンとイミン1を反応させた後、シリカゲルクロマトグラフィによって2S、3S異性体2を得た。C−3でのエピ化を、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DBN)を用いて行い、2S,3S異性体3を得た。4−ヒドロキシイソロイシンの(2S,3R,4S);(2S,3R,4R);(2S,3S,4S);及び(2S,3S,4R)異性体を次のように2又は3から得る。
3(p−メトキシフェニル基)のアミン部分を硝酸セリウムアンモニウム(CAN)で脱保護し、次いで水中のKBH4で還元し、同時に起こる環化によって、ラクトン4を生成して、水酸化リチウムを用いた塩基加水分解及び無水エタノールからの再結晶時に、純粋な(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンを得た。代替的に、CANによる3のアミン部分の脱保護の後に、アミン中間体6を単離し、次いで、そのアミン中間体6をメタノール中の水素化ホウ素カリウムで還元して、ラクトン中間体7を得た。水酸化リチウムを用いた塩基加水分解及びエタノールからの再結晶時に、(2S,3R,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物8)を得た。化合物8の更なる精製を、分取HPLCを用いて実施した。
化合物2から開始する同様の反応は、アミノケトン11からのラクトン11の調製のための水素化ホウ素カリウムの代わりに、水素化ホウ素ナトリウムを用いて、(2S,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン及び(2S,3S,4R)−4−ヒドロキシイソロイシンの単離を行う。
化合物1が、D−プロリンの触媒量の存在下で2−ブタノンと反応する場合に、化合物2の鏡像異性体である化合物14が形成された。上記のように、化合物14のC−3のエピ化を、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノン−5−エン(DBN)を用いて達成し、2R,3S異性体15を得た。化合物5、8、10、及び13の調製を用いたものと同様の反応シークエンスによって、(2R,3S,4R);(2R,3S,4S);(2R,3R,4R);及び(2R,3R,4S)異性体(化合物17、20、22、25、それぞれ)を、化合物14及び15から得た。
化合物1乃至25の調製で用いられる詳細な反応条件は以下のようである。H及び13C NMRスペクトルは、DO溶液のものであり、ケミカルシフトはメタノール(Hについてδ3.34及び13Cについてδ49.50)を用いたppm単位で内部標準として報告されている。
B)詳細な実験手順
化合物1の合成
1リットルの丸底フラスコ中でトルエン(400mL)中のp−アニシジン(50g、406mmol)の撹拌した溶液に、硫酸ナトリウム(200g、〜2.5eq)を加えた。グリオキシル酸エチル(ethyl glyoxalate)(82mL、トルエンの50%、406mmol)を、上記の反応混合物にゆっくり加え、混合物を30分間撹拌した。この時以後、硫酸ナトリウムをセルライトを用いてろ過し、トルエンを減圧下で除去した。乾燥後に化合物1(80g、95%)を単離し、次の反応に用いた。
化合物2の合成
2−ブタノン(800mL、22eq)及び乾燥DMF(600mL)中のL−プロリン(15.8g、0.35eq)の混合物を、窒素雰囲気下で室温で撹拌した。この反応混合物に、乾燥DMF(200mL)の化合物1とEtN(22.4mL、0.40eq)の溶液をゆっくり加えた。室温で8時間、反応混合物を撹拌後、L−プロリンをろ過し、過剰の2−ブタノンを減圧下で除去し、DMFを50℃で真空下で除去した。粗アミン(化合物2)をカラムクロマトグラフィ(SiO、85:15 ヘキサン/EtOAc)によって精製した。
化合物3の合成
化合物2をt−BuOMe(15mL)に溶解させ、上記撹拌した反応混合物に、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)(1mL、〜0.04eq)を加えた。この反応混合物を、窒素雰囲気下で2時間撹拌した。室温で溶媒を夜通し蒸発させた後に、固相ケーキを得て、温熱エタノールからの再結晶時に、化合物3(48g、43%収率)を得た。
(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物5)の合成
CH3CN(20mL)の化合物3(11.6g、40mmol)の溶液に、0℃で撹拌しながら、水(120mL)の硝酸セリウムアンモニウム(CAN)(65.6g、3eq)の溶液を加えた。色は、CANの添加時に青から緑に徐々に変化した。反応混合物を2.5時間撹拌し、反応を進めて、その後TLC分析を実施した。完了後、反応混合物をEtOAc(4×150mL)で抽出し、次のステップに用いる水相を得た。
水相を、飽和NaCO溶液でpH7に中和し、−15℃に冷却し、撹拌した。30分間冷却した後、KBH(3.2g、60mmol、1.5eq)を反応混合物に加えた。この反応によって、約45分間で0℃に温まり、次いで、TLCを実施した。反応混合物を2N NaCOで塩基性にしてpH8−9とし、CHCl(4×150mL)で抽出した。有機相を水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、ラクトンの90:10混合物を得た(化合物7(3S,4R,5R)対化合物4(3S、4R,5S);3.73g、62.6%)。
90:10ラクトン混合物の水中溶液(96mL、0.3M)に、LiOH(1.1g、43.3mmol、1.5eq)を加え、この混合物を、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、AcOH(43.3mmol、2.4mL)を注意深く加えて酸化させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、最後の水の痕跡をエタノールの添加と除去を繰り返すことによって除去した。粗生成物を無水EtOHから再結晶して、98%純粋な(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物5)1.56gを得た。分取HPLCによる更なる精製によって、白色の光沢のある粉末として化合物5を得た:mp215−222(subl.);[α] H2O+30.7(C1);H NMR(200MHz)δ3.90(m,1H),3.84(m,1H),1.91(m,1H),1.23(d,J=5.6Hz,3H)0.95(d,J=6.6Hz,3H);13C NMR(75MHz)δ174.32,70.46,57.54,41.90,21.30,12.70。
(2S,3R,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物8)の合成
CH3CN(20mL)中の化合物3(11.6g、40mmol)の溶液に、0℃で撹拌しながら、水(120mL)中の硝酸セリウムアンモニウム(CAN)(65.6g、3eq)の溶液を加えた。色は、CANの添加時に青から緑に徐々に変化した。反応混合物を45分間撹拌し、反応を進めて、その後TLCを実施した。完了後、反応混合物をEtOAc(4×150mL)で抽出し、水相を注意深く中和して、飽和NaCO溶液で僅かに塩基性のpH(〜8)にした。水相をCHCl(4×150mL)で抽出し、有機抽出物を合わせて、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、茶色がかった油として5.25g(79.7%)の化合物6を得た。
0℃に冷却したメタノール(15mL)の化合物6の溶液に、KBH(2.58g、47.8mmol)を素早く加えた。反応混合物を0℃で45分間撹拌し、次いで、室温まで徐々に温めた。この溶媒を真空で除去して、混合物を水で希釈した。水相をCHCl(4×150mL)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて、化合物4(3S,4S,5R)対化合物7(3S,4R,5R)の75:25混合物を得た(2.9g、70.2%)。
水(100mL)中の化合物7/化合物4混合物の溶液を、LiOH(805mg、33.7mmol)で処理し、AcOH(1.91mL、33.72mmol)で注意深く酸化させる前に、1時間室温で撹拌した。減圧下での濃縮後、水の痕跡を、無水エタノールの添加及び除去を繰り返すことによって除去した。灰色っぽい粗固相を90%エタノールの冷却溶液から得た。90%エタノールから更に再結晶させて、75:25ジアステレオ異性体率の化合物5対化合物8 1.4gを得た。再結晶の繰り返しは、化合物8の純度を90%に改善し、分取HPLCを用いた更なる精製によって、白色の光沢のある材料として純粋な(2S,3R,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物8)を得た:mp202−204℃(subl.);[α] H20−21.6(c,0.5);H−NMR(300MHz)δ4.05(m,1H),3.80(d,J=4.2Hz,1H),2.13(m,1H)1.20(d,J=6.3Hz,3H),1.05(d,J=7.2Hz,3H);13C NMR(75MHz)δ174.49,69.13,59.97,39.12,20.71,9.38。
(2S,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物10)の合成
化合物2(5.6g、20mmol)を、アセトニトリル(10mL)に溶解させ、これに、水(60mL)中の硝酸セリウムアンモニウム(CAN)(33g、60mmol)の溶液を加えた。CANの添加時に、反応混合物の色は青から緑に徐々に変化した。反応混合物を45分間撹拌し、酢酸エチル(4×150mL)で抽出した。水相を飽和NaCO溶液で注意深く中和し、pHを7に注意深く調節した。反応混合物を−15℃まで90分間冷却した後、KBH(1.6g、30mmol、1.5eq)を加えた。この反応により、約45分間で0℃まで温まり、次いで、2N NaCOで処理してpH8−9とし、次いで、CHCl(5×400mL)で抽出した。この有機相を水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で蒸発させて、1.42gのラクトンの75:25混合物を得た(化合物12(3S,4S,5R)対化合物9(3S,4S,5S))。
水(35mL)中のラクトンの混合物に、LiOH(395mg、16.5mmol、1.5eq)を加えて、この混合物を室温で2時間撹拌した。この時間の後、反応混合物をAcOH(16.5mmol、0.9mL)で注意深く酸化させた。この溶媒を真空下で除去し、水を完全に除去するために無水エタノールの添加及び除去を繰り返した。得られた粗材料を90%のEtOH中に溶解させ、夜通しそのままにしておいた。分離した白色固体をろ過し、EtOHで数回洗浄し、90%EtOHから再結晶させて、(2S,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物10、500mg)の白色結晶を得た。分取HPLCを用いて、更なる精製をして、純粋な光沢のある材料にした:mp253−255℃;[α] H2O+28(c,0.25);H NMR(300MHz)δ4.11(m,1H)、3.87(d,J=2.7Hz,1H)、2.21(m,1H)、1.23(d,J=6.3Hz,3H)、0.92(d,J=7.5Hz,3H);13C NMR(75MHz)δ174.64、71.39、60.39、38.97、21.11、6.19。
(2S,3S,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物13)の合成
アセトニトリル(20mL)の化合物2(11.6g、40mmol)の溶液に、0℃で撹拌しながら、水(120mL)中の硝酸アンモニウムセリウム(IV)(CAN)(65.6g、120mmol)の溶液を加えた。CANの添加時に、反応混合物の色が青から緑に徐々に変化した。反応混合物を45分間撹拌し、酢酸エチル(4×150mL)で抽出した。水相を飽和NaCO溶液で注意深く中和してpH8とし、次いでCHCl(4×150mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、減圧下で濃縮させて、茶色の油の4gの化合物11を得た。
0℃でMeOH(15mL)の11の溶液に、NaBH(962mg、1.1eq、25.43mmol)を素早く加えた。反応混合物を0℃で45分間、激しく撹拌し、室温まで徐々に温めた。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水で希釈して、CHCl(4×150mL)で水相を抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、真空で蒸発させて、化合物12(3S,4S,5R)及び化合物9(3S,4S,5S)の混合物2gを得た。
この混合物を水(40mL)中に溶解させ、LiOH(556.9mg、18.6mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、AcOH(1.31mL)で注意深く酸化させた。この溶媒を、真空下で除去した。粗生成物を最小量の水に溶解させ、この組成物をdowex 5Ow×8(H)樹脂(50g)でパックしたカラムに積んだ。カラムを4×50mLの水で先ず溶離し、次いで、留分を2M NHOHで溶離することによって収集した。単離した生成物を、90%EtOHに溶解させ、夜通しそのままにしておいた。分離した固体(250mg)をろ過し、冷EtOHで洗浄し、90%EtOHから再結晶して、ジアステレオ異性体の混合物を得た。
この化合物10及び13のジアステレオ異性体の混合物は、分取HPLCによって精製されて、白色の光沢のある粉末として(2S,3S,4R)4−ヒドロキシイソロイシンを生成した:mp173−175℃;[α] H2O+6.0(c,0.25);H NMR(300MHz)δ4.02(d,J=3Hz,1H),3.81(m,1H),2.12(m,1H)1.28(d,J=6.6Hz,3H),0.97(d,J=7.2Hz,3H);13C NMR(75 MHz)δ174.93,70.18,56.34,40.46,21.24,12.15である。
(2R,3S,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物17)、(2R,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物20)、(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物22)、及び(2R,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物25)の合成
化合物17、20、22、及び25の合成に用いられる手順は、化合物1が、D−プロリンの存在下で2−ブタノンと反応して、化合物14(化合物12の対掌体)を生成することを除いて、化合物5、8、10に用いられるものと同じである。化合物17、20、22、及び25の物理的データ、及びNMRデータは、以下の通りである。
(2R,3S,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物17):mp217−225℃(subl.);[α] H2O−31(c,1);H NMR(200MHz)δ3.89(m,1H),3.84(m,1H),1.90(m,1H)1.23(d,J=6.4Hz,3H),0.95(d,J=7Hz,3H);13C NMR(50MHz)δ174.36,70.43,57.51,41.91,21.30,12.6。
(2R,3S,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物20):mp200−204℃(subl.);[α] H2O+22(C,0.5);H NMR(200MHz)δ4.04(m,1H),3.80(m,1H),2.12(m,1H),1.19(d,J=6.2Hz,3H)1.05(d,J=7.2Hz,3H);13C NMR(50MHz)δ174.55,69.12,59.97,39.12,20.73,9.40。
(2R,3R,4R)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物22):mp250−254℃;[α] H2O−30(c,0.25);H−NMR(200MHz)δ4.10(m,1H),3.87(d,J=2.6Hz 1H),2.23(m,1H)1.23(d,J=6.6Hz,3H),0.92(d,J=7.2Hz,3H);13C NMR(50 MHz)δ174.64,71.29,60.35,38.96,21.12,6.22。
(2R,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(化合物25):mp173℃;[α] H2O−5.6(c,0.25);H NMR(300MHz)δ4.01(d,J=2.7Hz,1H),3.80(m,1H),2.11(m,1H)1.27(d,J=6.3Hz,3H),0.97(d,J=7.2Hz,3H);13C NMR(75MHz)δ174.96,70.18,56.35,40.44,21.23,12.10。
例2:(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの配座異性体による分化3T3−L1脂肪細胞によるグルコース摂取の刺激
3T3−L1脂肪細胞(ATCC;Cl−173)を、コンフルエンスに達するために、12ウエル組織培養プレートで3日間培養した(Lakshmanan et al.,Analysis of insulin−stimulated glucose uptake in differentiated 3T3−L1 adipocytes、Diabetes Mellitus: Methods and Protocols,Saire Ozena,Ed.,Humana Press Inc.,Tonowa,New Jersey 97−103,2003)。培養培地を除去して、分化培地と置き換えた(Green and Meuth,Cell 3:127−133,1974;Madsen et al.,Biochem.J.375:539−549,2003)。この細胞を更に9日間インキュベートした。分化の状態は、目視試験によって確かめた。分化培地をウシ胎仔血清のないものと置き換えることによって、細胞餓死を5時間実施した。餓死期間の最後の30分間に、0.5mMの濃度で4−ヒドロキシイソロイシンの各立体配置異性体(化合物5、8、10、13、17、20、22、及び25)にこの細胞を曝露した。餓死期間の最後の30分間にインスリン(0.0167U/mL;Sigma社;Cat.No.15534)に曝露させた細胞を陽性対照として用いて、0.5mMイソロイシンに曝露した細胞をバックグラウンド摂取についての対照として用いた。全処理を4回実施した。細胞を洗浄し、次いで、16μM 3H−デオキシ−D−グルコース(0.5μCi/mL)及び10μM 2−デオキシ−D−グルコースを含有する新しい培地を加えて、細胞を10分間インキュベートした。氷冷PBSで細胞を洗浄することによってグルコース摂取を停止した。この細胞を溶解し、H−デオキシ−グルコースのバックグラウンド摂取に対する、溶解物中の特異的活性を決定した。図2に示す結果は、1ウエル当たりタンパク質含有量に基づいて標準化された。
予期できるように、インスリンは、グルコース摂取を強力に促進する一方で、イソロイシンはグルコース摂取を促進しなかった。(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの全立体配置異性体(化合物5)は、最もよい活性を有する化合物8、13、20、及び25を伴ってグルコース摂取の良好な刺激を示した。従って、(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの配座異性体は、糖尿病及び関連した症状の治療用の治療薬となる可能性を有する。
例3:(2S,3R,4S)−4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体によるINS−1細胞中のインスリン分泌のグルコース依存性刺激
4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体を、INS−1細胞のインスリン分泌促進作用の盲検方法で試験した。簡単に言えば、この細胞を、2×105の密度で、12ウエルプレートに入れ、10%のウシ胎仔血清を有する11mMグルコースを含有するRPMI中で2日間インキュベートした。投入3日目に培地を除去し、10%のウシ胎仔血清を有する3mMグルコースを含有するRPMIと置き換えた。この細胞を更に24時間インキュベートした。投入後4日で、培地を除去し、2mMグルコースを含有するKrebs-Ringer重炭酸緩衝液と置き換えた。この細胞を30分間インキュベートし、この緩衝液を除去して、0.5mMの濃度で光学異性体を含む4.5mMグルコースを有するKrebs-Ringer重炭酸緩衝液と置き換えた。この細胞を1時間インキュベートした。基礎インスリン分泌を、2mMグルコースを有する緩衝液の存在下でこの細胞をインキュベートすることによって決定した。4.5及び10mMのグルコースの存在は、インスリン分泌を刺激し、参照対照及び陽性対照としてそれぞれの機能を果たした。試験した4−ヒドロキシイソロイシン立体配置異性体による陽性刺激反応は、4.5mMグルコースによって誘発された以上の反応が得られた。図3に示すように、化合物13(2S,3R,4S異性体)を除く4−ヒドロキシイソロイシンの全立体配置異性体は、化合物5と同様の活性を有する化合物8、10、及び20を有するインスリン分泌促進作を示した(2S,3R,4S異性体はインスリン分泌促進作用を有することが知られている、Broca et al.,A−Hydroxyisoleucine:effects of synthetic and natural analogues on insulin excretion,Eur.J.Pharmacol.390:339−345,2000;and Sauvaire et al.,Diabetes 47:206−210,1998参照)。
本明細書に記載されている例及び実施例は、例示目的のみであり、これらの観点から様々な変更例又は変形例は、当業者に提案され、本明細書の精神及び範囲、及び添付の特許請求の範囲内に含まれることが理解される。
図1は、4−ヒドロキシイソロイシンの8の立体配置異性体の合成を示す合成スキームである。 図2は、分化型3T3−L1脂肪細胞によるグルコース摂取刺激に関する4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体の効果を示すグラフである。 図3は、4−ヒドロキシイソロイシンの立体配置異性体によるINS−1細胞のインスリン分泌のグルコース依存性刺激を示すグラフである。

Claims (22)

  1. 次の構造:

    Figure 2008530198

    又はその薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグを有することを特徴とする化合物。
  2. 請求項1の化合物において、前記ラクトンが

    Figure 2008530198

    であることを特徴とする化合物。
  3. 請求項1に記載の化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグの使用において、ヒトの炭水化物又は脂質代謝の疾患の予防又は治療用の薬剤の製造のための使用。
  4. 薬学的組成物が:(i)請求項1に記載の化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグを具える化合物と;(ii)薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と;を具えることを特徴とする薬学的組成物。
  5. 薬学的組成物が:(i)

    Figure 2008530198

    から成る群より選択された化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグと;薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と;を具えることを特徴とする薬学的組成物。
  6. 請求項5に記載の薬学的組成物において、前記ラクトンが:

    Figure 2008530198

    から成る群より選択されることを特徴とする薬学的組成物。
  7. 請求項5に記載の薬学的組成物が、表1に与えられたリストから選択された少なくとも1の抗糖尿病薬を更に具えることを特徴とする薬学的組成物。
  8. 薬学的キットにおいて:(i)

    Figure 2008530198

    から成る群より選択された化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグと;(ii)ヒト患者の循環グルコースレベルを低減するための前記化合物の使用のための指示と;を具えることを特徴とする薬学的キット。

  9. Figure 2008530198

    から成る群より選択された化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグの、ヒトの炭水化物又は脂質代謝の疾患の予防又は治療用の薬物の製造のための使用。
  10. 請求項9に記載の使用において、前記炭水化物代謝の疾患が糖尿病であることを特徴とする使用。
  11. 請求項9に記載の使用において、前記炭水化物代謝の疾患が、2型糖尿病であることを特徴とする使用。

  12. Figure 2008530198

    から成る群より選択された化合物、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグの、2型糖尿病の治療用の薬剤の調整のための使用。
  13. 筋肉細胞及び/又は脂肪細胞によってグルコース摂取を刺激する方法において、前記細胞を:

    Figure 2008530198

    から成る群より選択された有効量の化合物、及び/又は前記化合物の有効量の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグに接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
  14. 膵臓β細胞によるインスリン分泌を刺激する方法において、前記細胞を、

    Figure 2008530198

    から成る群より選択された有効量の化合物と、及び/又は有効量の前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグに接触させるステップを具えることを特徴とする方法。
  15. 炭水化物又は脂質代謝の疾患に罹患しているほ乳類を治療する方法において、前記方法が:

    Figure 2008530198

    から成る群より選択された化合物を前記ほ乳類に投与するステップ、及び/又は前記化合物の薬学的に許容可能な塩、ラクトン、又はプロドラッグを前記ほ乳類に投与するステップを具え、前記化合物、塩、ラクトン、又はプロドラッグが、前記ほ乳類の循環グルコースレベルを低減するのに十分な量で投与されることを特徴とする方法。
  16. 請求項15に記載の方法において、前記ほ乳類が、霊長類、農業及び獣医対象の動物、齧歯類、及び愛玩動物から成る群より選択されることを特徴とする方法。
  17. 請求項15に記載の方法において、前記ほ乳類がヒトであることを特徴とする方法。
  18. 請求項15に記載の方法において、前記炭水化物代謝の疾患が糖尿病であることを特徴とする方法。
  19. 請求項15に記載の方法において、前記炭水化物代謝の疾患が2型糖尿病であることを特徴とする方法。
  20. 請求項15に記載の方法において、前記炭水化物代謝の疾患がメタボリックシンドロームであることを特徴とする方法。
  21. 請求項15に記載の方法において、前記炭水化物代謝の疾患が前糖尿病であることを特徴とする方法。
  22. 請求項15に記載の方法において、前記脂質代謝の疾患が2型糖尿病であることを特徴とする方法。
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